(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】スブチラーゼ変異体及びスブチラーゼ変異体を含む組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 9/56 20060101AFI20220309BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20220309BHJP
C12N 15/57 20060101ALN20220309BHJP
C12N 15/10 20060101ALN20220309BHJP
【FI】
C12N9/56
C11D3/386
C12N15/57 ZNA
C12N15/10 200Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542433
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 CN2020073760
(87)【国際公開番号】W WO2020156419
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2019/073398
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】500586299
【氏名又は名称】ノボザイムス アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】カオ ナン
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ トマス レンハート
(72)【発明者】
【氏名】カール ミケール バウア
(72)【発明者】
【氏名】エスペン ピーダ フリース
【テーマコード(参考)】
4B050
4H003
【Fターム(参考)】
4B050CC04
4B050DD02
4B050EE10
4B050HH02
4B050HH04
4B050LL04
4H003AB19
4H003AC08
4H003DA01
4H003DA05
4H003DA17
4H003DB02
4H003EA12
4H003EA15
4H003EA16
4H003EA28
4H003EB32
4H003EC01
4H003EC02
4H003FA28
(57)【要約】
向上した安定性を有するスブチラーゼ変異体、変異体を含む洗剤組成物、洗濯又は皿洗いなどの硬質表面クリーニングなどのクリーニングプロセスにおける、変異体及び洗剤組成物の使用、並びに変異体を生成するための方法が、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
置換X9R+X19L+X62Dを含むスブチラーゼ変異体であって、
(a)位置番号は、配列番号2のポリペプチドの位置に対応し;
(b)前記変異体は、プロテアーゼ活性を有し;及び
(c)前記変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%であるが、100%未満の配列同一性を有し;
ただし、前記変異体は、14位にヒスチジン残基を含まないことを条件とする、スブチラーゼ変異体。
【請求項2】
置換S9R+R19L+N62Dを含み、S3T、S3A、N43R、V68A、N76D、P131*、A194P、V205I、Q245R、S259D、N261D、及びR275Qからなる群から選択される少なくとも1つの改変をさらに含み、前記位置番号は、配列番号2のポリペプチドの位置に対応する、請求項1に記載のスブチラーゼ変異体。
【請求項3】
前記変異体は、以下からなる群:
・S3T+S9R+R19L+N62D+A194P;
・S3T+S9R+R19L+N62D+A194P+Q245R+S259D;
・S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+A194P+R275Q;
・S3T+S9R+R19L+N62D+P131*+A194P;
・S3T+S9R+R19L+N62D+P131*+A194P+Q245R+S259D;
・S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+A194P+R275Q;
・S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+A194P;
・S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+P131*+A194P.
・S3T+S9R+R19L+N62D+Q245R+S259D;
・S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+R275Q;
・S3T+S9R+R19L+N62D+P131*;
・S3T+S9R+R19L+N62D+P131*+Q245R+S259D;
・S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+R275Q;
・S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D;
・S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+Q245R+S259D;
・S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+P131*;
・S9R+A15T+G61E+N62D+V68A+A194P+V205I+Q245R+N261D;
・S9R+A15T+G61E+V68A+A194P+V205I+Q245R+S259D+N261D;
・S9R+R19L+N43R+N62D+R275Q;
・S9R+R19L+N62D+P131*;
・S3A+S9R+R19L+N62D+Q245R+S259D;
・S3A+S9R+R19L+N62D+A194P;
・S9R+R19L+N43R+N62D+Q245R+S259D+R275Q;
・S9R+R19L+N62D+P131*+Q245R+S259D;
・S9R+R19L+N43R+N62D+A194P+R275Q;
・S9R+R19L+N62D+P131*+A194P:
・S9R+R19L+N43R+N62D+N76D;
・S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+Q245R+S259D+R275Q;
・S3A+S9R+R19L+N62D+P131*+Q245R+S259D;
・S3A+S9R+R19L+N62D+A194P+Q245R+S259D;
・S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+R275Q;
・S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+A194P+R275Q;
・S3A+S9R+R19L+N62D+P131*+A194P;
・S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D;
・S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+Q245R+S259D+R275Q;
・S9R+R19L+N43R+N62D+A194P+Q245R+S259D+R275Q;及び
・S9R+R19L+N62D+P131*+A194P+Q245R+S259D
から選択される改変のセットを含む、請求項2に記載のスブチラーゼ変異体。
【請求項4】
前記変異体は、改変の前記セットの1つを有する配列番号1を含むか又はそれからなる、請求項3に記載のスブチラーゼ変異体。
【請求項5】
前記変異体は、置換X3T+X9R+X19L+X62D+X194Pを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のスブチラーゼ変異体。
【請求項6】
置換S3T+S9R+R19L+N62D+A194Pを含む、請求項5に記載のスブチラーゼ変異体。
【請求項7】
前記変異体は、前記置換S3T+S9R+R19L+N62D+A194Pを有する配列番号1を含むか又はそれからなる、請求項5又は6に記載のスブチラーゼ変異体。
【請求項8】
N43R、N76D、P131*、Q245R、S259D、及びR275Qからなる群から選択される少なくとも1つの改変をさらに含み、位置番号は、配列番号2のポリペプチドの位置に対応する、請求項5~7のいずれか一項に記載のスブチラーゼ変異体。
【請求項9】
置換Q245R+S259Dを含む、請求項8に記載のスブチラーゼ変異体。
【請求項10】
前記変異体は、前記置換S3T+S9R+R19L+N62D+A194P+Q245R+S259Dを有する配列番号1を含むか又はそれからなる、請求項9に記載のスブチラーゼ変異体。
【請求項11】
前記変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも85%、たとえば少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のスブチラーゼ変異体。
【請求項12】
前記変異体は、置換S9R+P14H+R19L+N62Dを有する配列番号1を有する参照プロテアーゼと比較して、向上した安定性を有する、たとえば、前記変異体は、本明細書における実施例2において記載される低pHアッセイ及び/又は高pH+LASアッセイにおいてテストされた場合に、前記参照プロテアーゼと比較して、向上した安定性を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のスブチラーゼ変異体。
【請求項13】
前記変異体は、たとえば、本明細書における実施例3において記載されるように、10nM又は20nMのプロテアーゼ濃度を使用するAMSAアッセイにおいてテストされた場合に、配列番号1のポリペプチドと比較して、EMPA117EHに対して向上した洗浄性能を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載のスブチラーゼ変異体。
【請求項14】
以下を含む顆粒:
(a)請求項1~13のいずれか一項に記載のスブチラーゼ変異体を含むコア及び任意選択で
(b)前記コアを取り囲む1つ又は複数の層からなるコーティング。
【請求項15】
請求項1~13のいずれか一項に記載のスブチラーゼ変異体又は請求項14に記載の顆粒及び少なくとも1つの洗剤成分を含む洗剤組成物。
【請求項16】
洗濯又は皿洗いなどの硬質表面クリーニングなどのクリーニングプロセスにおける、請求項1~13のいずれか一項に記載のスブチラーゼ変異体、請求項14に記載の顆粒、又は請求項15に記載の洗剤組成物の使用。
【請求項17】
たとえば洗濯のための又は皿洗いなどの硬質表面クリーニングのためのクリーニングの方法であって、対象物をクリーニングするのに好適な条件下で、請求項1~13のいずれか一項に記載のスブチラーゼ変異体、請求項14に記載の顆粒、又は請求項15に記載の洗剤組成物と前記対象物を接触させることを含む方法。
【請求項18】
スブチラーゼ変異体を得るための方法であって、
(a)配列番号1と比較して突然変異X9R+X19L+X62Dを含む親プロテアーゼの変異体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供すること、ここで位置番号は、配列番号2のポリペプチドの位置に対応し、前記変異体は、プロテアーゼ活性及び少なくとも80%であるが、100%未満の配列番号1に対する配列同一性を有し、ただし、前記変異体は、14位にヒスチジン残基を含まないことを条件とする;
(b)前記変異体の発現に好適な条件下で前記宿主細胞を培養すること;並びに
(c)前記変異体を回収すること、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表の参照
本出願は、コンピュータ読み取り可能な形態の配列表を含んでおり、これは本明細書において参照により援用される。
【0002】
本発明は、スブチラーゼ変異体、変異体を含む組成物、変異体をコードするポリヌクレオチド、変異体を生成するための方法、並びに変異体及び組成物を使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
スブチリシンは、MEROPSデータベース(https://www.ebi.ac.uk/merops/index.shtml)によって定義されるように、ファミリーS8由来の、特にサブファミリーS8A由来のセリンプロテアーゼである。サブファミリーS8Aにおいて、鍵となる活性部位残基Asp、His、及びSerは、典型的に、S8Bサブファミリーのモチーフとは異なるモチーフ中に見つけられる。
【0004】
洗剤業界において、酵素は、何十年もの間、洗浄製剤中に組み込まれてきた。このような製剤において使用される酵素は、プロテアーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、セルラーゼ、マンノシダーゼ、及び他の酵素又はその混合物を含む。商業的に、最も重要な酵素は、プロテアーゼである。
【0005】
たとえば洗濯及び皿洗い洗剤用に商業的に使用される数が増加しつつあるプロテアーゼは、天然野生型プロテアーゼのタンパク質改変変異体であり、さらに、親スブチラーゼと比べて、よりすぐれた洗浄性能、熱安定性、貯蔵安定性、又は触媒活性などの向上をもたらす改変を有する他のスブチラーゼ変異体が、当技術分野において記載されている。
【0006】
しかしながら、種々の要因が、プロテアーゼのさらなる向上を有利なものにする。たとえば、温度及びpHなどの洗浄条件は、次第に変化する傾向があり、世界の国又は地域が異なると異なり、多くの汚れは、従来の洗浄条件下では完全に除去することがなお難しい。これらの組成物の化学成分並びにpH、温度、及び湿度の条件が、酵素を不活性化する傾向が往々にしてあるので、洗剤組成物の別の課題は、酵素安定性である。さらに、洗浄中の(in-wash)条件もまた、酵素の不活性化をもたらし(たとえばpH、温度、又はキレート化不安定により)、洗浄サイクルの間に洗浄性能の喪失をもたらすことがある。したがって、プロテアーゼ開発における徹底的な研究にもかかわらず、たとえば洗剤組成物中で向上した安定性、たとえば向上した貯蔵安定性を有し、且つ同時に、親スブチラーゼと比較して同様の又は向上した洗浄性能を有する、新たな向上したプロテアーゼがまだ必要とされている。
【0007】
本発明は、安定性及び洗浄性能に関して有利な特性を有する新規なスブチラーゼ変異体を提供することによって、これらの課題について検討する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、たとえば洗剤組成物における使用に好適な新規スブチラーゼ変異体に関し、変異体は、配列番号1と比べて少なくとも9、19、及び62位に、置換、特に置換S9R+R19L+N62D、たとえば置換S3T+S9R+R19L+N62D+A194Pを含む。
【0009】
本発明はまた、変異体を含む組成物、特に洗剤組成物、変異体をコードするポリヌクレオチド;ポリヌクレオチドを含む核酸構築物、ベクター、及び宿主細胞;並びに変異体を生成するための方法にも関する。
【0010】
配列の概要
配列番号1は、Savinase(登録商標)としても知られているプロテアーゼスブチリシン309のアミノ酸配列である。
【0011】
配列番号2は、スブチリシンBPN’のアミノ酸配列である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、スブチリシン309(配列番号1)及びスブチリシンBPN’(配列番号2)のアミノ酸配列のアラインメントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
定義
スブチラーゼ/プロテアーゼ:「スブチラーゼ」及び「プロテアーゼ」という用語は、本明細書において区別なく使用されてもよく、タンパク質中のペプチド結合を加水分解する酵素を指す。これは、EC3.4酵素群(その13のサブクラスのそれぞれを含む)、特にエンドペプチダーゼ(EC3.4.21)に属する任意の酵素を含む。EC番号は、それぞれEur.J.Biochem.1994,223,1-5;Eur.J.Biochem.1995,232,1-6;Eur.J.Biochem.1996,237,1-5;Eur.J.Biochem.1997,250,1-6;及びEur.J.Biochem.1999,264,610-650において公開される付録1~5を含む、NC-IUBMB,Academic Press,San Diego,CaliforniaのEnzyme Nomenclature 1992を指す。
【0014】
プロテアーゼ活性:「プロテアーゼ活性」という用語は、タンパク質分解活性(EC3.4)、特にエンドペプチダーゼ活性(EC3.4.21)を意味する。いくつかのプロテアーゼ活性型があり、3つの主な活性型は、以下のとおりである:P1のArg又はLysの後ろでアミド基質を切断するトリプシン様、切断がP1の疎水性アミノ酸のうちの1つの後ろで生じるキモトリプシン様、及びP1のAlaの後ろで切断するエラスターゼ様。プロテアーゼ活性は、国際公開第2016/087619号パンフレットにおいて記載される手法に従って決定されてもよい。本発明のスブチリシン変異体は、好ましくは、配列番号1のポリペプチドのプロテアーゼ活性の少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも100%を有する。
【0015】
対立遺伝子変異体:「対立遺伝子変異体」という用語は、同一の染色体座を占有する遺伝子の2つ以上の代替的な形態のいずれかを意味する。対立遺伝子変異は、突然変異を介して自然に生じ、また、個体群に多型性をもたらし得る。遺伝子突然変異は、サイレント(コードされるポリペプチドにおける変化なし)であってもよいし、又は、改変されたアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするものでもよい。ポリペプチドの対立遺伝子変異体は、遺伝子の対立遺伝子変異体によってコードされたポリペプチドである。
【0016】
cDNA:「cDNA」という用語は、真核若しくは原核細胞から得られる成熟型のスプライシングされたmRNA分子からの逆転写によって調製することができるDNA分子である。cDNAは、対応するゲノムDNAに存在し得るイントロン配列が欠失している。初期の一次RNA転写物は、mRNAの前駆体であり、これは、スプライシングを含む一連のステップで処理された後、成熟型スプライシングmRNAとして出現する。
【0017】
コード配列:「コード配列」という用語は、変異体のアミノ酸配列を直接規定するポリヌクレオチドを意味する。コード配列の境界は、一般に、オープンリーディングフレームによって決定されるが、これは、ATG、GTG、又はTTGなどの開始コドンで開始し、TAA、TAG、又はTGAなどの終止コドンで終了する。コード配列は、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA、又はこれらの組み合わせのいずれであってもよい。
【0018】
制御配列:「制御配列」という用語は、本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドの発現に必要な核酸配列を意味する。各制御配列は、変異体をコードするポリヌクレオチドに対して在来(すなわち、同じ遺伝子に由来する)若しくは外来の(すなわち、異なる遺伝子に由来する)ものであっても、又は、相互に在来若しくは外来のものであってもよい。このような制御配列としては、これらに限定されないが、リーダ、ポリアデニル化配列、プロペプチド配列、プロモータ、シグナルペプチド配列、及び転写ターミネータが挙げられる。少なくとも、制御配列は、プロモータ、並びに、転写及び翻訳終止シグナルを含む。制御配列は、変異体をコードするポリヌクレオチドのコード領域と制御配列の連結を促進させる特定の制限部位を導入する目的で、リンカーを備えていてもよい。
【0019】
発現:「発現」という用語は、限定するものではないが、転写、転写後修飾、翻訳、翻訳後修飾及び分泌物を含む変異体の生成に関与するいずれかのステップを含む。
【0020】
発現ベクター:「発現ベクター」という用語は、変異体をコードするポリヌクレオチドを含み、また、その発現をもたらす制御配列に作動可能にリンクされている直鎖又は環状DNA分子を含む。
【0021】
断片:「断片」という用語は、成熟型ポリペプチド又はドメインのアミノ及び/又はカルボキシル末端から欠失された1つ又は複数のアミノ酸を有するポリペプチドを意味し;ここで、断片はサブチラーゼ活性を有する。そのような断片は、好ましくは配列番号1におけるアミノ酸の数の少なくとも85%、少なくとも90%又は少なくとも95%を含む。
【0022】
宿主細胞:「宿主細胞」という用語は、本発明のポリヌクレオチドを含む核酸構築物又は発現ベクターによる形質転換、形質移入、形質導入等などに対する感受性を有するあらゆる細胞型を意味する。「宿主細胞」という用語は、複製の最中に生じる突然変異のために、親細胞と同じではない親細胞のあらゆる子孫を包含する。
【0023】
向上した特性:「向上した特性」という用語は、親プロテアーゼ、配列番号1を有するプロテアーゼ、又は配列番号1の変異体などの選択された参照プロテアーゼと比較して向上した変異体と関連する特徴を意味する。このような向上した特性は、触媒効率、触媒速度、化学的安定性、酸化安定性、pH活性、pH安定性、特異活性、貯蔵条件下での安定性、基質結合、基質切断、基質特異性、基質安定性、表面特性、熱活性、及び耐熱性を含んでいてもよいが、これらに限定されない。本発明の一態様において、向上した特性は、洗剤製剤又は規定のpHストレス緩衝液中での向上した安定性、たとえば向上した耐熱性又は向上した貯蔵安定性である。本発明の別の態様において、向上した特性は、向上した洗浄性能である。
【0024】
単離された:「単離された」という用語は、自然界においては生じない形態又は環境にある物質を意味する。単離された物質の非限定的な例としては、(1)いずれかの非天然物質、(2)限定されないが、自然界において関連している天然構成成分の1種又は複数種若しくはすべてから少なくとも部分的に取り出されたいずれかの酵素、変異体、核酸、タンパク質、ペプチド若しくは補因子を含むいずれかの物質;(3)自然界に見出される物質に対して人為的に修飾されたいずれかの物質;又は(4)自然界で関連する他の成分に対して物質量の増加により修飾されたいずれかの物質(たとえば、物質をコードする遺伝子の複数のコピー;物質をコードする遺伝子と自然界で関連するプロモータよりも強力なプロモータの使用)が挙げられる。単離された物質は、発酵ブロスサンプル中に存在してもよい。
【0025】
成熟ポリペプチド:「成熟ポリペプチド」という用語は、N末端プロセシング(たとえばシグナルペプチドの除去)後のその成熟形態をしたポリペプチドを意味する。
【0026】
成熟型ポリペプチドコード配列:「成熟型ポリペプチドコード配列」という用語は、サブチラーゼ活性を有する成熟型ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0027】
ミュータント:「ミュータント」という用語は、変異体をコードするポリヌクレオチドを意味する。
【0028】
核酸構築物:「核酸構築物」という用語は、一本鎖又は二本鎖いずれかの核酸分子を意味し、これは、天然の遺伝子から単離されるか、若しくは、そうでなければ自然に存在しないであろう様式で核酸のセグメントを含有するよう修飾されるか、又は、合成物であり、これは、1つ又は複数の制御配列を含む。
【0029】
作動可能にリンクされた:「作動可能にリンクされた」という用語は、制御配列がコード配列の発現を指令するように、ポリヌクレオチドのコード配列に対して適切な位置に制御配列が配置される構造を意味する。
【0030】
親又は親スブチラーゼ/プロテアーゼ:「親」又は「親スブチラーゼ」若しくは「親プロテアーゼ」という用語は、本発明の酵素変異体を生成するために改変がなされる、スブチラーゼ活性を有する任意のポリペプチドを意味する。親は、天然(野生型)ポリペプチド又は野生型ポリペプチドのその変異体であってもよい。特定の実施形態において、親は、配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性などの、少なくとも75%の同一性を有するプロテアーゼである。あるいは、親は、配列番号1に対して100%の同一性を有していてもよい。
【0031】
配列同一性:2つのアミノ酸配列間又は2つのヌクレオチド配列間の関連性は、「配列同一性」というパラメータによって表される。
【0032】
