(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(54)【発明の名称】植物の成長を促進する光照射方法と植物用ランプ及びその応用
(51)【国際特許分類】
A01G 7/00 20060101AFI20220307BHJP
A01G 31/00 20180101ALI20220307BHJP
【FI】
A01G7/00 601C
A01G31/00 612
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542394
(86)(22)【出願日】2019-04-23
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 CN2019083859
(87)【国際公開番号】W WO2020199277
(87)【国際公開日】2020-10-08
(31)【優先権主張番号】201910270563.5
(32)【優先日】2019-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517149405
【氏名又は名称】福建省中科生物股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】FUJIAN SANAN SINO-SCIENCE PHOTOBIOTECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Photoelectric Industrical Park, Hengshan Village, Hutou Town, Anxi County Quanzhou, Fujian 362411, CN
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】李 陽
(72)【発明者】
【氏名】李 紹華
(72)【発明者】
【氏名】占 卓
(72)【発明者】
【氏名】陳 藝群
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲ティン▼▲ティン▼
(72)【発明者】
【氏名】馬 健
【テーマコード(参考)】
2B022
2B314
【Fターム(参考)】
2B022AB11
2B022AB20
2B022DA08
2B314MA38
2B314PD61
(57)【要約】
【課題】本発明は植物の成長を促進する方法を提供する。
【解決手段】本発明の方法では、成長中の植物に人工光源を提供することを少なくとも含み、前記光源はピーク波長が680~695nmであり、且つスペクトル半値幅<35nmの赤色光を含む。又は、前記光源はピーク波長が410~440nmであり、且つスペクトル半値幅<35nmの青色光を含む。前記光源を提供する植物用ランプであって、前記植物ランプは植物の成長を促進するために用いられる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成長中の植物に、ピーク波長が680~695nmであり、且つスペクトル半値幅<35nmの赤色光を含む人工光源を提供することを少なくとも含むこと特徴とする、植物の成長の促進方法。
【請求項2】
前記光源はさらにピーク波長が410~480nmの青色光を含み、前記赤色光と前記青色光の光量子数の比は(15~0.1):1であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光源はさらにピーク波長が730~740nmであり、且つスペクトル半値幅<35nmの遠赤色光を含み、前記遠赤色光の光量子数が光源全体の光量子数に占める割合は50%未満であること特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記植物の栽培方式は土壌、栄養液又は基質であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
成長中の植物に、ピーク波長が410~440nmであり、且つスペクトル半値幅<35nmの青色光を含む人工光源を提供することを少なくとも含むこと特徴とする、植物の成長の促進方法。
【請求項6】
