(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】リーク弁及び換気管システム
(51)【国際特許分類】
A61M 16/20 20060101AFI20220309BHJP
A61M 16/04 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
A61M16/20 B
A61M16/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021543319
(86)(22)【出願日】2019-01-24
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2019051781
(87)【国際公開番号】W WO2020151827
(87)【国際公開日】2020-07-30
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521325684
【氏名又は名称】ウィラメド ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】クリンガー、ミリアム
(57)【要約】
本発明は、患者用換気システムにおいて使用するためのリーク弁(1)に関する。リーク弁(1)は、第1のハウジング部(2)及び第2のハウジング部(3)から構成され、好ましくはプラスチックから成る弁ハウジングであって、両前記ハウジング部(2、3)は、好ましくは断面が円形の流路を形成する、弁ハウジングを備える。前記弁ハウジングは、前記第1のハウジング部(2)に配置される第1の接続パイプ(4)と、前記第2のハウジング部(3)に配置される第2の接続パイプ(5)、及び、両前記接続パイプ(4、5)の間に配置され、径方向外側に突出したハウジング領域(10)と、外側に突出した前記ハウジング領域(10)の高さとほぼ同じ高さに配置され、流体が前記流路からリーク流の形で流出することを可能にする少なくとも1つの貫通孔(8)と、同じく、外側に突出した前記ハウジング領域(10)の高さとほぼ同じ高さに配置され、前記弁ハウジングの円周の少なくとも一部に沿って、好ましくは全周に沿って延びる、好ましくは両前記ハウジング部(2、3)によって形成されたリーク溝(9)であって、前記リーク流が前記リーク弁(1)から流出するためのリーク溝(9)と、両前記ハウジング部(2、3)を互いに連結可能な係合機構と、を備える。前記係合機構として、前記接続パイプ(4又は5)の内半径に合わせて湾曲され、正面側に突起部(7)を備える少なくとも1つの、好ましくは多数のキャッチフラップ(6)が設けられており、前記キャッチフラップ(6)は、係合された状態において、前記接続パイプ(4又は5)に沿って内側に当接して延び、前記キャッチフラップ(6)の前記突起部(7)により前記接続パイプ(4又は5)の外側の正面に噛み合って、軸方向の係合を確保し、前記キャッチフラップ(6)間において、前記接続パイプ(4又は5)の内半径に合わせて湾曲され、前記接続パイプ(4又は5)の内表面に隣接した壁領域(26)が設けられている。ここで、両前記ハウジング部(2、3)は、係合された状態において、互いに対して回転可能である。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者用換気システムにおいて使用するためのリーク弁(1)であって、
第1のハウジング部(2)及び第2のハウジング部(3)から構成され、好ましくはプラスチックから成る弁ハウジングであって、両前記ハウジング部(2、3)は、好ましくは断面が円形の流路を形成する、弁ハウジングを備え、
前記弁ハウジングは、
前記第1のハウジング部(2)に配置される第1の接続パイプ(4)と、
前記第2のハウジング部(3)に配置される第2の接続パイプ(5)、及び、両前記接続パイプ(4、5)の間に配置され、径方向外側に突出したハウジング領域(10)と、
外側に突出した前記ハウジング領域(10)の高さとほぼ同じ高さに配置され、流体が前記流路からリーク流の形で流出することを可能にする少なくとも1つの貫通孔(8)と、
同じく、外側に突出した前記ハウジング領域(10)の高さとほぼ同じ高さに配置され、前記弁ハウジングの円周の少なくとも一部に沿って、好ましくは全周に沿って延びる、好ましくは両前記ハウジング部(2、3)によって形成されたリーク溝(9)であって、前記リーク流が前記リーク弁(1)から流出するためのリーク溝(9)と、
両前記ハウジング部(2、3)を互いに連結可能な係合機構と、を備え、
前記係合機構として、前記接続パイプ(4又は5)の内半径に合わせて湾曲され、正面側に突起部(7)を備える少なくとも1つの、好ましくは多数のキャッチフラップ(6)が設けられており、前記キャッチフラップ(6)は、係合された状態において、前記接続パイプ(4又は5)に沿って内側に当接して延び、前記キャッチフラップ(6)の前記突起部(7)により前記接続パイプ(4又は5)の外側の正面に噛み合って軸方向の係合を確保し、前記キャッチフラップ(6)間において、前記接続パイプ(4又は5)の内半径に合わせて湾曲され、前記接続パイプ(4又は5)の内表面に隣接した壁領域(26)が設けられている、リーク弁(1)において、
両前記ハウジング部(2、3)は、係合された状態において、互いに対して回転可能であることを特徴とする、リーク弁。
【請求項2】
両前記ハウジング部(2、3)が係合された状態において、前記キャッチフラップ(6)の軸方向に延びる外壁と、前記第1の接続パイプ(4)の軸方向に延びる内壁との間に、間隙遊びが設けられる、請求項1に記載のリーク弁。
【請求項3】
両前記ハウジング部(2、3)が係合された状態において、前記キャッチフラップ(10)の正面側の前記突起部(7)と、前記第1の接続パイプ(4)の正面側の端部との間に、間隙遊びが設けられる、請求項1又は2に記載のリーク弁。
【請求項4】
両前記ハウジング部(2、3)が係合された状態において、前記湾曲された壁領域(26)の軸方向に延びる外壁と、前記第1の接続パイプ(4)の軸方向に延びる内壁との間に、間隙遊びが設けられる、請求項1~3のいずれかに記載のリーク弁。
【請求項5】
前記第2のハウジング部(3)において、径方向に延びる複数のウェブ(12)が円周に沿って設けられており、前記ウェブ(12)の間に前記貫通孔(8)が形成されること、又は、前記ウェブ(12)が前記貫通孔(8)の横方向の境界を形成する、請求項1~4のいずれかに記載のリーク弁。
