(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(54)【発明の名称】圧力制御のための制御ユニット、および制御方法
(51)【国際特許分類】
H02P 29/40 20160101AFI20220308BHJP
F04B 49/06 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
H02P29/40
F04B49/06 321A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540597
(86)(22)【出願日】2020-07-30
(85)【翻訳文提出日】2021-07-13
(86)【国際出願番号】 DE2020200062
(87)【国際公開番号】W WO2021058067
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】102019214650.3
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520361450
【氏名又は名称】ハンオン システムズ エーエフペー ドイチュラント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プリンツホーン カール
(72)【発明者】
【氏名】ホアン トゥ
【テーマコード(参考)】
3H145
5H501
【Fターム(参考)】
3H145AA12
3H145AA24
3H145AA42
3H145BA12
3H145BA20
3H145CA03
3H145CA09
3H145DA05
3H145EA13
3H145EA34
3H145GA02
5H501AA05
5H501AA20
5H501BB20
5H501CC04
5H501JJ03
5H501JJ17
5H501JJ30
5H501LL01
5H501LL37
(57)【要約】
【課題】設定圧力をコントローラによりモーター電流を通じて迅速かつ低コストで簡単に直接的に、即ち反復計算なく設定する。
【解決手段】制御ユニットは設定圧力を受信するように設計された受信部と、前記設定圧力及びモーターの回転速度から第1マップを通じてトルクを決定するように設計された第1決定部と、決定されたトルクから第2マップを通じてモーター相電流を決定するように設計された第2決定部と、決定されたモーター相電流を出力するように設計された出力部と、を含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルポンプのモーターを制御するための制御ユニットであって、
設定圧力を受信するように設計された受信部と、
前記設定圧力及び前記モーターの回転速度から第1マップを通じてトルクを決定するように設計された第1決定部と、
前記決定されたトルクから第2マップを通じてモーター相電流を決定するように設計された第2決定部と、
前記決定されたモーター相電流を出力するように設計された出力部と、を含む、ことを特徴とする制御ユニット。
【請求項2】
前記第1マップ及び前記第2マップを保存するためのメモリーユニットを追加で含み、
前記第1マップは前記設定圧力、前記モーターの前記回転速度及び前記トルク間の関係を示し、
前記第2マップは前記トルク及び前記モーター相電流間の関係を示す、ことを特徴とする請求項1に記載の制御ユニット。
【請求項3】
前記受信部はまたオイル温度を受信するように設計されて、
前記第1マップ及び前記第2マップは前記オイル温度に基づいて選択される、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の制御ユニット。
【請求項4】
前記モーター相電流を制限するように設計された第1安全ユニットを追加で含む、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御ユニット。
【請求項5】
前記モーターの前記回転速度を制限するように設計された第2安全ユニットを追加で含む、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御ユニット。
【請求項6】
前記第2安全ユニットは前記モーターの回転速度を制限するために前記オイルポンプの充電時間を増加させるように設計されて、前記充電時間は前記オイルポンプに連結されたユニットを前記オイルポンプにより充電させる持続時間を示す、ことを特徴とする請求項5に記載の制御ユニット。