前記光源はさらにピーク波長が630~700nmの赤色光を含み、前記赤色光と前記青色光の光量子数の比は(15~0.1):1であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記植物の栽培方式は土壌、栄養液又は基質であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~3、5及び6のうちいずれか一つに記載の光源を提供することを特徴とする、植物用ランプ。
【請求項9】
植物の成長を促進するための請求項8に記載の植物用ランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物の成長を促進する光照射方法と植物用ランプ及びその応用に関する。
【背景技術】
【0002】
光は、植物の成長と発育における基本的な環境因子である。それは光合成の基本的なエネルギー源であるだけでなく、植物の成長と発育における重要な調節因子でもある。植物の成長と発育は受光量又は光強度の制約を受けるだけでなく、光子すなわち異なる波長の光放射及びそれらの異なる組成割合の影響を受ける。
【0003】
光合成は、地球の生物圏内のほとんど全ての生物の生存及び繁殖に必要な食物、エネルギー及び酸素を供給する。太陽光は植物の光合成の基本的なエネルギー源であり、太陽光の不足は必然的に光合成を制限し、逆に、過剰な太陽光は光合成の光阻害ひいては光合成機構の光破壊を引き起こす。植物は常に光が変動する環境で成長しており、光不足(早朝、夕方、曇天、特に高木層の下層葉)、及び光過剰(晴天正午の上層葉)の状況にしばしば遭遇する。したがって、光捕捉調節は光合成にとって不可欠であり、それにより弱い光の下で光エネルギー使用の最大化を実現し、一方、強い光の下では過剰な光による光合成機構の破壊を防止することができる。植物は、長い進化の間に一連の光捕捉調節ポリシーを発展させてきた。光捕捉調節ポリシーは複数あり、高速調節及び低速調節を含む。高速調節は葉の調位運動、葉緑体運動、状態遷移及び集光アンテナ(light-harvesting complex、LHCII)が光化学系II(photosystem II、PSII)コア複合体(すなわち反応中心複合体)から可逆的に離脱するなど、数分以内に起こり得る。低速調節は集光アンテナタンパク質の存在量又はアンテナサイズの変化及び葉分子の組成の変化などであり、数時間又は数日以内に完了する。これらの調節はそれぞれ器官(葉の調位運動)、細胞下(葉緑体運動)、チラコイド膜(状態遷移)、及び分子[クロロフィル(chlorophyll、Chl)、アントシアニン、ストレスタンパク質の含有量の変化]などの異なるレベルでそれぞれ進行する。当然のことながら、集光アンテナのサイズの変化は光強度の変化に対する短期応答及び長期適応(遺伝子発現及び発育変化による)という二つの異なる状況を含む。科学的研究は、クロロフィルaと赤色光吸収型フィトクロム(Pr)は660nm付近に強い吸収ピークを有し、クロロフィルbは640nmに強い吸収を有することを示しており、従って従来の植物用照明器具においては、赤色光領域の設定ピーク波長は630-660nmの波長帯域内にある。
【0004】
人工光型植物工場の出現により、自然に任せた農業から離れて、工場内の環境システム、光環境システム、栄養システム、栽培方式の調整による植物の成長に対する制御を実現する。そのうち光環境の制御は植物の生産量と品質、工場の運用効率に関係する重要な技術である。そのため従来技術において植物収量及び品質の制御は、主に光照射強度、光照射周期、光子における赤青色光の割合(R/B)及び赤色光と遠赤色光の割合(F/FR)、栽培方法を制御することによって実現されてきた。しかし特定の波長のエネルギー割合を調整することで品質と収量を向上させる技術については報告が少ない。
【0005】
