(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】マクロファージ媒介性病理を評価するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
G01T 1/164 20060101AFI20220309BHJP
A61K 51/04 20060101ALI20220309BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20220309BHJP
A61K 103/10 20060101ALN20220309BHJP
【FI】
G01T1/164 Z
A61K51/04 320
G01T1/164 N
G01T1/161 B
A61K103:10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542426
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(85)【翻訳文提出日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 US2020015226
(87)【国際公開番号】W WO2020154733
(87)【国際公開日】2020-07-30
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】594012483
【氏名又は名称】ナビディア、バイオファーマスーティカルズ、インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NAVIDEA BIOPHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ、デイビッド エイ.
(72)【発明者】
【氏名】ロソル、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】イスマイル、アフマド
(72)【発明者】
【氏名】キスリング、アリソン
(72)【発明者】
【氏名】コープ、フレデリック オー.
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラー アブラジーズ、ボニー
【テーマコード(参考)】
4C085
4C188
【Fターム(参考)】
4C085HH03
4C085KA29
4C085KB09
4C085KB79
4C085LL17
4C188EE03
4C188FF04
4C188KK24
(57)【要約】
対象の一つまたは複数の関節の炎症におけるマクロファージの関与を評価するための組成物および方法が開示されている。特定の態様では、 開示された方法は、マンノシル化デキストラン構築物と、それにコンジュゲートされた撮像部分とを含む組成物を対象に投与する工程と、対象の第一の関節の一つまたは複数の平面画像を取得する工程と、第一の関節を含む関心領域(ROI)を画定する工程と、関節特異的参照領域(RR)を画定する工程と、RRの平均ピクセル強度に対するROIの平均ピクセル強度の比率を評価することによって、関節のMARTAD値を決定する工程と、第一の関節のMARTADを、対応する関節の正常なMARTAD値と比較する工程であって、マクロファージの関与が、関節特異的MARTAD値が正常なMARTAD値を所定の閾値だけ超えることによって示される、比較する工程と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の一つまたは複数の関節の炎症におけるマクロファージの関与を評価する方法であって、
a.前記対象に、マンノシル化デキストラン構築物およびそれにコンジュゲートされた撮像部分を含む組成物を投与する工程と、
b.前記対象の第一の関節の一つまたは複数の平面画像を取得する工程と、
c.前記第一の関節を含む関心領域(ROI)を画定する工程と、
d.前記ROIにほぼ隣接する領域を含む、前記ROIと実質的に類似したサイズの関節特異的参照領域(RR)を画定する工程と、
e.前記RRの平均ピクセル強度に対する前記ROIの平均ピクセル強度の比率を評価することによって、前記関節のMARTAD値を決定する工程と、
f.前記第一の関節のMARTADを、対応する関節の正常なMARTAD値と比較する工程であって、前記正常なMARTAD値が、複数の健康な対象からの対応する関節のMARTAD値を平均することから導出され、マクロファージの関与が、関節特異的MARTAD値が正常なMARTAD値を所定の閾値だけ超えることによって示される、前記前記第一の関節のMARTADを、対応する関節の正常なMARTAD値と比較する工程とを備える、方法。
【請求項2】
前記対象の一つまたは複数の追加の関節の一つまたは複数の平面画像を取得する工程と、前記一つまたは複数の追加の関節に関して工程c~fを繰り返す工程とをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
グローバルMARTAD値が、前記所定の閾値および前記対応する関節の正常なMARTAD値を超える前記対象の前記関節のそれぞれの差の合計を決定することによって決定される、前記対象の前記グローバルMARTAD値を決定する工程をさらに備える、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記一つまたは複数の平面画像が、少なくとも二つの画像を含み、前記少なくとも二つの画像が、前記関節の前方画像および後方画像を含み、前記対象のMARTAD値が、前記前方および後方画像から決定された前記MARTAD値を平均することによって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
単一の平面画像を使用して前記所定の閾値の20%以内であるMARTAD値を有する各関節について、前記MARTAD値が、前方および後方平面画像を使用して再計算される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記関節特異的RRが、前記ROIの3つのROI直径内に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記撮像部分が、放射性撮像部分または蛍光性撮像部分である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の閾値の対象の関節のMARTAD値が、前記複数の健康な対象からの対応する関節の平均MARTAD値の二つの標準偏差以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記所定の閾値の対象の関節のMARTAD値が、前記複数の健康な対象からの対応する関節の平均MARTAD値の95%信頼区間よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記マンノシル化デキストラン構築物が、Tc99m-チルマノセプトである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記投与されたTc99m-チルマノセプトの量が、約50μg~約400μgである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
Tc 99mチルマノセプトの投与と前記対象の前記画像の取得との間の時間が、約15分~約6時間である、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
関節リウマチ(RA)と診断された対象におけるマクロファージ媒介性関節炎症を定量化する方法であって、
a.マンノシル化デキストラン構築物およびそれにコンジュゲートされた撮像部分を含む組成物を前記対象に投与する工程と、
b.炎症が疑われる前記対象において複数の関節を選択する工程と、
c.前記複数の関節のそれぞれの一つまたは複数の平面画像を取得する工程と、
d.各関節画像について、前記関節を含む関心領域(ROI)を画定する工程と、
e.各関節について、関節特異的参照領域(RR)を画定する工程と、
