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特表2022-518450閉鎖可能な空洞を有するエアロゾル発生装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(54)【発明の名称】閉鎖可能な空洞を有するエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20220308BHJP
   A24F 40/46 20200101ALI20220308BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20220308BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/46
A24F40/20
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021541139
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(85)【翻訳文提出日】2021-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2020050914
(87)【国際公開番号】W WO2020148335
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】19151923.0
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
(72)【発明者】
【氏名】キーナン エドワード
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB28
4B162AC01
4B162AC12
4B162AC22
4B162AF01
(57)【要約】
本発明は、本体および上部カバーを備えるエアロゾル発生装置に関する。上部カバーは、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品の取り外し可能な挿入のための空洞を含む。エアロゾル発生装置は、空洞内にヒーターをさらに備える。上部カバーは、本体に対して第一の位置と第二の位置との間で移動可能であるように構成される。空洞は、上部カバーが第一の位置にある時には、エアロゾル発生物品の挿入のためにアクセス可能である。空洞は、上部カバーが第二の位置にある時には、エアロゾル発生物品の挿入のためにアクセス不能である。第一の位置と第二の位置との間の上部カバーの移動は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心とした、またはエアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向の枢動移動、およびエアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向の摺動移動のうちの一つ以上によって引き起こされる。本発明はまた、エアロゾル発生装置、およびエアロゾル発生物品を備えるシステムにも関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
本体と、
上部カバーであって、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品の取り外し可能な挿入のための空洞を含む、上部カバーと、
前記空洞内のヒーターと、を備え、
前記上部カバーが、前記本体に対して第一の位置と第二の位置との間で移動可能であるように構成され、前記空洞が、前記上部カバーが前記第一の位置にある時に前記エアロゾル発生物品の挿入のためにアクセス可能であり、前記空洞が、前記上部カバーが前記第二の位置にある時にエアロゾル発生物品の挿入のためにアクセス不能であり、前記第一の位置と前記第二の位置との間の前記上部カバーの移動が、
前記エアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心とした、または前記エアロゾル発生装置の前記長軸方向軸に対して横断方向の前記上部カバーの枢動移動、および、
前記エアロゾル発生装置の前記長軸方向軸に対して横断方向の前記上部カバーの摺動移動、のうちの一つ以上によって引き起こされる、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記ヒーターが、前記上部カバーが前記第二の位置、または前記第一の位置と前記第二の位置との間の中間位置にある時に、前記上部カバーの前記空洞から取り外し可能であり、かつ前記空洞の中へと挿入可能である、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記空洞および前記ヒーターが、前記ヒーターが前記装置の前記長軸方向軸に対して単一の特定の配向で前記空洞の中へと挿入可能であるような寸法である、請求項1または2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記ヒーターが、前記空洞の前記遠位端から、前記空洞から取り外し可能であり、かつ前記空洞の中へと挿入可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記ヒーターが保護シールドを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記保護シールドが、前記ヒーターが前記空洞から取り外された時に、前記ヒーターの全長に沿って少なくとも部分的に延びる、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記上部カバーおよび前記本体のうちの一つ以上が、前記上部カバーを前記第一の位置および前記第二の位置のうちの一つ以上に見るように構成された係止機構を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記係止機構が、前記本体の電力供給源から前記上部カバーへの電気エネルギーの伝達を可能にするための電気リード線を含む、請求項7に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記エアロゾル発生装置が、前記上部カバーを前記第一の位置および前記第二の位置のうちの一つ以上に向けて付勢するために構成された付勢機構をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記エアロゾル発生装置が、前記上部カバーの前記枢動移動を可能にするように構成されたスレッド機構をさらに備える、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記スレッド機構が、前記上部カバーの並進移動を可能にするように構成される、請求項10に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記本体が、前記本体の前記近位端に二つの伸張部を含み、前記上部カバーが前記二つの伸張部の間に配設され、前記上部カバーが、前記エアロゾル発生装置の前記長軸方向軸に対して横断方向に枢動可能に移動可能である、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記上部カバーが、前記第一の位置から前記第二の位置への移動中、前記エアロゾル発生装置の前記長軸方向軸を中心として枢動可能に移動可能に、かつ前記エアロゾル発生装置の前記長軸方向軸に対して横断方向に摺動可能に移動可能であるように構成される、請求項1~11のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備える、エアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なベイパーを発生するためのエアロゾル発生装置を提供することは公知である。こうした装置は、エアロゾル形成基体を燃焼することなく、エアロゾル形成基体を加熱しうる。こうしたエアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。こうした装置は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を受容するように配設されうる。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の空洞の中へとエアロゾル発生物品を挿入するためにロッド形状を有してもよい。ヒーターは、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞の中へと挿入された時にエアロゾル形成基体を加熱するために、空洞内またはその周りに配設されうる。従来的なエアロゾル発生装置は、装置の使用中、または装置が使用されていない時、例えば、装置が格納されている、または装置のユーザーのポケットの中で持ち運ばれる時に、望ましくない汚染がその中に入る可能性がある空洞を有しうる。さらに、従来のエアロゾル発生装置では、ヒーターは使用中または使用後に損傷を受ける場合がある。ヒーターは、ユーザーによって、または望ましくない要素が意図せずに空洞に入ってヒーターを機械的に損傷することによって損傷を受けうる。
【0003】
空洞の汚染が低減または除去され、また、装置が使用されていない時、例えば、使用セッション間にユーザーのポケットの中で持ち運ばれる時にヒーターが保護される、エアロゾル発生装置を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明のこの、およびさらなる目的は、本体および上部カバーを備えるエアロゾル発生装置によって達成される。上部カバーは、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品の取り外し可能な挿入のための空洞を含む。上部カバーは、本体に対して第一の位置と第二の位置との間で移動可能であるように構成される。空洞は、上部カバーが第一の位置にある時には、エアロゾル発生物品の挿入のためにアクセス可能である。空洞は、上部カバーが第二の位置にある時には、エアロゾル発生物品の挿入のためにアクセス不能である。第一の位置と第二の位置との間の上部カバーの移動は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心とした、またはエアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向の上部カバーの枢動移動、およびエアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向の上部カバーの摺動移動のうちの一つ以上によって引き起こされる。
【0005】
上部カバーの二つの位置により、動作、および装置が動作していない時の空洞の汚染およびヒーターへの損傷を最適に防止することが可能になる。空洞は、加熱チャンバーとして構成されてもよい。上部カバーの第一の位置は、エアロゾル発生装置が動作することができる位置であることが好ましい。第一の位置では、空洞は、エアロゾル発生のためにエアロゾル発生物品内に含有されたエアロゾル形成基体を加熱するために、エアロゾル発生装置を空洞の中へと挿入することができるように、アクセス可能である。第二の位置では、上部カバーは、空洞がアクセス不能となるように配設される。空洞は、上部カバーの第二の位置では閉じられることが好ましい。上部カバーの第二の位置は、装置が動作しない位置に対応しうる。上部カバーの第二の位置は、装置が格納されうる位置に対応しうる。第二の位置では、空洞はシール、好ましくは密封シールされうる。
【0006】
上部カバーの移動の一つの実施形態によると、第一の位置から第二の位置への、およびその逆の移動中、上部カバーは、エアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心として枢動可能に移動可能に構成されてもよい。
【0007】
上部カバーの一つの実施形態によると、第一の位置から第二の位置への、およびその逆の移動中、上部カバーは、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向にある軸を中心として枢動可能に移動可能に構成されてもよい。言い換えれば、この実施形態では、上部カバーは、エアロゾル発生装置の横断方向軸を中心として枢動可能に移動可能なように構成されてもよい。上部カバーの移動のこの実施形態は好ましい実施形態であり、第一の実施形態として以下に示される。
【0008】
上部カバーの一つの実施形態によると、第一の位置から第二の位置への、およびその逆の移動中、上部カバーは、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向に摺動可能に移動可能に構成されうる。言い換えれば、この実施形態では、上部カバーは、エアロゾル発生装置の横断方向軸に沿って摺動可能に移動可能に構成されうる。
【0009】
上部カバーの移動の上述の実施形態のうちの一つ以上は、互いに組み合わされてもよい。第一の位置から第二の位置への移動中、上部カバーは、エアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心として枢動可能に移動可能に、かつエアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向に摺動可能に移動可能であるように構成されうる。上部カバーは、第一の位置と第二の位置との間の中間位置に配設されてもよい。上部カバーの移動のこの実施形態は、第二の実施形態として以下に示される。
【0010】
エアロゾル発生装置の長軸方向軸は、エアロゾル発生装置の長軸方向の長さに沿って延びる軸でありうる。長軸方向軸は、中央長軸方向軸に平行でありうる。長軸方向軸は、中央長軸方向軸と同一であることが好ましい。中央長軸方向軸は、エアロゾル発生装置の重力の中心を通り、エアロゾル発生装置の長軸方向の長さに沿って走りうる。長軸方向軸は、垂直平面にあることが好ましい。
【0011】
「長軸方向軸に対して横断方向」という用語は、長軸方向軸を横断する軸を指しうる。言い換えれば、「長軸方向軸に対して横断方向」という用語は、横断方向軸を指しうる。横断方向軸は、長軸方向軸に対して直角を成す方向に走ることが好ましい。横断方向軸は、水平平面にあることが好ましい。
【0012】
枢動移動は、エアロゾル発生装置の軸を中心とした、好ましくは長軸方向軸を中心とした、またはエアロゾル発生装置の横断方向軸を中心とした移動を指しうる。枢動移動の間、軸に対する距離は、実質的に同じまま、または厳密に同じままであってもよい。枢動移動の間、軸の長さに沿った移動が行われないことが好ましい。枢動移動中、回転角度が変化してもよい。本発明によると、枢動移動は、180°の移動であることが好ましい。枢動移動は、上部カバーの配向を切り替えるための移動であることが好ましい。
【0013】
摺動移動は、軸に沿った移動を指しうる。摺動移動の間、軸に対する距離は、本質的に同じまま、または厳密に同じままでありうる。摺動移動の間、回転角度は変化しないことが好ましい。摺動移動の間、軸の長さに沿った移動が行われることが好ましい。摺動移動は、軸に平行でありうる。摺動移動は軸上にあることが好ましい。
【0014】
エアロゾル発生装置は、空洞内にヒーターをさらに備えうる。
【0015】
上部カバーがエアロゾル発生装置の横断方向軸を中心として枢動可能に移動可能に構成されうる第一の実施形態では、ヒーターは、上部カバーの第二の位置でアクセス可能であることが好ましい。
【0016】