【請求項6】
前記ウェブ(12)は、前記湾曲された壁領域(26)から外側に向かって突出している、請求項5に記載のリーク弁。
【請求項7】
拡張された前記ハウジング領域(10)の内壁と、各前記ウェブ(12)の外側端部との間に、円周にわたって延びる環状空間(29)が形成される、請求項5又は6に記載のリーク弁。
【請求項8】
両前記ハウジング部(2、3)が係合された状態において、前記第1のハウジング部(2)は、前記ウェブ(12)の上に当接する、請求項5~7のいずれかに記載のリーク弁。
【請求項9】
前記第1のハウジング部(2)は、円周にわたって延びる段部表面(25)を有し、前記段部表面(25)は、両前記ハウジング部(2、3)が係合された状態において、上方から前記ウェブ(12)の上に当接する、請求項5~8のいずれかに記載のリーク弁。
【請求項10】
前記第1のハウジング部(2)及び/又は前記第2のハウジング部(3)は、一体物として形成される、請求項1~9のいずれかに記載のリーク弁。
【請求項11】
前記第2のハウジング部(3)は、拡張された前記ハウジング領域(10)の区域において、リング状の拡張部(27)を有する、請求項1~10のいずれかに記載のリーク弁。
【請求項12】
前記リング状の拡張部(27)は、その下部に、円周にわたって延びる凹部(28)を備えている、請求項11に記載のリーク弁。
【請求項13】
リーク換気時に使用するための換気管システムであって、好ましくは加熱可能な換気管(13)と、請求項1~12のいずれかに記載のリーク弁(1)とを備えることを特徴とする、換気管システム。
【請求項14】
前記換気管(13)の少なくとも一端、好ましくは両端において、前記換気管(13)を前記リーク弁(1)及び/又は機能部品に連結するための連結スリーブ(18、19)が設けられている、請求項13に記載の換気管システム。
【請求項15】
前記リーク弁(1)が、前記連結スリーブ(18)と患者の傍に設置された換気装置(15)との間に配置される、請求項12~14のいずれかに記載の換気管システム。
【請求項16】
前記リーク弁(1)が、前記連結スリーブ(18)とカテーテル連結手段を有するコネクタ(24)との間に配置される、請求項12~15のいずれかに記載の換気管システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載のリーク弁、及び、請求項13に記載の換気管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるリーク換気の際には、リーク弁が使用される。ここで、人工呼吸器により換気される患者は、患者が呼吸時に消費する換気ガスの量よりも多い量の換気ガスを利用可能である。この人工呼吸器によって利用可能にされる換気ガスの余剰分は、換気回路からリーク弁を介して排出される。吸気時に、換気ガスは、リーク弁の内腔を貫流し、同時に、消費後の空気の全余剰分をリーク弁から洗い流す。人工呼吸器は、正確に規定された換気ガス流量を有している。この流量は、対象となる患者に応じた使用量(例えば、大人の換気又は乳児の換気)に、装置側で適合させることが可能である。リーク換気用の人工呼吸器は、通常、リーク弁によって規定されるリーク量に正確に調節される。リーク量に変動が生じる場合、これらの変動は測定されないため、望ましくない換気障害が発生する。これは、特に新生児の換気の場合には、極めて深刻である。
【0003】
(先行技術文献)
請求項1の上位概念に記載のリーク弁が、EP第2 428 243 B1号から公知である。2つのハウジング部が、径方向外側に突出したハウジング領域の区域において、相互に対する段差部と貫通孔とを有している。この公知のリーク弁では、2つの互いに係合されたハウジング部は、互いに対して回転しないように、クランプ結合により接続されている。
【0004】
また、US第5 937 851号からは、同じく、外側部品と、当該外側部品に係合可能な内側部品とから構成されるリーク弁が知られている。内側部品は、外側部品の正面側の端部に噛み合うスプリングシャックルを備えている。外側部品は、全周にわたって延びる間隙状のバッフルチャンバを形成するために、内側部品に対して離隔されており、その幅の広い正面に、3つの幅の狭い隆起部、及び、1つの幅の広い隆起部を有している。これらの隆起部は、内側部品と協働して、CO2含有の息がバッフルチャンバから区域毎に排気されることを可能にする。加えて、内側部品において、径方向外側に突出したハウジング領域から離れた位置に、リーク弁の内側からバッフルチャンバ内に空気がさらに流入するための複数の貫通孔が設けられている。内側部品及び外側部品は、互いに回転可能であることになっている。この構造では、リーク弁の機械的障害が発生した際に、リーク量が大きく変動する可能性があるという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、リーク量の変動を効果的に回避することが可能な、上述の種類のリーク弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題は、請求項1の特徴を有するリーク弁によって解決される。
【0007】
有効な構成は、従属請求項に記載される。
【0008】
EP第2 428 243 B1号の対象とは反対に、本発明に係るリーク弁では、2つのハウジング部は、係合された状態において、互いに対して回転可能である。これは、使用時にねじれが生じ得ないという利点を有する。なぜなら、両ハウジング部は、機械的障害又はねじり負荷が生じた際に互いに対して回転するため、機械的障害を引き起こす応力が生成され得ないからである。これはまた、リーク弁に、リーク量の変動を引き起こす機械的障害がほとんど作用し得ないことになる。加えて、本発明に係るリーク弁は、製造技術的に安価な構造によって特徴付けられる。
【0009】
有利にも、2つのハウジング部が互いに対して回転可能であることは、両ハウジング部が係合された状態において、軸方向に延びるキャッチフラップと、第1の接続パイプの軸方向に延びる内壁との間に、間隙遊びが設けられることによって実現される。
【0010】
また、両ハウジング部が係合された状態において、キャッチフラップの正面側の突起部と、第1の接続パイプの正面側の端部との間に、間隙遊びが設けられていてもよい。
【0011】
さらに、両ハウジング部が係合された状態において、湾曲された壁領域の軸方向に延びる外壁と、第1の接続パイプの軸方向に延びる内壁との間に、間隙遊びが設けられていてもよい。
