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特表2022-518802給送キャップ、ドライブヘッド、およびドライブシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】給送キャップ、ドライブヘッド、およびドライブシステム
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/14 20060101AFI20220309BHJP
【FI】
A61J1/14 390Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543326
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(85)【翻訳文提出日】2021-09-01
(86)【国際出願番号】 EP2019085358
(87)【国際公開番号】W WO2020151880
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】PCT/ES2019/070028
(32)【優先日】2019-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521325765
【氏名又は名称】アドベンティア、ファルマ、ソシエダッド、リミターダ
【氏名又は名称原語表記】ADVENTIA PHARMA, S.L.
(71)【出願人】
【識別番号】521325776
【氏名又は名称】アンドレス、カベジョ、レイ
【氏名又は名称原語表記】CABELLO REY ANDRES
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス、カベジョ、レイ
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA40
4C047CC27
4C047DD10
(57)【要約】
本発明は、医療機材の製造に特化した産業の分野に含まれ、特にチューブを通じて経腸栄養製品の人工栄養法(人工的な給送)のための容器に焦点を当てている。特に、本発明は、ドライブヘッドの推進によって経腸栄養製品を供給するための容器の閉鎖キャップに関するものであり、また、容器に入った経腸栄養製品の供給を推進するためにキャップに結合することのできるドライブヘッドに、ひいては当該キャップとドライブヘッドとによって形成されるドライブシステムに関するものでもある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(24)に入った経腸栄養製品をドライブヘッド(8)の推進によって供給するための前記容器(24)用の閉鎖キャップ(1)であって、ドライブヘッド(8)に対して結合されるように適合された前記キャップ(1)において、
- 前記容器(24)の内部から到来する製品を受け入れるのに適する開いた第1キャビティ(2)であって、
前記キャップ(1)の、前記容器(24)の頸部(25)との取付けのための結合手段(20)と、
前記第1キャビティ(2)の第1吐出口(3)と、
を備えた前記第1キャビティ(2)と、
- 前記第1キャビティ(2)から分離されて、前記第1キャビティ(2)の開口とは反対の側に開口があるように構成される開いた第2キャビティ(7)であって、
前記容器(24)の製品を供給するための、前記キャップ(1)の第2吐出口(4) と、
支持座(5)と、
前記第1キャビティ(2)の前記第1吐出口(3)と前記第2キャビティ(7)の前記第2吐出口(4)との間の流体連通をもたらす導管(6)と、
を備えた前記第2キャビティ(7)と、
を具備し、
前記導管(6)は第1可撓性導管部分(6.1)を備え、前記第1可撓性導管部分(6.1)が、前記支持座(5)上に支持される第1部位(6.1.1)と、前記第1可撓性導管部分(6.1)において前記第1部位(6.1.1)と対向して配置された第2部位(6.1.2)とを有し、前記第2部位(6.1.2)の配置は、前記キャップ(1)が前記ドライブヘッド(8)との作動モードにあるときに、前記導管(6)内に入っている流体が前記ドライブヘッド(8)の回転ローラ(10)の作用によって推進されるよう、前記ローラ(10)が前記第2部位(6.1.2)を前記支持座に対して押圧することを可能とするようなものであることを特徴とする、キャップ(1)。
【請求項2】
前記第1キャビティ(2)は、縦方向dに従って前記容器(24)の前記頸部(25)を受け入れるように構成されており、前記第1部位(6.1.1)と前記第2部位(6.1.2)とを含む前記導管(6)の前記第1可撓性導管部分(6.1)は、方向dを横切る平面内を伸びていることを特徴とする、請求項1記載のキャップ(1)。
【請求項3】
前記第1部位(6.1.1)と前記第2部位(6.1.2)とを含む前記導管(6)の前記第1可撓性導管部分(6.1)は、方向dを横切る平面内に含まれた円弧の導線を有していることを特徴とする、請求項1または2記載のキャップ(1)。
【請求項4】
前記キャップ(1)の本体が、縦方向dに従って伸びる少なくとも2つのフレーム部分(11,12)を備えたフレームであり、
- 第1フレーム部分(11)が、前記第1キャビティ(2)と、前記キャップ(1)の前記容器(24)の頸部(25)との取付けを行うための前記結合手段(20)とを備え、
- 第2フレーム部分(12)が、前記ドライブヘッド(8)を収容するための前記第2キャビティ(7)を備えている
ことを特徴とする、請求項2、または請求項2に従属する場合の請求項3記載のキャップ(1)。
【請求項5】
前記第2フレーム部分(12)が前記第1フレーム部分(11)よりも大きい直径を有すると共に、縦方向dに垂直な円盤(16)によって両フレーム部分(11,12)同士が連結されていることを特徴とする、請求項4記載のキャップ(1)。
【請求項6】
前記第1フレーム部分(11)を内部に収容して前記円盤(16)の周辺区域上に支持されるケーシング(17)を備えたことを特徴とする、請求項5記載のキャップ(1)。
【請求項7】
前記ケーシング(17)は、前記円盤(16)の周辺区域との掴み止めを介して前記第2フレーム部分(12)に結合することができることを特徴とする、請求項6記載のキャップ(1)。
【請求項8】
前記第1キャビティ(2)の前記結合手段(20)は、前記容器(24)の前記頸部(25)とのねじ込みによる取付けのためのねじ付表面を備えていることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のキャップ(1)。
【請求項9】
前記支持座(5)は帯の形状をなした表面部分であり、その表面部分の導線が、中心軸線(19)の周りに円をなして、かつ縦方向dを横切る平面内を伸びており、この中心軸線(19)は縦方向dに平行であり、前記中心軸線(19)を通る平面によるこの表面の断面が円弧形状部分であることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のキャップ(1)。
【請求項10】
前記円弧形状部分は、斜めに前記第2キャビティ(7)の外側の方を向いた、前記支持座(5)の表面に対応する法線方向を有している、請求項9記載のキャップ(1)。
【請求項11】
前記支持座(5)の表面における断面の前記円弧形状部分の曲率半径が、前記導管(6)の横断面の曲率半径よりも大きい、請求項1から10のいずれかに記載のキャップ(11)。
【請求項12】
前記支持座(5)は、前記第2キャビティ(7)に収容される円筒状の帯の形状をなした表面部分である、請求項1から8のいずれかに記載のキャップ(1)。
【請求項13】
前記支持座(5)が前記第2フレーム部分(12)の内壁上にある、請求項1および12記載のキャップ(1)。
【請求項14】
- 前記第1キャビティ(2)の前記第1吐出口(3)の出口が、前記第1フレーム部分(11)の外側にあり、
- 第2フレーム部分(12)が、前記第2キャビティ(7)の内側に一端部があって前記第2フレーム部分(12)の外側に反対側の端部がある接続アダプタ(35)を有しており、
- 前記キャップ(1)が、前記第1キャビティ(2)の前記第1吐出口(3)と前記接続アダプタ(35)の外側端部との間に第2流体接続導管(6.2)を備えると共に、
- 前記導管(6)が、前記第1吐出口(3)との流体連通のために前記接続アダプタ(35)の内側端部に接続されている
ことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のキャップ(1)。
【請求項15】
前記第2吐出口(4)とコネクタ(34)との間の第3流体接続導管(6.3)を備えたことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のキャップ(1)。
【請求項16】
前記ドライブヘッド(8)の少なくとも1つの溝(23)に嵌め込まれるよう縦方向dに対して半径方向へ突き出る少なくとも1つの突起(18)を前記第2フレーム部分(12)が備え、前記キャップ(1)と前記ドライブヘッド(8)との間のバヨネットロックを構成していることを特徴とする、請求項4から7のいずれかに記載のキャップ(1)。
【請求項17】
