(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】炎症性腸疾患の処置のための治療用配合物及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/52 20060101AFI20220309BHJP
A61K 31/525 20060101ALI20220309BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220309BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20220309BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
A61K31/52
A61K31/525
A61P29/00
A61P1/00
A61P43/00 121
A61P43/00 123
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021538783
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 EP2020052649
(87)【国際公開番号】W WO2020161088
(87)【国際公開日】2020-08-13
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(71)【出願人】
【識別番号】514265142
【氏名又は名称】アカデミシュ ズィーケンハイス フローニンゲン
(71)【出願人】
【識別番号】514265131
【氏名又は名称】レイクスユニフェルシテイト フローニンゲン
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ダイクストラ, ゲラルド
(72)【発明者】
【氏名】ファーバー, クラース, ニコ
(72)【発明者】
【氏名】ハームセン, ヘルマヌス, ジョゼフ, マルティヌス
(72)【発明者】
【氏名】シュタイネール, ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】シベスマ, ウィルバート
(72)【発明者】
【氏名】トプチャン, アラクシア
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB07
4C086CB09
4C086GA13
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA15
4C086ZA66
4C086ZB11
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、炎症性腸疾患(IBD)又は他の炎症性病態に罹患している患者を処置するための、少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、リボフラビンとの医薬配合物に関する。本発明はまた、添加物及び/又は少なくとも1種のチオプリンとリボフラビンとの配合物にも関する。本発明はまた、治療有効量のチオプリン及びリボフラビンを投与するステップを含む、IBD又は他の炎症性病態を処置又は予防する方法にも関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
を含む医薬配合物。
【請求項2】
(i)少なくとも1種のチオプリンと、
(ii)リボフラビンと
を含む請求項1に記載の医薬配合物。
【請求項3】
(i)少なくとも1種のチオプリンの薬学的に許容される塩と、
(ii)リボフラビンと
を含む請求項1に記載の医薬配合物。
【請求項4】
(i)少なくとも1種のチオプリンのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
を含む請求項1に記載の医薬配合物。
【請求項5】
(i)少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
からなる医薬配合物。
【請求項6】
(i)少なくとも1種のチオプリンと、
(ii)リボフラビンと
からなる請求項5に記載の医薬配合物。
【請求項7】
(i)少なくとも1種のチオプリンの薬学的に許容される塩と、
(ii)リボフラビンと
からなる請求項5に記載の医薬配合物。
【請求項8】
(i)少なくとも1種のチオプリンのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
からなる請求項5に記載の医薬配合物。
【請求項9】
チオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグが、6-メルカプトプリン、アザチオプリン及びチオグアニンからなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項10】
IBD又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減するための、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬配合物の使用。
【請求項11】
薬剤として使用するための、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【請求項12】
IBD又は他の炎症性病態(特にクローン病)の処置に使用するための、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬配合物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、炎症性腸疾患(IBD)又は他の炎症性病態(関節リウマチ、強直性脊椎炎、乾癬、紅斑性狼瘡及び多発性硬化症など)に罹患している患者を処置するための、少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、リボフラビンとの医薬配合物に関する。本発明はまた、添加物及び/又は少なくとも1種のチオプリンとリボフラビンとの配合物にも関する。