長い間、光合成集光システムのエネルギー移動メカニズムはいずれもForster (1948)により提出された共鳴エネルギー移動により説明されており、Forster共鳴エネルギー移動又は蛍光共鳴エネルギー移動(Scholes 2003、Senerら2011)と呼ばれ、すなわちドナー(donor)分子は光子エネルギー量を吸収した後に励起状態に遷移してから、無放射遷移の形式で基底状態に戻り、エネルギーを隣接する遷移エネルギーが比較的低いアクセプター分子に伝達し、アクセプター(acceptor)分子を励起状態に遷移させてから、順に進めて、最終的に反応中心まで伝達される。したがって、吸収されやすいエネルギー光子又は相乗効果を生成するエネルギー光子を提供することは、エネルギー伝達全体の効率を改善し、品質及び収量の改善に役立つ。
従来技術においてピーク波長を調整することにより植物の収量及び品質を向上させたという報告はまだ見られない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来技術の欠点に鑑み、本発明の目的は植物の成長を促進する方法と植物用ランプ及びその応用を提供することであり、従来技術における植物の成長を促進する方法の効率が低いという課題を解決するために用いられる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一局面は植物の成長を促進する方法を提供することであり、前記方法は少なくとも以下を含む。成長中の植物に人工光源を提供し、前記光源はピーク波長が680~695nmであり、且つスペクトル半値幅<35nmの赤色光を含む。
一般に、上記植物は室内で培養され、ハウス栽培の態様を採用することができる。
前記成長中とは、播種し発芽した後に成長を開始した植物を指す。
好ましくは、赤色光の光周期は2~24h/dであり、光強度は10~1000μmol/m2・sである。
前記赤色光のピーク波長は680~690nm又は690~695nmであってもよい。
前記赤色光の光周期は2~9h/d、9~12h/d、12~14h/d又は14~24h/dであってもよい。
【0008】
前記赤色光の光強度は10~60μmol/m2・s、60~200μmol/m2・s、200~250μmol/m2・s又は250~1000μmol/m2・sであってもよい。
好ましくは、前記光源はさらにピーク波長が410~480nmの青色光を含み、前記赤色光と前記青色光の光量子数の比は(15~0.1):1である。
より好ましくは、赤色光及び青色光の光周期は2~24h/dであり、赤色光及び青色光の総光強度は10~1000μmol/m2・sである。
前記青色光のピーク波長は410~430nm、430~435nm、435~440nm又は440~480nmであってもよい。
前記青色光の光周期は2~9h/d、9~12h/d、12~14h/d又は14~24h/dであってもよい。
【0009】
前記赤色光と青色光の総光強度は10~60μmol/m2・s、60~200μmol/m2・s、200~250μmol/m2・s又は250~1000μmol/m2・sであってもよい。
前記赤色光と前記青色光の光量子数の比は(15~4):1、(4~3):1又は(3~0.1):1であってもよい。
【0010】
より好ましくは、前記光源はさらにピーク波長が730~740nmであり、且つスペクトル半値幅<35nmの遠赤色光を含み、前記遠赤色光の光量子数が光源全体の光量子数に占める割合は50%未満である。実験の結果から、この範囲内ではいずれも本願における技術的効果を得ることができる。
【0011】
さらにより好ましくは、赤色光、青色光及び遠赤色光の光周期は2~24h/dであり、赤色光、青色光及び遠赤色光の総光強度は10~1000μmol/m2・sである。
前記遠赤色光のピーク波長は730~735nm又は735~740nmであってもよい。
前記遠赤色光の光周期は2~9h/d、9~12h/d、12~14h/d又は14~24h/dであってもよい。
【0012】
前記赤色光、青色光及び遠赤色光の総光強度は10~60μmol/m2・s、60~200μmol/m2・s、200~250μmol/m2・s又は250~1000μmol/m2・sであってもよい。
好ましくは、前記植物の栽培方式は土壌、栄養液又は基質である。
【0013】
栄養液を用いて栽培する場合、幼苗を水耕栽培モジュールに植え付けて、根系の2/3が栄養液に浸漬するように保持し、植物の違いに応じて異なる栄養液を用い、例えばレタスの栄養液にはホグランド栄養液を用いる。栄養液のECは1.6~1.8、pHは5.5~7.5、栄養液の温度は18~22℃、溶存酸素量は5~6mg/Lとする。