上部カバーがエアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心として枢動可能に移動可能に、かつエアロゾル発生装置の長軸方向軸に沿って摺動可能に移動可能に構成されうる第二の実施形態では、ヒーターは、中間位置においてアクセス可能であることが好ましい。これに関して、中間位置は、第一の位置と第二の位置との間に提供されうる。
【0017】
第一の実施形態および第二の実施形態では、空洞の遠位端は、空洞の遠位端が閉じられうるように、上部カバーの第一の位置において本体に隣接して配設されうる。空洞の遠位端の位置は、上部カバーの移動の第一の実施形態および第二の実施形態では異なりうる。
【0018】
本明細書で使用される「上流」、「下流」、「近位」、「遠位」という用語は、ユーザーがその使用中にエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品を吸う方向に対する、エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を説明するために使用されうる。これらの用語は、上部カバーが第一の位置にある時に定義される。例えば、空洞の遠位端に対して言及する場合、この言及は、上部カバーが第一の位置にある時の空洞の遠位端を指す。上部カバーが第二の位置にある場合、遠位端として示される空洞の端部は、実際には近位端方向に回転または移動している場合がある。しかしながら、なおも、この端部は遠位端として示されうる。言い換えれば、特定の要素への言及は、これらの要素の移動後で変わらない。
【0019】
より詳細には、第一の実施形態では、空洞の遠位端は、空洞の遠位端が上部カバーの第二の位置において本体に隣接して配設されなくなるように、近位方向に枢動可能に移動または回転されうる。これ故に、第一の実施形態では、空洞の遠位端は、上部カバーの第二の位置においてアクセス可能である。
【0020】
第二の実施形態では、上部カバーは、第一の位置から第二の位置への移動中に、中間位置に向かって移動する。これに関して、最初、上部カバーは横断方向軸に沿って摺動可能に移動する、およびエアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心として枢動可能に移動する、のうちの一つ以上である。初期移動は、摺動移動であることが好ましい。この移動は、第一の位置から中間位置への上部カバーの移動を促進しうる。中間位置では、空洞の遠位端はアクセス可能である。その後、上部カバーは、摺動または枢動移動によって中間位置から第二の位置へ移動する。その後の移動は、枢動移動であることが好ましい。上部カバーの移動の第二の実施形態の第二の位置では、空洞の遠位端は、本体が空洞の遠位端を遮断するように本体に隣接して空洞の遠位端が配設されるために、アクセス可能ではなくなる。
【0021】
ヒーターは、上部カバーが第二の位置にある、または第一の位置と第二の位置との間の中間位置にある時に、上部カバーの空洞から取り外し可能であり、かつ上部カバーの空洞の中へと挿入可能であってもよい。
【0022】
上部カバーの移動の第一の実施形態における第二の位置、または上部カバーの移動の第二の実施形態における中間位置は、ヒーターの修理または交換を可能にする。有利なことに、ヒーターは、エアロゾル発生装置全体または上部カバー全体を修理または交換する必要なく、修理または交換されうる。
【0023】
空洞およびヒーターは、ヒーターが装置の長軸方向軸に対して単一の特定の配向で空洞の中へと挿入可能でありうるような寸法でありうる。
【0024】
したがって、ヒーターを空洞の中へと単一の方向で挿入することを可能にする、キー式構成が達成されうる。したがって、ユーザーがヒーターを望ましくない配向で空洞の中へと挿入することが防止されうる。例えば、ヒーターまたはヒーターのマウントは、ヒーターを単一の特定の配向で空洞の中へと挿入することが可能となるような、不規則または非対称の形状を有してもよい。空洞は、ヒーターを挿入するための開口部を含むことが好ましく、開口部は、ヒーターのヒーターまたはヒーターのマウントの断面に対応する断面を有しうる。
【0025】
ヒーターは、空洞の遠位端から、空洞から取り外し可能、かつ空洞の中へと挿入可能でありうる。
【0026】
上部カバーが第一の位置にある時に画定される空洞の近位端は、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル発生物品の挿入のために構成されうる。空洞の遠位端は、空洞の近位端の反対側に配設されうる。ヒーターが空洞の遠位端からアクセス可能であるように空洞を構成することは、ヒーターの基部またはマウントがアクセス可能になることを促進しうる。修理または保守中、ユーザーは、加熱されるヒーターの部分に触れることなく、ヒーターの基部またはマウントを把持しうる。したがって、ヒーターの損傷が防止されうる。さらに、ヒーターの取り外しの容易さが促進されうる。
【0027】
ヒーターは保護シールドを含みうる。保護シールドは、ヒーターの空洞からの取り外し、およびヒーターの空洞の中への挿入の間にヒーターを保護しうる。保護シールドは、多孔質で軽量の保護体であってもよい。 保護体は、箔、プラスチック、および大孔メッシュを形成する他の適切な材料などの任意の固体材料で作製されうる。保護シールドは、スレッド機構または任意の適切な機構によってヒーターに取り付けられうる。保護シールドは、ヒーターのマウント上に取り付けられてもよい。
【0028】
保護シールドは、ヒーターが空洞から取り外される時に、ヒーターの全長に沿って少なくとも部分的に延びうる。したがって、ヒーターが保護されうると同時に、加熱されるヒーターの部品の修理または交換が容易になりうる。ヒーターを覆うために、保護シールドは、ヒーターの取り外し中にヒーターの上に引き出されてもよい。突出部または任意のその他の適切な要素は、保護シールドをヒーターの上に引き出すまたは押し出すために、空洞の遠位端において開口部の近くに配置されうる。別の方法としてまたは追加的に、ユーザーは、手動でヒーターを保護シールドで覆ってもよい。
【0029】
上部カバーおよび本体のうちの一つ以上は、上部カバーを第一の位置および第二の位置のうちの一つ以上に見るように構成された係止機構を含みうる。
【0030】
係止機構は、機械的ロッカーを含みうる。係止機構は、機械的ストッパーを含みうる。係止機構は、機械的ロッカーおよび機械的ストッパーを含んでもよい。係止機構は、雄型部品および雌型部品を含みうる。係止機構の雄型部品は、エアロゾル発生装置の本体に配設されてもよい。係止機構の雌型部品は、エアロゾル発生装置の上部カバーに配設されてもよい。別の方法として、係止機構の雄型部品が上部カバーに配置され、係止機構の雌型部品が本体に配設されてもよい。係止機構の雄型部品は、球状形状を有してもよい。係止機構の雄型部品は、固体ボールであってもよい。係止機構の雌型部品は、スロットを含んでもよく、係止機構の雄型部品がその内部に嵌合しうる。別の方法として、係止機構の雄型部品および雌型部品は、デュアル金属ばねとして提供されてもよい。係止機構は、係止機構の雄型部品を係止機構の雌型部品に向けて付勢するためのばねなどの付勢要素を含みうる。係止機構は、上部カバーを第一の位置ならびに第二の位置に保持するように構成されうる。係止機構は、ユーザーが所定の力を克服して上部カバーを係止機構の見る作用から移動させるように構成されうる。係止機構は、係止機構の見る作用を停止するためにユーザーによって利用されうる、ハンドルまたはボタンなどの解放機構を含みうる。係止機構の解放機構は、摺動機構であってもよい。摺動機構は、ユーザーによって操作可能な摺動可能なハンドルに接続されてもよい。摺動機構は、第一の位置および第二の位置のうちの一つ以上に上部カバーを係止するように構成されてもよい。摺動機構は、突出部を備えてもよく、これは、上部カバーおよび本体のうちの一つ以上の対応する陥凹部の中へと摺動可能であってもよい。例えば、本体は、摺動機構を含んでもよく、摺動機構の突出部は、上部カバーの位置を本体に対して、またはその逆で見るために、上部カバーの対応する陥凹部の中へと摺動可能であってもよい。係止機構は、摺動機構を見る位置に向けて付勢する付勢要素を含みうる。
【0031】
係止機構は、本体の電力供給源から上部カバーへの電気エネルギーの伝達を可能にするための電気リード線を含みうる。
【0032】
上部カバー内で、電気エネルギーは、ヒーターを操作するためにヒーターに向かって、そしてヒーターを通って流れうる。係止機構は導電性材料から作製されてもよい。係止機構の雄型部品および雌型部品は、電気エネルギーを伝達するための電気リード線として作用しうることが好ましい。係止機構は、上部カバーを第一の位置に固定するのみであるように構成されうる。上部カバーが第一の位置に固定される場合、本体から上部カバーへの電気エネルギーの流れは、係止機構によって可能になりうる。エアロゾル発生装置は、係止機構によって本体から上部カバーへの電気エネルギーの流れが可能となった場合に、自動的に動作されるように構成されうる。エアロゾル発生装置の動作は、エアロゾル発生装置のヒーターの動作または起動を指しうる。係止機構は、上部カバーを本体に対して第二の位置に固定するように構成された第一の部分を含みうる。係止機構の第一の部分は、電気エネルギーが本体から上部カバーに流れることを防止しうる。エアロゾル発生装置は、電気エネルギーが本体から上部カバーに流れない時にはエアロゾル発生装置の動作を防げるように構成されうる。したがって、エアロゾル発生装置は、上部カバーが第二の位置にある時には動作することを妨げられうる。係止機構は、本体から上部カバーへの電気エネルギーの流れを可能にする第二の部分を含みうる。係止機構の第二の部分は、上部カバーを第一の位置に固定するように構成されうる。これ故に、上部カバーが第一の位置から第二の位置へ移動する時の電力が節約されうる。別の方法として、または追加的に、上部カバーが第一の位置に配設される時のエネルギー効率が最適化されうる。
【0033】
本体から上部カバーへの電気エネルギーの流れを促進する見る手段の代替として、電気接点が、ヒーターの基部またはマウントの空洞の遠位端に、および本体の反対側の位置に配設されてもよい。上部カバーが第一の位置に配設される場合、ヒーターの電気接点は、本体の電気接点に接触しうる。上部カバーが第二の位置に配設される場合、ヒーターの電気接点および本体の電気接点は、本体からヒーターへの電気エネルギーの流れが妨げられるように、互いから距離を置いて配設されうる。電気接点は、摺動接点として構成されてもよい。
【0034】
上部カバーの移動の第二の実施形態では、上部カバーがエアロゾル発生装置の横断方向軸に沿って少なくとも摺動可能に移動する時、上部カバーと本体のうちの一つ以上は、摺動移動を促進するための溝を含みうる。溝は、摺動移動を制限しうる。本体は溝を含み、上部カバーは、本体の溝の内側に摺動可能に配設されたピンなどの突出部を含むことが好ましい。本体と上部カバーとの間の電気接点を促進するために、電気ばね接点が、本体の溝の特定の位置に配設されてもよい。電気ばね接点は、上部カバーが第一の位置にある時に上部カバーのピンが配設される、本体の溝の位置に配設されてもよい。さらに、上部カバーのピンは、電気エネルギーが、電気ばね接点を通して本体から、上部カバーのピンを通して上部カバーに配設されたヒーターに向けて伝達されうるように導電性として構成されうる。この配設の代わりに、上部カバーが対応する溝を含み、本体が対応するピンを含んでもよい。
【0035】
エアロゾル発生装置は、上部カバーを第一の位置および第二の位置のうちの一つ以上に付勢するように構成された付勢機構をさらに含みうる。
【0036】
付勢機構は、ばねを含みうる。付勢機構は、本体内に配設されてもよい。付勢機構は、上部カバー内に配設されてもよい。付勢機構は、上部カバーを第一の位置から第二の位置に向けて付勢するように、上部カバーの第一の位置に装填されてもよい。しかしながら、付勢機構は、上部カバーを第二の位置から第一の位置に向けて付勢するために、上部カバーの第二の位置に装填されてもよい。係止機構は、上部カバーを、第一の位置に、または第二の位置に、または第一の位置および第二の位置に保持するために提供されうる。係止機構は、上部カバーを、上部カバーが係止機構によって保持された位置から解放するためのハンドルまたはボタンなどのトリガ機構を含みうる。ユーザーが装置の動作を望む場合、最初は第二の位置にある上部カバーは、ユーザーが係止機構を停止した時の付勢要素の付勢作用によって第一の位置へと自動的に移動しうる。
【0037】
エアロゾル発生装置は、上部カバーの枢動移動を可能にするように構成されたスレッド機構を含みうる。
【0038】
スレッド機構は、一つ以上の第一のスレッドを含みうる。スレッド機構は、二つの第一のスレッドを含むことが好ましい。スレッド機構の第一のスレッドは、スレッド機構のシャフト上に配設されることが好ましい。スレッド機構のシャフトは、エアロゾル発生装置の横断方向軸に沿って、より好ましくはその上に配設されることが好ましい。スレッド機構は、上部カバーと接続されてもよく、上部カバーと一体的に形成されることが好ましい。上部カバーは、スレッド機構のシャフトと接続されてもよく、スレッド機構のシャフトと一体的に形成されることが好ましい。スレッド機構は、少なくとも一つ、好ましくは二つの可動部品を含むことが好ましい。可動部品は、第二のスレッドを含むことが好ましい。可動部品の第二のスレッドは、スレッド機構の第一のスレッドに対応するスレッドとして構成されることが好ましい。第一のスレッドが雌スレッドであり、第二のスレッドが雄スレッドであってもよく、またはその逆も可である。第三の機構の可動部品がエアロゾル発生装置の横断方向軸に沿って移動する場合、シャフトが回転する。言い換えれば、可動部品の並進移動は、シャフトの回転運動に変換されうる。上部カバーの第一の位置では、可動部品は、可動部品が互いから離れて移動する、拡張された状態で配設されることが好ましい。上部カバーの第二の位置では、可動部品は、可動部品が互いに向かって移動する格納状態で配設されることが好ましい。可動部品は、上部カバーが第二の位置にある場合に、実質的に上部カバーを包含するように、少なくとも部分的に中空の形状を有しうる。可動部品は本体を構成することが好ましい。これ故に、第二の位置には、上部カバーが見えない、コンパクトな要素が提供されうる。第二の位置から第一の位置への上部カバーの移動中、本体は離れるように移動して、上部カバーが見えるようになり、同時に回転しうる。
【0039】
本体は、本体の近位端に二つの伸張部を含みうる。上部カバーは、二つの伸張部の間に配設されてもよい。
【0040】
二つの伸張部は、上部カバーがエアロゾル発生装置の横断方向軸を中心として枢動可能に移動可能である上部カバーの移動の第一の実施形態において特に好ましい。二つの伸張部は、上部カバーのマウントとして機能しうる。二つの伸張部は、本体を上部カバーに接続するためのシャフトまたはピンなどのマウント要素を含みうる。マウント要素は、上部カバーが本体に対して枢動可能に移動されうるように提供されてもよい。二つのマウント要素を含むマウント点が提供され、二つの伸張部のそれぞれが、一つのマウント点および一つのマウント要素を含むことが好ましい。二つのマウント点を接続する軸は、エアロゾル発生装置の横断方向軸でありうる。二つの伸張部は、上部カバーに対する本体の整列を最適化するために、内側表面の長さに沿った案内レールを含みうる。
【0041】
本発明の各実施形態において、エアロゾル発生装置は、本体および上部カバーとの間に、シャフトまたはピンなどのマウント点およびマウント要素を含んで、本体に対する上部カバーの移動を促進してもよい。
【0042】
エアロゾル発生装置の上部カバーは、多用途空洞を含んでもよい。多用途空洞は、クリーニングツールおよびエアロゾル発生物品のうちの一つ以上を格納するように構成されうる。多用途空洞は、上部カバーが第一の位置、第二の位置、および中間位置のうちの一つ以上にある時に、アクセス可能でありうることが好ましい。多用途空洞は、上部カバーが第二の位置にある時に、アクセス可能であることが最も好ましい。
