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特表2022-518353コーヒー粉末をコーヒーマシンの抽出チャンバー内へと供給するための装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(54)【発明の名称】コーヒー粉末をコーヒーマシンの抽出チャンバー内へと供給するための装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 31/44 20060101AFI20220308BHJP
   A47J 42/40 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
A47J31/44 100
A47J42/40
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021535047
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(85)【翻訳文提出日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 EP2019078812
(87)【国際公開番号】W WO2020126164
(87)【国際公開日】2020-06-25
(31)【優先権主張番号】202018107372.9
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521263261
【氏名又は名称】エバシス ホールディング ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロッヒャー、グレゴワール
(72)【発明者】
【氏名】ベトリシー、ステファン
【テーマコード(参考)】
4B104
【Fターム(参考)】
4B104AA30
4B104BA02
4B104BA53
4B104CA28
4B104EA30
4B104EA34
4B104EA40
(57)【要約】
本発明は、コーヒー粉末(a)をコーヒーマシンの抽出チャンバー内へと供給するための装置であって、充填開口部(2)を有する、コーヒー粉末(a)を受け入れて抽出するための抽出チャンバー容器(1)と、コーヒー粉末(a)を充填開口部(2)を通して抽出チャンバー容器(1)内へと供給するための、供給装置(3)とを備える装置に関する。抽出チャンバー容器(1)に連結される揺振装置(4)によって、抽出チャンバー容器(1)は、コーヒー粉末の充填の間及び/又は後に振動させられる。その結果、抽出チャンバー容器内へと入れられたコーヒー粉末が圧搾され且つ平らにされ、特に、コーヒー粉末が抽出チャンバー容器内へと入れられる際のコーヒー粉末の小山の形態の集積が防止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー粉末(a)をコーヒーマシンの抽出チャンバー内へと供給するための装置であって、
充填開口部(2)を有する、前記コーヒー粉末(a)を受け入れて抽出するための抽出チャンバー容器(1)と、
前記コーヒー粉末(a)を前記充填開口部(2)を通して前記抽出チャンバー容器(1)内へと供給するための供給装置(3)とを備える装置において、
コーヒー粉末の充填の間及び/又は後に前記抽出チャンバー容器(1)を振動させるために前記抽出チャンバー容器(1)に連結される揺振装置(4)を備えることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記供給装置(3)が、特に漏斗又は充填管の形態をもち、前記抽出チャンバー容器(1)から分離され、それを介して前記コーヒー粉末(a)を前記充填開口部(2)を通して前記抽出チャンバー容器(1)内へと導入できる供給要素(5)を有することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記抽出チャンバー容器(1)が円筒状であり、前記揺振装置(4)が、前記コーヒー粉末(a)の導入中、軸方向又は径方向において前記抽出チャンバー容器(1)を振動させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記抽出チャンバー容器(1)が円筒状であり、前記揺振装置(4)が、前記コーヒー粉末(a)の導入中、軸方向及び径方向の両方において前記抽出チャンバー容器(1)を振動させることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
