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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(54)【発明の名称】電極アセンブリ及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/257 20210101AFI20220308BHJP
   A61B 5/266 20210101ALI20220308BHJP
   A61N 1/04 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
A61B5/257
A61B5/266
A61N1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542223
(86)(22)【出願日】2020-01-24
(85)【翻訳文提出日】2021-09-21
(86)【国際出願番号】 AU2020050046
(87)【国際公開番号】W WO2020150785
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】2019900237
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521319823
【氏名又は名称】ベイマトブ ピーティーワイ エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】230121430
【弁護士】
【氏名又は名称】安井 友章
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド サラ キャサリン
【テーマコード(参考)】
4C053
4C127
【Fターム(参考)】
4C053BB02
4C053BB23
4C127LL02
4C127LL04
4C127LL24
(57)【要約】
【解決手段】 複数の医療用電極部材と、複数の医療用電極部材に取り外し可能に取り付けられている少なくとも2つの被覆シートと、を備える電極アセンブリ。少なくとも1つの被覆シートは、複数の医療用電極部材の各々の一方側に取り外し可能に取り付けられている第1の被覆シートと、複数の医療用電極部材の各々の反対側に取り外し可能に取り付けられている第2の被覆シートと、を備える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の医療用電極部材と、
複数の医療用電極部材に取り外し可能に取り付けられている少なくとも2つの被覆シートと、
を備え、
少なくとも1つの被覆シートは、
複数の医療用電極部材の各々の一方側に取り外し可能に取り付けられている第1の被覆シートと、
複数の医療用電極部材の各々の反対側に取り外し可能に取り付けられている第2の被覆シートと、
を備える、
電極アセンブリ。
【請求項2】
少なくとも2つの被覆シートは、可撓性材料で形成されている、請求項1に記載の電極アセンブリ。
【請求項3】
第1の被覆シートの可撓性材料は、第2の被覆シートの可撓性材料とは異なる、請求項2に記載の電極アセンブリ。
【請求項4】
複数の医療用電極部材の各々は、第1の被覆シートに取り外し可能に取り付けられている第1の接着層と、第2の被覆シートに取り外し可能に取り付けられている第2の接着層と、を備える、請求項3に記載の電極アセンブリ。
【請求項5】
第1の接着層は、第2の接着層の接着特性とは異なる接着特性を有する、請求項4に記載の電極アセンブリ。
【請求項6】
少なくとも2つの被覆シートにおける複数の医療用電極部材の相対位置は、医療装置の複数の電極接続部の相対位置に対応している、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電極アセンブリ。
【請求項7】
医療装置を保持するための非電極接着パッドを更に備え、少なくとも2つの被覆シートは、接着パッドにも取り外し可能に取り付けられている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電極アセンブリ。
【請求項8】
非電極接着パッドは、円、楕円、三角形、正方形、長方形、菱形、台形、丸められている三角形、丸められている正方形、丸められている長方形、丸められている菱形、丸められている台形又は不規則な形状の群から選択されている形状を形成するように配置されてもよい、請求項7に記載の電極アセンブリ。
【請求項9】
非電極接着パッドは、円、楕円、三角形、正方形、長方形、菱形、台形、丸められている三角形、丸められている正方形、丸められている長方形、丸められている菱形、丸められている台形又は不規則な形状の群から選択されている形状を形成するように配置されている開口部を備えてもよい、請求項8に記載の電極アセンブリ。
【請求項10】
接着パッドは、少なくとも2つの被覆シートの中心部又はそれに近接して配置されている、請求項8又は9に記載の電極アセンブリ。
【請求項11】
接着パッドの装置側が、複数の医療用電極部材の各々から離間して配置されている、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の電極アセンブリ。
【請求項12】
少なくとも1つの被覆シートは、少なくとも1つのミシン目部分を備える、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の電極アセンブリ。
【請求項13】
複数の医療用電極部材を備える電極アセンブリを使用する方法であって、
複数の医療用電極部材から電極アセンブリの第1の被覆シートを取り外すステップと、
電極アセンブリを、対応する複数の電極接続部を備える医療装置に、医療用電極部材の各々が複数の電極接続部の対応する1つに固定されるように、取り付けるステップと、
電極アセンブリから第2の被覆シートを取り外して、複数の医療用電極部材を露出させるステップと、
複数の医療用電極部材を備える電極アセンブリを、患者の身体に、複数の医療用電極部材が患者の身体に固定されるように、取り付けるステップと、
を備える方法。
【請求項14】
電極アセンブリから第2の被覆シートを取り外し、複数の医療用電極部材を備える電極アセンブリを患者の身体に取り付けるステップは、電極アセンブリの第1の被覆シートを取り外し、電極アセンブリを対応する複数の電極接続部を備える医療装置に取り付けるステップの前に実行される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
電極アセンブリの第1の被覆シートを取り外すステップは、電極アセンブリの複数の医療用電極部材の各々の第1の接着面を露出させる、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
電極アセンブリの第2の被覆シートを取り外すステップは、電極アセンブリの複数の医療用電極部材の各々の第2の接着面を露出させる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
電極アセンブリは、医療装置を保持するための非電極接着パッドを更に備える、請求項13乃至16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
第1の被覆シート及び/又は第2の被覆シートの少なくとも1つのミシン目部分を取り外すステップであって、少なくとも1つのミシン目部分は、複数の医療用電極部材の少なくとも1つと取り外し可能に接続されており、複数の医療用電極部材の少なくとも1つが患者の身体又は医療装置に取り付け可能となるように、ミシン目部分が電極アセンブリから取り外し可能である、ステップ、
