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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】低金属含量触媒の活性化
(51)【国際特許分類】
   B01J 37/18 20060101AFI20220309BHJP
   B01J 37/14 20060101ALI20220309BHJP
   B01J 37/20 20060101ALI20220309BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20220309BHJP
   B01J 29/068 20060101ALI20220309BHJP
   C07C 15/08 20060101ALI20220309BHJP
   C07C 6/12 20060101ALI20220309BHJP
   C07C 5/27 20060101ALI20220309BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220309BHJP
【FI】
B01J37/18
B01J37/14
B01J37/20
B01J37/08
B01J29/068 M
C07C15/08
C07C6/12
C07C5/27
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542128
(86)(22)【出願日】2020-01-14
(85)【翻訳文提出日】2021-07-20
(86)【国際出願番号】 US2020013515
(87)【国際公開番号】W WO2020154134
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】19165756.8
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】62/796,926
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(72)【発明者】
【氏名】シェカール マヤンク
(72)【発明者】
【氏名】ポドシアドロ ポール
(72)【発明者】
【氏名】モリニエ ミッシェル
(72)【発明者】
【氏名】ウィーゲル スコット ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】スパークス トラヴィス ディー
(72)【発明者】
【氏名】ギルクレスト ジョセリン エー
(72)【発明者】
【氏名】ガット ジョセフ イー
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA02
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169AA15
4G169AA20
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BB02A
4G169BC17A
4G169BC22A
4G169BC69A
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169BD01C
4G169BD02C
4G169BD04C
4G169CB42
4G169CB43
4G169CB62
4G169CB66
4G169CC12
4G169CC14
4G169DA06
4G169EA02Y
4G169FA08
4G169FB14
4G169FB30
4G169FB40
4G169FB44
4G169FB50
4G169FB78
4G169FC04
4G169FC08
4G169ZA01A
4G169ZD06
4G169ZF02B
4G169ZF05A
4G169ZF05B
4H006AA02
4H006AC23
4H006AC27
4H006AC29
4H006BA26
4H006BA55
4H006BA71
4H006DA15
4H039CA19
4H039CJ10
4H039CJ30
(57)【要約】
少量の水素化金属、例えば少量の第8~10族貴金属を含む触媒の活性化方法を提供する。触媒上の水素化金属の量は、0.5wt%以下、又は0.1wt%以下、又は0.05wt%以下(触媒の質量に対して)に相当する。反応器への触媒の装填前に、1.0vppm以下のCOを含有する水素含有雰囲気中で対応触媒前駆体を最初に活性化することができる。このようにして最初に活性化した触媒を反応器に移動させることができ、移動中に任意に酸素に暴露させてよく、反応器内で、3.0vppm以上のCOを含有する水素含有雰囲気を用いて触媒をさらに活性化して、高性能の2回活性化触媒を得ることができる。触媒は、有利には芳香族炭化水素の変換に有用なトランスアルキル化触媒又は異性化触媒であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の活性化方法であって、下記:
(I)触媒前駆体であって、前記触媒前駆体の総質量に基づいて0.5wt%以下の水素化金属及び分子ふるいを含む前記触媒前駆体を準備すること;
(II)第1の容器内で、第1の雰囲気であって、H2と、前記第1の雰囲気の総体積に基づいて1.0vppm以下のCOとを含む前記第1の雰囲気の存在下で前記触媒前駆体を還元して、還元触媒を得ること;及び
(III)前記還元触媒を第2の容器に移動させること
を含む、前記方法。
【請求項2】
さらに下記:
(IV)第2の雰囲気であって、前記第2の雰囲気の総体積に基づいて1.0vol%以上のO2を含む前記第2の雰囲気に、0.1時間以上の暴露時間にわたって前記還元触媒の少なくとも一部を暴露して、暴露された還元触媒を得ること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(IV)が、少なくとも部分的に工程(III)中に行なわれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
さらに下記:
(V)第2の容器内で、第3の雰囲気であって、H2と、前記第3の雰囲気の総体積に基づいて3.0vppm以上のCOとを含む前記第3の雰囲気の存在下で、前記還元触媒又は暴露された還元触媒を処理して、2回還元触媒を形成すること
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第3の雰囲気が、前記第3の雰囲気の総体積に基づいて5.0vppm以上のCOを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第3の雰囲気が、前記第3の雰囲気の総体積に基づいて10vol%以上のCOを含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の雰囲気が空気を含む、請求項4~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の雰囲気が、前記第1の雰囲気の総体積に基づいて少なくとも99vol%のH2を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第3の雰囲気が、前記第3の雰囲気の総体積に基づいて少なくとも99vol%のH2を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記触媒前駆体が、前記触媒前駆体の総質量に基づいて0.1wt%以下の水素化金属を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記触媒前駆体が、前記触媒前駆体の総質量に基づいて0.05wt%以下の水素化金属を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
