(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】センター噴霧管
(51)【国際特許分類】
B01J 19/26 20060101AFI20220309BHJP
B05B 1/14 20060101ALI20220309BHJP
C08F 10/00 20060101ALI20220309BHJP
C08F 2/01 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
B01J19/26
B05B1/14 Z
C08F10/00 510
C08F2/01
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543196
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(85)【翻訳文提出日】2021-09-14
(86)【国際出願番号】 US2019014917
(87)【国際公開番号】W WO2020153959
(87)【国際公開日】2020-07-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509162540
【氏名又は名称】ルムス・ノボレン・テクノロジー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】LUMMUS NOVOLEN TECHNOLOGY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トルマ, オリ
(72)【発明者】
【氏名】ゲブハルト, ヘルマン
(72)【発明者】
【氏名】ラングハウザー, フランツ
(72)【発明者】
【氏名】ルール, オリバー
【テーマコード(参考)】
4F033
4G075
4J011
【Fターム(参考)】
4F033BA01
4F033BA03
4F033DA05
4F033EA06
4F033LA00
4G075AA03
4G075AA13
4G075AA32
4G075AA65
4G075BA01
4G075BA10
4G075BB05
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB01
4G075EC02
4G075FA01
4J011AA05
4J011AC03
4J011AC09
4J011BB16
4J011MA01
(57)【要約】
【課題】センター噴霧管の提供。
【解決手段】センター噴霧管装置を開示する。センター噴霧管は、液体噴霧で容器を完全にカバーするように設計された複数のノズルを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分配器を含む装置であって、
前記分配器は、複数のスプレーノズルを有する上側第1セクションと、
下側第2セクションと、
前記分配器の長さの範囲内を縦断するように設けられたガイドチューブと、を含み、
前記第2セクション内に設けられた前記ガイドチューブの一部に、1又は複数の測定装置が設けられた装置。
【請求項2】
前記複数のスプレーノズルは、
前記上側第1セクションに沿った第1高さに第1レベルのスプレーノズルと、
前記上側第1セクションに沿った第2高さに第2レベルのスプレーノズルと、
前記上側第1セクションに沿った第3高さに第3レベルのスプレーノズルと、を含む請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1レベルのスプレーノズルは、前記上側第1セクションの外周に等間隔に配置され、前記上側第1セクションの第1高さに単層で配置される複数の第1ノズルを含む請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1レベルのスプレーノズルは、ファンノズルを含む請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1レベルのスプレーノズルは、前記分配器の長手方向軸から約60度~約80度の範囲の角度を有する請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記第2レベルのスプレーノズルは、前記上側第1セクションの外周に等間隔に配置された複数の第2ノズルを含む請求項2に記載の装置。
【請求項7】
前記複数の第2ノズルは、前記上側第1セクションに沿った第2高さの軸長さに沿って、複数の高さに等間隔に配置されている請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の第2ノズルは、前記上側第1セクションに沿った第1高さに第1層と、前記上側第1セクションに沿った第2高さに第2層と、前記上側第1セクションに沿った第3高さに第3層と、を含む請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記第2ノズルの第1層、前記第2ノズルの第2層、及び前記第2ノズルの第3層は、互いにずれている請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第2レベルのスプレーノズルは、ストレートジェットノズルを含む請求項2に記載の装置。