を更に備える、請求項13乃至17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願はオーストラリア仮特許出願第2019900237号に関連し、その全内容は参照によりここに組み入れられる。
【0002】
本開示は、電極アセンブリ及び電極アセンブリを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
医療用電極は、人間若しくは動物の身体からの電気信号のモニタリング又は人間若しくは動物の身体への電気信号の供給に使用されている。典型的には、医療用電極は、患者の皮膚に配置され電気的に接続される導電性部材を備え、導電性部材は、電気信号をモニタ又は出力する外部医療装置にも接続される。
【0004】
様々な種類の医療用電極が開発されている。例えば、図13(A)及び図13(B)は、異なる医療用電極の正面図及び背面図を示しており、各々の医療用電極は、以下の構成要素を備える:電極を医療装置に結合するための接続部1310、接続部1310は、導電性材料、例えば、金属で形成されている;接続部1310を支持するための1つ以上の可撓性シート又はフィルム1320、1つ以上の可撓性シート又はフィルム1320は、例えば、布、プラスチック、フォーム、又は、患者の身体において接続部1310を機械的に支持するための他の適切な材料で形成されてもよい;患者の皮膚に接続部1310を電気的に接続するための導電性領域1330、例えば、導電性ゲル;及び患者の身体に可撓性シート又はフィルム1320を固定するための接着剤1340。
【0005】
接着剤1340は、更に、ユーザが手動で電極から取り外すことが可能である可撓性シート又はフィルムのようなライナ又はカバーによって被覆されていてもよい。典型的には、各医療用電極は、他の医療用電極とは別個に包装され、又は、容易に分離することが可能であり、ユーザが複数の医療用電極を患者の身体に適用する場合には、各医療用電極は分離して適用される。
【0006】
しかしながら、患者の身体又は外部医療装置に複数の医療用電極が適用される場合、各医療用電極を分離して適用すると、医療用電極の適用位置の精度及び/又は電極の取り付け/接着の一貫性が不充分となり、電極をモニタする医療装置によって捕捉される信号の品質、又は、医療装置から出力されて患者の身体に供給される信号の品質に影響を与える可能性がある。更に、各医療用電極からライナを別個に剥離することは、時間の浪費であり、不便である。
【0007】
従来技術に関連する1つ以上の欠点又は制限に対処し若しくはこれらを改良し、又は、少なくとも有用な代替を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の側面では、複数の医療用電極部材と、複数の医療用電極部材に取り外し可能に取り付けられている少なくとも2つの被覆シートと、を備え、少なくとも1つの被覆シートは、複数の医療用電極部材の各々の一方側に取り外し可能に取り付けられている第1の被覆シートと、複数の医療用電極部材の各々の反対側に取り外し可能に取り付けられている第2の被覆シートと、を備える、電極アセンブリが提供される。
【0009】
一実施形態では、少なくとも2つの被覆シートは、可撓性材料で形成されている。
【0010】
別の一実施形態では、第1の被覆シートの可撓性材料は、第2の被覆シートの可撓性材料とは異なる。
【0011】
更に別の一実施形態では、複数の医療用電極部材の各々は、第1の被覆シートに取り外し可能に取り付けられている第1の接着層と、第2の被覆シートに取り外し可能に取り付けられている第2の接着層と、を備える。
【0012】
非限定的な一実施例では、第1の接着層は、第2の接着層の接着特性とは異なる接着特性を有する。
【0013】
別の一実施例では、少なくとも2つの被覆シートにおける複数の医療用電極部材の相対位置は、医療装置の複数の電極接続部の相対位置に対応している。
【0014】
更に別の一実施例では、電極アセンブリは、医療装置を保持するための非電極接着パッドを更に備え、少なくとも2つの被覆シートは、接着パッドにも取り外し可能に取り付けられている。
【0015】
一実施形態では、非電極接着パッドは、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、菱形、台形、丸められている三角形、丸められている正方形、丸められている長方形、丸められている菱形、丸められている台形又は不規則な形状の群から選択されている形状を形成するように配置されてもよい。
【0016】
別の一実施形態では、非電極接着パッドは、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、菱形、台形、丸められている三角形、丸められている正方形、丸められている長方形、丸められている菱形、丸められている台形又は不規則な形状の群から選択されている形状を形成するように配置されている開口部を備えてもよい。
【0017】
更に別の一実施形態では、接着パッドは、少なくとも2つの被覆シートの中心部又はそれに近接して配置されている。
【0018】
非限定的な一実施例では、接着パッドの装置側は、複数の医療用電極部材の各々から離間して配置されている。
【0019】
別の一実施例では、少なくとも1つの被覆シートは、少なくとも1つのミシン目部分を備える。
【0020】
第2の側面では、複数の医療用電極部材を備える電極アセンブリを使用する方法が提供され、方法は、複数の医療用電極部材から電極アセンブリの第1の被覆シートを取り外すステップと、電極アセンブリを、対応する複数の電極接続部を備える医療装置に、医療用電極部材の各々が複数の電極接続部の内の対応する1つに固定されるように、取り付けるステップと、電極アセンブリから第2の被覆シートを取り外し、複数の医療用電極部材を露出させるステップと、複数の医療用電極部材を有する電極アセンブリを、患者の身体に、複数の医療用電極部材が患者の身体に固定されるように、取り付けるステップと、を備える。
【0021】
一実施形態では、電極アセンブリから第2の被覆シートを取り外し、複数の医療用電極部材を備える電極アセンブリを患者の身体に取り付けるステップは、電極アセンブリの第1の被覆シートを取り外し、対応する複数の電極接続部を備える医療装置に電極アセンブリを取り付けるステップよりも前に実行される。
【0022】
一実施形態では、電極アセンブリの第1の被覆シートを取り外すステップは、電極アセンブリの複数の医療用電極部材の各々の第1の接着面を露出させる。
【0023】
別の一実施形態では、電極アセンブリの第2の被覆シートを取り外すステップは、電極アセンブリの複数の医療用電極部材の各々の第2の接着面を露出させる。
【0024】
更に別の一実施形態では、電極アセンブリは、医療装置を保持するための非電極接着パッドを更に備える。
【0025】
非限定的な一実施例では、方法は、第1の被覆シート及び/又は第2の被覆シートの少なくとも1つのミシン目部分を取り外すステップを更に含み、少なくとも1つのミシン目部分は、複数の医療用電極部材の少なくとも1つと取り外し可能に接続されており、複数の医療用電極部材の少なくとも1つが患者の身体又は医療装置に取り付け可能となるように、ミシン目部分が電極アセンブリから取り外し可能である。
【0026】
