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特表2022-518840医薬品の製造およびまたは包装のための機械の部品の製造方法
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  • 特表-医薬品の製造およびまたは包装のための機械の部品の製造方法 図1
  • 特表-医薬品の製造およびまたは包装のための機械の部品の製造方法 図2a
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  • 特表-医薬品の製造およびまたは包装のための機械の部品の製造方法 図2c
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】医薬品の製造およびまたは包装のための機械の部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 24/04 20060101AFI20220309BHJP
   B65B 55/04 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
C23C24/04
B65B55/04 N
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544439
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(85)【翻訳文提出日】2021-07-29
(86)【国際出願番号】 IT2020050012
(87)【国際公開番号】W WO2020157781
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】102019000001323
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594073646
【氏名又は名称】イ.エンメ.ア.インドゥストリア マッキーネ アウトマティケ ソチエタ ペル アツィオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ルスティーチ ヴェントゥリーニ、ガブリエレ
(72)【発明者】
【氏名】トレッビ、クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ガブシ、ガブリエレ
【テーマコード(参考)】
4K044
【Fターム(参考)】
4K044AA02
4K044AA06
4K044AB10
4K044BA02
4K044BA06
4K044BA11
4K044BA21
4K044CA23
4K044CA27
4K044CA29
(57)【要約】
医薬品の製造およびまたは包装のための機械の制御された空気を含む保護チャンバ(12)内に設置するのに適した部品(10)を製造する方法であって、チャンバ(12)は、1つ又は複数の部品(10)によって形成された機器(11)の1つまたは複数の部品、または装置、または要素を支持するように構成され、前記チャンバ(12)の内部、すなわち、機器(11)、または装置、または要素を形成する部品(10)は、適切な除染および滅菌処理、例えばCIP(定置洗浄)/SIP(定置滅菌)処理に適する状態にされる。上記の製造方法で製造される部品(10)、および医薬品の製造およびまたは包装のための機械の外部環境から隔離された保護チャンバ(12)の調整方法も記載されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬品の製造およびまたは包装のための機械の保護チャンバ(12)内に設置するのに適した部品(10)の製造方法であって、
前記保護チャンバ(12)は、密閉された方法で外部環境から隔離され、制御された空気チャンバであり、1つまたは複数の部品(10)によって形成された機器(11)の1つまたは複数の部品、または装置または要素を受け入れるように構成され、前記保護チャンバ(12)の内部、すなわち、機器(11)、または装置または要素を形成する部品(10)を、適切な除染および滅菌処理、例えば、過酸化水素蒸気(VPHP、蒸気相過酸化水素)を使用するCIP(定置洗浄)/SIP(定置滅菌)処理に適する状態にする方法において、
アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鋼、またはそれらの合金、ポリマーマトリックスとの複合材料、炭素繊維、またはそれらの組み合わせを含む群から選択される第1の材料からなる部品(10)を利用可能にすることであって、部品(10)は、チャンバ(12)内に設置され、他の部品(10)またはチャンバ(12)の内壁(13)に設けられる対応する嵌合結合部と結合されるように構成された少なくとも1つの結合部を備え、部品を組み付け及び設置した状態で外側に面する、すなわち、チャンバ(12)の空気に直接晒される少なくとも1つの外面(18)を含むことと、
部品(10)を組み付けるかチャンバ(12)内に設置する前に、すなわち、その結合部が対応する嵌合結合部またはチャンバ(12)の内壁(13)に安定的に結合される前に、部品(10)を、超音速ガスジェットで加速された第2の材料の固体粉末を用いて溶射処理することであって、第2の材料は、除染または滅菌処理に耐えるのに適合させるべく少なくとも外面(18)に第2の材料のコーティング(20)を堆積させるため、ステンレス鋼、コバルトクロム金属合金、ニッケル合金、ポリマーマトリックスとの複合材料、金属-セラミック複合材料のうちの1つまたは複数からなる群より選択される、製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法において、
前記溶射処理は、
第2の材料の固体粉末が超音速ガスジェットで加速されるコールドスプレー、
少なくとも部分的に溶融した第2の材料の粒子が酸素と燃料との燃焼から得られる高速および高温の超音速ガスのジェットで加速される、高速酸素燃料(HVOHF)コーティングによるスプレー処理
から選択される、製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の製造方法において、
第2の材料の粒子を輸送するガスの混合物を300m/秒~1400m/秒の速度で外面(18)にスプレーすると共に、ガスと粒子の混合物による力に抵抗するのに適した支持体により、固定された安定した位置に常時、部品(10)を保持する、製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の製造方法において、
固体粒子を輸送する前記ガスの少なくとも一部を約200℃~1100℃の温度にまで加熱する、製造方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の製造方法において、
固体粒子を輸送するガスは、5bar(500kPa)から100bar(10000kPa)の圧力を有する、製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の製造方法において、
ハウジングシート(25)が、シーリング要素(26)を収容するように構成された少なくとも1つの結合部に設けられ、
前記方法は、前記ハウジングシート(25)の外部縁(27)の範囲まで、前記結合部を前記コーティング(20)でコーティングする、製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか一項に記載の製造方法において、
擬人化アームおよびまたは少なくとも4つの作動軸を有する数値制御機械に取り付けられたスプレーノズル(21)を使用すること、前記スプレーノズル(21)と共に常時、使用中に外側に面するように、すなわち、前記チャンバ(12)の空気に晒されるように構成された部品(10)の外面(18)の変化を追跡する、製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の製造方法において、
コーティングされる表面に直交する方向に対して±45°の間に含まれる入射角(α)で第2の材料をスプレーするようにスプレーノズル(31)の位置決めを行う、製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の製造方法において、
前記第2の材料の蓄積物が前記外面(18)と結合縁(17)との間に形成される角(34)に対応して形成されるか、前記外面(18)の可能性のあるくぼみまたは突起に対応して形成される場合、前記方法は、前記第2の材料が堆積された直後に、前記スプレーノズル(31)の移動中に実質的に連続的に、適切なツールによって前記蓄積物を除去する、製造方法。
【請求項10】
医薬品の製造およびまたは包装のための機械の保護チャンバ(12)内に設置するのに適した部品であって、前記部品は、
アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鋼、またはそれらの合金、ポリマーマトリックスとの複合材料、炭素繊維からなる群から選択される第1の材料からなり、
前記保護チャンバ(12)の他の部品(10)又は前記保護チャンバ(12)の内壁(13)に設けられて対応する嵌合結合部と結合されるように構成された少なくとも1つの結合部を備え、