【請求項11】
前記第2レベルの複数のストレートジェットノズルは、前記分配器の長手方向軸から約30度~約60度の範囲の角度を有する請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第3レベルのスプレーノズルは、前記上側第1セクションの外周に等間隔に配置された複数の第3ノズルを含む請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記複数の第3ノズルは、前記上側第1セクションに沿った第3高さの軸長さに沿って、複数の高さに等間隔に配置される請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の第3ノズルは、前記上側第1セクションに沿った第1高さに第1層と、前記上側第1セクションに沿った第2高さに第2層と、前記上側第1セクションに沿った第3高さに第3層と、を含む請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記第3ノズルの第1層、前記第3ノズルの第2層、及び前記第3ノズルの第3層は、互いにずれている請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記第3レベルのスプレーノズルは、ストレートジェットノズルを含む請求項2に記載の装置。
【請求項17】
前記第3レベルの複数のストレートジェットノズルは、前記分配器の長手方向軸から約30度~約60度の範囲の角度を有する請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記上側第1セクションは、前記下側第2セクションから流体的に分離される請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記上側第1セクションは、前記ガイドチューブを通過させる穴を有する分割プレートにより前記下側第2セクションから流体的に分離される請求項18に記載の装置。
【請求項20】
更に、上部第1チャンバから下部チャンバへの流体の流れを防止するため、前記ガイドチューブの周りを封止する1又は複数の封止材を含む請求項19に記載の装置。
【請求項21】
更に、前記第2セクション内に設けられた前記ガイドチューブの一部に通気孔を含む請求項1に記載の装置。
【請求項22】
反応器ヘッドにセンターノズルを含む重合反応器と、
前記センターノズル内に設けられ、前記重合反応器内に延在する請求項1に記載の装置と、
前記測定ガイドチューブ内に設置される放射線測定線源と、を含むシステム。
【請求項23】
モノマーを反応器に供給することと、
前記モノマーを反応させてポリマーを生成することと、
請求項22に記載のシステムにより前記反応器に再循環ガスを供給することと、を含み、
前記再循環ガスが前記ポリマーに浸透する、固体蒸気重合方法。
【請求項24】
前記再循環ガスが、第1レベルのスプレーノズルからの第1同心円状の噴霧パターンで分配され、第2レベルのスプレーノズルからの第2同心円状の噴霧パターン、及び、第3レベルのスプレーノズルからの第3同心円状の噴霧パターンにより分配される請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される実施形態は、概して、測定装置を保護し、容器内で液体を分配することが可能なセンター噴霧管に関する。また、本明細書に開示された実施形態は、概して、重合反応器内で上記センター噴霧管を利用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレン重合体の製造は、アルケン‐1(alk‐1‐enes)の重合に適した任意の一般的な反応器を用いて、バッチ式で、又は好ましくは連続的に(すなわち溶液中で)、液体モノマー中のバルク重合を含む懸濁重合又は気相重合として行うことができる。反応器としては、例えば、連続運転撹拌反応器、ループ型反応器、流動床反応器、横型又は縦型撹拌粉末床反応器等が適している。
【0003】
得られるポリマーの分子量は、重合技術において一般的に使用されるポリマー連鎖移動剤又は停止剤(例えば、水素)を添加することにより、広範囲にわたって制御及び調整され得る。また、不活性溶媒(例えば、トルエン、ヘキサン)又は不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン)、及び少量の粉末ポリマー(例えば、ポリプロピレン粉末)を添加してもよい。
【0004】