第3の側面では、複数の医療用電極部材を備える電極アセンブリを患者の身体又は医療装置に取り付けるステップと、複数の医療用電極部材の両側から電極アセンブリの少なくとも2つの被覆シートを取り外すステップと、を備える、電極アセンブリの使用方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下では、添付図面を参照し、本願発明の幾つかの実施形態が例示的にのみ説明される。
【0028】
図1図1は、一実施例の電極アセンブリを図示する。
【0029】
図2図2は、一実施例の電極アセンブリの医療用電極部材を図示する。
【0030】
図3A図3(A)は、一実施例の1つの被覆シートを備える電極アセンブリの図1のX’-X’線に沿う断面図を図示する。
【0031】
図3B図3(B)は、別の一実施例の2つの被覆シートを備える電極アセンブリの図1のX’-X’線に沿う断面図を図示する。
【0032】
図4A図4(A)は、電極アセンブリの更なる実施例を図示する。
図4B図4(B)は、電極アセンブリの更なる実施例を図示する。
図4C図4(C)は、電極アセンブリの更なる実施例を図示する。
【0033】
図4D図4(D)は、図4(C)に示される電極アセンブリの例示的な寸法を示す。
【0034】
図4E図4(E)は、別の一実施例の医療用電極部材を図示する。
【0035】
図5図5は、一実施例の図1に示される電極アセンブリと共に使用可能な医療装置を図示する。
【0036】
図6図6(A)乃至図6(H)は、一実施例の電極アセンブリを医療装置と共に使用する方法を図示する。
【0037】
図7図7は、更なる一実施例の電極アセンブリを図示する。
図8図8は、更なる一実施例の電極アセンブリを図示する。
図9図9は、更なる一実施例の電極アセンブリを図示する。
図10図10は、更なる一実施例の電極アセンブリを図示する。
【0038】
図11図11(A)及び図11(B)は、一実施例のカップを備える医療用電極部材のためのフィルムバッキングを図示する。
【0039】
図12A図12(A)は、一実施例の非電極接着パッドを被覆するための被覆紙フィルムを図示する。
【0040】
図12B図12(B)は、一実施例の医療用電極部材の導電性接続部の周囲の装置側接着可撓性シールを被覆するための被覆紙フィルムを図示する。
【0041】
図13図13(A)及び図13(B)は、異なる医療用電極の正面図及び裏面図を図示する。
【0042】
図14図14(A)乃至図14(C)は、更なる一実施例の電極アセンブリを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0043】
多電極アセンブリ
ここでは、多数の医療用電極の患者の身体及び/又は医療装置への効率的かつ正確な適用を可能にする電極アセンブリ100(多電極アセンブリとも称される)が説明される。図面においては、図面をとおして同様の部分を示すために、同様の参照数字が用いられる。
【0044】
図1を参照し、一実施例の電極アセンブリ100(「電極シート」と称されてもよい)が提供され、電極アセンブリ100は、複数の医療用電極部材110、120、130及び140と、複数の医療用電極部材110、120、130及び140に取り外し可能に取り付けられている少なくとも1つの被覆シート150と、を備える。医療用電極部材110、120、130及び140の各々は、公知の医療用電極装置と同様の構造を有してもよい。一実施例の医療用電極部材110は、図2に詳細に示される。他の医療用電極部材120、130及び140は、医療用電極部材110と同様の構造及び構成要素を有してもよい。
【0045】
この実施例では、医療用電極部材110は、患者の皮膚の外形に適合可能な可撓性シート210(「電極バッキング」とも称される)を備える。可撓性シート210は、絶縁材料、例えば、布、プラスチック、クローズドセルフォーム又は他の電気的に伝導しない適切な絶縁材料で形成されており、例えば、電極バッキング材料は、電極接続部240の周囲の可撓性シート210の頂部に接着されている接着可撓性シールを備えるフォームとプラスチックとの組み合わせとすることが可能である。接着可撓性シールは、本願明細書において後に更に詳細に説明される。
【0046】
可撓性シート210の一方側には、固着物質を含む接着層220が配設されている。接着層220は、可撓性シート210を患者の皮膚に固定する。固着物質は接着剤と称され、接着剤は、例えば、アクリル系、シリコン系、ポリウレタン系接着剤を含むが、これらに限定されない。また、可撓性シート210のその側には、導電性領域230が配設されている。導電性領域230は、患者の皮膚と電極接続部240とを電気的に接続することが可能である導電性物質で形成され、この導電性物質は、例えば、導電性親水性ゲルである。
【0047】
電極接続部240は、導電性材料(例えば、金属)で形成されてもよく、幾つかの実施形態では、雄型スナップファスナと同様な形状を有してもよく、又は、タブ、ワイヤ若しくはカスタム接続部の形態で配置されてもよく、電気信号をモニタ又は生成する外部医療装置に、可撓性導電性ケーブル(「リード」とも称される)を介して又は直接、電気的に接続することが可能である。様々な異なるタイプの公知の電極接続部240を使用することが、特許請求の範囲において記載及び規定されている本願発明の範囲に含まれると理解されることが、当業者に理解されるであろう。示されているような電極接続部240は、単に本願発明の作用を説明するための実施例として提供されており、従って限定的に捉えられるべきではない。
【0048】
図2は、一実施例の医療用電極部材110を図示するが、医療用電極部材110は、当業者に知られている他の適切な構造及び構成要素、例えば図7(A)及び図7(B)に示されるものを備えてもよい。幾つかの実施形態では、1つ以上の医療用電極部材110、120、130及び140は、電極アセンブリ100の他の医療用電極部材とは異なる構造及び/又は構成要素を有してもよい。ここで、図3(A)を参照し、一実施例の電極アセンブリ100の図1のX’-X’線に沿う断面図が提供される。
【0049】
被覆シート150は、医療用電極部材110の接着層220に加えて、医療用電極部材140の接着層も取り外し可能に被覆するように配置されてもよい。同様に、被覆シート150は、医療用電極部材120及び130の各々の接着層(図示せず)を取り外し可能に被覆している。従って、被覆シート150(「バッキングシート」、「バッキングフィルム」又は「ライナ」とも称されることがある)は、複数の医療用電極部材110、120、130及び140を共に保持しており、医療用電極部材の各々は、電極アセンブリ100の他の医療用電極部材に対して所定の位置にとまっている。代わって、多数の被覆シート150が代わりに用いられてもよい。例えば、第1のバッキングシートが、医療用電極部材110及び120を共に保持し、第2のバッキングシートが医療用電極部材130及び140を共に保持している場合である。
【0050】
また、被覆シート150は、保管中に医療用電極部材の接着層を保護するように配置され、医療用電極部材を患者の皮膚に適用する直前にユーザ(例えば、臨床医)によって取り外されて、接着層を露出させるようにしてもよい。更に、被覆シート150は、ポリエステル又はポリエチレンを備える1つ以上の可撓性材料、例えば、紙、プラスチック、布、又はフォームから形成されてもよい。非限定的な一実施例では、被覆シート150の医療用電極部材に対面する側は、医療用電極部材の接着層から容易に取り外すことが可能な滑らかな表面である。
【0051】