対向する前記ドライブヘッド(8)の直線型案内手段(37)と嵌合されるべき縦方向dに垂直な直線型案内手段(38)をさらに備え、前記キャップ(1)と前記ドライブヘッド(8)との間の直線型バヨネットロックを構成している、請求項1から15のいずれかに記載のキャップ(1)。
【請求項18】
前記直線型バヨネットロックは、第1の挿入位置と最終ロック位置とを有し、前記最終ロック位置においては、前記ドライブヘッド(8)の前記回転ローラ(10)が前記第1可撓性導管部分(6.1)に対して押圧力を及ぼしている、請求項17に記載のキャップ(1)。
【請求項19】
前記第2キャビティ(7)から前記第1キャビティ(2)への空気の進入のための逆止弁(13)を備えたことを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のキャップ(1)。
【請求項20】
前記第1キャビティ(2)は、前記容器(24)の前記頸部(25)に前記キャップ(1)が結合されたときに前記頸部(25)のシールに穿孔をするための穿孔手段を備えていることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のキャップ(1)。
【請求項21】
前記導管(6)が透明な可撓性チューブであることを特徴とする、前記請求項のいずれかに記載のキャップ(1)。
【請求項22】
前記請求項のいずれかに記載のキャップ(1)に結合されるように適合され、前記キャップ(1)が前記容器(24)を閉鎖する前記頸部での作動モードにあるときに、前記容器(24)に入った経腸栄養製品の前記キャップ(1)を通じた供給を推進するためのドライブヘッド(8)において、
- 回転軸線Eの周りに放射状に分散配置された1つないし複数の回転ローラ(10)と、
- 前記ローラ(10)の回転を作動させるための作動手段(9)と、
- 前記ドライブヘッド(8)に対して前記キャップ(1)を固定するための結合手段であって、その固定は、前記ドライブヘッド(8)が前記作動モードで前記キャップ(1)に結合されているときには、前記キャップ(1)の第1可撓性導管部分(6.1)の第2部位(1.1.2)に前記ローラ(10)が圧力を加えて、前記作動モードで前記ローラ(10)が前記回転軸線E周りに回転する際に前記導管(6)の内部を通じて流れる製品を推進するよう、これらのローラ(10)が前記キャップ(1)の前記導管(6)に対して位置合わされるようなものである、結合手段と、
を備えたことを特徴とする、ドライブヘッド(8)。
【請求項23】
前記ドライブヘッド(8)の本体が、縦方向dに従って伸びる少なくとも2つのケーシング部分(14,15)を備えたケーシングを具備しており、
- 第1ケーシング部分(14)が、複数の前記ローラ(10)を収容するための円筒状のセクターの形態をなして構成され、
- 第2ケーシング部分(15)が、前記作動手段(9)を収容する閉じたキャビティの形態をなして構成されている
ことを特徴とする、請求項22に記載のドライブヘッド(8)。
【請求項24】
前記第1ケーシング部分(14)は、長さ方向dに従って前記キャップ(1)を受け入れるように構成されていることを特徴とする、請求項23記載のドライブヘッド(8)。
【請求項25】
前記第1ケーシング部分(14)は、請求項12記載のキャップ(1)と前記ドライブヘッド(18)との間のバヨネットロックを構成する前記キャップ(1)の少なくとも1つの突起(18)を受け入れるための少なくとも1つの溝(23)を備えていることを特徴とする、請求項23から24のいずれかに記載のドライブヘッド(8)。
【請求項26】
前記ローラ(10)は、前記回転軸線Eに収束する傾斜軸(26)上に配置されており、前記傾斜軸(26)は、前記回転軸線E周りに回転するように構成されたローラフレーム(21)に固定されていることを特徴とする、請求項22から25のいずれかに記載のドライブヘッド(8)。
【請求項27】
各傾斜軸(26)は、縦方向dに従って配置された2つの掴みクランプ(22)によって前記ローラフレーム(21)に固定されており、前記ローラ(10)が両掴みクランプ(22)同士の間に斜めの姿勢で配置されるように、一方のクランプが反対側のクランプよりも前記回転軸線Eに近い位置に置かれている、請求項26に記載のドライブヘッド(8)。
【請求項28】
前記回転ローラ(10)は、前記キャップ(1)の前記円筒状の支持座(5)について定められる法線に応じた縦方向に対して平行に配置されている、請求項22から27のいずれか、および請求項12に記載のドライブヘッド(8)。
【請求項29】
直線型バヨネットロックが、第1の挿入位置と最終ロック位置とを有し、前記最終ロック位置では、前記ドライブヘッド(8)の前記回転ローラ(10)が前記第1可撓性導管部分(6.1)に対して押圧力を及ぼしている、請求項22から28のいずれかに記載のドライブヘッド(8)。
【請求項30】
前記キャップ(1)の前記導管(6)の内部を製品と空気のいずれが循環しているかを検出するように構成された光電センサ(29)を備え、前記ドライブヘッド(8)が請求項17記載のキャップ(1)との作動モードにあって、前記キャップ(1)の前記導管(6)内部を空気が循環していることを前記光電センサ(29)が検出したときには、前記ローラ(10)の回転が停止されるようになっていることを特徴とする、請求項22から29のいずれかに記載のドライブヘッド(8)。
【請求項31】
前記光電センサ(29)は、請求項9記載のキャップ(1)の第3導管(6.3)を部分的に保持するように構成された保持手段(30)を備え、前記光電センサ(29)はさらに、前記ドライブヘッド(8)が前記キャップ(1)との作動モードにあるときに、前記導管(6)が前記保持手段(30)に保持されているかどうかを検出するように構成されていることを特徴とする、請求項30記載のドライブヘッド(8)。
【請求項32】
前記光電センサ(29)によって計測されたパラメータを表示するように構成されたディスプレイ(32)をさらに備えたことを特徴とする、請求項30から31のいずれかに記載のドライブヘッド(8)。
【請求項33】
請求項1から21のいずれかに記載のキャップ(1)と、請求項22から32のいずれかに記載のドライブヘッド(8)とを備えたドライブシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機材の製造に特化した産業の分野に含まれ、特にチューブを通じて経腸栄養製品の人工栄養法(人工的な給送)のための容器に焦点を当てている。特に、本発明は、ドライブヘッドの推進によって経腸栄養製品を供給するための容器の閉鎖キャップに関するものであり、また、容器に入った経腸栄養製品の供給を推進するためにキャップに結合することのできるドライブヘッドに、ひいては当該キャップとドライブヘッドとによって形成されるドライブシステムに関するものでもある。
【背景技術】
【0002】
経管栄養法とは、患者が必要とするさまざまな栄養素を、栄養チューブを通じて送達することからなる特殊な栄養法である(人工栄養法とも呼ばれる)。栄養チューブは、一端が外部に残り、他端が鼻から患者の体内へと、口と食道の摂取段階をバイパスして消化管まで挿入されるか、または空腸まで直接挿入されるように設置される。
【0003】
容器に入った製品を供給するために、一般的にはシリンジ(ボーラスと呼ばれる)や電気機械式の輸液ポンプが使用される。ポンプは通常、蠕動式やダイアフラム式のポンプである。最初の場合には、供給すべき製品が容器からシリンジへ移されてから患者のチューブを通じて推進されねばならない。電気機械式ポンプの場合、容器が特殊なハンガーに吊るされ、機械の回路全体に沿って通る栄養チューブに接続され、最後に患者のチューブに接続される。
【0004】
ボーラス注入の場合、送出速度の誤った手法により、胃腸の合併症が発生することも多い。低い一定の速度で送出を行なわねばならないため、一定の時間と、通常は補助者による熟練した操作が必要となる。また、移動や取扱いの結果として製品が汚染されるリスクが高いことも考慮する必要がある。電気機械式ポンプによる輸液の場合、この種の装置は通常非常に高価であるため、全ての中核病院や診療所に必要な数のユニットがあるわけではないという問題がある。一般的には、外来での治療ができないため、患者は入院を余儀なくされる。既知の経腸栄養補給システムのもう一つの欠点は、輸液ポンプに接続されている間、患者の移動性と自律性が非常に低いという事実にある。さらに、電気機械式ポンプを使用するには、容器や栄養チューブの取扱いと、電子機器の取扱いとの両者において、相当なレベルの取扱い経験や技術が同様に必要となる。
【0005】
電気機械式ポンプを使用するためには、使用者または補助者は、栄養チューブを容器に接続し、点滴剤を部分的に充填し、栄養チューブから空気を抜き、栄養チューブのシリコーン部分をポンプのローター内に配置し、栄養チューブを患者のチューブ自体に接続し、電子プログラマーによってポンプを操作せねばならない。この取扱いは、多くの患者に対して煩雑になりがちなので、ボーラス送達の場合のように、十分な知識を持った別の人員が必要になることが多い。
【0006】
