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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(54)【発明の名称】履物用の中敷き
(51)【国際特許分類】
   A43B 7/1415 20220101AFI20220308BHJP
   A43B 17/00 20060101ALI20220308BHJP
   A43B 3/35 20220101ALI20220308BHJP
   A61F 5/14 20220101ALI20220308BHJP
【FI】
A43B7/1415
A43B17/00 E
A43B17/00 F
A43B3/35
A61F5/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543523
(86)(22)【出願日】2019-11-04
(85)【翻訳文提出日】2021-09-17
(86)【国際出願番号】 IB2019059424
(87)【国際公開番号】W WO2020157549
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】1-2019-00547
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】VN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521329925
【氏名又は名称】ヴィブラント テクノロジー プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブラッケンブリー ウェイド オブライエン
【テーマコード(参考)】
4C098
4F050
【Fターム(参考)】
4C098AA02
4C098BB11
4C098BC42
4C098BD15
4F050AA01
4F050AA11
4F050AA22
4F050BA26
4F050BA55
4F050EA05
4F050GA30
4F050JA27
(57)【要約】
本発明は、足のアーチを支持するように適合されたアーチ支持部(312)を有する非成形性ベース層(310)と、前記非成形性ベース層(310)に重なる成形性層(330)とを含み、前記成形性層(330)は成形されて前記足のアーチに一致するように適合されている、履物用の中敷きに関する。本発明はまた、前記中敷きを含む履物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物用の中敷きであって、
足のアーチを支持するように適合されたアーチ支持部(312)を有する非成形性ベース層(310)と
前記非成形性ベース層(310)に重なる成形性層(330)と
を含み、
前記成形性層(330)は、成形されて前記足のアーチに一致するように適合されている、履物用の中敷き。
【請求項2】
前記成形性層(330)が、前記足のアーチに一致するように成形される変形性の状態と、前記成形を終了する非変形性の状態との間で変形するように構成されている、請求項1に記載の中敷き。
【請求項3】
前記非成形性ベース層(310)が、前記非成形性ベース層(310)の一端にかかと部(114)と、前記一端とは反対側の他端に爪先部(116)とを含み、前記アーチ支持部(312)が前記かかと部(114)と前記爪先部(116)との間に配置され、前記成形性層(330)が前記かかと部(114)および前記アーチ支持部(312)に重なる、請求項1または2に記載の中敷き。
【請求項4】
前記成形性層(330)を加熱するように適合された加熱層(360)をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の中敷き。
【請求項5】
前記加熱層(360)が、前記成形性層(330)に取り付けられており、前記成形性層(330)と前記非成形性ベース層(310)との間に配置されている、請求項4に記載の中敷き。
【請求項6】
前記加熱層(360)が加熱要素(362)を含む、請求項4または5に記載の中敷き。
【請求項7】
前記非成形性ベース層(310)と前記成形性層(330)との間に第1の空洞(322)および第2の空洞(324)のうちの少なくとも1つをさらに含み、前記第1の空洞(322)および前記第2の空洞(324)は、それらの中に前記成形性層(330)を受け入れるように適合されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の中敷き。
【請求項8】
前記アーチ支持部(312)が、前記かかと部(114)に面する後方側(312R)と、前記爪先部(116)に面する前方側(312F)とを含み、前記第1の空洞(322)が、前記かかと部(114)および前記アーチ支持部(312)の前記後方側(312R)に沿って配置され、かつ前記第2の空洞(324)が、前記アーチ支持部(312)の前記前方側に沿って配置されている、請求項7に記載の中敷き。