一実施形態では、被覆シート150は、少なくとも1つのミシン目部分(図示せず)を備え、少なくとも1つのミシン目部分を被覆シート150の残部分から分離可能としてもよい。例えば、ミシン目の境界は、被覆シート150、第1の被覆シート152及び/又は第2の被覆シート154において、複数の電極部材110の少なくとも1つのための接着層を被覆している一部分に、形成されるようにしてもよい。被覆シート150、152及び/又は154にミシン目部分が含まれているため、接着層を被覆して保護したままで、複数の電極部材110の少なくとも1つを被覆シート150の残部分から取り外すことが可能となる。例えば、複数の医療用電極部材110、120、130及び140の少なくとも1つと取り外し可能に接続されている、被覆シート150、152及び/又は154の少なくとも1つのミシン目部分を取り外すことによって、ミシン目部分が電極アセンブリ100から分離可能であり、複数の医療用電極部材110、120、130及び140の少なくとも1つが患者の身体又は医療装置500に取り付け可能である。これにより、複数の電極部材110の少なくとも1つを、例えば医療装置の本体から延出されているワイヤに接続する場合に、分離して配置することが可能となる一方で、残りの電極部材が、例えば医療装置の本体に接続される場合に、互いの相対位置を維持したままであるので、使い勝手が向上する。
【0052】
図3(B)を参照し、別の一実施例の電極アセンブリ100の図1のX’-X’線に沿う断面図が提供される。この実施例では、被覆シート150は、複数の医療用電極部材110、120、130及び140の各々の一方側に取り外し可能に取り付けられている第1の被覆シート152を備える。更に、被覆シート150は、複数の医療用電極部材110、120、130及び140の各々の反対側に取り外し可能に取り付けられている第2の被覆シート154を備える。即ち、医療用電極部材110、120、130及び140は、両側が被覆されている。
【0053】
一方側では、第2の被覆シート154は、各医療電極部材の接着層220を介して、医療電極部材110、120、130及び140に取り付けられている。他方、他方側では、各医療電極部材は、第1の被覆シート152によって被覆され保護されている更なる接着層222を備えてもよい。
【0054】
一実施例では、第1及び第2の被覆シート152及び154は、1つ以上の可撓性材料、例えば、紙、プラスチック、布又はフォームから形成されてもよい。非限定的な一実施例では、被覆シート152及び154の各々の少なくとも一方側は、医療用電極部材から容易に取り外すことを可能とする滑らかな表面である。幾つかの実施形態では、第1及び第2の被覆シート152及び154の一方は、各々が医療用電極部材を被覆している複数の分離されている被覆シートとして形成されてもよい。
【0055】
図1に示される実施例では、電極アセンブリ100は、4つの医療用電極部材110、120、130及び140を備える。代わって、電極アセンブリ100は、当業者に理解されるように、患者の身体から信号を捕捉し又は患者の身体に信号を送信するのに適している限り、複数の医療用電極部材を備えてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、電極アセンブリ100は、図4(A)に示されるように、2つの医療用電極部材を備えてもよい。他の幾つかの実施形態では、電極アセンブリ100は、図4(B)に示されるように、3つの医療用電極部材を備えてもよい。
【0056】
更に、被覆シートが任意の形状又は形態で配置されてもよいことも、当業者の理解の範囲内であろう。例えば、図1に示されるように、電極アセンブリ100の被覆シート(複数可)150は、正方形の形状である。代わって、被覆シート(複数可)150は、医療用電極部材の相対位置を保持し、医療用電極部材を患者の身体に取り付けるのに適している他の任意の形状、例えば、長方形、三角形、円、多角形、「X」字型等であってもよい。例えば、幾つかの実施形態では、被覆シート(複数可)150は、図4(A)に示されるように、長方形の形状であってもよい。他の幾つかの実施形態では、被覆シート(複数可)150は、図4(B)に示されるように、円形の形状であってもよい。
【0057】
更に、幾つかの実施形態では、電極アセンブリ100は、主に医療装置を患者に保持するために、医療装置に取り付けられる非電極接着パッド(「非電極接着ハブ」とも称される)を更に備えてもよい。被覆シート150は、例えば図4(C)に示されるように、医療用電極部材及び接着パッドに取り外し可能に取り付けられていてもよい。
【0058】
図4(C)において、電極アセンブリ100は、5つの医療用電極部材110、120、130、140、160及び非電極接着パッド170に取り外し可能に取り付けられている被覆シート150(「ライナ」とも称される)を備える。接着パッド170は、様々な柔軟性の材料によって形成されている成形パッドである。例えば、接着パッド170は、剛性、半剛性又は可撓性の材料で形成されてもよい。一実施形態では、接着パッド170は、可撓性シート210と同じ材料、例えば、布、プラスチック若しくはクローズドセルフォーム、又は、被覆シートと同じ材料、例えば、紙、プラスチック布若しくはフォームによって形成されている。
【0059】
接着パッド170は、一方側又は両側に配設されている接着層を備えてもよい。接着パッド170は、リング状の形状又は正方形の形状であり得る。この図は、非限定的な一実施例の円形の非電極接着パッドを備える電極アセンブリ100を示す。しかしながら、図7(A)に示されるような他の実施形態では、正方形又は長方形の形状の非電極接着パッドを提供する。従って、当業者に理解されるであろうように、非電極接着パッドは、円形、楕円形、三角形、正方形、長方形、菱形、台形、丸められている三角形、丸められている正方形、丸められている長方形、丸められている菱形、丸められている台形又は不規則な形状のような多くの形態を採ることが可能であるが、これらに限定されない。更に理解されるであろうように、中実の非電極接着パッドは、上記のいずれかの形状の中実の形状であってもよく、パッドに形成されている隙間又は開口部を備えてもよく、隙間又は開口部は、上記のいずれかの形状に形成されてもよい。
【0060】
一実施形態では、接着パッド170の一方側は、患者の身体に接着可能である。接着パッド170の反対側は、電極アセンブリ100の医療用電極部材からの電気信号をモニタし又は医療用電極部材に電気信号を供給する医療装置に接着又は固定することが可能である。このようにして、接着パッド170は、医療装置の重量の少なくとも一部を支持することによって、医療装置を電極アセンブリ100及び/又は患者の身体に固定することを容易にする。これにより、電極アセンブリ100と医療装置との間の接続の安定性を増大させ、従って医療装置によって捕捉される/医療装置から送信される信号の品質を向上させることが可能である。
【0061】
図4(C)に示される一実施例では、非電極接着パッド170は、被覆シート150の中心部又はそれに近接している位置に配置されている。代わって、非電極接着パッド170は、医療装置を支持可能な、被覆シート150の他の任意の位置に配置されてもよい。更に、非電極接着パッド170は、非電極接着パッド170を患者の身体に接着し、取り付け時に医療装置を支持することが可能である限り、他の任意の形状であってもよい。図4(D)は、図4(C)の電極アセンブリ100の例示的な寸法を示す。
【0062】
