(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(54)【発明の名称】大気汚染環境における列車運行防護方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01M 17/08 20060101AFI20220308BHJP
G06N 3/04 20060101ALI20220308BHJP
G06N 3/08 20060101ALI20220308BHJP
G01W 1/00 20060101ALI20220308BHJP
B61L 25/02 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
G01M17/08
G06N3/04 190
G06N3/08
G01W1/00 A
B61L25/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021541632
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 CN2020105470
(87)【国際公開番号】W WO2021023074
(87)【国際公開日】2021-02-11
(31)【優先権主張番号】201910709594.6
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518309666
【氏名又は名称】中南大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】特許業務法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 輝
(72)【発明者】
【氏名】陳 超
(72)【発明者】
【氏名】▲イェン▼ 光曦
(72)【発明者】
【氏名】龍 治豪
【テーマコード(参考)】
5H161
【Fターム(参考)】
5H161AA01
5H161BB20
5H161DD01
5H161FF01
5H161FF07
(57)【要約】
大気汚染環境における列車運行防護方法及びシステムであって、大気汚染環境における列車運行防護方法は、複数組の車屋根及び車底空気質検出データを収集するステップと、実験データを利用して車屋根及び車底の空気総合評価指標Q
0及びQ
1を求めるステップと、車屋根部品の曝露時間T
0及び車底部品の曝露時間T
1を算出するステップと、車屋根部品の汚染物質状態計算モデル及び車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練するステップと、列車が停車した後、車屋根及び車底空気質検出データを検出するステップと、車屋根及び車底部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出し、車屋根及び車底部品の汚染レベルを求めるステップと、求めた車屋根及び車底部品の汚染レベルに従って車屋根及び車底部品に対して対応する清掃防護処理を行うステップと、を含む。この方法は、大気汚染環境における列車の主要な部品の曝露状況を評価するとともに、関連する防護措置を行うことで、列車の主要な部品の正常な耐用年数を確保する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気汚染環境における列車運行防護方法であって、
複数組の車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを収集するとともに、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根及び車底での各汚染物質の平均濃度データを算出するステップ1と、
ステップ1における車屋根空気質検出データを利用して車屋根の空気総合評価指標Q
0を求め、ステップ1における車底空気質検出データを利用して車底の空気総合評価指標Q
1を求めるステップ2と、
Q
0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T
0、及びQ
1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T
1を算出し、ここで、Qは設定された空気質総合評価指標の健康値であるステップ3と、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
0をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車屋根部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG
0を取得し、ここでは車屋根部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
0を入力、G
0を出力として訓練することで、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、という方法に従って、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
1をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車底部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG
1を取得し、ここでは車底部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
1を入力、G
1を出力として訓練することで、車底部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、という方法に従って、車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練するステップ4と、
列車が停車した後、車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを取得するステップ5と、
ステップ5における車屋根空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、車屋根の空気総合評価指標Q
0、及びQ
0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T
0を求め、Q
0≧Qの条件下で、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車屋根部品の汚染レベルを求め、
ステップ5における車底空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、車底の空気総合評価指標Q
1、及びQ
1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T
1を求め、Q
1≧Qの条件下で、車底部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車底部品の汚染レベルを求めるステップ6と、
ステップ6にて求めた車屋根部品の汚染レベルに従って車屋根部品に対して対応する清掃防護処理を行い、
ステップ6にて求めた車底部品の汚染レベルに従って車底部品に対して対応する清掃防護処理を行うステップ7と、を含む
ことを特徴とする大気汚染環境における列車運行防護方法。
【請求項2】
車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データは何れもCO2濃度、NO2濃度、SO2濃度、PM2.5濃度、VOC濃度、粉塵濃度のうちの1種または複数種を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の大気汚染環境における列車運行防護方法。
【請求項3】
車屋根空気質検出データ及び/又は車底空気質検出データは、多点監視方式で取得されたものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の大気汚染環境における列車運行防護方法。
【請求項4】
車屋根の空気総合評価指標Q
0の算出方法は、
Q
0=車屋根CO2濃度×p
1+車屋根NO2濃度×p
2+車屋根SO2濃度×p
3+車屋根PM2.5濃度×p
4+車屋根VOC濃度×p
5+車屋根粉塵濃度×p
6であり、
車底の空気総合評価指標Q
1の算出方法は、
Q
1=車底CO2濃度×p
1+車底NO2濃度×p
2+車底SO2濃度×p
3+車底PM2.5濃度×p
4+車底VOC濃度×p
5+車底粉塵濃度×p
6であり、
式中、p
1、p
2、p
3、p
4、p
5、p
6は、各汚染物質に対応する重みである、
ことを特徴とする請求項1に記載の大気汚染環境における列車運行防護方法。
【請求項5】
前記ステップ4において、LSTM深層ネットワークアルゴリズムを利用して車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、ここではLSTM深層ネットワークの重み及び閾値は、自己適応重みを持つ量子粒子群アルゴリズムを利用して最適化することによって取得され、
量子粒子群における各々の量子粒子個体の位置ベクトルを前記LSTM深層ネットワークの重み及び閾値として、量子粒子個体群の個体の位置ベクトルパラメータを[-1,1]の乱数に初期化するステップA1であって、
量子粒子群の個体群の個数の値の範囲は[30,100]、量子粒子群における粒子の個数の値の範囲は[4,60]、最大反復回数の値の範囲は[300,1200]、エリート個体群構築用の反復回数の値の範囲は[50,200]、早熟収束判断閾値の値の範囲は[0.02,0.5]、個体群における最悪粒子変異比率δ%の値の範囲は[1%,6%]であるステップA1と、
適応度関数を設定し、初期の最適量子粒子個体の位置ベクトル及び反復回数tを決定し、t=1であり、
量子粒子個体の位置ベクトルに対応する重み及び閾値をLSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルに代入し、量子粒子個体の位置ベクトルにより決定されたLSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを利用してベクトルラベルの種類を決定や識別し、出力されたベクトルラベルと実際のベクトルラベルとの平均二乗偏差の逆数を第2適応度関数とするステップA2と、
各々の量子粒子群の群適応度分散を算出し、早熟収束判断を行い、
量子粒子群の群適応度分散が早熟収束判断閾値γよりも小さい場合、量子粒子群におけるδ%の適応度の最も低い粒子及び群極値粒子を変異させ、現在の適応度の最も高い粒子をグローバル最適量子粒子個体とするステップA3と、
エリート個体群を構築するか否かを判断し、
反復回数がエリート個体群の反復回数よりも大きい場合、個体群間の情報共有によって各々の個体群の極値を抽出してエリート個体群を構築し、ステップA8に移行し、そうでなければ、ステップA5に移行するステップA4と、
各々の個体群の粒子パラメータを更新するステップA5と、
各々の粒子の適応度値を再算出して比較し、現在の個体極値よりも優れている場合、個体極値を更新し、グローバル極値粒子を比較し、粒子適応度値が現在の群極値よりも優れている場合、グローバル極値粒子を更新し、t=t+1とし、ステップA3に移行するステップA6と、
エリート個体群を進化し続けるステップA7と、
グローバル最適値を見付けて、前記LSTM深層ネットワークの重み及び閾値を出力するまで、最大反復回数が満たされているか否かを判断し、満たされていればログアウトし、そうでなければ、t=t+1とし、ステップB3に移行するステップA8と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の大気汚染環境における列車運行防護方法。
【請求項6】
前記ステップ4において、GRU深層ネットワークアルゴリズムを利用して車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、ここではGRU深層ネットワークの重み及び閾値は、カオスバットアルゴリズムを利用して最適化選択を行うことによって取得され、
バット個体の位置をGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルの重み及び閾値として、バット個体群を初期化し、バット個体群のパラメータを設定するステップB1であって、
バット個体群の規模の値の範囲は[300,600]、バット個体の最大パルス頻度r
0の値の範囲は[0.3,0.6]、最大パルス音強度A
0の値の範囲は[0.3,0.6]、最大反復回数の値の範囲は[200,500]、検索精度の値の範囲は[0.002,0.2]、パルス頻度の値の範囲は[0,1.8]、バット検索頻度増加係数の値の範囲は[0.04,0.1]、音強度減衰係数の値の範囲は[0.75,0.1]、最大反復回数の値の範囲は[200,800]、最大検索精度の値の範囲は[0.02,0.15]であるステップB1と、
適応度関数を設定し、初期の最適バット個体の位置及び反復回数tを決定し、t=1であり、
バット個体の位置に対応する重み及び閾値をGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルに代入し、バット個体の位置により決定されたGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルを利用して検出結果を取得し、検出結果と実際の状況との差Eを利用して第1適応度関数f1(x)を構築し、f1(x)=1/(E+1)であり、
第1適応度関数を利用して各々のバット個体の位置の適応度を算出し、最大適応度に対応するバット個体の位置を初期の最適バット個体の位置とするステップB2と、
設定されたパルス頻度を利用してバット個体の速度及び位置を更新するステップB3と、
Rand1>r
iの場合、個体の最適位置にあるバットをランダムに摂動させることで、バット個体の摂動位置を生成するステップB4であって、
式中、Rand1は[0,1]に均等分布する乱数、r
iはi番目のバットのパルス頻度であるステップB4と、
Rand2>A
i、バット個体の摂動位置の適応度が摂動前のバット個体の位置の適応度よりも優れている場合、バット個体を摂動位置に移動し、そうでなければ、元の位置に維持するステップB5であって、
式中、Rand2は[0,1]に均等分布する乱数、A
iはi番目のバットの音強度であるステップB5と、
ステップB5の条件が満たされている場合、バット検索頻度増加係数及び音強度減衰係数を利用してバット個体のパルス頻度及びパルス音強度を更新し、ステップB4に移行し、そうでなければ、ステップB7に移行するステップB6と、
現在のバット個体群における各々のバット個体の位置の適応度を算出し、大から小への順で前m%個のバット個体を選択して位置及び速度のカオス最適化を行うことで、更新された前m%個のバット個体を取得し、mの値の範囲は[4,25]であるステップB7と、
最大反復回数又は最大検索精度に達したか否かを判断し、YESである場合、更新された前m%個のバット個体から適応度値によりグローバル最適バット個体を選択し、グローバル最適バット個体に対応するGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルの最適な重み及び閾値を出力し、そうでなければ、t=t+1とし、ステップB3に移行して次の反復を続けるステップB8と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の大気汚染環境における列車運行防護方法。
【請求項7】
大気汚染環境における列車運行防護システムであって、
車屋根空気質検出データを収集するための車屋根空気質検出モジュール(1)と、
車底空気質検出データを収集するための車底空気質検出モジュール(2)と、
収集された車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データをデータ処理モジュール(4)に伝送するためのデータ伝送モジュール(3)と、
モデリング及び汚染レベルの算出に用いられるデータ処理モジュール(4)と、
を備え、
モデリングプロセスは、
車屋根空気質検出データを利用して始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データを算出し、車底空気質検出データを利用して始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データを算出するステップと、
車屋根空気質検出データを利用して車屋根の空気総合評価指標Q
0を求め、車底空気質検出データを利用して車底の空気総合評価指標Q
