(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-15
(54)【発明の名称】発電建材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
E04C 2/52 20060101AFI20220308BHJP
H01L 31/048 20140101ALI20220308BHJP
E04C 2/24 20060101ALI20220308BHJP
【FI】
E04C2/52 Z
H01L31/04 560
E04C2/24 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544514
(86)(22)【出願日】2019-09-09
(85)【翻訳文提出日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 CN2019104876
(87)【国際公開番号】W WO2020155628
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】201910097926.X
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910097919.X
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910098475.1
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910098347.7
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910098346.2
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910097914.7
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520294815
【氏名又は名称】フォトン テクノロジー (クンシャン) カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PHOTON TECHNOLOGY (KUNSHAN) CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 310 C1, Building 1, No.268 Dengyun Road, Yushan Town, Kunshan City, Suzhou Jiangsu 215300, China
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】ザン, ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リ, ヨンウ
【テーマコード(参考)】
2E162
5F151
【Fターム(参考)】
2E162EA17
2E162EA18
5F151BA03
5F151JA02
5F151JA06
(57)【要約】
発電建材及びその製造方法であって、前記発電建材は、光学調整層の観賞性及び保護性能を太陽電池の分野に適用し、建築の芸術性と発電性能を融合し、グリーンビルディングや環境配慮型建築による要件を満たす。表面層を硬化させてなる外面の質地がよく、前記発電建材は、建材のテクスチャや品質を有し、形態が多様化され、建築のスタイルや都市の景観を変えることはなく、応用の将来性が期待できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建材の外観を備える発電パネルであって、
半透明誘電体材料であって、380nm~1250nmの波長範囲内で、加重平均透過率が10%~85%、ヘイズが10%~95%である光学調整層が設けられ、
基材、発電層、光学調整層を備える、ことを特徴とする発電パネル。
【請求項2】
前記光学調整層の原料には光拡散剤が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の発電パネル。
【請求項3】
前記光拡散剤はポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、及びシリコーンのうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項2に記載の発電パネル。
【請求項4】
前記光学調整層の厚さが0.1mm~20mmである、ことを特徴とする請求項1に記載の発電パネル。
【請求項5】
前記光学調整層の材料は、光透過性セラミック、極薄石材、カラー水晶、及び光透過性人工石板のうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の発電パネル。
【請求項6】
前記光学調整層の材料は施釉ガラスをさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の発電パネル。
【請求項7】
前記光学調整層は、水蒸気透過率が0%~0.5%、硬さが4~9Hである、ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の発電パネル。
【請求項8】
前記基材は、ガラス、金属板、セメント系板材、石材、コンクリート、レンガ、セラミック、及びエンジニアリングプラスチックのうちの1種又は複数種を含み、
前記発電層は、単結晶シリコン太陽電池セル、多結晶シリコン太陽電池セル、セレン化銅インジウムガリウム太陽電池、ヒ化ガリウム太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウム太陽電池、色素増感太陽電池、銅亜鉛スズ硫黄太陽電池、又はペロブスカイト太陽電池を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の発電パネル。
【請求項9】
光学調整層を用いた発電パネルの製造方法であって、
発電層を基体上に付着して、正負極を引き出し、又は基材上に発電層を直接製造して、正負極を引き出すステップ1)と、
高温焼結、アニーリング、有機合成、粘着、印刷又はプリントの方法によって寸法が発電層と一致する光学調整層を製造し、光学調整層について表面加工を行うステップ2)と、
発電層上に接着膜、光学調整層を順次積層して、ラミネートして封止し、光学調整層を有する発電パネルを製造するステップ3)とを含む、製造方法。
【請求項10】
ステップ2)では、前記光学調整層について表面加工を行う方法は、光学調整層の表面について光学研削・研磨処理及び疎水化処理を行うことを含む、ことを特徴とする請求項9に記載の発電パネル。
【請求項11】
基材、発電層、光学制御層を含む発電パネルであって、
前記光学制御層は、光学誘電体相と模様相を組み合わせたものであり、模様相が光学誘電体相に分散しているか又は光学誘電体相の表面に分布しており、
前記光学制御層は、380nm~1250nmの波長範囲内で、加重平均透過率が10%~85%、厚さが0.01mm~10mmである、ことを特徴とする発電パネル。
【請求項12】
前記光学制御層は、380nm~1250nmの波長範囲内で、加重平均透過率が40%~85%、水蒸気透過率が0%~0.5%、硬さが4~9Hである、ことを特徴とする請求項11に記載の発電パネル。
【請求項13】
前記誘電体相は、石英、ガラス、樹脂、透明セラミック又は水晶材料のうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項11に記載の発電パネル。
【請求項14】
前記模様相は、大理石、花崗岩、マーブル、頁岩、及び砂岩のうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項11に記載の発電パネル。
【請求項15】
前記光学制御層は、施釉ガラス、極薄石材、及び光透過性人工樹脂板のうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項13又は14に記載の発電パネル。
【請求項16】
前記光学制御層の誘電体相に光拡散剤が添加されている、ことを特徴とする請求項11~13のいずれか1項に記載の発電パネル。
【請求項17】
前記模様相は色材をさらに含む、ことを特徴とする請求項11に記載の発電パネル。
【請求項18】
前記色材は、硫化ストロンチウム、セリア、酸化コバルト、銀、酸化銅、亜酸化銅、酸化鉄、酸化マンガン、及びセレンのうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項17に記載の発電パネル。
【請求項19】
前記色材は顔料及び染料のうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項17に記載の発電パネル。
【請求項20】
前記顔料の屈折率が1.4~2.5である、ことを特徴とする請求項19に記載の発電パネル。
【請求項21】
光学制御層を用いた発電パネルの製造方法であって、
発電層を基材上に付着して、正負極を引き出し、又は基材上に発電層を直接製造して、正負極を引き出すステップ1)と、
光学制御層を製造し、すなわち、塗布して室温で硬化させ、又は塗布して高温でアニーリングすることによって、光学制御層の誘電体相の表面に模様相を製造し、又は、誘電体相の製造において、誘電体相の原料に模様相を形成するのに必要な物質を添加するステップ2)と、
光学制御層について表面加工及び側面加工を行い、光学制御層の平坦度及び寸法を発電層相と適合させるステップ3)と、
発電層の受光面に接着膜、光学制御層を順次重ねて、ラミネートして封止し、光学制御層を有する発電パネルを製造するステップ4)とを含む、発電パネルの製造方法。
【請求項22】
太陽光発電建材であって、
表面層と発電層を含み、前記表面層は、300nm~1300nmの波長範囲内で、加重平均透過率が30%~85%、ヘイズが10%~99%である、ことを特徴とする太陽光発電建材。
【請求項23】
前記表面層は液体を硬化させて製造されたものであり、原料として硬化母液、光拡散剤、及び着色剤を含有する、ことを特徴とする請求項22に記載の太陽光発電建材。
【請求項24】
前記硬化母液は、シリコーンエマルジョン、ケイ酸塩水溶液、ポリウレタンエマルジョン、ポリアクリル酸エマルジョン、炭素-フッ素結合を含有する高分子ポリマーエマルジョンのうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項23に記載の太陽光発電建材。
【請求項25】
前記光拡散剤は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、及びシリコーンのうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項23に記載の太陽光発電建材。
【請求項26】
前記光拡散剤の寸法が0.8μm~7μmである、ことを特徴とする請求項23又は25に記載の太陽光発電建材。
【請求項27】
前記光拡散剤の質量分率は0.3%~4%である、ことを特徴とする請求項23又は25に記載の太陽光発電建材。
【請求項28】
前記着色剤は顔料及び/又は染料を含む、ことを特徴とする請求項23~25のいずれか1項に記載の太陽光発電建材。
【請求項29】
前記顔料の屈折率が1.4~2.5である、ことを特徴とする請求項28に記載の太陽光発電建材。
【請求項30】
前記顔料の粒子径が300nm以下である、ことを特徴とする請求項28に記載の太陽光発電建材。
【請求項31】
前記表面層の厚さが0.02~5mmである、ことを特徴とする請求項22に記載の太陽光発電建材。
【請求項32】
前記発電層は結晶性シリコン太陽電池モジュール又は薄膜太陽電池モジュールのうちの1種を含む、ことを特徴とする請求項22に記載の太陽光発電建材。
【請求項33】
前記発電層は基材、太陽電池層及び保護層を含む、ことを特徴とする請求項22に記載の太陽光発電建材。
【請求項34】
太陽光発電建材の製造方法であって、
硬化母液、光拡散剤及び着色剤を所定の割合で混合し、表面層混合原料を調製するステップ1)と、
発電層の表面に表面層混合原料を直接被覆して硬化させた表面層を発電層上に製造するステップ2)とを含む、太陽光発電建材の製造方法。
【請求項35】
前記表面層の硬化温度が-10℃~90℃、硬化時間が0.2s~48hである、ことを特徴とする請求項34に記載の方法。
【請求項36】
光発電機能を備える建築材料である発電建材であって、
建材化粧面保護層、光電変換層、及び建材基材層を含み、前記建材化粧面保護層は建材のテクスチャや品質を有し、且つ前記建材化粧面保護層は、300nm~1300nmの波長範囲内で、加重平均透過率が10%~85%である、ことを特徴とする発電建材。
【請求項37】
前記建材化粧面保護層の原料は母液と充填顔料を含み、
前記母液は、シリコーンエマルジョン、ケイ酸塩水溶液、ポリウレタンエマルジョン、ポリアクリル酸エマルジョン、炭素-フッ素結合を含有する高分子ポリマーエマルジョンのうちの1種又は複数種を含み、
前記充填顔料は、炭酸塩、酸化物、硫化物、セレン化物、硫酸塩、ケイ酸塩、フェロシアン化物、クロム酸塩、及びモリブデン酸塩のうちの1種又は複数種を含む無機顔料を用い、
前記充填顔料は、フタロシアニン、アゾ顔料、及び多環式顔料のうちの1種又は複数種を含む有機顔料を用いる、ことを特徴とする請求項36に記載の発電建材。
【請求項38】
前記建材化粧面保護層の厚さが0.01~5mmである、ことを特徴とする請求項36に記載の発電建材。
【請求項39】
前記建材化粧面保護層は、吸水率が8%以下、人工耐候性が600h以上、耐汚染性が20%以下、耐洗浄性が1000回以上、建材化粧面保護層と発電層との間の付着力が1MPa以上、建材化粧面保護層のモース硬度が3以上である、ことを特徴とする請求項36に記載の発電建材。
【請求項40】
前記建材基材層は吸水率0.5%以下の建築材料である、ことを特徴とする請求項36に記載の発電建材。
【請求項41】
前記光電変換層は薄膜太陽電池とバリア層を含み、前記薄膜太陽電池は、セレン化銅インジウムガリウム太陽電池、ヒ化ガリウム太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウム太陽電池、色素増感太陽電池、銅亜鉛スズ硫黄太陽電池又はペロブスカイト太陽電池を含む、ことを特徴とする請求項36に記載の発電建材。
【請求項42】
一対の正負電極を少なくとも含む、ことを特徴とする請求項36に記載の発電建材。
【請求項43】
請求項36~42のいずれか1項に記載の発電建材の製造方法であって、
建材の基材層を洗浄して、洗浄した建材基材層の表面上に太陽電池を構成するのに必要な各膜層を順次製造し、正負極を引き出すステップ1)と、
その後、太陽電池上にバリア層を製造し、太陽電池とともに光電変換層を構成するステップ2)と、
光電変換層の受光面上に、光電変換層の受光面に塗布した液体原料を硬化させて得た建材化粧面保護層を製造するステップ3)とを含む、発電建材の製造方法。
【請求項44】
前記建材化粧面保護層の製造方法は、手動スプレーコード、自動スプレーコード、刷毛塗り、スピンコート、プリント、印刷、スライドコート、ロールコード、ブレードコート又はコーティングを含む、ことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記建材化粧面保護層の硬化温度が-10℃~100℃、硬化時間が0.1s~72hである、ことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項46】
発電建材であって、
建材化粧面保護層、光電変換層、機能層、及び建材基材層を含み、
前記光電変換層は発電機能を有し、
前記建材化粧面保護層は前記光電変換層の第1の面に設けられ、前記機能層は前記光電変換層の第2の面に設けられ、前記建材基材層は前記機能層の前記光電変換層から離れる第4の面上に設けられ、前記光電変換層と前記建材基材層は前記機能層を介して粘着されている、ことを特徴とする発電建材。
【請求項47】
前記建材化粧面保護層の原料は母液と充填顔料を含み、
前記母液は、シリコーンエマルジョン、ケイ酸塩水溶液、ポリウレタンエマルジョン、ポリアクリル酸エマルジョン、及び炭素-フッ素結合を含有する高分子ポリマーエマルジョンのうちの1種又は複数種を含み、
前記充填顔料は、炭酸塩、酸化物、硫化物、セレン化物、硫酸塩、ケイ酸塩、フェロシアン化物、クロム酸塩、モリブデン酸塩、及び混合酸化物のうちの1種又は複数種を含む無機顔料を用い、
前記充填顔料は、フタロシアニン、アゾ顔料、及び多環式顔料のうちの1種又は複数種を含む有機顔料を用いる、ことを特徴とする請求項46に記載の発電建材。
【請求項48】
前記建材化粧面保護層の厚さが0.01~5mmであり、
前記建材化粧面保護層は建材のテクスチャや品質を有し、且つ300nm~1300nmの波長範囲内で、加重平均透過率が10%~85%である、ことを特徴とする請求項46に記載の発電建材。
【請求項49】
前記発電建材化粧面保護層は、吸水率が8%以下であり、凍結融解サイクルを50回繰り返しても破壊することがなく、人工耐候性が600h以上、耐汚染性が20%以下、耐洗浄性が1000回以上、建材化粧面保護層と光電変換層との間の付着力が1MPa以上、建材化粧面保護層のモース硬度が3以上であり、建材の諸性能の指標を満たす、ことを特徴とする請求項46に記載の発電建材。
【請求項50】
前記光電変換層は、バリア層付きの薄膜太陽電池チップ又は/及び結晶性シリコン太陽電池チップ、又は薄膜太陽電池モジュール又は/及び結晶性シリコン太陽電池モジュールを含む、ことを特徴とする請求項46に記載の発電建材。
【請求項51】
前記機能層は非酸性コロイド又は熱溶融性コロイドのうちの1種を含む、ことを特徴とする請求項46に記載の発電建材。
【請求項52】
前記発電建材は一対の正負電極を少なくとも含む、ことを特徴とする請求項46に記載の発電建材。
【請求項53】
前記建材化粧面保護層は液体を硬化させたものである、ことを特徴とする請求項46に記載の発電建材。
【請求項54】
請求項46~53のいずれか1項に記載の発電建材の製造方法であって、
建材基材層に機能層を設け、その後、光電変換層の第2の面を機能層上に密着させるステップ1)と、
機能層を介して建材基材層と光電変換層を粘着するステップ2)と、
光電変換層の第1の面に建材化粧面保護層の原料の混合液体を被覆して、硬化させて建材化粧面保護層を得るステップ3)とを含む、発電建材の製造方法。
【請求項55】
前記建材化粧面保護層は、手動スプレーコード、自動スプレーコード、刷毛塗り、スピンコート、プリント、印刷、スライドコート、ロールコード、ブレードコート又はコーティングの方法によって原料混合液体を光電変換層の第1の面上に製造したものである、ことを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記建材化粧面保護層の硬化温度が-10℃~100℃、硬化時間が0.1s~72hである、ことを特徴とする請求項54に記載の方法。
【請求項57】
発電建材であって、
表面層、光電変換装置、基材層、及び電極を含み、
前記光電変換装置には第1の面と第2の面が設けられ、第1の面が受光面であり、前記光電変換装置は電極に電気的に接続され、
前記基材層はエンジニアリング構造板材であり、光電変換装置の第2の面に付着されており、
前記表面層は光電変換装置の基材層から離れる第1の面に付着されており、光学制御材料であり、前記光学制御材料は建材のテクスチャや品質を有する半透明層であり、且つ前記半透明層は300nm~1300nmの波長範囲内で、加重平均透過率が10%~85%であり、
前記電極は、発電建材の底部及び/又は側辺に設けられる、ことを特徴とする発電建材。
【請求項58】
前記表面層は曇化散乱効果を有する光学誘電体材料と模様相からなり、
前記光学誘電体材料中に光学制御作用を有する微粒子が分布しており、ヘイズを引き起こし、前記光学制御作用を有する微粒子の寸法が0.1~2μmであり、
前記模様相は、酸化物、炭酸塩、硫化物、フタロシアニン、アゾ顔料、及び多環式顔料のうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項57に記載の発電建材。
【請求項59】
前記表面層の厚さが0.01~5mmである、ことを特徴とする請求項57に記載の発電建材。
【請求項60】
前記光電変換装置は、光誘起正孔収集裏電極、光誘起キャリア層、光誘起電子収集前電極、及びバリア層を順次含み、前記裏電極と前電極には電流収集装置が設けられ、前記電流収集装置は電極に電気的に接続される、ことを特徴とする請求項57に記載の発電建材。
【請求項61】
前記バリア層は、セラミック薄膜、高分子ポリマー、及び高分子ポリマー/ガラス複合膜のうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項60に記載の発電建材。
【請求項62】
前記基材層は、ガラス、金属板、セメント系繊維板、軟質プラスチック薄膜、及びセラミックタイルのうちの1種又は複数種を含むエンジニアリング構造板材である、ことを特徴とする請求項57に記載の発電建材。
【請求項63】
前記電極は一対の正負電極を少なくとも含み、少なくとも1つのバイパスダイオードをさらに含み、前記電極はジャック、プラグ又は/及びジャンクションボックスを介してシステム回路に接続される、ことを特徴とする請求項57に記載の発電建材。
【請求項64】
請求項57~63のいずれか1項に記載の発電建材の製造方法であって、
基材層を洗浄して乾燥させ、洗浄した基材層上に光電変換装置を付着し、正負電極を引き出すステップ1)と、