更に、前述したように、医療用電極部材110、120、130、140、160の各々の構造は、図2に示される実施例に限定されない。例えば、図4(E)は、別の一実施例の医療用電極部材110の構造を図示する。この実施例では、医療用電極部材110は基板410を備え、基板410は、布、プラスチックフォーム又は接続部470を支持するための他の適切な材料で形成されてもよい。基板410の患者側には、可撓性層420が配設されており、可撓性層420は、接着剤又は他の適切な係合手段によって、基板410に接続されている。基板410は、布、プラスチックフォーム又は接続部470を支持するための他の適切な材料で形成されてもよく、また、人間の皮膚への接触及び/又は接着に適合する(即ち、敏感な皮膚に適している)材料であってもよい。可撓性層420は、図2に示される可撓性シート210の少なくとも一部を形成している。更なる一実施形態では、可撓性層420は通気性であってもよく、ここで、用語通気性材料は、材料層がその層の空気の通過を可能にすることを意味すると理解されるであろう。
【0063】
可撓性材料層420は、患者の皮膚に接触するように配置されている患者側接着層430に接続されていてもよい。患者側接着層430は、医療用電極110を患者の皮膚に取り付け、使用時に医療用電極110の重量を支持するように配置されている。更に、患者側接着層430は、医療用電極が患者に提供される場合に、電極センサ450の周囲に防水シールを生成するように配置されている。
【0064】
更に、基板410の患者側は、Ag/AgCL印刷層のような、しかしこれらに限定されない導電性印刷層440を備えてもよい。一実施形態では、導電性印刷層440は、基板410の患者側に直接印刷されて、基板410の装置側に配設されている雄型電極スタッド接続部470に電流を供給するようにしてもよい。更に、導電性印刷層440は、電極センサ450及び親水性ゲル層460に接続するように配置されており、親水性ゲル層460は、電極センサ450と患者の皮膚との間のインタフェースとなるように配置されている。
【0065】
基板410の装置側には、雄型電極スタッド接続部470及び接着可撓性シール480が配設されていてもよく、基板410及び導電性印刷層440は、電極センサ450を雄型電極スタッド接続部470と直接接続可能とする開口部を備えるように配置されている。接着可撓性シール480の装置側表面は、患者側接着層と同様の装置側接着層(図示せず)を備えるが、接着可撓性シール480の装置側の接着剤は、電極アセンブリ100を医療装置に取り付けるのを助けるものである。装置側接着層は、医療装置の下側に接着して防水バリアを形成するように配置され、信号への動きの影響を助ける。接着可撓性シール480は、電極アセンブリ100によって収集された信号に存在する信号ノイズ及び人為構造(artefact)を低減する。更に、接着可撓性シール480は、電極の装置への接続を改良し、接続を防水するので、患者が動いている場合や水に浸かっている場合には特に有利である。
【0066】
装置側の接着可撓性シール480は、様々な厚さであってもよく、円形、正方形、三角形又は別の正多角形のような、しかしこれらに限定されない様々な形状であってもよい。接着可撓性シールは、フォーム、プラスチック、接着ゲル、布若しくはポリマー、又は、別の材料で形成されてもよい。一実施形態では、接着可撓性シール480は、接着可撓性シール480の装置側に接着層(図示せず)を備えてもよい。接着可撓性シール480の装置側の接着剤は、電極アセンブリ100を医療装置に取り付けることを助ける。更に、接着可撓性シール480は、接着可撓性シール480を基板410に取り付けることを助けるために、接着可撓性シール480の患者側に別の接着層(図示せず)(即ち、基板410に対面している接着層)を備えてもよい。
【0067】
一実施形態では、接着可撓性シール480は、図4(E)に示されるように、材料及び接着剤の薄層を備えてもよい。代わって、接着可撓性シールは、図9(A)及び図9(B)に示されるように、接着可撓性シールの装置側に配設されている接着剤の層を備えるフォーム部分を備えてもよい。
【0068】
別の非限定的な一実施形態では、接着可撓性シール480に配設されている患者側接着層430及び装置側接着層は、同じ接着剤又は結合剤を備えてもよい。代わって、接着可撓性シール480に配設されている患者側接着層430及び装置側接着層は、人間の皮膚の接着とデバイスへの接着との異なる特性及び条件に適合するように最適化されている異なる接着剤又は結合剤を備えてもよい。これにより、電極の耐用年数を向上すると共に、患者の不快感を最小化する。
【0069】
更に、別の一実施形態では、接着層430に配設されている患者側被覆シートと、接着層480に配設されている装置側被覆シートとは、同じ被覆シート材料から形成されてもよい。代わって、患者側被覆シート及び装置側被覆シートは、異なるサイズの電極部材又は上述した異なる接着剤についての異なる接着条件を満たすように、異なる材料から形成されてもよい。このような要因に適合するように被覆シートの材料を変えることにより、装置側被覆シートが取り外される場合に、電極アセンブリの特定の部分が患者側被覆シートから引き離される危険性を低減する。
【0070】
前述したように、電極アセンブリ100は、電極アセンブリ100の複数の医療用電極部材からの電気信号をモニタする又は医療用電極部材に電気信号を送信する外部医療装置と共に使用可能である。ここで、図5を参照し、一実施例の医療装置500が提供され、医療装置500は、図1に示される電極アセンブリ100と共に使用可能であり、例えば、名称「妊娠又は陣痛をモニタリングする装置」のオーストラリア仮特許出願第2016905046号及び/又は同名の国際出願第PCT/AU2017/051346号に記載されているような、複数の電極部材110を固定可能なOLI(TM)装置である。
【0071】
医療装置500は、複数の電極接続部510、520、530及び540を備える。電極接続部の各々は、複数の医療用電極部材110、120、130及び140の対応する1つに接続されるのに適している。従って、電極アセンブリ100における医療用電極部材110、120、130及び140の相対位置は、医療装置500の対応する電極接続部510、520、530及び540の相対位置に基づいて配置されていてもよい。このように、医療用電極部材110、120、130及び140の相対位置を考慮して、対応する電極接続部510、520、530及び540の特徴的な形状及び配置を変更することは、特許請求の範囲に記載及び規定されている本願発明の範囲内であることが、当業者に理解されるであろう。
【0072】
電極部材110、120、130及び140は、隣接する電極部材110、120、130及び140間の機械的及び電気的な干渉を軽減するために、電極アセンブリ100において互いに離間されている。また、電極部材110、120、130及び140は、特定の医療処置及び医療装置500に対応して、皮膚の選択箇所に接続するために離間されている。電極アセンブリ100の例示的な寸法については、各辺に沿う電極部材間が約100ミリメートル(mm)、即ち、100mmを超える辺を備える正方形とすることが可能である。電極部材110、120、130及び140の例示的な間隔については、中心から中心まで50mmを超える、例えば中心間で100mm、例えば、図1の正方形配置の各辺に沿う中心間で約100mmとすることが可能である。
【0073】
本開示で用いられる用語「患者」は、人間及び動物の両方の患者並びにユーザを含む。従って、医療装置500は、人間用の医療装置、福祉機器及びスポーツモニタリング装置、又は、動物用の獣医学装置を含んでもよい。
【0074】
方法
一実施形態では、電極アセンブリ100を医療装置500と共に使用する方法が提供される。図6(A)乃至図6(H)は、電極アセンブリ100を医療装置500と共に使用する例示的な方法を図示する。