一方、圧電素子で作動する膜ポンプを内蔵した容器も以前から提案されている。この場合、ポンプの機構部全体が製品に汚染されるため、使用後はそれが一部をなしている容器と共に完全に廃棄せねばならない。毎使用後にポンプ全体を廃棄するには高いコストがかかるため、この代替案の実現は困難である。また、2枚の円盤で流路を形成し、そこをローラで押し出された流体が流れる、セミトーリック型のポンプも提案されている。この提案の構成には、様々な技術的な欠点がある。一方では、耐漏洩性の閉鎖を達成することは不可能であるため、使用中に製品の汚染や、漏洩までもが生じるリスクが高く、他方では、ポンプを構成する全ての部品が再び汚染されるため、高い洗浄・滅菌コストをかけずには再利用することができないのである。当該セミトーリック・ポンプの設計は、流体が容器に戻ることを許容する開口までも有しており、その流体は決して栄養チューブへと推進されることはないであろう。
【発明の概要】
【0007】
従って、本発明の目的は、これらの欠点を全て解決して、この種の給送を受ける患者に、遙かにシンプルで、使いやすく、より費用対効果の高いドライブシステムであって、どこの医療センターでも入手でき、患者が自宅でより自律的に使用することすら可能であり、従って患者の入院期間を短縮することが可能なドライブシステムを提供することである。
【0008】
第1の発明態様において、本発明は、容器に入った経腸栄養製品をドライブヘッドの推進によって供給するための当該容器用の閉鎖キャップであって、ドライブヘッドに対して結合されるように適合されたキャップにおいて、
- 容器の内部から到来する製品を受け入れるのに適する開いた第1キャビティであって、
当該キャップの、容器の頸部との取付けのための結合手段と、
当該第1キャビティの第1吐出口と、
を備えた第1キャビティと、
- 第1キャビティから分離されて、第1キャビティの開口とは反対の側に開口があるように構成される開いた第2キャビティであって、
容器の製品を供給するための、当該キャップの第2吐出口と、
支持座と、
第1キャビティの第1吐出口と当該第2キャビティの第2吐出口との間の流体連通(流体の流通可能な連絡)をもたらす導管と、
を備えた第2キャビティと、
を具備し、
導管は第1可撓性導管部分を備え、その第1可撓性導管部分が、支持座上に支持される第1部位と、当該第1可撓性導管部分において第1部位と対向して配置された第2部位とを有し、その第2部位の配置は、当該キャップがドライブヘッドとの作動モードにあるときに、導管内に入っている流体がドライブヘッドの回転ローラの作用によって推進されるよう、ローラがこの第2部位を支持座に対して押圧することを可能とするようなものである、ことを特徴とするキャップを提供するものである。
【0009】
「作動モードで/にある/における/において」や「キャップまたはドライブヘッドが互いに作動モードにあるとき」などの用語が、本明細書に亘って用いられる。給送キャップは、ドライブヘッドに結合されているときに製品を供給する装置であり、ドライブヘッド自体が当該製品の推進を作動させる。それにもかかわらず、「作動モードで/にある/における/において」という表現は、両装置、即ちキャップとヘッドとが相互に関連する装置であることを考慮して、両装置が互いに対して作用し合っているときであると理解されたい。
【0010】
本明細書に亘り、1つないし複数の導管に関して弾性という用語を用いることとなる。弾性とは、物体が弾性的に変形可能であり、それゆえ変形前の形状を回復する能力を有するという特性と解釈されたい。
【0011】
本発明のキャップは、経腸栄養製品を貯蔵する容器に結合され、次には、キャップと協働して当該製品を供給するためのドライブヘッドに結合されるように企図されたものである。本キャップは、容器のための閉鎖キャップである、即ち、キャップが容器に結合されると、この容器がキャップによって閉鎖されるものと理解されたい。キャップは、容器の頸部へのキャップの取付けないしは結合を容易に可能とする結合手段を備えている。
【0012】
キャップは主に、各々が独立して他方から分離された2つのキャビティ(第1キャビティおよび第2キャビティ)を備えている。両キャビティは開いたキャビティであり、各キャビティが開口を備えるようになっている。第1キャビティの開口は、両キャビティがキャップを構成しているときには、第2キャビティの開口とは反対の側にあるように配置される。
【0013】
第1キャビティは、その開口を通じて、容器内から到来する製品を内部へ受け入れるのに適したものである。キャップが結合手段を介して容器の頸部に結合されると、容器に入った製品が第1キャビティの開口内へと注がれる。次に、この第1キャビティは第1吐出口を備えており、その第1吐出口を通じて、この第1キャビティの開口内に収容された製品がキャップの第2キャビティへと流出する。この第1吐出口は、第1キャビティから第2キャビティへの製品の通過を可能とするのに都合がよい。
【0014】
第2キャビティは、この第2キャビティ内に配置された導管(少なくとも、ドライブヘッドによって推進されるための部分の可撓性導管)を介して、第1キャビティと流体連通(流体が流通可能に連絡)している。特に、当該導管は、第1キャビティに備えられた第1吐出口を、第2キャビティに備えられた第2吐出口と流体連通させている。この第2吐出口は、キャップの結合された容器から到来する製品がそこを通じて供給されるところの出口であると理解されたい。第2キャビティ内に導管を配置することは、製品を供給するために第1キャビティからキャップの外部へ製品を移送するのを可能とするのに都合がよい。
【0015】
可撓性導管部分は、ドライブヘッドのローラの作用により押圧されることのできる可撓性材料で作られたチューブであって、それにより、当該導管の内部を循環する流体ないしは製品の推進を容易にするものであると理解されたい。
【0016】
第2キャビティは、第1可撓性導管部分をその上で支持するのに適した支持座をさらに備えている。換言すれば、支持座は、第1実施形態によれば切欠き型の構造であり、或いは第2実施形態によれば円筒状の帯であって、当該第1可撓性導管部分を受けるように構成されたものであると理解されたい。特に、この第1可撓性導管部分は、支持座上で支持されるのを企図された第1部位と、ドライブヘッドの回転ローラによって押圧されるのを企図された第2部位とを備えている。これらの部位は、互いに向かい合って配置されている。キャップがドライブヘッドに結合されると、ドライブヘッド内に備えられたローラが第1可撓性導管部分の第2部位を押圧する。その結果、支持座上で支持されたこの可撓性導管部分の第1部位が、この支持座に圧し付けられるようになる。
【0017】
換言すれば、キャップがドライブヘッドとの作動モードにあるとき、流体(容器から到来して導管の内部を循環する製品)が、ドライブヘッドのローラの作用によって(即ち、ローラによってキャップの第1可撓性導管部分の第2部位へ及ぼされる圧力によって)この導管を通じて推進される。
【0018】
キャップが2つのキャビティを伴って構成され、第2キャビティ内に可撓性導管部分が配置されていることで、供給されるべき製品の内容物が汚染されたり、内容物の変化を被ったりするのを防ぐに足る諸特性をもたらす有利性がある。これは、一方ではキャップが容器の頸部に結合されたときに第1キャビティ内で達成される密封の結果として果たされるのであるが、他方では、キャビティ同士が分離されることで、ドライブヘッドが第2キャビティにしか接触することにならず、この第2キャビティ内では製品が導管の内部を循環するため、ドライブヘッドが当該製品に干渉することが防止されるのである。
【0019】
本給送キャップは、患者が栄養補給製品、特に経腸栄養補給製品を自律的に自己供給することを可能にするのに都合がよい。この自己供給はさらに、患者にとって迅速かつ簡単なやり方で行われる。そのやり方は、保管されていた元の容器に入っている製品を取り扱わねばならぬことなく、さらに、当該記製品を供給するのに医療の経験や技術を有した追加人員を要することなく行われるものである。換言すれば、給送キャップは、医療補助者がいなくても製品を患者が自己供給できるように構成されている。即ち、患者自身が自宅で自分の栄養補給の治療を続けることができるため、患者の入院期間がさらに短縮されるのである。
【0020】
特定の実施形態において、第1キャビティは、縦方向dに従って容器の頸部を受け入れるように構成されており、第1部位と第2部位とを含む導管の第1可撓性導管部分は、方向dを横切る平面内を伸びている。
【0021】
本明細書に亘って、上、下、垂直、水平などの相対的な用語や、その他の同様の用語が、本発明のキャップやヘッドの位置や向きに関して用いられることとなる。特定の例では、キャップは、容器およびヘッドのキャップへの結合が生じる方向である縦方向dに沿って伸びている。それにもかかわらず、「縦方向d」は、容器およびドライブヘッドがキャップに結合されたときに配置される基準方向であると理解されたい。この縦方向dに従って、作動モードにおけるキャップの両キャビティ同士が、この縦方向dに対して同心配置されるものと理解されたい。さらに、第1可撓性導管部分は、縦方向dに垂直な平面内に含まれた第2キャビティ内に配置されている。 ひいては、給送キャップの第1キャビティが容器の頸部の方へ向けられ、キャップの第2キャビティがドライブヘッドの方へ向けられていることを理解されたい。キャップの第2キャビティは、縦方向dに従ってドライブヘッドを受け入れるように構成されている。
