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特表2022-518306軽量骨材超高性能コンクリート及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(54)【発明の名称】軽量骨材超高性能コンクリート及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 28/04 20060101AFI20220308BHJP
   C04B 18/08 20060101ALI20220308BHJP
   C04B 18/14 20060101ALI20220308BHJP
   C04B 14/18 20060101ALI20220308BHJP
   C04B 24/26 20060101ALI20220308BHJP
   C04B 14/48 20060101ALI20220308BHJP
   C04B 40/02 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
C04B28/04
C04B18/08 Z
C04B18/14 Z
C04B14/18
C04B24/26 E
C04B14/48
C04B14/48 D
C04B40/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2020566998
(86)(22)【出願日】2019-12-30
(85)【翻訳文提出日】2020-11-30
(86)【国際出願番号】 CN2019129993
(87)【国際公開番号】W WO2021134236
(87)【国際公開日】2021-07-08
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518229179
【氏名又は名称】青▲島▼理工大学
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO UNIVERSITY OF TECHNOLOGY
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホウ ドンシュアイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン シンペン
(72)【発明者】
【氏名】リー メンメン
(72)【発明者】
【氏名】ゲン チーフイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン パン
(72)【発明者】
【氏名】イン ビン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ユエ
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112PA07
4G112PA19
4G112PA27
4G112PA28
4G112PB31
4G112RA06
4G112RB03
(57)【要約】
【課題】軽量骨材超高性能コンクリートおよびその調製方法を開示する。
【解決手段】本発明は、以下の重量成分から調製される軽量骨材超高性能コンクリートを提供する。セメント220~260部、シリカヒューム100~120部、膨張真珠粉120~160部、膨張パーライト230~260部、ポリカルボン酸高性能減水剤15~20部、鋼繊維76~93部、水140~160部。前記膨張真珠粉の最大粒径は0.075mmであり、前記膨張パーライトの粒径範囲は0.075~0.6mmである。本発明により設計および調製された軽量の超高性能コンクリートは、優れた密度性能を有し、超長大橋、超高層ビルおよび複雑な海洋環境で使用されているコンクリート部材などのセメント系材料への軽量、超高強度、超高耐久性への要件を満たすことができ、高いプロモーション価値を持っている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量骨材超高性能コンクリートであって、
セメント220~400部、
シリカヒューム100~120部、
膨張真珠粉5~150部、
膨張パーライト230~260部、
水140~160部、
減水剤15~20部、
鋼繊維76~93部という重量部数の成分で調製して得られ、
前記膨張真珠粉の粒径は、0.075mmより小さく、
前記膨張パーライトの粒径範囲は0.075~0.6mmであることを特徴とするコンクリート。
【請求項2】
前記セメントは、ポルトランドセメント、ポゾランセメント、フライアッシュセメント、またはスラグセメントであるって、前記セメントの平均粒径は10.6μmであることを特徴とする請求項1に記載の軽量骨材超高性能コンクリート。