前記揺振装置(4)が制御部に連結され、
前記揺振装置(4)が、前記供給装置(4)が前記コーヒー粉末(a)を前記抽出チャンバー容器(1)内へと導く間及び/又は前記抽出チャンバー容器(1)にコーヒー粉末が充填された後に、前記抽出チャンバー容器(1)を振動させるように、前記制御部によって制御されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記揺振装置(4)によって前記抽出チャンバー容器(1)へと伝達される揺振移動の振幅(A)及び/又は振動数(f)を、制御部を介して調節できることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記抽出チャンバー容器(1)が、前記充填開口部(2)に対向し、コーヒー粉末から抽出した後にそれを通して使用済みのコーヒー粉末を取り出すことができる排出口開口部(6)を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
移動可能な第1タンパー(7)を、前記排出口開口部(6)内に挿入したり、そこから取り出したりすることができ、
前記第1タンパー(7)が、挿入位置にある時に、前記抽出チャンバー容器(1)の底部を形成することを特徴とする、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
移動可能な第2タンパー(7)を、前記充填開口部(2)内へと挿入することができ、
導入された前記コーヒー粉末(a)を前記第2タンパー(8)によって圧搾するように、所定の量の前記コーヒー粉末(a)が前記抽出チャンバー容器(1)内へと導入された後、前記第2タンパー(8)を前記充填開口部(2)内へと押し付ける制御部に、前記第2タンパー(8)が連結されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記抽出チャンバー容器(1)が、熱湯で前記コーヒー粉末から抽出することで前記抽出チャンバー容器(1)内で作られたコーヒーが、前記抽出チャンバーから流出できるようにするコーヒー排出口を有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記供給装置(3)が粉砕装置に連結され、
前記粉砕装置が、コーヒー豆を粉砕することによって前記コーヒー粉末(a)を作ることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記揺振装置(4)が、電動モーター、特に偏心又はアンバランスモーターを備えることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記揺振装置(4)が、交互に且つ回転可能に往復するシャフト(11)を備え、
前記シャフト(11)が、前記シャフト(11)の移動を前記抽出チャンバー容器(1)へと伝達するように、前記抽出チャンバー容器(1)に接続されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記シャフト(11)が、軸方向、特に周期的な軸方向移動において移動可能であり、