1を求めるステップと、
Q
0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T
0、及びQ
1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T
1を算出し、Qは設定された空気質総合評価指標の健康値であるステップと、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT
0をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車屋根部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG
0を取得し、ここでは車屋根部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT
0を入力、G
0を出力として訓練することで、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、というプロセスに従って、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT
1をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車底部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG
1を取得し、ここでは車底部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT
1を入力、G
1を出力として訓練することで、車底部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、というプロセスに従って、車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練するステップと、
を含み、
汚染レベル算出プロセスは、
列車が停車した後、車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを取得するステップと、
車屋根空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、車屋根の空気総合評価指標Q
0、及びQ
0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T
0を求め、Q
0≧Qの条件下で、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車屋根部品の汚染レベルを求め、
車底空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、車底の空気総合評価指標Q
1、及びQ
1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T
1を求め、Q
1≧Qの条件下で、車底部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車底部品の汚染レベルを求めるステップと、
車屋根部品の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルをプラットホームデータセンター(5)に送信するステップと、
を含み、
前記列車運行防護システムは、
データ処理モジュール(4)から送信された車屋根部品の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルを受信し、受信した車屋根部品の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルに応じて防護命令をプラットホーム実行モジュール(6)に送信するためのプラットホームデータセンター(5)と、
プラットホームデータセンター(5)から送信された防護命令に従って、車屋根部品及び/又は車底部品に対して対応する清掃防護処理を行うためのプラットホーム実行モジュール(6)と、
をさらに備える、
ことを特徴とする大気汚染環境における列車運行防護システム。
【請求項8】
車屋根空気質検出モジュール(1)及び車底空気質検出モジュール(2)は何れもCO2濃度センサ、NO2濃度センサ、SO2濃度センサ、PM2.5濃度センサ、VOC濃度センサ、粉塵濃度センサのうちの1種または複数種を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の大気汚染環境における列車運行防護システム。
【請求項9】
前記車屋根空気質検出モジュール(1)は、若干の車屋根空気質検出装置(101)を含み、各々の車箱の屋根における頭部、中部、尾部のそれぞれには、1つの車屋根空気質検出装置(101)が設けられ、
前記車底空気質検出モジュール(2)は、若干の車底空気質検出装置(201)を含み、各々の車箱の底部における頭部、中部、尾部のそれぞれには、1つの車底空気質検出装置(201)が設けられ、
3つの車箱ごとに1つのデータ処理モジュール(4)が共用されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の大気汚染環境における列車運行防護システム。
【請求項10】
前記プラットホーム実行モジュール(6)は、プラットホームドローンステーション(601)と、ヒューマンコンピュータインタラクション端末(602)と、を含み、プラットホームドローンステーション(601)及びヒューマンコンピュータインタラクション端末(602)が何れもプラットホームデータセンター(5)に接続され、ドローンステーションは、若干のドローン(6011)を含み、各々のドローン(6011)には噴射清掃装置及び照明装置が設けられ、ヒューマンコンピュータインタラクション端末(602)は、命令受信コンピュータ(6021)を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の大気汚染環境における列車運行防護システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、大気汚染環境における列車運行防護方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速列車は中国で急速に発展していき、資源型及び環境友好型の輸送方式の一つとして高速列車の発展建設の加速は、現在で社会の各方面の共通認識となっている。それは既に中国の国民経済発展の動脈となり、安全性、経済性、利便性などの特性を兼ね備えている。これらの特性により、高速列車の大衆向けの交通手段への転換が決められ、中国の総合交通体系に中堅の地位にある。
【0003】
但し、高速列車運行ネットワークの拡大及び運行距離の年々増加に伴い、いくつかの問題も明らかになっていき、その中、大気汚染環境による高速列車の露出した主要な部品への危害問題が特に顕著である。列車運行環境におけるSO2、NO2などの含有量が高すぎると、パンタグラフ部品、接触ネットワーク、ボギー台車などの露出した主要な部品の孔食や腐食問題が悪化し、露出した主要な部品の耐用年数が短くなり、経済損失が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、大気汚染環境における列車の主要な部品の露出状況を評価するとともに、関連する防護措置を行うことで、列車の主要な部品の正常な耐用年数を確保するための、大気汚染環境における列車運行防護方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、本発明に用いられる技術案は、次の通りである。
【0006】
大気汚染環境における列車運行防護方法であって、
複数組の車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを収集するとともに、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根及び車底での各汚染物質の平均濃度データを算出するステップ1と、
ステップ1における車屋根空気質検出データを利用して車屋根の空気総合評価指標Q0を求め、ステップ1における車底空気質検出データを利用して車底の空気総合評価指標Q1を求めるステップ2と、
Q0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T0、及びQ1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T1を算出し、ここで、Qは設定された空気質総合評価指標の健康値であるステップ3と、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT0をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車屋根部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG0を取得し、ここでは車屋根部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT0を入力、G0を出力として訓練することで、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、という方法に従って、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT1をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車底部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG1を取得し、ここでは車底部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT1を入力、G1を出力として訓練することで、車底部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、という方法に従って、車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練するステップ4と、
列車が停車した後、車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを取得するステップ5と、
ステップ5における車屋根空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、車屋根の空気総合評価指標Q0、及びQ0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T0を求め、Q0≧Qの条件下で、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車屋根部品の汚染レベルを求め、
ステップ5における車底空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、車底の空気総合評価指標Q1、及びQ1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T1を求め、Q1≧Qの条件下で、車底部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車底部品の汚染レベルを求めるステップ6と、
ステップ6にて求めた車屋根部品の汚染レベルに従って車屋根部品に対して対応する清掃防護処理を行い、
ステップ6にて求めた車底部品の汚染レベルに従って車底部品に対して対応する清掃防護処理を行うステップ7と、を含む
ことを特徴とする。
【0007】
好ましい態様として、車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データは何れもCO2濃度、NO2濃度、SO2濃度、PM2.5濃度、VOC濃度、粉塵濃度のうちの1種または複数種を含む。
【0008】
好ましい態様として、車屋根空気質検出データ及び/又は車底空気質検出データは、多点監視方式で取得されたものである。
【0009】
好ましい態様として、
車屋根の空気総合評価指標Q0の算出方法は、
Q0=車屋根CO2濃度×p1+車屋根NO2濃度×p2+車屋根SO2濃度×p3+車屋根PM2.5濃度×p4+車屋根VOC濃度×p5+車屋根粉塵濃度×p6であり、
車底の空気総合評価指標Q1の算出方法は、
Q1=車底CO2濃度×p1+車底NO2濃度×p2+車底SO2濃度×p3+車底PM2.5濃度×p4+車底VOC濃度×p5+車底粉塵濃度×p6であり、
式中、p1、p2、p3、p4、p5、p6は、各汚染物質に対応する重みである。
【0010】
好ましい態様として、前記ステップ4において、LSTM深層ネットワークアルゴリズムを利用して車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、ここではLSTM深層ネットワークの重み及び閾値は、自己適応重みを持つ量子粒子群アルゴリズムを利用して最適化することによって取得され、
量子粒子群における各々の量子粒子個体の位置ベクトルを前記LSTM深層ネットワークの重み及び閾値として、量子粒子個体群の個体の位置ベクトルパラメータを[-1,1]の乱数に初期化するステップA1であって、
量子粒子群の個体群の個数の値の範囲は[30,100]、量子粒子群における粒子の個数の値の範囲は[4,60]、最大反復回数の値の範囲は[300,1200]、エリート個体群構築用の反復回数の値の範囲は[50,200]、早熟収束判断閾値の値の範囲は[0.02,0.5]、個体群における最悪粒子変異比率δ%の値の範囲は[1%,6%]であるステップA1と、
適応度関数を設定し、初期の最適量子粒子個体の位置ベクトル及び反復回数tを決定し、t=1であり、
量子粒子個体の位置ベクトルに対応する重み及び閾値をLSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルに代入し、量子粒子個体の位置ベクトルにより決定されたLSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを利用してベクトルラベルの種類を決定や識別し、出力されたベクトルラベルと実際のベクトルラベルとの平均二乗偏差の逆数を第2適応度関数とするステップA2と、
各々の量子粒子群の群適応度分散を算出し、早熟収束判断を行い、
量子粒子群の群適応度分散が早熟収束判断閾値γよりも小さい場合、量子粒子群におけるδ%の適応度の最も低い粒子及び群極値粒子を変異させ、現在の適応度の最も高い粒子をグローバル最適量子粒子個体とするステップA3と、
エリート個体群を構築するか否かを判断し、
反復回数がエリート個体群の反復回数よりも大きい場合、個体群間の情報共有によって各々の個体群の極値を抽出してエリート個体群を構築し、ステップA8に移行し、そうでなければ、ステップA5に移行するステップA4と、
各々の個体群の粒子パラメータを更新するステップA5と、
各々の粒子の適応度値を再算出して比較し、現在の個体極値よりも優れている場合、個体極値を更新し、グローバル極値粒子を比較し、粒子適応度値が現在の群極値よりも優れている場合、グローバル極値粒子を更新し、t=t+1とし、ステップA3に移行するステップA6と、
エリート個体群を進化し続けるステップA7と、
グローバル最適値を見付けて、前記LSTM深層ネットワークの重み及び閾値を出力するまで、最大反復回数が満たされているか否かを判断し、満たされていればログアウトし、そうでなければ、t=t+1とし、ステップB3に移行するステップA8と、を含む。
【0011】
好ましい態様として、前記ステップ4において、GRU深層ネットワークアルゴリズムを利用して車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、ここではGRU深層ネットワークの重み及び閾値は、カオスバットアルゴリズムを利用して最適化選択を行うことによって取得され、
バット個体の位置をGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルの重み及び閾値として、バット個体群を初期化し、バット個体群のパラメータを設定するステップB1であって、
バット個体群の規模の値の範囲は[300,600]、バット個体の最大パルス頻度r0の値の範囲は[0.3,0.6]、最大パルス音強度A0の値の範囲は[0.3,0.6]、最大反復回数の値の範囲は[200,500]、検索精度の値の範囲は[0.002,0.2]、パルス頻度の値の範囲は[0,1.8]、バット検索頻度増加係数の値の範囲は[0.04,0.1]、音強度減衰係数の値の範囲は[0.75,0.1]、最大反復回数の値の範囲は[200,800]、最大検索精度の値の範囲は[0.02,0.15]であるステップB1と、
