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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】高周波渦巻状終端装置
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/26 20060101AFI20220309BHJP
   H01C 13/00 20060101ALI20220309BHJP
   H01C 7/00 20060101ALI20220309BHJP
   H01C 3/18 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
H01P1/26
H01C13/00 Q
H01C7/00 110
H01C3/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540898
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(85)【翻訳文提出日】2021-08-23
(86)【国際出願番号】 US2020013560
(87)【国際公開番号】W WO2020150272
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】62/792,707
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519417551
【氏名又は名称】スミスズ インターコネクト アメリカズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SMITHS INTERCONNECT AMERICAS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173794
【弁理士】
【氏名又は名称】色部 暁義
(72)【発明者】
【氏名】モアメル ハサノヴィック
(72)【発明者】
【氏名】マイケル ジェイ ケットナー
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド ダブリュー ジョーダン
【テーマコード(参考)】
5E033
【Fターム(参考)】
5E033BD02
5E033BH01
(57)【要約】
回路の高周波電気信号を熱に変換するための高周波終端装置を提供する。高周波終端装置は基板を含む。また、高周波終端装置は、基板上に形成され、第1の端部及び第2の端部を有する渦巻状抵抗器を含む。また、高周波終端装置は、渦巻状抵抗の第1の端部に電気的に結合された導電性パッドを含む。また、高周波終端装置は、導電性パッドに電気的に結合され、回路に接続するように構成された接点を含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送線路の高周波電気信号を熱に変換するための高周波終端装置であって、前記高周波終端装置は、
基板と、
前記基板上に形成され、渦巻形状であり、第1の端部および第2の端部を有し、前記高周波電気信号を受け取り、前記高周波電気信号を熱に変換するように構成される渦巻状抵抗器と、
前記渦巻状抵抗器の前記第1の端部に電気的に結合され、前記伝送線路に結合される導電性パッドと、を備える、高周波終端装置。
【請求項2】
前記導電性パッドを前記伝送線路と電気的に結合するように構成された接点をさらに含む、請求項1に記載の高周波終端装置。
【請求項3】
前記接点が前記基板の周囲を越えて突出する入力タブである、請求項2に記載の高周波終端装置。
【請求項4】
前記接点が電気的結線である、請求項2に記載の高周波終端装置装置。
【請求項5】
前記渦巻状抵抗器の前記第2の端部と電気的に結合された第2の導電性パッドをさらに備える、請求項1に記載の高周波終端装置。
【請求項6】
前記高周波電気信号は、前記渦巻状抵抗器の前記第1の端部で前記渦巻状抵抗器に入り、前記渦巻状抵抗器の前記第2の端部で反射して、前記渦巻状抵抗器の前記第1の端部に向かって進行する反射波を形成し、
前記渦巻状抵抗器は、前記反射波の破壊を促進し、前記渦巻状抵抗器の前記第2の端部におけるグランドとの接続を回避するように構成される、請求項1に記載の高周波終端装置。
【請求項7】
前記渦巻状抵抗器は、前記基板内に少なくとも部分的に形成され、前記渦巻状抵抗器が前記基板によって少なくとも部分的に取り囲まれる、請求項1に記載の高周波終端装置。
【請求項8】
前記渦巻状抵抗器が前記基板の上部に少なくとも部分的に形成される、請求項1に記載の高周波終端装置。
【請求項9】
前記基板と、前記渦巻状抵抗器と、前記導電性パッドとが、第2の基板によって覆われる、請求項1に記載の高周波終端装置。
【請求項10】
前記渦巻状抵抗器が複数回巻かれている、請求項1に記載の高周波終端装置。
【請求項11】
前記渦巻状抵抗器が実質的に円形状である、請求項1に記載の高周波終端装置。
【請求項12】
前記渦巻状抵抗器が実質的に正方形状である、請求項1に記載の高周波終端装置。
【請求項13】
伝送線路の高周波電気信号を熱に変換するシステムであって、前記システムは、
基板と、
前記基板上に形成され、渦巻形状を有し、第1の端部および第2の端部を有し、渦巻状抵抗器前記高周波電気信号を受け取り、前記高周波電気信号を熱に変換するように構成される渦巻状抵抗器と、
前記渦巻状抵抗器の前記第1の端部に電気的に結合され、前記伝送線路に結合される導電性パッドと、を備えるシステム。
【請求項14】
前記導電性パッドを前記伝送線路と電気的に結合するように構成された接点をさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記渦巻状抵抗器の前記第2の端部と電気的に結合された第2の導電性パッドをさらに備える、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記高周波電気信号は、前記渦巻状抵抗器の前記第1の端部で前記渦巻状抵抗器に入り、前記渦巻状抵抗器の前記第2の端部で反射して、前記渦巻状抵抗器の前記第1の端部に向かって進行する反射波を形成し、