【請求項9】
前記成形性層(330)が、前記非成形性ベース層(310)に面する接着面(330A)を含み、前記成形性層(330)は、前記成形性層(330)が前記第1の空洞(322)および前記第2の空洞(324)のうちの少なくとも1つの中に成形されているときに、前記非成形性ベース層(310)に接着するように適合されている、請求項7または8に記載の中敷き。
【請求項10】
前記成形性層(330)は、その全長にわたって厚さが均一である、請求項1から9のいずれか一項に記載の中敷き。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の中敷きを含む履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、履物用の中敷きに関する。例えば、足の回内の矯正、生物医学的な足の支持体、足の矯正装具などのための中敷きに関する。
【背景技術】
【0002】
中敷きまたは足の矯正装具は、回内(過回内)足または回外(過回外)足を矯正するために用いられる。足が回内している人の場合、回内による身体へのストレスは、長期的にみて傷害につながりかねない。上記のような中敷きは、歩行中またはランニング中にアーチを支持して回内を矯正するために、足と履物との間に挿入される。中敷きは、偏平足、糖尿病性足病変、および他の足の障害を矯正するために用いられる場合がある。さらに、中敷きは、ランナー、バイカー、その他のアスリートのために用いられる場合がある。履物には、靴、スリッパ、サンダルなどが含まれ得る。
【0003】
既存の中敷きは、快適さやぴったりとしたフィット性のために足の裏の形状をとるように成形可能である。しかし、このような中敷きは、平坦化されるために中敷きの成形中に歪む場合がある。例えば、成形工程中に中敷きに過剰な圧力が加えられると中敷きが平坦化される場合がある。中敷きが歪むと、中敷きは回内を矯正する目的を果たすことができなくなるため、中敷きの有効性は低下する。
【0004】
また、足に合うように中敷きをカスタマイズするにはある程度の専門知識が必要である。したがって、そのような中敷きのコストは比較的高価になる場合があり、中敷きの制作には時間がかかり、資格のある専門家を繰り返し訪問することが必要である場合がある。
【0005】
また、加熱すると成形することができる中敷きもある。例えば、中敷きを沸騰水に浸漬して軟化させることが可能である。この沸騰水法は、中敷きの周りに一様に熱を分布させるのに有効であり得るが、この方法は、中敷き全体にわたって一貫した温度分布を提供するものではない。また、中敷きが沸騰水から取り除かれると、たとえ成形が起こる前であっても中敷きの温度が急速に低下するという問題もある。場合によっては、対流オーブン内でかつヒートガンによって加熱することができる中敷きもある。しかし、そのような方法は、多くの場合、材料の過熱および変性または加熱不足をもたらし、不適切な成形および矯正につながる。さらに、中敷きの外部に熱が加えられる場合は、成形可能な材料に熱が材料の中まで十分深く伝わるように、加えられる熱の温度は必要とされる温度よりもはるかに高くなければならない。このようにして、高いエネルギーが必要とされるためにエネルギーが浪費される。また、中敷きの外側部分が中敷きの内側部分よりも高温になるかもしれないため、材料が不均一に加熱される可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
様々な実施形態によれば、履物用の中敷きが提供される。中敷きは、足のアーチを支持するように適合されたアーチ支持部を有する非成形性ベース層と、非成形性ベース層に重なる成形性層とを含み、成形性層は、成形されて足のアーチに一致するように適合されている。
【0007】
様々な実施形態によれば、成形性層は、足のアーチに一致するように成形される変形性の状態と、成形を終了する非変形性の状態との間で変形するように構成されてもよい。
【0008】
様々な実施形態によれば、非成形性ベース層は、非成形性ベース層の一端にかかと部と、その一端の反対側の他端に爪先部とを含んでもよく、アーチ支持部はかかと部と爪先部との間に配置されてもよく、成形性層はかかと部およびアーチ支持部に重なる。
【0009】
様々な実施形態によれば、中敷きは、成形性層を加熱するように適合された加熱層をさらに含んでもよい。
【0010】
様々な実施形態によれば、加熱層は、成形性層に取り付けられ、成形性層と非成形性ベース層との間に配置されてもよい。
【0011】
様々な実施形態によれば、加熱層は加熱要素を含んでもよい。
【0012】
様々な実施形態によれば、中敷きは、非成形性ベース層と成形性層との間に第1の空洞および第2の空洞のうちの少なくとも1つをさらに含んでもよく、第1の空洞および第2の空洞はそれらの中に成形性層を受け入れるように適合されている。
【0013】