適応度関数を設定し、初期の最適バット個体の位置及び反復回数tを決定し、t=1であり、
バット個体の位置に対応する重み及び閾値をGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルに代入し、バット個体の位置により決定されたGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルを利用して検出結果を取得し、検出結果と実際の状況との差Eを利用して第1適応度関数f1(x)を構築し、f1(x)=1/(E+1)であり、
第1適応度関数を利用して各々のバット個体の位置の適応度を算出し、最大適応度に対応するバット個体の位置を初期の最適バット個体の位置とするステップB2と、
設定されたパルス頻度を利用してバット個体の速度及び位置を更新するステップB3と、
Rand1>riの場合、個体の最適位置にあるバットをランダムに摂動させることで、バット個体の摂動位置を生成するステップB4であって、
式中、Rand1は[0,1]に均等分布する乱数、riはi番目のバットのパルス頻度であるステップB4と、
Rand2>Ai、バット個体の摂動位置の適応度が摂動前のバット個体の位置の適応度よりも優れている場合、バット個体を摂動位置に移動し、そうでなければ、元の位置に維持するステップB5であって、
式中、Rand2は[0,1]に均等分布する乱数、Aiはi番目のバットの音強度であるステップB5と、
ステップB5の条件が満たされている場合、バット検索頻度増加係数及び音強度減衰係数を利用してバット個体のパルス頻度及びパルス音強度を更新し、ステップB4に移行し、そうでなければ、ステップB7に移行するステップB6と、
現在のバット個体群における各々のバット個体の位置の適応度を算出し、大から小への順で前m%個のバット個体を選択して位置及び速度のカオス最適化を行うことで、更新された前m%個のバット個体を取得し、mの値の範囲は[4,25]であるステップB7と、
最大反復回数又は最大検索精度に達したか否かを判断し、YESである場合、更新された前m%個のバット個体から適応度値によりグローバル最適バット個体を選択し、グローバル最適バット個体に対応するGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルの最適な重み及び閾値を出力し、そうでなければ、t=t+1とし、ステップB3に移行して次の反復を続けるステップB8と、を含む。
【0012】
本発明は、同一の発明構想に基づき、
車屋根空気質検出データを収集するための車屋根空気質検出モジュールと、
車底空気質検出データを収集するための車底空気質検出モジュールと、
収集された車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データをデータ処理モジュールに伝送するためのデータ伝送モジュールと、
モデリング及び汚染レベルの算出に用いられるデータ処理モジュールと、
を備え、
モデリングプロセスは、
車屋根空気質検出データを利用して車屋根の空気総合評価指標Q0を求め、車底空気質検出データを利用して車底の空気総合評価指標Q1を求めるステップと、
Q0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T0、及びQ1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T1を算出し、ここで、Qは設定された空気質総合評価指標の健康値であるステップと、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT0をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車屋根部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG0を取得し、ここでは車屋根部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT0を入力、G0を出力として訓練することで、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、というプロセスに従って、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT1をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車底部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG1を取得し、ここでは車底部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT1を入力、G1を出力として訓練することで、車底部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、というプロセスに従って、車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練するステップと、
を含み、
汚染レベル算出プロセスは、
列車が停車した後、車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを取得するステップと、
車屋根空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、車屋根の空気総合評価指標Q0、及びQ0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T0を求め、Q0≧Qの条件下で、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車屋根部品の汚染レベルを求め、
車底空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、車底の空気総合評価指標Q1、及びQ1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T1を求め、Q1≧Qの条件下で、車底部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車底部品の汚染レベルを求めるステップと、
車屋根部品の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルをプラットホームデータセンターに送信するステップと、
を含み、
前記列車運行防護システムは、
データ処理モジュールから送信された車屋根部品の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルを受信し、受信した車屋根部品の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルに応じて防護命令をプラットホーム実行モジュールに送信するためのプラットホームデータセンターと、
プラットホームデータセンターから送信された防護命令に従って、車屋根部品及び/又は車底部品に対して対応する清掃防護処理を行うためのプラットホーム実行モジュールと、をさらに備える、
ことを特徴とする大気汚染環境における列車運行防護システムをさらに提供する。
【0013】
好ましい態様として、車屋根空気質検出モジュール及び車底空気質検出モジュールは何れもCO2濃度センサ、NO2濃度センサ、SO2濃度センサ、PM2.5濃度センサ、VOC濃度センサ、粉塵濃度センサのうちの1種または複数種を含む。
【0014】
好ましい態様として、前記車屋根空気質検出モジュールは、若干の車屋根空気質検出装置を含み、各々の車箱の屋根における頭部、中部、尾部のそれぞれには、1つの車屋根空気質検出装置が設けられ、前記車底空気質検出モジュールは、若干の車底空気質検出装置を含み、各々の車箱の底部における頭部、中部、尾部のそれぞれには、1つの車底空気質検出装置が設けられ、3つの車箱ごとに1つのデータ処理モジュールが共用されている。
【0015】
好ましい態様として、前記プラットホーム実行モジュールは、プラットホームドローンステーションと、ヒューマンコンピュータインタラクション端末と、を含み、プラットホームドローンステーション及びヒューマンコンピュータインタラクション端末が何れもプラットホームデータセンターに接続され、ドローンステーションは、若干のドローンを含み、各々のドローンには噴射清掃装置及び照明装置が設けられ、ヒューマンコンピュータインタラクション端末は、命令受信コンピュータを含む。
【0016】
本発明は、列車に複数の空気質検出モジュールを設けることで、列車屋根パンタグラフ及び車底走行部近傍の空気質データを収集し、収集データを処理分析し、ドローン噴射と手動メンテナンス方法を併用して汚染防護を行う、深層ネットワークモデルに基づく、大気汚染環境における列車運行防護方法及びシステムを提供し、次のメリットを有する。
【0017】
(1)列車運行時の車屋根及び車底部品近傍の空気質に対してリアルタイムで効果的な監視を行うことで、列車の露出した主要な部品が汚染物質に露出している曝露時間を把握でき、停車時に用いられる清掃防護方式に対して指導的役割を有する。
【0018】
(2)車屋根及び車底総合監視及び多点監視の監視点配置方式を用いることで、車屋根の空気状況と車底の空気状況の相違による検出誤差を回避し、収集結果の正確性を確保した。
【0019】
(3)汚染物質における車屋根及び車底部品の曝露時間によって異なる清掃防護戦略を選択することで、列車の主要な部品への大気汚染物質の粘着及び腐食を減少させ、対応する列車の主要な部品の耐用年数を延長した。
【0020】
(4)列車の主要な部品の汚染状態を異なるレベルに区分し、異なる汚染状態レベルに従って最も合理的な清掃防護戦略を選択し、ドローン噴射と手動メンテナンスの2種の方法を併用することで、防護効果を保証しつつ、できるだけ人力を解放する。
【0021】
(5)深層ネットワークによって車屋根及び車底部品の汚染状態レベルを算出し、列車が停車した後の清掃防護方法の有効性を確保した。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のシステムに係る一実施例の原理図である。
【
図2】本発明の方法に係る一実施形態の流れ図である。 図中、1は車屋根空気質検出モジュール、101は車屋根空気質検出装置、2は車底空気質検出モジュール、201は車底空気質検出装置、3はデータ伝送モジュール、301はワイヤレス伝送モジュール、4はデータ処理モジュール、401はセンターコンピュータ、5はプラットホームデータセンター、501はプラットホームコンピュータ、6はプラットホーム実行モジュール、601はプラットホームドローンステーション、6011はドローン、602はヒューマンコンピュータインタラクション端末、6021は命令受信コンピュータである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、高速列車の車屋根及び車底の主要な部品の曝露部での空気汚染物質の濃度をリアルタイムで監視し、深層ネットワークによって、検出された汚染物質の濃度データに従って、対応する主要な部品の運行時の汚染状態レベルを取得し、停車後に合理的な清掃防護方法を選択することができる、大気汚染環境における列車運行防護方法及びシステムを提供する。ここでは、主要な部品の汚染状態は、深層ネットワーク訓練によって取得され、モデルの入力は各種の測定データ、モデルの出力は汚染状態レベルである。
【0024】
図1に示すように、大気汚染環境における列車運行防護システム全体は、車屋根空気質検出モジュール1と、車底空気質検出モジュール2と、データ伝送モジュール3と、データ処理モジュール4と、プラットホームデータセンター5と、プラットホーム実行モジュール6と、を含む。各モジュールに関する具体的な説明は、次の通りである。
【0025】
車屋根空気質検出モジュール1としては、各々の車箱の屋根部に配置された車屋根空気質検出装置101により構成されている。各々の車屋根空気質検出装置101は、いずれもCO2濃度センサ、NO2濃度センサ、SO2濃度センサ、PM2.5濃度センサ、VOCセンサ、粉塵センサを含む。各々の車箱の屋根部における頭部、中部、尾部のそれぞれには、1つの車屋根空気質検出装置101が配置されている。車屋根空気質検出モジュール1によって収集されたデータは、データ伝送モジュール3でデータ処理モジュール4に送信される。
【0026】
車底空気質検出モジュール2としては、各々の車箱の底部に配置された車底空気質検出装置201により構成されている。各々の車底空気質検出装置201は、いずれもCO2濃度センサ、NO2濃度センサ、SO2濃度センサ、PM2.5濃度センサ、VOCセンサ、粉塵センサを含む。各々の車箱の底部における頭部、中部、尾部のそれぞれには、1つの車底空気質検出装置201が配置されている。車底空気質検出モジュール2によって収集されたデータは、データ伝送モジュール3でデータ処理モジュール4に送信される。
【0027】
データ伝送モジュール3としては、ワイヤレス伝送モジュール301を含み、各々の車箱には、車屋根空気質検出モジュール1、車底空気質検出モジュール2、及びデータ処理モジュール4を接続して、収集データの格納及び異なるモジュール間のデータ伝送を実現するための、1つのワイヤレス伝送装置が設けられる。列車の長さを考慮すると、4Gネットワークによって伝送することができ、経済的且つ簡便である。
【0028】
データ処理モジュール4としては、3つの車箱ごとに1つのセンターコンピュータ401が設けられ、当該センターコンピュータ401により、1つの空気質監視エリアが定義され、データ処理モジュール4が構成される。センターコンピュータ401は、監視範囲内の3つの車箱から収集された主要な車屋根部品の空気収集データ及び主要な車底部品の空気収集データを受信し、データ前処理及びモデル訓練を別々に行い、モデル訓練結果をリアルタイムで出力する。
【0029】
プラットホームデータセンター5としては、列車のデータ処理モジュール4から送信された主要な部品の汚染状態レベルデータを受信し、異なる受信結果により適切な清掃防護方法を選択し、防護命令をプラットホームドローンステーション601又はヒューマンコンピュータインタラクション端末602に送信するためのプラットホームコンピュータ501を含む。
【0030】
プラットホーム実行モジュール6としては、プラットホームドローンステーション601と、ヒューマンコンピュータインタラクション端末602と、を含み、プラットホームドローンステーション601とヒューマンコンピュータインタラクション端末602は何れもプラットホームデータセンター5に接続される。
【0031】
プラットホームドローンステーション601としては、防護ドローン6011、ワイヤレス命令送受信機、充電プラットホームにより構成されており、その中で、ワイヤレス命令送受信機はプラットホームコンピュータ501からの防護命令を受信することに用いられ、充電プラットホームはドローン6011を充電することに用いられる。図面にはワイヤレス命令送受信機及び充電プラットホームが何れも図示されていないが、当業者による本発明の理解及び実現には影響がない。プラットホームデータセンター5からの防護命令を受信した後、ドローン6011は、汚染された主要な部品(車屋根又は車底に位置するもの)を自主的に識別して、軽い又は深い防護清掃を行う。各々の防護ドローン6011には、噴射清掃装置及び照明装置が装着されている。
【0032】
ヒューマンコンピュータインタラクション端末602としては、プラットホームデータセンター5から送信された手動メンテナンス命令を受信してインタラクティブインターフェースに表示するための命令受信コンピュータ6021を含む。
【0033】
図2に示すように、大気汚染環境における列車運行防護システム全体は、オフライン訓練プロセスとオンライン停車防護プロセスの2つのプロセスを含む。
【0034】
オフライン訓練プロセス
本発明の方法は、主要な車屋根及び車底部品の所在する空間の空気汚染物質濃度情報を収集してから、収集データを対応する検出エリア内のセンターコンピュータ401に送信して、データ前処理及びモデル訓練を行う。訓練用モデルは、検出された汚染物質濃度に基づいて主要な部品の汚染状態レベルを取得するための2種の深層ネットワークモデルを含み、オフラインプロセス全体に関する具体的な説明は、次の通りである。
【0035】
一、主要な車屋根及び車底部品の所在する空間の空気質データの収集
車屋根空気質検出装置101及び車底空気質検出装置201を利用して異なる汚染物質の濃度データを収集し、ここで、収集された車屋根空気質検出データは、
【数1】
