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  • 特表-混合装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】混合装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 23/23 20220101AFI20220309BHJP
   B01F 35/71 20220101ALI20220309BHJP
   B01F 27/80 20220101ALI20220309BHJP
【FI】
B01F3/04 A
B01F15/02 A
B01F7/16 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538417
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(85)【翻訳文提出日】2021-06-28
(86)【国際出願番号】 EP2020051587
(87)【国際公開番号】W WO2020152250
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】102019200823.2
(32)【優先日】2019-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521285252
【氏名又は名称】ランプ ホールディング ゲーエムベーハー アンド ツェーオー. カーゲー
【氏名又は名称原語表記】RAMPF HOLDING GMBH & CO. KG
【住所又は居所原語表記】Albstrase 37, Grafenberg 72661 Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】特許業務法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リードリンガー,マンフレート
【テーマコード(参考)】
4G035
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4G035AB10
4G035AE01
4G035AE13
4G035AE17
4G037AA01
4G037EA04
4G078AA30
4G078AB05
4G078BA05
4G078CA01
4G078DA30
4G078EA10
(57)【要約】
本発明は、第1の液体および第2の液体を気体と混合するための混合装置(10)に関し、混合装置(10)は、混合室(16)と気体注入装置(36)とを備え、気体注入装置(36)は、気体供給源(40)と、気体供給源(40)によって提供された気体を所定の流量に制限するように設計され、気体出口側で混合室(16)と接触している計量ユニット(42)と、を有し、計量ユニット(42)の気体出口側は、気体が計量ユニット(42)を出て混合室(16)に入る際に通る細長い間隙(32)を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の液体および第2の液体を気体と混合するための混合装置(10)であって、
前記第1の液体が前記第2の液体と接触する混合室(16)と、
前記混合室(16)内に気体を注入するように設計された気体注入装置(36)と、を備え、
前記気体注入装置(36)は、
所定の圧力の気体を提供する気体供給源(40)と、
前記気体供給源(40)によって提供された前記気体を所定の流量に制限するように設計され、気体出口側で前記混合室(16)と接触している計量ユニット(42)と、を有し、
前記計量ユニット(42)の前記気体出口側は、前記気体が前記計量ユニット(42)を出て前記混合室(16)に入る際に通る細長い間隙(32)を有する、混合装置(10)。
【請求項2】
前記計量ユニット(42)が、互いに結合された2つの平面要素(24、30)から形成されることを特徴とする、請求項1に記載の混合装置(10)。
【請求項3】
前記平面要素(24、30)が、実質的にそれらの表面全体にわたって互いに当接することを特徴とする、請求項2に記載の混合装置(10)。
【請求項4】
前記平面要素(24、30)の当接表面は、最大Ra0.1、特に最大Ra0.05、有利にはRa0.03の平均表面粗さを有することを特徴とする、請求項3に記載の混合装置(10)。
【請求項5】
前記平面要素(24、30)が、輪状の円盤として設計され、前記計量ユニット(42)の前記気体出口側が、前記輪の内側に形成されていることを特徴とする、請求項2から4のいずれかに記載の混合装置(10)。
【請求項6】
前記平面要素(24、30)が、金属、特に鋼もしくはアルミニウム、および/またはセラミック、および/またはポリテトラフルオロエチレンからなることを特徴とする、請求項2から5のいずれかに記載の混合装置(10)。
【請求項7】
前記平面要素(24、30)が多孔材料からなることを特徴とする、請求項2から6のいずれかに記載の混合装置(10)。
【請求項8】
前記計量ユニット(42)が、およそ20バールの圧力において最大100cm/秒の流量、特におよそ4バールの圧力において最大20cm/秒の流量を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれかに記載の混合装置(10)。
【請求項9】
前記混合装置(10)が、前記第1の液体、前記第2の液体、および加えられた前記気体を互いに混合する攪拌手段(44)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から8のいずれかに記載の混合装置(10)。
【請求項10】
前記攪拌手段(44)が、最大10,000rpm、特に最大6,000rpmの回転速度で作動されるように設計されることを特徴とする、請求項9に記載の混合装置(10)。
【請求項11】
前記気体が空気であることを特徴とする、請求項1から10のいずれかに記載の混合装置(10)。
【請求項12】
