(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】内燃エンジンのシリンダヘッド
(51)【国際特許分類】
F02P 13/00 20060101AFI20220309BHJP
H01T 13/08 20060101ALI20220309BHJP
F02F 1/24 20060101ALI20220309BHJP
F02B 19/10 20060101ALI20220309BHJP
F02M 21/02 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
F02P13/00 302B
H01T13/08
F02P13/00 301A
F02F1/24 H
F02F1/24 J
F02F1/24 E
F02B19/10 F
F02M21/02 S
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542348
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 AT2020060016
(87)【国際公開番号】W WO2020150759
(87)【国際公開日】2020-07-30
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597083976
【氏名又は名称】アー・ファウ・エル・リスト・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】AVL LIST GMBH
【住所又は居所原語表記】HANS-LIST-PLATZ 1,A-8020 GRAZ,AUSTRIA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】プシュニック,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】クノルマヤー,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】ツルク,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】クランプファー,マルティン
【テーマコード(参考)】
3G019
3G023
3G024
5G059
【Fターム(参考)】
3G019KA16
3G023AA01
3G023AB01
3G023AC03
3G023AC05
3G023AD28
3G024AA04
3G024DA01
5G059AA01
5G059JJ25
(57)【要約】
本発明は、内燃エンジンの(特にガスエンジンの)シリンダヘッド(1)であって、点火スパーク(11)を形成するための少なくとも1つの接地電極(10)を有する少なくとも1つのスパークプラグ(8)と、スパークプラグ(8)を収容し、予燃焼室構成要素(2)に配置されている燃料通路(12)がつながる予燃焼室(5)を形成する予燃焼室構成要素(2)と、を有するシリンダヘッド(1)に関する。本発明が対処する問題は、着火性を向上させることである。この問題は、実質的に燃料の流れ全体(B)が接地電極(10)に流れ、スパークプラグ(8)の回転軸(D)が予燃焼室(5)の軸(A)からオフセット(x)され、オフセット(x)が予燃焼室の最大直径(g)の0~15%であるように、出口(13)における燃料通路(12)の流れ軸(S)を接地電極(10)の方向に向けることにより、上記シリンダヘッドにより解決される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃エンジン、特にガスエンジンのシリンダヘッド(1)であって、
点火スパーク(11)を形成するための少なくとも1つの接地電極(10)を有する少なくとも1つのスパークプラグ(8)と、
前記スパークプラグ(8)を収容し、予燃焼室構成要素(2)に配置されている燃料通路(12)がつながる予燃焼室(5)を形成する前記予燃焼室構成要素(2)と、を有し、
ここで、出口(13)における前記燃料通路(12)の流れ軸(S)が、前記接地電極(10)の方向に向けられており、結果として実質的に燃料の流れ全体(B)が、前記接地電極(10)に流れ、
前記スパークプラグ(8)の回転軸(D)が、前記予燃焼室の軸(A)に対するオフセット(x)を有し、前記オフセット(x)が、前記予燃焼室の最大直径(g)の0~15%であることを特徴とする、シリンダヘッド(1)。
【請求項2】