として表される。異なる車箱の異なる位置での空気質検出装置によって収集されたデータを区別するために、最終的にワイヤレス伝送モジュール301によって送信される車屋根空気質データのフォーマットは、
【数2】
であり、ここで、tは当該組のデータの収集時刻を示し、nは車箱の番号を示し、mは空気質検出装置の番号を示し、m=1、2、3であり、0/1はデータ種別識別コードであり、0は当該組のデータが車屋根空気質検出データであることを示し、1は当該組のデータが車底空気質検出データであることを示す。
【0036】
二、データ前処理
車屋根空気質検出装置101及び車底空気質検出装置201のデータは、ワイヤレス伝送モジュール301を介してデータ処理モジュール4のセンターコンピュータ401に送信され、収集データの前処理が実行され、データ前処理ステップ全体は、次の通りである。
【0037】
(1)各組のデータの0/1識別コード及びm値に基づいて、全ての主要な車屋根部品での空気質検出点からの収集データ及び全ての主要な車底部品での空気質検出点からの検出データに対して平均値処理を行い、6種の汚染物質の濃度データを正規化することで、最終的にターゲット検出車箱の合計の車屋根空気質検出データ
【数3】
を取得する。
【0038】
(2)空気質総合評価指標を算出し、空気質総合評価指標の算出方法を、
Q=CO2濃度×p1+NO2濃度×p2+SO2濃度×p3+PM2.5濃度×p4+VOC濃度×p5+粉塵濃度×p6として定義し、
式中、pは異なる種類の汚染物質の濃度の重みを示し、p1=0.1、p2=0.1、p3=0.1、p4=0.3、p5=0.2、p6=0.2である。次に、ステップ(1)にて取得した最終的な車屋根及び車底空気質検出データを上記式に代入して算出することで、車屋根の空気総合評価指標Q0及び車底の空気総合評価指標Q1を取得する。
【0039】
(3)空気質総合評価指標の健康値をQとし、Q0≧Q及びQ1≧Qの全ての時刻を別々に算出し、Q0≧Qの条件が満たされている場合の汚染物質における主要な車屋根部品の曝露時間T0及びQ1≧Qの条件が満たされている場合の汚染物質における主要な車底部品の曝露時間T1を取得する。
【0040】
(4)始発駅から現在時刻までの列車の運行時間内の6種の汚染物質の平均濃度データ
【数4】
を算出する。
【0041】
三、列車の主要な部品の汚染状態計算モデルの訓練
(1)車屋根部品の汚染物質状態計算モデルの訓練
【0042】
屋外実験条件下で車屋根空気質データの測定を行い、異なるレベルの1000組の車屋根空気質データを選択し、そしてシミュレーション実験条件下で、1000組のうちの各組の実験データの場合に屋内運行シミュレーションを行うことで、パンタグラフの異なる場合での汚染状態を取得し、全体的な汚染状況に応じて4種の汚染レベル0、1、2、3を設定する。
【0043】
車屋根部品の汚染物質状態計算モデルは、LSTM深層ネットワークによって訓練し、モデル訓練の入力は、車屋根空気質検出の平均データ及び汚染物質における主要な車屋根部品の曝露時間
【数5】
である。出力は、シミュレーション実験条件下で取得されたパンタグラフの汚染状態レベル0、1、2、3であり、それによって、LSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを取得する。
【0044】
前記LSTM深層ネットワークは、入力層が7つのノードを含み、出力層のノードの個数が1であり、訓練プロセス中の最大反復回数が1200、訓練学習率が0.01とされる。
【0045】
LSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルでは、LSTM深層ネットワークの重み及び閾値は、自己適応重みを持つ量子粒子群アルゴリズムを利用して最適化することによって取得され、プロセスは、次の通りである。
【0046】
ステップA1としては、量子粒子群における各々の量子粒子個体の位置ベクトルを前記LSTM深層ネットワークの重み及び閾値として、量子粒子個体群の個体の位置ベクトルパラメータを[-1,1]の乱数に初期化し、
量子粒子群の個体群の個数の値の範囲は[30,100]、量子粒子群における粒子の個数の値の範囲は[4,60]、最大反復回数の値の範囲は[300,1200]、エリート個体群構築用の反復回数の値の範囲は[50,200]、早熟収束判断閾値の値の範囲は[0.02,0.5]、個体群における最悪粒子変異比率δ%の値の範囲は[1%,6%]である。
【0047】
ステップA2としては、適応度関数を設定し、初期の最適量子粒子個体の位置ベクトル及び反復回数tを決定し、t=1であり、
量子粒子個体の位置ベクトルに対応する重み及び閾値をLSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルに代入し、量子粒子個体の位置ベクトルにより決定されたLSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを利用してベクトルラベルの種類を決定や識別し、出力されたベクトルラベルと実際のベクトルラベルとの平均二乗偏差の逆数を第2適応度関数とする。
【0048】
ステップA3としては、各々の量子粒子群の群適応度分散を算出し、早熟収束判断を行い、
量子粒子群の群適応度分散が早熟収束判断閾値γよりも小さい場合、量子粒子群におけるδ%の適応度の最も低い粒子及び群極値粒子を変異させ、現在の適応度の最も高い粒子をグローバル最適量子粒子個体とする。
【0049】
ステップA4としては、エリート個体群を構築するか否かを判断し、
反復回数がエリート個体群の反復回数よりも大きい場合、個体群間の情報共有によって各々の個体群の極値を抽出してエリート個体群を構築し、ステップA8に移行し、そうでなければ、ステップA5に移行する。
【0050】
ステップA5としては、各々の個体群の粒子パラメータを更新する。
【0051】
ステップA6としては、各々の粒子の適応度値を再算出して比較し、現在の個体極値よりも優れている場合、個体極値を更新し、グローバル極値粒子を比較し、粒子適応度値が現在の群極値よりも優れている場合、グローバル極値粒子を更新し、t=t+1とし、ステップA3に移行する。
【0052】
ステップA7としては、エリート個体群を進化し続ける。
【0053】
ステップA8としては、グローバル最適値を見付けて、前記LSTM深層ネットワークの重み及び閾値を出力するまで、最大反復回数が満たされているか否かを判断し、満たされていればログアウトし、そうでなければ、t=t+1とし、ステップB3に移行する。
【0054】
(2)車底部品の汚染物質状態計算モデルの訓練
屋外実験条件下で車底空気質データの測定を行い、異なるレベルの1000組の車底空気質データを選択し、そしてシミュレーション実験条件下で、1000組のうちの各組の実験データの場合に屋内運行シミュレーションを行うことで、走行部の異なる場合での汚染状態を取得し、全体的な汚染状況に応じて4種の汚染レベル0、1、2、3を設定する。
【0055】
車底部品の汚染物質状態計算モデルは、GRU深層ネットワークによって訓練し、モデル訓練の入力は、車底空気質検出の平均データ及び汚染物質における主要な車底部品の曝露時間
【数6】
である。出力は、シミュレーション実験条件下で取得された走行部の汚染状態レベル0、1、2、3であり、それによって、GRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルを取得する。
【0056】
GRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルは、入力層のノードの個数が7、隠れ層のノードの個数が5、出力層のノードの個数が1であり、訓練プロセス中の最大反復回数が800、訓練学習率が0.01、閾値が0.06とされる。
【0057】
GRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルの重み及び閾値は、カオスバットアルゴリズム(Chaos Bat Algorithm)を利用して最適化選択を行うことによって取得され、プロセスは、次の通りである。
【0058】
ステップB1としては、バット個体の位置をGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルの重み及び閾値として、バット個体群を初期化し、バット個体群のパラメータを設定し、
バット個体群の規模の値の範囲は[300,600]、バット個体の最大パルス頻度r0の値の範囲は[0.3,0.6]、最大パルス音強度A0の値の範囲は[0.3,0.6]、最大反復回数の値の範囲は[200,500]、検索精度の値の範囲は[0.002,0.2]、パルス頻度の値の範囲は[0,1.8]、バット検索頻度増加係数の値の範囲は[0.04,0.1]、音強度減衰係数の値の範囲は[0.75,0.1]、最大反復回数の値の範囲は[200,800]、最大検索精度の値の範囲は[0.02,0.15]である。
【0059】
ステップB2としては、適応度関数を設定し、初期の最適バット個体の位置及び反復回数tを決定し、t=1であり、
バット個体の位置に対応する重み及び閾値をGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルに代入し、バット個体の位置により決定されたGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルを利用して検出結果を取得し、検出結果と実際の状況との差Eを利用して第1適応度関数f1(x)を構築し、f1(x)=1/(E+1)であり、
第1適応度関数を利用して各々のバット個体の位置の適応度を算出し、最大適応度に対応するバット個体の位置を初期の最適バット個体の位置とする。
【0060】
ステップB3としては、設定されたパルス頻度を利用してバット個体の速度及び位置を更新する。
【0061】
ステップB4としては、Rand1>riの場合、個体の最適位置にあるバットをランダムに摂動させることで、バット個体の摂動位置を生成し、
式中、Rand1は[0,1]に均等分布する乱数、riはi番目のバットのパルス頻度である。
【0062】
ステップB5としては、Rand2>Ai、バット個体の摂動位置の適応度が摂動前のバット個体の位置の適応度よりも優れている場合、バット個体を摂動位置に移動し、そうでなければ、元の位置に維持し、
式中、Rand2は[0,1]に均等分布する乱数、Aiはi番目のバットの音強度である。
【0063】
ステップB6としては、ステップB5の条件が満たされている場合、バット検索頻度増加係数及び音強度減衰係数を利用してバット個体のパルス頻度及びパルス音強度を更新し、ステップB4に移行し、そうでなければ、ステップB7に移行する。
【0064】
ステップB7としては、現在のバット個体群における各々のバット個体の位置の適応度を算出し、大から小への順で前m%個のバット個体を選択して位置及び速度のカオス最適化を行うことで、更新された前m%個のバット個体を取得し、mの値の範囲は[4,25]である。
【0065】
ステップB8としては、最大反復回数又は最大検索精度に達したか否かを判断し、YESである場合、更新された前m%個のバット個体から適応度値によりグローバル最適バット個体を選択し、グローバル最適バット個体に対応するGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルの最適な重み及び閾値を出力し、そうでなければ、t=t+1とし、ステップB3に移行して次の反復を続ける。
【0066】
オンライン停車防護プロセス
(1)列車が停車した後、ある被検車箱について、車屋根空気質検出モジュール1及び車底空気質検出モジュール2によってデータを収集し、データをワイヤレス伝送モジュール301を介してデータ処理モジュール4に送信して前処理することで、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底及び車底での6種の汚染物質の平均濃度データ、車屋根の空気質総合評価指標Q0、車底の空気質総合評価指標Q1、汚染物質における主要な車屋根部品の曝露時間T0、及び汚染物質における主要な車底部品の曝露時間T1を取得する。
【0067】
(2)データ処理モジュール4は、訓練済みのLSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを利用して主要な車屋根部品の汚染状態レベル0/1/2/3を算出し、訓練済みのGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルを利用して主要な車底部品の汚染状態レベル0/1/2/3を算出する。そして、車屋根及び車底の汚染物質状態レベルをプラットホームデータセンター5に伝送する。
【0068】
(3)車屋根又は車底の主要な部品の汚染レベルが0である場合、列車の主要な部品が汚染されていないと考えられ、停車防護清掃を行わず、車屋根又は車底の主要な部品の汚染レベルが1である場合、列車の主要な部品の汚染状態が軽いと考えられ、プラットホームドローンステーション601を呼び出して軽い清掃を行い、車屋根又は車底の主要な部品の汚染レベルが2である場合、列車の主要な部品の汚染状態が一般的であると考えられ、プラットホームドローンステーション601を呼び出して深い清掃を行い、車屋根又は車底の主要な部品の汚染レベルが3である場合、列車の主要な部品の汚染状態が厳しいと考えられ、手動清掃防護を要求するための清掃防護命令をヒューマンコンピュータインタラクション端末602に送信する。
【0069】
(3)プラットホームのドローン6011は、カメラによって列車のパンタグラフ及び列車の走行部の識別及びホバリングを行い、ドローン6011が5sを超えてホバリングした後、噴射清掃装置が自動的に運行し、軽い清掃防護を行う時の噴射清掃装置の運行時間は1min、深い清掃防護を行う時の噴射清掃装置の運行時間は3minである。
【0070】
以上、本発明の実施例について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の発明を実施するための形態に制限されるものではなく、上記の発明を実施するための形態は、単に例示的なものであり、制限的なものではない。当業者は、本発明による示唆を受けて、本発明の主旨及び特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく多くの態様を作成することができ、これらは何れも本発明の保護範囲内に含まれる。
【手続補正書】
【提出日】2021-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、大気汚染環境における列車運行防護方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速列車は中国で急速に発展していき、資源型及び環境友好型の輸送方式の一つとして高速列車の発展建設の加速は、現在で社会の各方面の共通認識となっている。それは既に中国の国民経済発展の動脈となり、安全性、経済性、利便性などの特性を兼ね備えている。これらの特性により、高速列車の大衆向けの交通手段への転換が決められ、中国の総合交通体系に中堅の地位にある。
【0003】
但し、高速列車運行ネットワークの拡大及び運行距離の年々増加に伴い、いくつかの問題も明らかになっていき、その中、大気汚染環境による高速列車の露出した主要な部品への危害問題が特に顕著である。列車運行環境におけるSO
2
、NO
2
などの含有量が高すぎると、パンタグラフ部品、接触ネットワーク、ボギー台車などの露出した主要な部品の孔食や腐食問題が悪化し、露出した主要な部品の耐用年数が短くなり、経済損失が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、大気汚染環境における列車の主要な部品の露出状況を評価するとともに、関連する防護措置を行うことで、列車の主要な部品の正常な耐用年数を確保するための、大気汚染環境における列車運行防護方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の技術的課題を解決するために、本発明に用いられる技術案は、次の通りである。
【0006】
大気汚染環境における列車運行防護方法であって、
複数組の車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを収集するとともに、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根及び車底での各汚染物質の平均濃度データを算出するステップ1と、
ステップ1における車屋根空気質検出データを利用して車屋根の空気総合評価指標Q0を求め、ステップ1における車底空気質検出データを利用して車底の空気総合評価指標Q1を求めるステップ2と、
