IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 貝特瑞新材料集団股▲フン▼有限公司の特許一覧 ▶ ディンユアン ニュー エナジー テクノロジー カンパニー,リミテッドの特許一覧

特表2022-518585シリコン複合物負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池
<>
  • 特表-シリコン複合物負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池 図1
  • 特表-シリコン複合物負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池 図2a
  • 特表-シリコン複合物負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池 図2b
  • 特表-シリコン複合物負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池 図3a
  • 特表-シリコン複合物負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池 図3b
  • 特表-シリコン複合物負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池 図4a
  • 特表-シリコン複合物負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池 図4b
  • 特表-シリコン複合物負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(54)【発明の名称】シリコン複合物負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/38 20060101AFI20220308BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20220308BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20220308BHJP
   C01B 33/113 20060101ALI20220308BHJP
   C01B 33/22 20060101ALI20220308BHJP
   C01B 33/26 20060101ALI20220308BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20220308BHJP
   C01B 33/02 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
H01M4/38 Z
H01M4/36 C
H01M4/36 B
H01M4/36 E
H01M4/48
C01B33/113 Z
C01B33/22
C01B33/26
H01M4/58
C01B33/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544426
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(85)【翻訳文提出日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 CN2020117910
(87)【国際公開番号】W WO2021057929
(87)【国際公開日】2021-04-01
(31)【優先権主張番号】201910917536.2
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520417045
【氏名又は名称】貝特瑞新材料集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BTR NEW MATERIAL GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7A, 7B, and 8, High-Tech Industrial Park, Xitian Community, Gongming Office, Guangming New District Shenzhen, Guangdong 518106 China
(71)【出願人】
【識別番号】521078089
【氏名又は名称】ディンユアン ニュー エナジー テクノロジー カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パン,チュンレイ
(72)【発明者】
【氏名】シー,シャオタイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ジンウェイ
(72)【発明者】
【氏名】レン,ジャングオ
(72)【発明者】
【氏名】ヘ,シュエキン
【テーマコード(参考)】
4G072
4G073
5H050
【Fターム(参考)】
4G072AA01
4G072AA25
4G072AA38
4G072AA41
4G072BB05
4G072DD04
4G072DD05
4G072GG02
4G072HH01
4G072HH14
4G072JJ09
4G072MM26
4G072MM36
4G072QQ09
4G072RR11
4G072TT01
4G072TT05
4G072UU30
4G073BA03
4G073BA10
4G073BA11
4G073BA57
4G073BD01
4G073BD21
4G073CD04
4G073FE04
4G073FE11
4G073GA01
4G073GA11
4G073GA12
4G073GB02
4G073GB03
4G073UB60
5H050AA07
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA17
5H050CB02
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB29
5H050FA17
5H050FA18
5H050GA02
5H050GA05
5H050GA10
5H050GA24
5H050GA27
5H050GA28
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA14
5H050HA15
5H050HA20
(57)【要約】
本出願は、シリコン複合物負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池を提供する。シリコン複合物負極材料は、シリコン複合物顆粒と、シリコン複合物顆粒の少なくとも一部の表面を被覆する炭素被覆層とを含み、シリコン複合物顆粒が、シリコン、シリコン酸化物SiO及び金属元素M含有ケイ酸塩を含み、ただし、0<x<2を満たす。その方法は、真空下で、ケイ素源蒸気と金属元素Mが含まれた蒸気とを700℃~900℃下で凝縮させて、シリコン酸化物SiO及びケイ酸塩を含むシリコン複合物を得るステップと、前記シリコン複合物に対して後処理を行って、シリコン複合物負極材料を得るステップとを含み、ただし、0<x<2を満たす。本出願に係る調製方法は、凝縮温度を特定の範囲内にコントロールすることにより、シリコン複合物負極材料における元素の分布均一性を顕著に向上させた。そして、凝縮後の沈殿体の密実度もよりよく、分布が均一であるため他の副反応が防がれ、負極材料が優れたサイクル性能を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン複合物顆粒と、前記シリコン複合物顆粒の少なくとも一部の表面を被覆する炭素被覆層とを含み、