f.各関節について、前記RRの平均ピクセル強度に対する前記ROIの平均ピクセル強度の比率を評価することによって、関節のMARTAD値を決定する工程と、
g.各関節について、前記関節の前記MARTADを、対応する関節の正常なMARTAD値と比較する工程であって、前記正常なMARTAD値が、複数の健康な対象からの前記対応する関節の前記MARTAD値を平均することから導出され、マクロファージの関与が、関節特異的MARTAD値が前記正常なMARTAD値を所定の閾値だけ超えることによって示される、前記各関節について、前記関節の前記MARTADを、対応する関節の正常なMARTAD値と比較する工程と、
h.前記所定の閾値および前記対応する関節の正常なMARTAD値を超える前記対象の前記関節のそれぞれの差の合計を決定することによって、前記対象のグローバルMARTAD値を決定する工程とを備える、方法。
【請求項14】
各関節について、前記関節特異的RRが、前記ROIの3つのROI直径内に位置する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記関節特異的RRが、前記ROIの2つのROI直径内に位置する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数の関節が、手または足の関節であり、前記RRが、前記RR内の前記ROIのピクセル強度を差し引いた前記手または足として画定される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記マンノシル化デキストラン構築物が、Tc99m-チルマノセプトであり、投与されるTc99m-チルマノセプトプトの量が約50μg~約400μgである、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
RAと診断された対象の治療を管理する方法であって、
a.マンノシル化デキストラン構築物およびそれにコンジュゲートされた撮像部分を含む組成物を前記対象に投与する工程と、
b.炎症が疑われる前記対象において複数の関節を選択する工程と、
c.前記複数の関節のそれぞれの一つまたは複数の平面画像を取得する工程と、
d.各関節画像について、前記関節を含む関心領域(ROI)を画定する工程と、
e.前記ROIにほぼ隣接する領域を含む、前記ROIと実質的に類似したサイズの関節特異的参照領域(RR)を画定する工程と、
f.各関節について、前記RRの平均ピクセル強度に対する前記ROIの平均ピクセル強度の比率を評価することによって、関節のMARTAD値を決定する工程と、
g.各関節について、前記関節の前記MARTADを、対応する関節の正常なMARTAD値と比較する工程であって、前記正常なMARTAD値が、複数の健康な対象からの前記対応する関節の前記MARTAD値を平均することから導出され、マクロファージの関与が、関節特異的MARTAD値が前記正常なMARTAD値を所定の閾値だけ超えることによって示される、比較する工程と、
h.前記所定の閾値および前記対応する関節の正常なMARTAD値を超える前記対象の前記関節のそれぞれの差の合計を決定することによって、前記対象のグローバルMARTAD値を決定する工程と、
i.前記対象に一連の治療を投与する工程と、
j.工程a)からh)までを繰り返し、前記対象の前記グローバルMARTAD値の変化を評価する工程であって、グローバルMARTAD値の低下が前記一連の治療の有効性を示す、評価する工程とを備える、方法。
【請求項19】
各関節について、前記関節特異的RRが、前記ROIの3つのROI直径内に位置する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記マンノシル化デキストラン構築物が、Tc99m-チルマノセプトである、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマクロファージ媒介性病理を評価するための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年1月25日に出願された米国仮特許出願第62/796,879号の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
マクロファージは、多くの炎症状態に中心的に関与する免疫細胞である。状況によっては、炎症におけるマクロファージの関与が、不適応かつ自己増殖性となり、がん、アテローム性動脈硬化症、および関節リウマチ(RA)などの慢性的な病理をもたらすが、これらに限定されない。マンノース受容体(CD206)は、表現型に活性化されたマクロファージで高度に上方制御され、これらの疾患の根底にある病理生物学に機構的に寄与する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当技術分野では、炎症におけるマクロファージの関与を評価するために、臨床観察の主観的な制限にとらわれない、非侵襲的で定量的な画像診断法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書では、対象の一つまたは複数の関節の炎症におけるマクロファージの関与を評価する組成物および方法が開示される。特定の態様では、開示された方法は、マンノシル化デキストラン構築物およびそれにコンジュゲートされた撮像部分を含む組成物を対象に投与する工程と、対象の第一の関節の一つまたは複数の平面画像を取得する工程と、第一の関節を含む関心領域(ROI)を画定する工程と、ROIにほぼ隣接する領域を含む、ROIと実質的に類似したサイズの関節特異的参照領域(RR)を画定する工程と、RRの平均ピクセル強度に対するROIの平均ピクセル強度の比率を評価することによって、関節のMARTAD値を決定する工程と、第一の関節のMARTADを、対応する関節の正常なMARTAD値と比較する工程であって、正常なMARTAD値は、複数の健康な対象からの対応する関節のMARTAD値を平均することから導出され、マクロファージの関与は、関節特異的MARTAD値が正常なMARTAD値を所定の閾値だけ超えることによって示される、比較する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、コンジュゲートされた撮像部分は、放射性である。いくつかの実施形態では、撮像部分は蛍光性である。特定の態様では、本方法は、対象の一つまたは複数の追加の関節の一つまたは複数の平面画像を取得し、一つまたは複数の追加の関節に関して前述の工程を繰り返すことをさらに含む。
【0006】
特定の実施形態によると、本方法は、対象のグローバルMARTAD値を決定することをさらに含む。これらの実施形態では、グローバルMARTAD値は、所定の閾値および対応する関節の正常なMARTAD値を超える対象の関節のそれぞれの差の合計を定量化することによって決定される。
【0007】
さらなる態様によれば、一つまたは複数の平面画像は、少なくとも二つの画像を含み、少なくとも二つの画像は、関節の前方画像および後方画像を含む。これらの実施形態の例示的な態様では、対象のMARTAD値は、前方画像および後方画像から決定されたMARTAD値を平均することによって決定される。さらなる例示的な態様では、単一の平面画像を使用して、所定の閾値の20%以内であるMARTAD値を有する各関節について、MARTAD値は、前方および後方の平面画像を使用して再計算される。
【0008】
特定のさらなる態様によれば、関節特異的RRは、ROIの3つのROI直径内に位置する。さらにさらなる態様では、関節特異的RRは、ROIの2つのROI直径内に位置する。
【0009】
さらにさらなる態様では、所定の閾値の対象の関節のMARTAD値は、複数の健康な対象からの対応する関節の平均MARTAD値の二つの標準偏差以上である。さらにさらなる態様では、所定の閾値の対象の関節のMARTAD値は、複数の健康な対象からの対応する関節の平均MARTAD値の95%信頼区間よりも大きい。
【0010】
特定の態様では、マンノシル化デキストラン構築物は、Tc99m-チルマノセプトである。例示的な実施形態では、投与されるTc99m-チルマノセプトの量は、約50μg~約400μgである。さらなる態様では、Tc99m-チルマノセプト投与から対象の画像取得までの時間は、約15分~約6時間である。