縦型撹拌気相反応器は、底部に取り付けられたヘリカルスターラーを有していてもよく、若しくは、中心軸に取り付けられた半径方向に湾曲したブレードを含む撹拌機を有していてもよい。上記のような攪拌機を用いる反応器としては、例えば、液体モノマーに懸濁した触媒が反応器の頂部や側部に注入され、重力及びポリマー粒子の成長に伴う膨張により粉体が下方に流れるものがある。反応器の熱は、再循環ガス(RG)流により除去され得る。再循環ガス(RG)流は、反応器内で蒸発し、外部凝縮器内で凝縮され、連続的に反応器に再循環される。反応器内の温度は、反応器の底部に液体モノマーが溜まらないよう、戻りガスの露点よりも高い温度に維持され得る。液体が溜まると制御不能な重合が起こり、塊等が形成され、反応器の出口を塞ぐことがある。液体モノマーは、凝縮モード冷却により反応熱を吸収するために使用され得る。
【0005】
ポリオレフィン反応系において、高発熱反応の熱を除去することは、装置全体における運転の安定性及び完全性の決め手となることが多い。液体モノマーは、1又は2つのフルコーンスプレーノズルにより反応器の頂部に供給され得る。これらのノズルにより、液体モノマーが粉末の全表面の一部のみに塗布される。冷媒の要件が変わると、流動変化が起こり得る。その結果、冷媒の分配に影響が生じる。冷媒の分配が不均一であると、反応器の制御における有効性が低下する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本明細書に開示される実施形態は、重合反応器内のレベルを測定するための装置、及び蒸発冷却用の液体を提供するための装置に関する。別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、重合反応器を冷却する方法に関する。
【0007】
別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、分配器及びガイドチューブを含む装置に関する。上記分配器は、複数のスプレーノズルを有する上側第1セクションと、下側第2セクションとを含み得る。上記ガイドチューブは、分配器の長さの範囲内を縦断するように設けられていてもよい。上記第2セクション内に設けられたガイドチューブの一部に、1又は複数の測定装置を設けても良い。
【0008】
上記複数のスプレーノズルは、上記上側第1セクションに沿った第1高さに第1レベルのスプレーノズルと、上記上側第1セクションに沿った第2高さに第2レベルのスプレーノズルと、上記上側第1セクションに沿った第3高さに第3レベルのスプレーノズルと、を含み得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記第1レベルのスプレーノズルは、上記上側第1セクションの外周に等間隔に配置され、上記上側第1セクションの第1高さに単層で配置される複数の第1ノズルを含み得る。上記第1レベルのスプレーノズルは、例えば、ファンノズルであってもよい。更に、いくつかの実施形態において、上記第1レベルのスプレーノズルは、上記分配器の長手方向軸から約60度~約80度の範囲の角度を有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記第2レベルのスプレーノズルは、上記上側第1セクションの外周に等間隔に配置された複数の第2ノズルを含み得る。上記複数の第2ノズルは、例えば、上記上側第1セクションに沿った第2高さの軸長さに沿って、複数の高さに等間隔に配置されていてもよい。更に、いくつかの実施形態において、上記複数の第2ノズルは、上記上側第1セクションに沿った第1高さに第1層と、上記上側第1セクションに沿った第2高さに第2層と、上記上側第1セクションに沿った第3高さに第3層と、を含み得る。上記第2ノズルの第1層、上記第2ノズルの第2層、及び上記第2ノズルの第3層は、互いにずれていてもよい。いくつかの実施形態において、上記第2レベルのスプレーノズルは、ストレートジェットノズルを含む。更に、上記第2レベルの複数のストレートジェットノズルは、例えば、上記分配器の長手方向軸から約30度~約60度の範囲の角度を有していてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記第3レベルのスプレーノズルは、上記上側第1セクションの外周に等間隔に配置された複数の第3ノズルを含み得る。いくつかの実施形態において、上記複数の第3ノズルは、上記上側第1セクションに沿った第3高さの軸長さに沿って、複数の高さに等間隔に配置されていてもよい。更に、上記複数の第3ノズルは、上記上側第1セクションに沿った第1高さに第1層と、上記上側第1セクションに沿った第2高さに第2層と、上記上側第1セクションに沿った第3高さに第3層と、を含み得る。いくつかの実施形態において、上記第3ノズルの第1層、上記第3ノズルの第2層、及び上記第3ノズルの第3層は、互いにずれていてもよい。上記第3レベルのスプレーノズルは、ストレートジェットノズルであってもよい。