様々な実施形態によれば、アーチ支持部は、かかと部に面する後方側および爪先部に面する前方側を含んでもよく、第1の空洞はかかと部およびアーチ支持部の後方側に沿って配置されてもよく、かつ第2の空洞はアーチ支持部の前方側に沿って配置されてもよい。
【0014】
様々な実施形態によれば、成形性層は、非成形性ベース層に面する接着面を含んでもよく、成形性層が第1の空洞および第2の空洞のうちの少なくとも1つの中に成形されているときに非成形性ベース層に接着するように、適合されてもよい。
【0015】
様々な実施形態によれば、成形性層は、その全長にわたって厚さが均一であってもよい。
【0016】
様々な実施形態によれば、上記の実施形態のいずれか1つに記載の中敷きを有する履物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】履物用の中敷きの例示的な実施形態の断面図を示す。
【0018】
図2】成形後プロファイルにおける中敷きの一例の断面図を示す。
【0019】
図3】成形性層を加熱するように適合された加熱層を有する中敷きの例示的な実施形態の断面図を示す。
【0020】
図4】中敷きの別の例示的な実施形態の断面図を示す。
【0021】
図5】非成形性ベース層上の図4における成形性層の上面図を示す。
【0022】
図6】非成形性ベース層上の図4における成形性層の別の上面図を示す。
【0023】
図7】加熱要素を有する加熱層の例示的な実施形態の上面図を示す。
【0024】
図8】加熱層の例示的な実施形態の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、履物用の中敷き100の例示的な実施形態の断面図を示す。中敷き100は、足のアーチ(図1に図示せず)を支持するように適合されたアーチ支持部112を有する非成形性ベース層110と、非成形性ベース層110に重なる成形性層130とを有し、成形性層130は、成形されて足のアーチに一致するように適合されている。中敷き100は、成形性層130に重なる被覆層150を含んでもよい。
【0026】
図1に示すように、非成形性ベース層110は、非成形性ベース層110の一端110Aにかかと部114、一端110Aの反対側の他端110Bに爪先部116を有する。アーチ支持部112は、かかと部114と爪先部116との間に配置されてもよい。かかと部114は、足のかかとを支持する非成形性ベース層110の部分であってもよい。爪先部116は、足の指を支持する非成形性ベース層110の部分であってもよい。アーチ支持部112は、足のアーチを支持する非成形性ベース層110の部分であってもよい。アーチ支持部112は、かかと部114から、爪先部116までかつ/または爪先部116の手前まで延在してもよい。アーチ支持部112は、足の母指球を支持するように延在してもよい。図1に示すように、アーチ支持部112は、かかと部114および爪先部116よりも高くてもよい。成形性層130は、その第1の端部130Fに近位部130P、第1の端部130Fの反対側のその第2の端部130Sに遠位部130D、および近位部と遠位部130Dとの間に中心部130Cを含んでもよい。成形性層130は、非成形性ベース層110をその長さ全体にわたって覆うことによって、非成形性ベース層110に重なってもよい。成形性層130は、非成形性ベース層110の一端110Aから他端110Bまで延在してもよく、すなわち、成形性層130は、かかと部114、アーチ支持部112、および爪先部116に重なってもよい。成形性層130は、非成形性ベース層110の一部分に重なってもよい。例えば、図1に示すように、成形性層130は、かかと部114およびアーチ支持部112に重なってもよい。成形性層130は、中敷き100の一端110Aから、非成形性ベース層110の爪先部116までかつ爪先部116の手前まで延在してもよく、非成形性ベース層110の長さの約3分の2であってもよい。成形性層130は、非成形性ベース層110の上部のプロファイルに一致するように形成されてもよい。成形性層130は、非成形性ベース層110の幅全体に及んでもよい。成形性層130は、非成形性ベース層110のかかと部114とアーチ支持部112との幅全体および長さ全体に及んでもよい。非成形性ベース層110は、成形性層130を支持するように適合された支持層であってもよい。
【0027】