【0002】
本発明はまた、治療有効量のチオプリンとリボフラビンとを投与するステップを含む、IBDを処置又は予防する方法にも関する。
【0003】
チオプリン薬は、即ち炎症性腸疾患(IBD)の処置に広く使用されるプリン代謝拮抗剤である。
【0004】
チオプリンは、例えば以下のような一連の様々な活性化合物を含む。
6-メルカプトプリン(6-MP)、別名メルカプトプリンは、中でも即ちPurinetholの商品名で販売されている。これは経口で投与される。
アザチオプリン(AZA)、中でもイムラン(Imuran)の商品名で販売されているもの。これは経口で投与されるか、又は静脈内に注射される。
チオグアニン(thioguanine)、別名チオグアニン(tioguanine)又は6-チオグアニン(6-TG)は、中でも即ちLanvisの商品名で販売されている。これは経口で投与される。
【0005】
リボフラビンは、別名がビタミンB2であり、ヒト及び他の哺乳動物の健康の維持において重要な役割をもつ微量栄養素である。それは補因子FAD及びFMNの中心的構成成分であり、したがって、全てのフラビンタンパク質によって必要とされる。このため、リボフラビンは、多岐にわたる細胞プロセスのために必要とされる。リボフラビンは、エネルギー代謝において、並びに脂肪、ケトン体、炭水化物、及びタンパク質の代謝のために重要な役割を果たす。さらに、リボフラビンは、抗炎症効果及び抗酸化効果を有する。リボフラビンは、アスパラガス、ポップコーン、バナナ、カキ、オクラ、フダンソウ、カッテージチーズ、乳、ヨーグルト、肉、卵、魚、及びインゲンの中に天然に見出される。他の源としては、チーズ、葉物野菜、肝臓、腎臓、マメ科植物、トマト、酵母、キノコ、及びアーモンドが挙げられる。
【0006】
炎症性腸疾患(IBD)は、慢性及び衰弱性の疾病である。これは、急性の発作を伴う断続的な経過があり、その後に病状軽快期がくることが多い慢性腸炎症を特徴とする。急性の発作中の臨床症状には、下痢、出血、腹痛、発熱、関節痛、及び体重減少が含まれる。これらの症状は、軽度から重度までの範囲であり得、初期の軽い不快感から徐々に及び微妙に進展する場合もあり、又は急激に最も悪化した形態で現れる場合もある。IBDは、様々な形態で現れる可能性があり、その最もよくある形態は、クローン病及び潰瘍性大腸炎である。これらの両方の疾患は、その炎症パターンの分布が胃腸管内で異なってはいても、臨床症状に関しては類似している。クローン病は、腸の慢性全層性炎症であり、通常、不連続パターンで胃腸管全体を冒し得る。CDの初期部位は下部回腸に最も多い。通常、炎症はここから小腸の近位部に向かって広がる。しかしながら、結腸も冒されることが多い。
【0007】
潰瘍性大腸炎は、結腸のみを冒す慢性炎症性腸疾患であり、胃腸粘膜に連続的な分布を示す。ほとんどの患者において、炎症の中心点は、結腸の遠位部及び直腸にある。炎症はこの起点から近位に広がることが多い。最も重度の症例においては、結腸全体が冒され、「全大腸炎」と呼ばれる。患者の約30%がUCのこの重度の形態に罹患している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】静止性疾患の患者におけるHBIを示すグラフである。
【
図3】静止性疾患の患者におけるIL2を示すグラフである。
【
図4】静止性疾患の患者におけるFISH法による大腸菌(E.coli)を示すグラフである。
【0009】
本発明は、
(i)少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
を含む医薬配合物(PC)に関する。
【0010】
本発明は、
(i)少なくとも1種のチオプリンと、
(ii)リボフラビンと
を含む医薬配合物(PC’)に関する。
【0011】
本発明は、
(i)少なくとも1種のチオプリンの薬学的に許容される塩と、
(ii)リボフラビンと
を含む医薬配合物(PC’’)に関する。
【0012】
本発明は、
(i)少なくとも1種のチオプリンのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
を含む医薬配合物(PC’’’)に関する。
【0013】
本発明はまた、チオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグが、6-メルカプトプリン、アザチオプリン及びチオグアニンからなる群から選択される、医薬配合物(PC)、(PC’)、(PC’’)又は(PC’’’)である、医薬配合物(PC’’’’)にも関する。
【0014】
本発明は、
(i)少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
からなる医薬配合物(PC1)に関する。
【0015】
本発明は、
(i)少なくとも1種のチオプリンと、
(ii)リボフラビンと
からなる医薬配合物(PC1’)に関する。
【0016】
本発明は、
(i)少なくとも1種のチオプリンの薬学的に許容される塩と、
(ii)リボフラビンと
からなる医薬配合物(PC1’’)に関する。
【0017】
本発明は、
(i)少なくとも1種のチオプリンのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
からなる医薬配合物(PC1’’’)に関する。
【0018】
本発明はまた、チオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグが、6-メルカプトプリン、アザチオプリン及びチオグアニンからなる群から選択される、医薬配合物(PC1)、(PC1’)、(PC1’’)又は(PC1’’’)である、医薬配合物(PC1’’’’)にも関する。