【0075】
図6(A)は、使用前の電極アセンブリ100を示す。一実施例では、被覆シート150は、第1の被覆シート152及び第2の被覆シート154を備える。第1の被覆シート152は、複数の医療用電極部材110、120、130、140及び160の各々並びに非電極接着パッド170の装置側に、取り外し可能に取り付けられている。第2の被覆シート154は、複数の医療用電極部材110、120、130、140及び160の各々並びに非電極接着パッド170の反対側(患者側)に取り外し可能に取り付けられている。
【0076】
第1のステップでは、図6(B)に示されるように、ユーザは、電極アセンブリ100の医療装置500に取り付けられる側から第1の被覆シート152を取り外す。複数の医療用電極部材110、120、130、140及び160から電極アセンブリ100の第1の被覆シート152を取り外すことにより、電極アセンブリ100の複数の医療用電極部材の各々の接着可撓性シール480の第1の接着面を露出させる。
【0077】
次に、ユーザは、図6(C)に示されるように、電極アセンブリ100を医療装置500に取り付ける。これは、電極アセンブリ100と医療装置500とを共に圧することによって実行されてもよい。医療用電極部材の各々が複数の電極連結部の対応する1つに固定されて、電極アセンブリ100が医療装置500に接続されてもよい。ユーザは、各医療用電極部材(110、120、130、140又は160)の電極接続部240のファスナ(導電性材料(例えば、金属)によって形成されており、また、スナップファスナ(雄型若しくは雌型)、タブ、ワイヤ又はカスタム接続部を含むファスナタイプである)を、医療装置500の対応する電極接続部の協同するファスナ(導電性材料(例えば、金属)によって形成されており、また、例えば、スナップファスナ(雌型若しくは雄型)、タブ、ワイヤ又はカスタム接続部のファスナタイプと夫々協同する種類である)に固定してもよい。図6(D)は、医療装置500に接続された場合の電極アセンブリ100を示す。
【0078】
代わって又は加えて、ユーザは、各医療用電極部材(110、120、130、140、又は160)の可撓性シートを、医療装置500の対応する電極接続部の平坦面に接着してもよい。加えて、ユーザは、非電極接着パッド170を医療装置500の対応する電極接続部に更に固定又は接着してもよい。更なる一実施形態では、方法は、複数の医療用電極部材の少なくとも1つに接続されている第2の被覆シートのミシン目部分を分離し、少なくとも1つの電極アセンブリを患者の身体又は医療装置に取り付けるステップを更に備えてもよい。
【0079】
次に、ユーザは、電極アセンブリ100から第2の被覆シート154を剥離し又は取り外して、各医療用電極部材(110、120、130、140又は160)の患者側接着層430、及び、非電極接着パッド170の患者側接着層を露出させる。そして、ユーザは、複数の医療用電極部材が患者の身体に固定されるように、複数の医療用電極部材を備える医療装置500を患者の身体に取り付る。例えば、図示されるように、医療用電極部材110、120、130、140及び160、並びに、非電極接着パッド170の患者側接着層を備える医療装置500を患者の身体に適用する。医療用電極部材110、120、130、140及び160、並びに、非電極接着パッド170を備える医療装置500は、図6(E)に示されるように、各医療用電極部材の接着層及び非電極接着パッド170の接着層を介して、患者の身体に固定される。
【0080】
そして、患者の身体に固定された後は、図6(F)に示されるように、医療装置500並びに医療用電極部材110、120、130、140及び160は、患者をモニタする又は刺激するために使用可能である。医療装置500は、医療用電極部材110、120、130、140及び160によって捕捉された電気信号をモニタし、又は、患者の身体を刺激するために電気信号を医療用電極部材110、120、130、140及び160に出力する。
【0081】
使用後、図6(G)に示されるように、医療装置500及び医療用電極部材110、120、130又は140は、患者の身体から取り外し可能である。そして、ユーザは、図6(H)に示されるように、医療装置500の電極接続部(510、520、530、540)から、医療用電極部材110、120、130、140及び160、並びに、非電極接着パッド170を取り外してもよい。使用済みの医療用電極部材110、120、130、140及び160、並びに、非電極接着パッド170は、使用後に廃棄されてもよい。
【0082】
別の実施形態
他の幾つかの実施形態では、ユーザは、医療用電極部材を医療装置500に取り付ける前に、電極アセンブリ100を患者の身体に取り付けてもよい。一実施例の図1に示される電極アセンブリ100を取り付けるための別の方法として、被覆シート150が2つの被覆シート152及び154を備える場合、ユーザは:
a)電極アセンブリ100の第2の(患者側)被覆シート154を取り外して、電極アセンブリ100の複数の医療用電極部材(110、120、130及び140)を露出させる;
b)複数の医療用電極部材(110、120、130及び140)が患者の身体に固定されるように、電極アセンブリ100を患者の身体に取り付ける;
c)電極アセンブリ100の第1の(装置側)被覆シート152を複数の医療用電極部材(110、120、130及び140)から取り外す;
d)医療装置500を医療用電極部材(110、120、130及び140)に取り付ける。
【0083】
更に、幾つかの実施形態では、図1に示されるように、電極アセンブリ100は、非電極接着パッド170を備えなくてもよい。前述のような別の一実施形態では、被覆シート150は、各医療用電極部材の一方側、即ち接着層220を備える側を被覆している1つの被覆シートのみを備えてもよい。従って、電極アセンブリ100を使用する場合、ユーザは:
a)医療用電極部材(110、120、130及び140)の各々が、複数の電極接続部(510、520、530及び540)の対応する1つに固定されるように、電極アセンブリ100を医療装置500に取り付ける;
b)電極アセンブリ100の被覆シート150を複数の医療用電極部材(110、120、130及び140)から取り外す;
c)複数の医療用電極部材(110、120、130及び140)が患者の身体に固定されるように、複数の医療用電極部材(110、120、130及び140)を備える医療装置500を患者の身体に取り付ける。
【0084】
少なくとも幾つかの実施形態に従い、ここで説明されている電極アセンブリ100は、複数の医療用電極を患者の身体に迅速、容易かつ便利に適用することを可能にし、これにより、電極適用処理の使い勝手及び効率を向上させる。
【0085】
また、少なくとも幾つかの実施形態に従い、電極アセンブリ100は、医療装置500の電極接続部の位置に対応する患者の身体の位置に医療用電極が正確に適用されることを確保する。これにより、電極アセンブリ100と医療装置500との間の接続の安定性を増大し、医療装置500によって捕捉される/医療装置500から送信される信号の品質を向上することが可能である。
【0086】
少なくとも幾つかの実施形態に従い、電極アセンブリ100は、医療装置500を患者の身体に及び/又は医療用電極部材に固定することを容易にするための非電極接着パッドを更に備える。これにより、電極アセンブリ100と医療装置500との間の接続を更に強化し、医療装置500によって捕捉される/医療装置500から送信される信号の品質を向上させることが可能である。