部品を組み付け及び設置した状態で外側に面する、すなわち、前記保護チャンバ(12)の空気に直接さらされて除染又は滅菌処理、例えば、過酸化水素蒸気(VPHP、蒸気相過酸化水素)を使用するCIP(定置洗浄)/SIP(定置滅菌)処理される少なくとも1つの外面(18)を含み、
前記部品は、少なくとも1つの外面(18)をコーティングするステンレス鋼、コバルトクロム金属合金、ニッケル合金、ポリマーマトリックスとの材料、金属-セラミック複合材料のうちの1つ又は複数からなる群より選択される第2の材料からなるコーティング(20)を含み、
第2の材料からなるコーティング(20)は、超音速ガスジェットで加速された粉末を用いた溶射によって得られる、部品。
【請求項11】
請求項10に記載の部品において、
固定柱、駆動シャフト、ベルト用輸送車輪、容器、カバー、またはギアボックスおよびまたはモータ用ケーシング、ロボットまたはその一部の関節部品、例えば、ブラケット、フランジ、固定または可動アーム、スライダ、ドラム、プーリなどの支持要素、ねじ、ボルトなどの取付部材、その類似要素からなる群より選択される、部品。
【請求項12】
医薬品の製造およびまたは包装のための機械のチャンバ(12)の調整方法であって、前記チャンバ(12)は、密閉された方法で外部環境から隔離および分離された、制御された空気を有する保護チャンバであり、機器(11)の1つまたは複数の部分、装置、または要素を受け入れるように構成されている調整方法において、
請求項1~9のうちいずれか一項に記載の製造方法を使用して複数の部品(10)を製造し、
機器(11)の少なくとも1つの部品、または少なくとも1つの装置、または少なくとも1つの要素を形成するため、別の部品(10)またはチャンバ(12)の内壁(13)に設けられた対応する嵌合結合部と結合するように構成された各結合部に対応して、チャンバ(12)内の各位置に部品(10)を組み付けまたは設置し、
前記機器(11)の少なくとも1つの部品、およびまたは前記少なくとも1つの装置、前記少なくとも1つの要素、およびまたは可能性のある他の部品を、前記チャンバ(12)内の所定の位置に配置し、
外部環境から密閉された方法で隔離するように、前記チャンバ(12)を閉じ、
前記チャンバ(12)内に予め配置された部品(10)およびまたは機器(11)、装置または要素の少なくとも各外面(18)を除染およびまたは滅菌するように、前記チャンバ(12)の内部、つまり、前記チャンバ(12)の内部に予め配置された機器(11)、装置、要素、可能性のある他の部品(10)に、たとえばCIP(定置洗浄)/SIP(定置滅菌)処理等の除染または滅菌処理を行う、調整方法。
【請求項13】
請求項12に記載の調整方法において、
前記除染または滅菌処理が過酸化水素蒸気(VPHP、気相過酸化水素)を使用する、調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の製造およびまたは包装のための機械で使用するのに適した部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、本発明は、過酸化水素蒸気(HPV)を使用する処理サイクルも含むこの部門で通常行われる除染および滅菌処理(CIP/SIP)される部品の製造方法に関する。
また、本発明は、上記のような除染および滅菌処理が実施される医薬品の製造およびまたは包装のための機械の保護チャンバの調製方法に関する。
【0003】
製薬部門では、例えば、粉末、錠剤、丸薬、液体などの医薬品の処理および包装操作は、一般に「アイソレイタ」と呼ばれる外部環境から保護および隔離されたチャンバ内で実行される。アイソレイタは、無菌状態および制御された空気に維持されている。
【0004】
操作、作業およびまたは包装装置および機器は、一般に、人による操作に代わって医薬品に対して特定の各操作を実行するのに適した保護チャンバ内に配置されている。
保護チャンバは、その内部に配置された機器や装置とともに、決められた清浄度と無菌性の要件を満たしている必要がある。したがって、チャンバは、一般に、必要な滅菌状態に保ちつつ可能性のある汚染物質を排除するように、集中的な処理を受けている。たとえば、これらのチャンバを過酸化水素蒸気を用いて処理することが知られている。しかしながら、この処理には、非常に効果的な殺菌、殺胞子および殺菌作用がある一方で、これらのチャンバ内の機器の表面に損傷を及ぼし得るほどの高い酸化力がある。
【0005】
この問題を解決するため、基板をコーティングおよび保護する材料で被覆した基板のような軽い材料からなる基体を有する機器および装置用部品を製造することが知られている。
【0006】