【請求項3】
前記減水剤はポリカルボン酸高性能減水剤であって、前記減水剤の減水率が35%を超えることを特徴とする請求項1に記載の軽量骨材超高性能コンクリート。
【請求項4】
前記鋼繊維はロングストレート鋼繊維であって、前記鋼繊維の直径は0.1~0.3mm、長さは6~15mm、引張強度は1600MPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の軽量骨材超高性能コンクリート。
【請求項5】
前記軽量骨材の超高性能コンクリート組成を決定する設計方法には、
最密充填理論に基づいて、Modified Andreasen and Andersenモデルを使用して、密な構造を持つ参照グループの混合比を設計するステップ(1)と、
応答曲面法により、膨張真珠粉と膨張パーライトの置換量と、超高性能の密度と強度との関数関係を確立し、性能要件に従って膨張真珠粉と発泡パーライトの含有量を決定するステップ(2)と、
応答曲面法で設計された配合比をテスト・検証し、前記軽量骨材超高性能コンクリートの配合比を取得するステップ(3)と
を含むことを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の軽量骨材超高性能コンクリート。
【請求項6】
膨張真珠粉を使用してセメントの一部を置き換え、膨張パーライトを使用して石英砂の一部またはすべてを置き換えることを特徴とする請求項5に記載の軽量骨材超高性能コンクリート。
【請求項7】
ステップ(3)の前記軽量骨材超高性能コンクリートの組成は、
前記軽量骨材超高性能コンクリートの密度が1700グレードの場合、セメント244部、シリカヒューム112部、膨張真珠粉147部、膨張パーライト244部、水146部、減水剤18部、鋼繊維93部という重量部数の成分から調製され、
前記軽量骨材超高性能コンクリートの密度が1800グレードの場合、セメント388部、シリカヒューム102部、膨張真珠粉47部、膨張パーライト223部、水137部、減水剤16部、鋼繊維85部という重量部数の成分から調製されることを特徴とする請求項5に記載の軽量骨材超高性能コンクリート。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の軽量骨材超高性能コンクリートを調製する方法であって、
セメント、シリカヒューム、膨張真珠粉及び膨張パーライトの第一混合を行い、混合物を得るステップ(1)と、
前記混合物と減水剤および水の第二混合を行い、混合スラリーを得るステップ(2)と、
前記混合スラリーと鋼繊維の第三混合を行った後、素地を得るステップ(3)と、
前記素地を熱硬化し、軽量の超高性能コンクリートを得るステップ(4)と
を含むことを特徴とする調製方法。
【請求項9】
前記熱硬化には、順次行う第1段階の熱水硬化と第2段階の乾式高温硬化が含まれることを特徴とする請求項8に記載の調製方法。
【請求項10】
前記第1段階の熱水硬化には、順次行う予備硬化、加熱段階、恒温段階、および冷却段階が含まれ、
前記第1段階の熱水硬化の予備硬化の温度は20~40℃であり、時間は12~36hであって、
前記第1段階の熱水硬化の加熱段階の加熱速度は0.1~1℃/minであって、
前記第1段階の熱水硬化の恒温段階の温度は90~100℃で、時間は6~8hであって、
前記第1段階の熱水硬化の冷却段階での冷却速度は0.23~0.3℃/minであって、
前記第2段階の乾式高温硬化には、順次行う加熱段階、恒温段階、および冷却段階が含まれ、
前記第2段階の乾式高温硬化の加熱段階の加熱速度は5~10℃/minであって、
前記第2段階の乾式高温硬化の恒温段階の恒温時間は2~3hであって、前記第2段階の乾式高温硬化の冷却段階の冷却速度は0.1~0.5℃/minであることを特徴とする請求項9に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築材料の技術分野、特に軽量骨材超高性能コンクリートおよびその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
軽量骨材コンクリートとは、軽量骨材を追加することにより、見掛け密度が1950kg/m未満に制御されたコンクリートを指す。軽量骨材コンクリートは比強度が高く、保温性、断熱性などの利点があり、様々な耐力構造物や非耐力構造物に広く使用されている。超長大橋や超高層ビルでは、コンクリートの強度と耐久性に対する要求が高くなっている。従来の砂利骨材に比べて、軽量骨材の機械的特性が低いと、軽量骨材コンクリートには、強度が低く、耐久性が低いという欠点があり、軽量骨材コンクリートの開発と応用が制限される。