【0014】
好ましくは、前記方法は具体的に播種及び成長管理を含み、前記播種は従来技術を用いる。前記成長管理とは発芽後の植物に対する必要な管理、例えば施肥、灌水、光源及び環境条件の設定を実施することである。
好ましくは、前記植物は野菜又は漢方薬材であってもよい。
好ましくは、前記植物はレタス、パクチョイ、チンゲンサイ、サニーレタス、サンショクスミレ及び金線蓮苗から選択される少なくとも1種である。
【0015】
レタス:var.ramosa Hort.、葉を食用とするチシャの俗称であり、いくつかの別名があり(中国語でE仔菜、Mai仔菜、Wo仔菜)、キク科チシャ属に属する。
サニーレタス:var.ramosa Hort.キク科、チシャ属。
【0016】
パクチョイ: Brassica campestris L.ssp.chinensis Makino(var.communis Tsen et Lee)、アブラナ属、アブラナ科。
チンゲンサイ:Brassica chinensis L.、アブラナ属、十字花科。
金線蓮:ラン科キバナシュスラン属植物 Anectochilus roxburhii(Wall.)Lindl.、草全体を薬とする。
サンショクスミレ:Viola tricolor L.、セイヨウアブラナ科セイヨウアブラナ属の二年又は多年生草本植物。
好ましくは、前記方法はさらに成長環境条件を含む。環境温度は昼間21~24°C、夜間18~20°C、湿度60~80%である。
【0017】
好ましくは、前記方法はさらに播種と催芽を含む。例えばレタスの播種及び催芽の方法は以下のとおりである。粒がふっくらしたレタス種子を選択し、50~55℃の温水に入れて15~20min浸漬してから、25~30℃の清水に入れて7~8h浸漬する。浸漬した種子を育苗スポンジブロックに播種し、各穴に1粒の種子であり、下のトレイに純水を加え、純水の水位はスポンジ下で平らになるようにして、播種が完了した後、霧吹きで種子に水を噴霧して表面湿度を保持し、その後に22~25℃の催芽ボックスに入れて催芽を行い、湿度を70~80%に保持する。水は12時間毎に1回種子に噴霧する。
【0018】
本発明の第二局面は植物の成長を促進する方法を提供することであり、前記方法は少なくとも以下を含む。成長中の植物に人工光源を提供し、前記光源はピーク波長が410~440nmであり、且つスペクトル半値幅<35nmの青色光を含む。
一般に、上記植物は室内で培養され、ハウス栽培の態様を採用することができる。
前記成長中とは、播種し発芽した後に成長を開始した植物を指す。
好ましくは、青色光の光周期は2~24h/dであり、光強度は10~1000μmol/m2・sである。
前記青色光のピーク波長は410~430nm、430~435nm又は435~440nmであってもよい。
前記青色光の光周期は2~9h/d、9~12h/d、12~14h/d又は14~24h/dであってもよい。
【0019】
前記青色光の光強度は10~60μmol/m2・s、60~200μmol/m2・s、200~250μmol/m2・s又は250~1000μmol/m2・sであってもよい。
好ましくは、前記光源はさらにピーク波長が630~700nmの赤色光を含み、前記赤色光と前記青色光の光量子数の比は(15~0.1):1である。
より好ましくは、赤色光と青色光の光周期は2~24h/dであり、赤色光と青色光の総光強度は10~1000μmol/m2・sである。
前記赤色光のピーク波長は630~660nm、660~680nm、680~695nm 又は695~700nmであってもよい。
前記赤色光の光周期は2~9h/d、9~12h/d、12~14h/d又は14~24h/dであってもよい。
【0020】
前記赤色光と青色光の総光強度は10~60μmol/m2・s、60~200μmol/m2・s、200~250μmol/m2・s又は250~1000μmol/m2・sであってもよい。
前記赤色光と前記青色光の光量子数の比は(15~4):1、(4~3):1又は(3~0.1):1であってもよい。
好ましくは、前記植物の栽培方式は土壌、栄養液又は基質である。
【0021】