たとえば、塗料の層でコーティングされているか、アルミニウムの陽極処理が施されているか、特にクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、または他の適切な金属に基づくガルバニックコーティングが施されているアルミニウム製部品が知られている。
【0007】
金属またはプラスチック材料、あるいは樹脂の浴に浸漬することによって部品をコーティングする解決策も知られている。しかしながら、これらの解決策の1つの欠点は、コーティングが部品の外面にも内面にも適用され、すなわち、コーティングが使用中に滅菌や消毒処理に晒されない部分にも適用されることである。このため、大量のコーティング材が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の1つの目的は、アイソレータ、即ち、最新技術の少なくともいくつかの不利な点が解消される製薬部門の保護チャンバに使用できる部品の製造方法を完成させることである。
【0009】
特に、目的の1つは、軽量であると同時に集中的な除染処理に耐えるのに適した部品の製造方法を完成させることである。
別の目的は、予め内部の機器を分解およびまたは取り外す必要がないため、一方では、処理に必要な時間を削減でき、機械のダウンタイムを削減でき、他方では、使用中に処理される製品と接触して配置されるすべての表面の効果的な除染を保証する、医薬品の製造およびまたは包装のための機械の保護チャンバの調整方法を完成させることである。
【0010】
出願人は、最先端技術の欠点を解消し、これらおよび他の目的および利点を得るために、本発明を考案し、評価し、具体化した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、独立請求項に記載され、特徴付けられている。従属請求項は、本発明の他の特徴または主たる発明の変形例を説明している。
本明細書に記載の実施形態は、外部環境から隔離されると共に制御された空気に維持される医薬品の製造およびまたは包装のための機械の「アイソレータ」と称されるチャンバ内で除染および滅菌処理に晒されるのに適した部品の製造方法に関する。
【0012】
一実施形態では、上記の除染および滅菌処理は、例えば、過酸化水素蒸気(VPHP、気相過酸化水素)を使用するCIP(定置洗浄)/SIP(定置滅菌)処理を含む。
以下に説明する「部品」とは、単独で使用されるか、装置または機器の部品を形成するために、他の部品や物体や機械の複数の部品と組み合わせて使用できる物体を意味している。
【0013】
非限定的な例として、「部品」とは、固定柱、駆動シャフト、ベルト用輸送車輪、容器、カバー、またはギアボックスおよびまたはモータ用ケーシング、ロボットまたはその一部の関節部品、例えば、ブラケット、フランジ、固定または可動アーム、スライダ、ドラム、プーリなどの支持要素、ねじ、ボルトなどの取付部材、その類似要素がある。
【0014】
本発明による方法は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鋼、またはそれらの合金、ポリマーマトリックスとの複合材料、炭素繊維、またはそれらの組み合わせを含む群から選択される第1の材料からなる部品を利用可能にする。ここで、部品は、チャンバ内に設置され、他の部品やチャンバの内壁に設けられた対応する嵌合結合部と結合するように構成された結合部を端部に備え、部品を組み付け及び設置した状態で外側に面する、すなわち、チャンバの空気に直接晒される少なくとも1つの外面を含む。
【0015】
また、この方法は、部品を組み付けるかチャンバ内に設置する前に、すなわち、前記結合部が対応する嵌合結合部またはチャンバの内壁に安定的に結合される前に、部品を、超音速ガスジェットで加速された第2の材料の固体粉末を用いて溶射処理し、上記の除染または滅菌処理に耐えるのに適合させるべく部品の少なくとも外面に第2の材料のコーティングを堆積させるため、第2の材料は、ステンレス鋼、例えばステライト、ニッケル合金などのコバルトクロム金属合金、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマーマトリックスとの材料、金属-セラミック複合材料、炭素繊維などのうち1つ又は複数からなる群より選択される。
【0016】