光電変換装置のバリア層上に混合した表面層液体原料を被覆して、液体原料を完全に硬化させて表面層を形成するステップ2)とを含む、発電建材の製造方法。
【請求項65】
前記表面層の製造方法は、手動スプレーコード、自動スプレーコード、刷毛塗り、スピンコート、プリント、印刷、スライドコート、ロールコード、ブレードコート又はコーティングを含む、ことを特徴とする請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記表面層の硬化温度が-10℃~100℃、硬化時間が0.1s~72hである、ことを特徴とする請求項64に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2019年1月31日に提出された、中国特許出願番号がそれぞれ201910097926.X、201910097919.X、201910098475.1、201910098347.7、201910098346.2、201910097914.7である特許出願の優先権を主張しており、この特許出願の全体は参照としてここに引用されている。
【技術分野】
【0002】
本発明は、建材一体型太陽光発電の技術分野に関し、具体的には、発電建材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、環境問題はますます深刻化しており、従来の化石エネルギーの燃焼による温室効果ガス排出量を削減するために、新エネルギーの普及は世界的に認められている。太陽光エネルギーは新エネルギーの中の主な1種であり、幾ら使っても使い尽くせないものであり、未来の主流エネルギーとして最も潜在力がある。しかし、これまで、太陽光エネルギーが都市部に利用されることは少なく、主な原因というと、既存のソーラー製品の外観が基本的に単調な黒灰青などの色を呈しており、大面積の利用が建築の審美と合致せず、都市景観を破壊しているためであり、そのため、太陽光発電と建築の2つの産業に存在する建材一体型太陽光発電(BIPV)の課題は解決されていない。しかしながら、世界平均の約70%のエネルギー消費は都市部で発生しており、都市部で太陽光エネルギーを大量に使用すること、すなわち本当の意味で建材一体型太陽光発電を実現することこそ、太陽光エネルギーを大規模で開発・運用するための最も有効な方法である。
【0004】
建材一体型太陽光発電を実現する最適な手段は、建築が太陽の照射を受ける外装面、屋根や地面に発電機能を持つ新型建材を設置することであり、このような新型建材を発電建材と呼んでいる。発電建材は太陽電池を内蔵しており、光エネルギーを電気エネルギーに変換可能であり、また、その表面に表現する材質やテクスチャが伝統的な建材製品、例えば大理石、花崗岩やセラミックタイルと一致し、しかも、高い割合の太陽光エネルギーを内蔵された太陽電池に直接到達させて光電変換作業を行うことを可能とするためにこのような表面層にまた高い光透過性の特性が求められる。最後に、発電建材は全体的に建材属性を満たしていなければならず、例えば、硬さ、強度、耐候性、耐食性、吸水率などの各指標は普通建材が達成すべき基準を満たしていなければならない。このような発電建材を伝統的な建築の外壁、屋根や地面の代わりに使用すると、都市や建築物の既存の景観の美学的特性に少しも影響を与えず、都市の文化と歴史を正常に伝承し、大衆の審美に合致する。
【0005】
これに基づいて、特許出願CN200420085961は、結晶性シリコン太陽電池が異なる色を呈するように異なる厚さ及び種類の光学反射防止膜を採用しており、特許出願CN201020272089は、ガラス基材と透明導電膜との間に光学誘電体膜層を追加し、光学誘電体膜層と透明ガラス基材、透明導電膜及びアモルファスシリコン膜とが太陽スペクトルを選択的に反射、吸収することのできるパッシブフィルタシステムを構成するようにした。入射角度が変化すると、カーテンウォールガラスの色が変化し、つまり、正面から見たカーテンウォールガラスの色と側面から見たカーテンウォールガラスの色が異なってもよい。特許出願CN201220200568は、電池セルを変更することなく、EVAやPVB接着膜の色を変更することにより、建物の色とマッチングすることを可能とする。
【0006】
前述の特許は太陽光発電モジュールに色彩を呈示させ、太陽光発電モジュールの応用範囲を広げることができるが、これらの太陽光発電モジュールが呈示する質感がガラスと類似しており、質感やテクスチャが単一であり、これらの欠点は依然として太陽光発電モジュールの建築分野における応用を制限している。また、これらの太陽光発電モジュールは依然として強化ガラスを封止保護表面層として採用しているので、鏡面反射による閃光や眩暈などの光害は存在している。そのため、上記太陽光発電モジュールは建築分野では大量に使用することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題に基づいて、本発明では、製造において厚さ、処方、プロセスを改良することにより、材料に高光透過性を持たせることができる。また、製造において、光学調整層に一定のヘイズを持たせることができ、即ち、光が光学調整層を透過した後に伝播方向に様々な角度の偏向が生じていても、発電層により吸収され、ただし、保護層下の電池モジュールの表面の色が人の目により視認できず、上記材料は良好な装飾効果を有するとともに、優れた光学透過率を有し、「光学調整層」と呼ばれる。
【0008】
光学調整層を太陽電池の保護層とすると、太陽電池モジュールへの保護作用に加えて、発電パネルの外観性を兼ね備える。厚さ、処方、プロセスを改良することで、光学調整層に一定の光透過性及びヘイズを持たせることにより、建築物内の電気製品に効果的に給電し、建築のエネルギー消費を削減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の具体的な技術案は以下のとおりである。
【0010】
本発明は、半透明誘電体材料であって、380nm~1250nmの波長範囲内で、加重平均透過率が10~85%、ヘイズが10%~95%である光学調整層が設けられ、
基材、発電層、光学調整層を含む、建材の外観を備える発電パネルを提供する。
【0011】
好ましくは、前記発電層は接着膜を介して前記光学調整層に粘着され、前記光学調整層は基材上に直接堆積するか、又は接着膜を介して基材上に接着される。
【0012】
好ましくは、前記接着膜はエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレン-ブテン共重合体(POE)又はシリカゲルを含む。
【0013】
好ましくは、前記光学調整層の原料には光拡散剤が含まれる。光拡散剤は曇化散乱効果を引き起こし、大部分の透過ビームが様々な方向に偏向し、それにより、光学調整層よりも後方の膜層が目により明瞭に視認できず、また高透過率が維持される。
【0014】
好ましくは、前記光拡散剤はポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、及びシリコーンのうちの1種又は複数種を含む。これらの光拡散剤の材質自体がほとんどの光子を透過させ、且つ光拡散剤の屈折率が光拡散剤を分散させる樹脂媒体の屈折率に近く、光線が複数回屈折されても、透過光の損失が少なく、このように、高透過化の作用を果たし、また、光線が複数回屈折されるため、光学制御層を透過した出射光の方向が入射光の方向から偏向し、光学制御層よりも後方の太陽電池層が目により視認できず、このように、太陽電池を隠すような役割を果たす。
【0015】
好ましくは、前記光学調整層の厚さが0.1mm~20mmである。
【0016】
好ましくは、前記光学調整層の材料は、光透過性セラミック、極薄石材、カラー水晶、及び光透過性人工樹脂板のうちの1種又は複数種を含む。
【0017】
好ましくは、前記極薄石材の厚さが0.5~5mmである。
【0018】
好ましくは、前記光学調整層の材料は施釉ガラスをさらに含む。
【0019】
好ましくは、前記光学調整層は、水蒸気透過率が0%~0.5%、硬さが4~9Hである。発電パネルを、例えば中国東南沿海、雲南省南部、江南丘陵の一部の地域、四川や貴州、海南島の一部の地域など、空気湿度が80%より大きい高空気湿度の地域に応用する場合、発電パネルの水蒸気透過率に対する要求は厳しく、0%が適当である。発電パネルを、例えば西北内陸盆地、チベット北高原など、空気湿度が30%未満の低空気湿度の地域に応用する場合、発電パネルの水蒸気透過率に対する要求は緩い。同様に、気候が悪く、災害性天気が頻発する地域では、好ましくは硬さの高い発電パネルを選択し、気候が温和で安定している地域では、硬さの低い発電パネルを選択することができる。
【0020】
好ましくは、前記基材は、ガラス、金属板、セメント系板材、石材、コンクリート、レンガ、セラミック、エンジニアリングプラスチックのうちの1種又は複数種を含み、前記発電層は、単結晶シリコン太陽電池セル、多結晶シリコン太陽電池セル、セレン化銅インジウムガリウム太陽電池、ヒ化ガリウム太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウム太陽電池、色素増感太陽電池、銅亜鉛スズ硫黄太陽電池又はペロブスカイト太陽電池を含む。
【0021】
本発明は、
発電層を基体上に付着して、正負極を引き出し、又は基材上に発電層を直接製造して、正負極を引き出すステップ1)と、
高温焼結、アニーリング、有機合成、粘着、印刷又はプリントの方法によって寸法が発電層と一致する光学調整層を製造し、光学調整層について表面加工を行う光学調整層のステップ2)と、
発電層上に接着膜、光学調整層を順次積層して、ラミネートして封止し、光学調整層を有する発電パネルを製造するステップ3)とを含む、建材の外観を備える発電パネルの製造方法を提供する。
【0022】
好ましくは、単結晶シリコン太陽電池セル又は多結晶シリコン太陽電池セルを発電層として用いると、ステップ1)では、基材の表面をクリーニングし、基材の表面に接着膜層を設け、次に単結晶シリコン太陽電池セル又は多結晶シリコン太陽電池セルを接着膜の表面に設け、正負極を引き出す。
【0023】
好ましくは、ステップ2)では、前記光学調整層に対する表面加工は、光学調整層の表面について光学研削・研磨処理及び疎水化処理を行うことを含む。
【0024】
好ましくは、ステップ2)では、高温焼結の温度が120~620℃である。
【0025】
好ましくは、ステップ3)の封止プロセスは、a.各辺ごとに10~15mmの長さを残して接着膜を敷設することと、b.バスバーを引き出して、外観検査及び電気検査を行うことと、c.基材又は光学制御層を上下で完全に被覆した後、一体としてラミネータに入れて、0.01Pa以下まで真空吸引することと、d.硬化温度を70~175℃、硬化時間を5~30分間とすることと、e.ラミネートプロセスを完了すると取り出すこととを含む。
【0026】
好ましくは、光学調整層は、光透過性セラミックシートである場合、水蒸気透過率が0%~0.5%、硬さが6~9Hである。
【0027】
表面加工:焼結後の製品の表面について研削・研磨及び疎水化処理を行い、光透過性に優れ、観賞性を有する光透過性セラミックシートとする。
【0028】
好ましくは、焼結後の製品について疎水化処理を行い、光透過性セラミックシートを、セチルトリメトキシシランを含有する無水エタノールに浸漬し、その後、浸漬した光透過性セラミックを75~100℃で7~10h乾燥させる。
【0029】
光透過性セラミックの表面に、本分野で公知の技術である施釉処理を行う。
【0030】
ここで、施釉処理とは、焼結後の製品の表面を乾燥させて洗浄し、プリント、釉薬吹き付け、釉薬塗りなどの方式により表面にパターンを描画することである。製造した光透過性カラーセラミックは、緻密性、耐食性や硬さが高い。
【0031】
製造した光透過性セラミックを発電層の表面に被覆して光学調整層とする。発電層と光学調整層をEVAやPVBなどの接着膜で粘着し、ラミネートしてシールし、両方を絶縁させ、太陽電池を水蒸気から遮断させる。このように、光透過性セラミック光学調整層を有する発電パネルの製造が完了する。
【0032】
好ましくは、光学調整層は、極薄石材である場合、厚さが0.1mm~5mm。水蒸気透過率が0%~0.5%、硬さが6~8Hである。製造プロセスは以下のとおりである。
1)石材として頁岩、堆積岩を用いて、その表面を研削・研磨してクリーニングする。
2)平坦に磨かれた石材の表面に硬化性接着剤を塗工し、次に、この表面にガラス繊維布を1層被覆する。25~300℃で10min~1h静置して接着剤を硬化させ、上記ステップを1回繰り返す。
好ましくは、使用される硬化性接着剤は、常温硬化性接着剤、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂接着剤などであってもよく、高温硬化性接着剤、例えばシリコーン接着剤、フェノールホルムアルデヒド樹脂接着剤、尿素ホルムアルデヒド樹脂接着剤、ポリイミド接着剤などであってもよい。
3)機械的手段によってガラス繊維布を石材基体から剥がし、表面に石材が付いたガラス繊維布を得て、剥がした石材の繊維布から離れる表面を研磨する。
4)次に、ガラス繊維布と剥がした石材をアセトン溶液で分離する。
【0033】
上記極薄石材製品について疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する極薄石材光学調整層を形成する。
【0034】
製造した光学調整層を発電層の表面に被覆する。発電層と光学調整層をEVA、PVB、POEなどの粘着剤で粘着し、ラミネートしてシールし、両方を絶縁させさせる。太陽電池を水蒸気から遮断させる。このように、極薄石材の発電パネルの製造が完了する。
【0035】
本発明で製造される極薄石材は、耐食性や硬さが高く、人体に無害である。極薄石材は、岩石の美しい外観があるので、良好な装飾性を備える。
【0036】
好ましくは、光学調整層は、光透過性人工樹脂シートである場合、厚さが1mm~20mm、水蒸気透過率が0~0.5%、硬さが4~8Hである。製造ステップは、粉体配合、成形、硬化、表面加工を含む。
【0037】
粉体配合:不飽和ポリエステル樹脂20~40重量部、シリコーン樹脂16~30重量部、架橋剤1~3重量部、カラーペースト0.1~1重量部、水酸化アルミニウム14~22重量部、炭酸カルシウム10~20重量部、促進剤0.5~3重量部、二酸化チタン3~5重量部、及び硬化剤1~3重量部。
【0038】
使用される架橋剤は過酸化ベンゾイル、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ジエチレントリアミン、ポリスチレンのうちの1種又は複数種である。
【0039】
使用される促進剤はトリエチレンジアミン、塩化鉄(III)、イソオクタン酸亜鉛、ジブチルスズジラウレートのうちの1種又は複数種である。
【0040】
使用される硬化剤はビニルトリアミン及びエチレンジアミンのうちの1種又は複数種である。
【0041】
また、分散剤としてトリポリリン酸ナトリウム、シリコーン光拡散剤を添加して曇化散乱効果を達成させてもよい。
【0042】
使用されるカラーペーストは無機顔料0.1~1重量部を含み、前記無機顔料は天然鉱物顔料及び/又は人工顔料を含み、天然鉱物顔料はマラカイトグリーン、カーボンブラック、雲母、珊瑚、及び雄黄のうちの1種又は複数種を含み、人工顔料はベンガラ、黄色酸化鉄、チタン白、クロムイエロー、及び紺青のうちの1種又は複数種を含む。
【0043】
好ましくは、前記カラーペーストは有機顔料を用いてもよく、有機顔料は0.1~1重量部であり、前記有機顔料は、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、トリアリールメタン顔料、及び多環式顔料のうちの1種又は複数種を含む。
【0044】
必要な光学調整層の厚さに応じて、上記粉体材料を真空撹拌機に投入して撹拌して混合し、均一に撹拌した不飽和ポリエステル樹脂混合材を得る。
【0045】
成形:厚さの要件に応じて所定重量の上記粉体材料を秤量し、金型に入れて真空吸引し、鋳込み成形する。
【0046】
硬化:20~100℃以下で静置して、1~5h硬化成形し、所望の形状(板状)の生地を得る。
【0047】
表面加工:上記生地製品について光学研削・研磨処理及び疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する光透過性人工樹脂板とする。
【0048】
本発明で製造される光透過性人工樹脂板は、緻密性、耐食性、硬さが高く、人体に無害である。
【0049】
製造した光学調整層を発電層の表面に被覆する。発電層と光学調整層をEVAやPVBなどで粘着し、ラミネートしてシールし、両方を絶縁させ、太陽電池を水蒸気から遮断させる。このように、光透過性人工樹脂板を用いた発電パネルの製造が完了する。
【0050】
好ましくは、光学調整層は、施釉ガラスである場合、基体と釉層を含み、基体が厚さ0.1mm~10mmの建築用ガラスである。釉層を製造するステップは、具体的には、スラリー製造、印刷塗布、ベーク、焼結を含む。
【0051】
スラリー製造:スラリーは、曹長石70~75重量部、石英石15~20重量部、炭酸カルシウム3~6重量部、滑石粉3~8重量部、ケイ酸カルシウム10~20重量部、アルミナ3~4重量部、水酸化ナトリウム1~5重量部、及びカラーペースト0.1~1重量部を含む。
【0052】
使用されるカラーペーストは無機顔料0.1~1部を含み、前記無機顔料は天然鉱物顔料及び/又は人工顔料を含み、天然鉱物顔料はマラカイトグリーン、カーボンブラック、雲母、珊瑚、及び雄黄のうちの1種又は複数種を含み、人工顔料はベンガラ、黄色酸化鉄、チタン白、クロムイエロー、及び紺青のうちの1種又は複数種を含む。
【0053】
好ましくは、前記カラーペーストは有機顔料を用いてもよく、有機顔料は0.1~1重量部であり、前記有機顔料はアゾ顔料、フタロシアニン顔料、トリアリールメタン顔料、及び多環式顔料のうちの1種又は複数種を含む。上記材料を水に加え、ボールミリングにより加えた固体の粒子径を低下させて、水中に均一に分散させてスラリーとし、均一に撹拌する。
【0054】
塗工厚さ0.01~5mmでプリントによりスラリーを産業用ガラスに塗工する。プリントに際して、様々なスプレーヘッドが利用可能であり、フローマークがないようにスプレーヘッドの隣に加熱用エアガンが設けられ、このようなスプレーヘッドはプリントスラリーの流量をより正確に制御できる。
【0055】
次に、スラリーが塗工されたガラスをオーブンに入れて、25~100℃で30min~2h焼いて乾燥させる。
【0056】
さらに、乾燥後のスラリー/ガラスをキルンに入れて、550℃~750℃で1~8h焼成する。
【0057】
製造した光学調整層を発電層の表面に被覆する。発電層と光学調整層をEVA、PVBで粘着し、ラミネートしてシールし、両方を絶縁させる。太陽電池を水蒸気から遮断させる。施釉ガラスを用いた発電パネルの製造が完了する。
【0058】
従来技術に比べて、本発明の建材の外観を備える発電パネルの利点は以下のとおりである。
【0059】
1)本発明では、太陽電池と光学調整層を有機的に組み合わせて、発電パネルを製造し、それにより、この発電パネルは良好な発電効果を有するとともに、高い装飾性がある。
【0060】
2)本発明では、硬さの高い光学調整層が使用され、太陽光発電モジュールの室外での適用をサポートし、また、高い光透過度及びヘイズを有し、発電パネルの変換効率が高くなる。
【0061】
3)本発明の光学調整層は、良好な疎水性を有し、電池の耐用年数をさらに延ばす。
【0062】
4)本発明で使用される光学調整層は、高い結合力や高耐候性の特徴を有する。
【0063】
さらに、本発明は、基材、発電層、光学制御層を含む発電パネルであって、前記光学制御層は、光学誘電体相と模様相を組み合わせたものであり、模様相が光学誘電体相に分散しているか又は光学誘電体相の表面に分布しており、
前記光学制御層は、380nm~1250nmの波長範囲内で、加重平均透過率が10~85%、厚さが0.01mm~10mmであることを特徴とする発電パネルを提供する。
【0064】
好ましくは、前記光学制御層は、380nm~1250nmの波長範囲内で、加重平均透過率が40~85%、水蒸気透過率が0%~0.5%、硬さが4~9Hである。発電パネルを、例えば中国東南沿海、雲南省南部、江南丘陵の一部の地域、四川や貴州、海南島の一部の地域など、空気湿度が80%より大きい高空気湿度の地域に応用する場合、発電パネルの水蒸気透過率に対する要求は厳しく、0%が適当である。発電パネルを、例えば西北内陸盆地、チベット北高原など、空気湿度が30%未満の低空気湿度の地域に応用する場合、発電パネルの水蒸気透過率に対する要求は緩い。同様に、気候が悪く、災害性天気が頻発する地域では、好ましくは硬さの高い発電パネルを選択し、気候が温和で安定している地域では、硬さの低い発電パネルを選択することができる。
【0065】
好ましくは、前記誘電体相は、石英、ガラス、樹脂、透明セラミック又は水晶材料のうちの1種又は複数種を含む。誘電体相材料は、全て、380nm~1250nmの波長範囲内で高い透過率を有し、変換効率の高い発電パネルの製造に有利であり、
好ましくは、前記模様相は、大理石、花崗岩、マーブル、頁岩、及び砂岩のうちの1種又は複数種を含む。模様相は、天然石材の材料を用いてもよいし、模造天然石材の材料を用いてもよい。
【0066】
好ましくは、前記光学制御層は、施釉ガラス、極薄石材、及び光透過性人工樹脂板のうちの1種又は複数種を含む。施釉ガラスは、カラー釉層の模様相を光子透過率の高いガラス誘電体相の表面に被覆したものであり、極薄石材は天然頁岩石材の模様相を光子透過率の高いガラス、樹脂媒体相の表面に貼り付けたものであり、好ましくは、前記極薄石材の厚さが0.05mm~2mmであり、光透過性人工樹脂板は、模造天然石材の模様相を樹脂に分散させたものである。