また、いくつかの実施形態において、上記第3レベルの複数のストレートジェットノズルは、上記分配器の長手方向軸から約30度~約60度の範囲の角度を有していてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記上側第1セクションは、上記下側第2セクションから流体的に分離される。また、分割プレートを設けてもよく、この分割プレートには上記ガイドチューブを通過させる穴を設けてもよい。上記上部チャンバから上記下部チャンバへの流体の流れを防止するため、ガイドチューブ8の周りを封止する1又は複数の封止材を設けてもよい。いくつかの実施形態において、上記第2セクション内に設けられたガイドチューブの一部に通気孔を設けてもよい。
【0013】
別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、重合システムに関する。重合システムは、反応器ヘッドにセンターノズルを有する重合反応器を含み得る。例えば、上記のような分配器及びガイドチューブを含む装置をセンターノズル内に設けてもよく、上記装置は重合反応器内に延在してもよい。いくつかの実施形態において、放射線測定線源(radiometric source)を測定ガイドチューブ内に設置してもよい。
【0014】
別の態様において、本明細書に開示される実施形態は、固体蒸気重合方法に関する。この方法は、モノマーを反応器に供給することと、上記モノマーを反応させてポリマーを生成することと、を含んでもよい。この方法は、更に、上記のような分配器及びガイドチューブを含む装置を介して再循環ガスを反応器に供給することを含んでもよく、これにより、再循環ガスが上記ポリマーに浸透する。いくつかの実施形態において、上記再循環ガスは、第1レベルのスプレーノズルから第1同心円状の噴霧パターンで分配され、第2レベルのスプレーノズルから第2同心円状の噴霧パターンで分配され、第3レベルのスプレーノズルから第3同心円状の噴霧パターンで分配され得る。
【0015】
以下の説明及び添付の特許請求の範囲から、別の態様及び利点が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】
図1Aは、本明細書の実施形態に係るセンター噴霧管を含む容器の概略図である。
【
図2B】
図2Bは、
図1Aに示す第1チャンバにおけるセンター噴霧管の詳細拡大断面図である。
【
図3】
図3は、
図1Aに示すセンター噴霧管からポリプロピレン反応器内への流動様式の概略図である。
【
図4】
図4は、本明細書の実施形態に係るセンター噴霧管を有するポリマー反応器の温度制御をプロットしたグラフである。
【
図5A】
図5Aは、本明細書の実施形態に係るセンター噴霧管を有するポリマー反応器の温度制御をプロットしたグラフである。
【
図5B】
図5Bは、標準ノズルを有するポリマー反応器の温度制御をプロットしたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
センター噴霧装置の実施形態は、反応容器の頂部から液体を分配し、容器の断面全域に液体を行きわたらせることを目的とする。特に、センター噴霧装置の実施形態は、縦型攪拌気相反応器の頂部から再循環ガスをポリマー粉末に均一に分配し得る。
【0018】
一態様において、本明細書に開示される実施形態は、概して、センター噴霧管、及び重合反応器でセンター噴霧管を利用する方法に関する。より具体的には、本明細書に開示された実施形態は、概して、装置全体における反応の安定性及び完全性を高めるために、センター噴霧管により冷却可能な重合反応器に関する。
【0019】
図1は、頂部ヘッド2を含み、内部にセンター噴霧管4が設置される容器100の1実施形態を示す。センター噴霧管4は、頂部ヘッド2の略中央のノズル6内に設置されていてもよい。センター噴霧管4は、約1インチ~約18インチの範囲、例えば約1.5インチ~約12インチ、又は約4インチ~約10インチの内径を有する管であってもよい。いくつかの実施形態において、センター噴霧管4は、反応器内の粉末の移動で生じる力に対応でき得る十分な厚さを有していてもよい。いくつかの実施形態において、センター噴霧管4の長さは、約0.5フィート~約20フィートの範囲、例えば約1フィート~約18フィート、約2フィート~約16フィート、又は約4フィート若しくは6フィート~約12フィートであってもよい。当業者は、容器100のサイズ及び用途に基づいて所望の管特性を決定できる。
【0020】
