(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(54)【発明の名称】抗PD-1抗体、その抗原結合フラグメントおよびそれらの医薬用途
(51)【国際特許分類】
C07K 16/18 20060101AFI20220308BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20220308BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20220308BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20220308BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220308BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220308BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20220308BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20220308BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
C07K16/18 ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/02
A61K39/395 D
G01N33/574 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544436
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(85)【翻訳文提出日】2021-09-03
(86)【国際出願番号】 CN2020074098
(87)【国際公開番号】W WO2020156509
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】201910108743.3
(32)【優先日】2019-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202010052351.2
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】510166892
【氏名又は名称】ジエンス ヘンルイ メデイシンカンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU HENGRUI MEDICINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】508209602
【氏名又は名称】シャンハイ ヘンルイ ファーマスーティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI HENGRUI PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100175477
【氏名又は名称】高橋 林太郎
(72)【発明者】
【氏名】グ シャオリン
(72)【発明者】
【氏名】イェ シン
(72)【発明者】
【氏名】グォ フー
(72)【発明者】
【氏名】タオ ウェイカン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA83X
4B065AA87X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085CC23
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
抗PD-1抗体、その抗原結合フラグメント、およびそれらの医薬用途が提供される。具体的には、特定のCDR領域を含むヒト化抗PD-1抗体およびその抗原結合フラグメント、前記抗PD-1抗体およびその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物、ならびに薬剤としてのそれらの使用が提供される。特に、PD-1関連疾患または障害を処置するための薬剤の調製における前記ヒト化抗PD-1抗体の使用が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖可変領域と軽鎖可変領域を構成する抗PD-1/抗原結合断片であって、
重鎖可変領域は、SEQ ID NO: 65に示すHDR1、SEQ ID NO: 66に示すHDR2、SEQ ID NO: 67に示すHDR3、及び軽鎖可変領域は、SEQ ID NO: 68に示すLCDR1、SEQ ID NO: 12に示すLCDR2、及びSEQ ID NO: 69に示すLCDR3からなり、
できれば、重鎖可変領域は、配列番号NO: 8に示すHDR1、配列番号NO: 9に示すHCDR2、配列番号NO: 10に示すHDR3からなり、軽鎖可変領域は、配列番号NO: 12に示すLCDR2、配列番号NO: 13に示すLCDR3、および一般公式RSSQSX
13VHSX
14 X
15 X
16 TYLE (配列番号NO: 68)に示すようにLCDR1からなり、X
13がLである場合には、N、Q、L、T、DからなるグループからX
14が選択され、G、A、VからなるグループからX
15が選択され、X
16がNである。
【請求項2】
重鎖可変領域及び軽鎖可変領域から構成される反PD-1/抗原結合フラグメントであって、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との組合せが次の(a)~(e)いずれかから選択されるもの、
(a) SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10に示すようなHDR1、HCL2、HCDR3からなる重鎖可変領域、およびSEQ ID NO: 12及びSEQ ID NO: 13に示すようなLCDR2及びLCDR3からなる軽鎖可変領域、並びにSEQ ID NO: 11、47、48、49、50、51又は52に示すようなLCDR1からなる軽鎖可変領域、
(b) SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15およびSEQ ID NO: 16に示されるように、HDR1、HCL2およびHCDR3からなる重鎖可変領域、およびSEQ ID NO: 17、SEQ ID NO: 12およびSEQ ID NO: 18に示されるように、それぞれLCDR1、LCDR2およびLCDR3からなる軽鎖可変領域、
(c) SEQ ID NO: 21、SEQ ID NO: 22およびSEQ ID NO: 23に示されるように、HCDR1、HCDR2およびHCDR3からなる重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25およびSEQ ID NO: 26に示されるように、LCDR1、LCDR2およびLCDR3からなる軽鎖可変領域、
(d) 配列番号14、配列番号15および配列番号16にそれぞれ示されるようなHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む重鎖可変領域、
SEQ ID NO: 12およびSEQ ID NO: 13に示されるLCDR2およびLCDR3からなる軽鎖可変領域、およびSEQ ID NO: 11,47,48,49,50,51または52に示されるLCDR1、および
(e) SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10に示されるように、HCDR1、HCDR2、HDR3からなる重鎖可変領域、およびSEQ ID NO: 17、SEQ ID NO: 12およびSEQ ID NO: 18に示されるように、それぞれLCDR1、LCDR2およびLCDR3からなる軽鎖可変領域、
好ましくは、アンチPD-1の検出法は、以下に示すように重鎖可変領域と軽鎖可変領域とを組み合わせたものである、
(a1) SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9、SEQ ID NO: 10に示されるHDR1、HDR2、HCDR3からなる重鎖可変領域、およびSEQ ID NO: 49、SEQ ID NO: 12およびSEQ ID NO: 13に示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3からなる軽鎖可変領域、または(a2)SEQ ID NO: 21、SEQ ID NO: 22およびSEQ ID NO: 23に示されるHDR1、HCDR2およびHCDR3からなる重鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25およびSEQ ID NO: 26に示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3からなる軽鎖可変領域である。
【請求項3】
以下の4から6までのいずれかから選択される重鎖可変領域と軽鎖可変領域との組合せを構成する、抗PD-1抗原結合断片又はそれらの断片、
iv) 配列番号4に示される重鎖可変領域の配列と同じ配列を有するHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む重鎖可変領域、ならびに配列番号5に示される軽鎖可変領域の配列と同じ配列を有するLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む軽鎖可変領域、
v) SEQ ID NO: 6に示された重鎖可変領域と同じ配列を持つHDR1、HDR2、HDR3からなる重鎖可変領域、並びにSEQ ID NO: 7に示された軽鎖可変領域と同じ配列を持つLCDR1、LCDR2、LCDR3からなる軽鎖可変領域、及びSEQ ID NO: 19に示された重鎖可変領域と同じ配列を持つHDR1、HDR2、HDR3からなる重鎖可変領域、並びにSEQ ID NO: 20に示された順序で示された軽鎖可変領域と同列を持つLCDR1、LCDR2、LCDR3からなる軽鎖可変領域である。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかによれば、当該抗PD-1抗原又はその抗原結合断片が、ムリン抗原又はその抗原結合断片であること、キメリック抗原又はその抗原結合断片であること、その全人的抗原又は抗原結合断片であること、又はその人為化された抗原又はその抗原結合断片であること、抗PD-1抗原又は抗原結合断片であることを記載した。
【請求項5】
当該抗PD-1抗原が人工抗原であることを特徴とする請求項4に記載の抗PD-1抗原結合フラグメント又は抗原結合フラグメントは、当該人工抗原又は人工抗原に改良されたフレームワーク領域を構成するものであり、
骨格領域の変形例は、L鎖の骨格領域および/またはヒトの抗たん性の重鎖骨格領域の各々において、最大11のアミノ酸の背中の突然変異をもち、
フレームワーク領域変異は、好ましくは、以下の(f)から(h)のいずれかから選択された突然変異を含む、
(f) 軽鎖可変領域に含まれる2Gアミノ酸バック突然変性、および/または複数のアミノ酸バック突然変性を含む、27Y、48I、67T、69L、82Fおよび93Tからなるグループから選択された重鎖可変領域、
(g) 軽鎖可変領域に含まれる2Vアミノ酸の復帰突然変異、および/または26D、27F、30T、38K、43H、48I、66K、67A、69L、82F、および93Tからなる群から選択された1つ以上のアミノ酸バック突然変性、
(h) 軽鎖可変領域および/または/またはそれらを含む42G、44Vおよび71Yからなるグループから選択された1つ以上のアミノ酸バック突然変性、
1Kおよび/または94Sのアミノ酸の背中の突然変わりは重鎖可変領域に含まれ、ここでは、アミノ酸の位置はカバト基準に従い番号づけられ、決定される。
【請求項6】
前記抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域の組み合わせは、下記(i)~(o)のいずれかから選択される、請求項4に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント、
(i) SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 4および/または軽連鎖可変領域で少なくとも90%の配列アイデンティティを有する、重連鎖可変領域の配列。その配列はSEQ ID NO: 5またはSEQ ID NO: 5で示されているようなものであるか、少なくとも90%の配列アイデンティティを有するものであり、
(j) 配列番号6に示されるような重鎖可変領域、または配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域、および/または軽鎖可変領域であって、配列番号7に示されるような配列、または配列番号7と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、
(k) SEQ ID NO: 19またはSEQ ID NO: 19および/または軽鎖可変領域で少なくとも90%の配列アイデンティティを有する、重鎖可変領域の配列。その配列はSEQ ID NO: 20またはSEQ ID NO: 20で示されているようなものであるか、少なくとも90%の配列アイデンティティを有するものであり、
(l) 配列番号27、30、31もしくは32に示されるような軽鎖可変領域、または配列番号27、30、31もしくは32と少なくとも90%の配列同一性を有するか、および/または配列番号28、29、34、35、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64に示されるような配列、または配列番号28、29、34、35、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域、
(m) その配列が配列番号33、36、37、38、39もしくは40に示される重鎖可変領域、または配列番号33、36、37、38、39もしくは40と少なくとも90%の配列同一性を有するか、および/またはその配列が配列番号34、35、28、29、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64に示される軽鎖可変領域、または配列番号34、35、28、29、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域;
(n) 重鎖可変領域であり、その配列は、SEQ ID NO: 41、45、46に示されているように、又はSEQ ID NO: 41、45、46、及び/又は少なくとも90%の配列同一性を有し、
SEQ ID NO: 42、43または44に示されているような、またはSEQ ID NO: 42、43または44と少なくとも90%の配列アイデンティティを有する軽鎖可変領域、および
(o) SEQ ID NO: 70またはSEQ ID NO: 70および/または軽鎖可変領域で少なくとも90%の配列アイデンティティを有する、重鎖可変領域の配列はSEQ ID NO: 71に示されているか、SEQ ID NO: 71で少なくとも90%の配列アイデンティティを有し、
好ましくは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域との組合せが、以下の中から選択され、
(p) 重鎖可変領域は、SEQ ID NO: 27又はSEQ ID NO: 27及び/又は少なくとも90%のシーク配列同一性を有し、
SEQ ID NO: 55に示されているような、あるいはSEQ ID NO: 55と少なくとも90%の配列アイデンティティを有する軽鎖可変領域、または
(q) 重鎖可変領域であり、その配列は、SEQ ID NO: 46に示されているか、SEQ ID NO: 46、及び/又は軽鎖可変領域との少なくとも90%の配列アイデンティティを有するが、その配列はSEQ ID NO: 43に示されているか、又はSEQ ID NO: 43との少なくとも90%の配列アイデンティティを有する。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかによれば、当該抗PD-1抗原又は抗原結合断片は、さらに、当該抗菌が一定領域を構成するものであり、好ましくは、ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4の恒常領域からなるグループから、その重鎖コンスタント領域を選択し、そのライトチェーンコンスタント領域を、ヒトAd-カップ領域及びそれらの従来のバリエーションから構成されるグループから選択し、より好ましくは、SEQ ID NO: 72又は79に示されるように、ヘビーチェーンコンスタント領域を含むものであり、また、SEQ ID NO: 73に示されるように、ライトチェーンコンスタント領域を含むものである。
【請求項8】
抗PD-1抗菌作用を有する請求項1~7のいずれかによれば、抗PD-1抗菌作用を持つ断片は、SEQ ID NO: 78及びSEQ ID NO: 77又は82に示されるようにL鎖を含むか、又は、抗PD-1抗菌作用を持つ断片は、SEQ ID NO: 75に示すようにL鎖を含むか、SEQ ID NO: 74、76、80又は81に示されるように重鎖を含むか、好ましくは、抗PD-1抗菌作用を有するものが含まれ、
SEQ ID NO: 74に示す重鎖とSEQ ID NO: 75に示す軽鎖、またはSEQ ID NO: 77に示す重鎖とSEQ ID NO: 78に示す軽鎖である。
【請求項9】
抗PD-1抗原結合断片が、Fab'、F(ab')
2、シングルチェーン抗原(scFv)、ジメライズされたV領域(ディアボディ)及びジスルフィド結合安定化されたV領域(dsFv)からなる群から選ばれる、1~8のいずれかのクレームによる抗PD-1抗原結合断片又は抗原結合断片。
【請求項10】
前記抗体が、二重特異性抗体、多重特異性抗体または抗体融合タンパク質である、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項11】
単離されたモノクローン抗原又はその抗原結合断片は、請求項1から10のいずれかによれば、ヒトPD-1と、抗PD-1のいずれか又は抗原結合断片と、競合的に結合する。
【請求項12】
テトラヒドロフラン不溶分量が1質量%以上75質量%以下であるポリマーを含む薬学的及び、請求項11によれば、1から10のいずれかの請求項による、抗PD-1抗原結合フラグメント、又は、単離されたモノクローン検出又は抗原結合フラグメント、並びに1又はそれ以上の薬事上許容されるキャリア、溶解剤、緩衝液又は補助剤の治療上有効な量の抗PD-1抗原結合フラグメント。
【請求項13】
請求項1から10のいずれかの請求項による、アンチPD-1抗原結合フラグメントまたはその抗原結合フラグメントをエンコードしている核酸分子、または請求項11による単離されたモノクローン抗原または抗原結合フラグメントをエンコードしている。
【請求項14】
請求項13によれば、核酸分子を含む宿主細胞。
【請求項15】
請求項1から10のいずれかの請求項による、抗PD-1抗原結合フラグメントまたは抗原結合フラグメントを使用するステップ、または、請求項11による、分離されたモノクローン検出または抗原結合フラグメントを使用するステップを含む、PD-1の検出または判定のための方法。
【請求項16】
請求項1から10のいずれかの請求項による、抗PD-1抗原結合フラグメント、又は請求項11による単離されたモノクローナル抗原または抗原結合フラグメントを含むキット。
【請求項17】
請求項1~10のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合断片、または請求項11に記載の単離モノクローナル抗体もしくはその抗原結合断片、または請求項13に記載の医薬組成物を対象に投与することを含み、疾患は、好ましくは、、頭頸部扁平上皮癌、頭頸部癌、神経膠腫、多形性膠芽腫、神経芽腫、中枢神経系癌、咽頭癌、上咽頭癌、甲状腺癌、悪性胸膜中皮腫、肺癌、肝癌、肝細胞癌、膵臓癌、胃腸癌、大腸癌、結腸癌からなる群から選択される腫瘍であり、より好ましくは腎癌、明細胞癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膀胱癌、前立腺癌、白血病、皮膚癌、悪性黒色腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性新生物、扁平上皮癌、ユーイング肉腫、全身性軽鎖アミロイドーシスおよびメルケル細胞癌、より好ましくは、リンパ腫は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞リンパ腫、原発性縦隔大細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞型B細胞リンパ腫およびリンパ形質細胞性リンパ腫からなる群から選択され、肺癌は、非小細胞肺癌および小細胞肺癌からなる群から選択され、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病および骨髄性白血病、最も好ましくは、PD-L1陽性黒色腫、肺癌、非小細胞肺からなる群より選択される、乳癌、乳癌、胃癌、腎癌、膀胱癌、腸癌および結腸癌PD-1に関連する疾患を治療するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明開示はバイオテクノロジーの分野に属する。より具体的には、本開示は、反PD-1抗物質及びそれらの用途に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書は、本発明に関連する背景情報のみを提供するものであり、必ずしも先行技術を構成するものではない。
【0003】
腫瘍免疫療法は、腫瘍を殺傷するために、腫瘍患者中の細胞傷害性T細胞を十分に利用し、かつ動員する処理方法である。同時に、腫瘍細胞回避は腫瘍免疫療法に対する巨大な障害物である。腫瘍細胞は、腫瘍の急速な成長を促進するために、免疫系に対する独自の抑制作用を利用している。腫瘍の免疫回避機構と腫瘍に対する身体の免疫反応との間には非常に複雑な関係がある。腫瘍免疫療法の初期段階では、腫瘍特異的細胞傷害性T細胞はその生物学的活性を有するが、腫瘍が成長するにつれて、後期段階でその殺傷機能を失う。
【0004】
人体におけるT細胞の活性化は、2つのシグナル伝達経路系をとる。抗原提示細胞によるMHC-抗原ペプチドの提示によってT細胞に提供される最初のシグナルに加えて、一連の共刺激分子によって提供される第二のシグナルも、T細胞が正常な免疫応答を産生できるようにするために必要である。このデュアルシグナリング経路系は、体内の免疫系のバランスにおいて極めて重要な役割を果たしている。自己および非自己抗原に対する身体の異なる免疫反応を厳密に調節する。共刺激分子によって提供される第2のシグナルが欠如すると、T細胞の非応答または持続的な特異的免疫応答につながり、その結果、免疫寛容に至る。したがって、第2のシグナル伝達経路は、身体の免疫応答の全過程において非常に臨界調節的役割を果たしている。
【0005】
Programmed death-l (PD-l)は1992年に発見されたT細胞表面に発現する蛋白受容体であり、細胞アポトーシスの過程に関与している。PD-l はCD28 家庭に属す。細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA‐4)と23%のアミノ酸相同性を有するが、その式はCTLAとは異なり、主に活性化T細胞、B細胞、骨髄細胞に式している。PD-1にはPD-L1とPD-L2という2つのリガンドがある。PD‐L1は主にT細胞、B細胞、マクロファージおよび樹状細胞(DC)に発現し、細胞上の発現は活性化された後にアップレギュレートされ得る。PD-L2の発現は比較的拘束されており、活性化されたマクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞に主に発現している。
【0006】
PD-L1はPD-1やB7-1と結合することで免疫系を阻害する。腫瘍組織微小環境にある多くの腫瘍細胞や免疫細胞はPD-L1を発現している。新たな研究により、乳がん、肺がん(非小細胞肺がんなど)、胃がん、腸がん、腎臓がん、メラノーマ、結腸がん、膀胱がん、卵巣がん、膵臓がん、肝臓がんなどのヒト腫瘍組織でPD-L1タンパク質の高発現が検出され、PD-L1の発現レベルが患者の臨床症状や予後と密接に関係していることが明らかになった。
【0007】
抗PD-1モノクローナル抗体は、PD-L1/PD-1の結合を遮断することにより、腫瘍に対する患者自身の免疫系の反応を最大限に高めることができ、腫瘍細胞を殺傷する目的を達成することができる。現在、抗PD-1抗体Pembrolizumab (Merck keytruda、keytruda、Merck-Pemb、Merck-keytruda、Merck-PD-1、pembrolizumabとしても知られる)およびNovilumab(BMSオプジーボ、オプジーボ、BMS-Nivolumab、Novilumabとしても知られる)は、黒色腫、ホジキンリンパ腫患者、非小細胞肺癌およびその他の腫瘍の治療薬として米国食品医薬品局により承認されている。さらに、WO200139722、WO2006121168、WO2010036959、WO2010089411、WO2011110604、WO2013173223、WO2013181634、US2014335093、US6803192B1、US8617546B2、およびWO2015085847などの特許文献がある。また、様々な反PD-1モノクロナル抗物質を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、新たな抗PD-1抗原結合断片を提供し、医療用途を提供する。
【0009】
幾つかの代替の実施例において、本開示は、以下の1)から3)のいずれかから選択される抗PD-1抗原結合断片を提供する。
i) 抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、その重鎖可変領域は、配列番号8に示されるようなHCDR1、最大で3、2または1個のアミノ酸突然変異を有するHCDR1、配列番号9に示されるようなHCDR2、最大で3、2または1個のアミノ酸突然変異を有するHCDR2、および配列番号10に示されるようなHCDR3、最大で8、3、2または1個のアミノ酸突然変異を有するHCDR3を含、;その軽鎖可変領域は、配列番号11に示されるようなLCDR1、最大で4、3、2または1個のアミノ酸突然変異を有するLCDR1、配列番号12に示されるようなLCDR2、最大で3、2または1個のアミノ酸突然変異を有するLCDR2、および配列番号13に示されるようなLCDR3、または最大で3、2または1個のアミノ酸突然変異を有する。
ii) SEQ ID NOに示されるようなHCDR1:14を含むか、それにせいぜい3、2または1アミノ酸ミューテーションを有するHCDR2、およびSEQ ID NOに示されるようなHCDR3:16を有するか、せいぜい8、3、2または1アミノ酸ミューテーションを有するHCDR1を含み、その軽鎖可変領域は、SEQ ID NOに示されるようなLCDR1:17を有するか、せいぜい4、3、2または1アミノ酸ミューテーションを有するか、SEQ ID NOに示されるようなLCDR2:12またはそれにせいぜい3、2または1アミノ酸ミューテーションを有するか、およびSEQ ID NO: 18に示されるようなLCDR3を有する、2または1アミノ酸ミューテーション;およびその抗原結合フラグメントであって、その重鎖可変領域はSEQ ID NOに示されるように、HCDR1を含む : SEQ ID NO: 22に示されるように21またはそれにせいぜい3、2または1のアミノ酸ミューテーションを有するか、またはそれにせいぜい3、2または1のアミノ酸ミューテーションを有するHCDR2と、SEQ ID NO: 23に示されるようにせいぜい3、2または1のアミノ酸ミューテーションを有するHCDR3と、SEQ ID NO: 24に示されるようにLCDR1を含むか、またはそれにせいぜい3、2または1のアミノ酸ミューテーションを有するか、SEQ ID NO: 25に示されるようにLCDR2、またはそれにせいぜい3、2または1のアミノ酸ミューテーションを有するか、およびSEQ ID NO: 26に示されるようにLCDR3またはそれにせいぜい3、2または1のアミノ酸ミューテーションを有するようにLCDR3を含む。
【0010】
幾つかの実施例において、本開示の上記に述べた反PD-1/抗原結合フラグメントは、解離均衡定数10-7 M以下でヒトPD-1と結合する。いくつかの態様において、それは、10-7 M以下の解離平衡定数でヒトPD-1に結合する。
【0011】
幾つかの代替的な実施例において、本開示は、その抗PD-1検出法又は抗原結合フラグメントを提供する。その重鎖可変領域は、SEQ ID NO: 65に示されるHCDR1、SEQ ID NO: 66に示されるHCDR2、及びSEQ ID NO: 67に示されるHCDR3、SEQ ID NO: 68に示されるLCDR1、SEQ ID NO: 12に示されるLCDR2、及びSEQ ID NO: 69に示されるLCDR3からなる。シークエンスは以下の表1に示される。
【0012】
[表1]
【0013】
また、上記のアンチPD-1型又は抗原結合断片の代替実施例において、重鎖可変領域は、SEQ ID NO: 8に示すHCDR1を、SEQ ID NO: 9に示すHDR2を、SEQ ID NO: 10に示すHDR3を、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO: 12に示すLCDR2を、SEQ ID NO: 13に示すLCDR3を、そして、X13がLから選ばれるRSSQSX13 VHSX14X15 X16 TYLE (SEQ ID NO: 68)に示すようなLCDR1を含み、X14はN、Q、L、T又はDから選ばれ、X15はGから選ばれ、A又はVから選ばれ、X16はNから選ばれる。
【0014】
幾つかの代替実施例では、それらの抗PD-1抗原結合断片は、以下の(a)から(e)のいずれかから選択される。
(a) 配列番号8、配列番号9および配列番号10にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、ならびに配列番号12および配列番号13にそれぞれ示されるLCDR2およびLCDR3、ならびに配列番号11、47、48、49、50、51または52にそれぞれ示されるLCDR1を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
(b) SEQ ID NO: 14、SEQ ID NO: 15およびSEQ ID NO: 16に示されるように、HDR1、HCL2およびHCDR3を構成する抗PD-1抗原結合断片、およびSEQ ID NO: 17、SEQ ID NO: 12およびSEQ ID NO: 18に示されるように、それぞれLCDR1、LCDR2およびLCDR3を構成する。
(c) SEQ ID NO: 21、SEQ ID NO: 22及びSEQ ID NO: 23に示されるように、HDR1、HCL2及びHCDR3を構成する抗PD-1抗原結合断片、並びにSEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25及びSEQ ID NO: 26に示されるように、それぞれLCDR1、LCDR2及びLCDR3を構成する。
(d) 配列番号14、配列番号15および配列番号16にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、ならびに配列番号12および配列番号13にそれぞれ示されるLCDR2およびLCDR3、ならびに配列番号11、47、48、49、50、51または52にそれぞれ示されるLCDR1を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
(e) 重鎖可変領域は、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9及びSEQ ID NO: 10に示すようにHCDR1、HDR2及びHCDR3を、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO: 17、SEQ ID NO: 12及びSEQ ID NO: 18に示すようにLCDR1、LCDR2及びLCDR3をそれぞれ含んでいる。
【0015】
幾つかの実施例では、その反PD-1抗菌又は抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9及びSEQ ID NO: 10に示されるように、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO: 49、SEQ ID NO: 12及びSEQ ID NO: 13に示されるように、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含んでいる。
【0016】
幾つかの実施例では、その反PD-1抗菌又は抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、SEQ ID NO: 21、SEQ ID NO: 22及びSEQ ID NO: 23に示されるように、HCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO: 24、SEQ ID NO: 25及びSEQ ID NO: 26に示されるように、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を構成する。
【0017】
幾つかの代替の実施例において、本開示は、以下の4)から6)のいずれかから選択される抗PD-1抗原結合断片を提供する。
iv) HCDR1、HCL2、HCDR3を含む重鎖可変領域で、SEQ ID NO: 4に示される重鎖可変領域と同じ配列を持つもの、又はその断片である抗PD-1、又は抗原結合を有するもの。また、軽鎖可変領域は、SEQ ID NO: 5に示される軽鎖可変領域と同じ配列を持つLCDR1、LCDR2、LCDR3を含む。
v) 配列番号6に示す重鎖可変領域と同一配列を有するHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、軽鎖可変領域が配列番号7に示す軽鎖可変領域と同一配列を有する抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント、及びvi)配列番号19に示す重鎖可変領域と同一配列を有するHCDR1、HCDR2及びHCDR3軽鎖可変領域が配列番号20に示す軽鎖可変領域と同一配列を有するLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを含む。
【0018】
前述の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのいくつかの実施形態において、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ネズミ抗体またはその抗原結合フラグメント、キメラ抗体またはその抗原結合フラグメント、完全ヒト抗体またはその抗原結合フラグメント、またはヒト化抗体もしくはその抗原結合フラグメントである。
【0019】
先に述べた反PD-1 bid又はその抗原結合フラグメントの幾つかの実施例において、上記反PD-1 bid又は抗原結合フラグメントは、人為化された、又はそれらの抗原結合フラグメントである。
【0020】
いくつかの態様において、ヒト化抗体は、ヒト抗体またはその骨格領域変形例に由来する骨格領域を含む。
【0021】
幾つかの実施例において、フレームワーク領域変異は、軽鎖フレームワーク領域及び/又は人間の抗菌の重鎖フレームワーク領域の各々に、最大11のアミノ酸バック突然異形を有する。
【0022】
いくつかの実施形態において、フレームワーク領域バリアントは、以下の(f)から(h)のいずれかから選択された突然変異を含む。
(f) 重鎖可変領域から選ばれた27Y、48I、67T、69L、82Fおよび93Tから選ばれた1つ以上のアミノ酸バック突然変性および/またはそれ以上のアミノ酸バック突然変性を含む2Gアミノ酸バック突然変性。
(g) 軽鎖可変領域に含まれる2Vアミノ酸バック突然変異、および/または重鎖可変領域に含まれる26D、27F、30T、38K、43H、48I、66K、67A、69L、82Fおよび93Tから選択される1つ以上のアミノ酸バック突然変異。
(h) 軽鎖可変領域を構成する42G、44Vおよび71Y、および重鎖可変領域を構成する1Kおよび/または94Sのアミノ酸バック突然変性から選抜された1つ以上のアミノ酸バック・変異。
【0023】
先に述べた反PD-1/抗原結合フラグメントの幾つかの実施例において、その反PD-1/抗原結合フラグメントは、群から選ばれた様々な領域を構成する。
(a2) SEQ ID NO: 8、SEQ ID NO: 9およびSEQ ID NO: 10にそれぞれ示されるようにHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む重鎖可変領域、および重鎖フレームワーク領域に含まれる27Y、48I、67T、69L、82Fおよび93Tの1つまたは複数のアミノ酸バックミューテーション、およびSEQ ID NO: 12およびSEQ ID NO: 13にそれぞれ示されるようにLCDR2およびLCDR3を含む軽鎖可変領域、ならびにSEQ ID NO: 11、47、48、49、50、51または52および2Gアミノ酸バックミューテーションに示されるようにLCDR1を含む軽鎖可変領域。
(b2) 配列番号14、配列番号15および配列番号16にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、ならびに重鎖可変領域に含まれる26D、27F、30T、38K、43H、48I、66K、67A、69L、82Fおよび93Tから選択される1つまたは複数のアミノ酸バック突然変異を含む重鎖可変領域;ならびに配列番号17、配列番号12および配列番号18にそれぞれ示されるようなLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む軽鎖可変領域、ならびに軽鎖フレームワーク領域に含まれる2Vアミノ酸バック突然変異。
(c2) 配列番号21、配列番号22および配列番号23にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、ならびに重鎖フレームワーク領域に含まれる1Kおよび/または94Sアミノ酸バック突然変異を含む重鎖可変領域、ならびに配列番号24、配列番号25および配列番号26にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む軽鎖可変領域、ならびに軽鎖フレームワーク領域に含まれる42G、44Vおよび71Yから選択される1つまたは複数のアミノ酸バック突然変異を含む。
【0024】
先に述べた反PD-1 bid 又はその抗原結合断片の幾つかの実施例において、上記反PD-1 binding fragment は、以下の(i)から(o)のいずれかから選択された、様々な領域を含む。
(i) SEQ ID NO: 4またはSEQ ID NO: 4および/または軽連鎖可変領域で少なくとも90%の配列アイデンティティを有する、重連鎖可変領域の配列。その配列はSEQ ID NO: 5またはSEQ ID NO: 5で示されているようなものであるか、少なくとも90%の配列アイデンティティを有するものである。
(j) 配列番号6に示されるような重鎖可変領域、または配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有する重鎖可変領域、および/または軽鎖可変領域であって、配列番号7に示されるような配列、または配列番号7と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域。
(k) SEQ ID NO: 19またはSEQ ID NO: 19および/または軽鎖可変領域で少なくとも90%の配列アイデンティティを有する、重鎖可変領域の配列。その配列はSEQ ID NO: 20またはSEQ ID NO: 20で示されているようなものであるか、少なくとも90%の配列アイデンティティを有するものである。
(l) 配列番号27、30、31、または32に示されるような軽鎖可変領域、または配列番号27、30、31もしくは32とそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を有するか、および/または配列番号28、29、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64に示されるような配列、または配列番号28、29、34、35、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64とそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域。
(m) その配列が配列番号33、36、37、38、39もしくは40に示される重鎖可変領域、または配列番号33、36、37、38、39もしくは40とそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を有するか、または配列番号34、35、28、29、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64にそれぞれ示される配列である軽鎖可変領域、または配列番号34、35、28、29、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64とそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を有する。
(n) 重鎖可変領域であり、その配列は、SEQ ID NO: 41、45、46に示されているか、またはSEQ ID NO: 41、45、46、または/または軽鎖可変領域と少なくとも90%の配列アイデンティティを有しており、その配列はSEQ ID NO: 42、43または44に示されているか、またはSEQ ID NO: 42、43または44と少なくとも90%の配列アイデンティティを有している。
(o) SEQ ID NO: 70またはSEQ ID NO: 70および/または軽鎖可変領域で少なくとも90%の配列アイデンティティを有する、重鎖可変領域の配列。その配列はSEQ ID NO: 71に示されているか、SEQ ID NO: 71で少なくとも90%の配列アイデンティティを有する。