非成形性ベース層110は、長期間にわたって使用者の体重下にあっても非成形性ベース層110が変形し得ないように非成形性であってもよく、または変形に対して弾力的であってもよい。非成形性ベース層110は、非成形性または非変形性の材料、例えばエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリウレタン(PU)発泡体、ブローEVA、ポリ乳酸(PLA)、および他の適切な熱可塑性材料などから作製されてもよい。したがって、中敷き100は、その形状を崩すことなく、足に適切でかつ十分な支持を提供することが可能であり得る。成形性層130は、足のアーチに一致するように成形される変形性の状態と、成形を終了する非変形性の状態との間で変形するように構成されてもよい。成形性層130は、中敷き100を足のプロファイルに適切かつ快適に合わせるために、成形されて足の裏またはアーチのプロファイル、すなわち足のプロファイルに一致し得るように成形性材料から作製されてもよい。成形性層130は、射出成形または圧縮成形されてもよい。成形性層130は、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、エチレン-エチルアクリレート(EEA)、非ブローEVA、ポリ乳酸(PLA)、固体、例えば発泡体ではない非ブロー材料、および他の適切な熱可塑性樹脂などから構成される。成形工程が完了すると、成形性層130は、成形が終了され得る非成形性または非変形性の状態に変形されてもよい。このようにして、成形性層130は足のプロファイルの形状となり、成形された形状のままであり続けることができる。
【0028】
図1は、初期プロファイルにおける中敷き100の一例を示す。初期プロファイルは、中敷き100が成形される前のプロファイルであってもよい。初期プロファイルは、最少矯正後プロファイル、すなわち足のプロファイルが最少の矯正しか必要としないかまたは矯正を必要としない場合の、成形が最少であったプロファイルのプロファイルであってもよい。図2は、成形後プロファイルにおける中敷き100の一例の断面図を示す。成形後プロファイルは、成形が終了したときの成形性層130のプロファイルであってもよい。図2に示すように、成形性層130は、実質的に非成形性ベース層110の上部プロファイルに成形されてもよい。非成形性ベース層110は、最大矯正後プロファイル、すなわち最大の矯正を必要とする足のためのプロファイルを有してもよい。成形性層130は、最少矯正後プロファイルと最大矯正後プロファイルとの間の任意の中間プロファイルに成形されてもよいと理解されよう。
【0029】
中敷き100は、回内状態の最適な矯正を可能にし得る。成形性層100は、成形性であるときに、例えば人が中敷き100の上に立つと、足によって加えられた圧力で変形され得る。成形性層130は、足が下降するにつれてアーチ支持部112上にぴったりとついて覆い包み、より大きい圧力が加えられることによって非成形性ベース層110に向かってより良く一致し得る。足が、その最適である可能な矯正、例えば100%その可能な矯正位置に達すると、足が距骨中間位に保たれていれば成形性層130はそれ以上に成形され得ない。このようにして、成形性層130を足に適切に合わせることができ、足に対する矯正が最適化される。最適な矯正を可能にすることにより、中敷き100は、矯正不足または過剰矯正の危険性を軽減する。非成形性ベース層110は、図1に示すように、極端な矯正プロファイルであってもよく、すなわち、アーチ支持部112の頂点112Aは、かかと部114および爪先部116が接続されているベースから最も高い。言い換えれば、成形性層130の中心部130Cと近位部130Pおよび/または遠位部130Dとの間の高さの差が最大である場合に、極端な成形後プロファイルが形成されてもよい。「極端な」または最大の矯正が必要とされる状態、例えば偏平足の使用者の場合では、成形性層130は、実質的に非成形性ベース層110のプロファイルに押圧されてもよい。このプロファイルでは、成形性層130は、非成形性ベース層110のプロファイルに符合する。成形されると、成形性層130はその後伸張し得ない。成形性層130は、例えば過回内または過回外の様々な足のプロファイルに適応するように成形することができることが理解されよう。このようにして、中敷き100は、広範囲の回内状態、例えば過回内から過回外に適するように容易にカスタマイズされてもよく、足の回内を生物医学的に矯正することができる。さらに、中敷き100は、わずかなアーチの支持を必要とする硬い偏平足から、高いアーチの支持を必要とする柔軟な偏平足まで、様々な偏平足の状態に適切であり得る。
【0030】
図1を参照すると、成形性層130は、足と接触する上面130Tと、上面130Tの反対側の下面130Uとを含むことができ、下面130Uは非成形性ベース層110に接触して支持されてもよい。成形性層130を足のプロファイルに一致させるために、成形性の状態で、成形性層130は、上面130Tが足のプロファイルに一致し得る足の重量下で成形されてもよい。同時に、上面130Tは、非成形性ベース層110に向かって押圧されてもよい。足が矯正位置、すなわち回内を矯正する位置または距骨中間位にあるとき、成形工程は、上面130Tに対するさらなる変化を防止するために終了されてもよい。この段階で、成形工程が停止すると成形性層130は成形後プロファイルのままであり、上面130Tは矯正プロファイルまたは成形後プロファイルのままである。成形性層230は、加熱層260なしで足のプロファイルに成形し得る成形性発泡体、例えば形状記憶発泡体であってもよい。
【0031】