前記渦巻状抵抗器は、前記反射波の破壊を促進し、前記渦巻状抵抗器の前記第2の端部におけるグランドとの接続を回避するように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記基板と、前記渦巻状抵抗器と、前記導電性パッドとが、第2の基板によって覆われる、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記渦巻状抵抗器が複数回巻かれている、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記渦巻状抵抗器が実質的に円形状である、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記渦巻状抵抗器が実質的に正方形状である、請求項13に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2019年1月15日に出願された「高周波渦巻状終端装置」という名称の米国仮特許出願第62/792,707号に対する利益および優先権を主張し、その全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は高周波終端装置に関し、特に渦巻状抵抗器を有する高周波終端装置に関する。
【背景技術】
【0003】
終端装置は、無線周波数(RF)のエネルギーを熱に変換することによって信号をグランドに終端するために、回路の端部で従来から使用されている受動抵抗装置である。終端装置は、RF回路内の様々な位置で使用することができる。グランドに対するキャパシタンスは、RF設計エンジニアが表面実装抵抗部品(例えば、終端装置、抵抗器、または減衰器)の設計中に対処する重大な問題である。終端装置の熱管理は、設計上、薄い基板と共に抵抗器の大きな表面積に依存するようになっている。並列接続のコンデンサの公式では、キャパシタンスが抵抗膜の面積に正比例する。より高い周波数の電気信号に関連する熱管理の問題に対処するために終端装置を大きくするにつれて、終端装置の容量の影響も大きくなる。
【0004】
従って、これらの容量の影響を打ち消す高周波終端装置が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
いくつかの実施形態によれば、伝送線路の高周波電気信号を熱に変換するための高周波終端装置が開示される。終端装置は基板を含む。また、終端装置は渦巻状抵抗器を含み、当該渦巻抵抗器は、基板上に形成され、渦巻形状を有し、第1の端部および第2の端部を有する。当該渦巻状抵抗器は、高周波電気信号を受け取り、高周波電気信号を熱に変換するように構成される。また、終端装置は導電性パッドを含み、当該導電性パッドは、渦巻状抵抗器の第1の端部に電気的に結合され、伝送線路に結合される。
【0006】
また、伝送線路の高周波電気信号を熱に変換するシステムも開示される。システムは基板を含む。また、システムは渦巻状抵抗器を含み、当該渦巻状抵抗器は、基板上に形成され、渦巻形状を有し、第1の端部および第2の端部を有する。当該渦巻状抵抗器は高周波電気信号を受け取り、高周波電気信号を熱に変換するように構成されている。また、システムは導電性パッドを含み、当該導電性パッドは、渦巻状抵抗器の第1の端部に電気的に結合され、伝送線路に結合される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1A~Dは、本発明の一実施形態による、高周波終端装置を示す。
図2】本発明の一実施形態による、第2の導電性パッドを有しない高周波終端装置の斜視図を示す。
図3】本発明の一実施形態による、正方形状の渦を巻く高周波終端装置の斜視図を示す。
図4】本発明の一実施形態による、六角形状の渦を巻く形状を有する高周波終端装置の斜視図を示す。
図5図5A~5Bは、本発明の一実施形態による、高周波終端装置を示す。
図6図6A~6Bは、本発明の一実施形態による、高周波終端装置を示す。
図7図7A~7Bは、本発明の一実施形態による、高周波終端装置を示す。
図8】本発明の一実施形態による、高周波終端装置の斜視図を示す。
図9】本発明の一実施形態による、突出した接点を有さない高周波終端装置の斜視図を示す。
図10】本発明の一実施形態による、高周波終端装置の電気的性能を示す。
図11図11Aは、本発明の一実施形態による、試験された高周波終端装置の電気的性能を示す。図11Bは、本発明の一実施形態による、試験された高周波終端装置の熱性能を示す図である。
図12図12Aは、本発明の一実施形態による、試験された高周波終端装置の電気的性能を示す。図12Bは、本発明の一実施形態による、試験された高周波終端装置の熱性能を示す。
図13】本発明の一実施形態による、高周波終端装置の側方断面図を示す。
図14】本発明の一実施形態による、突出した接点を有さない高周波終端装置の側方断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態の構成および利点は、図面および以下に記載の詳細な説明から、より明らかになる。当然のことながら、図面およびそれらに関連する説明は、特許請求の範囲内における例示的な構成を示すものであり、特許請求の範囲を限定するものではない。符号は、参照された要素間の対応を示すために、複数図面を通して再使用される。
【0009】
以下の詳細な説明では、本開示を理解するために、多数の具体例な詳細が記載される。しかしながら、これらの具体的な詳細がいくつか欠けていても本開示の要素が実施可能であることは、当業者にとって明らかであろう。他の例では、本開示を不必要に曖昧にすることを避けるために、周知の構造および技術は詳細に示されていない。
【0010】