前記シリコン複合物顆粒が、シリコン、シリコン酸化物SiO及び金属元素M含有ケイ酸塩を含み、ただし、0<x<2を満たす
ことを特徴とするシリコン複合物負極材料。
【請求項2】
a.前記ケイ酸塩における金属元素Mが、Li、Mg、Al及びCaから選択される少なくとも1種であること、
b.前記シリコン複合物顆粒におけるケイ酸塩が結晶構造であること、
の条件のa~bの少なくとも1つを満たす
ことを特徴とする請求項1に記載のシリコン複合物負極材料。
【請求項3】
a.前記シリコン複合物負極材料における酸素元素の質量分率が15%~35%であること、
b.前記シリコン複合物負極材料における炭素元素の質量分率が1%~25%であること、
c.前記シリコン複合物負極材料におけるM元素の質量分率が2%~30%であること、
の条件のa~cの少なくとも1つを満たす
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のシリコン複合物負極材料。
【請求項4】
a.前記炭素被覆層の厚さが20nm~500nmであること、
b.前記シリコン複合物負極材料の平均粒径が0.5μm~50μmであること、
c.前記シリコン複合物負極材料の比表面積が0.5m/g~50m/gであること、
の条件のa~cの少なくとも1つを満たす
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のシリコン複合物負極材料。
【請求項5】
エネルギー分光装置及び走査型電子顕微鏡を利用して前記シリコン複合物顆粒の切断面をラインスキャニングして得た元素分布グラフにおいて、Si元素、O元素及びM元素の分布曲線は平行で間隔をあけた波線である
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のシリコン複合物負極材料。
【請求項6】
真空下で、ケイ素源蒸気と金属元素Mが含まれた蒸気とを700℃~900℃下で凝縮させて、シリコン酸化物SiO及びケイ酸塩を含むシリコン複合物を得るステップと、
前記シリコン複合物に対して後処理を行って、シリコン複合物顆粒と、前記シリコン複合物顆粒の少なくとも一部の表面を被覆する炭素被覆層とを含むシリコン複合物負極材料を得るステップと、を含み、
ただし、0<x<2を満たす
ことを特徴とするシリコン複合物負極材料の調製方法。
【請求項7】
ケイ素源蒸気と金属元素Mが含まれた蒸気とを700℃~900℃下で凝縮させて、前記シリコン複合物を得るステップは、
SiO及び/又はSiOを調製するための材料である第1原料と、金属M又は金属Mを調製するための材料である第2原料とを真空雰囲気下で加熱気化し、ケイ素源蒸気及び金属元素Mが含まれた蒸気を得るステップと、
真空下で、前記ケイ素源蒸気と前記金属元素Mが含まれた蒸気とを700℃~900℃下で凝縮させて、固相のシリコン複合物を得るステップとを含む
ことを特徴とする請求項6に記載の調製方法。
【請求項8】
a.前記ケイ酸塩における金属元素Mが、Li、Mg、Al及びCaから選択される少なくとも1種であること、
b.前記シリコン複合物におけるケイ酸塩が結晶構造であること、
c.前記シリコン複合物の平均粒径が2μm~100μmであること、
の条件のa~cの少なくとも1つを満たす
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の調製方法。
【請求項9】
a.SiOを調製するための前記材料が、SiOと還元性物質との混合物を含むこと、
b.Mを調製するための前記材料が、金属元素Mの酸化物と還元性物質との混合物を含むこと、
c.SiOを還元するための還元性物質が、Si及び/又はCを含むこと、
d.Mの酸化物を還元するための還元性物質が、Mg、Al、Zn、Na、K、Ca、Li、C及びTiのうちの少なくとも1種を含むこと、
e.SiOを調製するための前記材料の平均粒径が1μm~500μmであること、
f.前記真空雰囲気の真空度が0.1Pa~500Paであること、
g.前記加熱気化の温度が1000℃~1800℃であること、
h.前記凝縮の温度が700℃~850℃であること、
i.前記凝縮の時間が1h~40hであること、
のa~iの条件の少なくとも1つを満たす
ことを特徴とする請求項7に記載の調製方法。
【請求項10】
a.前記シリコン複合物負極材料における酸素元素の質量分率が15%~35%であること、
b.前記シリコン複合物負極材料におけるM元素の質量分率が2%~30%であること、
c.前記シリコン複合物負極材料における炭素元素の質量分率が1%~25%であること、
d.前記シリコン複合物負極材料の平均粒径が0.5μm~50μmであること、
e.前記シリコン複合物負極材料の比表面積が0.5m/g~50m/gであること、
f.前記炭素被覆層の厚さが20nm~500nmであること、
のa~fの条件の少なくとも1つを満たす
ことを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項11】
前記シリコン複合物に対して後処理を行って、前記シリコン複合物負極材料を得るステップは、
前記シリコン複合物に対して粉砕を行って、シリコン複合物顆粒を得るステップと、
前記シリコン複合物顆粒に対して炭素被覆及び/又は焼成を行って、シリコン複合物負極材料を得るステップとを含む
ことを特徴とする請求項6~10のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項12】
0.1Pa~500Paの真空下で、SiOと金属Mとを1000℃~1800℃まで加熱して加熱気化を行って、ケイ素源蒸気と金属元素Mが含まれた蒸気とからなる混合蒸気を得るステップと、
前記混合蒸気を700℃~850℃下で1h~40h凝縮させて、シリコン酸化物SiO及びケイ酸塩を含むシリコン複合物を得るステップと、
前記シリコン複合物に対して粉砕、炭素被覆及び焼成処理を行い、シリコン複合物顆粒の少なくとも一部の表面に炭素被覆層を形成させて、前記シリコン複合物負極材料を得るステップと、を含み、
ただし、0<x<2を満たし、前記金属元素Mが、Li、Mg、Al又はCaから選択される少なくとも1種である
ことを特徴とする請求項6~10のいずれか1項に記載のシリコン複合物負極材料の調製方法。
【請求項13】
請求項1~5のいずれか1項に記載のシリコン複合物負極材料又は請求項6~12のいずれか1項に記載の調製方法で調製できたシリコン複合物負極材料を含む
ことを特徴とするリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年9月26日に中国専利局に提出された、出願番号が2019109175362であり、名称が「シリコン複合物負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池」である中国出願に基づいて優先権を主張し、その全ての内容が、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本出願は、エネルギー貯蔵材料の技術分野に属し、負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池に関し、特にシリコン複合物負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0003】