【0043】
上述の空洞は、ヒーターを含むことが好ましい。ヒーターは電気抵抗性材料を含んでもよい。適切な電気抵抗性の材料には例えば、ドープされたセラミックなどの半導体、導電性のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、金属合金、セラミック材料製・金属材料製の複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル白金、金、銀が挙げられる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオブ含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、金含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。複合材料において、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて随意に、断熱材料中に包埋、断熱材料中に封入、もしくは断熱材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。
【0044】
エアロゾル発生装置は、内部ヒーター、または外部ヒーター、または内部ヒーターと外部ヒーターの両方を備えうるが、ここで「内部」および「外部」は、エアロゾル形成基体についてである。内部ヒーターは、任意の適切な形態を取りうる。例えば、内部ヒーターは、加熱ブレードの形態を取ってもよい。内部ヒーターは空洞内に配設されることが好ましく、空洞内に中央に配設されることがより好ましい。別の方法として、内部ヒーターは、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属チューブを有するケーシングまたは基板の形態を取ってもよい。別の方法として、内部ヒーターは、エアロゾル形成基体の中心を通り抜ける一つ以上の加熱針またはロッドであってもよい。その他の代替としては、加熱ワイヤーまたはフィラメント、例えばNi-Cr(ニッケルクロム)、白金、タングステン、または合金ワイヤーもしくは加熱プレートが挙げられる。随意に、内部ヒーターは、剛直な担体材料の中またはこの材料上に配置されてもよい。こうした一つの実施形態において、電気抵抗ヒーターは、温度と比抵抗の間で明確な関係を有する金属を使用して形成しうる。こうした例示的な装置において、金属は、セラミック材料などの適切な断熱材料上にトラックとして形成され、その後ガラスなどの別の断熱材料中に挟まれてもよい。この様態で形成されたヒーターは、動作中のヒーターの加熱と、その温度の監視との両方に使用されうる。
【0045】
外部ヒーターは、任意の適切な形態をとってもよい。例えば、外部ヒーターは、ポリイミドなどの誘電性基体上の一つ以上の可撓性の加熱箔の形態を取ってもよい。可撓性の加熱箔は、空洞の周囲に適合する形状にすることができる。外部ヒーターは空洞を囲むように配設されることが好ましい。別の方法として、外部ヒーターは、金属グリッド(単一または複数)、可撓性のプリント基板、成形回路部品(MID)、セラミックヒーター、可撓性の炭素繊維ヒーターの形態を取ってもよく、または適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などの被覆技法を使用して形成されてもよい。外部ヒーターはまた、温度と比抵抗の間に明確な関係を有する金属を使用して形成されてもよい。こうした例示的な装置において、金属は適切な断熱材料の二層の間のトラックとして形成されうる。この方法で形成された外部ヒーターは、加熱するためと、動作中の外部ヒーターの温度をモニターするためとの両方に使用されてもよい。
【0046】
ヒーターは、有利なことに、伝導によってエアロゾル形成基体を加熱する。ヒーターは基体、または基体が配置されている担体と、少なくとも部分的に接触してもよい。別の方法として、内部ヒーターまたは外部ヒーターのいずれかからの熱は、熱伝導性要素によって基体に伝導しうる。ヒーターは誘導ヒーターとして構成されてもよい。この場合、ヒーターは、サセプタ材料と、サセプタ材料を囲むように配設された誘導コイルとを含みうる。ブレードまたはピンの形態を有するサセプタ材料は、内部ヒーターとして配設され、誘導コイルは、サセプタ材料を囲むように配設されることが好ましい。
【0047】
ヒーターは、本体の一部であってもよい。しかしながら、ヒーターは上部カバーの一部であることが好ましい。これ故に、ヒーターは、上部カバーと一緒に移動することが好ましい。
【0048】
動作中、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置内に部分的に包含されてもよい。その場合、ユーザーはエアロゾル発生物品を直接吸煙してもよい。
【0049】
空洞は、円筒または管状形状を有することが好ましい。空洞は、基部を有することが好ましい。基部は、ヒーターが通過しうる開口部を有することが好ましい。空洞は、近位端を含みうる。近位端は、エアロゾル発生物品の挿入のために開いていてもよい。遠位端は、空洞の基部を含みうる。別の方法として、空洞は、開いた遠位端を有してもよい。空洞は、エアロゾル発生装置とともに使用されるエアロゾル発生物品の断面に対応する断面を有することが好ましい。例えば、空洞は、キー式構成を可能にする断面を有してもよく、これは、エアロゾル発生物品が特定の方法でのみ空洞の中へと挿入されうることを意味している。
【0050】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部、例えば喫煙物品の一部であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であってもよい。エアロゾル発生装置はホルダーであってもよい。装置は、電気加熱式の喫煙装置であってもよい。
【0051】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙物品であってもよい。エアロゾル発生物品は、使い捨てであってもよい。たばこを含むエアロゾル形成基体を備える喫煙物品は、たばこスティックと呼ばれうる。
【0052】
エアロゾル発生物品は、実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル形成基体は実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。
【0053】
エアロゾル発生物品は、およそ30mm~およそ100mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ5mm~およそ12mmの外径を有してもよい。エアロゾル発生物品はフィルタープラグを備えてもよい。フィルタープラグは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルタープラグは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。フィルタープラグは、一つの実施形態で長さおよそ7mmとしうるが、およそ5mm~およそ10mmの長さを有してもよい。
【0054】
一実施形態において、エアロゾル発生物品はおよそ45mmの全長を有する。エアロゾル発生物品は、およそ7.2mmの外径を有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体は、およそ10mmの長さを有してもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、およそ12mmの長さを有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体の直径は、およそ5mm~およそ12mmであってもよい。エアロゾル発生物品は外側紙ラッパーを備えてもよい。さらに、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグの間に分離部を備えてもよい。分離部は、およそ18mmであってもよいが、およそ5mm~およそ25mmの範囲であってもよい。
【0055】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は好都合なことに、エアロゾル発生物品または喫煙物品の一部であってもよい。
【0056】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体構成要素と液体構成要素の両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、高密度で安定したエアロゾルの形成を容易にするエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0057】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、キャストリーフたばこ、および膨化たばこのうちの一つ以上を含有する、例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態であってもよく、または適切な容器またはカートリッジで提供されてもよい。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよい。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。
【0058】
本明細書で使用される「均質化したたばこ」は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を指す。均質化したたばこは、シートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5%超のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5~30重量%のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎のうちの一方または両方を粉砕することによって、またはその他の方法で組み合わせることによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えばたばこの処理、取り扱い、および発送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉、その他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、一つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、一つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよいが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填材、水性および非水性の溶剤、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0059】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートの形態を取ってもよい。別の方法として、担体は、その内表面上、またはその外表面上、またはその内表面と外表面の両方の上に堆積された固体基体の薄い層を有する、管状の担体であってもよい。こうした管状の担体は、例えば紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、低質量の目の粗いメッシュ金属スクリーン、もしくは穿孔された金属箔、または任意の他の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。
【0060】
特に好ましい一実施形態において、エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。エアロゾル発生物品が組み立てられた時、実質的に平行な隆起または波形は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って、またはこれと平行に延びることが好ましい。これは有利なことに、均質化したたばこ材料の捲縮したシートを集合してエアロゾル形成基体を形成するのを容易にする。しかし、当然のことながら、エアロゾル発生物品に含めるための均質化したたばこ材料の捲縮したシートは別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して鋭角または鈍角で配置されている複数の実質的に平行な隆起または波形を有してもよい。ある特定の実施形態において、エアロゾル形成基体は、実質的にその表面全体にわたって実質的に均等にきめのある均質化したたばこ材料のシートの集合体を含んでもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、シートの幅にわたって実質的に均等に離隔している複数の実質的に平行な隆起または波形を含む均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含んでもよい。
【0061】
固体エアロゾル形成基体は、例えばシート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は担体の表面全体の上に堆積されてもよく、または別の方法として、使用中に不均一な風味送達を提供するためのパターンで堆積されてもよい。
【0062】
エアロゾル発生装置は、電気回路を備えてもよい。電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラム可能マイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサはコントローラの一部としうる。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路はヒーターへの電力供給を調節するように構成されてもよい。電力はエアロゾル発生装置の起動後にヒーターに連続的に供給されてもよく、または毎回の吸煙ごとなど、断続的に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態でヒーターに供給されてもよい。電気回路は、ヒーターの電気抵抗をモニターし、好ましくはヒーターの電気抵抗に応じてヒーターへの電力供給を制御するように構成されうる。電気回路は、本体内に配設されてもよい。電気回路は、上部カバーが第一の位置にある時に、電気エネルギーをヒーターに自動的に供給するように構成されることが好ましい。電気回路は、上部カバーが第二の位置にある時に、電源からヒーターへの電気エネルギーの供給を停止するように構成されうる。エアロゾル発生装置は、上部カバーが第一の位置にあるかどうかを検出するための電気スイッチなどの検出要素を備えてもよい。検出要素は、本体に対する上部カバーのあらゆる位置を検出するように構成されうる。
【0063】
エアロゾル発生装置は、本体内に電源(典型的には電池)を備えてもよい。代替として、電源は、コンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は、再充電を必要とする場合があり、また一回以上の喫煙体験のために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は約6分間、または6分の倍数の時間にわたってエアロゾルを連続的に発生するのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、電力供給源は、所定の吸煙回数またはヒーターの不連続的な起動を提供するために十分な容量を有してもよい。