RFチップ終端装置は、RF回路の様々な位置で、高周波信号をグランドに対して終端させるために使用される受動抵抗装置である。RFチップ終端装置は、伝送線路の特性インピーダンスとマッチングするように設計され、従って、RFチップ終端装置は、低い電圧定在波比(VSWR)によって特徴付けられる。このことが、今度はRFエネルギーが回路内に反射されることを防止する。終端装置は一般に、回路の端部で使用され、無線周波数(RF)エネルギーを熱に変換することで信号をグランドに対して終端させる終端装置の熱管理は、設計上、薄い基板と共に抵抗器の大きな表面積に依存するようになっている。並列接続のコンデンサの公式ではキャパシタンスが抵抗膜の面積に正比例するため、チップおよび膜抵抗のサイズが大きくなれば、シャントキャパシタンスが増加する。キャパシタンスが増加すれば、装置のブロードバンド電気性能を調整し、達成することはより困難になる。より高い周波数の電気信号に関連する熱管理の問題に対処するために終端装置を大きくするにつれて、終端装置の容量の影響も大きくなる。グランドに対するキャパシタンスは、表面実装抵抗部品(例えば、終端装置、抵抗器、および減衰器)の設計中にRF設計エンジニアが対処する必要がある最悪の問題の1つである。提案する渦巻形状の解決策は、このキャパシタンスを誘導効果と相殺させ、ひいては高周波数においてRF終端装置を調整する機会を可能にするであろう。
【0011】
従来のRFチップ終端装置は、高い熱伝導率を特徴とする平面チップ(セラミック基板)上に作製することができる。チップの上面に置かれた抵抗膜は、様々な処理技術を用いて、チップの底面上のグランドに接続される。この接続を設けるために、従来のRFチップ終端装置のセラミック基板は、レーザで開けられた穴またはスロットを含むことができる。動作周波数が増加するにつれて、従来のRFチップ終端装置はより小さくなり、したがって、チップ終端装置を大量に製造するために使用される標準的な「3×3」基板上のスロットおよび穴の数が増加する。このことは、従来のRF終端装置の基板の機械的安定性を著しく低下させ、その結果、基板は破損しやすくなり、シルクスクリーン、スパッタリング、及びこれらの小さなRF部品を製造するために使用される他の工程をさらに複雑にする。
【0012】
本明細書に記載されるシステムおよび方法は、開放端を有する長距離損失伝送線路に頼ることによって、チップの背面にグランドを設けることおよび上述のすべての困難を回避する。本明細書に記載される高周波終端装置は、高周波電気信号を熱に変換しながら、本質的に、渦巻状抵抗器を介して、終端装置のグランドに対するキャパシタンスを打ち消すことができる。渦巻状抵抗器は、既存の形状の抵抗器に比べて、数多くの利点を提供する。これらの利点には、与えられた入力電力または周波数に対して終端装置のサイズがより小さくなること、より高い周波数におけるRF性能が改善されること、および長距離有損失伝送線路にわたって電力が分散されて散逸することが含まれる。
【0013】
また、本明細書に記載される高周波終端装置は、その構造においてラッピングまたはスパッタリングを行う必要性を省略することで、製造工程を単純にできる。製造工程は、抵抗器とグランドとの接続を省略することによって、さらに単純にできる。この結果、製造コストを下げることができ、次に顧客コストも下げ得る。
【0014】
図1A~1Dは、本発明の一実施形態による高周波終端装置100を示す。図1Aは、高周波終端装置100の斜視図を上から見た図を示す。図1Bは、高周波終端装置100の上面図を示す。図1Cは、高周波終端装置100の別の上から見た斜視図を示す。図IDは、高周波終端装置100の正面を上から見た図を示す。
【0015】
高周波終端装置100は、基板101、渦巻状抵抗器103、第1の導電性パッド105、接点107、及び第2の導電性パッド109を含む。
【0016】
渦巻状抵抗器103は、基板101上に形成することができ、第1の端部111および第2の端部113を含むことができる。様々な実施形態によれば、渦巻状抵抗器103は、基板101上に膜として形成され得る。第1の端部111を第1の導電性パッド105と電気的に結合することができ、第2の端部113を第2の導電性パッド109と電気的に結合することができる。渦巻状抵抗器103を複数回(例えば、2回完全に)巻くことができる。図示のように、渦巻状抵抗器103は、実質的に円形である。しかしながら、様々な実施形態によれば、他の幾何学的形状と入れ替えて使用することができる。例えば、渦巻状抵抗器103は、(図3に示されるように)実質的に正方形状であっても、(図4に示されるように)実質的に六角形状であってもよい。渦巻状抵抗器103は、基板101の表面に対して平行な単一の平面上に形成され得る。
【0017】
渦巻状抵抗器103は、損失伝送線路として機能することができる。渦巻状抵抗器103の渦巻形状は、高周波終端装置100のグランドに対するキャパシタンスを打ち消す誘導効果を導入することができる。また渦巻状抵抗器103の渦巻形状は、渦巻状抵抗器103をグランドに対して終端させる必要なしに、比較的小さな空間内で効果的により長い損失伝送線路を可能にし得る。しかし、いくつかの実施形態では、第2の導電性パッド109がグランドと電気的に接続され得る。
【0018】
一般に、電気信号の周波数が高くなればなるほど、電気信号を散逸させる(または「消滅させる」)ために、損失伝送線路の有効長も長くなる必要がある。高周波終端装置100は、回路の高周波電気信号を熱に変換することができる。高周波電気信号は、接点107を介して高周波終端装置100に入ることができる。次いで、高周波電気信号は、第1の導電性パッド105を介して渦巻状抵抗器103の第1の端部111に入ることができる。高周波電気信号が渦巻状抵抗器103の長さに沿って進むにつれて、そのエネルギーは徐々に熱の形態で散逸する。
【0019】
渦巻状抵抗器103内で散逸した熱を、隣接する基板101によって吸収することができる。高周波電気信号のエネルギーは、渦巻状抵抗器103の第1の端部111に入るときに最も大きく、高周波電気信号が渦巻状抵抗器103の長さに沿って進むにつれて減少する。いくつかの実施形態では、高周波電気信号が渦巻状抵抗器103の第2の端部113に到達するときに、高周波電気信号のエネルギーがゼロに近づき又は到達することができる。
【0020】