【請求項7】
前記モーターに印加されるバッテリー電流を制限するように設計された第3安全ユニットを追加で含む、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の制御ユニット。
【請求項8】
前記制御ユニットは変速機オイルポンプを制御するように設計される、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の制御ユニット。
【請求項9】
前記制御ユニットは前記オイルポンプに連結されたクラッチを前記クラッチのスイッチングのためにオイルで満たす前記オイルポンプを制御するよう設計される、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の制御ユニット。
【請求項10】
オイルポンプのモーターを制御するための制御方法であって、
設定圧力を受信する段階と、
前記設定圧力及び前記モーターの回転速度から第1マップを通じてトルクを決定する段階と、
前記決定されたトルクから第2マップを通じてモーター相電流を決定する段階と、
前記決定されたモーター相電流を出力する段階と、を含む、ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えば車両でクラッチをスイッチングするために用いられるオイルポンプのモーターを制御するための制御ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
オイルポンプ、モーター及び制御機で構成されたポンプユニットはクラッチをスイッチングするために用いられることができる。
【0003】
ポンプユニットがクラッチをスイッチングするとの命令を受ければ、ポンプユニットは変速機オイルでクラッチを充電する。クラッチを充電した後、キスポイント(kiss point)を超過すれば必要な圧力が形成されてクラッチがスイッチングされる。前記圧力はクラッチの解除要求まで一定に維持される。これと関して、キスポイントはクラッチディスクが接触される作動状態である。
【0004】
従来技術では、クラッチをスイッチングするための圧力がコントローラによりモーター電流を通じて反復的に計算される。
これは例えばドイツ連邦共和国特許DE 10 2015 119 262 A1に記載され、ここには電気モーターにより駆動されるポンプにより生成された圧力を決定するための装置が開示される。DE 10 2015 119 262 A1では、設定圧力と実際の圧力間の差に基づいて作動変数を決定するコントローラを備える、ポンプにより生成された圧力を調整するための制御装置が示される。
【0005】
生成される圧力が反復的に計算されるべきであるため、コントローラによりモーター電流を通じて圧力を決定するのに多くの時間がかかる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような背景で、本発明の課題は設定圧力をコントローラによりモーター電流を通じて迅速かつ低コストで簡単に直接的に、即ち反復計算なく設定することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題はオイルポンプのモーターを制御するための、請求項1に示される制御ユニットにより解決される。
【0008】
オイルポンプのモーターを制御するための制御ユニットは設定圧力を受信するように設計された受信部、前記モーターの回転速度及び前記設定圧力から第1マップを通じてトルクを決定するように設計された第1決定部、及び前記決定されたトルクから第2マップを通じてモーター相電流を決定するように設計された第2決定部を含む。制御ユニットは前記決定されたモーター相電流を出力するように設計された出力部をさらに含む。
【0009】
従って、所定の設定圧力に基づいて、所定の設定圧力と同じ圧力が生成されるように前記オイルポンプのモーターを作動させる特定モーター相電流が出力される。この場合、前記設定圧力を該モーター相電流に直接変換することによって、モーター電流を通じて圧力を反復的に計算する、複雑であり多くの時間を要する制御方法を必要としない。
【0010】
好ましい実施例によれば、制御ユニットは第1マップ及び第2マップを保存するためのメモリーユニットを追加で含み、ここで前記第1マップは前記設定圧力、前記モーターの前記回転速度と前記トルク間の関係を示し、前記第2マップは前記トルクと前記モーター相電流間の関係を示す。