リチウムイオン電池の応用分野の拡大、特に電気自動車などのような動力付きの交通手段の急速な発展に従って、リチウムイオン電池の研究も取り組まれている。負極材料は、リチウムイオン電池の重要な構成部分として、リチウムイオン電池の比エネルギー及びサイクル寿命を左右しており、常にリチウムイオン電池の研究の重点となっている。
【0004】
従来のグラファイト負極材料は、通常、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラ、電動工具などに用いられ、リチウムイオンを貯蔵する容量が比較的に低いので(理論上、372mAh/gである)、従来のグラファイト負極材料で作製した電池の総容量が高くない問題がある。現在、世界の自動車産業は内燃機関自動車から電気自動車に転換しているので、電池のエネルギー密度に対する要求もますます高まり、従来のグラファイト負極材料で製作したリチウムイオン電池であれば電気自動車の要求を満たすことができなくなる。エネルギー密度が高く、安全性が良好で、電力密度が高い新型リチウムイオン電池負極材料は強く求められている。
【0005】
シリコンは、理論比容量(4200mAh/g)が最も高く、放電電位が比較的低くて、次世代のリチウムイオン電池の負極材料として最も期待されているが、シリコンは、充放電のサイクルで体積膨張が大きい(300%と高い)ため、負極の破裂及び粉末化を招くことがあるので、その実用化が制限されている。シリコンの化合物のうち、亜酸化ケイ素は、比容量の高い負極材料であり、シリコンに比べて、充放電過程において体積の変化が比較的に小さい。その原因として、初回のリチウム挿入過程において、亜酸化ケイ素がリチウム化して、シリコン単体、酸化リチウム及びケイ酸リチウムを生成する。その場で生成したシリコン単体が酸化リチウム-ケイ酸リチウム無定形基体に分散され、このような構造は、活性シリコンの、リチウムの挿脱過程での体積変化を緩和させることができる。そして、酸素の導入により、亜酸化ケイ素のリチウムの挿脱過程での体積変化の軽減に寄与できる。また、亜酸化ケイ素は、動作電圧が低く、安全性が良好で、原料の供給源が広いなどの利点も有するため、近年、研究者の注目が集まっている。
【0006】
亜酸化ケイ素は、自体の体積膨張を緩和できるが、初回サイクル過程において、不可逆のLiOが生成されるため、正極材料におけるLiの消耗が増加し、不可逆容量が増加するので、初回クーロン効率が低い。これらの要因で、亜酸化ケイ素の電気化学的性能の発揮及びその実際の応用が大きく制限されている。上記の問題を解決するために、よく利用される方法は、亜酸化ケイ素にリチウム源を導入することである。亜酸化ケイ素が直接リチウムと高温合金化、高エネルギーボールミリングなどの反応をし、電極の調製過程において、不活性保護層を有する金属リチウム粉末を添加し、金属リチウムを用いて完成品の電極片に対してプレリチエーションを行う。このような方式であれば、亜酸化ケイ素の初回充放電効率を顕著に向上させることができるが、使用する金属リチウムが、非常に高い活性(引火爆発性)を持つため、材料及び電極の調製過程において、比較的大きな危険性を有し、実用化に困難である。また、プロセスが複雑で、コストが高く、そして腐食性及び毒性の強い原料を使用するため、その実用化が妨げられる。
【0007】
そこで、上記の問題を解決るように、安全性が良好で、コストが安価で、実用化が容易である技術が求められている。
【0008】
1種のシリコン酸化物を単層/2層被覆した複合負極材料及びその調製方法の案において、該単層被覆のシリコン酸化物複合負極材料は、コアシェル構造を有する2層の複合材料であり、コアがシリコン酸素前駆体であり、外層がチタン酸リチウム層であり、シリコン酸素前駆体が、シリコンが二酸化ケイ素に均一に分散して形成した材料である。該2層被覆のシリコン酸化物複合負極材料は、コアシェル構造を有する3層の複合材料であり、コアがシリコン酸素前駆体であり、中間層がチタン酸リチウム層であり、最外層がチタン酸リチウム層の外表面を被覆した炭素層である。
【0009】
もう1種のリチウムイオン二次電池用シリコン酸化物複合負極材料の案において、該リチウムイオン二次電池用シリコン酸化物複合負極材料は、安定の炭素ネットワーク構造材料を被覆材料とし、シリコン酸化物が被覆材料の内部に均一に分散して形成されたものであり、安定の炭素ネットワーク構造が、シリコン酸化物プレポリマー複合材料がその場での炭化、焼成により生成した被覆構造であり、シリコン酸化物プレポリマー複合材料がシリコン酸化物プレポリマー、活性金属及び溶融塩からなるブレンドである。
【0010】
もう1種の非水電解質二次電池負極材料用シリコン酸化物の案において、SiOガスとリチウム含有ガスとから共沈殿させることで得られるリチウム含有シリコン酸化物であり、前記リチウム含有シリコン酸化物のリチウム含有量が0.1~20%である。
【0011】
上記の方法は、シリコン系負極材料の性能をある程度改善できるが、サイクル性能には、まだ改善の余地がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来技術における上記の不足に対して、本出願は、シリコン複合物負極材料、その調製方法及びリチウムイオン電池を提供することを目的とする。本出願に係るシリコン複合物負極材料は、顆粒の内外の任意部位においても元素が均一に分布され、サイクル性能に優れる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、本出願は、下記の技術案を用いる。
【0014】
第1局面において、本出願は、シリコン複合物負極材料を提供する。前記シリコン複合物負極材料は、シリコン複合物顆粒と、前記シリコン複合物顆粒の少なくとも一部の表面を被覆する炭素被覆層とを含み、
前記シリコン複合物顆粒が、シリコン、シリコン酸化物SiO及び金属元素M含有ケイ酸塩を含み、ただし、0<x<2を満たす。
【0015】
本出願に係るシリコン複合物負極材料は、Si、O、Mの3種の元素がシリコン複合物顆粒において均一に分布され、該負極材料で調製したリチウム電池の初回効率、負極材料のサイクル性能の向上に寄与できる。
【0016】
選択可能な実施形態として、前記シリコン複合物負極材料は、
a.前記ケイ酸塩における金属元素Mが、Li、Mg、Al及びCaから選択される少なくとも1種であること、
b.前記シリコン複合物顆粒におけるケイ酸塩が結晶構造であること、
の条件のa~bの少なくとも1つを満たす。
選択可能な実施形態として、前記シリコン複合物負極材料は、
a.前記シリコン複合物負極材料における酸素元素の質量分率が15%~35%であること、
b.前記シリコン複合物負極材料における炭素元素の質量分率が1%~25%であること、
c.前記シリコン複合物負極材料におけるM元素の質量分率が2%~30%であること、
の条件のa~cの少なくとも1つを満たす。
【0017】