本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列間の配列同一性の程度は、好ましくはバージョン5.0.0以降のEMBOSSパッケージ(EMBOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000,Trends Genet.16:276-277)のNeedleプログラムにおいて実装されている、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman and Wunsch,1970,J.Mol.Biol.48:443-453)を用いて判定される。用いられるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップエクステンションペナルティ及びEBLOSUM62(BLOSUM62のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needle標識された「最長の同一性」(-nobriefオプションを用いて得られる)の出力が同一性割合として用いられ、以下のように算出される:
(同等の残基×100)/(アラインメントの長さ-アラインメント中のギャップの総数)
【0033】
本発明の目的のために、2つのデオキシリボヌクレオチド配列間の配列同一性の程度は、好ましくはバージョン5.0.0以降のEMBOSSパッケージ(前述のEM-BOSS:The European Molecular Biology Open Software Suite,Rice et al.,2000)のNeedleプログラムにおいて実装されている、Needleman-Wunschアルゴリズム(前述のNeedleman and Wunsch,1970)を用いて判定される。用いられるパラメータは、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップエクステンションペナルティ及びEDNAFULL(NCBI NUC4.4のEMBOSSバージョン)置換マトリックスである。Needle標識された「最長の同一性」(-nobriefオプションを用いて得られる)の出力が同一性割合として用いられ、以下のように算出される:
(同等のデオキシリボヌクレオチド×100)/(アラインメントの長さ-アラインメント中のギャップの総数)
【0034】
変異体:「変異体」という用語は、1つ又は複数の位置に改変(すなわち、置換、挿入及び/又は欠失)を含む、サブチラーゼ活性を有するポリペプチドを意味する。置換とは、ある位置のアミノ酸の異なるアミノ酸による置き換えを意味し;欠失とは、ある位置のアミノ酸の除去を意味し;また、挿入とは、ある位置のアミノ酸に隣接し、この直後に続くアミノ酸を付加することを意味する。
【0035】
野生型スブチラーゼ:「野生型」スブチラーゼという用語は、自然界で見つけられる細菌、酵母、又は糸状菌などの天然の微生物によって発現されるスブチラーゼを意味する。
【0036】
変異体の命名のための規則
本発明の目的を達成するために、配列番号2のポリペプチドは、本発明のスブチラーゼ変異体における対応するアミノ酸残基を決定するために使用される。これは、「アミノ酸位置/残基の番号付け」という見出しの下で下記にさらに詳細に説明される。
【0037】
別のスブチラーゼにおける対応するアミノ酸残基の同定は、MUSCLE(log-expectationによる多重配列比較;バージョン3.5以降;Edgar,2004,Nucleic Acids Research 32:1792-1797)、MAFFT(バージョン6.857以降;Katoh and Kuma,2002,Nucleic Acids Research 30:3059-3066;Katoh et al.,2005,Nucleic Acids Research 33:511-518;Katoh and Toh,2007,Bioinformatics 23:372-374;Katoh et al.,2009,Methods in Molecular Biology 537:39-64;Katoh and Toh,2010,Bioinformatics 26:1899-1900)、及びClustalWを用いるEMBOSS EMMA(1.83以降;Thompson et al.,1994,Nucleic Acids Research 22:4673-4680)を含むが、これらに限定されないいくつかのコンピュータープログラムを使用し、それらのそれぞれのデフォルトパラメーターを使用して、複数のポリペプチド配列のアラインメントによって決定することができる。
【0038】
本発明の変異体の記載において、下記に記載される命名法は、参照を容易にするのに適している。承認済みのIUPAC1文字又は3文字のアミノ酸の略語が用いられる。「改変」又は「突然変異」という用語は、置換、挿入、及び欠失を指すために、本明細書において区別なく使用され得る。
【0039】
置換。アミノ酸置換について、以下の命名法が、使用される:本来のアミノ酸、位置、置換アミノ酸。たとえば、アラニンによる220位のスレオニンの置換は、「Thr220Ala」又は「T220A」と示される。複数の置換は、足し算の記号(「+」)によって区切られてもよい、たとえば、「Thr220Ala+Gly229Val」又は「T220A+G229V」は、それぞれ、アラニン(A)によるスレオニン(T)及びバリン(V)によるグリシン(G)の220及び229位での置換を示す。複数の置換は、その代わりに、個々の突然変異をスペース又はコンマによって区切って記載されてもよい。特定の位置における代替的な置換は、スラッシュ(「/」)によって示されてもよい。たとえば、アラニン、バリン、又はロイシンのいずれかによる220位におけるスレオニンの置換は、「T220A/V/L」と示されてもよい。
【0040】
置換はまた、位置の番号の前に「X」で示されてもよく、これは、配列番号1のスブチラーゼ以外の親スブチラーゼにおける任意の本来のアミノ酸が、親スブチラーゼにおける対応する示された位置で置換されてもよいことを意味する。たとえば、「X19L」は、L以外の親スブチラーゼの19位の任意のアミノ酸残基が、Lによって置換されることを意味する。
【0041】
欠失。アミノ酸の欠失について、以下の命名法が、使用される:本来のアミノ酸、位置、*。したがって、220位のスレオニンの欠失は、「Thr220*」又は「T220*」と示される。複数の欠失は、足し算の記号(「+」)によって区切られてもよい、たとえば「Thr220*+Gly229*」若しくは「T220*+G229*」又はその代わりに、スペース若しくはコンマによって区切られてもよい。位置の番号の前の「X」の使用は、置換について上記に記載されるとおりであり、たとえば、「X131*」は、131位のアミノ酸残基が欠失していることを意味する。
【0042】
挿入。アミノ酸の挿入について、以下の命名法が、使用される:本来のアミノ酸、位置、本来のアミノ酸、挿入されるアミノ酸。したがって、220位のスレオニンの後のリシンの挿入は、「Thr220ThrLys」又は「T220TK」と示される。複数のアミノ酸の挿入は、[本来のアミノ酸、位置、本来のアミノ酸、挿入されるアミノ酸#1、挿入されるアミノ酸#2;等]と示される。たとえば、220位のスレオニンの後のリシン及びアラニンの挿入は、「Thr220ThrLysAla」又は「T220TKA」と示される。
【0043】
このような場合、挿入されるアミノ酸残基は、挿入されるアミノ酸残基の前のアミノ酸残基の位置番号に小文字を追加することによって番号付けされる。上記の例では、配列は、たとえば、以下のとおりになるであろう。
【0044】
【0045】
複数の改変。複数の改変を含む変異体は、足し算の記号(「+」)によって区切られる、たとえば、「Arg170Tyr+Gly195Glu」又は「R170Y+G195E」は、それぞれ、チロシン及びグルタミン酸による170及び195位でのアルギニン及びグリシンの置換を示す。複数の改変は、その代わりに、個々の突然変異をスペース又はコンマによって区切って記載されてもよい。
【0046】
様々な改変。様々な改変をある位置に導入することができる場合、様々な改変は、コンマによって区切られてもよい、たとえば、「Arg170Tyr,Glu」は、チロシン又はグルタミン酸による170位のアルギニンの置換を示す。したがって、「Tyr167Gly,Ala+Arg170Gly,Ala」は、以下の変異体を示す:
「Tyr167Gly+Arg170Gly」、「Tyr167Gly+Arg170Ala」、「Tyr167Ala+Arg170Gly」、及び「Tyr167Ala+Arg170Ala」。
【0047】
ある位置における様々な改変はまた、スラッシュ(「/」)によって示されてもよい、たとえば、上記に説明されるように「T220A/V/L」。あるいは、様々な改変は、括弧を使用して示されてもよい、たとえばArg170[Tyr,Gly]又は1文字コードでR170[Y,G]。
【0048】
アミノ酸位置/残基の番号付け。本明細書において使用されるアミノ酸位置番号は、配列番号2のBPN’ポリペプチドの番号付けに基づく。したがって、たとえば配列番号1を有する親プロテアーゼポリペプチドのアミノ酸位置は、配列番号2の対応する位置のアミノ酸位置である。この番号付けシステムは、当技術分野において一般的であり、特許文献においてスブチリシンプロテアーゼについて使用される位置番号は、往々にして、BPN’の対応する位置番号に基づいている。
【0049】
特に、番号付けは、国際公開第89/06279号パンフレットの表1におけるアラインメントに基づくものであり、これは、スブチラーゼBPN’(BASBPN)配列の成熟ポリペプチド(表中の配列c)及びSavinase(登録商標)(BLSAVI)としても知られている、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)由来のスブチリシン309の成熟ポリペプチド(表中の配列a)を含む、5つのプロテアーゼのアラインメントを示す。
【0050】
添付の
図1は、参照目的のために提供され、国際公開第89/06279号パンフレットの表1に基づく配列番号1と配列番号2との間のアラインメントを示し、配列番号2の位置に対応する位置番号は、これをもとに容易に決定されてもよい。
【0051】
配列番号1以外の親プロテアーゼについては、別のプロテアーゼのアミノ酸配列は、配列番号2の番号付けに対応するアミノ酸位置番号を決定するために、同様に、配列番号2とアラインメントされてもよい。
【0052】
変異体
一態様において、本発明は、置換X9R+X19L+X62Dを含むスブチラーゼ変異体であって、
(a)位置番号は、配列番号2のポリペプチドの位置に対応し;
(b)変異体は、プロテアーゼ活性を有し;及び
(c)変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、又は少なくとも98%であるが、100%未満の配列同一性を有し;
ただし、変異体は、14位にヒスチジン残基を含まないことを条件とする、スブチラーゼ変異体に関する。
【0053】
特定の一態様において、本発明は、置換X3T+X9R+X19L+X62D+X194Pを含むスブチラーゼ変異体であって、
(a)位置番号は、配列番号2のポリペプチドの位置に対応する;
(b)変異体は、プロテアーゼ活性を有する;及び
(c)変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%であるが、100%未満の配列同一性を有する、スブチラーゼ変異体に関する。
【0054】
この態様の一実施形態において、置換X3T+X9R+X19L+X62D+X194Pは、S3T+S9R+R19L+N62D+A194Pである。
【0055】
したがって、一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N62D+A194Pを含む。
【0056】
好ましい実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N62D+A194Pを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0057】
いくつかの実施形態において、スブチラーゼ変異体は、N43R、N76D、P131*、Q245R、S259D、及びR275Qからなる群から選択される少なくとも1つの改変をさらに含み、位置番号は、配列番号2のポリペプチドの位置に対応する。このような変異体の非限定的な例は、下記に提供される。
【0058】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N62D+A194P+Q245R+S259Dを含む。
【0059】
好ましい実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N62D+A194P+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0060】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+A194P+R275Qを含む。
【0061】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+A194P+R275Qを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0062】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N62D+P131*+A194Pを含む。
【0063】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N62D+P131*+A194Pを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0064】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N62D+P131*+A194P+Q245R+S259Dを含む。
【0065】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N62D+P131*+A194P+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0066】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+A194P+R275Qを含む。
【0067】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+A194P+R275Qを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0068】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+A194Pを含む。
【0069】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+A194Pを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0070】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+P131*+A194Pを含む。
【0071】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+P131*+A194Pを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0072】
上記に示されるように、本発明の一態様において、スブチラーゼ変異体は、14位にヒスチジン残基を含まない。
【0073】
置換X9R+X19L+X62Dを含むスブチラーゼ変異体であって、変異体は14位にヒスチジン残基を含まないスブチラーゼ変異体に関する上記に記載される本発明の広い態様の一実施形態において、置換X9R+X19L+X62Dは、S9R+R19L+N62Dである。
【0074】
この態様のいくつかの実施形態において、スブチラーゼ変異体は、S3T、S3A、N43R、V68A、N76D、P131*、A194P、V205I、Q245R、S259D、N261D、及びR275Qからなる群から選択される少なくとも1つの改変、好ましくは、4、5、6、又はそれ以上の前記改変などの2、3、又はそれ以上の前記改変をさらに含み、位置番号は、配列番号2のポリペプチドの位置に対応する。このような変異体の非限定的な例は、下記に提供される。
【0075】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N62D+Q245R+S259Dを含む。
【0076】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N62D+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0077】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+R275Qを含む。
【0078】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+R275Qを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0079】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N62D+P131*を含む。
【0080】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N62D+P131*を有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0081】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N62D+P131*+Q245R+S259Dを含む。
【0082】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N62D+P131*+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0083】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+R275Qを含む。
【0084】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+R275Qを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0085】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76Dを含む。
【0086】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0087】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+Q245R+S259Dを含む。
【0088】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0089】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+P131*を含む。
【0090】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3T+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+P131*を有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0091】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、又は少なくとも96%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+A15T+G61E+N62D+V68A+A194P+V205I+Q245R+N261Dを含む。
【0092】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+A15T+G61E+N62D+V68A+A194P+V205I+Q245R+N261Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0093】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、又は少なくとも96%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+A15T+G61E+V68A+A194P+V205I+Q245R+S259D+N261Dを含む。
【0094】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+A15T+G61E+V68A+A194P+V205I+Q245R+S259D+N261Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0095】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N43R+N62D+R275Qを含む。
【0096】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N43R+N62D+R275Qを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0097】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N62D+P131*を含む。
【0098】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N62D+P131*を有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0099】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3A+S9R+R19L+N62D+Q245R+S259Dを含む。
【0100】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3A+S9R+R19L+N62D+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0101】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3A+S9R+R19L+N62D+A194Pを含む。
【0102】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3A+S9R+R19L+N62D+A194Pを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0103】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N43R+N62D+Q245R+S259D+R275Qを含む。
【0104】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N43R+N62D+Q245R+S259D+R275Qを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0105】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N62D+P131*+Q245R+S259Dを含む。
【0106】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N62D+P131*+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0107】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N43R+N62D+A194P+R275Qを含む。
【0108】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N43R+N62D+A194P+R275Qを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0109】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N62D+P131*+A194Pを含む。
【0110】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N62D+P131*+A194Pを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0111】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N43R+N62D+N76Dを含む。