【0022】
特定の実施形態において、第1部位と第2部位とを含む導管の第1可撓性導管部分は、方向dを横切る平面内に含まれた円弧の導線を有している。
【0023】
特定の実施形態においては、当該キャップの本体が、縦方向dに従って伸びる少なくとも2つのフレーム部分を備えたフレームであり、
- 第1フレーム部分が、第1キャビティと、当該キャップの容器の頸部との取付けを行うための結合手段とを備え、
- 第2フレーム部分が、ドライブヘッドを収容するための第2キャビティを備えている。
【0024】
キャップのフレーム部分同士は、互いに独立した2つの空間を構成しており、一方の部分が第1キャビティを備え、他方の部分が第2キャビティを備えている。形作られた各空間は他方の空間から隔離され、特に第1キャビティの内部が第2キャビティから隔離されており、これにより、供給されるべき製品がキャップを通じて循環する際に汚染されるのを防止するという有利性がある。
【0025】
特定の実施形態においては、第2フレーム部分が第1フレーム部分よりも大きい直径を有すると共に、縦方向dに垂直な円盤によって両フレーム部分同士が連結されている。
【0026】
この実施形態によれば、両フレーム部分同士が円盤によって連結されて縦方向dに沿って順に並び、この円盤が、この縦方向を横切る平面内に含まれている。
【0027】
第2フレーム部分と円盤とによって第2キャビティが形成され、その第2キャビティの直径は、第1フレーム部分を形成する第1キャビティの直径よりも大きくなっている。ともあれ、特定の実施形態においては、第2キャビティの開口が、第1キャビティの開口よりも大きな寸法のものとなっている。
【0028】
特定の実施形態においては、当該キャップが、第1フレーム部分を内部に収容して円盤の周辺区域上に支持されるケーシングを備えている。このケーシングは、第1フレーム部分を取り囲む外側の包囲体であり、それにより第1キャビティがその中に収容されており、その結果、この第1キャビティの開口にケーシングが続くようになっているものと理解されたい。換言すれば、ケーシングは、容器のキャップとの結合を可能とするように、第1キャビティの開口と合致する穴を備えている。
【0029】
このケーシングは、キャップの第1フレーム部分によって形成される構造を、その外側から保護するのに都合がよい。さらに、ケーシングは円盤の周辺区域上に支持されているが、その支持は、ケーシングが円形であって縦方向dに対して同心状に配置されるようなものである。
【0030】
特定の実施形態において、ケーシングは、円盤の周辺区域との掴み止めを介して第2フレーム部分に結合することができる。この掴み止めシステムは、ケーシングを円盤の周辺区域に簡単かつ迅速なやり方で結合することを容易にする利点がある。
【0031】
特定の実施形態において、第1キャビティの結合手段は、容器の頸部とのねじ込みによる取付けのためのねじ付表面を備えている。このねじ付き表面は、ねじ込みにより容器の頸部をねじ付き表面に取り付けることによって、この頸部をキャップに結合することを容易にする利点がある。さらに、この結合手段は、容器がキャップに結合されているときに第1キャビティを密封してくれる。即ち、容器に入っている製品が第1キャビティ内へと流入するときに、この製品が外部から完全に隔離されるのである。
【0032】
特定の実施形態において、支持座は帯の形状をなした表面部分であり、その表面部分の導線が、中心軸線の周りに円をなして、かつ縦方向dを横切る平面内を伸びており、この中心軸線は縦方向dに平行であり、中心軸線を通る平面によるこの表面の断面が円弧形状部分である。
【0033】
支持座の表面部分は、一実施形態によれば、縦方向dないしは中心軸線を横切る平面に沿って伸びる円弧形状の切欠きないしは開いた通路であって、この切欠きの導線に従って円を描いているものと理解されたい。特定の実施形態において、円弧形状部分は、斜めに第2キャビティの外側の方を向いた、支持座の表面に対応する法線方向を有している。
【0034】
この斜めに第2キャビティの外側の方を向いた向きによって、可撓性導管が斜めのローラを有したドライブヘッドを受けることが可能となる。その結果、ドライブヘッドの出し入れが容易になると共に、作動モードにおいて可撓性導管を締め付けて破壊する押込み動作をローラが生じさせないようになっている。
【0035】
特定の実施形態においては、支持座の表面における断面の円弧形状部分の曲率半径が、可撓性導管の横断面の曲率半径よりも大きい。円弧形状部分と可撓性導管との間の曲率半径のこの大きさの差は、支持座の表面を画定する円弧形状部分内に可撓性導管が収容され、ないしは同部分上に可撓性導管が支持されることを可能とすると共に、推進機能を向上させるよう可撓性導管が最も安定した支持状態を自動的に探り出すことを可能とする利点がある。
【0036】
先の2つの実施形態に代わる特定の実施形態において、支持座は、第2キャビティに収容される円筒状の帯の形状をなした表面部分である。特定の例では、支持座が第2フレーム部分の内壁上にある。
【0037】
この実施形態によれば、ドライブヘッドは、縦方向に平行な回転軸線のローラを有している。この配置により、第1可撓性導管部分の剪断応力が回避されて、当該部分の寿命が伸びる。特定の実施形態において、当該キャップは、
- 第1キャビティの第1吐出口の出口が、第1フレーム部分の外側にあり、
- 第2フレーム部分が、第2キャビティの内側に一端部があって当該第2フレーム部分の外側に反対側の端部がある接続アダプタを有しており、
- 当該キャップが、第1キャビティの第1吐出口と接続アダプタの外側端部との間に第2流体接続導管を備えると共に、
- 導管が、第1吐出口との流体連通のために接続アダプタの内側端部に接続されている、
ことを特徴とする。
【0038】
特定の実施形態においては、第1可撓性導管部分が、支持座上に配置されて、自らの各端部の所で接続アダプタの外側および内側の各端部に接続されるよう、接続アダプタが支持座の後ろに配置される。
【0039】
第2キャビティ内に接続アダプタを配置することで、第1可撓性導管部分が第2キャビティ内で保持される利点がある。ひいては、この接続アダプタが第2導管と第1可撓性導管部分との間の接続を可能とする。特定の実施形態において、第2導管は可撓性導管である。
【0040】
特定の実施形態においては、当該キャップが、第2吐出口とコネクタとの間の第3流体接続導管を備えている。この第3導管は、第1可撓性導管部分とコネクタとの間の流体連通を可能とする。換言すれば、第3導管は、一端で第2吐出口に接続され他端でコネクタに接続される、キャップの外側に配置された導管ないしはチューブであると理解されたい。このコネクタは、患者のチューブに対して接続ないしは結合されるのに適している。
【0041】
特定の実施形態において、第3流体接続導管は可撓性の導管ないしはチューブである。
【0042】
これらの実施形態によれば、可撓性材料がその特性を失ったり、(例えば、衛生面に影響を与え得る堆積物の出現により)不適格と考えられたりする場合には、可撓性チューブを新しいものと交換することができる。
【0043】
特定の実施形態においては、ドライブヘッドの少なくとも1つの溝に嵌め込まれるよう縦方向dに対して半径方向へ突き出る少なくとも1つの突起を第2フレーム部分が備え、当該キャップとドライブヘッドとの間のバヨネットロックを構成している。
【0044】
このバヨネットロックは、患者がドライブヘッドをキャップに迅速かつ簡単なやり方で結合させることを可能とする。さらに、このロックは、対象製品が供給されている間、キャップをドライブヘッドに固定されたままにしておくことを可能とする。
【0045】
先の実施形態に代わる特定の実施形態においては、当該キャップが、対向するドライブヘッドの直線型案内手段と嵌合されるべき縦方向dに垂直な直線型案内手段を備え、当該キャップとドライブヘッドとの間の直線型バヨネットロックを構成している。
【0046】
この実施形態は、直線型バヨネットロックが第1の挿入位置と最終ロック位置とを有し、最終ロック位置においては、ドライブヘッドの回転ローラが第1可撓性導管部分に対して押圧力を及ぼしている、キャップの実施形態に適している。この実施形態においては、回転ローラが軸線方向の力を及ぼさないことで、第1可撓性導管部分の剪断応力が大幅に軽減され、第1可撓性導管部分の寿命を延ばしている。特定の実施形態においては、当該キャップが、第2キャビティから第1キャビティへの空気の進入のための逆止弁を備えている。
【0047】
より特定的な実施形態において、逆止弁は第1キャビティと第2キャビティの間に配置されている。この逆止弁は、第1キャビティ内への空気の進入を可能とし、製品ないしは流体の第1キャビティから第2キャビティへの圧し出しないしは推進を容易にするのに都合がよい。
【0048】
特定の実施形態において、第1キャビティは、容器の頸部に当該キャップが結合されたときに頸部のシール(封止体)に穿孔をするための穿孔手段を備えている。
この穿孔手段は、容器の頸部に配置されたシールの開封を容易にする利点がある。特定の実施形態において、穿孔手段は、シールを破ったり裂いたりするように構成される刃を有した突起を備えている。
【0049】