【0011】
従って、モーター相電流は所定圧力を生成するために複雑な計算なく、そして多くの空間を要して高コストの制御を提供せず、前記設定圧力によって調整されることができる。
【0012】
好ましい実施例によれば、前記受信部はまたオイル温度を受信するように設計されて、この場合、前記第1マップ及び前記第2マップは前記オイル温度に基づいて選択される。
【0013】
従って、前記トルク及び前記トルクに基づいた前記モーター相電流を決定する時、前記オイル温度が考慮されるので、前記モーター相電流がさらに正確に決定されることができる。
【0014】
好ましい実施例によれば、制御ユニットは前記モーター相電流を制限するように設計された第1安全ユニットを追加で含む。
【0015】
結果的に、前記制御ユニット、前記オイルポンプ及び前記モーターで構成された前記ポンプユニットのハードウェア及びモーターは相電流制限により保護されることができる。
【0016】
好ましい実施例によれば、前記制御ユニットは前記モーターの前記回転速度を制限するように設計された第2安全ユニットを追加で含む。
【0017】
結果的に、回転速度制限による騷音抑制が行われる。
【0018】
好ましい実施例によれば、前記第2安全ユニットはモーターの回転速度を制限するために前記オイルポンプの充電時間を増加させるように設計されて、この場合、前記充電時間は前記オイルポンプに連結されたユニットを前記オイルポンプにより充電させる持続時間を示す。
【0019】
結果的に、回転速度制限による騷音抑制が行われる。
【0020】
好ましい実施例によれば、前記制御ユニットは前記モーターに印加されるバッテリー電流を制限するように設計された第3安全ユニットを追加で含む。
【0021】
結果的に、前記制御ユニット、前記オイルポンプ及び前記モーターで構成されたポンプユニットのハードウェア及びモーターはバッテリー電流制限により保護されることができる。
【0022】
好ましい実施例によれば、前記制御ユニットは変速機オイルポンプを制御するように設計される。
【0023】
好ましい実施例によれば、前記制御ユニットは前記オイルポンプに連結されたクラッチを前記クラッチのスイッチングのためにオイルで満たす前記オイルポンプを制御するように設計される。
【0024】
結果的に、前記クラッチが迅速且つ正確にスイッチングされることができる。
【0025】
本発明はまたオイルポンプのモーターを制御するための制御方法に係り、前記方法は設定圧力を受信する段階、前記設定圧力及び前記モーターの回転速度から第1マップを通じてトルクを決定する段階、前記決定されたトルクから第2マップを通じてモーター相電流を決定する段階、及び前記決定されたモーター相電流を出力する段階を含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施例によるオイルポンプのモーターを制御するための制御ユニットを示す。
【
図2】制御ユニットとオイルポンプのモーターで構成されたポンプユニットの例を示す。
【
図3】本発明の一実施例のスイッチング動作のダイヤグラムを示す。
【
図4】圧力、回転速度及び温度によるトルクに関する例示的なマップを示す。
【
図5】本発明の一実施例による制御方法に関する流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好ましい実施例を添付図面を参照して詳細に説明する。相違する図面で同じ又は相応する要素はそれぞれ同じ又は類似の図面符号で表示する。
【0028】
以下で詳細に説明する本発明の好ましい実施例は例えば車両でクラッチをスイッチングするために用いられるオイルポンプのモーターを制御するための制御ユニットを参照して詳細に説明する。さらに具体的に、制御ユニットはオイルポンプに連結されたクラッチをクラッチのスイッチングのためにオイルで満たすオイルポンプを制御するように設計される。しかし、次の説明は実施例を示すだけで、本発明を制限するものであると解釈してはならないことに注意しなければならない。
【0029】
図1は本発明の一実施例によるオイルポンプのモーターを制御するための制御ユニット(100)を示す。制御ユニット(100)を以下では、
図1を参照して詳細に説明する。制御ユニット(100)はオイルポンプ、特に変速機オイルポンプを制御するように設計されることができる。
【0030】
制御ユニット(100)は受信部(110)、第1決定部(120)、第2決定部(130)及び出力部(140)を含む。しかし、制御ユニット(100)は圧力センサーを含まない。