前記第1の液体が、100mPa・s~500,000mPa・s、特に500mPa・s~100,000mPa・sの粘度を有することを特徴とする、請求項1から11のいずれかに記載の混合装置(10)。
【請求項13】
前記第2の液体が、20mPa・s~200,000mPa・s、特に150mPa・s~100,000mPa・sの粘度を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の混合装置(10)。
【請求項14】
前記第1の液体がポリオールもしくはシリコーンAであり、および/または前記第2の液体がイソシアナートもしくはシリコーンBであることを特徴とする、請求項1から13のいずれかに記載の混合装置(10)。
【請求項15】
前記気体供給源によって提供される前記気体の前記所定の圧力が、1バール~30バール、特に15バール~25バール、有利には24バールであることを特徴とする、請求項1から14のいずれかに記載の混合装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の液体および第2の液体を気体と混合するための混合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日まで知られている混合装置は、溶解ディスクなど少なくとも1つの攪拌要素を使用して、空気などの気体を一種類の液体または液体の混合物と混合する。攪拌要素が液体または液体の混合物に作用する結果、高いせん断力が発生し、それにより、とりわけ液体または液体の混合物のチキソトロピーが変化する。
【0003】
特に、気体が別の液体と混合される前にすでに1つの液体に供給されている場合には、気体と混合された液体の圧縮性のために計量精度に負の影響が生じ、したがって、2つの液体の互いの混合比を正確に調節することができないか、または少なくとも負荷の度合いに応じた多大な測定労力を払ってのみ調節することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、簡単に、かつ混合される成分に悪影響を与えることなく、気体を少なくとも1つの液体と混合することが可能な混合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、第1の液体および第2の液体を気体と混合するための混合装置によって達成され、混合装置は、第1の液体が第2の液体と接触する混合室と、混合室内に気体を注入するように設計された気体注入装置と、を備え、気体注入装置は、
所定の圧力の気体を提供する気体供給源と、
気体供給源によって提供された気体を所定の流量に制限するように設計され、気体出口側で混合室と接触している計量ユニットと、を有し、
計量ユニットの気体出口側は、気体が計量ユニットを出て混合室に入る際に通る細長い間隙を有する。
【0006】
この時点で、用語「液体」は、液体とペースト状の材料の両方、すなわち気体と混合されるのに適した任意の材料全般、を意味すると理解すべきことにすでに気づかれよう。
【0007】
本発明に係る混合装置では気体を分散させる攪拌要素が使用されないことから、高いせん断力が回避され得る。さらに、このことにより、特定の液体または液体・気体混合物の温度が実質的に均質になることが可能になる。
【0008】
本発明に係る混合装置では、気体が混合室に供給されるため、混合される液体は、混合室に導入されるまで非圧縮性の状態を保つことができる。よって、混合室における2つの液体の混合比は、高精度に調節することができる。また、チキソトロピー性の高い材料を使用することも可能である。このプラスの効果は、気体がやはり混合室内で他方の液体と接触する前に液体の一方のみに供給される場合でも維持される。
【0009】
計量ノズルと対照的に、細長い間隙を有する本発明に係る計量ユニットは、気体が微細かつ平面的に液体混合物の中に導入されることを可能にする。
【0010】
気体の量は、混合室内で優勢な圧力と、気体供給源内で優勢な圧力との間の差圧を介して、本発明に係る混合装置内で制御される。このように、混合室に導入される気体の量は、混合室圧力に直接依存し得る。
【0011】
計量ユニットは、有利には、互いに結合された2つの平面要素から形成され得る。この場合、細長い間隙は、膜機能という意味で、互いに重なっている2つの表面の粗さから生じることができる。
【0012】
平面要素は、実質的にそれらの表面全体にわたって互いに当接し得る。平面要素を、特に細長い間隙の深さ方向に、すなわち平面要素間の気体流れ方向に沿って、寸法設定することにより、気泡の大きさ、および/または混合室に導入される気体の圧力などのパラメータが設定可能となる。
【0013】
さらに、平面要素の当接表面は、最大Ra0.1、特に最大Ra0.05、有利にはRa0.03の平均表面粗さを有し得る。低い平均表面粗さであると空気の通過が少なくなり、高い平均表面粗さであると空気の通過が多くなることが明白である。この時点で、粗さRaはここではμm単位で与えられることが留意されるべきである。
【0014】
本発明の発展形態において、平面要素は、輪状の円盤として設計され得、計量ユニットの気体出口側は、輪の内側に形成され得る。細長い間隙を輪として設計することにより、気体がそれを通じて液体混合物の中に導入される計量ユニットの放出面積を拡大することができる。計量ユニットの気体出口側が輪の内側に配置される場合、液体混合物は、例えば、完全に輪を通って案内されることができ、よって、液体混合物に、液体混合物の流れの断面にわたって均一に気体が浸透し得る。
【0015】
平面要素は、金属、特に焼入鋼などの硬質金属、および/または硬質陽極処理アルミニウムなどのアルミニウム、および/またはセラミック、および/またはポリテトラフルオロエチレンからなり得る。特に、表面粗さが例えば研削によって製造後に調節可能である材料が、平面要素を製造するのに適し得る。
【0016】
さらに、平面要素は多孔材料からなり得る。多孔材料は、ここでは特に、気体がその細孔を通って通過することができる開気孔多孔材料と理解されるものとする。この場合、平面要素は、一体構成部品として設計されることもできる。無論、閉気孔材料も考えられる。