このように、外部が耐食性材料でコーティングされている部品は、特に医薬品の製造および包装の分野で、CIP(定置洗浄)およびまたはSIP(定置滅菌)処理に耐えるのに適した表面特性を備えている。特に、本発明による方法で製造された部品は、特に、侵襲性があり接触すると表面を酸化させる滅菌剤のような蒸気VPHP(気相過酸化水素)の形態の過酸化水素を使用する処理に晒すこともできる。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、結合部は、装置の一部、または機器の部品を形成するため、或いは、チャンバの内壁に面し結合するため、別の部品の対応する結合縁に面し結合されるように構成された結合縁を含む。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、結合縁は、対応する結合縁と共に、外部環境に対して隔離された状態で2つの部品の相互結合を形成するように構成されている。
「隔離された状態で相互結合を形成する」とは、本明細書中では、使用中は各部品の可能性のある内面が外部環境から分離および隔離されているが、相互に接続および結合された部品の可能性のある内部区画は動作上相互に接続されるが、いずれの場合も外部に対して分離されている、2つの部品の相互結合を意味している。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、溶射処理は、第2の材料の固体粉末が超音速ガスジェットで加速され、コーティングされる表面に激しい衝撃で付与されるコールド溶射処理である。
【0020】
他の実施形態によれば、溶射処理は、高速酸素燃料(HVOFとしても知られる)コーティングスプレー処理であり、その処理では、溶融または部分的に溶融した形態の第2の材料の粒子が高温高速で超音速ガスの流れと混合されると共に、コーティングする表面に噴霧される。
【0021】
他の溶射処理と比較して、コールドスプレー処理および高速酸素燃料(HVOF)コーティングスプレー処理では、粒子に供給されるエネルギーのほとんどが熱タイプではなく運動エネルギーであるため、処理中に酸化する粒子を有利に減少させることができ、耐性の高い最終コーティングを得ることができる。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、ガスと第2の材料の固体粒子との混合物を300m/秒~1400m/秒の速度で外面に噴霧し、ガスと粒子の混合物による力に抵抗するのに適した支持体により、固定された安定した位置に常時、部品を保持する。
【0023】
本明細書に記載の実施形態によれば、この方法は、特に、単一の部品を別々に溶射処理し、少なくとも各外面および各結合縁にコーティングを堆積させる。
いくつかの実施形態によれば、コールドスプレー処理の場合、この方法は、関節アームまたは少なくとも4つの作動軸を有する数値制御機械に取り付けられたスプレーノズルを使用し、それによって処理される表面の変化を追跡する。このようにして、単一部品の外面および結合縁の変化を正確に追跡して、常時、処理される表面に対して適切な方法でスプレーノズルを向けることができる。
【0024】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、外面およびまたは結合縁の垂線に対して±45°の間の入射角で、処理される表面に材料を噴霧する。入射角は、ガスと第2の材料の粒子の混合物を目標とされた方法で案内して実質的に均一なコーティングを得るように、処理される表面の曲率半径に応じて、または存在する可能性のある不均一な部分または角に応じて、変更可能である。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、各スプレー動作によって、約15μm~約100μmの厚さを有する材料の層を堆積させる。
本明細書に記載の実施形態は、医薬品の製造およびまたは包装のための機械の保護チャンバ内でCIP/SIP処理されるのに適した部品に関し、他の部品やチャンバの壁に設けられて対応する嵌合結合部と結合するように構成された結合部を備え、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鋼、またはそれらの合金、ポリマーマトリックスとの複合材料、炭素繊維からなる群から選択される第1の材料からなり、部品を組み付け設置した状態で外側に面し、すなわち、たとえば過酸化水素蒸気(VPHP、蒸気相過酸化水素)を使用するCIP(定置洗浄)処理およびまたはSIP(定置滅菌)処理等の除染または滅菌処理が行われ、チャンバの空気に直接晒される少なくとも1つの外面を含み、ステンレス鋼、コバルトクロム金属合金、ニッケル合金、ポリマーマトリックスとの材料、金属セラミック複合材料のうちの1つまたは複数を含む群から選択される第2の材料からなるコーティングが設けられ、第2の材料のコーティングは、超音速ガスジェットで加速された粉末を用いた溶射によって得られる。
【0026】