さらに下記:
(VI)工程(V)の間又は後に前記2回還元触媒を硫化すること
を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記触媒がトランスアルキル化触媒を含むか又は前記触媒がキシレン異性化触媒を含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記水素化金属が、少なくとも1種の第8~10族貴金属を含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記水素化金属がPtを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記触媒前駆体が、第1の金属と異なる第2の金属をさらに含み、前記第2の金属が、Sn、Ga、若しくはPtと合金になる金属、又はこれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記水素化金属が、少なくとも部分的に前記分子ふるいに担持されている、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記触媒前駆体が、さらにバインダーを含む、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記分子ふるいがゼオライトである、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記触媒前駆体が、1種以上の中孔ゼオライトを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
工程(I)が下記:
(Ia)前記分子ふるいの少なくとも一部、前記触媒前駆体の少なくとも一部、又はその組み合わせを準備すること;
(Ib)前記分子ふるいの少なくとも一部、前記触媒前駆体の少なくとも一部、又はその組み合わせを、前記水素化金属の化合物の液体分散系と混ぜ合わせて、分子ふるい-金属混合物、前駆体-金属混合物、又はその組み合わせを形成すること;
(Ic)前記分子ふるい-金属混合物、前記前駆体-金属混合物、又はその組み合わせを乾燥させること;及び
(Id)乾燥分子ふるい-金属混合物、乾燥前駆体-金属混合物、又はその組み合わせを酸素含有雰囲気中でか焼すること
を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の容器が、その中で前記還元触媒、暴露された還元触媒、又は2回還元触媒を使用する反応器である、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の容器がトランスアルキル化反応器である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第2の容器がキシレン異性化反応器である、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2019年1月25日に出願された米国仮出願第62/796,926号、及び2019年3月28日に出願されたEPサーチレポート出願第19165756.8号に対する優先権を主張し、それらの開示内容全体を援用する。
【0002】
分野
低金属含量触媒、例えば低含量の貴金属を含む触媒の最初の還元を含む活性化方法を提供する。本開示は、例えば、芳香族炭化水素のトランスアルキル化及び/又は異性化反応に用いる低金属含量触媒を活性化する際に有用である。
【背景技術】
【0003】
背景
貴金属含有触媒は、製油所及び化学品生産環境において種々の目的で一般的に使用される。貴金属含有触媒の応用としては、水素処理及び芳香族化合物及び/又はオレフィンの飽和が望ましい種々のプロセスを挙げることができる。
トランスアルキル化は、貴金属含有触媒が有益であるプロセスの例である。トランスアルキル化中、適切なゼオライト骨格構造及び担持貴金属を含む触媒にC9+芳香族化合物とトルエン又はベンゼンの混合物を含む供給原料をさらすことができる。トランスアルキル化プロセス中の目標は、C9+芳香族化合物からメチル基をトルエン又はベンゼンに移動させ、一方で脱アルキル反応によって生成されるオレフィン及び/又は非芳香族化合物のクラッキング反応によって生成されるオレフィンを飽和することである。トランスアルキル化中に、芳香環の飽和を減らすか又は最小限にすることが有益なこともある。
【0004】
トランスアルキル化及び異性化触媒のような多くの触媒は、活性成分として分子ふるい及び水素化金属、例えば貴金属を含有する。該触媒の製造は、通常、分子ふるいと、高酸化状態の水素化金属との混合物を含む触媒前駆体を作る工程を含む。貴金属含有触媒前駆体の製造後、該触媒前駆体が意図した生成物の生成において意図した触媒機能を果たすためには、典型的にそれを反応器に装填してから活性化した後に通常の作動状態にする必要がある。典型的活性化手順は、水素含有雰囲気を用いて、触媒前駆体中に存在する金属酸化物をより低い酸化状態(例えば、ゼロ原子価を有する元素状態)に変換するための還元工程を含むことができる。適切な活性化が起きなければ、触媒は、所望レベルより低い活性又は寿命を示す可能性がある。
米国特許9,868,117は、金属含浸触媒、例えば貴金属を含浸させた触媒を改善するための方法について記載している。触媒を反応器に装填した後、水素含有雰囲気の存在下で反応器からCOを一掃することができる。これは、金属含浸触媒の活性化を可能にすると同時に金属の凝集を減らすか又は最小限にすることができる。
分子ふるい及び水素化金属を含む触媒前駆体のための改善された活性化方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
概要
分子ふるい及び水素化金属を含む触媒前駆体の活性化工程に用いる還元水素雰囲気の品質が、限定するものではないが、その触媒活性及び耐用寿命を含めた活性化触媒の性能に大きな影響を与える可能性があることが分かった。特に、10vppm以上のような高濃度で水素雰囲気中に一酸化炭素(CO)等の特定ガスが存在すると、特に触媒前駆体が、触媒前駆体の総質量に基づいて、例えば、≦0.5wt%、又は≦0.1wt%、又は≦0.05wt%の低濃度の水素化金属を含む場合、活性化触媒の活性及び/又は寿命に劇的に影響を及ぼす可能性がある。超低濃度、例えば、≦1vppmでCOを含む第1の水素含有雰囲気の存在下で最初に、現場外(ex-situ)又は現場(in-situ)のどちらかで反応器中で該触媒前駆体を還元することによって、該還元触媒を現場で反応器中で、高濃度、例えば、≧10vppmでCOを有する第2の水素含有雰囲気を用いることによってさらに活性化して、第2の水素含有雰囲気中の高CO濃度にもかかわらず、高性能の2回活性化触媒を得ることができることが分かった。
【0006】
本開示の種々の態様において、少量の水素化金属、例えば少量の第8~10族貴金属を含有する触媒の活性化方法を提供する。低金属触媒の反応器への装填前に、1.0vppm以下のCOを含有する水素含有雰囲気中で対応触媒前駆体を活性化することができる。これは、最初の還元前のCO暴露に伴う悪影響、例えば金属凝集及び/又は他の触媒失活を減らすか又は最小限にすることができる。最初の還元後、触媒は、より高いレベルのCOへの暴露後に活性を維持することができる。さらに又は代わりに、触媒は、酸素含有環境への暴露及び引き続く追加還元工程後に活性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】トランスアルキル化プロセス中に起こり得る典型的化学反応を概略的に示す。
図2】第1の典型的トランスアルキル化プロセスと関連する温度を示す。