【0112】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N43R+N62D+N76Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0113】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+Q245R+S259D+R275Qを含む。
【0114】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+Q245R+S259D+R275Qを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0115】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3A+S9R+R19L+N62D+P131*+Q245R+S259Dを含む。
【0116】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3A+S9R+R19L+N62D+P131*+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0117】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3A+S9R+R19L+N62D+A194P+Q245R+S259Dを含む。
【0118】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3A+S9R+R19L+N62D+A194P+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0119】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+R275Qを含む。
【0120】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+R275Qを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0121】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+A194P+R275Qを含む。
【0122】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+A194P+R275Qを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0123】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3A+S9R+R19L+N62D+P131*+A194Pを含む。
【0124】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3A+S9R+R19L+N62D+P131*+A194Pを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0125】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+N76Dを含む。
【0126】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+N76Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0127】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+Q245R+S259D+R275Qを含む。
【0128】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+Q245R+S259D+R275Qを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0129】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N43R+N62D+A194P+Q245R+S259D+R275Qを含む。
【0130】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N43R+N62D+A194P+Q245R+S259D+R275Qを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0131】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N62D+P131*+A194P+Q245R+S259Dを含む。
【0132】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N62D+P131*+A194P+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0133】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+Q245R+S259Dを含む。
【0134】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0135】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+A194P+R275Qを含む。
【0136】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+A194P+R275Qを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0137】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+P131*を含む。
【0138】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+P131*を有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0139】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+A194Pを含む。
【0140】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+A194Pを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0141】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3A+S9R+R19L+N62D+P131*+A194P+Q245R+S259Dを含む。
【0142】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3A+S9R+R19L+N62D+P131*+A194P+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0143】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+Q245R+S259Dを含む。
【0144】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0145】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+A194P+R275Qを含む。
【0146】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+P131*+A194P+R275Qを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0147】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+P131*を含む。
【0148】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+P131*を有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0149】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+A194Pを含む。
【0150】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S3A+S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+A194Pを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0151】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+P131*+Q245R+S259Dを含む。
【0152】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+P131*+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0153】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+A194P+Q245R+S259Dを含む。
【0154】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+A194P+Q245R+S259Dを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0155】
一実施形態において、スブチラーゼ変異体は、配列番号1のポリペプチドに対して少なくとも80%、たとえば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、又は少なくとも97%であるが、100%未満の配列同一性を有し、置換S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+P131*+A194Pを含む。
【0156】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体は、置換S9R+R19L+N43R+N62D+N76D+P131*+A194Pを有する配列番号1のポリペプチドを含むか又はそれからなる。
【0157】
一態様において、スブチラーゼ変異体は、N末端又はC末端に追加された3、4、又は5などの2~6のヒスチジン残基を含んでいてもよい。このような変異体の例は、置換S3T+S9R+R19L+N62D+A194P+R275RHHHHを有する配列番号1を含む変異体であり、「R275RHHHH」は、C末端Arg残基の後に4つのヒスチジン残基が追加されていることを示す。
【0158】
本明細書において特に開示されるアミノ酸改変以外に、本発明のプロテアーゼ変異体は、1つ又は複数の他の位置に追加の改変を含んでいてもよい。これらの追加の改変は、副次的な性質のものであってもよく、すなわち、タンパク質の折り畳み及び/若しくは活性に顕著に影響しない保存的アミノ酸置換若しくは挿入;典型的には1~30アミノ酸の小さな欠失;アミノ-末端メチオニン残基などの小さなアミノ-若しくはカルボキシル-末端伸長;20~25個以下の残基の小さなリンカーペプチド;あるいは、正味電荷、又はポリ-ヒスチジン配列、抗原性エピトープ若しくは結合性ドメインなどの他の機能を変化させることによって精製を促進させる小さな伸長であってもよい。
【0159】
保存的置換の例は、塩基性アミノ酸(アルギニン、リシン及びヒスチジン)、酸性アミノ酸(グルタミン酸及びアスパラギン酸)、極性アミノ酸(グルタミン及びアスパラギン)、疎水性アミノ酸(ロイシン、イソロイシン及びバリン)、芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシン)、及び、小さいアミノ酸(グリシン、アラニン、セリン、スレオニン及びメチオニン)の群の範囲内である。特異活性を一般に改変しないアミノ酸置換は技術分野において公知であり、たとえば、H.Neurath and R.L.Hill,1979,In,The Proteins,Academic Press,New Yorkに記載されている。一般的な保存的置換のグループは、以下を含むが、これらに限定されない:G=A=S;I=V=L=M;D=E;Y=F;及びN=Q(たとえば「G=A=S」は、これら3つのアミノ酸が互いに置換されてもよいことを意味する)。
【0160】
あるいは、アミノ酸変異は、ポリペプチドの物理化学的特性が改変されるような性質のものである。たとえば、アミノ酸変異によって、ポリペプチドの熱安定性の向上、基質特異性の改変、至適pHの変化などをもたらし得る。
【0161】
ポリペプチドにおける必須アミノ酸は、部位特異的突然変異誘発又はアラニン走査突然変異誘発(Cunningham and Wells,1989,Science 244:1081-1085)などの当技術分野において公知である手法に従って同定することができる。後者の技術では、単一のアラニン突然変異が分子中のすべての残基に導入され、得られたミュータント分子をプロテアーゼ活性についてテストすることにより、分子の活性に重要なアミノ酸残基を同定する。また、Hilton et al.,1996,J.Biol.Chem.271:4699-4708を参照のこと。酵素の活性部位又は他の生物学的相互作用は、推定上の接触部位アミノ酸の突然変異と併用した、核磁気共嗚、結晶構造解析、電子回折又は光親和性標識などの技術によって判定される、構造の物理的分析によって決定することもできる。たとえば、de Vos et al.,1992,Science 255:306-312;Smith et al.,1992,J.Mol.Biol.224:899-904;Wlodaver et al.,1992,FEBS Lett.309:59-64を参照のこと。必須アミノ酸のアイデンティティーは、関連ポリペプチドとのアラインメントから推測することもできる。
【0162】
本発明の一態様において、プロテアーゼ変異体は、参照プロテアーゼと比較して、少なくとも1つの向上した特性を有し、参照プロテアーゼは、たとえば、配列番号1のプロテアーゼ又はその変異体であってもよい。
【0163】
一実施形態において、本発明のプロテアーゼ変異体は、洗剤製剤中での向上した安定性、たとえば向上した耐熱性、向上した貯蔵安定性又は規定のpHストレス緩衝液中での向上した安定性を有する。
【0164】
向上した安定性は、たとえば、以下のアッセイの一方又は両方を使用し、本明細書における実施例において記載されるように決定されてもよい:
・低pH(pH4.0)ストレス緩衝液を使用する安定性アッセイ
・高pH(pH10.5)ストレス緩衝液及びLASを使用する安定性アッセイ。
【0165】
安定性はまた、洗剤組成物中での、たとえば粉末洗剤組成物、たとえば、本明細書における表3において記載される成分を含有する粉末モデル洗濯洗剤組成物中での安定性として測定されてもよい。たとえば、プロテアーゼ変異体は、速度を速めた貯蔵安定性アッセイにおいて、表3の粉末モデル洗濯洗剤組成物でテストされてもよく、洗剤組成物は、たとえば2週間又は4週間、37℃及び70%の相対湿度で貯蔵される。この場合、プロテアーゼは、たとえば無機塩コーティングなどのコーティングを含む顆粒の形態で粉末洗剤組成物に追加されてもよく、詳細については、下記「顆粒洗剤製剤」という見出し以降を参照されたい。タンパク質分解活性は、貯蔵の前及び後に決定され、貯蔵後の残存活性は、初期の活性に基づいて計算される。タンパク質分解活性は、Suc-AAPF-pNA活性アッセイを使用して決定されてもよい;このアッセイの説明については下記の実施例の部を参照されたい。
【0166】
向上した安定性は、たとえば、半減期向上係数(T1/2 IF)として表現されてもよく、これは、参照プロテアーゼの半減期と比べたプロテアーゼ変異体の半減期として計算される。
【0167】
一実施形態において、本発明のプロテアーゼ変異体の安定性は、置換S9R、P14H、R19L、及びN62Dを有する配列番号1の変異体の半減期と比べた半減期向上係数(T1/2 IF)として決定される。この実施形態において、本発明のプロテアーゼ変異体は、好ましくは、少なくとも1つの安定性アッセイにおいて、少なくとも約2.0、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、又は少なくとも約10などの、少なくとも約1.2、より好ましくは少なくとも約1.5の半減期向上係数を有する。
【0168】
一実施形態において、本発明のプロテアーゼ変異体は、本明細書における実施例2において記載される低pH安定性アッセイにおいて、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、又は少なくとも約10などの、少なくとも約2の、置換S9R、P14H、R19L、及びN62Dを有する配列番号1の変異体の半減期と比べた半減期向上係数(T1/2 IF)を有する。
【0169】
一実施形態において、本発明のプロテアーゼ変異体は、本明細書における実施例2において記載される高pH+LAS安定性アッセイにおいて、少なくとも約1.5、少なくとも約2、少なくとも約3、又は少なくとも約4などの、少なくとも約1.2、好ましくは少なくとも約1.3、より好ましくは少なくとも約1.4の、置換S9R、P14H、R19L、及びN62Dを有する配列番号1の変異体の半減期と比べた半減期向上係数(T1/2 IF)を有する。
【0170】
好ましい実施形態において、本発明のプロテアーゼ変異体は、本明細書における実施例2において記載される低pH安定性アッセイ及び高pH+LAS安定性アッセイの両方において向上した安定性を有する。たとえば、プロテアーゼ変異体は、本明細書における実施例2において記載される低pH安定性アッセイにおいて、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約7、少なくとも約8、少なくとも約9、又は少なくとも約10などの、少なくとも約2の、置換S9R、P14H、R19L、及びN62Dを有する配列番号1の変異体の半減期と比べた半減期向上係数(T1/2 IF);並びに本明細書における実施例2において記載される高pH+LAS安定性アッセイにおいて、少なくとも約1.5、少なくとも約2、少なくとも約3、又は少なくとも約4などの、少なくとも約1.2、好ましくは少なくとも約1.3、より好ましくは少なくとも約1.4の、置換S9R、P14H、R19L、及びN62Dを有する配列番号1の変異体の半減期と比べた半減期向上係数(T1/2 IF)を有していてもよい。
【0171】
別の実施形態において、本発明のプロテアーゼ変異体は、好ましくは、粉末洗剤組成物における速度を速めた貯蔵安定性アッセイにおいて、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、又は少なくとも約5などの、少なくとも約1.2、より好ましくは少なくとも約1.5の、置換S9R、P14H、R19L、及びN62Dを有する配列番号1の変異体の半減期と比べた半減期向上係数を有する。速度を速めた貯蔵安定性アッセイは、たとえば、たとえば2週間又は4週間の37℃及び70%の相対湿度での貯蔵を含んでいてもよく、酵素は、たとえば無機塩コーティングなどのコーティングを含む顆粒の形態で粉末洗剤組成物に追加される;詳細については、下記「顆粒洗剤製剤」という見出し以降を参照されたい。
【0172】
本発明の別の態様において、プロテアーゼ変異体は、参照プロテアーゼの洗浄性能と比較して向上した洗浄性能を有し、参照プロテアーゼは、たとえば、配列番号1のプロテアーゼであってもよい。この文脈における向上した洗浄性能は、少なくとも約1.4、少なくとも約1.5、又は少なくとも約1.6などの、少なくとも約1.1、好ましくは少なくとも約1.2、より好ましくは少なくとも約1.3の、配列番号1を有する参照プロテアーゼと比較した、たとえば、10nM又は20nMのプロテアーゼ濃度を使用する本明細書における実施例3において記載されるAMSAアッセイで決定される、EMPA117EHの汚れに対する向上した相対的な洗浄性能として定義されてもよい。
【0173】
一実施形態において、プロテアーゼ変異体は、少なくとも約1.4などの、少なくとも約1.1、好ましくは少なくとも約1.2、より好ましくは少なくとも約1.3などの、少なくとも約1.0の、配列番号1を有する参照プロテアーゼと比較した、たとえば、10nM又は20nMのプロテアーゼ濃度を使用する本明細書における実施例3において記載されるAMSAアッセイで決定される、PC-03の汚れに対する向上した相対的な洗浄性能を有する。
【0174】
別の実施形態において、向上した洗浄性能は、少なくとも約1.5、少なくとも約1.6、少なくとも約1.7、少なくとも約1.8、少なくとも約1.9、又は少なくとも約2.0などの、少なくとも約1.2、好ましくは少なくとも約1.3、より好ましくは少なくとも約1.4の、配列番号1を有する参照プロテアーゼと比較した、本明細書における実施例4において記載されるTOMアッセイで決定される、汚れPC-03、PC-05、EMPA116、及び/又はEMPA117EHのいずれかにおける相対的な洗浄性能として定義されてもよい。配列番号1と比べたTOMにおける向上した洗浄性能は、たとえば、EMPA117EHの汚れにおける及び/又はPC-03の汚れにおける、少なくとも約1.5、少なくとも約1.8、少なくとも約2.0、又は少なくとも約2.2の相対的な洗浄性能であってもよい。
【0175】
親スブチラーゼ
本発明の変異体の親スブチラーゼは、典型的に、配列番号1のスブチラーゼと少なくとも75%の同一性を有するプロテアーゼである。好ましい実施形態において、親スブチラーゼは、配列番号1と少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性などの、配列番号1に対して少なくとも80%の同一性を有していてもよい。あるいは、親スブチラーゼは、配列番号1を含むか又はそれからなる配列を有していてもよい。
【0176】
親は、したがって、たとえば、配列番号1のスブチラーゼの配列を有していてもよい又はその代わりに配列番号1の変異体であってもよい。親はまた、たとえば、上記に示されるように、配列番号1に対して少なくとも75%の配列同一性を有するS8Aファミリー由来の近縁のスブチラーゼであってもよい。
【0177】
一実施形態において、親のアミノ酸配列は、たとえば、配列番号1のポリペプチドと、10以下のアミノ酸、たとえば1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10アミノ酸などの、20以下のアミノ酸が異なっていてもよい。
【0178】
親スブチラーゼはまた、プロテアーゼ活性を有する配列番号1のポリペプチドの断片又は配列番号1のポリペプチドの対立遺伝子変異体であってもよい。
【0179】
親スブチラーゼは、任意の好適な属の微生物から、特に好適な細菌属から得られてもよい。親スブチラーゼは、したがって、典型的に、細菌スブチラーゼである。たとえば、親は、バチルス属(Bacillus)、クロストリジウム属(Clostridium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ゲオバチルス属(Geobacillus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、オセアノバチルス属(Oceanobacillus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、若しくはストレプトマイセス属(Streptomyces)スブチラーゼなどのグラム陽性細菌ポリペプチド又はカムピロバクター属(Campylobacter)、大腸菌(E.coli)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、イリオバクター属(Ilyobacter)、ネイッセリア属(Neisseria)、シュードモナス属(Pseudomonas)、サルモネラ属(Salmonella)、若しくはウレアプラズマ属(Ureaplasma)スブチラーゼなどのグラム陰性細菌ポリペプチドであってもよい。
【0180】
一実施形態において、親は、バチルス属(Bacillus)の種から得られる。親は、したがって、たとえばバチルス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・シルクランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バチルス・ラウツス(Bacillus lautus)、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、又はバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)スブチラーゼであってもよい。