前記シャフト(11)の軸方向移動が前記抽出チャンバー容器(1)へと伝達されることを特徴とする、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記揺振装置(4)が、コーヒー粉末(a)の導入中及び/又は導入後に、互いに直交する2つの方向、特に前記抽出チャンバー容器(1)の軸方向及びそれに対して垂直な方向において前記抽出チャンバー容器(1)を振動させることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記供給装置(3)の前記供給要素(5)と、前記抽出チャンバー容器(1)とが、互いに対して旋回させることができることを特徴とする、請求項2~15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記抽出チャンバー容器(1)が、固定された前記供給要素(5)に対して旋回させることができ、前記抽出チャンバー容器(1)の旋回移動を、前記揺振装置(4)によって始動させることができることを特徴とする、請求項2~15のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに係る、コーヒー粉末をコーヒーマシンの抽出チャンバー内へと供給するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
全自動又は半自動のコーヒーマシンにおいて、コーヒー粉末から熱湯で抽出して作られるコーヒー飲料の品質は、実質的に、とりわけ、コーヒーマシンの抽出チャンバー内へと導入されるコーヒー粉末の配分、均一性、及び密度、並びに他の多くのパラメーターに依存する。コーヒー粉末は、全自動又は半自動のコーヒーマシンにおいて、一体型の粉砕装置によって作られるか、又は既に事前に粉砕されたコーヒー粉末用の保管容器内に設けられ、コーヒー飲料を作る際に必要量が抽出チャンバー内へと運ばれ、適宜抽出チャンバー内で圧搾されて、熱湯で抽出されることで、コーヒー飲料が作られる。
【0003】
コーヒーマシンの粉砕装置で粉砕された、又は保管容器内に設けられたコーヒー粉末が、抽出チャンバー内へと供給されると、コーヒー粉末が抽出チャンバー容器内へと導入された際に、抽出チャンバー容器内へと導入されたコーヒー粉末が、均等に平らにならないという問題が生じる。コーヒー粉末は、重力によって、上方から充填開口部を通って抽出チャンバー容器内へと落ちて、そこに、小山の形態の、不均等な形状に堆積したコーヒー粉末が形成される。特に、エスプレッソを作る場合、抽出チャンバー容器内のコーヒー粉末は、機械的圧力によって圧搾され、圧力が、コーヒーマシンの外部で、バリスタがタンパーを使用することによって手動で加わるか、又はコーヒーマシンの内部で、タンパーが上方から充填開口部を通って抽出チャンバー容器内へと押し付けられることで自動的に加わって、コーヒー粉末を圧搾する。このプロセスで加わる圧力も同様に、作られるコーヒー飲料の品質に大きな影響を与える。抽出チャンバー容器内への導入中コーヒー粉末が小山の形態に蓄積することによって、抽出チャンバー容器におけるコーヒー粉末の不均等な配分、及びコーヒー粉末を押し付ける際の、抽出チャンバー容器における、圧搾されたコーヒー粉末の不均一な密度配分が生じる。これは、作られるコーヒー飲料の品質に悪影響を与える。
【0004】
この問題を克服するために、先行技術では、コーヒー粉末をコーヒーマシンの抽出チャンバー容器内へと導入して配分するための装置が提案されており、これによって、抽出チャンバー容器の均等な充填が可能となっている。例えば、特許文献1には、コーヒー粉末をエスプレッソマシンのポルタフィルター容器内へと導入して均等に配分するための装置であって、ポルタフィルター容器内に回転可能に取り付けられ、その上にローターブレードを有するローターを備える装置が開示されている。ローターブレードは、ローターの回転軸線に対して傾斜している。ローターは、コーヒー粉末をポルタフィルター容器内へと導入する間、回転させられ、それによってローターが上方に移動して、導入量のコーヒー粉末が均等に混ぜられる。
【0005】
しかしながら、先行技術で既知の、コーヒー粉末をコーヒーマシンの抽出チャンバー容器内へと導入して配分するためのこの装置は、ローターが回転可能に取り付けられたポルタフィルター容器上の充填開口部の領域内に蓋が配置されていることから、上方から抽出チャンバー容器の充填開口部内へと挿入できるタンパーによって、抽出チャンバー容器内へと導入された量のコーヒー粉末を圧搾できないため、不利であることが証明されている。このため、先行技術で既知の装置によってポルタフィルター容器内へと導入されたコーヒー粉末は、コーヒーマシンの内部で、抽出チャンバー容器と一体になったタンパーを使用して自動的に圧搾することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第3400853A1号明細書