【0067】
好ましくは、前記光学制御層の誘電体相には光拡散剤が添加されている。
【0068】
好ましくは、前記光拡散剤は有機光拡散剤であり、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、及びシリコーンのうちの1種又は複数種を含む。これらの光拡散剤の材質自体がほとんどの光子を透過させ、且つ光拡散剤の屈折率が光拡散剤を分散させる樹脂媒体の屈折率に近く、光線が複数回屈折されても、透過光の損失が少なく、このように、高透過化の作用を果たし、また、光線が複数回屈折されるため、光学制御層を透過した出射光の方向が入射光の方向から偏向し、光学制御層よりも後方の太陽電池層が目により視認できず、このように、太陽電池を隠すような役割を果たす。
【0069】
好ましくは、前記模様相は色材をさらに含む。これらの色材自体は一定の色を持っており、又は光学誘電体相に添加されて特定の色を示す。
【0070】
好ましくは、前記色材は、硫化ストロンチウム、セリア、酸化コバルト、銀、酸化銅、亜酸化銅、酸化鉄、酸化マンガン、及びセレンのうちの1種又は複数種を含む。
【0071】
好ましくは、前記色材は、顔料及び染料のうちの1種又は複数種を含む。
【0072】
好ましくは、前記染料が光学誘電体相に分布すると、高透明性、高着色力のある外観が示される。
【0073】
好ましくは、前記顔料の屈折率が1.4~2.5である。顔料の屈折率は好ましくは光学誘電体相の屈折率に近く、使用される顔料の屈折率が高すぎると、透明度に悪影響を及ぼす。
【0074】
好ましくは、前記基材は、ガラス、金属板、セメント系板材、石材、コンクリート、レンガ、セラミック、エンジニアリングプラスチックのうちの1種又は複数種を含み、
前記発電層は、単結晶シリコン太陽電池セル、多結晶シリコン太陽電池セル、セレン化銅インジウムガリウム太陽電池、ヒ化ガリウム太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウム太陽電池、色素増感太陽電池、銅亜鉛スズ硫黄太陽電池又はペロブスカイト太陽電池を含む。
【0075】
好ましくは、前記発電層は接着膜をさらに含み、接着膜を介して前記光学制御層に粘着されている。発電層として単結晶シリコン太陽電池セル、多結晶シリコン太陽電池セルが使用され、電池セルは接着膜を介して基材に接着される。
【0076】
好ましくは、前記接着膜は熱溶融性コロイド、非酸性コロイドのうちのいずれか1種を含む。
【0077】
本発明は、
発電層を基材上に付着して、正負極を引き出し、又は基材上に発電層を直接製造し、正負極を引き出すステップ1)と、
光学制御層を製造し、すなわち、塗布して室温で硬化させ、又は塗布して高温でアニーリングすることによって、光学制御層の誘電体相の表面に模様相を製造し、又は、誘電体相の製造において、誘電体相の原料に模様相を形成するのに必要な物質を添加するステップ2)と、
光学制御層について表面加工及び側面加工を行い、光学制御層の平坦度及び寸法を発電層相と適合させるステップ3)と、
発電層の受光面に接着膜、光学制御層を順次重ねて、ラミネートして封止し、光学制御層を有する発電パネルを製造するステップ4)とを含む、光学制御層を用いた発電パネルの製造方法を提供する。
【0078】
好ましくは、ステップ2)では、前記高温アニーリングの温度が120℃~620℃である。
【0079】
好ましくは、ステップ3)では、前記光学制御層に対する表面加工は、光学制御層の表面について光学研削・研磨処理及び疎水化処理を行うことを含む。
【0080】
好ましくは、ステップ4)の封止プロセスは、a.各辺ごとに10~15mmの長さを残して接着膜を敷設することと、b.バスバーを引き出し、外観検査及び電気検査を行うことと、c.基材又は光学制御層を上下で完全に被覆した後、一体としてラミネータに入れて、0.01Pa以下まで真空吸引することと、d.硬化温度を70~175℃、硬化時間を5~30分間とすることと、e.ラミネートプロセスを完了すると取り出すこととを含む。
【0081】
好ましくは、光学制御層は、光透過性セラミックシートである場合、厚さが0.1mm~5mmである。水蒸気透過率が0~0.5%、硬さが6~9Hである。
【0082】
表面加工:焼結後の製品の表面について研削・研磨及び疎水化処理を行い、光透過性に優れ、観賞性を有する光透過性セラミックシートとする。
【0083】
好ましくは、焼結後の製品について疎水化処理を行い、光透過性セラミックシートを、セチルトリメトキシシランを含有する無水エタノールに浸漬し、その後、浸漬した光透過性セラミックを75~100℃で7~10h乾燥させる。
【0084】
光透過性セラミックの表面に、本分野で公知の技術である施釉処理を行う。
【0085】
ここで、施釉処理とは、焼結後の製品の表面を乾燥させて洗浄し、プリント、釉薬吹き付け、釉薬塗りなどの方式により表面にパターンを描画することである。製造した光透過性カラーセラミックは、緻密性、耐食性や硬さが高い。
【0086】
製造した光透過性セラミックを発電層の表面に被覆して光学制御層とする。発電層と光学制御層をEVAやPVBなどの接着膜で粘着し、ラミネートしてシートし、両方を絶縁させ、太陽電池を水蒸気から遮断させる。このように、光透過性セラミック光学制御層付きの発電パネルの製造が完了する。
【0087】
好ましくは、光学制御層は、極薄石材である場合、厚さが2mm~20mmである。水蒸気透過率が0~0.5%、硬さが6~8Hである。製造プロセスは以下のとおりである。
1)石材として頁岩、堆積岩を用いて、その表面を研削・研磨してクリーニングする。
2)平坦に磨かれた石材の表面に硬化性接着剤を塗工し、次に、この表面にガラス繊維布/透明樹脂を1層被覆する。25~300℃で10min~1h静置して接着剤を硬化させる。
【0088】
好ましくは、使用される硬化性接着剤は、常温硬化性接着剤、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂接着剤などであってもよく、高温硬化性接着剤、例えばシリコーン接着剤、フェノールホルムアルデヒド樹脂接着剤、尿素ホルムアルデヒド樹脂接着剤、ポリイミド接着剤などであってもよい。
3)機械的手段によってガラス繊維布を石材基体から剥がし、表面に石材が付いたガラス繊維布を得て、剥がした石材の繊維布から離れる表面を研磨する。
4)次に、ガラス繊維布と剥がした石材をアセトン溶液で分離する。
【0089】
上記極薄石材製品について疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する極薄石材光学制御層を形成する。
【0090】
製造した光学制御層を発電層の表面に被覆する。発電層と光学調整層をEVA、PVBなどの粘着剤で粘着し、ラミネートしてシールし、両方を絶縁させる。太陽電池を水蒸気から遮断させる。極薄石材を用いた発電パネルの製造が完了する。
【0091】
本発明で製造される極薄石材は、耐食性や硬さが高く、人体の健康に無害である。極薄石材は岩石の美しい外観やテクスチャーを有し、良好な装飾性を備える。
【0092】
好ましくは、光学制御層は、光透過性人工樹脂シートである場合、厚さが1mm~20mmである。水蒸気透過率が0~0.5%、硬さが4~8Hである。製造ステップは、粉体配合、成形、硬化、表面加工を含む。
【0093】
粉体配合:不飽和ポリエステル樹脂20~40重量部、シリコーン樹脂16~30重量部、架橋剤1~3重量部、カラーペースト0.1~1重量部、水酸化アルミニウム14~22重量部、炭酸カルシウム10~20重量部、促進剤0.5~3重量部、二酸化チタン3~5重量部、及び硬化剤1~3重量部を含む。
【0094】
使用される架橋剤は過酸化ベンゾイル、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ジエチレントリアミン、ポリスチレンのうちの1種又は複数種である。
【0095】
使用される促進剤はトリエチレンジアミン、塩化鉄(III)、イソオクタン酸亜鉛、ジブチルスズジラウレートのうちの1種又は複数種である。
【0096】
使用される硬化剤はビニルトリアミン及びエチレンジアミンのうちの1種又は複数種である。
【0097】
また、分散剤としてトリポリリン酸ナトリウムを添加してもよい。
【0098】
使用されるカラーペーストは無機顔料0.1~1重量部を含み、前記無機顔料は天然鉱物顔料及び/又は人工顔料を含み、天然鉱物顔料はマラカイトグリーン、カーボンブラック、雲母、珊瑚、及び雄黄のうちの1種又は複数種を含み、人工顔料はベンガラ、黄色酸化鉄、チタン白、クロムイエロー、及び紺青のうちの1種又は複数種を含む。
【0099】
好ましくは、前記カラーペーストは有機顔料を用いてもよく、有機顔料は0.1~1重量部であり、前記有機顔料はアゾ顔料、フタロシアニン顔料、トリアリールメタン顔料、及び多環式顔料のうちの1種又は複数種を含む。
【0100】
必要な光学調整層の厚さに応じて、上記粉体材料を真空撹拌機に投入して撹拌して混合し、均一に撹拌した不飽和ポリエステル樹脂混合材を得る。
【0101】
成形:厚さの要件に応じて所定重量の上記粉体材料を秤量し、金型に入れて真空吸引し、鋳込み成形する。
【0102】
硬化:20~100℃以下で静置して、1~5h硬化成形し、所望の形状(板状)の生地を得る。
【0103】
表面加工:上記生地製品について光学研削・研磨処理及び疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する光透過性人工樹脂板とする。
【0104】
本発明で製造される光透過性人工樹脂板は、緻密性、耐食性、硬さが高く、人体に無害である。
【0105】
製造した光学制御層を発電層の表面に被覆する。発電層と光学制御層をEVA、PVBなどで粘着し、ラミネートしてシートし、両方を絶縁させ、太陽電池を水蒸気から遮断させる。光透過性人工樹脂板を用いた発電パネルの製造が完了する。
【0106】
好ましくは、光学制御層は、施釉ガラスである場合、基体と釉層を含み、基体が厚さ0.1mm~10mmの建築用ガラスである。釉層を製造するステップは、具体的には、スラリー製造、印刷塗布、ベーク、焼結を含む。
【0107】
スラリー製造:スラリーは、曹長石70~75重量部、石英石15~20重量部、炭酸カルシウム3~6重量部、滑石粉3~8重量部、ケイ酸カルシウム10~20重量部、アルミナ3~4重量部、水酸化ナトリウム1~5重量部、及びカラーペースト0.1~1重量部を含む。
【0108】
使用されるカラーペーストは無機顔料0.1~1部を含み、前記無機顔料は天然鉱物顔料及び/又は人工顔料を含み、天然鉱物顔料はマラカイトグリーン、カーボンブラック、雲母、珊瑚、及び雄黄のうちの1種又は複数種を含み、人工顔料はベンガラ、黄色酸化鉄、チタン白、クロムイエロー、及び紺青のうちの1種又は複数種を含む。
【0109】
好ましくは、前記カラーペーストは有機顔料を用いてもよく、有機顔料は0.1~1重量部であり、前記有機顔料はアゾ顔料、フタロシアニン顔料、トリアリールメタン顔料、及び多環式顔料のうちの1種又は複数種を含む。上記材料を水に加え、ボールミリングにより加えた固体の粒子径を低下させて、中水中に均一に分散させてスラリーとし、均一に撹拌する。
【0110】
塗工厚さ0.01~5mmでプリントによりスラリーを産業用ガラスに塗工する。プリントに際して、様々なスプレーヘッドが利用可能であり、フローマークがないようにスプレーヘッドの隣に加熱用エアガンが設けられ、このようなスプレーヘッドはプリントスラリーの流量をより正確に制御できる。
【0111】
次に、スラリーが塗工されたガラスをオーブンに入れて、25~100℃で30min~2h焼いて乾燥させる。
【0112】
さらに、乾燥後のスラリー/ガラスをキルンに入れて、550℃~750℃で1~8h焼成する。
【0113】
製造した光学制御層を発電層の表面に被覆する。発電層と光学制御層をEVA、PVBで粘着し、ラミネートしてシールし、両方を絶縁させる。太陽電池を水蒸気から遮断させる。施釉ガラスを用いた発電パネルの製造が完了する。
【0114】
従来技術に比べて、本発明の発電パネルの利点は以下のとおりである。
【0115】
1)本発明では、太陽電池と光学制御層を有機的に組み合わせて、発電パネルを製造し、それにより、この発電パネルは良好な発電効果を有するとともに、高い装飾性がある。
【0116】
2)本発明では、硬さの高い光学制御層が使用され、太陽光発電モジュールの室外での適用をサポートし、また、高い光透過度及びヘイズを有し、発電パネルの変換効率が高くなる。
【0117】
3)本発明の光学制御層は、良好な疎水性を有し、電池の耐用年数をさらに延ばす。
【0118】
4)本発明で使用される光学制御層は、高い結合力や高耐候性の特徴を有する。
【0119】
さらに、従来技術における太陽光発電電池に存在する様々な欠陥に対して、本発明は、建築分野用の太陽光発電建材を提供することも目的とし、このような太陽光発電建材が示す質感やテクスチャはガラスの質感やテクスチャに限定されるものではなく、よく見られる大理石や花崗岩などの天然石材が示す外観を表現することができる。このような太陽光発電建材の表面層の材料の処方を変更することによって、建材が所望の様々な色の外観及び豊富な質感やテクスチャを示すことができる。このような太陽光発電建材は、建築の外観やスタイルを破壊することなく、建築物において太陽照射を十分に開発して利用することができ、将来性が期待できる。
【0120】
本発明の具体的な技術案は以下のとおりである。
【0121】
本発明は、表面層と発電層を含む太陽光発電建材を提供する。
【0122】
前記表面層は、300nm~1300nmの波長範囲内で、加重平均透過率が30%~85%、ヘイズが10%~95%である。
【0123】
好ましくは、前記表面層の原料は、硬化母液、光拡散剤、及び着色剤を含有する。
【0124】
好ましくは、前記硬化母液は、シリコーンエマルジョン、ケイ酸塩水溶液、ポリウレタンエマルジョン、ポリアクリル酸エマルジョン、炭素-フッ素結合を含有する高分子ポリマーエマルジョンのうちの1種又は複数種を含む。
【0125】
好ましくは、前記光拡散剤は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、及びシリコーンのうちの1種又は複数種を含む。
【0126】
好ましくは、前記光拡散剤は、寸法分布が0.8μm~7μmの球状である。
【0127】
好ましくは、硬化原料中、前記光拡散剤の質量分率は0.3%~4%である。
【0128】
ミー理論によれば、球状粒子が樹脂基体に均一に分散していると、系の散乱光強度が粒子の粒子径及びその周囲の誘電体に対する粒子の屈折率と密に関連している。一定の範囲では、粒子の粒子径が大きいほど、屈折率の差が大きく、散乱光強度が高い。本発明では、使用される光拡散剤は有機光拡散剤であり、これらの光拡散剤の材質自体がほとんどの光子を透過させ、且つ光拡散剤の屈折率が光拡散剤を分散させるエマルジョン媒体の屈折率に近く、その相対屈折率が0.90~0.99又は1.01~1.10であり、光線が複数回屈折されても、透過光の損失が少なく、このように、高透過化の作用を果たし、また、光線が複数回屈折されるため、表面層を透過した出射光の方向が入射光の方向から偏向し、表面層よりも後方の太陽電池層が目により視認できず、このように、太陽電池を隠すような役割を果たす。
【0129】
好ましくは、前記着色剤は、顔料、染料のうちの1種又は複数種を含む。
【0130】
好ましくは、前記染料を母液と混合すると、高透明度、高着色力のある混合液が得られる。
【0131】
好ましくは、前記顔料の屈折率が1.4~2.5であり、使用される顔料の屈折率が高すぎると、透明度に悪影響を及ぼす。
【0132】
好ましくは、前記顔料の粒子径が300nm以下である。小粒子径の顔料が母液に添加されると、所定の色を示した上で、透明度の高い硬化混合液を得るのに有利である。顔料の粒子径の寸法が入射光波長の1/4未満である場合、光線が回折可能であり、顔料粒子が光線の経路を干渉することはなく、このため、表面層は隠蔽力が低い一方、透過率が高い。
【0133】
好ましくは、前記着色剤は真珠光沢顔料を含む。
【0134】
好ましくは、前記顔料はサーモクロミック顔料及び/又はフォトクロミック顔料を含む。
【0135】
好ましくは、前記表面層の厚さが0.02~5mmである。
【0136】
好ましくは、本発明で製造される太陽光発電建材の表面層は、吸水率が8%以下であり、凍結融解サイクルを50回繰り返しても破壊することがなく、バーストやクラックが生じることがなく、人工耐候性が600h以上、耐汚染性が20%以下であり、耐薬品性が基準を満たし、耐洗浄性が1000回以上であり、表面層と発電層との間の付着力が1MPa以上、表面層のモース硬度が3以上であり、建築分野における表面層の性能への要件を満たす。
【0137】
好ましくは、前記発電層は、結晶性シリコン太陽電池モジュール又は薄膜太陽電池モジュールのうちの1種を含む太陽電池モジュールである。前記結晶性シリコン太陽電池モジュールは、基材、接着膜、太陽電池層、保護層を含む市販品であり、前記薄膜太陽電池モジュールは基材、太陽電池層、保護層を含む。
【0138】
好ましくは、前記発電層は、基材、太陽電池層、及び保護層を含む自作品である。
【0139】
好ましくは、前記太陽光発電建材は電極を含む。
【0140】
好ましくは、前記基材及び太陽電池層は本技術分野で公知するものである。
【0141】
好ましくは、前記基材は、ガラス、金属板、軟質プラスチック薄膜又はセラミックタイルのうちの1種を含み、発電層は基材層上に直接堆積される。
【0142】
好ましくは、前記発電層として使用される薄膜太陽電池は、セレン化銅インジウムガリウム太陽電池、ヒ化ガリウム太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウム太陽電池、色素増感太陽電池、銅亜鉛スズ硫黄太陽電池又はペロブスカイト太陽電池を含む。
【0143】
好ましくは、前記太陽光発電建材の保護層は、セラミック薄膜、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレン-ブテン共重合体(POE)、シリカゲル、ポリエチレン(PE)、ポリエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、パーフルオロエチレンプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン膜(PVDF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、無機ガラス、有機ガラス(PMMA)、及びポリカーボネート(PC)のうちの1種又は複数種を含む。
【0144】
ここで、前記保護層はセラミック薄膜だけを含み、前記保護層として使用されるセラミック薄膜は酸化物、窒化物、及びフッ化物のうちの1種又は複数種を含む。前記酸化物は、酸化ケイ素、酸化亜鉛、及び酸化チタンのうちの1種又は複数種を含み、前記窒化物は窒化アルミニウム及び/又は窒化ケイ素を含み、前記フッ化物はポリテトラフルオロエチレンを含む。
【0145】
前記保護層は、接着膜、即ちEVA、PVB、POE、及びシリカゲルのうちの1種又は複数種を含む場合、前膜をさらに含み、
前膜はガラス及び/又は高分子材料を含み、
好ましくは、前記高分子材料は、PMMA、PC、ETFE、PVDF、FEP、PET、及びPET/PEのうちの1種又は複数種を含む。
【0146】
好ましくは、前記セラミック薄膜の厚さが0.4~1000μmである。
【0147】
好ましくは、前記セラミック薄膜はスパッタリング法、化学気相堆積法により製造されてもよい。
【0148】
好ましくは、前記表面層、発電層及び第1の基材の組み合わせは第2の基材上に貼り付けられてもよく、第2の基材は、ガラス、金属板、セメント系板材、木材板、竹材板、石材板、コンクリート板、プラスチック板、セラミックタイル又はタイルのうちの1種又は複数種を含む。
【0149】
本発明は、
硬化母液、光拡散剤及び着色剤を所定の割合で混合し、表面層用混合液を調製するステップ1)と、
発電層の表面に液体を直接被覆して硬化させた表面層を発電層上に製造するステップ2)とを含む、太陽光発電建材の製造方法を提供する。
【0150】
好ましくは、前記表面層は、手動スプレーコード、自動スプレーコード、刷毛塗り、スピンコート、プリント、印刷、スライドコート、ロールコード、ブレードコート又はコーティングの方法によって液体材料を発電層上に製造したものであってもよい。
【0151】
好ましくは、ステップ2)では、前記硬化温度は-10℃~90℃、硬化時間は0.2s~48hである。
【0152】
一部の方法では、表面層の材料を製造するには高温条件で行われる必要があり、高温が太陽光発電モジュールにダメージを与える。本発明では、表面層の材料の処方を改良することにより、表面層の材料を-10℃~90℃で硬化可能とし、さらに、表面層の厚さや処方を制御することにより、表面層が高透過率を維持できる。
【0153】
上記製造方法は全体として低温で行われ、高温処理を必要とせず、このため、エネルギー消費を効果的に確保しながら、電池をダメージから保護できる。
【0154】
従来技術に比べて、本発明の建築分野用の太陽光発電建材の利点は以下のとおりである。
【0155】
1)本発明では、太陽電池の表面に表面層を製造することにより、太陽電池の表面が一般的な建材の質感を示し、太陽電池の変換効率をほぼ低下させることなく発電を確保する。
【0156】
2)本発明で使用される表面層の硬化温度が-10℃~90℃であるので、太陽光発電モジュールへダメージを与えることはなく、太陽光発電モジュール上に高い硬さの表面層を形成することができる。
【0157】