(p) SEQ ID NO: 27、30、31または32に示されているような、あるいはSEQ ID NO: 27、30、31または32、または/または軽鎖可変領域、または/または軽鎖可変領域との少なくとも90%のシークエンスアイデンティティを有するシークエンスの配列であり、SEQ ID NO: 34または35に示されているようなシークエンスまたはSEQ ID NO: 34または35で少なくとも90%のシークエンスアイデンティティをそれぞれ有するヘビーチェーン可変領域。
SEQ ID NO: 70とSEQ ID NO: 71は表2に示すように一般的な公式配列で表される。
【0025】
[表2]
【0026】
いくつかの実施例では、反PD-1抗性の重鎖可変領域は、SEQ ID NO: 27に示されるか、SEQ ID NO: 27と少なくとも90%の同一性を有し、および反PD-1抗性の軽鎖可変領域可変領域配列は、SEQ ID NO: 55に示されるか、またはSEQ ID NO: 55と少なくとも90%の同一性を有する。
【0027】
いくつかの実施例では、反PD-1抗菌の重鎖可変領域は、SEQ ID NO: 46に示されるか、SEQ ID NO: 46と少なくとも90%の同一性を有し、また、反PD-1抗菌の軽鎖可変領域可変領域配列は、SEQ ID NO: 43に示されるか、またはSEQ ID NO: 43と少なくとも90%の配列同一性を有する。
【0028】
前述の「少なくとも90%のアイデンティティ」には、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%のアイデンティティが含まれる。
【0029】
前述の抗PD?1抗体またはその抗原結合フラグメントのいくつかの他の実施形態では、抗体定常領域は、抗体定常領域をさらに含み;いくつかの他の実施形態では、抗体定常領域の重鎖定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4定常領域およびその従来の変形例から選択され、抗体定常領域の軽鎖定常領域は、ヒト抗体κおよびλ鎖定常領域およびその従来の変形例から選択され、いくつかの他の実施形態では、抗体定常領域は、S228P、F234AおよびL235Aの1つ以上の変異が導入されるIgG4重鎖定常領域を含み、例えば、S228P、F234AおよびL235Aの3つのアミノ酸変異を有するIgG4重鎖定常領域を含み、いくつかの他の実施形態では、抗体は、配列番号72または配列番号79に示される重鎖定常領域と、配列番号73に示される軽鎖定常領域とを含む。
【0030】
先に述べた抗PD-1検出法又は抗原結合フラグメントの幾つかの実施例において、抗PD-1検出法は、SEQ ID NO: 78及びSEQ ID NO: 77又は82に示すようなL鎖並びにSEQ ID NO: 75に示すようなL鎖並びにSEQ ID NO: 74、76、80又は81に示すような重鎖を含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、抗PD-1抗体は、以下を含む。
SEQ ID NO: 74に示す重鎖とSEQ ID NO: 75に示す軽鎖、またはSEQ ID NO: 77に示す重鎖とSEQ ID NO: 78に示す軽鎖である。
【0032】
幾つかの実施例においては、上記抗PD-1抗原結合フラグメント断片、ヒトPD-1に競合的に結合する又は同ヒトPD-1エピトープに先に述べた抗PD-1抗原結合フラグメント断片のいずれかを結合する、又は同一ヒトPD-1エピトープに結合するものを提供する。
【0033】
前述の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのいくつかの実施形態において、抗体は、二重特異性抗体または多重特異性抗体である。
【0034】
Anti-PD-1 bide又はその抗原結合フラグメントの幾つかの実施例において、抗原結合フラグメントは、Fab'、F(ab')2、シングルチェーンAdy(scFv)、ジメライズされたV領域(Diabody)及びジスルフィド結合安定化V領域(dsFv)からなる群から選択される。
【0035】
幾つかの実施例において、開示されているのは、単独のモノクローン・抗原結合フラグメントであり、上記のいずれかによれば、ヒトPD-1と競合的に結合している、ヒトPD-1のいずれかによれば、抗PD-1抗原結合フラグメントである。
【0036】
いくつかの実施例において、本開示はまた、前記のいずれかによれば、抗PD-1抗原結合フラグメントまたは抗原結合フラグメントの治療効果のある量、またはそれらによれば、1またはそれ以上の薬事的に容認可能なキャリア、溶剤、緩衝液または補助剤を含む医薬品組成物を提供する。いくつかの実施形態において、治療有効量は、0.1~3000mgの前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントを含有する組成物の単位用量を指す。
【0037】
いくつかの実施形態において、本開示は、前記のいずれか1つに記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントをコードするか、または前記の単離モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントをコードする核酸分子も提供する。
【0038】
いくつかの実施形態において、本開示はまた、前述の核酸分子を含むホストセルを提供する。
【0039】
また、本開示は、上記のいずれかによれば、抗PD-1/抗原結合フラグメントを使用する工程、又は前述の分離モノクローン・抗原結合フラグメントを使用する工程を含む、PD-1の検出又は判定のための方法を提供する。
【0040】
いくつかの実施例において、本開示はまた、前述の反PD-1抗原結合フラグメント、又は前述の孤立したモノクローナル・抗原結合フラグメントを含むキットを提供する。
【0041】
幾つかの実施例では、PD-1関連病気のための診断剤を準備する際に、前述の反PD-1抗原結合フラグメントの使用が提供される。
【0042】
また、幾つかの実施例において、本開示は、上記のいずれかによれば治療効果のある量の抗PD-1検出法又は抗原結合フラグメント、又は前記の製剤組成又は前記の核酸分子を被検者に管理することを含む、疾病を治療するための方法を提供する。
【0043】
いくつかの実施形態において、この病気は、しゅくである。
【0044】
いくつかの他の態様において、疾患は、頭頸部扁平上皮癌、頭頸部癌、神経膠芽腫、多形性神経芽腫、中枢神経系癌、神経内分泌腫瘍、咽頭癌、甲状腺癌、悪性胸膜中皮腫、肺癌、肝癌、肝細胞癌、肝胆道癌、膵癌、胃癌、腸癌、結腸直腸癌、腎細胞癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膀胱癌、前立腺癌、皮膚癌、黒色腫、リンパ腫、骨癌、軟骨肉腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、扁平上皮癌、ユーイング肉腫から選択される 全身性軽鎖アミロイドーシスおよびメルケル細胞がん;これらの実施形態のいくつかでは、リンパ腫は以下のものから選択される:ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞 大細胞B細胞リンパ腫、小細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞/組織球リッチB細胞リンパ腫およびリンパ形質細胞性リンパ腫、肺癌は、非小細胞肺癌および小細胞肺癌から選択され、白血病は、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ球性白血病、リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病および骨髄性白血病から選択され、いくつかの他の実施形態において、疾患はPD-L1陽性メラノーマ、肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、腎臓癌、膀胱癌、腸癌および結腸癌から選択される。
【0045】
幾つかの実施例において、本開示はまた、病気の治療又は予防のための医薬品を準備する際に、上記のいずれかの、又は前述の分離モノクローン・モノクローン・抗原結合フラグメント、又は前述の医薬品組成又は前述の核酸分子によれば、これらのいずれかによれば、抗PD-1抗原結合フラグメントを使用することを提供する。
【0046】
いくつかの実施形態において、この病気は、しゅくである。
【0047】
いくつかの他の態様において、疾患は、頭頸部扁平上皮癌、頭頸部癌、神経膠芽腫、多形性神経芽腫、中枢神経系癌、神経内分泌腫瘍、咽頭癌、甲状腺癌、悪性胸膜中皮腫、肺癌、肝癌、肝細胞癌、肝胆道癌、膵癌、胃癌、腸癌、結腸直腸癌、腎細胞癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膀胱癌、前立腺癌、皮膚癌、黒色腫、リンパ腫、骨癌、軟骨肉腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、扁平上皮癌、ユーイング肉腫、全身性軽鎖アミロイドーシスおよびメルケル細胞がんから選択される。これらの実施形態のいくつかでは、リンパ腫は以下ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞 大細胞B細胞リンパ腫、小細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞/組織球リッチB細胞リンパ腫およびリンパ形質細胞性リンパ腫、肺癌は、非小細胞肺癌および小細胞肺癌から選択され、白血病は、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ球性白血病、リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病および骨髄性白血病から選択され、いくつかの他の実施形態において、疾患はPD-L1陽性メラノーマ、肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、腎臓癌、膀胱癌、腸癌および結腸癌から選択される。
【0048】
幾つかの実施例において、本開示はまた、前記のいずれかの、又は前記の単独モノクローン・抗原結合フラグメント、又は前記の核酸分子又は前記の医薬品として使用するための抗PD-1・抗原結合フラグメントを提供する。
【0049】
幾つかの実施例において、本薬は、PD-1関連の疾病の治療又は予防のために使用される。
【0050】
いくつかの実施形態において、この病気は、しゅくである。
【0051】
いくつかの他の態様において、疾患は、頭頸部扁平上皮癌、頭頸部癌、神経膠芽腫、多形性神経芽腫、中枢神経系癌、神経内分泌腫瘍、咽頭癌、甲状腺癌、悪性胸膜中皮腫、肺癌、肝癌、肝細胞癌、肝胆道癌、膵癌、胃癌、腸癌、結腸直腸癌、腎細胞癌、卵巣癌、子宮内膜癌、膀胱癌、前立腺癌、皮膚癌、黒色腫、リンパ腫、骨癌、軟骨肉腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、扁平上皮癌、ユーイング肉腫から選択される 全身性軽鎖アミロイドーシスおよびメルケル細胞がん;これらの実施形態のいくつかでは、リンパ腫はホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞 大細胞B細胞リンパ腫、小細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、T細胞/組織球リッチB細胞リンパ腫およびリンパ形質細胞性リンパ腫、肺癌は、非小細胞肺癌および小細胞肺癌から選択され、白血病は、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ球性白血病、リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病および骨髄性白血病から選択され、いくつかの他の実施形態において、疾患はPD-L1陽性メラノーマ、肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、腎臓癌、膀胱癌、腸癌および結腸癌から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】PD-1とリガンドの結合を妨げる抗PD-1の検査結果である。
【
図2】PBMC細胞からのIFNγの分泌に対する抗PD-1抗体の効果である。
【
図3】マウスにおける結腸がんMC38の異種移植腫瘍に対する抗PD-1抗体の効率である。
【
図4】マウスにおける結腸がんMC38の腫瘍体積に対する抗PD-1抗体の効果である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
概要
本開示をより容易に理解するために、以下に特定の技術及び科学的用語を定義する。本項で別に明確に定義されていない限り、本項で使用される他の技術的及び科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者に共通して理解される意味を有する。
【0054】
用語「プログラム死1」、「プログラム死1」、「細胞タンパク質PD-1」、「PD-1」、「PD-1」及び「hPD-1」は、互換的に使用され、PD-1バリアント、同質種、並びにPD-1と共通する少なくとも一つのエピトープを有するアナログを含む。完成PD-1シークエンスは、GenBank加入数U64863で見つけることができる。
【0055】
「プログラムされたデスリガンド-1(PD-L1)」という用語は、PD-1の2つの細胞表面糖タンパク質リガンドの1つであり(他方はPD-L2であり、これは、PD-1に結合するときにT細胞活性化およびサイトカイン分泌をダウンレギュレートする)、本明細書で使用される用語「PD-L1」は、ヒトPD-L1(hPD-L1)、hPD-L1変異体、アイソタイプおよび種間ホモログ、およびhPD-1と共通の少なくとも1つのエピトープを有する5つのアナログを含む。完成hPD-L1配列は、GenBank加入数Q9NZQ7で見つけることができる。
【0056】
「サイトカイン」という用語は、細胞集団によって放出され、細胞間メディエーターとして他の細胞に作用するタンパク質の総称である。このようなサイトカインの実施例には、リンホカイン、モノカイン、ケモカインおよび伝統的なポリペプチドホルモンが含まれる。例示的なサイトカインヒトIL-2、IFN-γ、IL-6、TNFα、IL-17およびIL-5を含む。
【0057】
本開示で使用するアミノ酸の三文字コード及び一文字コードは、J. biol chem, 243, p3558 (1968).に記載されている。
【0058】
本開示に記載される「抗菌」は、一般に、イムグロブリンを指す。天然無傷の抗菌は、二つの同一重鎖と二つの同一L鎖をハイン間ジスルフィド結合で結びつけたテトラペプチド連鎖構造である。イムグロブリン重鎖定常領域のアミノ酸組成と配列は異なっており、抗原性も異なっている。そのため、イムグロブリンは5つの階級、すなわちIgM、IgD、IgG、IgA、IgEに分類されることができ、それらに対応する重鎖はそれぞれ、ミューチェーン、デルチェーン、ゲーマーチェーン、αチェーン、およびイズグロブリンチェーンである。同じ種類のIgは、ヒンジ領域のアミノ酸組成と重鎖ジスルフィド結合の数と位置の違いによって異なるサブクラスに分類することができる。たとえば、IgG は IgG1、IgG2、IgG3、IgG4 に分類できる。ライトチェーンは、一定領域の差異により、カッパチェーンまたはOOIチェーンに分けられる。5つの種類のIgの各々は、カッパチェーンまたは鯖鎖を持つことができる。本開示で言及される抗原は、抗原結合能を保持しながら、免疫グロブリンに基づいて修飾された、抗原または抗原結合断片を含む、抗原または抗原結合断片を含む、抗原またはその抗原結合断片を含む、モノボディーまたは抗原結合断片を含み、モノ特異的な抗原、二特異的な抗原または多重特異的な抗原、また、一価の抗原、二価の抗原、または多価の抗原を含む。抗体の抗原結合フラグメントは、例えば、少なくとも1つのVH-CH1および少なくとも1つのVL-CL構造を含むものであり得、ここで、VHおよびVL構造は、鎖間相互作用に基づいて互いに接近し得、抗原結合能力を保持する。いくつかの実施形態において、抗体の抗原結合フラグメントは、一価Fabフラグメント(Fab1フラグメント)、二価Fabフラグメント(F(ab)2)、三価Fabフラグメント(F(ab)3)、多価(2つ以上) Fabフラグメントであり、少なくとも1つのFabフラグメントを含む他の一特異的、二特異的または多特異的抗原結合フラグメントであってもよい。
【0059】
「二種抗原」とは、2つの異なる抗原または同一抗原の2つの異なったエピトープに特別に結合することができる(例えば単鎖抗体抗原のような、上記の抗原結合フラグメントを含む)抗原を意味する。先行技術は、様々な構造を有するバイ特有の抗生物質を開示している。IgG分子の完全性によれば、IgG様二重特異性抗体と抗体断片型二重特異性抗体に分けることができる。抗原結合領域の数および構成に応じて、それらは、二価、三価、四価、またはより多価の二重特異性抗体に分けることができる。構造が対称であるかどうかに応じて、それらは対称構造二重特異性抗体と非対称構造二重特異性抗体に分けることができる。中でも、抗体フラグメントに基づく二重特異性抗体、例えばFcフラグメントを欠くFabフラグメントは、1分子中に2つ以上のFabフラグメントを結合することによって二重特異性抗体を形成する。これらの抗体は免疫原性が低く、分子量が小さく、腫瘍組織透過性が高い。このタイプの典型的な抗体構造は、F(ab)2、scFv-Fab、(scFv)2-Fabなどの二重特異性抗体であり、IgG様二重特異性抗体(例えば、Fcフラグメントを有する)については、このタイプの抗体は、より大きな分子量を有する。Fcフラグメントは、後の段階での検出を助け、その溶解性と安定性を改善する。Fc moietyは、また、レセプターFcRnに結合し、抗菌の血清半減期を増加させることがある。典型的な二重特異性抗体構造モデルは、KiH、CrossMAb、Triomab-Ig、ART-Ig、BiMAb、Biclonics、Azymetric、XmAb、2:1 TCBs、1Fab-IgG TDB、2-in-one/DAF、scFv-Fab-IgG、DART-Fac、LP-DART、CODV-Fab-TL、HLE-BiTE、F(ab)2-CrossMAb、IgG-(scFv)2、Bs4Ab、DVD-Ig、四価DART-Fc、CODV-Ig、mAb2、F(ab)4-CrossMAbおよび他の二重特異性抗体である(Aran F Labrijn et al., Nature Reviews Drug Discovery volume 18, pages 585-608 (2019); Chen S1 et al., J Immunol Res.2019 年 2 月 11 日、2019:4516041参照)。
【0060】
「単価」、「二価」、「三価」又は「多価」とは、一定数の抗原結合サイトがあることを意味する。例えば、「一価ポリペプチド」とは、抗原結合サイトが1つあることを意味する。「モノバレントポリペプチド複合体」とは、抗原結合サイトが1つあることを意味する。「二価ポリペプチド」とは、抗原結合サイトが2つあることを意味する。「二価ポリペプチド複合体」とは、ポリペプチド複合体に2つの抗原結合サイトがあることを意味する。「三価ポリペプチド」とは、抗原結合サイトが3つあることを意味する。「三価ポリペプチド複合体」とは、抗原結合サイトが3つあることを意味する。「多価ポリペプチド」とは、抗原結合サイトが複数(3つ以上)あることを意味する。「多価ポリペプチド複合体」とは、抗原結合サイトが複数あることを意味する。「多価ポリペプチド複合体」には、複数(2つ以上)の抗原結合サイトがあることを意味する。
【0061】
「抗菌融合タンパク質」とは、興味のあるたんぱく質(ポリペプチド)と、ウィングロブリンを結びつけることによって形成される、生物学的に活性化された融合タンパク質のことである。融合性融合タンパク質たんぱく質の生物学的な活性と、イムグロブリンの両方を持っている。
【0062】
重鎖、L鎖のNターミナル付近にある約110のアミノ酸の配列は大きく変化し、可変領域(Fv領域)であり、Cターミナル付近に残るアミノ酸配列は比較的安定しており、一定領域である。可変領域は、比較的保守的な配列を持つ3つの超可変領域(HVRs)と4つのフレームワーク領域(FRs)を含む。抗体の特異性を決定する3つの超可変領域は、相補性決定領域(CDR)としても知られている。軽鎖可変領域(VL)と重鎖可変領域(VH)の各々は3つのCDR領域と4つのFR領域から成る。アミノ末端から炭酸末端への順序は、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4である。L鎖の3つのCDR領域は、LCDR1、LCDR2、およびLCDR3を、重鎖の3つのCDR領域は、HCDR1、HCL2およびHDR3を参照。
【0063】
本開示の抗体は、ネズミ抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全ヒト抗体、好ましくはヒト化抗体を含む。
【0064】
本開示における「殺人抗菌」という用語は、当該技術の知識及び技能に基づき作成されたヒトPD-1に対するモノクローン抗菌物である。調製中に、試験被検者にPD-1抗原を注入し、希望の配列または機能性を有する抗物質を表現するハイブリドマを分離する。本開示の好ましい実施の形態では、ムリン抗PD-1抗菌又は抗原結合フラグメントは、さらにムリンカッパまたはその変形例のライトチェーンコンスタント領域を構成することができるか、あるいはさらにムリンIgG1、IgG2、IgG3またはそれらの変形例物の鎖定常領域を構成することができる。
【0065】
「キメリック抗原」という用語は、ムリン抗原の可変領域をヒトの一定領域と融合させることにより形成され、これは、ムリン抗原によって引き起こされた反応を緩和することができる。キメリック・アーティストを確立するには、まず、雑種ミリン固有のモノクローン・アーディスを作り、次に、ムリン・ハイブリドマ・セルから可変領域遺伝子をクローンし、それから必要に応じてヒト・アーティスト・遺伝子の恒常領域をクローンし、ムリン可変領域遺伝子とヒト常領域遺伝子を結びつけてキメリック・ジーンを形成し、キメリック・ジーンを表現ベクトルに挿入し、最後にキメリック・アーティク・アーティキュラーを真核システムまたは原核システムで表現することが必要である。本開示の好ましい態様において、PD-L1キメラ抗体の抗体軽鎖は、ヒトκ、λ鎖またはその変異体の軽鎖定常領域をさらに含む。PD-1キメリック・バイオレンスの重鎖は、さらに、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4の重鎖不変領域を含んでおり、好ましくは、ヒトIgG1、IgG2またはIgG4の鎖定常領域、アミノ酸突然性を有するIgG1、IgG2またはIgG4変種を含んでいる(例えば、L234Aおよび/またはL235A突然性および/またはS228P突然性)。
【0066】
用語「ヒト化抗体」は、CDRグラフト化抗体としても知られ、ヒト抗体可変領域の骨格にマウスCDR配列をグラフトすることによって産生される抗体をいい、すなわち、異なるタイプのヒト生殖細胞系抗体骨格配列において産生される抗体をいう。キメラ抗体は大量のネズミ蛋白質成分を運ぶので、キメラ抗体によって誘発される不均一反応を克服することができる。このようなフレームワーク配列は、公共のDNAデータベースから得られるか、あるいはゲルムラインの遺伝子配列を含む公表された引用文献から得ることができる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖可変領域遺伝子のゲルムラインDNA配列は、Kabat, E. A., et al., 1991, Sequences of Immunological Interest, 5th 版と同様に、「VBase」ヒトゲルムライン配列データベース(インターネットwww.mrccpe.com.ac.uk/vbaseで入手可能)にも見られる。免疫原性の低下による活性の低下を同時に回避するために、ヒト抗体可変領域フレームワーク配列は、活性を維持するために最小限の復帰突然変異または逆突然変異を受けることができる。本開示の人間化された抗生物質にはまた、酵母ディスプレイによるCDRの親和性熟成をさらに受ける人間化された抗生物質も含まれる。
【0067】
CDRグラフトは、抗原と接触する残渣物のために、生成された抗原又は抗原結合断片の抗原との親和性を低下させることがある。それは、抗原と接触する骨格残渣物のためである。このような相互作用は体細胞の高頻度突然変異の結果であろう。したがって、このような供与者枠組みのアミノ酸を、ヒト化された抗原の枠組みに接ぎ入れる必要があるかもしれない。抗原結合に含まれるアミノ酸残基と、ヒト以外の抗生物質や抗原結合フラグメントからのアミノ酸残基は、動物のモノクローン・イノクローン・イノベーション可変領域の配列と構造を調べることによって、同定することができる。ゲルムラインと異なるCDRドナー枠組みの残渣物は関連性があると考えられる。もっとも最も近い生殖系を決定できない場合は、その配列はサブクラスのコンセンサスの配列や、高い割合の類似性を持つ動物の反応と比較することができる。まれなフレームワーク残基は体細胞の高頻度突然変異の結果と考えられ、したがって結合に重要な役割を果たしている。
【0068】
本開示の実施形態では、その「抗原結合断片」又は「抗原結合断片」は、更に、ヒト又はムリン・カッパチェーンの軽いチェーンコンスタント領域を含むことができるか、又はそのバリエーションであり、また、ヒト又はムリンIgG1、IgG2、IgG3、IgG4の鎖定常領域を構成することができる。好ましくは、ヒトIgG1、IgG2又はIgG4、IgG2又はIgG4の鎖定常領域構成することができ、また、アミノ酸の突然性を有する(例えば、L234A及び/又はL235Aの突然性並びに/又はS228Pの突然性を有する)IgG2又はIgG4変形例を構成することができる。
【0069】
本開示に記載されている、ヒトの重鎖コンスタント領域およびヒトの弱鎖コンスタント領域の「従来の変形例」は、先行技術において開示され、かつ、当該領域の構造および機能を変化させない重鎖コンスタント領域または軽鎖コンスタント領域の変形を指す。例示的な変形例には、部位指向の修飾と重鎖不変領域のアミノ酸置換を伴うIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖の定常領域変形例が含まれる。具体的な代替は、YTEミューテーション、L234A及び/又はL235Aミューテーション、S228Pミューテーション、及び/又はノブ・イン・ホール構造を得るためのミューテーション(抗体重鎖にノブ-Fcとホール-Fcの組合せを作る)である。これらの変異により抗体は新しい性質をもつことが確認されているが、抗体可変領域の機能は変化しない。
【0070】
「ハブ」、「人の抗菌」、「完成人の抗菌」及び「完成人の抗菌」は、互換的に使用することができ、また、抗原刺激に応じて特定の人の抗菌を作り出すために「工学」され、かつ、当業者の知られたいずれの方法によっても作り出すことができる、ヒトに由来する抗菌又は遺伝子組み換え生体から得られる抗性物質を指すことができる。いくつかの技術では、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子座のエレメントを、胚性幹細胞系に由来する生物の細胞系に導入し、その中で、内因性重鎖および軽鎖遺伝子座は、これらの細胞系に含まれる内因性重鎖および軽鎖遺伝子座を標的とするものによって、標的が破壊されている。遺伝子組み換え生物は、ヒト抗原に特有の人間の抗物質を合成することができ、また、ヒトの抗原を秘密にするハイブリドーマを作るのに利用することができる。また、ヒトのDNAは、1つ以上のヒトのDNA源に由来する核酸配列によって、重鎖とL鎖がエンコードされることもある。完全なヒトの抗生物質は、遺伝子または色素トランスフェクション法およびファージディスプレイ法により構築することもでき、又は、ビトロで活性化されたB細胞から構築することもできるが、これらはいずれも本技術で知られている。
【0071】
「フルレングス・ビーディス」、「インタクト・ビーディス」、「完成・ビーディス」および「ホール・イーディス」という用語は、ここでは互換的に使用され、また、以下に定義される抗原結合フラグメントと区別されるように、実質的に無傷の形での「イーディスン」を指す。これらの用語は、特に、重鎖がFc領域を構成する「自己」を指す。
【0072】
「抗原結合フラグメント」または「機能フラグメント」という用語は、抗原に特別に結合する能力を保持する(例えば、PD-1)ことを意味する。「抗原結合フラグメント」という用語に含まれる結合フラグメントの例としては、(i) VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなるFabフラグメント、(ii) ヒンジ領域のジスルフィードブリッジで結ばれた2つのFabフラグメントを含むFBフラグメント、(ii) VHおよびCH1ドメインからなるFvフラグメント、(V) 単一ドメインまたはdAbフラグメント(区他)、(1989) VHドメインからなるNature 341:54-546、および(vi) 孤立した相補性が含まれる 合成リンカーによって任意にリンクされている2つ以上の孤立したCDRの地域(CDR)または(vii)組み合わせを決定する。加えて、Fvフラグメントの2つのドメインVLとVHは、別個の遺伝子によってエンコードされるが、組換え法は、それらを合成リンカーによってリンクさせるために使用され、VLとVH領域が一価分子(scFvと呼ばれる)を形成するための単一のタンパク質チェーンとして生成されるようにすることができる(例えば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426;およびHuston et al. (1988) ProcNatl. Acad.Sci USA 85: 5879-5883を参照)。また、このようなシングルチェーン・アディスは、「抗原結合フラグメント」という用語に含まれるよう意図されている。このような断片は、当業者に知られている通常の技術を用いて得られる。また、断片の機能は、無傷の抗生物質のものと同様にスクリーニングされる。抗原結合部は、組換えDNA技術または無傷のイムグロブリンのエンザイマティックまたは化学的な割れによって作り出すことができる。抗毒素は、種々のアイソタイプ、例えばIgG (例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のサブタイプ)、IgA1、IgA2、IgD、IgEまたはIgMのいずれかである。
【0073】
本開示の抗原結合フラグメントには、Fab, F(ab')2, Fab'、シングルチェーン(scFv)、ジメライズされたV領域(ディア発明)、ジスルフィド結合安定化V領域(dsFv)、CDRを含むペプチド等が含まれる。
【0074】
Fabは分子量が約50,000で抗原結合活性を有する抗体フラグメントであり、IgG抗体分子をプロテアーゼパパイン(H鎖の224位のアミノ酸残基を切断する)で処理することにより得られ、H鎖のN-端子側の約半分とL鎖全体がジスルフィド結合により結合している。
【0075】
本開示のFabは、人間のPD-1を特に認識し、その外細胞領域のアミノ酸配列またはその立体構造に結合する本開示のモノクローン検出のためにパパインを使用することにより作成することができる。加えて、Fabは、原核式ベクトルまたは真核式ベクトルに、抗菌のFabをエンコードしたDNAを挿入し、そのベクトルを原核生物または真核生物に導入してFabを式することによって作り出すことができる。
【0076】
F(ab')2は、約10万の分子重量を持ち、抗原結合活動を有し、ヒンジ位置につながる2つのFab領域を含み、IgGのヒンジ領域の2つのジスルフィド結合の下部を、エンザイムペプシンで消化することによって得られる。
【0077】
本開示のF(ab')2は、ペプシンを用いて、ヒトPD-1を特に認識し、その外細胞領域のアミノ酸配列またはその立体構造に結合する本開示のモノクローン抗原を処理することにより生成することができる。さらに、F(ab')2は、以下に述べるFab'をチオエーテル結合またはジスルフィド結合と結合させることによって生成することができる。
【0078】
Fab'は、約5万の分子重量を持つ、F(ab')2のヒンジ領域のジスルフィド結合を解離することによって得られる抗原結合活動を持つ、抗原断片である。本開示のFab'は、PD-1を特に認識し、その外細胞領域のアミノ酸配列またはその立体構造に結合する本開示のF(ab')2を処理するために、例えばジチオスレイトールを解離する剤を使用することによって生成することができる。
【0079】
加えて、Fab'は、原核式ベクトルまたは真核式ベクトルに、抗菌のFab'断片をエンコードしたDNAを挿入し、その後、ベクトルを原核生物または真核生物に導入してFab'を式することによって作り出すことができる。
【0080】
「単鎖抗体」、「単鎖抗体Fv」、又は「scFv」は、リンカーによってリンクされた、重鎖可変領域(又は領域; VH)及び、反応ライトチェーン可変領域(又は領域; VL)を含む分子を意味する。このようなscFv分子は、NH2‐VL‐linker‐VH‐COOHまたはNH2‐VH‐linker‐VL‐COOHという一般的な構造を持つことができる。先行技術における適切なリンカーは、反復GGGGSアミノ酸配列またはその変異体、例えば、1~4個の反復配列を有する変異体からなる(Holliger et al. (1993), ProcNatl. Acad.科学アメリカ90: 6444-6448)。本開示において使用することができる他のリンカーは、Alfthanら(1995)、Protein Eng8:725-731, Choiら(2001)、Eur.J. イミュノール.31:94-106, Huら(1996)、ガン研究56:3055-3061, Kipriyanovら(1999), J. Mol.生涯.293:41-56 and Roovers et al. (2001), Cancer Immunol. に記載されている。
【0081】
本開示のscFvは、特にヒトPD-1を認識し、その外細胞領域のアミノ酸配列又はその立体構造に結合する本開示のモノクローンのVH及びVLのcDNAを取得し、scFvをエンコードするDNAを構築し、DNAを原核式ベクター又は真核式ベクトルに挿入し、その後、式ベクトルを原核生物又は真核生物に導入してscFvを式する工程によって作成することができる。
【0082】
Diabodyは、scFvが二量体化された抗体フラグメントであり、二価抗原結合活性を有する抗体フラグメントである。二価抗原結合活動では、2つの抗原は同じか違うことができる。
【0083】
本開示のディアボディは、特にヒトPD-1を認識し、それらの非細胞領域のアミノ酸配列または三次元構造に結合する本開示のモノクローンVHおよびVLのcDNAを取得する、ペプチドリンカー長さが8以下のアミノ酸配列残渣を持つようにscFvをエンコードするDNAを構築する、DNAを原核式ベクターまたは真核式ベクトルに挿入し、その後、式ベクトルを原核生物または真核生物に導入してダイアボディを式する、という工程によって作成することができる。
【0084】
dsFvは、VHおよびVLの各々における1つのアミノ酸残基がシステイン残基によって置換されたポリペプチドを、システイン残基間のジスルフィド結合を介して連結することによって得られる。システイン残留物に置き換えたアミノ酸残留物は、公知方法(Protein Engineering, 7, 697 (1994))に基づき、検出されたものの三次元構造の予測に基づいて選定することができる。
【0085】
本開示のdsFvは、特にヒトPD-1を認識し、その外細胞領域またはその三次元構造のアミノ酸配列に結合する本開示のモノクローンのVHおよびVLのcDNAエンコードを取得し、dsFvをエンコードするDNAを構築し、DNAを原核式ベクトルまたは真核式ベクトルに挿入し、その後、式ベクトルを原核生物または真核生物に導入してdsFvを式する工程によって作成することができる。
【0086】
CDRを含むペプチドは、VHまたはVLのCDRを含む1つ以上の領域によって構成される。複数のCDRを含むペプティドは、直接または適切なペプチドリンカーを介して結びつけることができる。
【0087】
本開示のCDRを含むペプティドは、以下のステップによって作り出すことができる。特にヒトPD-1を認識し、その外細胞領域またはその三次元構造のアミノ酸配列に結合する本開示のモノクローンのCDRおよびVLのCDR(s)をエンコードすること、そして、DNAを原核式ベクトルまたは真核式ベクトルに挿入し、ペプチドを式するために原核生物または真核生物に式ベクトルを導入すること、CDR含有ペプチドはまた、化学合成法、例えば、Fmoc法またはtBoc法によって産生され得る。
【0088】
「アミノ酸の相違」または「アミノ酸の相違」という用語は、元々のタンパク質またはポリペプチドと比べて、タンパク質またはポリペプチドの中で、1、2、3以上のアミノ酸が元々のタンパク質またはポリペプチドに基づいて挿入、削除、あるいは置換されることを含む、アミノ酸の変異または変異の存在を意味する。
【0089】
つまり、「反応骨格」または「FR領域」という用語は、可変ドメイン抗原結合ループ(CDR)の足場として役立つ、変数領域VLまたはVHのモイテイのことを意味する。基本的には、これはCDRのない変数ドメインである。
【0090】
「相補性決定領域」、「CDR」または「超可変領域」という用語は、抗原結合に主に寄与する抗体の可変ドメインにおける6つの超可変領域のうちの1つを指す。一般に、各重鎖可変領域には3つのCDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)、ならびに各軽鎖可変領域には3つのCDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)がある。「Kabat」番号付け基準(Kabatら(1991)、「Sequences of Proteins of Immunological Interest」、第5版、米国国立衛生研究所、Bethesda、MD)、「Chothia」番号付け基準(Al-Lazikaniら(1997)、JMB 273:927-948)およびImmunoGenTics (IMGT)番号付け基準(Lefranc MP.Immunologist, 7, 132136 (1999); Lefranc, M. P., et al., Dev.コンプImmunol., 27, 55-77 (2003) などを参照のこと。たとえば、カバト基準に従い、重鎖可変領域(VH)のCDRアミノ酸残基の番号は31-35(HCDR1)、50-65(HCDR2)および95-102(HDR3)であり、軽鎖可変領域(VL)のCDRアミノ酸残基の番号は24-34(LCDR1)、50-56(LCDR2)および89-97(LCDR3)である。Chothiaの基準に従えば、VHのCDRアミノ酸残基物の番号は26-32(HDR1)、52-56(HDR2)および95-102(HDR3)であり、VLのアミノ酸残基物の番号は26-32(LCDR1)、50-52(LCDR2)および91-96(LCDR3)である。カバトとチョチアのCDR定義の組合せによれば、CDRはヒトVHにおけるアミノ酸残基26-35(HCL1)、50-65(HCR2)、および95-102(HDR3)からなり、ヒトVLにおけるアミノ酸残基24-34(LCDR1)、50-56(LCDR2)および89-97(LCDR3)からなる。IMGTの基準に従えば、VH中のCDRアミノ酸残基物の番号はおよそ26-35(CDR1)、51-57(CDR2)および93-102(CDR3)であり、VL中のCDRアミノ酸残基物の番号はおよそ27-32(CDR1)、50-52(CDR2)および89-97(CDR3)である。IMGTの基準に従い、IMGT/DomainGap Alignプログラムを用いて、抗原のCDR領域を決定することができる。
【0091】
「エピトープ」または「抗原行列式」という用語は、ある抗原上のサイト(例えば、PD-L1分子上の特定部位)を意味する。エピトープは通常、独特の空間構成における連続的または非連続的なアミノ酸を少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15を含む。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology, Vol. 66, G.E.Morris, Ed. (1996)を参照。
【0092】
「特別に結合する」、「選択的に結合する」、「選択的に結合する」および「特別に結合する」という用語は、既定の抗原上のエピトープへの自己抗原の結合を意味する。一般に、約10-8 M未満、例えば約10-9 M未満、10-10 M、10-11 M以下の親和性(KD)で結合する。
【0093】
「KD」または「Kd」という用語は、特定のAd-抗原相互作用の解離平衡定数を意味する。一般的に、本開示の抗性は、例えば、表面プラズマ共鳴(SPR)テクノロジーを用いたBIACORE計器で測定されるように、約10M-8 または10M-9 未満の約10M-7 の解離平衡定数(KD)でPD-1と結合する。
【0094】
「競争」という用語が、同じエピトープと競合する抗原結合性タンパク質の文脈において用いられる場合(例えば、抗原結合たんぱく質を中和するか、抗原結合たんぱく質を中和する)、それは、抗原結合たんぱく質間の競争を意味し、以下のアッセイによって決定することができる。アッセイにおいて、テストされるべき抗原結合たんぱく質(例えば、抗原結合たんぱく質またはそのウィンカム)は、一般的な抗原(例えば、PD-1またはそのフラグメント)に対する参照抗原結合たんぱく質の比結合を(例えば、リガンドまたは参照たんぱく)防止または抑制する(または抑制する)。多数のタイプの競合結合アッセイを使用して、1つの抗原結合タンパク質が別のものと競合するかどうかを決定することができ、これらのアッセイは、例えば、固相直接または間接放射免疫アッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al., 1983, Methods in Enzymology 9:242-253参照)、固相直接ビオチン-アビジンEIA (例えば、Kirkland et al., 1986, J. Immunol. 137:3614-3619参照)、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane, 1988, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press参照)、I-125標識を有する固相直接標識RIA (例えば、Morel et al., 1988 25: 7-15)、固相直接ビオチン-アビジンEIA (例えば、Cheung et al., 1990, Virology 176: 546-552)、および直接標識RIA (Moldenhauer et al., 1990 Scand. J. Immunol. 32:77-82) を参照されたい。一般的に、このアッセイは、検査中の標識されていない抗原結合タンパク質または標識された参照抗原結合タンパク質のいずれかを運ぶ固体表面または細胞に結合した精製抗原を用いることを含む。競合抑制は、検査中の抗原結合タンパク質が存在するときに、固体表面または細胞に結合したラベルの量を測定することによって測定される。通常、検査中の抗原結合性タンパク質は過剰に存在する。競合的アッセイ(競合抗原結合タンパク質)によって同定された抗原結合タンパク質には、参照抗原結合タンパク質と同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質、および参照抗原結合タンパク質の結合エピトープに十分に近い隣接したエピトープに結合する抗原結合タンパク質が含まれる。この2つのエピトープは相互に結合することを立体的に妨げている。競合的拘束力を決定するために用いられた方法の追加的な詳細はここに示した例に示されている。通常、競合的抗原結合タンパク質が過剰に存在する場合、参照抗原結合タンパク質の共通抗原に対する特異的結合を、少なくとも40~45%、45~50%、50~55%、55~60%、60~65%、65~70%、70~75%または75%以上阻害する(例えば、減少させる)。場合によっては、結合が少なくとも80~85%、85~90%、90~95%、95~97%、または97%以上阻害される。