【0011】
本明細書にさらに開示されるのは、マンノシル化デキストラン構築物およびそれにコンジュゲートされた撮像部分を含む組成物を対象に投与することと、炎症が疑われる対象において複数の関節を選択することと、複数の関節のそれぞれの一つまたは複数の平面画像を取得することと、各関節画像について、関節を含む関心領域(ROI)を画定することと、各関節について、ROIにほぼ隣接する領域を含むROIと実質的に類似したサイズの関節特異的参照領域(RR)を画定することと、各関節について、RRの平均ピクセル強度に対するROIの平均ピクセル強度の比率を評価することによって、関節のMARTAD値を決定することと、各関節について、関節のMARTADを、対応する関節の正常なMARTAD値と比較することであって、正常なMARTAD値は、複数の健康な対象からの対応する関節のMARTAD値を平均することから導出され、マクロファージの関与は、関節特異的MARTAD値が正常なMARTAD値を所定の閾値だけ超えることによって示される、比較することと、所定の閾値および対応する関節の正常なMARTAD値を超える対象の関節のそれぞれの差の合計を決定することによって、対象のグローバルMARTAD値を決定することと、を含む、関節リウマチ(RA)と診断された対象におけるマクロファージ媒介性関節炎症を定量化する方法である。
【0012】
本明細書にさらに開示されるのは、マンノシル化デキストラン構築物およびそれにコンジュゲートされた撮像部分を含む組成物を対象に投与する工程と、炎症が疑われる対象において複数の関節を選択する工程と、複数の関節のそれぞれの一つまたは複数の平面画像を取得する工程と、各関節画像について、関節を含む関心領域(ROI)を画定する工程と、各関節について、ROIにほぼ隣接する領域を含む、ROIと実質的に類似したサイズの関節特異的参照領域(RR)を画定する工程と、各関節について、RRの平均ピクセル強度に対するROIの平均ピクセル強度の比率を評価することによって、関節のMARTAD値を決定する工程と、各関節について、関節のMARTADを、対応する関節の正常なMARTAD値と比較することであって、正常なMARTAD値は、複数の健康な対象からの対応する関節のMARTAD値を平均することから導出され、マクロファージの関与は、関節特異的MARTAD値が正常なMARTAD値を所定の閾値だけ超えることによって示される、比較する工程と、所定の閾値および対応する関節の正常なMARTAD値を超える対象の関節のそれぞれの差の合計を決定することによって、対象のグローバルMARTAD値を決定する工程と、一連の治療を対象に投与する工程と、を含む、RAと診断された対象の治療を管理する方法である。特定の態様では、一連の治療の後、前述の工程が繰り返され、グローバルMARTADスコアの変化が評価される。例示的な実施では、グローバルMARTAD値の減少は、一連の治療の有効性を示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】特定の実施例による、対象の手の例示的な画像。
【
図2】特定の実施例による、例示的なROIおよび関節特異的RR。
【
図3】特定の実施形態による、RA対象および健康な対照からの例示的なMARTAD値データを示す表。
【
図4-1】特定の実施形態による、活動性RAを有する9人の対象からの例示的なグローバルMARTAD値を示す表。
【
図4-2】特定の実施形態による、活動性RAを有する9人の対象からの例示的なグローバルMARTAD値を示す表。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書では、範囲は、「約」ある特定の値から、および/または「約」別の特定の値までとして表すことができる。こうした範囲が表される場合、さらなる態様は、ある特定の値から、および/または他の特定の値までを含む。同様に、値が近似値として表される場合、先行詞「約」の使用によって、特定の値がさらなる態様を形成することが理解されよう。各範囲の終点は、他の終点に関連して、および他の終点とは独立して、重要であることがさらに理解されよう。また、本明細書に開示されている多くの値があり、各値はまた、値自体に加えて、その特定の値について「約」として本明細書に開示されていることも理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。また当然のことながら、二つの特定のユニット間の各ユニットも開示されている。例えば、10および15が開示される場合、11、12、13、および14も開示される。
【0015】
本明細書に開示される特定の材料、化合物、組成物、および成分は、商業的に入手するか、または当業者に公知の技術を使用して容易に合成することができる。例えば、開示された化合物および組成物を調製するのに使用される出発材料および試薬は、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee、Wis.)、Acros Organics(Morris Plains、N.J.)、Fisher Scientific(Pittsburgh、Pa.)、またはSigma(St.Louis、Mo.)などの商業供給業者から入手可能であるか、またはFieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis、第1~17巻(John Wiley and Sons,1991年)、Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds、第1~5巻および補足巻(Elsevier Science Publishers、1989年)、Organic Reactions、第1~40巻(John Wiley and Sons、1991年)、March’s Advanced Organic Chemistry(John Wiley and Sons、第4版)、およびLarock’s Comprehensive Organic Transformations(VCH Publishers Inc.,1989年)などの参考文献に記載される手順に従って当業者に公知の方法によって調製されるかのいずれかである。
【0016】
本発明の組成物を調製するために使用される成分、ならびに本明細書に開示される方法内で使用される組成物自体が開示される。これらおよび他の材料が本明細書に開示されており、これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、群などが開示される場合、これらの化合物のそれぞれの様々な個別および集合的な組み合わせおよび順列の特定の参照を明示的に開示することはできないが、各々が具体的に意図され、本明細書に記載されることが理解される。例えば、特定の化合物が開示および論じられ、その化合物を含む若干数の分子に対して行うことができる改変の数が論じられる場合、具体的に考えられるのは、特に反対の指示がない限り可能な、化合物および改変のありとあらゆる組み合わせおよび順列である。したがって、分子A、B、およびCのクラスが開示されており、かつ分子D、E、およびFのクラスならびに組み合わせ分子の例であるA-Dが開示されている場合、各々が個別に列挙されていなくても、各々が個別にかつ集合的に意図された意味の組み合わせであり、A-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E、およびC-Fは開示されているとみなされる。同様に、これらの任意のサブセットまたは組み合わせも開示されている。したがって、例えば、A-E、B-F、およびC-Eのサブグループが開示されるとみなされるであろう。この概念は、本発明の組成物を作製および使用する方法の工程を含むがこれに限定されない、本出願のすべての態様に適用される。したがって、実施され得る様々な追加的工程がある場合、これらの追加的工程の各々は、本発明の方法の任意の特定の実施形態または実施形態の組み合わせを用いて実施できることが理解される。