【0019】
本発明は、
(i)少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
の医薬配合物を含む製剤(F)に関する。
【0020】
本発明は、
(i)少なくとも1種のチオプリンと、
(ii)リボフラビンと
の医薬配合物を含む製剤(F’)に関する。
【0021】
本発明は、
(i)少なくとも1種のチオプリンの薬学的に許容される塩と、
(ii)リボフラビンと
の医薬配合物を含む製剤(F’’)に関する。
【0022】
本発明は、
(i)少なくとも1種のチオプリンのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
の医薬配合物を含む製剤(F’’’)に関する。
【0023】
本発明はまた、チオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグが、6-メルカプトプリン、アザチオプリン及びチオグアニンからなる群から選択される、製剤(F)、(F’)、(F’’)又は(F’’’)である製剤(F’’’’)にも関する。
【0024】
本発明はまた、治療有効量の
(i)少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
を投与するステップを含む、IBD又は他の炎症性病態を処置又は予防する方法(M)にも関する。
【0025】
本発明はまた、治療有効量の
(i)少なくとも1種のチオプリンと、
(ii)リボフラビンと
を投与するステップを含む、IBD又は他の炎症性病態を処置又は予防する方法(M’)にも関する。
【0026】
本発明はまた、治療有効量の
(i)少なくとも1種のチオプリンの薬学的に許容される塩と、
(ii)リボフラビンと
を投与するステップを含む、IBD又は他の炎症性病態を処置又は予防する方法(M’’)にも関する。
【0027】
本発明はまた、治療有効量の
(i)少なくとも1種のチオプリンのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
を投与するステップを含む、IBD又は他の炎症性病態を処置又は予防する方法(M’’’)にも関する。
【0028】
本発明はまた、チオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグが、6-メルカプトプリン、アザチオプリン及びチオグアニンからなる群から選択される、方法(M)、(M’)、(M’’)又は(M’’’)である方法(M’’’’)にも関する。
【0029】
本発明はまた、治療有効量の
(i)少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
を投与するステップを含む、IBD又は他の炎症性病態を処置する方法(M1)にも関する。
【0030】
本発明はまた、治療有効量の
(i)少なくとも1種のチオプリンと、
(ii)リボフラビンと
を投与するステップを含む、IBD又は他の炎症性病態を処置する方法(M1’)にも関する。
【0031】
本発明はまた、治療有効量の
(i)少なくとも1種のチオプリンの薬学的に許容される塩と、
(ii)リボフラビンと
を投与するステップを含む、IBD又は他の炎症性病態を処置する方法(M1’’)にも関する。
【0032】
本発明はまた、治療有効量の
(i)少なくとも1種のチオプリンのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
を投与するステップを含む、IBD又は他の炎症性病態を処置する方法(M1’’’)にも関する。
【0033】
本発明はまた、チオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグが、6-メルカプトプリン、アザチオプリン及びチオグアニンからなる群から選択される、方法(M1)、(M1’)、(M1’’)又は(M1’’’)である方法(M1’’’’)にも関する。
【0034】
本発明の別の実施形態は、炎症性腸疾患又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減する方法であって、それを必要とする人に、有効量の、少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、リボフラビンとを投与するステップを含む方法である。
【0035】
したがって、本発明はまた、炎症性腸疾患又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減する方法(M2)であって、それを必要とする人に、有効量の
(i)少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
を投与するステップを含む、方法(M2)にも関する。
【0036】
したがって、本発明はまた、炎症性腸疾患又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減する方法(M2’)であって、それを必要とする人に、有効量の
(i)少なくとも1種のチオプリンと、
(ii)リボフラビンと
を投与するステップを含む、方法(M2’)にも関する。
【0037】
したがって、本発明はまた、炎症性腸疾患又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減する方法(M2’’)であって、それを必要とする人に、有効量の
(i)少なくとも1種のチオプリンの薬学的に許容される塩と、
(ii)リボフラビンと
を投与するステップを含む、方法(M2’’)にも関する。
【0038】
したがって、本発明はまた、炎症性腸疾患又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減する方法(M2’’’)であって、それを必要とする人に、有効量の