前記スパークプラグ(8)の回転軸(D)と前記予燃焼室(5)の前記軸(A)との間の前記オフセットが、前記予燃焼室の最大直径(g)の0%~15%、特に0%~10%、好ましくは0%~8%、特に好ましくは7%未満であること特徴とする、請求項1に記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項3】
前記燃料通路(12)の流れ軸(S)が、少なくとも一つの方向で湾曲していることを特徴とする、請求項1または2に記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項4】
前記スパークプラグ(8)の回転軸(D)および前記燃料通路(12)の前記流れ軸(S)が、実質的に1つの平面(ε)内にあり、前記流れ軸(S)が、実質的にこの平面(ε)において湾曲していることを特徴とする、請求項3に記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項5】
前記燃料通路(12)の湾曲(12a)が、80°~160°の角度(δ)を取り囲むことを特徴とする、請求項3または4に記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項6】
前記出口(13)の領域における前記流れ軸(S)が、前記予燃焼室(5)の前記軸(A)に対して実質的に垂直に配置され、結果として前記点火スパーク(11)の入射流が、前記予燃焼室(5)の前記軸(A)に実質的に垂直であることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項7】
前記出口(13)の領域における前記流れ軸(S)が、前記予燃焼室(5)の前記軸(A)を通る法平面に対して実質的にある角度(β)で傾斜し、結果として前記点火スパーク(11)の入射流が、前記予燃焼室の前記軸(A)を通る前記法平面に対して実質的にある角度(β)で傾斜し、前記角度(β)が、0°~30°であることを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項8】
前記燃料通路(12)の出口(13)が、前記流れ軸(S)が前記予燃焼室(5)の前記軸(A)に沿って前記接地電極(10)のレベルにある状態で、配置されていることを特徴とする、請求項1~7の何れか一項に記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項9】
前記予燃焼室構成要素(2)が、前記予燃焼室(5)を形成するための予燃焼室シェル(4)と、前記スパークプラグ(8)の周りのスリーブ(3)とを有し、前記予燃焼室シェル(4)および前記スリーブ(3)が、それぞれ一体的に形成され、および/または互いに接続されている、請求項1~8の何れか一項に記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項10】
燃料バルブ(9)が、前記予燃焼室構成要素(2)に配置されていることを特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項11】
前記燃料バルブ(9)に隣接する前記燃料通路(12)の領域における前記燃料通路(12)の前記流れ軸(S)が、前記燃料バルブの回転軸(V)に実質的に一致することを特徴とする、請求項10に記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項12】
前記燃料バルブ(9)が、前記予燃焼室の前記軸(A)に平行な直線に対して傾斜して配置され、この傾斜が、好ましくは-10°~+35°の角度(γ)に相当する、請求項10または11に記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項13】
前記オフセット(x)が、前記平面内(ε)にあり、前記接地電極(10)が、前記予燃焼室(5)の前記軸(A)に対する前記オフセット(x)だけ前記燃料通路(12)から離間して配置されていることを特徴とする、請求項1~12の何れか一項に記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項14】
前記スパークプラグ(8)の回転軸(D)が、0~30°である前記予燃焼室(5)の前記軸(A)に対する角度(α)を、有することを特徴とする、請求項1~13の何れか一項に記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項15】