3)本発明で製造される表面層は、太陽光発電モジュールと安定的に結合できるだけでなく、良好な耐摩耗性を持っている。
【0158】
4)本発明で製造される表面層は、良好な耐候性を有し、建築の外壁に数年間適用してもよい。
【0159】
5)本発明で製造される表面層は、緻密性や耐食性が高いので、内蔵している太陽電池を外界から効果的に隔離できる。
【0160】
6)本発明で製造される発電建材は、性能が安定しており、色が鮮やかであり、装飾性に優れ、応用の将来性が期待できる。
【0161】
また、さらに、従来の太陽光発電モジュールに存在する上記欠陥に対して、本発明は、大理石や花崗岩などの天然石材と同様なテクスチャや外観を示し、従来の太陽光発電モジュールのようなガラスの質感や単一の色に限定されない発電建材を提供することを更なる目的とする。このような発電建材の化粧面保護層の処方、製造プロセス及び厚さを変更することによって、発電建材は様々な所望のカラフルな外観や豊富なテクスチャを示すことができる。この発電建材は、建築の外観やスタイルを破壊することなく太陽光エネルギーを利用して発電することができ、応用の将来性が期待できる。
【0162】
本発明の具体的な技術案は以下のとおりである。
【0163】
光発電機能を備える建築材料である発電建材であって、前記発電建材は、建材化粧面保護層、光電変換層、及び建材基材層を少なくとも含み、前記建材化粧面保護層は、建材のテクスチャや品質を有し、且つ前記建材化粧面保護層は、300nm~1300nmの波長範囲内で、加重平均透過率が10%~85%である。
【0164】
好ましくは、前記建材化粧面保護層の原料は母液と充填顔料を含む。前記母液はシリコーンエマルジョン、ケイ酸塩水溶液、ポリウレタンエマルジョン、ポリアクリル酸エマルジョン、炭素-フッ素結合を含有する高分子ポリマーエマルジョンのうちの1種又は複数種を含み、
前記充填顔料は、炭酸塩、酸化物、硫化物、セレン化物、硫酸塩、ケイ酸塩、フェロシアン化物、クロム酸塩、モリブデン酸塩、及び混合酸化物のうちの1種又は複数種を含む無機顔料を用いてもよく、
前記充填顔料は、また、フタロシアニン、アゾ顔料、及び多環式顔料のうちの1種又は複数種を含む有機顔料を用いてもよい。
【0165】
好ましくは、前記建材化粧面保護層の原料は、少量のナノ粒子、量子ドット及びグラフェンのうちの1種又は複数種を含んでもよい。
【0166】
さらに好ましくは、前記ナノ粒子は無機光拡散剤及び/又は有機光拡散剤を含む。
【0167】
好ましくは、前記建材化粧面保護層の原料中、使用される母液は143~296重量部、充填顔料は1~10重量部である。
【0168】
さらに好ましくは、前記母液は、水ガラス30~90部、フィラー90~160部、消泡剤0.1~0.5部、増粘剤3~5部、成膜助剤1~5部、硬化剤5~9部、及び水14~27部を含む。使用される母液の液体材料の硬化機序としては、空気中に二酸化炭素を吸収してアモルファスケイ酸塩を形成し、徐々に乾燥させて硬化させる。
【0169】
さらに好ましくは、前記顔料は無機顔料と有機顔料を含み、無機顔料は天然鉱物顔料及び/又は人工顔料を含み、天然鉱物顔料はマラカイトグリーン、カーボンブラック、雲母、珊瑚、雄黄を含み、人工顔料はベンガラ、黄色酸化鉄、チタン白、クロムイエロー、紺青、真珠光沢銀、真珠光沢金を含み、前記有機顔料はアゾ顔料、フタロシアニン顔料、トリアリールメタン顔料、及び多環式顔料のうちの1種又は複数種を含み、前記水ガラスはナトリウム水ガラス及びカリウム水ガラスを含み、前記フィラーはホワイトカーボンブラック、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、珪灰石粉、滑石粉、石英粉、雲母粉、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、ベントナイトのうちの1種又は複数種を含み、前記消泡剤は、低級アルコール類、鉱物油類、シリコーン樹脂のうちの1種又は複数種を含み、前記増粘剤は、シリカゲル、メチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのうちの1種又は複数種を含み、前記成膜助剤は2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレートを含み、硬化剤はビニルトリアミン、m-フェニレンジアミンm-PDAを含む。
【0170】
好ましくは、使用される母液は75~115重量部、顔料は1~5重量部である。
【0171】
さらに好ましくは、前記母液は基礎材料50~70重量部、フィラー5~15重量部、及び助剤3~6重量部を含む。
【0172】
さらに好ましくは、前記基礎材料はフッ素樹脂を含み、顔料は天然鉱物顔料及び/又は人工顔料を含み、天然鉱物顔料はマラカイトグリーン、カーボンブラック、雲母、珊瑚、及び雄黄のうちの1種又は複数種を含み、人工顔料はベンガラ、黄色酸化鉄、チタン白、クロムイエロー、及び紺青のうちの1種又は複数種を含み、フィラーはホワイトカーボンブラック、カオリン、炭酸カルシウム、珪灰石粉、滑石粉、石英粉、雲母粉、ケイ酸アルミニウム、硫酸バリウム、及びベントナイトのうちの1種又は複数種を含み、助剤は湿潤剤、分散剤、消泡剤、成膜助剤、防カビ剤、及び増粘剤を含む。
【0173】
さらに好ましくは、前記湿潤剤はグリセリン及び/又はジメチルスルホキシドを含み、分散剤はポリカルボン酸ナトリウム塩及び/又はポリアクリル酸アンモニウム塩を含み、前記消泡剤は乳化シリコーンオイル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルのうちの1種又は複数種を含み、前記成膜助剤は2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレートを含み、前記防カビ剤はプロピオン酸カルシウム、過硫酸アンモニウム、及びo-フェニルフェノールのうちの1種又は複数種を含み、前記増粘剤は、シリカゲル、メチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのうちの1種又は複数種であり、
好ましくは、製造化粧面保護層用の原料は母液を主成分、顔料を補助成分とする。使用される母液は140~200重量部、顔料は1~10重量部である。
【0174】
さらに好ましくは、前記母液は脱イオン水600~800重量部、架橋剤0.1~1重量部、セルロース2~5重量部、分散剤0.5~3重量部、多機能助剤0.5~3重量部、殺菌剤1~4重量部、成形剤15~30重量部、エチレングリコール2~6重量部、成膜助剤8~10重量部、ソープフリー重合シリコーン-アクリレートエマルジョン15~28重量部、コア-シェル構造を共重合した自己架橋シリコーン-アクリレートエマルジョン70~110重量部、及びシリコーングラフトアクリレートエマルジョン50~110重量部を含む。
【0175】
さらに好ましくは、前記顔料は無機顔料5~14部を含み、前記無機顔料は天然鉱物顔料及び/又は人工顔料を含み、天然鉱物顔料はマラカイトグリーン、カーボンブラック、雲母、珊瑚、及び雄黄のうちの1種又は複数種を含み、人工顔料はベンガラ、黄色酸化鉄、チタン白、クロムイエロー、及び紺青のうちの1種又は複数種を含む。
【0176】
さらに好ましくは、前記顔料は有機顔料を用いてもよく、有機顔料は5~15重量部であり、前記有機顔料はアゾ顔料、フタロシアニン顔料、トリアリールメタン顔料、及び多環式顔料のうちの1種又は複数種を含む。
【0177】
さらに好ましくは、前記化粧面保護層料は砂利粉末をさらに含み、前記砂利粉末は石英砂、カオリン、大理石粉及び白大理石粉のうちの1種又は複数種を含む。
【0178】
好ましくは、使用される顔料はサーモクロミック顔料及び/又はフォトクロミック顔料を含む。
【0179】
好ましくは、前記建材化粧面保護層の厚さが0.01~5mmである。
【0180】
好ましくは、建材化粧面保護層の厚さ、処方及び製造プロセスを調整することにより、前記建材化粧面保護層は300nm~1300nmの波長範囲内で、加重平均透過率が10%~85%である。
【0181】
好ましくは、前記建材化粧面保護層は、吸水率が8%以下であり、凍結融解サイクルを50回繰り返しても破壊することがなく、バーストやクラックが生じることはなく、人工耐候性が600h以上、耐汚染性が20%以下であり、耐薬品性が基準を満たし、耐洗浄性が1000回以上であり、建材化粧面保護層と発電層との間の付着力が1MPa以上であり、建材化粧面保護層のモース硬度が3以上であり、一般的な建材の各性能指標を満たす。
【0182】
好ましくは、前記発電建材基材層は普通建築材料であり、前記普通建築材料は、吸水率が0.5%以下であり、ガラス、金属板、セメント系繊維板、軟質プラスチック薄膜、及びセラミックタイルのうちの1種を含み、光電変換層は建材基材層上に直接堆積される。
【0183】
好ましくは、光電変換層は薄膜太陽電池とバリア層を含む。
【0184】
好ましくは、前記光電変換層に使用される薄膜太陽電池は、セレン化銅インジウムガリウム太陽電池、ヒ化ガリウム太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウム太陽電池、色素増感太陽電池、銅亜鉛スズ硫黄太陽電池、及びペロブスカイト太陽電池のうちの1種又は複数種を含む。
【0185】
好ましくは、前記発電建材の光電変換層のバリア層はセラミック薄膜、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレン-ブテン共重合体(POE)、シリカゲル、ポリエチレン(PE)、ポリエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、パーフルオロエチレンプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ガラス、有機ガラス(PMMA)、ポリカーボネート(PC)のうちの1種又は複数種を含む。
【0186】
前記バリア層がセラミック薄膜だけを含む場合、
前記セラミック薄膜は酸化物及び/又は窒化物を含む。前記酸化物は酸化ケイ素、酸化亜鉛、及び酸化チタンのうちの1種又は複数種を含み、前記窒化物は窒化アルミニウム及び/又は窒化ケイ素を含む。
【0187】
前記バリア層は、EVA、PVB、POE又はシリカゲルを含む場合、前膜をさらに含み、前膜はガラス、高分子材料を含み、
好ましくは、前記高分子材料は、PMMA、PC、ETFE、PVDF、FEP、PET、及びPET/PEのうちの1種又は複数種を含む。
【0188】
好ましくは、前記セラミック薄膜の厚さが0.4~100μmである。
【0189】
好ましくは、前記セラミック薄膜はスパッタリング法、化学気相堆積法のうちの1種により製造されてもよい。
【0190】
好ましくは、前記発電建材は一対の正負電極を少なくとも含み、前記電極は基材層又は発電建材の側辺に設けられる。
【0191】
好ましくは、前記発電建材は建築の外面に適用でき、前記発電建材の厚さが5mm~30mmである。
【0192】
前記発電建材は、熱サイクル試験では熱サイクルを200回繰り返したところ、光電変換効率に変化が認められず、湿度-凍結試験ではサイクルを10回繰り返したところ、光電変換効率に変化が認められず、高温多湿試験では1000h経過したところ、光電変換効率に変化が認められず、絶縁耐電圧試験では、漏れ電流が50マイクロアンペアよりも小さく、絶縁抵抗が50メガオームよりも大きい。
【0193】
本発明は、
標準洗浄プロセスに従って建材の基材層を洗浄し、洗浄した基材層の表面上に太陽電池を構成するのに必要な各膜層を順次製造し、正負極を引き出すステップ1)と、
その後、太陽電池上にバリア層を製造し、太陽電池とともに光電変換層を構成するステップ2)と、
光電変換層の受光面上に、光電変換層の受光面に塗布された液体原料を硬化させた建材化粧面保護層を製造するステップ3)とを含む、上記のいずれか1項の発電建材の製造方法をさらに提供する。
【0194】
好ましくは、ステップ1)では、前記標準洗浄プロセスの手順は以下のとおりである。
材料供給→洗浄剤をロールコードして洗浄すること→純水をロールコードして洗浄すること→超音波処理→BJスプレー→純水スプレー→純水リンス→エアナイフによる乾燥→取り出し。
【0195】
ここで、洗浄プロセスのパラメータを以下にする。(1)洗浄剤をロールコードして洗浄すること:ロールコードの回転数は400r/minであり、上下スプレー水圧は1.0~1.3MPaに制御され、洗浄剤と脱イオン水との体積比は1:9である。(2)純水をロールコードして洗浄すること:ロールコードの回転数は400r/minであり、上下スプレー水圧は0.5~1.0MPaに制御される。(3)超音波処理セクション:超音波の周波数は18kHzに固定され、超音波処理セクションでは基板が水に没入する。(4)BJスプレーセクション:BJスプレーヘッドは伝動方向と30°をなし、水圧は0.4MPa以上に制御され、気圧は0.6MPa以上である。(5)純水スプレーセクション:上下からスプレーする圧力は0.4~0.8MPaに制御される。(6)純水リンスセクション:上下からスプレーする圧力は0.2~0.4MPaに制御される。(7)エアナイフセクション:エアナイフの圧力は0.6MPaよりも高い。(8)取り出し:基板を風乾した後静電気を除去する。
【0196】
好ましくは、前記建材化粧面保護層は、手動スプレーコード、自動スプレーコード、刷毛塗り、スピンコート、プリント、印刷、スライドコート、ロールコード、ブレードコート又はコーティングの方法によって液体材料を光電変換層上に製造したものであってもよい。
【0197】
好ましくは、ステップ4)では、前記硬化温度は-10℃~100℃であり、硬化時間は0.1s~72hである。
【0198】
従来技術に比べて、本発明の発電建材の利点は以下のとおりである。
【0199】
1)本発明による発電建材は、太陽光を利用して発電する機能に加えて、建材のテクスチャや品質を有し、一般的な太陽光発電モジュールでは鏡面反射により閃光や眩暈などの光害が生じるという欠点を完全に解決する。
【0200】
2)本発明による発電建材は、必要に応じて建材化粧面保護層の色やパターンを設計することができ、このため、発電建材は多様な外観を有し、現代の都市建築の芸術性と高度に融合し、応用の将来性が期待できる。
【0201】
3)本発明で使用される建材化粧面保護層は硬化温度が低いため、太陽電池モジュールへダメージを与えることがなく、且つ製造プロセスがシンプルであり、エネルギー消費が低く、汚染がなく、製品のコストが低い。
【0202】
4)本発明で製造される建材化粧面保護層は、光電変換層とは高い付着力を有するだけでなく、優れた耐摩耗性、高い耐食性を有し、普通建築外壁の建材に要求される耐候性を満たし、耐用年数が従来の普通太陽光発電モジュールの耐用年数よりもはるかに長い。
【0203】
また、さらに、本発明は、別の発電建材をさらに提供し、この発電建材は、建材化粧面保護層、光電変換層、機能層、及び建材基材層を少なくとも含み、
前記光電変換層は発電機能を有し、
前記建材化粧面保護層は前記光電変換層の第1の面に設けられ、前記建材化粧面保護層は液体を硬化させたものであり、
前記機能層は前記光電変換層の第2の面上に設けられ、
前記建材基材層は前記機能層の前記光電変換層から離れる第4の面上に設けられ、
前記光電変換層と前記建材基材層は前記機能層を介して粘着されている。
【0204】
好ましくは、前記建材化粧面保護層の原料は母液と充填顔料を含む。
【0205】
前記母液は、シリコーンエマルジョン、ケイ酸塩水溶液、ポリウレタンエマルジョン、ポリアクリル酸エマルジョン、及び炭素-フッ素結合を含有する高分子ポリマーエマルジョンのうちの1種又は複数種を含み、
前記充填顔料は、炭酸塩、酸化物、硫化物、セレン化物、硫酸塩、ケイ酸塩、フェロシアン化物、クロム酸塩、モリブデン酸塩、及び混合酸化物のうちの1種又は複数種を含む無機顔料を用い、
前記充填顔料は、フタロシアニン、アゾ顔料、及び多環式顔料のうちの1種又は複数種を含む有機顔料を用いる。
【0206】
好ましくは、前記建材化粧面保護層の原料は、少量のナノ粒子、量子ドット、及びグラフェンをさらに含む。前記ナノ粒子は無機光拡散剤及び/又は有機光拡散剤を含む。
【0207】
好ましくは、使用される母液は75~115重量部、顔料は1~5重量部である。
【0208】
さらに好ましくは、前記母液は、基礎材料50~70重量部、フィラー5~15重量部、及び助剤3~6重量部を含む。
【0209】
さらに好ましくは、前記基礎材料はフッ素樹脂を含み、顔料は天然鉱物顔料及び/又は人工顔料を含み、天然鉱物顔料はマラカイトグリーン、カーボンブラック、雲母、珊瑚、及び雄黄のうちの1種又は複数種を含み、人工顔料はベンガラ、黄色酸化鉄、チタン白、クロムイエロー、及び紺青のうちの1種又は複数種を含み、フィラーはホワイトカーボンブラック、カオリン、炭酸カルシウム、珪灰石粉、滑石粉、石英粉、雲母粉、ケイ酸アルミニウム、沈殿硫酸バリウム、及びベントナイトのうちの1種又は複数種を含み、助剤は湿潤剤、分散剤、消泡剤、成膜助剤、防カビ剤、及び増粘剤のうちの1種又は複数種を含む。
【0210】
さらに好ましくは、前記湿潤剤はグリセリン及び/又はジメチルスルホキシドを含み、分散剤はポリカルボン酸ナトリウム塩及び/又はポリアクリル酸アンモニウム塩を含み、前記消泡剤は乳化シリコーンオイル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルのうちの1種又は複数種を含み、前記成膜助剤は2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレートを含み、前記防カビ剤は、プロピオン酸カルシウム、過硫酸アンモニウム及び/又はo-フェニルフェノールを含み、前記増粘剤はシリカゲル、メチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのうちの1種又は複数種であり、
好ましくは、製造建材化粧面保護層用の原料は母液を主成分、顔料を補助成分とする。使用される母液は140~200重量部、顔料は1~10重量部である。
【0211】
さらに好ましくは、前記母液は脱イオン水600~800重量部、架橋剤0.1~1重量部、セルロース2~5重量部、分散剤0.5~3重量部、多機能助剤0.5~3重量部、殺菌剤1~4重量部、成形剤15~30重量部、エチレングリコール2~6重量部、成膜助剤8~10重量部、ソープフリー重合シリコーン-アクリレートエマルジョン15~28重量部、コア-シェル構造を共重合した自己架橋シリコーン-アクリレートエマルジョン70~110重量部、及びシリコーングラフトアクリレートエマルジョン50~110重量部を含む。
【0212】
さらに好ましくは、前記顔料は無機顔料5~15部を含み、前記無機顔料は天然鉱物顔料及び/又は人工顔料を含み、天然鉱物顔料はマラカイトグリーン、カーボンブラック、雲母、珊瑚、及び雄黄のうちの1種又は複数種を含み、人工顔料はベンガラ、黄色酸化鉄、チタン白、クロムイエロー、及び紺青のうちの1種又は複数種を含む。
【0213】
さらに好ましくは、前記顔料は有機顔料を用いてもよく、有機顔料は5~15重量部であり、前記有機顔料はアゾ顔料、フタロシアニン顔料、トリアリールメタン顔料、及び多環式顔料のうちの1種又は複数種を含む。
【0214】
さらに好ましくは、前記建材化粧面保護層の原材料は砂利粉末をさらに含み、前記砂利粉末は石英砂、カオリン、大理石粉、及び白大理石粉のうちの1種又は複数種を含む。
【0215】
好ましくは、使用される母液は143~296重量部、顔料は1~10重量部である。
【0216】
さらに好ましくは、前記母液は水ガラス30~90部、フィラー90~160部、消泡剤0.1~0.5部、増粘剤3~5部、成膜助剤1~5部、硬化剤5~9部、及び水14~27部を含む。使用される母液の液体材料の硬化機序としては、空気中に二酸化炭素を吸収してアモルファスケイ酸塩を形成し、徐々に乾燥させて硬化させる。
【0217】
さらに好ましくは、前記顔料は無機顔料及び/又は有機顔料を含み、無機顔料は天然鉱物顔料及び/又は人工顔料を含み、天然鉱物顔料はマラカイトグリーン、カーボンブラック、雲母、珊瑚、及び雄黄のうちの1種又は複数種を含み、人工顔料はベンガラ、黄色酸化鉄、チタン白、クロムイエロー、紺青、真珠光沢銀、及び真珠光沢金のうちの1種又は複数種を含み、前記有機顔料はアゾ顔料、フタロシアニン顔料、トリアリールメタン顔料、及び多環式顔料のうちの1種又は複数種を含み、前記水ガラスはナトリウム水ガラス及び/又はカリウム水ガラスを含み、前記フィラーはホワイトカーボンブラック、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、珪灰石粉、滑石粉、石英粉、雲母粉、ケイ酸アルミニウム、沈殿硫酸バリウム、及びベントナイトのうちの1種又は複数種を含み、前記消泡剤は低級アルコール類、鉱物油類、及びシリコーン樹脂のうちの1種又は複数種を含み、前記増粘剤はシリカゲル、メチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのうちの1種又は複数種を含み、前記成膜助剤は2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレートを含み、前記硬化剤はビニルトリアミン及び/又はm-フェニレンジアミンm-PDAを含む。
【0218】
好ましくは、使用される顔料はサーモクロミック顔料及び/又はフォトクロミック顔料をさらに含む。
【0219】
好ましくは、建材化粧面保護層の厚さ、原料処方及び製造プロセスを調整することにより、前記建材化粧面保護層は300nm~1300nmの波長範囲内で、加重平均透過率が10%~85%である。
【0220】