Q0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T0、及びQ1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T1を算出し、ここで、Qは設定された空気質総合評価指標の健康値であるステップ3と、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT0をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車屋根部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG0を取得し、ここでは車屋根部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT0を入力、G0を出力として訓練することで、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、という方法に従って、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT1をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車底部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG1を取得し、ここでは車底部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT1を入力、G1を出力として訓練することで、車底部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、という方法に従って、車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練するステップ4と、
列車が停車した後、車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを取得するステップ5と、
ステップ5における車屋根空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、車屋根の空気総合評価指標Q0、及びQ0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T0を求め、Q0≧Qの条件下で、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車屋根部品の汚染レベルを求め、
ステップ5における車底空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、車底の空気総合評価指標Q1、及びQ1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T1を求め、Q1≧Qの条件下で、車底部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車底部品の汚染レベルを求めるステップ6と、
ステップ6にて求めた車屋根部品の汚染レベルに従って車屋根部品に対して対応する清掃防護処理を行い、
ステップ6にて求めた車底部品の汚染レベルに従って車底部品に対して対応する清掃防護処理を行うステップ7と、を含む
ことを特徴とする。
【0007】
好ましい態様として、車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データは何れもCO
2
濃度、NO
2
濃度、SO
2
濃度、PM2.5濃度、VOC濃度、粉塵濃度のうちの1種または複数種を含む。
【0008】
好ましい態様として、車屋根空気質検出データ及び/又は車底空気質検出データは、多点監視方式で取得されたものである。
【0009】
好ましい態様として、
車屋根の空気総合評価指標Q0の算出方法は、
Q0=車屋根CO
2
濃度×p1+車屋根NO
2
濃度×p2+車屋根SO
2
濃度×p3+車屋根PM2.5濃度×p4+車屋根VOC濃度×p5+車屋根粉塵濃度×p6であり、)
車底の空気総合評価指標Q1の算出方法は、
Q1=車底CO
2
濃度×p1+車底NO
2
濃度×p2+車底SO
2
濃度×p3+車底PM2.5濃度×p4+車底VOC濃度×p5+車底粉塵濃度×p6であり、
式中、p1、p2、p3、p4、p5、p6は、各汚染物質に対応する重みである。
【0010】
好ましい態様として、前記ステップ4において、LSTM深層ネットワークアルゴリズムを利用して車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、ここではLSTM深層ネットワークの重み及び閾値は、自己適応重みを持つ量子粒子群アルゴリズムを利用して最適化することによって取得され、
量子粒子群における各々の量子粒子個体の位置ベクトルを前記LSTM深層ネットワークの重み及び閾値として、量子粒子個体群の個体の位置ベクトルパラメータを[-1,1]の乱数に初期化するステップA1であって、
量子粒子群の個体群の個数の値の範囲は[30,100]、量子粒子群における粒子の個数の値の範囲は[4,60]、最大反復回数の値の範囲は[300,1200]、エリート個体群構築用の反復回数の値の範囲は[50,200]、早熟収束判断閾値の値の範囲は[0.02,0.5]、個体群における最悪粒子変異比率δ%の値の範囲は[1%,6%]であるステップA1と、
適応度関数を設定し、初期の最適量子粒子個体の位置ベクトル及び反復回数tを決定し、t=1であり、
量子粒子個体の位置ベクトルに対応する重み及び閾値をLSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルに代入し、量子粒子個体の位置ベクトルにより決定されたLSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを利用してベクトルラベルの種類を決定や識別し、出力されたベクトルラベルと実際のベクトルラベルとの平均二乗偏差の逆数を第2適応度関数とするステップA2と、
各々の量子粒子群の群適応度分散を算出し、早熟収束判断を行い、
量子粒子群の群適応度分散が早熟収束判断閾値γよりも小さい場合、量子粒子群におけるδ%の適応度の最も低い粒子及び群極値粒子を変異させ、現在の適応度の最も高い粒子をグローバル最適量子粒子個体とするステップA3と、
エリート個体群を構築するか否かを判断し、
反復回数がエリート個体群の反復回数よりも大きい場合、個体群間の情報共有によって各々の個体群の極値を抽出してエリート個体群を構築し、ステップA8に移行し、そうでなければ、ステップA5に移行するステップA4と、
各々の個体群の粒子パラメータを更新するステップA5と、
各々の粒子の適応度値を再算出して比較し、現在の個体極値よりも優れている場合、個体極値を更新し、グローバル極値粒子を比較し、粒子適応度値が現在の群極値よりも優れている場合、グローバル極値粒子を更新し、t=t+1とし、ステップA3に移行するステップA6と、
エリート個体群を進化し続けるステップA7と、
グローバル最適値を見付けて、前記LSTM深層ネットワークの重み及び閾値を出力するまで、最大反復回数が満たされているか否かを判断し、満たされていればログアウトし、そうでなければ、t=t+1とし、ステップB3に移行するステップA8と、を含む。
【0011】
好ましい態様として、前記ステップ4において、GRU深層ネットワークアルゴリズムを利用して車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、ここではGRU深層ネットワークの重み及び閾値は、カオスバットアルゴリズムを利用して最適化選択を行うことによって取得され、
バット個体の位置をGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルの重み及び閾値として、バット個体群を初期化し、バット個体群のパラメータを設定するステップB1であって、
バット個体群の規模の値の範囲は[300,600]、バット個体の最大パルス頻度r0の値の範囲は[0.3,0.6]、最大パルス音強度A0の値の範囲は[0.3,0.6]、最大反復回数の値の範囲は[200,500]、検索精度の値の範囲は[0.002,0.2]、パルス頻度の値の範囲は[0,1.8]、バット検索頻度増加係数の値の範囲は[0.04,0.1]、音強度減衰係数の値の範囲は[0.75,0.1]、最大反復回数の値の範囲は[200,800]、最大検索精度の値の範囲は[0.02,0.15]であるステップB1と、
適応度関数を設定し、初期の最適バット個体の位置及び反復回数tを決定し、t=1であり、
バット個体の位置に対応する重み及び閾値をGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルに代入し、バット個体の位置により決定されたGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルを利用して検出結果を取得し、検出結果と実際の状況との差Eを利用して第1適応度関数f1(x)を構築し、f1(x)=1/(E+1)であり、
第1適応度関数を利用して各々のバット個体の位置の適応度を算出し、最大適応度に対応するバット個体の位置を初期の最適バット個体の位置とするステップB2と、
設定されたパルス頻度を利用してバット個体の速度及び位置を更新するステップB3と、
Rand1>riの場合、個体の最適位置にあるバットをランダムに摂動させることで、バット個体の摂動位置を生成するステップB4であって、
式中、Rand1は[0,1]に均等分布する乱数、riはi番目のバットのパルス頻度であるステップB4と、
Rand2>Ai、バット個体の摂動位置の適応度が摂動前のバット個体の位置の適応度よりも優れている場合、バット個体を摂動位置に移動し、そうでなければ、元の位置に維持するステップB5であって、
式中、Rand2は[0,1]に均等分布する乱数、Aiはi番目のバットの音強度であるステップB5と、
ステップB5の条件が満たされている場合、バット検索頻度増加係数及び音強度減衰係数を利用してバット個体のパルス頻度及びパルス音強度を更新し、ステップB4に移行し、そうでなければ、ステップB7に移行するステップB6と、
現在のバット個体群における各々のバット個体の位置の適応度を算出し、大から小への順で前m%個のバット個体を選択して位置及び速度のカオス最適化を行うことで、更新された前m%個のバット個体を取得し、mの値の範囲は[4,25]であるステップB7と、
最大反復回数又は最大検索精度に達したか否かを判断し、YESである場合、更新された前m%個のバット個体から適応度値によりグローバル最適バット個体を選択し、グローバル最適バット個体に対応するGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルの最適な重み及び閾値を出力し、そうでなければ、t=t+1とし、ステップB3に移行して次の反復を続けるステップB8と、を含む。
【0012】
本発明は、同一の発明構想に基づき、
車屋根空気質検出データを収集するための車屋根空気質検出モジュールと、
車底空気質検出データを収集するための車底空気質検出モジュールと、
収集された車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データをデータ処理モジュールに伝送するためのデータ伝送モジュールと、
モデリング及び汚染レベルの算出に用いられるデータ処理モジュールと、
を備え、
モデリングプロセスは、
車屋根空気質検出データを利用して車屋根の空気総合評価指標Q0を求め、車底空気質検出データを利用して車底の空気総合評価指標Q1を求めるステップと、
Q0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T0、及びQ1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T1を算出し、ここで、Qは設定された空気質総合評価指標の健康値であるステップと、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT0をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車屋根部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG0を取得し、ここでは車屋根部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT0を入力、G0を出力として訓練することで、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、というプロセスに従って、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT1をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車底部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG1を取得し、ここでは車底部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT1を入力、G1を出力として訓練することで、車底部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、というプロセスに従って、車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練するステップと、
を含み、
汚染レベル算出プロセスは、
列車が停車した後、車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを取得するステップと、
車屋根空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、車屋根の空気総合評価指標Q0、及びQ0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T0を求め、Q0≧Qの条件下で、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車屋根部品の汚染レベルを求め、
車底空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、車底の空気総合評価指標Q1、及びQ1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T1を求め、Q1≧Qの条件下で、車底部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車底部品の汚染レベルを求めるステップと、
車屋根部品の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルをプラットホームデータセンターに送信するステップと、
を含み、
前記列車運行防護システムは、
データ処理モジュールから送信された車屋根部品の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルを受信し、受信した車屋根部品の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルに応じて防護命令をプラットホーム実行モジュールに送信するためのプラットホームデータセンターと、
プラットホームデータセンターから送信された防護命令に従って、車屋根部品及び/又は車底部品に対して対応する清掃防護処理を行うためのプラットホーム実行モジュールと、をさらに備える、
ことを特徴とする大気汚染環境における列車運行防護システムをさらに提供する。
【0013】
好ましい態様として、車屋根空気質検出モジュール及び車底空気質検出モジュールは何れもCO
2
濃度センサ、NO
2
濃度センサ、SO
2
濃度センサ、PM2.5濃度センサ、VOC濃度センサ、粉塵濃度センサのうちの1種または複数種を含む。
【0014】
好ましい態様として、前記車屋根空気質検出モジュールは、若干の車屋根空気質検出装置を含み、各々の車箱の屋根における頭部、中部、尾部のそれぞれには、1つの車屋根空気質検出装置が設けられ、前記車底空気質検出モジュールは、若干の車底空気質検出装置を含み、各々の車箱の底部における頭部、中部、尾部のそれぞれには、1つの車底空気質検出装置が設けられ、3つの車箱ごとに1つのデータ処理モジュールが共用されている。
【0015】