同様に、高周波電気信号の振幅は、高周波電気信号が渦巻状抵抗器103の第1の端部111に入るときに最も大きく、高周波電気信号が渦巻状抵抗器103の長さに沿って進むにつれて減少する。したがって、渦巻状抵抗器103の長さを、渦巻状抵抗器103が熱の形態で効果的に散逸できる周波数または周波数範囲と、直接相関させ、または調整し得る。いくつかの実施形態では、高周波電気信号が渦巻状抵抗器の第2の端部113に到達するときに、高周波電気信号の振幅がゼロに近き又は到達し得る。より高い周波数帯に対処するために、複数回巻かれている場合にはその巻き数を、渦巻状抵抗器103が長くなるように調節してもよい。同様に、より低い周波数帯に対処するために、複数回巻かれている場合にはその巻き数を、渦巻状抵抗器103が短くなるように調節してもよい。
【0021】
基板101は、高周波電気信号と渦巻状抵抗器103との間の相互作用によって生成される熱を散逸させるために、熱伝導材料で製造することができる。例えば、基板101は、セラミック又はCVDダイヤモンドで製造することができる。しかしながら、様々な実施形態によれば、他の熱伝導性材料を互換的に使用してもよい。基板101は、基板厚さ115、基板長さ117、及び基板幅119を有することができる。基板厚さ115、基板長さ117、および基板幅119は、終端装置100の用途に基づいて最適化し、調整することができる。
【0022】
図示のように、接点107は入力タブの形態をとる。しかし、様々な実施形態によれば、他の形態の接点を互換的に使用することができる。例えば、接点107は、電気コネクタ又は結線であってもよい。接点107は外側に突出し、基板101の周囲を越えて延在する。
【0023】
接点107は、第1(遠位)の端部121と、第2(近位)の端部123とを有する。第1の端部121はRF回路に接触し、第2の端部123は第1の導電性パッド105に接触する。接点107は、上面125及び底面127を有する。接点107は、上面125もしくは底面127で、RF回路に接触することができる、または接点107は、RF回路に隣接し、重なり合わない方法で接続することができる。接点107は、第2の端部123で、底面127における第1の導電性パッド105と接触することができ、または接点107は、第1の導電性パッド105に隣接して、重なり合わない方法で接続することができる。
【0024】
第1の導電性パッド105は、上面129及び底面131を有する。第1の導電性パッド105の上面129は、接点107の第2の端部123で、接点107の底面127に接触する。第1の導電性パッド105の底面131は、渦巻状抵抗器103の第1の端部111で、渦巻状抵抗器103の上面133の少なくとも一部に接触することができる。または第1の導電性パッド105は、渦巻状抵抗器103に隣接し、重なり合わない方法で接続することができる。また、第1の導電性パッド105の底面131は、基板101の上面137に部分的に接触することができ、渦巻状抵抗器103の上面133にだけ接触することができる。
【0025】
渦巻状抵抗器103を、渦巻状抵抗器103の底面135が基板101の上面137に接触するように、基板101の上部に印刷することができる。第2の導電性パッド109は、上面141及び底面143を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、第2の導電性パッド109の底面143が、渦巻状抵抗器の第2の端部113で、渦巻状抵抗器103の上面133と接触する。いくつかの実施形態では、第2の導電性パッド109の底面143は、基板101の上面137に接触し、渦巻状抵抗器の第2の端部113で渦巻状抵抗器103に隣接し、渦巻状抵抗器103に重なり合わない方法で接続する。
【0027】
本明細書に記載されるように、渦巻状抵抗器103は、高周波送信と共に使用される場合に有効である。長さがl1であるマイクロストリップ損失伝送線路を、z軸に沿って配置される特性インピーダンスZoを有し、負荷ZLで終端されることで特徴付けることができる。入射波V0 +e-γzがこの線路への入力地点で励起されると仮定すると、線路に沿った電圧および電流は、一般に、入射波および反射波に対応する2つの項から構成される式
【数1】
から得られる。ここで、
【数2】
は複素伝搬定数、αは伝送線路に沿った損失を表す減衰定数、βは周波数の関数である伝搬定数を表す。
【0028】
線路への入口であるz = -lでは、V(z)は、
【数3】
へと変形される。
【0029】
損失伝送線路が長くなる場合、e-αlの項が小さくなり、従って線路への入口における反射波を効果的に抑制する。これにより、次にマッチングが向上し、つまり、反射係数Γが減少する。
【0030】
長さl、特性インピーダンスZoの損失マイクロストリップ線路の入力インピーダンスは、
【数4】
のように計算される。伝送線路の他方の端が開放している場合、この式は、
【数5】
と変形する。
【0031】
【0032】
伝送線路における減衰は、誘電損失と導体損失による。誘電損失による減衰定数をαdとし、導体損失による減衰定数をαd とすれば、全減衰定数は、
【数6】
で表される。
【0033】
損失マイクロストリップ伝送線路に対する減衰定数は、次のように計算することができる。
【数7】
ここで、εeは損失マイクロストリップ線路の実効比誘電率を表し、εrはマイクロストリップ基板の比透磁率を表し、tanδはマイクロストリップ基板の損失正接を表し、Wは有損失マイクロストリップ伝送線路の幅を表し、そしてRSは損失導体の表面抵抗率を表す。
【0034】
誘電損失が導体損失と比較して無視できると仮定すると、条件
【数8】
と変形される。
【0035】
【0036】
したがって、周波数がより低いと、条件
【数9】
を満たすには、伝送線路が長くなりすぎる可能性がある。それゆえ、本明細書に開示されるシステムおよび方法は、より低い周波数よりも、より高い周波数においてさらに効果的である。動作周波数が上昇すると、構造物の物理的長さが減少し、ひいては本明細書に記載されるシステムおよび方法がより効果的になる。より高い周波数では、反射波が著しく抑制されるので、グランドと接続して損失伝送線路の後端を終端させる必要がなくなり、装置の生産および製造が著しく簡素化されると同時に、材料コストと生産時間の両方を低減することができる。
【0037】