選択可能な実施形態として、前記シリコン複合物負極材料は、
a.前記炭素被覆層の厚さが20nm~500nmであること、
b.前記シリコン複合物負極材料の平均粒径が0.5μm~50μmであること、
c.前記シリコン複合物負極材料の比表面積が0.5m/g~50m/gであること、
の条件のa~cの少なくとも1つを満たす。
【0018】
選択可能な実施形態として、エネルギー分光装置及び走査型電子顕微鏡を利用してシリコン複合物顆粒の切断面をラインスキャニングして得た元素分布グラフにおいて、Si元素、O元素及びM元素の分布曲線は平行で間隔をあけた波線である。
【0019】
第2局面において、本出願は、シリコン複合物負極材料の調製方法を提供する。前記方法は、
真空下で、ケイ素源蒸気と金属元素Mが含まれた蒸気とを700℃~900℃下で凝縮させて、シリコン酸化物SiO及びケイ酸塩を含むシリコン複合物を得るステップと、
前記シリコン複合物に対して後処理を行って、シリコン複合物負極材料を得るステップと、を含み、
ただし、0<x<2を満たす。
【0020】
本出願に係る調製方法は、ケイ素源蒸気と金属元素Mが含まれた蒸気とを直接凝縮させてシリコン複合物を得、このシリコン複合物は、均一性及び密実度が良好で、プロセスが簡単で、コストが安価である。調製できたシリコン複合物負極材料によれば、該負極材料で調製したリチウム電池の初回効率、負極材料のサイクル性能の向上に寄与できる。
【0021】
選択可能な実施形態として、ケイ素源蒸気と金属元素Mが含まれた蒸気とを700℃~900℃下で凝縮させて、シリコン複合物を得るステップは、
SiO及び/又はSiOを調製するための材料である第1原料と、金属M又は金属Mを調製するための材料である第2原料とを真空雰囲気下で加熱気化し、ケイ素源蒸気及び金属元素Mが含まれた蒸気を得るステップと、
真空下で、ケイ素源蒸気と金属元素Mが含まれた蒸気とを700℃~900℃下で凝縮させて、固相のシリコン複合物を得るステップとを含む。
【0022】
選択可能な実施形態として、前記方法は、
a.前記ケイ酸塩における金属元素Mが、Li、Mg、Al及びCaから選択される少なくとも1種であること、
b.前記シリコン複合物におけるケイ酸塩が結晶構造であること、
c.前記シリコン複合物の平均粒径が2μm~100μmであること、
のa~cの条件の少なくとも1つを満たす。
【0023】
選択可能な実施形態として、前記方法は、
a.SiOを調製するための前記材料が、SiOと還元性物質との混合物を含むこと、
b.Mを調製するための前記材料が、金属元素Mの酸化物と還元性物質との混合物を含むこと、
c.SiOを還元するための還元性物質が、Si及び/又はCを含むこと、
d.Mの酸化物を還元するための還元性物質が、Mg、Al、Zn、Na、K、Ca、Li、C及びTiのうちの少なくとも1種を含むこと、
e.SiOを調製するための前記材料の平均粒径が1μm~500μmであること、
f.前記真空雰囲気の真空度が0.1Pa~500Paであること、
g.前記加熱気化の温度が1000℃~1800℃であること、
h.前記凝縮の温度が700℃~850℃であること、
i.前記凝縮の時間が1h~40hであること、
のa~iの条件の少なくとも1つを満たす。
【0024】
選択可能な実施形態として、前記方法は、
a.前記シリコン複合物負極材料における酸素元素の質量分率が15%~35%であること、
b.前記シリコン複合物負極材料におけるM元素の質量分率が2%~30%であること、
c.前記シリコン複合物負極材料における炭素元素の質量分率が1%~25%であること、
d.前記シリコン複合物負極材料の平均粒径が0.5μm~50μmであること、
e.前記シリコン複合物負極材料の比表面積が0.5m/g~50m/gであること、
f.前記炭素被覆層の厚さが20nm~500nmであること、
のa~fの条件の少なくとも1つを満たす。
【0025】
選択可能な実施形態として、前記シリコン複合物に対して後処理を行って、シリコン複合物負極材料を得るステップは、
前記シリコン複合物に対して粉砕を行って、シリコン複合物顆粒を得るステップと、
前記シリコン複合物顆粒に対して炭素被覆及び/又は焼成を行って、シリコン複合物負極材料を得るステップとを含む。
【0026】
選択可能な実施形態として、前記方法は、
0.1Pa~500Paの真空下で、SiOと金属Mとを1000℃~1800℃まで加熱して加熱気化を行って、ケイ素源蒸気と金属元素Mが含まれた蒸気とからなる混合蒸気を得るステップと、
前記混合蒸気を700℃~850℃下で1h~40h凝縮させて、シリコン酸化物SiO及びケイ酸塩を含むシリコン複合物を得るステップと、
前記シリコン複合物に対して粉砕、炭素被覆及び焼成処理を行い、シリコン複合物顆粒の少なくとも一部の表面に炭素被覆層を形成させて、前記シリコン複合物負極材料を得るステップと、を含み、
ただし、0<x<2を満たし、前記金属元素Mが、Li、Mg、Al及びCaから選択される少なくとも1種である。
【0027】
第3局面において、本出願は、上記のシリコン複合物負極材料又は上記の調製方法で調製できたシリコン複合物負極材料を含むリチウムイオン電池を提供する。
【発明の効果】
【0028】
従来技術に比べて、本出願は下記の有益効果を有する。
(1)本出願に係る調製方法は、凝縮温度を特定の範囲内にコントロールすることにより、シリコン複合物負極材料における元素の分布均一性を顕著に向上させた。そして、凝縮後の沈殿体の密実度もよりよく、分布が均一であるため他の副反応が防がれ、最終に調製した材料が優れたサイクル性能を有する。
(2)本出願に係るシリコン複合物負極材料は、サイクル性能に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本出願の実施例によるシリコン複合物負極材料の調製方法のプロセスフローチャートである。
図2a】本出願の実施例1で調製したシリコン複合物負極材料の走査型電子顕微鏡写真である。
図2b図2aに示される顆粒断面の元素分布グラフである
図3a】比較例1で調製したシリコン複合物負極材料の走査型電子顕微鏡写真である。
図3b図3aに示される顆粒断面の元素分布グラフである。
図4a】比較例2で調製したシリコン複合物負極材料の走査型電子顕微鏡写真である。
図4b図4aに示される顆粒断面の元素分布グラフである。
図5】実施例1、比較例1及び比較例2で調製したシリコン複合物負極材料の50サイクルの電池性能の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本出願をよりよく説明し、本出願の技術案を簡単にするため、以下、本出願をさらに詳細に説明する。ただし、下記の実施例は、本出願の簡単な例にすぎず、本出願の保護範囲を表したり限定したりするものではなく、本出願の保護範囲は、特許請求の範囲に準ずる。
【0031】
第1局面において、本出願は、シリコン複合物負極材料を提供する。前記シリコン複合物負極材料は、シリコン複合物顆粒と、前記シリコン複合物顆粒の少なくとも一部の表面を被覆する炭素被覆層とを含み、前記シリコン複合物顆粒が、シリコン、シリコン酸化物SiO及び金属元素M含有ケイ酸塩を含み、ただし、0<x<2を満たす。
【0032】
本出願に係るシリコン複合物負極材料は、エネルギー分光装置(EDS)及び走査型電子顕微鏡(SEM)を利用して、複合物の構成顆粒の切断面に対して分析を行うとき、顆粒の内外の任意部位においても元素が均一に分布されている。該シリコン複合物負極材料は、初回充放電効率が高く、サイクル性能に優れる。