【0012】
2つのハウジング部が回転可能であるあるためには、間隙(間隙遊び)の大きさは、実質的に0.08mm~0.12mm(すなわち、直径で言うと、各側において0.04mm~0.06mm)、好ましくは0.09mm~0.11mm(すなわち、直径で言うと、各側において0.045mm~0.055mm)である。
【0013】
上述の構造によって、力を加えることなく、2つのハウジング部が互いに対して回転可能となり、これによって、使用時にリーク弁に機械的応力が作用することを回避可能であり、リーク量は全く変動しなくなる。
【0014】
第2のハウジング部の周囲に沿って、貫通孔の境界を規定する、径方向に延びる複数のウェブが設けられていることによって、リーク流がリーク溝に流入するための特に有効な広い領域が形成される。同時に、この構造は、2つのハウジング部が互いに対して回転可能であることを容易にすることに寄与する。
【0015】
貫通孔を有するハウジング部は、径方向外側に突出したウェブまで、段差部を有していないことが都合がよい。
【0016】
ウェブが、湾曲した壁領域から外側に向かって突出していることによって、ウェブを、同時に、第1のハウジング部用の載置部としても使用可能である。
【0017】
有利にも、拡張されたハウジング領域の内壁と各ウェブの外側端部との間には、円周にわたって延びる環状空間が設けられている。これによって、換気ガスがウェブの正面の周りを、そこに設けられた環状空間を通って流れ、そこから外部に向かってリーク溝の中に流れ込むことが可能になる。これによって、リーク量はさらに安定化する。
【0018】
両ハウジング部が係合された状態において、第1のハウジング部は、第2のハウジング部のウェブ上に、好ましくは突き当たって当接することが都合がよい。この構造は、両ハウジング部が互いに対して回転する際に、構造的にほとんど表面摩耗が生じないという利点を有している。これによって、両ハウジング部の互いに対する優れた回転可能性が実現される。
【0019】
このために、第1のハウジング部は、円周にわたって延びる段部表面を有していることが都合がよい。この段部表面は、両ハウジング部が係合された状態において、上方からウェブの上に当接する。
【0020】
第1のハウジング部及び/又は第2のハウジング部は、好ましくは一体物として形成される。
【0021】
さらに、第2のハウジング部は、拡張されたハウジング領域の区域内に、リング状の拡張部又はリング状の突出部を有していてもよく、この拡張部又は突出部は、径方向外側に延びて、第1のハウジング部の内壁と共に、外部に導かれるリーク溝を形成する。
【0022】
リング状の拡張部が、その下部に円周にわたって延びる凹部を備えていることによって、第2のハウジング部の機械的安定性は、全体的にさらに強化される。
【0023】
本発明はさらに、リーク換気時に使用するための換気管システムに関する。ここで、換気管システムは、好ましくは加熱可能な換気管と、請求項1~13に記載のリーク弁とを備える。
【0024】
換気管システムはさらに、換気管の少なくとも一端、好ましくは両端において、換気管をリーク弁及び/又は機能部品に連結するための連結スリーブが設けられている点によって特徴付けられる。
【0025】
リーク弁は、連結スリーブと、患者の傍に設置された換気補助具との間に配置されることが都合がよい。
【0026】
リーク弁は、連結スリーブと、カテーテル連結手段を有するコネクタとの間に配置されることが都合がよい。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係るリーク弁の有効な一実施形態を詳細に説明する。分かりやすいように、重複する特徴については一度だけ示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、リーク換気用の換気システムを示す、極めて簡略化された概略図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るリーク弁の有効な一実施形態を示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図2のリーク弁の線A-Aに沿った断面図である。
【
図6】
図6は、
図5の屈曲した線B-Bに沿った断面図である。
【
図7】
図7は、
図2の本発明に係るリーク弁の機能又は組み立てを示す図である。
図7(a)は、係合された状態において示す図、
図7(b)は、分解図として示す図、
図7(c)は、同じく分解図であるが、
図7(b)を90°回転させた図として示す図である。
【0029】
(実施の形態)
図1は、リーク換気のための構成の一例を示す図である。参照番号15は、例えば換気マスクといった患者の傍にある換気装置を指すものであり、(図示されていない)接続パイプを備え、本発明に係るリーク弁1に接続される。リーク弁1には、例えば、カテーテル用の端子を有するコネクタ24が接続される。
【0030】
さらに、換気管13が設けられている。換気管13は、必要に応じて、換気管内の換気ガスを所定の温度に維持するために設けられる電熱線を含むことが可能である。しかしながら、電熱線は、必ずしも設けられていなければならない訳ではない。換気管13は、その各端部に、連結スリーブ18及び19をそれぞれ備えている。さらに、換気管13は、カテーテル用の端子を備えるさらなるコネクタ23を介して、空気加湿器14の加湿チャンバ16に接続されている。加湿チャンバ16内には、特別に調整された換気ガスが用意されている。加湿チャンバ16は、接続管20及び接続装置21を介して、換気扇22に接続されている。加湿チャンバ16の内部にある換気ガスの所定の湿度を確保するために、加湿チャンバ16は、貯水器17に接続されている。こうして、換気のために、加湿チャンバ16内に貯蔵された調整済み換気ガスが、換気扇22により生成された超過圧力により換気管13を介して患者まで搬送される。患者は、換気ガスを吸い込み、換気マスクを介して再び吐き出す。この際に、患者には、患者が呼吸時に消費する量よりも多い量の換気ガスが供給される。この換気ガスによって利用可能にされた換気ガス量の余剰分は、換気回路からリーク弁1を介して排出される。吸気時に、換気ガスは、リーク弁の内腔を貫流し、同時に、消費後の空気の全余剰分をリーク弁から洗い流す。
【0031】