【0095】
ここでいう「核酸分子」とは、DNA、および、他の核酸配列と機能的な関係に置かれた場合、核酸は「一列」または「二重」であり、かつ、二重、あるいは一列、あるいは改良されたmrnaであることが望ましく、核酸が他の核酸配列と機能的な関係に置かれた場合、核酸は「操作的に結びついている」ことになる。例えば、プロモーターまたはエンハンサーがコーディング配列の転写に影響を与える場合、プロモーターまたはエンハンサーはコーディング配列に操作的にリンクされる。
【0096】
「ベクトル」という用語は、それがリンクされている別の核酸を運ぶことができる核酸を意味し、ある実施形態では、ベクトルは「プラスミド」である。これは、追加のDNAセグメントがつながることができる、円形の二重ストライドDNAループを意味する。別の実施形態では、このベクトルは、ウイルスゲノムに新たなDNAセグメントをリンクさせることができるウイルスベクトルである。本明細書中に開示されているベクトルは、それらが導入された宿主細胞中で自律的に複製することができ(例えば、バクテリア複製起点を有する細菌ベクトルおよびエピソーム哺乳動物ベクトル)、または宿主細胞中に導入された後に宿主細胞のゲノム中に組み込まれて、宿主ゲノムと共に複製することができる(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクトル)。
【0097】
Antibodies: Antibodies: Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, Chapter 5-8 and 15のような、抗物質及び抗原結合フラグメントの製造及び精製の方法は先行技術でよく知られている。例えば、マウスにヒトPD-1またはそのフラグメントをワクチン接種することができ、得られた抗生物質を改良し、精製し、アミノ酸配列決定を通常の方法で行うことができる。抗原結合フラグメントも従来の方法で作ることができる。1つ以上のヒトのFR領域は、遺伝子工学的方法を用いて、本発明の抗生物質又は抗原結合フラグメントの非ヒトのCDR領域に追加される。ヒトFR生殖系列配列は、IMGTヒト抗体可変領域生殖系列遺伝子データベースおよびMOEソフトウェアを比較することにより、免疫遺伝学 (IMGT)ウェブサイトhttp://imgt.cines.frから得ることができ、またはThe Immunoglobulin FactsBook,2001ISBN012441351から得ることができる。
【0098】
「ホストセル」という用語は、表現ベクトルが導入された電池を意味する。宿主細胞には、バクテリア、微生物、植物、動物細胞などがある。容易に形質転換され得る細菌には、腸内細菌科の部材、例えば、大腸菌またはサルモネラ菌株、バチルス・ズブチリス、肺炎球菌、レンサ球菌およびインフルエンザ菌が含まれる。適当な微生物はSaccharomyces cerevisiaeおよびPichia pastorisを含む。適切な動物宿主細胞系には、CHO (中国語ハムスターオバリ細胞線)およびNS0細胞が含まれる。
【0099】
本開示のエンジニアド・抗生物質又は抗原結合フラグメントは、従来の方法により調製し、精製することができる。たとえば、重鎖とL鎖をエンコードしているcDNA配列をクローンし、GS式ベクトルに再結合することができる。遺伝子組み換えイムグロブリン表現ベクトルは、安定してCHO細胞に変換することができる。より推奨される先行技術として、哺乳動物の式システムは、特にFc領域の高度に保存されたN-端子サイトにおいて、抗物質のグリコシル化を導くことができる。安定したクローンは、ヒトPD-1に特別に結合する抗物質を表現することによって得られる。バイオリアクターの無セラム媒体では、正クローン化が展開され、抗物質を生成する。抗生物質を秘密にしている文化媒体は、従来の方法で精製することができる。たとえば、浄化の緩衝材を調整したAまたはGセファロスFF列を使用する。特に拘束されていない成分は、洗い流される。その後、pH傾き法で結合抗物質を溶出し、SDS-PAGEで検出し、収集した。抗生物質は、従来の方法でフィルタリングし、濃縮することができる。水溶性混合物およびポリマーはまた、従来の方法、例えば、モレキュラーシーブおよびイオン交換によって除去することができる。-70℃のように、製品を直ちに凍らせるか、親水性にする必要がある。
【0100】
動物、ヒト、実験例被検者、電池、組織、臓器又は生体液に適用される場合、「投与」、「投与」及び「処置」とは、外因性医薬品、治療薬剤、診断薬、診断薬又は組成物と動物、ヒト、被検者、電池、組織、臓器又は生体液との接触を意味する。「投与」、「投与」及び「処置」とは、例えば、処置、薬物動態、診断、研究及び実験例方法を意味する。電池の処置は、電池との接触、及び、体液と接触する体液との接触を包含する。「投与」、「投与」及び「処置」とは、例えば、例えば、電池を試薬、診断、結合組成物又は別の電池により、in vitro及びex vivoで処置することを意味する。「処置」とは、ヒト、獣医学又は研究被検者に適用される場合、「処置」とは、治療処置、予防、研究及び診断の適用を意味する。
【0101】
「治療」とは、内部又は外的な治療薬剤を、例えば、治療効果があることが知られている病気の1つ以上の徴候を有する患者に、本開示の結合剤のうちの1つを含む組成物を、施術することをいう。一般に、治療薬は、治療された患者または集団における疾患の1つ以上の症状を緩和するのに有効な量で投与され、そのような症状の退縮を誘導するか、または臨床的に測定されたいずれかの程度までそのような症状の発現を阻害する。特定の病気の徴候を緩和するのに効果的な治療薬の量(「治療効果のある量」とも呼ばれる)は、患者の病気状態、年齢および体重、および患者において所望治療効果を生み出す薬の能力など、様々な要因により変化する。疾患の症状が軽減したかどうかは、症状の重症度や進行を評価するために医師や他の医療専門家が一般的に用いているあらゆる臨床検査法によって評価することができる。本開示の実施形態(例えば、処理方法又は製品)は、各標的病気の徴候を緩和するのに効果的ではないかもしれないが、生徒t-test、t-square test、Mann and Whitney's U test、Kruskal-Wallis test (H test)、Jonckheere-Terpstra test、及びWilcoxon testのように、技術的に知られているどのような統計的な方法により決定されるように、彼らは、統計的に有意な数の患者において、標的病気の徴候を減らすべきである。
【0102】
「保守的な改変または置換」とか「保守的な置換」とは、タンパク質の生物学的活性を変化させることなく頻繁に変化させることができるように、同じ特性(例えば、電荷、側鎖サイズ、疎水性/水親水性、主鎖構造および硬さ)を有する他のアミノ酸と置き換えることを意味する。当業者は、一般に、ポリペプチドの非必須領域における単一のアミノ酸置換が生物学的活性を実質的に変化しないことを知っている(例えば、Watsonら(1987) 遺伝子の分子生物学、The Benjamin/Cummings Pub株式会社P224(第4版)を参照)。さらに、アミノ酸が同じような構造や機能をもったものに取って代わることで、生物学的な活性を破壊する可能性は低い。例として、保守的な置換を下の表「典型的なアミノ酸の控えめな置換」に示す。
【0103】
典型的なアミノ酸の控えめな置換
[表3]
【0104】
「効果量」または「効果量」とは、1つ以上の有益な、または望ましい治療結果を得るために必要な薬、化合物または医薬品の組成の量を指す。予防的使用のために、有益または所望の結果は、リスクの排除または減少、疾患の生化学、組織学および行動学的症状、それらの複雑化、ならびに疾患の発達過程の間に生じる中間体の病理学的表現型を含み、疾患発症の重症度の減少または遅延を含み、リスクの排除または減少を含む。治療上の適用のために、有益な又は望ましい結果には、例えば、発明開示の様々な対象抗原関連障害の発生を減らしたり、障害の1つ以上の症状を改善したり、障害を治療するために必要な他の剤の量を減らしたり、他の剤の治療効果を強化したり、患者の発明開示の標的抗原関連障害の進行を遅らせたりすることが含まれる。
【0105】
「外因性」とは、状況に応じて、生物・電池・人体以外で生産される物質をいうが、「内因性」とは、状況に応じて電池・生物・人体内で生産される物質をいう。
【0106】
「ホモロジー」とは、2つのポリヌクレオチド配列または2つのポリペプチド間の配列の類似性を指す。例えば、2つのDNA分子のそれぞれの位置がアデニンによって占められている場合、比較した2つの配列の位置が同じ塩基またはアミノ酸のモノマーサブユニットによって占められている場合、その位置で分子は相同である。2つの配列間の相同割合は、2つの配列が共有するマッチング位置または相同位置の数を、比較した位置の数×100で割った関数である。たとえば、最適なシーク配列アラインメントでは、2つのシーク配列の10の位置に6つの一致または相同がある場合、2つのシーク配列は60%の相同がある。2つのシーク配列の100の位置に95の一致または相同がある場合、2つのシーク配列は95%の相同がある。一般的に、2つの配列を揃えるとき、最大パーセンテージの同質性を与えるために比較する。例えば、比較はBLASTアルゴリズムによって行うことができる。BLASTアルゴリズムでは、アルゴリズムのパラメータを選択し、各リファレンス配列の全長にわたる各配列間の最大のマッチングを与える。BLAST ALGORITHMS: Altschul, S. F. et al., (1990) J. Mol。生涯。215:403-410; Gish, W. et al., (1993) Nature Genet.3:266-272; Madden, T. L. et al., (1996) Meth.エンジモールの引用は、配列解析にしばしば使用されるBLASTアルゴリズムに関連する。266:131-141; Altschul, S. F. et al., (1997) Nucleic Acids Res.25:3389-3402; Zhang, J. et al., (1997) Genome Res.7:649-656. NCBI BLASTによって提供されるような他の従来のBLASTアルゴリズムも、当業者に公知である。
【0107】
本明細書で使用する「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」という表現は、互換的に使用することができ、そのような名称はすべて子孫を含む。したがって、「形質転換体」および「形質転換細胞」という用語は、継代数にかかわらず、一次試験細胞およびそこから誘導された培養物を含む。また、意図的あるいは非意図的な突然変異により、すべての子孫がDNA含量の点でまったく同じではないことも理解すべきである。元の形質転換細胞でスクリーニングしたものと同じ機能または生物学的活性を有する突然変異体子孫が含まれる。別の名前が言及されたとき、それは文脈から明確に理解されるはずである。
【0108】
ここで使用する「ポリメラーゼ連鎖反応」又は「PCR」とは、例えば米国特許第4,683,195号に記載されているように、核酸、DNA及び/又はDNAの特定部分の微量が増幅される手順又は技術をいう。一般的に言って、オリゴヌクレオチドプライマーが設計され得るように、標的領域の端部または外側から配列情報を得る必要がある。これらのプライマーは、増幅されるテンプレートの対応するストランドとのシークエンスの観点で同一または類似である。2つのプライマーの5'端子ヌクレオチドは、増幅される物質の端部と同一であり得る。PCRは、特定のRNA配列、全ゲノムDNAからの特定のDNA配列、および全細胞RNAから転写されたcDNA、ファージまたはプラスミド配列などを増幅するために用いることができる。一般的には、Mullis et al. (1987) Cold Spring Harbor, Symp Ouant.生涯。51:263; Erlich ed., (1989) PCR TECHNOLOGY (Stockton Press, N.Y.) を参照。本明細書中で使用されるPCRは、核酸試験試料を増幅するための核酸ポリメラーゼ反応方法の実施例とみなされるが、その実施例だけではなく、その方法は、核酸の特定の部分を増幅または産生するために、公知の核酸をプライマーおよび核酸ポリメラーゼとして使用することを含む。
【0109】
「分離された」とは、浄化された状態を意味し、この場合、特定された分子は、他のバイオ分子、例えば、核酸、タンパク質、脂質、炭水化物、その他の材料、例えば電池破片及び成長媒体から実質的に自由であることを意味する。一般的に、「分離された」という用語は、本項に記載されているように、これらの物質が完全に存在しないこと、又は水、緩衝液又は塩が存在しないことを意味するものではない。
【0110】
「オプション」または「オプション」とは、後述する事象または環境が必ずしも起こりうるが、必ずしも起こらないことを意味し、事象または環境が起こるか、あるいは起こらない場合を含む記述である。例えば、「任意に1~3本の重鎖可変領域からなる」とは、特定の配列の重鎖の可変領域が存在しうるが、存在しなくてもよいことを意味する。
【0111】
「医薬組成」とは、ここに記載されている1つ以上の化合物、または生理学的/薬学的に容認可能な塩またはその原薬、および他の化学成分、例えば生理学的/薬学的に容認可能なキャリアおよび補助剤からなる混合物を意味する。医薬組成物の目的は、活性成分の吸収を容易にし、それによって生物活動を発揮する生物への投与を促進することである。
【0112】
「薬事上許容される運搬体」という用語は、配合薬又は配合原結合フラグメントを運搬するための調剤に使用するのに適した不活性物質を意味する。担体は、抗接着剤、バインダー、コーティング、崩壊剤、充填剤または溶剤、防腐剤(抗酸化剤、抗菌剤または抗菌剤のような)、甘味料、吸収遅延剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝剤などであることができる。適切な薬学的に許容可能な担体の実施例としては、水、エタノール、ポリオール(実施例えば、グリセリン、プロパンジオール、ポリエチレングリコールなど)デキストロース、植物油(実施例えば、オリーブ油)、食塩水、緩衝液、緩衝食塩水、および等張剤、例えば、糖、ポリオール、ソルビトールおよび塩化ナトリウムが挙げられる。
【0113】
さらに、本開示には、標的抗原(例えばPD-1)ポジティブ細胞に関連する病気を治療するための剤、本開示の抗PD-1抗原、又はその抗原結合フラグメントを活性成分として含む剤が含まれる。
【0114】
本開示のPD-1に関連する疾患は、PD-1に関連する疾患である限り、限定されるものではない。例えば、本開示の分子によって引き起こされる治療反応は、ヒトPD-1に結合し、その後、PD-1とその配位子PD-L1およびPD-L2の結合を抑制し、または、PD-1を過剰に表現した細胞を殺すことによって達成される。従って、治療用に適した調剤及び調製において、本開示の分子は、好ましくはメラノマ、大腸ガン、乳がん、肺ガン、胃ガン、大腸ガン、胃ガン、肝臓ガン、肺ガン、非小細胞肺ガン、ブラダーガンなどを有する人々にとって非常に有用である。
【0115】
また、本開示は、ターゲット抗原(例えばPD-1)の検出又は判定のための方法、ターゲット抗原(例えばPD-1)の検出又は判定のための試薬、標的抗原(例えばPD-1)を表現する細胞の検出又は判定の方法、並びに標的抗原(例えばPD-1)に関連した病気を診断するための診断剤(例えばPD-1)正細胞で、特に標的抗原(例えば人間のPD-1)を認識し、その外細胞領域のアミノ酸配列又はその三次元構造と結合し、活性成分として使用される本開示の標的抗原(例えば人のPD-1)を特定する。
【0116】
本開示では、標的抗原(例えばPD-1)の量を検出または測定するために用いられる方法は、何らかの公知方法であってもよい。たとえば、これには、検出または測定方法が含まれる。
【0117】
認知・測定法とは、標識抗原や抗生物質を用いて、検出・測定する方法である。検出または測定方法の実施例としては、放射性免疫測定(RIA)、エンザイムイムアッセイ(EIAまたはELISA)、蛍光免疫測定(FIA)、発光免疫測定、ウェスタンブロッティング、物理化学的方法などがある。
【0118】
先に述べたPD-1ポジティブ細胞に関連する病気は、本開示の抗物質又は抗菌断片を用いて、PD-1発明細胞を検出又は測定することにより診断することができる。
【0119】
ポリペプチドを発現する電池を検出するために、好ましくは免疫沈降、蛍光電池汚染、免疫組織化学汚染などを用いて、公知の免疫検出方法を使用することができる。また、FMAT8100HTSシステム(Applied Biosystem)を利用した蛍光抗体汚染法を利用することができる。
【0120】
本開示では、標的抗原(例えばPD-1)の検出または測定に用いられる生体内試料には、標的抗原(例えばPD-1)を表現する電池を含む可能性がある限り、特に制限はない。たとえば、組織電池、血液、プラズマ、美容液、パンクレートジュース、尿、排泄物、組織流体または培養流体である。
【0121】
要求される診断方法によれば、本開示のモノクローン・ニーズ、又は発明モノクローン・インフォメーションからなる診断剤は、また、抗原抗体反応又は反応を検出するための試薬を含むことができる。抗原抗体反応を行うために使用される試薬には、緩衝剤、塩などが含まれる。検出に使用される試薬には、例えば、モノクローン・ビーズ、モノクローン・フラグメント、それらを認識する、あるいはそれらの活用物を認識する、ラベルに対応する、ラベル付けされた第2の抗生物質など、通常、検出または測定方法で使用される試薬が含まれる。
【0122】
抗原の調製
1. 抗原の構築
ヒトPD-1-IgG1Fc融合タンパク質を設計・合成し、NターミナルにヒトPD-1の細胞外領域の150アミノ酸、CターミナルにヒトIgG1(hIgG1Fc)のFcフラグメントを用いた。高純度の組み換えPD-1-Fcたんぱく質は、タンパク質A親和性カラムで精製した後に得ることができ、抗PD-1の抗原への結合を検出するのに用いられる。
【0123】
Human PD-1-IgG1Fc (SEQ ID NO: 1):
MEFGLSWLFLVAILKGVQCPGWFLDSPDRPWNPPTFSPALLVVTEGDNATFTCSFSNTSESFVLNWYRMSPSNQTDKLAAFPEDRSQPGQDCRFRVTQLPNGRDFHMSVVRARRNDSGTYLCGAISLAPKAQIKESLRAELRVTERRAEVPTAHPSPSPRPAGQFQTLVEPKSSDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPGK.
【0124】
注:下線はシグナルペプチド、正常部はヒトPD-1の細胞外領域、斜体化部はhIgG1Fc (シグナルペプチド+細胞外領域+ hIgG1Fc)である。
【0125】
Human PD-1-his (SEQ ID NO: 2):
MEFGLSWLFLVAILKGVQCPGWFLDSPDRPWNPPTFSPALLVVTEGDNATFTCSFSNTSESFVLNWYRMSPSNQTDKLAAFPEDRSQPGQDCRFRVTQLPNGRDFHMSVVRARRNDSGTYLCGAISLAPKAQIKESLRAELRVTERRAEVPTAHPSPSPRPAGQFQTLVGSSDYKDDDDKHHHHHH.
【0126】
PD-1 細胞に変換された核酸によってエンコードされた抗原(SEQ ID NO: 3):
MQIPQAPWPVVWAVLQLGWRPGWFLDSPDRPWNPPTFSPALLVVTEGDNATFTCSFSNTSESFVLNWYRMSPSNQTDKLAAFPEDRSQPGQDCRFRVTQLPNGRDFHMSVVRARRNDSGTYLCGAISLAPKAQIKESLRAELRVTERRAEVPTAHPSPSPRPAGQFQTLVVGVVGGLLGSLVLLVWVLAVICSRAARGTIGARRTGQPLKEDPSAVPVFSVDYGELDFQWREKTPEPPVPCVPEQTEYATIVFPSGMGTSSPARRGSADGPRSAQPLRPEDGHCSWPL.
【0127】
抗体の調製
抗ヒトPD-1抗毒薬はマウスにワクチンを接種することで作ることができ、また、抗ヒトPD-1ファージ・マウス・イミュニゼーション・ライブラリーからも得ることができる。
【0128】
マウスへの予防接種を行うことにより、ヒトに対するPD-1(Anti-Human PD-1)を作成する方法は、次のとおりである。
1. 免疫:研究所SJL白色マウス、雌、6~8週齢、Balb/c白色マウス、雌、6~8週齢。ハウジング環境: SPF レベル。購入後、温度20~25°C、湿度40~60%、明/暗サイクル12/12時間の調整下、実験室環境で1週間飼育した。環境に適応したマウスを様々なプロトコルに従って接種し、各群に6~10匹のマウスを用いた。この抗原は、浄化された組換えたタンパク質PD-1-IgG1Fc(SEQ ID NO: 1参照)、PD-1-his(SEQ ID NO: 2参照)、またはPD-1を抗原としてトランスフェクトしたJurkat/CHO-PD-1細胞であった(SEQ ID NO: 3参照)。異なる免疫アジュバントまたは異なるタイプの免疫原と組み合わせた単一抗原を交差免疫に使用することができる。ワクチン接種部位は、腹部のキャビティまたは背中の表皮の下であったり、2つの部位で交互にワクチン接種を行うことができる。免疫補助剤TiterMax(R)金補助剤(以下、Titermax、Sigma、Cat. No. T2684から購入)およびImject ミョウバン補助剤(以下、ミョウバン、Pierce、Cat. No. 77161から購入)を交差免疫に使用した。アジュバント(Titermax)に対する抗原の比率は1:1であり、アジュバント(Alum)に対する抗原の比率は3:1、25-50マイクログ/動物(第一予防接種)、50マイクログ/動物(昇圧予防接種)、または1×107 Jurkat/CHO-PD-1電池/動物であった。0日目には、25-50mm/動物乳化抗原を、最初の予防接種の後、1週間または2週間に1回、合計で5-8回、Titermaxとミョウバンを交互に使用した。
2. 細胞融合:血清中の抗体価が高いマウスを選択し、脾臓細胞融合を行った。短距離予防接種の72時間後に、ネズミの眼に出血した。ネズミは首を引っ張って殺菌のために75%のエタノールを入れて犠牲にした。Sp2/0細胞(中国科学アカデミー)に精細胞を融合させ、最適なPEG調停融合法を適用することにより、ハイブリドマ細胞を得ることができた。融合したハイブリドマ電池をハット完成媒体(FBS20%、1×ハットおよび1×OPIを含むRPMI-1640媒体)で再浮遊させ、96ウェル電池プレート(1×105/150mm/well)にアリコットし、37°Cで、5% CO2でインキュベートし、合計約10~30板に播種した。溶融後5日目に、ハット完成媒体を50mm/wellで加え、37℃、5% CO2でインキュベートした。溶融後7日目から8日目まで、細胞成長密度によれば、媒体は200mm/wellで完全に変化し、37°C、5% CO2でインキュベートされた。
3. Hybridoma cellスクリーニング:溶融7~9日後、細胞成長密度によれば、ELISA法は、PD-1との結合を検出するために実施され、正井戸の細胞は、PD-1/PDL1結合の封鎖を検出するために、ELISAによりさらに検出された。細胞密度に応じて、ポジティブウェルの媒体を変え、細胞を24ウェルのプレートに拡大した。24ウェルプレートに移した細胞株を再試験し、時間保存し、初めてサブクローン化した。第1サブローニングスクリーニングではポジティブなものを保持し、第2または第3サブローニングは単細胞クローンを得るまで実施した。複数の融合により、PD-1とPDL1の結合を遮断する効果を持つハイブリドーマ電池を得た。
【0129】
抗ヒトPD-1ファージマウス免疫ライブラリーを介して抗ヒトPD-1抗体を得る方法は以下のとおりである。
1. 抗ヒトPD‐1ファージマウス・イムリ・ライブラリーの構築:血清中の高い抗菌価を持つマウスのスプリーンを選定し、トリゾル(Invitrogen Cat No. 15596-018)を用いて組織全体のPROXを抽出した。cDNAは、PrimeScriptTM II 1st Strand cDNA合成キット(Takara Cat No. 6210A)を逆転写に使用して得た。IMGTデータベースに基づいて、ライブラリーを構成するための入門器を設計し、合成した。3ラウンドのPCR反応を通して、シングルチェーンの断片を得た。単鎖抗体の抗菌断片と改良されたライブラリ構成ベクトルCantab5E (Amersham Biosciences/GE Cat No. 27-9400-01)をSfi1(NEB Cat No.#R0123L)で消化し、電気泳動後にE. Z. N. A. (R) Gel Extraction Kit (Omega Cat No. D2500-02)で浄化し、回収した。次いで、T4 DNAリガーゼ(NEB Cat No.#M0202L)を用いて16~18時間、16℃での配位を行い、上記キットを精製および回収に用い、最終的に脱イオン水で溶出を行った。1μgの配位生成物を採取し、電気変態用のコンピテントTG1(ルシゲンCat No. 60502-2)の1バイアルと混合し、エレクトロポーレータ(Bio Rad Micropulser)で電気変態を行い、パラメータを2.5 kV,200Ωおよび25 uFに設定した。変換を10回繰り返した。この製品を皿に広げ、16~18時間、37℃で上下逆さまに栽培した。次いで、全てのコロニーを分離し、一緒に混合し、15%の最終濃度でグリセリンを添加し、使用のために-80℃で保存した。
2. 抗ヒトPD-1ファージマウス免疫ライブラリーのスクリーニング:パッケージングされた抗ヒトPD-1ファージ免疫ライブラリー(1×1012 - 1×1013)および100μlストレプトマイシンマイクロビーズ(ミレニビ・バイオテック、アウバーン、カリフォルニア州)を、2%スキムミルク(MPBS)を含む1mlのリン酸緩衝生理食塩水に添加し、室温で1時間インキュベートし、磁気スタンド上に置き、上清を回収した。10 上層部にヒトPD-1-ECD-hisプロテイン(Sino Biologicalから購入)を添加し、室温で1時間インキュベートした。続いて、ストレプタビジンコーティング磁気ビーズ(1ml MPBSで予備インキュベート)100mmを加え、室温で1時間インキュベートした。また、分別用の磁性スタンドシステムに搭載し、1mlのPBST (0.1% Tween-20を含むリン緩衝剤)を何度か加え、反転させた。完全に吸引した後、新しい洗浄液を加え、11回繰り返して未結合の抗体断片を除去し、0.5mlの溶出溶液(450μlのPBSに10mg/mlトリプシン原液50μlを加えた)を加えた。常温で15分間振り、磁気スタンドに置き、新EPチューブに吸引した。TG1を2YT媒体に播種し、培養菌密度OD600=0.4まで拡大した。各チューブにTG1(OD600=0.4)1.75mlを加え、溶融ファージ(ファージ)250mmを加え、37℃の水浴で30分育成し、傾き希釈を施した皿に塗り、力価を試験した。残りのTG1液を遠心分離し、皿に広げ、一晩で37℃でインキュベートした。
【0130】
ファージマウス・ミュージック・ライブラリーは、MACSスクリーニング(ストレプトマイシン磁気ビーズ、インビトロゲン)を用いて、バイオティン化されたヒトPD-1-ECD-彼の抗原を用いて2-3ラウンドスクリーニングされ、PD-1に結合することができ、PD-1とPD-L1の結合をブロックすることができるモノクローン・抗生物質が得られ、順序付けによって検証された。抗体の可変領域配列を得た。
【0131】
組換え抗原タンパク質/抗体の精製
1. Hybridoma supernatant/Protein G affinityクロマトグラフィーの分離・精製:
マウスハイブリドマ超生体の精製には、親和クロマトグラフィーのためのタンパク質Gが第一選択であった。培養したハイブリドマを遠心分離し、1Mトリス‐HCL(pH 8.0‐8.5)の10‐15%体積を上天体の体積に応じて加えて上天体のpHを調整した。Protein Gカラムについては、6M塩酸グアニジンを用いてカラム容量の3~5倍に洗浄した後、純水を用いてカラム容量の3~5倍に洗浄し、平衡化緩衝液としての1×PBS (pH 7.4)などの緩衝系を用いてカラム容量の3~5倍に平衡化し、細胞上清を負荷し、低流量を用いて結合した。保持時間が約1分以上になるように制御し、1×PBS (pH 7.4)を用いて、カラム容量の3~5倍にカラム容量を洗浄した。UV吸収がベースラインに低下するまで、0.1M酢酸/酢酸ナトリウム(pH 3.0)緩衝液を試料溶出に用い、溶出ピークをUV検出に従って収集し、1M Tris-HCl (pH 8.0)を用いて、溶出生成物のpHを迅速に5~6に調整して一時保存した。溶出された製品については、限外濾過チューブを限外濾過、濃度のために使用し、必要な緩衝系にソリューションを置き換る、又は必要な緩衝系に置き換るためにG-25のような分子排除を使用し、又は、サンプルの純度を向上させるために溶出された製品中に集合した成分を除去するためにSuperdex 200のような高解像度の分子排除カラムを使用するような、当業者に周知の方法により、ソリューションの置換が行われ得る。
2. タンパク質A親和性クロマトグラフィーによるタンパク質や抗物質の精製:
最初に、抗原タンパク質または抗原を表す細胞培養の上位者を高速で遠心分離し、上位者を集めた。タンパク質Aアフィニティーカラムには、6M塩酸グアニジンを用いてカラム容量の3~5倍に洗浄した後、純水を用いてカラム容量の3~5倍に洗浄した。1×PBS (pH 7.4)のような緩衝系を平衡緩衝液として用い、カラム体積の3~5倍のクロマトグラフィー列を平衡化した。電池上質を低流量で積載し、保存時間が約1分以上になるように制御した。結合が完了した後、1×PBS (pH 7.4)を使用して、UV吸収がベースラインに低下するまで、カラム容量の3~5倍のクロマトグラフィーカラムを洗浄した。0.1M 試料溶出には酢酸塩/酢酸ナトリウム(pH 3.0~3.5)緩衝液を用い、溶出ピークをUV検出に従って収集し、1Mトリス‐HCL(pH 8.0)を用いて溶出製品のpHを5~6に急速に調整し、一時保管した。溶出製品については、限外濾過チューブを用いて限外濾過・濃度を行い、必要な緩衝系に液体を置き換える、又は、G-25のような分子排除を用いて塩を除去し、必要な緩衝系に置き換える、又は、溶出製品中に集積した成分を除去して試料純度を向上させるためにSuperdex 200のような高解像度分子排除カラムを用いて、当業者に知られている方法により、解決を行うことができた。
【実施例】
【0132】
本開示は、本実施例と併せてさらに後述するが、本開示の範囲を限定するものではない。本開示の実施例では、条件が通常、通常、A Laboratory Manual and Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor、又は原料又は製品製造業者の推奨する条件に従うような、従来の条件に従う実験方法を具体的に示していない。出所が特定されていない試薬は、市場から入手可能な従来の試薬である。
【0133】
(実施例1)
抗ヒトPD-1マウス抗体の入手
前述の方法により得られた抗ヒトPD‐1ムリン抗毒素を抗原結合実験を行い、良好な活性を有する複数の種類の抗毒素を選抜したM23、M32およびM33が含まれていた。単一細胞クローンを拡大し、栽培し、DNAを抽出し、マウス‐Igの退化プライマーを用いて、逆転写増幅(RT‐PCR)を行い、バラエティな領域配列を得た。ネズミのAI可変領域配列は、ヒトのAI定常領域配列と結びついていた。マウスモノクローナル抗体のキメラ抗体をクローニングし、組換え発現させ、in vitro活性実験を行い、得られたモノクローナル抗体可変領域配列が正しいことを確認した。
【0134】
M23,M32,M33の可変領域配列は以下のように決定される。
ネズミAbid M23の重鎖可変領域(SEQ ID NO: 4):
QVQLQQSGAELVRPGASVTLSCKASGYTFTDYEMHWVKQTPIHGLEWIGLIDPETGGTVYNQKFKDKTILTADKSSSTAYMEFRSLTSEDSAVYHCTRERFSYYGSTSDWYFDVWGTGTTVTVSS。
ネズミAbid M23の軽鎖可変領域(SEQ ID NO: 5):
DGLMTQTPLSLPVSLGDHASISCRSSQSLVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGIYYCFQGSHVPYTFGGGTKLEIK。
ネズミAbid M32(SEQ ID NO: 6)の重鎖可変領域:
QVQLQQSGAELVRPGASVTLSCKASDFTFTDYEIHWVKQTPVHGLEWIGLFDPETGGIVYNQKFKGKAILTADKSSNTAYMEFRSLTSEDSAVYYCTREGYNRDWYFDVWGTGTTVTVSS。
ネズミAbid M32(SEQ ID NO: 7)の軽鎖可変領域:
DVLMTQTPLSLPVSLGDQASISCRSSQSIVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPKLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDLGIYYCFQGSHVPYAFGGGTKLEIK。
ネズミAbid M33の重鎖可変領域(SEQ ID NO: 19):
KVMLVESGGGLVKPGGSLKLSCAASGFTFSSYAMSWVRQTPEKRLEWVATISGGGVDTYYQDNVQGRFTISRDNAKNTLYLQMSSLRSEDTALYYCASPYGHGYFDVWGTGTTVTVSS。
ネズミAbid M33の軽鎖可変領域(SEQ ID NO: 20):
DIQMTQTTSSLSASLGDRVTISCRASQDINNFLNWYQQKPDGTVKLLIYYTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDYSLTISNLEQEDIATYFCQQGNTLPWTFGGGTKLEIK。
【0135】
(注)上記のAの重鎖可変領域及び軽鎖可変領域シークエンスでは、下線は、Kabat numbering systemにより決定されるCDR配列であり、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の順である。
【0136】
Murine acdy M23、M32およびM33重鎖および軽鎖CDR領域配列
[表4]
【0137】
(実施例2)
抗ヒトPD-1モノクローナル抗体のヒト化
IMGTヒト抗体重鎖および軽鎖可変領域生殖系列遺伝子データベースおよびMOEソフトウェア分析に対してアラインメントすることにより、M23、M32およびM33軽鎖および重鎖配列と高い同一性を有するヒト生殖系列重鎖および軽鎖可変領域生殖系列遺伝子を鋳型として選択した。これら3種類のネズミ抗生物質のCDRをそれぞれ対応するヒト抗生物質テンプレートに接ぎ木し、対応するヒト化抗生物質を構築した。
【0138】
1. マウス抗体M23のヒト化
1.1 マウス抗体M23のヒト化フレームワークの選択
M23の人工化L鎖テンプレートはIGKV2-40*01とIGKJ4*01であり、人工重鎖テンプレートはIGHV1-69*02とIGHJ6*01である。ヒューマン化後の可変領域の配列は以下のとおりである(下線はCDR配列):
(SEQ No: 27) EVGSGSKGSKVSKESKVEVQGASQVSQLQRグラフト: (SEQ ID No: 27) EVGQWLEGMQETGVGTVH-CDRグラフト: (SEQ ID No: 27) EVGWLEGVMQETGVGTVH-CDRグラフト: (SEQ No: 27) EVGETGVMQVETVYCARERFSYGSYWYFDVGGTVSS。
(SEQ ID NO: 28) DIVMQSQSQSGSQSGSGSGFSGFSGFSGLGFTVLPVLSPQLSPQL-CDR グラフト: (SEQ ID NO: 28) DIVMFSGSGSFGSGFGSYVPYTFGGGTKVEIK。
1.2 マウス抗体M23のヒト化テンプレート選択および復帰突然変異デザイン
【0139】
マウス抗体M23ヒト化抗体の復帰突然変異
[表5]
【0140】
M23の人工抗生物質の光/重鎖可変領域配列は次のとおりである。
Hu23VL1(Hu23VL-CDRグラフトと同様): (SEQ ID NO: 28)
DIVMTQTPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHVPYTFGGGTKVEIK。
Hu23VL2 (SEQ ID NO: 29)
DGVMTQTPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHVPYTFGGGTKVEIK。
Hu23VH1(Hu23VH-CDRグラフトと同様): (SEQ ID NO: 27)
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSDYEMHWVRQAPGQGLEWMGLIDPETGGTVYNQKFKDRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARERFSYYGSTSDWYFDVWGQGTTVTVSS。
Hu23VH2 (SEQ ID NO: 30)
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSDYEMHWVRQAPGQGLEWMGLIDPETGGTVYNQKFKDRVTLTADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARERFSYYGSTSDWYFDVWGQGTTVTVSS。
Hu23VH3 (SEQ ID NO: 31)
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSDYEMHWVRQAPGQGLEWIGLIDPETGGTVYNQKFKDRTTLTADKSTSTAYMEFSSLRSEDTAVYYCARERFSYYGSTSDWYFDVWGQGTTVTVSS。
Hu23VH4 (SEQ ID NO: 32)
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGYTFSDYEMHWVRQAPGQGLEWIGLIDPETGGTVYNQKFKDRTTLTADKSTSTAYMEFSSLRSEDTAVYYCTRERFSYYGSTSDWYFDVWGQGTTVTVSS。
【0141】
1.3 マウス抗体M23のヒト化配列組み合わせ
下表は、M23の人間化により得られた抗生物質とそれらの可変領域の組合せを示したものである。
【0142】
[表6]
【0143】
上記の表において参照される抗体軽鎖/重鎖可変領域(例えば、Hu23-1)の組み合わせは、抗体/軽鎖定常領域とそれぞれ連結して全長抗体を形成することができ、本開示において別段の指定がない限り、軽鎖可変領域は、配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域と連結して抗体軽鎖を形成し、重鎖可変領域は、配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域または配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域と連結して抗体重鎖を形成し、抗体軽鎖/重鎖可変領域(例えば、Hu23-1)の組み合わせを参照する。表中の名称+接尾語「IgG4AA」は、IgG4-AA重鎖定常領域と連結して形成される全長抗体を意味し、接尾語「IgG4P」は、形成される全長抗体を意味する。 例えば、「Hu23-1.IgG4AA」とは、配列番号72に示すようにHu23VH1重鎖可変領域とIgG4-AA重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、配列番号73に示すようにHu23VL1軽鎖可変領域とカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結して形成される全長抗体を意味し、「Hu23-1.IgG4P」とは、配列番号79に示すようにHu23VH1重鎖可変領域とIgG4-P重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、配列番号73に示すようにHu23VL1軽鎖可変領域とカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結して形成される全長抗体を意味する。
【0144】
2. マウス抗体M32のヒト化
2.1 ネズミAbid M32の人間化フレームワークの選択
M32の人工化L鎖テンプレートはIGKV2-40*01とIGKJ4*01であり、人工重鎖テンプレートはIGHV1-69*02とIGHJ6*01である。ヒューマン化された可変領域の配列は次のとおりである(下線はCDR配列):
Hu32VH-CDR接ぎ木: (SEQ ID NO: 33) IGHV1-69*02、IGHJ6*01
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSDYEIHWVRQAPGQGLEWMGLFDPETGGIVYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGYNRDWYFDVWGQGTTVTVSS。
(SEQ No: 34) DIVMQSQSPGSQSGSQSINGSQGSGFSGFSGFTVLPVLPQL-CDR グラフト: (SEQ No: 34) DIVMGSQGSFSGFSGFGFGYVPYAFGGGTKVEIK。
【0145】