前記燃料通路(12)が、前記予燃焼室構成要素(2)内の前記流れ軸(S)に沿った管状の凹部により形成され、結果として前記燃料通路(12)の前記凹部が、前記予燃焼室構成要素(2)の材料によって前記流れ軸(S)の周りを半径方向に取り囲まれていることを特徴とする、請求項1~14の何れか一項に記載のシリンダヘッド(1)。
【請求項16】
請求項1~15の何れか一項に記載のシリンダヘッド(1)を有する、内燃エンジン。
【請求項17】
前記シリンダヘッド(1)が、少なくとも部分的に3Dプリントで製造されることを特徴とする、請求項1~15の何れか一項に記載のシリンダヘッド(1)を製造するための方法。
【請求項18】
前記予燃焼室構成要素(2)における前記スパークプラグ(8)用のスパークプラグねじ部の切断が、ねじ込みプロセス後に接地電極(10)が前記燃料通路(12)に対して規定された位置に配置されるように、行われることを特徴とする、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、点火スパークを形成するための少なくとも1つの接地電極を有する少なくとも1つのスパークプラグと、前記スパークプラグを収容し、予燃焼室構成要素に配置されている燃料通路がつながる予燃焼室を形成する前記予燃焼室構成要素と、を有し、前記燃料通路の出口における前記燃料通路の流れ軸が、前記接地電極の方向に向けられており、結果として実質的に燃料の流れ全体が前記接地電極に流れる、内燃エンジンの、特にガスエンジンの、シリンダヘッドに関する。
【0002】
さらに、本発明は、このようなシリンダヘッドや前記シリンダヘッドを有する内燃エンジンなどを製造するための方法に関する。
【0003】
前記内燃エンジンおよび前記シリンダヘッドは、通常液冷式である。
【背景技術】
【0004】
予燃焼室を備えたスパークプラグは、例えば、ガスオットーエンジン用の欧州特許出願公開第2894313号明細書(特許文献1)で公知である。前記スパークプラグの周りのスリーブには、燃料弁が設けられている。前記スリーブは、前記燃料弁から前記予燃焼室まで延在するボアを含む。このボアは、前記スパークプラグの軸に対して、ある角度をなして配置されている。このスパークプラグにおいて、混合性を高めるために、前記スパークプラグおよび燃料弁と前記予燃焼室との間に、案内要素が設けられている。前記内燃エンジンの燃焼室は、搬送口を介して予燃焼室に流れ接続されている。この特定の配置では、ライザーが、前記予燃焼室と前記搬送口との間に設けられている。この配置の欠点は、良好な混合を確実にするために、追加の案内要素を設けなければならないことである。さらに、燃料の流れが分割されることで、望ましくない流れの状態がもたらされる。
【0005】
燃料が導体素子で分割されるため、前記流れの予測がより難しい。結果として、前記点火スパークが発生する際に前記接地電極から離れた場所で発火性混合物が生じ、着火遅れ、ノッキング、不均一燃焼などが発生する可能性がある。この作用は、摩耗現象によってさらに強まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2894313号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、着火性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、前記スパークプラグの回転軸が前記予燃焼室の軸からオフセットされ、そのオフセットが、前記予燃焼室の最大直径の0%~15%であるということにおいて、上記のシリンダヘッドにより達成される。
【0009】
本明細書における流れ軸は、前記燃料通路の直径の中心(複数)を互いに接続する線を意味する。前記燃料バルブによる予期しない流れの作用または前記燃料通路の下流側の流れを無視して、前記流れ軸の方向は、流路の中心部における乱されていない流れの方向とほぼ一致している。
【0010】
自動車業界では、部品の小型化が一般的に求められており、前記燃料通路の流れ軸が少なくとも一つの方向で湾曲していると有利である。この湾曲により、攪乱する(disruptive)流れの作用に対処する必要なく、前記予燃焼室の軸に対する前記燃料バルブの傾斜を小さくすることができる。
【0011】
このように傾斜を小さくすることで、前記予燃焼室の軸周りの半径方向のサイズを小さくすることができる。サイズを小さくすることで重量を最小限に抑えることができ、結果として、必要な燃料の減少がもたらされ、環境保護の観点からも有利である。車両のパッケージングに対する課題は、サイズを小さくすることにより単純化される。さらに、前記湾曲によりタンブル(tumble)またはスワール(swirl)を発生させることができ、このことは、前記予燃焼室での混合にプラスの効果をもたらし得る。
