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特表2022-518736音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置およびその方法
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  • 特表-音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置およびその方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/04 20060101AFI20220309BHJP
   A61M 21/02 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
G10K15/04 302M
A61M21/02 J
A61M21/02 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542114
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(85)【翻訳文提出日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 KR2019001008
(87)【国際公開番号】W WO2020153515
(87)【国際公開日】2020-07-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516007962
【氏名又は名称】ディラジック カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Dlogixs CO.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Dlogixs Building,18,Beolmal-ro 118beon-gil,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョン,イン テク
(72)【発明者】
【氏名】パク,ソン キ
(72)【発明者】
【氏名】リ,サン オク
(72)【発明者】
【氏名】ホ,クン ヨン
(57)【要約】
本発明は、音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置およびその方法に関し、より詳細には、ユーザが希望する音楽の伝達を受け、特定の周波数帯域にバイノーラルビートを適用して、ステレオ音源で所望の脳波状態を誘導するとともに、ステレオ音源として提供することができ、音楽に対する拒否感や単調さなしに音場感を改善したバイノーラルビートを用いた脳波音響出力装置およびその方法に関する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ステレオ音源信号と第2ステレオ音源信号からなる音源データを受信する音源入力部(100)と、
前記音源データの伝達を受け、第1モノ音源信号に変換して生成するモノ変換部(200)と、
前記第1ステレオ音源信号、第2ステレオ音源信号および第1モノ音源信号の伝達を受け、それぞれの音源信号を成している周波数帯域を分析し、前記第1モノ音源信号を成している周波数帯域のうち特定の周波数帯域を所定の周波数だけ偏移させて第2モノ音源信号を生成する周波数制御部(300)と、
前記第1ステレオ音源信号の前記特定の周波数帯域を除去し、前記第1モノ音源信号の前記特定の周波数帯域を加えて第1ステレオ出力信号を生成し、前記第2ステレオ音源信号の前記特定の周波数帯域を除去し、前記第2モノ音源信号の前記特定の周波数帯域を加えて第2ステレオ出力信号を生成する出力オーディオ生成部(400)とを含むことを特徴とする、音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置。
【請求項2】
前記音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置は、
ユーザの操作または予め設定されたモード情報によって、前記特定の周波数帯域または前記所定の周波数を可変する統合制御部(500)をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置。
【請求項3】
前記特定の周波数帯域は、
500~6000Hzの周波数帯域から選択され、
前記所定の周波数は、
誘導しようとする脳波として、アルファ波、ベータ波、シータ波またはデルタ波の周波数範囲のいずれか一つの周波数範囲内の周波数であることを特徴とする、請求項2に記載の音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置。
【請求項4】
前記統合制御部(500)は、
ユーザの操作またはユーザから入力されるモード情報によって、誘導しようとする脳波を設定し、
設定した前記脳波が誘導されるように脳波誘導順序を設定することを特徴とする、請求項3に記載の音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置。
【請求項5】
前記音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置は、
ユーザの現在の脳波状態を感知する脳波センサを含む脳波センサ部(600)と、
ユーザの現在の心臓拍動数を感知する心拍センサを含む心拍センサ部(700)とをさらに含み、
前記統合制御部(500)は、
前記脳波センサ部(600)で感知したユーザの現在の脳波状態の伝達を受け、順に脳波が誘導されるように脳波誘導順序を決定し、前記心拍センサ部(700)で感知したユーザの現在の心臓拍動数の伝達を受け、前記第1ステレオ出力信号と第2ステレオ出力信号の再生速度を可変することを特徴とする、請求項4に記載の音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置。
【請求項6】
前記統合制御部(500)は、前記脳波センサ部(600)で感知したユーザの現在の脳波状態の伝達を受け、ユーザの現在の脳波状態から誘導しようとする脳波への脳波誘導順序において、脳波の周波数が高い状態から低い状態に、または低い状態から高い状態に脳波が順に誘導されるように前記周波数制御部(300)を制御することを特徴とする、請求項5に記載の音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置。
【請求項7】
前記音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置は、
前記第1ステレオ出力信号と第2ステレオ出力信号を音響に変換して出力する音響出力手段(800)をさらに含み、