好ましい態様として、前記プラットホーム実行モジュールは、プラットホームドローンステーションと、ヒューマンコンピュータインタラクション端末と、を含み、プラットホームドローンステーション及びヒューマンコンピュータインタラクション端末が何れもプラットホームデータセンターに接続され、ドローンステーションは、若干のドローンを含み、各々のドローンには噴射清掃装置及び照明装置が設けられ、ヒューマンコンピュータインタラクション端末は、命令受信コンピュータを含む。
【0016】
本発明は、列車に複数の空気質検出モジュールを設けることで、列車屋根パンタグラフ及び車底走行部近傍の空気質データを収集し、収集データを処理分析し、ドローン噴射と手動メンテナンス方法を併用して汚染防護を行う、深層ネットワークモデルに基づく、大気汚染環境における列車運行防護方法及びシステムを提供し、次のメリットを有する。
【0017】
(1)列車運行時の車屋根及び車底部品近傍の空気質に対してリアルタイムで効果的な監視を行うことで、列車の露出した主要な部品が汚染物質に露出している曝露時間を把握でき、停車時に用いられる清掃防護方式に対して指導的役割を有する。
【0018】
(2)車屋根及び車底総合監視及び多点監視の監視点配置方式を用いることで、車屋根の空気状況と車底の空気状況の相違による検出誤差を回避し、収集結果の正確性を確保した。
【0019】
(3)汚染物質における車屋根及び車底部品の曝露時間によって異なる清掃防護戦略を選択することで、列車の主要な部品への大気汚染物質の粘着及び腐食を減少させ、対応する列車の主要な部品の耐用年数を延長した。
【0020】
(4)列車の主要な部品の汚染状態を異なるレベルに区分し、異なる汚染状態レベルに従って最も合理的な清掃防護戦略を選択し、ドローン噴射と手動メンテナンスの2種の方法を併用することで、防護効果を保証しつつ、できるだけ人力を解放する。
【0021】
(5)深層ネットワークによって車屋根及び車底部品の汚染状態レベルを算出し、列車が停車した後の清掃防護方法の有効性を確保した。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のシステムに係る一実施例の原理図である。
【
図2】本発明の方法に係る一実施形態の流れ図である。 図中、1は車屋根空気質検出モジュール、101は車屋根空気質検出装置、2は車底空気質検出モジュール、201は車底空気質検出装置、3はデータ伝送モジュール、301はワイヤレス伝送モジュール、4はデータ処理モジュール、401はセンターコンピュータ、5はプラットホームデータセンター、501はプラットホームコンピュータ、6はプラットホーム実行モジュール、601はプラットホームドローンステーション、6011はドローン、602はヒューマンコンピュータインタラクション端末、6021は命令受信コンピュータである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、高速列車の車屋根及び車底の主要な部品の曝露部での空気汚染物質の濃度をリアルタイムで監視し、深層ネットワークによって、検出された汚染物質の濃度データに従って、対応する主要な部品の運行時の汚染状態レベルを取得し、停車後に合理的な清掃防護方法を選択することができる、大気汚染環境における列車運行防護方法及びシステムを提供する。ここでは、主要な部品の汚染状態は、深層ネットワーク訓練によって取得され、モデルの入力は各種の測定データ、モデルの出力は汚染状態レベルである。
【0024】
図1に示すように、大気汚染環境における列車運行防護システム全体は、車屋根空気質検出モジュール1と、車底空気質検出モジュール2と、データ伝送モジュール3と、データ処理モジュール4と、プラットホームデータセンター5と、プラットホーム実行モジュール6と、を含む。各モジュールに関する具体的な説明は、次の通りである。
【0025】
車屋根空気質検出モジュール1としては、各々の車箱の屋根部に配置された車屋根空気質検出装置101により構成されている。各々の車屋根空気質検出装置101は、いずれもCO
2
濃度センサ、NO
2
濃度センサ、SO
2
濃度センサ、PM2.5濃度センサ、VOC濃度センサ、粉塵濃度センサを含む。各々の車箱の屋根部における頭部、中部、尾部のそれぞれには、1つの車屋根空気質検出装置101が配置されている。車屋根空気質検出モジュール1によって収集されたデータは、データ伝送モジュール3でデータ処理モジュール4に送信される。
【0026】
車底空気質検出モジュール2としては、各々の車箱の底部に配置された車底空気質検出装置201により構成されている。各々の車底空気質検出装置201は、いずれもCO
2
濃度センサ、NO
2
濃度センサ、SO
2
濃度センサ、PM2.5濃度センサ、VOC濃度センサ、粉塵濃度センサを含む。各々の車箱の底部における頭部、中部、尾部のそれぞれには、1つの車底空気質検出装置201が配置されている。車底空気質検出モジュール2によって収集されたデータは、データ伝送モジュール3でデータ処理モジュール4に送信される。
【0027】
データ伝送モジュール3としては、ワイヤレス伝送モジュール301を含み、各々の車箱には、車屋根空気質検出モジュール1、車底空気質検出モジュール2、及びデータ処理モジュール4を接続して、収集データの格納及び異なるモジュール間のデータ伝送を実現するための、1つのワイヤレス伝送装置が設けられる。列車の長さを考慮すると、4Gネットワークによって伝送することができ、経済的且つ簡便である。
【0028】
データ処理モジュール4としては、3つの車箱ごとに1つのセンターコンピュータ401が設けられ、当該センターコンピュータ401により、1つの空気質監視エリアが定義され、データ処理モジュール4が構成される。センターコンピュータ401は、監視範囲内の3つの車箱から収集された主要な車屋根部品の空気収集データ及び主要な車底部品の空気収集データを受信し、データ前処理及びモデル訓練を別々に行い、モデル訓練結果をリアルタイムで出力する。
【0029】
プラットホームデータセンター5としては、列車のデータ処理モジュール4から送信された主要な部品の汚染状態レベルデータを受信し、異なる受信結果により適切な清掃防護方法を選択し、防護命令をプラットホームドローンステーション601又はヒューマンコンピュータインタラクション端末602に送信するためのプラットホームコンピュータ501を含む。
【0030】
プラットホーム実行モジュール6としては、プラットホームドローンステーション601と、ヒューマンコンピュータインタラクション端末602と、を含み、プラットホームドローンステーション601とヒューマンコンピュータインタラクション端末602は何れもプラットホームデータセンター5に接続される。
【0031】
プラットホームドローンステーション601としては、防護ドローン6011、ワイヤレス命令送受信機、充電プラットフォームにより構成されており、その中で、ワイヤレス命令送受信機はプラットホームコンピュータ501からの防護命令を受信することに用いられ、充電プラットフォームはドローン6011を充電することに用いられる。図面にはワイヤレス命令送受信機及び充電プラットフォームが何れも図示されていないが、当業者による本発明の理解及び実現には影響がない。プラットホームデータセンター5からの防護命令を受信した後、ドローン6011は、汚染された主要な部品(車屋根又は車底に位置するもの)を自主的に識別して、軽い又は深い防護清掃を行う。各々の防護ドローン6011には、噴射清掃装置及び照明装置が装着されている。
【0032】
ヒューマンコンピュータインタラクション端末602としては、プラットホームデータセンター5から送信された手動メンテナンス命令を受信してインタラクティブインターフェースに表示するための命令受信コンピュータ6021を含む。
【0033】
図2に示すように、大気汚染環境における列車運行防護
方法全体は、オフライン訓練プロセスとオンライン停車防護プロセスの2つのプロセスを含む。
【0034】
オフライン訓練プロセス
本発明の方法は、主要な車屋根及び車底部品の所在する空間の空気汚染物質濃度情報を収集してから、収集データを対応する検出エリア内のセンターコンピュータ401に送信して、データ前処理及びモデル訓練を行う。訓練用モデルは、検出された汚染物質濃度に基づいて主要な部品の汚染状態レベルを取得するための2種の深層ネットワークモデルを含み、オフラインプロセス全体に関する具体的な説明は、次の通りである。
【0035】
一、主要な車屋根及び車底部品の所在する空間の空気質データの収集 車屋根空気質検出装置101及び車底空気質検出装置201を利用して異なる汚染物質の濃度データを収集し、ここで、収集された車屋根空気質検出データは、
【数1】
として表される。異なる車箱の異なる位置での空気質検出装置によって収集されたデータを区別するために、最終的にワイヤレス伝送モジュール301によって送信される車屋根空気質データのフォーマットは、
【数2】
であり、ここで、tは当該組のデータの収集時刻を示し、nは車箱の番号を示し、mは空気質検出装置の番号を示し、m=1、2、3であり、0/1はデータ種別識別コードであり、0は当該組のデータが車屋根空気質検出データであることを示し、1は当該組のデータが車底空気質検出データであることを示す。
【0036】
二、データ前処理 車屋根空気質検出装置101及び車底空気質検出装置201のデータは、ワイヤレス伝送モジュール301を介してデータ処理モジュール4のセンターコンピュータ401に送信され、収集データの前処理が実行され、データ前処理ステップ全体は、次の通りである。
【0037】
(1)各組のデータの0/1識別コード及びm値に基づいて、全ての主要な車屋根部品での空気質検出点からの収集データ及び全ての主要な車底部品での空気質検出点からの検出データに対して平均値処理を行い、6種の汚染物質の濃度データを正規化することで、最終的にターゲット検出車箱の合計の車屋根空気質検出データ
【数3】
を取得する。
【0038】
(2)空気質総合評価指標を算出し、空気質総合評価指標の算出方法を、
Q=CO
2
濃度×p1+NO
2
濃度×p2+SO
2
濃度×p3+PM2.5濃度×p4+VOC濃度×p5+粉塵濃度×p6として定義し、
式中、pは異なる種類の汚染物質の濃度の重みを示し、p1=0.1、p2=0.1、p3=0.1、p4=0.3、p5=0.2、p6=0.2である。次に、ステップ(1)にて取得した最終的な車屋根及び車底空気質検出データを上記式に代入して算出することで、車屋根の空気総合評価指標Q0及び車底の空気総合評価指標Q1を取得する。
【0039】
(3)空気質総合評価指標の健康値をQとし、Q0≧Q及びQ1≧Qの全ての時刻を別々に算出し、Q0≧Qの条件が満たされている場合の汚染物質における主要な車屋根部品の曝露時間T0及びQ1≧Qの条件が満たされている場合の汚染物質における主要な車底部品の曝露時間T1を取得する。
【0040】
(4)始発駅から現在時刻までの列車の運行時間内の6種の汚染物質の平均濃度データ
【数4】
を算出する。
【0041】
三、列車の主要な部品の汚染状態計算モデルの訓練
(1)車屋根部品の汚染物質状態計算モデルの訓練
【0042】
屋外実験条件下で車屋根空気質データの測定を行い、異なるレベルの1000組の車屋根空気質データを選択し、そしてシミュレーション実験条件下で、1000組のうちの各組の実験データの場合に屋内運行シミュレーションを行うことで、パンタグラフの異なる場合での汚染状態を取得し、全体的な汚染状況に応じて4種の汚染レベル0、1、2、3を設定する。
【0043】
車屋根部品の汚染物質状態計算モデルは、LSTM深層ネットワークによって訓練し、モデル訓練の入力は、車屋根空気質検出の平均データ及び汚染物質における主要な車屋根部品の曝露時間
【数5】
である。出力は、シミュレーション実験条件下で取得されたパンタグラフの汚染状態レベル0、1、2、3であり、それによって、LSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを取得する。
【0044】
前記LSTM深層ネットワークは、入力層が7つのノードを含み、出力層のノードの個数が1であり、訓練プロセス中の最大反復回数が1200、訓練学習率が0.01とされる。
【0045】
LSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルでは、LSTM深層ネットワークの重み及び閾値は、自己適応重みを持つ量子粒子群アルゴリズムを利用して最適化することによって取得され、プロセスは、次の通りである。
【0046】
ステップA1としては、量子粒子群における各々の量子粒子個体の位置ベクトルを前記LSTM深層ネットワークの重み及び閾値として、量子粒子個体群の個体の位置ベクトルパラメータを[-1,1]の乱数に初期化し、
量子粒子群の個体群の個数の値の範囲は[30,100]、量子粒子群における粒子の個数の値の範囲は[4,60]、最大反復回数の値の範囲は[300,1200]、エリート個体群構築用の反復回数の値の範囲は[50,200]、早熟収束判断閾値の値の範囲は[0.02,0.5]、個体群における最悪粒子変異比率δ%の値の範囲は[1%,6%]である。
【0047】
ステップA2としては、適応度関数を設定し、初期の最適量子粒子個体の位置ベクトル及び反復回数tを決定し、t=1であり、
量子粒子個体の位置ベクトルに対応する重み及び閾値をLSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルに代入し、量子粒子個体の位置ベクトルにより決定されたLSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを利用してベクトルラベルの種類を決定や識別し、出力されたベクトルラベルと実際のベクトルラベルとの平均二乗偏差の逆数を第2適応度関数とする。
【0048】
ステップA3としては、各々の量子粒子群の群適応度分散を算出し、早熟収束判断を行い、
量子粒子群の群適応度分散が早熟収束判断閾値γよりも小さい場合、量子粒子群におけるδ%の適応度の最も低い粒子及び群極値粒子を変異させ、現在の適応度の最も高い粒子をグローバル最適量子粒子個体とする。
【0049】
ステップA4としては、エリート個体群を構築するか否かを判断し、
反復回数がエリート個体群の反復回数よりも大きい場合、個体群間の情報共有によって各々の個体群の極値を抽出してエリート個体群を構築し、ステップA8に移行し、そうでなければ、ステップA5に移行する。
【0050】
ステップA5としては、各々の個体群の粒子パラメータを更新する。
【0051】
ステップA6としては、各々の粒子の適応度値を再算出して比較し、現在の個体極値よりも優れている場合、個体極値を更新し、グローバル極値粒子を比較し、粒子適応度値が現在の群極値よりも優れている場合、グローバル極値粒子を更新し、t=t+1とし、ステップA3に移行する。
【0052】
ステップA7としては、エリート個体群を進化し続ける。
【0053】
ステップA8としては、グローバル最適値を見付けて、前記LSTM深層ネットワークの重み及び閾値を出力するまで、最大反復回数が満たされているか否かを判断し、満たされていればログアウトし、そうでなければ、t=t+1とし、ステップB3に移行する。
【0054】
(2)車底部品の汚染物質状態計算モデルの訓練
屋外実験条件下で車底空気質データの測定を行い、異なるレベルの1000組の車底空気質データを選択し、そしてシミュレーション実験条件下で、1000組のうちの各組の実験データの場合に屋内運行シミュレーションを行うことで、走行部の異なる場合での汚染状態を取得し、全体的な汚染状況に応じて4種の汚染レベル0、1、2、3を設定する。
【0055】
車底部品の汚染物質状態計算モデルは、GRU深層ネットワークによって訓練し、モデル訓練の入力は、車底空気質検出の平均データ及び汚染物質における主要な車底部品の曝露時間
【数6】
である。出力は、シミュレーション実験条件下で取得された走行部の汚染状態レベル0、1、2、3であり、それによって、GRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルを取得する。
【0056】
GRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルは、入力層のノードの個数が7、隠れ層のノードの個数が5、出力層のノードの個数が1であり、訓練プロセス中の最大反復回数が800、訓練学習率が0.01、閾値が0.06とされる。
【0057】
GRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルの重み及び閾値は、カオスバットアルゴリズム(Chaos Bat Algorithm)を利用して最適化選択を行うことによって取得され、プロセスは、次の通りである。
【0058】
ステップB1としては、バット個体の位置をGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルの重み及び閾値として、バット個体群を初期化し、バット個体群のパラメータを設定し、