2.2 マウス抗体M32のヒト化テンプレート選択および復帰突然変異デザイン
【0146】
[表7]
注:グラフトとは、ヒトのゲルムラインFR領域配列に、ネズミ反応CDRが埋め込まれることを意味する。アミノ酸残基は、Kabat numbering systemによって測定・注釈される。例えば、I2Vは、Kabat numberingの2番目のIがKabat numbering systemに従ってVに戻されることを意味する。
M32のヒト化された抗生物質の軽鎖および重鎖可変領域配列は以下のとおりである。
Hu32VL1(Hu32VL-CDRグラフトと同様): (SEQ ID NO: 34)
DIVMTQTPLSLPVTPGEPASISCRSSQSIVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHVPYAFGGGTKVEIK。
Hu32VL2 (SEQ ID NO: 35)
DVVMTQTPLSLPVTPGEPASISCRSSQSIVHSNGNTYLEWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHVPYAFGGGTKVEIK。
Hu32VH1(Hu23VH-CDRグラフトと同様): (SEQ ID NO: 33)
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSDYEIHWVRQAPGQGLEWMGLFDPETGGIVYNQKFKGRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCAREGYNRDWYFDVWGQGTTVTVSS。
Hu32VH2 (SEQ ID NO: 36)
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGFTFSDYEIHWVRQAPGQGLEWMGLFDPETGGIVYNQKFKGRVTLTADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTREGYNRDWYFDVWGQGTTVTVSS。
Hu32VH3 (SEQ ID NO: 37)
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASDFTFSDYEIHWVRQAPGQGLEWMGLFDPETGGIVYNQKFKGRVTLTADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCTREGYNRDWYFDVWGQGTTVTVSS。
Hu32VH4 (SEQ ID NO: 38)
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGFTFSDYEIHWVRQAPGQGLEWIGLFDPETGGIVYNQKFKGRATLTADKSTSTAYMEFSSLRSEDTAVYYCTREGYNRDWYFDVWGQGTTVTVSS。
Hu32VH5 (SEQ ID NO: 39)
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASDFTFTDYEIHWVRQAPGQGLEWIGLFDPETGGIVYNQKFKGRATLTADKSTSTAYMEFSSLRSEDTAVYYCTREGYNRDWYFDVWGQGTTVTVSS。
Hu32VH6 (SEQ ID NO: 40)
EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASDFTFTDYEIHWVKQAPGHGLEWIGLFDPETGGIVYNQKFKGKATLTADKSTSTAYMEFSSLRSEDTAVYYCTREGYNRDWYFDVWGQGTTVTVSS。
【0147】
2.3 マウス抗体M32のヒト化配列組み合わせ
マウス抗体M32のヒト化によって得られる抗体およびその可変領域組み合わせ。
【0148】
ヒト化された抗原Hu32の光/重鎖可変領域の組み合わせ
[表8]
注:例えば、表中の「Hu32-1」は、Hu32VL1の抗体軽鎖可変領域およびHu32VH1の重鎖可変領域の組合せを有する抗体を指し、以下同様である。
【0149】
上記の表において参照される抗体軽鎖/重鎖可変領域(例えば、Hu32-1)の組合せは、抗体/軽鎖定常領域と連結して全長抗体を形成することができ、本開示において別段の指定がない限り、軽鎖可変領域は、配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域と連結して抗体軽鎖を形成し、重鎖可変領域は、配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域または配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域と連結して抗体重鎖を形成し、抗体/重鎖可変領域(例えば、Hu32-1)の組合せを参照する。表中の名称+接尾語「IgG4AA」は、IgG4-AA重鎖定常領域と連結して形成される全長抗体を意味し、接尾語「IgG4P」は、形成される全長抗体を意味する。 例えば、「Hu32-1.IgG4AA」とは、配列番号72に示すようにHu32VH1重鎖可変領域とIgG4-AA重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、配列番号73に示すようにHu32VL1軽鎖可変領域とカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結して形成される全長抗体を意味し、「Hu32-1.IgG4P」とは、配列番号79に示すようにHu32VH1重鎖可変領域とIgG4-P重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、配列番号73に示すようにHu32VL1軽鎖可変領域とカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結して形成される全長抗体を意味する。
【0150】
3. マウス抗体M33のヒト化
3.1 ネズミAbid M33の人間化フレームワークの選択
M33の人間化L鎖テンプレートはIGKV1-39*01とIGKJ4*01であり、人間化重鎖テンプレートはIGHV3-7とIGHJ6*01である。ヒューマン化された可変領域の配列は次のとおりである(下線はCDR配列):
Hu33VH-CDR接ぎ木(SEQ ID NO: 41):
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISGGGVDTYYQDNVQGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPYGHGYFDVWGQGTTVTVSS。
Hu33VL-CDR接ぎ木(SEQ ID NO: 42):
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINNFLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGNTLPWTFGGGTKVEIK。
【0151】
3.2 マウス抗体M33のヒト化テンプレート選択および復帰突然変異デザイン
【0152】
[表9]
注:グラフトとは、ヒトのゲルムラインFR領域配列に、ネズミ反応CDRが埋め込まれることを意味する。アミノ酸残基は、Kabat numbering systemによって測定され注釈が付けられる。例えば、F71Yは、Kabat numberingの71番目のFがKabat numbering systemに従ってYに戻されることを意味する。
殺人抗M33のヒト化抗生物質の軽鎖可変領域および重チェーン可変領域配列は、以下のとおりである。
Hu33VL1(Hu33VL-CDRグラフトと同様): (SEQ ID NO: 42)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINNFLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQGNTLPWTFGGGTKVEIK。
Hu33VL2 (SEQ ID NO: 43)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINNFLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQGNTLPWTFGGGTKVEIK。
Hu33VL3 (SEQ ID NO: 44)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINNFLNWYQQKPGGAVKLLIYYTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQGNTLPWTFGGGTKVEIK。
Hu33VH1(Hu33VH-CDRグラフトと同様): (SEQ ID NO: 41)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISGGGVDTYYQDNVQGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCARPYGHGYFDVWGQGTTVTVSS。
Hu33VH2 (SEQ ID NO: 45)
EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISGGGVDTYYQDNVQGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCASPYGHGYFDVWGQGTTVTVSS。
Hu33VH3 (SEQ ID NO: 46)
KVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISGGGVDTYYQDNVQGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCASPYGHGYFDVWGQGTTVTVSS。
【0153】
3.3 マウス抗体M33のヒト化配列組み合わせ
【0154】
[表10]
注:表中の「Hu33-6」とは、Hu33VL2の抗体軽鎖可変領域とHu33VH3の重鎖可変領域との組み合わせなどを示す抗体である。
上記の表に参照される抗体軽鎖/重鎖可変領域(例えば、Hu33-6)の組み合わせは、抗体/軽鎖定常領域とそれぞれ連結して全長抗体を形成することができ、本開示に別段の指定がない限り、軽鎖可変領域は、配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域と連結して抗体軽鎖を形成し、重鎖可変領域は、配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域または配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域と連結して抗体重鎖を形成し、表中の名前は、抗体/重鎖可変領域(例えば、Hu33-6)の組み合わせを参照する。I表+接尾語「gG4AA」は、IgG4-AA重鎖定常領域と連結して形成される全長抗体を意味し、接尾語「IgG4P」は、によって形成される全長抗体を意味する。 例えば、「Hu32-6.IgG4AA」は、配列番号72に示すようにHu33VH3重鎖可変領域とIgG4-AA重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、配列番号73に示すようにHu33VL2軽鎖可変領域とカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結して形成される全長抗体を意味し、「Hu33-6.IgG4P」は、配列番号79に示すようにHu33VH3重鎖可変領域とIgG4-P重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、配列番号73に示すようにHu33VL2軽鎖可変領域とカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結して形成される全長抗体を意味する。
【0155】
4. ヒト化抗体の突然変異体
4.1 Hu23ヒト化抗体の変異抗体
コンピュータ・シミュレーションを通して、Hu23人工抗原のL鎖LCDR1(SEQ ID NO: 11)の特定の場所におけるアミノ酸をサイト指向の突然変異にさらし、特定の突然変異を表11に示す。
【0156】
Hu23L鎖LCDR1の突然変異配列
[表11]
注: Hu23LCDR1(N28Q)とは、Hu23ヒト化抗体軽鎖可変領域Hu23VL1又はHu23VL2のKabat番号付け基準による28位のNがQに変異したLCDR1変異配列、Hu23LCDR1(G29A)とは、Hu23ヒト化抗体軽鎖可変領域Hu23VL1又はHu23VL2のKabat番号付け基準による29位のGがAに変異したLCDR1変異配列を意味する(CDRはKabat番号付けシステムにより決定される)。
【0157】
LCDR1の枝変わり後のHu23人為化された人為化された抗原軽鎖可変領域の配列は、以下のとおりである。
Hu23VL1(N28Q)の配列:VSPSQSQSQSPGSQLLPVSQLLQLLPVPGSFSDQFSGSGSFSGSGSGSGSFTFTKISVPYTFGGEIK (SEQ ID NO: 53)。
Hu23VL1(N28L)の配列:
VSPSQSQSPGSQLLPVSQLLQLLPVPGSPLYLEVGSFSDGSFSGSGSGSFTFTKISVFTFGGTGEIK (SEQ ID NO: 54)。
Hu23VL1(N28T)の配列:VSPSQSQSPGSQLLPVSPGSQLLLLPVPVPGSFSDGSGSFSGSGSGFSGSGFTFTKISVPYFGTGEIK (SEQ ID NO: 55) (SEQ ID NO: 55)
Hu23VL1(N28D)の配列:VSPSQSQSPGSQLLPVPGSQLLLPVPGSPLYLEGSQFSDGSFSGSGSFTKISVFTVPYTFGGTKVEIK (SEQ ID NO: 56)
Hu23VL1(G29A)の配列:VSPSQSQSQLPVSPGSQLLLPVPLYLEWHSVPGSFSDGSFSGSGSGSFTFTLKISVVGYCFGGTGEIK (SEQ ID NO: 57)
Hu23VL1(G29V)の配列:
VMSQSQSQLPVSPGSQLLPVPVLYLEVPGSFSGSFSDGSGSFTFTLKISVVGYCFGGTGEIK (SEQ ID NO: 58)
Hu23VL2(N28Q)の配列:VSPSQSQSQSPGSQLLPVPGSQLLLQVPGSPLYLEGSFSDGSGSFTKISVFTLKISVVGYCFGGTGEIK (SEQ ID NO: 59)
Hu23VL2(N28L)の配列:VSPSQSQSPGLGSQLLPVPVLLGSQLLLVPVPGSGSFSDGSGSGSFTFTLKISVVGYCFGGTGEIK (SEQ ID NO: 60)
Hu23VL2(N28T)の配列:VSPSQSQTPGTQLPVSQLLPVPGSQLLLVPGSFSDGSFSGSGSFSGSGSFTFTLKISVVGYTFGTGEIK (SEQ ID NO: 61)
Hu23VL2(N28D)の配列:VSPSQSQSQLPVSQLLPVPGSQLLLPVPGSFSDGSFSGSGSGSFTFTLKISVFTVPYTFGGEIK (SEQ ID NO: 62)
Hu23VL2(G29A)の配列:VSPSQTQSQLPVSQLPVSQLLPVPLYLEWHSQSPLYLEWGFSGSGSFSDGSFTFTKISVVYCFGGTGEIK (SEQ ID NO: 63)
Hu23VL2(G29V)の配列:VMSQSQLPVTVSQLPVSQLLPVPGSVPLYLEVPGSFSDGSFSGSGSGSFTFTLKISVVGYCFGGTGEIK (SEQ ID NO: 64)。
【0158】
Hu23人工抗菌の軽鎖と重鎖の可変領域の組み合わせ
[表12]
注:表中の「Hu23-11」とは、Hu23VL1(N28T)の抗体軽鎖可変領域とHu23VH1の重鎖可変領域の組み合わせなどを示す抗体である。
【0159】
上記の表に参照される抗体軽鎖/重鎖可変領域(例えば、Hu23-11)の組み合わせは、抗体/軽鎖定常領域とそれぞれ連結して全長抗体を形成することができ、本開示に別段の指定がない限り、軽鎖可変領域は、配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域と連結して抗体軽鎖を形成し、重鎖可変領域は、配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域または配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域と連結して抗体重鎖を形成し、表中の名前は、抗体/重鎖可変領域(例えば、Hu23-11)の組み合わせを参照する。表+接尾語「IgG4AA」は、IgG4-AA重鎖定常領域と連結して形成される全長抗体を意味し、接尾語「IgG4P」は、によって形成される全長抗体を意味する。 例えば、「Hu23-11.IgG4AA」とは、配列番号72に示すようにHu23VH1重鎖可変領域とIgG4-AA重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、配列番号73に示すようにHu23VL1(N28T)軽鎖可変領域とカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結して形成される全長抗体を意味し、「Hu23-11.IgG4P」とは、配列番号79に示すようにHu23VH1重鎖可変領域とIgG4-P重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、配列番号73に示すようにHu23VL1(N28T)軽鎖可変領域とカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結して形成される全長抗体を意味する。
【0160】
実験結果から、部位変異後、ヒト化抗体Hu23LCDR1(N28Q)、Hu23LCDR1(N28L)、Hu23LCDR1(N28T)、Hu23LCDR1(N28D)、Hu23LCDR1(G29A)及びHu23LCDR1(G29V)はいずれもPD-1への結合能を維持していた(表16)。
【0161】
4.2 Hu32ヒト化抗体の変異抗体
M23に由来する一連の人間化された抗毒素Hu23およびM32に由来する一連の人間化された抗毒素Hu32は、配列分析により高い配列同一性を持っていた。Hu23軽鎖可変領域とHu32重チェーン可変領域は、新しい軽チェーン可変領域結合に結合された。実験結果は、新しい光重鎖可変領域チェーン可変領域の組み合わせを含む人間化抗物質は、PD-1抗原への組み合わせ能力を維持することを示した(表16)。
【0162】
Hu32およびHu23抗体可変領域コンセンサス配列の一般式
[表13]
【0163】
Hu32重鎖可変領域とHu23軽鎖可変領域の組み合わせ
[表14]
(注)表中の「Hu32a-85」とは、Hu23VL1(N28T)及びHu32VH6の重鎖軽鎖可変領域である。
【0164】
上記の表に参照される抗体軽鎖/重鎖可変領域(例えば、Hu32a-85)の組み合わせは、抗体/軽鎖定常領域とそれぞれ連結して全長抗体を形成することができ、本開示に別段の指定がない限り、軽鎖可変領域は、配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域と連結して抗体軽鎖を形成し、重鎖可変領域は、配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域または配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域と連結して抗体重鎖を形成し、表中の名前は、抗体/重鎖可変領域(例えば、Hu32a-85)の組み合わせを参照する。表+接尾語「IgG4AA」は、IgG4-AA重鎖定常領域と連結して形成される全長抗体を意味し、接尾語「IgG4P」は、によって形成される全長抗体を意味する。 例えば、「Hu32a-85.IgG4AA」は、配列番号72に示すようにHu32VH6重鎖可変領域とIgG4-AA重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、配列番号73に示すようにHu23VL1(N28T)軽鎖可変領域とカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結して形成される全長抗体を意味し、「Hu32a-85.IgG4P」は、配列番号79に示すようにHu32VH6重鎖可変領域とIgG4-P重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、配列番号73に示すようにHu23VL1(N28T)軽鎖可変領域とカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結して形成される全長抗体を意味する。
【0165】
[表15]
Hu23の重鎖可変領域とHu32の軽鎖可変領域の組み合わせ
注:表中、例えば「Hu23a-57」は、Hu32VL1の抗体軽鎖可変領域およびHu23VH1の重鎖可変領域の組合せなどを有する抗体を指す。
【0166】
上記の表に参照される抗体軽鎖/重鎖可変領域(例えば、Hu23a~57)の組み合わせは、抗体/重鎖定常領域とそれぞれ連結して全長抗体を形成することができ、本開示に別段の指定がない限り、軽鎖可変領域は、配列番号73に示されるκ鎖定常領域と連結して抗体軽鎖を形成し、重鎖可変領域は、配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域または配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域と連結して抗体重鎖を形成し、表中の名前は、抗体/重鎖可変領域(例えば、Hu32a~85)の組み合わせを参照する。表+接尾語「IgG4AA」は、IgG4-AA重鎖定常領域と連結して形成される全長抗体を意味し、接尾語「IgG4P」によって形成される全長抗体を意味する。 例えば、「Hu23a-57.IgG4AA」は、配列番号72に示すようにHu23VH1重鎖可変領域とIgG4-AA重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、配列番号73に示すようにHu32VL1軽鎖可変領域とカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結して形成される全長抗体を意味し、「Hu23a-57.IgG4P」は、配列番号79に示すようにHu23VH1重鎖可変領域とIgG4-P重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、配列番号73に示すようにHu32VL1軽鎖可変領域とカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結して形成される全長抗体を意味する。
【0167】
5. ヒト化抗体のスクリーニング
Biacore(方法は試験例3を参照)により、様々な人工抗生物質の親和性検出を行い、その結果を表16に示した。その結果、異なるヒト化抗体はPD-1への結合能を維持し、ヒト化抗体の中にはマウス抗体に近い親和性を有するものもあることがわかった。
【0168】
[表16]
ヒトPD-1に対するHu23ヒト化抗体の親和性
【0169】
(実施例3)
PD-1ヒト化抗体の構築と式
各人工化されたVH/VK遺伝子断片はPCRを介して設計されたプライマーで構成され、その後、式ベクトルpHr (シグナルペプチドと一定領域遺伝子(CH1-Fc/CL)断片とのホモロゴ再結合により、ベクトルVH-CH1-Fc-pHr/VK-CL-pHrを式する全長の検体を構築するのに用いた。IgG4-PはS228P(SEQ ID NO: 72またはSEQ ID NO: 79のポジション108に対応)を表し、IgG4-AAはF234A(SEQ ID NO: 72またはSEQ ID NO: 79のポジション114に対応)、L235A(SEQ ID NO: 72またはSEQ ID NO: 79のポジション115に対応)、S228P(SEQ ID NO: 72またはSEQ ID NO: 79のポジション108に対応)を表す。IgG4-AAおよびIgG4-Pの抗たん形は、IgG4の抗たん形の単純な点突然変異によって得られる。
【0170】
IgG4-AA鎖定常領域の配列は次のとおりである(SEQ ID NO: 72): ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK。
抗菌L鎖(河童鎖)定常領域の配列は次のとおりである(SEQ ID NO: 73):RTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC。
構築されたIgG4AAは、フルレングス・アーミッド・配列から次のように例示されている。
Hu23-11.IgG4AA 重鎖(SEQ ID NO: 74): EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSDYEMHWVRQAPGQGLEWMGLIDPETGGTVYNQKFKDRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARERFSYYGSTSDWYFDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK。
Hu23-11.IgG4AAライトチェーン(SEQ ID NO: 75): DIVMTQTPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLVHSTGNTYLEWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHVPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC。
Hu32a-85.IgG4AA重鎖(SEQ ID NO: 76): EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASDFTFTDYEIHWVKQAPGHGLEWIGLFDPETGGIVYNQKFKGKATLTADKSTSTAYMEFSSLRSEDTAVYYCTREGYNRDWYFDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK。
Hu32a-85.IgG4AAライトチェーン(Hu23-11.IgG4AAライトチェーンと同様、SEQ ID NO: 75): DIVMTQTPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLVHSTGNTYLEWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHVPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC。
Hu33-6.IgG4AA重鎖(SEQ ID NO: 77): KVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISGGGVDTYYQDNVQGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCASPYGHGYFDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK。
Hu33-6.IgG4AAライトチェーン(SEQ ID NO: 78): DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINNFLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQGNTLPWTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC。
IgG4-P鎖定常領域の配列は次のとおりである(SEQ ID NO: 79): ASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK。
構築されたIgG4-形成フルレングス抗生物質の配列は次のように例示されている。
Hu23-11.IgG4P重鎖(SEQ ID NO: 80): EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASGGTFSDYEMHWVRQAPGQGLEWMGLIDPETGGTVYNQKFKDRVTITADKSTSTAYMELSSLRSEDTAVYYCARERFSYYGSTSDWYFDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK。
Hu23-11.IgG4Pライトチェーン(Hu23-11.IgG4AAライトチェーン、SEQ ID NO: 75と同様): DIVMTQTPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLVHSTGNTYLEWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHVPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC。
Hu32a-85.IgG4P重鎖(SEQ ID NO: 81): EVQLVQSGAEVKKPGSSVKVSCKASDFTFTDYEIHWVKQAPGHGLEWIGLFDPETGGIVYNQKFKGKATLTADKSTSTAYMEFSSLRSEDTAVYYCTREGYNRDWYFDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK。
Hu32a-85.IgG4Pライトチェーン(Hu23-11.IgG4AAライトチェーン、SEQ ID NO: 75と同様): DIVMTQTPLSLPVTPGEPASISCRSSQSLVHSTGNTYLEWYLQKPGQSPQLLIYKVSNRFSGVPDRFSGSGSGTDFTLKISRVEAEDVGVYYCFQGSHVPYTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC。
Hu33-6.IgG4P重鎖(SEQ ID NO: 82): KVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMSWVRQAPGKGLEWVATISGGGVDTYYQDNVQGRFTISRDNAKNSLYLQMNSLRAEDTAVYYCASPYGHGYFDVWGQGTTVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK。
Hu33-6.IgG4Pライトチェーン(Hu33-6.IgG4AAライトチェーンと同様、SEQ ID NO: 78): DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDINNFLNWYQQKPGKAPKLLIYYTSSLHSGVPSRFSGSGSGTDYTLTISSLQPEDFATYYCQQGNTLPWTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC。
【0171】
試験例
試験例1.PD-1配位子に結合し、in vitroで結合遮断する抗PD-1抗体のELISA実験
腫瘍細胞表面のPD-L1はT細胞表面のPD-1と結合し、T細胞の増殖を抑制する。PD-1 抗体はPD-1に結合することによってPD-L1/PD-1シグナル伝達経路を遮断することができ、それによってT細胞の増殖を刺激する。PD-1/PD-L1結合遮断実験を用いて、シグナル伝達経路に対する抗PD-1抗体の遮断活性を検出した。
【0172】
この実験では、96ウェルプレート上にPD-1-Hisタンパク質(Cat.# 10377H08H, Sino Biological)をコーティングした後、検査対象となる反PD-1抗毒素(Hu23-11.IgG4AA, Hu32a-85.IgG4AA, Hu33-6.IgG4AA, Positive Control acdy: H005-1 (WO2015085847, H005-1 acd in WO201508547))を別途追加し、反応をインキュベートした後、HRPラベルの山羊抗ヒトIgG (H+L)検出(Cat.#109-035-003, Jackson ImmunoResearch)プレートを洗浄した後、HRPラベルの山羊防ヒトIgG (H+L)の結合量を検出し、リガンドPD-1への抗PD-1結合のEC50値を計算した。
【0173】
この実験では、超細胞領域(PD-1-Fc、シークエンスについてはSEQ ID NO: 1)でFcと融合したPD-1タンパク質のコーティング後、96井戸プレート上で、試験される防PD-1抗毒素(Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AA、Hu33-6.IgG4AAA、ポジティブコントロールAmid:H005-1(WO2015085847のH005-1))を別々に追加し、インキュベートし、後にバイオチンラベルのPD-L1/PD-L2を追加し、インキュベートした。プレートを洗浄した後、抗体ティンラベルのPD-L1/PD-L2の結合量を検出し、リガンドのPD-L1/PD-L2への結合を阻止するための防PD-1のIC50値を計算した。
【0174】
CB緩衝液pH 9.6(1.59g Na2 CO3と2.93g NaHCO3を1L蒸留水に溶かした)を、PD-1-Fcを1mmに希釈するのに用い、これを96ウェルプレートに100mmul/wellの体積で加え、16 h-20 hの間、4℃で放置した。96ウェルプレートからPBS緩衝剤を吸引し、プレートをPBST (pH 7.4 PBS、0.05%の間20)緩衝剤で1回洗浄した。120 ミュール/ウェルBST/1%ミルクを加え、室温で1時間、ブロッキングのためにインキュベートした。ブロック液を取り除き、一度PBST緩衝液で洗浄した。90 試料液(5% BSA、0.05% Tween20を含むpH 7.4 PBS)で適当な濃度に希釈するために試験されるマイクロル防PD-1抗菌を加え、4℃で1時間前にインキュベートした。10× ビオティンラベルのPD-L1/PD-L2(北京中国生物標識)(10mm/ml)の濃度を10mm/wellの体積で加え、シェーカーで揺らし、よく混ぜ、37℃で1時間インキュベートした。反応系を取り除き、プレートをPBSTで6回洗浄した。100 PBST緩衝液で希釈したミュール/ウェルストレプタビジン‐ペルオキシダーゼポリマー1:400を加え、室温で50分間振りながらインキュベートした。プレートをPBSTで6回洗浄した。100 ミュール/ウェルTMBを加え、室温で5~10分間インキュベートし、100ミュール/ウェル1 M H2 SO4を加えて反応を停止させた。マイクロプレートリーダを用いて450nmの吸光度値を読み取り、PD-L1/PD-L2へのリガンドの結合を阻止するために、防PD-1のIC50値を計算した。データの詳細を下の表17に示す。
【0175】
[表17]
PD-1に結合し、PD-L1/PD-L2へのリガンドの結合をブロックする本開示の抗PD-1抗体のELISA
【0176】
本開示の例示的な防PD-1抗毒素Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AAおよびHu33-6.IgG4AAは、すべてPD-1とPD-L1/PD-L2との結合を効果的に遮断することができ、それらの遮断作用はポジティブコントロールの抗菌作用と類似している。
【0177】
試験例2.例示的抗体の配位子遮断試験
PD-1およびPD-L1の結合に対する抗物質の遮断効果を検討した。実験過程を簡単に説明すると次のようになる。
CHOK1/PD-L1細胞(Promega)を消化し、100マイクロリットル/ウェルで96ウェルプレートに加え、24時間のインキュベーターのために37℃、5% CO
2インキュベーターに置いた。制御と試料はPBSを用いて希望の濃度に希釈した。Jurkat/PD-1細胞(Jurkat/PD-1細胞)を、CHOK1/PD-L1細胞を用いたセルカルチャープレートに一定割合(90mmull/well)でカウント・シードし、10mmull/well希釈した液体(液体: Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AA、Hu33-6.IgG4AAA)を、陽性対照: H005-1、陰性対照: IgG4 たんぱく質、液体傾き希釈:0.3mm/ml、3mm/ml、30mm/ml)を加え、37℃、5% CO
2インキュベーターに5時間置いた。セルカルチャー板を取り出し、室温で5分間置いた。その後、各ウェルに50マイクロバイオ-Glo
TM試薬を加え、板を読む前に室温で5分間インキュベートした。
図1に実験結果を示す。
【0178】
結果は、本開示における模範的な反PD-1抗性Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AAおよびHu33-6.IgG4AAが、PD-1およびPD-L1の結合を効果的にブロックできることを示した。
【0179】
試験例3.模範的な抗生物質のBIAcore親和性実験
IgGは、タンパク質Aバイオセンサチップ(Cat. # 29127556, GE)を用いて捕捉された親和性であった。ヒトPD-1抗原(Cat.# 10377H08H, Sino Biological)とCyno PD-1抗原(Sino Biologicalから購入)がチップの表面を横切って流れ、Biacore T200器具によるPD-1 AbiconとArgin PD-1 reaction信号のリアルタイム検出によりバインディングおよび解離曲線を得た。実験周期の分離が完了した後、バイオセンサチップを洗浄し、10mMグリシン-HCl pH 1.5緩衝液で再生した。実験例緩衝系は1×HBS‐EP緩衝溶液(Cat# BR-1001‐88, GE)であった。実験後、GE Biacore T200 Evaluation version 3.0ソフトウェアを用いて、(1:1) Langmuirモデルとデータを適合させ、親和性値を得た。結果を表18に示す。
【0180】
[表18]
抗PD-1抗体のヒトPD1及びサルPD-1に対する親和性
【0181】
その結果、本開示の典型的な反PD-1抗毒素Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AAおよびHu33-6.IgG4AAは、すべてヒトPD-1およびシミアンPD-1に結合することができることが示された。
【0182】
試験例4.PBMC-Tリンパ球活性化実験における細胞のIFNγ分泌に及ぼす抗体の影響
ヒト初代Tリンパ球の機能に及ぼす抗PD‐1抗体の影響を検討するため、ヒト末梢血単核球(PBMC)を採取・精製し、ツベルクリン(TB)で5日間刺激し、サイトカインIFNγの分泌レベルを検出した。実験過程を簡単に説明すると次のようになる。
PBMCは、RPMI 1640(SH30809.01、GE)で栽培され、10% (v/v) FBS (10099-141、Gibco)を37℃および5% CO2で補給した密度傾き遠心分離(Stem Cell Technologies)のために、Ficol-Hypaque (17-5442-02、GE)を用いて、新鮮な血から得られた。
【0183】
新しく分離・精製したPBMCをRPMI 1640媒体で2×106 細胞/mlの密度に調整した。40 チューベルクリン(97-8800、シンビオティックス)を20mlの電池懸濁に加え、37℃、5%のCO2インキュベーターで5日間栽培した。5日目に、上記培養細胞を遠心分離により採取し、新鮮なRPMI 1640培地に再懸濁し、1.1×106細胞/mlの密度に調整し、96ウェル細胞培養プレートに90μl/ウェルで播種した。同時に、試料(Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AA、Hu33-6.IgG4AA、ポジティブコントロールAdropment H005-1、陰性対照IgG4 たんぱく質、Adropine gradient dilution 0.3mm/ml、3mm/ml、30mm/ml)をPBS (B320、Shanghai BasalMedia Technologies Co., Ltd.)で希釈した傾き、10mm/wellを追加した。細胞培養プレートを37℃、5% CO2インキュベーターに入れ、3日間インキュベーションした。細胞培養上澄みプレートを取り出し、細胞培養上澄み上生剤を遠心分離(4000rpm、10分)により採集した。ELISA法(ヒトIFN‐im検出キット(EHC102g.96, Neobioscience))を用いてIFN‐imレベルを検出した。具体的な作業については、各試薬の説明を参照した。
【0184】
図2に試験結果を示した。結果は、本開示の防PD-1抗性Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AAおよびHu33-6.IgG4AAが、すべてIFN-ikeを有効に活性化できることを示した。
【0185】
試験例5.トランスジェニックPD-1マウスの結腸がんモデルMC38に対する抗PD-1抗体の効果
MC38電池を、5×105電池/マウス/100マイクロルで、右リブの皮下に90 hPD-1 TGマウス(バイオサイトゲン)に接種した。10日後、腫瘍が大きすぎるか小さすぎる動物は除外した。約120mmの3の平均しゅう出体積に基づき、マウスをランダムに分類した。ブランク制御車両(PBS)、陽性対照、合計7群、各8頭である。各群の抗体は、0日目から週3回腹腔内に注射した。投与1週目以降、腫瘍は有意に阻害されることがわかった。2週目及び3週目は週1回、計5回の投与になるよう投与頻度を調節した。腫瘍体積と動物の体重を週間モニターし、データを記録した。腫瘍体積が2000mm 3を超えた場合、またはほとんどの腫瘍が潰瘍化したように見えた場合、または体重が20%減少した場合、腫瘍ベアリングを実験例エンドポイントとして安楽死させた。
TUMOR(TV) =1/2×Llong × Lshort
2
T/C%=(T-T0)/ (C-C0)×100%
【0186】
TGI%は1T/C %で、Tumor growth inhibition rate (TGI%)であった。
【0187】
一方、T及びT0はそれぞれ抗体投与群における試験終了時及び試験開始時の腫瘍体積を表し、C及びC0はそれぞれブランク試験対照群における試験終了時及び試験開始時の腫瘍体積を表す。
【0188】
試験結果は表19と