特定の実施形態においては、導管が透明な可撓性チューブである。可撓性導管は、供給されるべき製品が内部を循環するのに適した複数の導管ないしは導管部分であると理解されたい。この導管が透明な可撓性のチューブであるという事実には、当該導管の内部を製品が循環しているか否かを観察することを可能とする利点がある。
【0050】
特定の実施形態においては、第1導管部分、第2および第3導管によって形成される可撓性導管が可撓性シリコーンチューブである。
【0051】
第2の発明態様において、本発明は、第1の発明態様によるキャップに結合されるように適合され、当該キャップが容器を閉鎖する頸部での作動モードにあるときに、容器に入った経腸栄養製品のキャップを通じた供給を推進するためのドライブヘッドにおいて、
- 回転軸線Eの周りに放射状に分散配置された1つないし複数の回転ローラと、
- ローラの回転を作動させるための作動手段と、
- 当該ドライブヘッドに対してキャップを固定するための結合手段であって、その固定は、当該ドライブヘッドが作動モードでキャップに結合されているときには、キャップの第1可撓性導管部分の第2部位にローラが圧力を加えて、作動モードでローラが回転軸線E周りに回転する際に当該導管の内部を通じて流れる製品を推進するよう、これらのローラがキャップの導管に対して位置合わされるようなものである、結合手段と、
を備えた、ことを特徴とするドライブヘッドを提供するものである。
【0052】
作動手段は、回転軸線E周りでのローラの回転ないしは旋回を作動させる役割を担っている。この回転軸線は、ドライブヘッドが作動モードにある、即ちキャップに結合されているときのキャップの中心軸線と一致しており、回転軸線Eは縦方向dに平行でもある。
【0053】
ドライブヘッドがキャップとの作動モードにあるとき、ローラが回転軸線Eの周りを回転すると、これらのローラが第1可撓性導管部分の第2部位を押圧し、それにより、この第1可撓性導管部分の内部を通じて循環する製品を推進する。
【0054】
特に、ある実施形態によれば、各ローラは、給送キャップの支持座に対して定められる法線に応じた傾きで配置されている。それに代わる実施形態によれば、各ローラは、キャップの円筒状の支持座に対して定められる法線に応じて縦方向と平行に配置されている。
【0055】
本発明のドライブヘッドは、キャップの可撓性導管の内部を通じて循環する製品/流体を推進し、それにより、その製品/流体の患者への供給を容易にすることを可能とする利点がある。特に、ローラの配置は、これらのローラと給送キャップの第1可撓性導管部分との間の接触を最適化し、ひいてはドライブヘッドを当該給送キャップと結合させたり分離させたりするのを容易に行うことを可能とするようなものである。
【0056】
特定の実施形態において、作動手段はモータである。
【0057】
他方で結合手段は、製品を患者に供給している間、ドライブヘッドをキャップに結合させ続けることを可能にし、それにより、キャップがドライブヘッドから分離するのを、そして製品の圧し進めないしは推進が中断ないしは停止される(それにより患者への製品の供給が停止される)のを防止する利点がある。
【0058】
特定の実施形態においては、当該ドライブヘッドの本体が、縦方向dに従って伸びる、少なくとも、
- 複数のローラを収容するための円筒状のセクターの形態をなして構成された第1ケーシング部分と、
- 作動手段を収容する閉じたキャビティの形態をなして構成された第2ケーシング部分と、
の2つのケーシング部分を備えたケーシングを具備している。
【0059】
円筒状のセクターの形態をなす第1ケーシング部分は、次のことを可能とするように、ローラの収容される開口を画定している。即ち、ドライブヘッドがキャップに結合されているときに、この第1ケーシング部分が開口していることによって、ローラがキャップの第1可撓性導管部分に接触するようになることである。
【0060】
特定の実施形態において、第1ケーシング部分は、長さ方向dに従って給送キャップを受け入れるように構成されている。
【0061】
特定の実施形態において、第1ケーシング部分は、第1発明態様の実施形態による給送キャップと当該ドライブヘッドとの間のバヨネットロックを構成するキャップの少なくとも1つの突起を受け入れるための少なくとも1つの溝を備えている。溝によって、給送キャップの突起の挿入が容易となり、それにより、患者にとって迅速かつ簡単なやり方でのドライブヘッドへのキャップの結合および固定が可能となる利点がある。
【0062】
特定の実施形態において、ローラは、回転軸線Eに収束する(自らの延長線同士が回転軸線E上の一点で交わる)傾斜軸上に配置されており、傾斜軸は、回転軸線E周りに回転するように構成されたローラフレームに固定されている。
【0063】
ドライブヘッドは、回転軸線Eに沿って配置されたローラフレームを備え、各ローラがその傾斜軸を介してこのフレームに固定されるようになっている。ローラフレームは回転の要因となる主要部であり、各ローラは、当該傾斜軸を介してフレームに固定されているため、当該フレームとともに回転する。
【0064】
特定の実施形態において、直線型バヨネットロックが、第1の挿入位置と最終ロック位置とを有し、最終ロック位置では、当該ドライブヘッドの回転ローラが第1可撓性導管部分に対して押圧力を及ぼしている。
【0065】
この実施形態は、ローラが、給送キャップの円筒状の支持座について定められる法線に応じた縦方向に対して平行に配置されている実施形態に適している。にもかかわらず、直線型バヨネットロックは、回転軸線Eに収束する傾斜軸上にローラが配置されている特定の実施形態と組み合わされてもよい。ローラの軸が傾斜位置にある、より特定的な実施形態において、各傾斜軸は、縦方向dに従って配置された2つの掴みクランプによってローラフレームに固定されており、ローラが両掴みクランプ同士の間に斜めの姿勢で配置されるように、一方のクランプが反対側のクランプよりも回転軸線Eに近い位置に置かれている。
【0066】
クランプ掴み式システムによって傾斜軸をローラフレームに固定することで、例えばローラが摩滅してしまったときや新しいものと交換したいとき、或いはドライブヘッドの清掃をしたいときに、ローラの取替えや交換を可能とする利点がある。
【0067】
特定の実施形態において、当該ドライブヘッドは、キャップの導管の内部を製品と空気のいずれが循環しているかを検出するように構成された光電センサを備え、当該ドライブヘッドがキャップとの作動モードにあって、キャップの導管の内部を空気が循環していることを光電センサが検出したときには、ローラの回転が停止されるようになっている。
【0068】
光電センサは、作動手段の作動を制御する役割を担う制御手段ないしは電子システムとデータ通信している。その結果、キャップの可撓性導管の内部を製品が循環していないこと、または空気が循環していることをセンサが検出したときには、制御器がローラの回転を直ちに停止させるようになっている。特に、このセンサは、患者のチューブと接続している導管の内部を製品が通過することを検出する。
【0069】
光電センサは、キャップの可撓性導管の内部を製品が循環しているかどうかを知ることを可能とする利点を有し、自動制御と連動して、必要なとき(即ち、供給すべき製品がなくなったとき)にドライブヘッドの作動を停止させる。
【0070】
特定の実施形態において、光電センサは、キャップの第3導管を部分的に保持するように構成された保持手段を備え、光電センサはさらに、当該ドライブヘッドがキャップとの作動モードにあるときに、導管が保持手段に保持されているかどうかを検出するように構成されている。
【0071】
特定の実施形態において、当該ドライブヘッドは、光電センサによって計測されたパラメータを表示するように構成されたディスプレイを備えている。
【0072】
このディスプレイの存在により、患者が、ドライブヘッドが作動中であるか否かの表示はもちろん、光電センサで測定されたパラメータをも見ることが可能となる利点がある。
【0073】
第3発明態様において、本発明は、第1発明態様によるキャップと、第2発明態様によるドライブヘッドとを備えたドライブシステムを提供するものである。
【0074】
このドライブシステムは、経腸栄養製品の供給を容易にし、その結果、追加の人員や医療経験者を必要とすることなく患者自身がこのシステムを使用することができるという利点を有している。
【0075】
給送キャップとドライブヘッドとについて述べたように、これらは互いに結合されるための結合手段を備えている。システムの構成要素同士が互いに結合できるという事実によって、異なるキャップに対してドライブヘッドを再利用すること、および、使用済みのキャップを廃棄して新しいキャップと取り替えることで新たな製品を供給できるようにすることが可能になる。換言すれば本発明は、使用するたびに、或いは供給する製品ごとに給送キャップを交換するだけで、何度でも使用することのできる、患者用製品を推進して供給するためのシステムを提案するものである。
【0076】
本発明のドライブシステムは、他者の関与が不要になるよう、栄養製品の送達方法を実質的に単純化して改善するものである。さらに、このシステムには、患者に高い自律性をもたらし、これが医療部門の人的資源の大幅な節約を伴い、外来患者の治療を容易にするという有利性がある。
【0077】