【0181】
一実施形態において、親は、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)に由来するプロテアーゼ又はその変異体、たとえば配列番号1のプロテアーゼである。
【0182】
これらの種の株は、American Type Culture Collection(ATCC)、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH(DSMZ)、Centraalbureau Voor Schimmelcultures(CBS)、及びAgricultural Research Service Patent Culture Collection、Northern Regional Research Center(NRRL)などの多くの微生物株保存機関において、一般市民に容易に手に入るものである。
【0183】
親は、上述のプローブを使用して、自然(たとえば土、堆肥、水等)から単離される微生物又は天然材料(たとえば土、堆肥、水等)から直接得られるDNAサンプルを含む他の供給源から同定され、得られてもよい。自然生息地から直接、微生物及びDNAを単離するための技術は、当技術分野においてよく知られている。親をコードするポリヌクレオチドは、次に、別の微生物又は混合DNAサンプルのゲノムDNA又はcDNAライブラリーを同様にスクリーニングすることによって得られてもよい。一旦、親をコードするポリヌクレオチドがプローブにより検出されたら、ポリヌクレオチドは、当業者らに知られている技術を利用することによって単離する又はクローニングすることができる(たとえばSambrook et al.,Molecular Cloning;3rd Ed.,2001,Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照)。
【0184】
変異体の調製
本発明はまた、本明細書において記載されるスブチラーゼ変異体を得るための方法にも関する。
【0185】
一実施形態は、スブチラーゼ変異体を得るための方法であって、
(a)配列番号1と比較して突然変異X9R+X19L+X62Dを含む親プロテアーゼの変異体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供すること、位置番号は、配列番号2のポリペプチドの位置に対応し、変異体は、プロテアーゼ活性及び少なくとも80%であるが、100%未満の配列番号1に対する配列同一性を有する、ただし、変異体は、14位にヒスチジン残基を含まないことを条件とする;
(b)変異体の発現に好適な条件下で宿主細胞を培養すること;並びに
(c)変異体を回収すること、を含む方法に関する。
【0186】
特定の実施形態において、スブチラーゼ変異体を得るための方法は、
(a)配列番号1と比較して突然変異X3T+X9R+X19L+X62D+X194Pを含む親プロテアーゼの変異体をコードするポリヌクレオチドを含む宿主細胞を提供すること、位置番号は、配列番号2のポリペプチドの位置に対応し、変異体は、プロテアーゼ活性及び少なくとも80%であるが、100%未満の配列番号1に対する配列同一性を有する;
(b)変異体の発現に好適な条件下で宿主細胞を培養すること;並びに
(c)変異体を回収すること、を含む。
【0187】
変異体は、部位特異的突然変異誘発、合成遺伝子構築、半合成遺伝子構築、ランダム突然変異誘発、DNAシャッフリング等の、当技術分野において知られている任意の突然変異誘発手法を使用して調製することができる。これらの突然変異誘発技術の使用に関する情報については、たとえば国際公開第2017/207762号パンフレットを参照されたい。
【0188】
スブチラーゼ変異体を得るための方法は、「変異体」という見出しの下で上記に開示される突然変異の任意の組み合わせを有する変異体の発現及び回収を包含することを意図することが理解されるであろう。
【0189】
ポリヌクレオチド
本発明はまた、本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドにも関する。
【0190】
核酸構築物
本発明はまた、制御配列に適合する条件下で好適な宿主細胞中にコード配列を発現させる1つ又は複数の制御配列に作動可能にリンクした本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドを含む核酸構築物にも関する。
【0191】
ポリヌクレオチドは、変異体の発現をもたらし且つ最適化するために、種々の方法で処置されてもよい。組換えDNA法を利用してポリヌクレオチドを修飾するための技術は、当技術分野においてよく知られている。これらは、たとえば、プロモータ、転写ターミネータ、プロモータの下流で且つコード配列の上流のmRNA安定化領域、シグナルペプチドコード領域、プロペプチドコード配列、及び調節配列などの制御配列の使用を含む。詳細については、たとえば国際公開第2017/207762号パンフレットを参照されたい。
【0192】
発現ベクター
本発明はまた、本発明の変異体をコードするポリヌクレオチド、プロモータ、並びに転写及び翻訳終止シグナルを含む組換え発現ベクターにも関する。1つ又は複数の制限部位での、変異体をコードするポリヌクレオチドの挿入又は置換を可能にするためにこのような部位を含んでいてもよい組換え発現ベクターを生成するために、種々のヌクレオチド及び制御配列が連結されてもよい。あるいは、ポリヌクレオチドは、ポリヌクレオチド又はポリヌクレオチドを含む核酸構築物を、発現にとって適切なベクターに挿入することによって発現されてもよい。発現ベクターの形成に際し、コード配列は、コード配列が、発現にとって適切な制御配列と作動可能にリンクするようにベクター中に配置される。
【0193】
組換え発現ベクターは、組換えDNA手法に簡便にかけることができ、ポリヌクレオチドの発現をもたらすことができる任意のベクター(たとえばプラスミド又はウイルス)であってよい。ベクターの選択は、典型的に、ベクターが導入される宿主細胞とベクターとの適合性に依存する。ベクターは、直鎖プラスミドであっても、閉じた環状プラスミドであってもよい。
【0194】
発現ベクターの情報については、たとえば国際公開第2017/207762号パンフレットを参照されたい。
【0195】
宿主細胞
本発明はまた、本発明の変異体の生成をもたらす1つ又は複数の制御配列に作動可能にリンクした本発明の変異体をコードするポリヌクレオチドを含む組換え宿主細胞にも関する。ポリヌクレオチドを含む構築物又はベクターは、先に記載されるように、構築物又はベクターが染色体性組み込み体として又は自己複製染色体外ベクターとして維持されるように、宿主細胞に導入される。「宿主細胞」という用語は、複製の最中に生じる突然変異により親細胞と同等ではない親細胞の任意の子孫を包含する。宿主細胞の選択は、変異体をコードする遺伝子及びその供給源に大きく依存するであろう。
【0196】
宿主細胞は、変異体の組換え生成において有用な任意の細胞、たとえば原核生物又は真核生物であってもよい。
【0197】
原核生物宿主細胞は、典型的に、バチルス属(Bacillus)、クロストリジウム属(Clostridium)、エンテロコッカス属(Enterococcus)、ゲオバチルス属(Geobacillus)、ラクトバチルス属(Lactobacillus)、ラクトコッカス属(Lactococcus)、オセアノバチルス属(Oceanobacillus)、スタフィロコッカス属(Staphylococcus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus)、及びストレプトマイセス属(Streptomyces)から選択されるグラム陽性細菌又はカムピロバクター属(Campylobacter)、大腸菌(E.coli)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium)、フソバクテリウム属(Fusobacterium)、ヘリコバクター属(Helicobacter)、イリオバクター属(Ilyobacter)、ネイッセリア属(Neisseria)、シュードモナス属(Pseudomonas)、サルモネラ属(Salmonella)、及びウレアプラズマ属(Ureaplasma)から選択されるグラム陰性細菌などのグラム陽性細菌又はグラム陰性細菌である。
【0198】
細菌宿主細胞は、たとえば、バチルス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)、バチルス・ブレビス(Bacillus brevis)、バチルス・シルクランス(Bacillus circulans)、バチルス・クラウシイ(Bacillus clausii)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・フィルムス(Bacillus firmus)、バチルス・ラウツス(Bacillus lautus)、バチルス・レンツス(Bacillus lentus)、バチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・プミルス(Bacillus pumilus)、バチルス・ステアロテルモフィルス(Bacillus stearothermophilus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、及びバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)の細胞から選択されるバチルス属(Bacillus)の細胞であってもよい。
【0199】
好適な宿主細胞に関する情報については、たとえば国際公開第2017/207762号パンフレットを参照されたい。
【0200】
生成方法
本発明はまた、変異体を生成するための方法であって:(a)変異体の発現に好適な条件下で本発明の宿主細胞を培養すること;及び(b)変異体を回収すること、を含む方法にも関する。
【0201】
宿主細胞は、当技術分野において知られている方法を使用して変異体の生成に好適な栄養培地中で培養される。たとえば、細胞は、好適な培地中で並びに変異体の発現及び/又は単離を可能にする条件下で実施される、振盪フラスコ培養によって又は実験用若しくは産業用発酵槽における小規模若しくは大規模発酵(連続式、バッチ式、フェドバッチ式、若しくは固体状発酵を含む)によって培養されてもよい。培養は、炭素及び窒素源並びに無機塩を含む好適な栄養培地において、当技術分野において知られている手法を使用して行われる。好適な媒体は、商業的な供給者から入手可能である又は公開された組成物に従って調製されてもよい(たとえば、American Type Culture Collectionのカタログにおいて)。変異体が栄養培地中に分泌される場合、変異体は、培地から直接回収することができる。変異体が分泌されない場合、変異体は、細胞ライセートから回収することができる。
【0202】
変異体は、プロテアーゼ活性を有する変異体に特異的な、当技術分野において知られている方法を使用して検出されてもよく、当技術分野において知られている方法を使用して回収され、精製されてもよい。詳細については、たとえば国際公開第2017/207762号パンフレットを参照されたい。
【0203】
組成物
本発明はまた、本発明のスブチラーゼ変異体を含む組成物、たとえば洗剤又はクリーニング組成物にも関する。
【0204】
本発明はまた、本発明のスブチラーゼ変異体を含み、以下をさらに含む組成物にも関する:1つ若しくは複数の洗剤成分;及び/又は1つ若しくは複数の追加の酵素。好ましい実施形態において、組成物は、1つ又は複数の洗剤成分、特に1つ又は複数の非天然洗剤成分を含む洗剤組成物である。
【0205】
本発明はまた、本発明のスブチラーゼ変異体を含み、アミラーゼ、カタラーゼ、セルラーゼ(たとえばエンドグルカナーゼ)、クチナーゼ、ハロペルオキシゲナーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ、ペクチナーゼ、ペクチンリアーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、キサンタナーゼ、リケナーゼ、及びキシログルカナーゼ又はその任意の混合物からなる群から選択される1つ又は複数の追加の酵素をさらに含む組成物にも関する。
【0206】
洗剤組成物は、バー、均一な錠剤、2つ以上の層を有する錠剤、1つ又は複数のコンパートメントを有するポーチ、通常の若しくは圧縮された粉末、顆粒、ペースト、ゲル、又は通常の、圧縮された、若しくは濃縮された液体の形態をしていてもよい。
【0207】
好ましい一実施形態において、洗剤組成物は、粉末組成物である。
【0208】
本発明はまた、洗濯又は皿洗いなどの硬質表面クリーニングなどのクリーニングプロセスにおける本発明の組成物の使用にも関する。
【0209】
洗剤組成物のための追加の成分の選択は、当業者の技術の範囲内であり、以下に記載される非限定的な成分の例を含む従来の成分を含む。成分の選択には、布地ケアの場合、クリーニングする布地の種類、汚れの種類及び/又は程度、クリーニングが実施される温度、並びに洗剤製品の配合の考慮が含まれ得る。
【0210】
特定の実施形態において、洗剤組成物は、本発明のスブチラーゼ変異体並びに界面活性剤、ヒドロトロープ、ビルダー、コビルダー、キレート剤又はキレート化剤、漂白系又は漂白剤成分、ポリマー、布地色調剤、布地コンディショナ、起泡増進剤、セッケン泡抑制剤、分散剤、移染防止剤、蛍光性白色化剤、香料、光学増白剤、殺菌剤、殺カビ剤、汚染物懸濁剤、汚染物遊離ポリマー、再汚染防止剤、酵素抑制剤又は安定化剤、酵素活性化剤、酸化防止剤、及び溶解剤などの1つ又は複数の非天然洗剤成分を含む。
【0211】
一実施形態において、本発明のスブチラーゼ変異体は、洗浄液1リットル当たり0.01~200mgの酵素タンパク質、好ましくは洗浄液1リットル当たり0.05~50mgの酵素タンパク質、特に洗浄液1リットル当たり0.1~10mgの酵素タンパク質に対応する量で、洗剤組成物に追加されてもよい。
【0212】
自動皿洗浄(ADW)組成物は、たとえば、組成物のうち0.001%~30%、たとえば0.01重量%~20重量%など、たとえば0.1~15重量%など、たとえば0.5~10重量%などの酵素タンパク質を含んでいてもよい。
【0213】
洗濯用の粒状化組成物は、たとえば、組成物のうち0.001重量%~20重量%、たとえば0.01重量%~10重量%など、たとえば0.05重量%~5重量%などの酵素タンパク質を含んでいてもよい。
【0214】
洗濯用の液体組成物は、たとえば、組成物のうち0.0001重量%~10重量%、たとえば0.001~7重量%など、たとえば0.1重量%~5重量%などの酵素タンパク質を含んでいてもよい。
【0215】
本発明のスブチラーゼ変異体などの酵素は、従来の安定剤、たとえば、プロピレングリコール若しくはグリセロールなどのポリオール、糖若しくは糖アルコール、乳酸、ホウ酸若しくはホウ酸誘導体、たとえば芳香族ホウ酸エステル、又は4-ホルミルフェニルボロン酸などのフェニルボロン酸誘導体を使用して安定化させてもよく、組成物は、たとえば国際公開第92/19709号パンフレット及び国際公開第92/19708号パンフレットに記載されるように製剤化されてもよい又は本発明による変異体は、国際公開第2005/105826号パンフレット及び国際公開第2009/118375号パンフレットなどに記載されるように、ペプチドアルデヒド若しくはケトンを使用して安定化させてもよい。
【0216】
本発明のスブチラーゼ変異体は、以下を含む液体洗濯組成物などの液体洗濯組成物で製剤化されてもよい:
a)洗剤1リットル当たり少なくとも0.01mgの活性スブチラーゼ変異体、
b)2wt%~60wt%の少なくとも1つの界面活性剤
c)5wt%~50wt%の少なくとも1つのビルダー。
【0217】
洗剤組成物は、洗濯用の顆粒洗剤に製剤化されてもよい。このような洗剤は、以下を含んでいてもよい;
a)組成物1グラム当たり少なくとも0.01mgの活性プロテアーゼ変異体
b)好ましくは5wt%~50wt%のアニオン性界面活性剤
c)好ましくは1wt%~8wt%のノニオン性界面活性剤
d)炭酸塩、ゼオライト、リン酸塩ビルダー、カルシウム捕捉ビルダー、又は錯化剤などの、好ましくは5wt%~40wt%のビルダー。
【0218】
以下に述べる成分は、具体的な機能性に従い概略的見出しにより分類するが、当業者には理解されるように、1つの成分が別の機能性を含む場合もあるため、これを限定として解釈すべきではない。
【0219】
界面活性剤
洗剤組成物は、アニオン性及び/又はカチオン性及び/又はノニオン性及び/又は半極性及び/又は両イオン性、又はこれらの混合物であり得る1種又は複数種の界面活性剤を含んでもよい。特定の実施形態において、洗剤組成物は、1種又は複数種のノニオン性界面活性剤及び1種又は複数種のアニオン性界面活性剤の混合物を含む。界面活性剤は、典型的には、約0.1重量%~60重量%、たとえば、約1%~約40%、又は約3%~約20%、又は約3%~約10%などのレベルで存在する。界面活性剤は所望のクリーニング用途に基づいて選択され、当分野において公知であるいずれかの従来の界面活性剤を含む。洗剤において使用するための当技術分野において知られている任意の界面活性剤が、利用されてもよい。界面活性剤は、洗剤において表面張力を下げ、これは、クリーニング中の汚れを持ち上げて分散させ、次に洗い流すのを可能にする。
【0220】
含まれる場合、洗剤は、通常、約1重量%~約40重量%、たとえば、約5%~約15%、又は約20%~約25%を含む、約5%~約30%のアニオン性界面活性剤を含有するであろう。アニオン性界面活性剤の非限定的な例としては、硫酸塩及びスルホン酸塩、特に、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、LASの異性体、分岐アルキルベンゼンスルホン酸塩(BABS)、フェニルアルカンスルホン酸塩、α-オレフィンスルホン酸塩(AOS)、オレフィンスルホン酸塩、アルケンスルホン酸塩、アルカン-2,3-ジイルビス(硫酸塩)、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩及びジスルホン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)などの硫酸アルキル(AS)、脂肪族アルコール硫酸塩(FAS)、第1級アルコール硫酸塩(PAS)、アルコールエーテル硫酸塩(アルコールエトキシ硫酸塩又は脂肪族アルコールエーテル硫酸塩としても知られるAES又はAEOS又はFES)、第2級アルカンスルホン酸塩(SAS)、パラフィンスルホン酸塩(PS)、スルホン酸エステル、スルホン化脂肪酸グリセロールエステル、スルホン酸メチルエステル(MES)を含むα-スルホ脂肪酸メチルエステル(α-SFMe又はSES)、アルキル-又はアルケニルコハク酸、ドデセニル/テトラデセニルコハク酸(DTSA)、アミノ酸の脂肪酸誘導体、スルホコハク酸又はセッケンのジエステル及びモノエステル、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0221】
含まれる場合、洗剤は、通常、約0重量%~約10重量%のカチオン性界面活性剤を含む。カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルキルジメチルエタノール第4級アミン(ADMEAQ)、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)、ジメチルジステアリルアンモニウム塩化物(DSDMAC)、及びアルキルベンジルジメチルアンモニウム、アルキル第4級アンモニウム化合物、アルコキシル化第4級アンモニウム(AQA)化合物、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0222】
含まれる場合、洗剤は、通常、約0.2重量%~約40重量%、たとえば約0.5%~約30%、特に約1%~約20%、約3%~約10%、たとえば、約3%~約5%、約8%~約12%、などの非イオン性界面活性剤を含有するであろう。非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、アルコールエトキシレート(AE又はAEO)、アルコールプロポキシレート、プロポキシル化脂肪族アルコール(PFA)、エトキシル化及び/又はプロポキシル化脂肪酸アルキルエステルなどのアルコキシル化脂肪酸アルキルエステル、アルキルフェノールエトキシレート(APE)、ノニルフェノールエトキシレート(NPE)、アルキルポリグリコシド(APG)、アルコキシル化アミン、脂肪酸モノエタノールアミド(FAM)、脂肪酸ジエタノールアミド(FADA)、エトキシル化脂肪酸モノエタノールアミド(EFAM)、プロポキシル化脂肪酸モノエタノールアミド(PFAM)、ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミド、又は、グルコサミンのN-アシルN-アルキル誘導体(グルカミド、GA、若しくは脂肪酸グルカミド、FAGA)、並びに商品名SPAN及びTWEENで入手可能な生成物、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0223】
含まれる場合、洗剤は、通常、約0重量%~約10重量%の半極性界面活性剤を含有するであろう。半極性界面活性剤の非限定的な例は、アルキルジメチルアミンオキシド、N-(ココアルキル)-N,N-ジメチルアミンオキシド、及びN-(獣脂-アルキル)-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミンオキシドなどのアミンオキシド(AO)、脂肪酸アルカノールアミド及びエトキシル化脂肪酸アルカノールアミド、並びにこれらの組み合わせを含む。
【0224】
含まれる場合、洗剤は、通常、約0重量%~約10重量%の両性イオン性界面活性剤を含有するであろう。両性イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、ベタイン、アルキルジメチルベタイン、スルホベタイン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0225】
ビルダー及びコビルダー
洗剤組成物は、約5%~約45%などの約0~65重量%の洗剤ビルダー若しくはコビルダー又はこれらの混合物を含有してもよい。皿洗浄洗剤において、ビルダーのレベルは、典型的に、40~65%、特に50~65%である。ビルダー及びキレート剤は、たとえば、液体から金属イオンを除去することによって、洗浄水を軟化する。ビルダー及び/又はコビルダーは、特に、Ca及びMgと共に水溶性錯体を形成するキレート化剤であってもよい。洗濯洗剤に用いられる、当分野で公知のいずれのビルダー及び/又はコビルダーを使用してもよい。ビルダーの非限定的な例としては、ゼオライト、二リン酸塩(ピロリン酸塩)、三リン酸ナトリウム(STP又はSTPP)などの三リン酸塩、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、メタケイ酸ナトリウムなどの可溶性ケイ酸塩、層状ケイ酸塩(例えば、Hoechst製SKS-6)、2-アミノエタン-1-オール(MEA)、ジエタノールアミン(DEA、イミノジエタノールとしても知られる)、トリエタノールアミン(TEA、2,2’,2’’-ニトリロトリエタノールとしても知られる)などのエタノールアミン、及び、カルボキシメチルイヌリン(CMI)、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0226】