図3図2のトランスアルキル化プロセスのC7、C9、及びC10転化率を示す。
図4図2に示すトランスアルキル化プロセスのエチルベンゼン転化率を示す。
図5図2のトランスアルキル化プロセスのキシレン収率を示す。
図6図2に示すトランスアルキル化プロセスの脱エチル転化率を示す。
図7】第2の典型的トランスアルキル化プロセスと関連する温度を示す。
図8図7のトランスアルキル化プロセスのC7、C9、及びC10転化率を示す。
図9図7に示すトランスアルキル化プロセスのエチルベンゼン濃度を示す。
図10図7に示すトランスアルキル化プロセスの脱エチル転化率を示す。
図11】第3の典型的トランスアルキル化プロセスと関連する温度を示す。
図12図11のトランスアルキル化プロセスのC7、C9、及びC10転化率を示す。
図13図11に示すトランスアルキル化プロセスのエチルベンゼン濃度を示す。
図14図11に示すトランスアルキル化プロセスの脱エチル転化率を示す。
図15】第4の典型的トランスアルキル化プロセスと関連する温度を示す。
図16図15のトランスアルキル化プロセスのC7、C9、及びC10転化率を示す。
図17図15に示すトランスアルキル化プロセスのエチルベンゼン濃度を示す。
図18図15に示すトランスアルキル化プロセスの脱エチル転化率を示す。
図19】異なる方法を用いて活性化された3つの異なる異性化触媒を利用する3つのキシレン異性化プロセスの平均温度を示す。
図20図19に示すキシレン異性化プロセスのキシレン損失を示す。
図21図19に示すキシレン異性化プロセスの環損失を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
概要
本開示では、少なくとも1つの「工程」を含むとして方法について述べる。各工程は、プロセスにおいて1回又は連続若しくは不連続様式で複数回行なわれる可能性のある作用又は作動であると理解すべきである。反対の記載がない限り又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、プロセス中の複数工程は、1つ以上の他の工程との重複の有無にかかわらず、列挙されているとおりの順序で連続的に行なってよく、或いは場合によってはいずれの他の順序で行なってもよい。さらに、1つ以上の工程又は全ての工程でさえあらゆる工程は、材料の同一又は異なるバッチに関して同時に行なってよい。例えば、連続プロセスでは、プロセスの第1の工程が、プロセスの開始に向けて供給されたばかりの原材料に対して行なわれている間に、第2の工程が、第1の工程の初期にプロセスに供給された原材料の処理の結果として生じる中間物質に対して同時に行なってよい。好ましくは、記載順で工程を行なう。
【0009】
別段の指示がない限り、本開示において量を示す全ての数は、全ての場合に用語「約」によって修飾されているものと理解すべきである。また、本明細書及び特許請求の範囲で用いる数値は、特定実施形態を構成するものと理解すべきである。実施例のデータの正確さを確保するよう努力した。しかしながら、測定を行なうために用いる技術及び機器の限界のため、いずれの測定データも本質的に、ある一定レベルの誤差を含有することを理解すべきである。
本願で使用する場合、不定冠詞「a」又は「an」は、反対の記載がない限り又は文脈上明白に他の意味に解すべき場合を除き、「少なくとも1」を意味するものとする。従って、「a metal」を用いる実施形態には、反対の記載がない限り又は文脈が1種の金属のみを使用すると明示していない限り、1、2又は3種以上の金属を使用する実施形態が含まれる。
本願で使用する場合、「vppm」は、体積で100万分の1を意味し、「v%」は体積パーセントを意味し、「wppm」は、質量で100万分の1を意味し、「wt%」は質量パーセントを意味する。
本開示では、「触媒前駆体」は、所望レベルの意図した触媒機能を果たすためにそれを意図した作動状態にする前に活性化工程を施すことができる触媒組成物を指す。
【0010】
本願で使用する場合、「分子ふるい」は、規則的構造及び/又は形状の細孔を有する天然又は人工材料を指し、「ゼオライト」は、酸素原子を架橋することによって連結された四面体型原子で構成された多孔性骨格構造を有するタイプの分子ふるいである。既知ゼオライト骨格の例は、“Structure Commission of the International Zeolite Association”を代表して出版された“Atlas of Zeolite Frameworks”、改訂第6版、Ch. Baerlocher, L.B. McCusker, D.H. Olson, eds., Elsevier, New York (2007)及び対応ウェブサイトhttp://www.iza-structure.org/databases/に与えられている。この定義によれば、ゼオライトは、ゼオライト骨格型のみならず、ケイ素及びアルミニウムと異なるヘテロ原子の酸化物を含有する結晶構造を有するアルミノケイ酸塩をも意味し得る。該ヘテロ原子としては、ゼオライト骨格に含めるのに適切であることが一般的に知られている任意のヘテロ原子、例えばガリウム、ホウ素、ゲルマニウム、リン、亜鉛、アンチモン、スズ、並びに/又はゼオライト骨格中のケイ素及び/若しくはアルミニウムの代わりになり得る他の遷移金属を挙げることができる。
【0011】
本開示の目的では、ここで用いる元素及びその族の命名法は、1988年後のInternational Union of Pure and Applied Chemistryが用いた周期表に従う。周期表の例は、F. Albert Cotton et al. (John Wiley & Sons, Inc., 1999)によるAdvanced Inorganic Chemistry、第6版の表紙の内側ページに示されている。
種々の態様において、少量の水素化金属、例えば少量の第8~10族貴金属を含有する触媒前駆体の活性化のためのシステム及び方法を提供する。触媒前駆体(限定するものではないが、任意の担体、例えば、限定するものではないが、分子ふるい及び/又はバインダー等を含めて)に含まれる金属の量は、0.5wt%以下(触媒の総質量に対して)、又は0.1wt%以下、又は0.05wt%以下に相当し得る。本開示では、触媒前駆体又は触媒中の金属の濃度は、金属の酸化状態及び金属がその中に存在する特定化学品とは無関係に、触媒又は触媒前駆体の総質量に対する金属の質量百分率として計算される。従って、分子ふるい及びPtO2から成る触媒前駆体において、金属Ptの濃度は、触媒前駆体の総質量に対する元素Ptの質量百分率として計算される。
【0012】
分子ふるい及び金属、例えば貴金属を含む触媒前駆体は、限定するものではないが、初期湿潤含浸(incipient wetness impregnation)、スラリー含浸、物理的ブレンディング等を含めたいずれの伝統的方法によっても作製可能である。好ましい方法では、金属の化合物(例えば、塩)の液体分散系、例えば溶液、好ましくは水性分散系、例えば水溶液を用いて固体分子ふるいに含浸させて混合物を得、引き続き乾燥させ及び/又はか焼して、分子ふるい及び金属を含む触媒前駆体を得る。金属を分子ふるい粒子の外面に担持させ、或いは分子ふるい中の細孔及び/又はチャネルに入れてその内面に付着させることができる。金属は、触媒前駆体において無機若しくは有機塩、錯体、酸化物の形態、又は任意の酸化状態の他の形態で存在することができる。金属が所望の触媒機能、例えば所望レベルでの水素化を達成するためには、金属が凝集形態ではなく散在様式で触媒の外面及び/又は内面に分布することが非常に望ましい。金属の装填が少ない触媒にとっては、金属成分の高活性のために触媒中の金属の散在分布がさらにいっそう重要である。
【0013】