本発明のこれらの、およびその他の特徴や利点は、添付の面を参照して、例示的かつ非限定的な例としてのみ与えられる以下の好適実施形態の詳細な説明に基づいて、より明確に理解されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
図1】本発明の第1実施形態による、容器に対して結合されたドライブシステムの斜視図。
図2A図1のシステムの斜視図。
図2B図1のシステムの斜視図。
図3図1に示したドライブヘッド、キャップ、および容器の分解図。
図4】本発明の特定の例による給送キャップの分解斜視図。
図5】本発明の特定の実施形態によるドライブヘッドの斜視図。
図6図5のドライブヘッドの一断面の斜視図。
図7】本発明の特定の実施形態による給送キャップの底面斜視図。
図8】本発明の特定の実施形態による給送キャップの底面斜視図。
図9】本発明の特定の実施形態によるドライブヘッドの分解斜視図。
図10】本発明の特定の実施形態によるドライブヘッドの斜視図。
図11】本発明の特定の実施形態によるドライブヘッドの作動手段の斜視図。
図12】直線型バヨネットロックが用いられている本発明の第3態様における第2実施形態の斜視図。
図13A】キャップが第1の挿入位置にある第2実施形態の平面図。
図13B】キャップが第2の最終ロック位置にある同実施形態の平面図。
図14】ローラフレームが第1可撓性導管部分に亘る流体の移動を推進する所である内部を目視できるようキャップが取り外されている、図12に従った斜視図。
図15】キャップが第1の挿入位置と第2の最終ロック位置との間の中間位置にある状態を示す立面図。
図16】ローラの配置されている内部を目視できるようキャップおよびフィルタ手段が片側へ移動されている、図15と同様の図。
図17】導管を含むキャップの内部空間を目視できるようにするための第2実施形態の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0079】
第3の発明態様によれば、本発明は、図1の下方部分に示すようなドライブシステムに関するものである。このドライブシステムは、ドライブヘッド(8)に結合された閉鎖キャップ(1)を備えている。この図1はさらに、給送キャップ(1)に対して結合された容器(24)を示している。この容器(24)は、本発明のドライブシステムを介して患者へ供給される経腸栄養製品を貯蔵するのに適している。
【0080】
キャップ(1)は、縦方向dに従って容器(24)およびドライブヘッド(8)を受ける。換言すれば、ドライブシステムが経腸栄養容器(24)に結合されているとき、即ち当該容器(24)との作動モードにあるとき、それらは縦方向dに従って結合されている。特に、第1実施形態によるキャップ(1)は、ドライブヘッド(8)の溝(23)に突起(18)を挿入することによって当該ドライブヘッド(8)に結合/固定される。この溝(23)は、ドライブヘッド(8)の第1ケーシング部分(14)に配置されている。
【0081】
図2A~2Bは、図1の実施形態による容器(24)に結合されたドライブシステムの2つの側面斜視図である。両図面は、キャップ(1)がどのように、その内部構成要素を外部から保護するケーシング(17)を備えているか、またキャップ(1)の外側に配置された(この実施形態においては可撓性導管である)第3導管(6.3)をも備えているかを示している。これらの図面に示されたドライブヘッド(8)は、キャップ(1)の第2フレーム部分(12)から半径方向に突き出た突起(18)を受け入れる溝(23)を有した第1ケーシング部分(14)を備えている。このようにして、図1に示すように、第1実施形態によるキャップ(1)は、ドライブヘッド(8)の溝(23)に突起(18)を挿入することによって、ドライブヘッド(8)に結合/固定されるのである。
【0082】
図2A~2Bはいずれも、給送キャップ(1)の上部に結合された経腸栄養容器(24)を示している。さらに、第3導管(6.3)が一端部を給送キャップ(1)に、反対側の端部でコネクタ(34)に接続されている様子を見ることができる。特定の例では、第3導管(6.3)は、透明な可撓性チューブである。特定の例では、コネクタ(34)は、エンフィット(ENFIT:登録商標)コネクタである。
【0083】
特に、図1および図2Aは、供給される製品の諸特性を表示するのに適したディスプレイ(32)を備える、第1実施形態によるドライブヘッド(8)を示している。このディスプレイ(32)は、ドライブヘッド(8)の第2ケーシング部分(15)に配置されている。さらに、このドライブヘッド(8)は、オン/オフ・ボタンの形態のオン/オフ手段(27)を備えている。これらのオン/オフ手段(27)は、ドライブヘッド(8)の作動手段の作動をオン(作動)やオフ(停止)に切り換えることができる(これらの図面には示されていない)。
【0084】
図2Bは特に、この第1実施形態によるキャップ(1)の第3導管(6.3)が、ドライブヘッド(8)の第2ケーシング部分(15)に配置された保持手段(30)によって光電センサ(29)にどのように固定されるかを示している。この光電センサ(29)により、製品が可撓性導管の内部を(特に、第3導管(6.3)の内部を)循環しているかどうかを識別することができる。
【0085】
図3は、容器(24)、第1実施形態によるキャップ(1)、およびドライブヘッド(8)(全て、図1および2A~2Bに示したものに対応している)の分解図を示している。特に、容器(24)が、頸部(25)(これを介して、容器(24)がキャップ(1)へ縦方向dに従って結合される)を備えている様を見ることができる。特に、頸部(25)は、ねじ込みによって給送キャップ(1)の第1キャビティ(2)の内部に取り付けるのに適したねじを備えている。
【0086】
ドライブヘッド(8)は、このヘッドの第1ケーシング部分(14)から突き出る複数のローラ(10)(図5および図8に示す)を備えており、キャップ(1)がドライブヘッド(8)に結合されたときに、各ローラ(10)がキャップ(1)の第2キャビティ(7)の内部に収容されるようになっている。
【0087】
この第1実施形態によるキャップ(1)は、ヘッド(8)の第1ケーシング部分(14)に配置された溝(23)に、キャップ(1)の第2フレーム部分(12)から突き出た突起(18)が挿入されることによって、ドライブヘッド(8)と結合されるように構成されている。
【0088】
図4は、本発明の第1態様の第1実施形態によるキャップ(1)の分解図であり、分解図に示された各構成要素は、縦方向dに平行な中心軸線(19)に沿って配置されている。 キャップ(1)は、供給されるべき製品を受け入れるための開いた第1キャビティ(2)を画成する第1フレーム部分(11)を備えている。この第1キャビティ(2)は、容器(24)の頸部(25)のキャップ(1)との結合を可能とするのに適した結合手段を備えている。特定の例では、容器(24)の頸部(25)とキャップ(1)との間の結合手段(20)は、例えば図4に示すように、キャップ(1)の第1キャビティ(2)の内壁に配置されたねじ面である。この第1キャビティ(2)は、中心軸線(19)周りに円筒形の開口を画定している。
【0089】
キャップ(1)は、第2フレーム部分(12)および円盤(16)をさらに備えており、これらが一緒になって開いた第2キャビティ(7)を画成している。その結果、第1キャビティ(2)の開口が、第2キャビティ(7)の開口とは反対の側に配置されるようになっている。
【0090】
キャップ(1)は、第1可撓性導管部分(6.1)を収容するのに適した支持座(5)の構造をさらに備えている(図6の断面図に示す)。さらに、キャップ(1)は、一方で第2導管(6.2)(この実施形態では、可撓性導管)と接続する接続アダプタ(35)を有しており、この導管が今度は、第1キャビティ(2)に配置された第1吐出口(3)と接続している。他方で、アダプタ(35)は、第2キャビティ(7)に配置された第2吐出口(4)を介して第3導管(6.3)と接続している。このようにして、導管(6)は、第1可撓性導管部分(6.1)、第2導管部分(6.2)、および第3導管部分(6.3)によって形成され、それらの全てが、これまで説明してきた様々な接続を介して流体接続されている。
【0091】
キャップ(1)の第2フレーム部分(12)は、この第2フレーム部分(12)から半径方向外側へ突き出る2つの突起(18)を備えている。これらの突起(18)は、(図3に示すように)この実施形態によるバヨネットロックを構成するドライブヘッド(8)の溝(23)に嵌め込むことのできる寸法にされている。
【0092】
図4は、第1フレーム部分(11)、支持座(5)、および第2導管(6.2)を内部に収容するのに適した、第1実施形態によるケーシング(17)をさらに示している。このケーシング(17)は、その上部に、第1キャビティ(2)の開口と合致する穿孔を有し、この第1キャビティ(2)の内部に容器(24)の頸部(25)を結合するのを可能としている。
【0093】
さらに、キャップ(1)は、第2キャビティ(7)と第1キャビティ(2)との間での空気の通過を促進するフィルタリング手段(13)を備えている。特定の例では、フィルタリング手段(13)は、流体/製品の通過を防止しつつ空気の通過を可能とするように構成された膜を備えている。さらに、この膜は粒子の通過を防止するように構成されている。それは、第1キャビティ(2)内に収容された製品の密閉性を保証する、即ち製品が汚染されるのを防止するという優位性を有するようにである。