【0003】
既存の研究は、軽量骨材の性能向上(機械的特性の向上)に焦点が当てられ、一般的に使用される技術的手段には、次のものが含まれる。(1)低吸水性、高強度、高品質の軽量骨材を選択し、これにより、軽量骨材コンクリートの原材料コストが増加する。(2)セメント系材料を使用して、軽量骨材の表面に密なシェルを事前に作製し、軽量骨材の強度を向上させる。(3)軽量骨材コンクリートの性能を向上させるために、補助セメント質材料を追加して軽量骨材とセメントペーストの間の界面遷移ゾーンの性能を向上させる(界面遷移ゾーンは軽量骨材のシェルとして使用される)。しかしながら、上記の技術的手段では、軽量骨材の前処理プロセスと建設プロセスについてより高い要件が求められ、調製プロセスは複雑であり、軽量骨材コンクリートが弱いリンクであるという事実が根本的に解決されず、結果として調製された軽量骨材コンクリートの性能向上は限られていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、軽量骨材超高性能コンクリートおよびその調製のための新しいアイデアを提供することを目的とする。本発明は、供給源が広範囲であり、吸水率が高く、強度の低い膨張パーライトを軽量骨材(フィラー)として使用し、スラリーの均質性を向上させ、コンクリートの応力集中を低減することにより、超高強度、高靭性、高耐衝撃性および耐久性に優れた軽量骨材超高性能コンクリートの調製を実現する。一方で、この研究は分布が広く入手しやすい軽量骨材を使用しているため、軽量骨材のコストと前処理プロセスが削減される。他方で、軽量骨材コンクリートに関する既存の研究と比較すると、この研究で調製された軽量骨材コンクリートの性能はより優れている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の技術的解決手段を提供する:
【0006】
本発明によれば、
セメント220~400部、
シリカヒューム100~120部、
膨張真珠粉5~150部、
膨張パーライト230~260部、
水140~160部、
減水剤15~20部、
鋼繊維76~93部
という重量成分から調製される軽量骨材超高性能コンクリートが提供される。
【0007】
前記膨張パーライトの粒径は0.075~0.6mmである。前記膨張真珠粉の粒径は、0.075mmより小さい。
【0008】
好ましくは、前記セメントは、ポルトランドセメント、ポゾランセメント、フライアッシュセメント、またはスラグセメントである。前記セメントの平均粒径は10.6μmである。
【0009】
好ましくは、前記減水剤はポリカルボン酸高性能減水剤である。前記減水剤の減水率が35%を超える。
【0010】
好ましくは、前記鋼繊維はロングストレート鋼繊維である。前記鋼繊維の直径は0.1~0.3mm、長さは6~15mm、引張強度は1600MPa以上である。
【0011】
好ましくは、前記軽量骨材の超高性能コンクリート組成を決定する設計方法には、
最密充填理論に基づいて、Modified Andreasen and Andersenモデルを使用して、密な構造を持つ参照グループの混合比を設計するステップ(1)と、
応答曲面法による膨張真珠粉と膨張パーライトの置換量と超高性能の密度と強度との関数関係を確立し、性能要件に従って膨張真珠粉と膨張パーライトの含有量を決定するステップ(2)と、
応答曲面法で設計された配合比をテスト・検証し、前記軽量骨材超高性能コンクリートの配合比を取得するステップ(3)と
を含む。
【0012】
好ましくは、膨張真珠粉を使用してセメントの一部を置き換え、膨張パーライトを使用して石英砂の一部またはすべてを置き換える。
【0013】
好ましくは、ステップ(3)の前記軽量骨材超高性能コンクリートの組成は、次のとおりである。
前記軽量骨材超高性能コンクリートは、密度が1700グレードの場合、重量で次の成分から調製されるものである。セメント241部、シリカヒューム112部、膨張真珠粉147部、膨張パーライト244部、水146部、減水剤18部、鋼繊維93部。
前記軽量骨材超高性能コンクリートは、密度が1800グレードの場合、重量で次の成分から調製されるものである。セメント388部、シリカヒューム102部、膨張真珠粉47部、膨張パーライト223部、水137部、減水剤16部、鋼繊維85部。
【0014】
本発明はまた、上記技術的解決手段に記載された軽量骨材超高性能コンクリートを調製する方法を提供し、この方法は、
セメント、シリカヒューム、膨張真珠粉及び膨張パーライトの第一混合を行い、混合物を得るステップ(1)と、
前記混合物と減水剤および水の第二混合を行い、混合スラリーを得るステップ(2)と、
前記混合スラリーと鋼繊維の第三混合を行った後、素地を得るステップ(3)と、