前記音響出力手段(800)の一側には、前記第1ステレオ出力信号に対応する音響が出力され、前記音響出力手段(800)の他側には、前記第2ステレオ出力信号に対応する音響が出力されることを特徴とする、請求項1に記載の音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置。
【請求項8】
音源入力部で、予め貯蔵されたまたは外部から入力される、第1ステレオ音源信号と第2ステレオ音源信号からなる音源データを受信する音源受信ステップと、
モノ変換部で、前記音源データの伝達を受け、第1モノ音源信号に変換して生成するモノ生成ステップと、
周波数制御部で、前記第1ステレオ音源信号、第2ステレオ音源信号および第1モノ音源信号の伝達を受け、成している周波数帯域を分析する周波数帯域分析ステップと、
周波数制御部で、前記第1モノ音源信号を成している周波数帯域のうち特定の周波数帯域を所定の周波数だけ偏移させて第2モノ音源信号を生成する周波数偏移ステップと、
出力オーディオ生成部で、前記第1ステレオ音源信号の前記特定の周波数帯域を除去し、前記第1モノ音源信号の前記特定の周波数帯域を加えて第1ステレオ出力信号を生成し、前記第2ステレオ音源信号の前記特定の周波数帯域を除去し、前記第2モノ音源信号の前記特定の周波数帯域を加えて第2ステレオ出力信号を生成する出力オーディオ生成ステップとを含み、
統合制御部で、ユーザの操作または予め設定されたモード情報によって、前記特定の周波数帯域または前記所定の周波数を可変する制御ステップをさらに含むことを特徴とする、音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法。
【請求項9】
前記特定の周波数帯域は、
500~6000Hzの周波数帯域から選択され、
前記所定の周波数は、
誘導しようとする脳波として、アルファ波、ベータ波、シータ波またはデルタ波の周波数範囲のいずれか一つの周波数範囲内の周波数であることを特徴とする、請求項8に記載の音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法。
【請求項10】
前記制御ステップは、
ユーザの操作またはユーザから入力されるモード情報によって、誘導しようとする脳波を設定し、
設定した前記脳波が誘導されるように脳波誘導順序を設定するユーザ入力ステップを含むことを特徴とする、請求項9に記載の音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法。
【請求項11】
前記音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法は、
統合制御部で、脳波センサを用いてユーザの現在の脳波状態を感知する脳波感知ステップと、
統合制御部で、心拍センサを用いてユーザの現在の心臓拍動数を感知する心拍感知ステップとをさらに含み、
前記制御ステップは、
感知したユーザの現在の脳波状態の伝達を受け、順に脳波が誘導されるように脳波誘導順序を決定する脳波誘導順序決定ステップと、
感知したユーザの現在の心臓拍動数の伝達を受け、前記第1ステレオ出力信号と第2ステレオ出力信号の再生速度を可変する速度可変ステップとを含むことを特徴とする、請求項10に記載の音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法。
【請求項12】
前記制御ステップは、
感知したユーザの現在の脳波状態の伝達を受け、ユーザの現在の脳波状態から誘導しようとする脳波への脳波誘導順序において、脳波の周波数が高い状態から低い状態に、または低い状態から高い状態に脳波が順に誘導されるように前記周波数偏移ステップを制御することを特徴とする、請求項11に記載の音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置およびその方法に関し、より詳細には、ユーザが希望する音楽の伝達を受け、特定の周波数帯域にバイノーラルビートを適用して、ステレオ音源で所望の脳波状態を誘導するとともに、ステレオ音源として提供することができ、音楽に対する拒否感や単調さなしに音場感を改善したバイノーラルビートを用いた脳波音響出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの頭脳は、各状態に応じて異なる周波数を出力すると知られているが、外部から音や光などで所定の周波数の信号を受け続けると、脳波も入力される周波数に同調する効果を有することになる。一般的に、ヒトの脳が暝想中の時には心身が弛緩し、精神を集中している時には脳が活性化状態になる。
【0003】
バイノーラルビートは、二つの周波数の差を用いて、頭脳に所望の脳波を誘導する原理である。
【0004】
すなわち、バイノーラルビートとは、ヒトが低い周波数を認知することができないため、脳に影響を与える外部波を形成するために、入力オーディオ信号をヒトが聴音することができる可聴周波数(20~20,000Hz)帯域の音に変調し、脳に影響を与えるように効果的に組み合わせた音を意味する。
【0005】
すなわち、アルファ段階に属し、ヒトが聞くことができない非可聴周波数帯域である11Hz帯域の音の場合、ステレオサウンドを用いて、左耳には可聴周波数帯域である300Hz帯域のサウンドを、右耳には311Hz帯域のサウンドを供給して1Hzの周波数の差を与え、この際、脳は、二つの音を組み合わせて1Hzの差を受け入れ、脳波誘導刺激が行われる。
【0006】
ヒトの脳波は、頭の表面から発生する電気的信号であるが、これの根源は、興奮性ニューロンの細胞膜を経て通過するイオンによって発生する電流である。脳波を測定し、測定した脳波の周波数範囲に応じてヒトの心理状態を判断することができるが、各周波数範囲に応じて相違する心理状態を示す。
【0007】
一例を挙げると、周波数範囲が0.4~4Hz未満の場合には、デルタ波として、非常に深い睡眠状態が現れ、周波数範囲が4~8Hzの場合には、シータ波として、睡眠、冥想状態が現れ、周波数範囲が8~14Hzの場合には、アルファ波として、弛緩状態が現れ、周波数範囲が15~24Hzの場合には、ベータ波として、緊張状態が現れる。
【0008】
このように、脳の周波数は、時々刻々変化するヒトの心理状態を示し、強制に脳波を誘導してヒトの脳波を変化させる場合、ヒトの実際の心理状態が変わるという研究に基づいて、人為的にヒトの心理状態を誘導するためにバイノーラルビートが用いられてきた。
【0009】
従来、L(left)、R(Right)のすべての信号をモノ信号として処理した後、所望の周波数帯域に対する周波数シフトによりバイノーラルビートを生成し、ユーザが希望する音楽に対するバイノーラルビートからなる音響を聴取することができる。
【0010】