栄養液を用いて栽培する場合、幼苗を水耕栽培モジュールに植え付けて、根系の2/3が栄養液に浸漬するように保持し、植物の違いに応じて異なる栄養液を用い、例えばレタスの栄養液にはホグランド栄養液を用いる。栄養液のECは1.6~1.8、pHは5.5~7.5、栄養液の温度は18~22℃、溶存酸素量は5~6mg/Lとする。
【0022】
好ましくは、前記方法は具体的に播種及び成長管理を含み、前記播種は従来技術を用いる。前記成長管理とは発芽後の植物に対する必要な管理、例えば施肥、灌水、光源及び環境条件の設定を実施することである。
好ましくは、前記植物は野菜又は漢方薬材であってもよい。
好ましくは、前記植物はレタス、パクチョイ、チンゲンサイ、サニーレタス、サンショクスミレ及び金線蓮苗から選択される少なくとも1種である。
【0023】
レタス:var.ramosa Hort.、葉を食用とするチシャの俗称であり、いくつかの別名があり(中国語でE仔菜、Mai仔菜、Wo仔菜)、キク科チシャ属に属する。
サニーレタス:var.ramosa Hort.キク科、チシャ属。
【0024】
パクチョイ: Brassica campestris L.ssp.chinensis Makino(var.communis Tsen et Lee)、アブラナ属、アブラナ科。
チンゲンサイ:Brassica chinensis L.、アブラナ属、十字花科。
金線蓮:ラン科キバナシュスラン属植物 Anectochilus roxburhii(Wall.)Lindl.、草全体を薬とする。
サンショクスミレ:Viola tricolor L.、セイヨウアブラナ科セイヨウアブラナ属の二年又は多年生草本植物。
好ましくは、前記方法はさらに成長環境条件を含む。環境温度は昼間21~24°C、夜間18~20°C、湿度60~80%である。
【0025】
好ましくは、前記方法はさらに播種と催芽を含む。例えばレタスの播種及び催芽の方法は以下のとおりである。粒がふっくらしたレタス種子を選択し、50~55℃の温水に入れて15~20min浸漬してから、25~30℃の清水に入れて7~8h浸漬する。浸漬した種子を育苗スポンジブロックに播種し、各穴に1粒の種子であり、下のトレイに純水を加え、純水の水位はスポンジ下で平らになるようにして、播種が完了した後、霧吹きで種子に水を噴霧して表面湿度を保持し、その後に22~25℃の催芽ボックスに入れて催芽を行い、湿度を70~80%に保持する。水は12時間毎に1回種子に噴霧する。
本発明の第3局面は植物用ランプを提供することであり、前記植物用ランプは前記光源を提供し、前記光源は上記スペクトル特性の光を発することができる。
前記植物用ランプは従来技術におけるLEDランプを用い、発光ダイオードに変更して取得してもよい。
本発明の第4局面は植物の成長を促進するための上記植物用ランプの用途を提供することである。
【0026】
以上のように、本発明における複数のマルチ波長帯域スペクトルに基づいて葉菜類野菜の収量を向上させる方法は、以下の有益な効果を有する。本発明における技術的解決手段によって植物の収量を顕著に向上させ、特に赤色光、青色光及び遠赤色光を同時に使用することで、相乗効果が生じ、植物の成長をいっそう促進する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に特定の具体的な実施例によって本発明の実施形態を説明しており、当業者は本明細書に開示された内容から本発明の他の利点及び効果を容易に理解することができる。本発明はさらに他の異なる具体的な実施形態によって実施又は応用することができ、本明細書における各項の詳細については異なる観点及び応用に基づき、本発明の趣旨から逸脱することなく各種の修飾又は変更を行うことができる。
【0028】
表1 材料及びメーカー
実施例1~20及び対照例1~2 レタスの栽培
【0029】
(1)播種及び催芽:粒がふっくらしたレタス種子を選択し、50℃の温水に入れて20min浸漬してから、30℃の清水に入れて8h浸漬する。浸漬した種子を育苗スポンジブロックに播種し、各穴に1粒の種子であり、下のトレイに純水を加え、純水の水位はスポンジ下で平らになるようにして、播種が完了した後、霧吹きで種子に水を噴霧して表面湿度を保持し、その後に25℃の催芽ボックスに入れて催芽を行い、湿度を80%に保持する。水は12時間毎に1回種子に噴霧する。