操作時に、換気管13が、患者の傍にある換気装置、例えば、換気マスクに対して回転してしまうことが頻繁に起こり得る。これによってねじれ力が生じ、リーク弁1に作用する。
【0032】
図2は、本発明に係るリーク弁の一実施形態を示す図である。リーク弁1は、第1の円形ハウジング部2及び第2の円形ハウジング部3を含む。第1のハウジング部2には、第1の接続パイプ4が設けられ、第2のハウジング部3には、第2の接続パイプ5が設けられている。接続パイプ4により、リーク弁1は、換気装置15、例えば、換気マスクに接続される。第2の接続パイプ5は、リーク弁1を、カテーテル連結手段を備えるコネクタ24に接続するように、又は、直接、換気管13に接続するように機能する。リーク弁1のほぼ中央の領域に、幅が広いハウジング領域10が設けられている。このハウジング領域10内には、リーク流をリーク弁1から外部へ排気するための幅が狭いリーク溝9(
図2を参照)が、円周にわたって設けられている。
【0033】
図3には、リーク弁1の構造的構成が示されている。第2のハウジング部3は、リーク弁1の内腔を形成し、ここで、第1のハウジング部2は、第2のハウジング部3の外側に配置され、スナップ結合により軸方向に係合される。このために、第1のハウジング部2は、第2のハウジング部3の円筒領域上をスライドされる。この第2のハウジング部3の円筒領域は、スリット11が間に設けられた湾曲した壁領域26を含む。これらのスリット11により、上部に突起部7を備えるキャッチフラップ6が形成される。突起部7は、第1のハウジング部2の上部の正面に係合し、これによって第1のハウジング部2を軸方向の停止位置に固定する。幅が広いハウジング領域10の区域では、第1のハウジング部2の内壁と第2のハウジング部3の外側との間に、換気ガスを外部に排気することが可能なリング状のリーク溝9が設けられる。
【0034】
また、第2のハウジング部3には、径方向外側に向けられたウェブ12が、第2のハウジング部3の円周に沿って設けられている。これらのウェブ12は、貫通孔8の境界を形成する。貫通孔8を介して、換気ガスは、リーク弁の内腔から拡張領域10の内部に到達し、そこから円周にわたって延びるリーク溝9内に到達する。貫通孔8は、径方向に延びるウェブ12によって境界が形成されているだけであるため、広い面積を有している。
【0035】
ウェブ12の底部領域には、リング状の拡張部27が設けられている。拡張部27の外周正面は、ハウジング拡張部10の区域内の第1のハウジング部2の内壁と共に、リーク溝9を形成する。
【0036】
第1のハウジング部2は、好ましくは円周にわたって延びる段部表面25を有している。この段部表面25は、2つのハウジング部2及び3が係合された状態において、上方からウェブ12の上に当接する。
【0037】
この原理は、
図4により明確に示されている。リング状の拡張部27は、その下部に、円周にわたって延びる凹部28を有している。この凹部28は、第2のハウジング部3又はリング状の拡張部27を機械的に補強する。この機械的安定性によって、リーク溝9が機械的負荷に曝された際に変形することや、リーク流に悪影響が生じることが回避される。
【0038】
係合された状態の2つのハウジング部2及び3を、力を加えることなく互いに対して回転させることを可能にすることは、キャッチフラップ6の領域における第1のハウジング部2の軸方向に延びる外壁と、第1の接続パイプ4の内壁との間に、わずかな間隙遊びを設けることによって実現される。キャッチフラップ6の正面に設けられた突起部7と第1の接続パイプ4の正面側の端部との間にも、対応する間隙遊びが設けられることが可能である。同様に、第1のハウジング部2の湾曲した壁領域26の軸方向に延びる外壁と、第1の接続パイプ4の軸方向に延びる内壁との間にも、わずかな間隙遊びが設けられることが可能である。
【0039】
2つのハウジング部が回転可能であるあるためには、間隙(間隙遊び)の大きさは、実質的に0.08mm~0.12mm(すなわち、直径で言うと、各側において0.04mm~0.06mm)、好ましくは0.09mm~0.11mm(すなわち、直径で言うと、各側において0.045mm~0.055mm)である。例えば、間隙遊びは、直径で言うと0.10mm、すなわち各側において0.05mmである。
【0040】
図5は、リーク弁1を上から見た図である。第1のハウジング部2の、上部正面側に突起部7を有する2つのキャッチフラップ6が対向して配置されていることが分かる。これら突起部7は、第2のハウジング部3の上部側端部に重なっている。
【0041】
図6に明確に示されているように、第1のハウジング部2の上部領域、すなわち、湾曲した壁領域26は、ウェブ12の上部まで平坦に、すなわち、段差無しに形成されている。同じことが、外側に配置される、第1の接続パイプ4を形成する第1のハウジング部2の対応する領域にも当てはまる。
【0042】
図7(a)から明らかなように、本発明に係るリーク弁1の2つのハウジング部2及び3は、係合された状態において、互いに対して極めて容易に回転可能である。したがって、例えば、換気管13が回転された場合にも、ねじれ力がリーク弁1のハウジングに発生することはあり得ない。
【0043】
図7(b)及び
図7(c)は、リーク弁を分解図に示すものである。円周に沿って設けられた貫通孔8の各領域が良好に視認可能である。この貫通孔8を通って、換気ガスが、リーク弁1の内腔から環状空間29内に到達し、そこからリング状のリーク溝9(例えば
図3を参照)内に到達することが可能である。
【0044】
さらに、本発明に係る構造により、ハウジング部2及び3は、一体物として、プラスチックから射出成型法により容易に製造可能となる。
【0045】
上述の特徴群及び実施形態の組み合わせも、本発明の対象に含まれるものと見なされることは、明らかであろう。
【符号の説明】
【0046】
1 リーク弁
2 第1のハウジング部
3 第2のハウジング部
4 第1の接続パイプ
5 第2の接続パイプ
6 キャッチフラップ
7 突起部
8 貫通孔
9 リーク溝
10 拡張されたハウジング領域
11 スリット
12 ウェブ
13 換気管
14 加湿器
15 換気装置
16 加湿チャンバ
17 貯水器
18 連結スリーブ
19 連結スリーブ
20 接続管
21 接続装置
22 換気扇
23 カテーテル連結手段を有するコネクタ
24 カテーテル連結手段を有するコネクタ
25 段部表面
26 湾曲した壁領域
27 リング状の拡張部
28 凹部
29 環状空間
【手続補正書】