図3に示されているが、試験結果は、ブランク・コントロールと比較して、今回の開示の抗生物質は、いずれもマウス・結腸がんMC38のxenograft・がんの成長を著しく阻害することを示している。このうちHu32a-85.IgG4AA-3 mpk群が最も腫瘍抑制率が高く、最終測定時の腫瘍抑制率は77.64%であった。投与回数を週3回、3回投与した場合、7日目の測定では、本開示の抗体の腫瘍抑制率は全て陽性対照抗体H005-1よりも有意に良好であった。その後、2回投与後(21日目)、本開示の抗体の有効性の差は徐々に増加し、用量依存的に示され、そのうちHu32a-85.IgG4AAは同一用量有意に良好であった(p <0.05)。また、腫瘍ベアリングマウスはすべての抗PD-1抗体に良好な忍容性を示すことができ、全投与処理で体重は着実に上昇し、明らかな薬剤性重量減少等は発現しなかった。
【0189】
[表19]
マウスコロンガンMC38(mm3)の発育抑制率に及ぼす抗PD‐1抗生物質の影響
【0190】
試験例6.トランスジェニックPD-1マウスの結腸がんモデルMC38に対する抗PD-1抗体の効果
トランスジェニックPD-1マウスは、イギリスのISIS INNOVATION LIMITED, University Offices, Wellington Square, Oxford OX1 2JDから購入され、第5世代のマウスを得るためにCephrim Biosciences, Inc.で育成された。MC38電池を、5×105電池/動物100mmullで、右下肢の皮下にあるhPD-1トランスジェニックマウス(半分の雌と半分の雄型)に接種した。マウスの平均体積が80~100 mm3に達したとき、体重が大きすぎる、または小さすぎる、または、腫瘍のある動物は除外された。腫瘍体積に従って、腫瘍-ベアリングマウスを無作為に5群(それぞれ8匹ずつ)に分けた。陰性対照hIgG対照30 mpk、H005-1 10 mpk、H005-1 30 mpk、Hu33-6.IgG4AA 10 mpkおよびHu33-6.IgG4AA 30 mpk。グループ化および投与日はDay 0 に設定された。グループ分けの後、各々の薬物を時間内で22日間、2日に1回、計11回摂取した。週2回、時間量を測定し、体重を測定し、データを記録した。各グループの動物体重としゅうたん体積を平均@標準偏差(Mean@SEM)として示し、グラフ作成にはGraphpad Prism 5とExcelソフトウェアを使用し、統計分析には生徒t試験を使用した。
TUMOR(TV) =0.5236×Llong × Lshort
2
T/C% = (T-T0)/ (C-C0)×100%
Tumor growth inhibition rate %TGI = 1T/C %
【0191】
一方、T及びT0はそれぞれ抗体投与群における試験終了時及び試験開始時の腫瘍体積を表し、C及びC0はそれぞれブランク試験対照群における試験終了時及び試験開始時の腫瘍体積を表す。
【0192】
試験結果は表20及び
図4に示すが、試験結果は、対照群と比較して、今回の開示の抗生物質が、マウスコロンガンMC38の外国人移植腫瘍の成長を著しく阻害する可能性があることを示した。そのうち、Hu33-6.IgG4AA-30 mpk群は腫瘍抑制率が最も高く、20日目の腫瘍抑制率は80.4%である。低用量群(10 mpk)では、Hu33-6.IgG4AA-10 mpkの有効性は陽性対照H005-1-10 mpkよりも良好である。
【0193】
[表20]
マウス結腸癌MC38の腫瘍体積に及ぼす抗PD-1抗体の影響
注:表中の各群の平均腫よう体積の単位はmm3である。
【0194】
試験例7.カニクイザルにおける抗PD-1抗体の薬物動態試験
実験に使用したカニクイザルは、広東フロンティアバイオテクノロジー(株)から購入した2~5歳、2~5kgの雄6匹で、ライセンス番号: SCXK (広東)2015-0037、動物証明書番号: 44613900000219であった。
【0195】
ハウジング環境:室温は18℃~26℃、相対湿度は40%~70%、照明は明暗交互に12時間であった。断食が必要な場合を除き、マウスは食品や水を自由に入手することができた。
【0196】
投与前に体重を測定し、体重は2.81~3.52kgであった。投与は、前肢又は後肢の皮下静注用インジェクションポンプを用いて行った。各群の投与量はいずれも1mg/kg (1 mpk)とし、0.1mL/kg/minの速度で単回静脈内投与し、投与期間は約30分間とした。投与前および5分、0.25時間、0.5時間(投与終了直後)、静脈内注入開始1時間、2時間、4時間、8時間、1日、2日、3日、4日、5日、7日、10日、13日、14日、21日および28日後に、動物の全血を後肢静脈に採取し、血清を分離した。このうち、約2mLの全血を投与前と静注開始後14 d、21 d及び28 dに採取し、残りの採血時点で約1mLの全血を採取した。血清中の血中薬物濃度はELISA法により検出し、PK分析を行った。結果を表21に示す。
【0197】
[表21]
カニクイザルにおけるヒト化抗PD1抗体の体内動態
【0198】
その結果、Hu23‐11.IgG4AAおよびHu33‐6.IgG4AAは良好な薬物動態活性を有することが示された。
【0199】
明確な理解のために、上述の発明は、図面及び実施例を助けて詳細に説明されたが、本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではない。この記事に引用されている全ての特許及び科学文献の開示は、引用によって完全かつ明確に組み込まれている。
【配列表】
【誤訳訂正書】
【提出日】2022-02-07
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バイオテクノロジーの分野に属する。より具体的には、本開示は、抗PD-1抗体およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書の記載は、本発明に関連する背景情報を提供するだけであり、必ずしも先行技術を構成するものではない。
【0003】
腫瘍免疫療法は、腫瘍患者のキラーT細胞を十分に活用および動員して、腫瘍を殺傷する処置方法である。同時に、腫瘍細胞の回避は、腫瘍免疫療法にとって大きな障害である。腫瘍細胞は、免疫系に対する独自の抑制効果を利用して、腫瘍の急速な成長を促進する。腫瘍の免疫回避メカニズムと腫瘍に対する体の免疫応答との間には、非常に複雑な関係がある。腫瘍免疫療法の初期段階では、腫瘍特異的キラーT細胞は生物学的活性を有するが、腫瘍が成長するにつれて、後期段階で殺傷機能を失う。
【0004】
人体におけるT細胞の活性化は、2つのシグナル伝達経路システムを採用している。抗原提示細胞によるMHC-抗原ペプチドの提示によってT細胞に提供される最初のシグナルに加えて、一連の共刺激分子によって提供される第二のシグナルも、T細胞が正常な免疫応答を生成できるようにするために必要である。この二重シグナル伝達経路システムは、体内の免疫系のバランスにおいて重要な役割を果たしている。それは、自己抗原および非自己抗原に対する体の異なる免疫応答を厳密に調節する。共刺激分子によって提供される第2のシグナルが存在しない場合、T細胞の非応答または持続的な特異的免疫応答を引き起こし、したがって免疫寛容(tolerance)をもたらす。したがって、第2のシグナル伝達経路は、体の免疫応答の全過程において非常に重要な調節的役割を果たしている。
【0005】
Programmed death-l(PD-l)は、1992年に発見されたT細胞の表面に発現するタンパク質受容体であり、細胞アポトーシスの過程に関与している。PD-lはCD28ファミリーに属する。PD-lは細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)と23%のアミノ酸相同性を有するが、その発現はCTLAの発現とは異なり、主に活性化T細胞、B細胞および骨髄細胞に発現している。PD-1には、PD-L1とPD-L2という2つのリガンドがある。PD‐L1は主にT細胞、B細胞、マクロファージおよび樹状細胞(DC)で発現し、細胞での発現は活性化された後にアップレギュレーションされ得る。PD-L2の発現は比較的制限されており、主に活性化されたマクロファージや樹状細胞などの抗原提示細胞で発現している。
【0006】
PD-L1は、PD-1およびB7-1に結合することによって免疫系を阻害する。腫瘍組織微小環境の多くの腫瘍細胞および免疫細胞はPD-L1を発現する。新しい研究により、PD-L1タンパク質の高発現が、乳癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、胃癌、腸癌、腎臓癌、黒色腫、結腸癌、膀胱癌、卵巣癌、膵臓癌および肝臓癌ならびにその他のヒト腫瘍組織で検出され、PD-L1の発現レベルが患者の臨床症状および予後と密接に関連していることが明らかになった。
【0007】
抗PD-1モノクローナル抗体は、PD-L1/PD-1の結合を遮断することにより、腫瘍に対する患者自身の免疫系の反応を最大限に高めることができ、腫瘍細胞を殺傷するという目的を達成する。現在、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(Merckキイトルーダ、キイトルーダ、Merck-Pemb、Merck-キイトルーダ、Merck-PD-1、ペムブロリズマブとしても知られる)およびノビルマブ(BMSオプジーボ、オプジーボ、BMS-ニボルマブ、ノビルマブとしても知られる)が、黒色腫、ホジキンリンパ腫患者、非小細胞肺癌およびその他の腫瘍の処置用に米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている。さらに、WO200139722、WO2006121168、WO2010036959、WO2010089411、WO2011110604、WO2013173223、WO2013181634、US2014335093、US6803192B1、US8617546B2、WO2015085847などの特許文献も、さまざまな抗PD-1モノクローナル抗体を開示している。
【発明の概要】
【0008】
本開示は、新規な抗PD-1抗体、その抗原結合フラグメント、およびそれらの医学的使用を提供する。
【0009】
いくつかの代替の実施形態では、本開示は、以下のi)~iii)のいずれか1つから選択される、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
i)抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、その重鎖可変領域は、配列番号8に示されるか配列番号8に対して最大で3、2または1個のアミノ酸変異を有するHCDR1、配列番号9に示されるか配列番号9に対して最大で3、2または1個のアミノ酸変異を有するHCDR2、および配列番号10に示されるか配列番号10に対して最大で8、3、2または1個のアミノ酸変異を有するHCDR3を含み、その軽鎖可変領域は、配列番号11に示されるか配列番号11に対して最大で4、3、2または1個のアミノ酸変異を有するLCDR1、配列番号12に示されるか配列番号12に対して最大で3、2または1個のアミノ酸変異を有するLCDR2、および配列番号13に示されるか配列番号13に対して最大で3、2または1個のアミノ酸変異を有するLCDR3を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント;
ii)抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、その重鎖可変領域は、配列番号14に示されるか配列番号14に対して最大で3、2または1個のアミノ酸変異を有するHCDR1、配列番号15に示されるか配列番号15に対して最大で3、2または1個のアミノ酸変異を有するHCDR2、および配列番号16に示されるか配列番号16に対して最大で8、3、2または1個のアミノ酸変異を有するHCDR3を含み、その軽鎖可変領域は、配列番号17に示されるか配列番号17に対して最大で4、3、2または1個のアミノ酸変異を有するLCDR1、配列番号12に示されるか配列番号12に対して最大で3、2または1個のアミノ酸変異を有するLCDR2、および配列番号18に示されるか配列番号18に対して最大で3、2または1個のアミノ酸変異を有するLCDR3を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント;および
iii)抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、その重鎖可変領域は、配列番号21に示されるか配列番号21に対して最大で3、2または1個のアミノ酸変異を有するHCDR1、配列番号22に示されるか配列番号22に対して最大で3、2または1個のアミノ酸変異を有するHCDR2、および配列番号23に示されるか配列番号23に対して最大で3、2または1個のアミノ酸変異を有するHCDR3を含み、その軽鎖可変領域は、配列番号24に示されるか配列番号24に対して最大で3、2または1個のアミノ酸変異を有するLCDR1、配列番号25に示されるか配列番号25に対して最大で3、2または1個のアミノ酸変異を有するLCDR2、および配列番号26に示されるか配列番号26に対して最大で3、2または1個のアミノ酸変異を有するLCDR3を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
【0010】
いくつかの実施形態では、本開示の前述の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、10-7M以下の解離平衡定数でヒトPD-1に結合する。いくつかの実施形態では、それは、10-8M、10-9M、10-10Mまたは10-11M以下の解離平衡定数でヒトPD-1に結合する。
【0011】
いくつかの代替の実施形態では、本開示は、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、その重鎖可変領域は、配列番号65に示されるHCDR1、配列番号66に示されるHCDR2、および配列番号67に示されるHCDR3を含み、その軽鎖可変領域は、配列番号68に示されるLCDR1、配列番号12に示されるLCDR2、および配列番号69に示されるLCDR3を含み、それらの配列は以下の表1に示される、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する:
【0012】
【0013】
いくつかの代替の実施形態では、前述の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントにおいて、前記重鎖可変領域は、配列番号8に示されるHCDR1、配列番号9に示されるHCDR2、および配列番号10に示されるHCDR3を含み、かつ前記軽鎖可変領域は、配列番号12に示されるLCDR2、配列番号13に示されるLCDR3、および一般式RSSQSX13VHSX14X15X16TYLE(配列番号68)に示されるLCDR1を含み、式中、X13はLであり、X14はN、Q、L、TおよびDからなる群から選択され、X15はG、AおよびVからなる群から選択され、X16はNである。
【0014】
いくつかの代替の実施形態では、前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、以下の(a)~(e)のいずれか1つから選択される:
(a)配列番号8、配列番号9および配列番号10にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、ならびに配列番号12および配列番号13にそれぞれ示されるLCDR2およびLCDR3、ならびに配列番号11、47、48、49、50、51または52に示されるLCDR1を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント;
(b)配列番号14、配列番号15および配列番号16にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、ならびに配列番号17、配列番号12および配列番号18にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント;
(c)配列番号21、配列番号22および配列番号23にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、ならびに配列番号24、配列番号25および配列番号26にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント;
(d)配列番号14、配列番号15および配列番号16にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、ならびに配列番号12および配列番号13にそれぞれ示されるLCDR2およびLCDR3、ならびに配列番号11、47、48、49、50、51または52に示されるLCDR1を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント;および
(e)配列番号8、配列番号9および配列番号10にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、ならびに配列番号17、配列番号12および配列番号18にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域は、配列番号8、配列番号9および配列番号10にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含み、当該軽鎖可変領域は、配列番号49、配列番号12および配列番号13にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、当該重鎖可変領域は、配列番号21、配列番号22および配列番号23にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含み、当該軽鎖可変領域は、配列番号24、配列番号25および配列番号26にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む。
【0017】
いくつかの代替の実施形態では、本開示は、以下のiv)~vi)のいずれか1つから選択される、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する:
iv)抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、その重鎖可変領域は、配列番号4の配列に示される重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2およびHCDR3と同じ配列を有するHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含み、その軽鎖可変領域は、配列番号5の配列に示される軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2およびLCDR3と同じ配列を有するLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント;
v)抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、その重鎖可変領域は、配列番号6の配列に示される重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2およびHCDR3と同じ配列を有するHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含み、その軽鎖可変領域は、配列番号7の配列に示される軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2およびLCDR3と同じ配列を有するLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント;および
vi)抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、その重鎖可変領域は、配列番号19の配列に示される重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2およびHCDR3と同じ配列を有するHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含み、その軽鎖可変領域は、配列番号20の配列に示される軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2およびLCDR3と同じ配列を有するLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
【0018】
前述の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのいくつかの実施形態では、前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、マウス抗体もしくはその抗原結合フラグメント、キメラ抗体もしくはその抗原結合フラグメント、完全ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはヒト化抗体もしくはその抗原結合フラグメントである。
【0019】
前述の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのいくつかの実施形態では、前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒト化抗体またはその抗原結合フラグメントである。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記ヒト化抗体は、ヒト抗体に由来するフレームワーク領域またはそのフレームワーク領域バリアントを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記フレームワーク領域バリアントは、ヒト抗体の前記軽鎖フレームワーク領域および/または前記重鎖フレームワーク領域のそれぞれに最大11個のアミノ酸復帰変異を有する。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記フレームワーク領域バリアントは、以下の(f)~(h)のいずれか1つから選択される変異を含む:
(f)前記軽鎖可変領域に含まれる2Gアミノ酸復帰変異、および/または、前記重鎖可変領域に含まれる27Y、48I、67T、69L、82Fおよび93Tからなる群から選択される1個以上のアミノ酸復帰変異;
(g)前記軽鎖可変領域に含まれる2Vアミノ酸復帰変異、および/または、前記重鎖可変領域に含まれる26D、27F、30T、38K、43H、48I、66K、67A、69L、82Fおよび93Tからなる群から選択される1個以上のアミノ酸復帰変異;および
(h)前記軽鎖可変領域に含まれる42G、44Vおよび71Yからなる群から選択される1個以上のアミノ酸復帰変異、および/または、前記重鎖可変領域に含まれる1Kおよび/または94Sアミノ酸復帰変異。
【0023】
前述の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのいくつかの実施形態では、前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、以下からなる群から選択される抗体可変領域を含む:
(a2)配列番号8、配列番号9および配列番号10にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、ならびに前記重鎖フレームワーク領域に含まれる27Y、48I、67T、69L、82Fおよび93Tのうちの1個以上のアミノ酸復帰変異を含む、重鎖可変領域と、
配列番号12および配列番号13にそれぞれ示されるLCDR2およびLCDR3、ならびに配列番号11、47、48、49、50、51または52に示されるLCDR1、ならびに前記軽鎖フレームワーク領域に含まれる2Gアミノ酸復帰変異を含む、軽鎖可変領域;
(b2)配列番号14、配列番号15および配列番号16にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、ならびに前記重鎖可変領域に含まれる26D、27F、30T、38K、43H、48I、66K、67A、69L、82Fおよび93Tから選択される1個以上のアミノ酸復帰変異を含む、重鎖可変領域と、
配列番号17、配列番号12および配列番号18にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3、ならびに前記軽鎖フレームワーク領域に含まれる2Vアミノ酸復帰変異を含む、軽鎖可変領域;
(c2)配列番号21、配列番号22および配列番号23にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3、ならびに前記重鎖フレームワーク領域に含まれる1Kおよび/または94Sアミノ酸復帰変異を含む、重鎖可変領域と、
配列番号24、配列番号25および配列番号26にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3、ならびに前記軽鎖フレームワーク領域に含まれる42G、44Vおよび71Yから選択される1個以上のアミノ酸復帰変異を含む、軽鎖可変領域。
【0024】
前述の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのいくつかの実施形態では、前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、以下の(i)~(o)のいずれか1つから選択される抗体可変領域を含む:
(i)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号4に示されるとおりであるか、または配列番号4と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号5に示されるとおりであるか、または配列番号5と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;
(j)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号6に示されるとおりであるか、または配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号7に示されるとおりであるか、または配列番号7と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;
(k)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号19に示されるとおりであるか、または配列番号19と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号20に示されるとおりであるか、または配列番号20と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;
(l)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号27、30、31もしくは32に示されるとおりであるか、または配列番号27、30、31もしくは32とそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号28、29、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64に示されるとおりであるか、または配列番号28、29、34、35、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64とそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;
(m)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号33、36、37、38、39もしくは40に示されるとおりであるか、または配列番号33、36、37、38、39もしくは40とそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号34、35、28、29、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64に示されるとおりであるか、または配列番号34、35、28、29、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64とそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;
(n)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号41、45もしくは46に示されるとおりであるか、または配列番号41、45もしくは46とそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号42、43もしくは44に示されるとおりであるか、または配列番号42、43もしくは44とそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;
(o)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号70に示されるとおりであるか、または配列番号70と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号71に示されるとおりであるか、または配列番号71と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;および
(p)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号27、30、31もしくは32に示されるとおりであるか、または配列番号27、30、31もしくは32とそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号34もしくは35に示されるとおりであるか、または配列番号34もしくは35とそれぞれ少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;
ここで、配列番号70および配列番号71の配列は、表2に示される一般式の配列で表される。
【0025】
【0026】
いくつかの実施形態では、前記抗PD-1抗体の前記重鎖可変領域は、配列番号27に示されるとおりであるか、または配列番号27と少なくとも90%の同一性を有し、前記抗PD-1抗体の前記軽鎖可変領域の配列は、配列番号55に示されるとおりであるか、または配列番号55と少なくとも90%の配列同一性を有する。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記抗PD-1抗体の前記重鎖可変領域は、配列番号46に示されるとおりであるか、または配列番号46と少なくとも90%の同一性を有し、前記抗PD-1抗体の前記軽鎖可変領域の配列は、配列番号43に示されるとおりであるか、または配列番号43と少なくとも90%の配列同一性を有する。
【0028】
前述の「少なくとも90%の同一性」には、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の同一性が含まれる。
【0029】
前述の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのいくつかの他の実施形態では、前記抗体は抗体定常領域をさらに含む;いくつかの他の実施形態では、前記抗体定常領域の前記重鎖定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4定常領域ならびにそれらの従来のバリアントからなる群から選択され、前記抗体定常領域の前記軽鎖定常領域は、ヒト抗体κおよびλ鎖定常領域ならびにそれらの従来のバリアントからなる群から選択される;いくつかの他の実施形態では、前記抗体定常領域は、S228P、F234AおよびL235Aのうちの1つ以上の変異が導入されるIgG4重鎖定常領域を含み、例えば、S228P、F234AおよびL235Aの3つのアミノ酸変異を有するIgG4重鎖定常領域を含む;いくつかの他の実施形態では、前記抗体は、配列番号72または79に示される重鎖定常領域、および配列番号73に示される軽鎖定常領域を含む。
【0030】
前述の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのいくつかの実施形態では、前記抗PD-1抗体は、配列番号78に示される軽鎖および配列番号77もしくは82に示される重鎖を含むか、または前記抗PD-1抗体は、配列番号75に示される軽鎖および配列番号74、76、80もしくは81に示される重鎖を含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記抗PD-1抗体は、
配列番号74に示される重鎖および配列番号75に示される軽鎖、または
配列番号77に示される重鎖および配列番号78に示される軽鎖
を含む。
【0032】
いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前記抗体は、前述の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのいずれか1つと競合的にヒトPD-1に結合するまたは同じヒトPD-1エピトープに結合する、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントを提供する。
【0033】
前述の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのいくつかの実施形態では、前記抗体は、二重特異性抗体または多重特異性抗体である。
【0034】
前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントのいくつかの実施形態では、前記抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)2、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(ダイアボディ)およびジスルフィド結合安定化V領域(dsFv)からなる群から選択される。
【0035】
いくつかの実施形態では、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前記抗体は、前述のいずれか1つに記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと競合的にヒトPD-1に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントが開示される。
【0036】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、治療有効量の前述のいずれか1つに記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは治療有効量の前述の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントと、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、緩衝液または賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、前述の治療有効量とは、0.1~3000mgの前記抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントを含む組成物の単位用量を指す。
【0037】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、前述のいずれか1つに記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードするか、または前述の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする、核酸分子を提供する。
【0038】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、前述の核酸分子を含む宿主細胞を提供する。
【0039】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、前述のいずれか1つに記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメントを使用するステップ、または前述の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントを使用するステップを含む、PD-1の免疫検出または決定のための方法を提供する。
【0040】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、前述の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは前述の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む、キットを提供する。
【0041】
いくつかの実施形態では、PD-1関連疾患の診断用薬剤を調製する際の前述の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントの使用が提供される。
【0042】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、治療有効量の前述のいずれか1つに記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または前述の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または前述の医薬組成物、または前述の核酸分子を対象に投与することを含む、疾患を処置するための方法を提供する。
【0043】
いくつかの実施形態では、前記疾患は腫瘍である。
【0044】
いくつかの他の実施形態では、前記疾患は、頭頸部扁平上皮癌(head and neck squamous cell carcinoma)、頭頸部癌、脳腫瘍、神経膠腫、多形性膠芽腫、神経芽細胞腫、中枢神経系癌、神経内分泌腫瘍、咽頭癌、鼻咽頭癌、食道癌、甲状腺癌、悪性胸膜中皮腫、肺癌、乳癌、肝臓癌、ヘパトーマ(hepatoma)、肝細胞癌、肝胆道癌、膵臓癌、胃癌、胃腸癌、腸癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、淡明細胞型腎細胞癌、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌、皮膚癌、黒色腫、白血病、リンパ腫、骨肉腫、軟骨肉腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性腫瘍、扁平上皮癌、ユーイング肉腫、全身性軽鎖アミロイドーシスおよびメルケル細胞癌からなる群から選択される;これらの実施形態のいくつかでは、前記リンパ腫は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞型B細胞リンパ腫(T-cell/histiocyte rich large B-cell lymphoma)およびリンパ形質細胞性リンパ腫からなる群から選択され、前記肺癌は、非小細胞肺癌および小細胞肺癌からなる群から選択され、前記白血病は、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病および骨髄性白血病からなる群から選択される;いくつかの他の実施形態では、前記疾患は、PD-L1陽性黒色腫(PD-L1 positive melanoma)、肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、腎臓癌、膀胱癌、腸癌および結腸癌からなる群から選択される。
【0045】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、疾患の処置または予防のための薬剤を調製する際の、前述のいずれか1つに記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または前述の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または前述の医薬組成物、または前述の核酸分子の使用を提供する。
【0046】
いくつかの実施形態では、前記疾患は腫瘍である。
【0047】
いくつかの他の実施形態では、前記疾患は、頭頸部扁平上皮癌(head and neck squamous cell carcinoma)、頭頸部癌、脳腫瘍、神経膠腫、多形性膠芽腫、神経芽細胞腫、中枢神経系癌、神経内分泌腫瘍、咽頭癌、鼻咽頭癌、食道癌、甲状腺癌、悪性胸膜中皮腫、肺癌、乳癌、肝臓癌、ヘパトーマ(hepatoma)、肝細胞癌、肝胆道癌、膵臓癌、胃癌、胃腸癌、腸癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、淡明細胞型腎細胞癌、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌、皮膚癌、黒色腫、白血病、リンパ腫、骨肉腫、軟骨肉腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性腫瘍、扁平上皮癌、ユーイング肉腫、全身性軽鎖アミロイドーシスおよびメルケル細胞癌からなる群から選択される;これらの実施形態のいくつかでは、前記リンパ腫は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞型B細胞リンパ腫(T-cell/histiocyte rich large B-cell lymphoma)およびリンパ形質細胞性リンパ腫からなる群から選択され、前記肺癌は、非小細胞肺癌および小細胞肺癌からなる群から選択され、前記白血病は、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病および骨髄性白血病からなる群から選択される;いくつかの他の実施形態では、前記疾患は、PD-L1陽性黒色腫(PD-L1 positive melanoma)、肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、腎臓癌、膀胱癌、腸癌および結腸癌からなる群から選択される。
【0048】
いくつかの実施形態では、本開示はまた、薬剤として使用するための、前述のいずれか1つに記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または前述の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または前述の核酸分子、または前述の医薬組成物を提供する。