しかし、周波数シフト現象によって発生するうなり現象で音響聴取に不都合が生じるだけでなく、ステレオオーディオ信号をモノオーディオ信号に変換する過程で音楽感想のために必ず必要となるステレオ感が完全に無くなる問題と、これによる単調な音響(モノ)による音質の低下の問題が発生した。
【0011】
これと関連して、韓国登録特許第10-1406531号(ステレオオーディオ信号からバイノーラルビートを発生させる装置および方法)では、ステレオオーディオ信号からバイノーラルビートを発生させるとともに、ステレオオーディオ信号の歪みを防止することができる装置および方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】韓国登録特許第10-1406531号(登録日:2014.06.03)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような従来技術の問題を解決するために導き出されたものであり、ユーザが希望する音楽の伝達を受け、特定の周波数帯域にバイノーラルビートを適用して、ステレオ音源で所望の脳波状態を誘導するとともに、ステレオ音源として提供することができ、音楽に対する拒否感や単調さなしに音場感を改善したバイノーラルビートを用いた脳波音響出力装置およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置は、第1ステレオ音源信号と第2ステレオ音源信号からなる音源データを受信する音源入力部100と、前記音源データの伝達を受け、第1モノ音源信号に変換して生成するモノ変換部200と、前記第1ステレオ音源信号、第2ステレオ音源信号および第1モノ音源信号の伝達を受け、それぞれの音源信号を成している周波数帯域を分析し、前記第1モノ音源信号を成している周波数帯域のうち特定の周波数帯域を所定の周波数だけ偏移させて第2モノ音源信号を生成する周波数制御部300と、前記第1ステレオ音源信号の前記特定の周波数帯域を除去し、前記第1モノ音源信号の前記特定の周波数帯域を加えて第1ステレオ出力信号を生成し、前記第2ステレオ音源信号の前記特定の周波数帯域を除去し、前記第2モノ音源信号の前記特定の周波数帯域を加えて第2ステレオ出力信号を生成する出力オーディオ生成部400とを含んで構成されることが好ましい。
【0015】
さらに、前記音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置は、ユーザの操作または予め設定されたモード情報によって、前記特定の周波数帯域または前記所定の周波数を可変する統合制御部500をさらに含んで構成されることが好ましい。
【0016】
さらに、前記特定の周波数帯域は、500~6000Hzの周波数帯域から選択され、前記所定の周波数は、誘導しようとする脳波として、アルファ波、ベータ波、シータ波またはデルタ波の周波数範囲のいずれか一つの周波数範囲内の周波数であることが好ましい。
【0017】
さらに、前記統合制御部500は、ユーザの操作またはユーザから入力されるモード情報によって、誘導しようとする脳波を設定し、設定した前記脳波が誘導されるように脳波誘導順序を設定することが好ましい。
【0018】
さらに、前記音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置は、ユーザの現在の脳波状態を感知する脳波センサを含む脳波センサ部600と、ユーザの現在の心臓拍動数を感知する心拍センサを含む心拍センサ部700とをさらに含んで構成され、前記統合制御部500は、前記脳波センサ部600で感知したユーザの現在の脳波状態の伝達を受け、順に脳波が誘導されるように脳波誘導順序を決定し、前記心拍センサ部700で感知したユーザの現在の心臓拍動数の伝達を受け、前記第1ステレオ出力信号と第2ステレオ出力信号の再生速度を可変することが好ましい。
【0019】
さらに、前記統合制御部500は、前記脳波センサ部600で感知したユーザの現在の脳波状態の伝達を受け、ユーザの現在の脳波状態から誘導しようとする脳波への脳波誘導順序において、脳波の周波数が高い状態から低い状態に、または低い状態から高い状態に脳波が順に誘導されるように前記周波数制御部300を制御することが好ましい。
【0020】
さらに、前記音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置は、前記第1ステレオ出力信号と第2ステレオ出力信号を音響に変換して出力する音響出力手段800をさらに含んで構成され、前記音響出力手段800の一側には、前記第1ステレオ出力信号に対応する音響が出力され、前記音響出力手段800の他側には、前記第2ステレオ出力信号に対応する音響が出力されることが好ましい。
【0021】
本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法は、音源入力部で、予め貯蔵されたまたは外部から入力される、第1ステレオ音源信号と第2ステレオ音源信号からなる音源データを受信する音源受信ステップと、モノ変換部で、前記音源データの伝達を受け、第1モノ音源信号に変換して生成するモノ生成ステップと、周波数制御部で、前記第1ステレオ音源信号、第2ステレオ音源信号および第1モノ音源信号の伝達を受け、成している周波数帯域を分析する周波数帯域分析ステップと、周波数制御部で、前記第1モノ音源信号を成している周波数帯域のうち特定の周波数帯域を所定の周波数だけ偏移させて第2モノ音源信号を生成する周波数偏移ステップと、出力オーディオ生成部で、前記第1ステレオ音源信号の前記特定の周波数帯域を除去し、前記第1モノ音源信号の前記特定の周波数帯域を加えて第1ステレオ出力信号を生成し、前記第2ステレオ音源信号の前記特定の周波数帯域を除去し、前記第2モノ音源信号の前記特定の周波数帯域を加えて第2ステレオ出力信号を生成する出力オーディオ生成ステップからなり、統合制御部で、ユーザの操作または予め設定されたモード情報によって、前記特定の周波数帯域または前記所定の周波数を可変する制御ステップをさらに含んでなることが好ましい。
【0022】
さらに、前記特定の周波数帯域は、500~6000Hzの周波数帯域から選択され、前記所定の周波数は、誘導しようとする脳波として、アルファ波、ベータ波、シータ波またはデルタ波の周波数範囲のいずれか一つの周波数範囲内の周波数であることが好ましい。
【0023】
さらに、前記制御ステップは、ユーザの操作またはユーザから入力されるモード情報によって、誘導しようとする脳波を設定し、設定した前記脳波が誘導されるように脳波誘導順序を設定するユーザ入力ステップを含んで構成されることが好ましい。
【0024】