【提出日】2020-06-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載のリーク弁、及び、請求項10に記載の換気管システムに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるリーク換気の際には、リーク弁が使用される。ここで、人工呼吸器により換気される患者は、患者が呼吸時に消費する換気ガスの量よりも多い量の換気ガスを利用可能である。この人工呼吸器によって利用可能にされる換気ガスの余剰分は、換気回路からリーク弁を介して排出される。吸気時に、換気ガスは、リーク弁の内腔を貫流し、同時に、消費後の空気の全余剰分をリーク弁から洗い流す。人工呼吸器は、正確に規定された換気ガス流量を有している。この流量は、対象となる患者に応じた使用量(例えば、大人の換気又は乳児の換気)に、装置側で適合させることが可能である。リーク換気用の人工呼吸器は、通常、リーク弁によって規定されるリーク量に正確に調節される。リーク量に変動が生じる場合、これらの変動は測定されないため、望ましくない換気障害が発生する。これは、特に新生児の換気の場合には、極めて深刻である。
【0003】
(先行技術文献)
請求項1の上位概念に記載のリーク弁が、EP第2 428 243 B1号から公知である。2つのハウジング部が、径方向外側に突出したハウジング領域の区域において、相互に対する段差部と貫通孔とを有している。この公知のリーク弁では、2つの互いに係合されたハウジング部は、互いに対して回転しないように、クランプ結合により接続されている。
【0004】
また、US第5 937 851号からは、同じく、外側部品と、当該外側部品に係合可能な内側部品とから構成されるリーク弁が知られている。内側部品は、外側部品の正面側の端部に噛み合うスプリングシャックルを備えている。外側部品は、全周にわたって延びる間隙状のバッフルチャンバを形成するために、内側部品に対して離隔されており、その幅の広い正面に、3つの幅の狭い隆起部、及び、1つの幅の広い隆起部を有している。これらの隆起部は、内側部品と協働して、CO2含有の息がバッフルチャンバから区域毎に排気されることを可能にする。加えて、内側部品において、径方向外側に突出したハウジング領域から離れた位置に、リーク弁の内側からバッフルチャンバ内に空気がさらに流入するための複数の貫通孔が設けられている。内側部品及び外側部品は、互いに回転可能であることになっている。この構造では、リーク弁の機械的障害が発生した際に、リーク量が大きく変動する可能性があるという問題がある。
【0005】
EP第1 314 446号からは、マスク基体が結合要素を介して呼気要素に接続される換気マスクが知られている。結合要素は、呼気要素と共に、排気路を境界づける。このために、呼気要素は、部分的に結合要素の支持パイプの中に導入される。最大導入深さは、呼気要素の長手軸に対してほぼ平行に呼気要素の外側に沿って延びる外側ウェブによって規定される。呼気要素はさらに、その円周に沿って、径方向に延びる複数の連結ウェブを有している。これらの連結ウェブの間に、流出開口部が設けられている。連結ウェブは、その外側がわずかに内側に延びている。流出開口部は、外側ウェブの上側に設けられている。呼気要素は、結合要素の内側にロック要素によって固定されている。各ロック要素は、キャッチ突起部により、割り当てられた部分に噛み合う。支持パイプと呼気要素との間の遊びにより、呼気要素が支持パイプの内部を容易に回転可能であることが支援される。
【0006】
EP第1 138 340 A2号は、少なくとも部分的に消費される呼吸ガスを呼吸ガス配管システムから誘導するための装置に関する。この装置は、第1の接続部、及び、第2の接続部、並びに、呼吸ガス部分流を導くための誘導機構を含む。ここで、誘導機構は、少なくとも部分的にエラストマーボディの壁によって区切られた少なくとも1つの溝によって形成されている。この溝は、径方向外側に突出した隆起部の区域内に配置される。接続部を回転可能に結合するために、回転スリーブ装置が設けられている。特定の一実施形態では、径方向に可塑性を有する複数のキャッチ突起部要素が設けられていることが可能である。これらの固定突起要素は、管ブッシュ状に形成された第2の接続要素に、取り外し可能に係合可能である。
【0007】
DE第10 2007 052 898 B3号は、外側部分と、円筒形の滑動平面を有する内側部分とを備える、呼吸ガスを誘導するための装置を開示している。この内側部分は、連結要素を介して、回転可能に外側部分の内部に固定されている。連結要素と外側部品との間には、リング状の呼吸ガス用の流出間隙が形成されている。流出間隙は、連結要素と外側部品との間の離隔要素によって形成される。離隔要素は、連結要素が外側部品に対して回転せずに固定されるように構成されている。離隔要素は、外側部品と連結可能なキャッチ突起部を有している。
【0008】
WO第2016/063168 A1号からは、呼吸治療の間にリークを制御するように構成された調節可能なリーク弁が知られている。このリーク弁は、呼吸治療の間にガスを供給するための流路を形成する管状ボディを含む。ここで、管状ボディは、壁に形成されたボディ開口部を有する。ボディ開口部は、ガスをこの流路からその壁を通って誘導するものである。スリーブが、管状ボディの軸の周りを回転可能であり、スリーブは、ボディのボディ開口部を実質的に包囲している。このスリーブはまた、ボディ開口部と重複するように配置可能なスリーブ開口部も備えている。管状の調節リングが、スリーブのスリーブ開口部を実質的に包囲しており、この調節リングには、調節リング開口部が形成されている。調節リング開口部は、スリーブ開口部及びボディ開口部に重複するように配置可能である。ここで、管状ボディ、スリーブ、及び、調節リングの間の回転結合により、呼吸治療の間のリークを可能にするために、調節リング開口部をスリーブ開口部のうちの少なくとも1つ、及び、ボディ開口部のうちの少なくとも1つと重複させて配置することによって形成されるリーク経路の1つ又は複数の特徴を調節可能に構成することを容易にしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、リーク量の変動を効果的に回避することが可能な、上述の種類のリーク弁を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題は、請求項1の特徴を有するリーク弁によって解決される。
【0011】