前記素地を熱硬化し、軽量の超高性能コンクリートを得るステップ(4)と
を含む。
【0015】
好ましくは、前記熱硬化には、順次行う第1段階の熱水硬化と第2段階の乾式高温硬化が含まれる。
【0016】
好ましくは、前記第1段階の熱水硬化には、順次行う予備硬化、加熱段階、恒温段階、および冷却段階が含まれる。
【0017】
前記第1段階の熱水硬化の予備硬化は、温度は20~40℃であり、時間は12~36hである。
【0018】
前記第1段階の熱水硬化は、加熱段階の加熱速度は0.1~1℃/minである。
【0019】
前記第1段階の熱水硬化は、恒温段階の温度は90~100℃で、時間は6~8hである。
【0020】
前記第1段階の熱水硬化の冷却段階は、冷却速度は0.23~0.3℃/minである。
【0021】
前記第2段階の乾式高温硬化には、順次行う加熱段階、恒温段階、および冷却段階が含まれる。
【0022】
前記第2段階の乾式高温硬化は、加熱段階の加熱速度は5~10℃/minである。
【0023】
前記第2段階の乾式高温硬化の恒温段階は、恒温時間は2~3hである。
【0024】
前記第2段階の乾式高温硬化は、冷却段階の冷却速度は0.1~0.5℃/minである。
【発明の効果】
【0025】
本発明は、セメント220~260部、シリカヒューム100~120部、膨張真珠粉120~160部、膨張パーライト230~260部、ポリカルボン酸高性能減水剤15~20部、鋼繊維76~93部、水140~160部という重量成分から調製される軽量骨材超高性能コンクリートを提供する。前記膨張真珠粉の粒径は、0.075mmより小さく、前記膨張パーライトの粒径は0.075~0.6mmである。本発明は、軽量の骨材成分として、幅広い供給源およびより低い性能を有する膨張パーライトを使用し、膨張パーライトおよび膨張真珠粉の粒径および添加量への制御、ならびに他の原料の配合により、膨張パーライトおよび膨張真珠粉がコンクリートに均一に分散し、応力が分散する幾何学的構造を作成する。鋼繊維を添加することで、応力集中現象をさらに回避し、超高強度、高靭性、高耐衝撃性、耐久性に優れた軽量骨材超高性能コンクリートが得られる。従来技術と比較して、本発明では、軽量骨材(セラムサイトなどの従来の軽量骨材)による強化に着目しないので、高強度軽量骨材を使用する必要はなくなる一方、セメント系材料の均質性を改善することにより、応力集中が低減され、低密度と高強度の両方を備えたセメント系材料が得られる。本発明によって提供される軽量骨材超高性能コンクリートを調製するための原料は、分布広く容易に入手可能であり、軽量骨材として使用される膨張パーライトは、低コストで取り扱いが容易である。本発明により設計および調製された軽量の超高性能コンクリートは、優れた密度性能(密度<1700kg/m、圧縮強度>150MPa、28日電束<100C)を有し、超長大橋、超高層ビルおよび複雑な海洋環境で使用されているコンクリート部材などのセメント系材料の軽量、超高強度、超高耐久性への要件を満たすことができ、高いプロモーション価値を持っている。
【0026】
本発明はまた、上記軽量骨材超高性能コンクリートを調製する方法を提供し、本発明は、軽量骨材および他の原材料を前処理するために他のプロセスを使用する必要がなく、調製プロセスを簡素化し、生産サイクルを短縮する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の軽量骨材の超高性能コンクリートの設計フローチャートである。
図2】膨張パーライト、膨張真珠粉及び他の原料の置換関係図である。
図3】応答曲面法を使用してテスト計画を決定するテストポイント図である。
図4】熱硬化システムの模式図である。
図5】実施例1で調製した軽量骨材超高性能コンクリートの電束を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に実施例及び図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【0029】
本発明によれは、以下の重量成分から調製される軽量骨材超高性能コンクリートが提供される。
セメント220~400部、
シリカヒューム100~120部、
膨張真珠粉5~150部、
膨張パーライト230~260部、
水140~160部、
減水剤15~20部、
鋼繊維76~93部。
【0030】
前記膨張パーライトの粒径は0.075~0.6mmである。
前記膨張真珠粉の粒径は、0.075mmより小さい。
【0031】
本発明において、特に断りのない限り、原料成分はすべて当業者に周知の市販品である。
【0032】