【0064】
本発明はまた、上述のようなエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システム、およびエアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品にも関する。
【0065】
また、上部カバーの空洞にアクセスするためにエアロゾル発生装置の上部カバーを移動させるための方法も提供され、この方法は、
【0066】
本体および上部カバーを備えるエアロゾル発生装置を提供する工程であって、上部カバーはエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を空洞の中へと取り外し可能に挿入するための空洞を含み、上部カバーは、本体に対して第一の位置と第二の位置との間で移動可能であるように構成され、空洞は、上部カバーが第一の位置にある時にエアロゾル発生物品の挿入のためにアクセス可能であり、空洞は、上部カバーが第二の位置にある時にエアロゾル発生物品の挿入のためにアクセス不能であり、第一の位置と第二の位置との間の上部カバーの移動は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心とした、またはエアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向の上部カバーの枢動移動、およびエアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向の上部カバーの摺動移動のうちの一つ以上によって引き起こされる、提供する工程と、
【0067】
上部カバーを第一の位置から第二の位置へ移動させる工程と、を含む。
【0068】
方法は、空洞内へのエアロゾル発生物品の挿入を含みうる。方法は、エアロゾル発生物品内に収容されるエアロゾル形成基体を加熱することを含みうる。方法は、エアロゾル発生を含みうる。方法は、ヒーターの起動、動作および停止のうちの一つ以上を含みうる。方法は、エアロゾル発生物品の空洞からの取り外しを含みうる。方法は、空洞の遠位端を介したヒーターの取り外しを含みうる。方法は、空洞の遠位端を介したヒーターの挿入を含みうる。
【0069】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1図1は、エアロゾル発生装置の本体に対するエアロゾル発生装置の上部カバーの移動の第一の実施形態を示す。
図2図2は、上部カバーの空洞内へのヒーターの挿入を示す。
図3図3は、ヒーター用の保護シールドの断面図を示す。
図4図4は、上部カバーを第一の位置または第二の位置で固定するためのハンドルを示す。
図5図5は、係止機構の断面図を示す。
図6図6は、エアロゾル発生装置の本体に対するエアロゾル発生装置の上部カバーの移動の第二の実施形態を示す。
図7図7は、上部カバーの移動の第二の実施形態を促進するための上部カバーを示す。
図8図8は、上部カバーの移動の第二の実施形態を促進するための上部カバーのさらなる図を示す。
図9図9は、エアロゾル発生装置の本体に対するエアロゾル発生装置の上部カバーの移動の第一の実施形態を実現するための第二の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、上部カバー10および本体12を備えるエアロゾル発生装置を示す。上部カバー10は、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル発生物品16の挿入のための空洞14を含む。物品16は、例えば図4に示される。
【0072】
エアロゾル発生装置の上部カバー10は、エアロゾル発生装置の本体12に対して移動可能である。上部カバー10の移動を促進するために、図1は、本体12の近位端に配設され、かつ上部カバー10の側面に沿って配設される二つの伸張部18を示す。図1の左部分にある図1Aは、エアロゾル発生装置が動作可能である第一の位置にある上部カバー10を示す。この位置では、エアロゾル発生物品16は、エアロゾル発生物品16中に含有されるエアロゾル形成基体を加熱するため、および吸入可能なエアロゾルを発生するために、空洞14の中へと挿入されうる。
【0073】
図1Bでは、上部カバー10の移動の開始が示されており、上部カバー10は第一の位置から第二の位置に向かって移動している。上部カバー10は回転する。言い換えれば、上部カバー10は、エアロゾル発生装置の横断方向軸Tを中心として枢動可能に移動する。横断方向軸Tは、エアロゾル発生装置の長軸方向軸Lに対して直角を成す。図1Bに見られるように、球体として構成された雄型部品24およびスロットとして構成された雌型部品26を含む係止機構22(より明確に図5および図7に示す)が提供される。雄型部品24は、四つの球体を含み、雌型部品26は、四つのスロットを含む。二つの伸張部18のそれぞれは、係止機構22の二つの部分を含む。係止機構22の異なる部品は、上部カバー10が第一の位置または第二の位置に配設された時に、本体12に対する上部カバー10の係止作用を増大させるために、互いから間隙を介して配設される。
【0074】
図1Cは、上部カバー10が第二の位置に達したことを示す。こうして、上部カバー10は、上部カバー10の遠位端28が近位方向Pに向かって配向され、上部カバー10の近位端20が遠位方向Dに向かって配向されるように、180°完全に回転している。上部カバー10の端部の命名規則は、第一の位置における上部カバー10の配向に基づいており、上部カバー10が第二の位置に移動した時の、上部カバー10の配向とは独立して保持される。図1Cから分かるように、図1Cで初めて見ることができる上部カバー10の遠位端28は、エアロゾル発生物品16、またはクリーニングツールなどの要素を格納するための多用途空洞30を含む。さらに、上部カバー10の遠位端28は、エアロゾル発生装置のヒーター34の取り外しおよび挿入のための開口部32を含む(例えば、図2を参照)。こうして、ヒーター34は、上部カバー10に配設され、上部カバー10と共に回転する。
【0075】
図2は、上部カバー10およびヒーター34を示し、ヒーター34は、上部カバー10の遠位端28で上部カバー10の空洞14の中へと挿入されている。ヒーター34は、加熱される部品を含む。この部品はブレード形状である。さらに、ヒーター34はマウント36を含む。マウント36は、ヒーター34の基部に隣接して置かれてもよい。マウント36は、ヒーター34をマウント36に取り付けるように構成されてもよい。マウント36は、ヒーター34に向けた電気エネルギーの流れを可能にするように構成されてもよい。上部カバー10が図1Dに描写するように第二の位置に向かって回転する場合、ヒーター34は、修理または交換のために上部カバー10から簡単に取り外すことができる。修理または交換されたヒーター34は、空洞14の中へと容易に挿入されうる。次に、上部カバー10は、動作のために第一の位置に向かって戻るよう回転されうる。さらに、第二の位置を使用して、加熱される空洞14またはヒーター34の部品の望ましくない汚染を防止してもよい。これ故に、上部カバー10の第二の位置は、エアロゾル発生装置の格納に使用されうる。
【0076】
図3は、ヒーター34の断面図を示す。特に、加熱されるヒーター34のブレード形状部分、およびヒーター34のマウント36に加えて、ヒーター34の保護シールド38が図示されている。図3の左部分では、保護シールド38は格納状態で示されている。この状態は、ヒーター34が上部カバー10の空洞14の中に挿入された時の保護シールド38の状態でありうる。こうして、保護シールド38は、エアロゾル発生物品16が空洞14の中に挿入され、そして加熱されるヒーター34の部分がエアロゾル形成物品に含有されるエアロゾル形成基体を貫通しうるように、加熱されるヒーター34の部分からこの状態に格納されうる。図3の右部分では、保護シールド38は拡張状態で示されている。ヒーター34の保護シールド38は、ヒーター34が上部カバー10の空洞14から取り外される時、拡張状態にありうる。したがって、ヒーター34が空洞14から取り外される時、加熱されるヒーター34の少なくとも部分は、保護シールド38によって保護されうる。これは、空洞14からのヒーター34の取り外し中または取り外し後に、ヒーター34への損傷を防止するのに特に有益でありうる。
【0077】
図4は、上部カバー10を、第一の位置および第二の位置のうちの一つ以上に係止するための第二の係止機構42のためのハンドル40を示す。
【0078】
図5は、第一の見る機構22ならびに第二の係止機構42の断面図を示す。第一の係止機構22は、球体を含む雄型部品24を含む。さらに、第一の係止機構22は、スロットを含む雌型部品26を備える。第一の係止機構22のこれらの部品は、図1に関連して既に説明した。さらに図5に見られるように、雄型部品24はばね44を含み、これは、雄型部品24と雌型部品26との間の確実な接続を促進するように、球体を雌型部品26に向けて付勢する。図1に示すように、複数の、好ましくは四つの雄型および雌型部品の対が、第一の見る機構20に提供されてもよい。
【0079】
さらに、図5は、上部カバー10を第一の位置および第二の位置のうちの一つ以上に確実に保持するための、摺動機構の形態の第二の見る機構42を示す。図5に示す摺動機構は、第一の係止機構22の雄型部品および雌型部品に加えて、または代替的に提供される。摺動機構は、特に図4に示すハンドル40によって、ユーザーによって手動で動作されてもよい。ハンドル40は、摺動機構の図5に示す突出部46を、上部カバー10内に配設された対応する陥凹部48の中へと摺動させるための摺動ハンドル40として構成されうる。突出部46は、ばねの形態の付勢要素50によって陥凹部48に向けて付勢される。これ故に、ユーザーは、突出部46を陥凹部48から手動で係合解除して、上部カバー10の移動を可能にしうる。図5に示す摺動機構は、上部カバー10が望ましくない移動をすることなく、エアロゾル発生物品16が上部カバー10の空洞14の中に挿入されうるように上部カバー10を第一の位置に確実に保持することを促進するために、上部カバー10の遠位端28上に提供されることが好ましい。ただし、当然のことながら、上部カバー10を第二の位置に確実に保持することを促進するために、対応する摺動機構、特に陥凹部48が追加的または代替的に上部カバー10の近位端20に提供されてもよい。
【0080】
本明細書で論じるすべての実施形態では、第一の位置および第二の位置のうちの一つ以上に向けて上部カバー10を付勢するために、付勢要素、好ましくはばねが提供されてもよい。ユーザーがハンドル40を係合解除する場合、上部カバー10は、この付勢要素の付勢作用によって第一の位置から第二の位置へ自動的に移動しうる。
【0081】
図6は、上部カバー10の移動の第二の実施形態を示す。図6Aに示す実施形態では、上部カバー10は第二の位置にある。この位置では、加熱空洞14の近位端20ならびに遠位端28は、本体12によって保護される。これ故に、空洞14は、望ましくない汚染から保護される。さらに、ヒーター34の損傷が防止される。図6A~6Cの上部分は、上方から見たエアロゾル発生装置を示す。図6の中央部分、図6Bは、装置が第二の位置から中間位置に移動する第一の移動を示す。図6Bの下部分は、下方から見たエアロゾル発生装置を示す。図6の中央部分は、側方から見たエアロゾル発生装置を示す。第二の位置から中間位置への移動は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸Lを中心とした上部カバー10の枢動移動によって促進される。図6に示す実施形態において、長軸方向軸Lは、エアロゾル発生装置の中央長軸方向軸と平行である。長軸方向軸Lはまた、中央長軸方向軸と同一であってもよい。図6に示す実施形態では、長軸方向軸Lは、中央長軸方向軸Lであることが好ましい。図6に示す枢動移動は、上部カバー10の近位端20および遠位端28に配設された、本体12の対応する溝54内に延びるピン52(図7に示す)によって促進される。ピン52および溝54は、図7および図8に関して以下により詳細に説明される。図6Bに示す上部カバー10の中間位置では、空洞14はアクセス可能である。これ故に、エアロゾル発生物品16を空洞14の中へと挿入することができる。追加的に、または別の方法として、ヒーター34は、修理または交換のために空洞14の遠位端28を通して取り外されてもよい。修理または交換されたヒーター34は、空洞14の遠位端28を通して空洞14の中に挿入されてもよい。本明細書に記載されるすべての実施形態では、ヒーター34は、空洞14の遠位端28を通してのみ、空洞14から取り外され、空洞14の中へと挿入されうる。図6Cでは、上部カバー10は、エアロゾル発生装置が動作可能である第一の位置に示されている。上部カバー10のこの位置では、上部カバー10の空洞14は、エアロゾル発生物品16が近位端20に配設された空洞14の中へと挿入されうるように、近位端20からなおもアクセス可能である。しかし、空洞14の遠位端28は、ヒーター34が保護されるように、本体12によって閉じられる。好ましくは、図6Bに示す中間位置は、ヒーター34へのアクセスを可能にするのに利用され、図6Cに示す第一の位置は、エアロゾル発生物品16を空洞14の中へと挿入し、そして装置を動作させるための動作位置として示されている。
【0082】
図7は、図6に示す実施形態による上部カバー10をより詳細に示す。図7の上部分は、上から見たエアロゾル発生装置を示しており、図7の中央部分は、図6の中央部分と同様に、側方から見たエアロゾル発生装置を示しており、そして図7の下部分は、下方から見たエアロゾル発生装置を示している。図7は、上部カバー10の遠位端28、ならびに近位端20にピン52を有する、上部カバー10を示す。ピン52は、図8に図示され、以下で説明する、本体12の対応する溝54内に配設されうる、または配置可能でありうる。ピン52に加えて、図7はまた、上部カバー10の位置を本体12に対して第一の位置および第二の位置に固定するための、上述の第一の係止機構22に類似する係止機構56を示す。
【0083】
図8は、図6および7に示す実施形態で利用される本体12の溝54を示す。本体12の溝54は、図7に示す上部カバー10のピン52が溝54の中へと挿入されうるように構成される。図8の左部分は、本体12の底部部分を示しており、図8の右部分は、図6に示すように、本体12の上部部分を示している。溝54に加えて、図8は、本体12と上部カバー10との間の電気接点が上部カバー10の第一の位置において促進されうるように溝54の端部に配設された電気ばね接点58を示す。これに関して、ピン52は、ピン52が電気ばね接点58と共に本体12と上部カバー10との間の電気接点を促進しうるように、導電性となるよう構成されることが好ましい。二つのピン52が、一つは上部カバー10の近位端20に、一つは上部カバー10の遠位端28に配設されることが好ましい。結果的に、二つの溝54が、一つは本体12の上部部分に、一つは本体12の底部部分に配設されることが好ましい。さらに、二つの電気ばね接点58が、一つは本体12の上部部分の溝54に、一つは本体12の底部部分のプルーフ(proof)に提供されることが好ましい。当然のことながら、溝54を含む本体12、およびピン52を含むカバー10の代わりに、上部カバー10が溝54を含み、本体12がピン52を含んでもよい。このようにして、エアロゾル発生装置の電源60からヒーター34に向けた電気エネルギーの流れが容易にされうる。電気エネルギーの流れは、電気回路62によって制御されうる。電源60および電気回路62は、本体12に配設されることが好ましい。ヒーター34は電源60および電気回路62とは別に配設されるため、電気回路62内の一つ以上の電源60は、これらの要素の寿命を延ばすようオーバーモールドされうる。