(i)少なくとも1種のチオプリンのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
を投与するステップを含む、方法(M2’’’)にも関する。
【0039】
本発明はまた、チオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグが、6-メルカプトプリン、アザチオプリン及びチオグアニンからなる群から選択される、方法(M2)、(M2’)、(M2’’)又は(M2’’’)である方法(M2’’’’)にも関する。
【0040】
本発明の別の実施形態は、IBD又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減するための、少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、リボフラビンとの配合物の使用である。
【0041】
したがって、本発明はまた、IBD又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減するための、
(i)少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
の配合物の使用(U)にも関する。
【0042】
したがって、本発明はまた、IBD又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減するための、
(i)少なくとも1種のチオプリンと、
(ii)リボフラビンと
の配合物の使用(U’)にも関する。
【0043】
したがって、本発明はまた、IBD又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減するための、
(i)少なくとも1種のチオプリンの薬学的に許容される塩と、
(ii)リボフラビンと
の配合物の使用(U’’)にも関する。
【0044】
したがって、本発明はまた、IBD又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減するための、
(i)少なくとも1種のチオプリンのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
の配合物の使用(U’’’)にも関する。
【0045】
本発明はまた、チオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグが、6-メルカプトプリン、アザチオプリン及びチオグアニンからなる群から選択される、使用(U)、(U’)、(U’’)又は(U’’’)である方法(U’’’’)にも関する。
【0046】
本発明の別の実施形態は、IBDの症状を処置又は軽減するための医薬品の製造における、リボフラビンと、少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグとの配合物の使用である。
【0047】
したがって、本発明はまた、IBD又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減するための医薬品の製造における、
(i)少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
の配合物の使用(U1)にも関する。
【0048】
したがって、本発明はまた、IBD又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減するための医薬品の製造における、
(i)少なくとも1種のチオプリンと、
(ii)リボフラビンと
の配合物の使用(U1’)にも関する。
【0049】
したがって、本発明はまた、IBD又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減するための医薬品の製造における、
(i)少なくとも1種のチオプリンの薬学的に許容される塩と、
(ii)リボフラビンと
の配合物の使用(U1’’)にも関する。
【0050】
したがって、本発明はまた、IBD又は他の炎症性病態の症状を処置又は軽減するための医薬品の製造における、
(i)少なくとも1種のチオプリンのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
の配合物の使用(U1’’’)にも関する。
【0051】
本発明はまた、チオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグが、6-メルカプトプリン、アザチオプリン及びチオグアニンからなる群から選択される、使用(U1)、(U1’)、(U1’’)又は(U1’’’)である方法(U1’’’’)にも関する。
【0052】
さらに、本発明はまた、薬剤として使用するための医薬配合物(PC)、(PC’)、(PC’’)、(PC’’’)又は(PC’’’’)にも関する。
【0053】
さらに、本発明はまた、薬剤として使用するための医薬配合物(PC1)、(PC1’)、(PC1’’)、(PC1’’’)又は(PC1’’’’)にも関する。
【0054】
さらに、本発明はまた、薬剤として使用するための製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)又は(F’’’’)にも関する。
【0055】
さらに、本発明はまた、IBD又は他の炎症性病態(特にクローン病)の処置に使用するための医薬配合物(PC)、(PC’)、(PC’’)、(PC’’’)又は(PC’’’’)にも関する。
【0056】
さらに、本発明はまた、IBD又は他の炎症性病態(特にクローン病の処置に使用するための医薬配合物(PC1)、(PC1’)、(PC1’’)、(PC1’’’)又は(PC1’’’’)にも関する。
【0057】