さらに、前記音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法は、統合制御部で、脳波センサを用いてユーザの現在の脳波状態を感知する脳波感知ステップと、統合制御部で、心拍センサを用いてユーザの現在の心臓拍動数を感知する心拍感知ステップとをさらに含み、前記制御ステップは、感知したユーザの現在の脳波状態の伝達を受け、順に脳波が誘導されるように脳波誘導順序を決定する脳波誘導順序決定ステップと、感知したユーザの現在の心臓拍動数の伝達を受け、前記第1ステレオ出力信号と第2ステレオ出力信号の再生速度を可変する速度可変ステップとを含んで構成されることが好ましい。
【0025】
さらに、前記制御ステップは、感知したユーザの現在の脳波状態の伝達を受け、ユーザの現在の脳波状態から誘導しようとする脳波への脳波誘導順序において、脳波の周波数が高い状態から低い状態に、または低い状態から高い状態に脳波が順に誘導されるように前記周波数偏移ステップを制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0026】
上記のような構成による本発明の音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置およびその方法は、ユーザが希望する音楽の伝達を受け、特定の周波数帯域にバイノーラルビートを適用して、ステレオ音源で所望の脳波状態を誘導するとともに、ステレオ音源として提供することができ、音楽に対する拒否感や単調さなしに音場感を改善して、うなり現象を最小化することができる利点がある。
【0027】
また、改善した音場感だけバイノーラルビートを適用した音楽信号または学習用オーディオ信号の音質の低下を抑制することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置の構成図を示す図である。
図2】本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置およびその方法での音源信号の周波数帯域スペクトルを示す図である。
図3】本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置およびその方法での誘導しようとする脳波への脳波誘導順序を示す実施例である。
図4】本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法を示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照して、本発明の音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置およびその方法について詳細に説明する。以下に開示される図面は、当業者に本発明の思想が充分に伝達されるようにするために例として提供されるのである。したがって、本発明は、以下に提示される図面に限定されず、他の形態に具体化されることもある。また、明細書の全般にわたり同じ参照番号は同じ構成要素を示す。
【0030】
この際、使用される技術用語および科学用語において他の定義がなければ、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が通常理解している意味を有し、下記の説明および添付の図面で本発明の要旨を不明瞭にし得る公知の機能および構成に関する説明は省略する。
【0031】
さらに、システムは、必要な機能を行うために組織化され、規則的に相互作用する装置、機構および手段などを含む構成要素の集合を意味する。
【0032】
本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置およびその方法は、ユーザが希望する音楽のバイノーラルビートを用いた目標とする脳波への誘導が可能であり、音楽の特定の周波数帯域に対してのみバイノーラルビートを適用することで、音源の歪みを意識しなくても拒否感や単調さなしに、モノ音源ではなくステレオ音源で音場感を改善し、提供することができる装置およびその方法に関する。
【0033】
特に、ステレオ音源として提供することで、音場感を改善することができ、うなり現象を最小化するだけでなく、モノ音源に変換する過程での音質の低下を抑制することができる利点がある。
【0034】
図1は本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置を示す構成図であり、図1を参照して、本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置について詳細に説明する。
【0035】
本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置は、図1に図示されているように、音源入力部100と、モノ変換部200と、周波数制御部300と、出力オーディオ生成部400と、統合制御部500とを含んで構成されることが好ましい。
【0036】
それぞれの構成は、一つのMCUを通じて制御される端末手段により動作することが好ましいが、これは、本発明の一実施形態に過ぎず、場合によって、有線または無線ネットワークを通じて連結されるそれぞれのMCUにより制御される端末手段によって動作することもできる。
【0037】
各構成について詳細に説明すると、
前記音源入力部100は、第1ステレオ音源信号と第2ステレオ音源信号からなる音源データを受信することが好ましい。
【0038】
前記音源入力部100は、ユーザから所望の外部音源を受信するか、音源貯蔵部に予め貯蔵されている音源データのうちユーザから選択された音源データを受信することが好ましい。
【0039】
この際、前記音源データは、一般的に、ステレオ音源からなっているため、別の変換過程なしに、前記第1ステレオ音源信号と第2ステレオ音源信号からなることが好ましい。
【0040】
さらに、前記音源入力部100は、ユーザから外部音源を受信する場合、アナログ-デジタル変換手段(ADC、Analog-to-Digital Converter)を用いて、アナログ信号として入力される前記外部音源をデジタル信号に変換することが好ましい。
【0041】
前記モノ変換部200は、前記音源データの伝達を受け、モノ音源に変換し、第1モノ音源信号を生成することが好ましい。
【0042】
すなわち、前記モノ変換部200は、ステレオ音源である前記音源データからモノ音源を抽出し、前記第1モノ音源信号を生成することが好ましい。
【0043】
この際、前記モノ音源は、ステレオオーディオ成分の左側または右側の音源成分のいずれか一つの音源成分であるか、ステレオ成分を混合して抽出された一つのモノ音源であり得る。
【0044】
前記周波数制御部300は、前記音源入力部100から伝達を受けた前記第1ステレオ音源信号、第2ステレオ音源信号と、前記モノ変換部200から伝達を受けた前記第1モノ音源信号に対するそれぞれが成している周波数帯域を分析することが好ましい。この際、周波数帯域の分析とは、第1および第2ステレオ音源信号および第1モノ音源信号それぞれに対してフーリエ変換を行って、第1および第2ステレオ音源信号および第1モノ音源信号のそれぞれを構成する周波数成分を求めることを意味する。