洗剤組成物はまた、約0~20重量%、たとえば、約5%~約10%などの洗剤コビルダー、又はその混合物を含有してもよい。洗剤組成物は、コビルダーを単独で含んでも、又は、たとえばゼオライトビルダーといったビルダーと組み合わせて含んでもよい。コビルダーの非限定的な例としては、ポリ(アクリル酸)(PAA)又はコポリ(アクリル酸/マレイン酸)(PAA/PMA)などのポリアクリレートのホモポリマー又はそのコポリマーが挙げられる。さらに非限定的な例としては、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、アミノポリカルボン酸塩及びホスホン酸塩などのキレート剤、並びにアルキル-又はアルケニルコハク酸が挙げられる。別の具体例としては、2,2’,2’’-ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、イミノジコハク酸(IDS)、エチレンジアミン-N,N’-ジコハク酸(EDDS)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸(HEDP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMPA)、ジエチレントリアミンペンタキス(メチレンホスホン酸)(DTPMPA若しくはDTMPA)、N-(2-ヒドロキシエチル)イミノ二酢酸(EDG)、アスパラギン酸-N-一酢酸(ASMA)、アスパラギン酸-N,N-二酢酸(ASDA)、アスパラギン酸-N-モノプロピオン酸(ASMP)、イミノジコハク酸(IDA)、N-(2-スルホメチル)アスパラギン酸(SMAS)、N-(2-スルホエチル)アスパラギン酸(SEAS)、N-(2-スルホメチル)-グルタミン酸(SMGL)、N-(2-スルホエチル)-グルタミン酸(SEGL)、N-メチルイミノ二酢酸(MIDA)、α-アラニン-N,N-二酢酸(α-ALDA)、セリン-N,N-二酢酸(SEDA)、イソセリン-N,N-二酢酸(ISDA)、フェニルアラニン-N,N-二酢酸(PHDA)、アントラニル酸-N,N-二酢酸(ANDA)、スルファニル酸-N,N-二酢酸(SLDA)、タウリン-N,N-二酢酸(TUDA)及びスルホメチル-N,N-二酢酸(SMDA)、N-(2-ヒドロキシエチル)-エチリデンジアミン-N,N’,N’-トリアセテート(HEDTA)、ジエタノールグリシン(DEG)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)(ATMP)、並びにこれらの組み合わせ及びこれらの塩が挙げられる。さらなるビルダー及び/又はコビルダーの例は、たとえば、国際公開第2009/102854号パンフレット、及び米国特許第5,977,053号明細書に開示されている。
【0227】
本発明のスブチラーゼ変異体はまた、以下を含む皿洗浄組成物、好ましくは自動皿洗浄組成物(ADW)に製剤化されてもよい:
a)本発明による少なくとも0.01mgの活性プロテアーゼ変異体並びに
b)好ましくはクエン酸、メチルグリシン-N,N-二酢酸(MGDA)、及び/又はグルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA)並びにこれらの混合物から選択される10~50wt%のビルダー並びに
c)少なくとも1つの漂白剤成分。
【0228】
漂白系
洗剤は、約0.1%~約25%などの0~50重量%の漂白系を含有してもよい。漂白剤系は、多くの場合、酸化によって変色を除去し、多くの漂白剤はまた、高い殺菌特性をも有し、消毒及び滅菌のために使用される。洗濯洗剤に用いられる、当分野で公知のいずれの漂白系を使用してもよい。好適な漂白系成分としては、漂白触媒、光漂白剤、漂白活性化剤、過炭酸ナトリウム、及び過ホウ酸ナトリウムなどの過酸化水素の供給源、事前に形成した過酸、並びにこれらの混合物が挙げられる。好適な事前に形成した過酸としては、これらに限定されないが、ペルオキシカルボン酸及び塩、ペルカルボン酸及び塩、ペルイミド酸(perimidic acid)及び塩、過イミド酸及び塩、ペルオキシ一硫酸及び塩、たとえば、Oxone(登録商標)、並びに、これらの混合物が挙げられる。漂白系の非限定的な例としては、ペルオキシド系漂白系が挙げられ、これは、たとえば、過ホウ酸(通常は一水和物又は四水和物)、過炭酸、過硫酸、過リン酸、過ケイ酸のナトリウム塩などのアルカリ金属塩を含む無機塩を、過酸-形成性漂白活性化剤と組み合わせて含み得る。
【0229】
本明細書において、漂白活性化剤という用語は、過酸化水素などの過酸化物漂白剤と反応して過酸を形成する化合物を意味する。このようにして形成された過酸は、活性化された漂白剤を構成する。本明細書で用いる好適な漂白活性化剤は、エステル、アミド、イミド又は無水物のクラスに属するものを含む。好適な例は、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、ナトリウム4-[(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)オキシ]ベンゼンスルホン酸塩(ISONOBS)、ジぺルオキシドテカン酸、4-(ドデカノイルオキシ)ベンゼンスルホン酸塩(LOBS)、4-(デカノイルオキシ)ベンゼン-1-スルホン酸塩、4-(デカノイルオキシ)安息香酸塩(DOBS)、4-(ノナノイルオキシ)-ベンゼンスルホン酸塩(NOBS)、及び/又は国際公開第98/17767号パンフレットに開示されているものである。対象の漂白活性化剤の特定のファミリーが欧州特許第624154号明細書に開示されており、そのファミリーにおいて、クエン酸アセチルトリエチル(ATC)が特に好ましい。ATC又は短鎖トリグリセリド様トリアセチンは、最終的にクエン酸及びアルコールへと分解するため、環境にやさしいという利点を有する。さらに、クエン酸アセチルトリエチル及びトリアセチンは、貯蔵に際して生成物における良好な加水分解安定性を有しており、これは効果的な漂白活性化剤である。最後に、ATCは、洗濯添加剤に対する良好なビルディング性を提供する。あるいは、漂白系は、たとえば、アミド、イミド、又はスルホンタイプの過酸を含み得る。漂白系はまた、6-(フタルイミド)ペルオキシヘキサン酸(PAP)などの過酸を含んでもよい。漂白系はまた、漂白触媒又は増進剤を含んでいてもよい。
【0230】
本発明の組成物中で使用されてもよい漂白触媒のいくつかの非限定的な例は、シュウ酸マンガン、酢酸マンガン、マンガン-コラーゲン、コバルト-アミン触媒、及びマンガントリアザシクロノナン(MnTACN)触媒を含み;1,4,7-トリメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me3-TACN)又は1,2,4,7-テトラメチル-1,4,7-トリアザシクロノナン(Me4-TACN)、特にMe3-TACNとのマンガンの錯体、たとえば複核マンガン錯体[(Me3-TACN)Mn(O)3Mn(Me3-TACN)](PF6)2及び[2,2’,2”-ニトリロトリス(エタン-1,2-ジイルアザニリリデン-κN-メタニルイリデン)トリフェノラト-κ3O]マンガン(III)などが特に好ましい。漂白触媒はまた、鉄又はコバルト錯体などの他の金属化合物であってもよい。
【0231】
一部の実施形態において、漂白剤成分は、以下の式を有する有機触媒:
【化1】
(iii)及びこれらの混合物
(式中、各R
1は、独立して、9~24個の炭素を含有する分岐アルキル基又は11~24個の炭素を含有する直鎖アルキル基であり、好ましくは、各R
1は、独立して、9~18個の炭素を含有する分岐アルキル基又は11~18個の炭素を含有する直鎖アルキル基であり、より好ましくは、各R
1は、独立して、2-プロピルヘプチル、2-ブチルオクチル、2-ペンチルノニル、2-ヘキシルデシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、イソ-ノニル、イソ-デシル、イソ-トリデシル及びイソ-ペンタデシルからなる群から選択される)
からなる群から選択される有機触媒であってもよい。他の例示的な漂白系は、たとえば、国際公開第2007/087258号パンフレット、国際公開第2007/087244号パンフレット、国際公開第2007/087259号パンフレット、欧州特許第1867708号明細書(ビタミンK)、及び国際公開第2007/087242号パンフレットに記載されている。好適な光漂白剤は、たとえばスルホン化亜鉛フタロシアニンであってよい。
【0232】
ヒドロトロープ
ヒドロトロープは、疎水性化合物を水溶液中に(又は反対に、極性物質を非極性環境中に)可溶化させる化合物である。典型的に、ヒドロトロープは、親水特性及び疎水特性の両方を有する(いわゆる、界面活性剤で知られている両親媒性特性);しかしながら、ヒドロトロープの分子構造は、一般に、自発的な自己凝集を好まない、たとえばHodgdon and Kaler,2007,Current Opinion in Colloid&Interface Science 12:121-128による概説を参照されたい。ヒドロトロープは、ミセル相、層状相、又は他の良好に画定されたメソ相を形成する界面活性剤及び脂質について見出されるような、超えると自己凝集を生じる限界濃度を示さない。代わりに、多くのヒドロトロープは、凝集物の大きさが濃度の増加に伴って大型化する連続タイプの凝集プロセスを示す。しかしながら、多くのヒドロトロープは、水、油、界面活性剤、及びポリマーの混合物を含む、極性及び非極性特性の物質を含有する系の相挙動、安定性、及びコロイド特性を改変させる。ヒドロトロープは、伝統的に、製薬、パーソナルケア、及び食品から技術的な応用まで、産業全域で使用されている。洗剤組成物におけるヒドロトロープの使用は、たとえば、相分離又は高粘度などの望ましくない現象を誘起せずに、界面活性剤のより濃縮された製剤を可能にする(水を排除することによって液体洗剤をコンパクトにするプロセスでのように)。
【0233】
洗剤は、約0.5~約5%又は約3%~約5%などの0~5重量%のヒドロトロープを含有してもよい。洗剤中で使用するための当技術分野において知られている任意のヒドロトロープが、利用されてもよい。ヒドロトロープの非限定的な例は、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、p-トルエンスルホン酸ナトリウム(STS)、キシレンスルホン酸ナトリウム(SXS)、クメンスルホン酸ナトリウム(SCS)、シメンスルホン酸ナトリウム、アミンオキシド、アルコール及びポリグリコールエーテル、ヒドロキシナフタレンナトリウム、ヒドロキシナフタレンスルホン酸ナトリウム、エチルヘキシル硫酸ナトリウム、並びにこれらの組み合わせを含む。
【0234】
ポリマー
洗剤は、0.5~5%、2~5%、0.5~2%又は0.2~1%などの0~10重量%のポリマーを含有する。洗剤において用いられる技術分野において公知であるいずれかのポリマーが利用され得る。ポリマーは、上記のとおりコビルダーとして機能し得、又は、再汚染防止、繊維保護、汚染物遊離、移染防止、油脂クリーニング及び/又は消泡特性をもたらし得る。いくつかのポリマーは、上記の特性を2つ以上及び/又は下記のモチーフを2つ以上有している場合がある。例示的なポリマーとしては、(カルボキシメチル)セルロース(CMC)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチレングリコール)又はポリ(エチレンオキシド)(PEG)、エトキシル化ポリ(エチレンイミン)、カルボキシメチルイヌリン(CMI)、及び、PAAなどのポリカルボキシレート、PAA/PMA、ポリ-アスパラギン酸、及び、ラウリルメタクリレート/アクリル酸コポリマー、疎水性修飾CMC(HM-CMC)及びシリコーン、テレフタル酸とオリゴマー系グリコールとのコポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)とポリ(オキシエテンテレフタレート)とのコポリマー(PET-POET)、PVP、ポリ(ビニルイミダゾール)(PVI)、ポリ(ビニルピリジン-N-オキシド)(PVPO又はPVPNO)、並びに、ポリビニルピロリドン-ビニルイミダゾール(PVPVI)が挙げられる。さらに例示的なポリマーとしては、スルホン化ポリカルボキシレート、ポリエチレンオキシド及びポリプロピレンオキシド(PEO-PPO)及びジクアタニウムエトキシスルフェートが挙げられる。他の例示的なポリマーは、たとえば、国際公開第2006/130575号パンフレットに開示されている。上記のポリマーの塩もまた予期される。
【0235】
布地色調剤
本発明の洗剤組成物はまた、染料又は顔料などの布地色調剤を含んでいてもよく、これは、洗剤組成物に配合された場合に、布地が洗剤組成物を含む洗浄液と接触させられる際に布地に付着し、これにより、可視光の吸収/反射を介して布地の色合いを変えることが可能である。蛍光性白色化剤は少なくともいくらかの可視光を放つ。対照的に、布地色調剤は、可視光スペクトルの少なくとも一部分を吸収することで表面の色合いを変える。好適な布地色調剤としては、染料及び染料-クレイ複合体が挙げられ、また、顔料もまた挙げられ得る。好適な染料としては、微小分子染料及び高分子染料が挙げられる。好適な微小分子染料としては、たとえば国際公開第2005/003274号パンフレット、国際公開第2005/003275号パンフレット、国際公開第2005/003276号パンフレット及び欧州特許第1876226号明細書(本明細書において参照により援用される)に記載されている、Direct Blue、Direct Red、Direct Violet、Acid Blue、Acid Red、Acid Violet、Basic Blue、Basic Violet及びBasic Red、又は、これらの混合物の染料索引(C.I.)分類に属する染料からなる群から選択される微小分子染料が挙げられる。洗剤組成物は、約0.00003重量%~約0.2重量%、約0.00008重量%~約0.05重量%又はさらには約0.0001重量%~約0.04重量%の布地色調剤を含むことが好ましい。組成物は、0.0001重量%~0.2重量%の布地色調剤を含み得、これは、組成物が単位用量ポーチの形態である場合に特に好ましい場合がある。好適な色調剤はまた、たとえば、国際公開第2007/087257号パンフレット、及び国際公開第2007/087243号パンフレットに開示されている。
【0236】
追加の酵素
本発明のスブチラーゼ変異体を含む洗剤添加剤又は洗剤組成物は、アミラーゼ、アラビナーゼ、カルボヒドラーゼ、セルラーゼ(たとえばエンドグルカナーゼ)、クチナーゼ、ガラクタナーゼ、ハロペルオキシゲナーゼ、リパーゼ、マンナナーゼ、オキシダーゼ、たとえばラッカーゼ及び/若しくはペルオキシダーゼ、ペクチナーゼ、ペクチンリアーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、キサンタナーゼ、又はキシログルカナーゼなどの1つ又は複数の酵素を含んでいてもよい。
【0237】
選択された酵素の特性は、選択された洗剤と適合性であるべきであり(たとえば、至適pH、他の酵素成分及び非酵素成分との適合性など)、また、酵素は有効量で存在すべきである。
【0238】
セルラーゼ
好適なセルラーゼは、細菌性又は真菌性由来のものを含む。化学的に修飾されたミュータント又はタンパク質改変ミュータントが含まれる。好適なセルラーゼとしては、たとえば、米国特許第4,435,307号明細書、米国特許第5,648,263号明細書、米国特許第5,691,178号明細書、米国特許第5,776,757号明細書及び国際公開第89/09259号パンフレットに開示されている、フミコラ・インソレンス(Humicola insolens)、ミセリオフトラ・テルモフィラ(Myceliophthora thermophila)及びフザリウム・オキシスポルム(Fusarium oxysporum)から産生される真菌セルラーゼといった、バチルス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、フミコラ属(Humicola)、フザリウム属(Fusarium)、チエラビア属(Thielavia)、アクレモニウム属(Acremonium)由来のセルラーゼが挙げられる。
【0239】
特に好適なセルラーゼは、色の取り扱いに関する有益性を有するアルカリ性又は中性セルラーゼである。このようなセルラーゼの例は、欧州特許第495257号明細書、欧州特許第531372号明細書、国際公開第96/11262号パンフレット、国際公開第96/29397号パンフレット、国際公開第98/08940号パンフレットに記載されているセルラーゼである。他の例は、国際公開第94/07998号パンフレット、欧州特許第531315号明細書、米国特許第5,457,046号明細書、米国特許第5,686,593号明細書、米国特許第5,763,254号明細書、国際公開第95/24471号パンフレット、国際公開第98/12307号パンフレット及びPCT/DK第99/00299号パンフレットに記載されているものなどのセルラーゼ変異体である。
【0240】
エンド-ベータ-1,4-グルカナーゼ活性(EC3.2.1.4)を呈するセルラーゼの例は、国際公開第02/99091号パンフレットにおいて記載される。
【0241】
セルラーゼの他の例は、国際公開第96/29397号パンフレットにおいて記載されるファミリー45セルラーゼ並びに特に、好ましくは、P19A、G20K、Q44K、N48E、Q119H、又はQ146Rの中から選択される、国際公開第02/99091号パンフレットの配列番号8の以下の位置に対応する1つ又は複数の位置に、置換、挿入、及び/又は欠失を有するその変異体を含む:2、4、7、8、10、13、15、19、20、21、25、26、29、32、33、34、35、37、40、42、42a、43、44、48、53、54、55、58、59、63、64、65、66、67、70、72、76、79、80、82、84、86、88、90、91、93、95、95d、95h、95j、97、100、101、102、103、113、114、117、119、121、133、136、137、138、139、140a、141、143a、145、146、147、150e、150j、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160c、160e、160k、161、162、164、165、168、170、171、172、173、175、176、178、181、183、184、185、186、188、191、192、195、196、200、及び/又は20。
【0242】
市販されているセルラーゼは、Celluzyme(商標)及びCarezyme(商標)(Novozymes A/S)、Clazinase(商標)及びPuradax HA(商標)(Genencor International Inc.)、並びにKAC-500(B)(商標)(花王株式会社(Kao Corporation))を含む。
【0243】
プロテアーゼ
組成物は、細菌、真菌、植物、ウイルス若しくは動物由来、たとえば、野菜又は微生物由来のものを含む、1つ以上の追加のプロテアーゼを含む。微生物由来のものが好ましい。化学的に修飾されたミュータント又はタンパク質改変ミュータントが含まれる。これは、セリンプロテアーゼ又はメタロプロテアーゼなどのアルカリ性プロテーゼであってよい。セリンプロテアーゼは、たとえば、S1ファミリー、たとえば、トリプシン、又はスブチリシンなどのS8ファミリーのものであってよい。メタロプロテアーゼは、たとえば、ファミリーM4などからのサーモリシン、又はM5、M7若しくはM8ファミリーのものなどの他のメタロプロテアーゼであってよい。
【0244】
メタロプロテアーゼの例は、国際公開第2007/044993号明細書(Genencort Int.)に記載されている中性メタロプロテアーゼ、たとえば、バチルス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)由来のものなどである。
【0245】
好適な市販されているタンパク分解酵素としては、次の商品名:Alcalase(登録商標)、Duralase(商標)、Durazym(商標)、Relase(登録商標)、Relase(登録商標)Ultra、Savinase(登録商標)、Savinase(登録商標)Ultra、Primase(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Liquanase(登録商標)Ultra、Ovozyme(登録商標)、Coronase(登録商標)、Coronase(登録商標)Ultra、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)及びEsperase(登録商標)及びProgress(登録商標)Excel(Novozymes A/S)で販売されているもの、並びに次の商品名:Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Preferenz(商標)、Purafect MA(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、Purafect OxP(登録商標)、Puramax(登録商標)、Properase(登録商標)、Effectenz(商標)、FN2(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)、Eraser(登録商標)、Opticlean(登録商標)及びOptimase(登録商標)(Danisco/DuPont)、Axapem(商標)(Gist-Brocades N.V.)、BLAP(米国特許第5352604号明細書の
図29に示される配列)及びその変異体(Henkel AG)、及びKAP(バチルス・アルカロフィルス(Bacillus alkalophilus)スブチリシン)(花王株式会社から)で販売されているものが挙げられる。
【0246】
リパーゼ及びクチナーゼ
好適なリパーゼ及びクチナーゼは、細菌又は真菌由来のものを含む。化学的に修飾されたミュータント酵素又はタンパク質改変ミュータント酵素が含まれる。例としては、欧州特許第258068号明細書及び欧州特許第305216号明細書に記載されている、テルモマイセス属(Thermomyces)由来、たとえば、T.ラヌギノスス(T.lanuginosus)(以前はフミコラ・ラヌギノサ(Humicola lanuginosa)と命名されていた)由来のリパーゼ;たとえば、H.インソレンス(H.insolens)といったフミコラ属(Humicola)由来のクチナーゼ(国際公開第96/13580号パンフレット)、たとえば、P.アルカリゲネス(P.alcaligenes)又はP.シュードアルカリアルカリゲネス(P.pseudoalcaligenes)(欧州特許第218272号明細書)、P.セパシア(P.cepacia)(欧州特許第331376号明細書)、シュードモナス属(P.sp.)SD705株(国際公開第95/06720号パンフレット及び国際公開第96/27002号パンフレット)、P.ウィスコンシネンシス(P.wisconsinensis)(国際公開第96/12012号パンフレット)といったシュードモナス属(Pseudomonas)(これらの一部は、現在、バークホルデリア属(Burkholderia)と改名されている)株由来のリパーゼ;GDSLタイプのストレプトマイセス(Streptomyces)リパーゼ(国際公開第2010/065455号パンフレット)、イネいもち病菌(Magnaporthe grisea)(国際公開第2010/107560号パンフレット)、シュードモナス・メンドシナ(Pseudomonas mendocina)由来のクチナーゼ(米国特許第5,389,536号明細書)、サーモビフィダ・フスカ(Thermobifida fusca)由来のリパーゼ(国際公開第2011/084412号パンフレット)、ジェオバシラス・ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)リパーゼ(国際公開第2011/084417号パンフレット)、枯草菌(Bacillus subtilis)由来のリパーゼ(国際公開第2011/084599号パンフレット)、並びにストレプトマイセス・グリセウス (Streptomyces griseus)(国際公開第2011/150157号パンフレット)及びストレプトマイセス・プリスチナエスピラリス(S.pristinaespiralis)(国際公開第2012/137147号パンフレット)由来のリパーゼが挙げられる。
【0247】
他の例は、欧州特許第407225号明細書、国際公開第92/05249号パンフレット、国際公開第94/01541号パンフレット、国際公開第94/25578号パンフレット、国際公開第95/14783号パンフレット、国際公開第95/30744号パンフレット、国際公開第95/35381号パンフレット、国際公開第95/22615号パンフレット、国際公開第96/00292号パンフレット、国際公開第97/04079号パンフレット、国際公開第97/07202号パンフレット、国際公開第00/34450号パンフレット、国際公開第00/60063号パンフレット、国際公開第01/92502号パンフレット、国際公開第2007/87508号パンフレット及び国際公開第2009/109500号パンフレットに記載のものなどのリパーゼ変異体である。
【0248】
好ましい市販されているリパーゼ酵素としては、Lipolase(商標)、Lipex(商標);Lipolex(商標)及びLipoclean(商標)(Novozymes A/S)、Lumafast(当初、Genencorから市販)及びLipomax(当初、Gist-Brocadesから市販)が挙げられる。
【0249】