好ましくは、前記建材化粧面保護層の厚さが0.01~5mmである。
【0221】
好ましくは、建材化粧面保護層は、吸水率が8%以下であり、凍結融解サイクルを50回繰り返しても破壊することがなく、バーストやクラックが生じることはなく、人工耐候性が600h以上、耐汚染性が20%以下であり、耐薬品性が基準を満たし、耐洗浄性が1000回以上であり、建材化粧面保護層と光電変換層との間の付着力が1MPa以上であり、建材化粧面保護層のモース硬度が3以上であり、一般的な建材に求められる各性能の指標を満たす。
【0222】
好ましくは、前記光電変換層は薄膜太陽電池モジュール及び/又は結晶性シリコン太陽電池モジュールを含む。
【0223】
好ましくは、前記光電変換層は、バリア層付きの薄膜太陽電池チップ1枚又は複数枚直列接続したもの、バリア層付きの結晶性シリコン太陽電池チップ1枚又は複数枚直列接続したもの、バリア層付きの薄膜太陽電池チップとバリア層付きの結晶性シリコン太陽電池チップを複数枚組み合わせて直列接続したものを含む。
【0224】
さらに好ましくは、前記光電変換層に使用される薄膜太陽電池は、セレン化銅インジウムガリウム太陽電池、ヒ化ガリウム太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウム太陽電池、色素増感太陽電池、銅亜鉛スズ硫黄太陽電池又はペロブスカイト太陽電池を含む。
【0225】
好ましくは、前記機能層は非酸性コロイド又は熱溶融性コロイドのうちの1種を含む。
【0226】
さらに好ましくは、機能層はポリビニルブチラール(PVB)又はエチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いてもよい。
【0227】
好ましくは、前記建材基材層は、ガラス、金属板、セメント系板材、軟質プラスチック薄膜、セラミックタイル、及びタイルのうちの1種又は複数種を含む普通建築材料である。
【0228】
好ましくは、前記発電建材は一対の正負電極を少なくとも含む。
【0229】
好ましくは、前記建材化粧面保護層は液体を硬化させたものである。
【0230】
発電建材の方法であって、
建材基材層上に機能層を設け、その後、光電変換層の第2の面を機能層上に密着させるステップ1)と、
機能層を介して建材基材層と光電変換層を粘着するステップ2)と、
光電変換層の第1の面上に建材化粧面保護層の原料の混合液体を被覆し、硬化させて建材化粧面保護層を得るステップ3)とを含む。
【0231】
好ましくは、前記建材化粧面保護層は、手動スプレーコード、自動スプレーコード、刷毛塗り、スピンコート、プリント、印刷、スライドコート、ロールコード、ブレードコート又はコーティングの方法によって液体原料を光電変換層の第1の面上に製造したものである。
【0232】
好ましくは、前記建材化粧面保護層の硬化温度は-10℃~100℃であり、硬化時間は0.1s~72hである。さらに、建材化粧面保護層の厚さ及び処方を制御することにより、建材化粧面保護層は高透過率を維持できる。
【0233】
従来技術に比べて、本発明の発電建材の利点は以下のとおりである。
【0234】
1)本発明による発電建材は、太陽光を利用して発電する機能に加えて、従来の太陽光発電モジュールでは鏡面反射により閃光や眩暈などの光害が生じるという欠点を完全に解決する。
【0235】
2)本発明による発電建材は、必要に応じて建材化粧面保護層の色やパターンを設計することができ、このため、発電建材は多様な外観を有し、現代の都市建築の芸術性と高度に融合し、応用の将来性が期待できる。
【0236】
3)本発明で使用される建材化粧面保護層は硬化温度が-10℃~100℃であり、硬化温度が低いため、太陽電池モジュールへダメージを与えることがなく、且つ製造プロセスがシンプルであり、エネルギー消費が低く、汚染がなく、製品のコストが低い。
【0237】
4)本発明で製造される建材化粧面保護層は、光電変換層とは高い付着力を有するだけでなく、優れた耐摩耗性、高い耐食性を有し、普通建築外壁の建材に要求される耐候性を満たし、耐用年数が従来の普通太陽光発電モジュールの耐用年数よりもはるかに長い。
【0238】
また、さらに、本発明は、さらなる発電建材を提供し、前記発電建材は表面層、光電変換装置、基材層、及び電極を含み、
前記光電変換装置には第1の面と第2の面が設けられ、第1の面が受光面であり、前記光電変換装置は電極に電気的に接続され、
前記基材層はエンジニアリング構造板材であり、光電変換装置の第2の面に付着しており、
前記表面層は光電変換装置の基材層から離れる第1の面に付着されており、光学制御材料であり、前記光学制御材料は、建材のテクスチャや品質を有する半透明層であり、且つ前記半透明層は300nm~1300nmの波長範囲内で、加重平均透過率が10%~85%である。
【0239】
前記電極は発電建材の背面及び/又は側辺に設けられる。
【0240】
好ましくは、前記表面層は、曇化散乱効果を有する光学誘電体材料と模様相からなり、前記光学誘電体材料中に光学制御作用を有する微粒子が分布しており、ヘイズを引き起こし、前記光学制御微粒子の寸法が0.1~2μmであり、前記模様相は酸化物、炭酸塩、硫化物、フタロシアニン、アゾ顔料、及び多環式顔料のうちの1種又は複数種を含む。
【0241】
表面層の製造に必要な原料は、基礎材料、溶剤、助剤、及びフィラーを含む。これらのうち、フィラーはナノ粒子、ミクロン粒子、及び顔料を含む。まず、所定の割合及びプロセスの手順に従って表面層の原料を混合して液体原料とし、その後、塗布し、最後に、ある温度で硬化させて、光学制御作用を有する表面層を形成する。ナノ粒子及びミクロン粒子の一部は表面層中に分散しており、表面層を透過させた光線に曇化散乱を発生させてヘイズを引き起こし、表面層内の一部のナノ粒子がフォトルミネッセンスの特性を持つので、表面層を透過させる紫外域光線を吸収し、可視光域の光線を励起させることができ、一方、表面層内に分布している顔料粒子が表面層を透過させた特定帯域の光線を反射し、このように、励起光と反射光が共同で誘電体材料に作用して色やパターンを示し、それにより、表面層は建材のテクスチャや品質を示し、さらに、太陽光発電分野で大量に使用されるEVA接着膜は太陽光スペクトル中の紫外域光子を吸収して黄変や老化を生じさせる場合が多いが、本発明では、紫外域光子が表面層により吸収されるため、接着膜の耐用年数が長くなり、発電建材の耐用年数がさらに延長する。
【0242】
また、表面層内に分布しているフォトルミネッセンスナノ粒子は、表面層を透過させた紫外域光線を吸収して、光電変換装置内の高分子ポリマーへの紫外光線の照射を減少させ、光電変換装置の寿命を延ばす一方、光電変換装置により吸収できない紫外域光線を吸収して、光電変換装置により吸収できる可視光域光線に変換し、光電変換装置の発電効率を高めることができる。
【0243】
好ましくは、前記フォトルミネッセンスナノ粒子は、InP/ZnS、CdSe/ZnS、及びPbSのうちの1種又は複数種を含む。
【0244】
好ましくは、前記表面層の原料は、脱イオン水600~800重量部、架橋剤0.1~1重量部、セルロース2~5重量部、分散剤0.5~3重量部、多機能助剤0.5~3重量部、殺菌剤1~4重量部、成形剤15~30重量部、エチレングリコール2~6重量部、成膜助剤8~10重量部、ソープフリー重合シリコーン-アクリレートエマルジョン15~28重量部、コア-シェル構造を共重合した自己架橋シリコーン-アクリレートエマルジョン70~110重量部、及びシリコーングラフトアクリレートエマルジョン50~110重量部を含む。光拡散剤であるナノ粒子及びミクロン粒子0.1~10重量部は、ナノ硫酸バリウム、ナノ炭酸カルシウム、ナノシリカ、アクリル型、スチレン型、アクリル樹脂のうちの1種又は複数種を含む。前記表面層の顔料は5~15重量部であり、前記顔料は、マラカイトグリーン、カーボンブラック、雲母、珊瑚、雄黄、ベンガラ、黄色酸化鉄、チタン白、クロムイエロー、及び紺青のうちの1種又は複数種を含む。
【0245】
さらに好ましくは、重量部基準で、前記顔料は有機顔料を用いてもよく、前記有機顔料は偶フタロシアニン、ベンズイミダゾロン、ピロン、キナクリドン、イソインドリン、アントラピリミジン、アセトアセチルアリールアミンのうちの1種又は複数種を含む。
【0246】
好ましくは、前記表面層は、水ガラス30~90重量部、フィラー90~160重量部、増粘剤3~5重量部、硬化剤5~9重量部、水14~27重量部、顔料1~10重量部、光拡散剤であるナノ粒子及び/又はミクロン粒子0.1~5重量部を含む。前記水ガラスはナトリウム水ガラス及び/又はカリウム水ガラスを含み、前記フィラーはホワイトカーボンブラック、カオリン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、珪灰石粉、滑石粉、石英粉、雲母粉、ケイ酸アルミニウム、沈殿硫酸バリウム、及びベントナイトのうちの1種又は複数種を含み、前記増粘剤は、シリカゲル、メチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのうちの1種又は複数種を含み、前記硬化剤はビニルトリアミン及び/又はm-フェニレンジアミンm-PDAを含む。前記ナノ粒子及びミクロン粒子は、ナノ硫酸バリウム、ナノ炭酸カルシウム、ナノシリカ、アクリル型、スチレン型、アクリル樹脂のうちの1種又は複数種を含む。前記顔料は、マラカイトグリーン、カーボンブラック、ベンガラ、黄色酸化鉄、クロムイエロー、紺青、真珠光沢銀、真珠光沢金、フタロシアニン、ベンズイミダゾロン、ピロン、キナクリドン、イソインドリン、アントラピリミジン、アセトアセチルアリールアミンのうちの1種又は複数種を含む。
【0247】
好ましくは、前記表面層の原料は、基礎材料、フィラー、及び助剤などを含み、具体的には、基礎材料50~70重量部、フィラー5~15重量部、助剤3~6重量部、顔料1~5重量部、光拡散剤であるナノ粒子及びミクロン粒子1~6重量部を含む。基礎材料はフッ素樹脂を含み、フィラーはホワイトカーボンブラック、カオリン、炭酸カルシウム、珪灰石粉、滑石粉、石英粉、雲母粉、ケイ酸アルミニウム、沈殿硫酸バリウム、及びベントナイトのうちの1種又は複数種を含み、助剤は湿潤剤、分散剤、消泡剤、成膜助剤、防カビ剤、及び増粘剤のうちの1種又は複数種を含む。さらに、前記湿潤剤はグリセリン及び/又はジメチルスルホキシドを含み、分散剤はポリカルボン酸ナトリウム塩及び/又はポリアクリル酸アンモニウム塩を含み、前記消泡剤は乳化シリコーンオイル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンペンタエリスリトールエーテル、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテルのうちの1種又は複数種を含み、前記成膜助剤は2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレートを含み、前記防カビ剤はプロピオン酸カルシウム、過硫酸アンモニウム、及びo-フェニルフェノールのうちの1種又は複数種を含み、前記増粘剤はシリカゲル、メチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのうちの1種又は複数種である。顔料はマラカイトグリーン、カーボンブラック、雲母、珊瑚、雄黄、ベンガラ、黄色酸化鉄、チタン白、クロムイエロー、及び紺青のうちの1種又は複数種を含む。前記ナノ粒子及び/又はミクロン粒子は、ナノ硫酸バリウム、ナノ炭酸カルシウム、ナノシリカ、アクリル型、スチレン型、アクリル樹脂のうちの1種又は複数種を含む。
【0248】
前記光電変換装置は、光誘起正孔収集裏電極、光誘起キャリア層、光誘起電子収集前電極、及びバリア層を順次含み、前記裏電極及び前電極には電流収集装置が設けられ、前記電流収集装置は電極に電気的に接続される。
【0249】
好ましくは、前記光電変換装置は太陽電池モジュールを用いてもよいし、太陽電池チップを用いてもよい。太陽電池モジュールは、結晶性シリコン太陽電池モジュール、薄膜太陽電池モジュール又は両方の組み合わせを含み、太陽電池チップは、結晶性シリコン太陽電池チップ、薄膜太陽電池チップ又は両方の組み合わせを含む。結晶性シリコン太陽電池は、単結晶シリコン及び多結晶シリコン太陽電池を含み、薄膜太陽電池は、セレン化銅インジウムガリウム太陽電池、ヒ化ガリウム太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウム太陽電池、色素増感太陽電池、銅亜鉛スズ硫黄太陽電池、及びペロブスカイト太陽電池を含む。太陽電池チップを光電変換装置として用いる場合、太陽電池チップの表面にバリア層を製造する必要がある。光電変換装置の良好な性能を確保するために、バリア層上に液体を硬化させて表面層を製造する必要がある。
【0250】
前記バリア層はセラミック薄膜、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、ポリエチレン-ブテン共重合体(POE)、シリカゲル、ポリエチレン(PE)、ポリエチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、パーフルオロエチレンプロピレン共重合体(FEP)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ガラス、有機ガラス(PMMA)、ポリカーボネート(PC)のうちの1種又は複数種を含む。
【0251】
好ましくは、前記バリア層がセラミック薄膜だけを含む場合、前記バリア層に使用されるセラミック薄膜は、酸化物、窒化物のうちの1種又は複数種を含む。前記酸化物は酸化ケイ素、酸化亜鉛又は酸化チタンのうちの1種又は複数種を含み、前記窒化物は窒化アルミニウム及び/又は窒化ケイ素を含む。
【0252】
好ましくは、前記バリア層は、EVA、PVB、POE又はシリカゲルを含む場合、前膜をさらに含み、前膜はガラス及び/又は高分子材料を含み、前記高分子材料はPMMA、PC、ETFE、PVDF、FEP、PET、及びPET/PEのうちの1種又は複数種を含む。
【0253】
好ましくは、前記セラミック薄膜の厚さが0.4~100μmである。
【0254】
好ましくは、前記セラミック薄膜はスパッタリング法又は化学気相堆積法により製造されてもよい。
【0255】
好ましくは、前記電極は一対の電極と1つのバイパスダイオードを少なくとも含み、バイパスダイオードは光電変換装置に並列接続されてバイパスを構成するとともに、正負電極に電気的に接続される。光電変換装置が正常に作動するときに、バイパスダイオードはオフ状態であり、電流が光電変換装置から正常に出力され、光電変換装置が正常に作動できない場合、バイパスダイオードはオンになり、システム電流がバイパスダイオードから正常に作動できない光電変換装置をバイパスし、それにより、建材発電システムが正常に作動することを確保する。前記電極は、ジャック、プラグ又は/及びジャンクションボックスを介して回路システムに接続される。
【0256】
前記基材層はエンジニアリング構造板材であり、前記エンジニアリング構造板材は、吸水率が0.5%以下であり、ガラス、金属板、セメント系繊維板、軟質プラスチック薄膜、セラミックタイルのうちの1種又は複数種を含む。上記材料は、積層により板材とされて発電建材の基材層としてもよく、スプライシングにより板材とされて発電建材の基材層としてもよく、これらに加えて、他の任意の方式で製造される板材は発電建材の基材層としてもよい。
【0257】
前記基材層は、その表面に光電変換装置を直接製造してもよいし、製造した光電変換装置を用いて、後続のプロセスにより光電変換装置を基材層上に付着してもよい。
【0258】
発電建材の製造方法であって、
標準洗浄プロセスに従って基材層を洗浄して乾燥させ、その後、基材上に光電変換装置を製造し、又は、製造した光電変換装置を洗浄後基材層上に付着し、正負電極を引き出すステップ1)と、
秤量した原料を所定の工程に従って混合して撹拌し、液体混合物とするステップ2)と、
機械又は手動の方法により液体混合物を光電変換装置の第1の面上に塗布するステップ3)と、
液体表面層を所定の温度で所定時間静置し、表面層を完全に硬化させると、本発明の前記発電建材を得るステップ4)とを含む。
【0259】
好ましくは、ステップ3)では、前記表面層は、手動スプレーコード、自動スプレーコード、刷毛塗り、スピンコート、プリント、印刷、スライドコート、ロールコード、ブレードコート、コーティングの方法によって液体材料を光電変換装置に製造したものであってもよい。
【0260】
好ましくは、ステップ4)では、前記硬化温度は-10℃~100℃であり、硬化時間は0.1s~72hである。
【0261】
本発明で製造される発電建材は、熱サイクル試験では熱サイクルを200回繰り返したところ、光電変換効率に変化が認められず、湿度-凍結試験ではサイクルを10回繰り返したところ、光電変換効率に変化が認められず、85℃/85%RH高温多湿試験では1000h経過したところ、光電変換効率に変化が認められず、絶縁耐電圧試験では、漏れ電流が50マイクロアンペアよりも小さく、絶縁抵抗が50メガオームよりも大きい。
【0262】
本発明で製造される発電建材は、吸水率が8%以下であり、凍結融解サイクルを50回繰り返しても破壊することがなく、バーストやクラックが生じることはなく、人工耐候性が600h以上、耐汚染性が20%以下であり、耐薬品性が基準を満たし、耐洗浄性が1000回以上であり、表面層と発電層との間の付着力が1MPa以上であり、表面層のモース硬度が3以上であり、一般的な建材の各性能の指標を満たす。
【0263】
従来技術に比べて、本発明の発電建材の利点は以下のとおりである。
【0264】
1)本発明による発電建材は、太陽光を利用して発電する機能に加えて、光学制御作用を有する材料を表面層とすることにより、一般的な太陽光発電モジュールでは鏡面反射により閃光や眩暈などの光害が生じるという欠点を完全に解決する。
【0265】
2)本発明による発電建材は、必要に応じて建材表面層の色やパターンを設計することができ、このため、発電建材は多様な外観を有し、現代の都市建築の芸術性と高度に融合し、応用の将来性が期待できる。
【0266】
3)本発明で使用される表面層は硬化温度が-10℃~100℃であり、硬化温度が低いため、太陽電池モジュールへダメージを与えることがなく、且つ発電建材の製造プロセスがシンプルであり、エネルギー消費が低く、汚染がなく、製品のコストが低い。
【0267】
4)本発明で製造される発電建材の表面層は、光電変換装置とは高い付着力を有するだけでなく、優れた耐摩耗性、高い耐食性を有し、普通建築外壁の建材に要求される耐候性を満たし、耐用年数が従来の普通太陽光発電モジュールの耐用年数よりもはるかに長い。
【図面の簡単な説明】
【0268】
【
図1】本発明の太陽光発電建材の構造図であり、1は表面層、2は発電層、3は基材層である。
【
図2】
図1に示す太陽光発電建材の側面構造図であり、1は表面層、3は基材層、2-1は接着膜、2-2は太陽電池層、2*2は負電極面、2*3は正電極面、e1は引出負電極、e2は引出正電極である。
【
図3】本発明の太陽光発電建材の構造図であり、1は表面層、2は発電層、3は基材層である。
【
図4】
図3に示す太陽光発電建材の側面構造図であり、1は表面層、2-1は接着膜、2-2は太陽電池層、3-1は接着膜、3-2は基材、2*2は負電極面、2*3は正電極面、e1は引出負電極、e2は引出正電極である。
【
図5】本発明の太陽光発電建材の構造図であり、1は表面層、2は発電層、3は基材層である。
【
図6】
図5に示す太陽光発電建材の側面構造図であり、1は表面層、3は基材層、2-1は接着膜、2-2は太陽電池層、2*2は負電極面、2*3は正電極面、e1は引出負電極、e2は引出正電極である。
【
図7】本発明の太陽光発電建材の構造図であり、1は表面層、2は発電層、3は基材層である。
【
図8】
図7に示す太陽光発電建材の側面構造図であり、1は表面層、2-1は接着膜、2-2は太陽電池層、3-1は接着膜、3-2は基材、2*2は負電極面、2*3は正電極面、e1は引出負電極、e2は引出正電極である。
【
図9】本発明の太陽光発電建材の構造図であり、1は表面層、2は発電層である。
【
図10】
図9に示す太陽光発電建材の側面構造図であり、1は表面層、2-1はセラミック薄膜、2-2は太陽電池層、2-3は接着膜、2-4は基材、2*2は負電極面、2*3は正電極面、e1は引出負電極、e2は引出正電極である。
【
図11】本発明で製造される発電建材の実物の写真である。
【
図12】実施例22で製造される発電建材のI-V曲線である。
【
図13】本発明の発電建材の構造図(セラミック薄膜を備える)であり、1は建材化粧面保護層、2は光電変換層、3は建材基材層である。
【
図14】
図11に示す発電建材の側面構造図であり、1は建材化粧面保護層、2-1はセラミック薄膜、2-2は太陽電池層、2*2は負電極面、2*3は正電極面、e1は引出負電極、e2は引出正電極、3は基材層である。
【
図15】本発明の発電建材の構造図(前膜と接着膜を備える)であり、1は建材化粧面保護層、2は光電変換層、3は建材基材層である。
【
図16】
図13に示す発電建材の側面構造図であり、1は建材化粧面保護層、2-1は前膜、2-2は接着膜、2-3は太陽電池層、2*2は負電極面、2*3は正電極面、e1は引出負電極、e2は引出正電極、3は建材基材層である。
【
図17】本発明で製造される発電建材の実物の写真である。
【
図18】実施例26で製造される発電建材のI-V曲線である。
【
図19】本発明の発電建材の構造図(セラミック薄膜を備える)であり、1は建材化粧面保護層、2は光電変換層、3は機能層、4は建材基材層である。
【
図20】