【0017】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容可能な担体」または「担体」は、滅菌水溶液または非水溶液、コロイド、分散液、懸濁液、またはエマルション、ならびに使用直前に滅菌注射用溶液または分散液に再構成するための滅菌粉末を指す。好適な水性および非水性担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、カルボキシメチルセルロース、およびそれらの好適な混合物、植物油(オリーブオイルなど)、およびオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティング材料の使用、分散液の場合に必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。これらの組成物はまた、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などのアジュバントを含有してもよい。微生物の作用の防止は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などの様々な抗菌剤および抗真菌剤の含有によって確保され得る。また、糖、塩化ナトリウムなどの等張剤を含めることが望ましい場合もある。注射用医薬品形態の長期吸収は、吸収を遅らせるモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの薬剤の含有によってもたらされ得る。注射用デポー形態は、ポリラクチド-ポリグリコリド、ポリ(オルトエステル)、およびポリ(無水物)などの生分解性ポリマー中に薬剤のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって作製される。薬剤とポリマーとの比率、および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、薬物放出の速度を制御できる。デポー注射用製剤はまた、生体組織と適合性のあるリポソームまたはマイクロエマルションに薬物を封入することによっても調製される。注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルタを通して濾過することによって、あるいは滅菌剤を、使用直前に、滅菌水または他の滅菌注射用媒体に溶解または分散され得る、滅菌固体組成物の形態で組み込むことによって、滅菌することができる。適切な不活性担体は、ラクトースなどの糖を含み得る。望ましくは、活性成分の粒子の少なくとも95重量%は、0.01~10マイクロメートルの範囲の有効な粒径を有する。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「対象」または「患者」は、投与の標的、例えば動物を指す。したがって、本明細書に開示される方法の対象は、哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類、または両生類などの脊椎動物であってもよい。あるいは、本明細書に開示される方法の対象は、ヒト、非ヒト霊長類、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ウシ、ネコ、モルモット、または齧歯類であってもよい。この用語は、特定の年齢または性別を示すものではない。したがって、成人対象および新生児対象、ならびに胎児は、男女を問わず、網羅されることが意図される。一態様では、対象は哺乳類である。患者は、疾患または障害に罹患した対象を指す。用語「患者」は、ヒトおよび獣医学の対象を含む。開示された方法の一部の態様では、対象は、投与工程の前に、一つまたは複数のがん障害の治療が必要と診断されている。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「治療」は、疾患、病的状態、または障害を治癒、改善、安定化、または予防することを目的とした患者の医療管理を指す。この用語は、積極的治療、すなわち、疾患、病的状態、または障害の改善を特に目的とした治療を含み、また、原因治療、すなわち、関連する疾患、病的状態、または障害の原因の除去を目的とした治療を含む。さらに、この用語には緩和治療、すなわち、疾患、病的状態、または障害を治癒させるのではなく、症状の緩和を目的とした治療、予防治療、すなわち関連する疾患、病的状態、または障害の発症を最小限にする、または部分的もしくは完全に阻害することを目的とした治療、および補助的治療、すなわち関連する疾患、病的状態、または障害の改善を目的とした別の特定の療法を補充するために用いられる治療を含む。様々な態様では、この用語は、哺乳類(例えば、ヒト)を含む対象の任意の治療を網羅し、(i)疾患に罹患しやすいが、まだ疾患を有すると診断されていない対象において疾患が発生することを予防すること、(ii)疾患を阻害すること、すなわち、その発症を阻止すること、または(iii)疾患を緩和すること、すなわち、疾患の退行を引き起こすことを含む。一態様では、対象は霊長類などの哺乳類であり、さらなる態様では、対象はヒトである。用語「対象」はまた、飼育動物(例えば、ネコ、イヌなど)、家畜(例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギなど)、および実験動物(例えば、マウス、ウサギ、ラット、モルモット、ショウジョウバエなど)も含む。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「予防する」または「予防すること」は、特に事前措置によって、何かが起こるのを排除する、回避する、除去する、未然に防ぐ、阻止する、または妨害することを指す。本明細書で低減、阻害、または防止が使用される場合、別段の示唆がない限り、他の二つの用語の使用も明示的に開示されることが理解される。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「診断された」は、例えば、医師などの当業者による身体検査を受け、本明細書に開示される化合物、組成物、または方法によって診断または治療され得る状態を有することが判明したことを意味する。例えば、「関節リウマチと診断された」は、例えば医師などの当業者による身体検査を受け、関節の炎症および/またはそれに関連する疼痛を軽減することができる化合物または組成物によって診断または治療することができる状態を有することが判明したことを意味する。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「投与すること」および「投与」は、対象に医薬調製物を提供する任意の方法を指す。かかる方法は、当業者に周知であり、経口投与、経皮投与、吸入による投与、経鼻投与、局所投与、膣内投与、眼内投与、耳内投与、脳内投与、直腸投与、舌下投与、バッカル投与、ならびに静脈内投与、動脈内投与、侵襲による特定器官への投与、筋肉内投与、腫瘍内投与、および皮下投与などの注射用を含む非経口投与が挙げられるが、これらに限定されるものではない。投与は、連続的または断続的であり得る。様々な態様では、調製物は、治療的に投与されてもよく、すなわち、既存の疾患または状態を治療するために投与されてもよい。さらに様々な態様では、調製物は、予防的に投与されてもよく、すなわち、疾患または状態の予防のために投与されてもよい。
【0023】
「チルマノセプト」は、LYMPHOSEEK(登録商標)診断剤の非放射性標識前駆体を指す。チルマノセプトはマンノシルアミノデキストランである。これは、複数のアミノ末端リーシュ(-O(CH2)3S(CH2)2NH2)がコアグルコース要素に付着しているデキストラン骨格を有する。さらに、マンノース部分は、いくつかのリーシュのアミノ基にコンジュゲートされ、キレート剤ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)は、マンノースを含有しない他のリーシュのアミノ基にコンジュゲートされてもよい。チルマノセプトは概して、デキストラン骨格を有し、ここで複数のグルコース残基はアミノ末端リーシュ:
【0024】
【0025】
を含み、マンノース部分は、アミジンリンカー:
【0026】
【0027】