ガイドチューブ8は、センター噴霧管4内に設けられ、センター噴霧管4の長さに沿って縦断してもよい。センター噴霧管4内に設けられた場合、ガイドチューブ8を容器100の内容物から保護することができる。ガイドチューブ8は、センター噴霧管4の全長又は一部のみを縦断してもよい。また、ガイドチューブ8は、噴霧管4内の中心にあってもよいし、ずれていてもよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、ガイドチューブ8は、1又は複数の測定用センサ42を含み得る。いくつかの実施形態において、センサ42は、レベル測定、温度測定、又は容器100内の製品の品質をモニターするために使用され得る。いくつかの実施形態において、センサ42は、複数の放射線測定線源若しくは検出器であってもよく、又は、複数の放射線測定線源若しくは検出器を含み得る。放射線測定線源又は検出器は、例えば、光ファイバにより測定システムに接続されたシンチレーション結晶のように、チューブ内に設けられていてもよい。チューブにおいて、検出器及び/又は放射線測定線源は、容器の操作中に容器100内の固体又は粉末レベルを測定するため、ガイドチューブ8の一部に沿って離間して設けられていてもよい。いくつかの実施形態において、ガイドチューブ8は、容器100及びセンター噴霧管4から隔てられていてもよい。
【0022】
センター噴霧管4は、センター噴霧管4の長さ又は選択された部分に沿って設けられた複数のノズル22、24、26を有していてもよい。例えば、
図1に示すように、センター噴霧管4は、上部52及び下部54を含み得る。いくつかの実施形態において、ノズル22、24、26は、センター噴霧管の一部のみ(例えば、上部52と下部54の間)に沿って設置されていてもよい。同様に、センサ42は、ガイドチューブ8内のセンター噴霧管4の長さに沿って設けられていてもよい。また、いくつかの実施形態において、センター噴霧管の一部のみ(例えば、スプレーノズル22、24、26の高さの上方及び/又は下方に沿って設置されていてもよい。
【0023】
いくつかの実施形態において、センター噴霧管4は、センター噴霧管4の頂部から第1高さに複数のスプレーノズル22と、センター噴霧管4の頂部から第2高さに複数のスプレーノズル24と、センター噴霧管4の頂部から第3高さに複数のスプレーノズル26と、を有していてもよい。凝縮された再循環ガス(RG)又はその他の液体は、容器100内のノズル22、24、26から分配されるように、センター噴霧管4を通して容器100内に供給され得る。センター噴霧管4の頂部から第1高さの複数のスプレーノズル22は、液体をAで示す円状に分配してもよく、センター噴霧管4の頂部から第2高さの複数のスプレーノズル24は、液体をBで示す円状に分配してもよく、センター噴霧管4の頂部から第3高さの複数のスプレーノズル26は、液体をCで示す円状に分配してもよい。液体の分配及び効果が及ぶ範囲等は、容器100内の固体又は粉末レベルによって決定され得る。例えば、ノズルより下方の一定レベルの粉末について、ノズル22、24、26から噴射された噴霧は、
図1Bに示すように、それぞれ、同心円状の液体分布域A、B、Cをもたらし得る。ノズルは、同心円状の分布域が重なるように構成されていてもよいし、重ならないように構成されていてもよい。
【0024】
いくつかの実施態様において、容器100は、縦型攪拌気相反応器である。特に、このタイプの容器100は、例えば、均一な混合物を得るため、固体及び/又は液体及び/又は気体物質間の反応を行うため、加熱又は冷却するため、粒子をコーティングするため等の用途に使用され得る。その簡素な構造により、当然のことながら、高圧又は高温下での処理が可能となる。
【0025】
いくつかの実施形態において、センター噴霧管4は、第1チャンバ12及び第2チャンバ14を含み得る。
図2Aは、第1チャンバ12及び第2チャンバ14の概略断面図である。
図2Bは、第1チャンバ12の概略図である。いくつかの実施形態において、第1チャンバ12及び第2チャンバ14は、一つの管から形成されていてもよい。別の実施形態において、第1チャンバ12及び第2チャンバ14は、別々の管であってもよく、任意の接続方法により互いに接続されていてもよい。例えば、これらに限定されないが、溶接やネジ付き端部を用いた方法、又は、
図2Bに示すように、底部コネクタ60で第1チャンバ12に第2チャンバ14(
図2Bには図示せず)を取り付ける等、当業者に公知の他の任意の方法を用いてよい。
【0026】
いくつかの実施形態において、第1チャンバ12及び第2チャンバ14は、
図2Aに示すように、プレート40で仕切られていてもよい。第2チャンバ14は、中空であって、例えば、キャップ又はプラグ19を含むことで容器100から隔てられていてもよい。プレート40及び/又はキャップ又はプラグ19により、流体の流れは、最も抵抗の少ないセンター噴霧管4の底部からではなく、ノズル22、24、26から強制的に押し出され得る。いくつかの実施形態において、第2チャンバ14と反応器の間の圧力を均等化するために、第2チャンバ内に通気孔(図示せず)を設置してもよい。
【0027】
第1チャンバ12は、第1ノズル部16と、第2ノズル部18と、第3ノズル部20と、を含み得る。容器内の一定レベルの固体について、