【0012】
前記接地電極へのターゲットにした流れにより、発火性混合物をより迅速に前記点火スパークの近くまで運ぶことが可能になる。これにより、前記予燃焼室での点火がより早く、よりコントロールしやすくなる。燃焼がより均一になり、前記予燃焼室でノッキングが発生する傾向が減少する。
【0013】
さらに、前記スパークプラグの回転軸が前記予燃焼室の軸からオフセットされ、そのオフセットが、前記予燃焼室の最大直径の0%~15%であるという構成が提供される。これにより、燃焼の質がさらに向上し、ガスと空気との混合物を可能な限り均一かつ迅速に点火することができる。この結果得られる別の利点は、シリンダヘッドにおける利用可能な設置スペースが、可能な限り効率的に使用されることである。前記接地電極をターゲットにした流れと、前記予燃焼室からの前記スパークプラグのオフセットが小さいこととの組み合わせにより、上記の利点がさらに強化される。
【0014】
前記オフセットが0%またはほぼ0%の場合、前記スパークプラグの回転軸と前記予燃焼室の軸との間にオフセットがなく、すなわち、これらの2つの軸は、実質的にオフセットなしで合わさる。
【0015】
本目的は、本発明によるシリンダヘッドを備えた内燃エンジンによって、および本発明によるシリンダヘッドを製造するための方法によっても達成される。
【0016】
前記スパークプラグの回転軸と前記予燃焼室の軸との間のオフセットは、前記予燃焼室の最大直径の0%~15%、特に0%~10%、好ましくは0%~8%、特に好ましくは7%未満であると有利である。これにより、着火および燃焼の質をさらに高めることができる。その結果、前記スパークプラグは、中央に配置される。
【0017】
前記スパークプラグの回転軸と前記燃料通路の流れ軸が実質的に1つの平面内にあり、前記流れ軸がこの平面において実質的に湾曲していると有利である。結果として、タンブルを実現することができる。前記燃料通路が1つの平面のみで湾曲を有する場合、これは、それによって簡略化されるため、製造上有用である。
【0018】
本発明の文脈において、「実質的に」という表現は、正確な実現が不可能であるため、例えば製造公差の範囲内で、正確な形状または寸法からわずかに逸脱している当該物品の寸法または形状を指している。
【0019】
特に、前記燃料通路の湾曲が80°~160°の角度を取り囲む場合、特に好ましい流れの状態が得られる。このことは、前記燃料バルブの配置にも利点がある。結果として、設置スペースをさらに削減することができる。
【0020】
有利な実施形態では、前記出口の領域における流れ軸は、前記予燃焼室の軸に対して実質的に垂直に配置され、結果として、前記点火スパークの入射流(incident flow)は、前記予燃焼室の軸に実質的に垂直であることがもたらされる。このことは、特定の設置スペースに有利である。
【0021】
しかし、別の実施形態では、他の空間条件または設置スペース用に、前記出口の領域における前記流れ軸が、前記予燃焼室の軸を通る法平面に対して、ある角度で実質的に傾斜し、前記点火スパークの入射流は、前記予燃焼室の軸を通る法平面に対して、ある角度で実質的に傾斜しており、その角度は、0~30°である構成が提供される。
【0022】
前記接地電極と前記燃料通路との間の距離を短くするために、前記燃料通路の出口が、前記予燃焼室の軸に沿って前記接地電極のレベルで流れ軸と配置されていると有利である。
【0023】
前記予燃焼室構成要素が、前記予燃焼室を形成するための予燃焼室シェルと、前記スパークプラグの周りのスリーブとを有し、前記予燃焼室シェルおよび前記スリーブがそれぞれ一体的に形成され、および/または互いに接続されていると好都合である。これにより、点火に問題がある場合に前記予燃焼室構成要素を前記シリンダヘッドから容易に取り外すことができ、修理や交換が容易になり、コスト削減につながる。前記予燃焼室シェルとスリーブとが互いに接続されている場合、このことは、例えば、シールを用いるねじ込み接続により実現することができる。したがって、前記スリーブを一体的に形成し、前記予燃焼室シェルを一体的に形成した後に嵌合するようにしてもよい。しかし、前記スリーブと前記予燃焼室とを一体的に形成することも可能である。
【0024】
特定の実施形態では、燃料バルブが前記予燃焼室構成要素に配置されている。こうすることで、漏れを好適に回避することができる。
【0025】