【0030】
(2)成長管理:レタス苗が一本あたり4~5葉になるまで成長したなら、レタス苗を水耕栽培モジュールに植え付けて、根系の2/3が栄養液に浸漬するように保持し、栄養液のECは1.8、pHは7.5、栄養液の温度は22℃、溶存酸素量は6mg/Lとする。環境温度条件は、昼間23℃、夜間18℃である。光源パラメータ(光のピーク波長、光量子数の比、光周期及び光強度を含む)を設定し、20d栽培する。
【0031】
上記栽培方法でレタスを培養し、その中でステップ(2)における光源パラメータを各実施例及び対照例で変更して、各実施例及び対照例で得られた単株の新鮮重量を秤量し、平均重量を得た。実験結果は表2に示すとおりである。
【0032】
【0033】
実験の結果は以下のとおりである。従来の技術的解決手段の赤色光660nm又は青色光450nmと比べて、本発明の解決手段により植物の収量は最高でそれぞれ30.5%及び15.6%向上しており、顕著な促進作用が見られ、赤色光と青色光を同時に使用し、又は赤色光、青色光及び遠赤色光を同時に使用した場合にはより優れた促進作用が見られた。
実施例21~40及び対照例3~4 パクチョイの栽培
【0034】
(1)播種及び催芽:粒がふっくらしたパクチョイ種子を選択し、種子を育苗スポンジブロックに播種し、各穴に1粒の種子であり、下のトレイに純水を加え、純水の水位はスポンジ下で平らになるようにして、播種が完了した後、霧吹きで種子に水を噴霧して表面湿度を保持し、その後に25℃の催芽ボックスに入れて催芽を行い、湿度を80%に保持する。水は12時間毎に1回種子に噴霧する。
【0035】
(2)成長管理:パクチョイ苗が一本あたり4~5葉になるまで成長したなら、パクチョイ苗を水耕栽培モジュールに植え付けて、根系の2/3が栄養液に浸漬するように保持し、栄養液のECは1.6、pHは6.5、栄養液の温度は20℃、溶存酸素量は5.5mg/Lとする。環境温度条件は、昼間22℃、夜間20℃である。光源パラメータ(光のピーク波長、光量子数の比、光周期及び光強度を含む)を設定し、15d栽培する。
【0036】
上記栽培方法でパクチョイを培養し、その中でステップ(2)における光源パラメータを各実施例及び対照例で変更して、各実施例及び対照例で得られた単株の新鮮重量を秤量し、平均重量を得た。実験結果は表3に示すとおりである。
【0037】
【0038】
実験の結果は以下のとおりである。従来の技術的解決手段の赤色光660nm又は青色光450nmと比べて、本発明の解決手段により植物の収量は最高でそれぞれ25.3%及び22.9%向上しており、顕著な促進作用が見られ、赤色光と青色光を同時に使用し、又は赤色光、青色光及び遠赤色光を同時に使用した場合にはより優れた促進作用が見られた。
実施例41~60及び対照例5~6 サニーレタスの栽培
【0039】
(1)播種及び催芽:粒がふっくらしたサニーレタス種子を選択し、種子を育苗スポンジブロックに播種し、各穴に1粒の種子であり、下のトレイに純水を加え、純水の水位はスポンジ下で平らになるようにして、播種が完了した後、霧吹きで種子に水を噴霧して表面湿度を保持し、その後に24℃の催芽ボックスに入れて催芽を行い、湿度を75%に保持する。水は12時間毎に1回種子に噴霧する。
【0040】
(2)成長管理:サニーレタス苗が一本あたり4~5葉になるまで成長したなら、サニーレタス苗を水耕栽培モジュールに植え付けて、根系の2/3が栄養液に浸漬するように保持し、栄養液のECは1.6、pHは6、栄養液の温度は20℃、溶存酸素量は5mg/Lとする。環境温度条件は、昼間23℃、夜間18℃である。光源パラメータ(光の種類、帯域、光量子数の比、光周期及び光強度を含む)を設定し、22d栽培する。
【0041】
上記栽培方法でサニーレタスを培養し、その中でステップ(2)における光源パラメータを各実施例及び対照例で変更して、各実施例及び対照例で得られた単株の新鮮重量を秤量し、平均重量を得た。実験結果は表4に示すとおりである。
【0042】
【0043】