図19に示す発電建材の側面構造図であり、1は建材化粧面保護層、2-1はセラミック薄膜、2-2は太陽電池層、2*2は負電極面、2*3は正電極面、3は機能層、4は建材基材層、e1は引出負電極、e2は引出正電極である。
【
図21】本発明の発電建材の構造図(前膜と接着膜を備える)であり、1は建材化粧面保護層、2は光電変換層、3は機能層、4は建材基材層である。
【
図22】
図21に示す発電建材の側面構造図であり、1は建材化粧面保護層、2-1は前膜、2-2は接着膜、2-3は太陽電池層、2*3は負電極面、2*4は正電極面、3は機能層、4は建材基材層、e1は引出負電極、e2は引出正電極である。
【
図23】本発明の発電建材の構造図(前膜、接着膜、2つの基材層を備える)であり、1は建材化粧面保護層、2は光電変換層、3は機能層、4は建材基材層である。
【
図24】
図23に示す発電建材の側面構造図であり、1は建材化粧面保護層、2-1は前膜、2-2は接着膜、2-3は太陽電池層、2*3は負電極面、2*4は正電極面、3は機能層、4-1は第1の基材層、4-2は接着膜、4-3は第2の基材層、e1は引出負電極、e2は引出正電極である。
【
図25】本発明の発電建材の構造図(前膜、接着膜、2つの基材層を備える)であり、1は建材化粧面保護層、2は光電変換層、3は接着膜、4は建材基材層である。
【
図26】
図25に示す発電建材の側面構造図であり、1は建材化粧面保護層、2-1は前膜、2-2は接着膜、2-3は太陽電池層、2-4は第1の基材層、2*3は負電極面、2*4は正電極面、3は接着膜、4は建材基材層、e1は引出負電極、e2は引出正電極である。
【
図27】本発明で製造される発電建材の実物の写真である。
【
図28】実施例31で製造される発電建材のI-V曲線である。
【
図29】本発明の発電建材の構造図(セラミック薄膜を備える)であり、1は表面層、2は光電変換装置、3は基材層である。
【
図30】
図29に示す発電建材の側面構造図であり、1は表面層、2-1はセラミック薄膜、2-2は太陽電池層、2*2は光誘起電子収集前電極、2*3は光誘起正孔収集裏電極、4は一対の電極である。
【
図31】本発明の発電建材の構造図(前膜と接着膜を備える)であり、1は表面層、2は光電変換装置、3は基材層である。
【
図32】
図31に示す発電建材の側面構造図であり、1は表面層、2-1は前膜、2-2は接着膜、2-3は太陽電池層、2*3は光誘起電子収集前電極、2*4は光誘起正孔収集裏電極、4は一対の電極である。
【
図33】本発明の発電建材の構造図(セラミック薄膜を備える)であり、1は表面層、2は光電変換装置、3は基材層である。
【
図34】
図33に示す発電建材の側面構造図であり、1は表面層、2-1はセラミック薄膜、2-2は太陽電池層、3-1は第1の基材層、3-2は接着膜、3-3は第2の基材層、2*3は光誘起電子収集前電極、2*4は光誘起正孔収集裏電極、4は一対の電極である。
【
図35】本発明の発電建材の構造図(前膜と接着膜を備える)であり、1は表面層、2は光電変換装置、3は基材層である。
【
図36】
図35に示す発電建材の側面構造図であり、1は表面層、2-1は前膜、2-2は接着膜、2-3は太陽電池層、3-1は第1の基材層、3-2は接着膜、3-3は第2の基材層、2*4は光誘起電子収集前電極、2*5は光誘起正孔収集裏電極、4は一対の電極である。
【
図37】本発明の発電建材の構造図(前膜と接着膜を備える)であり、1は表面層、2は光電変換装置、3は基材層である。
【
図38】
図37に示す発電建材の側面構造図であり、1は表面層、2-1は前膜、2-2は接着膜、2-3は太陽電池層、3-1は接着膜、3-2は第1の基材、3-3は接着膜、3-4は第2の基材、2*4は光誘起電子収集前電極、2*5は光誘起正孔収集裏電極、4は一対の電極である。
【
図39】本発明の発電建材の構造図(前膜と接着膜を備える)であり、1は表面層、2は光電変換装置、3は基材層である。
【
図40】
図39に示す発電建材の側面構造図であり、1は表面層、2-1は前膜、2-2は接着膜、2-3は太陽電池層、2*3は光誘起電子収集前電極、2*4は光誘起正孔収集裏電極、3-1は接着膜、3-2は基材層、4は一対の電極である。
【発明を実施するための形態】
【0269】
以下、特定実施例を参照して本発明をさらに説明する。
【0270】
実施例1
(1)
光学調整層は、厚さ20mm、水蒸気透過率0.5%、硬さ6Hの光透過性セラミックであった。光透過性セラミック製品について光学研削・研磨処理及び疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する光学調整層を形成した。
(2)
発電層としてセレン化銅インジウムガリウム太陽電池、基材としてセメント系板材を用いた。
製造した光透過性セラミック光学調整層を発電層の表面に被覆した。発電層と光学調整層をEVAで粘着し、両方を絶縁させた。太陽電池を水蒸気から遮断させた。それにより、光透過性セラミック付きの発電パネルを製造した。その構造図を
図1、
図2に示す。電池の表面に光透過性セラミック光学調整層が製造された発電パネルの変換効率は12.0%であった。
【0271】
実施例2
(1)
光学制御層は厚さ5mm、水蒸気透過率0.1%、硬さ9Hの光透過性セラミックであった。光透過性セラミック製品について光学研削・研磨処理及び疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する透明セラミック光学制御層を形成した。
(2)
発電層としてセレン化銅インジウムガリウム太陽電池、基材として建築用ガラスを用いた。
製造した光透過性セラミック光学調整層を発電層の表面に被覆した。発電層と光透過性セラミックの光学調整層とをEVAで粘着し、両方を絶縁させた、太陽電池を水蒸気から遮断させた。それにより、光透過性セラミック付きの発電パネルを製造した。電池表面に光透過性セラミック光学調整層を製造したところ、電池の効率は8.9%であった。
【0272】
実施例3
(1)
光学調整層は厚さ0.1mm、水蒸気透過率0.5%、硬さ7Hの極薄石材であった。製造プロセスは以下のとおりである。
石材として堆積岩を用いて、その表面について研削・研磨、クリーニングを行った。
硬化性接着剤としてシリコーン接着剤及びエポキシ樹脂を用いた。
平坦に磨かれた石材の表面にシリコーン接着剤を塗工し、次に、石材の表面に1層のガラス繊維布を被覆した。100℃で20min静置し、接着剤を硬化させた後、上記ガラス繊維布の表面にエポキシ樹脂を塗工し、この表面にガラス繊維布を被覆し、常温で20min静置し、接着剤を硬化させた。
機械的手段によってガラス繊維布を石材基体から剥がし、表面に石材が付いたガラス繊維布を得た。剥がした石材の繊維布から離れる表面を研磨した。
次に、ガラス繊維布と剥がした石材をアセトン溶液で分離した。
上記極薄石材製品について疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する極薄石材光学調整層を形成した。
本発明で製造される極薄石材(光学調整層)は、耐食性や硬さが高く、人体に無害である。極薄石材は、堆積岩の美しい外観を有し、良好な装飾性がある。
(2)
発電層としてテルル化カドミウム太陽電池、基材の材料としてコンクリートを用いた。
製造した光学調整層を発電層の表面に被覆した。発電層と光学調整層をEVAで粘着し、両方を絶縁させた。太陽電池を水蒸気から遮断させた。極薄石材の光学調整層を用いた発電パネルの製造が完了した。電池の表面に光学調整層を製造したところ、電池の効率は11.5%であった。
【0273】
実施例4
(1)
光学調整層は、厚さ0.2mm、水蒸気透過率0.3%、硬さ6Hの極薄石材であった。製造プロセスは以下のとおりである。
石材として頁岩を用い、その表面について研削・研磨、クリーニングを行った。
硬化性接着剤としてエポキシ樹脂を用いた。
平坦に磨かれた石材の表面にエポキシ樹脂を塗工し、次に、この表面に透明ガラス繊維布を被覆した。25℃で30min静置し、接着剤を硬化させた後、上記ガラス繊維布の表面にエポキシ樹脂を塗工し、その上にガラス繊維布を被覆した。25℃で30min静置し、接着剤を硬化させた。
機械的手段によってガラス繊維布を石材基体から剥がし、表面に石材が付いたガラス繊維布を得た。剥がした石材の繊維布から離れる表面を研磨した。
次に、ガラス繊維布と剥がした石材をアセトン溶液で分離した。
上記極薄石材製品について疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する極薄石材光学調整層を形成した。
本発明で製造される極薄石材は、耐食性や硬さが高く、人体に無害である。極薄石材は頁岩の美しい外観を有し、良好な装飾性がある。
(2)
発電層としてアモルファスシリコン太陽電池、その基材として金属板板材を用いた。
製造した光学調整層を発電層の表面に被覆した。発電層と光学調整層をEVAで粘着し、両方を絶縁させた。太陽電池を水蒸気から遮断させた。極薄石材光学調整層を用いた発電パネルの製造が完了した。電池の表面に光学調整層を製造したところ、電池の効率は9.5%であった。
【0274】
実施例5
(1)
光学調整層は、厚さ0.1mm、水蒸気透過率0.5%、硬さ6Hの光透過性人工樹脂シートであった。製造プロセスには、粉体配合、成形、硬化、表面加工が含まれる。
粉体配合:不飽和ポリエステル樹脂32部、シリコーン樹脂16部、架橋剤1部、カラーペースト0.1部、水酸化アルミニウム22部、炭酸カルシウム13部、促進剤0.5部、二酸化チタン3部、硬化剤3部。
使用されるカラーペーストは有機顔料を含み、有機顔料は0.05部であり、有機顔料はトリアリールメタン顔料0.02部と多環式顔料0.03部を含む。
上記粉体材料を真空撹拌機に投入して撹拌して混合し、均一に撹拌した不飽和ポリエステル樹脂混合材を得た。
成形:厚さの要件に応じて上記粉体材料を秤量し、金型に入れて真空吸引し、鋳込み成形した。
硬化:50℃で静置し、1h硬化成形し、所望の形状(板状)の生地を得た。
表面加工:焼結後の製品について光学研削・研磨処理及び疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する光透過性人工樹脂板を形成した。
(2)
発電層として単結晶シリコン太陽電池セル、基材としてセメント系板材を用いた。基材上に機能層を被覆し、次に、機能層上に単結晶シリコン太陽電池セルを被覆した。機能層の材料はEVAであった。
製造した光透過性人工樹脂板を発電層の表面に被覆した。発電層と光学調整層をEVAで粘着し、両方を絶縁させ、太陽電池を水蒸気から遮断させた。光透過性人工樹脂板光学調整層を用いた発電パネルの製造が完了し、その構造図は
図3、4に示される。光透過性人工樹脂板を用いた電池の効率は14%であった。
【0275】
実施例6
(1)
光学調整層は厚さ5mm、水蒸気透過率0、硬さ6Hの光透過性人工樹脂シートであった。製造プロセスには、粉体配合、成形、硬化、表面加工が含まれる。
粉体配合:不飽和ポリエステル樹脂40部、シリコーン樹脂18部、架橋剤1部、カラーペースト0.5部、水酸化アルミニウム18部、炭酸カルシウム15部、促進剤3部、二酸化チタン4部、硬化剤1部。
また、分散剤としてトリポリリン酸ナトリウムを添加してもよい。
使用されるカラーペーストは有機顔料であり、アゾ顔料0.3部と多環式顔料0.2部を含む。
上記粉体材料を真空撹拌機に投入して撹拌して混合し、均一に撹拌した不飽和ポリエステル樹脂混合材を得た。
成形:厚さに応じて上記原料を秤量し、金型に入れて真空吸引し、鋳込み成形した。
硬化:室温で静置し、2h硬化成形し、所望の形状(板状)の生地を得た。
表面加工:硬化後の製品について光学研削・研磨処理及び疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する光透過性人工樹脂板を形成した。
本発明で製造される光透過性人工樹脂板は、緻密性、耐食性、硬さが高く、人体に無害である。
(2)
発電層として多結晶シリコン太陽電池セル、その基材としてセラミック材料を用い、基材上に機能層を被覆し、次に、機能層上に多結晶シリコン太陽電池セルを被覆した。機能層の材料はEVAであった。
製造した装飾保護層光学調整層を発電層の表面に被覆した。太陽電池モジュール発電層と保護層とをEVAで粘着し、ラミネートしてシールし、両方を絶縁させた。太陽電池を水蒸気から遮断させた。光透過性人工樹脂板を用いた太陽電池モジュール発電建材の製造が完了した。光透過性人工樹脂板を用いた発電建材の効率は11.5%であった。
【0276】
実施例7
(1)
光学調整層は、厚さ5mm、水蒸気透過率0、硬さ8Hの施釉ガラスであった。製造プロセスは以下のとおりである。
スラリー製造:スラリーは曹長石75重量部、石英石20重量部、炭酸カルシウム6重量部、滑石粉8重量部、ケイ酸カルシウム20重量部、アルミナ3重量部、水酸化ナトリウム5重量部、カラーペースト0.4重量部を含む。
使用されるカラーペーストはカーボンブラック0.1部、雲母0.05部、雄黄0.1部、ベンガラ0.1部、及び黄色酸化鉄0.05部を含む。
上記材料を脱イオン水に投入して、ボールミリングにより加えた固体の粒子径を低下させて、水中に均一に分散させてスラリーとし、均一に撹拌した。
塗工厚さ0.2mmでプリントによりスラリーを産業用ガラスに塗工した。プリントに際して、様々なスプレーヘッドが利用可能であり、フローマークがないようにスプレーヘッドの隣に加熱用エアガンが設けられ、このようなスプレーヘッドはプリントスラリーの流量をより正確に制御できる。
次に、スラリーが塗工されたガラスをオーブンに入れて、45℃で2h焼いて乾燥させた。
さらに、乾燥後のスラリー/ガラスをキルンに入れて、750℃で4h焼成した。
(2)
発電層としてセレン化銅インジウムガリウム太陽電池、基材としてセメント系板材を用いた。
製造した光学調整層を発電層の表面に被覆した。発電層と光学調整層をEVAで粘着し、両方を絶縁させ、太陽電池を水蒸気から遮断させた。施釉ガラス光学調整層を用いた発電パネルの製造が完了した。電池の表面に光学調整層を製造したところ、電池の効率は11.7%であった。
【0277】
実施例8
(1)
光学制御層は厚さ20mm、水蒸気透過率0.5%、硬さ6Hの光透過性セラミックであった。光透過性セラミック製品について光学研削・研磨処理及び疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する光学制御層を形成した。
(2)
発電層としてセレン化銅インジウムガリウム太陽電池、基材としてセメント系板材を用いた。
製造した光透過性セラミック光学制御層を発電層の表面に被覆した。発電層と光学制御層をEVAで粘着し、両方を絶縁させた。太陽電池を水蒸気から遮断させた。それにより、光透過性セラミック付きの発電パネルを製造した。その構造図を
図5、
図6に示す。電池の表面に光透過性セラミック光学制御層が製造された発電パネルの変換効率は12.0%であった。
【0278】
実施例9
(1)
光学制御層は、厚さ5mm、水蒸気透過率0.1%、硬さ9Hの光透過性セラミックであった。光透過性セラミック製品について光学研削・研磨処理及び疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する透明セラミック光学制御層を形成した。
(2)
発電層としてセレン化銅インジウムガリウム太陽電池、基材として建築用ガラスを用いた。
製造した光透過性セラミック光学制御層を発電層の表面に被覆した。発電層と光透過性セラミック光学制御層とをPVBで粘着し、両方を絶縁させ、太陽電池を水蒸気から遮断させた。それにより、光透過性セラミック付きの発電パネルを製造した。電池表面に光透過性セラミック光学制御層を製造したところ、電池の効率は11%であった。
【0279】
実施例10
(1)
光学制御層は、厚さ1mm、水蒸気透過率0.5%、硬さ7Hの極薄石材であった。製造プロセスは以下のとおりである。
石材として堆積岩を用いて、その表面について研削・研磨、クリーニングを行った。
硬化性接着剤としてシリコーン接着剤及びエポキシ樹脂を用いた。
平坦に磨かれた石材の表面にシリコーン接着剤を塗工し、次に、石材の表面に1層のガラス繊維布を被覆した。100℃で20min静置し、接着剤を硬化させた後、上記ガラス繊維布の表面にエポキシ樹脂を塗工し、この表面にガラス繊維布を被覆し、常温で20min静置し、接着剤を硬化させた。
機械的手段によってガラス繊維布を石材基体から剥がし、表面に石材が付いたガラス繊維布を得た。剥がした石材の繊維布から離れる表面を研磨した。
次に、ガラス繊維布と剥がした石材をアセトン溶液で分離した。
上記極薄石材製品について疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する極薄石材光学制御層を形成した。
本発明で製造される極薄石材(光学制御層)は、耐食性や硬さが高く、人体に無害である。極薄石材は堆積岩の美しい外観を有し、良好な装飾性がある。
(2)
発電層としてテルル化カドミウム太陽電池、基材の材料としてコンクリートを用いた。
製造した光学制御層を発電層の表面に被覆した。発電層と光学制御層をEVAで粘着し、両方を絶縁させた。太陽電池を水蒸気から遮断させた。極薄石材光学制御層を用いた発電パネルの製造が完了した。電池表面に光学制御層を製造したところ、電池の効率は12.5%であった。
【0280】
実施例11
(1)
光学制御層は厚さ0.2mm、水蒸気透過率0.3%、硬さ6Hの極薄石材であった。製造プロセスは以下のとおりである。
石材として頁岩を用い、その表面について研削・研磨、クリーニングを行った。
硬化性接着剤としてエポキシ樹脂を用いた。
平坦に磨かれた石材の表面にエポキシ樹脂を塗工し、この表面にガラス繊維布を被覆した。25℃で30min静置し、接着剤を硬化させた後、上記ガラス繊維布の表面にエポキシ樹脂を塗工し、その上にガラス繊維布を被覆した。25℃で30min静置し、接着剤を硬化させた。
機械的手段によってガラス繊維布を石材基体から剥がし、表面に石材が付いたガラス繊維布を得た。剥がした石材の繊維布から離れる表面を研磨した。
次に、ガラス繊維布と剥がした石材をアセトン溶液で分離した。
上記極薄石材製品について疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する極薄石材光学制御層を形成した。
本発明で製造される極薄石材は、耐食性や硬さが高く、人体に無害である。極薄石材は頁岩の美しい外観を有し、良好な装飾性がある。
(2)
発電層としてアモルファスシリコン太陽電池、その基材として金属板板材を用いた。
製造した光学制御層を発電層の表面に被覆した。発電層と光学制御層をEVAで粘着し、両方を絶縁させた。太陽電池を水蒸気から遮断させた。極薄石材光学制御層を用いた発電パネルの製造が完了した。電池表面に光学制御層を製造したところ、電池の効率は9.5%であった。
【0281】
実施例12
(1)
光学制御層は、厚さ0.1mm、水蒸気透過率0.5%、硬さ6Hの光透過性人工樹脂シートであった。製造プロセスには、粉体配合、成形、硬化、表面加工が含まれる。
粉体配合:不飽和ポリエステル樹脂32部、シリコーン樹脂16部、架橋剤1部、カラーペースト0.1部、水酸化アルミニウム22部、炭酸カルシウム13部、促進剤0.5部、二酸化チタン3部、硬化剤3部。
使用されるカラーペーストは有機顔料を含み、有機顔料は0.05部であり、有機顔料はトリアリールメタン顔料0.02部、及び多環式顔料0.03部を含む。
上記粉体材料を真空撹拌機に投入して撹拌して混合し、均一に撹拌した不飽和ポリエステル樹脂混合材を得た。
成形:厚さの要件に応じて上記粉体材料を秤量し、金型に入れて真空吸引し、鋳込み成形した。
硬化:50℃で静置し、1h硬化成形し、所望の形状(板状)の生地を得た。
表面加工:焼結後の製品について光学研削・研磨処理及び疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する光透過性人工樹脂板を形成した。
本発明で製造される光透過性人工樹脂板は、緻密性、耐食性、硬さが高く、人体に無害である。
(2)
発電層として単結晶シリコン太陽電池セル、基材としてセメント系板材を用いた。基材上に機能層を被覆し、次に、機能層上に単結晶シリコン太陽電池セルを被覆した。機能層の材料はEVAであった。
製造した光透過性人工樹脂板を発電層の表面に被覆した。発電層と光学制御層をEVAで粘着し、両方を絶縁させ、太陽電池を水蒸気から遮断させた。光透過性人工樹脂板光学制御層を用いた発電パネルの製造が完了し、その構造図は
図7、
図8に示される。光透過性人工樹脂板を用いた電池の効率は14%であった。
【0282】
実施例13
(1)
光学制御層は、厚さ5mm、水蒸気透過率0、硬さ6Hの光透過性人工樹脂シートであった。製造プロセスには、粉体配合、成形、硬化、表面加工が含まれる。
粉体配合:不飽和ポリエステル樹脂40部、シリコーン樹脂18部、架橋剤1部、カラーペースト0.5部、水酸化アルミニウム18部、炭酸カルシウム15部、促進剤3部、二酸化チタン4部、硬化剤1部。
また、分散剤としてトリポリリン酸ナトリウムを添加してもよい。
使用されるカラーペーストは有機顔料であり、アゾ顔料0.3部及び多環式顔料0.2部を含む。
上記粉体材料を真空撹拌機に投入して撹拌して混合し、均一に撹拌した不飽和ポリエステル樹脂混合材を得た。
成形:厚さに応じて上記原料を秤量し、金型に入れて真空吸引し、鋳込み成形した。
硬化:室温で静置し2h硬化成形し、所望の形状(板状)の生地を得た。
表面加工:硬化後の製品について光学研削・研磨処理及び疎水化処理を行い、光透過性に優れ、外観に観賞性を有する光透過性人工樹脂板を形成した。
本発明で製造される光透過性人工樹脂板は、緻密性、耐食性、硬さが高く、人体に無害である。
(2)