前記燃料通路における好ましい流れを実現するために、好ましい実施形態では、前記燃料バルブに隣接する前記燃料通路の領域における前記燃料通路の流れ軸は、前記燃料バルブの回転軸と実質的に一致するように設けられる。これによって、前記燃料バルブの下流側での乱流を回避することができる。しかし、前記燃料バルブの回転軸が前記燃料通路12の軸と同軸ではなく、2つの軸の間に約0°~約0°の角度が設けられていてもよい。
【0026】
前記燃料バルブが、前記予燃焼室の軸に対して傾斜して配置され、この傾斜が好ましくは-10°~+35°の角度に相当すると有利である。前述のように前記傾斜を小さくすることで、極端な場合には0°の傾斜、つまり傾斜のない状態がもたらされ得る。これは実際に、最大のスペース節約につながる。しかし、前記燃料バルブに隣接する前記燃料通路の第1領域における流れは、曲げまたは偏向を必要とするので、前記流れが悪影響を及ぼされる可能性がある。
【0027】
前記オフセットが平面内にあり、前記予燃焼室の軸に対するオフセットに起因して、前記接地電極が前記燃料通路から離間して配置されている場合、この作用は、さらに大きくなる。
【0028】
前記構成要素の配置に関して最大限の柔軟性を得るために、前記スパークプラグの回転軸が前記予燃焼室の軸に対して0°~30°の角度を有することが考えられる。
【0029】
本発明の気密性および堅牢性に関して、前記燃料通路が前記予燃焼室構成要素内の前記流れ軸に沿った管状の凹部により形成され、結果として前記燃料通路の凹部が、前記予燃焼室構成要素の材料によって前記流れ軸の周りを半径方向に取り囲まれていると有利である。
【0030】
製造を容易にするために、この方法の好ましい変形例では、前記予燃焼室構成要素における前記スパークプラグ用のスパークプラグねじ部(thread)の切断が、ねじ込みプロセス後に、接地電極が前記燃料通路に対して規定された位置に配置されるように行われることが、提供される。原則として、前記シリンダヘッドは、少なくとも一部において、特に前記予燃焼室および/または前記スパークプラグにおいて3Dプリントで製造することが好ましい。特に、前記シリンダヘッドは、少なくとも一部において、付加的製造プロセスであるレーザー溶融によって製造される。
【0031】
本発明は、図に示す実施形態の非限定的な例を参照して、以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】第1実施形態における本発明によるシリンダヘッドの詳細を示す断面図である。
【
図4】第2実施形態における本発明によるシリンダヘッドの詳細を示す断面図である。
【
図5】第1実施形態における本発明によるシリンダヘッドのスパークプラグと燃料バルブとを備えた予燃焼室構成要素、および第3実施形態の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1は、第1実施形態における液冷式シリンダヘッド1の詳細を示している。ここでは、前記シリンダヘッド1は、ガスオットーエンジンとして運転される内燃エンジンの一部である。前記詳細は、予燃焼室構成要素2をより詳細に示したものである。図示の実施形態では、前記予燃焼室構成要素2は、スリーブ3と、前記スリーブ3に接続された予燃焼室シェル4とを有する。ここで、前記予燃焼室シェル4は、外ねじ部を有し、前記スリーブ3は、内ねじ部を有する。前記予燃焼室シェル4は、前記スリーブ3にねじ込まれている。前記予燃焼室シェル4と前記スリーブ3との間に、シールが備えられている。
【0034】
前記予燃焼室シェル4は、オーバーフロー開口部6を介して燃焼室7に流れ接続されている予燃焼室5の大部分を取り囲んでいる。前記燃焼室7は、前記シリンダヘッド1に隣接しており、とりわけ、前記予燃焼室構成要素2と隣接しており、前記予燃焼室5の方向においてそれによって実質的に遮断されている。
【0035】
スパークプラグ8およびガスバルブ9が、前記スリーブ3の内側に配置されている。前記スパークプラグ8は、接地電極10と共に前記予燃焼室5内に延在する。前記スパークプラグ8によって点火スパークが形成される領域には、参照符号11が付されている。
【0036】
第1実施形態では、前記スパークプラグ8は、その回転軸Dが前記予燃焼室5の軸Aと平行になるように配置されている。図示される第1実施形態では、回転軸Dと軸Aとがオフセットしている。この回転軸Dおよび軸Aは、別の実施形態では一致している。
【0037】
燃料バルブ9は、前記燃料バルブ9の回転軸に対応する軸Vに沿って配置されている。この軸Vは、前記予燃焼室の軸Aに対してある角度をなして配置されている。