有効な構成は、従属請求項に記載される。
【0012】
EP第2 428 243 B1号の対象とは反対に、本発明に係るリーク弁では、2つのハウジング部は、係合された状態において、互いに対して回転可能である。これは、使用時にねじれが生じ得ないという利点を有する。なぜなら、両ハウジング部は、機械的障害又はねじり負荷が生じた際に互いに対して回転するため、機械的障害を引き起こす応力が生成され得ないからである。これはまた、リーク弁に、リーク量の変動を引き起こす機械的障害がほとんど作用し得ないことになる。加えて、本発明に係るリーク弁は、製造技術的に安価な構造によって特徴付けられる。
【0013】
有利にも、2つのハウジング部が互いに対して回転可能であることは、両ハウジング部が係合された状態において、軸方向に延びるキャッチフラップと、第1の接続パイプの軸方向に延びる内壁との間に、間隙遊びが設けられることによって実現される。
【0014】
また、両ハウジング部が係合された状態において、キャッチフラップの正面側の突起部と、第1の接続パイプの正面側の端部との間に、間隙遊びが設けられていてもよい。
【0015】
さらに、両ハウジング部が係合された状態において、湾曲された壁領域の軸方向に延びる外壁と、第1の接続パイプの軸方向に延びる内壁との間に、間隙遊びが設けられていてもよい。
【0016】
2つのハウジング部が回転可能であるあるためには、間隙(間隙遊び)の大きさは、実質的に0.08mm~0.12mm(すなわち、直径で言うと、各側において0.04mm~0.06mm)、好ましくは0.09mm~0.11mm(すなわち、直径で言うと、各側において0.045mm~0.055mm)である。
【0017】
上述の構造によって、力を加えることなく、2つのハウジング部が互いに対して回転可能となり、これによって、使用時にリーク弁に機械的応力が作用することを回避可能であり、リーク量は全く変動しなくなる。
【0018】
第2のハウジング部の周囲に沿って、貫通孔の境界を規定する、径方向に延びる複数のウェブが設けられていることによって、リーク流がリーク溝に流入するための特に有効な広い領域が形成される。同時に、この構造は、2つのハウジング部が互いに対して回転可能であることを容易にすることに寄与する。
【0019】
貫通孔を有するハウジング部は、径方向外側に突出したウェブまで、段差部を有していないことが都合がよい。
【0020】
ウェブが、湾曲した壁領域から外側に向かって突出していることによって、ウェブを、同時に、第1のハウジング部用の載置部としても使用可能である。
【0021】
本発明によれば、拡張されたハウジング領域の内壁と各ウェブの外側端部との間には、円周にわたって延びる環状空間が設けられている。これによって、換気ガスがウェブの正面の周りを、そこに設けられた環状空間を通って流れ、そこから外部に向かってリーク溝の中に流れ込むことが可能になる。これによって、リーク量はさらに安定化する。
【0022】
両ハウジング部が係合された状態において、第1のハウジング部は、第2のハウジング部のウェブ上に、好ましくは突き当たって当接することが都合がよい。この構造は、両ハウジング部が互いに対して回転する際に、構造的にほとんど表面摩耗が生じないという利点を有している。これによって、両ハウジング部の互いに対する優れた回転可能性が実現される。
【0023】
このために、第1のハウジング部は、円周にわたって延びる段部表面を有していることが都合がよい。この段部表面は、両ハウジング部が係合された状態において、上方からウェブの上に当接する。
【0024】
第1のハウジング部及び/又は第2のハウジング部は、好ましくは一体物として形成される。
【0025】
さらに、第2のハウジング部は、拡張されたハウジング領域の区域内に、リング状の拡張部又はリング状の突出部を有していてもよく、この拡張部又は突出部は、径方向外側に延びて、第1のハウジング部の内壁と共に、外部に導かれるリーク溝を形成する。
【0026】
リング状の拡張部が、その下部に円周にわたって延びる凹部を備えていることによって、第2のハウジング部の機械的安定性は、全体的にさらに強化される。
【0027】
本発明はさらに、リーク換気時に使用するための換気管システムに関する。ここで、換気管システムは、好ましくは加熱可能な換気管と、請求項1~9に記載のリーク弁とを備える。
【0028】
換気管システムはさらに、換気管の少なくとも一端、好ましくは両端において、換気管をリーク弁及び/又は機能部品に連結するための連結スリーブが設けられている点によって特徴付けられる。
【0029】
リーク弁は、連結スリーブと、患者の傍に設置された換気補助具との間に配置されることが都合がよい。
【0030】
リーク弁は、連結スリーブと、カテーテル連結手段を有するコネクタとの間に配置されることが都合がよい。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明に係るリーク弁の有効な一実施形態を詳細に説明する。分かりやすいように、重複する特徴については一度だけ示す。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、リーク換気用の換気システムを示す、極めて簡略化された概略図である。
【
図2】
図2は、本発明に係るリーク弁の有効な一実施形態を示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図2のリーク弁の線A-Aに沿った断面図である。
【
図6】
図6は、
図5の屈曲した線B-Bに沿った断面図である。
【
図7】
図7は、
図2の本発明に係るリーク弁の機能又は組み立てを示す図である。
図7(a)は、係合された状態において示す図、
図7(b)は、分解図として示す図、
図7(c)は、同じく分解図であるが、
図7(b)を90°回転させた図として示す図である。
【0033】
(実施の形態)
図1は、リーク換気のための構成の一例を示す図である。参照番号15は、例えば換気マスクといった患者の傍にある換気装置を指すものであり、(図示されていない)接続パイプを備え、本発明に係るリーク弁1に接続される。リーク弁1には、例えば、カテーテル用の端子を有するコネクタ24が接続される。
【0034】