【0031】
制御ユニット(100)の受信部(110)は例えば車両のクラッチをスイッチングするために必要な設定圧力を受信する。この場合、設定圧力の受信はクラッチをスイッチングするための命令と解釈できる。設定圧力は例えば変速機制御ユニットからLIN又はCAN通信などを通じて制御ユニット(100)に伝送されることができる。
【0032】
第1決定部(120)は受信部(110)から設定圧力を受信して、モーターの回転速度及び設定圧力から第1マップを通じてトルクを決定する。モーターの回転速度はトルクを決定するために例えば連続的に又は特定時点に制御ユニット(100)に伝送される。
【0033】
次いで、第2決定部(130)は決定されたトルクから第2マップを通じてモーター相電流を決定する。従って、伝送された設定圧力を保存されたマップを通じてモーター相電流に変換することが可能である。
【0034】
例えば、制御ユニット(100)は第1マップ及び第2マップを保存するメモリーユニット(図示しない)を含む。第1マップは設定圧力、モーターの回転速度及びトルク間の関係を示すことができ、第2マップは最終的にトルクとモーター相電流間の関係を示すことができる。設定圧力、モーターの回転速度及びトルク間の関係、及びトルクとモーター相電流間の関係は例えば線形であり得るか又は多項式を通じて補間されることができる。従って、例えばクラッチでオイルポンプにより設定圧力と同じ所定圧力を設定するために、モーター相電流が必要になる場合、設定圧力に基づいてモーター相電流を正確且つ複雑ではなく、迅速に決定することが可能である。オイルポンプとして、例えば変速機オイルポンプが用いられることができる。
【0035】
第1マップ及び第2マップへの分離は例えばポンプが相違するモーターを備える場合(又はその逆)に好ましい。この場合、それぞれ1つのマップは同様に維持される。しかし、これが不要な場合、例えば1つの変形例だけがある場合、2つのマップを1つのマップにすることが可能である。
【0036】
また、制御ユニット(100)は決定されたモーター相電流を出力する出力部(140)を含む。例えば、モーター相電流はオイルポンプを作動させるためのモーターに出力される。
【0037】
図2は制御ユニットとオイルポンプ(図示しない)のモーターで構成されたポンプユニット(200)の例を示す。ポンプユニット(200)は以下で、
図2を参照して詳細に説明する。
【0038】
ポンプユニット(200)は
図1を参照して詳細に説明した制御ユニット(100)、及びオイルポンプ(図示しない)を駆動するモーター(210)を含む。明確性及び簡潔性のために、制御ユニット(100)の詳細な説明はここでは省略するが、上述の説明が参照になる。
【0039】
既に詳細に説明したように、制御ユニット(100)は、例えばポンプユニット(200)のオイルポンプ及び設定圧力を用いて車両でクラッチをスイッチングするための命令であるといえる設定圧力(Pref)を受信することができる。設定圧力(Pref)は受信部(110)により受信されることができ第1決定部(120)に伝送されることができる。明確性のために、受信部は
図2に図示せず、設定圧力(Pref)は第1決定部(120)に直接伝送される。また、モーター(210)の回転速度(n)は第1決定部(120)に伝送される。モーター(210)の回転速度(n)は連続的に又は特定時点で第1決定部(120)に伝送されることができる。
【0040】
第1決定部(120)が設定圧力(Pref) 及び回転速度(n)を受信すれば、第1決定部(120)は設定圧力(Pref)及び回転速度(n)から第1マップを通じてトルク(Mref)を決定できる。制御ユニット(100)には、例えば特定オイル温度に対する設定圧力、回転速度及びトルク間の関係をそれぞれ示す多様なマップが保存される。設定圧力、回転速度及びトルク間の関係は例えば線形であり得るか、又は多項式を通じて補間されることができる。制御ユニット(100)、特に制御ユニット(100)の受信部(110)は追加入力変数としてオイル温度を追加で受信することができ、第1マップはオイル温度に基づいて選択されることができる。オイル温度は例えば、使用者により制御ユニット(100)に伝送されるか、オイル温度がオイルポンプで測定された後、制御ユニット(100)に伝送される。
【0041】