実験の結果は以下のとおりである。従来の技術的解決手段の赤色光660nm又は青色光450nmと比べて、本発明の解決手段により植物の収量は最高でそれぞれ25.3%及び24.2%向上しており、顕著な促進作用が見られ、赤色光と青色光を同時に使用し、又は赤色光、青色光及び遠赤色光を同時に使用した場合にはより優れた促進作用が見られた。
実施例61~79及び対照例7~8 金線蓮苗の栽培
【0044】
(1)金線蓮苗を組織培養瓶から取り出して、清水で基質をきれいに洗浄し、洗浄過程で茎と根が整っていることを確認し、きれいに洗浄した後に濃度0.1%の過マンガン酸カリウム溶液に入れて5min浸漬して、消毒滅菌を行い、滅菌後の苗を無菌ポットに入れて使用に備える。
【0045】
(2)金線蓮の葉の表面の過マンガン酸カリウムが蒸発した後、泥炭土:バーミキュライト:川砂=1:1:1で配合された混合基質(基質は高圧滅菌済み)に植え付けて、滅菌水の代わりに特定の栄養液で攪拌し、土壌の湿度は80%とする。
(3)基質を25cm×25cm×25cmの栽培ポットに分配する。株の間隔を一定の2cmとして金線蓮苗を植え付けた後、ポット全体の密封保湿処理を行う。
【0046】
(4)人工光環境に移して栽培し、該光環境の光の質をXとして、光周期は14h/d、光強度は60±5Mmol/m2・s、温度は昼23℃、夜18℃であり、120d栽培する。
【0047】
上記栽培方法に従って金線蓮苗を培養し、その中でステップ(4)における光源パラメータを各実施例及び対照例で変更して、各実施例及び対照例で得られた単株の新鮮重量、乾燥重量を秤量し、平均重量及びフラボン重量のパーセンテージを得た。実験結果は表5に示すとおりである。
【0048】
【0049】
実験の結果は以下のとおりである。従来の技術的解決手段の赤色光660nmと比べて、本発明の解決手段による新鮮重量、乾燥重量、フラボン含有量は最高で15.1%、12.6%、20.2%向上した。また青色光450nmと比べて、本発明の解決手段による新鮮重量、乾燥重量、フラボン含有量は最高で16.7%、25.5%、23.7%向上し、顕著な促進作用が見られ、赤色光と青色光を同時に使用し、又は赤色光、青色光及び遠赤色光を同時に使用した場合にはより優れた促進作用が見られた。
実施例80~86及び対照例9 サンショクスミレの栽培
【0050】
(1)播種と催芽:粒がふっくらしたサンショクスミレ種子を選択し、4h浸漬してから、種子を事前に湿潤させた育苗スポンジブロックに播種し、各穴に1粒の種子であり、下のトレイに純水を加え、純水の水位はスポンジ下で平らになるようにして、播種が完了したら24℃の催芽ボックスに入れて催芽し、湿度は70%に保持して、24h毎に1回水を噴霧する。
【0051】
(2)成長管理:サンショクスミレ苗が一本あたり4~5葉になるまで成長したなら、サンショクスミレ苗を水耕栽培モジュールに植え付けて、根系の2/3が栄養液に浸漬するように保持し、栄養液のECは1.6、pHは6.0として、栄養液の温度は20℃、溶存酸素量は5mg/Lとする。環境温度条件は昼間23℃、夜間18℃である。光源パラメータ(光の種類、帯域、光量子数の比、光周期及び光強度を含む)を設定し、20d栽培した後、毎週1回データを収集する。
(3)実施例及び対照例のサンショクスミレから収集できるデータは開花数、株高、株幅を含み、実験結果は表6に示すとおりである。
【0052】
【0053】
実験の結果は以下のとおりである。従来の技術的解決手段の赤色光660nmと比べて、本発明の解決手段による開花数は最高で18%向上し、顕著な促進作用が見られた。
【0054】
以上の実施例は本発明で開示された実施形態を説明するためのものであり、本発明を限定するものと理解すべきではない。さらに、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に列挙される様々な修正及び本発明の方法や組成物の変更については、当業者にとって自明である。本発明における複数の具体的な好ましい実施例を組み合わせて本発明を具体的に説明したが、理解されるべき点として、本発明はこれらの具体的な実施例のみに限定されるものではない。実際には、上記のような当業者にとって自明の修正により得られる発明は、いずれも本発明の範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】