また別の例は、アシルトランスフェラーゼ又はペルヒドロラーゼと呼ばれこともあるリパーゼ、たとえば、カンディダ・アンタークティカ(Candida antarctica)リパーゼAとの相同体を有するアシルトランスフェラーゼ(国際公開第2010/111143号パンフレット)、マイコバクテリウム・スメグマチス(Mycobacterium smegmatis)由来のアシルトランスフェラーゼ(国際公開第2005/56782号パンフレット)、CE 7ファミリー由来のペルヒドロラーゼ(国際公開第2009/67279号パンフレット)、並びに、M.スメグマチス(M.smegmatis)ペルヒドロラーゼの変異体、特に、Huntsman Textile Effects Pte Ltd製の商品Gentle Power Bleachに使用されているS54V変異体(国際公開第2010/100028号パンフレット)である。
【0250】
アミラーゼ
本発明のサブチラーゼ変異体と一緒に用いることができる、好適なアミラーゼは、α-アミラーゼ又はグルコアミラーゼであってよく、細菌又は真菌由来のいずれであってもよい。化学的に修飾されたミュータント又はタンパク質改変ミュータントが含まれる。アミラーゼとしては、たとえば、英国特許第1,296,839号明細書にさらに詳細に記載されているバチルス・リケニホルミス(Bacillus licheniformis)の特殊な系統といった、たとえばバチルス属(Bacillus)から得られるα-アミラーゼが挙げられる。
【0251】
好適なアミラーゼとしては、国際公開第95/10603号パンフレットに記載の配列番号2を有するアミラーゼ、又はその配列番号3に対して90%配列同一性を有する変異体が挙げられる。好ましい変異体は、国際公開第94/02597号パンフレット、国際公開第94/18314号パンフレット、国際公開第97/43424号パンフレット及び国際公開第99/19467号パンフレットの配列番号4に記載の変異体、たとえば、以下の1つ又は複数の位置に置換を伴う変異体である:15、23、105、106、124、128、133、154、156、178、179、181、188、190、197、201、202、207、208、209、211、243、264、304、305、391、408、及び444。
【0252】
別の好適なアミラーゼとして、国際公開第02/10355号パンフレットに記載の配列番号6を有するアミラーゼ、又は配列番号6に対して90%配列同一性を有する変異体が挙げられる。配列番号6の好ましい変異体は、181位及び182位に欠失を有し、193位に置換を有するものである。
【0253】
好適な他のアミラーゼは、国際公開第2006/066594号パンフレットに記載の配列番号6に示されるバチルス・アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)に由来するα-アミラーゼの残基1~33と、国際公開第2006/066594号パンフレットに記載の配列番号4に示されるB.リケニホルミス(B.licheniformis)α-アミラーゼの残基36~483を含むハイブリッドα-アミラーゼ又はそれらの90%配列同一性を有する変異体である。このハイブリッドα-アミラーゼの好ましい変異体は、以下の1つ又は複数の位置に置換、欠失若しくは挿入を伴う変異体である:G48、T49、G107、H156、A181、N190、M197、I201、A209及びQ264。国際公開第2006/066594号パンフレットに記載の配列番号6に示されるB.アミロリケファシエンス(B.amyloliquefaciens)に由来するα-アミラーゼの残基1~33と、配列番号4の残基36~483を含むハイブリッドα-アミラーゼの最も好ましい変異体は、以下の置換を有するものである:
M197T;
H156Y+A181T+N190F+A209V+Q264S;又は
G48A+T49I+G107A+H156Y+A181T+N190F+I201F+A209V+Q264S。
【0254】
他の好適なアミラーゼは、国際公開第99/19467号パンフレットに記載の配列番号6の配列を有するアミラーゼ又は配列番号6に対して90%配列同一性を有するその変異体である。配列番号6の好ましい変異体は、以下の1つ又は複数の位置に置換、欠失若しくは挿入を伴う変異体である:R181、G182、H183、G184、N195,I206、E212、E216及びK269。特に好ましいアミラーゼは、R181及びG182位、又はH183及びG184位に欠失を有するものである。
【0255】
用いることができる別のアミラーゼは、国際公開第96/23873号パンフレットの配列番号1、配列番号3、配列番号2若しくは配列番号7を有するもの、又は配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号7に対して90%配列同一性を有する変異体である。配列番号1、配列番号2、配列番号3若しくは配列番号7の好ましい変異体は、国際公開第96/23873号パンフレットの配列番号2を番号付けに用いて、以下の1つ又は複数の位置に置換、欠失若しくは挿入を伴う変異体である:140、181、182、183、184、195、206、212、243、260、269、304及び476。より好ましい変異体は、181、182、183及び184から選択される2つの位置、たとえば、181及び182、182及び183に欠失を有するものである。配列番号1、配列番号2若しくは配列番号7の最も好ましい変異体は、183及び184位における欠失と、140、195、206、243、260、304及び476の1つ又は複数の位置に置換を有するものである。
【0256】
用いることができる他のアミラーゼは、国際公開第2008/153815号パンフレットの配列番号2、国際公開第01/66712号パンフレットの配列番号10を有するアミラーゼ、又は国際公開第2008/153815号パンフレットの配列番号2に対して90%配列同一性を有するその変異体、国際公開第01/66712号パンフレットの配列番号10に対して90%配列同一性を有する変異体である。国際公開第01/66712号パンフレットの配列番号10の好ましい変異体は、以下の1つ又は複数の位置に置換、欠失若しくは挿入を伴う変異体である:176、177、178、179、190、201、207、211及び264。
【0257】
さらに別の好適なアミラーゼは、国際公開第2009/061380号パンフレットの配列番号2を有するアミラーゼ又はその配列番号2に対して90%配列同一性を有する変異体である。配列番号2の好ましい変異体は、C末端の切断及び/又は以下の1つ又は複数の位置に置換、欠失若しくは挿入を伴う変異体である:Q87、Q98、S125、N128、T131、T165、K178、R180、S181、T182、G183、M201、F202、N225、S243、N272、N282、Y305、R309、D319、Q320、Q359、K444及びG475。配列番号2のより好ましい変異体は、以下の1つ又は複数の位置:Q87E,R、Q98R、S125A、N128C、T131I、T165I、K178L、T182G、M201L、F202Y、N225E,R、N272E,R、S243Q,A,E,D、Y305R、R309A、Q320R、Q359E、K444E及びG475Kにおける置換、並びに/又は以下の位置:R180及び/若しくはS181又はT182及び/若しくはG183における欠失を伴うものである。配列番号2の最も好ましいアミラーゼ変異体は、以下の置換:
N128C+K178L+T182G+Y305R+G475K;
N128C+K178L+T182G+F202Y+Y305R+D319T+G475K;
S125A+N128C+K178L+T182G+Y305R+G475K;又は
S125A+N128C+T131I+T165I+K178L+T182G+Y305R+G475K
を有するものであり、変異体は、C末端切断されており、任意選択で、243位の置換並びに/又は180位及び/若しくは181位の欠失をさらに含む。
【0258】
さらなる好適なアミラーゼは、国際公開第2013/184577号パンフレットの配列番号1を有するアミラーゼ又はその配列番号1に対して90%の配列同一性を有する変異体である。配列番号1の好ましい変異体は、1つ又は複数の以下の位置に置換、欠失、又は挿入を有する変異体である:K176、R178、G179、T180、G181、E187、N192、M199、I203、S241、R458、T459、D460、G476、及びG477。配列番号1のより好ましい変異体は、1つ若しくは複数の以下の位置に置換:K176L、E187P、N192FYH、M199L、I203YF、S241QADN、R458N、T459S、D460T、G476K、及びG477K並びに/又はR178及び/若しくはS179又はT180及び/若しくはG181の位置に欠失を有する変異体である。配列番号1の最も好ましいアミラーゼ変異体は、以下の置換を含み:
E187P+I203Y+G476K
E187P+I203Y+R458N+T459S+D460T+G476K
任意選択で、241位に置換並びに/又は178位及び/若しくは179位に欠失をさらに含む。
【0259】
さらなる好適なアミラーゼは、国際公開第2010/104675号パンフレットの配列番号1を有するアミラーゼ又はその配列番号1に対して90%の配列同一性を有する変異体である。配列番号1の好ましい変異体は、1つ又は複数の以下の位置に置換、欠失、又は挿入を有する変異体である:N21、D97、V128 K177、R179、S180、I181、G182、M200、L204、E242、G477、及びG478。
【0260】
配列番号1のより好ましい変異体は、1つ若しくは複数の以下の位置に置換:N21D、D97N、V128I K177L、M200L、L204YF、E242QA、G477K、及びG478K並びに/又はR179及び/若しくはS180又はI181及び/若しくはG182の位置に欠失を有する変異体である。配列番号1の最も好ましいアミラーゼ変異体は、置換N21D+D97N+V128Iを含み、任意選択で、200位に置換並びに/又は180位及び/若しくは181位に欠失をさらに含む。
【0261】
他の好適なアミラーゼは、国際公開第01/66712号パンフレットに記載の配列番号12を有するα-アミラーゼ又は配列番号12に対して少なくとも90%配列同一性を有する変異体である。好ましいアミラーゼ変異体は、国際公開第01/66712号パンフレットに記載の配列番号12の以下の1つ又は複数の位置に置換、欠失若しくは挿入を伴う変異体である:R28、R118、N174;R181、G182、D183、G184、G186、W189、N195、M202、Y298、N299、K302、S303、N306、R310、N314;R320、H324、E345、Y396、R400、W439、R444、N445、K446、Q449、R458、N471、N484。特に好ましいアミラーゼは、D183及びG184の欠失を有し、且つ、次の置換:R118K、N195F、R320K及びR458Kを有する変異体、並びに以下:M9、G149、G182、G186、M202、T257、Y295、N299、M323、E345及びA339の群から選択される1つ又は複数の位置に置換をさらに有する変異体であり、これらの位置に置換をさらに有する変異体が最も好ましい。
【0262】
他の例は、国際公開第2011/098531号パンフレット、国際公開第2013/001078号パンフレット及び国際公開第2013/001087号パンフレットに記載されているものなどのアミラーゼ変異体である。市販されているアミラーゼは、Duramyl(商標)、Termamyl(商標)、Fungamyl(商標)、Stainzyme(商標)、Stainzyme Plus(商標)、Natalase(商標)、Liquozyme X及びBAN(商標)(Novozymes A/Sから)、並びにRapidase(商標)、Purastar(商標)/Effectenz(商標)、Powerase、Preferenz S1000、Preferenz S100及びPreferenz S110(Genencor International Inc./DuPontから)である。
【0263】
ペルオキシダーゼ/オキシダーゼ
好適なペルオキシダーゼ/オキシダーゼは、植物、細菌又は真菌由来のものを含む。化学的に修飾されたミュータント又はタンパク質改変ミュータントが含まれる。有用なペルオキシダーゼの例としては、たとえば、ウシグソヒトヨタケ(C.cinereus)といったヒトヨタケ属(Coprinus)由来のペルオキシダーゼ、並びに、国際公開第93/24618号パンフレット、国際公開第95/10602号パンフレット及び国際公開第98/15257号パンフレットに記載されているものなどのその変異体が挙げられる。
【0264】
補助材料
洗剤において用いられる技術分野において公知であるいずれかの洗濯洗剤成分もまた利用され得る。他の任意の洗剤成分としては、単独若しくは組み合わせで、耐食剤、収縮防止剤、再汚染防止剤、しわ防止剤、殺菌剤、バインダ、腐食抑制剤、崩壊剤/分解剤、染料、酵素安定化剤(ホウ酸、ホウ酸塩、CMC、及び/又は、プロピレングリコールなどのポリオールを含む)、クレイを含む布地コンディショナ、充填材/加工助剤、蛍光性白色化剤/光学増白剤、起泡増進剤、起泡(セッケンの泡)調節剤、香料、汚染物-懸濁剤、軟化剤、セッケン泡抑制剤、色あせ防止剤、及び、ウィッキング剤が挙げられる。洗濯洗剤において用いられる技術分野において公知であるいずれかの処方成分が利用され得る。このような処方成分の選択は十分に当業者の技能の範囲内である。
【0265】
分散剤:本発明の洗剤組成物はまた、分散剤を含有することが可能である。特に粉末洗剤が分散剤を含んでいてもよい。好適な水溶性有機材料としては、ホモ-又はコポリマー酸又はその塩が挙げられ、ここで、ポリカルボン酸は、2個以下の炭素原子によって相互に分離された少なくとも2つのカルボキシルラジカルを含む。好適な分散剤は、たとえば、Powdered Detergents, Surfactant Science Series volume 71,Marcel Dekker,Inc.,1997に記載されている。
【0266】
移染防止剤:本発明の洗剤組成物はまた、1種又は複数種の移染防止剤を含み得る。好適な高分子移染防止剤としては、これらに限定されないが、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルイミダゾールのコポリマー、ポリビニルオキサゾリドン及びポリビニルイミダゾール又はこれらの混合物が挙げられる。主題の組成物中に存在する場合、移染防止剤は、組成物の約0.0001%~約10%、約0.01%~約5%、又は、さらには約0.1%~約3重量%のレベルで存在し得る。
【0267】
蛍光性白色化剤:本発明の洗剤組成物はまた、好ましくは、蛍光性白色化剤又は光学増白剤などのクリーニングされる物品の色合いを変え得る追加の成分を含有するであろう。存在する場合、増白剤は、約0,01%~約0,5%のレベルであることが好ましい。ランドリー洗剤組成物での使用に好適であれば、どんな蛍光性白色化剤を本発明の組成物に用いてもよい。最も一般的に用いられる蛍光性白色化剤は、ジアミノスチルベン-スルホン酸誘導体、ジアリールピラゾリン誘導体及びビスフェニル-ジスチリル誘導体のクラスに属するものである。ジアミノスチルベン-スルホン酸誘導体タイプの蛍光性白色化剤の例としては、以下:4,4’-ビス-(2-ジエタノールアミノ-4-アニリノ-s-トリアジン-6-イルアミノ)スチルベン-2,2’-ジスルホネート、4,4’-ビス-(2,4-ジアニリノ-s-トリアジン-6-イルアミノ)スチルベン-2.2’-ジスルホネート、4,4’-ビス-(2-アニリノ-4(N-メチル-N-2-ヒドロキシ-エチルアミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ)スチルベン-2,2’-ジスルホネート、4,4’-ビス-(4-フェニル-2,1,3トリアゾール-2-イル)スチルベン-2,2’-ジスルホネート、4,4’-ビス-(2-アニリノ-4(1-メチル-2-ヒドロキシ-エチルアミノ)-s-トリアジン-6-イルアミノ)スチルベン-2,2’-ジスルホネート、及び2-(スチルビル-4’ ’-ナフト-1.,2’:4,5)-1,2,3-トリゾール-2’’-スルホネートのナトリウム塩が挙げられる。好ましい蛍光性白色化剤は、Ciba-Geigy AG,Basel,Switzerlandから市販されているTinopal DMS及びTinopal CBSである。Tinopal DMSは、4,4’-ビス-(2-モルホリノ-4 アニリノ-s-トリアジン-6-イルアミノ)スチルベン ジスルホネートの二ナトリウム塩である。Tinopal CBSは、2,2’-ビス-(フェニル-スチリル)-ジスルホネートの二ナトリウム塩である。また、好ましい蛍光性白色化剤は、Paramount Minerals and Chemicals,Mumbai,India製の市販のParawhite KXである。本発明における使用に好適な他の蛍光剤としては、1-3-ジアリールピラゾリン及び7-アルキルアミノクマリンが挙げられる。好適な蛍光性増白剤レベルは、約0.01、0.05、約0.1、又は、さらには約0.2重量%の下限レベルから、0.5又はさらには0.75重量%の上限レベルを含む。
【0268】
汚染物遊離ポリマー:本発明の洗剤組成物はまた、綿及びポリエステル系布地などの布地からの汚染物の除去、特にポリエステル系布地からの疎水性汚染物の除去を補助する1種又は複数種の汚染物遊離ポリマーを含み得る。汚染物遊離ポリマーは、たとえば、ノニオン性又はアニオン性テレフタレート系ポリマー、ポリビニルカプロラクタム及び関連するコポリマー、ビニルグラフトコポリマー、ポリエステルポリアミドであり得る(たとえばChapter 7,Powdered Detergents,Surfactant science series volume 71,Marcel Dekker,Inc.を参照のこと)。他のタイプの汚染物遊離ポリマーは、コア構造と、このコア構造に結合した複数のアルコキシレート基とを含む両親媒性アルコキシル化油脂クリーニングポリマーである。コア構造は、国際公開第2009/087523号パンフレット(本明細書において参照により援用されている)に詳述されているとおり、ポリアルキレンイミン構造又はポリアルカノールアミン構造を含み得る。さらに、ランダムグラフトコポリマーは、好適な汚染物遊離ポリマーである。好適なグラフトコポリマーは、国際公開第2007/138054号パンフレット、国際公開第2006/108856号パンフレット及び国際公開第2006/113314号パンフレット(本明細書において参照により援用されている)により詳細に記載されている。他の汚染物遊離ポリマーは、欧州特許第1867808号明細書又は国際公開第03/040279号パンフレット(共に本明細書において参照により援用されている)に記載されているものなどの変性セルロース誘導体などの特に置換セルロース系構造といった置換多糖類構造である。好適なセルロース系ポリマーとしては、セルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、セルロースアミド及びこれらの混合物が挙げられる。好適なセルロース系ポリマーとしては、アニオン性変性セルロース、ノニオン性変性セルロース、カチオン性変性セルロース、両性イオン性変性セルロース、及び、これらの混合物が挙げられる。好適なセルロース系ポリマーとしては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、エステルカルボキシメチルセルロース及びこれらの混合物が挙げられる。
【0269】
再汚染防止剤:本発明の洗剤組成物としてはまた、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリオキシエチレン及び/又はポリエチレングリコール(PEG)、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とマレイン酸とのコポリマー、並びに、エトキシル化ポリエチレンイミンなどの1種又は複数種の再汚染防止剤が挙げられ得る。上記の汚染物遊離ポリマーに記載のセルロース系ポリマーは、再汚染防止剤としても機能し得る。
【0270】
その他の好適な補助材としては、これらに限定されないが、収縮防止剤、しわ防止剤、殺菌剤、バインダ、キャリア、染料、酵素安定化剤、布地軟化剤、充填材、起泡調節剤、ヒドロトロープ、香料、顔料、セッケン泡抑制剤、溶剤、液体洗剤用構造化剤、及び/又は、構造弾性化剤が挙げられる。
【0271】
洗剤生成物の配合物
洗剤酵素、すなわち本発明のスブチラーゼ変異体及び任意選択で1つ又は複数の追加の酵素は、1つ若しくは複数の酵素を含有する個別の添加剤を追加することによって又はこれらの酵素のすべてを含む添加剤の組み合わせを追加することによって、洗剤組成物中に含まれてもよい。1つ又は複数の酵素を含む洗剤添加剤は、たとえば、顆粒、液体、スラリー等として製剤化することができる。好ましい洗剤添加剤製剤は、顆粒、特に非発塵性顆粒、液体、特に安定化された液体、又はスラリーを含む。
【0272】
本発明の洗剤組成物は、例えば、バー、均質な錠剤、2つ以上の層を有する錠剤、1つ又は複数のコンパートメントを有するポーチ、通常の若しくは圧縮された粉末、顆粒、ペースト、ゲル、又は、通常の、圧縮若しくは濃縮液体といったいずれかの簡便な形態であってよい。層(同じ又は異なる相)、ポーチ、及び機械投入ユニット用の形態などの多くの洗剤製剤形態がある。
【0273】
ポーチは、単一又は複数のコンパートメントとして構成されることが可能である。例えば、水との接触に先だつポーチからの組成物の漏れが防止されるなど、組成物の保持に好適であれば、如何なる形態、形状及び材料のものであることも可能である。ポーチは、内部容積を有する水溶性フィルム製のものである。内部容積は、ポーチのコンパートメントに分離されていることが可能である。好ましいフィルムは、フィルム又はシートに形成される好ましくはポリマーである高分子材料である。好ましいポリマー、コポリマー又はその誘導体は、ポリアクリレート、及び、水溶性アクリレートコポリマー、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムデキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート、最も好ましくはポリビニルアルコールコポリマー及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)から選択される。好ましくは、フィルム中のポリマーのレベルは、例えばPVAで少なくとも約60%である。好ましい平均分子量は、典型的には約20,000~約150,000であろう。フィルムはまた、ポリアクチド及びポリビニルアルコール(Chris Craft In.Prod.of Gary,Indiana,USから市販されている商品名M8630で知られている)などの加水分解により分解性で、水溶性ポリマーのブレンドと、グリセロール、エチレングリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール及びこれらの混合物などの可塑剤とを含むブレンド組成物から成るものであってよい。ポーチは、水溶性フィルムにより分離された固体洗濯洗剤組成物又は部分成分及び/又は液体クリーニング組成物又は部分成分を含んでいることが可能である。液体成分用のコンパートメントは、固形分を含有するコンパートメントとは組成が異なっていることが可能である。例えば、米国特許出願公開第2009/0011970号明細書を参照されたい。
【0274】
洗剤処方成分は、水溶性ポーチ中のコンパートメントにより、又は、錠剤の異なる層中において相互に物理的に分離されていることが可能である。これにより、成分間の負の保管相互作用を防止することが可能である。コンパートメントの各々の異なる溶解プロファイルはまた、洗浄溶液中における選択された成分の溶解を遅延させることが可能である。
【0275】
単位用量にない液体又はゲル洗剤は、水性であり得、典型的には、最大で約70%の水、最大で約65%の水、最大で約55%の水、最大で約45%の水、最大で約35%の水などの少なくとも20重量%及び最大で95%の水を含有し得る。特に限定されないが、アルカノール、アミン、ジオール、エーテル及びポリオールを含む他のタイプの液体が、水性液体又はゲル中に含まれていてもよい。水性液体又はゲル洗剤は0~30%の有機溶剤を含有していてもよい。液体又はゲル洗剤は非水性であってもよい。
【0276】
固形洗濯石鹸
本発明の酵素は、固形洗濯石鹸に添加して、ランドリー、布地及び/又は生地の手洗いのために用いることができる。「固形洗濯石鹸」と言う用語は、洗濯石鹸、固形石鹸、複合化粧石鹸、合成化粧石鹸及び洗剤石鹸を含む。固形石鹸の種類は一般に、それらが含有する界面活性剤の種類が異なり、固形洗濯石鹸と言う用語は、脂肪酸由来の石鹸及び/又は合成石鹸を含むものを包含する。固形洗濯石鹸は、固体の物理的形態をしており、したがって、室温では液体、ジェル又は粉末ではない。
【0277】
固形洗濯石鹸は、1つ又は複数の酵素、ペプチドアルデヒド(又はハイドロサルファイト付加物若しくはヘミアセタール付加物)などのプロテアーゼ阻害剤、ホウ酸、ホウ酸塩、ホウ砂及び/又はフェニルボロン酸誘導体、例えば、4-ホルミルフェニルホウ酸、1種又は複数種の石鹸若しくは合成界面活性剤、グリセリンなどのポリオール、脂肪酸、クエン酸、酢酸及び/若しくはギ酸などのpH制御化合物、並びに/又は一価カチオン及び有機アニオンの塩を含みうるが、ここで、一価カチオンは例えば、Na+、K+若しくはNH4