図2は、本発明の一実施形態による高周波終端装置200を示す。高周波終端装置200は、基板201、渦巻状抵抗器203、導電性パッド205、および接点207を含む。高周波終端装置200が有する構成要素は本明細書に記載される高周波終端装置100に対応する構成要素と類似するが、高周波終端装置200は第2の導電性パッド(例えば、第2の導電性パッド109)を含まない。
【0038】
渦巻状抵抗器203は基板201上に形成することができ、第1の端部211および第2の端部213を含むことができる。渦巻状抵抗器203を、基板201上に膜として形成することができる。第1の端部211は、導電性パッド205と電気的に結合することができる。渦巻状抵抗器203は、複数回(例えば、2回完全に)巻くことができる。図示のように、渦巻状抵抗器203は、実質的に円形である。しかしながら、様々な実施形態によれば、他の幾何学的形態を互換的に使用することができる。例えば、渦巻状抵抗器203は、(図3に示されるように)実質的に正方形状であっても、(図4に示されるように)実質的に六角形の形状であってもよい。
【0039】
渦巻状抵抗器203は、有損失伝送線路として機能することができる。渦巻状抵抗器203の渦巻形状により、高周波終端装置200のグランドに対するキャパシタンスを打ち消す誘導効果を導入することができる。渦巻状抵抗器203の渦巻形状は、渦巻状抵抗器203をグランドに効果的に終端させる必要なしに、より小さな空間内で効果的により長い損失伝送線路を可能にし得る。
【0040】
一般に、電気信号の周波数が高いほど、有損失伝送線路の有効長さを、電気信号を散逸(消滅)させるために、長くする必要がある。高周波終端装置200は、回路の高周波電気信号を熱に変換することができる。高周波電気信号は、接点207を介して高周波終端装置200に入ることができる。次いで、高周波電気信号は、導電性パッド205を介して渦巻状抵抗器203の第1の端部211に入ることができる。高周波電気信号が渦巻状抵抗器203を長さに沿って進むにつれて、そのエネルギーは徐々に熱の形態で散逸する。
【0041】
渦巻状抵抗器203内で散逸される熱を、隣接する基板201によって吸収することができる。高周波電気信号のエネルギーは、高周波電気信号が渦巻状抵抗器203の第1の端部211に入るときに最大となり、高周波電気信号が渦巻状抵抗器203の長さに沿って進むにつれて減少する。いくつかの実施形態では、高周波電気信号のエネルギーは、高周波電気信号が渦巻状抵抗器203の第2の端部213に到達するときに、ゼロに近づき又は到達することができる。
【0042】
同様に、高周波電気信号の振幅は、渦巻状抵抗器203の第1の端部211に入るときに最も大きくなり、高周波電気信号が渦巻状抵抗器203の長さに沿って進むにつれて減少する。したがって、渦巻状抵抗器203の長さを、渦巻状抵抗器203が熱の形態で効果的に散逸できる周波数または周波数範囲と直接相関させ、または適合させることができる。いくつかの実施形態では、高周波電気信号の振幅は、高周波電気信号が渦巻状抵抗器の第2の端部213に到達するときに、ゼロに近づき又は到達することができる。より高い周波数範囲に対処するために、複数回巻かれている場合にはその巻き数を、渦巻状抵抗器203が長くなるように調節することができる。同様に、より低い周波数範囲に対処するために、複数回巻かれている場合にはその巻き数を、渦巻状抵抗器203が短くなるように調整することができる。
【0043】
基板201は、高周波電気信号と渦巻状抵抗器203との間の相互作用によって発生する熱を散逸させるために、熱伝導性材料で製造することができる。例えば、基板201は、セラミック又はCVDダイヤモンドで製造することができる。しかしながら、様々な実施形態によれば、他の熱伝導性材料を互換的に使用することができる。
【0044】
図示のように、接点207は入力タブの形態をとる。しかし、様々な実施形態によれば、他の形態の接点を互換的に使用することができる。例えば、接点207は、電気コネクタまたは結線であってもよい。
【0045】
図3は、本発明の一実施形態による高周波終端装置300を示す。高周波終端装置300は、基板301、渦巻状抵抗303、導電性パッド305、および接点307を含む。高周波終端装置300が有する構成要素は本明細書に記載される高周波終端装置100に対応する構成要素と類似するが、渦巻状抵抗器303は実質的に正方形状であるのに対して、渦巻状抵抗器103及び203は円形状である。高周波終端装置300は第2の導電性パッド(例えば、第2の導電性パッド109)を含まないように図示されているが、いくつかの実施形態では、高周波終端装置300が第2の導電性パッド109と実質的に同様の第2の導電性パッドも含む。
【0046】
基板301は、図1A図1Dおよび2に関して論じた基板101、201と同様に構成することができ、図1A図1Dおよび2に関して論じた基板101、201と同様の構成を含んでもよい。渦巻状抵抗器303は、図1A~1Dおよび2に関して論じた渦巻状抵抗器103、203と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して論じた渦巻状抵抗器103、203と同様の構成を含むことができる。導電性パッド305は、図1A~1Dおよび2に関して論じた導電性パッド105、205と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して論じた導電性パッド105、205と同様の構成を含むことができる。接点307は、図1A図1Dおよび2に関して論じた接点107、207と同様に構成することができ、図1A図1Dおよび2に関して説明した接点107、207と同様の構成を含むことができる。
【0047】
図4は、本発明の一実施形態による高周波終端装置400を示す。高周波終端装置400は、基板401、渦巻状抵抗器403、導電性パッド405、および接点407を含む。高周波終端装置400が有する構成要素は本明細書に記載される高周波終端装置100、200、及び300に対応する構成要素と類似するが、渦巻状抵抗器403は実質的に六角形状であるのに対して、渦巻状抵抗器103及び203は円形状であり、渦巻状抵抗器303は正方形状である。高周波終端装置400は第2の導電性パッド(例えば、第2の導電性パッド109)を含まないように図示されているが、いくつかの実施形態では高周波終端装置400は第2の導電性パッド109と実質的に同様の第2の導電性パッドも含む。