【0049】
いくつかの実施形態では、前記薬剤は、PD-1関連疾患の処置または予防のために使用される。
【0050】
いくつかの実施形態では、前記疾患は腫瘍である。
【0051】
いくつかの他の実施形態では、前記疾患は、頭頸部扁平上皮癌(head and neck squamous cell carcinoma)、頭頸部癌、脳腫瘍、神経膠腫、多形性膠芽腫、神経芽細胞腫、中枢神経系癌、神経内分泌腫瘍、咽頭癌、鼻咽頭癌、食道癌、甲状腺癌、悪性胸膜中皮腫、肺癌、乳癌、肝臓癌、ヘパトーマ(hepatoma)、肝細胞癌、肝胆道癌、膵臓癌、胃癌、胃腸癌、腸癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、淡明細胞型腎細胞癌、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌、皮膚癌、黒色腫、白血病、リンパ腫、骨肉腫、軟骨肉腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性腫瘍、扁平上皮癌、ユーイング肉腫、全身性軽鎖アミロイドーシスおよびメルケル細胞癌からなる群から選択される;これらの実施形態のいくつかでは、前記リンパ腫は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞型B細胞リンパ腫(T-cell/histiocyte rich large B-cell lymphoma)およびリンパ形質細胞性リンパ腫からなる群から選択され、前記肺癌は、非小細胞肺癌および小細胞肺癌からなる群から選択され、前記白血病は、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病および骨髄性白血病からなる群から選択される;いくつかの他の実施形態では、前記疾患は、PD-L1陽性黒色腫(PD-L1 positive melanoma)、肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、腎臓癌、膀胱癌、腸癌および結腸癌からなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】PD-1のそのリガンドへの結合を遮断する抗PD-1抗体の試験結果。
【
図2】PBMC細胞からのIFNγの分泌に対する抗PD-1抗体の効果。
【
図3】マウスにおける結腸癌MC38の異種移植腫瘍に対する抗PD-1抗体の有効性。
【
図4】マウスにおける結腸癌MC38の腫瘍体積に対する抗PD-1抗体の効果。
【発明を実施するための形態】
【0053】
<概要>
本開示をより容易に理解できるようにするために、特定の技術的および科学的用語を以下に具体的に定義する。本明細書で別に明確に定義されていない限り、本明細書で使用される他のすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解される意味を有する。
【0054】
「programmed death 1」、「programmed cell death 1」、「タンパク質PD-1」、「PD-1」、「PDCD1」および「hPD-1」という用語は互換的に使用され、ヒトPD-1バリアント、アイソタイプ、種ホモログ(species homologs)、およびPD-1と共通の少なくとも一つのエピトープを有する類似体(analogs)を含む。完全なPD-1配列は、GenBankアクセッション番号(GenBank accession number)U64863で見つけることができる。
【0055】
「programmed death ligand-1 (PD-L1)」という用語は、PD-1の2つの細胞表面糖タンパク質リガンドの1つ(もう1つはPD-L2)であり、PD-1に結合するとT細胞活性化およびサイトカイン分泌をダウンレギュレートする。本明細書で使用される「PD-L1」という用語は、ヒトPD-L1(hPD-L1)、hPD-L1バリアント、アイソタイプおよび種間ホモログ、ならびにhPD-1と共通の少なくとも1つのエピトープを有する5つの類似体を含む。完全なhPD-L1配列は、GenBankアクセッション番号Q9NZQ7で見つけることができる。
【0056】
「サイトカイン」という用語は、細胞の集団によって放出され、細胞間メディエーターとして他の細胞に作用するタンパク質の一般的な用語である。このようなサイトカインの例には、リンホカイン、モノカイン、ケモカインおよび従来のポリペプチドホルモンが含まれる。例示的なサイトカインには、ヒトIL-2、IFN-γ、IL-6、TNFα、IL-17およびIL-5が含まれる。
【0057】
本開示で使用されるアミノ酸の3文字コードおよび1文字コードは、J. biol. chem, 243, 3558頁(1968年)に記載されるとおりである。
【0058】
本開示に記載される「抗体」は、一般に免疫グロブリンを指す。天然のインタクト抗体は、鎖間ジスルフィド結合によって連結された2つの同一の重鎖および2つの同一の軽鎖から構成されるテトラペプチド鎖構造である。免疫グロブリン重鎖定常領域のアミノ酸組成および配列が異なるため、それらの抗原性も異なる。これにより、免疫グロブリンは5つのクラスに分類されるか、または免疫グロブリンのアイソタイプ、すなわちIgM、IgD、IgG、IgAおよびIgEと命名され得、それらの対応する重鎖はそれぞれμ鎖、δ鎖、γ鎖、α鎖およびε鎖である。同じクラスのIgは、ヒンジ領域のアミノ酸組成の違いならびに重鎖ジスルフィド結合の数および位置に応じて、異なるサブクラスに分類することができる。例えば、IgGはIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4に分類することができる。軽鎖は、定常領域の違いによりκ鎖またはλ鎖に分類される。Igの5つクラスのそれぞれは、κ鎖またはλ鎖を有し得る。本開示で言及される抗体には、抗体またはその抗原結合フラグメントが含まれ、抗原に結合する能力を保持しながら免疫グロブリンに基づいて改変された抗体またはその抗原結合フラグメントを含み;単一特異性抗体、二重特異性抗体または多重特異性抗体を含み;一価抗体、二価抗体または多価抗体も含む。抗体の抗原結合フラグメントは、例えば、少なくとも1つのVH-CH1および少なくとも1つのVL-CL構造を含むものであり得、当該VHおよびVL構造は、鎖間相互作用に基づいて互いに接近することができ、抗原結合能力を保持することができる。いくつかの実施形態では、抗体の抗原結合フラグメントは、一価のFabフラグメント(Fab1フラグメント)、二価のFabフラグメント(F(ab)2)、三価のFabフラグメント(F(ab)3)、多価(2価以上)のFabフラグメントであり、少なくとも1つのFabフラグメントを含む他の単一特異性、二重特異性または多重特異性抗原結合フラグメントであり得る。
【0059】
「二重特異性抗体」とは、2つの異なる抗原または同じ抗原の2つの異なるエピトープに特別に結合することができる抗体(抗体またはその抗原結合フラグメント、例えば一本鎖抗体を含む)を指す。先行技術は、さまざまな構造を有する二重特異性抗体を開示している。IgG分子の完全性(integrity)に応じて、それらはIgG様二重特異性抗体と抗体フラグメント型二重特異性抗体に分類することができる。抗原結合領域の数および構成に応じて、それらは二価、三価、四価、またはより多価の二重特異性抗体に分類することができる。構造が対称であるかどうかに応じて、それらは対称構造二重特異性抗体と非対称構造二重特異性抗体に分類することができる。それらの中で、抗体フラグメントベースの二重特異性抗体、例えば、Fcフラグメントを欠くFabフラグメントは、1つの分子内の2つ以上のFabフラグメントに結合することによって二重特異性抗体を形成する。これらの抗体は、免疫原性が低く、分子量が小さく、腫瘍組織透過性が高い。このタイプの典型的な抗体構造は、F(ab)2、scFv-Fab、(scFv)2-Fabなどの二重特異性抗体である;IgG様二重特異性抗体(例えば、Fcフラグメントを含む)の場合、このタイプの抗体はより大きな分子量を有する。Fcフラグメントは、後の段階での抗体の精製を助け、その溶解性および安定性を向上させる。Fc部分はまた受容体FcRnに結合し、抗体の血清半減期を増加させ得る。典型的な二重特異性抗体構造モデルは、例えば、KiH、CrossMAb、Triomab quadroma、FcΔAdp、ART-Ig、BiMAb、Biclonics、BEAT、DuoBody、Azymetric、XmAb、2:1 TCBs、1Fab-IgG TDB、FynomAb、two-in-one/DAF、scFv-Fab-IgG、DART-Fc、LP-DART、CODV-Fab-TL、HLE-BiTE、F(ab)2-CrossMAb、IgG-(scFv)2、Bs4Ab、DVD-Ig、Tetravalent-DART-Fc、(scFv)4-Fc、CODV-Ig、mAb2、F(ab)4-CrossMAbおよび他の二重特異性抗体などである(Aran F. Labrijn et al., Nature Reviews Drug Discovery 第18巻,585-608頁(2019年);Chen S1 et al., J Immunol Res. 2019年2月11日;2019年:4516041頁参照)。
【0060】
「一価」、「二価」、「三価」または「多価」という用語は、抗体またはポリペプチド複合体における特定の数の抗原結合部位の存在を指す。例えば、「一価抗体」は、当該抗体に1つの抗原結合部位があることを意味し、「一価ポリペプチド複合体」は、当該ポリペプチド複合体に1つの抗原結合部位があることを意味する;「二価抗体」は、当該抗体に2つの抗原結合部位があることを意味し、「二価ポリペプチド複合体」は、当該ポリペプチド複合体に2つの抗原結合部位があることを意味する;「三価抗体」は、当該抗体に3つの抗原結合部位があることを意味し、「三価ポリペプチド複合体」は、当該ポリペプチド複合体に3つの抗原結合部位があることを意味する;「多価抗体」は、当該抗体に複数(3つ以上)の抗原結合部位があることを意味し、「多価ポリペプチド複合体」は、当該ポリペプチド複合体に複数(2つ以上)の抗原結合部位があることを意味する。
【0061】
「抗体融合タンパク質」という用語は、目的のタンパク質(ポリペプチド)を免疫グロブリンに連結することによって形成される、生物学的に活性な融合タンパク質を指す。融合タンパク質は、連結されたタンパク質と免疫グロブリンの両方の生物学的活性を有する。
【0062】
抗体の重鎖および軽鎖のN末端付近の約110アミノ酸の配列は大きく変化し、可変領域(Fv領域)である;C末端付近の残りのアミノ酸配列は比較的安定しており、定常領域である。可変領域は、3つの超可変領域(HVR)と比較的保存的な配列を有する4つのフレームワーク領域(FR)を含む。抗体の特異性を決定する3つの超可変領域は、相補性決定領域(CDR)としても知られている。軽鎖可変領域(VL)および重鎖可変領域(VH)のそれぞれは、3つのCDR領域と4つのFR領域からなる。アミノ末端からカルボキシル末端への順序は、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4である。軽鎖の3つのCDR領域は、LCDR1、LCDR2およびLCDR3を指し、重鎖の3つのCDR領域は、HCDR1、HCL2およびHDR3を指す。
【0063】
本開示の抗体は、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体および完全ヒト抗体、好ましくはヒト化抗体を含む。
【0064】
本開示における「マウス抗体」という用語は、当技術分野の知識および技術に従って調製された、ヒトPD-1に対するモノクローナル抗体である。調製中に、試験対象にPD-1抗原を注射し、次に、所望の配列または機能特性を有する抗体を発現するハイブリドーマを単離する。本開示の好ましい実施形態では、マウス抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントは、マウスκ、λ鎖もしくはそれらのバリアントの軽鎖定常領域をさらに含むことができるか、またはマウスIgG1、IgG2、IgG3もしくはそれらのバリアントの重鎖定常領域をさらに含むことができる。
【0065】
「キメラ抗体」は、マウス抗体の可変領域をヒト抗体の定常領域と融合させることによって形成される抗体であり、マウス抗体によって誘導される免疫応答を軽減することができる。キメラ抗体を確立することは、まずマウスの特定のモノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを確立すること、次にマウスハイブリドーマ細胞から可変領域遺伝子をクローニングすること、次に必要に応じてヒト抗体の定常領域遺伝子をクローニングすること、該マウス可変領域遺伝子を該ヒト定常領域遺伝子に連結してキメラ遺伝子を形成すること、該キメラ遺伝子を発現ベクターに挿入すること、および、最後に真核生物システムまたは原核生物システムでキメラ抗体分子を発現させることを必要とする。本開示の好ましい実施形態では、PD-L1キメラ抗体の抗体軽鎖は、ヒトκ、λ鎖またはそれらのバリアントの軽鎖定常領域をさらに含む。PD-1キメラ抗体の抗体重鎖は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4またはそれらのバリアントの重鎖定常領域をさらに含み、好ましくは、ヒトIgG1、IgG2もしくはIgG4の重鎖定常領域を含むか、またはアミノ酸変異(例えば、L234Aおよび/もしくはL235A変異、ならびに/またはS228P変異)を有するIgG1、IgG2もしくはIgG4バリアントを含む。
【0066】
CDR移植抗体としても知られる「ヒト化抗体」という用語は、マウスCDR配列をヒト抗体可変領域のフレームワークに移植することによって産生される抗体、すなわち、異なるタイプのヒト生殖細胞系列抗体フレームワーク配列で産生される抗体を指す。ヒト化抗体は、大量のマウスタンパク質成分を保有するため、キメラ抗体によって誘導される異種反応を克服することができる。そのようなフレームワーク配列は、生殖細胞系列抗体遺伝子配列を含む公開DNAデータベースまたは公開された参考文献から入手することができる。例えば、ヒト重鎖および軽鎖可変領域遺伝子の生殖細胞系列DNA配列は、「VBase」ヒト生殖細胞系列配列データベース(インターネットwww.mrccpe.com.ac.uk/vbaseで入手可能)およびKabat, EA, et al. 1991年 Sequences of Proteins of Immunological Interest,第5版に見出すことができる。免疫原性の低下によって同時に引き起こされる活性の低下を回避するために、ヒト抗体可変領域フレームワーク配列を最小限の逆変異または復帰変異に供して、活性を維持することができる。本開示のヒト化抗体は、酵母ディスプレイによるCDR親和性成熟をさらに受けたヒト化抗体も含む。
【0067】
抗原と接触している残基のために、CDR移植は、抗原と接触しているフレームワーク残基のために、産生された抗体またはその抗原結合フラグメントの抗原に対する親和性の低下をもたらす可能性がある。このような相互作用は体細胞超変異の結果である可能性がある。したがって、そのようなドナーフレームワークアミノ酸をヒト化抗体のフレームワークに移植することが依然として必要であるかもしれない。抗原結合に関与し、非ヒト抗体またはその抗原結合フラグメントに由来するアミノ酸残基は、動物のモノクローナル抗体可変領域の配列および構造を調べることによって同定することができる。生殖細胞系列とは異なるCDRドナーフレームワークの残基は、関連していると見なすことができる。最も近い生殖細胞系列を決定することができない場合、その配列は、サブクラスまたは高い類似性パーセンテージを有する動物抗体配列のコンセンサス配列と比較され得る。まれなフレームワーク残基は、体細胞超変異の結果と考えられ、したがって結合において重要な役割を果たしている。
【0068】
本開示の一実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、ヒトまたはマウスのκ、λ鎖またはそれらのバリアントの軽鎖定常領域をさらに含むことができるか、あるいはヒトまたはマウスのIgG1、IgG2、IgG3、IgG4またはそれらのバリアントの重鎖定常領域をさらに含むことができ、好ましくは、ヒトIgG1、IgG2もしくはIgG4、またはアミノ酸変異(例えば、L234Aおよび/もしくはL235A変異、ならびに/またはS228P変異)を有するIgG1、IgG2もしくはIgG4バリアントの重鎖定常領域を含むことができる。
【0069】
本開示に記載されるヒト抗体重鎖定常領域およびヒト抗体軽鎖定常領域の「従来のバリアント」は、先行技術において開示されており、抗体可変領域の構造および機能を変化させない、重鎖定常領域または軽鎖定常領域のバリアントを指す。例示的なバリアントには、重鎖定常領域の部位特異的改変およびアミノ酸置換を伴うIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4重鎖定常領域バリアントが含まれる。具体的な置換は、YTE変異、L234Aおよび/もしくはL235A変異、S228P変異、ならびに/または当技術分野で既知のノブ-イントゥ-ホール(knob-into-hole)構造を得る(抗体重鎖がノブ-Fcおよびホール-Fcの組み合わせを有するようにする)ための変異などである。これらの変異は、抗体に新しい特性をもたらすことが確認されているが、抗体可変領域の機能は変化させない。
【0070】
「HuMAb」、「ヒト抗体」、「完全ヒト抗体(fully human antibody)」および「完全ヒト抗体(complete human antibody)」は互換的に使用することができ、ヒト由来の抗体、または抗原刺激に応答して特定のヒト抗体を産生するように「操作」された遺伝子改変生物から得られる抗体を指すことができ、当技術分野で既知の任意の方法によって産生することができる。いくつかの技術では、ヒト重鎖および軽鎖遺伝子座の要素が胚性幹細胞株に由来する生物の細胞株に導入され、ここで、内因性重鎖および軽鎖遺伝子座はこれらの細胞に含まれる当該内因性重鎖および軽鎖遺伝子座を標的とするものによって標的破壊されている。トランスジェニック生物は、ヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成することができ、該生物は、ヒト抗体を分泌するハイブリドーマを産生するために使用することができる。ヒト抗体はまた、重鎖および軽鎖が1つ以上のヒトDNA供給源に由来するヌクレオチド配列によってコードされる抗体であり得る。完全ヒト抗体はまた、伝子または染色体トランスフェクション法およびファージディスプレイ技術によって構築され得るか、またはin vitroで活性化されたB細胞から構築され得、これらはすべて当技術分野で知られている。
【0071】
「全長抗体(full-length antibody)」、「インタクト抗体(intact antibody)」、「完全抗体(complete antibody)」および「全抗体(whole antibody)」という用語は、本明細書では互換的に使用され、以下に定義される抗原結合フラグメントとは区別される、実質的に無傷の形態(intact form)の抗体を指す。これらの用語は、具体的には、重鎖がFc領域を含む抗体を指す。
【0072】
抗体の「抗原結合フラグメント」または「機能的フラグメント」という用語は、抗原(例えば、PD-1)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上のフラグメントを指す。全長抗体のフラグメントを使用して、抗体の抗原結合機能を実行できることが示されている。抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に含まれる結合フラグメントの例には、以下が含まれる:(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価フラグメントである、Fabフラグメント;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド結合によって連結された2つのFabフラグメントの二価フラグメントを含む、F(ab’)2フラグメント;(iii)VHおよびCH1ドメインからなる、Fdフラグメント;(iv)抗体の片方のアームのVHおよびVLドメインから構成される、Fvフラグメント;(v)VHドメインからなる、単一ドメインまたはdAbフラグメント(Ward et al.,(1989年)Nature 341:544-546頁);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)または(vii)任意に合成リンカーによって連結された2つ以上の単離されたCDRの組み合わせ。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインVLおよびVHは別々の遺伝子によってコードされているが、組換え法を使用して、合成リンカーによってそれらを連結して、VLおよびVH領域がペアになって一価分子を形成した一本のタンパク質鎖(一本鎖Fv(scFv)と呼ばれる;例えば、Bird et al.(1988年)Science 242:423-426頁;およびHuston et al(1988年)Proc. Natl. Acad. Sci USA85:5879-5883頁を参照)として生成できるようにすることができる。そのような一本鎖抗体も、抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に含まれることが意図されている。このような抗体フラグメントは、当技術分野で既知の従来技術を使用することによって得られ、フラグメントの機能は、インタクト抗体の機能と同じ方法でスクリーニングされる。抗原結合部分は、組換えDNA技術によって、またはインタクト免疫グロブリンの酵素的もしくは化学的切断によって生成され得る。抗体は、異なるアイソタイプの抗体、例えば、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4サブタイプ)、IgA1、IgA2、IgD、IgEまたはIgM抗体であり得る。
【0073】
本開示の抗原結合フラグメントには、Fab、F(ab’)2、Fab’、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(ダイアボディ)、ジスルフィド結合安定化V領域(dsFv)、CDR含有ペプチドなどが含まれる。
【0074】
Fabは、約50,000の分子量を有し、抗原結合活性を有する抗体フラグメントであり、IgG抗体分子をプロテアーゼのパパイン(H鎖の位置224のアミノ酸残基を切断する)で処理することによって得られ、H鎖のN末端側の約半分とL鎖全体がジスルフィド結合によって結合している。
【0075】
本開示のFabは、パパインを使用して、ヒトPD-1を特異的に認識し、細胞外領域のアミノ酸配列またはその三次元構造に結合する本開示のモノクローナル抗体を処理することによって産生され得る。さらに、Fabは、抗体のFabをコードするDNAを原核生物発現ベクターまたは真核生物発現ベクターに挿入すること、および該ベクターを原核生物または真核生物に導入してFabを発現させることによって産生され得る。
【0076】
F(ab’)2は、約100,000の分子量を有し、抗原結合活性を有し、ヒンジ位置で連結された2つのFab領域を含む抗体フラグメントであり、IgGのヒンジ領域における2つのジスルフィド結合の下部(lower part)を酵素ペプシンで消化することによって得られる。
【0077】
本開示のF(ab’)2は、ペプシンを使用して、ヒトPD-1を特異的に認識し、細胞外領域のアミノ酸配列またはその三次元構造に結合する本開示のモノクローナル抗体を処理することによって産生され得る。さらに、F(ab’)2は、以下に説明するFab’をチオエーテル結合またはジスルフィド結合で連結することによって産生され得る。
【0078】
Fab’は、約50,000の分子量を有し、抗原結合活性を有する抗体フラグメントであり、F(ab’)2のヒンジ領域のジスルフィド結合を切断することによって得られる。本開示のFab’は、ジチオスレイトールなどの還元剤を使用して、PD-1を特異的に認識し、細胞外領域のアミノ酸配列またはその立体構造に結合する本開示のF(ab’)2を処理することによって産生され得る。
【0079】
さらに、Fab’は、抗体のFab’フラグメントをコードするDNAを原核生物発現ベクターまたは真核生物発現ベクターに挿入すること、および、次いで該ベクターを原核生物または真核生物に導入してFab’を発現させることによって産生され得る。
【0080】
「一本鎖抗体」、「一本鎖Fv」、または「scFv」という用語は、リンカーによって連結された抗体重鎖可変ドメイン(または領域;VH)および抗体軽鎖可変ドメイン(または領域;VL)を含む分子を指す。このようなscFv分子は、NH2-VL-リンカー-VH-COOHまたはNH2-VH-リンカー-VL-COOHという一般構造を有し得る。先行技術における適切なリンカーは、繰り返しGGGGSアミノ酸配列またはそのバリアント、例えば1~4個の繰り返し配列を有するバリアントからなる(Holliger et al.(1993年),Proc Natl Acad Sci USA.90:6444-6448頁)。本開示で使用され得る他のリンカーは、Alfthan et al.(1995年),Protein Eng.8:725-731頁、Choi et al.(2001年),Eur J Immuno.31:94-106頁、Hu et al.(1996年),Cancer Res.56:3055-3061頁、Kipriyanov et al.(1999年),J Mol Biol.293:41-56頁、およびRoovers et al.(2001年),Cancer Immunol.に記載されている。
【0081】
本開示のscFvは、以下のステップによって産生され得る:ヒトPD-1を特異的に認識し、細胞外領域のアミノ酸配列またはその三次元構造に結合する本開示のモノクローナル抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得するステップ、scFvをコードするDNAを構築するステップ、該DNAを原核生物発現ベクターまたは真核生物発現ベクターに挿入するステップ、および、次いで該発現ベクターを原核生物または真核生物に導入してscFvを発現させるステップ。
【0082】
ダイアボディは、scFvが二量体化した抗体フラグメントであり、二価の抗原結合活性を有する抗体フラグメントである。二価の抗原結合活性において、2つの抗原は同じであっても異なっていてもよい。
【0083】
本開示のダイアボディは、以下のステップによって産生され得る:ヒトPD-1を特異的に認識し、細胞外領域のアミノ酸配列またはその三次元構造に結合する本開示のモノクローナル抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得するステップ、ペプチドリンカーの長さが8アミノ残基以下になるようにscFvをコードするDNAを構築するステップ、該DNAを原核生物発現ベクターまたは真核生物発現ベクターに挿入するステップ、および、次いで該発現ベクターを原核生物または真核生物に導入してダイアボディを発現させるステップ。
【0084】
dsFvは、VHおよびVLのそれぞれの1つのアミノ酸残基がシステイン残基で置換されたポリペプチドを、それら2つのシステイン残基間のジスルフィド結合を介して連結することによって得られる。システイン残基で置換されるアミノ酸残基は、抗体の三次元構造の予測に基づいて、既知の方法(Protein Engineering,7,697(1994年))に従って選択することができる。
【0085】
本開示のdsFvは、以下のステップによって産生され得る:ヒトPD-1を特異的に認識し、細胞外領域のアミノ酸配列またはその三次元構造に結合する本開示のモノクローナル抗体のVHおよびVLをコードするcDNAを取得するステップ、dsFvをコードするDNAを構築するステップ、該DNAを原核生物発現ベクターまたは真核生物発現ベクターに挿入するステップ、および、次いで該発現ベクターを原核生物または真核生物に導入してdsFvを発現させるステップ。
【0086】
CDR含有ペプチドは、VHまたはVLのCDRを含む1つ以上の領域によって構築される。複数のCDRを含有するペプチドは、直接的にまたは適切なペプチドリンカーを介して連結され得る。
【0087】
本開示のCDR含有ペプチドは、以下のステップによって産生され得る:ヒトPD-1を特異的に認識し、細胞外領域のアミノ酸配列またはその三次元構造に結合する本開示のモノクローナル抗体のVHおよびVLのCDRをコードするDNAを構築するステップ、該DNAを原核生物発現ベクターまたは真核生物発現ベクターに挿入するステップ、および、次いで該発現ベクターを原核生物または真核生物に導入してペプチドを発現させるステップ。CDR含有ペプチドは、化学合成法、例えばFmoc法またはtBoc法によっても産生され得る。
【0088】
「アミノ酸差異」または「アミノ酸変異」という用語は、元のタンパク質またはポリペプチドと比較した、タンパク質またはポリペプチドバリアントにおけるアミノ酸の変化または変異の存在を指し、元のタンパク質またはポリペプチドに基づいて1つ、2つ、3つまたはそれ以上のアミノ酸挿入、欠失または置換を有することを含む。
【0089】
「抗体フレームワーク」または「FR領域」という用語は、可変ドメインの抗原結合ループ(CDR)のためのスキャフォールドとして機能する、可変ドメインVLまたはVHの部分を指す。基本的に、それはCDRのない可変ドメインである。
【0090】
「相補性決定領域」、「CDR」または「超可変領域」という用語は、主に抗原結合に寄与する抗体の可変ドメイン内の6つの超可変領域のうちの1つを指す。一般に、各重鎖可変領域には3つのCDR(HCDR1、HCDR2およびHCDR3)かあり、各軽鎖可変領域には3つのCDR(LCDR1、LCDR2およびLCDR3)がある。「Kabat」番号付け基準(Kabat et al.(1991年)、“Sequences of Proteins of Immunological Interest”、第5版、アメリカ公衆衛生局、米国国立衛生研究所、ベセスダ、メリーランド州を参照)、「Chothia」番号付け基準(Al-Lazikani et al.,(1997年)JMB 273:927-948頁を参照)およびImmunoGenTics(IMGT)番号付け基準(Lefranc M. P., Immunologist、7、132-136頁(1999年);Lefranc, M. P., et al., Dev. Comp. Immunol., 27、55-77頁(2003年))などを含む、よく知られたスキームのいずれか1つを使用して、CDRのアミノ酸配列境界を決定することができる。例えば、古典的なフォーマットの場合、Kabat基準に従うと、重鎖可変ドメイン(VH)のCDRアミノ酸残基の番号付けは31-35(HCDR1)、50-65(HCDR2)および95-102(HDR3)であり、軽鎖可変ドメイン(VL)のCDRアミノ酸残基の番号付けは24-34(LCDR1)、50-56(LCDR2)および89-97(LCDR3)である。Chothia基準に従うと、VHのCDRアミノ酸残基の番号付けは26-32(HDR1)、52-56(HDR2)および95-102(HDR3)であり、VLのアミノ酸残基の番号付けは26-32(LCDR1)、50-52(LCDR2)および91-96(LCDR3)である。KabatとChothiaの両方のCDR定義の組み合わせによると、CDRは、ヒトVHのアミノ酸残基26-35(HCL1)、50-65(HCR2)、および95-102(HDR3)と、ヒトVLのアミノ酸残基24-34(LCDR1)、50-56(LCDR2)および89-97(LCDR3)とからなる。IMGT基準に従うと、VHのCDRアミノ酸残基の番号付けはおよそ26-35(CDR1)、51-57(CDR2)および93-102(CDR3)であり、VLのCDRアミノ酸残基の番号付けはおよそ27-32(CDR1)、50-52(CDR2)および89-97(CDR3)である。IMGT基準に従って、抗体のCDR領域は、IMGT/DomainGap Alignプログラムを使用して決定することができる。
【0091】
「エピトープ」または「抗原決定基」という用語は、免疫グロブリンまたは抗体が特異的に結合する抗原上の部位(例えば、PD-L1分子上の特定の部位)を指す。エピトープは、通常、固有の空間コンホメーション中に、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15個の連続または非連続アミノ酸を含む。例えば、Epitope Mapping Protocols in Methods in Molecular Biology、第66巻、G.E. Morris編(1996年)を参照されたい。
【0092】
「特異的に結合する(specifically binds)」、「選択的に結合する(selectively binds)」、「選択的に結合する(binds selectively)」および「特異的に結合する(binds specifically)」という用語は、所定の抗原上のエピトープへの抗体の結合を指す。一般に、抗体は、約10-8M未満、例えば、約10-9M、10-10Mもしくは10-11M未満またはそれ以下の親和性(KD)で結合する。
【0093】
「KD」または「KD」という用語は、特定の抗体-抗原相互作用の解離平衡定数を指す。一般に、本開示の抗体は、表面プラズモン共鳴(SPR)技術を使用してBIACORE装置で測定した場合、約10-7M未満、例えば約10-8Mまたは10-9M未満の解離平衡定数(KD)でPD-1に結合する。
【0094】
「競合」という用語が同じエピトープに対して競合する抗原結合タンパク質(例えば、中和抗原結合タンパク質または中和抗体)との関連において使用される場合、それは抗原結合タンパク質間の競合を指し、以下のアッセイによって決定することができる:当該アッセイでは、試験される抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその免疫学的に機能的なフラグメント)が、共通抗原(例えば、PD-1またはそのフラグメント)への参照抗原結合タンパク質(例えば、リガンドまたは参照抗体)の特異的結合を防止または阻害する(例えば、低減する)。ある抗原結合タンパク質が別の抗原結合タンパク質と競合するかどうかを決定するために、多数のタイプの競合結合アッセイを使用することができる。これらのアッセイは、例えば、固相直接または間接ラジオイムノアッセイ(RIA)、固相直接または間接酵素イムノアッセイ(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al, 1983年, Methods in Enzymology 9: 242-253頁を参照);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Kirkland et al, 1986年, J. Immunol. 137: 3614-3619頁)、固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane, 1988年, Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Pressを参照);I-125標識を用いた固相直接標識RIA(例えば、Morel et al, 1988年, Molec. Immunol. 25: 7-15頁);固相直接ビオチン-アビジンEIA(例えば、Cheung et al., 1990年, Virology 176: 546-552頁を参照);および直接標識RIA(Moldenhauer et al, 1990年, Scand. J. Immunol. 32: 77-82頁)である。一般に、アッセイは、試験される非標識抗原結合タンパク質または標識参照抗原結合タンパク質のいずれかを保有する固体表面または細胞に結合した精製抗原を使用することを含む。競合阻害は、試験される抗原結合タンパク質の存在下で固体表面または細胞に結合した標識の量を測定することによって測定される。通常、試験されている抗原結合タンパク質は過剰に存在する。競合アッセイによって同定される抗原結合タンパク質(競合抗原結合タンパク質)には、以下のものが含まれる:参照抗原結合タンパク質と同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質;および参照抗原結合タンパク質の結合エピトープに十分に近い隣接するエピトープに結合する抗原結合タンパク質(ここで、それら2つのエピトープは互いに立体的に結合を妨げる)。競合的結合を決定するために使用される方法に関するさらなる詳細は、本明細書の実施例に提供されている。通常、競合抗原結合タンパク質が過剰に存在する場合、それは、共通抗原への参照抗原結合タンパク質の特異的結合を少なくとも40~45%、45~50%、50~55%、55~60%、60~65%、65~70%、70~75%または75%以上阻害(例えば、低減)する。場合によっては、結合は、少なくとも80~85%、85~90%、90~95%、95~97%、または97%以上阻害される。
【0095】
本明細書で使用される「核酸分子」という用語は、DNA分子およびRNA分子を指す。核酸分子は一本鎖または二本鎖であり得、好ましくは二本鎖DNAまたは一本鎖mRNAもしくは修飾mRNA(modified mRNA)である。核酸が別の核酸配列と機能的な関係に置かれている場合、その核酸は「作動可能に連結」されている。例えば、プロモーターまたはエンハンサーがコード配列の転写に影響を及ぼす場合、該プロモーターまたはエンハンサーはそのコード配列に作動可能に連結されている。
【0096】
「ベクター」という用語は、それが連結されている別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。一実施形態では、ベクターは「プラスミド」であり、プラスミドとは、追加のDNAセグメントが連結され得る環状の二本鎖DNAループを指す。別の実施形態では、ベクターは、追加のDNAセグメントがウイルスゲノムに連結され得るウイルスベクターである。本明細書に開示されるベクターは、それらが導入された宿主細胞において自律的に複製することができるか(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクターおよびエピソーム哺乳動物ベクター)、または宿主細胞に導入された後に宿主細胞のゲノムに組み込まれて、宿主ゲノムと一緒に複製することができる(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)。
【0097】
抗体および抗原結合フラグメントを産生および精製するための方法は、先行技術において周知である。例えば、Antibodies:A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor、第5~8章および第15章。例えば、マウスをヒトPD-1またはそのフラグメントで免疫化することができ、得られた抗体を再生、精製することができ、アミノ酸配列決定を従来の方法で行うことができる。抗原結合フラグメントも、従来の方法で調製することができる。遺伝子工学的方法を使用することによって、1つ以上のヒトFR領域が、本発明の抗体または抗原結合フラグメントの非ヒトCDR領域に付加される。ヒトFR生殖細胞系列配列は、ImmunoGeneTics(IMGT)Webサイトhttp://imgt.cines.frから、IMGTヒト抗体可変領域生殖細胞系列遺伝子データベースおよびMOEソフトウェアを比較することによって取得され得るか、またはThe Immunoglobulin FactsBook、2001ISBN012441351から取得され得る。
【0098】
「宿主細胞」という用語は、発現ベクターが導入された細胞を指す。宿主細胞には、細菌、微生物、植物または動物細胞が含まれ得る。容易に形質転換され得る細菌には、腸内細菌科のメンバー、例えば大腸菌(Escherichia coli)またはサルモネラ菌株;バチルス科、例えば枯草菌;肺炎球菌;連鎖球菌およびインフルエンザ菌が含まれる。適切な微生物には、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)およびピキア・パストリス(Pichia pastoris)が含まれる。適切な動物宿主細胞株には、CHO(チャイニーズハムスター卵巣細胞株)およびNS0細胞が含まれる。
【0099】
本開示の操作された抗体または抗原結合フラグメントは、従来の方法によって調製および精製することができる。例えば、重鎖および軽鎖をコードするcDNA配列をクローニングし、GS発現ベクターに組み込むことができる。組換え免疫グロブリン発現ベクターをCHO細胞に安定的にトランスフェクトすることができる。より推奨される先行技術として、哺乳動物発現系は、特にFc領域の高度に保存されたN末端部位において、抗体のグリコシル化をもたらすことができる。安定なクローンは、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体を発現させることによって得られる。陽性クローンをバイオリアクターの無血清培地で増殖させて、抗体を産生する。抗体が分泌された培養培地は、従来の技術により精製することができる。例えば、精製用に調整された緩衝液を含むAまたはGセファロースFFカラムを使用する。非特異的に結合する成分は洗い流される。次に、結合抗体をpH勾配法で溶出し、抗体フラグメントをSDS-PAGEで検出して回収する。抗体は、従来の方法によってろ過および濃縮することができる。可溶性混合物およびポリマーは、従来の方法、例えばモレキュラーシーブおよびイオン交換によって除去することもできる。得られた産物は、-70℃などで直ちに凍結するか、または凍結乾燥する必要がある。
【0100】
「投与する」、「与える」および「処置する」とは、動物、ヒト、実験対象、細胞、組織、臓器または生体液に適用される場合、外因性の薬剤、治療用薬剤、診断用薬剤または組成物と、当該動物、ヒト、対象、細胞、組織、臓器または生体液との接触を指す。「投与する」、「与える」および「処置する」は、例えば、処置、薬物動態、診断、研究および実験方法を指すことができる。細胞の処置(処理)は、試薬と細胞との接触、および試薬と流体との接触を含み、ここで当該流体は細胞と接触している。「投与する」、「与える」および「処置する」はまた、例えば、試薬、診断、結合組成物によって、またはin vitroおよびex vivoで別の細胞によって、細胞を処置することを指す。「処置する」とは、ヒト、獣医または研究対象に適用される場合、治療的処置、予防または予防的措置(preventing or preventive measures)、研究および診断へのアプリケーションを指す。
【0101】