【0087】
電極アセンブリの実施例
以下の実施例は、特定の実施形態のより詳細な説明を提供する。図7乃至図10に示される電極アセンブリの実施例は、単に例示することだけを意図しており、特許請求の範囲において規定される本願発明の範囲を限定するものではない。
【0088】
実施例1:
図7(A)及び図7(B)は、一実施例の電極アセンブリ100の正面図及び背面図を夫々示し、電極アセンブリ100は、従来のスタイルの電極である5つの医療用電極部材と、皮膚に適用する前の接着剤及び親水性ゲルを被覆している取り外し可能な被覆シート(「バッキングフィルム」とも称される)と、を備える。電極アセンブリ100は、更に、その中心部に非電極接着パッド(非電極接着ハブとも称される)を備える。
【0089】
電極アセンブリ100は、(i)医療用電極部材の導電性接続部(この実施例ではプレススタッド)と、(ii)中心部の非電極接着ハブと、の組み合わせにより、医療装置に取り付けるのに適している。
【0090】
電極アセンブリ100は、医療用電極部材と中心部の非電極接着ハブとの組み合わせにより、患者の皮膚に取り付けるのに適している。中心部の非電極接着ハブは、医療装置の位置決めを容易にし、取り付け時に医療装置の重量を支持する。この実施例では、非電極接着ハブは、中心部に、医療装置のセンサを突出可能な孔部を備える。
【0091】
患者の身体に取り付けられる側の接着剤は、プラスチックフィルムの形態の取り外し可能な被覆シートによって保護されている。また、各医療用電極部材及び非電極接着ハブの医療装置に取り付けられる反対側の接着剤は、被覆(紙)フィルムで保護されている。
【0092】
実施例2:
図8(A)から図8(C)は、一実施例の電極アセンブリ100を示し、電極アセンブリ100は、スタッド接続部を備える従来のスタイルの電極である5つの医療用電極部材と、スタッド接続部470の周囲に位置されるように配置されているリング状の5つの夫々の装置側接着可撓性シール480と、皮膚に適用する前の接着剤及び親水性ゲルを被覆している取り外し可能な被覆シート(「バッキングフィルム」とも称される)と、を備える。電極アセンブリ100は、更に、その中心部に、非電極接着パッド170(「非電極接着ハブ」とも称される)を備える。非電極接着パッド170の接着剤は、図8(C)に示されるように、非電極接着パッド170を皮膚に適用する前に取り外される別個のカバーによって被覆されていてもよい。
【0093】
電極アセンブリ100は、(i)医療用電極部材の導電性接続部(この実施例ではプレススタッド)と、(ii)その中心部にある非電極接着ハブと、の組み合わせによって、医療装置に取り付けるのに適している。
【0094】
電極アセンブリ100は、医療用電極部材とその中心部にある非電極接着ハブとの組み合わせにより、患者の皮膚に取り付けるのに適している。中心部の非電極接着ハブは、医療装置の位置決めを容易にし、取り付け時に医療装置の重量を支持する。この実施例では、非電極接着ハブは、その中心部に、医療装置のセンサを突出可能な孔部を備える。
【0095】
医療用電極部材の導電性接続部の周囲の接着可撓性シール480は、医療装置の位置決めを容易にし、動きの人為結果を低減し、流体の浸入を防止する。患者の身体に取り付けられる側の接着剤は、プラスチックフィルムの形態の取り外し可能な被覆シートによって保護されている。医療装置に取り付けられる、各医療用電極部材の反対側(即ち医療装置側)及び非電極接着ハブの接着剤は、被覆(紙)フィルムで保護されている。
【0096】
実施例3:
図9(A)及び図9(B)は、一実施例の電極アセンブリ100を示し、電極アセンブリ100は、各々が従来のスタイルの電極であり、各々がスタッド接続部470の周囲に夫々の接着可撓性シール480を備える5つの医療用電極部材110、120、130、140及び160と、2つの取り外し可能な被覆シート152及び154(「バッキングフィルム」とも称される)と、を備える。電極アセンブリ100は、更に、その中心部に、非電極接着パッド170(「非電極接着ハブ」とも称される)を備える。
【0097】
取り外し可能な被覆シート154の一方は、皮膚に適用する前の接着剤及び親水性ゲルを被覆している。他の取り外し可能な被覆シート152は、中心部の非電極接着ハブ及び接着可撓性シール480を被覆している。電極アセンブリ100は、(i)医療用電極部材の導電性接続部(この実施例ではプレススタッド)と、(ii)中心部の非電極接着ハブと、の組み合わせにより、医療装置に取り付けるのに適している。
【0098】
更に、電極アセンブリ100は、医療用電極部材110、120、130、140及び160と、その中心部の非電極接着ハブ170と、の組み合わせにより、患者の皮膚に取り付けるのに適している。中心部の非電極接着ハブ170は、医療装置の位置決めを容易にし、取り付け時に医療装置の重量を支持する。本実施例では、非電極接着ハブ170は、その中心部に、医療装置のセンサを突出可能な孔部を備える。
【0099】
装置側接着可撓性シール480は、医療用電極部材110、120、130、140及び160の各々の導電性接続部470の周囲に配置され、医療デバイスの位置決め、動きの人為結果の低減、流体の浸入の防止を助ける。患者の身体に取り付けられる側の接着剤は、プラスチックフィルムの形態の取り外し可能な1つの被覆シートによって保護されている。一方、医療装置に取り付けられる、非電極接着ハブ470及び接着可撓性シール480の反対側の接着剤は、プラスチックフィルムの形態の他の取り外し可能な被覆シート152によって、被覆され保護されている。
【0100】
実施例4:
図10は、一実施例の電極アセンブリ100を示し、電極アセンブリ100は、従来のスタイルの電極である5つの医療用電極部材110、120、130、140及び160と、皮膚に適用する前の接着剤及び親水性ゲルを被覆している1つの取り外し可能な被覆シート150(「バッキングフィルム」とも称される)とを備える。この実施例では、電極アセンブリ100は、非電極接着パッドを含まない。
【0101】
電極アセンブリ100は、医療用電極部材の導電性接続部(この実施例ではプレススタッド)によって医療装置に取り付けるのに適している。電極アセンブリ100は、医療用電極部材の一方側の接着剤を介して、患者の皮膚に取り付けるのに適しており、接着剤は単一の取り外し可能な被覆シートによって被覆されている。
【0102】
上述した実施例2及び3では、医療用電極部材の導電性接続部の周囲の装置側接着可撓性シール480は、フォーム層と共に表面から起上されている。この形態により、医療装置の位置決め、動きの人為結果の低減、及び/又は、患者の身体又は医療装置の動きの下での流体の浸入の防止について、より良い性能を提供することが可能である。しかしながら、幾つかの実施形態では、装置側の接着可撓性シール480は、電極の表面と同一面である薄いフィルム及び接着剤であってもよい。他の幾つかの実施形態では、接着可撓性シール480は、接着可撓性シール480の基板410との接続面と、接着可撓性シール480の医療装置との接触面との間の距離を増大させるより厚い層を備えていてもよい。前述したように、フォーム層の使用に代えて、接着可撓性シール480は、接着剤ゲル、布又はポリマーの層であってもよい。
【0103】
図11(A)及び図11(B)を参照し、別の一実施例の取り外し可能な被覆シート(「フィルムバッキング」)が提供され、取り外し可能な被覆シートは、(図8及び図9に示されるような同一平面のプラスチックとは対照的に)各電極用のカップ1110を備える。カップ1110は、親水性ゲルを収容可能であり、医療装置に取り付ける導電性接続部の表面を被覆可能である。カップ1110を備える被覆シートは、様々なタイプのプラスチック又は被覆紙を備えることが可能である。