発電層として多結晶シリコン太陽電池セル、その基材としてセラミック材料を用い、基材上に機能層を被覆し、次に、機能層上に多結晶シリコン太陽電池セルを被覆した。機能層の材料はEVAであった。
製造した装飾保護層光学制御層を発電層の表面に被覆した。太陽電池モジュール発電層と保護層とをEVAで粘着し、ラミネートしてシールし、両方を絶縁させた。太陽電池を水蒸気から遮断させた。1つの光透過性人工樹脂板を用いた太陽電池モジュール発電建材の製造が完了した。光透過性人工樹脂板を用いた発電建材の効率は11.5%であった。
【0283】
実施例14
(1)
光学制御層は、建築用ガラスである基体と釉層とを含む、厚さ1mm、水蒸気透過率0、硬さ8Hの施釉ガラスであった。具体的には、釉層の製造ステップは、
スラリー製造、印刷塗布、ベーク、焼結を含む。
スラリー製造:スラリーは曹長石70部、石英石15部、炭酸カルシウム6部、滑石粉8部、ケイ酸カルシウム10部、アルミナ3部、水酸化ナトリウム1部、カラーペースト1部を含む。
使用されるカラーペーストはアゾ顔料0.3部、フタロシアニン顔料0.4部、トリアリールメタン顔料0.2部、及び多環式顔料0.1部を含む。
上記材料を脱イオン水に投入して、ボールミリングにより加えた固体の粒子径を低下させて、水中に均一に分散させてスラリーとし、均一に撹拌した。
塗工厚さ0.2mmでプリントによりスラリーを建築用ガラスに塗工した。プリントに際して、様々なスプレーヘッドが利用可能であり、フローマークがないようにスプレーヘッドの隣に加熱用エアガンが設けられ、このようなスプレーヘッドはプリントスラリーの流量をより正確に制御できる。
次に、スラリーが塗工されたガラスをオーブンに入れて、25℃で30min焼いて乾燥させた。
さらに、乾燥後のスラリー/ガラスをキルンに入れて、550℃で3h焼成した。
(2)
発電層としてテルル化カドミウム太陽電池、その基材としてエンジニアリングプラスチックを用いた。
製造した光学制御層を発電層の表面に被覆した。発電層と光学制御層をEVAで粘着し、両方を絶縁させ、太陽電池を水蒸気から遮断させた。施釉ガラス光学制御層を用いた発電パネルの製造が完了した。電池表面に光学制御層を製造したところ、電池の効率は12.5%であった。
【0284】
実施例15
(1)
光学制御層は、厚さ5mm、水蒸気透過率0、硬さ8Hの施釉ガラスであった。製造プロセスは以下のとおりである。
スラリー製造:スラリーは曹長石75重量、石英石20重量、炭酸カルシウム6重量、滑石粉8重量、ケイ酸カルシウム20重量、アルミナ3重量、水酸化ナトリウム5重量、カラーペースト0.4重量を含む。
使用されるカラーペーストはカーボンブラック0.1部、雲母0.05部、雄黄0.1部、ベンガラ0.1部、及び黄色酸化鉄0.05部を含む。
上記材料を脱イオン水に投入して、ボールミリングにより加えた固体の粒子径を低下させて、水中に均一に分散させてスラリーとし、均一に撹拌した。
塗工厚さ0.2mmでプリントによりスラリーを産業用ガラスに塗工した。プリントに際して、様々なスプレーヘッドが利用可能であり、フローマークがないようにスプレーヘッドの隣に加熱用エアガンが設けられ、このようなスプレーヘッドはプリントスラリーの流量をより正確に制御できる。
次に、スラリーが塗工されたガラスをオーブンに入れて、45℃で2h焼いて乾燥させた。
さらに、乾燥後のスラリー/ガラスをキルンに入れて、750℃で4h焼成した。
(2)
発電層としてセレン化銅インジウムガリウム太陽電池、基材としてセメント系板材を用いた。
製造した光学制御層を発電層の表面に被覆した。発電層と光学制御層をEVAで粘着し、両方を絶縁させ、太陽電池を水蒸気から遮断させた。施釉ガラス光学制御層を用いた発電パネルの製造が完了した。電池表面に光学制御層を製造したところ、電池の効率は11.7%であった。
【0285】
実施例16
太陽光発電建材の基材は、厚さ0.2mmの軟質ステンレス鋼箔であり、その上に発電層が設けられ、且つリード引出電極が設けられた。発電層上に表面層が設けられた。
発電層の製造方法は、具体的には、以下のとおりである。
軟質ステンレス鋼箔基板をきれいに洗浄してマグネトロンスパッタ装置に入れた。ステンレス鋼中の元素が太陽電池へ拡散しないように、まず、0.5μmのWTiバリア層を1層スパッタリングした。作動ガスとしてArガスを用い、スパッタリング気圧を0.7Pa、到達真空度を2.0×10-3Paとして、スパッタリングに際して基材を加熱しなかった。3サブ層プロセスを用いてMo膜を製造し、1層目にはスパッタリング気圧を1.5Pa、2層目にはスパッタリング気圧を0.6Pa、3層目にはスパッタリング気圧を1.5Paとした。Mo膜上にスパッタリング気圧0.7Pa、到達真空度1.5×10-3Paでスパッタリング方法によって1.2~2μmのCIGS薄膜を堆積し、続いて、セレン化アニーリング処理を行った。硫酸カドミウム、チオ尿素及びアンモニア水の混合溶液にセレン化後の薄膜を入れて、70℃で30~50nmのCdSを堆積した。次に、スパッタリングチャンバーに再度薄膜を入れて、作動ガスとしてO2+Arを用いて、スパッタリング気圧を0.7Pa、到達真空度を2.0×10-3Paとし、スパッタリングに際して基材温度を150~200℃に保持して、真性ZnO薄膜及びAZO薄膜をそれぞれ堆積した。最後に、蒸発方法によってNiAlゲートを堆積し、フレキシブル薄膜太陽電池パネルを製造した。その後、RFスパッタリング法によって厚さ3μmの窒化アルミニウムを堆積し、最終的に発電層を形成した。
プリント方法によって表面層を製造し、表面層の原料混合液に硬化母液、光拡散剤及び着色剤を含有した。硬化母液は、ソープフリー重合シリコーン-アクリレートエマルジョン21部、コア-シェル構造を共重合した自己架橋シリコーン-アクリレートエマルジョン90部、及びシリコーングラフトアクリレートエマルジョン70部を用い、光拡散剤は、粒子径0.8μmの球状ポリメチルメタクリレートを用い、混合液中、光拡散剤の質量分率は0.3%であった。着色剤はマラカイトと群青バイオレット顔料を含み、粒子径分布が30~150nmであり、混合液中の顔料の比が0.5%であり、さらに、表面層の原料混合液は水40部、5040分散剤1.5部、M30殺菌剤2.5部をさらに含む。製造した表面層は、厚さ0.02mm、硬化温度90℃、硬化時間1hであった。製造した表面層は透過率85%、ヘイズ52%であった。
【0286】
実施例17
太陽光発電建材であって、厚さ2.0mmのガラスを基材として、基材上に発電層が設けられ、且つリード引出電極が設けられた。CIGS薄膜をCu2(ZnSn)(SSe)4、薄膜の後処理プロセスをセレン化又は硫化に変更した以外、電池の製造プロセスは実施例1と類似している。電池層上に保護層が設けられ、保護層はEVA及びガラスとした。
表面層は手動スプレーコード方法によって製造されたものであり、表面層の原料混合液は、硬化母液、光拡散剤、及び着色剤を含有する。硬化母液は、カリウム水ガラスとナトリウム水ガラスを2:1の割合で混合した水ガラス45部を用い、光拡散剤は粒子径7μmのシリコーン光拡散剤を用い、混合液中、光拡散剤の質量分率は2%であった。着色剤はキナクリドンレッドと亜鉛白を含み、混合液中、顔料の比が0.9%であった。さらに、表面層の原料混合液は滑石粉と炭酸カルシウムを混合したフィラー20部、シリカゲル1部をさらに含む。
本実施例で製造した表面層は、厚さ2mm、硬化温度20℃、硬化時間2hであった。
太陽光発電建材の表面層は、300~1300nmの可視光に対する透過率曲線において、加重平均透過率が35%、ヘイズが10%であった。
例えば液体混合物をブレードコート、プリント、スライドコートの手段によって発電層の表面に塗布するなど、他の方式によっても本願の太陽光発電建材の保護層が得られた。
【0287】
実施例18
太陽光発電建材であって、厚さ8.0mmのセラミックタイルを基材として、基材上に電池層が設けられ、且つリード引出電極が設けられた。電池層はCdTe太陽電池構造を用い、具体的な製造プロセスは以下のとおりである。きれいに洗浄した基材をスパッターに入れ、作動ガスをArガス、スパッタリング気圧を0.7Pa、到達真空度を1.5×10-3Paとして、基材上に透明導電性酸化インジウムスズ薄膜を1層スパッタリング堆積した。続いて、スクリーン印刷方法を用いてCdSスラリーを薄膜として塗布し、90~120℃で1~3hベークし、次に、N2雰囲気下650~710℃の焼結温度で0.5~2h焼結した。次に、CdTe粉体材料を含有するスラリーをCdS上に印刷して1h焼結した。最後に、CdTe上に炭素電極とAgペーストを印刷して引出電極とした。電池層上にPVB及びETFEである保護層を設け、さらに保護層上に下記原料の厚さ0.1mmの表面層を製造した。
表面層の原料混合液は硬化母液、光拡散剤、及び着色剤を含有する。硬化母液は60部であり、フッ素樹脂エマルジョンとポリアクリル酸エマルジョンとを混合比3:1で混合した混合物を用い、光拡散剤は、粒子径2μmのポリスチレン光拡散剤を用い、混合液中、光拡散剤の質量分率は4%であった。着色剤はウルトラマリンブルー、オーガニックグリーン及びトルイジンレッドの組み合わせを含み、混合液中、顔料の比が1.5%であった。さらに、表面層の原料混合液は、珪灰石粉、石英粉及びベントナイトを重量比1:1.5:0.8で混合したフィラー15部、ジメチルスルホキシド0.2部、ポリカルボン酸ナトリウム塩1.1部、乳化シリコーンオイル0.3部をさらに含む。
スプレーコード、プリント、スライドコートによって表面層を構成する液体溶液を発電層の表面に塗布し、硬化温度を90℃、硬化時間を0.2sとした。表面層は、300~1300nmの可視光に対する透過率曲線において、加重平均透過率が52%、ヘイズが50%であった。
【0288】
実施例19
太陽光発電建材であって、厚さ10.0mmの窒化アルミニウムセラミックを基材として、基材上にアモルファスシリコン電池としての発電層が設けられ、且つリード引出電極が設けられた。電池層上に保護層が設けられ、保護層の材質は厚さ15μmのセラミック薄膜シリカであり、シリカは反応性スパッタリングによって得られた。つまり、真空室を2.0×10-3Paに吸引した後作動し始めた。0.6Paスパッタリング気圧、Ar:O2を3:1としたスパッタリング雰囲気Ar+O2にて600W定電力でスパッタリングし、ここで、ターゲット材は6N純度の単結晶シリコンであり、ターゲット-基板間距離は60mmであった。
表面層は印刷方法によって製造されたものであり、重量部基準で、表面層の原料混合液は硬化母液、光拡散剤、及び着色剤を含有する。硬化母液はカリウム水ガラスとナトリウム水ガラスを1:1の割合で混合した水ガラス75部を用い、光拡散剤は粒子径1μmのポリメチルメタクリレート光拡散剤を用い、混合液中、光拡散剤の質量分率は3%であった。着色剤はキナクリドンレッドと金雲母を含み、混合液中、顔料の比が1.0%であった。さらに、表面層の原料混合液は、珪灰石粉、ケイ酸アルミニウム、カオリンを重量比3:2:5で混合したフィラー20部、シリカゲル0.5部をさらに含む。
太陽光発電建材の表面層は、300~1300nmの可視光に対する透過率曲線において、加重平均透過率が45%、ヘイズが40%であった。
例えば液体混合物をスプレーコード、スクリーン印刷、スライドコートによって発電層の表面に塗布するなど、他の方式によっても本願の太陽光発電建材の保護層が得られた。
【0289】
実施例20
太陽光発電建材であって、多結晶シリコンモジュール製品を用い、その基材は吸水率1%未満の、厚さ5mmのセラミックタイルであり、発電層にはリード引出電極が設けられる。電池層上に保護層が設けられ、保護層はシリカセラミック薄膜であった。
表面層は自動スプレーコード方法によって製造されたものであり、表面層の原料混合液は、硬化母液、光拡散剤、及び着色剤を含有する。硬化母液は70部であり、フッ素樹脂エマルジョンとポリウレタンエマルジョンを1:1の混合比で混合したものを用い、光拡散剤は粒子径2μmのポリスチレン光拡散剤を用い、混合液中、光拡散剤の質量分率は1%であった。着色剤は真珠光沢顔料を用い、混合液中、顔料の比が1.25%であった。さらに、表面層の原料混合液は、石英粉と沈殿硫酸バリウムを重量比2:3で混合したフィラー10部、グリセリン0.4部、ポリカルボン酸ナトリウム塩1.0部をさらに含む。
表面層は、厚さ0.3mm、硬化温度50℃、硬化時間1sであった。300~1300nmの可視光に対する透過率曲線において、加重平均透過率が45%、ヘイズが95%であった。太陽光発電建材の構造模式図を
図9、
図10に示す。
【0290】
実施例21
太陽光発電建材であって、市販単結晶シリコン電池モジュール製品を選択した。その基材は厚さ2mmのガラスであり、発電層にはリード引出電極が設けられるが、保護層がさらに設けられ、保護層はシリカゲルと前膜を含み、前膜はETFEを用いた。
表面層はスピンコート方法によって製造されたものであり、表面層の原料混合液は硬化母液、光拡散剤、及び着色剤を含有する。硬化母液は、ソープフリー重合シリコーン-アクリレートエマルジョン28部、コア-シェル構造を共重合した自己架橋シリコーン-アクリレートエマルジョン70部、及びシリコーングラフトアクリレートエマルジョン110部を用い、光拡散剤は粒子径2.5μmの球状ポリスチレンを用い、混合液中、光拡散剤の質量分率は1%であった。着色剤はライトファストピンクレイクとアシッドレイクブルーレイクの組み合わせを含み、混合液中、染料の比が0.9%であり、さらに、表面層の原料混合液は、250HBRセルロース2部、M30殺菌剤2.5部をさらに含む。製造した表面層は、厚さ0.05mm、硬化温度-20℃、硬化時間30hであった。
本実施例で得た発電建材の表面層は、300~1300nmの光に対する加重平均透過率が55%、ヘイズが70%であった。
図13及び
図14には、発電建材の構造図が示されている。
発電建材は建材化粧面保護層、光電変換層、及び建材基材層を含む。
前記建材基材層は、ガラス、金属板、セメント系繊維板、軟質プラスチック薄膜又はセラミックタイルのうちの1種を含む。
前記光電変換層は、セレン化銅インジウムガリウム(CIGS)太陽電池、ヒ化ガリウム(GaAs)太陽電池、アモルファスシリコン太陽電池、テルル化カドミウム(CdTe)太陽電池、色素増感太陽電池、銅亜鉛スズ硫黄(CZTS)太陽電池又はペロブスカイト太陽電池を含む。
前記建材化粧面保護層は、300nm~1300nmの波長範囲内で、加重平均透過率が10%~85%であった。前記化粧面保護層の厚さは0.01~5mmであった、建材化粧面保護層が厚いと良好な保護効果を奏する反面、透過率低下を招く。
【0291】
実施例22
発電建材であって、建材の基材層は厚さ0.2mmの軟質ステンレス鋼箔であり、基材層上に光電変換層が設けられ、リードを介して電極が引き出された。光電変換層上に建材化粧面保護層が設けられる。
光電変換層の製造方法は、具体的には、以下のとおりである。
軟質ステンレス鋼箔基板をきれいに洗浄してマグネトロンスパッタ装置に入れた。ステンレス鋼中の元素が太陽電池へ拡散しないように、まず、厚さ0.5μmのWTiバリア層を1層スパッタリングした。作動ガスをArガス、スパッタリング気圧を0.7Pa、到達真空度を2.0×10
-3Paとし、スパッタリングに際して基材を加熱しなかった。3サブ層プロセスによってMo膜を製造し、1層目にはスパッタリング気圧を1.5Pa、2層目にはスパッタリング気圧を0.6Pa、3層目にはスパッタリング気圧を1.5Paとした。Mo膜上にスパッタリング気圧を0.7Pa、到達真空度1.5×10
-3Paとしたスパッタリング方法によって厚さ1.2μmのCIGS薄膜を堆積し、続いて、セレン化アニーリング処理を行った。硫酸カドミウム、チオ尿素及びアンモニア水の混合溶液にセレン化後のCIGS薄膜を入れて、50nmのCdSを堆積した。その後、スパッタリングチャンバーにCIGS薄膜を再度入れて、作動ガスとしてO
2+Arを用い、スパッタリング気圧を0.7Pa、到達真空度を2.0×10
-3Paとし、スパッタリングに際して基材の温度を200℃として、真性ZnO薄膜及びAZO薄膜をそれぞれ堆積した。最後に、蒸発法によってNiAlゲートを堆積し、フレキシブルCIGS薄膜太陽電池パネルを製造した。その後、RFスパッタリング法によって厚さ3μmの窒化アルミニウムをバリア層として堆積し、最終的に光電変換層を形成した。
建材化粧面保護層の原料の配合比としては、母液は155重量部、顔料は7重量部であり、顔料は、同重量のチタン白粉、ベンガラ粉、黄色酸化鉄、フタロシアニンブルー、及び酸化クロムグリーンを用いた。前記母液は、脱イオン水764部、A1522架橋剤0.4部、250HBRセルロース3部、5040分散剤1.5部、AMP-95多機能助剤1.5部、M30殺菌剤2.5部、R103成形剤21部、エチレングリコール4部、C-12成膜助剤9.5部、シリコーン光拡散剤0.1部、半導体セリア量子ドット0.02部、グラフェン0.001部、ソープフリー重合シリコーン-アクリレートエマルジョン21部、コア-シェル構造を共重合した自己架橋シリコーン-アクリレートエマルジョン90部、及びシリコーングラフトアクリレートエマルジョン70部を含む。プリント方法によって建材化粧面保護層を製造した。製造した建材化粧面保護層は厚さ0.5mmであった。製造した建材化粧面保護層のサンプルを100℃で0.1s硬化させ、前記発電建材を得た。
実施例22で製造した発電建材の構造を
図13、及び
図14に示し、製造した発電建材の光電変換率は12.3%であった。
図12には、実施例22で製造した発電建材のI-V曲線が示されている。
【0292】
実施例23
発電建材であって、厚さ2.0mmのガラスを基材として、基材上に光電変換層が設けられ、且つリード引出電極が設けられる。CIGS薄膜を銅亜鉛スズ硫黄セレン薄膜に変更し、CZTSSe薄膜の後処理プロセスをセレン化及び硫化に変更した以外、光電変換層の製造プロセスは実施例1と類似している。電池層にはバリア層が設けられ、バリア層はEVA及びガラスであり、建材化粧面保護層は手動スプレーコード方法によって製造されたものである。
建材化粧面保護層の原料の配合比として、母液は186重量部、顔料は5重量部であった。使用される母液は、カリウム水ガラス45部、フィラー130部を含み、前記フィラーは、滑石粉、炭酸カルシウム及びカオリンを重量比2:1:1で混合したものである。前記母液はシリコーン樹脂0.2部、シリカゲル3部、2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレート1部、ビニルトリアミン6部、水20部、及び光拡散剤として硫酸バリウム0.2部を含む。顔料は5部であり、チタン白粉、ベンガラ粉、黄色酸化鉄、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーン、及び雄黄を含む。製造した化粧面保護層は、厚さ2mm、硬化温度20℃、硬化時間20hであった。
実施例23で製造した発電建材の構造を
図15、及び
図16に示し、製造した発電建材の光電変換率は7.3%であった。
【0293】
実施例24
発電建材であって、厚さ8.0mmのセラミックタイルを基材として、基材上に光電変換層が設けられ、且つリード引出電極が設けられた。光電変換層はCdTe太陽電池であり、電池層上にバリア層が設けられ、バリア層はPVB及びETFEであり、バリア層上に厚さ5mmの建材化粧面保護層が製造された。
建材化粧面保護層の原料の配合比として、母液は100重量部、顔料は5重量部であった。前記母液原料は、基礎材料60部、フィラー18部、及び助剤3.8部を含む。前記基礎材料はフッ素樹脂を含み、顔料は雲母、珊瑚、カドミウムレッド、紺青、及びオーガニックグリーンを含み、フィラーは、重量比1:1.5:0.8の珪灰石粉、石英粉及びベントナイトを含み、助剤はジメチルスルホキシド0.2部、ポリカルボン酸ナトリウム塩1.1部、乳化シリコーンオイル0.3部、2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレート1.5部、o-フェニルフェノール0.2部、及びメチルセルロース0.5部を含む。
スプレーコード方式によって化粧面保護層の液体混合原料を光電変換層の表面に塗布し、-10℃の温度で72h硬化させ、前記発電建材を得た。
実施例24で製造した発電建材の構造を
図15、及び
図16に示し、製造した発電建材の光電変換率は13.7%であった。
【0294】
実施例25
発電建材であって、厚さ5.0mmのポリテトラフルオロ板を基材として、基材上に光電変換層としてアモルファスシリコン電池が設けられ、且つリード引出電極が設けられた。電池層上にシリカ薄膜材質の厚さ5μmのバリア層が設けられる。シリカは反応性スパッタリングによって得られた。つまり、真空室を2.0×10
-3Paに吸引した後、0.6Paスパッタリング気圧、Ar:O
2を3:1としたスパッタリング雰囲気Ar+O
2にて600W定電力でスパッタリングし、ターゲット材は6N純度の単結晶シリコン、ターゲット-基板間距離は60mmであった。
建材化粧面保護層は印刷方法によって製造されたものである。原料の配合比として、母液は240重量部、顔料は10重量部であった。使用される母液は、ナトリウム水ガラス75部と、珪灰石粉、ケイ酸アルミニウム、カオリンを重量比3:2:5で混合したフィラー112部とを含む。母液は、シリコーン樹脂0.1部、メチルセルロース5部、2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレート5部、m-フェニレンジアミン6部、水14部、及びシリコーン光拡散剤0.05部をさらに含み、前記顔料はフタロシアニン顔料10部である。製造した化粧面保護層は厚さ1mmであり、製造した建材化粧面保護層のサンプルを50℃温度で2h硬化させ、発電建材を得た。
実施例25で製造した発電建材の構造を、
図13及び