「処置」とは、内部または外部治療用薬剤、例えば本開示の結合化合物のいずれか1つを含む組成物を、該治療用薬剤が治療効果を有することが知られている疾患の1つ以上の症状を有する患者に投与することを指す。一般に、治療用薬剤は、処置された患者または集団における疾患の1つ以上の症状を軽減して、そのような症状の退行を誘発するか、またはそのような症状の発症を任意の臨床的に測定される程度まで抑制するのに有効な量で投与される。任意の特定の疾患症状を軽減するのに有効な治療用薬剤の量(「治療有効量」とも呼ばれる)は、さまざまな因子、例えば患者の病状、年齢および体重、ならびに患者において所望の治療効果を生み出す薬物の能力、に応じて変動する可能性がある。疾患症状が軽減されたかどうかは、その症状の重症度または進行を評価するために医師または他の医療従事者によって一般的に使用される任意の臨床試験方法によって評価することができる。本開示の実施形態(例えば、処置方法または製品)は、各標的疾患症状を軽減するのに効果的ではないかもしれないが、スチューデントのt検定、カイ2乗検定、マンおよびホイットニー(Mann and Whitney)のU検定、クラスカル-ウォリス(Kruskal-Wallis)検定(H検定)、ヨンクヒール-タプストラ(Jonckheere-Terpstra)検定およびウィルコクソン検定などの当技術分野で既知の任意の統計的検定によって決定した場合、統計的に有意な数の患者の標的疾患症状を軽減するはずである。
【0102】
「保存的改変」または「保存的置換」とは、タンパク質の生物学的活性を変化させることなく頻繁にその変更を行うことができるように、タンパク質中のアミノ酸を類似の特徴(例えば、電荷、側鎖サイズ、疎水性/親水性、主鎖コンホメーションおよび剛性など)を有する他のアミノ酸で置換することを指す。当業者は、一般的に言って、ポリペプチドの非必須領域における単一のアミノ酸置換が生物学的活性を実質的に変化させないことを認識している(例えば、Watson et al.(1987年)Molecular Biology of the Gene, The Benjamin/Cummings出版社、224頁(第4版)を参照)。さらに、類似の構造または機能を有するアミノ酸の置換が生物学的活性を破壊する可能性は低い。例示的な保存的置換は、以下の表「例示的なアミノ酸保存的置換」に示されている。
【0103】
【0104】
「有効量」または「有効用量」とは、任意の1つ以上の有益なまたは所望の治療結果を得るために必要な薬物、化合物または医薬組成物の量を指す。予防的使用の場合、有益なまたは所望の結果には、疾患の生化学、組織学および行動症状、その合併症、ならびに疾患の発生過程中に発生する中間の病理学的表現型を含む、リスクの排除または低減、重症度の低減または疾患の発症の遅延が含まれる。治療用途の場合、有益なまたは所望の結果には、臨床結果、例えば、本開示のさまざまな標的抗原関連障害の発生率を低下させることまたは該障害の1つ以上の症状を改善すること、該障害を処置するために必要な他の薬剤(agents)の投与量を減少させること、別の薬剤(agent)の効果を増強すること、および/または患者の本開示の標的抗原関連障害の進行を遅らせることが含まれる。
【0105】
「外因性」とは、状況に応じて、生物、細胞または人体の外部で産生される物質を指す。「内因性」とは、状況に応じて、細胞、生物または人体の内部で産生される物質を指す。
【0106】
「相同性」とは、2つのポリヌクレオチド配列間または2つのポリペプチド間の配列類似性を指す。比較される2つの配列中の位置が同じ塩基またはアミノ酸モノマーサブユニットによって占められている場合、例えば、2つのDNA分子の各位置がアデニンによって占められている場合、それらの分子はその位置で相同である。2つの配列間の相同性パーセンテージは、2つの配列によって共有される一致したまたは相同な位置の数を、比較した位置の数で割ってから、100を掛けた(×100)関数である。例えば、最適な配列アラインメントにおいて、2つの配列中の10個の位置のうち6個が一致または相同である場合、それらの2つの配列は60%相同である;2つの配列中の100個の位置のうち95個が一致または相同である場合、それらの2つの配列は95%相同である。一般に、2つの配列がアラインメントされているとき、比較は最大の相同性パーセテージを与えるように行われる。例えば、比較はBLASTアルゴリズムによって行うことができ、当該BLASTアルゴリズムでは、各参照配列の全長にわたって各配列間の最大の一致を与えるようにアルゴリズムのパラメータが選択される。以下の参考文献は、配列分析によく使用されるBLASTアルゴリズムに関する:BLAST ALGORITHMS:Altschul, S. F. et al.,(1990年)J. Mol. Biol.215:403-410頁;Gish, W. et al.,(1993年)Nature Genet.3:266-272頁;Madden, T. L. et al.,(1996年)Meth. Enzymol.266:131-141頁;Altschul, S. F. et al.,(1997年)Nucleic Acids Res.25:3389-3402頁;Zhang, J. et al.,(1997年)Genome Res.7:649-656頁。NCBI BLASTによって提供されるような他の従来のBLASTアルゴリズムもまた、当業者によく知られている。
【0107】
本明細書で使用される「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」という表現は互換的に使用することができ、そのような名称はすべて子孫を含む。したがって、「形質転換体」および「形質転換細胞」という用語は、継代数に関係なく、初代試験細胞およびそれに由来する培養物を含む。意図的または非意図的な変異のために、すべての子孫がDNAの内容(DNA content)に関して完全に同じであるとは限らないことも理解されるべきである。元の形質転換細胞でスクリーニングされたものと同じ機能または生物学的活性を有する変異体子孫が含まれる。別の名称が参照される場合、それは文脈から明確に理解される。
【0108】
本明細書で使用される「ポリメラーゼ連鎖反応」または「PCR」とは、例えば米国特許第4,683,195号に記載されるように、核酸、DNAおよび/またはDNAの特定部分の微量が増幅される手順または技術を指す。一般的に言えば、オリゴヌクレオチドプライマーを設計できるように、標的領域の末端または外側から配列情報を取得する必要がある;これらのプライマーは、増幅されるテンプレートの対応する鎖と配列が同一または類似である。2つのプライマーの5’末端ヌクレオチドは、増幅される材料の末端と同一であり得る。PCRは、特定のRNA配列、全ゲノムDNAからの特定のDNA配列、および全細胞RNAから転写されたcDNA、ファージまたはプラスミド配列などを増幅するために使用され得る。一般的には、Mullis et al.(1987年)Cold Spring Harbor, Symp. Ouant. Biol. 51:263頁;Erlich編(1989年)PCR TECHNOLOGY(Stockton出版社、ニューヨーク)を参照されたい。本明細書で使用されるPCRは、核酸試験サンプルを増幅するための核酸ポリメラーゼ反応方法の一例と見なされるが、唯一の例ではなく、当該方法は、プライマーとしての既知の核酸および核酸ポリメラーゼを使用して、核酸の特定の部分を増幅または生成することを含む。
【0109】
「単離された」とは、精製された状態を指し、この場合、指定された分子が他の生体分子(例えば、核酸、タンパク質、脂質、炭水化物)または他の材料(例えば、細胞残屑および増殖培地)を実質的に含まないことを意味する。一般に、「単離された」という用語は、本明細書に記載の化合物の実験的または治療的使用を著しく妨害する量で存在しない限り、これらの材料が完全に存在しないこと、または水、緩衝液もしくは塩が存在しないことを意味するものではない。
【0110】
「任意の」または「任意に」とは、続いて記載した出来事または状況が発生する可能性があるが、必ずしも発生するとは限らないことを意味し、その記載には、出来事または状況が発生する場合と発生しない場合が含まれる。例えば、「任意に1~3個の抗体重鎖可変領域を含む」とは、特定の配列の抗体重鎖可変領域が存在し得るが、存在する必要はないことを意味する。
【0111】
「医薬組成物」とは、本明細書に記載の化合物の1つ以上、またはその生理学的/薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグと、他の化学成分(例えば、生理学的/薬学的に許容される担体および賦形剤)とを含む混合物を意味する。医薬組成物の目的は、生物への投与を促進することであり、これは、有効成分の吸収を促進し、それによって生物学的活性を発揮する。
【0112】
「薬学的に許容される担体」という用語は、抗体または抗原結合フラグメントの送達のための製剤での使用に適した任意の不活性物質を指す。担体は、接着防止剤、結合剤、コーティング剤、崩壊剤、充填剤または希釈剤、防腐剤(抗酸化剤、抗菌剤または抗真菌剤など)、甘味料、吸収遅延剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝液などであり得る。適切な薬学的に許容される担体の例には、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロパンジオール、ポリエチレングリコールなど)、デキストロース、植物油(例えば、オリーブ油)、生理食塩水、緩衝液、緩衝生理食塩水(buffered saline)、および等張剤(例えば、糖、ポリオール、ソルビトールおよび塩化ナトリウム)が含まれる。
【0113】
さらに、本開示は、標的抗原(例えばPD-1)陽性細胞に関連する疾患を処置するための薬剤であって、本開示の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントを有効成分として含む、薬剤を含む。
【0114】
本開示におけるPD-1に関連する疾患は、PD-1に関連する疾患である限り、限定されない。例えば、本開示の分子によって誘導される治療反応は、ヒトPD-1に結合し、次にPD-1ならびにそのリガンドPD-L1およびPD-L2の結合を阻害すること、またはPD-1を過剰発現する細胞を殺傷することによって達成され得る。したがって、治療用途に適した調製物および製剤において、本開示の分子は、腫瘍または癌、好ましくは黒色腫、結腸癌、乳癌、肺癌、胃癌、腸癌、腎臓癌、非小細胞肺癌、膀胱癌などを有する人々にとって非常に有用である。
【0115】
さらに、本開示は、標的抗原(例えば、ヒトPD-1)を特異的に認識して細胞外領域のアミノ酸配列またはその三次元構造に結合し、有効成分として使用される本開示の抗体または抗体フラグメントを含む、標的抗原(例えばPD-1)の免疫検出または決定のための方法、標的抗原(例えばPD-1)の免疫検出または決定のための試薬、標的抗原(例えばPD-1)を発現する細胞の免疫検出または決定のための方法、および標的抗原(例えばPD-1)陽性細胞に関連する疾患を診断するための診断用薬剤に関する。
【0116】
本開示において、標的抗原(例えばPD-1)の量を検出または測定するために使用される方法は、任意の既知の方法であり得る。例えば、免疫検出または測定方法が挙げられる。
【0117】
免疫検出または測定方法は、標識された抗原または抗体を使用して抗体または抗原の量を検出または測定する方法である。免疫検出または測定方法の例には、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ(EIAまたはELISA)、蛍光イムノアッセイ(FIA)、発光イムノアッセイ、ウェスタンブロッティング、物理化学的方法などが含まれる。
【0118】
PD-1陽性細胞に関連する前述の疾患は、本開示の抗体または抗体フラグメントを使用してPD-1発現細胞を検出または測定することによって診断され得る。
【0119】
ポリペプチドを発現する細胞を検出するために、既知の免疫検出方法が使用され得、好ましくは免疫沈降、蛍光細胞染色、免疫組織化学的染色などが使用される。さらに、FMAT8100HTSシステム(Applied Biosystem)を用いた蛍光抗体染色法も使用され得る。
【0120】
本開示において、標的抗原(例えばPD-1)の検出または測定に使用されるin vivoサンプルは、標的抗原(例えばPD-1)を発現する細胞を含む可能性がある限り、特に制限はなく、例えば、組織球、血液、血漿、血清、膵液、尿、糞便、組織液または培養液である。
【0121】
必要な診断方法に応じて、本開示のモノクローナル抗体またはその抗体フラグメントを含む診断用薬剤はまた、抗原抗体反応を行うための試薬または当該反応を検出するための試薬を含むことができる。抗原抗体反応を行うために使用される試薬には、緩衝液、塩などが含まれる。検出に使用される試薬には、免疫検出または測定方法で一般的に使用される試薬、例えば、モノクローナル抗体、その抗体フラグメントまたはそのコンジュゲートを認識する標識された二次抗体、および当該標識に対応する基質などが含まれる。
【0122】
<抗原の調製>
1.抗原の構築
ヒトPD-1-IgG1Fc融合タンパク質は、N末端にヒトPD-1の細胞外領域の150アミノ酸、C末端にヒトIgG1のFcフラグメント(hIgG1Fc)を含むように設計および合成される。高純度の組換えPD-1-Fcタンパク質は、プロテインAアフィニティーカラムで精製した後に得ることができ、抗原への抗PD-1抗体の結合を検出するために使用される。
【0123】
ヒトPD-1-IgG1Fc(配列番号1):
【化1】
【0124】
注:下線部分はシグナルペプチドであり、通常部分はヒトPD-1の細胞外領域であり、斜体部分はhIgG1Fcである(シグナルペプチド+細胞外領域+hIgG1Fc)。
【0125】
【0126】
細胞にトランスフェクトされた核酸によってコードされるPD-1抗原(配列番号3):
【化3】
【0127】
<抗体の調製>
抗ヒトPD-1抗体は、マウスを免疫化することによって産生することができ、抗ヒトPD-1ファージマウス免疫化ライブラリー(anti-human PD-1 phage mouse immunization library)から入手することもできる。
【0128】
マウスを免疫化することによって抗ヒトPD-1抗体を調製する方法は、次のとおりである:
【0129】
1.免疫化:実験用SJL白色マウス、雌、6~8週齢、およびBalb/c白色マウス、雌、6~8週齢。飼育環境:SPFレベル。マウスは、購入後、温度20~25℃、湿度40~60%、12/12時間の明/暗サイクルの調整下、実験室環境で1週間飼育された。環境に適応したマウスは、各群に6~10匹のマウスを使用して、さまざまなプロトコルに従って免疫化された。免疫抗原は、精製された組換えタンパク質PD-1-IgG1Fc(配列番号1を参照)、PD-1-his(配列番号2を参照)、または抗原としてPD-1をトランスフェクトしたJurkat/CHO-PD-1細胞(配列番号3を参照)である可能性がある。異なる免疫アジュバントまたは異なるタイプの免疫原と組み合わせた単一抗原を交差免疫に使用することができる。免疫化部位は、腹腔もしくは背中の皮膚の下であるか、または2つの部位で交互に免疫化を行うことができる。免疫アジュバントTiterMax(登録商標)Gold Adjuvant(以下、Titermaxと呼ぶ、Sigmaから購入、カタログ番号T2684)およびImject Alum Adjuvant(以下、アジュバントと呼ぶ、Pierceから購入、カタログ番号77161)を交差免疫に使用した。抗原とアジュバント(Titermax)の比率は1:1であり、抗原とアジュバント(Alum)の比率は3:1であり、25~50μg/動物(最初の免疫化)、50μg/動物(ブースター免疫化)、または1×107Jurkat/CHO-PD-1細胞/動物であった。0日目に25~50μg/動物の乳化抗原(emulsified antigen)を腹腔内注射し、最初の免疫化後、週に1回または2週間に1回、TitermaxとAlumを交互に合計5~8回使用した。
【0130】
2.細胞融合:脾臓細胞融合のために、血清中の抗体価が高いマウスを選択した。スプリント免疫化(sprint immunization)の72時間後にマウスの眼から出血させた。首を引っ張ってマウスを犠牲にし、消毒のために75%エタノールに入れた。脾臓リンパ球を骨髄腫細胞Sp2/0細胞(中国科学院)に融合させ、最適化されたPEGを介した融合手順を適用してハイブリドーマ細胞を得た。融合したハイブリドーマ細胞をHAT完全培地(20%FBS、1×HATおよび1×OPIを含むRPMI-1640培地)に再懸濁し、96ウェル細胞培養プレート(1×105/150μl/ウェル)に分注し、37℃、5%CO2でインキュベートし、合計で約10~30枚のプレートに播種した。融合後5日目に、HAT完全培地を50μl/ウェルで添加し、37℃、5%CO2でインキュベートした。融合後7日目から8日目まで、細胞増殖密度に応じて、培地を200μl/ウェルで完全に交換し、37℃、5%CO2でインキュベートした。
【0131】
3.ハイブリドーマ細胞スクリーニング:融合後7~9日目に、細胞増殖密度に応じて、PD-1への抗体の結合を検出するためにELISA法を実施し、PD-1/PDL1結合の遮断を検出するために陽性ウェルの細胞をELISAでさらに検出した。陽性ウェルの培地を交換し、細胞密度に応じて細胞を24ウェルプレートに時間内に増殖させた。24ウェルプレートに移した細胞株を再試験した後、保存して、初めてサブクローン化した。最初のサブクローニングスクリーニングで陽性となったものは保存され、単一細胞クローンが得られるまで2回目または3回目のサブクローニングが実施された。PD-1とPDL1の結合を遮断する効果を有するハイブリドーマ細胞は、複数の融合によって得られた。
【0132】
抗ヒトPD-1ファージマウス免疫ライブラリーを介して抗ヒトPD-1抗体を得る方法は、以下のとおりである:
【0133】
1.抗ヒトPD-1ファージマウス免疫ライブラリーの構築:血清中の抗体価が高いマウスの脾臓を選択し、Trizol(Invitrogen、カタログ番号15596-018)を使用して組織のトータルRNAを抽出した。PrimeScript(商標)II 1st Strand cDNA合成キット(Takara、カタログ番号6210A)を逆転写に使用してcDNAを得た。ライブラリーを構築するためのプライマーは、IMGTデータベースに従って設計および合成された。一本鎖抗体フラグメントは、3ラウンドのPCR反応によって得られた。一本鎖抗体フラグメントと改変ライブラリー構築ベクターpCantab5E(Amersham Biosciences/GE、カタログ番号27-9400-01)をSfi1(NEB、カタログ番号R0123L)で消化し、電気泳動後にE. Z. N. A.(登録商標)ゲル抽出キット(Omega、カタログ番号D2500-02)で精製および回収した。次に、T4DNAリガーゼ(NEB、カタログ番号M0202L)を使用して16℃で16~18時間ライゲーションし、上記のキットを使用して精製および回収を行い、最後に脱イオン水で溶出した。1μgのライゲーション産物を採取し、エレクトロポレーション用のコンピテントTG1(Lucigen、カタログ番号60502-2)の1バイアルと混合し、エレクトロポレーター(Bio Rad Micropulser)を使用して、パラメータを2.5kV,200Ωおよび25uFに設定してエレクトロポレーションを行った。トランスフォーメーションを10回繰り返した。産物をプレート上に広げ、37℃で16~18時間上下逆さまに培養した。次に、すべてのコロニーを分離して混合し、最終濃度15%のグリセリンを添加し、使用するために-80℃で保存した。
【0134】
2.抗ヒトPD-1ファージマウス免疫ライブラリーのスクリーニング:パッケージ化された抗ヒトPD-1ファージ免疫ライブラリー(1×1012~1×1013)と100μlのストレプトマイシンマイクロビーズ(Milenvi Biotec、オーバーン、カリフォルニア州)を、2%スキムミルク(MPBS)を含む1mlのリン酸緩衝生理食塩水に加え、室温で1時間インキュベートし、磁気スタンド上に置き、上清を回収した。10μg/mlのビオチン化ヒトPD-1-ECD-hisタンパク質(Sino Biologicalから購入)を上清に加え、室温で1時間インキュベートした。次に、ストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズ100μl(1mlのMPBSでプレインキュベートされた)を加え、室温で1時間インキュベートした。そして、これを選別用の磁気スタンドシステムにロードし、上清を吸引した。1mlのPBST(0.1%Tween-20を含むリン緩衝液)を加え、数回反転させた。完全に吸引した後に新しい洗浄溶液を加え、これを11回繰り返して未結合の抗体フラグメントを除去し、0.5mlの溶出溶液(450μlのPBSに50μlの10mg/mlトリプシンストック溶液を加えたもの)を加えた。これを室温で15分間振とうし、磁気スタンド上に置き、上清を新しいEPチューブに吸引した。TG1を2YT培地に播種し、培養菌密度OD600=0.4になるまで増殖させた。1.75mlのTG1(OD600=0.4)を各チューブに加え、250μlの溶出ファージ(ファージ)を加え、37℃の水浴で30分間インキュベートし、力価を試験するために勾配希釈してプレート上に広げた。残りのTG1溶液を遠心分離し、プレート上に広げ、37℃で一晩インキュベートした。
【0135】
ファージマウス免疫ライブラリーは、MACSスクリーニング(ストレプトマイシン磁気ビーズ、Invitrogen)と共にビオチン化ヒトPD-1-ECD-his抗原を使用して2~3ラウンドスクリーニングされ、PD-1に結合でき且つPD-1のPD-L1への結合を遮断できるモノクローナル抗体が最終的に得られ、シーケンシングによって検証された。抗体の可変領域配列が得られた。
【0136】
<組換え抗原タンパク質/抗体の精製>
1.ハイブリドーマ上清/プロテインGアフィニティークロマトグラフィーの分離および精製:
マウスハイブリドーマ上清の精製には、アフィニティークロマトグラフィー用のプロテインGが最初の選択肢であった。培養したハイブリドーマを遠心分離して上清を回収し、上清の体積に応じて10~15%の量の1M Tris-HCl(pH8.0~8.5)を添加して、上清のpHを調整した。プロテインGカラムについては、6M塩酸グアニジンを使用してカラム体積の3~5倍洗浄した後、純水を使用してカラム体積の3~5倍を洗浄した;平衡化緩衝液として1×PBS(pH7.4)などの緩衝液系を使用して、カラム体積の3~5倍でカラムを平衡化した;保持時間が約1分以上になるように制御された低流速を使用して、細胞上清をロードおよび結合させた;1×PBS(pH7.4)を使用して、UV吸収がベースラインに低下するまで、クロマトグラフィーカラムをカラム体積の3~5倍洗浄した;サンプル溶出には0.1M酢酸/酢酸ナトリウム(pH3.0)緩衝液を使用し、UV検出に従って溶出ピークを収集し、一時保存のために1M Tris-HCl(pH8.0)を使用して溶出生成物のpHを5~6に素早く調整した。溶出生成物については、限外ろ過および濃縮用の限外ろ過チューブを使用して、溶液を必要な緩衝液系に交換する、またはG-25などの分子排除を使用して脱塩し、必要な緩衝液系に交換する、またはSuperdex200などの高分解能分子排除カラムを使用して、溶出生成物中の凝集した成分を除去し、サンプルの純度を向上させるなどの、当業者に周知の方法によって溶液交換が実施され得る。
【0137】
2.タンパク質または抗体のプロテインAアフィニティークロマトグラフィー精製:
まず、抗原タンパク質または抗体を発現している細胞培養物の上清を高速で遠心分離して、上清を回収した。プロテインAアフィニティーカラムについては、6M塩酸グアニジンを使用してカラム体積の3~5倍洗浄した後、純水を使用してカラム体積の3~5倍を洗浄した。平衡緩衝液として1×PBS(pH7.4)などの緩衝液系を使用して、カラム体積の3~5倍でクロマトグラフィーカラムを平衡化した。保持時間が約1分以上になるように制御された低流速を使用して、細胞上清をロードおよび結合させた。結合が完了した後、1×PBS(pH7.4)を使用して、UV吸収がベースラインに低下するまで、クロマトグラフィーカラムをカラム体積の3~5倍洗浄した。サンプル溶出には0.1M酢酸/酢酸ナトリウム(pH3.0~3.5)緩衝液を使用し、UV検出に従って溶出ピークを収集し、一時保存のために1M Tris-HCl(pH8.0)を使用して溶出生成物のpHを5~6に素早く調整した。溶出生成物については、限外ろ過および濃縮用の限外ろ過チューブを使用して、溶液を必要な緩衝液系に交換する、またはG-25などの分子排除を使用して脱塩し、必要な緩衝液系に交換する、またはSuperdex200などの高分解能分子排除カラムを使用して、溶出生成物中の凝集した成分を除去し、サンプルの純度を向上させるなどの、当業者に周知の方法によって溶液交換が実施され得る。
【実施例】
【0138】
本開示は実施例と組み合わせて以下にさらに記載されるが、これらの実施例は本開示の範囲を限定するものではない。本開示の実施例において条件が具体的に示されていない実験方法は、通常、Antibodies: A Laboratory Manual and Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harborなどの従来の条件に従うか、または原材料または製品の製造業者によって推奨される条件に従う。出所が具体的に示されていない試薬は、市販の従来の試薬である。
【0139】
(実施例1)抗ヒトPD-1マウス抗体の取得
前述の方法で得られた抗ヒトPD-1マウス抗体を抗原結合実験に供し、スクリーニングして、良好な活性を有する抗体の複数の株を得た:その中に、M23、M32およびM33が含まれていた。単一細胞クローンを増殖および培養し、RNAを抽出し、マウス-Igの縮重プライマー(degenerate primers)を使用して逆転写増幅(RT-PCR)を行い、抗体の可変領域配列を得た。マウス抗体の可変領域配列をヒト抗体の定常領域配列に連結した。マウスモノクローナル抗体のキメラ抗体をクローニングし、組換え発現させ、in vitro活性実験を行って、得られたモノクローナル抗体の可変領域配列が正しいことを確認した。
【0140】
マウス抗体M23、M32およびM33の可変領域配列は、以下のように決定される:
【0141】
マウス抗体M23の重鎖可変領域(配列番号4):
【化4】
【0142】
マウス抗体M23の軽鎖可変領域(配列番号5):
【化5】
【0143】
マウス抗体M32の重鎖可変領域(配列番号6):
【化6】
【0144】
マウス抗体M32の軽鎖可変領域(配列番号7):
【化7】
【0145】
マウス抗体M33の重鎖可変領域(配列番号19):
【化8】
【0146】
マウス抗体M33の軽鎖可変領域(配列番号20):
【化9】
【0147】
注:上記の抗体の重鎖可変領域および軽鎖可変領域配列において、下線が引かれているのは、Kabat番号付けシステムによって決定されたCDR配列であり、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の順序である。
【0148】
表4.マウス抗体M23、M32およびM33の重鎖および軽鎖CDR領域配列
【表4】
【0149】
注:表中の抗体CDR配列は、Kabat番号付けシステムに従って決定されている。
【0150】
(実施例2)抗ヒトPD-1モノクローナル抗体のヒト化
IMGTヒト抗体重鎖および軽鎖可変領域生殖細胞系列遺伝子データベースに対してアラインメントすることおよびMOEソフトウェア分析によって、M23、M32およびM33軽鎖および重鎖配列と高い同一性を有するヒト生殖細胞系列重鎖および軽鎖可変領域の生殖細胞系列遺伝子が、テンプレートとして選択された。これら3つのマウス抗体のCDRを対応するヒト抗体テンプレートに移植して、それぞれ対応するヒト化抗体を構築した。
【0151】
1.マウス抗体M23のヒト化
1.1 マウス抗体M23のヒト化フレームワークの選択
マウス抗体M23のヒト化軽鎖テンプレートはIGKV2-40*01およびIGKJ4*01であり、ヒト化重鎖テンプレートはIGHV1-69*02およびIGHJ6*01である。ヒト化後の可変領域の配列は、次のとおりである(下線はCDR配列である):
【0152】
Hu23VH-CDR移植:(配列番号27)
【化10】
Hu23VL-CDR移植:(配列番号28)
【化11】
【0153】
1.2 マウス抗体M23のヒト化テンプレート選択および復帰変異設計
【0154】
表5.マウス抗体M23ヒト化抗体の復帰変異
【表5】
【0155】
注:移植(Grafted)とは、マウス抗体CDRがヒト生殖細胞系列FR領域配列に移植されることを意味する。アミノ酸残基は、Kabat番号付けシステムによって決定および注釈される。例えば、I2Gは、Kabat番号付けの位置2のIがKabat番号付けシステムに従ってGに戻される(mutated back to G)ことを意味する。
【0156】
M23のヒト化抗体の軽鎖/重鎖可変領域配列は、次のとおりである:
【化12】
【0157】
1.3 マウス抗体M23のヒト化配列の組み合わせ
マウス抗体M23のヒト化により得られた抗体およびその可変領域の組み合わせを以下の表に示す。
【0158】
表6.ヒト化Hu23抗体可変領域の組み合わせ
【表6】
【0159】
注:例えば、「Hu23-1」は、軽鎖可変領域がHu23VL1であり、重鎖可変領域がHu23VH1である抗体を指し、以下同様である。
【0160】
上記の表において参照される抗体の軽鎖/重鎖可変領域の組み合わせ(例えば、Hu23-1)は、抗体の軽鎖/重鎖定常領域とそれぞれ連結され、全長抗体を形成することができる;本開示において別段の定めがない限り、全長抗体を形成するとき、軽鎖可変領域は、配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域に連結されて抗体軽鎖を形成し、重鎖可変領域は、配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域または配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域に連結されて抗体重鎖を形成し、抗体の軽鎖/重鎖可変領域の組み合わせ(例えば、Hu23-1)+接尾語「.IgG4AA」を参照する表中の名称は、IgG4-AA重鎖定常領域とのライゲーションによって形成された全長抗体を意味し、+接尾語「.IgG4P」は、IgG4-P重鎖定常領域とのライゲーションによって形成された全長抗体を意味する。例えば、「Hu23-1.IgG4AA」とは、Hu23VH1重鎖可変領域と配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、Hu23VL1軽鎖可変領域と配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結することによって形成される全長抗体を意味する。「Hu23-1.IgG4P」とは、Hu23VH1重鎖可変領域と配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、Hu23VL1軽鎖可変領域と配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結することによって形成される全長抗体を意味する。
【0161】
2.マウス抗体M32のヒト化
2.1 マウス抗体M32のヒト化フレームワークの選択
マウス抗体M32のヒト化軽鎖テンプレートはIGKV2-40*01およびIGKJ4*01であり、ヒト化重鎖テンプレートはIGHV1-69*02およびIGHJ6*01である。ヒト化可変領域の配列は、次のとおりである(下線はCDR配列である):
【化13】
【0162】
2.2 マウス抗体M32のヒト化テンプレート選択および復帰変異設計
【0163】
表7.マウス抗体M32ヒト化抗体の復帰変異
【表7】
【0164】
注:移植(Grafted)とは、マウス抗体CDRがヒト生殖細胞系列FR領域配列に移植されることを意味する。アミノ酸残基は、Kabat番号付けシステムによって決定および注釈される。例えば、I2Vは、Kabat番号付けの位置2のIがKabat番号付けシステムに従ってVに戻される(mutated back to V)ことを意味する。
【0165】
マウス抗体M32のヒト化抗体の軽鎖/重鎖可変領域配列は、次のとおりである:
【化14】
【0166】
2.3 マウス抗体M32のヒト化配列の組み合わせ
マウス抗体M32のヒト化により得られた抗体およびその可変領域の組み合わせ。
【0167】
表8.ヒト化抗体Hu32の軽鎖/重鎖可変領域の組み合わせ
【表8】
【0168】
注:表中、例えば、「Hu32-1」は、Hu32VL1の抗体軽鎖可変領域とHu32VH1の重鎖可変領域との組み合わせを有する抗体を指し、以下同様である。
【0169】
上記の表において参照される抗体の軽鎖/重鎖可変領域の組み合わせ(例えば、Hu32-1)は、抗体の軽鎖/重鎖定常領域とそれぞれ連結され、全長抗体を形成することができる;本開示において別段の定めがない限り、全長抗体を形成するとき、軽鎖可変領域は、配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域に連結されて抗体軽鎖を形成し、重鎖可変領域は、配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域または配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域に連結されて抗体重鎖を形成し、抗体の軽鎖/重鎖可変領域の組み合わせ(例えば、Hu32-1)+接尾語「.IgG4AA」を参照する表中の名称は、IgG4-AA重鎖定常領域とのライゲーションによって形成された全長抗体を意味し、+接尾語「.IgG4P」は、IgG4-P重鎖定常領域とのライゲーションによって形成された全長抗体を意味する。例えば、「Hu32-1.IgG4AA」とは、Hu32VH1重鎖可変領域と配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、Hu32VL1軽鎖可変領域と配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結することによって形成される全長抗体を意味する。「Hu32-1.IgG4P」とは、Hu32VH1重鎖可変領域と配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、Hu32VL1軽鎖可変領域と配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結することによって形成される全長抗体を意味する。
【0170】
3.マウス抗体M33のヒト化
3.1 マウス抗体M33のヒト化フレームワークの選択
マウス抗体M33のヒト化軽鎖テンプレートはIGKV1-39*01およびIGKJ4*01であり、ヒト化重鎖テンプレートはIGHV3-7およびIGHJ6*01である。ヒト化可変領域の配列は、次のとおりである(下線はCDR配列である):
【化15】
【0171】
3.2 マウス抗体M33のヒト化テンプレート選択および復帰変異設計
【0172】
表9.マウス抗体M33ヒト化抗体の復帰変異
【表9】
【0173】
注:移植(Grafted)とは、マウス抗体CDRがヒト生殖細胞系列FR領域配列に移植されることを意味する。アミノ酸残基は、Kabat番号付けシステムによって決定および注釈される。例えば、F71Yは、Kabat番号付けの位置71のFがKabat番号付けシステムに従ってYに戻される(mutated back to Y)ことを意味する。
【0174】
マウス抗体M33のヒト化抗体の軽鎖可変領域および重鎖可変領域の配列は、次のとおりである:
【化16】
【0175】
3.3 マウス抗体M33のヒト化配列の組み合わせ
【0176】
表10.ヒト化抗体の軽鎖および重鎖可変領域の組み合わせ
【表10】
【0177】
注:表中、例えば、「Hu33-6」は、Hu33VL2の抗体軽鎖可変領域とHu33VH3の重鎖可変領域との組み合わせを有する抗体を指し、以下同様である。
【0178】
上記の表において参照される抗体の軽鎖/重鎖可変領域の組み合わせ(例えば、Hu33-6)は、抗体の軽鎖/重鎖定常領域とそれぞれ連結され、全長抗体を形成することができる;本開示において別段の定めがない限り、全長抗体を形成するとき、軽鎖可変領域は、配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域に連結されて抗体軽鎖を形成し、重鎖可変領域は、配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域または配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域に連結されて抗体重鎖を形成し、抗体の軽鎖/重鎖可変領域の組み合わせ(例えば、Hu33-6)+接尾語「.IgG4AA」を参照する表中の名称は、IgG4-AA重鎖定常領域とのライゲーションによって形成された全長抗体を意味し、+接尾語「.IgG4P」は、IgG4-P重鎖定常領域とのライゲーションによって形成された全長抗体を意味する。例えば、「Hu32-6.IgG4AA」とは、Hu33VH3重鎖可変領域と配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、Hu33VL2軽鎖可変領域と配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結することによって形成される全長抗体を意味する。「Hu33-6.IgG4P」とは、Hu33VH3重鎖可変領域と配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、Hu33VL2軽鎖可変領域と配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結することによって形成される全長抗体を意味する。
【0179】
4.ヒト化抗体の変異体
4.1 Hu23ヒト化抗体の変異抗体
コンピューターシミュレーションにより、Hu23ヒト化抗体の軽鎖LCDR1(配列番号11)の特定の部位のアミノ酸を部位特異的変異に供し、その特定の変異を表11に示す。
【0180】
表11.Hu23軽鎖LCDR1の変異配列:
【表11】
【0181】
注:Hu23LCDR1(N28Q)は、Hu23ヒト化抗体軽鎖可変領域Hu23VL1またはHu23VL2のKabat番号付け基準による位置28のNがQに変異しているLCDR1変異配列を意味し、Hu23LCDR1(G29A)は、Hu23ヒト化抗体軽鎖可変領域Hu23VL1またはHu23VL2のKabat番号付け基準による位置29のGがAに変異しているLCDR1変異配列を意味する(CDRは、Kabat番号付けシステムによって決定される)。
【0182】
LCDR1変異後のHu23ヒト化抗体軽鎖可変領域の配列は、次のとおりである:
【化17-1】
【化17-2】
【0183】
表12.Hu23ヒト化抗体の軽鎖および重鎖可変領域の組み合わせ
【表12-1】
【表12-2】
【0184】
注:表中、例えば、「Hu23-11」は、Hu23VL1(N28T)の抗体軽鎖可変領域とHu23VH1の重鎖可変領域との組み合わせを有する抗体を指し、以下同様である。
【0185】
上記の表において参照される抗体の軽鎖/重鎖可変領域の組み合わせ(例えば、Hu23-11)は、抗体の軽鎖/重鎖定常領域とそれぞれ連結され、全長抗体を形成することができる;本開示において別段の定めがない限り、全長抗体を形成するとき、軽鎖可変領域は、配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域に連結されて抗体軽鎖を形成し、重鎖可変領域は、配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域または配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域に連結されて抗体重鎖を形成し、抗体の軽鎖/重鎖可変領域の組み合わせ(例えば、Hu23-11)+接尾語「.IgG4AA」を参照する表中の名称は、IgG4-AA重鎖定常領域とのライゲーションによって形成された全長抗体を意味し、+接尾語「.IgG4P」は、IgG4-P重鎖定常領域とのライゲーションによって形成された全長抗体を意味する。例えば、「Hu23-11.IgG4AA」とは、Hu23VH1重鎖可変領域と配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、Hu23VL1(N28T)軽鎖可変領域と配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結することによって形成される全長抗体を意味する。「Hu23-11.IgG4P」とは、Hu23VH1重鎖可変領域と配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、Hu23VL1(N28T)軽鎖可変領域と配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結することによって形成される全長抗体を意味する。
【0186】
実験結果は、部位変異後、ヒト化抗体Hu23LCDR1(N28Q)、Hu23LCDR1(N28L)、Hu23LCDR1(N28T)、Hu23LCDR1(N28D)、Hu23LCDR1(G29A)およびHu23LCDR1(G29V)がいずれもPD-1に結合する能力を維持することを示した(表16)。
【0187】
4.2 Hu32ヒト化抗体の変異抗体
M23に由来する一連のヒト化抗体Hu23およびM32に由来する一連のヒト化抗体Hu32は、配列分析によって高い配列同一性を有していた。Hu23軽鎖可変領域およびHu32重鎖可変領域は、新しい軽鎖および重鎖可変領域の組み合わせに組み合わされた。実験結果は、新しい軽鎖および重鎖可変領域の組み合わせを含むヒト化抗体が、PD-1抗原に結合する能力を維持することを示した(表16)。
【0188】
表13.Hu32およびHu23抗体可変領域コンセンサス配列の一般式
【表13】
【0189】
表14.Hu32重鎖可変領域とHu23軽鎖可変領域の組み合わせ
【表14】
【0190】
注:表中、例えば、「Hu32a-85」は、Hu23VL1(N28T)の抗体軽鎖可変領域およびHu32VH6の重鎖可変領域を有する抗体を指し、以下同様である。
【0191】