【0084】
図9は、スレッド機構による上部カバー10の移動の第一の実施形態のさらなる構成を示す。これに関して、図9の左部分は、本体12が二つの可動部品64を含む構成を示す。二つの可動部品64は、シャフト66と接続される。シャフト66は、第一のスレッド68を含む。上部カバー10は、シャフト66に接続され、シャフト66が回転するのに反応して回転する。さらに、可動部品64は、第一のスレッド68と係合する第二のスレッドを含む。図9の中央部分および右部分から分かるように、可動部分64が互いから離れるように移動する場合、上部カバー10は、自動的に180°回転する。これ故に、上部カバー10の第一の位置から第二の位置への移行は、可動部品64を一緒に互いから離れるように移動させることによって、図9に示す構成へと実現されうる。この構成は、図9の左側に示す位置において、上部カバー10が本体12を構成する可動部品64によって少なくとも部分的に、好ましくは完全に囲まれうるために、上部カバー10が損傷または汚染から保護されうるという利点を有しうる。
図1A-1C】
図2
図3
図4
図5
図6A-6C】
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2021-07-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
本体と、
上部カバーであって、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品の取り外し可能な挿入のための空洞を含む、上部カバーと、
前記空洞内のヒーターと、を備え、
前記上部カバーが、前記本体に対して第一の位置と第二の位置との間で移動可能であるように構成され、前記空洞が、前記上部カバーが前記第一の位置にある時に前記エアロゾル発生物品の挿入のためにアクセス可能であり、前記空洞が、前記上部カバーが前記第二の位置にある時にエアロゾル発生物品の挿入のためにアクセス不能であり、前記上部カバーおよび前記本体のうちの一つ以上が、前記第一の位置および前記第二の位置のうちの一つ以上に前記上部カバーを係止するように構成された係止機構を含み、前記係止機構が、前記本体の電源供給源から前記上部カバーへ電気エネルギーの伝達を可能にする電気リード線を含み、前記第一の位置と前記第二の位置との間の前記上部カバーの移動が、
前記エアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心とした、または前記エアロゾル発生装置の前記長軸方向軸に対して横断方向の前記上部カバーの枢動移動、および、
前記エアロゾル発生装置の前記長軸方向軸に対して横断方向の前記上部カバーの摺動移動、のうちの一つ以上によって引き起こされる、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記ヒーターが、前記上部カバーが前記第二の位置、または前記第一の位置と前記第二の位置との間の中間位置にある時に、前記上部カバーの前記空洞から取り外し可能であり、かつ前記空洞の中へと挿入可能である、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記空洞および前記ヒーターが、前記ヒーターが前記装置の前記長軸方向軸に対して単一の特定の配向で前記空洞の中へと挿入可能であるような寸法である、請求項1または2に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記ヒーターが、前記空洞の前記遠位端から、前記空洞から取り外し可能であり、かつ前記空洞の中へと挿入可能である、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記ヒーターが保護シールドを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記保護シールドが、前記ヒーターが前記空洞から取り外された時に、前記ヒーターの全長に沿って少なくとも部分的に延びる、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記エアロゾル発生装置が、前記上部カバーを前記第一の位置および前記第二の位置のうちの一つ以上に向けて付勢するために構成された付勢機構をさらに備える、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記エアロゾル発生装置が、前記上部カバーの前記枢動移動を可能にするように構成されたスレッド機構をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記スレッド機構が、前記上部カバーの並進移動を可能にするように構成される、請求項8に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記本体が、前記本体の前記近位端に二つの伸張部を含み、前記上部カバーが前記二つの伸張部の間に配設され、前記上部カバーが、前記エアロゾル発生装置の前記長軸方向軸に対して横断方向に枢動可能に移動可能である、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記上部カバーが、前記第一の位置から前記第二の位置への移動中、前記エアロゾル発生装置の前記長軸方向軸を中心として枢動可能に移動可能に、かつ前記エアロゾル発生装置の前記長軸方向軸に対して横断方向に摺動可能に移動可能であるように構成される、請求項1~9のいずれかに記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とを備える、エアロゾル発生システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なベイパーを発生するためのエアロゾル発生装置を提供することは公知である。こうした装置は、エアロゾル形成基体を燃焼することなく、エアロゾル形成基体を加熱しうる。こうしたエアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部として提供されてもよい。こうした装置は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を受容するように配設されうる。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の空洞の中へとエアロゾル発生物品を挿入するためにロッド形状を有してもよい。ヒーターは、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の空洞の中へと挿入された時にエアロゾル形成基体を加熱するために、空洞内またはその周りに配設されうる。従来的なエアロゾル発生装置は、装置の使用中、または装置が使用されていない時、例えば、装置が格納されている、または装置のユーザーのポケットの中で持ち運ばれる時に、望ましくない汚染がその中に入る可能性がある空洞を有しうる。さらに、従来のエアロゾル発生装置では、ヒーターは使用中または使用後に損傷を受ける場合がある。ヒーターは、ユーザーによって、または望ましくない要素が意図せずに空洞に入ってヒーターを機械的に損傷することによって損傷を受けうる。
【0003】
空洞の汚染が低減または除去され、また、装置が使用されていない時、例えば、使用セッション間にユーザーのポケットの中で持ち運ばれる時にヒーターが保護される、エアロゾル発生装置を有することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明のこの、およびさらなる目的は、本体および上部カバーを備えるエアロゾル発生装置によって達成される。上部カバーは、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品の取り外し可能な挿入のための空洞を含む。上部カバーは、本体に対して第一の位置と第二の位置との間で移動可能であるように構成される。空洞は、上部カバーが第一の位置にある時には、エアロゾル発生物品の挿入のためにアクセス可能である。空洞は、上部カバーが第二の位置にある時には、エアロゾル発生物品の挿入のためにアクセス不能である。第一の位置と第二の位置との間の上部カバーの移動は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心とした、またはエアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向の上部カバーの枢動移動、およびエアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向の上部カバーの摺動移動のうちの一つ以上によって引き起こされる。
【0005】
上部カバーの二つの位置により、動作、および装置が動作していない時の空洞の汚染およびヒーターへの損傷を最適に防止することが可能になる。空洞は、加熱チャンバーとして構成されてもよい。上部カバーの第一の位置は、エアロゾル発生装置が動作することができる位置であることが好ましい。第一の位置では、空洞は、エアロゾル発生のためにエアロゾル発生物品内に含有されたエアロゾル形成基体を加熱するために、エアロゾル発生装置を空洞の中へと挿入することができるように、アクセス可能である。第二の位置では、上部カバーは、空洞がアクセス不能となるように配設される。空洞は、上部カバーの第二の位置では閉じられることが好ましい。上部カバーの第二の位置は、装置が動作しない位置に対応しうる。上部カバーの第二の位置は、装置が格納されうる位置に対応しうる。第二の位置では、空洞はシール、好ましくは密封シールされうる。
【0006】
上部カバーの移動の一つの実施形態によると、第一の位置から第二の位置への、およびその逆の移動中、上部カバーは、エアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心として枢動可能に移動可能に構成されてもよい。
【0007】
上部カバーの一つの実施形態によると、第一の位置から第二の位置への、およびその逆の移動中、上部カバーは、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向にある軸を中心として枢動可能に移動可能に構成されてもよい。言い換えれば、この実施形態では、上部カバーは、エアロゾル発生装置の横断方向軸を中心として枢動可能に移動可能なように構成されてもよい。上部カバーの移動のこの実施形態は好ましい実施形態であり、第一の実施形態として以下に示される。
【0008】
上部カバーの一つの実施形態によると、第一の位置から第二の位置への、およびその逆の移動中、上部カバーは、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向に摺動可能に移動可能に構成されうる。言い換えれば、この実施形態では、上部カバーは、エアロゾル発生装置の横断方向軸に沿って摺動可能に移動可能に構成されうる。
【0009】
上部カバーの移動の上述の実施形態のうちの一つ以上は、互いに組み合わされてもよい。第一の位置から第二の位置への移動中、上部カバーは、エアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心として枢動可能に移動可能に、かつエアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向に摺動可能に移動可能であるように構成されうる。上部カバーは、第一の位置と第二の位置との間の中間位置に配設されてもよい。上部カバーの移動のこの実施形態は、第二の実施形態として以下に示される。
【0010】
エアロゾル発生装置の長軸方向軸は、エアロゾル発生装置の長軸方向の長さに沿って延びる軸でありうる。長軸方向軸は、中央長軸方向軸に平行でありうる。長軸方向軸は、中央長軸方向軸と同一であることが好ましい。中央長軸方向軸は、エアロゾル発生装置の重力の中心を通り、エアロゾル発生装置の長軸方向の長さに沿って走りうる。長軸方向軸は、垂直平面にあることが好ましい。
【0011】
「長軸方向軸に対して横断方向」という用語は、長軸方向軸を横断する軸を指しうる。言い換えれば、「長軸方向軸に対して横断方向」という用語は、横断方向軸を指しうる。横断方向軸は、長軸方向軸に対して直角を成す方向に走ることが好ましい。横断方向軸は、水平平面にあることが好ましい。
【0012】
枢動移動は、エアロゾル発生装置の軸を中心とした、好ましくは長軸方向軸を中心とした、またはエアロゾル発生装置の横断方向軸を中心とした移動を指しうる。枢動移動の間、軸に対する距離は、実質的に同じまま、または厳密に同じままであってもよい。枢動移動の間、軸の長さに沿った移動が行われないことが好ましい。枢動移動中、回転角度が変化してもよい。本発明によると、枢動移動は、180°の移動であることが好ましい。枢動移動は、上部カバーの配向を切り替えるための移動であることが好ましい。
【0013】
摺動移動は、軸に沿った移動を指しうる。摺動移動の間、軸に対する距離は、本質的に同じまま、または厳密に同じままでありうる。摺動移動の間、回転角度は変化しないことが好ましい。摺動移動の間、軸の長さに沿った移動が行われることが好ましい。摺動移動は、軸に平行でありうる。摺動移動は軸上にあることが好ましい。
【0014】
エアロゾル発生装置は、空洞内にヒーターをさらに備えうる。
【0015】
上部カバーがエアロゾル発生装置の横断方向軸を中心として枢動可能に移動可能に構成されうる第一の実施形態では、ヒーターは、上部カバーの第二の位置でアクセス可能であることが好ましい。
【0016】
上部カバーがエアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心として枢動可能に移動可能に、かつエアロゾル発生装置の長軸方向軸に沿って摺動可能に移動可能に構成されうる第二の実施形態では、ヒーターは、中間位置においてアクセス可能であることが好ましい。これに関して、中間位置は、第一の位置と第二の位置との間に提供されうる。
【0017】
第一の実施形態および第二の実施形態では、空洞の遠位端は、空洞の遠位端が閉じられうるように、上部カバーの第一の位置において本体に隣接して配設されうる。空洞の遠位端の位置は、上部カバーの移動の第一の実施形態および第二の実施形態では異なりうる。
【0018】
本明細書で使用される「上流」、「下流」、「近位」、「遠位」という用語は、ユーザーがその使用中にエアロゾル発生装置またはエアロゾル発生物品を吸う方向に対する、エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を説明するために使用されうる。これらの用語は、上部カバーが第一の位置にある時に定義される。例えば、空洞の遠位端に対して言及する場合、この言及は、上部カバーが第一の位置にある時の空洞の遠位端を指す。上部カバーが第二の位置にある場合、遠位端として示される空洞の端部は、実際には近位端方向に回転または移動している場合がある。しかしながら、なおも、この端部は遠位端として示されうる。言い換えれば、特定の要素への言及は、これらの要素の移動後で変わらない。
【0019】
より詳細には、第一の実施形態では、空洞の遠位端は、空洞の遠位端が上部カバーの第二の位置において本体に隣接して配設されなくなるように、近位方向に枢動可能に移動または回転されうる。これ故に、第一の実施形態では、空洞の遠位端は、上部カバーの第二の位置においてアクセス可能である。
【0020】