を介して、リーシュのアミノ基とコンジュゲートしており、キレート剤ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)は、アミドリンカー:
【0028】
【0029】
である。
チルマノセプトは、デキストラン3-[(2-アミノエチル)チオ]プロピル17-カルボキシ-10,13,16-トリス(カルボキシメチル)-8-オキソ-4-チア-7,10,13,16-テトラアザヘプタデカ-1-イル3-[[2-[[1-イミノ-2-(D-マンノピラノシルチオ)エチル]アミノ]エチル]チオ]プロピルエーテル錯体の化学名を有し、チルマノセプトTc99mは、以下の分子式:[C6H10O5]n.(C19H28N4O9S99mTc)b.(C13H24N2O5S2)c.(C5H11NS)aを有し、3~8のコンジュゲートしたDTPA分子(b)、12~20のコンジュゲートしたマンノース分子(c)、および0~17のアミン側鎖(a)を遊離したまま含有している。チルマノセプトは、以下の一般構造を有する。
【0030】
【0031】
特定のグルコース部分は、付着したアミノ末端リーシュを有していない場合がある。
本明細書では、関心のある特定の解剖学的領域におけるマクロファージが関与する疾患活動性の量を定量化し、マクロファージの関与が経時的に、および治療に応答してどのように変化するかを定量的に決定する方法が開示されている。本明細書に記載の特定の実施形態は、関心のある特定部位での炎症におけるマクロファージの関与を定量化するための造影剤、Tc99m-チルマノセプトの使用を開示する。チルマノセプトは、マンノース受容体CD206に対して高い親和性および特異性を有するマンノシル化デキストラン合成分子構築物である。特定の実施形態は、RA患者の手および手首の炎症を起こした関節におけるマクロファージの関与を定量化することを開示する。しかしながら、開示された方法の有用性は、これらの例に限定されない。本発明は、任意のマンノシル化デキストラン構築物を使用して炎症部位でのマクロファージの関与を定量化する方法を記述し、これは多くの様々な放射性同位体または蛍光性部分とのコンジュゲーションまたは会合を介して検出することができる。直ちに開示される方法は、がんおよびアテローム性動脈硬化症を含む、RA以外の多くの病態におけるマクロファージの関与を評価するのに有用である。
【0032】
特定の実施形態では、開示された方法は、RA患者のすべての、または実質的にすべての関連する関節にわたって、グローバルなマクロファージが関与する疾患活動性を測定する。典型的なRA患者では、評価した関節のかなりの部分が疾患活動性に関与しているが、評価した関節のすべてが関与していることはまれである(すなわち、RAが炎症を引き起こした)。経時的に、任意の個々の関節における疾患活動性は増加または減少することがあり、以前は関与していなかった関節がRA炎症を発症する場合がある。本発明では、全関節にわたるマクロファージ媒介性RA疾患の関与の量を評価し定量化する方法が開示されている。この方法は、RA患者の疾患活動性を経時的に監視し、新たに開始されたRA療法に対する応答の定量的測定を提供するのに有用である。さらに、評価したすべての関節にわたるマクロファージの関与の程度を定量的かつグローバルに測定することは、個々のRA患者が多くのRA療法のうちどの治療法に最も反応する可能性が高いかを選択することを容易にし得る。
【0033】
本明細書では、対象の一つまたは複数の関節の炎症におけるマクロファージの関与を評価する組成物および方法が開示される。特定の態様では、開示された方法は、マンノシル化デキストラン構築物およびそれにコンジュゲートされた放射性撮像部分を含む組成物を対象に投与する工程と、対象の第一の関節の一つまたは複数の平面画像を取得する工程と、第一の関節を含む関心領域(ROI)を画定する工程と、ROIにほぼ隣接する領域を含むROIと実質的に類似したサイズの関節特異的参照領域(RR)を画定する工程と、RRの平均ピクセル強度に対するROIの平均ピクセル強度の比率を評価することによって、関節のMARTAD値を決定する工程と、第一の関節のMARTADを、対応する関節の正常なMARTAD値と比較する工程であって、正常なMARTAD値は、複数の健康な対象からの対応する関節のMARTAD値を平均することから導出され、マクロファージの関与は、関節特異的MARTAD値が正常なMARTAD値を所定の閾値だけ超えることによって示される、比較する工程と、を含む。特定の態様では、本方法は、対象の一つまたは複数の追加の関節の一つまたは複数の平面画像を取得し、一つまたは複数の追加の関節に関して前述の工程を繰り返すことをさらに含む。
【0034】
(マンノシル化デキストラン構築物)
特定の態様では、本明細書に開示される化合物は、それにコンジュゲートされたマンノース結合C-レクチン型受容体標的化部分(例えば、マンノース)を有するポリマー(例えば、炭水化物)骨格を含む担体構築物を使用して、一つまたは複数の活性治療剤を送達する。こうした構築物の例として、マンノシルアミノデキストラン(MAD)が挙げられ、これは、骨格のグルコース残基にコンジュゲートされたマンノース分子を有し、骨格のグルコース残基にコンジュゲートされた活性医薬品成分を有する、デキストラン骨格を含む。チルマノセプトは、MADの特定の例である。DTPAがコンジュゲートしていないチルマノセプトであるチルマノセプト誘導体は、MADのさらなる例である。
【0035】
特定の実施では、本開示は、一つまたは複数のマンノース結合C型レクチン受容体標的化部分、およびそれに付着した一つまたは複数の治療剤を有する、デキストランベースの部分または骨格を含む化合物を提供する。デキストランベースの部分は概して、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許 第6,409,990号(’990特許)に記載されているものと類似のデキストラン骨格を含む。したがって、骨格は、主にα-1,6グリコシド結合によって連結された複数のグルコース部分(すなわち、残基)を含む。その他の連結、例えば、α-1,4および/またはα-1,3結合も存在し得る。いくつかの実施形態では、すべての骨格部分が置換されているわけではない。いくつかの実施形態では、マンノース結合C型レクチン受容体標的化部分は、デキストラン骨格のグルコース残基の約10%~約50%、またはグルコース残基の約20%~約45%、またはグルコース残基の約25%~約40%に付着している。
【0036】
さらなる態様によれば、マンノース結合C型レクチン受容体標的化部分は、マンノース、フコース、およびn-アセチルグルコサミンから選択されるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、標的化部分は、デキストラン骨格のグルコース残基の約10%~約50%、またはグルコース残基の約20%~約45%、またはグルコース残基の約25%~約40%に付着している。本明細書で参照されるMW、ならびにデキストラン骨格に付着している受容体基質、リーシュ、および診断/治療部分のコンジュゲーションの数および程度は、合成技術がいくらかの変動をもたらすため、担体分子の所与の量の平均量を指す。
【0037】
特定の実施形態によれば、一つまたは複数のマンノース結合C型レクチン受容体標的化部分および一つまたは複数の検出可能な薬剤(例えば、放射標識された撮像部分)は、リンカーを介してデキストランベース部分に付着する。リンカーは、骨格部分の約50%~約100%、または約70%~約90%で付着していてもよい。リンカーは、同一であっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは、アミノ末端リンカーである。いくつかの実施形態では、リンカーは、-O(CH2)3S(CH2)2NH-を含んでもよい。いくつかの実施形態では、リンカーは、炭素、酸素、硫黄、窒素、およびリンから選択される1~20員の原子の鎖であってもよい。リンカーは、直鎖または分岐であってもよい。リンカーはまた、限定されるものではないが、ハロ基、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基、C1-4アルキルなどのアルキル基、 C1-4アルケニルなどのアルケニル基、C1-4アルキニルなどのアルキニル基、ヒドロキシ基、オキソ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アルコキシ基、ニトロ基、アジドアルキル基、アリールまたはヘテロアリール基、アリールオキシまたはヘテロアリールオキシ基、アラルキルまたはヘテロアラルキル基、アラルコキシまたはヘテロアラルコキシ基、 HO-(C=O)-基、ヘテロ環基、シクロアルキル基、アミノ基、アルキル-およびジアルキルアミノ基、カルバモイル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルアミノカルボニル基、ジアルキルアミノカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、-NH-NH2、=N-H、=N-アルキル、-SH、-S-アルキル、-NH-C(O)-、-NH-C(=N)-などを含む、一つまたは複数の置換基で置換され得る。当業者には明らかであるように、他の適切なリンカーも可能である。