反応器に触媒を装填する前に、1.0vppm以下のCO、又は0.3vppm以下のCOを含有する水素含有雰囲気、例えば、検出限界まで下がった実質的にCOを含まない水素含有雰囲気中で対応触媒前駆体を活性化することができる。活性化は、触媒前駆体上の金属の少なくとも一部を還元するのに適した条件下で触媒前駆体を水素含有雰囲気に暴露することに相当し得る。活性化後、触媒を次に反応器へ移動させ及び/又は反応器に装填することができる。その後のCOへの暴露は一時的に触媒活性を減じることはあるが、COを除去すると、触媒活性はベースラインまで回復することができる。低装填金属含量触媒の例としては、キシレン異性化触媒及びトランスアルキル化触媒を挙げることができる。
【0014】
低金属含量触媒の使用に伴う困難さの1つは、該触媒は、対応触媒前駆体がCOの存在下で還元される場合に失活に対して非常に大きい脆弱性を有することである。如何なる特定の理論によっても拘束されるものではないが、COが金属粒子の凝集を引き起こす恐れがあると考えられる。さらに、COは他の機構によってさらに失活を引き起こす可能性があると考えられる。1.0wt%以上の金属含量を有する従来の触媒については、COへの該暴露は反応性に最小限の影響を与えるだけである。しかしながら、活性損失は、0.5wt%以下、又は0.1wt%以下、又は0.05wt%以下の金属含量を有する触媒のような低金属含量触媒に対してはより顕著である。
低金属含量触媒前駆体がCOの存在下で還元される場合の実質的な活性損失の可能性のため、米国特許9,868,117に記載の手順のような該活性損失を回避するための種々の開始手順が開発されている。このような手順は有効であるが、該手順は、実質的にCOのない水素含有環境で低金属含量触媒を還元することを必要とする。残念ながら、製油所で利用可能な水素源は一般的に約10vppm以上のCO含量を有する。従って、米国特許9,868,117に記載の手順のような手順を実施することは、容易には入手できない独特の高純度水素源を取り入れることを必要とする可能性がある。
【0015】
高純度水素を製油所又は化学プラント環境に持ち込む必要性は、その代わりに触媒の輸送前及び/又は触媒を反応器に装填する前に低金属含量触媒前駆体を還元することによって回避できることが分かった。これは、いずれの簡便な反応容器でも、例えば簡便な高純度水素源を利用できる反応容器で最初の還元を行なえるようにし得る。最初の還元後、低金属含量触媒は、その後の酸素暴露に続く次の還元後に、たとえCOがその後の工程中に存在することがあっても、活性を維持できることが分かった。
触媒活性化(すなわち、触媒に対応する触媒前駆体の活性化)は、反応器への触媒の装填後かつ炭化水素又は炭化水素質流への触媒の暴露前に行われる種々の手順を指すことがある。触媒活性化は、一般的に次の活性化期に適した温度まで触媒温度を高めるための加熱及び/又は乾燥期を含むことがあり、これは触媒の還元に相当し得る。任意に、還元工程後に触媒を硫化することができる。
本開示では、用語「触媒」を用いて、硫化貴金属含有触媒のみならず、硫化前/硫化以外の組成状態の還元貴金属含有触媒をも指す。還元されて触媒を形成する前は、ゼオライト担体に担持された水素化金属を触媒前駆体と呼ぶことができる。
【0016】
活性化条件及びその後の反応器装填
種々の態様において、1.0vppm以下のCO、又は0.1vppm以下のCOを含む環境、例えば実質的にCOのない環境の存在下での加熱及び還元によって低金属含量触媒を活性化することができる。還元は、水素含有環境の存在下で行うことができるが、加熱は、任意に水素含有環境又は不活性ガス環境のいずれの存在下で行なうこともできる。
第1の水素含有雰囲気は、1.0vol%以上、又は3.0vol%以上、又は5.0vol%以上、又は10vol%以上のH2を含む雰囲気、例えば約100vol%の水素を含む雰囲気まで相当し得る。水素含有環境の残余又は不活性ガス環境は、不活性ガス、例えばN2又は希ガス(すなわち、Ar、He、Ne)に相当し得る。任意に、CO濃度が1.0vppm以下、又は0.3vppm以下である限り、CO2が存在することができる。好ましくは、この雰囲気は実質的にH2Oがなく、例えば1000vppm以下、又は100vppm以下、又は10vppm以下のH2Oを含有する。好ましくは、該雰囲気は、実質的にO2がなく、例えば1vppm以下のO2を含有する。
【0017】
この雰囲気は静的であってよく、或いは加熱及び/又は還元の少なくとも一部の間に、雰囲気組成に相当する流れを、低金属含量触媒を含有する容器に導入することができる。加熱及び/又は還元中の圧力は、任意の都合よい圧力、例えば0.1MPa-a~5.0MPa-a、又は0.1MPa-a~3.6MPa-aの圧力であり得る。加熱工程を用いて、触媒を還元するための目標温度まで触媒の温度を上昇させることができる。この温度は、典型的に還元すべき金属(複数可)に基づいて選択されるが、150℃~500℃、又は150℃~420℃、又は200℃~400℃、又は200℃~360℃の温度に相当し得る。還元中、水素含有雰囲気の存在下にある時間、例えば0.5時間~10時間の保持時間にわたって所望温度で触媒を保持することができる。還元後、水素含有雰囲気又は不活性雰囲気の存在下で触媒を少なくとも部分的に冷却することができる。
【0018】
触媒上の金属の還元後、この還元触媒を任意に一時期第3の酸素含有雰囲気に暴露することができる。第3の雰囲気の例は空気である。少なくとも部分的に空気で構成された雰囲気は1.0vol%~20vol%のO2濃度を有し得る。還元触媒を第3の雰囲気に一時期暴露することができる。暴露期間はわずか1分又は数分から数週間、数カ月、又は数年の暴露期間までに相当し得る。第3の雰囲気に対する暴露期間の例は0.5時間~1000時間、又は0.5時間~250時間である。さらに一般的には、暴露時間は0.5時間から数年又は場合によりそれ以上までの任意の都合よい時間であり得る。還元触媒が第3の酸素含有雰囲気にさらされる可能性のある1つの理由は、還元が行われる容器から、製油所又は化学プラントプロセスを行なうために触媒が装填される反応器への輸送に起因する。
輸送及び/又は第3の雰囲気への他の暴露後、還元触媒を反応器に装填することができる。反応器に装填された触媒を次に別の還元工程にさらすことができる。この還元工程は、第2の還元工程用の第2の雰囲気が任意に5.0vppm以上のCOを含むことができることを除いて上記還元工程と同様であり得る。例えば、第2の雰囲気は5.0vppm~25vppm、又は5.0vppm~20vppmのCOを含むことができる。
【0019】
低金属含量触媒
この考察において、金属含有触媒は、担持材料に担持された1種以上の水素化金属を含む触媒を指す。任意であるが好ましくは、1種以上の水素化金属の少なくとも1種が、第8~10族貴金属に相当し得る。水素化金属としての使用に適した第8~10族貴金属の例として、Pt、Pd、Ru、Ir、Os、Rh、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。さらに一般的には、1種以上の水素化金属として、Pt、Pd、Ru、Rh、Ir、Os、Ni、Re、Co、Fe、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。任意に、触媒が第8~10族以外の1種以上の追加金属、例えば、キシレン異性化触媒又はトランスアルキル化触媒に一般的に含まれる任意の金属を含むことができる。該追加金属の例として、Sn、Ag、Ga、Cu、Mo、及び/又はPtと合金を形成できる他の金属を挙げることができる。いくつかの好ましい態様では、水素化金属はPtであり得る。触媒に担持される水素化金属の量は、0.001wt%~0.5wt%、又は0.001wt%~0.1wt%、又は0.001wt%~0.05wt%であり得る。