第二の実施形態では、上部カバーは、第一の位置から第二の位置への移動中に、中間位置に向かって移動する。これに関して、最初、上部カバーは横断方向軸に沿って摺動可能に移動する、およびエアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心として枢動可能に移動する、のうちの一つ以上である。初期移動は、摺動移動であることが好ましい。この移動は、第一の位置から中間位置への上部カバーの移動を促進しうる。中間位置では、空洞の遠位端はアクセス可能である。その後、上部カバーは、摺動または枢動移動によって中間位置から第二の位置へ移動する。その後の移動は、枢動移動であることが好ましい。上部カバーの移動の第二の実施形態の第二の位置では、空洞の遠位端は、本体が空洞の遠位端を遮断するように本体に隣接して空洞の遠位端が配設されるために、アクセス可能ではなくなる。
【0021】
ヒーターは、上部カバーが第二の位置にある、または第一の位置と第二の位置との間の中間位置にある時に、上部カバーの空洞から取り外し可能であり、かつ上部カバーの空洞の中へと挿入可能であってもよい。
【0022】
上部カバーの移動の第一の実施形態における第二の位置、または上部カバーの移動の第二の実施形態における中間位置は、ヒーターの修理または交換を可能にする。有利なことに、ヒーターは、エアロゾル発生装置全体または上部カバー全体を修理または交換する必要なく、修理または交換されうる。
【0023】
空洞およびヒーターは、ヒーターが装置の長軸方向軸に対して単一の特定の配向で空洞の中へと挿入可能でありうるような寸法でありうる。
【0024】
したがって、ヒーターを空洞の中へと単一の方向で挿入することを可能にする、キー式構成が達成されうる。したがって、ユーザーがヒーターを望ましくない配向で空洞の中へと挿入することが防止されうる。例えば、ヒーターまたはヒーターのマウントは、ヒーターを単一の特定の配向で空洞の中へと挿入することが可能となるような、不規則または非対称の形状を有してもよい。空洞は、ヒーターを挿入するための開口部を含むことが好ましく、開口部は、ヒーターのヒーターまたはヒーターのマウントの断面に対応する断面を有しうる。
【0025】
ヒーターは、空洞の遠位端から、空洞から取り外し可能、かつ空洞の中へと挿入可能でありうる。
【0026】
上部カバーが第一の位置にある時に画定される空洞の近位端は、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル発生物品の挿入のために構成されうる。空洞の遠位端は、空洞の近位端の反対側に配設されうる。ヒーターが空洞の遠位端からアクセス可能であるように空洞を構成することは、ヒーターの基部またはマウントがアクセス可能になることを促進しうる。修理または保守中、ユーザーは、加熱されるヒーターの部分に触れることなく、ヒーターの基部またはマウントを把持しうる。したがって、ヒーターの損傷が防止されうる。さらに、ヒーターの取り外しの容易さが促進されうる。
【0027】
ヒーターは保護シールドを含みうる。保護シールドは、ヒーターの空洞からの取り外し、およびヒーターの空洞の中への挿入の間にヒーターを保護しうる。保護シールドは、多孔質で軽量の保護体であってもよい。 保護体は、箔、プラスチック、および大孔メッシュを形成する他の適切な材料などの任意の固体材料で作製されうる。保護シールドは、スレッド機構または任意の適切な機構によってヒーターに取り付けられうる。保護シールドは、ヒーターのマウント上に取り付けられてもよい。
【0028】
保護シールドは、ヒーターが空洞から取り外される時に、ヒーターの全長に沿って少なくとも部分的に延びうる。したがって、ヒーターが保護されうると同時に、加熱されるヒーターの部品の修理または交換が容易になりうる。ヒーターを覆うために、保護シールドは、ヒーターの取り外し中にヒーターの上に引き出されてもよい。突出部または任意のその他の適切な要素は、保護シールドをヒーターの上に引き出すまたは押し出すために、空洞の遠位端において開口部の近くに配置されうる。別の方法としてまたは追加的に、ユーザーは、手動でヒーターを保護シールドで覆ってもよい。
【0029】
上部カバーおよび本体のうちの一つ以上は、上部カバーを第一の位置および第二の位置のうちの一つ以上に係止するように構成された係止機構を含みうる。
【0030】
係止機構は、機械的ロッカーを含みうる。係止機構は、機械的ストッパーを含みうる。係止機構は、機械的ロッカーおよび機械的ストッパーを含んでもよい。係止機構は、雄型部品および雌型部品を含みうる。係止機構の雄型部品は、エアロゾル発生装置の本体に配設されてもよい。係止機構の雌型部品は、エアロゾル発生装置の上部カバーに配設されてもよい。別の方法として、係止機構の雄型部品が上部カバーに配置され、係止機構の雌型部品が本体に配設されてもよい。係止機構の雄型部品は、球状形状を有してもよい。係止機構の雄型部品は、固体ボールであってもよい。係止機構の雌型部品は、スロットを含んでもよく、係止機構の雄型部品がその内部に嵌合しうる。別の方法として、係止機構の雄型部品および雌型部品は、デュアル金属ばねとして提供されてもよい。係止機構は、係止機構の雄型部品を係止機構の雌型部品に向けて付勢するためのばねなどの付勢要素を含みうる。係止機構は、上部カバーを第一の位置ならびに第二の位置に保持するように構成されうる。係止機構は、ユーザーが所定の力を克服して上部カバーを係止機構の係止作用から移動させるように構成されうる。係止機構は、係止機構の係止作用を停止するためにユーザーによって利用されうる、ハンドルまたはボタンなどの解放機構を含みうる。係止機構の解放機構は、摺動機構であってもよい。摺動機構は、ユーザーによって操作可能な摺動可能なハンドルに接続されてもよい。摺動機構は、第一の位置および第二の位置のうちの一つ以上に上部カバーを係止するように構成されてもよい。摺動機構は、突出部を備えてもよく、これは、上部カバーおよび本体のうちの一つ以上の対応する陥凹部の中へと摺動可能であってもよい。例えば、本体は、摺動機構を含んでもよく、摺動機構の突出部は、上部カバーの位置を本体に対して、またはその逆で係止するために、上部カバーの対応する陥凹部の中へと摺動可能であってもよい。係止機構は、摺動機構を係止位置に向けて付勢する付勢要素を含みうる。
【0031】
係止機構は、本体の電力供給源から上部カバーへの電気エネルギーの伝達を可能にするための電気リード線を含みうる。
【0032】
上部カバー内で、電気エネルギーは、ヒーターを操作するためにヒーターに向かって、そしてヒーターを通って流れうる。係止機構は導電性材料から作製されてもよい。係止機構の雄型部品および雌型部品は、電気エネルギーを伝達するための電気リード線として作用しうることが好ましい。係止機構は、上部カバーを第一の位置に固定するのみであるように構成されうる。上部カバーが第一の位置に固定される場合、本体から上部カバーへの電気エネルギーの流れは、係止機構によって可能になりうる。エアロゾル発生装置は、係止機構によって本体から上部カバーへの電気エネルギーの流れが可能となった場合に、自動的に動作されるように構成されうる。エアロゾル発生装置の動作は、エアロゾル発生装置のヒーターの動作または起動を指しうる。係止機構は、上部カバーを本体に対して第二の位置に固定するように構成された第一の部分を含みうる。係止機構の第一の部分は、電気エネルギーが本体から上部カバーに流れることを防止しうる。エアロゾル発生装置は、電気エネルギーが本体から上部カバーに流れない時にはエアロゾル発生装置の動作を防げるように構成されうる。したがって、エアロゾル発生装置は、上部カバーが第二の位置にある時には動作することを妨げられうる。係止機構は、本体から上部カバーへの電気エネルギーの流れを可能にする第二の部分を含みうる。係止機構の第二の部分は、上部カバーを第一の位置に固定するように構成されうる。これ故に、上部カバーが第一の位置から第二の位置へ移動する時の電力が節約されうる。別の方法として、または追加的に、上部カバーが第一の位置に配設される時のエネルギー効率が最適化されうる。
【0033】
本体から上部カバーへの電気エネルギーの流れを促進する係止手段の代替として、電気接点が、ヒーターの基部またはマウントの空洞の遠位端に、および本体の反対側の位置に配設されてもよい。上部カバーが第一の位置に配設される場合、ヒーターの電気接点は、本体の電気接点に接触しうる。上部カバーが第二の位置に配設される場合、ヒーターの電気接点および本体の電気接点は、本体からヒーターへの電気エネルギーの流れが妨げられるように、互いから距離を置いて配設されうる。電気接点は、摺動接点として構成されてもよい。
【0034】
上部カバーの移動の第二の実施形態では、上部カバーがエアロゾル発生装置の横断方向軸に沿って少なくとも摺動可能に移動する時、上部カバーと本体のうちの一つ以上は、摺動移動を促進するための溝を含みうる。溝は、摺動移動を制限しうる。本体は溝を含み、上部カバーは、本体の溝の内側に摺動可能に配設されたピンなどの突出部を含むことが好ましい。本体と上部カバーとの間の電気接点を促進するために、電気ばね接点が、本体の溝の特定の位置に配設されてもよい。電気ばね接点は、上部カバーが第一の位置にある時に上部カバーのピンが配設される、本体の溝の位置に配設されてもよい。さらに、上部カバーのピンは、電気エネルギーが、電気ばね接点を通して本体から、上部カバーのピンを通して上部カバーに配設されたヒーターに向けて伝達されうるように導電性として構成されうる。この配設の代わりに、上部カバーが対応する溝を含み、本体が対応するピンを含んでもよい。
【0035】
エアロゾル発生装置は、上部カバーを第一の位置および第二の位置のうちの一つ以上に付勢するように構成された付勢機構をさらに含みうる。
【0036】
付勢機構は、ばねを含みうる。付勢機構は、本体内に配設されてもよい。付勢機構は、上部カバー内に配設されてもよい。付勢機構は、上部カバーを第一の位置から第二の位置に向けて付勢するように、上部カバーの第一の位置に装填されてもよい。しかしながら、付勢機構は、上部カバーを第二の位置から第一の位置に向けて付勢するために、上部カバーの第二の位置に装填されてもよい。係止機構は、上部カバーを、第一の位置に、または第二の位置に、または第一の位置および第二の位置に保持するために提供されうる。係止機構は、上部カバーを、上部カバーが係止機構によって保持された位置から解放するためのハンドルまたはボタンなどのトリガ機構を含みうる。ユーザーが装置の動作を望む場合、最初は第二の位置にある上部カバーは、ユーザーが係止機構を停止した時の付勢要素の付勢作用によって第一の位置へと自動的に移動しうる。
【0037】
エアロゾル発生装置は、上部カバーの枢動移動を可能にするように構成されたスレッド機構を含みうる。
【0038】
スレッド機構は、一つ以上の第一のスレッドを含みうる。スレッド機構は、二つの第一のスレッドを含むことが好ましい。スレッド機構の第一のスレッドは、スレッド機構のシャフト上に配設されることが好ましい。スレッド機構のシャフトは、エアロゾル発生装置の横断方向軸に沿って、より好ましくはその上に配設されることが好ましい。スレッド機構は、上部カバーと接続されてもよく、上部カバーと一体的に形成されることが好ましい。上部カバーは、スレッド機構のシャフトと接続されてもよく、スレッド機構のシャフトと一体的に形成されることが好ましい。スレッド機構は、少なくとも一つ、好ましくは二つの可動部品を含むことが好ましい。可動部品は、第二のスレッドを含むことが好ましい。可動部品の第二のスレッドは、スレッド機構の第一のスレッドに対応するスレッドとして構成されることが好ましい。第一のスレッドが雌スレッドであり、第二のスレッドが雄スレッドであってもよく、またはその逆も可である。第三の機構の可動部品がエアロゾル発生装置の横断方向軸に沿って移動する場合、シャフトが回転する。言い換えれば、可動部品の並進移動は、シャフトの回転運動に変換されうる。上部カバーの第一の位置では、可動部品は、可動部品が互いから離れて移動する、拡張された状態で配設されることが好ましい。上部カバーの第二の位置では、可動部品は、可動部品が互いに向かって移動する格納状態で配設されることが好ましい。可動部品は、上部カバーが第二の位置にある場合に、実質的に上部カバーを包含するように、少なくとも部分的に中空の形状を有しうる。可動部品は本体を構成することが好ましい。これ故に、第二の位置には、上部カバーが見えない、コンパクトな要素が提供されうる。第二の位置から第一の位置への上部カバーの移動中、本体は離れるように移動して、上部カバーが見えるようになり、同時に回転しうる。
【0039】
本体は、本体の近位端に二つの伸張部を含みうる。上部カバーは、二つの伸張部の間に配設されてもよい。
【0040】
二つの伸張部は、上部カバーがエアロゾル発生装置の横断方向軸を中心として枢動可能に移動可能である上部カバーの移動の第一の実施形態において特に好ましい。二つの伸張部は、上部カバーのマウントとして機能しうる。二つの伸張部は、本体を上部カバーに接続するためのシャフトまたはピンなどのマウント要素を含みうる。マウント要素は、上部カバーが本体に対して枢動可能に移動されうるように提供されてもよい。二つのマウント要素を含むマウント点が提供され、二つの伸張部のそれぞれが、一つのマウント点および一つのマウント要素を含むことが好ましい。二つのマウント点を接続する軸は、エアロゾル発生装置の横断方向軸でありうる。二つの伸張部は、上部カバーに対する本体の整列を最適化するために、内側表面の長さに沿った案内レールを含みうる。
【0041】
本発明の各実施形態において、エアロゾル発生装置は、本体および上部カバーとの間に、シャフトまたはピンなどのマウント点およびマウント要素を含んで、本体に対する上部カバーの移動を促進してもよい。
【0042】
エアロゾル発生装置の上部カバーは、多用途空洞を含んでもよい。多用途空洞は、クリーニングツールおよびエアロゾル発生物品のうちの一つ以上を格納するように構成されうる。多用途空洞は、上部カバーが第一の位置、第二の位置、および中間位置のうちの一つ以上にある時に、アクセス可能でありうることが好ましい。多用途空洞は、上部カバーが第二の位置にある時に、アクセス可能であることが最も好ましい。
【0043】
上述の空洞は、ヒーターを含むことが好ましい。ヒーターは電気抵抗性材料を含んでもよい。適切な電気抵抗性の材料には例えば、ドープされたセラミックなどの半導体、導電性のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、金属合金、セラミック材料製・金属材料製の複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。適切なドープされたセラミックの例としては、ドープ炭化ケイ素が挙げられる。適切な金属の例としては、チタン、ジルコニウム、タンタル白金、金、銀が挙げられる。適切な金属合金の例としては、ステンレス鋼、ニッケル含有、コバルト含有、クロム含有、アルミニウム含有、チタン含有、ジルコニウム含有、ハフニウム含有、ニオブ含有、モリブデン含有、タンタル含有、タングステン含有、スズ含有、ガリウム含有、マンガン含有、金含有、および鉄含有合金、ならびにニッケル、鉄、コバルト、ステンレス鋼系の超合金、Timetal(登録商標)、ならびに鉄-マンガン-アルミニウム系合金が挙げられる。複合材料において、電気抵抗性材料は、必要とされるエネルギー伝達の動態学および外部の物理化学的特性に応じて随意に、断熱材料中に包埋、断熱材料中に封入、もしくは断熱材料で被覆されてもよく、またはその逆も可である。
【0044】