図3は、成形性層230を加熱するように適合された加熱層260を有する中敷き200の例示的な実施形態の断面図を示す。加熱層260は、成形性層230内に埋め込まれてもよい。加熱層260は、成形性層230の長さに沿って成形性層230の上面230Tから一貫して離間されてもよい。加熱層260は、加熱層260からの熱で成形工程中に足を火傷させることがないように、上面230Tからある間隔で離間されてもよい。中敷き200は、さらなる断熱性を提供するために、図1に示すように被覆層250を含んでもよい。上述したように、成形性層230は、変形性の状態から非変形性の状態に変形されてもよい。成形性層230は、足のアーチを支持するために、成形性層230が足のプロファイルに一致し得るように変形性の状態に加熱され、さらなる変形を防止するために非変形性の状態に冷却される。中敷き100は、成形中に成形性層130の余分な材料を放出するための1つまたは複数の通気孔(図3に図示せず)を含んでもよい。
【0032】
図4は、中敷き300の別の例示的な実施形態の断面図を示す。先の実施形態と同様に、中敷き300は、足のアーチ(図4に図示せず)を支持するように適合されたアーチ支持部312を有する非成形性ベース層310と、非成形性ベース層310に重なる成形性層330とを有し、成形性層330は、成形されて足のアーチに一致するように適合されている。中敷き300は、成形性層330に重なる被覆層350を含んでもよい。
【0033】
中敷き300は、非成形性ベース層310と成形性層330との間に、第1の空洞322および第2の空洞324のうちの少なくとも1つを含んでもよい。第1の空洞322および第2の空洞324は、それらの中に成形性層330を受け入れるように適合されてもよい。第1の空洞322は、成形性層330の近位部330Pの下に配置されてもよい。第2の空洞324は、成形性層330の遠位部330Dの下に配置されてもよい。図4に示すように、成形性層330は、その長さ全体にわたって厚さが均一であってもよく、例えば10mm~15mm、好ましくは11mm~14mm、好ましくは12mmの厚さであってもよい。成形性層330の厚さは、使用者の体重に応じて変えてもよい。成形性層330の第1の空洞322および第2の空洞324は、成形性層330の関連する各部分がそれらの空洞内へ変位することを可能にしてもよい。成形性層330が変形性の状態にあるとき、足が中敷き300上に押圧されると、遠位部330Dは第2の空洞324の中に押圧または変位されてもよく、近位部330Pは第1の空洞322の中に押圧または変位されてもよい。成形性層330の中心部330Cはアーチ支持部312によって支持されており、下方に変位しない。成形が終了し、成形性層330が非変形性の状態になると、成形性層330は足のプロファイルに一致してもよい。中敷き300は、第1の空洞322内および第2の空洞324内の空気が、成形性層330がそれらの空洞の中に押圧されたときに放出されるように、1つまたは複数の通気孔(図4に図示せず)を含んでもよい。極端な矯正プロファイルでは、第1の空洞322および/または第2の空洞324は、成形性層330の下面330Uおよび/または加熱層360の底面360Bが非成形性ベース層310に接触すると消失してもよい。中敷き300は、第1の空洞322と第2の空洞324とを接続する単一空洞を含んでもよい。中敷き300は、複数の空洞、例えば3つの空洞、4つの空洞を含んでもよい。図1の成形性層330と比較して、図4の成形性層330はより薄く、変形性の状態に変形するために必要な熱エネルギーおよび時間が少ない。第1の空洞322および第2の空洞324は、非成形性ベース層310内に配置されてもよい。アーチ支持部312は、かかと部314に面する後方側312Rおよび爪先部に面する前方側312Fを含んでもよく、第1の空洞322はかかと部314およびアーチ支持部312の後方側312Rに沿って配置されてもよく、かつ第2の空洞324はアーチ支持部312の前方側312Fに沿って配置されてもよい。成形性層330は、成形性層330の沈下を第1の空洞322および/または第2の空洞324に収容するように伸縮可能であってもよい。
【0034】
図4を参照すると、成形性層330は、非成形性ベース層310に面する接着面330Aを含んでもよく、成形性層330が第1の空洞322および第2の空洞324のうちの少なくとも1つの中に成形されているときに成形性層330が非成形性ベース層310に接着するように、適合されている。成形性層330の下面330Uは接着面330Aであってもよく、成形性層330は、変形性の段階の間に非成形性ベース層310に押圧されるとアーチ支持部312を覆い包み、その際に下面330Uはアーチ支持部312において非成形性ベース層310に接着してもよい。非成形性ベース層310は、成形性層330の成形中に成形性層330を非成形性ベース層310により良好に接着させるために、接着のための前駆体でコーティングされてもよい。
【0035】