【発明の概要】
【0007】
上記に鑑み、本発明は、コーヒー粉末をコーヒーマシンの抽出チャンバー内へと供給するための装置を提供するという目的に基づくものであり、この装置は、一方で、抽出チャンバーの抽出チャンバー容器内で、コーヒー粉末を可能な限り均等且つ均一に配分することができ、他方で、導入されたコーヒー粉末を、コーヒーマシンと一体になったタンパーの動作によって圧搾することができる。
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有する、コーヒー粉末をコーヒーマシンの抽出チャンバー内へと供給するための装置によって実現される。装置の好適な実施例は、従属クレームに開示される。
【0009】
本発明に係る装置は、充填開口部を含む抽出チャンバー容器と、コーヒー粉末を充填開口部を通して抽出チャンバー容器内へと供給するための供給装置とを備え、抽出チャンバー容器は、コーヒー粉末を受け入れて抽出するために使用される。本発明に係る装置は、供給装置によって抽出チャンバー容器内へと導入されたコーヒー粉末を平らにするために、供給装置から抽出チャンバー容器内へとコーヒー粉末を供給している間又はコーヒー粉末が供給された後に、抽出チャンバー容器を振動させるために抽出チャンバー容器に連結される揺振装置を更に有する。
【0010】
抽出チャンバー容器に連結される揺振装置は、コーヒー粉末の抽出チャンバー容器内への導入中、又は充填プロセスの完了後に、抽出チャンバー容器を振動させる。抽出チャンバー容器の振動によって、抽出チャンバー容器内へと導入された量のコーヒー粉末が、小山の形態のコーヒー粉末が抽出チャンバー容器内に形成可能となることなく、充填プロセスの間又は充填プロセスの後に、抽出チャンバー容器内で均等に配分される。コーヒー粉末を抽出チャンバー容器内へと導入し、導入されたコーヒー粉末の配分を平らにした後、揺振装置のスイッチを切ることができ、導入量のコーヒー粉末を、充填開口部を通って抽出チャンバー容器内へと押し付けられるタンパーによって圧搾できる。タンパーは、好適には、導入されたコーヒー粉末をコーヒーマシン内で自動的に圧搾できるように、コーヒーマシンに不可欠な構成要素である。
【0011】
供給装置から抽出チャンバーへと運ばれる全ての量のコーヒー粉末が抽出チャンバー容器に入ることを確実にするために、抽出チャンバー容器から分離された供給要素を含む供給装置を備えることが好適である。これによって、大部分のコーヒー粉末を、供給装置から抽出チャンバーの抽出チャンバー容器内へと、失うことなく導くことができる。供給要素は、例えば、漏斗又は充填管であってもよい。供給要素は、好適には抽出チャンバー容器の充填開口部の上方に配置されて、コーヒー粉末が、重力によって供給要素の排出開口部から抽出チャンバー容器内へと落ちることができるようになっている。供給要素は、有利には抽出チャンバー容器から分離されている。これによって、揺振装置が動作している間、揺振装置に連結された抽出チャンバー容器のみを振動させ、供給要素は振動させないことが確実となる。これによって、コーヒー粉末の排出が振動によって干渉されることなく、コーヒー粉末の供給要素の排出開口部から抽出チャンバー容器内への円滑な排出を、確実なものにできる。
【0012】
抽出チャンバー容器は、好適には、抽出チャンバーの構成要素としてコーヒーマシンと一体になった円筒状容器であってもよい。こうした、全自動コーヒーマシンと一体になった抽出チャンバー容器は、例えば、上部に配置された充填開口部と、それに対向する排出口開口部とを含む、管状本体を備える。移動可能な第1タンパーが、排出口開口部内へと挿入され、その挿入位置において、抽出チャンバー容器の底部を形成する。追加のタンパーを、上方から充填開口部を通して挿入してもよい。コーヒー飲料を作るように、このように形成された抽出チャンバー容器にコーヒー粉末を充填して、コーヒー粉末を抽出する間、第1タンパーは、その挿入位置にあり、導入量のコーヒー粉末が載置される抽出チャンバー容器の底部を形成する。