【0017】
有利な発展形態において、計量ユニットは、およそ20バールの圧力において最大100cm/秒の流量、特におよそ4バールの圧力において最大20cm/秒の流量を有し得る。そのような値を与えられると、液体混合物と気体との特に好適な混合が達成され得ることが示されている。
【0018】
無論、本発明に係る混合装置の場合には、混合装置が、第1の液体、第2の液体、および加えられた気体を互いに混合する攪拌手段をさらに備え得ることも完全に考えられる。ただし、冒頭ですでに述べたように、本発明によれば、液体混合物中の気泡を分散させる、特に細かくする役割を担う攪拌手段を省くことが可能である。
【0019】
攪拌手段は、最大10,000rpm、特に最大6,000rpmの回転速度で作動されるように設計され得る。
【0020】
本発明に係る混合装置の可能な実施形態では、気体は空気であり得る。
【0021】
本発明の利点が特に明らかである用途において、第1の液体は、100mPa・s~500,000mPa・s、特に500mPa・s~100,000mPa・sの粘度を有し得る。
【0022】
代替または追加として、第2の液体は、20mPa・s~200,000mPa・s、特に150mPa・s~100,000mPa・sの粘度を有し得る。
【0023】
特に、第1の液体は、ポリオールもしくはシリコーンAであり得、および/または第2の液体はイソシアナートもしくはシリコーンBであり得る。特に、本発明は、ポリオールのチキソトロピーを変化させないか、または少なくともわずかにのみ変化させることを可能にすることができ、それにより、ポリオールを扱う際に、従来技術の混合装置で行われるチキソトロピーの変更の負の影響を回避することができる。
【0024】
一般に、チキソトロピーは、「低チキソトロピー性」、「中チキソトロピー性」、および「高チキソトロピー性」の範囲に分けられる。
【0025】
気体供給源によって提供される気体の所定の圧力は、有利には、1バール~30バール、特に15バール~25バール、有利には24バールであり得る。
【0026】
以下、本発明について添付図面を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る混合装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1において、本発明に係る混合装置は、全体が参照符号10で表されている。混合装置10は筐体12を備え、筐体12内には、混合装置10内を流れる液体の主流れ方向Aに延びる要素14が配置されている。要素14は、混合室16の外壁を形成する。第1の液体が、混合室16内への第1の入口点18から混合室16に導入される。第2の液体が、第2の入口点20から混合室16に導入される。
【0029】
第1および第2の液体それぞれの供給源または貯留部は、上位アセンブリ(図示せず)内に配置され、上位アセンブリは、主流れ方向Aに関して上流に配置され、上位アセンブリには、締結ナット22などの締結装置22を介して混合装置10が接続されることが可能である。
【0030】
第1の平面要素24が、2つの液体の入口点18および20に近接して配置され、この要素の下側26は、第1の平面要素24および筐体12と協働するシール28によって、径方向外側に対して封止される。この場合、第1の平面要素24は、実質的に輪状の円盤として設計される。
【0031】
第1の平面要素24の径方向内側部分は、混合室16の範囲を定める要素14の環状部分によって形成される第2の平面要素30に当接する。
【0032】
第1の平面要素24と第2の平面要素30との間に間隙32が形成され、この間隙を通って、気体が定められたように混合室16に入ることができる。間隙32の径方向外側で気体を提供するために、間隙を取り囲む環状溝34が設けられ、この環状溝は第1の平面要素24に形成されている。図1で右に示される側において、環状溝34は、環状溝34を筐体12周辺の外側に接続する孔38と流体連通しており、気体供給源40が気体を所定の圧力で環状溝34に提供できるようになっている。
【0033】
このように、第1の平面要素24と第2の平面要素30とによって形成される間隙32は計量ユニット42を形成し、計量ユニット42は、気体供給源40によって提供される空気などの気体を、入口点18および20から混合室16に導入された第1または第2の液体からなる液体混合物の流れの外周全体にわたって、液体の混合物の中に導入することができる。計量ユニット42と気体供給源40とは、合わせて気体注入装置36と考えることができる。
【0034】
互いに接触している第1の平面要素24および第2の平面要素30の表面の表面粗さを適宜製造または処理することにより、間隙32を通過する気体の量、および/または間隙32から混合室16内に位置する液体混合物に入る気泡の大きさを、非常に正確に調節することができる。
【0035】
混合室16の中央に攪拌手段44が配置され、この攪拌手段は、第1の液体、第2の液体、および気体を互いに混合するように設計される。図1で見て取れるように、計量ユニット42または間隙32は、第1および第2の液体の入口点18および20に隣接して配置される。このようにして、第1の液体、第2の液体、および気体が最初に互いに混合される混合装置10の部分から、混合装置10の分注端46までの搬送路を最大化することができ、それにより上述の成分の混合結果を向上することができる。
【0036】
攪拌手段44は外周に溝48を有し、これにより気体・液体混合物の把持、よって成分の混合を向上させることができる。
【0037】
混合装置10は閉鎖ユニット50をさらに備え、閉鎖ユニット50は、混合装置10の分注端46からの気体・液体混合物の放出を防止できるように攪拌手段44と相互作用することができる閉鎖要素52を備える。閉鎖ユニット50を閉じるには、所定の圧力の流体を、混合装置10の筐体12内に設けられた空間54に導入することができ、それにより閉鎖ユニット50の昇降装置56が、閉鎖要素52を攪拌手段44に近づける、すなわち分注端46を閉じるために、図1における上方向に移動する。
図1
【国際調査報告】