バット個体群の規模の値の範囲は[300,600]、バット個体の最大パルス頻度r0の値の範囲は[0.3,0.6]、最大パルス音強度A0の値の範囲は[0.3,0.6]、最大反復回数の値の範囲は[200,500]、検索精度の値の範囲は[0.002,0.2]、パルス頻度の値の範囲は[0,1.8]、バット検索頻度増加係数の値の範囲は[0.04,0.1]、音強度減衰係数の値の範囲は[0.75,0.1]、最大反復回数の値の範囲は[200,800]、最大検索精度の値の範囲は[0.02,0.15]である。
【0059】
ステップB2としては、適応度関数を設定し、初期の最適バット個体の位置及び反復回数tを決定し、t=1であり、
バット個体の位置に対応する重み及び閾値をGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルに代入し、バット個体の位置により決定されたGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルを利用して検出結果を取得し、検出結果と実際の状況との差Eを利用して第1適応度関数f1(x)を構築し、f1(x)=1/(E+1)であり、
第1適応度関数を利用して各々のバット個体の位置の適応度を算出し、最大適応度に対応するバット個体の位置を初期の最適バット個体の位置とする。
【0060】
ステップB3としては、設定されたパルス頻度を利用してバット個体の速度及び位置を更新する。
【0061】
ステップB4としては、Rand1>riの場合、個体の最適位置にあるバットをランダムに摂動させることで、バット個体の摂動位置を生成し、
式中、Rand1は[0,1]に均等分布する乱数、riはi番目のバットのパルス頻度である。
【0062】
ステップB5としては、Rand2>Ai、バット個体の摂動位置の適応度が摂動前のバット個体の位置の適応度よりも優れている場合、バット個体を摂動位置に移動し、そうでなければ、元の位置に維持し、
式中、Rand2は[0,1]に均等分布する乱数、Aiはi番目のバットの音強度である。
【0063】
ステップB6としては、ステップB5の条件が満たされている場合、バット検索頻度増加係数及び音強度減衰係数を利用してバット個体のパルス頻度及びパルス音強度を更新し、ステップB4に移行し、そうでなければ、ステップB7に移行する。
【0064】
ステップB7としては、現在のバット個体群における各々のバット個体の位置の適応度を算出し、大から小への順で前m%個のバット個体を選択して位置及び速度のカオス最適化を行うことで、更新された前m%個のバット個体を取得し、mの値の範囲は[4,25]である。
【0065】
ステップB8としては、最大反復回数又は最大検索精度に達したか否かを判断し、YESである場合、更新された前m%個のバット個体から適応度値によりグローバル最適バット個体を選択し、グローバル最適バット個体に対応するGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルの最適な重み及び閾値を出力し、そうでなければ、t=t+1とし、ステップB3に移行して次の反復を続ける。
【0066】
オンライン停車防護プロセス
(1)列車が停車した後、ある被検車箱について、車屋根空気質検出モジュール1及び車底空気質検出モジュール2によってデータを収集し、データをワイヤレス伝送モジュール301を介してデータ処理モジュール4に送信して前処理することで、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根及び車底での6種の汚染物質の平均濃度データ、車屋根の空気質総合評価指標Q0、車底の空気質総合評価指標Q1、汚染物質における主要な車屋根部品の曝露時間T0、及び汚染物質における主要な車底部品の曝露時間T1を取得する。
【0067】
(2)データ処理モジュール4は、訓練済みのLSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを利用して主要な車屋根部品の汚染状態レベル0/1/2/3を算出し、訓練済みのGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルを利用して主要な車底部品の汚染状態レベル0/1/2/3を算出する。そして、車屋根及び車底の汚染物質状態レベルをプラットホームデータセンター5に伝送する。
【0068】
(3)車屋根又は車底の主要な部品の汚染レベルが0である場合、列車の主要な部品が汚染されていないと考えられ、停車防護清掃を行わず、車屋根又は車底の主要な部品の汚染レベルが1である場合、列車の主要な部品の汚染状態が軽いと考えられ、プラットホームドローンステーション601を呼び出して軽い清掃を行い、車屋根又は車底の主要な部品の汚染レベルが2である場合、列車の主要な部品の汚染状態が一般的であると考えられ、プラットホームドローンステーション601を呼び出して深い清掃を行い、車屋根又は車底の主要な部品の汚染レベルが3である場合、列車の主要な部品の汚染状態が厳しいと考えられ、手動清掃防護を要求するための清掃防護命令をヒューマンコンピュータインタラクション端末602に送信する。
【0069】
(4)プラットホームのドローン6011は、カメラによって列車のパンタグラフ及び列車の走行部の識別及びホバリングを行い、ドローン6011が5sを超えてホバリングした後、噴射清掃装置が自動的に運行し、軽い清掃防護を行う時の噴射清掃装置の運行時間は1min、深い清掃防護を行う時の噴射清掃装置の運行時間は3minである。
【0070】
本発明は、
複数組の車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを収集するとともに、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根及び車底での各汚染物質の平均濃度データを算出するステップ1と、
ステップ1における車屋根空気質検出データを利用して車屋根の空気総合評価指標Q
0
を求め、ステップ1における車底空気質検出データを利用して車底の空気総合評価指標Q
1
を求めるステップ2と、
Q
0
≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T
0
、及びQ
1
≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T
1
を算出し、ここで、Qは設定された空気質総合評価指標の健康値であるステップ3と、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
0
をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車屋根部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG
0
を取得し、ここでは車屋根部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
0
を入力、G
0
を出力として訓練することで、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、という方法に従って、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
1
をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車底部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG
1
を取得し、ここでは車底部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
1
を入力、G
1
を出力として訓練することで、車底部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、という方法に従って、車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練するステップ4と、
列車が停車した後、車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを取得するステップ5と、
ステップ5における車屋根空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、車屋根の空気総合評価指標Q
0
、及びQ
0
≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T
0
を求め、Q
0
≧Qの条件下で、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車屋根部品の汚染レベルを求め、
ステップ5における車底空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、車底の空気総合評価指標Q
1
、及びQ
1
≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T
1
を求め、Q
1
≧Qの条件下で、車底部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車底部品の汚染レベルを求めるステップ6と、を含む
ことを特徴とする大気汚染環境における列車に関する車屋根の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルの解決方法をさらに提供する。
【0071】
以上、本発明の実施例について図面を参照しながら説明したが、本発明は上記の発明を実施するための形態に制限されるものではなく、上記の発明を実施するための形態は、単に例示的なものであり、制限的なものではない。当業者は、本発明による示唆を受けて、本発明の主旨及び特許請求の範囲の保護範囲から逸脱することなく多くの態様を作成することができ、これらは何れも本発明の保護範囲内に含まれる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気汚染環境における列車運行防護方法であって、
複数組の車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを収集するとともに、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根及び車底での各汚染物質の平均濃度データを算出するステップ1と、
ステップ1における車屋根空気質検出データを利用して車屋根の空気総合評価指標Q
0を求め、ステップ1における車底空気質検出データを利用して車底の空気総合評価指標Q
1を求めるステップ2と、
Q
0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T
0、及びQ
1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T
1を算出し、ここで、Qは設定された空気質総合評価指標の健康値であるステップ3と、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
0をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車屋根部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG
0を取得し、ここでは車屋根部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
0を入力、G
0を出力として訓練することで、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、という方法に従って、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
1をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車底部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG
1を取得し、ここでは車底部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
1を入力、G
1を出力として訓練することで、車底部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、という方法に従って、車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練するステップ4と、
列車が停車した後、車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを取得するステップ5と、
ステップ5における車屋根空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、車屋根の空気総合評価指標Q
0、及びQ
0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T
0を求め、Q
0≧Qの条件下で、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車屋根部品の汚染レベルを求め、
ステップ5における車底空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、車底の空気総合評価指標Q
1、及びQ
1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T
1を求め、Q
1≧Qの条件下で、車底部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車底部品の汚染レベルを求めるステップ6と、
ステップ6にて求めた車屋根部品の汚染レベルに従って車屋根部品に対して対応する清掃防護処理を行い、
ステップ6にて求めた車底部品の汚染レベルに従って車底部品に対して対応する清掃防護処理を行うステップ7と、を含む
ことを特徴とする大気汚染環境における列車運行防護方法。
【請求項2】
車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データは何れもCO
2
濃度、NO
2
濃度、SO
2
濃度、PM2.5濃度、VOC濃度、粉塵濃度のうちの1種または複数種を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の大気汚染環境における列車運行防護方法。
【請求項3】
車屋根空気質検出データ及び/又は車底空気質検出データは、多点監視方式で取得されたものである、
ことを特徴とする請求項1に記載の大気汚染環境における列車運行防護方法。
【請求項4】
車屋根の空気総合評価指標Q
0の算出方法は、
Q
0=車屋根CO
2
濃度×p
1+車屋根NO
2
濃度×p
2+車屋根SO
2
濃度×p
3+車屋根PM2.5濃度×p
4+車屋根VOC濃度×p
5+車屋根粉塵濃度×p
6であり、
車底の空気総合評価指標Q
1の算出方法は、
Q
1=車底CO
2
濃度×p
1+車底NO
2
濃度×p
2+車底SO
2
濃度×p
3+車底PM2.5濃度×p
4+車底VOC濃度×p
5+車底粉塵濃度×p
6であり、
式中、p
1、p
2、p
3、p
4、p
5、p
6は、各汚染物質に対応する重みである、
ことを特徴とする請求項1に記載の大気汚染環境における列車運行防護方法。
【請求項5】
前記ステップ4において、LSTM深層ネットワークアルゴリズムを利用して車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、ここではLSTM深層ネットワークの重み及び閾値は、自己適応重みを持つ量子粒子群アルゴリズムを利用して最適化することによって取得され、
量子粒子群における各々の量子粒子個体の位置ベクトルを前記LSTM深層ネットワークの重み及び閾値として、量子粒子個体群の個体の位置ベクトルパラメータを[-1,1]の乱数に初期化するステップA1であって、
量子粒子群の個体群の個数の値の範囲は[30,100]、量子粒子群における粒子の個数の値の範囲は[4,60]、最大反復回数の値の範囲は[300,1200]、エリート個体群構築用の反復回数の値の範囲は[50,200]、早熟収束判断閾値の値の範囲は[0.02,0.5]、個体群における最悪粒子変異比率δ%の値の範囲は[1%,6%]であるステップA1と、
適応度関数を設定し、初期の最適量子粒子個体の位置ベクトル及び反復回数tを決定し、t=1であり、