中敷き300は、成形性層330を加熱するように適合された加熱層360を含んでもよい。加熱層360は、成形性層330に隣接して、例えば成形性層330の下に配置されてもよい。加熱層360は成形性層330内に配置されてもよい。加熱層360は、成形性層330の長さに沿って延在してもよい。加熱層360が成形性層330の下にあるため、成形性層330の上面に到達する熱が少なくなって成形中の火傷の危険性を低減することができる。成形されると、成形性層330は、その薄さのため成形後に初期プロファイルに戻る可能性はない。加熱層360が成形性層330の下面330Uに取り付けられている実施形態では、加熱層360の底面360B、すなわち、成形性層330から反対向きの面は、成形性層330が非成形性ベース層310のアーチ支持部312を覆い包んで接着し得るように、接着面330Aの一部であってもよい。したがって、加熱層360は、第1の空洞322および/または第2の空洞324の中に変位されてもよい。加熱層360は接着材料から作製されてもよい。例えば、加熱層360は、EVAの誘導体、例えば粘着性EVAから構成されてもよく、これにより、加熱層360を成形性層330および非成形性ベース層310に接着させて、それらを互いに接合させる。
【0036】
実施形態のいずれか1つに示される被覆層150、250、350は、非成形性ベース層の一端210Aから他端210Bまで延在してもよく、非成形性ベース層の幅全体に及んでもよい。被覆層250は、圧縮成形されたEVA発泡体、ブローEVAまたは同様の材料から作製されてもよい。被覆層250は、成形性層230の成形後プロファイルに一致するように可撓性であってもよい。被覆層250は、成形中、足に付加的に熱障壁を提供するように適合されてもよく、快適性、耐久性、および美しさを中敷き200に付加してもよい。
【0037】
図5は、非成形性ベース層310上の図4の成形性層330の上面図を示す。明確にするために、第1の空洞322および第2の空洞324の上の成形性層330の部分は、それらの空洞を表すために省略している。成形性層330は、成形性層330の周囲に接合境界330Bを形成する成形性層330および非成形性ベース層310の周縁に沿って、非成形性ベース層310に接合されてもよい。また、成形性層330は、変形性の段階の間に成形性層330が変形し得ないかまたは最小限の変形しかしない任意の領域、例えば、非成形性ベース層310のアーチ支持部312の頂点(図5に図示せず)および成形性層330の中心部330Cで、非成形性ベース層310に接合されてもよい。非成形性ベース層310に接合されていない成形性層330の各部分は、第1の空洞322および/または第2の空洞324を形成する。成形性層330は、非成形性ベース層310のかかと部314(図5に図示せず)およびアーチ支持部312(図5に図示せず)と面積が同じであってもよい。あるいは、成形性層330は、非成形性ベース層310と面積プロファイルが同じであってもよい。非成形性ベース層310および成形性層330の材料がEVAから作製される場合、非成形性ベース層310と成形性層330との間の接合は、複数の材料を互いに接着剤で貼り付ける場合よりもはるかに強くなり得る。非成形性ベース層310は、EVAを接合するために一般的に用いられる適切な接着剤または他の接着剤活性化の方法を用いて、成形性層330に接合されてもよい。
【0038】
図6は、非成形性ベース層310上の図4の成形性層330の別の上面図を示す。成形性層330の下の加熱層360を表すために、加熱層360の上の成形性層330の一部を取り除いている。加熱層360は、成形性層330に取り付けられ、成形性層330と非成形性ベース層310との間に配置されてもよい。加熱層360は成形性層330内に配置されてもよい。加熱層360を成形性層330内に埋め込むことなく、すなわち加熱層360を成形性層330の外側に有することによって、成形性層330の構造は弱められず、したがって成形工程により良好に耐えることができる。
【0039】
図6に示すように、加熱層360は、成形性層330の第1の端部330Fから、第1の端部330Fの反対側の第2の端部330Sまで延在してもよい。加熱層360は成形性層330の幅全体に及んでもよい。加熱層360は、非成形性ベース層310のかかと部(図6に図示せず)およびアーチ支持部(図6に図示せず)に配置されてもよい。加熱層360は、非成形性ベース層310の爪先部316まで延在してもよい。加熱層360は、成形性層330が均一に成形され得るように、境界330B内の領域を覆って成形性層330全体に良好に分布した熱源を提供してもよい。成形性層330を加熱するために加熱層360を起動させて、成形性層330を成形可能にしてもよい。加熱層360を起動停止にして、成形性層330に成形可能な状態または硬化を終了させてもよい。成形性層330は、皮膚が火傷する温度と、非成形性ベース層310を溶融させるものの成形性層330を使用者の体重下で容易に安全に成形する温度との間の温度に加熱されてもよい。加熱層360は、接着剤、例えばEVA接着剤を用いて、または加熱層360の圧縮成形中の直接接着によって、成形性層330に接着させてもよい。