【0033】
なお、炭素被覆層がシリコン複合物顆粒の表面に被覆され、本出願でいう表面が顆粒の平坦な表面だけでなく、炭素被覆層が顆粒表面の裂け目、孔などの構造内に埋められることもでき、ここで特に限定されない。
【0034】
本出願の選択可能な技術案として、前記シリコン酸化物SiOは、0<x<2を満たし、例えば、xが0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8又は1.9などである。シリコン酸化物は、亜酸化ケイ素、酸化ケイ素のうちの少なくとも1種を含む。
【0035】
本出願の選択可能な技術案として、前記シリコン複合物顆粒は、シリコン単体をさらに含んでもよい。
【0036】
本出願の選択可能な技術案として、前記シリコン複合物顆粒におけるケイ酸塩は結晶構造である。結晶構造によれば、安定性に優れ、顆粒の破砕、損壊の確率がより低く、リチウムイオンの脱離、挿入の過程で起こる構造変化が比較的小さく、空気中及び水中の安定性も比較的高くて、リチウムイオン電池のサイクル性能及び熱安定性の改善に寄与できる。
【0037】
本出願の選択可能な技術案として、前記ケイ酸塩における金属元素Mは、Li、Na、Mg、Al、Ca、Zn及びFeのうちの少なくとも1種から選択される。好ましくは、金属元素Mが、Li、Mg、Al及びCaから選択される少なくとも1種である。
【0038】
本出願の選択可能な技術案として、前記シリコン複合物負極材料における酸素元素の質量分率は、15%~35%であり、例えば、15%、20%、25%、30%又は35%などであるが、ここでリストした数値に限定されず、該数値範囲内の他の数値であってもよい。本出願に係る負極材料において、酸素元素が多すぎると、材料の中の一部の電気化学的活性を有するSiが容量のないSiOになってしまい、負極材料の容量の低下を招き、酸素元素が少なすぎると、材料におけるSiの含有量が過剰に多くなったり、Si微結晶のサイズが過大になったりしてしまい、組み立てられた電池のサイクル過程で、体積膨張が大きくて、サイクル性能に不利である。
【0039】
本出願の選択可能な技術案として、前記シリコン複合物負極材料におけるM元素の質量分率は、2%~30%であり、例えば、2%、5%、10%、15%、20%、25%又は30%などであるが、ここでリストした数値に限定されず、該数値範囲内の他の数値であってもよい。本出願に係る負極材料において、M元素が多すぎると、Mとシリコン酸化物との反応によって生成したシリコン微結晶のサイズが過大になってしまい、サイクル性能が影響され、そして、Mが多すぎる場合、活物質の占める割合が低下して、容量の低下を招き、M元素が少なすぎると、シリコン酸化物とMとの反応から生成するSiの量が不足になり、複合材料の初回クーロン効率の向上効果が劣り、初回クーロン効率が低いことがある。
【0040】
本出願の選択可能な技術案として、前記シリコン複合物負極材料における炭素元素の質量分率は、1%~25%であり、例えば、1%、5%、10%、15%、20%又は25%などであるが、ここでリストした数値に限定されず、該数値範囲内の他の数値であってもよい。炭素元素が多すぎると、シリコン複合物顆粒の表面の炭素被覆量が高すぎるということになり、容量が影響されるとともに、リチウムイオンの輸送も妨げられ、負極材料の総合的な性能が低下してしまう。炭素元素が低すぎると、シリコン複合物顆粒の表面の炭素被覆量が不足であるということになり、該製品の性能を十分に発揮できない。
【0041】
本出願の選択可能な技術案として、前記炭素被覆層の厚さは、20nm~500nmであり、例えば、20nm、50nm、100nm、150nm、200nm、250nm、300nm、350nm、400nm又は500nmであってもよいが、ここでリストした数値に限定されず、該数値範囲内の他の数値であってもよい。炭素被覆層が厚すぎると、リチウムイオンの輸送効率が低下し、材料の高いレートの充放電に不利になり、負極材料の総合的な性能が低下してしまう。炭素被覆層が薄すぎると、負極材料の導電性の向上に不利になるとともに材料の体積膨張に対する抑制性能が劣り、サイクル性能の劣化を招いてしまう。
【0042】
本出願の選択可能な技術案として、前記シリコン複合物負極材料の平均粒径は、0.5μm~50μmであり、例えば、0.5μm、1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm又は50μmなどであるが、ここでリストした数値に限定されず、該数値範囲内の他の数値であってもよい。シリコン複合物負極材料の平均粒径を上記範囲内にコントロールすれば、負極材料のサイクル性能の向上に寄与できる。
【0043】
本出願の好ましい技術案として、前記シリコン複合物負極材料の比表面積は、0.5m/g~50m/gであり、例えば、0.5m/g、1m/g、5m/g、10m/g、20m/g、30m/g、40m/g又は50m/gなどであるが、ここでリストした数値に限定されず、該数値範囲内の他の数値であってもよい。前記シリコン複合物負極材料の比表面積は上記範囲内の値となれば、該負極材料で調製されたリチウム電池の初回効率及び負極材料のサイクル性能の向上に寄与できる。
【0044】
本出願の好ましい技術案として、エネルギー分光装置及び走査型電子顕微鏡を利用してシリコン複合物顆粒の切断面に対してラインスキャンを行うとき、得られた元素分布グラフにおいて、Si元素、O元素及びM元素の分布曲線は平行で間隔をあけた波線である。Si、O、Mの3種の元素の、シリコン複合物顆粒の表層、中間層及び顆粒中心における含有量は、いずれも一定のレベルに保たれ、元素分布の均一性が非常によいということである。
【0045】
第2局面において、本出願はシリコン複合物負極材料の調製方法を提供する。図1に示すように、前記方法は、下記のステップS10~S20を含む。
【0046】
S10は、真空下で、ケイ素源蒸気と金属元素Mが含まれた蒸気とを700℃~900℃下で凝縮させて、シリコン酸化物SiO及びケイ酸塩を含むシリコン複合物を得、ただし、0<x<2を満たす。
【0047】
S20は、前記シリコン複合物に対して後処理を行って、シリコン複合物負極材料を得る。
【0048】
本出願に係る調製方法は、ケイ素源蒸気と金属元素Mが含まれた蒸気とを直接凝縮させてシリコン複合物を得、このシリコン複合物は、均一性及び密実度が良好で、プロセスが簡単で、コストが安価である。真空雰囲気下で、SiO蒸気とM蒸気とを混合して冷却させて沈殿体を形成することで、M元素がドーピングされたシリコン複合物を調製することができ、そして、凝縮温度が、該複合物における元素の分布均一性及び密実度を大きく左右できて、該複合物で調製された電池の性能を左右できる。
【0049】
本出願に係る調製方法において、凝縮温度は、700℃~900℃であり、例えば、700℃、725℃、750℃、775℃、800℃、825℃、850℃、875℃又は900℃などであってもよいが、ここでリストした数値に限定されず、該数値範囲内の他の数値であってもよい。
【0050】