【0045】
また、前記周波数制御部300は、前記第1モノ音源信号を成している周波数帯域のうち特定の周波数帯域を抽出し、抽出した特定の周波数帯域に対して所定の周波数だけ偏移させて第2モノ音源信号を生成することが好ましく、周波数偏移は、DSPを用いて具現することが最も好ましい。
【0046】
本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置の前記周波数制御部300は、前記統合制御部500の制御によって、ユーザの操作または予め設定されたモード情報に応じて、前記特定の周波数帯域または前記所定の周波数を可変設定し、前記第2モノ音源信号を生成することが好ましい。すなわち、前記周波数制御部300は、前記統合制御部500の制御によって、誘導しようとする脳波の周波数を考慮して、偏移しようとする周波数帯域と周波数量を設定し、第1モノ音源信号を成している周波数帯域のうち設定した周波数帯域成分を設定した周波数量だけ偏移させて前記第2モノ音源信号を生成することができる。
【0047】
詳細には、前記統合制御部500は、ユーザの操作またはユーザから受信したモード情報(所望の脳波状態情報)に応じて、バイノーラルビートを適用して誘導しようとする脳波を設定し、設定した前記脳波(誘導しようとする脳波)が誘導されるように脳波誘導順序を設定することが好ましい。
【0048】
このために、本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置は、図1に図示されているように、脳波センサ部600と、心拍センサ部700とをさらに含んで構成されることが好ましい。
【0049】
前記脳波センサ部600は、ユーザの現在の脳波状態を感知する脳波センサを含んで構成されることが好ましく、前記心拍センサ部700は、ユーザの現在の心臓拍動数を感知する心拍センサを含んで構成されることが好ましい。
【0050】
前記脳波センサ部600は、ユーザの頭部に接触するようにヘアーバンドまたは取付ピンの形態に具現するか、ヘッドホーンに別の構成として含むことができる。
【0051】
前記心拍センサ部700は、ユーザの手首部に付着するようにリストバンドに具現するか、胸部または首部に付着する通常の電極形態に具現することもできる。
【0052】
前記統合制御部500は、前記脳波センサ部600で感知したユーザの現在の脳波状態の伝達を受け、ユーザの操作またはユーザから受信したモード情報に基づいて設定した脳波に順に誘導するための脳波誘導順序を決定することが好ましい。
【0053】
詳細には、前記統合制御部500は、前記脳波センサ部600で感知したユーザの現在の脳波状態の伝達を受け、ユーザの現在の脳波状態からユーザの操作またはユーザから受信したモード情報に応じて設定した目標脳波への前記脳波誘導順序において、脳波の周波数が高い状態から低い状態に、または低い状態から高い状態に脳波が順に誘導されるように前記周波数制御部300を制御することが好ましい。
【0054】
前記脳波誘導順序は、前記脳波センサ部600で感知したユーザの現在の脳波状態からユーザが希望する目標脳波への脳波誘導順序を意味し、脳波の周波数を順に上げるか(デルタ波-シータ波-アルファ波-ベータ波)、下げる順(ベータ波-アルファ波-シータ波-デルタ波)に誘導されるように、前記周波数制御部300を制御することが好ましい。
【0055】
これにより、現在の脳波状態から目標脳波状態に自然に移行することができる。
【0056】
一例を挙げると、図3に図示されているように、ユーザの現在の脳波状態がベータ波であり、ユーザが希望する目標脳波状態がデルタ波である場合、前記統合制御部500では、周波数偏移ですぐデルタ波状態を誘導するように前記周波数制御部300を制御するものではなく、ベータ波-アルファ波-シータ波を経てデルタ波状態が誘導されるように前記周波数制御部300を制御することができる。
【0057】
これとは逆に、ユーザの現在の脳波状態がシータ波であり、ユーザが希望する目標脳波状態がベータ波である場合、前記統合制御部500は、周波数偏移でシータ波-アルファ波を経てベータ波状態が誘導されるように前記周波数制御部300を制御することが好ましい。
【0058】
また、前記統合制御部500は、前記心拍センサ部700で感知したユーザの現在の心臓拍動数の伝達を受け、第1ステレオ出力信号と第2ステレオ出力信号の再生速度を可変制御することが好ましい。すなわち、ユーザが安定して現在の心臓拍動数が遅くなる場合、オーディオをゆっくり再生してユーザの脳波状態をデルタ波状態に誘導することに役立つことが好ましい。
【0059】
前記第1ステレオ出力信号と第2ステレオ出力信号については後述する。
【0060】
このように、前記周波数制御部300では、前記統合制御部500の制御によって、前記特定の周波数帯域または前記所定の周波数を可変設定し、前記第2モノ音源信号を生成することが好ましい。
【0061】
詳細に説明すると、ヒトの聴覚は、500~6000Hzで周波数変化の弁別限界が0.3%と知られている。すなわち、500~6000Hzの周波数範囲でヒトの聴覚能力は1.5~18Hzの周波数変化を弁別することができ、バイノーラルビートを用いて周波数を偏移させる場合、500~6000Hzの間の周波数範囲で0.3%以上の周波数を偏移させると、音質の変化を認識することになる。
【0062】
そのため、本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置は、周波数偏移によってもユーザが音源の音質変化を認識することができないように、偏移させる周波数帯域の下限を0.3%以内の値に設定することが好ましい。
【0063】
一例を挙げると、偏移させようとする周波数帯域と周波数量は、誘導しようとした脳波の周波数と関係している。アルファ波を誘導しようとする場合、アルファ波は、上述のように、8~14Hzの周波数範囲を有しているため、バイノーラルビートを用いて偏移させる周波数量は、8~14Hzの範囲内の周波数帯域で設定することが好ましく、偏移させる周波数帯域としては、その下限値を8~14/0.3%、すなわち、2667~4667Hzの範囲内の値に設定することが好ましい。
【0064】
下記の表1は、本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置を用いてユーザが誘導しようとする目標脳波とそれによる好ましい偏移周波数量と偏移周波数帯域の下限に関するものである。
【0065】
【表1】
【0066】