【0038】
開示された化合物は、撮像部分または検出可能な標識を含み得る。本明細書で使用される場合、用語「撮像部分」は、(1)担体分子に付着することができ、(2)ヒトまたは他の哺乳類対象に対して非毒性であり、かつ(3)直接的または間接的に検出可能なシグナル、特に測定できるだけでなく、その強度が撮像部分の量に関連する(例えば、比例する)シグナルを提供する、原子、同位体、または化学構造を意味する。シグナルは、分光、電気、光学、磁気、聴覚、無線シグナル、または触診検出手段を含む、任意の適切な手段によって検出され得る。
【0039】
撮像部分としては、以下に限定されないが、放射活性同位体(放射性同位体)、蛍光性分子(別名蛍光色素およびフルオロフォア)、化学発光試薬(例えば、ルミノール)、生物発光試薬(例えば、ルシフェリンおよび緑色蛍光性タンパク質(GFP))、ならびに金属(例えば、金ナノ粒子)が挙げられる。好適な撮像部分は、撮像方法の選択に基づいて選択され得る。例えば、検出標識は、光学撮像のための近赤外蛍光性染料、MRI撮像のためのガドリニウムキレート、PETもしくはSPECT撮像のための放射性核種、またはCT撮像のための金ナノ粒子であってもよい。
【0040】
撮像部分は、例えば、放射性核種、放射線造影剤、常磁性イオン、金属、蛍光性標識、化学発光標識、超音波造影剤、光活性剤、またはそれらの組み合わせから選択され得る。撮像部分の非限定的な例としては、110In、111In、177Lu、18F、52Fe、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、86Y、90Y、89Zr、94mTc、94Tc、99mTc、120I、123I、124I、125I、131I、154-158G、32P、11C、13N、15O、189Re、188Re、51Mn、52mMn 55Co、72As、76Br、82mRb、83Sr、117mSnなどの放射性核種または他のガンマ-、ベータ-、もしくは陽電子放射体が挙げられる。放射性同位体からのガンマ放射は、ガンマ粒子検出装置を使用して検出することができる。いくつかの実施形態では、ガンマ粒子検出装置は、Gamma Finder(登録商標)装置(SenoRx、Irvine Calif.)である。いくつかの実施形態では、ガンマ粒子検出装置は、Neoprobe(登録商標)GDSガンマ検出システム(Dublin、Ohio)である。
【0041】
使用する常磁性イオンは、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(H)、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)、銅(II)、ネオジム(III)、サマリウム(III)、イッテルビウム(III)、ガドリニウム(III)、バナジウム(II)、テルビウム(III)、ジスプロシウム(III)、ホルミウム(III)、またはエルビウム(III)を含み得る。金属造影剤は、ランタン(III)、金(III)、鉛(II)、またはビスマス(III)を含み得る。超音波造影剤は、ガス充填リポソームなどのリポソームを含み得る。
【0042】
その他の適切な標識には、例えば、蛍光性標識(GFPおよびその類似体、フルオレセイン、イソチオシアネート、ローダミン、フィコエリトリン、フィコシアニン、アロフィコシアニン、o-フタルデヒド、ならびにEuまたはランタニド系由来のその他の金属などのフルオレスカミンおよび蛍光性金属など)、近赤外色素、量子ドット、リン光標識、化学発光標識、または生物発光標識(例えば、管腔、イソルミノール、セロマチックアクリジニウムエステル、イミダゾール、アクリジニウム塩、シュウ酸エステル、またはジオキセタン)が挙げられる。
【0043】
特定の態様では、マンノシル化デキストラン構築物は、Tc99m-チルマノセプトである。これらの実施形態の例示的な実施では、Tc 99mチルマノセプトの意図される投与経路は静脈内(IV)である。いくつかの実施形態では、IV配置の部位は、左または右の肘前静脈である。いくつかの実施形態では、IV配置の部位は、肘と手首との間である。いくつかの実施形態では、IVで投与されるチルマノセプトの量は、約50μg~約400μgである。いくつかの実施形態では、Tc99mの放射標識は、約1mCi~約10mCiの範囲である。いくつかの実施形態では、Tc99mチルマノセプトは、一回の用量でIV投与される。いくつかの実施形態では、Tc99mチルマノセプトは、複数回の用量でIV投与される。いくつかの実施形態では、Tc99mチルマノセプトの投与後、滅菌生理食塩水が投与される。さらなる態様では、Tc99m-チルマノセプト投与から対象の画像取得までの時間は、約15分~約6時間である。
【0044】
(一つまたは複数の平面画像の取得)
特定の実施形態によれば、マンノシル化デキストラン化合物の投与後、画定された時間間隔の後に、一つまたは複数の平面画像が取得される。いくつかの実施形態では、投与と画像取得との間の時間は、約15分~約6時間である。いくつかの実施形態では、投与と画像取得との間の時間は、約15分~約3時間である。いくつかの実施形態では、投与と画像取得との間の時間は、約1時間~約3時間、またはそれ以上である。いくつかの実施形態では、投与と画像取得との間の時間は、約4時間~約6時間、またはそれ以上である。
【0045】
いくつかの実施形態では、分析用の平面画像を取得するために使用されるカメラは、15%のウィンドウ(15%の設定が利用できない場合は20%を使用できる)を有する低エネルギー高解像度のコリメータを備えた、デュアルヘッドSPECTまたはSPECT/CTカメラであり、Tc99m-チルマノセプトが投与される特定の実施では、140keVのピークを中心としている。いくつかの実施形態では、最先端の2ヘッドカメラ(公称20’’x15’’FOV)を使用して、500万~700万カウントの標的が取得される。さらなる実施によると、シングルヘッドカメラが画像取得に使用される。特定の代替的な実施形態によれば、画像取得期間は、計数ではなく時間に基づく。例示的な実施では、画像取得は、例えば、約5~約20分のウィンドウの間に発生する。より短いまたはより長い期間が可能である。特定の実施形態では、全身スキャンが行われる。さらなる実施形態では、手のみ、足のみ、または手と足のみがスキャンされる。前述の実施形態では、手および/または足のみがスキャンされる場合、画像取得時間は、全身がスキャンされるよりも一般的に短い期間である。
【0046】
(ROIを画定する)
特定の実施形態によれば、画像取得後、一つまたは複数の関心領域(ROI)が画定される。特定の態様では、ROIは、評価される解剖学的領域(例えば、関節)を含む、全画像のピクセルのサブセットである。特定の実施形態では、ROIは、医療従事者によって画定される。代替的な実施形態では、ROIは、コンピュータ実装アルゴリズムによって、またはコンピュータ実装アルゴリズムの支援によって画定される。これらの実施形態の例示的な態様では、このアルゴリズムは、機械学習を用いて、ROI選択の精度を高めている。
【0047】