【0020】
別個のバインダー若しくはマトリックス材料なしで触媒を調製することができ及び/又は場合によっては使用前に触媒を別個のバインダー若しくはマトリックス材料と結合させることができる。バインダーは、所望の使用温度に耐えることができ、耐損耗性である。バインダーは、触媒的に活性であるか又は不活性であってよく、他のゼオライト、他の無機材料、例えば粘土及び金属酸化物、例えばアルミナ、シリカ、シリカ-アルミナ、ジルコニア、イットリア、チタニア、及びこれらの組み合わせを含んでよい。粘土は、カオリン、ベントナイト及びモンモリロナイトであってよく、商業的に入手可能である。それらを他の材料、例えばケイ酸塩とブレンドしてよい。シリカ-アルミナに加えて他の二成分多孔性マトリックス材料としては、シリカ-マグネシア、シリカ-トリア、シリカ-ジルコニア、シリカ-ベリリア及びシリカ-チタニア等の材料がある。シリカ-アルミナ-マグネシア、シリカ-アルミナ-トリア及びシリカ-アルミナ-ジルコニア等の三成分材料もバインダーとしての使用に適切であり得る。ゼオライトは、いずれの好都よい方法でバインダーと混ぜ合わせてもよい。例えば、結合触媒は、ゼオライトとバインダーの両方の粉末で出発し、これらの粉末を合わせて添加水と混練して混合物を形成してから、混合物を押し出して所望サイズの結合触媒を作り出すことによって作製可能である。押し出し助剤を用いてゼオライト及びバインダー混合物の押し出し流れ特性を変えることもできる。
【0021】
バインダーを含む担体中のゼオライトの量は、バインダーとゼオライトの混合質量に対して約5wt%のゼオライトから約100wt%のゼオライトであってよい。例えば、ゼオライトの量は、約30wt%~約100wt%、又は約30wt%~約90wt%、又は約30wt%~約80wt%、又は約30wt%~約70wt%、又は約50wt%~約100wt%、又は約50wt%~約90wt%、又は約50wt%~約80wt%、又は約50wt%~約70wt%、又は約60wt%~約90wt%、又は約60wt%~約80wt%、又は約60wt%~約70wt%であり得る。
ゼオライトをいずれもの任意のバインダーと混ぜ合わせた後、ゼオライトを押し出して担体粒子を形成することができる。これとは別に、いずれの他の便利な方法で担体粒子を形成してもよい。担体粒子の形成後、分散剤をも含む含浸溶液を用いて担体粒子にベース金属塩を含浸させることができる。さらに又はこれとは別に、担持触媒を形成するためのいずれの他の便利な方法によっても担体上金属を担体上に導入することができる。触媒前駆体への金属の他のタイプの添加方法の例としては、限定するものではないが、押し出し混合物への溶液添加、イオン交換、気相堆積、又は任意の他の便利な方法を挙げることができる。
【0022】
含浸、例えば溶液中での初期湿潤又はイオン交換による含浸は、担体を含む触媒に金属を導入するためによく用いられる一般的な方法である。含浸中、担体は、含浸用金属の塩を含有する溶液に暴露される。含浸中の金属塩の分散に影響を与え得る多くの変量があり、塩の濃度、塩溶液のpH、担体材料のゼロ電荷点等が挙げられるが、初期湿潤又はイオン交換含浸中に同様に重要であり得る他の変量を排除するものではない。場合によっては触媒上の所望の金属装填を達成するために複数の暴露工程を行なうことができる。担体に金属塩を含浸させた後、担体を任意に乾燥させて過剰の水を除去することができる。乾燥は、80℃~約200℃で、空気等のいずれの都合よい雰囲気下でも行なうことができる。
(場合により結合)ゼオライト担体に担持された1種以上の貴金属を含む貴金属含有触媒の例は、キシレン異性化触媒及びトランスアルキル化触媒であり得る。キシレン異性化又はトランスアルキル化触媒に適したタイプのゼオライトは、中孔ゼオライト骨格構造を含むことができる。適切なタイプの中孔ゼオライト骨格構造体の例として、MFI(例えば、ZSM-5)、MEL(例えば、ZSM-11)、MTW、MWW(例えば、MCM-22、MCM-49、及びMCM-56)、及びMOR(例えば、EMM-34)を挙げることができる。
【実施例
【0023】
トランスアルキル化例-開始及び暴露条件
トランスアルキル化は、C9+芳香族化合物及びC6-7芳香族化合物(すなわち、ベンゼン及び/又はトルエン)のキシレン(C8芳香族化合物)への変換プロセスである。これは、2種のより価値が低い供給原料の、より価値が高いキシレンを高率で含む生成物への変換を可能にし得る。
図1は、トランスアルキル化中の望ましい反応及び好ましくは低減又は最小限にできる望ましくない副反応の概要を示す。図1に示す例では、トルエン102及び重質芳香族リフォーメート104に相当するC9+芳香族化合物の混合物は、トランスアルキル化のための投入供給原料に相当する。重質芳香族リフォーメート104中に存在する成分の例として1,3,5-トリメチルベンゼン及び1-エチル-4-メチルベンゼンを示しているが、種々のC9+化合物が存在し得ることを理解すべきである。トランスアルキル化プロセス中の望ましい反応は、トランスアルキル化110、脱アルキル120、及びアルケン飽和130に相当する。好ましくは、環損失140は、少量又は最小限の量で起こる。
【0024】
種々の開始及び暴露条件のトランスアルキル化触媒への影響を調べるため、アルミナ結合ゼオライトに担持された0.03wt%のPtを含むトランスアルキル化触媒用の触媒前駆体のサンプルを4つの異なるタイプの還元条件に暴露した。第1セットの条件は、高純度水素を用いる現場還元に相当した。第2セットの条件は、10vppmのCOを含む水素流による現場還元に相当した。第3セットの条件は、現場外還元後に酸素含有雰囲気(例えば、空気)への短時間暴露となるように選択した。第4セットの条件は、現場外還元後に空気への長時間暴露となるように選択した。第3及び第4セットの条件では、酸素含有雰囲気への暴露後に10vppmのCOを含む雰囲気中での追加還元工程を行なった。「現場(In-situ)」は、触媒の通常の意図した用途を最終的に遂行するために触媒が装填される反応器の内部を意味する。「現場外(Ex-situ)」は、触媒の通常の意図した用途を最終的に遂行するために触媒が装填される反応器内以外の環境を意味する。
【0025】
これら4つの手順を用いて還元した触媒を次にトランスアルキル化(TA)用の典型的供給原料を用いてトランスアルキル化サービスにおける触媒性能について評価した。トランスアルキル化供給原料は、末端の(tailed)重質芳香族リフォーメート(主に種々のC9+芳香族化合物を含む混合物)とトルエンの混合物に相当した。ほとんどの試験は、50wt%の末端の重質芳香族リフォーメート及び50wt%のトルエンを用いて行なった。
下記条件下で触媒性能を評価した:3時間-1の重量時空間速度(weight hourly space velocity)(WHSV);360psig(約2.4MPaゲージ圧)の反応圧力;供給原料中のH2:炭化水素のモル比が約2.0;及び660°F(約350℃)の入口温度。性能評価のため、30グラムの不活性希釈剤粒子と混合した30グラムのトランスアルキル化触媒を反応器に装填した(押出物全体として装填)。トランスアルキル化触媒サンプルは、上記手順に従って、3時間又は7日間流動空気に暴露したサンプルに相当した。
【0026】
トランスアルキル化反応中の触媒性能を特徴づけるためにはいくつかの方法がある。1つの選択肢は、供給原料中のC7、C9、及びC10化合物の他の成分への変換の総量を明らかにすることである。2つ目の選択肢は、C7、C9、及びC10化合物の変換の結果として生じたキシレンの量を明らかにすることである。さらに別の選択肢は、生成物中のエチルベンゼンの濃度を明らかにすることである。さらに別の選択肢は、エチル化芳香環からのエチル側鎖の除去量を明らかにすることであり、これは脱エチルと呼ぶこともできる。C7、C9、及びC10化合物の変換については、望ましい目標は、50%以上の転化率を達成することであり得る。脱エチルに関しては、望ましいい目標は、90%以上の脱エチルを有することであり得る。生成物中のエチルベンゼン含量については、望ましい目標は、0.4wt%以下のエチルベンゼンを有することであり得る。