【0104】
図12(A)を参照し、一実施例の非電極接着パッドを被覆するための被覆紙フィルムが提供される。図12(B)は、一実施例の医療用電極部材の導電性接続部の周囲に配置されているフォームリング状接着可撓性シールを被覆するための被覆紙フィルムを図示しており、図8(B)では取り外されて示されている。
【0105】
実施例5:
図14(A)、(B)及び(C)は、一実施例の電極アセンブリ1400を示し、電極アセンブリ1400は、各々がスタッド接続部を備える電極接続部470を備える従来のスタイルの電極である5つの医療用電極部材(1400、1420、1430、1440、1450)と、電極部材の両側に配設されている2つの取り外し可能な被覆シート1460(「バッキングフィルム」とも称される)と、を備える。電極アセンブリ1400は、さらに、その中心部に、非電極接着パッド1470(「非電極接着ハブ」とも称される)を備える。図14(A)は正面図であり、図14(B)は背面図であり、図14(C)は詳細正面図である。
【0106】
患者側の取り外し可能な被覆シート1460の1つは、皮膚に適用する前に、患者側接着層430及び親水性ゲル層460を被覆している。親水性ゲル層460は、患者側被覆シート1460に形成されている複数の凹状変形部1480に収容されている。変形部1480は、前述のカップ1110と同様に機能するが、変形部1480は、患者側被覆シート1460と一体的に形成されている。
【0107】
装置側取り外し可能被覆シート1460は、中心部の非電極接着ハブ1470、及び、電極部材(1400、1420、1430、1440、1450)を被覆している。また、装置側取り外し可能被覆シート1460は、医療用電極の導電性電極接続部470を装置側取り外し可能被覆シート1460を通過可能とするように配置されている開口部1490(図6(B)に最もよく示されている)を備えてもよい。これにより、突出した電極接続部470が装置側取り外し可能被覆シート1460を押し出し、当該シートを損傷させ又は時期尚早に取り外すことを防止する。
【0108】
電極アセンブリ1400は、(i)医療用電極部材の導電性接続部(この実施例ではプレススタッド470)と、(ii)各医療用電極の装置側に配設されている接着可撓性シールと、(iii)中心部の非電極接着性ハブ1470と、の組み合わせにより、医療装置に取り付けるのに適している。
【0109】
更に、電極アセンブリ1400は、医療用電極部材(1400、1420、1430、1440、1450)と、その中心部の非電極接着ハブ1470と、の組み合わせにより、患者の皮膚に取り付けるのに適している。中心部の非電極接着ハブ1470は、医療装置の位置決めを容易にし、取り付け時に医療装置の重量を支持する。この実施例では、非電極接着ハブは、その中心部に長方形の形状の孔部を備える。
【0110】
この実施例では、可撓性層420は、患者側接着層430を備える透明プラスチックフィルムである。更に、装置側可撓性接着シール480は、医療用電極(1400、1420、1430、1440、1450)を装置に接着する装置側接着層と、装置側可撓性接着シール480を基板410に接着するための別の接着層と、を備えるフォームシールである。装置側可撓性接着シール480の内側半径と外側半径との間の距離は、異なる厚さのシールを提供するために変化してもよい。例えば、図14(C)に示されるように、装置側可撓性接着シール480の内側半径と外側半径との間の距離は、図9において提供される装置側可撓性接着シール480の内側半径と外側半径との間の距離よりも大きい。装置側可撓性接着シール480は、医療用電極部材(1400、1420、1430、1440、1450)の各々の電極接続部470の周囲に位置するように配置され、医療デバイスの位置決め及び保持を容易にし、動きの人為結果を低減し、流体の浸入を防止する。
【0111】
一実施形態では、電極アセンブリ100を医療装置に接着するために使用される接着剤は、電極アセンブリ100を患者に接着するために使用される接着剤とは異なっていてもよい。例えば、医療用電極を医療装置に接続するために装置側可撓性接着シール480に配設されている接着層は、電極アセンブリを患者に接着するために使用される患者側接着層430に対して、より強い接着能力を有する(即ち、より強力である、より固着力がある、より接着力がある)接着剤を備えてもよい。更に、接着剤の強度又は種類の変化に対応するために、可撓性層420及び装置側可撓性接着シール480の材料及び材料特性が変化されてもよい。示される一実施例では、可撓性層420は熱可塑性ポリウレタンで形成されていてもよく、装置側可撓性接着シール480はフォームで形成されてもよい。
【0112】
好ましい実施形態が詳細に説明されているが、特許請求の範囲において規定されている本願発明の範囲から逸脱することのない改良、変更、置換、代替が当業者に自明であることが理解されるべきである。
【0113】
また、選択的な実施形態は、ここで言及又は示されている部品、要素、ステップ及び/又は特徴を、個別に、又は、部品、要素、ステップ及び/又は特徴の2つ以上の任意の組み合わせで、広く備えると言うことができ、本願発明が関連する技術分野における公知の同等物を備える特定の統合体に言及されている場合、そのような公知の同等物は、個別に記載されているように、ここに組み入られているとみなされる。従って、特許請求の範囲において規定されている本願発明の範囲を逸脱することのない多くの改良が当業者にとって自明であろう。
【0114】
この明細書における先行刊行物(又はそれから得られる情報)又は公知事実の参照については、その先行刊行物(又はそれから得られる情報)又は公知事実が、この明細書に関連する努力の分野における共通の一般的な知識の一部を形成していることの自認若しくは承認又は何らかの示唆ではなく、そのようにみなされるべきではない。
【0115】
この明細書及びそれに続く特許請求の範囲において、文脈上他が要求されない限り、用語「comprise」、及び、「comprised」、「comprises」又は「comprising」のような変形は、述べられた統合体若しくはステップ、又は、統合体若しくはステップの群を含むことを示唆するが、他の統合体若しくはステップ、又は、統合体若しくはステップの群を除外することを示唆しないと理解されるであろう。
【0116】
ここで使用されているように、a、an、the、at least one及びone or moreは、互換的に使用され、1つ又は1つ以上の(即ち少なくとも1つの)文法的対象を示す。例として、「an element」は、1つの要素、少なくとも1つの要素、又は、1つ以上の要素を意味する。
【0117】
この明細書の文脈では、用語「約」は、同じ機能又は結果を達成するという観点から、記載された値と同等であると当業者が考えるであろう数値範囲を示すと理解される。
図1
図2
図3(A)】
図3(B)】
図4(A)】
図4(B)】
図4(C)】
図4(D)】
図4(E)】
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図7(A)】
図7(B)】
図8(A)】
図8(B)】
図8(C)】
図9(A)】
図9(B)】
図10
図11(A)】
図11(B)】
図12(A)】
図12(B)】
図13(A)】
図13(B)】
図14(A)】
図14(B)】
図14(C)】
【国際調査報告】