さらに、本発明はまた、IBD又は他の炎症性病態(特にクローン病の処置に使用するための製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)又は(F’’’’)にも関する。
【0058】
少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、リボフラビンとの配合物は、相乗効果をもたらす。
【0059】
或いは、これら2つの化合物の効果のおかげで、少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグの量を低減することも可能である。チオプリンには既知の副作用(インフルエンザ様症状、関節痛、胃腸の病気、発疹、膵炎、肝毒性及び骨髄毒性など)があるため、これは大きな驚くべき効果である。
【0060】
したがって、本発明は、少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、リボフラビンとの配合物を患者に投与することによって、チオプリンの副作用を防止及び/又は軽減することに関する。
【0061】
上記に開示されているIBD又は他の炎症性病態を処置又は予防する方法を使用する場合、チオプリン(及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグ)とリボフラビンとを投与する順序は様々であり得る。最初にチオプリンが投与され、次にリボフラビンが投与されることが可能(逆もまた同様)である。これらを一緒に(即ち可能であれば1つのガレヌス製剤などで)投与することも可能である。順序を、チオプリン、リボフラビン、チオプリンなどとすることができるということもあり得る。要するに、投与の順序は様々であり得るということである。
【0062】
2つの化合物が同時に投与されない場合に投与の時間を考慮した場合にも。これは、チオプリンの投与と、次のリボフラビンの投与との間に時間の隔たりがあり得ることを意味する(逆もまた同様)。
【0063】
好ましくは、チオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、リボフラビンとは、製剤中の単独の活性成分である。これは、この特定の製剤に必要な他の(補助)成分が製剤中に存在してもよいことを意味する。これらの(補助)成分は、通常、好適で安定な製剤を得るために添加される。
【0064】
したがって、本発明はまた、少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、リボフラビンとが、製剤中の単独の活性成分である、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)又は(F’’’’)である製剤(F1)にも関する。
【0065】
したがって、本発明は、以下の活性成分:
(i)少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
からなる医薬配合物を含む製剤(F2)に関する。
【0066】
したがって、本発明は、以下の活性成分:
(i)少なくとも1種のチオプリンと、
(ii)リボフラビンと
からなる医薬配合物を含む製剤(F2’)に関する。
【0067】
したがって、本発明は、以下の活性成分:
(i)少なくとも1種のチオプリンの薬学的に許容される塩と、
(ii)リボフラビンと
からなる医薬配合物を含む製剤(F2’’)に関する。
【0068】
したがって、本発明は、以下の活性成分:
(i)少なくとも1種のチオプリンのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
からなる医薬配合物を含む製剤(F2’’’)に関する。
【0069】
好ましくは、チオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグは、6-メルカプトプリン、アザチオプリン及びチオグアニンからなる群から選択される。
【0070】
したがって、本発明はまた、チオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグが、6-メルカプトプリン、アザチオプリン及びチオグアニンからなる群から選択される、製剤(F2)、(F2’)、(F2’’)又は(F2’’)である製剤(F3)にも関する。
【0071】
したがって、本発明はまた、以下の活性成分:
(i)6-メルカプトプリン及び/若しくは薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
からなる医薬配合物を含む、製剤(F2)、(F2’)、(F2’’)又は(F2’’)である製剤(F3’)にも関する。
【0072】
したがって、本発明はまた、以下の活性成分:
(i)アザチオプリン及び/若しくは薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
からなる医薬配合物を含む、製剤(F2)、(F2’)、(F2’’)又は(F2’’)である製剤(F3’’)にも関する。
【0073】
したがって、本発明はまた、以下の活性成分:
(i)チオグアニン及び/若しくは薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
からなる医薬配合物を含む、製剤(F2)、(F2’)、(F2’’)又は(F2’’)である製剤(F3’’’)にも関する。
【0074】
本発明のさらなる実施形態は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F’’’’)、(F1)、(F2)、(F2’)、(F2’’)、(F2’’)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、及び/又は(F3’’’)を調製することである。
【0075】
これらの医薬配合物及び/又は製剤は、それ自体で、プレミックスとして、さらに任意の好適なガレヌス製剤中で使用することができる。