エアロゾル発生装置は、内部ヒーター、または外部ヒーター、または内部ヒーターと外部ヒーターの両方を備えうるが、ここで「内部」および「外部」は、エアロゾル形成基体についてである。内部ヒーターは、任意の適切な形態を取りうる。例えば、内部ヒーターは、加熱ブレードの形態を取ってもよい。内部ヒーターは空洞内に配設されることが好ましく、空洞内に中央に配設されることがより好ましい。別の方法として、内部ヒーターは、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属チューブを有するケーシングまたは基板の形態を取ってもよい。別の方法として、内部ヒーターは、エアロゾル形成基体の中心を通り抜ける一つ以上の加熱針またはロッドであってもよい。その他の代替としては、加熱ワイヤーまたはフィラメント、例えばNi-Cr(ニッケルクロム)、白金、タングステン、または合金ワイヤーもしくは加熱プレートが挙げられる。随意に、内部ヒーターは、剛直な担体材料の中またはこの材料上に配置されてもよい。こうした一つの実施形態において、電気抵抗ヒーターは、温度と比抵抗の間で明確な関係を有する金属を使用して形成しうる。こうした例示的な装置において、金属は、セラミック材料などの適切な断熱材料上にトラックとして形成され、その後ガラスなどの別の断熱材料中に挟まれてもよい。この様態で形成されたヒーターは、動作中のヒーターの加熱と、その温度の監視との両方に使用されうる。
【0045】
外部ヒーターは、任意の適切な形態をとってもよい。例えば、外部ヒーターは、ポリイミドなどの誘電性基体上の一つ以上の可撓性の加熱箔の形態を取ってもよい。可撓性の加熱箔は、空洞の周囲に適合する形状にすることができる。外部ヒーターは空洞を囲むように配設されることが好ましい。別の方法として、外部ヒーターは、金属グリッド(単一または複数)、可撓性のプリント基板、成形回路部品(MID)、セラミックヒーター、可撓性の炭素繊維ヒーターの形態を取ってもよく、または適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などの被覆技法を使用して形成されてもよい。外部ヒーターはまた、温度と比抵抗の間に明確な関係を有する金属を使用して形成されてもよい。こうした例示的な装置において、金属は適切な断熱材料の二層の間のトラックとして形成されうる。この方法で形成された外部ヒーターは、加熱するためと、動作中の外部ヒーターの温度をモニターするためとの両方に使用されてもよい。
【0046】
ヒーターは、有利なことに、伝導によってエアロゾル形成基体を加熱する。ヒーターは基体、または基体が配置されている担体と、少なくとも部分的に接触してもよい。別の方法として、内部ヒーターまたは外部ヒーターのいずれかからの熱は、熱伝導性要素によって基体に伝導しうる。ヒーターは誘導ヒーターとして構成されてもよい。この場合、ヒーターは、サセプタ材料と、サセプタ材料を囲むように配設された誘導コイルとを含みうる。ブレードまたはピンの形態を有するサセプタ材料は、内部ヒーターとして配設され、誘導コイルは、サセプタ材料を囲むように配設されることが好ましい。
【0047】
ヒーターは、本体の一部であってもよい。しかしながら、ヒーターは上部カバーの一部であることが好ましい。これ故に、ヒーターは、上部カバーと一緒に移動することが好ましい。
【0048】
動作中、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置内に部分的に包含されてもよい。その場合、ユーザーはエアロゾル発生物品を直接吸煙してもよい。
【0049】
空洞は、円筒または管状形状を有することが好ましい。空洞は、基部を有することが好ましい。基部は、ヒーターが通過しうる開口部を有することが好ましい。空洞は、近位端を含みうる。近位端は、エアロゾル発生物品の挿入のために開いていてもよい。遠位端は、空洞の基部を含みうる。別の方法として、空洞は、開いた遠位端を有してもよい。空洞は、エアロゾル発生装置とともに使用されるエアロゾル発生物品の断面に対応する断面を有することが好ましい。例えば、空洞は、キー式構成を可能にする断面を有してもよく、これは、エアロゾル発生物品が特定の方法でのみ空洞の中へと挿入されうることを意味している。
【0050】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」は、エアロゾル形成基体と相互作用してエアロゾルを発生する装置に関する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部、例えば喫煙物品の一部であってもよい。エアロゾル発生装置は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体と相互作用してユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙装置であってもよい。エアロゾル発生装置はホルダーであってもよい。装置は、電気加熱式の喫煙装置であってもよい。
【0051】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。例えば、エアロゾル発生物品は、ユーザーの口を通ってユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生する喫煙物品であってもよい。エアロゾル発生物品は、使い捨てであってもよい。たばこを含むエアロゾル形成基体を備える喫煙物品は、たばこスティックと呼ばれうる。
【0052】
エアロゾル発生物品は、実質的に円筒状であってもよい。エアロゾル発生物品は実質的に細長くてもよい。エアロゾル発生物品は、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。エアロゾル形成基体は実質的に円筒状の形状であってもよい。エアロゾル形成基体は実質的に細長くてもよい。エアロゾル形成基体はまた、長さと、その長さに対して実質的に直角を成す円周とを有してもよい。
【0053】
エアロゾル発生物品は、およそ30mm~およそ100mmの全長を有してもよい。エアロゾル発生物品は、およそ5mm~およそ12mmの外径を有してもよい。エアロゾル発生物品はフィルタープラグを備えてもよい。フィルタープラグは、エアロゾル発生物品の下流端に位置してもよい。フィルタープラグは、セルロースアセテートフィルタープラグであってもよい。フィルタープラグは、一つの実施形態で長さおよそ7mmとしうるが、およそ5mm~およそ10mmの長さを有してもよい。
【0054】
一実施形態において、エアロゾル発生物品はおよそ45mmの全長を有する。エアロゾル発生物品は、およそ7.2mmの外径を有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体は、およそ10mmの長さを有してもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、およそ12mmの長さを有してもよい。さらに、エアロゾル形成基体の直径は、およそ5mm~およそ12mmであってもよい。エアロゾル発生物品は外側紙ラッパーを備えてもよい。さらに、エアロゾル発生物品は、エアロゾル形成基体とフィルタープラグの間に分離部を備えてもよい。分離部は、およそ18mmであってもよいが、およそ5mm~およそ25mmの範囲であってもよい。
【0055】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体に関する。こうした揮発性化合物は、エアロゾル形成基体を加熱することによって放出されてもよい。エアロゾル形成基体は好都合なことに、エアロゾル発生物品または喫煙物品の一部であってもよい。
【0056】
エアロゾル形成基体は固体エアロゾル形成基体であってもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は固体構成要素と液体構成要素の両方を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、高密度で安定したエアロゾルの形成を容易にするエアロゾル形成体をさらに含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0057】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎の断片、再構成たばこ、均質化したたばこ、押出成形たばこ、キャストリーフたばこ、および膨化たばこのうちの一つ以上を含有する、例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。固体エアロゾル形成基体は、ばらの形態であってもよく、または適切な容器またはカートリッジで提供されてもよい。随意に、固体エアロゾル形成基体は、基体の加熱に伴い放出される追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよい。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含むカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶けてもよい。
【0058】
本明細書で使用される「均質化したたばこ」は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を指す。均質化したたばこは、シートの形態であってもよい。均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5%超のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。別の方法として、均質化したたばこ材料は、乾燥重量基準で5~30重量%のエアロゾル形成体含有量を有してもよい。均質化したたばこ材料シートは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎のうちの一方または両方を粉砕することによって、またはその他の方法で組み合わせることによって得られた粒子状たばこを凝集することによって形成されてもよい。別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、例えばたばこの処理、取り扱い、および発送中に形成されたたばこダスト、たばこの微粉、その他の粒子状たばこ副産物のうちの一つ以上を含んでもよい。均質化したたばこ材料シートは、粒子状たばこの凝集を助けるために、一つ以上の本来備わっている結合剤(すなわち、たばこ内在性結合剤)、一つ以上の外来的な結合剤(すなわち、たばこ外来性結合剤)、またはこれらの組み合わせを含んでもよいが、別の方法として、または追加的に、均質化したたばこ材料シートは、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、湿潤剤、可塑剤、風味剤、充填材、水性および非水性の溶剤、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないその他の添加物を含んでもよい。
【0059】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、スパゲッティ、細片またはシートの形態を取ってもよい。別の方法として、担体は、その内表面上、またはその外表面上、またはその内表面と外表面の両方の上に堆積された固体基体の薄い層を有する、管状の担体であってもよい。こうした管状の担体は、例えば紙、または紙様の材料、不織布炭素繊維マット、低質量の目の粗いメッシュ金属スクリーン、もしくは穿孔された金属箔、または任意の他の熱的に安定した高分子マトリクスで形成されてもよい。
【0060】
特に好ましい一実施形態において、エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含む。本明細書で使用される「捲縮したシート」という用語は、複数の実質的に平行な隆起または波形を有するシートを意味する。エアロゾル発生物品が組み立てられた時、実質的に平行な隆起または波形は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に沿って、またはこれと平行に延びることが好ましい。これは有利なことに、均質化したたばこ材料の捲縮したシートを集合してエアロゾル形成基体を形成するのを容易にする。しかし、当然のことながら、エアロゾル発生物品に含めるための均質化したたばこ材料の捲縮したシートは別の方法として、または追加的に、エアロゾル発生物品が組み立てられた時に、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して鋭角または鈍角で配置されている複数の実質的に平行な隆起または波形を有してもよい。ある特定の実施形態において、エアロゾル形成基体は、実質的にその表面全体にわたって実質的に均等にきめのある均質化したたばこ材料のシートの集合体を含んでもよい。例えば、エアロゾル形成基体は、シートの幅にわたって実質的に均等に離隔している複数の実質的に平行な隆起または波形を含む均質化したたばこ材料の捲縮したシートの集合体を含んでもよい。
【0061】
固体エアロゾル形成基体は、例えばシート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は担体の表面全体の上に堆積されてもよく、または別の方法として、使用中に不均一な風味送達を提供するためのパターンで堆積されてもよい。
【0062】
エアロゾル発生装置は、電気回路を備えてもよい。電気回路はマイクロプロセッサを備えてもよく、これはプログラム可能マイクロプロセッサであってもよい。マイクロプロセッサはコントローラの一部としうる。電気回路はさらなる電子構成要素を備えてもよい。電気回路はヒーターへの電力供給を調節するように構成されてもよい。電力はエアロゾル発生装置の起動後にヒーターに連続的に供給されてもよく、または毎回の吸煙ごとなど、断続的に供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態でヒーターに供給されてもよい。電気回路は、ヒーターの電気抵抗をモニターし、好ましくはヒーターの電気抵抗に応じてヒーターへの電力供給を制御するように構成されうる。電気回路は、本体内に配設されてもよい。電気回路は、上部カバーが第一の位置にある時に、電気エネルギーをヒーターに自動的に供給するように構成されることが好ましい。電気回路は、上部カバーが第二の位置にある時に、電源からヒーターへの電気エネルギーの供給を停止するように構成されうる。エアロゾル発生装置は、上部カバーが第一の位置にあるかどうかを検出するための電気スイッチなどの検出要素を備えてもよい。検出要素は、本体に対する上部カバーのあらゆる位置を検出するように構成されうる。
【0063】
エアロゾル発生装置は、本体内に電源(典型的には電池)を備えてもよい。代替として、電源は、コンデンサーなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は、再充電を必要とする場合があり、また一回以上の喫煙体験のために十分なエネルギーの蓄積を可能にする容量を有してもよい。例えば、電源は約6分間、または6分の倍数の時間にわたってエアロゾルを連続的に発生するのに十分な容量を有してもよい。別の実施例では、電力供給源は、所定の吸煙回数またはヒーターの不連続的な起動を提供するために十分な容量を有してもよい。
【0064】
本発明はまた、上述のようなエアロゾル発生装置を備えるエアロゾル発生システム、およびエアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品にも関する。
【0065】
また、上部カバーの空洞にアクセスするためにエアロゾル発生装置の上部カバーを移動させるための方法も提供され、この方法は、
【0066】