【0038】
本発明によれば、前記燃料バルブ9は、燃料通路12を介して前記予燃焼室5に接続されている。前記燃料通路12は流れ軸Sに沿って延在している。前記流れ軸Sは、前記燃料通路12の内部の乱されていない流れの流れベクトルに対応している。
【0039】
前記燃料通路12は、前記予燃焼室5への出口13を有する。少なくとも前記出口13では、前記燃焼通路12は、前記点火スパーク11および前記接地電極10の方向に向けられている。したがって、燃料は、矢印Bで示されるように、前記点火スパーク11の方向に流れる。
【0040】
前記燃料バルブ9は、前記予燃焼室5から距離aだけ離れている。この距離aは、前記燃料バルブ9から前記燃料通路の入口である前記燃料通路12への、前記燃料通路12の前記出口13から前記予燃焼室5への、燃料の供給点の距離である。
【0041】
示される実施形態では、予燃焼室の最大直径gは、前記スパークプラグ8への移行部で見出される。これらの実施形態において、前記予燃焼室の最大直径gは、スパークプラグ8の直径よりもわずかに大きい。別の実施形態において、これらの直径は、同じであってもよい。
【0042】
図2は、この配置を少し拡大したものである。これは、前記予燃焼室5の回転軸Dと軸Aが互いに対してわずかなオフセットxを有することを示している。これにより、前記スパークプラグ8は、オフセットxにより前記燃料バルブ9からさらに離れている。図示されている実施形態では、前記燃料バルブ9の軸Vおよび前記スパークプラグ8の回転軸Dは、平面ε内にあり、これはまた、
図1から
図5の断面のための断面平面を形成する。従って、前記画像平面は、前記平面εの参照符号で示されている。
図2のオフセットxは、前記予燃焼室の最大直径gの10%未満である。
【0043】
前記燃料通路12は、前記燃料通路12が前記ガスバルブ9に隣接している入口と、前記出口13との間に湾曲12aを有する。この場合、前記流れ軸Sは、平面εにおいて湾曲している。別の実施形態では、前記燃料通路12のより複雑な形状もあり得る。
【0044】
わかりやすくするために、
図2の構成要素すべてに符号を付しているわけではない。欠落している参照符号は、
図1で見出すことができる。
【0045】
図3は、
図1および
図2の断面図であり、前記接地電極10を備えた前記スパークプラグ8と、前記点火スパーク11とが、明確に視認できる。
【0046】
ガスは、前記燃料バルブ9を通って前記燃料経路12に注入される。前記燃料通路12は、実質的に流れ軸Sに沿って燃料の流れBを屈折させ、出口13では、流れBは、前記接地電極10に向けられる。前記接地電極10と前記スパークプラグ8の本体との間に、前記点火スパーク11が生み出される。前記点火スパーク8の方向に、流れBにより、燃料であるガスが直ちに点火される。
【0047】
この場合、前記流れ軸Sが前記点火スパーク11のレベルにある状態で、前記燃料通路12の前記出口13が配置され、燃料の流れBは、前記予燃焼室5の軸Aのマークされていない法平面にほぼ沿って、点火スパーク11の方向に放出される。
【0048】
前記湾曲12aは、前記流れ軸Sを角度δで屈折させる。
【0049】
図4は、本発明による前記シリンダヘッド1の第2バージョンの
図3に類似した詳細を示している。以下では、第1実施形態との違いのみが説明される。同じ参照符号は、同じ機能を有する構成要素を示す。
【0050】
第1実施形態とは対照的に、第2実施形態では、前記出口13は、前記予燃焼室5の軸Aに沿って同じ高さに配置されていない。この場合、前記出口13での流れ軸Sは、第1実施形態と比較して前記スパークプラグ8により近く、配置される。
【0051】
前記流れ軸Sは、前記出口13の領域において角度βで傾斜している。この場合、燃料Bの流れも角度βで傾斜し、前記点火スパーク11に向けられる。
【0052】
図5は、第3実施形態についての前記スパークプラグ8の別の回転軸dを示す。この回転軸dは、前記予燃焼室の軸Aに対する傾斜αを有する。
【0053】
さらに、この図では、前記燃料バルブ9の軸Vが前記予燃焼室の軸Aに平行な直線に対して有する角度γが示されている。前記燃料バルブ9は、この直線に対して角度γで傾斜している。
【0054】
前記シリンダヘッド1は、液冷式である。
図1および
図2から、前記予燃焼室構成要素2に隣接する冷却室を見出すことができる。これにより、前記スパークプラグ8、前記予燃焼室構成要素2および前記シリンダヘッド1のこれらの構成要素の周囲を熱損傷から保護し、放熱することができる。
【国際調査報告】