量子粒子個体の位置ベクトルに対応する重み及び閾値をLSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルに代入し、量子粒子個体の位置ベクトルにより決定されたLSTM深層ネットワークに基づく車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを利用してベクトルラベルの種類を決定や識別し、出力されたベクトルラベルと実際のベクトルラベルとの平均二乗偏差の逆数を第2適応度関数とするステップA2と、
各々の量子粒子群の群適応度分散を算出し、早熟収束判断を行い、
量子粒子群の群適応度分散が早熟収束判断閾値γよりも小さい場合、量子粒子群におけるδ%の適応度の最も低い粒子及び群極値粒子を変異させ、現在の適応度の最も高い粒子をグローバル最適量子粒子個体とするステップA3と、
エリート個体群を構築するか否かを判断し、
反復回数がエリート個体群の反復回数よりも大きい場合、個体群間の情報共有によって各々の個体群の極値を抽出してエリート個体群を構築し、ステップA8に移行し、そうでなければ、ステップA5に移行するステップA4と、
各々の個体群の粒子パラメータを更新するステップA5と、
各々の粒子の適応度値を再算出して比較し、現在の個体極値よりも優れている場合、個体極値を更新し、グローバル極値粒子を比較し、粒子適応度値が現在の群極値よりも優れている場合、グローバル極値粒子を更新し、t=t+1とし、ステップA3に移行するステップA6と、
エリート個体群を進化し続けるステップA7と、
グローバル最適値を見付けて、前記LSTM深層ネットワークの重み及び閾値を出力するまで、最大反復回数が満たされているか否かを判断し、満たされていればログアウトし、そうでなければ、t=t+1とし、ステップB3に移行するステップA8と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の大気汚染環境における列車運行防護方法。
【請求項6】
前記ステップ4において、GRU深層ネットワークアルゴリズムを利用して車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、ここではGRU深層ネットワークの重み及び閾値は、カオスバットアルゴリズムを利用して最適化選択を行うことによって取得され、
バット個体の位置をGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルの重み及び閾値として、バット個体群を初期化し、バット個体群のパラメータを設定するステップB1であって、
バット個体群の規模の値の範囲は[300,600]、バット個体の最大パルス頻度r
0の値の範囲は[0.3,0.6]、最大パルス音強度A
0の値の範囲は[0.3,0.6]、最大反復回数の値の範囲は[200,500]、検索精度の値の範囲は[0.002,0.2]、パルス頻度の値の範囲は[0,1.8]、バット検索頻度増加係数の値の範囲は[0.04,0.1]、音強度減衰係数の値の範囲は[0.75,0.1]、最大反復回数の値の範囲は[200,800]、最大検索精度の値の範囲は[0.02,0.15]であるステップB1と、
適応度関数を設定し、初期の最適バット個体の位置及び反復回数tを決定し、t=1であり、
バット個体の位置に対応する重み及び閾値をGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルに代入し、バット個体の位置により決定されたGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルを利用して検出結果を取得し、検出結果と実際の状況との差Eを利用して第1適応度関数f1(x)を構築し、f1(x)=1/(E+1)であり、
第1適応度関数を利用して各々のバット個体の位置の適応度を算出し、最大適応度に対応するバット個体の位置を初期の最適バット個体の位置とするステップB2と、
設定されたパルス頻度を利用してバット個体の速度及び位置を更新するステップB3と、
Rand1>r
iの場合、個体の最適位置にあるバットをランダムに摂動させることで、バット個体の摂動位置を生成するステップB4であって、
式中、Rand1は[0,1]に均等分布する乱数、r
iはi番目のバットのパルス頻度であるステップB4と、
Rand2>A
i、バット個体の摂動位置の適応度が摂動前のバット個体の位置の適応度よりも優れている場合、バット個体を摂動位置に移動し、そうでなければ、元の位置に維持するステップB5であって、
式中、Rand2は[0,1]に均等分布する乱数、A
iはi番目のバットの音強度であるステップB5と、
ステップB5の条件が満たされている場合、バット検索頻度増加係数及び音強度減衰係数を利用してバット個体のパルス頻度及びパルス音強度を更新し、ステップB4に移行し、そうでなければ、ステップB7に移行するステップB6と、
現在のバット個体群における各々のバット個体の位置の適応度を算出し、大から小への順で前m%個のバット個体を選択して位置及び速度のカオス最適化を行うことで、更新された前m%個のバット個体を取得し、mの値の範囲は[4,25]であるステップB7と、
最大反復回数又は最大検索精度に達したか否かを判断し、YESである場合、更新された前m%個のバット個体から適応度値によりグローバル最適バット個体を選択し、グローバル最適バット個体に対応するGRU深層ネットワークに基づく車底部品の汚染物質状態計算モデルの最適な重み及び閾値を出力し、そうでなければ、t=t+1とし、ステップB3に移行して次の反復を続けるステップB8と、を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の大気汚染環境における列車運行防護方法。
【請求項7】
大気汚染環境における列車運行防護システムであって、
車屋根空気質検出データを収集するための車屋根空気質検出モジュール(1)と、
車底空気質検出データを収集するための車底空気質検出モジュール(2)と、
収集された車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データをデータ処理モジュール(4)に伝送するためのデータ伝送モジュール(3)と、
モデリング及び汚染レベルの算出に用いられるデータ処理モジュール(4)と、
を備え、
モデリングプロセスは、
車屋根空気質検出データを利用して始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データを算出し、車底空気質検出データを利用して始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データを算出するステップと、
車屋根空気質検出データを利用して車屋根の空気総合評価指標Q
0を求め、車底空気質検出データを利用して車底の空気総合評価指標Q
1を求めるステップと、
Q
0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T
0、及びQ
1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T
1を算出し、Qは設定された空気質総合評価指標の健康値であるステップと、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT
0をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車屋根部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG
0を取得し、ここでは車屋根部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT
0を入力、G
0を出力として訓練することで、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、というプロセスに従って、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT
1をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車底部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG
1を取得し、ここでは車底部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及び求めた対応するT
1を入力、G
1を出力として訓練することで、車底部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、というプロセスに従って、車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練するステップと、
を含み、
汚染レベル算出プロセスは、
列車が停車した後、車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを取得するステップと、
車屋根空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、車屋根の空気総合評価指標Q
0、及びQ
0≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T
0を求め、Q
0≧Qの条件下で、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車屋根部品の汚染レベルを求め、
車底空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、車底の空気総合評価指標Q
1、及びQ
1≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T
1を求め、Q
1≧Qの条件下で、車底部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車底部品の汚染レベルを求めるステップと、
車屋根部品の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルをプラットホームデータセンター(5)に送信するステップと、
を含み、
前記列車運行防護システムは、
データ処理モジュール(4)から送信された車屋根部品の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルを受信し、受信した車屋根部品の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルに応じて防護命令をプラットホーム実行モジュール(6)に送信するためのプラットホームデータセンター(5)と、
プラットホームデータセンター(5)から送信された防護命令に従って、車屋根部品及び/又は車底部品に対して対応する清掃防護処理を行うためのプラットホーム実行モジュール(6)と、
をさらに備える、
ことを特徴とする大気汚染環境における列車運行防護システム。
【請求項8】
車屋根空気質検出モジュール(1)及び車底空気質検出モジュール(2)は何れもCO
2
濃度、NO
2
濃度、SO
2
濃度、PM2.5濃度センサ、VOC濃度センサ、粉塵濃度センサのうちの1種または複数種を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の大気汚染環境における列車運行防護システム。
【請求項9】
前記車屋根空気質検出モジュール(1)は、若干の車屋根空気質検出装置(101)を含み、各々の車箱の屋根における頭部、中部、尾部のそれぞれには、1つの車屋根空気質検出装置(101)が設けられ、
前記車底空気質検出モジュール(2)は、若干の車底空気質検出装置(201)を含み、各々の車箱の底部における頭部、中部、尾部のそれぞれには、1つの車底空気質検出装置(201)が設けられ、
3つの車箱ごとに1つのデータ処理モジュール(4)が共用されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の大気汚染環境における列車運行防護システム。
【請求項10】
前記プラットホーム実行モジュール(6)は、プラットホームドローンステーション(601)と、ヒューマンコンピュータインタラクション端末(602)と、を含み、プラットホームドローンステーション(601)及びヒューマンコンピュータインタラクション端末(602)が何れもプラットホームデータセンター(5)に接続され、ドローンステーションは、若干のドローン(6011)を含み、各々のドローン(6011)には噴射清掃装置及び照明装置が設けられ、ヒューマンコンピュータインタラクション端末(602)は、命令受信コンピュータ(6021)を含む、
ことを特徴とする請求項7に記載の大気汚染環境における列車運行防護システム。
【請求項11】
大気汚染環境における列車に関する車屋根の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルの解決方法であって
複数組の車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを収集するとともに、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根及び車底での各汚染物質の平均濃度データを算出するステップ1と、
ステップ1における車屋根空気質検出データを利用して車屋根の空気総合評価指標Q
0
を求め、ステップ1における車底空気質検出データを利用して車底の空気総合評価指標Q
1
を求めるステップ2と、
Q
0
≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T
0
、及びQ
1
≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T
1
を算出し、ここで、Qは設定された空気質総合評価指標の健康値であるステップ3と、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
0
をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車屋根部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG
0
を取得し、ここでは車屋根部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
0
を入力、G
0
を出力として訓練することで、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、という方法に従って、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを訓練し、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
1
をシミュレーション試験条件として、列車の運行をシミュレーションすることで、車底部品の異なるシミュレーション試験条件での汚染レベルG
1
を取得し、ここでは車底部品の汚染レベルはGレベルに区分され、
ステップ1にて算出した始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、及びステップ3にて求めた対応するT
1
を入力、G
1
を出力として訓練することで、車底部品の汚染物質状態計算モデルを取得する、という方法に従って、車底部品の汚染物質状態計算モデルを訓練するステップ4と、
列車が停車した後、車屋根空気質検出データ及び車底空気質検出データを取得するステップ5と、
ステップ5における車屋根空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車屋根での各汚染物質の平均濃度データ、車屋根の空気総合評価指標Q
0
、及びQ
0
≧Qの条件が満たされている場合の車屋根部品の曝露時間T
0
を求め、Q
0
≧Qの条件下で、車屋根部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車屋根部品の汚染レベルを求め、
ステップ5における車底空気質検出データを利用し、始発駅時刻から現在時刻までの列車の運行時間内の車底での各汚染物質の平均濃度データ、車底の空気総合評価指標Q
1
、及びQ
1
≧Qの条件が満たされている場合の車底部品の曝露時間T
1
を求め、Q
1
≧Qの条件下で、車底部品の汚染物質状態計算モデルを呼び出して車底部品の汚染レベルを求めるステップ6と、を含む
ことを特徴とする大気汚染環境における列車に関する車屋根の汚染レベル及び車底部品の汚染レベルの解決方法。
【国際調査報告】