本発明において、重量部で、前記軽量骨材超高性能コンクリートを調製するための原料は、セメント220~260部、好ましくは240部を含む。本発明において、前記セメントは、好ましくはポルトランドセメント、ポゾランセメント、フライアッシュセメントまたはスラグセメント、より好ましくは通常のポルトランドセメントである。前記セメントの平均粒径は好ましくは10.6μmである。本発明において、前記セメントは、水和反応および物理的充填に関与する機能を有する。
【0033】
本発明において、前記セメントの重量部を基準にして、前記軽量骨材超高性能コンクリートを調製するための原料は、シリカヒューム100~120部、好ましくは112部を含む。本発明において、前記シリカヒュームの機能は、火山灰効果および充填効果を発揮することである。
【0034】
本発明において、前記セメントの重量部を基準にして、前記軽量骨材超高性能コンクリートを調製するための原料は、膨張真珠粉120~160部、より好ましくは147部を含む。前記膨張真珠粉の粒径は、好ましくは0.075mmより小さい。本発明において、前記膨張真珠粉を調製するための方法は、好ましくは、市販の膨張パーライトをボールミル粉砕してふるい分けで0.075mm未満の粒径を有する膨張真珠粉を得ることを含む。本発明において、前記ボールミルの回転速度は、好ましくは30~40r/min、時間は、好ましくは0.3~1.0hである。
【0035】
本発明において、前記セメントの重量部を基準にして、前記軽量骨材超高性能コンクリートを調製するための原料は、230~260部、好ましくは244部の膨張パーライトを含み、前記膨張パーライトの粒径は0.075~0.6mmである。本発明において、前記膨張したパーライトを調製するための方法は、好ましくは、市販の膨張パーライトをボールミリングしてふるい分けで0.075~0.6mmの粒径を有する膨張パーライトを得ることを含む。本発明において、前記ボールミルの回転速度は、好ましくは30~40r/min、時間は、好ましくは0.1~0.3hである。
【0036】
本発明において、前記セメントの重量部を基準にして、前記軽量骨材超高性能コンクリートを調製するための原料は、15~20部、好ましくは18部の減水剤を含む。本発明において、前記減水剤は、好ましくはポリカルボン酸減水剤であり、前記減水剤の固形分は好ましくは18%である。前記減水剤の減水率が35%を超える。
【0037】
本発明では、前記セメントの重量部を基準にして、前記軽量骨材超高性能コンクリートを調製するための原料は、鋼繊維76~93部、好ましくは93部を含む。本発明において、前記鋼繊維は好ましくはロングストレート鋼繊維である。前記鋼繊維の直径は、好ましくは0.1~0.3mm、より好ましくは0.2mmである。長さは、好ましくは6~15mm、より好ましくは13mmである。引張強度は、好ましくは1600MPa以上、より好ましくは2400MPaである。
【0038】
本発明において、前記軽量骨材超高性能コンクリート組成を決定するための設計方法は、好ましくは、
最密充填理論に基づいて、Modified Andreasen and Andersenモデルを使用して、密な構造を持つ参照グループの混合比を設計するステップ(1)と、
応答曲面法により膨張真珠粉と膨張パーライトの置換量と超高性能の密度と強度との関数関係を確立し、性能要件に従って膨張真珠粉と膨張パーライトの含有量を決定するステップ(2)と、
応答曲面法で設計された配合比をテスト・検証し、前記軽量骨材超高性能コンクリートの配合比を取得するステップ(3)と
を含む。
【0039】
本発明の軽量骨材超高性能コンクリート(UHPC)の設計思想を図1に示す。本発明は、軽量骨材の強度を高めることではなく、応力集中を防止する均質な構造を確立することによりUHPCを調製することを目的とする。
【0040】
本発明は、好ましくは、粒子の最密充填の理論に基づいてModified Andreasen and Andersenを使用して、膨張真珠粉フィラーおよび膨張パーライト軽量骨材の粒径範囲を調整することにより合理的な置換関係を確立し(すなわち、セメントの代わりに膨張真珠粉を使用し、石英砂の代わりに膨張パーライトを使用することにより最密充填密度を保証)、具体的には以下である。まず、粒径が0.075~0.6mmの膨張パーライトと、粒径が0.075mm未満の膨張真珠粉を準備し、次に、最密充填理論により、Modified Andreasen and Andersen modelを使用して、膨張パーライトと膨張真珠粉と他の原料との置換関係を最初に確立し、図2に示すように、図2から、セメントと石英砂の代わりに膨張真珠粉または膨張パーライトを使用しても、システムの充填密度にほとんど影響を与えないことがわかり、したがって、セメントの一部の代わりに膨張真珠粉を使用し、石英砂の一部または全部の代わりに膨張パーライトを使用することを決定する。そのうち、参照グループの混合比を表1に示す。