また、本発明は、医薬品の製造およびまたは包装のための機械のチャンバの調製法に関する。ここで、チャンバは、密閉された方法で外部環境から隔離および分離され、制御された空気を有する保護チャンバであり、機器の1つまたは複数の部品、装置、または要素を受け入れるように構成されている。
【0027】
本発明による方法は、
本発明による製造方法を使用して複数の部品を製造し、
機器の少なくとも1つの部品、または少なくとも1つの装置、または少なくとも1つの要素を形成し、医薬品を機能させるため、別の部品またはチャンバの内壁に設けられた対応する嵌合結合部と結合するように構成された各結合部に対応して、チャンバ内の各位置に前記複数の部品を組み付けまたは設置し、
機器の部品、およびまたは装置、およびまたは要素、およびまたは他の部品をチャンバ内に配置し、
外部環境から密閉された方法で隔離するように、チャンバを閉じ、
前記複数の部品およびまたは機器の部品およびまたは装置およびまたは要素の少なくとも各外面を除染およびまたは滅菌するように、チャンバの内部、つまり、チャンバの内部に予め配置された機器の部品、装置、要素、および可能性のある他の部品に、たとえば、CIP(定置洗浄)/SIP(定置滅菌)処理等の除染または滅菌処理を行う。
【0028】
チャンバ内で除染/滅菌処理される面がすべて予めコーティング処理されているため、機器、装置、要素の外面が使用した除染により損なわれたり、損傷を受けたりしない。したがって、機械内の部品や機器を取り外したり覆ったりしなくても、必要に応じて、除染処理を繰り返すことができる。このため、必要な時間と人員を大幅に節約できる。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、チャンバおよびその内部に配置された部品、装置、およびまたは機器をCIP/SIP処理するステップは、滅菌剤として蒸気の形態の過酸化水素(VPHP、気相過酸化水素)を使用する処理の実行を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明のこれらおよび他の特徴は、添付の図面を参照して非限定的な例として与えられた、いくつかの実施形態の以下の説明から明らかになる。
図1】本明細書に記載の実施形態による調製方法が実施され、本発明に係る複数の部品および機器の部品が配置される、医薬品の製造およびまたは包装のための機械の部品の概略正面図。
図2a】本明細書に記載の実施形態による部品を製造する方法の後続のステップの概略断面図。
図2b】本明細書に記載の実施形態による部品を製造する方法の後続のステップの概略断面図。
図2c】本明細書に記載の実施形態による部品を製造する方法の後続のステップの概略断面図。
【0031】
理解を容易にするため、可能な限り、同じ部材番号を使用して、図中の共通要素を特定している。一実施形態の要素および特性をさらに明確にせず他の実施形態に組み込むことができることを理解すべきである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本明細書に記載の実施形態は、密封された方法で外部環境から隔離されると共に、処理中の医薬品の可能性のある汚染を防ぐための厳しい滅菌要件を満たす必要がある、医薬品の製造およびまたは包装のための機械の保護チャンバ12(アイソレータと称される)での使用に適した部品10の製造方法に関する。
【0033】
図1の実施形態に示すように、チャンバ12は、通常、壁13によって外側から隔離され、区画されている。さらに、一般に、チャンバ12は、多くの産業用途で広く使用されるHVACシステムを実装するチャンバ12の空気に対して1種または複数種の適切なガスを導入およびまたは抽出するように構成された適切な導管30によって、制御された空気に保たれている。
【0034】
図示の例では、計量された医薬品を収容するのに適したチャンバ12内のアンプル、バイアル、または小さなガラス瓶を操作するものであることに留意すべきである。本発明による部品の製造方法および隔離されたチャンバの調製方法は、注射器やブリスタに加え医薬品を収容するのに適した任意の種類の容器である隔離チャンバ内で操作される物体の種類と無関係であることは明らかである。
【0035】
壁13の少なくとも1つには、通常、移送ポート15を備えた少なくとも1つのアクセス開口14が設けられている。アクセス開口14は、チャンバ12の内側および外側の材料の保護された移送を可能にし、チャンバ12内の環境とチャンバ12外の環境との直接的連通を防止している。現在の規制への準拠を証明する認証の対象となる転送ポート15は、一般にアルファ-ベータポート、またはRapid Transfer Portの頭字語を取ったRTPとして知られている。移送ポート15は、閉じた容器31をチャンバ12の壁13に一時的に接続することを可能にするのに適している。例として、容器31は、医薬品で満たされるバイアルをチャンバ12の内部で輸送するために使用される。