図1Bに示すように、第1ノズル部16、第2ノズル部18、第3ノズル部20により、容器100の全断面に同心円状の噴霧パターンA、同心円状の噴霧パターンB、同心円状の噴霧パターンCを得ることができる。
【0028】
第1ノズル部16は、第1チャンバ12の頂部から第1高さに複数のスプレーノズル22を含み得る。スプレーノズル22の中心は、第1チャンバ12の頂部から、例えば、約2フィート~約8フィートの範囲に位置してもよく、ノズルの大きさ及びノズルが設けられる容器の大きさによって決定され得る。いくつかの実施形態において、複数のスプレーノズル22は、単層で、第1チャンバ12の外周に等間隔に配置されていてもよい。
図3に示すように、複数のスプレーノズル22は、円状の噴霧パターンAが得られるように、当業者によって決定された第1ノズル部16の外周に離間して配置されていてもよい。複数のスプレーノズル22は、容器100の断面直径の80%~100%の範囲を占める円状の噴霧パターンAが得られるように設計される。複数のスプレーノズル22は、ファンノズルであってもよいし、当業者によって決定される任意のタイプのノズルであってもよい。複数のスプレーノズル22の直径は、例えば、約0.05インチ~約0.5インチの範囲でもよいが、ノズルの直径及び構成は、所望の噴霧パターン、流量、及び圧力降下によって決定され得る。複数のスプレーノズル22は全て同じ直径であってもよいし、異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、複数のスプレーノズル22は、センター噴霧管4の長手方向軸から約15度~約85度の範囲の角度で(例えば、分配器の長手方向軸から約60度~約80度の範囲の角度)で頂部ヘッド2から離れる方向に向けられていてもよい。構成や直径、角度、及び他の変数の組み合わせは、容器100内で所望の液体カバー範囲及び分布が得られるように選択され得る。
【0029】
第2ノズル部18は、第1チャンバ12の外周に等間隔に配置された複数のスプレーノズル24を含み得る。いくつかの実施形態において、複数のスプレーノズル24は、複数のレベルで等間隔に配置されていてもよい。いくつかの実施形態において、レベルの数は3段階であってもよいが、当業者が決定してもよい。
図3に示すように、複数のスプレーノズル24は、円状の噴霧パターンBが得られるように、当業者によって決定された第2ノズル部18の外周に離間して配置されていてもよい。複数のスプレーノズル24は、容器100の断面直径の20%~80%の範囲を占める円状の噴霧パターンBが得られるように設計され得る。複数のスプレーノズル24は、スプレーノズル24aの第1部分が第1チャンバ12の頂部から第1距離に設置され、スプレーノズル24bの第2部分が第1チャンバ12の頂部から第2距離に設けられ、スプレーノズル24cの第3部分が第1チャンバの頂部から第3距離に設けられるように、チャンバの長さに沿って設けられていてもよい。つまり、ノズル24aがノズル24bの上方に設けられ、ノズル24bがノズル24c上に設けられるように、複数のスプレーノズル24を設けてもよい。複数のスプレーノズル24は、ストレートジェットノズルであってもよいし、又は、所望の噴霧パターン、流れ、及び圧力降下プロファイルを得るために、上記のように当業者によって決定される任意のタイプのノズルであってもよい。複数のスプレーノズル24の直径は、例えば、約0.05インチ~約0.5インチの範囲でもよい。複数のスプレーノズル24は全て同じ直径を有していてもよいし、スプレーノズル24の位置によって異なっていてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態において、スプレーノズル24aの第1層は、センター噴霧管4の長手方向軸から約30度~約60度の範囲の角度で頂部ヘッド2から離れる方向に向けられていてもよい。いくつかの実施形態において、スプレーノズル24bの第2層は、センター噴霧管4の長手方向軸から約30度~約60度の範囲の角度で頂部ヘッド2から離れる方向に向けられていてもよい。いくつかの実施形態において、スプレーノズル24cの第3層は、センター噴霧管4の長手方向軸から約30度~約60度の範囲の角度で頂部ヘッド2から離れる方向に向けられていてもよい。いくつかの実施態様において、第1層24a、第2層24b、第3層24cの角度は、同一であっても異なっていてもよく、組み合せであってもよい。いくつかの実施態様において、第1層24a、第2層24b、第3層24cは、容器100を完全にカバーできるように、円周方向にずらして配置される。いくつかの実施形態において、第1層24aのノズルの中心と第2層24bのノズルの中心とのオフセット値は、例えば、約0.35インチ~約2インチの範囲でもよい。第2層24bのノズルの中心と第3層24cのノズルの中心とのオフセット値も、例えば、約0.35インチ~約2インチの範囲でもよい。
【0031】