【0041】
【0042】
本発明は、膨張パーライトと膨張真珠粉との他の原材料との置換関係を決定した後、応答曲面法に従って、膨張真珠粉軽量フィラーと膨張パーライト軽量骨材の置換量をさらに決定し、具体的には以下である。
(1)独立変数、独立変数の値の範囲、および従属変数を決定する。本発明において、膨張真珠粉軽量フィラー、膨張パーライト軽量骨材の置換量は独立変数であり、セメント系材料の密度(絶対乾燥密度で)および圧縮強度は従属変数であり、独立変数、制約条件、および従属変数を表2に示す。
【0043】
【0044】
(2)テストを設計し、結果を記録する。応答曲面法(CCD法)を使用してテスト計画(図3を参照)(中心点が3回繰り返され)、合計11の混合比でテストしてそのテストデータを記録し、テスト計画とテスト結果を表3に示す。
【0045】
【0046】
(3)モデルを作成し、モデルの精度を評価し、表4を参照する。テスト結果に基づいて、回帰モデルを適合させる。軽量骨材(フィラー)の含有量とセメント系材料の密度および強度との関係は次のようになる。
密度=2424.00-280.65×膨張真珠粉置換セメント量-610.52×膨張パーライト置換石英砂量。
強度=190.55659+6.77904×膨張真珠粉置換セメント量-68.73060×膨張パーライト置換石英砂量+7.33333×膨張真珠粉置換セメント量×膨張パーライト置換石英砂量-98.93519×膨張真珠粉置換セメント量×膨張真珠粉置換セメント量+18.98333×膨張パーライト置換石英砂量×膨張パーライト置換石英砂量。
【0047】
【0048】
ここで、モデルのF値はそれぞれ2160.17と96.39であり、P値<0.0001であり、モデルが非常に有意であることを示している。モデルの補正決定係数はそれぞれ、Adj-R = 0.99および0.95である。多重相関係数Pre-R=0.99及び0.91であり、モデルがうまく適合していることを示す。結果は、このモデルが優れた信頼性と高い分析信頼性を持っていることを示している。
【0049】
範囲を設定して解を求める。本発明により設計された異なる軽量骨材コンクリートを表5に詳述する。
【0050】
【0051】
表6に示すように、前記関数関係と事前設定された目標性能に従って、前記軽量骨材の超高性能コンクリートの組成が得られる。
【0052】
【0053】
本発明はまた、上記技術的解決手段に記載された軽量骨材超高性能コンクリートを調製する方法を提供し、当該方法は、
セメント、シリカヒューム、膨張真珠粉及び膨張パーライトの第一混合を行い、混合物を得るステップ(1)と、
前記混合物と減水剤および水の第二混合を行い、混合スラリーを得るステップ(2)と、
前記混合スラリーと鋼繊維の第三混合を行った後に素地作りをし、素地を得るステップ(3)と、
前記素地を熱硬化し、軽量の超高性能コンクリートを得るステップ(4)と
を含む。
【0054】
本発明では、セメント、シリカヒューム、膨張パーライト、膨張真珠粉および石英砂の第一混合を行い、混合物を得る。本発明において、前記第一混合は、好ましくは撹拌条件下で行われ、前記撹拌速度は好ましくは135~145r/minである。前記撹拌時間は、好ましくは2~5min、より好ましくは3minである。本発明において、膨張パーライト、膨張真珠粉末の添加により、混合物とミキサーの内壁との間の摩擦力を著しく増加させることができ、同時にモルタル混合物間の摩擦力および剪断力を増加させる。より大きな摩擦力と剪断力は、水と減水剤の分散速度を上げるのに役立ち、コンクリートを均一なスラリーに混合することができる。
【0055】
混合物が得られた後、本発明は、前記混合物、減水剤および水について第二混合を行い、混合スラリーを得る。本発明では、好ましくは先ず水と減水剤を混合し、次に得られた混合液を前述の混合物と混合する。
【0056】
混合スラリーが得られた後、本発明では、前記混合スラリーと鋼繊維との第三混合を行い、素地作りをして、素地を得る。本発明において、混合スラリーが得られた後、好ましくは、先ず混合スラリーを高速で撹拌し、次に鋼繊維を添加して混合する。本発明において、前記高速撹拌の撹拌速度は、好ましくは270~290r/minであり、時間は好ましくは2minである。本発明は、高速撹拌により混合スラリーの均一性を改善する。
【0057】
本発明において、前記第三混合は、好ましくは撹拌条件下で実施され、前記撹拌速度は好ましくは135~145r/minである。前記撹拌時間は、好ましくは2~3min、より好ましくは2minである。本発明における鋼繊維の最終添加は、コンクリート中の様々な材料の分散均一性を改善することができる。