このように、前記統合制御部500は、ユーザの操作またはユーザから受信したモード情報(所望の脳波状態情報)によって設定した誘導しようとする脳波(目標脳波状態)に誘導するための音源信号を生成するために、前記第1モノ音源信号を成している周波数成分のうち偏移する周波数帯域および偏移する周波数量を前記の表1に記載の値を参照して設定することが好ましい。
【0067】
前記周波数制御部300は、前記統合制御部500の設定に応じて、前記第1モノ音源信号を周波数偏移させて前記第2モノ音源信号を生成する。
【0068】
さらに、この際、本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置は、上述のように、モノ音源を提供するものではなく、ステレオ音源を伝達し、音場感を改善して、うなり現象と音質の低下を抑制することができる。
【0069】
このために、前記出力オーディオ生成部400により、前記第1ステレオ音源信号と前記第2ステレオ音源信号に対して前記特定の周波数帯域を除去し、当該部分だけそれぞれ偏移する前の前記第1モノ音源信号と偏移した後の前記第2モノ音源信号で混合することが好ましい。
【0070】
詳細には、前記出力オーディオ生成部400は、前記第1ステレオ音源信号の前記特定の周波数帯域を除去し、前記第1モノ音源信号の前記特定の周波数帯域を加えて第1ステレオ出力信号を生成し、前記第2ステレオ音源信号の前記特定の周波数帯域を除去し、前記第2モノ音源信号の前記特定の周波数帯域を加えて第2ステレオ出力信号を生成することが好ましい。
【0071】
前記出力オーディオ生成部400を通じて生成した前記第1ステレオ出力信号と前記第2ステレオ出力信号は、上述のように、受信したステレオ音源そのままで、且つ音源信号の特定の周波数帯域に対してのみモノ音源のバイノーラルビートを適用することで、所望の脳波状態に誘導することができるとともに音源の歪みや音質の低下なく、拒否感や単調さなしにユーザが希望する脳波状態を誘導することができる。
【0072】
図2は本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置による偏移する前と後の周波数帯域スペクトルを示す図である。
【0073】
詳細には、統合制御部500でユーザの操作またはユーザから受信したモード情報(所望の脳波状態情報)によって設定した誘導しようとする脳波がアルファ波である場合、ユーザの脳波をアルファ波に誘導するために偏移する周波数量を10Hzに設定し、偏移する周波数帯域を500~2000Hzに設定する場合、前記周波数制御部300によって第1モノ音源信号の500~2000Hzの周波数帯域は、10Hzだけ偏移して510~2010Hzに移動し、第2モノ音源信号を生成する。
【0074】
ここで、偏移する周波数帯域を500~2000Hzに設定しているが、これは、本発明の一実施形態に過ぎず、前記の表1を参照すると、アルファ波を誘導するために、偏移する周波数量を10Hzに設定する場合、偏移する周波数帯域の下限は3333Hzに設定し、それ以上の帯域に対して周波数偏移を実行することができる。
【0075】
この際、前記出力オーディオ生成部400によって第1または第2ステレオ音源信号から選択される一つは、設定した周波数帯域に第1モノ音源信号で混合し、第1または第2ステレオ音源信号のうち他の一つは、設定した周波数帯域に第2モノ音源信号で混合することで、ステレオ音源としてユーザに提供されるとともに所望の脳波への誘導がスムーズに行われる利点がある。
【0076】
本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置は、音響出力手段800をさらに含んで構成されることが好ましい。
【0077】
前記音響出力手段800は、前記第1ステレオ出力信号と第2ステレオ出力信号を音響に変換して出力することができる。
【0078】
詳細には、前記音響出力手段800の一側には、前記第1ステレオ出力信号に対応する音響が出力され、前記音響出力手段800の他側には、前記第2ステレオ出力信号に対応する音響が出力されることが好ましく、前記音響出力手段800は、連結されるヘッドホーンやイヤホンなどを駆動するためのオーディオ増幅器として具現されることができる。
【0079】
さらに、本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置は、図1に図示されているように、ユーザ手段をさらに含んで構成されることが好ましい。
【0080】
前記ユーザ手段により、ユーザの操作命令(所望の脳波状態の直接入力または脳波状態のモード入力)を受信するか、現在の脳波状態、脳波状態と操作命令による誘導しようとする目標脳波および現在進行されている脳波誘導順序に対するディスプレイが行われることが好ましい。
【0081】
図4および図5は本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法を示すフローチャートであり、図4および図5を参照して、本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法について詳細に説明する。
【0082】
本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法は、図4に図示されているように、音源受信ステップと、モノ生成ステップと、周波数帯域分析ステップと、周波数偏移ステップと、出力オーディオ生成ステップとを含んでなることが好ましく、制御ステップにより前記周波数偏移ステップを制御することが好ましい。
【0083】
各ステップについて詳細に説明すると、
前記音源受信ステップは、前記音源入力部100で、予め貯蔵されたまたは外部から入力される、第1ステレオ音源信号と第2ステレオ音源信号からなる前記音源データを受信することができる。
【0084】
詳細には、前記音源受信ステップは、ユーザから所望の外部音源を受信するか、音源貯蔵部に予め貯蔵されている音源データのうちユーザから選択された音源データを受信することが好ましい。
【0085】
この際、前記音源データは、一般的に、ステレオ音源からなっているため、別の変換過程なしに前記第1ステレオ音源信号と第2ステレオ音源信号からなることが好ましい。
【0086】
さらに、ユーザから外部音源を受信する場合、アナログ-デジタル変換手段(ADC、Analog-to-Digital Converter)を用いて、アナログ信号として入力される前記外部音源をデジタル信号に変換することが好ましい。
【0087】
前記モノ生成ステップは、前記モノ変換部200で、前記音源データの伝達を受け、前記第1モノ音源信号に変換して生成することができる。
【0088】
詳細には、前記モノ生成ステップは、ステレオ音源である前記音源データからモノ音源を抽出し、前記第1モノ音源信号を生成することが好ましい。
【0089】
この際、前記モノ音源は、ステレオオーディオ成分の左側または右側音源成分のいずれか一つの音源成分であるか、ステレオ成分を混合して抽出された一つのモノ音源であり得る。