【0040】
図7は、加熱要素362を有する加熱層360の例示的な実施形態の上面図を示す。加熱層360は、加熱要素362、すなわち電気的に加熱される加熱要素を含んでもよい。加熱要素362は化学的に加熱されてもよく、すなわち、加熱要素362は化学的加熱要素であってもよい。加熱層360は電源(図7に図示せず)に接続されてもよい。電源をオンにして加熱層360を起動させてもよい。加熱要素362は、加熱層360の長さに沿って延在してもよい。加熱要素362は加熱層360の幅全体に及んでもよい。図7に示すように、加熱要素362は抵抗線を含んでもよい。加熱要素362は、加熱層360の長手方向に、幅に沿って往復して張り巡らされてもよい。図7を参照すると、加熱要素362は、加熱層360の長さに沿って、横方向に往復して張り巡らされてもよい。加熱要素362の後者の構成、すなわち図7に示すような横方向の張りによって中敷き300を可撓性にし、中敷き300が歩行中の快適さを使用者に提供する。加熱層360は、非成形性ベース層310のアーチ支持部(図7に図示せず)の周りの成形性層330の領域を加熱するように適合されてもよい。加熱要素362は加熱層360に埋め込まれてもよい。図7に示すように、加熱要素362は、加熱層360全体、すなわち加熱層360の中心および縁部を均一に加熱するように適合されてもよい。加熱要素362は、加熱部362Hと、加熱要素362を中敷き300の一端310Aに戻すための戻り部362Rとを含んでもよい。戻り部362Rは、加熱される必要のない中敷き300の部分を戻り部362Rが加熱するのを防止するように、戻り部362Rを包むように適合されたシース(図7に図示せず)を含んでもよい。シースは、エポキシシース、耐熱ワイヤカバーなどを含んでもよい。加熱要素362は、加熱要素362が加熱層360に入る入力部362Sと、加熱要素362が加熱層360を出る出力部362Pとを含むことができ、またはその逆を含んでもよい。入力部362Sおよび出力部362Pは、非成形性ベース層(図7に図示せず)を介して中敷き300から出てもよい。入力部362Sおよび出力部362Pは、一端または他端(図7に図示せず)を介して中敷き300から出てもよい。入力部362Sおよび出力部362Pは、例えばエポキシシースによって包まれてもよい。さらに、シースは、戻り部362Rと加熱部362Hとの短絡を防止するのに有用であり得る。加熱要素362は、加熱要素362が成形性層(図7に図示せず)に直接接触している加熱層360であってもよい。
【0041】
中敷き330は、成形性層330に隣接する等間隔に離間された加熱要素362と共に、均一な厚さでかつ比較的薄い成形性層330である成形性層330の全体にわたって、より均一な加熱を提供する。その結果、成形性層330は、より少ない熱を用いて迅速に変形性の段階に変形し得る。また、成形性層330は、成形性層330に足が押圧されるときに加熱されてもよい。このように、熱は成形工程に完全に伝えられ、従来の中敷きについて述べたような、熱源から使用者への中敷きの移動による不要な熱の損失がない。必要とされるエネルギーがより少ないので、成形性層330の加熱にはより小型でよりコンパクトな電力源が必要である。中敷き300は、自己発熱性の熱成形性中敷き300として認識されてもよい。加熱要素362は、他の形態、例えば、加熱プレート、加熱ロッド、加熱ストリップなどを含んでもよい。中敷き300の成形工程は比較的速いので、中敷き300は、長時間座ることができない子供に適している。
【0042】
図8は、加熱層360の例示的な実施形態の上面図を示す。中敷き300は、電力源(図8に図示せず)、例えば壁コンセント、電池パックに接続するために、加熱層360に接続され非成形性ベース層310に配置されたコネクタ370を含んでもよい。コネクタ370は、加熱要素362の入力部362Sおよび出力部362Pに接続されてもよい。中敷き300は電力源に接続可能であってもよい。中敷き300は、加熱要素に安全な低電圧電気を提供するように適合され得る変圧器380を含んでもよい。変圧器380は、コネクタ370を介して非成形性ベース層310に取り付け可能であってもよく、または非成形性ベース層310内に配置されてもよい。電気は、成形性層330を軟化させるために、必要な時間、例えば10分間、安全な展性の温度まで加熱層360に供給されてもよい。加熱層360は、120℃~160℃、好ましくは130℃~160℃、好ましくは130℃~140℃、好ましくは130℃の温度範囲に加熱されてもよい。加熱層360の温度は使用者の足が火傷するほど高いが、熱は、成形性層330および被覆層(図8に図示せず)によって使用者の足から遮断されている。使用者が体感する温度は、約40℃または使用者の体温よりわずかに高い温度であり得る。
【0043】