図14に示し、製造した発電建材の光電変換率は8.3%であった。
図19及び
図20には、新型発電建材が示されている。
上部から下部へかけて、発電建材は、建材化粧面保護層、光電変換層、機能層、及び建材基材層を含む。
前記光電変換層は、結晶性シリコン太陽電池モジュール又は/及び薄膜太陽電池モジュールを含み、又はバリア層付きの薄膜太陽電池チップ又は/及び結晶性シリコン太陽電池チップを含む。
前記建材化粧面保護層は、300nm~1300nmの波長範囲内で、加重平均透過率が10%~85%であった。前記建材化粧面保護層の厚さは0.01~5mmであり、建材化粧面保護層が厚いと、良好な保護効果を果たす反面、建材化粧面保護層の透過率を低下させた。
【0295】
実施例26
発電建材であって、光電変換層として市販単結晶シリコン電池チップ、機能層としてPVB接着膜、建材基材層としてセラミックタイルを用いた。ラミネート封止によってPVBで電池チップをセラミックタイル上に貼り付け、リード引出電極が設けられたチップ上にシリカバリア層を設け、手動スプレーコード方法によって光電変換層上に建材化粧面保護層の原料混合液体を建材化粧面保護層の厚さが2mmとなるように塗布した。建材化粧面保護層の原料混合液体を50℃で30min硬化させると、本発明の前記発電建材を得た。
建材化粧面保護層の原料は母液を主成分、無機顔料を補助成分とした。、母液は155重量部、顔料は7重量部であり、同重量のチタン白粉とベンガラ粉を用いた。前記母液は脱イオン水764重量部、A1522架橋剤0.4重量部、250HBRセルロース3重量部、5040分散剤1.5重量部、AMP-95多機能助剤1.5重量部、M30殺菌剤2.5重量部、R103成形剤21重量部、エチレングリコール4重量部、C-12成膜助剤9.5重量部、半導体セリア量子ドット0.02重量部、グラフェン0.001重量部、ソープフリー重合シリコーン-アクリレートエマルジョン21重量部、コア-シェル構造を共重合した自己架橋シリコーン-アクリレートエマルジョン90重量部、及びシリコーングラフトアクリレートエマルジョン70重量部を含む。
実施例26で製造した発電建材の構造を
図19、
図20に示し、製造した発電建材の光電変換率は15.2%であった。
図18は本発明の実施例26で製造した発電建材のI-V曲線であった。
【0296】
実施例27
発電建材であって、光電変換層として市販多結晶シリコン電池チップ、機能層としてEVA接着膜、建材基材層としてセメント基板を用いた。ラミネート封止によってEVAで電池チップをセメント基板上に貼り付け、リード引出電極が設けられた電池チップ上にEVAとガラスをバリア層として設け、プリント方法によって光電変換層上に建材化粧面保護層の原料混合液体を、建材化粧面保護層の厚さが0.01mmとなるように塗布した。建材化粧面保護層の原料混合液体を100℃で0.1s硬化させると、本発明の前記発電建材を得た。
使用される母液は186重量部、顔料は5重量部であった。使用される母液は、カリウム水ガラス45重量部と、滑石粉、炭酸カルシウム及びカオリンを重量比2:1:1で混合したフィラー130重量部とを含む。前記母液は、シリコーン樹脂0.2重量部、シリカゲル3重量部、2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレート1重量部、ビニルトリアミン6重量部、水20重量部、及び光拡散剤として硫酸バリウム0.2重量部をさらに含む。顔料は5重量部であり、マラカイトグリーンと雄黄を重量比1:3で混合したものである。実施例27で製造した発電建材の構造を
図21、
図22に示し、製造した発電建材の光電変換率は16.1%であった。
【0297】
実施例28
発電建材であって、光電変換層として市販単結晶シリコン電池モジュール、機能層としてEVA、建材基材層としてタイルを用いた。ラミネート封止によってEVAでモジュールをタイル基材上に貼り付け、光電変換層上にリード引出電極を設け、スクリーン印刷によってモジュール上に建材化粧面保護層の原料混合液体を、建材化粧面保護層の厚さが0.5mmとなるように塗布した。建材化粧面保護層の原料混合液体を30℃で4h硬化させると、本発明の前記発電建材を得た。
建材化粧面保護層の原料の配合比として、母液は100重量部、顔料は5重量部であった。前記母液の原材料は、基礎材料60重量部、フィラー18重量部、助剤3.8重量部を含む。前記基礎材料はフッ素樹脂を含み、顔料は天然鉱物顔料を用い、天然鉱物顔料は雲母、珊瑚の2種を含み、フィラーは重量比1:1.5:0.8の珪灰石粉、石英粉及びベントナイトを含み、助剤はジメチルスルホキシド0.2重量部、ポリカルボン酸ナトリウム塩1.1重量部、乳化シリコーンオイル0.3重量部、2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレート1.5重量部、o-フェニルフェノール0.2重量部、及びメチルセルロース0.5重量部を含む。
実施例28で製造した発電建材の構造を
図23、
図24に示し、製造した発電建材の光電変換率は16.3%であった。
【0298】
実施例29
発電建材であって、光電変換層として市販セレン化銅インジウムガリウム電池モジュール、機能層としてPVB、建材基材層としてポリテトラフルオロエチレン板を用いた。ラミネート封止によってPVBでモジュールをポリテトラフルオロエチレン基材上に貼り付け、光電変換層上にリード引出電極を設け、スプレーコード方式によって光電変換層上に建材化粧面保護層の原料混合液体を、建材化粧面保護層の厚さが5mmとなるように塗布した。建材化粧面保護層の原料混合液体を-10℃で72h硬化させると、本発明の前記発電建材を得た。
使用される母液は240重量部、顔料は10重量部であった。使用される母液は、ナトリウム水ガラス75重量部と、珪灰石粉、ケイ酸アルミニウム、及びカオリンを重量比3:2:5で混合したフィラー112重量部とを含む。前記母液は、シリコーン樹脂0.1重量部、メチルセルロース5重量部、2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレート5重量部、m-フェニレンジアミン6重量部、水14重量部、及び光拡散剤としてシリコーン0.05重量部をさらに含む。顔料は10重量部であり、フタロシアニン顔料である。
実施例29で製造した発電建材の構造を
図25、
図26に示し、製造した発電建材の光電変換率は12.3%であった。
【0299】
実施例30
発電建材であって、光電変換層として市販アモルファスシリコン薄膜電池モジュール、機能層としてEVA、建材基材層としてステンレス鋼板を用いた。ラミネート封止によってEVAでモジュールをステンレス鋼板基材上に貼り付け、光電変換層上にリード引出電極を設け、スプレーコード方式によって光電変換層上に建材化粧面保護層の原料混合液体を、建材化粧面保護層の厚さが3mmとなるように塗布した。建材化粧面保護層の原料混合液体を50℃で1h硬化させると、本発明の前記発電建材を得た。
建材化粧面保護層は自動スプレーコード方法によって製造されたものであり、原料は、母液と顔料を含み、使用される母液は70重量部、顔料は10重量部であった。前記母液の原材料は基礎材料70重量部、フィラー30重量部、及び助剤6重量部を含む。前記基礎材料はフッ素樹脂を用い、顔料は人工顔料を用い、人工顔料は紺青を用い、フィラーは石英粉及び沈殿硫酸バリウムを含み、助剤は、グリセリン0.4重量部、ポリカルボン酸ナトリウム塩1.0重量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル0.4重量部、2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレート2重量部、過硫酸アンモニウム0.1重量部、及びヒドロキシプロピルメチルセルロース0.6重量部を含む。
実施例30で製造した発電建材の構造を
図25、
図26に示し、製造した発電建材の光電変換率は8.3%であった。
図29及び
図30には、発電建材構造図が示されている。
発電建材は表面層、光電変換装置、基材層、及び電極を含む。
前記表面層は、曇化散乱効果を有する光学誘電体材料と模様相を組み合わせたものであり、
前記光電変換装置は、光誘起正孔収集裏電極、光誘起キャリア層、光誘起電子収集前電極、及びバリア層を順次含み、前記裏電極及び前電極には電流収集装置が設けられ、前記電流収集装置は電極に電気的に接続される。
前記基材層は、ガラス、金属板、セメント系繊維板、軟質プラスチック薄膜、セラミックタイルのうちの1種又は複数種を含むエンジニアリング構造板材であった。
前記電極は、一対の正負電極と1つのバイパスダイオードを少なくとも含み、前記電極はジャック、プラグ又は/及びジャンクションボックスを介してシステム回路に接続される。
【0300】
実施例31
発電建材であって、その基材層は厚さ0.2mmの軟質ステンレス鋼箔であった。軟質ステンレス鋼箔をきれいに洗浄し、その上にWTiバリア層、Mo電極、セレン化銅インジウムガリウム膜層、硫化カドミウム緩衝層、真性酸化亜鉛、及び光透過性AZO前電極を順次製造し、CIGS太陽電池とした。電流収集ゲートラインをスクリーン印刷したり、バスバーを設けたりするなどによって太陽電池の正負電極を引き出し、発電建材の正負電極を電気的に接続した。その後、CIGS表面に3μmの窒化アルミニウムを製造してバリア層とし、最後に、プリント方法によってバリア層上に1mmの表面層を製造した。製造した表面層を90℃で10min静置して完全に硬化させると、発電建材を得た。
発電建材表面層の原料は顔料と基礎材料を含み、これらの配合比として、顔料は7重量部であり、顔料はマラカイトグリーン、カーボンブラック、ベンガラ、紺青、真珠光沢銀、キナクリドン、及びイソインドリンを含む。基礎材料は、脱イオン水764重量部、A1522架橋剤0.4重量部、250HBRセルロース3重量部、5040分散剤1.5重量部、AMP-95多機能助剤1.5重量部、M30殺菌剤2.5重量部、R103成形剤21重量部、エチレングリコール4重量部、C-12成膜助剤9.5重量部、シリコーン光拡散剤0.1重量部、直径0.8μmのポリメチルメタクリレートミクロスフェア1重量部、ソープフリー重合シリコーン-アクリレートエマルジョン21重量部、コア-シェル構造を共重合した自己架橋シリコーン-アクリレートエマルジョン90重量部、及びシリコーングラフトアクリレートエマルジョン70重量部を含む。
実施例31で製造した発電建材の構造を
図29、及び
図30に示し、製造した発電建材の光電変換率は14.8%であった。
図28は、本願で製造した発電建材のI-V曲線を示している。
【0301】
実施例32
発電建材であって、その基材は厚さ2.0mmのガラスであった。ガラス基材をきれいに洗浄し、その上にWTiバリア層、Mo電極、銅亜鉛セレン硫黄膜層、硫化カドミウム緩衝層、真性酸化亜鉛、及び光透過性AZO前電極を順次製造し、CZTSe太陽電池とした。電流収集ゲートラインをスクリーン印刷したり、バスバーを設けたりするなどによって太陽電池の正負電極を引き出し、発電建材の正負電極を電気的に接続した。その後、CZTSe太陽電池にPVBとガラスを設けてバリア層とし、最後に、プリント方式によってバリア層上に0.01mmの表面層を製造した。製造した表面層を60℃で0.1s静置して完全に硬化させると、前記発電建材を得た。
表面層の原料の配合比として、カリウム水ガラス45重量部と、滑石粉、炭酸カルシウム、カオリンを重量比2:1:1で混合したフィラー130重量部とを用いた。直径0.8μmのポリメチルメタクリレートミクロスフェアとナノ硫酸バリウム合計1重量部、シリカゲル3重量部、2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレート1重量部、ビニルトリアミン6重量部、水20重量部、光拡散剤として硫酸バリウム0.2重量部、シリコーン0.5重量部、顔料5重量部であり、前記顔料は、カーボンブラック、酸素、フタロシアニン、ベンズイミダゾロン、ピロン、マラカイトグリーン、及び雄黄を含む。
製造した発電建材の構造を
図31、及び
図32に示し、製造した発電建材の光電変換率は5.8%であった。
【0302】
実施例33
発電建材であって、その基材は厚さ8.0mmのセラミックタイルであった。セラミックタイルをきれいに洗浄して乾燥させ、ラミネート封止によって市販CdTe太陽電池チップをセラミックタイルの表面に貼り付け、太陽電池セルの表面に5μmのシリカバリア層を製造し、チップ電極と発電建材の電極を接続した。最後に、機械スプレーコードによってバリア層上に3mmの表面層を製造した。製造した表面層を50℃で4h静置して完全に硬化させると、前記発電建材を得た。
建材表面層の原料の配合比として、前記原料は基礎材料60重量部、フィラー18重量部、助剤3.8重量部などを含む。前記基礎材料はフッ素樹脂を含み、フィラーは重量比1:1.5:0.8の珪灰石粉、石英粉及びベントナイトを含み、助剤はジメチルスルホキシド0.2重量部、ポリカルボン酸ナトリウム塩1.1重量部、乳化シリコーンオイル0.3重量部、2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレート1.5重量部、o-フェニルフェノール0.2重量部、メチルセルロース0.5重量部を含む。前記表面層の原料は顔料5重量部をさらに含み、顔料は黄色酸化鉄、クロムイエロー、紺青、真珠光沢銀、イソインドリン、アントラピリミジン、及びアセトアセチルアリールアミン、直径1μmのポリスチレンミクロスフェアとナノ炭酸バリウム5重量部を含む。
製造した発電建材の構造を
図33、及び
図34に示し、製造した発電建材の光電変換率は13.8%であった。
【0303】
実施例34
発電建材であって、その基材は、厚さ3.0mmポリテトラフルオロエチレン板であった。ポリテトラフルオロエチレン板をきれいに洗浄して乾燥させ、ラミネート封止によって市販セレン化銅インジウムガリウム太陽電池モジュールをポリテトラフルオロエチレン板の表面に貼り付け、モジュール電極と発電建材の電極を接続した。市販セレン化銅インジウムガリウム太陽電池モジュールの表面にPVB及びガラスが設けられているので、これらをバリア層としてもよい。最後に、手動スプレーコードによってバリア層上に1mmの表面層を製造した。製造した表面層を30℃で20h静置して完全に硬化させると、前記発電建材を得た。
建材表面層の原料の配合比として、原料はナトリウム水ガラス75重量部、珪灰石粉、ケイ酸アルミニウム及びカオリンを重量比3:2:5で混合したフィラー112重量部と、ポリメチルメタクリレート及びナノ二酸化チタン3重量部、シリコーン樹脂0.1重量部、メチルセルロース5重量部、2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレート5重量部、m-フェニレンジアミン6重量部、水14重量部、直径1μmのポリメチルメタクリレートミクロスフェア、及びナノ炭酸バリウム0.8重量部、顔料10重量部を含み、前記顔料は、マラカイトグリーン、ベンガラ、黄色酸化鉄、紺青、真珠光沢銀、及び真珠光沢金を含む。
製造した発電建材の構造を
図35及び
図36に示し、製造した発電建材の光電変換率は13.1%であった。
【0304】
実施例35
発電建材であって、その基材は厚さ5.0mmの窒化アルミニウムセラミック板であった。窒化アルミニウムセラミック板をきれいに洗浄して乾燥させ、ラミネート封止によって市販単結晶シリコン太陽電池モジュールを窒化アルミニウムセラミック板の表面に貼り付け、モジュール電極と発電建材の電極を接続した。市販単結晶シリコン太陽電池モジュールの表面にPVB及びETFEが設けられているので、これらをバリア層としてもよい。最後に、スライドコートによってバリア層上に5mmの表面層を製造した。製造した表面層を-10℃で72h静置して完全に硬化させると、前記発電建材を得た。
表面層の原料は基礎材料70重量部、フィラー10重量部、助剤6重量部、顔料1重量部を含む。前記基礎材料はフッ素樹脂を用い、顔料はクロムイエロー、紺青、真珠光沢銀、真珠光沢金、フタロシアニン、ベンズイミダゾロン、及びピロンを含み、フィラーは石英粉及び沈殿硫酸バリウムを含み、助剤はグリセリン0.4重量部、ポリカルボン酸ナトリウム塩1.0重量部、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル0.4重量部、2,2,4-トリメチル- 1,3 -ペンタジオールモノイソブチレート2重量部、過硫酸アンモニウム0.1重量部、ヒドロキシプロピルメチルセルロース0.6重量部、直径2μmポリスチレンミクロスフェアとナノシリカ合計2重量部を含む。製造した発電建材の構造を
図37及び
図38に示し、製造した発電建材の光電変換率は15.9%であった。
【0305】
実施例36
発電建材であって、その基材は厚さ3.0mmのガラスであった。市販多結晶シリコン太陽電池モジュールを準備し、モジュールの表面をきれいに洗浄し、市販多結晶シリコン太陽電池モジュールの表面にPVB及びガラスが設けられているので、これらをバリア層としてもよい。最後に、手動ブレードコート方式によってバリア層上に2mmの表面層を製造した。製造した表面層を40℃で15h静置して完全に硬化させると、前記発電建材を得た。
表面層の原料の配合比として、前記母液は脱イオン水800重量部、A151架橋剤0.3重量部、250HBRセルロース2重量部、5040分散剤0.5重量部、AMP-95多機能助剤3重量部、M30殺菌剤1重量部、R103成形剤15重量部、エチレングリコール6重量部、C-12成膜助剤8重量部、光拡散剤としてナノシリカ0.1重量部、ソープフリー重合シリコーン-アクリレートエマルジョン28重量部、コア-シェル構造を共重合した自己架橋シリコーン-アクリレートエマルジョン70重量部、及びシリコーングラフトアクリレートエマルジョン110重量部を含み、表面層の原料は顔料をさらに含み、前記顔料は、黄色酸化鉄、クロムイエロー、紺青フタロシアニン、ベンズイミダゾロン、イソインドリン、及びアントラピリミジンを合計1重量部用いる。表面層の原料は、直径2μmのポリスチレンミクロスフェアとナノ炭酸カルシウムを合計7重量部含む。製造した発電建材の構造を
図39、及び
図40に示し、製造した発電建材の光電変換率は17.9%であった。
【0306】
なお、以上の実施例は本発明の技術案を説明するために過ぎず、限定的なものではない。実施例を参照して本発明を詳細に説明したが、当業者にとって自明なように、本発明の技術案について修正又は同等置換を行っても、本発明の技術案の趣旨や範囲を逸脱することはなく、全て本発明の特許請求の範囲に含まれるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材、発電層、光学制御層を含む発電パネルであって、
前記光学制御層は、光学誘電体相と
、模様相
とを
含み、
前記模様相が
前記光学誘電体相に分散しているか又は
前記光学誘電体相の表面に分布しており、
前記光学制御層は、380nm~1250nmの波長範囲内で、加重平均透過率が10%~85%、厚さが0.01mm~10mmである、ことを特徴とする発電パネル。
【請求項2】
前記光学制御層は、380nm~1250nmの
前記波長範囲内で、
前記加重平均透過率が40%~85%、水蒸気透過率が0%~0.5%、硬さが4~9Hである、ことを特徴とする請求項
1に記載の発電パネル。
【請求項3】
前記誘電体相は、石英、ガラス、樹脂、透明セラミック又は水晶材料のうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項
1に記載の発電パネル。
【請求項4】
前記模様相は、大理石、花崗岩、マーブル、頁岩、及び砂岩のうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項
1に記載の発電パネル。
【請求項5】
前記光学制御層は、施釉ガラス、極薄石材、及び光透過性人工樹脂板のうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項
3又は
4に記載の発電パネル。
【請求項6】
前記光学制御層の誘電体相に光拡散剤が添加されている、ことを特徴とする請求項
1~
3のいずれか1項に記載の発電パネル。
【請求項7】
前記模様相は色材をさらに含む、ことを特徴とする請求項
1に記載の発電パネル。
【請求項8】
前記色材は、硫化ストロンチウム、セリア、酸化コバルト、銀、酸化銅、亜酸化銅、酸化鉄、酸化マンガン、及びセレンのうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項
7に記載の発電パネル。
【請求項9】
前記色材は
、顔料及び染料のうちの1種又は複数種を含む、ことを特徴とする請求項
7に記載の発電パネル。
【請求項10】
前記顔料の屈折率が1.4~2.5である、ことを特徴とする請求項
9に記載の発電パネル。
【請求項11】
光学制御層を用いた発電パネルの製造方法であって、
発電層を基材上に付着して、正負極を引き出し、又は
前記基材上に
前記発電層を直接製造して、
前記正負極を引き出すステップ1)と、
塗布して室温で硬化させ、又は塗布して高温でアニーリングすることによって、
前記光学制御層の誘電体相の表面に模様相を製造し、又は、
前記誘電体相の製造において、
前記誘電体相の原料に
前記模様相を形成するのに必要な物質を添加する
ことによって、前記光学制御層を製造するステップ2)と、
前記光学制御層について表面加工及び側面加工を行い、
前記光学制御層の平坦度及び寸法を
前記発電層相と適合させるステップ3)と、
前記発電層の受光面に接着膜、
前記光学制御層を順次重ねて、ラミネートして封止し、
前記光学制御層を有する
前記発電パネルを製造するステップ4)とを含む、発電パネルの製造方法。
【国際調査報告】