【0090】
前記周波数帯域分析ステップは、前記周波数制御部300で、前記第1ステレオ音源信号、第2ステレオ音源信号および第1モノ音源信号の伝達を受け、成している周波数帯域を分析することができる。この際、周波数帯域の分析とは、第1および第2ステレオ音源信号および第1モノ音源信号それぞれに対してフーリエ変換を行って、第1および第2ステレオ音源信号および第1モノ音源信号それぞれを構成する周波数成分を求めることを意味する。
【0091】
前記周波数偏移ステップは、前記周波数制御部300で、前記第1モノ音源信号を成している周波数帯域のうち、特定の周波数帯域を所定の周波数だけ偏移させて前記第2モノ音源信号を生成することができる。
【0092】
すなわち、前記周波数偏移ステップは、前記第1モノ音源信号を成している周波数帯域のうち特定の周波数帯域を抽出し、抽出した特定の周波数帯域に対して所定の周波数だけ偏移させて第2モノ音源信号を生成することが好ましく、周波数偏移は、DSPを用いて具現することが最も好ましい。
【0093】
この際、上述のように、前記周波数偏移ステップは、前記制御ステップの制御に応じて、前記特定の周波数帯域または前記所定の周波数が可変することが好ましい。
【0094】
そのために、前記制御ステップは、前記統合制御部500で、ユーザの操作または予め設定されたモード情報に応じて、前記特定の周波数帯域または前記所定の周波数を可変設定することができる。
【0095】
詳細には、前記周波数偏移ステップは、前記制御ステップの制御によって、ユーザの操作または予め設定されたモード情報に応じて、前記特定の周波数帯域または前記所定の周波数を可変設定し、前記第2モノ音源信号を生成することが好ましい。すなわち、前記周波数偏移ステップは、前記制御ステップの制御によって、誘導しようとする脳波の周波数を考慮して、偏移しようとする周波数帯域と周波数量を設定し、第1モノ音源信号を成している周波数帯域のうち設定した周波数帯域を設定した周波数量だけ偏移させて前記第2モノ音源信号を生成することができる。
【0096】
さらに、前記制御ステップは、前記統合制御部500で、ユーザの操作またはユーザから受信したモード情報(所望の脳波状態情報)に応じて、バイノーラルビートを適用して誘導しようとする脳波を設定し、設定した前記脳波(誘導しようとする脳波)が誘導されるように、脳波誘導順序を設定することが好ましい。
【0097】
このために、前記制御ステップは、図5に図示されているように、ユーザの操作またはユーザから入力されるモード情報に応じて誘導しようとする脳波を設定し、設定した前記脳波が誘導されるように前記脳波誘導順序を設定するユーザ入力ステップを含んで構成されることができる。
【0098】
また、ユーザの現在状態を判断し、最も適する前記脳波誘導順序を設定するために、本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法は、脳波センサを用いて、ユーザの現在の脳波状態を感知する脳波感知ステップと、心拍センサを用いて、ユーザの現在心拍状態を感知する心拍感知ステップとをさらに含んで構成されることができる。
【0099】
これにより、前記制御ステップは、感知したユーザの現在の脳波状態の伝達を受け、順に脳波が誘導されるように脳波誘導順序を決定する脳波誘導順序決定ステップを含んで構成されることができる。
【0100】
かかるステップにより、前記制御ステップは、感知したユーザの現在の脳波状態の伝達を受け、ユーザの操作またはユーザから受信したモード情報に応じて設定した脳波に順に誘導するための脳波誘導順序を決定することが好ましい。
【0101】
詳細には、前記制御ステップは、感知したユーザの現在の脳波状態の伝達を受け、ユーザの現在の脳波状態からユーザの操作またはユーザから受信したモード情報に応じて設定した目標脳波への前記脳波誘導順序において、脳波の周波数が高い状態から低い状態に、または低い状態から高い状態に脳波が順に誘導されるように前記周波数偏移ステップを制御することが好ましい。
【0102】
前記制御ステップは、前記脳波感知ステップによって感知したユーザの現在の脳波状態の伝達を受け、ユーザの現在の脳波状態からユーザの操作またはユーザから受信したモード情報に応じて設定した目標脳波への前記脳波誘導順序において、脳波の周波数が高い状態から低い状態に、または低い状態から高い状態に脳波が順に誘導されるように前記周波数偏移ステップを制御することが好ましい。
【0103】
この際、前記脳波誘導順序は、前記脳波感知ステップによって感知したユーザの現在の脳波状態からユーザが希望する目標脳波への脳波誘導順序を意味し、脳波の周波数を順に上げるか(デルタ波-シータ波-アルファ波-ベータ波)、下げる順(ベータ波-アルファ波-シータ波-デルタ波)に誘導されるように前記周波数偏移ステップを制御することが好ましい。
【0104】
これにより、現在の脳波状態から目標脳波状態に自然に移行されることができる。
【0105】
一例を挙げると、図3に図示されているように、ユーザの現在の脳波状態がベータ波であり、ユーザが希望する目標脳波状態がデルタ波である場合、前記制御ステップでは、周波数偏移ですぐデルタ波状態を誘導するように前記周波数偏移ステップを制御するのではなく、ベータ波-アルファ波-シータ波を経てデルタ波状態が誘導されるように前記周波数偏移ステップを制御することができる。
【0106】
これとは逆に、ユーザの現在の脳波状態がシータ波であり、ユーザが希望する目標脳波状態がベータ波である場合、前記制御ステップでは、周波数偏移でシータ波-アルファ波を経てベータ波状態が誘導されるように前記周波数偏移ステップを制御することが好ましい。
【0107】
さらに、前記制御ステップは、図5に図示されているように、感知したユーザの現在の心臓拍動数の伝達を受け、前記第1ステレオ出力信号と第2ステレオ出力信号の再生速度を可変制御する速度可変ステップをさらに含むことが好ましい。すなわち、ユーザが安定し、現在の心臓拍動数が遅くなる場合、オーディオをゆっくり再生してユーザの脳波状態をデルタ波状態に誘導するのに役立つことが好ましい。
【0108】
このように、前記制御ステップにより前記周波数偏移ステップの前記特定の周波数帯域または前記所定の周波数を可変設定し、前記第2モノ音源信号を生成することが好ましい
【0109】
詳細に説明すると、ヒトの聴覚は、500~6000Hzで周波数変化の弁別限界が0.3%と知られている。すなわち、500~6000Hzの周波数範囲でヒトの聴覚能力は1.5~18Hzの周波数変化を弁別することができ、バイノーラルビートを用いて周波数を偏移させる場合、500~6000Hzの周波数範囲で0.3%以上の周波数を偏移させると、音質の変化を認識することになる。
【0110】