【0094】
特定の例では、第2導管部分(6.2)と第1吐出口(3)との間の取付け、および第3導管(6.3)とコネクタ(34)との間の接続が、密封性接着剤によって行われる。
【0095】
図5は、本発明の第3発明態様の第1実施形態によるドライブシステムの上面斜視図を示している。特に、ヘッド(8)の第1ケーシング部分(14)の溝(23)の中に、キャップ(1)の第2フレーム部分(12)の突起(18)が挿入されることを通じて、キャップ(1)がドライブヘッド(8)に結合されているのが分かる。
【0096】
特に、図5は、ケーシング(17)の上部開口が第1キャビティ(2)の開口と合致している様子を示している。この第1キャビティ(2)は、容器(24)の頸部(25)に結合されるためのねじ式結合手段(20)を備えている。キャップ(1)が容器(24)の頸部(25)に結合されると、当該容器(24)に入っている製品がキャップ(1)の第1キャビティ(2)内へと注がれる。さらに、この図面では、フィルタリング手段(13)がキャップ(1)内に配置されている状態を見ることができる。それは、キャップ(1)が当該容器にその頸部を介して結合されたときには、そのフィルタリング手段が容器から到来する製品と接触するような状態である。
【0097】
図5は、キャップ(1)の第2キャビティ(7)に配置された第2吐出口(4)を示しており、第3導管部分(6.3)が一端で第2吐出口(4)に接続されるようになっている。
【0098】
図6は、図5に示したドライブシステムの内部を示している。特に、フィルタリング手段(13)がキャップ(1)の第2キャビティ(7)を第1キャビティ(2)と接続している様子がわかる。さらに、ケーシング(17)が、第1フレーム部分(11)を内部に収容すると共に、円盤(16)の周辺区域上に支持されている様子を見ることができる。より特定的には、ケーシング(17)は、円盤(16)の周辺区域を掴むことを通じて、第2フレーム部分(12)に結合されることができる。さらに、導管(6)の第1可撓性導管部分(6.1)が、支持座(5)内に収容され、或いは支持座(5)上に支持されている様子を見ることができる。
【0099】
ドライブヘッド(8)が、ローラフレーム(21)と複数のローラ(10)とを収容する円筒状のセクターを画成している第1フレーム部分(14)を備える様子を、さらに図6で見ることができる。ドライブヘッド(8)は、作動手段(9)の収容される閉じたキャビティを画成する第2ケーシング部分(15)もまた備えている。
【0100】
キャップ(1)がドライブヘッド(8)との作動モードにあるとき、このヘッド(8)の作動手段(9)が、ローラフレーム(21)の回転軸線E周りの回転ないし旋回を作動させる。その結果、この回転が各ローラ(10)へ伝達され、これらのローラ(10)が回転して、給送キャップ(1)の支持座(5)上に支持された第1可撓性導管部分(6.1)を押圧し、それによって第1可撓性導管部分(6.1)の内部を通じて流れる流体を第3可撓性導管(6.3)へ圧し出す。
【0101】
図7は、第1実施形態によるキャップ(1)の底面図を示している。特に、第2キャビティ(7)の内側と支持座(5)とを見ることができる。この支持座(5)は帯の形状をなす表面部分を画成しており、その帯の導線が、中心軸線(19)(この図面には示されていない)の周りに円をなして、かつ縦方向dを横切る平面内を伸びている。この支持座(5)の表面の、中心軸線(19)を通る平面による断面が、円弧形状部分である。特に、この円弧形状部分は、斜めにこの第2キャビティ(7)の外側の方を向いた、支持座(5)の表面に対応する法線方向を有している。
【0102】
キャップ(1)が、第2フレーム部分(12)から第2キャビティ(7)の外側に向かって突き出た2つの突起(18)を備えている様子を、さらに図7で見ることができる。
【0103】
給送キャップ(1)は次に、支持座(5)の両端部の所に配置された接続アダプタ(35)を備えている。それは、接続アダプタ(35)の各接続部が、支持座(5)を画成する円形の帯の各端部と合致するようにである。
【0104】
図8は、図7で定義されたキャップ(1)と同じ諸特徴を備えたキャップ(1)の底面図を示している。特に図8は、第1可撓性導管部分(6.1)および第3導管(6.3)の配置を示している。第1可撓性導管部分(6.1)は、支持座(5)内に収容され、ないしは支持座(5)上に支持されており、自らの2つの端部で接続アダプタ(35)の接続部と接続されている。接続アダプタ(35)の一方の接続部が今度は、給送キャップ(1)の外側に配置された第3導管(6.3)の接続される第2吐出口(4)に接続してもいる。
【0105】
図8に示す第1可撓性導管部分(6.1)は、支持座(5)上に支持される第1部位(6.1.1)と、第1可撓性導管部分(6.1)で第1部位(6.1.1)とは反対の側に配置される第2部位(6.1.2)とを備えている。それは、(図5に示すように)この第2部位(6.1.2)をドライブヘッド(8)の各回転ローラ(10)が押圧することができるようにである。その結果、キャップ(1)がドライブヘッド(8)との作動モードにあるときに、可撓性導管(6)の内部に入っている流体が各ローラ(10)の作用によって推進されるようになっている。
【0106】
特定の例では、支持座(5)の表面の断面における円弧形状部分の曲率半径が、可撓性導管(6)の横断面の曲率半径よりも大きくなっている。
【0107】
図9は、第1実施形態によるドライブヘッド(8)を形成する諸構成要素の分解図を示している。このヘッド(8)は、縦方向dに従って伸びる2つのケーシング部分(14,15)によって形成されたケーシングを備えている。第1ケーシング部分(14)は、複数のローラ(10)を収容するための円筒状のセクターの形態をなして構成されている。この円筒状のセクターは、キャップ(1)を受け入れるのに適する開いたキャビティを画成している。第1ケーシング部分(14)は、縦方向dに従ってキャップ(1)を受け入れるように構成されている。さらに、この第1ケーシング部分(14)は、それぞれがキャップ(1)の突起(18)を受け入れるように構成された2つの溝(23)を備え、それによりキャップ(1)のドライブヘッド(8)との結合を容易にする固定システムが画成されている。この第1ケーシング部分(14)内には、回転軸線Eの周りを回転するように構成されたローラ(10)が配置され固定されるローラフレーム(21)が収容されている。ローラフレーム(21)は、一対のねじ(36)によって(特に、第1ケーシング部分(14)によって画成されるキャビティ内で)ドライブヘッド(8)に固定されている。特に、図9は3つのローラ(10)を伴ったヘッド(8)を示している。
【0108】
ドライブヘッド(8)は、作動手段(9)を内部に収容する閉じたキャビティの形態に構成された第2ケーシング部分(15)をさらに備えている。特に、この第2ケーシング部分(15)を画成するキャビティは、このキャビティを複数のねじ(36)によって閉鎖するベース(33)を備えている。この特定の例では、第2ケーシング部分(15)の内部に電子システム(31)とバッテリ(28)とがさらに収容されている。この電子システム(31)は、作動手段(9)のオン/オフの切り換え、および患者に供給される製品の輸液速度を調節する役割を担っている。
【0109】
特定の例(図面には示されていない)では、ドライブヘッド(8)は、バーコードリーダーまたはQRコード(登録商標)リーダーを備えている。それらのリーダーは、栄養士のアクセスできるデータベースに、患者のデータ、使用された栄養、および装置の使用が記録されるようにして、当該患者の栄養補給のトレーサビリティを容易にするものである。このデータは、外部のスマートフォン型の装置に接続されたケーブルやBluetooth(登録商標)ユニットによって容易にダウンロードすることができる。
【0110】
ドライブヘッド(8)は同時に、患者の血圧を読み取るための光学センサと、生体電気インピーダンスによる体組成の分析を可能とする電極とを備えている。
【0111】
これらのセンサは、骨量、脂肪量、筋肉量、脱水症のリスク、血圧などの、供給される栄養製品の目的に高度に関連した生物医学的パラメータについての情報をもたらす。この情報は、栄養士のアクセスできるデータベースにも同様に転送される。このようにして、本装置は、栄養の送達および患者の栄養状態の追跡のための完全なシステムとして構成されているのである。
【0112】
明らかな例としては、筋肉量の減少(サルコペニア)のリスクがある患者の場合があるであろう。当該患者に対する経腸栄養補給は、タンパク質(ロイシン)やカロテノイドの摂取を最適化することに焦点が置かれるであろう。本装置は、供給を容易にするだけでなく、(使用記録の結果として)規定食に対する遵守の程度を知ることや、(骨格筋量の継続的な追跡によって)その有効性を知ることをも可能とするのである。
【0113】
図10は、図9に分解図で示されたドライブヘッド(8)の分解斜視図を示している。第1ケーシング部分(14)を画成するキャビティ内で、ローラフレーム(21)がねじ(36)によって第2ケーシング部分(15)に固定されている様子が分かる。さらに、光電センサ(29)が保持手段(31)と一緒に、ヘッドの第2ケーシング部分(15)の外側の一側面上に配置されている様子を見ることができる。