【0048】
基板401は、図1A図1Dおよび図2に関して論じた基板101、201と同様に構成することができ、図1A図1Dおよび図2に関して論じた基板101、201と同様の構成を含むことができる。渦巻状抵抗器403は、図1A~1Dおよび2に関して論じた渦巻状抵抗器103、203と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して論じた渦巻状抵抗器103、203と同様の構成を含むことができる。導電性パッド405は、図1A~1Dおよび2に関して論じた導電性パッド105、205と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して論じた導電性パッド105、205と同様の構成を含むことができる。接点407は、図1A図1Dおよび図2に関して論じた接点107、207と同様に構成することができ、図1A図1Dおよび図2に関して論じた接点107、207と同様の構成を含むことができる。
【0049】
図5A~5Bは、本発明の一実施形態による高周波終端装置500を示す。高周波終端装置500は、基板501、渦巻状抵抗器503、導電性パッド505、及び接点507を含む。いくつかの実施形態では、高周波終端装置500が任意で、第2の導電性パッド509を含むことができる。
【0050】
基板501は、図1A図1Dおよび図2に関して論じた基板101、201と同様に構成することができ、図1A図1Dおよび図2に関して論じた基板101、201と同様の構成を含むことができる。基板501は、第1の面519と、第1の面519とは反対側の第2の面521とを含むことができる。渦巻状抵抗器503は、図1A~1Dおよび2に関して論じた渦巻状抵抗器103、203と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して論じた渦巻状抵抗器103、203と同様の構成を含むことができる。導電性パッド505は、図1A~1Dおよび2に関して論じた導電性パッド105、205と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して論じた導電性パッド105、205と同様の構成を含むことができる。接点507は図1A図1Dおよび図2に関して論じた接点107、207と同様に構成することができ、図1A図1Dおよび図2に関して論じた接点107、207と同様の構成を含むことができる。
【0051】
図5Bは、図5Aの線A-Aに沿った高周波終端装置500の断面図を示す。
【0052】
図示されるように、渦巻状抵抗器503および第2の導電性パッド509は、基板501の第1の面519上に配置される。高周波終端装置500は、基板501の第2の面521上に配置される第3の導電性パッド515を含むことができる。第3の導電性パッド515を、1つ以上垂直相互接続アクセス(VIA)517によって第2の導電性パッド509に電気的に接続することができる。いくつかの実施形態では、第3の導電性パッド515が高周波終端装置500をグランドと接続することができる。
【0053】
図6A~6Bは、本発明の一実施形態による高周波終端装置600を示す。高周波終端装置600は、基板601、渦巻状抵抗603、導電性パッド605および接点607を含む。いくつかの実施形態では、高周波終端装置600が、任意で第2の導電性パッド609を含むことができる。
【0054】
基板601は、図1A図1Dおよび2に関して論じた基板101、201と同様に構成することができ、図1A図1Dおよび図2に関して論じた基板101、201と同様の構成を含むことができる。基板601は、第1の面619と、第1の面619とは反対側の第2の面621とを含むことができる。渦巻状抵抗器603は、図1A~1Dおよび2に関して論じた渦巻状抵抗器103、203と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して論じた渦巻状抵抗器103、203と同様の構成を含むことができる。導電性パッド605は、図1A~1Dおよび2に関して論じた導電性パッド105、205と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して論じた導電性パッド105、205と同様の構成を含むことができる。接点607は図1A~1Dおよび2に関して説明した接点107、207と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して説明した接点107、207と同様の構成を含むことができる。
【0055】
図6Bは、図6Aの線B~Bに沿った高周波終端装置600の断面図を示す。
【0056】
図示されるように、渦巻状抵抗器603および第2の導電性パッド609は、渦巻状抵抗器603および導電性パッド609が基板601によって少なくとも部分的に取り囲まれるように、基板601内に少なくとも部分的に形成される。他の実施形態では、渦巻状抵抗603および導電性パッド605のみを、渦巻状抵抗603および導電性パッド605が基板601によって少なくとも部分的に取り囲まれるように、基板601内に少なくとも部分的に形成することができる。いくつかの実施形態では、渦巻状抵抗器603、導電性パッド605、または第2の導電性パッド609のうちの少なくとも1つは、基板601の第1の面619と同一平面を形成することができる。他の実施形態では、渦巻状抵抗器603、導電性パッド605、または第2の導電性パッド609のうちの少なくとも1つは、基板601の第1の面619の表面から突出することができる。
【0057】
図7A~7Bは、本発明の一実施形態による高周波終端装置700を示す。高周波終端装置700は、第1の基板701、渦巻状抵抗器703、導電性パッド705、接点707、及び第2の基板723を含む。いくつかの実施形態において、高周波終端装置700は、任意で第2の導電性パッド709を含むことができる。
【0058】