【0076】
したがって、本発明はまた、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F’’’’)、(F1)、(F2)、(F2’)、(F2’’)、(F2’’)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、及び/又は(F3’’’)を含むガレヌス製剤(GF)にも関する。
【0077】
本発明のさらなる実施形態は、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F’’’’)、(F1)、(F2)、(F2’)、(F2’’)、(F2’’)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、及び/又は(F3’’’)の投与による、IBD又は他の炎症性病態の処置又は軽減である。
【0078】
本発明のさらなる実施形態は、ガレヌス製剤(GF)の投与によるIBD又は他の炎症性病態の処置である。
【0079】
上記のとおり、本発明はまた、治療有効量の
(i)少なくとも1種のチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、
(ii)リボフラビンと
を投与するステップを含む、IBD又は他の炎症性病態を処置又は予防する方法(M)にも関していた。
【0080】
アザチオプリンを使用する場合、アザチオプリンは、静脈内に注射されるべきガレヌス製剤形態である場合もある。その場合、リボフラビンをこのガレヌス製剤形態に添加してもよく、又はリボフラビンを経口投与してもよい。
【0081】
しかしながら、本発明による方法は、2つの化合物が同じ方法で(即ち両方とも経口で)投与されなければならないということを排除しない。
【0082】
最小1つのチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、リボフラビンとを別々に投与することも可能であり、その場合、最小1つのチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、リボフラビンの投与は、適切な時間周期で行われるべきである。投与が、最小1つのチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグと、リボフラビンとの別々の投与によって行われる場合、投与の順序は重要でなく、これは、最小1つのチオプリン及び/若しくは少なくとも薬学的に許容される塩並びに/又は少なくとも1種のそのプロドラッグが最初に投与され、次にリボフラビンが投与されることが可能であり、逆もまた同様であることを意味する。
【0083】
チオプリンは、1日当たり約0.2mg/kg体重~約2.5mg/kg体重の用量範囲で使用することができ、リボフラビンは、1日当たり1mg~500mg(好ましくは30mg~300mg)の好適な用量範囲で使用することができ、これは1日1回又は1日数回投与することができる。
【0084】
投与量は、種々のチオプリンについて様々である。
【0085】
6-メルカプトプリンについては、1日当たり約1mg/kg体重~約1.5mg/kg体重の用量範囲、アザチオプリンについては、1日当たり約2.0mg/kg体重~約2.5mg/kg体重の用量範囲、及びチオグアニンについては、1日当たり約0.2mg/kg体重~約0.3mg/kg体重の用量範囲。
【0086】
したがって、本発明は、0.2mg/kg体重~2.5mg/kg体重のチオプリンと、1mg~500mg(好ましくは30mg~300mg)のリボフラビンとを含む1日投与量単位(DDU)に関する。
【0087】
1日投与量単位とは、活性成分(チオプリン及びリボフラビン)の量が1日1回又は1日2回以上投与され得ることを意味する。
【0088】
チオプリンは、1日当たり約0.2mg/kg体重~約2.5mg/kg体重の用量範囲で使用することができ、リボフラビンは、1日当たり1mg~500mg(好ましくは30mg~300mg)の好適な用量範囲で使用することができ、これは1日1回又は1日数回投与することができる。
【0089】
投与量は、種々のチオプリンについて様々である。
【0090】
6-メルカプトプリンについては、1日当たり約1mg/kg体重~約1.5mg/kg体重の用量範囲、アザチオプリンについては、1日当たり約2.0mg/kg体重~約2.5mg/kg体重の用量範囲、及びチオグアニンについては、1日当たり約0.2mg/kg体重~約0.3mg/kg体重の用量範囲。
【0091】
したがって、本発明は、2mg/kg体重~2.5mg/kg体重のアザチオプリンと、1mg~500mg(好ましくは30mg~300mg)のリボフラビンとを含む1日投与量単位(DDU1)に関する。
【0092】
したがって、本発明は、1mg/kg体重~1.5mg/kg体重の6-メルカプトプリンと、1mg~500mg(好ましくは30mg~300mg)のリボフラビンとを含む1日投与量単位(DDU2)に関する。
【0093】
したがって、本発明は、0.2mg/kg体重~0.3mg/kg体重のチオグアニンと、1mg~500mg(好ましくは30mg~300mg)のリボフラビンとを含む1日投与量単位(DDU3)に関する。
【0094】
これらの投与量単位は、通常、下記でガレヌス製剤と説明されている形態である。
【0095】
1日1回とは、24時間に1回のみ投与されるべき剤形であって、それにより薬物濃度が終日体内に維持される剤形を意味する。
【0096】
1日数回とは、24時間に数回投与されるべき剤形を意味する。
【0097】
2日間、3日間、4日間、5日間、6日間の投与量単位、又は週の投与量単位を有することも可能である場合がある。
【0098】
ガレヌス製剤は、そのようなガレンシアル(galencial)製剤を形成するために必要であり、必要とされ、又は望まれる任意の薬学的に許容される補助剤を含むことができる。