所望の量のコーヒー粉末が導入された後、抽出チャンバー容器内に存在するコーヒー粉末を圧搾するために、追加のタンパーを、充填開口部を通して抽出チャンバー容器内へと押し付けることができる。コーヒー粉末の圧搾後、追加のタンパーを抽出チャンバー容器から取り外し、抽出チャンバー容器内の圧搾されたコーヒー粉末を、熱湯によって抽出する。このようにして作られたコーヒー飲料は、コーヒー排出口を通って、抽出チャンバー容器から流出し、必要量をカップ内へと注ぐことができる。抽出プロセスの完了後、使用済みのコーヒー粉末を抽出チャンバー容器から取り除くために、排出口開口部内に存在するタンパーを抽出チャンバー容器から取り外すことができ、湿ったコーヒー粉末ケーキを取り出すために、追加のタンパーを、再び、上方から抽出チャンバー容器の充填開口部を通して挿入して、使用済みのコーヒーろ過ケーキを、排出口開口部を通して抽出チャンバー容器から押し出すことができるようになっている。
【0013】
供給装置の供給要素が、導入されたコーヒー粉末の圧搾に干渉するのを防ぐために、抽出チャンバー容器と供給要素とが、互いに対して旋回可能であると、好適である。例えば、供給要素は、抽出チャンバー容器の上部に、旋回可能に取り付けられてもよい。その結果、コーヒー粉末が抽出チャンバー容器内へと完全に導入された後に、供給要素を、抽出チャンバー容器から離すように旋回させることができ、第2タンパーを、コーヒー粉末を圧搾することに対して一切障害がない状態で、上方から抽出チャンバー容器の充填開口部内へと挿入できるようになっている。この場合、抽出チャンバー容器を、ひいては固定される供給要素に対して、旋回可能に取り付けることも可能である。この場合、抽出チャンバー容器の旋回移動を、揺振装置から抽出チャンバー容器へと伝達させることが好ましい。その結果、抽出チャンバー容器の旋回移動を、揺振装置によって始動させることができる。
【0014】
抽出チャンバー容器は、ポルタフィルターマシンのポルタフィルター容器であってもよく、このポルタフィルター容器は、例えば、半自動のエスプレッソマシンにおいて使用される。こうしたポルタフィルター容器は、コーヒー粉末を受け入れて抽出するための、ポット形状又はカップ形状の容器を有し、コーヒー粉末を導入するための上方充填開口部と、抽出したエスプレッソをポルタフィルター容器から流出させることができる少なくとも1つの排出開口部とを有する。
【0015】
本発明に係る装置の揺振装置は、好適には、電動モーター、特に偏心又はアンバランスモーターを有する。全自動又は半自動のコーヒーマシンには、いずれにしても、例えば抽出用水を供給するためのポンプや、抽出用水を熱するための電気ヒーター用に電源供給があることから、揺振装置の、例えばアンバランスモーターの形態をもつ場合に不平衡な質量を駆動する電動モーターは、コーヒーマシンと一体で、簡単な方法で電気的に駆動されてもよい。好適な実施例では、揺振装置は、交互に且つ回転可能に往復するシャフトも有してもよく、シャフトは、揺振装置の回転移動を抽出チャンバー容器へと伝達させるように、シャフトの径方向において、抽出チャンバー容器に接続する。
【0016】
抽出チャンバー容器は、好適には、揺振装置の揺振移動が、互いに直交する2つの方向において、抽出チャンバー容器へと伝達されるように、揺振装置に連結される。例えば、抽出チャンバー容器の円筒状実施例の場合、抽出チャンバー容器は、径方向又は軸方向に移動できる。この場合、径方向及び軸方向の両方において二重の揺振移動を発生させることも可能である。径方向及び軸方向の両方における揺振装置から抽出チャンバー容器へと伝達される振動の伝達によって、一方で、抽出チャンバー容器内へと導入されたコーヒー粉末の均一な配分が向上し、他方で、コーヒー粉末を圧搾するために抽出チャンバー容器の充填開口部内へと挿入されるタンパーと連動する事前圧搾によって、抽出チャンバー容器内で圧搾されたコーヒー粉末の均一な密度配分を可能とすることが、確実となる。
【0017】