ケイ素源蒸気とM元素が含まれた蒸気とからなる混合蒸気の凝縮温度が低すぎると、生成物蒸気が急速に冷却されて顆粒直径が小さくて密実度が劣る材料と形成され、そして、冷却の過程において、2種の蒸気の物理的性質、特に凝縮点の違いで、2種の蒸気の、コレクタの異なる位置における沈殿量が異なり、得られた複合物の元素の分布が大きく異なる。該複合物で調製された負極材料を電池に使用する場合、その内部の負極材料における元素の分布の不均一に起因して、サイクル過程において、局部の体積膨張で、材料の電気的接触が破壊されて、結果、サイクル性能の低下を招いてしまう。
【0051】
凝縮温度が高すぎると、混合蒸気におけるある成分が、凝縮沈殿できなく、又は沈殿量が非常に少なく、このとき、沈殿体における元素の分布が不均一であり、そして、比較的高い温度下で凝縮沈殿する場合、得られた沈殿体がコレクタ内で激しく反応し、短時間で大量の熱量を放出して、未反応のSiOが急速に不均化され、沈殿体内でサイズの比較的大きいSi微結晶が生成されてしまう。該条件下で得られた複合物で調製された負極材料を使用した電池は、サイクル過程においてSi微結晶の体積膨張及び元素分布の不均一に起因した副反応で、サイクル性能の低下を招く。
【0052】
本出願では、700℃~900℃の温度範囲を採用すれば、混合蒸気の凝縮点により近く、このとき2種の蒸気の分離度が最も小さく、混合効果が最もよいので、得られた材料における元素の分布がより均一になり、凝縮後の沈殿体の密実度もより優れ、分布が均一であるため、他の副反応が防がれ、結果、調製した材料が優れたサイクル性能を有する。
【0053】
本出願に係る調製方法において、凝縮は、反応器に凝縮室を設置することで実現することができる。
【0054】
本出願の選択可能な技術案として、前記ステップS10は、具体的に下記のステップを含む。
(1)SiO及び/又はSiOを調製するための材料である第1原料と、金属M又は金属Mを調製するための材料である第2原料とを真空雰囲気下で加熱気化して、ケイ素源蒸気及び金属元素Mが含まれた蒸気を得る。
(2)真空下で、ケイ素源蒸気と金属元素Mが含まれた蒸気とを700℃~900℃下で凝縮させ、固相のシリコン複合物を得る。
【0055】
本出願の選択可能な技術案として、ステップS10において、SiOを調製するための前記材料は、SiOと還元性物質との混合物を含む。Mを調製するための前記材料は、金属元素Mの酸化物と還元性物質との混合物を含む。本出願では、第1原料と第2原料との割合は、具体的に使用する原料の種類及び必要な元素の割合に応じて選択することができる。
【0056】
本出願の選択可能な技術案として、ステップ(1)における真空雰囲気の真空度は、0.1Pa~500Paであり、例えば、0.1Pa、0.5Pa、1Pa、10Pa、20Pa、50Pa、80Pa、100Pa、200Pa、300Pa、400Pa又は500Paなどであるが、ここでリストした数値に限定されず、該数値範囲内の他の数値であってもよい。
【0057】
本出願の選択可能な技術案として、ステップ(1)における加熱気化の温度は、1000℃~1800℃であり、例えば、1000℃、1100℃、1200℃、1300℃、1400℃、1500℃、1600℃、1700℃又は1800℃などであるが、ここでリストした数値に限定されず、該数値範囲内の他の数値であってもよい。本出願では、気化温度が高すぎると、反応による生成物蒸気の生成速度が速すぎ、単位時間内に沈殿室に進入する蒸気量が多すぎて、蒸気の混合効果及び冷却効果が悪くなり、高温蒸気のここでの副反応で、製品の調製に不利の副生成物が生成されてしまう。気化温度が低すぎると、2種の蒸気の蒸発速度及び蒸発量が適合せず、冷却沈殿後に収集した複合物の均一性が悪くなってしまう。
【0058】
本出願の選択可能な技術案として、ステップ(1)において、前記第1原料及び第2原料をそれぞれ同一反応器の両端に入れる。例えば、第1原料を反応器における炉尻に近接する端に入れ、第2原料を反応器における炉口に近接する端に入れ、第1原料が加熱気化されてケイ素源蒸気と形成され、第2原料が加熱気化されて金属元素Mが含まれた蒸気と形成された後、ケイ素源蒸気と金属元素Mが含まれた蒸気とを混合する。もう1種の方式として、第1原料と第2原料とを、反応器における同一の温度エリア内で加熱して蒸気を形成させてもよく、反応器における異なる温度エリア内でそれぞれ加熱して蒸気を形成させた後、蒸気を混合してもよく、ここで特に限定されない。
【0059】
本出願の選択可能な技術案として、ステップ(1)において、SiOを調製するための原料は、SiOと還元性物質との混合物を含む。本出願において、SiOを還元するための還元性物質はSi及び/又はCを含むが、これらに限定されない。SiOと還元性物質との割合は、従来技術を参照して設定することができるので、ここで説明を省略する。
【0060】
本出願の選択可能な技術案として、ステップ(1)において、Mを調製するための前記原料は、金属元素Mの酸化物と還元性物質との混合物を含む。本出願において、金属元素Mの酸化物を還元するための還元性物質は、Mg、Al、Na、K、Ca、Li、C及びTiのうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含むが、これらに限定されない。金属元素Mの酸化物と還元性物質との割合は、従来技術を参照して設定することができるので、ここで説明を省略する。
【0061】
本出願の選択可能な技術案として、ステップ(2)における凝縮の温度は、700℃~850℃である。700℃~850℃の凝縮温度を採用すれば、効果がより優れ、製品の元素分布がより均一にすることができ、副反応をよりよく防ぐことができ、最終の負極材料のサイクル性能より優れる。
【0062】
本出願の選択可能な技術案として、ステップ(2)における凝縮の時間は、1h~40hであり、例えば、1h、5h、10h、15h、20h、25h、30h、35h又は40hなどであるが、ここでリストした数値に限定されず、該数値範囲内の他の数値であってもよい。十分に凝縮させれば、シリコン複合物の生成効率を向上させることができる。
【0063】
本出願の選択可能な技術案として、前記シリコン複合物の平均粒径は、2μm~100μmであり、例えば、2μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm又は100μmであってもよいが、ここでリストした数値に限定されず、該数値範囲内の他の数値であってもよい。
【0064】
本出願の選択可能な技術案として、前記シリコン複合物顆粒におけるケイ酸塩は結晶構造である。結晶構造は、安定性に優れ、顆粒の破砕、損壊の確率がより低く、リチウムイオンの脱離、挿入の過程で起こる構造変化が比較的小さく、空気中及び水中の安定性が比較的高くて、リチウムイオン電池のサイクル性能及び熱安定性の改善に寄与できる。
【0065】
本出願の選択可能な技術案として、ステップS20は、具体的に、
前記シリコン複合物に対して粉砕を行って、シリコン複合物顆粒を得るステップと、
前記シリコン複合物顆粒に対して、炭素被覆及び/又は焼成を行って、シリコン複合物負極材料を得るステップとを含む。
【0066】
任意で、前記炭素被覆の方法として、炭素源を導入して化学気相成長を行うことを含む。本出願では、炭素源を導入して化学気相成長を行うことの具体的な方法及び焼成の具体的な温度、時間は、電極材料に対して炭素被覆を行う従来方法を参照して選択することができるので、ここで説明を省略する。
【0067】