第3ノズル部20は、第1チャンバ12の外周に等間隔に配置された複数のスプレーノズル26を含み得る。いくつかの実施形態において、複数のスプレーノズル26は、複数のレベルで等間隔に配置されていてもよい。いくつかの実施形態において、レベルの数は3段階であってもよいが、当業者が決定してもよい。
図3に示すように、複数のスプレーノズル26は、円状の噴霧パターンCが得られるように、当業者によって決定された第3ノズル部20の外周に離間して配置されていてもよい。スプレーノズル26aの第1層においては、スプレーノズル26aの中心が、第1チャンバ12の頂部から約6フィート~約12フィートの範囲に位置し得る。スプレーノズル26bの第2層においては、スプレーノズル26bの中心が、第1チャンバ12の頂部から約6フィート~約12フィートの範囲に位置し得る。スプレーノズル26cの第3層においては、スプレーノズル24cの中心が、第1チャンバ12の頂部から約6フィート~約12フィートの範囲に位置し得る。複数のスプレーノズル26は、ストレートジェットノズルであってもよいし、当業者によって決定された任意のタイプのノズルであってもよい。複数のスプレーノズル26の直径は、例えば、約0.05インチ~約0.5インチの範囲でもよい。複数のスプレーノズル26は全て同じ直径を有していてもよいし、異なっていてもよい。複数のスプレーノズル26は全て同じ直径を有していてもよいし、スプレーノズル26の位置によって異なっていてもよい。
【0032】
いくつかの実施形態において、スプレーノズル26aの第3層は、センター噴霧管4の長手方向軸から約30度~約60度の範囲の角度で頂部ヘッド2から離れる方向に向けられていてもよい。いくつかの実施形態において、スプレーノズル26bの第2層は、センター噴霧管4の長手方向軸から約30度~約60度の範囲の角度で頂部ヘッド2から離れる方向に向けられていてもよい。いくつかの実施形態において、スプレーノズル26cの第3層は、センター噴霧管4の長手方向軸から約30度~約60度の範囲の角度で頂部ヘッド2から離れる方向に向けられていてもよい。いくつかの実施態様において、第1層26a、第2層26b及び第3層26cの角度は、同一であっても異なっていてもよく、組み合せであってもよい。一般に、ノズルの角度は、得られる流れが互いに交差又は衝突しないような角度に設定され、容器の直径によって決定され得る。第1層26aのノズルの中心と第2層26bのノズルの中心とのオフセット値は、例えば、約0.35インチ~約2インチの範囲でもよい。第2層26bのノズルの中心と第2層26cのノズルの中心とのオフセット値は、例えば、約0.35インチ~約2インチの範囲でもよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、複数のノズル22、24、26は、
図1Aに示すように、複数のノズル22、24、26から円状の噴霧パターンA、B、Cで放出された媒体が容器100の断面を完全又はほぼ完全にカバーできるように、センター噴霧管4に沿って、センター噴霧管4の周りに等間隔に配置される。
【0034】
センター噴霧管4は、例えば、
図3に示すポリプロピレン反応器100等のポリオレフィン反応系で使用され得る。いくつかの実施態様において、ポリプロピレン反応器100は、底部に取り付けられた攪拌機を有する攪拌床反応器であってもよい。ポリプロピレン反応器100は、容器の底部からレベルLまで延在する固体床を含み、このレベルLは、下側セクション14の周りの同心円状の噴霧パターンA、B、Cの1又は複数に相当する高さであってもよい。いくつかの実施形態において、センター噴霧管4は、凝縮された再循環ガスを反応器の頂部から粉末に均一に分配し得る。
【0035】
図3に示すように、ガイドチューブ8は、センター噴霧管4内に設けられ、プレート40を通って下側の第2チャンバ14内に延在してもよい。いくつかの実施形態において、貫通プレート40のように、通気孔(図示せず)を第1チャンバ12の底部に設置し、第1チャンバ12と第2チャンバ14の間の圧力を均等化してもよい。これにより、第2チャンバ14内に液体を滞留させて、一貫したレベル測定を行うことができる。別の実施形態において、封止材(図示せず)を設けてガイドチューブ8の周りを封止し、第1チャンバ12から下部チャンバ14への流体の過剰な流れを防止してもよい。例えば、センサ42は、レベル測定用の放射線測定線源を含み得る。一貫したレベル測定を行うためには、放射線測定線源を第2チャンバ14内に滞留する液体で囲むべきである。したがって、センター噴霧管4を、下部チャンバ14と、下部チャンバ14から隔てられた第1チャンバ12とに分けることにより、容器100内に液体を効率的に分配すると同時に、容器内の固体からレベル測定機器を保護することができる。いくつかの実施態様において、ガイドチューブ8は、容器100及びセンター噴霧管4の両方の内容物から封止される。別の実施形態において、ガイドチューブ8は、第1チャンバ12から隔てられていてもよいが、下部チャンバ14及びガイドチューブ8内の圧力の均等化するために通気孔(図示せず)を含んでもよい。通気孔は、例えば、ガイドチューブ8の底部に設置されていてもよい。若しくは、ガイドチューブ8は、下部チャンバ14内で終端する開放端を有するものであってもよい。