揺振装置は、好適には、揺振装置から抽出チャンバー容器へと伝達される振動移動を制御するために、コーヒーマシンの制御部に連結される。揺振装置は、供給装置がコーヒー粉末を抽出チャンバー容器内へと導く間、抽出チャンバー容器を振動させるように、制御部によって制御できる。制御部によって、充填プロセスの完了後に揺振装置を動作させて、揺振装置から抽出チャンバー容器へと伝達された振動によって、供給装置によって抽出チャンバー容器内へと導かれたコーヒー粉末を、充填プロセスの完了後に抽出チャンバー容器内で平らにするようにすることも可能である。
【0018】
揺振装置から抽出チャンバー容器へと伝達される揺振移動の振幅及び/又は振動数は、好ましくは、調節できる。この調節は、好適には、コーヒーマシンの制御部を介して行われ、操作者が、操作者インターフェースにおいて、揺振装置の揺振移動の振幅及び/又は振動数について、所望の設定を指定できる。これによって、抽出チャンバー容器内でのコーヒー粉末の均等な配分及び圧搾を、例えば、コーヒー粉末の粉砕度合い、又は粉砕することでコーヒー粉末が作られるコーヒー豆の焙煎度合い等の、コーヒー粉末の異なる組成及びパラメーターに適応させることが可能となる。
【0019】
本発明の、上記及び他の利点や特徴が、以下に添付の図面を参照してより詳細に説明される例示的な実施例から、明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、コーヒー粉末をコーヒーマシンの抽出チャンバー内へと供給するための、本発明に係る装置の概略図を示し、図1aは、コーヒー粉末を抽出チャンバーの抽出チャンバー容器内へと導入する間の装置を示し、図1bは、コーヒー粉末の導入中における、抽出チャンバー容器に連結される揺振装置を示し、図1cは、抽出チャンバー容器内へと挿入可能なタンパーによる導入されたコーヒー粉末の圧搾中における抽出チャンバー容器を示す。
図2図2は、本発明に係る装置の抽出チャンバー容器に揺振装置を連結するための、例示的な実施例の図を示し、図2aは、側面図における装置を示し、図2bは、上方から見た装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、コーヒー粉末をコーヒーマシンの抽出チャンバー内へと供給するための、本発明に係る装置を示す。抽出チャンバーは、コーヒーマシンと一体になった抽出チャンバー、例えば、全自動のコーヒーマシンであってもよい。しかしながら、抽出チャンバーは、エスプレッソを作るためのポルタフィルターマシンのポルタフィルターとして設計されてもよい。
【0022】
図1に示す例示的な実施例は、一体型又は全自動コーヒーマシンと一体であってもよい抽出チャンバーであり、上方充填開口部2と、それに対向する排出口開口部6とを含む管部の形態をもつ、抽出チャンバー容器1を有する。排出口開口部6内へと挿入される移動可能なタンパー7が、図1においてその挿入位置にあり、抽出チャンバー容器1の底部を形成する。封止部9が、抽出チャンバー容器1の管状壁部に対して、底部を封止するように設けられる。コーヒー粉末aを供給するための、供給装置3の供給要素5が、充填開口部2の上方に配置される。供給要素5は、図1aに示すように、漏斗であってもよい。供給要素は、充填管又は充填ホースとして設計されてもよい。供給装置3は、接続ライン10を介して、不図示の粉砕装置へと接続される。粉砕装置は、コーヒー豆を粉砕するための、コーヒーマシンと一体になったミルであってもよい。粉砕装置によって作られたコーヒー粉末は、供給ライン10及び供給要素5を通り、充填開口部2を通って抽出チャンバー容器1内へと導かれ、コーヒー粉末aは、重力によって、供給要素5から抽出チャンバー容器1内へと少量ずつ落ちる。このプロセスでは、図1aに示すように、コーヒー粉末aの堆積が形成される。
【0023】
抽出チャンバー容器1内へと導入されたコーヒー粉末aが、コーヒー粉末の堆積の形態に蓄積されるのを防ぐために、揺振装置4を、本発明に係る装置における抽出チャンバー容器1に対して、機械的に連結される。揺振装置は、例えば、モーター内の不平衡な質量を駆動する電動の偏心又は電気的に不平衡なモーターであってもよい。揺振装置4は、所定の振幅A及び所定の振動数fをもつ揺振移動を発生させる。これらの揺振移動は、図1bにおいて揺振装置4と抽出チャンバー容器1との間に矢印によって示される揺振装置揺振装置4の機械的な連結によって、抽出チャンバー容器1へと伝達される。揺振装置4の揺振移動が抽出チャンバー容器1へと伝達されるおかげで、抽出チャンバー容器1も、所定の振幅A及び所定の振動数fで、振動を実行できる。