【0099】
ガレンシアル(galencial)製剤は、患者に適した任意の形態とすることができる。最も多いのは、固体形態(錠剤、顆粒剤、丸剤、散剤又は類似形態など)である。
【0100】
「薬学的に許容される」とは、生物学的にも又はその他の場合にも望ましくないものではない材料を意味する。
【0101】
薬学的に許容される添加剤としては、以下に限定されないが、結合剤、希釈剤、滑沢剤、流動促進剤及び界面活性剤が挙げられる。
【0102】
そのような薬学的に許容される添加剤は、チオプリンとリボフラビンとを統合して投与に適した形態にするときに使用される。
【0103】
使用される添加物の量は、どのくらいの量の活性薬剤が使用されることになるのかによって決まる。1つの添加剤が、2つ以上の機能を発揮する可能性がある。
【0104】
結合剤としては、以下に限定されないが、デンプン、例えば、バレイショデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン;微結晶セルロース;セルロース、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム;天然ガム、例えば、アラビアガム、アルギン酸、グアーガム;液状グルコース、デキストリン、ポビドン、シロップ、ポリエチレンオキシド、及びポリビニルピロリドンなど、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0105】
充填剤又は希釈剤としては、以下に限定されないが、粉砂糖、圧縮糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、フルクトース、ラクチトール、マンニトール、スクロース、デンプン、ラクトース、キシリトール、ソルビトール、タルク、微結晶セルロース、炭酸カルシウム、第二リン酸カルシウム又は第三リン酸カルシウム、及び硫酸カルシウムなどが挙げられ、これらを使用することができる。
【0106】
滑沢剤は、以下に限定されないが、慣用的に当技術分野において公知のもの、例えば、Mg、Al若しくはCa又はZnの各ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール、ベヘン酸グリセリン、鉱油、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、水素添加植物油及びタルクから選択することができる。
【0107】
流動促進剤としては、以下に限定されないが、二酸化ケイ素、三ケイ酸マグネシウム、粉末セルロース、デンプン、タルク及び第三リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、コロイド状二酸化ケイ素、ケイ素ヒドロゲル及び当業者に公知の他の材料が挙げられる。
【0108】
本発明による医薬製剤(経口剤形である)としては、以下に限定されないが、錠剤(単層錠、多層錠、MUPS、ミニ錠剤、生体接着性錠剤、カプレット剤、マトリックス錠剤、錠剤内錠剤、粘膜付着性錠剤、放出調節錠剤、パルス放出錠剤、持効性放出錠剤)、ペレット剤、ビーズ剤、顆粒剤、持続放出製剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、カプセル中錠剤及びマイクロスフェア剤、マトリックス製剤、マイクロカプセル化剤、並びに懸濁用の散剤/ペレット剤/顆粒剤が挙げられる。
【0109】
本発明のガレヌス製剤は、1つ又は複数のコーティング、例えば、フィルムコーティング、糖コーティング、腸溶コーティング、生体接着性コーティング及び当技術分野において公知の他のコーティングを、任意選択により有することができる。これらのコーティングは、医薬製剤が、必要とされる作用部位で薬物を放出するのを助ける。一例では、追加のコーティングは、投薬が口腔又は食道に接触するのを防止する。別の例では、追加のコーティングは、小腸及び又は大腸に到達するまで未変化のままである(例えば、腸溶コーティング)。生体接着層の早すぎる曝露又は口腔内での医薬剤形の溶解は、HPMCなどの親水性ポリマー又はゼラチンの、層又はコーティングにより、防止することができる。任意選択により、オイドラギット(Eudragit)FS 3OD又は他の好適なポリマーをコーティング組成物中に組み入れて、薬物の放出を遅延させ、結腸内での薬物放出を確実にすることができる。
【0110】
これらのコーティング層は、コーティング剤、不透明剤、矯味剤、充填剤、つや出し剤、着色剤、及び粘着防止剤などを含む群から選択される1種又は複数種の添加剤を含む。
【0111】
本発明のガレヌス製剤は、多岐にわたる方法でコーティングすることができる。好適な方法としては、圧縮コーティング、流動床又はパン内でのコーティング、及びホットメルト(押出し)コーティングが挙げられる。そのような方法は当業者に周知である。
【0112】
不溶性のポリマー、例えば、酢酸セルロース、エチルセルロースの非透過性コーティングは、コーティング中に可溶性の孔形成剤、例えば、PEG、PVA、糖、塩、界面活性剤、クエン酸トリエチル、トリアセチンなどを組み入れることにより、遅延放出/調節放出(DR/MR)のための腸溶コーティングとして使用することができる。
【0113】
また、結腸の細菌による酵素的切断を受けやすいポリマーのコーティングは、遠位回腸及び上行結腸への放出を確実にする別の手段である。ペクチン酸カルシウムなどの材料は、剤形及び多粒子へのコーティングとして適用することができ、細菌作用により下部胃腸管内で分解する。生体接着性多粒子をカプセル化するためのペクチン酸カルシウムカプセルも利用可能である。
【0114】