トルク(Mref)が設定圧力(Pref)及び回転速度(n)に基づいてオイル温度に対する第1マップによって決定されれば、トルク(Mref)は第2決定部(130)に伝送されて、第2決定部(130)は前記トルク(Mref)によって第2マップによりモーター相電流を決定する。制御ユニット(100)には、例えば特定オイル温度に対するトルクとモーター相電流間の関係をそれぞれ示す多様なマップが保存される。トルクとモーター相電流間の関係は例えば線形であり得るか、又は多項式を通じて補間されることができる。従って、使用者により入力された、又はオイルポンプで測定されたオイル温度は第2マップを選択するために再使用されることができる。オイル温度を考慮して、モーター相電流がさらに正確に決定されることができる。
【0042】
モーター相電流が決定されれば、モーター相電流はモーター(210)に出力されることができ、モーター(210)はモーター相電流によってオイルポンプを駆動させる。モーター(210)の制御は、
図2に示す例で、フィールド指向制御(FOC)(230)により遂行される。オイルポンプは例えばクラッチをスイッチングするために圧力が形成されるクラッチを満たす。モーター相電流が設定圧力に基づいて調整されるので、クラッチで設定圧力と同じ所定圧力がコントローラによる反復計算なく迅速且つ容易に形成される。
【0043】
ポンプユニット(200)で安全性を追加で増加させてモーターの騷音を抑制するために、制御ユニットは1つ以上の安全ユニットを含むことができる。安全ユニットは例えばモーター相電流、モーターの回転速度及び/又はモーター(210)に印加されるバッテリー電流を制限できる。この場合、モーター相電流制限、回転速度制限又はバッテリー電流制限の中の1つをそれぞれ実行する多様な安全ユニットがあり得るか、又はモーター相電流制限、回転速度制限及びバッテリー電流制限を実行する1つの安全ユニットがあり得る。
【0044】
モーター相電流制限、回転速度制限及びバッテリー電流制限の中の少なくとも1つを実行する例示的な安全ユニット(220)を
図2に提供する。安全ユニット(220)は第2マップを用いて決定されたモーター相電流を受信することができ、モーター相電流(Iph
Lim)の最大許容値、直流でありモーター(210)に印加される端子/バッテリー電流(Idc
Lim)の最大許容値、及び/又はモーターの回転速度(n
Lim)の最大許容値を追加で受信することができる。Iph
Limに関する例示的な値は40Aであり、Idc
Limに関する例示的な値は20Aであり、n
Limに関する例示的な値は5000rpmである。
【0045】
前記最大値は例えばポンプユニットの製造時に決定されてポンプユニットに出力されるか又は使用者の要求によってポンプユニットを試運転する時に使用者により個別的に動的に決定されて、制御ユニット、特に安全ユニットに出力されることができる。モーター相電流を制限するために、例えば入力変数として現在相電流及び最大許容値(IphLim)がポンプユニットにより受信されて、この値に基づいて、最大値(IphLim)を保障する、新しいモーター相電流(IphLim_Iq*)が出力される。バッテリー電流を制限するために、例えば入力変数として現在計算されたバッテリー電流及び最大許容値(IdcLim)がポンプユニットにより受信されて、この値に基づいて、最大値(IdcLim)を保障する、新しいモーター相電流(IdcLim_Iq*)が出力される。モーターの回転速度を制限するために、例えば入力変数として現在の回転速度と最大許容値(nLim)がポンプユニットにより受信されて、この値に基づいて、最大値(nLim)を保障する、新しいモーター相電流(nLim_Iq*)が出力される。
【0046】
後続して、安全ユニット(220)はこれに伝送された値(Iph
Lim_I
q*、Idc
Lim_I
q*及びn
Lim_I
q*)の最小値を出力する。この場合、
図2のMIN( )は、全ての伝送された値の最小値が決定されて、伝送された値の最小値が新しいモーター相電流(I
q*)として例えばFOCに出力されることを意味する。前記伝送された値は例えば加重されて臨界範囲の値でこの値は制限される。値が多数である場合、最も小さな臨界値が検出されてFOCに出力される。これによって、残りの伝送された値は限界下に維持される。値を制限する場合、例えば性能が制限されることができるので、場合によって警告メッセージが出力される。
【0047】