【0024】
好適な例示的実施例では、揺振移動を、抽出チャンバー容器1の径方向、又は抽出チャンバー容器1の軸方向のいずれかにおいて抽出チャンバー容器へと伝達できる。揺振装置4の揺振移動は、特に好ましくは、互いに直交する2つの方向、すなわち、例えば、円筒状の抽出チャンバー容器1の径方向及び軸方向において抽出チャンバー容器1へと伝達される。
【0025】
揺振装置4の電動モーターは、揺振装置4から抽出チャンバー容器1へと伝達される揺振移動を制御するために、制御部に連結される。この場合、制御部は、好適には、コーヒーマシンの中央制御部であってもよい。揺振移動の振幅及び振動数は、この制御部を介して制御される。制御部は、好ましくは操作者インターフェースを備え、それを介して、コーヒーマシンの操作者が、揺振移動の所望の振幅A及び所望の振動数fを入力するか、又は一連の所定の値から選択できる。制御部は、振幅A及び振動数fの入力値に従って、揺振装置4を制御する。
【0026】
制御部は、好適には、揺振装置4が、供給装置3によるコーヒー粉末の抽出チャンバー容器1内への導入中は動作し、充填プロセスの完了後にスイッチが切れるように、構成される。しかしながら、揺振装置4を充填プロセスの完了後にのみ動作させて、揺振装置4に連結された抽出チャンバー容器1を振動させるようにすることも可能である。抽出チャンバー容器1へと伝達される振動によって、コーヒー粉末aは、充填プロセス中から、及び/又は充填プロセスの後のいずれかに、抽出チャンバー容器1内で均等に配分されて、これによって、コーヒー粉末aは、図1bに示すように、抽出チャンバー容器1内で平坦且つ水平に平らになる。
【0027】
導入量のコーヒー粉末aを抽出チャンバー容器1へと導入して平らにした後、導入量のコーヒー粉末aを圧搾するように、第2タンパー8を、上方から充填開口部2を通して抽出チャンバー容器1内へと押し付ける。供給装置3が、第2タンパー8の抽出チャンバー容器1内への挿入移動を妨げないように、供給装置3は旋回可能であり、第2タンパー8を抽出チャンバー容器1内へと挿入する際に、供給装置3を充填開口部2から離すように旋回させることができるようになっている。
【0028】
熱湯を供給するための不図示の供給ラインが、第2タンパー8内に配置される。コーヒー粉末aが圧搾された後、導入されたコーヒー粉末aを抽出するように、熱湯が、この供給ラインを介して抽出チャンバー容器1内へと導かれる。これによって作られたコーヒー飲料が、同じく不図示のコーヒー排出口を通って抽出チャンバー容器1から流出し、カップ内へと注ぐことができる。
【0029】
抽出プロセスが完了し、これによって作られたコーヒー飲料が取り除かれた後、下方の第1タンパー7が抽出チャンバー容器1から取り外され、コーヒー飲料を作るための次の抽出プロセスのために抽出チャンバーを空けるように、抽出チャンバー容器1内に存在する使用済みのコーヒー粉末の湿ったコーヒー粉末ケーキを、上方の第2タンパー8の更なる移動によって、排出口開口部6から下向きに押し付けることができる。
【0030】
その後、抽出チャンバー容器1の底部は、(下方)第1タンパー7を抽出チャンバー容器1の排出口開口部6内へと挿入することによって、再び閉鎖され、所定の量のコーヒー粉末を抽出チャンバー容器1内へと再び計量供給して、次の抽出プロセスのために、上記の手法で均等に圧搾できるようになっている。
【0031】
粉砕装置によって提供される全ての量のコーヒー粉末が、供給装置3を介して、抽出チャンバー容器1内へと失われることなく導かれることが確実となるように、供給要素5は、好ましくは、抽出チャンバー容器1から機械的に分離されている。これによって、揺振装置4の動作中、振動は、抽出チャンバー容器1には伝達されるが、供給装置3の供給要素5には伝達されないことが確実となる。
【0032】