さらに、換気管13が設けられている。換気管13は、必要に応じて、換気管内の換気ガスを所定の温度に維持するために設けられる電熱線を含むことが可能である。しかしながら、電熱線は、必ずしも設けられていなければならない訳ではない。換気管13は、その各端部に、連結スリーブ18及び19をそれぞれ備えている。さらに、換気管13は、カテーテル用の端子を備えるさらなるコネクタ23を介して、空気加湿器14の加湿チャンバ16に接続されている。加湿チャンバ16内には、特別に調整された換気ガスが用意されている。加湿チャンバ16は、接続管20及び接続装置21を介して、換気扇22に接続されている。加湿チャンバ16の内部にある換気ガスの所定の湿度を確保するために、加湿チャンバ16は、貯水器17に接続されている。こうして、換気のために、加湿チャンバ16内に貯蔵された調整済み換気ガスが、換気扇22により生成された超過圧力により換気管13を介して患者まで搬送される。患者は、換気ガスを吸い込み、換気マスクを介して再び吐き出す。この際に、患者には、患者が呼吸時に消費する量よりも多い量の換気ガスが供給される。この換気ガスによって利用可能にされた換気ガス量の余剰分は、換気回路からリーク弁1を介して排出される。吸気時に、換気ガスは、リーク弁の内腔を貫流し、同時に、消費後の空気の全余剰分をリーク弁から洗い流す。
【0035】
操作時に、換気管13が、患者の傍にある換気装置、例えば、換気マスクに対して回転してしまうことが頻繁に起こり得る。これによってねじれ力が生じ、リーク弁1に作用する。
【0036】
図2は、本発明に係るリーク弁の一実施形態を示す図である。リーク弁1は、第1の円形ハウジング部2及び第2の円形ハウジング部3を含む。第1のハウジング部2には、第1の接続パイプ4が設けられ、第2のハウジング部3には、第2の接続パイプ5が設けられている。接続パイプ4により、リーク弁1は、換気装置15、例えば、換気マスクに接続される。第2の接続パイプ5は、リーク弁1を、カテーテル連結手段を備えるコネクタ24に接続するように、又は、直接、換気管13に接続するように機能する。リーク弁1のほぼ中央の領域に、幅が広いハウジング領域10が設けられている。このハウジング領域10内には、リーク流をリーク弁1から外部へ排気するための幅が狭いリーク溝9(図
3を参照)が、円周にわたって設けられている。
【0037】
図3には、リーク弁1の構造的構成が示されている。第2のハウジング部3は、リーク弁1の内腔を形成し、ここで、第1のハウジング部2は、第2のハウジング部3の外側に配置され、スナップ結合により軸方向に係合される。このために、第1のハウジング部2は、第2のハウジング部3の円筒領域上をスライドされる。この第2のハウジング部3の円筒領域は、スリット11が間に設けられた湾曲した壁領域26を含む。これらのスリット11により、上部に突起部7を備えるキャッチフラップ6が形成される。突起部7は、第1のハウジング部2の上部の正面に係合し、これによって第1のハウジング部2を軸方向の停止位置に固定する。幅が広いハウジング領域10の区域では、第1のハウジング部2の内壁と第2のハウジング部3の外側との間に、換気ガスを外部に排気することが可能なリング状のリーク溝9が設けられる。
【0038】
また、第2のハウジング部3には、径方向外側に向けられたウェブ12が、第2のハウジング部3の円周に沿って設けられている。これらのウェブ12は、貫通孔8の境界を形成する。貫通孔8を介して、換気ガスは、リーク弁の内腔から拡張領域10の内部に到達し、そこから円周にわたって延びるリーク溝9内に到達する。貫通孔8は、径方向に延びるウェブ12によって境界が形成されているだけであるため、広い面積を有している。
【0039】
ウェブ12の底部領域には、リング状の拡張部27が設けられている。拡張部27の外周正面は、ハウジング拡張部10の区域内の第1のハウジング部2の内壁と共に、リーク溝9を形成する。
【0040】
第1のハウジング部2は、好ましくは円周にわたって延びる段部表面25を有している。この段部表面25は、2つのハウジング部2及び3が係合された状態において、上方からウェブ12の上に当接する。
【0041】
この原理は、
図4により明確に示されている。リング状の拡張部27は、その下部に、円周にわたって延びる凹部28を有している。この凹部28は、第2のハウジング部3又はリング状の拡張部27を機械的に補強する。この機械的安定性によって、リーク溝9が機械的負荷に曝された際に変形することや、リーク流に悪影響が生じることが回避される。
【0042】
係合された状態の2つのハウジング部2及び3を、力を加えることなく互いに対して回転させることを可能にすることは、キャッチフラップ6の領域における第1のハウジング部2の軸方向に延びる外壁と、第1の接続パイプ4の内壁との間に、わずかな間隙遊びを設けることによって実現される。キャッチフラップ6の正面に設けられた突起部7と第1の接続パイプ4の正面側の端部との間にも、対応する間隙遊びが設けられることが可能である。同様に、第1のハウジング部2の湾曲した壁領域26の軸方向に延びる外壁と、第1の接続パイプ4の軸方向に延びる内壁との間にも、わずかな間隙遊びが設けられることが可能である。
【0043】
2つのハウジング部が回転可能であるあるためには、間隙(間隙遊び)の大きさは、実質的に0.08mm~0.12mm(すなわち、直径で言うと、各側において0.04mm~0.06mm)、好ましくは0.09mm~0.11mm(すなわち、直径で言うと、各側において0.045mm~0.055mm)である。例えば、間隙遊びは、直径で言うと0.10mm、すなわち各側において0.05mmである。
【0044】
図5は、リーク弁1を上から見た図である。第1のハウジング部2の、上部正面側に突起部7を有する2つのキャッチフラップ6が対向して配置されていることが分かる。これら突起部7は、第2のハウジング部3の上部側端部に重なっている。
【0045】
図6に明確に示されているように、第1のハウジング部2の上部領域、すなわち、湾曲した壁領域26は、ウェブ12の上部まで平坦に、すなわち、段差無しに形成されている。同じことが、外側に配置される、第1の接続パイプ4を形成する第1のハウジング部2の対応する領域にも当てはまる。
【0046】
図7(a)から明らかなように、本発明に係るリーク弁1の2つのハウジング部2及び3は、係合された状態において、互いに対して極めて容易に回転可能である。したがって、例えば、換気管13が回転された場合にも、ねじれ力がリーク弁1のハウジングに発生することはあり得ない。
【0047】
図7(b)及び
図7(c)は、リーク弁を分解図に示すものである。円周に沿って設けられた貫通孔8の各領域が良好に視認可能である。この貫通孔8を通って、換気ガスが、リーク弁1の内腔から環状空間29内に到達し、そこからリング状のリーク溝9(例えば