例えば、コネクターで特定最大電流値、即ち最大バッテリー電流値が超過してはならない必要がある時がある。例えば、慣性モーメントにより発生する、特にモーターポンプユニットの加速時に発生する電流ピークを避けるために、コネクターでの電流は最大値(IdcLim)に制限されることができる。従って、ポンプユニットの安全性及び寿命が向上できる。コネクターでの最大電流値はポンプユニットの使用者又は製造業者により予め決定されることができる。
【0048】
また、モーター及びハードウェアを過電流から保護するための相電流制限が実施されることができる。そのために、最大相電流値(IphLim)が安全ユニット(220)に伝送されることができ、最大相電流値(IphLim)は例えばポンプユニットの使用者又は製造業者により予め決定される。
【0049】
ポンプユニットで騷音を減少させるために、モーター(210)の回転速度はクラッチの充電段階でオイルポンプにより、クラッチのスイッチングまで許容時間の間隔によって可能な程度に減少できる。そのために、モーターの回転速度(n)はクラッチを充電する時、安全ユニット(220)に伝送される最大速度値(nLim)によって調整される。スタート信号が受信されれば、例えばモーターは最初は負荷無しで、その特性曲線によって最大で可能な回転速度で起動される。その後、クラッチをスイッチングする時まで必要な許容された最大時間の間隔(クラッチの充電段階ともいう)が使用されない場合、前記回転速度は安全ユニット(220)により制限されることができる。従って、充電時間は最大許容時間(例えば200ms)に増加できる。従って、同じ過程でモーター回転速度(n)が減少できる。モーター(210)の回転速度を低くすれば、騷音が減る。
【0050】
安全ユニット(220)は前述したように相電流制限、端子電流制限及び/又は回転速度制限の後に、新しいモーター相電流(Iq*)をモーター(210)に出力でき、前記新しいモーター相電流は第2マップにより決定されたモーター相電流とは異なることができる。これによって、ポンプユニットの安全性と寿命が向上して騷音が減少できる。
【0051】
図3は本発明の実施例のスイッチング動作のダイヤグラムを示す。充電過程を設定圧力による車両内のクラッチのスイッチングに関する例として説明する。
図3に図示するダイヤグラムの横軸はミリ秒[ms]の時間を示し、縦軸は充電量、オイル圧力及び端子電流/バッテリー電流I(DC)又はモーターの回転速度を示す。
【0052】
圧力信号が例えばポンプユニットの制御ユニットにより受信されれば、クラッチの充電はオイルポンプにより始まる。圧力信号はクラッチをスイッチングさせる命令として解釈されて制御ユニット(100)で設定値の受信であり得る。圧力信号を受信すれば、クラッチの充電が始まり、クラッチで充電レベルが上昇する(
図3の「充電」グラフを参照)。充電が終了すれば、クラッチでの充電レベルは一定に維持される(
図3で約230ms後)。
【0053】
圧力信号を受信した後、相電流I(rms)と端子/バッテリー電流I(DC)はそれぞれ最大値にジャンプする。この場合、相電流又は端子電流の最大値は最大で可能な値であることができ、又はポンプユニットの安全性及び寿命を向上させるために、前述したように、使用者又は製造業者により安全ユニットを通じて設定される値であることができる。充電終了後、相電流I(rms)は目標値に一定に維持される。
【0054】
また、圧力信号を受信した後、ポンプユニットのモーターの回転速度が増加して、前記回転速度はここで例えば約3700rpmに制限される。充電段階の間、回転速度を制限することによって、許容される持続時間内にクラッチの充電が終了できる。クラッチ充電のための許容持続時間は
図3の例で約230msである。例えば、騷音を減らすためにモーター回転速度を制限しようとする場合、オイルポンプの充電時間は最大許容持続時間(例えば、230ms)に増加でき、前記充電時間はオイルポンプに連結されたユニット、この場合、オイルポンプに連結されたクラッチをオイルポンプにより充電するための持続時間を示す。クラッチ充電が終了すれば、モーターの回転速度は一定に維持される(ここでは例えば、約1400rpm)。
【0055】
また、クラッチを充電する時、クラッチのキスポイントを超過した後、必要な圧力が形成されて、これはクラッチのスイッチングを引き起こす。
図3に示すように、キスポイント、即ちクラッチディスクが接触した作動状態は約210ms後に超過して圧力が上昇する。充電終了後、クラッチの所定解除まで圧力は一定に維持される。
【0056】
また、トルクが増加して、これは充電終了後も一定に維持される。
【0057】
クラッチが解除されれば、
図3にグラフにて図示される全ての大きさは初期値に戻る(図示しない)。