第1の基板701を、図1A図1Dおよび2に関して論じた基板101、201と同様に構成することができ、図1A図1Dおよび2に関して論じた基板101、201と同様の構成を含むことができる。渦巻状抵抗器703は、図1A~1Dおよび2に関して論じた渦巻状抵抗器103、203と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して論じた渦巻状抵抗器103、203と同様の構成を含むことができる。導電性パッド705は、図1A~1Dおよび2に関して論じた導電性パッド105、205と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して論じた導電性パッド105、205と同様の構成を含むことができる。接点707は図1A図1Dおよび2に関して論じた接点107、207と同様に構成することができ、図1A図1D、および2に関して論じた接点107、207と同様の構成を含むことができる。
【0059】
図7Bは、図7Aの線C-Cに沿った高周波終端装置700の断面図を示す。図示のように、渦巻状抵抗器703、導電性パッド705、コンタクト707、及び第2の導電性パッド709は、第2の基板723によって覆われている。いくつかの実施形態において、渦巻状抵抗器703及び導電性パッド705のみが、第2の基板723によって覆われてもよい。他の実施形態では、渦巻状抵抗703、導電性パッド705、及び接点707の一部のみが、第2の基板723によって覆われてもよい。
【0060】
図8は、本発明の一実施形態による高周波終端装置800を示す。高周波終端装置800は、基板801、渦巻状抵抗器803、第1の導電性パッド805、接点807、および第2の導電性パッド809を含む。高周波終端装置800が有する構成要素は本明細書に記載される高周波終端装置100、200、300、および400に対応する構成要素と類似するが、渦巻状抵抗器803は渦巻状抵抗器803の第1の端部811から渦巻状抵抗器803の第2の端部813まで時計回りに巻かれ、一方で渦巻状抵抗器103、203、303、および403は渦巻状抵抗器の第1の端部(例えば、第1の端部111)から第2の端部(例えば、第2の端部113)まで反時計回りに巻かれる。高周波終端装置800は第2の導電性パッド809を含むように示されるが、いくつかの実施形態では高周波終端800が第2の導電性パッドを含まない。
【0061】
基板801は、図1A図1Dおよび2に関して論じた基板101、201と同様に構成することができ、図1A図1Dおよび2に関して論じた基板101、201と同様の構成を含むことができる。渦巻状抵抗器803は、図1A~1Dおよび2に関して論じた渦巻状抵抗器103、203と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して論じた渦巻状抵抗器103、203と同様の構成を含むことができる。第1の導電性パッド805は、図1A~1Dおよび2に関して論じた導電性パッド105、205と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して論じた導電性パッド105、205と同様の構成を含むことができる。接点807は、図1A図1Dおよび2に関して論じた接点107、207と同様に構成することができ、図1A図1Dおよび2に関して論じた接点107、207と同様の構成を含むことができる。第2の導電性パッド809は、図1A図1Dに関して論じた第2の導電性パッド109と同様に構成することができ、図1A図1Dに関して論じた導電性パッド109と同様の構成を含むことができる。
【0062】
図9は、本発明の一実施形態による高周波終端装置900を示す。高周波終端装置900は、基板901、渦巻状抵抗器903、第1の導電性パッド905、および第2の導電性パッド909を含む。高周波終端装置900が有する構成要素は本明細書に記載される高周波終端装置100、200、300、及び400の対応する構成要素に類似するが、高周波終端装置900は突出接点(例えば、接点107)を含まず、代わりに、第1の導電性パッド905が接点の役割を果たす。高周波終端装置900は第2の導電性パッド909を含むものとして示されているが、いくつかの実施形態では高周波終端装置900が第2の導電性パッドを含まない。
【0063】
基板901は、図1A図1Dおよび2に関して論じた基板101、201と同様に構成することができ、図1A図1Dおよび2に関して論じた基板101、201と同様の構成を含むことができる。渦巻状抵抗器903は、図1A~1Dおよび2に関して論じた渦巻状抵抗器103、203と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して論じた渦巻状抵抗器103、203と同様の構成を含むことができる。第1の導電性パッド905は、図1A~1Dおよび2に関して論じた導電性パッド105、205と同様に構成することができ、図1A~1Dおよび2に関して論じた導電性パッド105、205と同様の構成を含むことができる。第2の導電性パッド909は、図1A~1Dに関して論じられた第2の導電性パッド109と同様に構成することができ、図1A~1Dに関して論じられた導電性パッド109と同様の構成を含むことができる。
【0064】
高周波終端装置900は突出した接点(例えば、接点107、207、307、407)を欠いているので、高周波終端装置900を、本明細書でさらに説明するように、伝送線路の上に直接取り付けることができる。
【0065】
シミュレーションおよび試験が、本明細書に記載されたシステムおよび方法の実施形態で実施された。渦巻状抵抗器を厚さ0.127[mm]のアルミナ(Al2O3)基板上に印刷した。特性インピーダンスを50[Ω]にするには、線路(渦巻状抵抗器など)の幅を約0.125[mm]にする必要がある。線路のシート抵抗は1Ω/sqで、線路の厚さは0.00254[mm]である。本明細書に記載の式を使用すると、厚さ0.127[mm]のアルミナ基板上に実現したl0の開放損失マイクロストリップ線路(例えば、渦巻状抵抗器)が、-30[dB]の反射損失で、良好にマッチングする最小周波数は、