+であってよく、また、有機アニオンは、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩若しくは乳酸塩であってよく、従って、一価カチオンと有機アニオンの塩は、例えば、ギ酸ナトリウムであってよい。
【0278】
固形洗濯石鹸はまた、EDTA及びHEDPのような錯化剤、香料及び/又は別の種類の充填材、界面活性剤、例えば、アニオン系合成界面活性剤、ビルダー、ポリマー系汚れ放出剤、洗剤キレート剤、安定剤、充填材、染料、着色剤、移染防止剤、アルコキシル化ポリカーボネート、泡抑制剤、組織化剤、結合剤、浸出剤、漂白活性化剤、泥汚れ除去剤、再付着防止剤、ポリマー系分散剤、増白材、布柔軟剤、香料及び/又は当分野では公知のその他の化合物を含んでもよい。
【0279】
固形洗濯石鹸は、限定するものではないが、ミキサー、プロッダー(plodder)(例えば、2段式真空プロッダー)、押出機、カッター、ロゴスタンパー、冷却トンネル及びラッピング装置などの従来の固形洗濯石鹸製造設備において処理してよい。石鹸、本発明の酵素、任意選択で1種又は複数種の別の酵素、プロテアーゼ阻害剤、並びに一価カチオンと有機アニオンの塩を含有するプレミックスを調製した後、混合物をプロッド(plod)する。酵素と任意選択の別の酵素は、例えば、液状で、プロテアーゼ阻害剤と同時に添加してもよい。混合ステップ及びプロッドステップ以外に、この方法は、粉砕、押出、切断、スタンピング、冷却及び/又はラッピングのステップをさらに含んでもよい。
【0280】
顆粒洗剤製剤
酵素含有コア及び任意選択で1つ又は複数のコーティングを含む、顆粒の形態をした酵素は、一般に、顆粒(粉末)洗剤において使用される。コアを調製するための種々の方法は、当技術分野においてよく知られており、たとえば、a)液体酵素含有溶液の噴霧乾燥、b)事前形成された不活性コア粒子を取り囲む層として、たとえば流動床装置を使用してコーティングされる酵素を有する層状生成物の生成、c)事前形成されたコアの表面上に及び/又はその中に酵素を吸収させること、d)酵素含有ペーストの押出し、e)溶融ワックス中に酵素含有粉末を懸濁し、微粒化して、小球状にした生成物をもたらすこと、f)造粒成分の乾燥粉末組成物に酵素含有液を追加することによるミキサー造粒、g)より大きな粒子、ペレット等の粉砕又は破砕による酵素含有コアのサイズリダクション、並びにh)流動層造粒法を含む。酵素含有コアは、たとえば流動床乾燥機又は飼料若しくは酵素産業において顆粒を乾燥させるための他の知られている方法を使用して乾燥させて、典型的に0.1~10%w/w水の含水率をもたらしてもよい。
【0281】
酵素含有コアは、任意選択で、貯蔵安定性を改善する及び/又はダスト形成を低減するために、コーティングが提供される。洗剤用の酵素顆粒に多くの場合、使用されるコーティングの1つタイプは、塩コーティング、典型的に無機塩コーティングであり、これは、たとえば、流動床を使用して、塩の溶液として加えられてもよい。使用されてもよい他のコーティング材は、たとえばポリエチレングリコール(PEG)、メチルヒドロキシ-プロピルセルロース(MHPC)、及びポリビニルアルコール(PVA)である。顆粒は、1つを超えるコーティングを含有してもよく、たとえば塩コーティング、それから、PEG、MHPC、又はPVAなどの材料でさらにコーティングされてもよい。
【0282】
従って、本発明はまた、本発明のスブチラーゼを含む酵素顆粒/粒子にも関する。一実施形態において、顆粒は、コア及び任意選択で、コアを取り囲む1つ又は複数のコーティング(外層)を含む。
【0283】
コアは、20~2000μm、特に50~1500μm、100~1500μm、又は250~1200μmの、同等の球の直径(体積に基づく平均粒度)として測定される直径を有していてもよい。
【0284】
一実施形態において、コアは、本発明のプロテアーゼ活性を有する1つ又は複数のポリペプチドを含む。
【0285】
コアは、充填材、繊維材料(セルロース又は合成繊維)、安定剤、可溶化剤、沈殿防止剤、粘性調節剤、明るい球体、可塑剤、塩、潤滑剤、及び芳香剤などの追加の材料を含んでいてもよい。
【0286】
コアは、合成ポリマー、ワックス、脂肪、又は炭水化物などのバインダを含んでいてもよい。
【0287】
コアは、典型的に均質なブレンドとして、多価カチオンの塩、還元剤、酸化防止剤、過酸化物分解触媒、及び/又は酸性緩衝液成分を含んでいてもよい。
【0288】
コアは、たとえば流動床コーティングによってその中に吸収される又は表面上に加えられる酵素と共に不活性粒子を含んでいてもよい。
【0289】
コアは、20~2000μm、特に50~1500μm、100~1500μm、又は250~1200μmの直径を有していてもよい。
【0290】
コアは、たとえば、貯蔵安定性を改善するために、取り扱いの間のダスト形成を低減するために、又は顆粒を着色するために、少なくとも1つのコーティングによって取り囲まれてもよい。任意選択のコーティングは、塩コーティング又はポリエチレングリコール(PEG)、メチルヒドロキシ-プロピルセルロース(MHPC)、及びポリビニルアルコール(PVA)などの他の好適なコーティング材を含んでいてもよい。
【0291】
コーティングは、コアの少なくとも0.1重量%、たとえば少なくとも0.5%、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、又は少なくとも15%の量で加えられてもよい。量は、多くても100%、70%、50%、40%、又は30%であってもよい。
【0292】
コーティングは、好ましくは少なくとも厚さ0.1μm、特に少なくとも0.5μm、少なくとも1μm、又は少なくとも5μmである。いくつかの実施形態において、コーティングの厚さは、60μm未満又は40μm未満などの100μm未満である。
【0293】
コーティングは、実質的に連続した層を形成することによって、コアユニットをカプセル化しなければならない。実質的に連続した層は、穴がほとんどない又は全くないコーティングとして理解されるべきであり、その結果、コーティングがカプセル化している/収容しているコアユニットに、コーティングしていない部分はほとんどないか又は全くない。層又はコーティングは、特に、厚さが均一でなければならない。
【0294】
コーティングは、当技術分野において知られている他の材料、たとえば充填材、付着防止剤、顔料、染料、可塑剤、及び/又はバインダ、たとえば二酸化チタン、カオリン、炭酸カルシウム、又はタルクなどをさらに含有することができる。
【0295】
塩コーティングは、少なくとも60重量%の、たとえば少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも99重量%の塩を含んでいてもよい。
【0296】
許容される保護を提供するために、塩コーティングは、好ましくは、少なくとも厚さ0.1μm、たとえば少なくとも0.5μm、少なくとも1μm、少なくとも2μm、少なくとも4μm、少なくとも5μm、又は少なくとも8μmである。特定の実施形態において、塩コーティングの厚さは、60μm未満又は40μm未満などの100μm未満である。
【0297】
塩は、塩が完全に溶解している塩溶液から又は細粒が10μm未満若しくは5μm未満などの50μm未満である塩懸濁液から追加されてもよい。
【0298】
塩コーティングは、単一の塩又は2つ以上の塩の混合物を含んでいてもよい。塩は、水溶性であってもよく、特に、20℃で100gの水中少なくとも0.1g、好ましくは100gの水当たり少なくとも0.5g、たとえば100gの水当たり少なくとも1g、たとえば100gの水当たり少なくとも5gの溶解度を有していてもよい。
【0299】
塩は、無機塩、たとえば、硫酸、亜硫酸、リン酸、ホスホン酸、硝酸、クロリド、若しくは炭酸の塩又はクエン酸、マロン酸、若しくは酢酸などの単純な有機酸(10未満の炭素原子、たとえば6以下の炭素原子)の塩であってもよい。これらの塩におけるカチオンの例は、アルカリ若しくはアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、又は第一遷移系列、たとえばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、若しくはアルミニウムなどの金属イオンである。アニオンの例は、クロリド、ブロミド、ヨージド、硫酸、亜硫酸、亜硫酸水素、チオ硫酸、リン酸、第一リン酸、第二リン酸、ホスフィン酸、二水素ピロリン酸、四ホウ酸、ホウ酸、炭酸、重炭酸、メタケイ酸、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、乳酸、ギ酸、酢酸、酪酸、プロピオン酸、安息香酸、酒石酸、アスコルビン酸、又はグルコン酸を含む。特に、硫酸、亜硫酸、リン酸、ホスホン酸、硝酸、クロリド、若しくは炭酸のアルカリ若しくはアルカリ土類金属塩又はクエン酸、マロン酸、若しくは酢酸などの単純な有機酸の塩が、使用されてもよい。
【0300】
コーティング中の塩は、20℃で、60%超、特に70%超、80%超、若しくは85%超の一定の湿度を有していてもよい又はそれは、このような塩の別の水和物の形態(たとえば無水物)であってもよい。塩コーティングは、国際公開第00/01793号パンフレット又は国際公開第2006/034710号パンフレットにおいて記載されるようなものであってもよい。
【0301】
好適な塩の特定の例は、NaCl(CH20℃=76%)、Na2CO3(CH20℃=92%)、NaNO3(CH20℃=73%)、Na2HPO4(CH20℃=95%)、Na3PO4(CH25℃=92%)、NH4Cl(CH20℃=79.5%)、(NH4)2HPO4(CH20℃=93,0%)、NH4H2PO4(CH20℃=93.1%)、(NH4)2SO4(CH20℃=81.1%)、KCl(CH20℃=85%)、K2HPO4(CH20℃=92%)、KH2PO4(CH20℃=96.5%)、KNO3(CH20℃=93.5%)、Na2SO4(CH20℃=93%)、K2SO4(CH20℃=98%)、KHSO4(CH20℃=86%)、MgSO4(CH20℃=90%)、ZnSO4(CH20℃=90%)、及びクエン酸ナトリウム(CH25℃=86%)である。他の例は、NaH2PO4、(NH4)H2PO4、CuSO4、Mg(NO3)2、及び酢酸マグネシウムを含む。
【0302】
塩は、無水形をしていてもよい又は塩は、含水塩、すなわち、国際公開第99/32595号パンフレットにおいて記載されるものなどの、結晶の結合水を有する結晶塩水和物であってもよい。特定の例は、無水硫酸ナトリウム(Na2SO4)、無水硫酸マグネシウム(MgSO4)、硫酸マグネシウム七水和物(MgSO4・7H2O)、硫酸亜鉛七水和物(ZnSO4・7H2O)、二塩基性リン酸ナトリウム七水和物(Na2HPO4・7H2O)、硝酸マグネシウム六水和物(Mg(NO3)2(6H2O))、クエン酸ナトリウム二水和物、及び酢酸マグネシウム四水和物を含む。
【0303】
好ましくは、塩は、たとえば流動床を使用して、塩の溶液として加えられる。
【0304】
コーティング材は、ワックス状コーティング材及びフィルム形成性コーティング材とすることができる。ワックス状コーティング材の例は、1000~20000の平均モル重量を有するポリ(エチレンオキシド)生成物(ポリエチレングリコール、PEG);16~50のエチレンオキシドユニットを有するエトキシル化ノニルフェノール;アルコールが12~20の炭素原子を含有し且つ15~80のエチレンオキシドユニットが存在するエトキシル化脂肪族アルコール;脂肪族アルコール;脂肪酸;並びに脂肪酸のモノ及びジ及びトリグリセリドである。流動床技術による応用に好適なフィルム形成性コーティング材の例は、英国特許第1483591号明細書に記載される。
【0305】
顆粒は、任意選択で、1つ又は複数の追加のコーティングを有していてもよい。好適なコーティング材の例は、ポリエチレングリコール(PEG)、メチルヒドロキシ-プロピルセルロース(MHPC)、及びポリビニルアルコール(PVA)である。複数のコーティングを有する酵素顆粒の例は、国際公開第93/07263号パンフレット及び国際公開第97/23606号パンフレットにおいて記載される。
【0306】
コアは、成分のブレンドを造粒することによって、たとえば、結晶、沈殿、パンコーティング、流動床コーティング、流動床凝集、回転微粒化、押出し、小球化、球体化、サイズリダクション法、ドラム造粒、及び/又は高せん断造粒などの造粒技術を含む方法によって、調製することができる。
【0307】
コアを調製するための方法は、Handbook of Powder Technology;Particle size enlargement by C.E.Capes;Volume 1;1980;Elsevierにおいて見つけることができる。調製方法は、知られている飼料及び顆粒製剤技術、たとえば以下を含む。
(a)噴霧乾燥生成物、液体酵素含有溶液は、噴霧乾燥塔において微粒化され、小さな液滴を形成し、これらが乾燥塔を下る途中で、乾燥し、酵素含有粒状材料が形成される。非常に小さな粒子は、このように生成することができる(Michael S.Showell(editor);Powdered detergents;Surfactant Science Series;1998;vol.71;page140-142;Marcel Dekker)。
(b)層状生成物、酵素は、事前形成された不活性コア粒子を取り囲む層としてコーティングされ、酵素含有溶液は、典型的に流動床装置において微粒化され、事前形成されたコア粒子は、流動化され、酵素含有溶液は、コア粒子に付着し、完全に乾燥し、コア粒子の表面上に乾燥酵素の層を残す。望ましいサイズの有用なコア粒子を見つけることができれば、所望のサイズの粒子は、このように得ることができる。このタイプの生成物は、たとえば国際公開第97/23606号パンフレットにおいて記載される。
(c)吸収コア粒子、コアを取り囲む層として酵素をコーティングするのではなく、酵素は、コアの表面上に及び/又はその中に吸収される。このようなプロセスは、国際公開第97/39116号パンフレットにおいて記載される。
(d)押出し又はペレットにされた生成物、酵素含有ペーストは、プレスされ、ペレットになる又は圧力下で小さな開口部を通って押出され、粒子にカットされ、これらを続いて乾燥させる。押出し開口部が作製され(通常、せん孔を有するプレート)、押出し開口部にかけられる許容圧力を制限してしまう材料のために、このような粒子は、通常、かなりのサイズを有する。さらに、非常に高い押出し圧力は、小さな開口部が使用される場合に、酵素ペーストにおける発熱を増加させ、これは、酵素にとって有害になる(Michael S.Showell(editor);Powdered detergents;Surfactant Science Series;1998;vol.71;pages140-142;Marcel Dekker)。
(e)小球状にされた生成物、酵素含有粉末は、溶融ワックス中に懸濁され、懸濁剤は、たとえば回転している回転型噴霧器を通して、低温室の中に噴霧され、ここで液滴が急速に凝固する(Michael S.Showell(editor);Powdered detergents;Surfactant Science Series;1998;vol.71;page 140-142;Marcel Dekker)。得られる生成物は、酵素が、その表面に濃縮している代わりに、不活性材料の全体にわたって一様に分布している。米国特許第4,016,040号明細書及び米国特許第4,713,245号明細書は、この技術について記載している。
(f)ミキサー造粒生成物、酵素含有液は、従来の造粒成分の乾燥粉末組成物に追加される。好適な割合の液体及び粉末が、混合され、液体の水分が乾燥粉末中に吸収されるにつれて、乾燥粉末の成分は、付着及び凝集を開始し、粒子が堆積し、酵素を含む顆粒を形成する。このようなプロセスは、米国特許第4,106,991号明細書並びに関連する文献、欧州特許第170360号明細書、欧州特許第304332号明細書、欧州特許第304331号明細書、国際公開第90/09440号パンフレット、及び国際公開第90/09428号パンフレットにおいて記載される。このプロセスの特定の生成物において、種々の高せん断ミキサーを、造粒機として使用することができる。酵素、充填材、及びバインダ等からなる顆粒は、粒子を補強していわゆるT-顆粒を生成するために、セルロース繊維と混合される。補強された粒子は、より強く、酵素ダストをそれほど放出しない。
(g)サイズリダクション、コアは、酵素を含有する、より大きな粒子、ペレット、錠剤、ブリケット等を粉砕する又は破砕することによって生成される。求められるコア粒子画分は、粉砕された又は破砕された生成物を篩にかけることによって得られる。余った小さい粒子は、再循環させることができる。サイズリダクションは、Martin Rhodes(editor);Principles of Powder Technology;1990;Chapter 10;John Wiley&Sonsにおいて記載される。
(h)流動層造粒法。流動層造粒法は、気流中に粒子を懸濁すること、及び流動化された粒子上に液体をノズルを介して噴霧することを伴う。スプレー液滴に当たった粒子は、湿って、粘着性になる。粘着性の粒子は、他の粒子とぶつかり、それらに付着して、顆粒を形成する。
(i)コアは、流動床乾燥機などの乾燥にかけられてもよい。飼料又は酵素産業において顆粒を乾燥させるための他の知られている方法は、当業者によって使用することができる。乾燥は、好ましくは、生成物が25~90℃になる温度で実施される。いくつかの酵素については、酵素を含むコアが、塩によるコーティングの前に、少量の水しか含有しないことが重要である。過剰な水を除去する前に、水感受性の酵素が塩でコーティングされる場合、水は、コアの内部に閉じ込められ、酵素の活性に負に影響するかもしれない。乾燥後、コアは、好ましくは0.1~10%w/w水を含有する。
【0308】
非発塵性顆粒は、たとえば米国特許第4,106,991号明細書及び米国特許第4,661,452号明細書において開示されるように生成されてもよく、任意選択で、当技術分野において知られている方法によってコーティングされてもよい。
【0309】
顆粒は、1つ又は複数の追加の酵素をさらに含んでいてもよい。その場合、各酵素は、より多くの顆粒中に存在して、酵素のより均質な分布を確実にするとともに、様々な粒径による多種酵素の物理的分離も抑制する。洗剤業界用の多酵素複合顆粒を生成する方法は、ip.com開示IPCOM000200739Dに開示されている。
【0310】
複合顆粒の使用による酵素の配合の別の例が、国際公開第2013/188331号パンフレットに開示されている。
【0311】
酵素はまた、欧州特許第238,216号明細書において開示される方法に従って調製される、保護された酵素であってもよい。
【0312】
一実施形態において、顆粒は、1つ又は複数の追加の酵素、たとえばヒドロラーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、リアーゼ、オキシドレダクターゼ、及びトランスフェラーゼをさらに含む。1つ又は複数の追加の酵素は、好ましくは、アセチルキシランエステラーゼ、アシルグリセロールリパーゼ、アミラーゼ、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、アラビノフラノシダーゼ、セロビオヒドロラーゼ、セルラーゼ、フェルロイルエステラーゼ、ガラクタナーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルカナーゼ、β-グルコシダーゼ、リゾホスホリパーゼ、リソチーム、α-マンノシダーゼ、β-マンノシダーゼ(マンナナーゼ)、フィターゼ、ホスホリパーゼA1、ホスホリパーゼA2、ホスホリパーゼD、プロテアーゼ、プルラナーゼ、ペクチンエステラーゼ、トリアシルグリセロールリパーゼ、キシラナーゼ、β-キシロシダーゼ、又はその任意の組み合わせからなる群から選択される。
【0313】
酵素顆粒及びその生成に関する詳細については、国際公開第2013/007594号パンフレット並びにたとえば国際公開第2009/092699号パンフレット、欧州特許第1705241号明細書、欧州特許第1382668号明細書、国際公開第2007/001262号パンフレット、米国特許第6,472,364号明細書、国際公開第2004/074419号パンフレット、及び国際公開第2009/102854号パンフレットを参照されたい。
【0314】
使用
本発明はまた、家庭用洗濯洗浄及び業務用洗濯洗浄などの生地及び布地の洗濯の際に、本発明によるスブチラーゼ変異体又はその組成物を使用するための方法にも関する。
【0315】
本発明はまた、床、テーブル、壁、屋根等の硬質表面並びに車(洗車)及び皿(皿洗い)などの硬い対象物の表面のクリーニングの際に、本発明による変異体又はその組成物を使用するための方法にも関する。
【0316】
本発明のスブチラーゼ変異体は、洗剤組成物に追加されてもよく、従って、洗剤組成物の成分になってもよい。従って、本発明の一態様は、洗濯及び/又は硬質表面クリーニングなどのクリーニングプロセスにおけるスブチラーゼ変異体の使用に関する。
【0317】
本発明の洗剤組成物は、たとえば、汚れた布地の前処理に好適な洗濯添加剤組成物及びリンス剤を追加した布地柔軟剤組成物を含む手若しくは機械洗濯洗剤組成物として製剤化されてもよいか、又は一般的な家庭の硬質表面クリーニング作業で使用するための洗剤組成物として製剤化されてもよいか、又は手若しくは機械皿洗い作業のために製剤化されてもよい。
【0318】
クリーニングプロセス又は生地取り扱いプロセスは、たとえば、洗濯プロセス、皿洗いプロセス、又は浴室タイル、床、テーブルの上面、排水管、シンク、及び洗面器などの硬質表面のクリーニングであってもよい。洗濯プロセスは、たとえば、家庭での洗濯とすることができるが、業務用洗濯であってもよい。さらに、本発明は、布地及び/又は衣服を洗濯するためのプロセスに関し、プロセスは、洗剤組成物及び本発明の少なくとも1つのプロテアーゼ変異体を含有する洗浄溶液により布地を処理することを含む。クリーニングプロセス又は生地取り扱いプロセスは、たとえば、機械洗浄で又は手作業で実施することができる。洗浄溶液は、たとえば、洗剤組成物を含有する水性洗浄溶液とすることができる。
【0319】
一態様において、本発明のスブチラーゼ変異体は、短い洗浄サイクル、典型的に、約20分以下、たとえば約15分以下又は約10分以下などの約30分以下の洗浄サイクルを含むクリーニングプロセス、たとえば洗濯プロセスにおいて使用される。驚くべきことに、本発明のスブチラーゼ変異体は、たとえば約10~20分しか続かない短い洗浄サイクルにおいて非常に有効であることが分かった。これは、たとえば、洗浄サイクルが短いことが多いトップローディング式洗浄機において又は手洗いの洗濯に有用であってもよい。
【0320】
別の態様において、本発明のスブチラーゼ変異体は、クリーニングプロセス、たとえば洗濯プロセスにおいて使用され、洗浄水は、1回分を超える洗濯に使用される。この場合、本発明のスブチラーゼ変異体を有する洗剤を含有する洗浄水は、第1の1回分の洗濯の第1の洗浄サイクルにおいて使用され、次に、新たな回分の洗濯での追加の洗浄サイクルに1回又は複数回再利用されてもよい。本発明のスブチラーゼ変異体を含有する洗剤は、3回以上の洗浄サイクルの後でさえ、プロテアーゼ感受性の汚れ対してクリーニング性能を実質的に維持することができることが分かった。これは、たとえば、手で洗浄される洗濯に及び/又は水不足の地域において有用であってもよい。
【0321】
この数年間、石油化学製品に由来する洗剤中の成分を、洗浄性能を損なうことのない酵素及びポリペプチドなどの再生可能な生物学的成分と置き換えることに関心が高まりつつある。洗剤組成物の成分を変更した場合、プロテアーゼ、リパーゼ、及びアミラーゼなどの以前に使用された洗剤酵素と比較して代替的な及び/又は向上した特性を有する新たな酵素活性又は新たな酵素が、これまでの洗剤組成物と比較した場合に同様の又は向上した洗浄性能を達成するために必要とされるかもしれない。
【0322】
本発明は、タンパク質性の汚れの除去プロセスにおける本発明のスブチラーゼ変異体の使用にさらに関する。タンパク質性の汚れは、食品による汚れ、たとえばベビーフード、ココア、卵、若しくは牛乳などの汚れ又は皮脂、血液、インク、若しくは草などの他の汚れ又はこの組み合わせであってもよい。
【0323】
洗浄方法
本発明は、本発明のプロテアーゼ変異体を含む洗剤組成物により、布地、食器類、又は硬質表面をクリーニングするための方法を提供する。
【0324】
クリーニングの方法は、対象物をクリーニングするのに好適な条件下で、本発明のプロテアーゼ変異体を含む洗剤組成物と対象物を接触させることを含む。好ましい実施形態において、洗剤組成物は、洗濯又は皿洗浄プロセスにおいて使用される。
【0325】