中敷きは、成形工程の温度および持続時間を制御するように構成されたコントローラ(図8に図示せず)を含んでもよい。コントローラは加熱層360に接続されてもよい。コントローラは中敷き300に取り付け可能であってもよく、または中敷き300の中に組み込まれてもよい。中敷き300は、コントローラと通信する温度センサ(図8に図示せず)を含んでもよい。コントローラは加熱要素362への電流を制御してもよい。コントローラは、コントローラに記憶された予めプログラムされた持続時間に基づいて、加熱の持続時間を制御するように構成されてもよい。コントローラは、所定の温度で電力供給を絶つように構成されてもよい。
【0044】
中敷きは、順応性のある自己成形型の足の矯正装具であるように設計されることが理解されよう。中敷きは、糖尿病性足、回内、足底筋膜炎などの一般的な足の問題を矯正するのに適切であり得る。このように、中敷きを多数の使用者に対応させるように大量生産してもよく、さらに使用者がカスタマイズして各使用者に容易に合わせることができる。使用者は、専門家を必要とせずに中敷きを容易にカスタマイズすることが可能であり得る。その結果、このような中敷きを得るためのコストはより手頃なものとなり得る。さらに、上記の実施形態の特徴のため、中敷きは、中敷きを成形するために大きな圧力を必要とする従来の中敷きとは異なり、比較的軽い圧力が加えられて成形され、使用者にとって最適な矯正構成が得られることを可能にする。したがって大きな圧力下で歪んでしまう従来の中敷きでは、矯正構成は提供されない。
【0045】
当業者であれば、一例に記載された特徴はその例に限定されず、他の例のいずれか1つと組み合わせてもよいことを理解するであろう。
【0046】
以下の例では、同一の特徴が同様の番号で示されている図を参照する。
【0047】
本発明は、一般に、添付の図面を参照して、かつ/または添付の図面に示して本明細書に記載した中敷きに関する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2020-05-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
履物用の中敷きであって、
足のアーチを支持するように適合されたアーチ支持部(312)を有する非成形性ベース層(310)と
前記非成形性ベース層(310)に重なる成形性層(330)と
を含み、
前記成形性層(330)は、成形されて前記足のアーチに一致するように適合されており、
前記成形性層(330)が、前記足のアーチに一致するように成形される変形性の状態と、前記成形を終了する非変形性の状態との間で変形するように構成されている、履物用の中敷き。
【請求項2】
前記非成形性ベース層(310)が、前記非成形性ベース層(310)の一端にかかと部(114)と、前記一端とは反対側の他端に爪先部(116)とを含み、前記アーチ支持部(312)が前記かかと部(114)と前記爪先部(116)との間に配置され、前記成形性層(330)が前記かかと部(114)および前記アーチ支持部(312)に重なる、請求項に記載の中敷き。
【請求項3】
前記成形性層(330)を加熱するように適合された加熱層(360)をさらに含む、請求1又は2に記載の中敷き。
【請求項4】
前記加熱層(360)が、前記成形性層(330)に取り付けられており、前記成形性層(330)と前記非成形性ベース層(310)との間に配置されている、請求項に記載の中敷き。
【請求項5】
前記加熱層(360)が加熱要素(362)を含む、請求項またはに記載の中敷き。
【請求項6】
前記非成形性ベース層(310)と前記成形性層(330)との間に第1の空洞(322)および第2の空洞(324)のうちの少なくとも1つをさらに含み、前記第1の空洞(322)および前記第2の空洞(324)は、それらの中に前記成形性層(330)を受け入れるように適合されている、請求項1からのいずれか一項に記載の中敷き。
【請求項7】
前記アーチ支持部(312)が、前記かかと部(114)に面する後方側(312R)と、前記爪先部(116)に面する前方側(312F)とを含み、前記第1の空洞(322)が、前記かかと部(114)および前記アーチ支持部(312)の前記後方側(312R)に沿って配置され、かつ前記第2の空洞(324)が、前記アーチ支持部(312)の前記前方側に沿って配置されている、請求項に記載の中敷き。
【請求項8】
前記成形性層(330)が、前記非成形性ベース層(310)に面する接着面(330A)を含み、前記成形性層(330)は、前記成形性層(330)が前記第1の空洞(322)および前記第2の空洞(324)のうちの少なくとも1つの中に成形されているときに、前記非成形性ベース層(310)に接着するように適合されている、請求項またはに記載の中敷き。
【請求項9】
前記成形性層(330)は、その全長にわたって厚さが均一である、請求項1からのいずれか一項に記載の中敷き。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載の中敷きを含む履物。
【国際調査報告】