【0058】
図4は圧力、回転速度及び温度によるトルクに関する例示的なマップを示し、前記マップはこの実施例で回転速度及び温度による圧力とトルク間の線形関係を示す。このマップはポンプユニットの制御ユニット内に保存されることができ、トルク(Mref)を決定するためにオイル温度によって第1マップとして用いられることができる。マップは例えば、一定のオイル温度で、モーターの回転速度、圧力及びトルクが測定されて、これらが互いに依存して座標系に記録されることによって得られる。例えば、一定の回転速度で圧力とトルクの依存性を示す(又は一定の圧力で回転速度とトルクの依存性を示す)2次元座標系が用いられることができるか、又は圧力、回転速度及びトルクの依存性を示す3次元座標系が用いられることができる。
【0059】
測定された値が該座標系に記録されれば、測定された値との最も小さな偏差を有しながら圧力とトルク、そして回転速度とトルクの線形依存性を示す直線が与えられることができる。これから生じたマップを使用すれば、特定オイル温度で圧力と回転速度に基づいてトルクが容易且つ迅速に決定されることができる。
【0060】
トルクとモーター相電流間の関係を得るために、同じ過程が第2マップに対して反復される。
【0061】
図5は本発明の一実施例による制御方法に関する流れ図を示す。制御方法は例えばオイルポンプのモーターを制御して、前述した制御ユニットにより実行される。制御方法は以下で
図5を参照して詳細に説明する。
【0062】
段階S510で、設定圧力が例えば、制御ユニット(100)の受信部(110)により受信される。
【0063】
その後、段階S520で、例えば制御ユニット(100)の第1決定部(120)により、モーターの回転速度及び設定圧力から第1マップを通じてトルクが決定される。
【0064】
続いて、段階S530で、例えば制御ユニット(100)の第2決定部(130)により、前記決定されたトルクから第2マップを通じてモーター相電流が決定される。
【0065】
最後に、段階S540で、前記決定されたモーター相電流が例えば制御ユニット(100)の出力部(140)から出力される。
【0066】
前記制御ユニットはバス、処理ユニット、メモリー、ROM及び通信インターフェースを含むことができる。バスは制御ユニットの部分間の通信を可能にする。処理ユニットはプロセッサー、マイクロプロセッサー、又は命令を解析して実行できる処理ロジックを含むことができる。メモリーはRAM、又は処理ユニットにより実行するための情報及びソフトウェア命令を保存できる他の類型の動的保存装置を含むことができる。また、メモリーはトルク及びモーター相電流を決定するためのマップを保存することができる。
【0067】
制御ユニットは前述した動作及び処理を実行できる。制御ユニットはコンピュータ判読可能な媒体に含まれるソフトウェア命令を実行する処理ユニットにより前記動作を実行する。コンピュータ判読可能な媒体は物理的又は論理的保存装置と定義できる。論理的保存装置は個別物理的メモリー内のメモリー領域であることができるか又は多数の物理的保存装置を通じて分配されることができる。
【0068】
メモリーに含まれる命令は処理ユニットにより、プロセッサーで実行される時、プロセッサーが前記動作又は処理を実行するようにできる。代案として、前記プロセス及び/又は処理を実行するために、ハードウェア回路がソフトウェア命令の代りに、又はソフトウェア命令と共に用いられることができる。従って、上述の具現はハードウェア及びソフトウェアの特定の組み合わせに制限されない。
【0069】
制御ユニットという用語の使用において、このユニットがどのように分配されるのか又は統合されるのかに係る制限はない。即ち、前記ユニットは説明した機能を具現するために多様なソフトウェアコンポーネント及びハードウェアコンポーネント又は他の要素に分配されることができる。説明した機能を具現するために多数、多様の要素が統合されることもできる。
【0070】
制御ユニットの要素はハードウェア、ソフトウェア、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路集積回路(ASIC)、ファームウエアなどで具現できる。
【符号の説明】
【0071】
100 制御ユニット
110 受信部
120 第1決定部
130 第2決定部
140 出力部
200 ポンプユニット
210 モーター
220 安全 ユニット
230 フィールド指向制御(FOC)
【国際調査報告】