したがって、本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法は、周波数偏移によってもユーザが音源の音質変化を認識することができないように、偏移させる周波数帯域の下限を0.3%以内の値に設定することが好ましい。
【0111】
一例を挙げると、偏移させようとする周波数帯域と周波数量は、誘導しようとした脳波の周波数と関係している。アルファ波を誘導しようとする場合、アルファ波は、上述のように、8~14Hzの周波数範囲を有しているため、バイノーラルビートを用いて偏移させる周波数量は、8~14Hzの範囲内の周波数帯域で設定することが好ましく、偏移させる周波数帯域では、その下限値を8~14/0.3%、すなわち、2667~4667Hzの範囲内の値に設定することが好ましい。
【0112】
これにより、前記制御ステップは、ユーザの操作またはユーザから受信したモード情報(所望の脳波状態情報)によって設定した誘導しようとする脳波(目標脳波状態)に誘導するための音源信号を生成するために、前記第1モノ音源信号を成している周波数成分のうち偏移する周波数帯域および偏移する周波数量を前記の表1に記載の値を参照して設定することが好ましい。
【0113】
前記周波数偏移ステップは、前記制御ステップの制御設定によって前記第1モノ音源信号を周波数偏移させて前記第2モノ音源信号を生成する。
【0114】
さらに、本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法は、モノ音源を提供するのではなく、ステレオ音源を伝達して、音場感を改善し、うなり現象と音質の低下を抑制することができる。
【0115】
このために、前記出力オーディオ生成ステップにより、前記第1ステレオ音源信号と前記第2ステレオ音源信号に対して前記特定の周波数帯域を除去し、当該部分だけそれぞれ偏移する前の前記第1モノ音源信号と偏移した後の前記第2モノ音源信号で混合することが好ましい。
【0116】
詳細には、前記出力オーディオ生成ステップは、前記出力オーディオ生成部400から、前記第1ステレオ音源信号の前記特定の周波数帯域を除去し、前記第1モノ音源信号の前記特定の周波数帯域を加えて第1ステレオ出力信号を生成し、前記第2ステレオ音源信号の前記特定の周波数帯域を除去し、前記第2モノ音源信号の前記特定の周波数帯域を加えて第2ステレオ出力信号を生成することが好ましい。
【0117】
生成した前記第1ステレオ出力信号と前記第2ステレオ出力信号は、上述のように、受信したステレオ音源そのままで、且つ音源信号の特定の周波数帯域に対してのみモノ音源のバイノーラルビートを適用することで、所望の脳波状態に誘導することができるとともに、音源の歪みや音質の低下なく、拒否感や単調さなしにユーザが希望する脳波状態を誘導することができる。
【0118】
図2は本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法による偏移する前と後の周波数帯域スペクトルを示す図である。
【0119】
前記制御ステップによって、ユーザの操作またはユーザから受信したモード情報(所望の脳波状態情報)によって設定した誘導しようとする脳波がアルファ波である場合、ユーザの脳波をアルファ波に誘導するために偏移する周波数量を10Hzに設定し、偏移する周波数帯域を500~2000Hzに設定する場合、前記周波数偏移ステップにより第1モノ音源信号の500~2000Hzの周波数帯域は10Hzだけ偏移し、510~2010Hzに移動して第2モノ音源信号を生成する。
【0120】
ここで、偏移する周波数帯域を500~2000Hzに設定しているが、これは、本発明の一実施形態に過ぎず、前記の表1を参照すると、アルファ波を誘導するために、偏移する周波数量を10Hzに設定する場合、偏移する周波数帯域の下限は3333Hzに設定し、それ以上の帯域に対して周波数偏移を実行することができる。
【0121】
この際、前記出力オーディオ生成ステップによって第1または第2ステレオ音源信号から選択される一つは、設定した周波数帯域に第1モノ音源信号で混合し、第1または第2ステレオ音源信号のうち他の一つは、設定した周波数帯域に第2モノ音源信号で混合することで、ステレオ音源としてユーザに提供されるとともに所望の脳波への誘導がスムーズに行われることができる利点がある。
【0122】
さらに、前記出力オーディオ生成ステップによって生成した前記第1ステレオ出力信号と第2ステレオ出力信号は、前記音響出力手段800を通じて音響に変換し、出力することができる。
【0123】
詳細には、前記音響出力手段800の一側には、前記第1ステレオ出力信号に対応する音響が出力され、前記音響出力手段800の他側には、前記第2ステレオ出力信号に対応する音響が出力されることが好ましく、前記音響出力手段800は、連結されるヘッドホーンやイヤホンなどを駆動するためのオーディオ増幅器として具現されることができる。
【0124】
さらに、本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力方法は、各ステップの進行状態(進行状況)をユーザ手段に伝達するか、ユーザの入力情報の伝達を受けることができる。
【0125】
前記ユーザ手段により、ユーザの操作命令(所望の脳波状態の直接入力または脳波状態のモード入力)を受信するか、現在の脳波状態、脳波状態と操作命令による誘導しようとする目標脳波および現在進行されている脳波誘導順序に対するディスプレイが行われることが好ましい。
【0126】
すなわち、換言すれば、本発明の一実施形態による音場感を改善したバイノーラルビートの音響出力装置およびその方法は、受信したステレオ音源そのままで、且つ音源信号の特定の周波数帯域に対してのみモノ音源のバイノーラルビートを適用することで、所望の脳波状態で誘導することができるとともに、音源の歪みや音質の低下なく、拒否感や単調さなしにユーザが希望する脳波状態を誘導することができる。
【0127】
以上、本発明では、具体的な構成素子などの特定の事項と限定された実施例の図面によって説明しているが、これは、本発明のより全般的な理解に役立つために提供されただけであって、本発明は、前記の一実施形態に限定されるものではなく、本発明が属する分野において通常の知識を有する者であれば、かかる記載から様々な修正および変形が可能である。
【0128】
したがって、本発明の思想は、上述の実施例に限定して決定されてはならず、後述する特許請求の範囲だけでなく、本特許請求の範囲と均等または等価的変形があるすべてのものなどは、本発明の思想の範疇に属すると言える。
【符号の説明】
【0129】
100 音源入力部
200 モノ変換部
300 周波数制御部
400 出力オーディオ生成部
500 統合制御部
600 脳波センサ部
700 心拍センサ部
800 音響出力手段
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】