本体および上部カバーを備えるエアロゾル発生装置を提供する工程であって、上部カバーはエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品を空洞の中へと取り外し可能に挿入するための空洞を含み、上部カバーは、本体に対して第一の位置と第二の位置との間で移動可能であるように構成され、空洞は、上部カバーが第一の位置にある時にエアロゾル発生物品の挿入のためにアクセス可能であり、空洞は、上部カバーが第二の位置にある時にエアロゾル発生物品の挿入のためにアクセス不能であり、第一の位置と第二の位置との間の上部カバーの移動は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸を中心とした、またはエアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向の上部カバーの枢動移動、およびエアロゾル発生装置の長軸方向軸に対して横断方向の上部カバーの摺動移動のうちの一つ以上によって引き起こされる、提供する工程と、
【0067】
上部カバーを第一の位置から第二の位置へ移動させる工程と、を含む。
【0068】
方法は、空洞内へのエアロゾル発生物品の挿入を含みうる。方法は、エアロゾル発生物品内に収容されるエアロゾル形成基体を加熱することを含みうる。方法は、エアロゾル発生を含みうる。方法は、ヒーターの起動、動作および停止のうちの一つ以上を含みうる。方法は、エアロゾル発生物品の空洞からの取り外しを含みうる。方法は、空洞の遠位端を介したヒーターの取り外しを含みうる。方法は、空洞の遠位端を介したヒーターの挿入を含みうる。
【0069】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1図1は、エアロゾル発生装置の本体に対するエアロゾル発生装置の上部カバーの移動の第一の実施形態を示す。
図2図2は、上部カバーの空洞内へのヒーターの挿入を示す。
図3図3は、ヒーター用の保護シールドの断面図を示す。
図4図4は、上部カバーを第一の位置または第二の位置で固定するためのハンドルを示す。
図5図5は、係止機構の断面図を示す。
図6図6は、エアロゾル発生装置の本体に対するエアロゾル発生装置の上部カバーの移動の第二の実施形態を示す。
図7図7は、上部カバーの移動の第二の実施形態を促進するための上部カバーを示す。
図8図8は、上部カバーの移動の第二の実施形態を促進するための上部カバーのさらなる図を示す。
図9図9は、エアロゾル発生装置の本体に対するエアロゾル発生装置の上部カバーの移動の第一の実施形態を実現するための第二の構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0071】
図1は、上部カバー10および本体12を備えるエアロゾル発生装置を示す。上部カバー10は、エアロゾル形成基体を含有するエアロゾル発生物品16の挿入のための空洞14を含む。物品16は、例えば図4に示される。
【0072】
エアロゾル発生装置の上部カバー10は、エアロゾル発生装置の本体12に対して移動可能である。上部カバー10の移動を促進するために、図1は、本体12の近位端に配設され、かつ上部カバー10の側面に沿って配設される二つの伸張部18を示す。図1の左部分にある図1Aは、エアロゾル発生装置が動作可能である第一の位置にある上部カバー10を示す。この位置では、エアロゾル発生物品16は、エアロゾル発生物品16中に含有されるエアロゾル形成基体を加熱するため、および吸入可能なエアロゾルを発生するために、空洞14の中へと挿入されうる。
【0073】
図1Bでは、上部カバー10の移動の開始が示されており、上部カバー10は第一の位置から第二の位置に向かって移動している。上部カバー10は回転する。言い換えれば、上部カバー10は、エアロゾル発生装置の横断方向軸Tを中心として枢動可能に移動する。横断方向軸Tは、エアロゾル発生装置の長軸方向軸Lに対して直角を成す。図1Bに見られるように、球体として構成された雄型部品24およびスロットとして構成された雌型部品26を含む係止機構22(より明確に図5および図7に示す)が提供される。雄型部品24は、四つの球体を含み、雌型部品26は、四つのスロットを含む。二つの伸張部18のそれぞれは、係止機構22の二つの部分を含む。係止機構22の異なる部品は、上部カバー10が第一の位置または第二の位置に配設された時に、本体12に対する上部カバー10の係止作用を増大させるために、互いから間隙を介して配設される。
【0074】
図1Cは、上部カバー10が第二の位置に達したことを示す。こうして、上部カバー10は、上部カバー10の遠位端28が近位方向Pに向かって配向され、上部カバー10の近位端20が遠位方向Dに向かって配向されるように、180°完全に回転している。上部カバー10の端部の命名規則は、第一の位置における上部カバー10の配向に基づいており、上部カバー10が第二の位置に移動した時の、上部カバー10の配向とは独立して保持される。図1Cから分かるように、図1Cで初めて見ることができる上部カバー10の遠位端28は、エアロゾル発生物品16、またはクリーニングツールなどの要素を格納するための多用途空洞30を含む。さらに、上部カバー10の遠位端28は、エアロゾル発生装置のヒーター34の取り外しおよび挿入のための開口部32を含む(例えば、図2を参照)。こうして、ヒーター34は、上部カバー10に配設され、上部カバー10と共に回転する。
【0075】
図2は、上部カバー10およびヒーター34を示し、ヒーター34は、上部カバー10の遠位端28で上部カバー10の空洞14の中へと挿入されている。ヒーター34は、加熱される部品を含む。この部品はブレード形状である。さらに、ヒーター34はマウント36を含む。マウント36は、ヒーター34の基部に隣接して置かれてもよい。マウント36は、ヒーター34をマウント36に取り付けるように構成されてもよい。マウント36は、ヒーター34に向けた電気エネルギーの流れを可能にするように構成されてもよい。上部カバー10が図1Dに描写するように第二の位置に向かって回転する場合、ヒーター34は、修理または交換のために上部カバー10から簡単に取り外すことができる。修理または交換されたヒーター34は、空洞14の中へと容易に挿入されうる。次に、上部カバー10は、動作のために第一の位置に向かって戻るよう回転されうる。さらに、第二の位置を使用して、加熱される空洞14またはヒーター34の部品の望ましくない汚染を防止してもよい。これ故に、上部カバー10の第二の位置は、エアロゾル発生装置の格納に使用されうる。
【0076】
図3は、ヒーター34の断面図を示す。特に、加熱されるヒーター34のブレード形状部分、およびヒーター34のマウント36に加えて、ヒーター34の保護シールド38が図示されている。図3の左部分では、保護シールド38は格納状態で示されている。この状態は、ヒーター34が上部カバー10の空洞14の中に挿入された時の保護シールド38の状態でありうる。こうして、保護シールド38は、エアロゾル発生物品16が空洞14の中に挿入され、そして加熱されるヒーター34の部分がエアロゾル形成物品に含有されるエアロゾル形成基体を貫通しうるように、加熱されるヒーター34の部分からこの状態に格納されうる。図3の右部分では、保護シールド38は拡張状態で示されている。ヒーター34の保護シールド38は、ヒーター34が上部カバー10の空洞14から取り外される時、拡張状態にありうる。したがって、ヒーター34が空洞14から取り外される時、加熱されるヒーター34の少なくとも部分は、保護シールド38によって保護されうる。これは、空洞14からのヒーター34の取り外し中または取り外し後に、ヒーター34への損傷を防止するのに特に有益でありうる。
【0077】
図4は、上部カバー10を、第一の位置および第二の位置のうちの一つ以上に係止するための第二の係止機構42のためのハンドル40を示す。
【0078】
図5は、第一の係止機構22ならびに第二の係止機構42の断面図を示す。第一の係止機構22は、球体を含む雄型部品24を含む。さらに、第一の係止機構22は、スロットを含む雌型部品26を備える。第一の係止機構22のこれらの部品は、図1に関連して既に説明した。さらに図5に見られるように、雄型部品24はばね44を含み、これは、雄型部品24と雌型部品26との間の確実な接続を促進するように、球体を雌型部品26に向けて付勢する。図1に示すように、複数の、好ましくは四つの雄型および雌型部品の対が、第一の係止機構20に提供されてもよい。
【0079】
さらに、図5は、上部カバー10を第一の位置および第二の位置のうちの一つ以上に確実に保持するための、摺動機構の形態の第二の係止機構42を示す。図5に示す摺動機構は、第一の係止機構22の雄型部品および雌型部品に加えて、または代替的に提供される。摺動機構は、特に図4に示すハンドル40によって、ユーザーによって手動で動作されてもよい。ハンドル40は、摺動機構の図5に示す突出部46を、上部カバー10内に配設された対応する陥凹部48の中へと摺動させるための摺動ハンドル40として構成されうる。突出部46は、ばねの形態の付勢要素50によって陥凹部48に向けて付勢される。これ故に、ユーザーは、突出部46を陥凹部48から手動で係合解除して、上部カバー10の移動を可能にしうる。図5に示す摺動機構は、上部カバー10が望ましくない移動をすることなく、エアロゾル発生物品16が上部カバー10の空洞14の中に挿入されうるように上部カバー10を第一の位置に確実に保持することを促進するために、上部カバー10の遠位端28上に提供されることが好ましい。ただし、当然のことながら、上部カバー10を第二の位置に確実に保持することを促進するために、対応する摺動機構、特に陥凹部48が追加的または代替的に上部カバー10の近位端20に提供されてもよい。
【0080】
本明細書で論じるすべての実施形態では、第一の位置および第二の位置のうちの一つ以上に向けて上部カバー10を付勢するために、付勢要素、好ましくはばねが提供されてもよい。ユーザーがハンドル40を係合解除する場合、上部カバー10は、この付勢要素の付勢作用によって第一の位置から第二の位置へ自動的に移動しうる。
【0081】
図6は、上部カバー10の移動の第二の実施形態を示す。図6Aに示す実施形態では、上部カバー10は第二の位置にある。この位置では、加熱空洞14の近位端20ならびに遠位端28は、本体12によって保護される。これ故に、空洞14は、望ましくない汚染から保護される。さらに、ヒーター34の損傷が防止される。図6A~6Cの上部分は、上方から見たエアロゾル発生装置を示す。図6の中央部分、図6Bは、装置が第二の位置から中間位置に移動する第一の移動を示す。図6Bの下部分は、下方から見たエアロゾル発生装置を示す。図6の中央部分は、側方から見たエアロゾル発生装置を示す。第二の位置から中間位置への移動は、エアロゾル発生装置の長軸方向軸Lを中心とした上部カバー10の枢動移動によって促進される。図6に示す実施形態において、長軸方向軸Lは、エアロゾル発生装置の中央長軸方向軸と平行である。長軸方向軸Lはまた、中央長軸方向軸と同一であってもよい。図6に示す実施形態では、長軸方向軸Lは、中央長軸方向軸Lであることが好ましい。図6に示す枢動移動は、上部カバー10の近位端20および遠位端28に配設された、本体12の対応する溝54内に延びるピン52(図7に示す)によって促進される。ピン52および溝54は、図7および図8に関して以下により詳細に説明される。図6Bに示す上部カバー10の中間位置では、空洞14はアクセス可能である。これ故に、エアロゾル発生物品16を空洞14の中へと挿入することができる。追加的に、または別の方法として、ヒーター34は、修理または交換のために空洞14の遠位端28を通して取り外されてもよい。修理または交換されたヒーター34は、空洞14の遠位端28を通して空洞14の中に挿入されてもよい。本明細書に記載されるすべての実施形態では、ヒーター34は、空洞14の遠位端28を通してのみ、空洞14から取り外され、空洞14の中へと挿入されうる。図6Cでは、上部カバー10は、エアロゾル発生装置が動作可能である第一の位置に示されている。上部カバー10のこの位置では、上部カバー10の空洞14は、エアロゾル発生物品16が近位端20に配設された空洞14の中へと挿入されうるように、近位端20からなおもアクセス可能である。しかし、空洞14の遠位端28は、ヒーター34が保護されるように、本体12によって閉じられる。好ましくは、図6Bに示す中間位置は、ヒーター34へのアクセスを可能にするのに利用され、図6Cに示す第一の位置は、エアロゾル発生物品16を空洞14の中へと挿入し、そして装置を動作させるための動作位置として示されている。
【0082】
図7は、図6に示す実施形態による上部カバー10をより詳細に示す。図7の上部分は、上から見たエアロゾル発生装置を示しており、図7の中央部分は、図6の中央部分と同様に、側方から見たエアロゾル発生装置を示しており、そして図7の下部分は、下方から見たエアロゾル発生装置を示している。図7は、上部カバー10の遠位端28、ならびに近位端20にピン52を有する、上部カバー10を示す。ピン52は、図8に図示され、以下で説明する、本体12の対応する溝54内に配設されうる、または配置可能でありうる。ピン52に加えて、図7はまた、上部カバー10の位置を本体12に対して第一の位置および第二の位置に固定するための、上述の第一の係止機構22に類似する係止機構56を示す。
【0083】
図8は、図6および7に示す実施形態で利用される本体12の溝54を示す。本体12の溝54は、図7に示す上部カバー10のピン52が溝54の中へと挿入されうるように構成される。図8の左部分は、本体12の底部部分を示しており、図8の右部分は、図6に示すように、本体12の上部部分を示している。溝54に加えて、図8は、本体12と上部カバー10との間の電気接点が上部カバー10の第一の位置において促進されうるように溝54の端部に配設された電気ばね接点58を示す。これに関して、ピン52は、ピン52が電気ばね接点58と共に本体12と上部カバー10との間の電気接点を促進しうるように、導電性となるよう構成されることが好ましい。二つのピン52が、一つは上部カバー10の近位端20に、一つは上部カバー10の遠位端28に配設されることが好ましい。結果的に、二つの溝54が、一つは本体12の上部部分に、一つは本体12の底部部分に配設されることが好ましい。さらに、二つの電気ばね接点58が、一つは本体12の上部部分の溝54に、一つは本体12の底部部分のプルーフ(proof)に提供されることが好ましい。当然のことながら、溝54を含む本体12、およびピン52を含むカバー10の代わりに、上部カバー10が溝54を含み、本体12がピン52を含んでもよい。このようにして、エアロゾル発生装置の電源60からヒーター34に向けた電気エネルギーの流れが容易にされうる。電気エネルギーの流れは、電気回路62によって制御されうる。電源60および電気回路62は、本体12に配設されることが好ましい。ヒーター34は電源60および電気回路62とは別に配設されるため、電気回路62内の一つ以上の電源60は、これらの要素の寿命を延ばすようオーバーモールドされうる。
【0084】
図9は、スレッド機構による上部カバー10の移動の第一の実施形態のさらなる構成を示す。これに関して、図9の左部分は、本体12が二つの可動部品64を含む構成を示す。二つの可動部品64は、シャフト66と接続される。シャフト66は、第一のスレッド68を含む。上部カバー10は、シャフト66に接続され、シャフト66が回転するのに反応して回転する。さらに、可動部品64は、第一のスレッド68と係合する第二のスレッドを含む。図9の中央部分および右部分から分かるように、可動部分64が互いから離れるように移動する場合、上部カバー10は、自動的に180°回転する。これ故に、上部カバー10の第一の位置から第二の位置への移行は、可動部品64を一緒に互いから離れるように移動させることによって、図9に示す構成へと実現されうる。この構成は、図9の左側に示す位置において、上部カバー10が本体12を構成する可動部品64によって少なくとも部分的に、好ましくは完全に囲まれうるために、上部カバー10が損傷または汚染から保護されうるという利点を有しうる。
【国際調査報告】