【0036】
図1A及び
図3に示すように、いくつかの実施形態において、再循環ガス(RG)は、円状の噴霧パターンA、B、Cで、センター噴霧管4により供給及び分配され得る。センター噴霧管4は、既存の容器用ノズル6を利用し、ノズルの内部に配置されていてもよい。複数のスプレーノズル22、24、26は、容器100の中心から外側に向かって再循環ガスを噴霧して、容器100の粉末床105に半径(R)を有する冷媒の円状噴霧パターンA、B、Cを形成しもよい。冷媒の円状パターンを形成することにより、容器100のインペラからコア領域内に上下する最大量の粉末105に冷媒を浴びせて、粉末を冷却し得る。複数のスプレーノズル22、24、26は、噴霧された再循環ガスを、床表面から表面下の所望の深さ(D)まで粉体に浸透させて、粉体を湿潤することで、循環粉体のより広範囲に液体冷却媒体を直接接触させるように設計され得る。いくつかの実施形態において、浸透の深さは、約50mm~約500mm、例えば100mm~300mm、又は別の実施形態において、約50mm~約200mmの範囲でもよい。いくつかの実施形態において、センター噴霧管4は冷却カバー範囲を向上させる。これにより、反応器温度及び冷媒流量制御が一定して安定したものとなる。その結果、反応器性能の全体的な向上に繋がり得る。
【実施例】
【0037】
ポリマー反応器内にセンター噴霧管を設置した後、温度の標準偏差を約1.6℃~約0.7℃まで下げてもよい。
図4は、毎時23トンのポリマーを製造する工業用反応器について改善された温度制御を示す。レベル測定に対する分散は約7.7%から約1.1%に低下した。
【0038】
下記に、様々なノズルにおける温度及び圧力の標準偏差の比較を示す。ここでは、フルコーンノズルによる単回噴霧、2つの偏心スプレーによる半対称噴霧、及びセンター噴霧管4による対称噴霧を噴射するノズルを用いた。
【表1】
【0039】
図5A及び
図5Bに示すように、容器100を冷却する際のばらつきを少なくすることができる。
図5Aを参照すると、センター噴霧管により、冷却負荷はプロットされたグラフ全体の約20%の範囲で維持されている。
図5Bを参照すると、冷媒分布が非対称であると、総冷却能力の約50%の範囲で変動が起こり得る。反応器内のセンター噴霧管は、一貫した冷却負荷により製造速度を約15%増加し得る。
【0040】
センター噴霧管4は、粉末、液体、又はスラリーの表面に対して液体を円状に分配することが有益となる用途に使用され得る。いくつかの実施形態において、センター噴霧管は、容器の壁に液体を塗布するように設計され得る(流れ、ノズル角度)。センター噴霧管4により、液体分配測定装置(例えば、サーモウェル、レベル測定、品質センサ等)が一体化される。
【0041】
センター噴霧管により、容器の幅全体を広くカバーできることを当業者であれば理解するであろう。また、センター噴霧管は、測定ガイドを含んでいてもよい。測定ガイドでセンサを保護することにより、一貫した測定値を提供し得る。
【0042】
上記のように、重合で使用する場合、スプレーノズルは、反応容器の中心から外側に向かって再循環ガスを噴霧し、下方の粉末床に冷媒の円状パターンを形成してもよい。冷媒の円状パターンは、反応器のインペラからコア領域内に上下する最大量の粉末に冷媒を浴びせて、粉末を冷却する目的で形成される。選択されたスプレーノズルは、噴霧された再循環ガスを、床表面から表面下の所望の深さまで粉末床に浸透させて、粉末床を湿潤することで、循環粉体のより広範囲に液体冷却媒体を直接接触させるように設計される。浸透の深さは、例えば、200mm~500mmの範囲でもよい。冷却カバー範囲が向上すると、反応器温度と冷媒流量制御がより安定し、反応器性能が全体的に向上する。
【0043】
再循環ガスを供給する機能に加え、センター供給管は、放射線測定線源及びガイドチューブを収容し、保護することもできる。新規のガイドチューブは、反応器の作動/設計圧力に耐えることができ、再循環ガス及び反応器の内容物がガイドチューブに侵入することを防ぐことができる。
【0044】
有利なことに、本発明者らは、容器の幅全体を広くカバーすることにより、温度制御をより効率的に行うことができると共に、粉末床への液体の浸透を向上させ得ることを発見した。また、本発明者らは、放射線測定線源がセンター噴霧管内に設置されていると、レベル測定能力が向上することを見出した。
【0045】
本開示には限られた数の実施形態しか示されていないが、本開示の恩恵を受ける当業者は、本開示の範囲から逸脱しない別の実施形態も考案され得ることを理解するであろう。したがって、該範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。
【国際調査報告】