上記の表において参照される抗体の軽鎖/重鎖可変領域の組み合わせ(例えば、Hu32a-85)は、抗体の軽鎖/重鎖定常領域とそれぞれ連結され、全長抗体を形成することができる;本開示において別段の定めがない限り、全長抗体を形成するとき、軽鎖可変領域は、配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域に連結されて抗体軽鎖を形成し、重鎖可変領域は、配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域または配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域に連結されて抗体重鎖を形成し、抗体の軽鎖/重鎖可変領域の組み合わせ(例えば、Hu32a-85)+接尾語「.IgG4AA」を参照する表中の名称は、IgG4-AA重鎖定常領域とのライゲーションによって形成された全長抗体を意味し、+接尾語「.IgG4P」は、IgG4-P重鎖定常領域とのライゲーションによって形成された全長抗体を意味する。例えば、「Hu32a-85.IgG4AA」とは、Hu32VH6重鎖可変領域と配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、Hu23VL1(N28T)軽鎖可変領域と配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結することによって形成される全長抗体を意味する。「Hu32a-85.IgG4P」とは、Hu32VH6重鎖可変領域と配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、Hu23VL1(N28T)軽鎖可変領域と配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結することによって形成される全長抗体を意味する。
【0192】
表15.Hu23重鎖可変領域とHu32軽鎖可変領域の組み合わせ
【表15】
【0193】
注:表中、例えば、「Hu23a-57」は、Hu32VL1の抗体軽鎖可変領域とHu23VH1の重鎖可変領域との組み合わせを有する抗体を指し、以下同様である。
【0194】
上記の表において参照される抗体の軽鎖/重鎖可変領域の組み合わせ(例えば、Hu23a-57)は、抗体の軽鎖/重鎖定常領域とそれぞれ連結され、全長抗体を形成することができる;本開示において別段の定めがない限り、全長抗体を形成するとき、軽鎖可変領域は、配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域に連結されて抗体軽鎖を形成し、重鎖可変領域は、配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域または配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域に連結されて抗体重鎖を形成し、抗体の軽鎖/重鎖可変領域の組み合わせ(例えば、Hu32a-85)+接尾語「.IgG4AA」を参照する表中の名称は、IgG4-AA重鎖定常領域とのライゲーションによって形成された全長抗体を意味し、+接尾語「.IgG4P」は、IgG4-P重鎖定常領域とのライゲーションによって形成された全長抗体を意味する。例えば、「Hu23a-57.IgG4AA」とは、Hu23VH1重鎖可変領域と配列番号72に示されるIgG4-AA重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、Hu32VL1軽鎖可変領域と配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結することによって形成される全長抗体を意味する。「Hu23a-57.IgG4P」とは、Hu23VH1重鎖可変領域と配列番号79に示されるIgG4-P重鎖定常領域とを連結して形成される重鎖と、Hu32VL1軽鎖可変領域と配列番号73に示されるカッパ鎖定常領域とを連結して形成される軽鎖とを連結することによって形成される全長抗体を意味する。
【0195】
5.ヒト化抗体のスクリーニング
さまざまなヒト化抗体の親和性検出をBiacoreによって行い(方法については試験例3を参照)、その結果を表16に示した。結果は、さまざまなヒト化抗体がPD-1に結合する能力を維持し、いくつかのヒト化抗体はそのマウス抗体の親和性にさえ実質的に近い親和性を有することを示した。
【0196】
表16.ヒトPD-1に対するHu23ヒト化抗体の親和性
【表16】
【0197】
(実施例3)PD-1ヒト化抗体の構築および発現
各ヒト化抗体VH/VK遺伝子フラグメントは、PCRを介して設計されたプライマーを用いて構築され、次に発現ベクターpHr(シグナルペプチドおよび定常領域遺伝子(CH1-Fc/CL)フラグメントを含む)との相同組換えにより全長抗体発現ベクターVH-CH1-Fc-pHr/VK-CL-pHrを構築するために使用された。IgG4-Pは、S228P(配列番号72または配列番号79の位置108に対応する)変異を表し、IgG4-AAは、F234A(配列番号72または配列番号79の配列の位置114に対応する)、L235A(配列番号72または配列番号79の位置115に対応する)およびS228P(配列番号72または配列番号79の位置108に対応する)変異を表す。IgG4-AAおよびIgG4-P抗体フォーマットは、IgG4抗体フォーマットにおける単純な点変異によって得ることができる。
【0198】
IgG4-AA重鎖定常領域の配列は、以下のとおりである(配列番号72):
【化18】
【0199】
抗体軽鎖(カッパ鎖)定常領域の配列は、以下のとおりである(配列番号73):
【化19】
【0200】
構築されたIgG4AA形式の全長抗体の配列は、以下のように例示される:
【化20-1】
【化20-2】
【0201】
IgG4-P重鎖定常領域の配列は、以下のとおりである(配列番号79):
【化21】
【0202】
構築されたIgG4-Pフォームの全長抗体の配列は、以下のように例示される:
【化22-1】
【化22-2】
【試験例】
【0203】
(試験例1)in vitroでのPD-1リガンドへの抗PD-1抗体の結合および結合遮断のELISA実験
腫瘍細胞表面のPD-L1はT細胞表面のPD-1に結合し、それによってT細胞の増殖を抑制する。PD-1抗体は、PD-1に結合することによってPD-L1/PD-1シグナル伝達経路を遮断することができ、それによってT細胞の増殖を刺激する。PD-1/PD-L1結合遮断実験を使用して、シグナル伝達経路に対する抗PD-1抗体の遮断活性を検出した。
【0204】
この実験では、PD-1-Hisタンパク質(カタログ番号10377H08H、Sino Biological)を96ウェルプレートにコーティングした後、試験する抗PD-1抗体(抗体:Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AAおよびHu33-6.IgG4AA、ポジティブコントロール抗体:H005-1(WO2015085847のH005-1抗体を参照)を含む)を別々に加え、反応をインキュベートした;その後、HRP標識ヤギ抗ヒトIgG(H+L)抗体(カタログ番号109-035-003、Jackson ImmunoResearch)を加え、インキュベートした。プレートを洗浄した後、HRP標識ヤギ抗ヒトIgG(H+L)の結合量を検出し、リガンドPD-1への抗PD-1抗体の結合のEC50値を算出した。
【0205】
この実験では、細胞外領域でFcと融合したPD-1タンパク質(PD-1-Fc、配列については配列番号1を参照)を96ウェルプレートにコーティングした後、試験する抗PD-1抗体(抗体:Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AAおよびHu33-6.IgG4AA、ポジティブコントロール抗体:H005-1(WO2015085847のH005-1抗体を参照)を含む)を別々に加えてインキュベートした;その後、ビオチン標識PD-L1/PD-L2を加え、インキュベートした。プレートを洗浄した後、ビオチン標識PD-L1/PD-L2の結合量を検出し、PD-L1/PD-L2へのリガンドの結合を遮断する抗PD-1抗体のIC50値を算出した。
【0206】
pH9.6のCB緩衝液(1Lの蒸留水に1.59gのNa2CO3と2.93gのNaHCO3を溶解したもの)を使用してPD-1-Fcを1μg/mlに希釈し、これを96ウェルプレートに100μl/ウェルの容量で添加し、4℃で16時間~20時間静置した。PBS緩衝液を96ウェルプレートから吸引し、プレートをPBST(0.05%tween20を含むpH7.4のPBS)緩衝液で1回洗浄した。120μl/ウェルのPBST/1%ミルクを加え、ブロッキングのために室温で1時間インキュベートした。ブロッキング溶液を取り除き、PBST緩衝液で1回洗浄した。サンプル希釈液(5%BSA、0.05%Tween20を含むpH7.4のPBS)で適切な濃度に希釈した試験対象の抗PD-1抗体90μlを加え、4℃で1時間プレインキュベートした。10倍濃度のビオチン標識PD-L1/PD-L2(Beijing Sino Biological株式会社)(10μg/ml)を10μl/ウェルの容量で加え、シェーカーで十分に振とうおよび混合し、37℃で1時間インキュベートした。反応系を取り除き、プレートをPBSTで6回洗浄した。PBST緩衝液で希釈した100μl/ウェルのストレプトアビジン-ペルオキシダーゼポリマー1:400を添加し、室温で50分間振とうしながらインキュベートした。プレートをPBSTで6回洗浄した。100μl/ウェルのTMBを添加し、室温で5~10分間インキュベートした。100μl/ウェルの1M H2SO4を加えて反応を停止させた。マイクロプレートリーダーを使用して450nmでの吸光度値を読み取り、PD-L1/PD-L2へのリガンドの結合を遮断する抗PD-1抗体のIC50値を算出した。データを以下の表17に詳細に示す。
【0207】
表17.PD-1に結合し、PD-L1/PD-L2へのリガンドの結合を遮断する本開示の抗PD-1抗体のELISA
【表17】
【0208】
本開示の例示的な抗PD-1抗体Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AAおよびHu33-6.IgG4AAはいずれも、PD-L1/PD-L2へのPD-1の結合を効果的に遮断することができ、それらの遮断活性は、ポジティブコントロール抗体の遮断活性と類似している。
【0209】
(試験例2)例示的な抗体のリガンド遮断試験
PD-1とPD-L1の結合に対する抗体の遮断効果を検討した。実験プロセスを以下に簡単に説明する:
【0210】
CHOK1/PD-L1細胞(Promega)を消化し、100μl/ウェルで96ウェルプレートに加え、37℃、5%CO
2のインキュベーターに入れて24時間インキュベートした。コントロールおよびサンプルは、PBSを使用して所望の濃度に希釈された。Jurkat/PD-1細胞(PD-1で安定的にトランスフェクトされたJurkat細胞)をカウントし、CHOK1/PD-L1細胞を含む細胞培養プレートに一定の割合(90μl/ウェル)で播種し、10μl/ウェルの希釈抗体(抗体:Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AAおよびHu33-6.IgG4AA、ポジティブコントロール抗体:H005-1、ネガティブコントロール:IgG4タンパク質、抗体勾配希釈濃度:0.3mg/ml、3mg/ml、30mg/ml)を添加して、37℃、5%CO
2のインキュベーターに入れて5時間インキュベートした。細胞培養プレートを取り出し、室温で5分間置いた。次に、50μlのBio-Glo
(商標)試薬を各ウェルに添加し、プレートを読み取る前に室温で5分間インキュベートした。実験結果を
図1に示す。
【0211】
結果は、本開示における例示的な抗PD-1抗体Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AAおよびHu33-6.IgG4AAが、PD-1とPD-L1の結合を効果的に遮断できることを示した。
【0212】
(試験例3)例示的な抗体のBIAcore抗体親和性実験
IgGは、プロテインAバイオセンサーチップ(カタログ番号29127556、GE)を使用してアフィニティーキャプチャーされた。ヒトPD-1抗原(カタログ番号10377H08H、Sino Biological)およびCyno PD-1抗原(Sino Biologicalから購入)がチップの表面を横切って流れ、結合および解離曲線が、Biacore T200装置によるPD-1抗体および抗原PD-1反応シグナルのリアルタイム検出によって得られた。各実験サイクルの解離が完了した後、バイオセンサーチップを洗浄し、10mMグリシン-HCl(pH1.5)緩衝液で再生した。実験用緩衝液系は1×HBS-EP緩衝溶液(カタログ番号BR-1001-88、GE)であった。実験後、GE Biacore T200 Evaluationバージョン3.0ソフトウェアを使用して、データを(1:1)Langmuirモデルに適合させ、親和性値を取得した。結果を表18に示す。
【0213】
表18.ヒトPD1およびサルPD-1に対する抗PD-1抗体の親和性
【表18】
【0214】
結果は、本開示の例示的な抗PD-1抗体Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AAおよびHu33-6.IgG4AAはいずれも、ヒトPD-1およびサルPD-1に結合できることを示した。
【0215】
(試験例4)PBMC-Tリンパ球活性化実験における細胞によるIFNγ分泌に対する抗体の効果
ヒト初代Tリンパ球の機能に対する抗PD-1抗体の効果を検討するために、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を収集および精製し、ツベルクリン(TB)で5日間刺激し、サイトカインIFNγの分泌レベルを検出した。実験プロセスを以下に簡単に説明する:
【0216】
PBMCは密度勾配遠心分離用のFicoll-Hypaque(17-5442-02、GE)を使用して新鮮な血液から得られ(Stem Cell Technologies)、37℃および5%CO2で10%(v/v)FBS(10099-141、Gibco)を添加したRPMI1640(SH30809.01、GE)培地で培養された。
【0217】
新たに単離および精製されたPBMCをRPMI1640培地で2×106細胞/mlの密度に調整した。40μlのツベルクリン(97-8800、Synbiotics)を20mLの細胞懸濁液に加え、37℃、5%CO2のインキュベーターで5日間培養した。5日目に、上記の培養細胞を遠心分離によって収集し、新鮮なRPMI1640培地に再懸濁し、1.1×106細胞/mlの密度に調整し、96ウェル細胞培養プレートに90μl/ウェルで播種した。同時に、PBS(B320、Shanghai BasalMedia Technologies株式会社)で勾配希釈した抗体サンプル(本開示の抗体:Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AAおよびHu33-6.IgG4AA、ポジティブコントロール抗体H005-1、ならびにネガティブコントロールIgG4タンパク質を含む、抗体勾配希釈濃度0.3mg/ml、3mg/mlおよび30mg/ml)を10μl/ウェルで添加した。細胞培養プレートを37℃、5%CO2のインキュベーターに入れ、3日間インキュベーションした。細胞培養プレートを取り出し、遠心分離(4000rpm、10分)によって細胞培養上清を回収した。ELISA法(ヒトIFN-γ検出キット(EHC102g.96、Neobioscience))を使用してIFN-γレベルを検出した。具体的な操作については、試薬の説明書を参照した。
【0218】
試験結果を
図2に示す。結果は、本開示の抗PD-1抗体Hu23-11.IgG4AA、Hu32a-85.IgG4AAおよびHu33-6.IgG4AAがいずれも、IFN-γ分泌を効果的に活性化できることを示した。
【0219】
(試験例5)トランスジェニックPD-1マウスにおける結腸癌モデルMC38に対する抗PD-1抗体の効果
MC38細胞を5×105細胞/マウス/100μlで90匹のhPD-1 TGマウス(Biocytogen)の右肋骨の皮下に接種した。10日後、腫瘍が大きすぎるか小さすぎる動物は除外された。約120mmの3の平均腫瘍体積に基づいて、マウスを合計7つの群にランダムに分け、各群には8匹の動物を入れた:ブランクコントロールビヒクル(PBS)、ポジティブコントロールH005-1 3mpk、Hu32a-85.IgG4AA 1mpk、Hu32a-85.IgG4AA 3mpk、Hu23-11.IgG4AA 1mpk、Hu23-11.IgG4AA 3mpkおよびHu33-6.IgG4AA 3mpk。各群の抗体は、0日目から週に3回腹腔内注射された。投与1週目以降、腫瘍は有意に抑制されることが見出された。2週目および3週目には、投与頻度を週1回、合計5回の投与になるよう調整した。腫瘍体積と動物の体重を週に2回モニターし、データを記録した。腫瘍体積が2000mm3を超えたとき、またはほとんどの腫瘍が潰瘍化したように見えたとき、または体重が20%減少したとき、担癌動物を実験のエンドポイントとして安楽死させた。
腫瘍体積(TV)=1/2×Llong×Lshort
2
腫瘍成長率(T/C%)=(T-T0)/(C-C0)×100%
腫瘍成長抑制率(TGI%)=1-T/C%
【0220】
式中、TおよびT0は、それぞれ、抗体投与群における試験終了時および試験開始時の腫瘍体積を表し、CおよびC0は、それぞれ、ブランクコントロール群における試験終了時および試験開始時の腫瘍体積を表す。
【0221】
試験結果を表19と
図3に示す。試験結果は、ブランクコントロールと比較して、本開示の抗体がいずれもマウス結腸癌MC38異種移植腫瘍の成長を有意に抑制できることを示した。その中で、Hu32a-85.IgG4AA-3mpk群が最も高い腫瘍抑制率を示し、最終測定時の腫瘍抑制率は77.64%であった。投与頻度が3回の投与で週3回であった場合、7日目の測定において、結果は、本開示の抗体の腫瘍抑制率がいずれもポジティブコントロール抗体H005-1の腫瘍抑制率よりも有意に優れていることを示した;その後、投与頻度は週1回に減らされ、2回の投与後(21日目)、本開示の抗体の有効性の差は徐々に増加し、用量依存的な様式を示し、その中でHu32a-85.IgG4AAは同じ用量のH005-1よりも有意に優れていた(p<0.05)。さらに、担癌マウスは、すべての抗PD-1抗体に十分に耐えることができ、投与プロセス全体を通して体重は着実に増加し、明らかな薬物誘発性の体重減少およびその他の症状は発生しなかった。
【0222】
表19.マウス結腸癌MC38s(mm
3)の腫瘍成長抑制率に対する抗PD-1抗体の効果
【表19】
【0223】
(試験例6)トランスジェニックPD-1マウスにおける結腸癌モデルMC38に対する抗PD-1抗体の効果
トランスジェニックPD-1マウスは、ISIS INNOVATION LIMITED, University Offices, Wellington Square, Oxford OX1 2JD, Englandから購入し、Cephrim Biosciences株式会社で飼育して、第5世代のマウスを得た。MC38細胞を5×105細胞/100μl/動物で、hPD-1トランスジェニックマウス(半分が雌で半分が雄)の右後肋骨の皮下に接種した。マウスの平均腫瘍体積が80~100mm3に達したとき、体重または腫瘍が大きすぎるか小さすぎる動物は除外された。腫瘍体積に従って、担癌マウスを5つの群(各群に8匹の動物)にランダムに分けた:ネガティブコントロールhIgGコントロール 30mpk、H005-1 10mpk、H005-1 30mpk、Hu33-6.IgG4AA 10mpkおよびHu33-6.IgG4AA 30mpk。群分けおよび投与の日を0日目に設定した。群分け後、各薬物を22日間、2日に1回、合計11回腹腔内投与した。腫瘍体積を週に2回測定し、体重を測定し、データを記録した。各群の動物の体重および腫瘍体積はすべて、平均±標準偏差(Mean±SEM)として表され、グラフ化にはGraphpad Prism 5とExcelソフトウェアを使用し、統計分析にはスチューデントのt検定を使用した。
腫瘍体積(TV)=0.5236×Llong×Lshort
2
腫瘍成長率T/C%=(T-T0)/(C-C0)×100%
腫瘍成長抑制率%TGI=1-T/C%
【0224】
式中、TおよびT0は、それぞれ、抗体投与群における試験終了時および試験開始時の腫瘍体積を表し、CおよびC0は、それぞれ、ブランクコントロール群における試験終了時および試験開始時の腫瘍体積を表す。
【0225】
試験結果を表20および
図4に示す。試験結果は、コントロール群と比較して、本開示の抗体がマウス結腸癌MC38の異種移植腫瘍の成長を有意に抑制できることを示した。その中で、Hu33-6.IgG4AA-30mpk群が最も高い腫瘍抑制率を示し、20日目の腫瘍抑制率は80.4%である。低用量群(10mpk)では、Hu33-6.IgG4AA-10mpkの有効性は、ポジティブコントロールH005-1-10mpkの有効性よりも優れている。
【0226】
表20.マウス結腸癌MC38の腫瘍体積に対する抗PD-1抗体の効果
【表20】
【0227】
注:表中の各群の平均腫瘍体積の単位はmm3である。
【0228】
(試験例7)カニクイザルにおける抗PD-1抗体の薬物動態試験
実験に使用したカニクイザルは、広東フロンティアバイオテクノロジー(Guangdong Frontier Biotechnology)株式会社から購入した2~5歳、2~5kgの雄6匹で、ライセンス番号:SCXK(広東)2015-0037、動物証明書番号:44613900000219であった。
【0229】
飼育環境:室温は18℃~26℃に制御され、相対湿度は40%~70%であり、照明は12時間の明暗を交互にした。絶食が必要な場合を除いて、マウスは食物および水への自由なアクセスが許可された。
【0230】
投与前に動物の体重を測定し、体重は2.81~3.52kgであった。前肢または後肢に皮下静脈内注入用の注射ポンプを使用して投与を行った。各群の投与量はいずれも1mg/kg(1mpk)であり、約30分の投与期間にわたって0.1mL/kg/分の速度で単回静脈内注射によって投与された。投与前と静脈内注入開始後5分、0.25時間、0.5時間(投与終了直後)、1時間、2時間、4時間、8時間、1日、2日、3日、4日、5日、7日、10日、13日、14日、21日および28日に、動物の全血を後肢静脈で採取し、血清を分離した。このうち、投与前と静注内注入開始後14日、21日および28日に約2mLの全血を採取し、残りの採血時点で約1mLの全血を採取した。血清中の血中薬物濃度をELISAで検出し、PK分析を行った。結果を表21に示す。
【0231】
表21.カニクイザルにおけるヒト化抗PD1抗体の薬物動態
【表21】
【0232】
結果は、Hu23-11.IgG4AAおよびHu33-6.IgG4AAが良好な薬物動態活性を有することを示した。
【0233】
明確な理解のために、上述の発明は、図面および例の助けを借りて詳細に説明されてきたが、当該説明および例は、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書で引用されているすべての特許および科学文献の開示は、参照により完全かつ明確に援用される。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、
前記重鎖可変領域は、配列番号65に示されるHCDR1、配列番号66に示されるHCDR2、および配列番号67に示されるHCDR3を含み、かつ
前記軽鎖可変領域は、配列番号68に示されるLCDR1、配列番号12に示されるLCDR2、および配列番号69に示されるLCDR3を含み、
好ましくは、
前記重鎖可変領域は、配列番号8に示されるHCDR1、配列番号9に示されるHCDR2、および配列番号10に示されるHCDR3を含み、かつ
前記軽鎖可変領域は、配列番号12に示されるLCDR2、配列番号13に示されるLCDR3、および一般式RSSQSX
13VHSX
14X
15X
16TYLE(配列番号68)に示されるLCDR1を含み、式中、X
13はLであり、X
14はN、Q、L、TおよびDからなる群から選択され、X
15はG、AおよびVからなる群から選択され、X
16はNである、
抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含む抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前記重鎖可変領域と前記軽鎖可変領域の組み合わせは、以下の(a)~(e)のいずれか1つから選択される、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント:
(a)配列番号8、配列番号9および配列番号10にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む重鎖可変領域と、
配列番号12および配列番号13にそれぞれ示されるLCDR2およびLCDR3、ならびに配列番号11、47、48、49、50、51または52に示されるLCDR1を含む軽鎖可変領域;
(b)配列番号14、配列番号15および配列番号16にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む重鎖可変領域と、
配列番号17、配列番号12および配列番号18にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む軽鎖可変領域;
(c)配列番号21、配列番号22および配列番号23にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む重鎖可変領域と、
配列番号24、配列番号25および配列番号26にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む軽鎖可変領域;
(d)配列番号14、配列番号15および配列番号16にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む重鎖可変領域と、
配列番号12および配列番号13にそれぞれ示されるLCDR2およびLCDR3、ならびに配列番号11、47、48、49、50、51または52に示されるLCDR1を含む軽鎖可変領域;および
(e)配列番号8、配列番号9および配列番号10にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む重鎖可変領域と、
配列番号17、配列番号12および配列番号18にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む軽鎖可変領域;
好ましくは、前記抗PD-1抗体は、以下に示される重鎖可変領域と軽鎖可変領域の組み合わせを含む:
(a1)配列番号8、配列番号9および配列番号10にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む重鎖可変領域と、
配列番号49、配列番号12および配列番号13にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む軽鎖可変領域;または
(a2)配列番号21、配列番号22および配列番号23にそれぞれ示されるHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む重鎖可変領域と、
配列番号24、配列番号25および配列番号26にそれぞれ示されるLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む軽鎖可変領域。
【請求項3】
以下のiv)~vi)のいずれか1つから選択される重鎖可変領域と軽鎖可変領域の組み合わせを含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント:
iv)配列番号4の配列に示される重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2およびHCDR3と同じ配列を有するHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号5の配列に示される軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2およびLCDR3と同じ配列を有するLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む軽鎖可変領域;
v)配列番号6の配列に示される重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2およびHCDR3と同じ配列を有するHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号7の配列に示される軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2およびLCDR3と同じ配列を有するLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む軽鎖可変領域;および
vi)配列番号19の配列に示される重鎖可変領域のHCDR1、HCDR2およびHCDR3と同じ配列を有するHCDR1、HCDR2およびHCDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号20の配列に示される軽鎖可変領域のLCDR1、LCDR2およびLCDR3と同じ配列を有するLCDR1、LCDR2およびLCDR3を含む軽鎖可変領域。
【請求項4】
マウス抗体もしくはその抗原結合フラグメント、キメラ抗体もしくはその抗原結合フラグメント、完全ヒト抗体もしくはその抗原結合フラグメント、またはヒト化抗体もしくはその抗原結合フラグメントである、請求項1~3のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
請求項4に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前記抗PD-1抗体はヒト化抗体であり、前記ヒト化抗体は、ヒト抗体に由来するフレームワーク領域またはそのフレームワーク領域バリアントを含み、
前記フレームワーク領域バリアントは、前記ヒト抗体の前記軽鎖フレームワーク領域および/または前記重鎖フレームワーク領域のそれぞれに最大11個のアミノ酸復帰変異を有する;
好ましくは、前記フレームワーク領域バリアントは、以下の(f)~(h)のいずれか1つから選択される変異を含む:
(f)前記軽鎖可変領域に含まれる2Gアミノ酸復帰変異、および/または
前記重鎖可変領域に含まれる27Y、48I、67T、69L、82Fおよび93Tからなる群から選択される1個以上のアミノ酸復帰変異;
(g)前記軽鎖可変領域に含まれる2Vアミノ酸復帰変異、および/または
前記重鎖可変領域に含まれる26D、27F、30T、38K、43H、48I、66K、67A、69L、82Fおよび93Tからなる群から選択される1個以上のアミノ酸復帰変異;および
(h)前記軽鎖可変領域に含まれる42G、44Vおよび71Yからなる群から選択される1個以上のアミノ酸復帰変異、および/または
前記重鎖可変領域に含まれる1Kおよび/または94Sアミノ酸復帰変異;
ここで、前記アミノ酸の位置は、Kabat基準に従って番号付けおよび決定される。
【請求項6】
請求項4に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前記抗体の前記重鎖可変領域と前記軽鎖可変領域の前記組み合わせは、以下の(i)~(o):
(i)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号4に示されるとおりであるか、または配列番号4と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号5に示されるとおりであるか、または配列番号5と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;
(j)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号6に示されるとおりであるか、または配列番号6と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号7に示されるとおりであるか、または配列番号7と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;
(k)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号19に示されるとおりであるか、または配列番号19と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号20に示されるとおりであるか、または配列番号20と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;
(l)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号27、30、31もしくは32に示されるとおりであるか、または配列番号27、30、31もしくは32と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号28、29、34、35、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64に示されるとおりであるか、または配列番号28、29、34、35、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;
(m)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号33、36、37、38、39もしくは40に示されるとおりであるか、または配列番号33、36、37、38、39もしくは40と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号34、35、28、29、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64に示されるとおりであるか、または配列番号34、35、28、29、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63もしくは64と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;
(n)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号41、45もしくは46に示されるとおりであるか、または配列番号41、45もしくは46と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号42、43もしくは44に示されるとおりであるか、または配列番号42、43もしくは44と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;および
(o)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号70に示されるとおりであるか、または配列番号70と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号71に示されるとおりであるか、または配列番号71と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;
のいずれか1つから選択され、
好ましくは、前記重鎖可変領域と前記軽鎖可変領域の前記組み合わせは、
(p)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号27に示されるとおりであるか、または配列番号27と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号55に示されるとおりであるか、または配列番号55と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域;または
(q)重鎖可変領域であって、その配列は、配列番号46に示されるとおりであるか、または配列番号46と少なくとも90%の配列同一性を有する、重鎖可変領域、および/または
軽鎖可変領域であって、その配列は、配列番号43に示されるとおりであるか、または配列番号43と少なくとも90%の配列同一性を有する、軽鎖可変領域
から選択される、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前記抗体は抗体定常領域をさらに含む;好ましくは、前記抗体定常領域の前記重鎖定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG3およびIgG4定常領域ならびにそれらの従来のバリアントからなる群から選択され、前記抗体定常領域の前記軽鎖定常領域は、ヒト抗体κおよびλ鎖定常領域ならびにそれらの従来のバリアントからなる群から選択される;より好ましくは、前記抗体は、配列番号72または79に示される前記重鎖定常領域、および配列番号73に示される前記軽鎖定常領域を含む、抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前記抗PD-1抗体は、配列番号78に示される軽鎖および配列番号77もしくは82に示される重鎖を含むか、または前記抗PD-1抗体は、配列番号75に示される軽鎖および配列番号74、76、80もしくは81に示される重鎖を含む;好ましくは、前記抗PD-1抗体は、
配列番号74に示される重鎖および配列番号75に示される軽鎖、または
配列番号77に示される重鎖および配列番号78に示される軽鎖
を含む、
抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
前記抗原結合フラグメントは、Fab、Fab’、F(ab’)
2、一本鎖抗体(scFv)、二量体化V領域(ダイアボディ)およびジスルフィド結合安定化V領域(dsFv)からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項10】
前記抗体は、二重特異性抗体、多重特異性抗体または抗体融合タンパク質である、請求項1~9のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項11】
単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントであって、前記抗体は、請求項1~10のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体またはその抗原結合フラグメントと競合的にヒトPD-1に結合する、単離されたモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメント。
【請求項12】
治療有効量の請求項1~10のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは治療有効量の請求項11に記載の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントと、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤、緩衝液または賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~10のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードするか、または請求項11に記載の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントをコードする、核酸分子。
【請求項14】
請求項13に記載の核酸分子を含む、宿主細胞。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメントを使用するステップ、または
請求項11に記載の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントを使用するステップ
を含む、PD-1の免疫検出または決定のための方法。
【請求項16】
請求項1~10のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメントまたは請求項11に記載の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む、キット。
【請求項17】
治療有効量の請求項1~10のいずれか1項に記載の抗PD-1抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項11に記載の単離されたモノクローナル抗体もしくはその抗原結合フラグメント、または請求項12に記載の医薬組成物、または請求項13に記載の核酸分子を対象に投与することを含む、PD-1に関連する疾患を処置するための方法であって、前記疾患は好ましくは腫瘍であり;より好ましくは、前記疾患は、頭頸部扁平上皮癌(head and neck squamous cell carcinoma)、頭頸部癌、脳腫瘍、神経膠腫、多形性膠芽腫、神経芽細胞腫、中枢神経系癌、神経内分泌腫瘍、咽頭癌、鼻咽頭癌、食道癌、甲状腺癌、悪性胸膜中皮腫、肺癌、乳癌、肝臓癌、ヘパトーマ(hepatoma)、肝細胞癌、肝胆道癌、膵臓癌、胃癌、胃腸癌、腸癌、結腸癌、結腸直腸癌、腎臓癌、淡明細胞型腎細胞癌、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、膀胱癌、前立腺癌、精巣癌、皮膚癌、黒色腫、白血病、リンパ腫、骨肉腫、軟骨肉腫、骨髄腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、骨髄増殖性腫瘍、扁平上皮癌、ユーイング肉腫、全身性軽鎖アミロイドーシスおよびメルケル細胞癌からなる群から選択され;より好ましくは、前記リンパ腫は、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、T細胞/組織球に富む大細胞型B細胞リンパ腫(T-cell/histiocyte rich large B-cell lymphoma)およびリンパ形質細胞性リンパ腫からなる群から選択され、前記肺癌は、非小細胞肺癌および小細胞肺癌からなる群から選択され、前記白血病は、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、リンパ性白血病、リンパ芽球性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病および骨髄性白血病からなる群から選択され;最も好ましくは、前記疾患は、PD-L1陽性黒色腫(PD-L1 positive melanoma)、肺癌、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、腎臓癌、膀胱癌、腸癌および結腸癌からなる群から選択される、方法。
【誤訳訂正3】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】全図
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【国際調査報告】