【0058】
本発明は、前記調製プロセスについて特別な制限はなく、当該技術分野で周知の超高性能コンクリートの調製プロセスを使用すればよい。
【0059】
サンプルを得た後、本発明では、前記サンプルについて熱硬化を実行して、軽量骨材超高性能コンクリートを得る。本発明において、前記熱硬化は、好ましくは、順次行う熱水硬化の第1段階および乾燥高温硬化の第2段階を含む。
【0060】
前記第1段階の熱水硬化は、好ましくは、順次行う予備硬化、加熱段階、恒温段階、および冷却段階を含む。前記予備硬化の温度は好ましくは20~40℃、時間は好ましくは12~36hである。前記加熱段階の速度は好ましくは、0.1~1℃/minである。前記恒温段階の温度は好ましくは90~100℃、時間は好ましくは6~8hである。前記冷却段階での冷却速度は、好ましくは0.23~0.3℃/minである。
【0061】
前記第2段階の乾式高温硬化は、好ましくは、順次行う加熱段階、恒温段階および冷却段階を含む。前記加熱段階の加熱速度は好ましくは5~10℃/minである。本発明の具体的な実施例において、好ましくは50℃ごとに加熱すると一定の温度を2~3h維持する。本発明において、前記恒温段階の温度は好ましくは250℃、恒温時間は好ましくは2~3hである。前記冷却段階での冷却速度は、好ましくは0.1~0.5℃/minである。
【0062】
以下では、本発明の技術的解決手段を、本発明の実施例を参照しながら明確かつ完全に説明する。明らかに、記載された実施例は、すべての実施例ではなく、本発明の実施例の一部にすぎない。本発明の実施例に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって得られる他のすべての実施例は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
【0063】
実施例1:
(1)405kg PO 42.5R通常のポルトランドセメント(平均粒径10.6μm)、188kgシリカヒューム、248kg膨張真珠粉(粒径0~0.075mm)および410kg膨張パーライト(粒径0.075~0.6mm)を140r/minの速度で3min撹拌し、混合物を得た。
(2)30kgのポリカルボン酸減水剤(固形分18%)と246kgの水を混合し、ステップ(1)で説明した混合物にゆっくりと加え、140r/minで5min以上撹拌して、混合スラリーを得た。
(3)前記混合スラリーを280r/minの速度で2min撹拌した後、ロングストレート鋼繊維(直径0.2mm、長さ13mm、引張強度2400MPa)を加え、140r/minの速度で2min撹拌して、離型後、素地を得た。
(4)前記素地を、図4に示す硬化システムに従って熱硬化し、超高性能軽量骨材コンクリートが得られた。前記熱硬化の具体的な方法は、最初に20℃で24h予備硬化し、次に1℃/minの温度上昇速度で90℃に上げて6h保持し、次に0.23℃/minの温度降下速度で温度を20℃に下げ、次に、温度を5℃/ minの速度で250℃に上げ(50℃ごとに加熱すると一定温度を2h維持)、最後にテストのために0.35℃/minの温度降下速度で温度を室温まで下げることである。
【0064】
得られた軽量骨材超高性能コンクリートは1600グレード、密度は1580kg/m、圧縮強度は164.9MPaである。
【0065】
テスト例:
実施例1で調製した軽量骨材超高性能コンクリートの耐久性をテストし(電束と塩化物イオンの拡散深さに基づき)、その結果を図5に示す。図5から、日常硬化28日後、本発明により調製された軽量骨材超高性能コンクリートの塩化物イオン浸透深さは0mmであり、電束は<100Cであり、軽量かつ超高強度の利点に加えて、耐久性にも優れていることを示している。
【0066】
上記の実施例の説明は、本発明の方法および核となるアイデアの理解を助けるためにのみ使用されている。当業者にとって、本発明の原理から逸脱することなく、本発明に対していくつかの改善および変更を行うことができ、これらの改善および変更もまた、本発明の特許請求の範囲の保護範囲内にあることを指摘しなければならない。これらの実施例に対する様々な修正は当業者には明らかであり、本明細書で定義される一般原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の実施例で実施することができる。したがって、本発明は、この明細書に示された実施例に限定されず、この明細書に開示された原理および新規の特徴と一致する最も広い範囲に適合すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】