図3を参照)内に到達することが可能である。
【0048】
さらに、本発明に係る構造により、ハウジング部2及び3は、一体物として、プラスチックから射出成型法により容易に製造可能となる。
【0049】
上述の特徴群及び実施形態の組み合わせも、本発明の対象に含まれるものと見なされることは、明らかであろう。
【符号の説明】
【0050】
1 リーク弁
2 第1のハウジング部
3 第2のハウジング部
4 第1の接続パイプ
5 第2の接続パイプ
6 キャッチフラップ
7 突起部
8 貫通孔
9 リーク溝
10 拡張されたハウジング領域
11 スリット
12 ウェブ
13 換気管
14 加湿器
15 換気装置
16 加湿チャンバ
17 貯水器
18 連結スリーブ
19 連結スリーブ
20 接続管
21 接続装置
22 換気扇
23 カテーテル連結手段を有するコネクタ
24 カテーテル連結手段を有するコネクタ
25 段部表面
26 湾曲した壁領域
27 リング状の拡張部
28 凹部
29 環状空間
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者用換気システムにおいて使用するためのリーク弁(1)であって、
第1のハウジング部(2)及び第2のハウジング部(3)から構成され、好ましくはプラスチックから成る弁ハウジングであって、両前記ハウジング部(2、3)は、好ましくは断面が円形の流路を形成する、弁ハウジングを備え、
前記弁ハウジングは、
前記第1のハウジング部(2)に配置される第1の接続パイプ(4)と、
前記第2のハウジング部(3)に配置される第2の接続パイプ(5)、及び、両前記接続パイプ(4、5)の間に配置され、径方向外側に突出したハウジング領域(10)と、
外側に突出した前記ハウジング領域(10)の高さとほぼ同じ高さに配置され、流体が前記流路からリーク流の形で流出することを可能にする少なくとも1つの貫通孔(8)と、
同じく、外側に突出した前記ハウジング領域(10)の高さとほぼ同じ高さに配置され、前記弁ハウジングの円周の少なくとも一部に沿って、好ましくは全周に沿って延びる、好ましくは両前記ハウジング部(2、3)によって形成されたリーク溝(9)であって、前記リーク流が前記リーク弁(1)から流出するためのリーク溝(9)と、
両前記ハウジング部(2、3)を互いに連結可能な係合機構と、を備え、
前記係合機構として、前記接続パイプ(4又は5)の内半径に合わせて湾曲され、正面側に突起部(7)を備える少なくとも1つの、好ましくは多数のキャッチフラップ(6)が設けられており、前記キャッチフラップ(6)は、係合された状態において、前記接続パイプ(4又は5)に沿って内側に当接して延び、前記キャッチフラップ(6)の前記突起部(7)により前記接続パイプ(4又は5)の外側の正面に噛み合って軸方向の係合を確保し、前記キャッチフラップ(6)間において、前記接続パイプ(4又は5)の内半径に合わせて湾曲され、前記接続パイプ(4又は5)の内表面に隣接した壁領域(26)が設けられている、リーク弁(1)において、
両前記ハウジング部(2、3)は、係合された状態において、互いに対して回転可能であ
り、
前記第2のハウジング部(3)において、径方向に延びる複数のウェブ(12)が円周に沿って設けられており、前記ウェブ(12)の間に前記貫通孔(8)が形成され、又は、前記ウェブ(12)が前記貫通孔(8)の横方向の境界を形成し、
前記ウェブ(12)は、前記湾曲された壁領域(26)から外側に向かって突出し、
拡張された前記ハウジング領域(10)の内壁と、各前記ウェブ(12)の外側端部との間に、円周にわたって延びる環状空間(29)が形成されることを特徴とする、リーク弁。
【請求項2】
両前記ハウジング部(2、3)が係合された状態において、前記キャッチフラップ(6)の軸方向に延びる外壁と、前記第1の接続パイプ(4)の軸方向に延びる内壁との間に、間隙遊びが設けられる、請求項1に記載のリーク弁。
【請求項3】
両前記ハウジング部(2、3)が係合された状態において、前記キャッチフラップ(10)の正面側の前記突起部(7)と、前記第1の接続パイプ(4)の正面側の端部との間に、間隙遊びが設けられる、請求項1又は2に記載のリーク弁。
【請求項4】
両前記ハウジング部(2、3)が係合された状態において、前記湾曲された壁領域(26)の軸方向に延びる外壁と、前記第1の接続パイプ(4)の軸方向に延びる内壁との間に、間隙遊びが設けられる、請求項1~3のいずれかに記載のリーク弁。
【請求項5】
両前記ハウジング部(2、3)が係合された状態において、前記第1のハウジング部(2)は、前記ウェブ(12)の上に当接する、請求項
1~4のいずれかに記載のリーク弁。
【請求項6】
前記第1のハウジング部(2)は、円周にわたって延びる段部表面(25)を有し、前記段部表面(25)は、両前記ハウジング部(2、3)が係合された状態において、上方から前記ウェブ(12)の上に当接する、請求項
1~5のいずれかに記載のリーク弁。
【請求項7】
前記第1のハウジング部(2)及び/又は前記第2のハウジング部(3)は、一体物として形成される、請求項1~
6のいずれかに記載のリーク弁。
【請求項8】
前記第2のハウジング部(3)は、拡張された前記ハウジング領域(10)の区域において、リング状の拡張部(27)を有する、請求項1~
7のいずれかに記載のリーク弁。
【請求項9】
前記リング状の拡張部(27)は、その下部に、円周にわたって延びる凹部(28)を備えている、請求項
8に記載のリーク弁。
【請求項10】
リーク換気時に使用するための換気管システムであって、好ましくは加熱可能な換気管(13)と、請求項1~9のいずれかに記載のリーク弁(1)とを備えることを特徴とする、換気管システム。
【請求項11】
前記換気管(13)の少なくとも一端、好ましくは両端において、前記換気管(13)を前記リーク弁(1)及び/又は機能部品に連結するための連結スリーブ(18、19)が設けられている、請求項
10に記載の換気管システム。
【請求項12】
前記リーク弁(1)が、前記連結スリーブ(18)と患者の傍に設置された換気装置(15)との間に配置される、請求項
10又は11に記載の換気管システム。
【請求項13】
前記リーク弁(1)が、前記連結スリーブ(18)とカテーテル連結手段を有するコネクタ(24)との間に配置される、請求項
10~12のいずれかに記載の換気管システム。
【国際調査報告】