コーヒー粉末aの抽出チャンバー容器1内への導入中及び/又は導入後に、揺振装置4によって伝達される揺振移動によって、抽出チャンバー容器1内での、導入量のコーヒー粉末aの均等配分が得られ、導入量のコーヒー粉末の表面が、大部分において平坦且つ水平となることが確実となる。その結果、導入されたコーヒー粉末aが、続いて、上方の第2タンパー8によって圧搾された際に、抽出チャンバー容器1内での、コーヒー粉末aの均等且つ均一な圧搾を確実にできる。導入されて圧搾されたコーヒー粉末は、導入されたコーヒー粉末の全体積にわたって、均一な密度配分を有する。導入量のコーヒー粉末における、可能な限り最も均一な配分及び可能な限り最も均等な密度によって、抽出チャンバー容器1内で均等に配分されたコーヒー粉末を抽出する際に、可能な限り最も有効な抽出体積を利用できることから、作られるコーヒー飲料の品質に好影響を与える。
【0033】
抽出チャンバー容器1内でのコーヒー粉末の望ましい均一な配分は、好ましくは可能となっている揺振装置4から抽出チャンバー容器1へと伝達される揺振移動の振幅及び/又は振動数の調節によって、使用されるコーヒー粉末の、その粉砕又は焙煎度合いといった性質にも適応できる。コーヒー粉末の性質は、同様に、作られるコーヒー飲料の品質及び味に大きな影響を与え、本発明に係る装置を用いることで、なお最適化することができる。
【0034】
図2は、揺振装置4を抽出チャンバー容器1に連結するための、例示的な実施例を示す。揺振装置4は、スリーブ形状の軸受ハウジング12内に回転可能に取り付けられ、不図示のモーターに連結されるシャフト11を備える。シャフト11は、モーターを介して回転させられ且つ/又は軸受ハウジング12において軸方向に移動するようになっていてもよい。特に、モーターは、揺振移動を発生させるための交互の回転移動、すなわち往復移動を、シャフト11へと伝達してもよい。シャフト11の下端部には、シャフト11を下方タンパー7に接続する接続部14がある。図2aに示す位置では、下方タンパー7は、抽出チャンバー容器1の底部を形成するように、排出口開口部6内へと挿入されている。径方向に突出するフランジ13が、抽出チャンバー容器1の外周に配置されて、軸受ハウジング12を取り囲み、軸受ハウジング12の外周上に回転可能に取り付けられる。
【0035】
シャフト11は、好適には、固定軸受ハウジング12の軸方向の上方及び下方において回転及び移動の両方ができる。シャフト11に連結されたモーターは、好ましくは、軸受ブッシング12に対するシャフト11の往復移動の形態の周期的回転移動と、軸方向の移動との両方を始動できるように制御部によって起動される。
【0036】
固定された軸受ブッシング12に対するシャフト11の往復回転移動の伝達の場合、シャフト11の回転移動は、振動移動として、接続部14を介して抽出チャンバー容器1へと伝達される。これによって、抽出チャンバー容器1は振動させられる。軸受ブッシング12内でのシャフト11の軸方向移動も、接続部14を介して抽出チャンバー容器1へと伝達される。シャフト11が、軸方向において交互且つ周期的に移動する場合、このシャフト11の移動は、軸方向の振動移動として抽出チャンバー容器1へと伝達される。
【0037】
図2bは、回転角度B内で揺振装置4から抽出チャンバー容器1へと伝達できる周期的回転移動を示す。
【0038】
図2に示す、本発明に係る装置の実施例では、下方タンパー7の、接続部14を介したシャフト11への連結は、下方タンパー7を、排出口開口部6の中及び排出口開口部6の外へと移動させるのにも使用できる。下方タンパー7を、抽出チャンバー容器1の排出口開口部6の外へと移動させるために、シャフト11を、軸受ブッシング12内で、軸方向において下方に移動させることができる。抽出チャンバー容器1の排出口開口部6の外へ且つ排出口開口部6から離れるように移動したタンパー7を移動させるために、シャフト11を、所定の角度だけ回転させることができる。この場合、回転角度は、取り外されたタンパー7を排出口開口部6から完全に離すように旋回させるのに十分な大きさに、好適に調節される。下方タンパー7を離すように旋回させることで、抽出プロセスの完了後、抽出チャンバー容器1内に存在する使用済みのコーヒー粉末aのコーヒー粉末ケーキを、上方タンパー8による障害が一切ない状態で、抽出チャンバー容器1から取り出すことができる。
図1(a)】
図1(b)】
図1(c)】
図2(a)】
図2(b)】
【国際調査報告】