添付図面2~21に試験データを提示し、これらについて後述する。これらの図面中、「ToS」はタイムオンストリーム(time on stream)を意味し、「EB」はエチルベンゼンを意味し、「INLET」は入口温度を意味し、「AVG」は平均温度を意味し、「CONV.」は転化率を意味し、「DE-C2」は脱エチルを意味し、「ART」は平均反応器温度を意味し、「10 PPM CO」は、所与の時間内に、反応器への供給原料が10vppmのCOを含むことを意味する。
【0027】
トランスアルキル化例1-ベースライン
第1セットの条件は、反応器内における触媒の現場還元に相当するように設計した。反応器への触媒前駆体の装填後、反応器を2.4MPa-gまでH2で加圧した。次にH2を約20℃で3時間反応器の中を流した。水素処理ガスは電解水素に相当したので、最初の還元中の処理ガスには実質的にCOが含まれなかった。次に40℃/時間の加熱傾斜率を用いて反応器温度を約350℃まで上昇させた。温度を約350℃に2時間維持した。その後、触媒をH2中400wppmのH2Sに1時間暴露することによって硫化させた。次に硫化ガス流量を1時間維持しながら、炭化水素供給原料を反応器に導入した。次にガス源を100%のH2に切り替えた。この開始手順は、特殊な水素源を用いる低金属含量触媒の現場開始となるよう企図した。
【0028】
図2~6は、電解水素を用いる第1の手順(すなわち、水素流中に実質的にCOがない)に従って還元された触媒を用いてトランスアルキル化プロセスを行なうことの反応条件及び結果に関する詳細を示す。図2~6の結果は、還元プロセス後に低金属含量触媒が酸素に暴露されないであろう現場還元を行なうことに対するベースライン結果に相当する。図2は反応器の入口における温度プロファイル並びに供給原料中のトルエン、C9、及びC10化合物の変換の安定レベル(図3に示す)を維持するのに必要だった平均反応器温度を示す。転化率の目標量は52%だった。図に示すように、図3の安定転化率を維持するために必要とされた図2の温度プロファイルは比較的フラットだった。しかしながら、7日目には、反応環境への10vppmのCOの導入のため、温度の一時的な上昇が必要だった。COは一時的にトランスアルキル化触媒の活性を抑制したが、COを反応環境から除去した8日目には活性が回復した。
【0029】
反応生成物中のエチルベンゼン濃度を図4に示す。初期時間後、エチルベンゼン濃度も安定した温度では比較的安定する。この場合もやはり、7日目に水素処理ガスにCOを導入中は、生成物中のエチルベンゼンの量が増加したが、8日目にCOを除去すると、より低いレベルに戻った。
図5は、トランスアルキル化によるキシレン収率を示す。初期時間後、一定温度ではキシレン収率も比較的一定である。7日目のCOの導入は、キシレンの収率を下げた可能性があるが、8日目に純粋水素に戻すと収率のいずれの該損失をも取り除いた。
図6は、生成物中の脱エチルの量を示す。図6に示すように、芳香環からエチル基を除くと、COを水素に添加した7日目を除き、安定した温度で安定していた。他の図と同様に、8日目に脱エチルの完全活性が戻った。脱エチルは、水素処理ガス中のCOの存在の有無にかかわらず90%を超えたことに留意すべきである。
【0030】
トランスアルキル化例2-10vppmのCOを含む最初の還元(比較例)
第2セットの還元条件は第1セットと類似するが、水素処理ガスは、開始手順中の全ての時点で10vppmのCOを含んだ。製油所又は化学プラントサイトで利用できると予想される水素流、例えばリフォメート水素流を使用することをシミュレートするためにこの条件を選択した。硫化後、ベースラインの開始手順の活性との比較を可能にするため、水素処理ガスを100%の水素に切り替えた。
図7~10は、10vppmのCOを含む水素処理ガスを用いて最初の還元を行なう本例2に従って還元された触媒についての試験データを提供する。図7は、トルエン、C9芳香族化合物、及びC10芳香族化合物のほぼ一定の転化率(図8に示す)を維持するために必要だった温度プロファイルを示す。反応温度プロファイルを示す他の図と同様に、図7中、中実データ点は入口温度を表し、中空円は平均温度を表す。この場合もやはり、転化率の目標量は約52%だった。図7に示すように、図8の約52%の転化率の維持は、5日にわたって約60°F(約33℃)の平均ベッド温度上昇を必要とした。これは、図3に示す約52%の転化率という目標を維持するために10日にわたって温度上昇を必要としなかった図2とは対照的である。
【0031】
脱エチルに関して、図9は、COの存在下で還元された触媒についてエチル基の除去が著しく少なかったことを示す。5日の試験期間中に約40℃温度が上昇したが、それにもかかわらず達成された最高の脱エチルは90%未満だった。さらに、温度傾斜前の初期期間中に、脱エチルの転化率は、約85%から60%未満まで劇的に低下した。
図10は、生成物中のエチルベンゼン濃度を示す。図9における脱エチルの相対的に低いレベルに基づいて、生成物中のエチルベンゼン量の増加が観察されたことは当然のことである。
図7~10によって実証される全体的結果は、感知できるほどの濃度で雰囲気中にCOが存在しながら低金属含量触媒の最初の還元を行なうと、たとえその後のトランスアルキル化中の雰囲気がCOを含有しないとしても、経時的に失活する触媒をもたらすということである。対照的に、図2~6に示すように、実質的にCOがない水素含有処理ガスを用いて最初の還元を行なえば、低金属含量触媒は、酸素への暴露、2回目の還元工程、及びトランスアルキル化工程中にCOを含む水素含有ガスの使用後に活性を維持する。
【0032】
トランスアルキル化例3-還元後の短時間酸素暴露
第3セットの還元条件を用いてパイロットユニットで触媒を還元した。第3セットの還元条件は、周囲圧力(約0.1MPa-a)及び100%のH2(例えば電解水素)に相当する水素含有ガス流を含んだ。温度が350℃に達するまで触媒サンプルを60°F/時間(約33℃/時間)の傾斜率で加熱した。次にサンプルを350℃で2時間保持した。次に100%のH2雰囲気を維持しながらサンプルを約20℃まで冷却した。
この還元手順後、触媒をパイロットユニットから引き出し、静大気に約3時間暴露した。次に、水素処理ガスが10vppmのCOを含む例2の還元条件に従って触媒を第2の還元工程にさらした。これは、第1の容器内で現場外還元を行なってから、第2の還元プラス任意の硫化を行なう反応器に触媒を移すという概念となるよう企図した。硫化後、触媒を次にトランスアルキル化条件下で供給混合物にさらした。
【0033】
図11~14は、トランスアルキル化の結果を示す。図11は、C7、C9、及びC10芳香族化合物の転化率を52%に維持するための努力(図12)に用いた温度プロファイルを示す。当該レベルの転化率では、図13は、3日の初期期間後に、ベースライン条件下で還元された触媒とほぼ同じ温度で触媒が90%超の脱エチルを維持できることを示す。
図13の結果はいくつかの特徴を実証する。第1に、還元-酸化-還元シーケンス後の触媒の活性は、開始前に還元条件のみにさらされた触媒の活性とは同一でなかった。これは、酸素暴露による触媒活性への何らかの影響を示唆している。しかしながら、高純度水素を用いて(酸素暴露前に)最初の還元を行なうと、たとえその後の還元を10vppmのCOを含む水素を用いて行なったとしても、触媒に望ましい活性を維持させるのに十分だった。これは、温度が33℃上昇しても、脱エチルのための活性の所望レベル到達に不十分だった例2の触媒とは対照的である(図9参照)。