いくつかの実施形態では、中間閾値は、ROIを選択するために使用される。いくつかの実施形態では、ROIは、領域を描画することによって手動で選択される。いくつかの実施形態では、例えば、RAでは、ROIは関節の周りに手動で描画される。いくつかの実施形態では、手動ROIは、関節の周りにしっかりと描かれて、外部の軟組織からの潜在的なシグナル希釈を最小限に抑えている。これらのROIから、ROI内の疾患特異的活性化マクロファージ活動の定量化を表す、ピクセル強度の平均値および/または最大値が取得される。
【0048】
医療画像の定量化には、いくつかの商業的およびオープンソースのパッケージが利用可能である。例えば、ImageJは、Macintosh(登録商標)、Linux(登録商標)、およびWindows(登録商標)オペレーティングシステムと互換性のある、国立衛生研究所(NIH)によって開発された、オープンアーキテクチャのJavaベースのプログラムである。画定された領域からの面積およびピクセル値の統計の計算、真の定量的データを修正することなく、視覚化を向上させるための画像ウィンドウ機能(すなわち、輝度/コントラストの調整)、ならびに画像または選択部分のカット、コピー、またはペーストする能力を含む処理機能が装備されている。ImageJは、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)画像を含む、さまざまな画像ファイル拡張子を開き、保存することができる。
【0049】
(RRを画定する)
特定の態様では、本開示の方法は、参照領域を画定することを含む。例示的な実施形態では、参照領域は関節特異的参照領域である。すなわち、選択された参照領域は、解剖学的近接性および/またはサイズの観点から、ROIに特異的に一致する。特定の実施によれば、関節特異的RRはROIに隣接している。さらなる実施では、RRはROIにほぼ隣接している。これらの実施形態の例示的な実施では、RRは、ROIの最も近い縁から約3つのROI直径以下である。さらなる実施では、RRは、ROIの最も近い縁から約2つのROI直径以下である。
【0050】
特定の実施形態によれば、関節特異的参照領域は、ROIと同じサイズ、または実質的に同じサイズである。
特定の代替的実施形態、具体的には、ROIが手または足の関節の一つまたは複数である特定の実施形態によれば、RRは、手または足の複数の関節を含む領域から、RR内のROIのピクセル強度値を差し引いたものとして画定される。これらの実施形態の特定の実施によれば、RRは、手全体からMCPおよびPIPのピクセル強度を差し引いたものとして画定される。さらなる実施形態では、RRは、MCPおよび/またはPIPのサブセットを含む領域から、RR領域に含まれるMCPおよびPIPのピクセル強度を差し引いたものとして画定される。ある特定の実施では、これらのより大きなMCP特異的参照領域は、より小さな関節特異的参照領域よりも、個々のMCPと比較して観察変動が少ない場合がある。PIPおよび手首関節クラスに対して、類似の関節型特異的参照領域を描画することができる。参照領域での観察変動を低減することによって、関節特異的MARTAD値の観察変動を低減することができる。
【0051】
(MARTAD値を決定する)
特定の態様では、ROIおよびRRのピクセル強度を使用して、正規化された領域特異的マンノース受容体標的局在決定(MARTAD)値を導出する。MARTAD値は、平面画像の疾患活動性に起因する可能性がある造影剤の局在化量の定量的指標である。広く定義すると、MARTAD値は、RRの平均ピクセル強度に対するROIの平均ピクセル強度の比率を評価することによって決定される。特定の代替的な実施形態では、MARTAD値は、RRの最大ピクセル強度に対するROIの最大ピクセル強度の比率を評価することによって決定される。
【0052】
ピクセル強度の決定は、当技術分野で公知の医療画像の定量化のために利用可能な多くの商業的およびオープンソースのパッケージを介して行うことができる。例えば、RadiAnt DICOMビューアソフトウェア(v.5.0.2)である。あるいは、ImageJプログラムを使用して、ROIおよびRRを定量化し、面積および強度の値をピクセル統計として要約することができる。これらのピクセル統計には、ROIおよび/またはRRのピクセル面積、平均強度、最小強度、最大強度、および中央値強度が含まれる。
【0053】
(マクロファージの関与を決定する)
一つまたは複数の関節に対するMARTAD値の決定に続いて、MARTAD値を使用して、第一の関節のMARTADを対応する関節の正常なMARTAD値(例えば、RAのRtPIP2対健康なRtPIP2)と比較することによって、マクロファージの関与を決定することができる。特定の実施では、正常なMARTAD値は、健康な対象(例えば、RAに罹患していない)のプールから各関節のMARTAD値を集計することによって決定される。例示的な実施では、健康な対象のプールでの関節特異的RRを定義する方法は、患者集団に使用されるものと同一である。対象におけるマクロファージの関与は、所定の閾値によって正常なMARTAD値を超える関節特異的MARTAD値によって示される。特定の実施では、対象の関節のMARTAD値が、複数の健康な対象からの対応する関節の平均MARTAD値の二つの標準偏差以上であるときに、所定の閾値を超える。特定の代替的な実施では、所定の閾値の対象の関節のMARTAD値は、複数の健康な対象からの対応する関節の平均MARTAD値の95%信頼区間よりも大きい。
【0054】
特定の実施形態によると、本方法は、対象のグローバルMARTAD値を決定することをさらに含む。これらの実施形態では、グローバルMARTAD値は、所定の閾値および対応する関節の正常なMARTAD値を超える対象の関節のそれぞれの差の合計を定量化することによって決定される。グローバルMARTAD値は、少なくとも以下の点において、RA患者を管理する人々に有用性を提供する。第一に、RA炎症にマクロファージの関与が低いRA患者は、特定のRA療法に反応する可能性が低い場合がある。グローバルMARTAD値は、これらの治療法が最も効果的である可能性が高いRA患者の特定を容易にする。第二に、マクロファージ数は急速に減少し、新たに開始された治療に反応するRA患者の臨床症状が軽減する前に、MARTAD値の変化により、治療が効果的であるという早期の定量的指標を提供することができる。第三に、グローバルMARTAD値は定量的であるため、マクロファージがRA炎症に関与している程度について、RA患者を経時的にモニタリングする客観的手段を提供する。
【0055】
さらなる態様によれば、関節およびその関節特異的参照領域の少なくとも前方画像および後方画像を含む平面画像が評価される。これらの実施形態の例示的な態様では、対象のMARTAD値は、前方画像および後方画像から決定されたMARTAD値を平均することによって決定される。さらなる例示的な態様では、MARTAD値は、前方ビューおよび後方ビューの両方で評価されたすべての関節について計算され、より高いMARTAD値が、さらなる解析のために受け入れられる。さらなる例示的な態様では、単一の平面画像を使用して、所定の閾値の20%以内であるMARTAD値を有する各関節について、MARTAD値は、前方および後方の平面画像を使用して再計算される。
【0056】
本明細書にさらに開示されるのは、マンノシル化デキストラン構築物およびそれにコンジュゲートされた撮像部分を含む組成物を対象に投与することと、炎症が疑われる対象において複数の関節を選択することと、複数の関節のそれぞれの一つまたは複数の平面画像を取得することと、各関節画像について、関節を含む関心領域(ROI)を画定することと、各関節について、ROIにほぼ隣接する領域を含む、ROIと実質的に類似したサイズの関節特異的参照領域(RR)を画定することと、各関節について、RRの平均ピクセル強度に対するROIの平均ピクセル強度の比率を評価することによって、関節のMARTAD値を決定することと、各関節について、関節のMARTADを、対応する関節の正常なMARTAD値と比較することであって、正常なMARTAD値は、複数の健康な対象からの対応する関節のMARTAD値を平均することから導出され、マクロファージの関与は、関節特異的MARTAD値が正常なMARTAD値を所定の閾値だけ超えることによって示される、比較することと、所定の閾値および対応する関節の正常なMARTAD値を超える対象の関節のそれぞれの差の合計を決定することによって、対象のグローバルMARTAD値を決定することと、を含む、関節リウマチ(RA)と診断された対象においてマクロファージ媒介性関節炎症を定量化する方法である。