本出願に記載の調製方法の更なる好ましい技術案として、前記方法は、下記のステップを含む。
0.1Pa~500Paの真空下で、SiOと金属Mとを1000℃~1800℃まで加熱して加熱気化を行って、ケイ素源蒸気と金属元素Mが含まれた蒸気とからなる混合蒸気を得る。
前記混合蒸気を700℃~850℃下で1h~40h凝縮させ、シリコン酸化物SiOとケイ酸塩とを含むシリコン複合物を得、ただし、0<x<2を満たし、前記金属元素Mが、Li、Mg、Al及びCaから選択される少なくとも1種である。
前記シリコン複合物に対して、粉砕、炭素被覆及び焼成処理を行い、シリコン複合物顆粒の少なくとも一部の表面に炭素被覆層を形成させて、前記シリコン複合物負極材料を得る。
【0068】
第3局面において、本出願は、上記の第1局面に記載の複合負極材料又は上記の第2局面に記載の調製方法で調製できた複合負極材料を含むリチウムイオン電池を提供する。
【0069】
以下、複数の実施例を用いて本発明の実施例をさらに説明する。本発明の実施例は下記の具体的な実施例に限定されず、保護範囲内において適切に変更して実施してもよい。
【0070】
実施例1
本出願は下記の方法でシリコン複合物負極材料を調製した。
(1)5kgのシリコン粉末(D50が10μmである)、10kgのシリコン微粉末(D50が5μmである)を取って、VC混合機を用いて30min混合して、SiO原料を得、真空炉反応室における炉尻に近接する端に投入した。
(2)2kgのマグネシウム粉末を取って、真空炉の反応室における炉口に近接する端に投入した。
(3)凝縮室内にコレクタを配置し、200Paの真空条件下で1300℃まで加熱して炉内にSiO蒸気及びMg蒸気を生成させた。
(4)凝縮室の温度を800℃にコントロールし、均一に混合した気体の混合物を凝縮室内で12h冷却させてシリコン複合物を得、反応が終了後、設備を冷却させ、11kgの生成物を収集できた。
(5)5kgのステップ(4)における生成物を取って、破砕、ボールミリング及び分級などの工程でその粒度(D50)を4μmにコントロールした。
(6)上記の4μmのシリコン複合物をCVD炉内に入れ、アウタ通路に保護ガスである窒素ガスを導入し、インナ通路に炭素源であるメタンガスを導入し、950℃まで加熱してメタンを分解させ、反応時に窒素ガスの流量を3.5L/minに設定し、負極材料の表面に5%の炭素が被覆された。
(7)被覆が完了した後、得られた材料をローラーハースキルン内に入れ、960℃下で高温炭化を行って、安定のシリコン複合物負極材料を得た。
【0071】
最終に調製できたシリコン複合物負極材料顆粒を日立E-3500のイオンミリング装置を用いて切断し、その断面の形態構造を日立S-4800の冷陰極電界放出型走査電子顕微鏡で観察し、イギリスのオックスフォード(Oxford)エネルギー分光装置も利用して、その元素構成及び分布を観察した。
【0072】
図2aは、本実施例で調製したシリコン複合物負極材料の走査型電子顕微鏡写真であり、図2bは、図2aに示される顆粒断面の元素分布グラフである。図2bにおいて、Si、O及びMgの元素の分布曲線は平行な波線であった。図2a及び図2bから、材料顆粒の任意位置でも、Si、O、Mgの3種の元素の含有量が一定のレベルに保たれ、元素分布の均一性が非常によいことが確認できた。
【0073】
本実施例で調製したシリコン複合物負極材料は、シリコン、シリコン酸化物及びケイ酸マグネシウムを含み、前記シリコン酸化物の化学式がSiO(x=0.63)であり、シリコン複合物負極材料の表面及び空隙内に炭素がさらに含まれた。前記シリコン複合物負極材料の平均粒径が5.5μmであり、比表面積が2m/gであった。前記シリコン複合物負極材料は、酸素元素の質量分率が26%であり、マグネシウム元素の質量分率が8%であり、炭素元素の質量分率が5%であった。
【0074】
本実施例で調製したシリコン複合物負極材料の性能評価結果は表1に示される。
【0075】
実施例2
本実施例は、実施例1に対して、ステップ(4)において、凝縮室の温度を700℃にコントロールしたことのみが相違し、その他のシリコン複合物負極材料を調製する操作が実施例1と同じであった。
【0076】
本実施例で調製したシリコン複合物負極材料は、シリコン、シリコン酸化物及びケイ酸マグネシウムを含み、前記シリコン酸化物の化学式がSiO(x=0.63)であり、シリコン複合物負極材料の表面及び空隙内に炭素がさらに含まれた。前記シリコン複合物負極材料の平均粒径が5.5μmであり、比表面積が3.5m/gであった。前記シリコン複合物負極材料は、酸素元素の質量分率が26%であり、マグネシウム元素の質量分率が8%であり、炭素元素の質量分率が5%であった。
【0077】
本実施例で調製したシリコン複合物負極材料は、エネルギー分光装置及び走査型電子顕微鏡を利用して顆粒の切断面に対してラインスキャニングを行い、結果、実施例1と類似し、Si、O及びMgの元素の分布曲線が平行な波線であるため、材料顆粒の任意位置でも、Si、O、Mgの3種の元素の含有量が一定のレベルに保たれ、元素分布の均一性が非常によいことが確認できた。
【0078】
実施例3
本実施例は、実施例1に対して、ステップ(4)において、凝縮室の温度を850℃にコントロールしたことのみが相違し、その他のシリコン複合物負極材料を調製する操作が実施例1と同じであった。
【0079】
本実施例で調製したシリコン複合物負極材料は、シリコン、シリコン酸化物及びケイ酸マグネシウムを含み、前記シリコン酸化物の化学式がSiO(x=0.63)であり、シリコン複合物負極材料の表面及び空隙内に炭素がさらに含まれた。前記シリコン複合物負極材料の平均粒径が5.5μmであり、比表面積が3m/gであった。前記シリコン複合物負極材料は、酸素元素の質量分率が26%であり、マグネシウム元素の質量分率が8%であり、炭素元素の質量分率が5%であった。
【0080】
本実施例で調製したシリコン複合物負極材料は、エネルギー分光装置及び走査型電子顕微鏡を利用して顆粒の切断面に対してラインスキャニングを行い、結果、実施例1と類似し、Si、O及びMgの元素の分布曲線が平行な波線であるため、材料顆粒の任意位置でも、Si、O、Mgの3種の元素の含有量が一定のレベルに保たれ、元素分布の均一性が非常によいことが確認できた。
【0081】
実施例4
(1)5kgのシリコン粉末(D50が10μmである)、10kgのシリコン微粉末(D50が5μmである)を取って、VC混合機を用いて30min混合して、SiO原料を得、真空炉反応室における炉尻に近接する端に投入した。
(2)3kgのアルミニウム粉末を取って、真空炉の反応室における炉口に近接する端に投入した。
(3)凝縮室内にコレクタを配置し、0.1Paの真空条件下で1000℃まで加熱して炉内にSiO蒸気及びAl蒸気を生成させた。
(4)凝縮室の温度を800℃にコントロールし、均一に混合した気体の混合物を凝縮室内で12h冷却させてシリコン複合物を得、反応が終了後、設備を冷却させ、8kgの生成物を収集できた。
(5)5kgのステップ(4)における生成物を取って、破砕、ボールミリング及び分級などの工程でその粒度(D50)を4μmにコントロールした。
(6)上記の4μmのシリコン複合物をCVD炉内に入れ、アウタ通路に保護ガスである窒素ガスを導入し、インナ通路に炭素源であるメタンガスを導入し、950℃まで加熱してメタンを分解させ、反応時に窒素ガスの流量を3.5L/minに設定し、負極材料の表面に4%の炭素が被覆された。