【0114】
特定の例では、光電センサ(29)は、キャップ(1)の導管(6)の内部を通じて製品と空気のいずれが循環しているかを検出するように構成されている。その結果、ドライブヘッド(8)がキャップ(1)との作動モードにあって、光電センサ(29)がキャップ(1)の導管(6)の内部を通じて空気が循環していることを検出したときには、ローラ(10)の回転が停止されるようになっている。これは、(図9に示すように)ドライブヘッド(8)の電子システム(31)によって実現されている。
【0115】
図11は、図9図10に示したドライブヘッド(8)のローラフレーム(21)に取り付けられた作動手段(9)を詳細に示している。特に、この図面には、回転軸線E周りに放射状に分散配置された3つの回転ローラ(10)が示されている。この回転軸線E周りの回転運動ないし旋回運動は、作動手段(9)の作動によるものである。
【0116】
図11に示すローラ(10)は、それらの傾斜軸(26)同士が回転軸線Eに収束する(傾斜軸(26)の延長線同士が回転軸線E上の一点で交わる)ように配置されている。その結果、ローラフレーム(21)に固定されることで、傾斜軸(26)は全てが回転軸線Eの周りを回転するように構成されている。特に、各傾斜軸(26)は、縦方向dに従って配置された2つの掴みクランプ(22)によってローラフレーム(21)に固定されている。その固定は、ローラ(10)が両掴みクランプ(22)同士の間に斜めの姿勢で配置されるよう、一方の掴みクランプ(22)が他方の対向する掴みクランプ(22)よりも回転軸線Eの近くに配置された状態でなされている。
【0117】
図12は、直線型バヨネットロックの用いられる、本発明の第3態様の第2実施形態の斜視図を示している。
【0118】
この第2実施形態は、第1実施形態で既に開示されている特徴や要素のほとんどを共有している。従って、この実施形態の共通要素については、前者の説明が準用されるため、異なる要素のみを開示することとする。
【0119】
上述したように、第1実施形態においては、キャップ(1)をドライブヘッド(8)の第1ケーシング部分(14)内にロックするために、キャップ(1)を縦方向dに従って第1ケーシング要素(14)内へと挿入し、さらに同方向の周りに回転させるところのバヨネットロックを用いてキャップ(1)がロックされる。
【0120】
挿入作動の間、最終的な軸線方向の移動が、キャップ(1)に収容された第1可撓性導管部分(6.1)に斜めのローラ(10)が圧し付けられる位置となるため、当該第1可撓性導管部分(6.1)が圧縮されてしまう。
【0121】
このキャップ(1)の最終的な軸線方向の位置で、またキャップ(1)をロックさせるために回転させた後には、ローラ(10)の組によって第1可撓性導管部分(6.1)が支持座(5)に対して斜め方向に圧し付けられて、幾分かの剪断応力を生じさせてしまう。
【0122】
本発明の第2実施形態は、異なるバヨネットロック、特に直線型バヨネットロックと、ローラ(10)の組がローラフレーム(21)の回転軸線と平行な各自の回転軸線を有しているような当該ローラ(10)の配置とを組み合わせたものである。
【0123】
この第2実施形態によれば、第1ケーシング部分が引き伸ばされた形状を有するドライブヘッド(8)を図12が示している。それは、その第1ケーシング部分が、挿入位置と最終ロック位置との2つの異なる位置でキャップ(1)を収容するためである。
【0124】
図12は、軸線方向の移動によって、第1の挿入位置で第1ケーシング(14)内へと挿入されて収容された後のキャップ(1)を示している。この第1の挿入位置は図13Aにも示されており、図13Aおよび13Bの平面図では、第1ケーシング部分(14)の引き伸ばされた形状と、キャップの直線型案内手段(38)と協働するドライブヘッドの直線型案内手段(37)とを見ることができる。
【0125】
両直線型案内手段(37,38)は、キャップ(1)が挿入方向に垂直な(即ち、縦方向dに垂直な)直線運動に従って第1の挿入位置と第2の最終ロック位置との間を移動するのを可能とするものである。
【0126】
キャップ(1)が第2の最終ロック位置に移動したならば、ロック要素がキャップ(1)をロックし、ロック要素がキャップ(1)を解放しない限り当該キャップ(1)が第1の挿入位置へ戻るのを防ぐ。ロック要素は、掴み保持要素であることが好ましい。
【0127】
キャップ(1)の直線型案内手段(38)は、平らな表面(38.1)として構成されたキャップ(1)の部分と、平らな壁(38.2)として構成されたキャップ(1)のさらなる部分とを備えている。
【0128】
ドライブヘッド(8)の直線型案内手段(37)は、キャップ(1)の平らな表面(38.1)に当たってキャップ(1)を保持するためのプレート(37.1)と、第1ケーシング部分(14)の内部空間に前後方向の通路を構成する平面壁(37.2)とを備え、その平面壁(37.2)が第1の挿入位置と第2の最終ロック位置との間の移動においてキャップ(1)を案内する。
【0129】
プレート(37.1)の縁部は真っ直ぐになっていて、キャップ(1)の平らな表面(38.1)に対するスライド面となるように構成され、キャップ(1)が縦方向dにおいて回転するのを防いでいる。
【0130】
プレート(37.1)は、キャップ(1)を保持するように企図されているが、第1ケーシング部分(14)の内部空間内への挿入運動中にキャップ(1)の進入を可能とするように構成された円弧形状の凹部(37.3)を呈している。
【0131】
図13Bは、キャップ(1)が第2の最終ロック位置にある状態を示しており、キャップ(1)を受け入れるように構成された円弧形状の凹部(37.3)と、キャップ(1)の平らな表面(38.1)に当たっているプレート(37.1)とを、より明確に示すことができている。この最終位置では、ロック要素(39)が第1フレーム部分(11)の内部空間から突出して、キャップ(1)を再び解放するために容易にアクセスできるようになっている。
【0132】
図14は、図12に従った斜視図であるが、キャップ(1)の内部を目視できるようにキャップ(1)が取り外されているもの、即ちキャップ(1)の外面だけを取り除いて第1可撓性導管部分(6.1)を見せているものを表している。
【0133】
第1可撓性導管部分(6.1)は、キャップ(1)の第2キャビティの内部空間に収容されている。キャップ(1)は、第1キャビティ(2)を画成する第1フレーム部分(11)と、第2キャビティ(7)を画成する第2フレーム部分(12)とを備えている。
【0134】
この実施形態においては、図17に示すように、第1可撓性導管部分(6.1)は、第2フレーム部分(12)の円筒状の内壁に当たっている第1部位(6.1.1)と、第1部位(6.1.1)とは反対の側で、ローラ(10)の組によって押圧されることを企図された第2部位(6.1.2)とを備えている。
【0135】
キャップ(1)が第1の挿入位置で第1ケーシング部分(14)内へと挿入されたときには、第1可撓性導管部分(6.1.1)の第1部位(6.1.1)は、ローラ(10)の組から間隔を置かれている。
【0136】
図15は、キャップ(1)が第1の挿入位置と第2の最終ロック位置との間の中間位置にある状態を示す立面図を示している。第1の挿入位置から離れるこの動きに応じて、第1可撓性導管部分(6.1)の第1部位(6.1.1)がローラ(10)の組へ近付けられる。第2の最終ロック位置では、ローラ(10)の組が第1可撓性導管部分(6.1)の第2部位(6.1.2)に圧し付けられる。
【0137】
図16は、図15と同様の図であるが、ローラ(10)の配置されたドライブヘッド(8)の内部を目視できるように、キャップ(1)およびフィルタリング手段(13)が片側へ移動させられているものを示している。この図では、第1可撓性導管部分(6.1)が、ローラ(10)の組を伴ったローラフレームから間隔を置かれていることがわかる。
【0138】
第2の最終ロック位置では、第1可撓性導管部分(6.1)がローラ(10)によって押圧され、ドライブヘッド(8)のモータによってローラフレーム(21)が駆動されると、第1可撓性導管部分(6.1)によって導かれる液体が推進される。
【0139】
図17に示すように、キャップの第2フレーム部分(12)において第1可撓性導管部分(6.1)の当たっている内壁は、円筒状の表面である。従って、平行な回転軸線を有したローラ(10)の組によって第1可撓性導管部分(6.1)が押圧されたならば、第1可撓性導管部分(6.1)には剪断応力が生じない。
【0140】
図12および図14は、電子システム(31)、特に導管(6)の一部を受け入れるように構成された溝を示している。それは、当該導管が透明な場合において、導管(6)を通じた光透過特性の変化があったときを光電センサ(29)によって判定するためである。この実施形態においては、チューブの向きを合わせるのを助けるために、溝が水平な向きにされている。当該構成は、第1実施形態にも適用され得るものである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】