別の実施形態は、布地又は食器類から汚れを除去するための方法であって、対象物をクリーニングするのに好適な条件下で本発明のプロテアーゼを含む組成物と布地又は食器類を接触させることを含む方法に関する。本発明のクリーニングの方法において、クリーニングされる対象物は、生地又は食器類若しくは床、テーブル、壁等の硬質表面などの任意の好適な対象物であってもよい。
【0326】
本発明の1つ又は複数のプロテアーゼを使用して、布地を処理する(たとえば、生地を糊抜きする)ための組成物及び方法もまた、予期される。プロテアーゼは、当技術分野においてよく知られている(たとえば米国特許第6,077,316号明細書を参照)任意の布地処理方法において使用することができる。たとえば、一態様において、布地の感触及び外見は、溶液中のプロテアーゼと布地を接触させることを含む方法によって向上する。一態様において、布地は、圧力下で溶液で処理される。
【0327】
本発明の洗剤組成物は、洗濯及び硬質表面への適用(皿洗いを含む)において使用するのに適している。したがって、本発明は、布地を洗濯する又は食器類を洗浄するための方法であって、本発明による洗剤組成物を含む溶液と、クリーニングされることになる布地/食器類を接触させることを含む方法を含む。布地は、標準の家電使用条件で洗濯することができる任意の布地を含んでいてもよい。食器類は、陶器、食卓用金物、陶磁器、メラミン樹脂などのプラスチック製品、金属製品、磁器、グラス、及びアクリル製品などの任意の食器類を含んでいてもよい。溶液は、好ましくは、約5.5~約11.5のpHを有する。組成物は、溶液中約100ppm、好ましくは500ppm~約15,000ppmの濃度で用いられてもよい。水温は、典型的に、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、約50℃、約55℃、約60℃、約65℃、約70℃、約75℃、約80℃、約85℃、及び約90℃を含む、約5℃~約95℃の範囲にある。水対布地の比は、典型的に、約1:1~約30:1である。
【0328】
本発明の洗剤組成物の酵素は、従来の安定剤及びプロテアーゼ阻害剤、たとえば、プロピレングリコール若しくはグリセロールなどのポリオール、糖若しくは糖アルコール、NaCl;KClなどの様々な塩;乳酸、ギ酸、ホウ酸若しくはホウ酸誘導体、たとえば芳香族ホウ酸エステル、又は4-ホルミルフェニルボロン酸などのフェニルボロン酸誘導体又はジ、トリ、若しくはテトラペプチドアルデヒドなどのペプチドアルデヒド又はアルデヒド類似体(B1-B0-R形、Rは、H、CH3、CX3、CHX2、若しくはCH2X(X=ハロゲン)である、B0は、単一のアミノ酸残基(好ましくは、任意選択で置換脂肪族側鎖若しくは芳香族側鎖を有する)である;及びB1は、任意選択でN末端保護基を含む1つ若しくは複数のアミノ酸残基(好ましくは1、2、若しくは3つ)からなる又は国際公開第2009/118375号パンフレット、国際公開第98/13459号パンフレットにおいて記載される通り)又はRASI、BASI、WASI(米、オオムギ、及びコムギの二官能性α-アミラーゼ/スブチリシン阻害剤)、又はCI2若しくはSSIなどのタンパク質タイプのプロテアーゼ阻害剤を使用して安定化させてもよい。組成物は、たとえば国際公開第92/19709号パンフレット、国際公開第92/19708号パンフレット、及び米国特許第6,472,364号明細書において記載されるように製剤化されてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書において用いられる酵素は、酵素にイオンを提供する最終組成物中の亜鉛(II)、カルシウム(II)、及び/又はマグネシウム(II)イオン並びに他の金属イオン(たとえばバリウム(II)、スカンジウム(II)、鉄(II)、マンガン(II)、アルミニウム(III)、スズ(II)、コバルト(II)、銅(II)、ニッケル(II)、及びオキソバナジウム(IV))の水溶性の供給源の存在によって安定化される。
【0329】
本明細書において提供される洗剤組成物は、水性クリーニング作業での使用の間に、洗浄水が、約5.0~約11.5又は約6.0~約10.5などの約5.0~約12.5のpHを有するように、典型的に製剤化される。いくつかの実施形態において、顆粒又は液体洗濯生成物は、約6~約8のpHを有するように製剤化される。推奨される使用レベルにpHを制御するための技術は、緩衝液、アルカリ、酸等の使用を含み、当業者らによく知られている。
【0330】
本発明は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきでない以下の実施例によって、さらに説明される。
【実施例】
【0331】
材料及び方法
Suc-AAPF-pNA活性アッセイ
タンパク質分解活性は、基質としてSuc-AAPF-PNAを用いる方法によって決定することができる。Suc-AAPF-PNAは、N-スクシニル-アラニン-アラニン-プロリン-フェニルアラニン-p-ニトロアニリドの略語であり、エンドプロテアーゼによって切断することができる遮断ペプチドである。
【0332】
切断後に、黄色を有する遊離PNA分子は、解放され、従って、波長405nmで可視分光光度法によって測定することができる。Suc-AAPF-PNA基質は、Bachem(カタログno.L1400、DMSO中に溶解)によって製造されている。
【0333】
分析するプロテアーゼサンプルを、残存活性緩衝液(100mM Tris pH8.6)中に希釈する。アッセイは、30μlの希釈酵素サンプルを、96ウェルマイクロタイタープレートに移し且つ70μl基質ワーキング溶液(100 mM Tris pH8.6中0.72mg/ml)を追加することによって実施する。溶液は、室温で混合し、吸収は、OD405nmで5分間にわたって20秒毎に測定する。
【0334】
時間依存性吸収曲線の傾き(1分間当たりの吸光度)は、一定の条件下で当のプロテアーゼの活性と正比例する。プロテアーゼサンプルは、傾きが直線になるレベルまで希釈する。
【0335】
実施例1:ポリペプチドの調製及び精製
突然変異及び枯草菌(Bacillus subtilis)への発現カセットの導入は、当技術分野において知られている標準的な方法によって実施した。DNAの処置はすべて、当業者に知られている標準的な方法を使用して、PCRによって実施した(たとえばSambrook et al.,2001、前掲によって記載されるように)。
【0336】
スブチラーゼポリペプチドをコードする組換え枯草菌(B.subtilis)構築物を、37℃で24時間、抗生物質による選択下で複合培地(TBgly)に接種し、培養した。富栄養培地(PS-1:100g/Lスクロース(Danisco カタログno.109-0429)、40g/L大豆外皮(大豆粉)、10g/L Na2HPO4.12H2O(メルク(Merck)カタログno.106579)、0.1ml/L Dowfax63N10(Dow)を含有する振盪フラスコに、1:100の比で接種し、一晩培養した。振盪フラスコ培養は、270rpmで振盪しながら、30℃で4日間、実施した。
【0337】
培養上清の精製は、以下の通りに実施した:培養液を、20分間、26000xgで遠心分離し、上清を、沈殿物から慎重にデカントする。残りの宿主細胞を除去するために、上清を、Nalgene0.2μmろ過ユニットでろ過する。0.2μmろ液のpHを、3M TrisベースでpH8に調節し、pHを調節したろ液を、20mM Tris/HCl、1mM CaCl2、pH8.0中で平衡にしたMEP Hypercelカラム(Pall Corporation)に加える。カラムを平衡化緩衝液で洗浄した後に、カラムを、20mM CH3COOH/NaOH、1mM CaCl2、pH4.5で段階溶出する。カラムからの画分を、pH9でSuc-AAPF-pNAアッセイを使用して、プロテアーゼ活性について分析し、ピークの画分を、プールする。MEP HypercelカラムからのプールのpHを、20%(v/v)CH3COOH又は3M TrisベースでpH6に調節し、pHを調節したプールを、20mM MES/NaOH、2mM CaCl2、pH6.0と同じ導電率になるまで脱イオン水で希釈する。希釈したプールを、20mM MES/NaOH、2mM CaCl2、pH6.0中で平衡にしたSP-Sepharose(登録商標)Fast Flowカラム(GE Healthcare)に加える。カラムを平衡化緩衝液で洗浄した後に、プロテアーゼ変異体を、5カラム容量にわたって同じ緩衝液中で直線NaCl勾配(0→0.5M)で溶出する。カラムからの画分を、pH9でSuc-AAPF-pNAアッセイを使用して、プロテアーゼ活性について分析し、活性画分を、SDS-PAGEによって分析する。1つのバンドしかクーマシー染色SDS-PAGEゲル上で観察されない画分を、精製調製物としてプールし、さらなる実験に使用する。
【0338】
実施例2:様々なpH値での安定性についてのアッセイ
本発明の変異体の安定性は、2つの異なる条件下で、速度を速めた安定性アッセイにおいてテストした:1)低pH(4.0)ストレス緩衝液中で及び2)LAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩)を有する高pH(10.5)ストレス緩衝液中で。
【0339】
低pHでの安定性
4.0の低pHでの且つ洗剤の非存在下におけるこのアッセイは、酵素顆粒の生成の間の及び洗剤組成物への追加の前の顆粒における条件をシミュレーションするように設計される。
【0340】
精製プロテアーゼサンプルは、0.04及び0.02mg/mlまで0.01% Triton X-100で希釈する。次に、180μl低pHストレス緩衝液(0.1Mクエン酸、2mM CaCl2、2mM MgSO4、pH4.0)を、96ウェルマイクロタイタープレートのウェル中で20μl希釈プロテアーゼと混合する。0、60、及び150分間振盪しながらのEppendorf Thermomixer中での37℃でのインキュベーションの後に、20μlを、新たなマイクロタイタープレートに移し、180μl Suc-AAPF-pNA基質溶液(0.1M Tris pH8.6中0.4mg/ml Suc-AAPF-pNA)と混合する。活性は、プレートリーダー(SpectraMax(登録商標)Plus)において3分間、20秒毎に測定する405nmでの吸光度の初期の増加についての線形回帰によって分かる。
【0341】
半減期(T1/2)は、log(活性)対インキュベーション時間の線形回帰から計算する。置換S9R、P14H、R19L、及びN62Dを有する配列番号1を有する参照プロテアーゼについて測定した半減期を、1に設定し、他のテストしたプロテアーゼの半減期向上係数(T1/2 IF)は、参照プロテアーゼの半減期と比べた変異体の半減期として計算する。
【0342】
LASと高pHでの安定性
10.5の高pHでの且つLASの存在下におけるこのアッセイは、酵素が洗剤成分と絶えず接触する洗剤組成物の条件をシミュレーションするように設計される。
【0343】
精製プロテアーゼサンプルは、0.04及び0.02mg/mlまで0.01% Triton X-100で希釈する。次に、180μl高pHストレス緩衝液(0.1M炭酸ナトリウム、2mM CaCl2、2mM MgSO4、pH10.5、0.5% LAS(Thonyl P85 NaLAS))を、96ウェルマイクロタイタープレートのウェル中で20μl希釈プロテアーゼと混合する。0、60、及び150分間振盪しながらのEppendorf Thermomixer中での37℃でのインキュベーションの後に、20μlを、新たなマイクロタイタープレートに移し、180μl Suc-AAPF-pNA基質溶液(0.1M Tris pH8.6中0.4mg/ml Suc-AAPF-pNA)と混合する。活性は、プレートリーダー(SpectraMax(登録商標)Plus)において3分間、20秒毎に測定する405nmでの吸光度の初期の増加についての線形回帰によって分かる。
【0344】
半減期(T1/2)は、log(活性)対インキュベーション時間の線形回帰から計算する。置換S9R、P14H、R19L、及びN62Dを有する配列番号1を有する参照プロテアーゼについて測定した半減期を、1に設定し、他のテストしたプロテアーゼの半減期向上係数(T1/2 IF)は、参照プロテアーゼの半減期と比べた変異体の半減期として計算する。
【0345】
低pH及び高pH+LASストレス緩衝液の両方における本発明の変異体の半減期向上係数を、下記の表1に示すが、本発明の変異体が、参照プロテアーゼと比較して、低pH及び高pH+LAS条件の両方において、優れた安定性を有することが分かる。
【0346】
【0347】
【0348】
実施例3:自動機械的ストレスアッセイ(AMSA)
選択したプロテアーゼの洗浄性能を、自動機械的ストレスアッセイ(AMSA)を使用して、最初にテストした。AMSAは、実物規模の洗浄になぞらえるために使用した小規模の洗浄アッセイであるが、これは、小さなウェルサイズ及び溶液体積により、多くのプロテアーゼを同時にテストするのを可能にする。AMSAにおいて、プロテアーゼを含む清浄液を、機械的ストレスを加えるために、規則的な振動方式でテストプレートを勢いよく振盪することによって、生地と接触させる。さらなる説明については、国際公開第02/42740号パンフレット、特に23~24頁の「特定の方法についての実施形態」の部を参照されたい。
【0349】
AMSA実験は、表3に記載される新興市場用のモデル洗濯洗剤(粉末)を使用して、下記の表2に記載される実験条件を使用して行った。標準的な生地の布きれ、カーボンブラックとチョコレートミルク(PC-03)及び血液、牛乳、インク、余分な加熱(EMPA117EH)は、それぞれCenter For Testmaterials B.V.(CFT,Stoomloggerweg 11,3133 KT Vlaardingen,オランダ(The Netherlands))及びSwissatest Testmaterialien AG(Movenstrasse 12,9015 St.Gallen,スイス(Switzerland))から得た。
【0350】
【0351】
【0352】
AMSA洗浄後に、生地の布きれを、水ですすぎ、乾燥させ、平面スキャナ(Epson Expression 10000XL)を使用してスキャンした。生地の布きれの清浄度、従って個々のプロテアーゼ洗浄性能は、スキャンイメージからの反射光の強度を計算することによって決定した。特殊設計のソフトウェアアプリケーションを使用した(Novozymes Color Vector Analyzer)。プログラムは、24ビットピクセル値をイメージから読み出し、それらを赤、緑、及び青(RGB)についての値に変換する。強度値は、この式を使用して、ベクトルとしてRGB値を加算し、次に、結果として生じるベクトルの長さを求めることによって計算する:
【数1】
【0353】
下記の表4は、配列番号1を有する参照プロテアーゼと比較した相対的な洗浄性能として表現される、2つの異なるプロテアーゼ濃度での、2つの汚れEMPA117EH及びPC-03に対する、AMSAにおける本発明の変異体の洗浄性能に関する情報を提供する。表4の相対的な洗浄性能値は、1)ブランク、すなわち酵素なしのモデル洗剤で洗浄した汚れについて計算した強度値を、変異体又は参照プロテアーゼについて計算した強度値から差し引くことによって、ブランクと比べた強度値向上を得ること、次に、2)変異体の洗浄性能(ブランクと比べた強度値向上)を、参照(ブランクと比べた強度値向上)の洗浄性能によって割ることによって、計算した、言い換えれば、以下の通りとなる:
(強度変異体-強度ブランク)/(強度参照-強度ブランク)
【0354】
下記の表4におけるAMSA洗浄結果は、本発明の変異体が、参照プロテアーゼと比較して、EMPA117EHに対して、実質的に向上した洗浄性能を有することを示す。同様に、PC-03について、本発明の変異体の洗浄性能は、ほとんどの場合、参照プロテアーゼよりもすぐれている。
【0355】
【0356】
【0357】
実施例4:Terg-O-toMeter(TOM)洗浄
選択したプロテアーゼの洗浄性能は、さらに多くの生地の布きれのタイプをテストすることができる中規模Terg-O-toMeter(TOM)洗浄アッセイにおいてさらにテストした。TOMは、基本的に、大きな温度制御ウォーターバスであり、その中に浸漬させた16個以下の開放金属ビーカを備える。各ビーカは、小さなトップローダ式洗浄機を構成し、実験の間、それらのそれぞれは、特定の洗剤/酵素系の溶液を、その性能をテストする汚れた布地及び汚れていない布地と一緒に含有する。各ビーカ内の回転撹拌アームは、一般に120rpmで機械的ストレスを生じさせるために使用される。TOMは、AMSAなどの小規模の実験と実物大の洗浄機でのより時間もコストもかかる実物規模の洗浄実験とをつなげる役割を果たす。
【0358】
TOM実験は、上記の表3に記載される新興市場用のモデル洗濯洗剤(粉末)を使用し、表5に記載される実験条件を使用して行った。標準的な生地の布きれは、Center For Testmaterials B.V.(CFT,Stoomloggerweg 11,3133 KT Vlaardingen.オランダ(The Netherlands))又はSwissatest Testmaterialien AG(Movenstrasse 12,9015 St.Gallen,スイス(Switzerland))から得た。
【0359】
【0360】
TOM洗浄後に、生地の布きれは、水ですすぎ、乾燥させた。生地の布きれの清浄度、従って個々のプロテアーゼ洗浄性能は、Macbeth Color-Eye 7000 Spectrophotometerを使用して460nmで輝度の規約反射率を測定することによって決定した。
【0361】
測定された規約反射率値は、デルタ規約反射率値(ΔRem)を計算するために使用し、これは、参照の布きれ、この実施例においては酵素なしの同じ洗剤で洗浄した布きれの規約反射率値(ブランク)を引いた、一定の波長、この場合460nmでの、サンプルの布きれの反射率又は規約反射率についての測定値の結果として本明細書において定義される。TOMアッセイの結果を、下記の表6に示す。表7は、同様の結果を示すが、配列番号1についての洗浄性能値は1に設定し、変異体についての相対的な洗浄性能値は、配列番号1と比較して計算する。
【0362】
【0363】
【0364】
表6及び7におけるTOMアッセイデータは、本発明のプロテアーゼ変異体が、配列番号1のプロテアーゼに対して実質的に向上しており且つ置換S9R+P14H+R19L+N62Dを有する配列番号1の高性能であるが、不安定な変異体と同等である洗浄性能を有することを示す。
【0365】
実施例5:短い洗浄サイクル、ラテンアメリカの条件での洗浄性能
8つの異なるプロテアーゼ感受性の汚れから構成される汚れのセットに対する本発明の変異体の洗浄性能について、酵素なしのブラジル製のラテンアメリカ粉末洗濯洗剤ベースを使用し、ラテンアメリカの条件下で、実施例4において記載されるTOMアッセイにおいてテストした。
【0366】
テストは、25℃の洗浄温度、浸漬なし、及び12、15、又は20分の主洗浄サイクル、100サイクル/分の攪拌で実施した。水の硬度は、5.6°dH(Ca2+/Mg2+/HCO3
-比 2:1:4.5)であり、洗剤用量は2.5g/Lとした。プロテアーゼ用量は、10nMとした。
【0367】
汚れのセットは、Center For Testmaterials B.V.(CFT,Stoomloggerweg 11,3133 KT Vlaardingen.オランダ(The Netherlands))から又はSwissatest Testmaterialien AG(Movenstrasse 12,9015 St.Gallen,スイス(Switzerland))から入手可能な8つのプロテアーゼ感受性の汚れから構成された。
【0368】
洗浄後、テストの布きれに対するプロテアーゼ洗浄性能は、実施例4において記載されるように、460nmで輝度の規約反射率を測定し、同じであるが酵素なしの洗剤で洗浄した参照の布きれの規約反射率値(ブランク)を引いた、サンプルの布きれの規約反射率についての測定値としてデルタ規約反射率値を計算することによって決定した。
【0369】
下記の表8は、それぞれ、12、15、及び20分の短い洗浄サイクルにおいて決定した、参照プロテアーゼ(配列番号1)及び本発明のプロテアーゼ(配列番号1+S3T+S9R+R19L+N62D+A194P)についてブランクと比較した8つのデルタ値の合計を示す。
【0370】
【0371】
実施例6:汚れた洗浄水、中国の条件での洗浄性能
7つの異なるプロテアーゼ感受性の汚れから構成される汚れのセットに対する本発明の変異体の洗浄性能について、Libyから市販されている中国の粉末洗濯洗剤を使用し、中国の条件下で、実施例4において記載されるTOMアッセイにおいてテストした。
【0372】
テストは、25℃の洗浄温度、浸漬なしで実施し、それぞれ同じ洗浄溶液中で20分の洗浄時間で3回の洗浄を実施した。それぞれの第1及び第2の洗浄サイクルの後、洗浄された汚れた布きれは、除去して、廃棄し、新たな汚れた布きれを、同じ(汚れた)洗浄水におけるさらなる洗浄サイクルのために追加した。第3の洗浄サイクルの後、布きれは、実施例4において記載されるように、すすぎ、乾燥させ、規約反射率を測定した。
【0373】
水の硬度は、14°dH(Ca2+/Mg2+/HCO3
-比 3:2:0)であり、洗剤用量は2g/Lとした。テストは、2つの異なるプロテアーゼ用量、9nM及び12nMで実施した。汚れのセットは、Center For Testmaterials B.V.(CFT,Stoomloggerweg 11,3133 KT Vlaardingen.オランダ(The Netherlands))から又はSwissatest Testmaterialien AG(Moevenstrasse 12,9015 St.Gallen,スイス(Switzerland))から入手可能な7つのプロテアーゼ感受性の汚れから構成された。
【0374】
第3の洗浄サイクルの後、テストの布きれの第3のセットに対するプロテアーゼ洗浄性能は、実施例4において記載されるように、460nmで輝度の規約反射率を測定し、同じであるが酵素なしの洗剤で洗浄した参照の布きれの規約反射率値(ブランク)を引いた、サンプルの布きれの規約反射率についての測定値としてデルタ規約反射率値を計算することによって決定した。
【0375】
下記の表9は、2回の洗浄サイクルをすでに実施した汚れた水で洗浄したテストの布きれの第3のセットにおいて決定した、参照プロテアーゼ(配列番号1)及び本発明のプロテアーゼ(配列番号1+S3T+S9R+R19L+N62D+A194P)について、ブランクと比較した7つのデルタ値の合計を示す。
【0376】
【0377】
実施例7:汚れた洗浄水、東南アジアの条件での洗浄性能
8つの異なるプロテアーゼ感受性の汚れから構成される汚れのセットに対する本発明の変異体の洗浄性能について、酵素なしのインドネシア製の粉末洗濯洗剤ベースを使用して、東南アジアの条件下で、実施例4において記載されるTOMアッセイにおいてテストした。
【0378】
テストは、25℃の洗浄温度、浸漬なしで実施し、30gのバラストを使用し、同じ洗浄溶液中で、それぞれ20分の主洗浄からなる3回の洗浄を実施した。それぞれの第1及び第2の洗浄サイクルの後、洗浄された汚れた布きれは、除去して、廃棄し、新たな汚れた布きれを、同じ(汚れた)洗浄水における浸漬及び洗浄のさらなるサイクルのために追加した。第3の洗浄サイクルの後、布きれは、実施例4において記載されるように、すすぎ、乾燥させ、規約反射率を測定した。
【0379】
水の硬度は、5.6°dH(Ca2+/Mg2+/HCO3
-比 2:1:4.5)であり、洗剤用量は2g/Lとした。テストは、3つの異なるプロテアーゼ用量、3.4nM、4.4nM、及び5.7nMによって実施した。汚れのセットは、Center For Testmaterials B.V.(CFT,Stoomloggerweg 11,3133 KT Vlaardingen.オランダ(The Netherlands))から又はSwissatest Testmaterialien AG(Movenstrasse 12,9015 St.Gallen,スイス(Switzerland))から入手可能な8つのプロテアーゼ感受性の汚れから構成された。
【0380】
第3の洗浄サイクルの後、テストの布きれの第3のセットに対するプロテアーゼ洗浄性能は、実施例4において記載されるように、460nmで輝度の規約反射率を測定し、同じであるが酵素なしの洗剤で洗浄した参照の布きれの規約反射率値(ブランク)を引いた、サンプルの布きれの規約反射率についての測定値としてデルタ規約反射率値を計算することによって決定した。
【0381】
下記の表10は、2回の洗浄サイクルをすでに実施した汚れた水で洗浄したテストの布きれの第3のセットにおいて決定した、参照プロテアーゼ(配列番号1)及び本発明のプロテアーゼ(配列番号1+S3T+S9R+R19L+N62D+A194P)について、ブランクと比較した8つのデルタ値の合計を示す。
【0382】
【配列表】
【国際調査報告】