【0082】
本実施例で調製したシリコン複合物負極材料は、シリコン、シリコン酸化物及びケイ酸アルミニウムを含み、前記シリコン酸化物の化学式がSiO(x=0.71)であり、シリコン複合物負極材料の表面及び空隙内にさらに炭素が含まれ、シリコン複合物負極材料表面の炭素により、表面を被覆する炭素被覆膜が形成された。前記シリコン複合物負極材料の平均粒径が5.5μmであり、比表面積が3m/gであった。前記シリコン複合物負極材料は、酸素元素の質量分率が28.6%であり、アルミニウム元素の質量分率が9.6%であり、炭素元素の質量分率が4%であった。
【0083】
本実施例で調製したシリコン複合物負極材料は、エネルギー分光装置を及び走査型電子顕微鏡を利用して複合物の構成顆粒の切断面に対してラインスキャニングしたところ、得られた元素分布グラフにおいて、Si、O及びAlの元素の分布曲線が平行な波線であるため、材料顆粒の任意位置でも、Si、O、Alの3種の元素の含有量が一定のレベルに保たれ、元素分布の均一性が非常によいことが確認できた。
【0084】
本実施例で調製したシリコン複合物負極材料の性能評価結果は表1に示される。
【0085】
比較例1
本比較例では、ステップ(4)において凝縮室の温度を650℃にコントロールした以外、その他の操作条件及び原料の種類、使用量などが実施例1と同じであった。
【0086】
本比較例で調製したシリコン複合物負極材料の性能評価結果は表1に示される。
【0087】
最終に調製できたシリコン複合物負極材料顆粒を日立E-3500のイオンミリング装置を用いて切断し、その断面の形態構造を日立S-4800の冷陰極電界放出型走査電子顕微鏡で観察し、イギリスのオックスフォード(Oxford)エネルギー分光装置も利用して、その元素構成及び分布を観察した。
【0088】
図3aは、本比較例で調製したシリコン複合物負極材料の走査型電子顕微鏡写真であり、図3bは、図3aに示される顆粒断面の元素分布グラフである。図3bにおいて、Si、O及びMgの元素の分布曲線は明らかに平行ではなかった。図3a及び図3bから、Si、O、Mgの3種の元素の、顆粒の表層、中間層及び顆粒中心における含有量が大きく異なり、元素の分布が均一でないことが確認できた。
【0089】
比較例2
本比較例では、ステップ(4)において凝縮室の温度を950℃にコントロールした以外、その他の操作条件及び原料の種類、使用量などが実施例1と同じであった。
【0090】
本比較例で調製したシリコン複合物負極材料の性能評価結果は表1に示される。
【0091】
最終に調製できたシリコン複合物負極材料顆粒を日立E-3500のイオンミリング装置を用いて切断し、その断面の形態構造を日立S-4800の冷陰極電界放出型走査電子顕微鏡で観察し、イギリスのオックスフォード(Oxford)エネルギー分光装置も利用して、その元素構成及び分布を観察した。
【0092】
図4aは、本比較例で調製したシリコン複合物負極材料の走査型電子顕微鏡写真であり、図4bは、図4aに示される顆粒断面の元素分布グラフである。図4bにおいて、Si、O及Mgの元素の分布曲線は明らかに平行ではなかった。図4a及び図4bから、Si、O、Mgの3種の元素の、顆粒の表層、中間層及び顆粒中心における含有量が大きく異なり、元素の分布も均一でないことが確認できた。
【0093】
図4は、実施例1、比較例1及び比較例2で調製したシリコン複合物負極材料の50サイクルの電池性能の比較図である。該図面から、実施例1によるもののサイクル性能が最も優れ、50サイクル後にまだ91.8%の容量維持率を有することが確認できた。それは、実施例1において凝縮温度が、混合蒸気の冷却沈殿に最も適する、共に凝縮可能な温度にコントロールされたため、沈殿して得た塊の密実度及び元素分布の均一性が非常によかった。一方、比較例1及び比較例2のサイクル性能は劣っている。比較例1では、凝縮温度が比較的に低いため、2種の蒸気が効果的に混合されず、沈殿して得た複合材料における元素の分布が極めて不均一であるため、サイクル維持率が最も劣っている。
【0094】
テスト方法
各実施例及び比較例で調製したシリコン複合物負極材料をそれぞれグラファイトと10:90の割合で混合させ、そして、カルボキシメチルセルロースナトリウムCMC、接着剤のスチレン・ブタジエンゴムSBR、導電剤のSuper-P及び導電剤のKS-6と92:2:2:2:2の質量比で混合させて調製できたペーストを、銅箔に塗布し、真空乾燥、ロール圧延によって負極片を調製した。正極は、リチウム片を使用し、1mol/LのLiPF6のEC+DMC+EMC(EC:DMC:EMC=1:1:1、v/v)溶液を電解液とし、ポリプロピレン系微多孔質フィルムをセパレータとして、CR2016模擬電池を組み立てた。サイクル性能テストは、30mAの電流で定電流充放電実験を行い、充放電電圧が0~1.5Vに制限された。室温条件下で、武漢金諾電子有限公司のLAND電池評価システムで、各実施例及び比較例の材料で調製した実験用電池の電気化学的性能を評価した。
【0095】
テストの結果は下記の表に示される。
【表1】
【0096】
上記の実施例及び比較例から分かるように、実施例1~4による調製方法は、凝縮沈殿温度を特定の範囲内にコントロールしたため、シリコン複合物負極材料における元素の分布均一性を顕著に向上させた。そして、凝縮後の沈殿体の密実度もよりよく、分布が均一であるため他の副反応が防がれ、得られた負極材料で調製したリチウム電池は、サイクル性能が優れる。
【0097】
比較例1では、凝縮温度が低すぎて、生成物蒸気が急速に冷却されて顆粒直径が小さくて密実度が劣る材料と形成され、そして、冷却の過程において、2種の蒸気物理的性質、特に凝縮点の違いで、2種の蒸気の、コレクタの異なる位置における沈殿量が異なり、元素分布が大きく異なる複合物を得た。該複合物で調製された負極材料を電池に使用する場合、その内部の負極材料における元素の分布不均一に起因して、サイクル過程において、局部の体積膨張で、材料の電気的接触が破壊されて、結果、サイクル性能の低下を招いてしまった。
【0098】
比較例2では、凝縮温度が高すぎって、混合蒸気におけるある成分が、凝縮沈殿できず、又は沈殿量が非常に少なく、このとき、沈殿体における元素の分布が不均一であり、そして、比較的高い温度下で凝縮沈殿する場合、得られた沈殿体がコレクタ内で激しく反応し、短時間で大量の熱量を放出して、未反応のSiOが急速に不均化され、沈殿体内でサイズの比較的大きいSi微結晶が生成されてしまう。該条件下で得られた複合物で調製された負極材料を使用した電池は、サイクル過程においてSi微結晶の体積膨張及び元素分布の不均一に起因した副反応で、サイクル性能の低下を招いてしまった。
【0099】
なお、本出願は、上記の実施例を用いて本出願の詳細なプロセスの設備及びプロセスの流れを説明したが、上記の詳細なプロセスの設備及びプロセスの流れに限定されない。つまり、本出願の実施が必ずしも上記の詳細なプロセスの設備及びプロセスの流れに依存するとは限らない。当業者による、本出願に対する任意の改良、本出願に係る製品の各原料に対する均等置換及び補助成分の添加、具体的な方式の選択なども、本出願の保護範囲及び開示範囲に属する。
図1
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
【国際調査報告】