同様に、図14は、最初の還元の短時間酸素に暴露された触媒は、生成物からのエチルベンゼンの除去に対して所望レベルの活性を維持できたことを示す。これは、エチルベンゼン濃度が、トランスアルキル化温度を上昇させた後でさえ0.4より高かった図9の結果とは対照的である。
【0034】
トランスアルキル化例4-還元後の酸素への長時間の暴露
第4セットの還元条件は実験室規模の反応器で使用した。第4セットの還元条件は、触媒を現場外で還元してから反応器サイトに輸送するであろう触媒の現場外還元用の商業的状況で利用する可能性のある還元条件となるように選択した。例3でも例4でも、硫化は、酸素暴露後まで行わないことに留意すべきである。
第4セットの条件での最初の還元工程は、約0.1MPa-aの圧力で行なった。第4セットの条件下の触媒前駆体サンプルの初期加熱は100%のN2に相当する雰囲気中で行なった。触媒前駆体サンプルを約40℃/時間で温度が275℃に達するまで上昇させた。そして温度を275℃に維持しながらN2中4vol%のH2に相当するガス流を1時間反応器に導入した。結果として生じた触媒を次に100%のN2雰囲気中で約20℃まで冷却した。還元手順後、触媒を7日間強制空気流に暴露した。
空気暴露後、例3の手順に従って還元してから触媒を硫化した。次にトランスアルキル化条件下で供給混合物に触媒を暴露した。
【0035】
図15~18はトランスアルキル化の結果を示す。図15は、C7、C9、及びC10芳香族化合物の比較的安定したレベルの転化率を維持するために用いた温度プロファイルを示す。例1及び3と同様の温度を用いたが、これは、他の例の52%の転化率に比べて、C7、C9、及びC10芳香族化合物の51%の転化率をもたらした(図16)。図16に示すC7、C9、及びC10芳香族変換はわずかに低かったが、それにもかかわらず触媒は、90%超の脱エチルを維持するのに十分な活性を有した(図18)。さらに、初期開始時間後、生成物中のエチルベンゼンの量は0.4wt%未満であり、エチルベンゼン除去の目標活性を達成した(図17)。
図15~18の結果は、最初の還元後の酸素への長時間の暴露後でさえ低金属含量触媒は所望の活性を維持できることを実証している。
【0036】
キシレン異性化触媒例
別のタイプの有望な低金属含量触媒はキシレン異性化触媒である。産業用キシレン異性化プロセスは2つの主反応、すなわち、エチルベンゼンのベンゼンとエチレンへの変換、及びキシレン混合物の平衡近傍キシレンへの異性化を含む。別の重要な反応は、通常は触媒に及ぼす金属の機能によって助けられるエチレンのエテンへの水素化である。エチレンは、芳香族化合物をアルキル化できるので、瞬時に好ましくエタンに変換される。他の副反応としては、トランスアルキル化、芳香環飽和並びに「キシレン損失」及び「環損失」につながるクラッキングが挙げられる。
キシレン異性化触媒のための現場外還元手順の適合性を調べるため、3つのタイプの触媒開始手順を利用した。第1の手順(触媒A)は現場外還元後の酸素への暴露に相当した。第2及び第3の手順(触媒B及びC)は、純水素処理ガス又は10vppmのCOを含む処理ガスのどちらかを用いた現場還元となるように設計した。キシレン異性化触媒は2種の触媒を含む積層(stacked bed)触媒系に相当した。上部触媒層はゼオライト担体に担持された0.03wt%のPtを含む触媒を包含した。下層はゼオライト担体に担持された0.01wt%のPtに相当する触媒を包含した。
【0037】
触媒Aは、低金属含量触媒の現場外還元となるように、前還元プロセスにさらした。前還元プロセス条件は、約0.1MPa-aの圧力を含んだ。約310℃の温度に達するように触媒前駆体サンプルを90°F/時間(約50℃/時間)の傾斜率で加熱した後、約1.5時間310℃で保持した。結果として生じた触媒を次に約20℃まで冷却した。触媒前駆体/触媒の加熱及び冷却は、ガス流として100%のN2を用いて行ない、一方、温度を310℃で1.5時間保持する間は12%のH2と88%のN2(実質的にCOがない)の処理ガス流を使用した。次に触媒を反応器から取り出し、静大気に約4日間暴露した。
【0038】
キシレン異性化活性を試験するため、触媒又は触媒前駆体(前還元後の触媒Aを含む)をそれぞれパイロットスケールの反応器に装填し、開始手順にさらした。225psig(1551キロパスカル、ゲージ圧)まで反応器をH2で加圧することによって開始手順を始めた。触媒A及び触媒Cについては、この加圧を10vppmのCOを含むH2を用いて行なったが、触媒Bについては100%のH2を使用した。次にH2を1時間当たり1.618SCFで約20℃にて1時間ユニットの中を流した。次に200℃の温度に達するように反応器温度を約25℃/時間で上昇させた後、200℃で約16時間保持した。次に360℃の温度に達するように反応器温度を約25℃/時間で上昇させた後、360℃で約4時間保持した。次に反応器を約338℃まで冷ました。この時点で、キシレン異性化用供給原料を導入した。次に入口温度をゆっくり上昇させて、75%のエチルベンゼン転化率という目標レベルを達成した。この時点で、触媒A及び触媒C用の水素処理ガスを100%のH2に切り替えて、キシレン異性化活性の比較を可能にした。
キシレン異性化反応のための条件は、12時間-1のWHSV;225psig(約1.6MPa-g)の反応器圧力;1.0のH2と炭化水素のモル比;及び約350℃の反応器入口温度を含んだ。反応器中の触媒の量は約21グラムのキシレン異性化触媒に相当し、等量の不活性希釈剤と混合した押出物全体として装填した。
【0039】
図19~22は、触媒A、B、及びCをキシレン異性化供給原料に異性化条件下でさらした結果を示す。上述したように、エチルベンゼン転化率は、図19~22に示す試験期間中、約75%に維持された。
図19は、エチルベンゼン転化率を75%に維持するために必要だった平均反応器温度を示す。図19に示すように、触媒(「前還元触媒」)及び触媒B(「基本触媒」)は同様の温度プロファイルを有した。対照的に、触媒C(「共被毒(CO-POISONED)触媒」)は、所望レベルの転化率を維持するために経時的に温度のかなりの上昇を必要とした。従って、触媒A及び触媒Cは、10vppmのCOを含む同様の還元条件に暴露されたにもかかわらず、高純度水素による触媒Aの前還元は、触媒Aが所望レベルの活性を維持できるようにした。
図20は、キシレンの芳香族飽和が原因で失われたキシレンの量を示す。図20に示すように、触媒Cは、触媒A又は触媒Bに比べてキシレン損失の追加の百分率点をもたらした。図19と同様に、触媒Aの前還元は、現場還元工程が10vppmのCOを含んでいたにもかかわらず、キシレン損失の回避に望ましい性能を触媒Aが維持できるようにした。
図21は、環の脂肪族鎖へのクラッキングに起因する環損失の量を示す。図21は、触媒Aに関する環損失は触媒Bより触媒Cに類似しているので、中間の酸素への暴露が活性に何らかの影響を与えることを示している。しかしながら、この場合、触媒A及び触媒Cは、実際には、触媒Bに比べて環損失を避けるために好ましい活性を有する。
【0040】
本開示は、特定の実施形態に関して記載したが、本開示はそのように限定されない。特定の条件下での作動に適した変形形態/変更形態が当業者には明白なはずである。従って、本開示の真の精神/範囲内に入るように全ての該変形形態/変更形態を包含するものとして以下の特許請求の範囲を解釈する意図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2021-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒の活性化方法であって、下記:
(I)触媒前駆体であって、前記触媒前駆体の総質量に基づいて0.5wt%以下の水素化金属及び分子ふるいを含む前記触媒前駆体を準備すること;
(II)第1の容器内で、第1の雰囲気であって、H2と、前記第1の雰囲気の総体積に基づいて1.0vppm以下のCOとを含む前記第1の雰囲気の存在下で前記触媒前駆体を還元して、還元触媒を得ること;及び
(III)前記還元触媒を第2の容器に移動させること
を含む、前記方法。
【請求項2】
さらに下記:
(IV)第2の雰囲気であって、前記第2の雰囲気の総体積に基づいて1.0vol%以上のO2を含む前記第2の雰囲気に、0.1時間以上の暴露時間にわたって前記還元触媒の少なくとも一部を暴露して、暴露された還元触媒を得ること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
さらに下記:
(V)第2の容器内で、第3の雰囲気であって、H2と、前記第3の雰囲気の総体積に基づいて3.0vppm以上のCOとを含む前記第3の雰囲気の存在下で、前記還元触媒又は暴露された還元触媒を処理して、2回還元触媒を形成すること
を含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第3の雰囲気が、前記第3の雰囲気の総体積に基づいて5.0vppm以上のCOを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の雰囲気が、前記第1の雰囲気の総体積に基づいて少なくとも99vol%のH2を含む、及び/又は前記第3の雰囲気が、前記第3の雰囲気の総体積に基づいて少なくとも99vol%のH 2 を含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒前駆体が、前記触媒前駆体の総質量に基づいて0.1wt%以下の水素化金属を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
さらに下記:
(VI)工程(V)の間又は後に前記2回還元触媒を硫化すること
を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記水素化金属がPtを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒前駆体が、第1の金属と異なる第2の金属をさらに含み、前記第2の金属が、Sn、Ga、若しくはPtと合金になる金属、又はこれらの組み合わせを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の容器が、その中で前記還元触媒、暴露された還元触媒、又は2回還元触媒を使用する反応器である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
本開示は、特定の実施形態に関して記載したが、本開示はそのように限定されない。特定の条件下での作動に適した変形形態/変更形態が当業者には明白なはずである。従って、本開示の真の精神/範囲内に入るように全ての該変形形態/変更形態を包含するものとして以下の特許請求の範囲を解釈する意図である。
次に、本発明の好ましい態様を示す。
1. 触媒の活性化方法であって、下記:
(I)触媒前駆体であって、前記触媒前駆体の総質量に基づいて0.5wt%以下の水素化金属及び分子ふるいを含む前記触媒前駆体を準備すること;
(II)第1の容器内で、第1の雰囲気であって、H 2 と、前記第1の雰囲気の総体積に基づいて1.0vppm以下のCOとを含む前記第1の雰囲気の存在下で前記触媒前駆体を還元して、還元触媒を得ること;及び
(III)前記還元触媒を第2の容器に移動させること
を含む、前記方法。
2. さらに下記:
(IV)第2の雰囲気であって、前記第2の雰囲気の総体積に基づいて1.0vol%以上のO 2 を含む前記第2の雰囲気に、0.1時間以上の暴露時間にわたって前記還元触媒の少なくとも一部を暴露して、暴露された還元触媒を得ること
を含む、上記1に記載の方法。
3. 工程(IV)が、少なくとも部分的に工程(III)中に行なわれる、上記2に記載の方法。
4. さらに下記:
(V)第2の容器内で、第3の雰囲気であって、H 2 と、前記第3の雰囲気の総体積に基づいて3.0vppm以上のCOとを含む前記第3の雰囲気の存在下で、前記還元触媒又は暴露された還元触媒を処理して、2回還元触媒を形成すること
を含む、上記1~3のいずれか1項に記載の方法。
5. 前記第3の雰囲気が、前記第3の雰囲気の総体積に基づいて5.0vppm以上のCOを含む、上記4に記載の方法。
6. 前記第3の雰囲気が、前記第3の雰囲気の総体積に基づいて10vol%以上のCOを含む、上記4又は5に記載の方法。
7. 前記第2の雰囲気が空気を含む、上記4~6のいずれか1項に記載の方法。
8. 前記第1の雰囲気が、前記第1の雰囲気の総体積に基づいて少なくとも99vol%のH 2 を含む、上記1~7のいずれか1項に記載の方法。
9. 前記第3の雰囲気が、前記第3の雰囲気の総体積に基づいて少なくとも99vol%のH 2 を含む、上記1~8のいずれか1項に記載の方法。
10. 前記触媒前駆体が、前記触媒前駆体の総質量に基づいて0.1wt%以下の水素化金属を含む、上記1~9のいずれか1項に記載の方法。
11. 前記触媒前駆体が、前記触媒前駆体の総質量に基づいて0.05wt%以下の水素化金属を含む、上記1~10のいずれか1項に記載の方法。
12. さらに下記:
(VI)工程(V)の間又は後に前記2回還元触媒を硫化すること
を含む、上記1~11のいずれか1項に記載の方法。
13. 前記触媒がトランスアルキル化触媒を含むか又は前記触媒がキシレン異性化触媒を含む、上記1~12のいずれか1項に記載の方法。
14. 前記水素化金属が、少なくとも1種の第8~10族貴金属を含む、上記1~13のいずれか1項に記載の方法。
15. 前記水素化金属がPtを含む、上記1~14のいずれか1項に記載の方法。
16. 前記触媒前駆体が、第1の金属と異なる第2の金属をさらに含み、前記第2の金属が、Sn、Ga、若しくはPtと合金になる金属、又はこれらの組み合わせを含む、上記15に記載の方法。
17. 前記水素化金属が、少なくとも部分的に前記分子ふるいに担持されている、上記1~16のいずれか1項に記載の方法。
18. 前記触媒前駆体が、さらにバインダーを含む、上記1~17のいずれか1項に記載の方法。
19. 前記分子ふるいがゼオライトである、上記1~18のいずれか1項に記載の方法。
20. 前記触媒前駆体が、1種以上の中孔ゼオライトを含む、上記1~19のいずれか1項に記載の方法。
21. 工程(I)が下記:
(Ia)前記分子ふるいの少なくとも一部、前記触媒前駆体の少なくとも一部、又はその組み合わせを準備すること;
(Ib)前記分子ふるいの少なくとも一部、前記触媒前駆体の少なくとも一部、又はその組み合わせを、前記水素化金属の化合物の液体分散系と混ぜ合わせて、分子ふるい-金属混合物、前駆体-金属混合物、又はその組み合わせを形成すること;
(Ic)前記分子ふるい-金属混合物、前記前駆体-金属混合物、又はその組み合わせを乾燥させること;及び
(Id)乾燥分子ふるい-金属混合物、乾燥前駆体-金属混合物、又はその組み合わせを酸素含有雰囲気中でか焼すること
を含む、上記1~20のいずれか1項に記載の方法。
22. 前記第2の容器が、その中で前記還元触媒、暴露された還元触媒、又は2回還元触媒を使用する反応器である、上記1~21のいずれか1項に記載の方法。
23. 前記第2の容器がトランスアルキル化反応器である、上記22に記載の方法。
24. 前記第2の容器がキシレン異性化反応器である、上記23に記載の方法。
【国際調査報告】