【0057】
本明細書にさらに開示されるのは、マンノシル化デキストラン構築物およびそれにコンジュゲートされた撮像部分を含む組成物を対象に投与する工程と、炎症が疑われる対象において複数の関節を選択する工程と、複数の関節のそれぞれの一つまたは複数の平面画像を取得する工程と、各関節画像について、関節を含む関心領域(ROI)を画定する工程と、各関節について、ROIにほぼ隣接する領域を含む、ROIと実質的に類似したサイズの関節特異的参照領域(RR)を画定する工程と、各関節について、RRの平均ピクセル強度に対するROIの平均ピクセル強度の比率を評価することによって、関節のMARTAD値を決定する工程と、各関節について、関節のMARTADを、対応する関節の正常なMARTAD値と比較することであって、正常なMARTAD値は、複数の健康な対象からの対応する関節のMARTAD値を平均することから導出され、マクロファージの関与は、関節特異的MARTAD値が正常なMARTAD値を所定の閾値だけ超えることによって示される、比較する工程と、所定の閾値および対応する関節の正常なMARTAD値を超える対象の関節のそれぞれの差の合計を決定することによって、対象のグローバルMARTAD値を決定する工程と、一連の治療を対象に投与する工程と、を含む、RAと診断された対象の治療を管理する方法である。一連の治療後、本明細書に提供される方法を通して、グローバルMARTAD値を再評価する。特定の実施では、グローバルMARTAD値の減少は、一連の治療の有効性を示す。
【0058】
「一連の治療」は、RAの治療に効果的であることが当技術分野で公知の任意の治療とすることができる。例えば、従来的に周知の治療薬には、生物学的製剤、非ステロイド性抗炎症薬(抗炎症鎮痛剤)、ステロイド薬、および免疫抑制剤が含まれる。生物学的製剤には、キメラ抗TNF-アルファ抗体製剤、可溶性TNF受容体、完全ヒト抗TNF-アルファ抗体製剤、および抗-IL-6受容体抗体製剤が含まれる。非ステロイド性抗炎症薬には、プロスタグランジン合成阻害剤が含まれる。より具体的には、本発明による関節リウマチの治療薬としては、以下に限定されないが、メトトレキサート(MTX)、インフリキシマブ(IFX)、エタネルセプト(ETN)、トシリズマブ(TCZ)、アダリムマブ(ADA)、およびアバタセプト(ABT)が挙げられる。
【0059】
特定の実施形態では、グローバルMARTADスコアの治療による変化は、対象の臨床症状の変化と併せて評価される。特定の実施では、疾患活動性スコア(DAS)(Fransen & van Riel Clin Exp Rheumatol 23:S93-S99 2005)が使用される。DASは、RAの身体的症状を含む、様々な検証された疾患活動性の尺度に基づいて、医師によって算出される。DASの低下は、疾患の重症度の低下を反映する。DAS28は、身体の28の関節を評価し、圧痛のある関節数および腫れのある関節数を決定する疾患活動性スコアである(Prevoo et al.Arthritis Rheum 38:44-48 1995)。American College of Rheumatology(ACR)は、RAの分類に関する一連の基準を提案した。一般的に使用される基準は、ACR 1987改訂基準である(Arnett et al.Arthritis Rheum.31:315-324 1988)。ACR基準によるRAの診断では、患者は、圧痛または腫れのある関節数、硬直、疼痛、X線の指標、および血清リウマチ因子の測定など、列挙された基準の最低数を満たす必要がある。個々の、患者が報告するRA患者における障害の尺度は、健康評価質問票障害指数(HAQ-DI)である。HAQ-DIスコアは、活動の実施において経験する困難の程度を含む、患者の報告による日常的な作業を行う能力の観点から、身体機能を表す。患者の日常活動実施能力を記録することにより、HAQ-DIスコアを、患者の生活の質の一つの尺度として使用することができる。いくつかの実施形態では、ピクセル強度値は、最大ピクセル強度値である。いくつかの実施形態では、ピクセル強度値は、平均ピクセル強度値である。
【実施例】
【0060】
以下の実施例は、当業者に、本明細書で特許請求される化合物、組成物、物品、装置および/または方法がどのように作製および評価されているかの特定の実施例の完全な開示および説明を提供するために提示されており、本発明の純粋な例示であることを意図しており、発明者がその発明とみなすものの範囲を限定することを意図するものではない。しかしながら、当業者であれば、本開示に照らして、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、開示される特定の実施形態において多くの変更を行うことができ、なおも同様のまたは類似の結果を得ることができることを認識すべきである。
【0061】
実施例に記載されたすべての結果は、10mCiの99m-テクネチウムで標識されたLymphoseek(登録商標)を静脈内(IV)に注射した対象から取得した画像から得られた。Lymphoseekは、チルマノセプトを有効成分とする市販の造影剤医薬品である。対象に注射されたチルマノセプトの質量用量は、125μg~400μgに変化した。別の研究(図示せず)では、この範囲にわたって質量用量を変化させても画質に影響を与えないことを示した。実施例で評価したすべての画像は、Tc99m-チルマノセプトのIV投与後45~75分で取得したが、同じ対象から注射後180~240分で取得した反復画像は、統計的に類似したMARTAD値を生成した。異なる撮像施設に設置された異なるガンマカメラが使用され、RA対象および健康な対照対象を撮像した。
図1および
図2に示す画像は、Siemens Symbia Intevoカメラを使用して取得した。画像取得時間は試験によって異なり、5~10分であった。MARTAD値は、この範囲内で変化する画像取得時間の影響を受けなかった。より短いまたはより長い画像取得時間も許容される場合がある。
【0062】
図1に最もよく示されているように、RA対象(上段:A、B、C)、またはRAのない健康な対照対象(下段:D、E、F)に、10mCiの99mテクネチウム(Tc99m)で標識された200(A)または400(その他すべて)マイクログラムのチルマノセプトを静脈内(IV)注射した。平面ガンマ画像を、注射の60分後に取得した。
【0063】
図2は、RAを有する対象の左および右の手の平面画像上に描かれた例示的なROI(関節)および関節特異的RRを示す。矢印は、手首およびMCP1のRRおよびRIOを示す。
【0064】
表1は、10mCiの99mTcで標識されたチルマノセプトをそれぞれ静脈内に注射した5人の健康な対象から計算された、データの平均MARTAD値およびそのS.D.の分析を示す。RA炎症におけるマクロファージの関与を決定するためのカットオフ値は、関節特異的平均より2S.D.以上大きいMARTAD値に設定される。
【0065】
表2は、
図3に示すように、活動性RAを有する9人の対象の画像から得られた観察されたMARTAD値の比較を示す。健康な対象で観察された関節特異的平均MARTAD値よりも2S.D.以上大きい値は、マクロファージが関与する炎症を有すると決定され、陰影をつけてある。
【0066】
表3は、
図4に示すように、RA対象におけるマクロファージ関与(MJI)を有するすべての関節の観察されたMARTAD値と、健康な対象において観察されたそれぞれの関節の関節特異的平均MARTADとの間の差異(Dif.)を決定することによって計算されるグローバルMARTAD値を示す。その後、これらの差異を、RA対象のすべてのMJIについて合計し、グローバルMARTAD値を決定した。この9人のRA対象のサンプルでは、グローバルMARTAD値は、対象9(MJIなし)の0.00から対象8の3.91の範囲である。
【0067】
【国際調査報告】