【数10】
となるであろう。
【0066】
このことを証明するために、3つの異なる長さ(12.7[mm]、25.4[mm]、および50.8[mm])の開放損失線路を設計し、評価した。-20[dB]の反射損失を達成可能なこれらの線路に対応する最小周波数は、それぞれ33[GHz]、8.2[GHz]、および2.1[GHz]である。図10は、これらの3つの線の電気的性能を示しており、良好な相関が達成されている。
【0067】
よりコンパクトなデザインを提供するために、開放損失伝送線路(例えば、渦巻状抵抗器)は、正方形状および円形状の両方の渦巻形状で巻かれた。また、渦巻形状は、比較的薄い基板による過剰なシャントキャパシタンスと併せて使用された余分なインダクタンスを追加した。このようにして、チップの全表面にわたって電力をより一層散逸させる、分散型損失L-C構造が作成された。
【0068】
提案する概念を、Xバンド周波数における渦巻形状RF終端装置の実際の設計に利用した。厚膜スクリーン印刷法を用いて、損失伝送線路をベリリア(BeO)基板上に印刷した。この長い抵抗器の抵抗値を確認できるように、線路の背面に小さな導電性パッドを追加した。線路の長さは、11GHzを超える周波数でマッチングするように調整した。図11Aは、図1Aの設計および構成要素と同様の開発された終端装置のうちの3つのサンプルについて取られた試験データを示す。10.5GHzを超える周波数で良好な電気的性能が観測されている。
【0069】
CST MPHYSICS STUDIO(登録商標)を使用して、設計に対して熱解析を行った。チップの底面側に120℃のベースプレート温度を当て、、構造物に12GHz、最大入力電力250Wを入力した。電気損失は、表面電流に起因する導体損失と電場に起因する体積誘電損失から構成されていた。損失の大部分は、予想されるように、抵抗器の損失フィルムにおいて発生し、他の構造における損失は無視できるものである。RFシミュレーションから得られたすべての電気損失は、熱モデラに出力され、構造を通る熱流を適切にシミュレートするために使用された。図11Bに示される結果は、抵抗膜上の温度が155.4℃に等しいことを示した。最大安全許容フィルム温度は160℃であり、この温度は許容可能であった。
【0070】
突出した接点を含まない高周波終端装置(例えば、高周波終端装置900)を用いて、同様の試験を行った。周波数は20~30GHz、反射損失は-20[dB]、入力電力は10 W CW、大きさは1.78[mm]×1.78[mm]×0.38[mm]であった。電気的性能を図12Aに示し、熱的性能を図12Bに示す。
【0071】
図13は、高周波終端装置100を使用できるシステム1300の断面図を示す。渦巻状抵抗器103は、単純化され、基板101の上部の上にある層として示されるが、本明細書で説明する渦巻状抵抗器のいずれかに類似している。図13には高周波終端装置100が示されているが、高周波終端装置200、300、400、800のいずれかがシステム1300で使用することができる。
【0072】
高周波終端装置100の接点107は、渦巻状抵抗器103を伝送線路1303に接続する。伝送線路1303は、アプリケーションボード1305上に配置される。アプリケーションボード1305および基板101は、熱を吸収するヒートシンク1301の上に配置される。渦巻状抵抗器103から受け取り、熱に変換されたRF信号は、基板101に吸収され、ヒートシンク1301に伝達されることでさらに熱吸収が行われる。ヒートシンク1301の上面1307は、基板101の底面139に接触する。
【0073】
高周波終端装置100は、図13に示すように、アプリケーションボード1305及び伝送線路1303と実質的に同一平面上にあり、接点107のみが高い位置にあって、垂直方向外側に突出する。高周波終端装置100は、アプリケーションボード1305により画定されるキャビティ内に配置することができ、またはアプリケーションボード1305の端部に隣接して配置することができる。
【0074】
図14は、高周波終端装置900を使用できるシステム1400の側方断面図を示す。渦巻状抵抗器903は、単純化され、基板901の上面の上にある層として示されているが、本明細書に記載される渦巻状抵抗器のいずれかに類似する。
【0075】
高周波終端装置900の第1の導電性パッド(例えば、第1の導電性パッド905)は、渦巻状抵抗器903を伝送線路1403に接続する。伝送線路1403は、アプリケーションボード1405上に配置される。高周波終端装置900はアプリケーションボード1405の上部に位置し、垂直方向外側に突出する。アプリケーションボード1405は、熱を吸収するヒートシンク1401の上部に配置される。渦巻状抵抗器903から受け取り、熱に変換されたRF信号は、基板101によって吸収され、大気中の空気に放散されることで、更に熱吸収が行われる。
【0076】
システム1400の高周波終端装置はシステム1300の高周波終端装置よりも垂直外側方向に突出するが、高周波終端装置900は接点(例えば、接点107)を有さないので、高周波終端装置900はより安価にでき、かつ速やかに製造でき、システム1300に高周波終端装置900を設置するキャビティが不要であるため、高周波終端装置900を既存のアプリケーションボード1405上に簡単に後付けできる。
【0077】
開示された例示的な実施形態の前記の説明は、当業者が本発明を実施または使用することを可能にするために提供される。これらの例に対する種々の変形は、当業者には容易に明らかであり、本明細書に開示される原理を、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、他の例に適用することができる。前述の実施形態はあらゆる点で例示としてのみ考慮されるべきであり、限定して考慮されるべきではなく、したがって、本発明の範囲は、前記の説明によってではなく、以下の特許請求の範囲によって示される。特許請求の範囲の記載内容と均等な範囲に含まれる変形または変更は、全て本発明の範囲内に含まれるものである。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】