本発明の医薬組成物は、任意選択により、1種又は複数種の可溶化剤、即ち、医薬活性成分又は固体担体中の他の組成構成成分の溶解性を高めるための添加物を含むことができる。本発明の組成物に使用するのに適した可溶化剤としては、アルコール及びポリオール、例えば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、及びそれらの異性体、グリセロール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール(transcutol)、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、及び他のセルロース誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体;平均分子量が約200~約6000のポリエチレングリコールのエーテル、例えば、テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール、BASFからテトラグリコール(Tetraglycol)の商品名で市販品として入手可能)又はメトキシPEG(ユニオンカーバイド(Union Carbide));アミド、例えば、2-ピロリドン、2-ピペリドン、ε-カプロラクタム、N-アルキルピロリドン、N-ヒドロキシアルキルピロリドン、N-アルキルピペリドン、N-アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、及びポリビニルピロリドン;エステル、例えば、プロピオン酸エチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、酪酸エチル、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε-カプロラクトン及びその異性体、δ-バレロラクトン及びその異性体、β-ブチロラクトン及びその異性体;並びに当技術分野において公知の他の可溶化剤、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド(Arlasolve DMI(ICI))、N-メチルピロリドン(Pharmasolve(ISP))、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Gattefosseからトランスクトールの商品名で入手可能)、並びに水が挙げられる。
【0115】
好ましい可溶化剤としては、トリアセチン、クエン酸トリエチル、オレイン酸エチル、カプリル酸エチル、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、N-ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200~600、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、及びジメチルイソソルビドが挙げられる。特に好ましい可溶化剤としては、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、SLS、ポリエチレングリコール、グリコフロール及びプロピレングリコールが挙げられる。シクロデキストリン、ポリオキソマー(polyoxomers)、及び界面活性剤など。
【0116】
極めて好適な薬学的に許容される添加剤は、(アルファ化)デンプン(トウモロコシ、ジャガイモ)、ラクトース(一水和物)、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、メトキシヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール400など)、アクシア(accia)ガム、及び(精製)水である。
【0117】
したがって、本発明は、(アルファ化)デンプン(トウモロコシ、ジャガイモ)、ラクトース(一水和物)、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、メトキシヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール(ポリエチレングリコール400など)、アクシア(accia)ガム、及び(精製)水からなる群から選択される少なくとも1種の薬学的に許容される添加剤を含む、錠剤、顆粒剤、丸剤、又は散剤の形態中に、製剤(F)、(F’)、(F’’)、(F’’’)、(F’’’’)、(F1)、(F2)、(F2’)、(F2’’)、(F2’’)、(F3)、(F3’)、(F3’’)、及び/又は(F3’’’)を含むガレヌス製剤(GF’)に関する。
【0118】
上に記載及び開示されている全ての製剤及びガレヌス製剤は、周知の方法及びプロセスを使用して製造することができる。
【0119】
[実施例]
前向き臨床的介入試験において、CD患者70名を組み入れ、粘膜炎症のエビデンスがある(活動性)及びない(静止性)の2つの群に分けた(便中カルプロテクチン(FC)カットオフ値:200μg/gにより決定)。患者に1日100mgのリボフラビンを3週間投与した。臨床疾患活動性(ハーベイ・ブラッドショー指数(Harvey-Bradshaw Index):HBI)、炎症性バイオマーカー(インターロイキン2を含む)、及び便中微生物組成(大腸菌(E.coli)を含む病原性の腸内細菌科(Enterobacteriaceae)を含む)を、リボフラビン介入の前後に解析した。
【0120】
驚くべきことに、リボフラビンを補充すると、チオプリン処置をした患者では(特に静止性疾患の患者では)、臨床疾患活動性(HBI)をさらに減少させたが、これはメサラジン処置をした患者には当てはまらなかった(チオプリン処置の患者ほど顕著ではなかった)ことが分かった(
図1及び
図2)。
【0121】
これらの効果は、メサラジン処置をした患者とは対照的に、チオプリン処置をした患者では、炎症性サイトカインIL2、及び大腸菌(E.coli)を含む腸内細菌科(Enterobacteriaceae)のさらなる減少を伴っていた(
図3及び4)。
【国際調査報告】