【0036】
図1の実施形態では、チャンバ12の内部には、バイアルに蓋をするためのステーション26、バイアルを充填するためのステーション27、バイアルを動かすのに適した関節アーム、およびバイアルの一時的な保管のための1つまたは複数の保管スペース25が設けられている。キャッピングステーション26および充填ステーション27はそれぞれ、処理されるバイアルが載置される支持要素28と、バイアル内に注入される液体とキャップとがそれぞれ供給される適切なホッパーとを備えている。
【0037】
以下の説明でいう「部品」とは、単独で使用されるか、他の部品や物体や機械の複数の部品と組み合わせて使用できる物体を意味している。例として、問題の種類の部品10は、固定柱、駆動シャフト、ベルト用輸送車輪、カバー、またはギアボックスおよびまたはモータ用ケーシング、ロボットの関節部品、例えば、ブラケット、フランジ、固定または可動アーム、スライダ、ドラム、プーリなどの支持要素、ねじ、ボルトなどの取付部材、またはその類似又は同等な部材又は要素のがある。
【0038】
いくつかの実施形態によれば、部品10は、製品の操作、移動、輸送、または梱包を含む医薬品に対して1つまたは複数の操作を実行するのに適した機器11の部品およびまたは装置およびまたは要素を構成するために互いに組み付けられ、結合される。
【0039】
例として、機器11の部品には、多関節ロボット、即ち、一般に操作、移動、または他の装置などの自動操作装置が含まれる。図1の例では、例えば、保管スペース25、ステーション26および27、または多関節ロボットなどの複数の部品によって形成された機器11の複数の部品または装置が示されている。
【0040】
問題の部品10および機器11の部品は、殺菌、殺胞子、殺菌作用を備えた高い酸化力を有する過酸化水素蒸気VPHP(気相過酸化水素)を使用する、例えば、CIP(定置洗浄)およびまたはSIP(定置滅菌)処理等の保護チャンバ12内での適切な除染および滅菌処理に有利であり、外面の酸化や部品10に損傷を受けることがない。
【0041】
いくつかの実施形態によれば、各部品10は、別の部品10上にまたはチャンバ12の内壁13に設けられて嵌合結合部と結合するのに適した少なくとも1つの結合部を備えることができる。
【0042】
問題の種類の部品10、すなわち、設置および組み付けた状態で、機器11の部品の一部(または別の装置または要素)を構成する単一の要素または少なくとも1つの要素に応じて、結合部は、結合面または結合縁17として構成され、または複数の両方を含むことができる。
【0043】
いくつかの実施形態によれば、結合縁17は、各外面18に対して横方向に延在し、実質的に階段状の変化を有する角24を構成する。
結合部は、使用中に外側に面することで、チャンバ12内の空気に晒される部品10の外面18を構成することができる。
【0044】
換言すれば、結合部は、使用中に除染および滅菌処理が施される部品10の外面18の一方の側と、使用中に組み付けられ設置された状態でチャンバ12の空気と接触して配置されていないため除染および滅菌処理を行う必要がない部品10の内面19の他方の側とを、実質的に構成する。
【0045】
いくつかの実施形態によれば、本発明による製造方法は、以下を提供する。
チャンバ12に設置するのに適した、およびまたは別の部品10に組み付けるのに適した部品10であって、使用中に外側に面する(すなわち、チャンバ12の空気に晒される)外面18を構成する少なくとも1つの結合部を備えると共に、別の部品の対応する結合部またはチャンバ12の内壁13に結合されるように構成され、第1の材料からなる部品10を利用可能にし、
使用中に設置された状態で外側を向き、チャンバ12の空気に晒されることでCIP/SIP処理される部品10の外面18に第2の材料のコーティング20を堆積させるため、部品10は、超音速ガスジェットで加速された第2の材料の固体粉末を用いて溶射処理される。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、問題の部品10は、部品10や機器11の各部品について、保護チャンバ12への設置およびまたは取り外し操作を容易にし、その輸送および移動を容易にするように、第1の軽い材料から形成される。
【0047】
いくつかの実施形態によれば、第1の材料は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、チタン(Ti)、鋼、またはそれらの合金、ポリマーマトリックスとの複合材料、炭素繊維、またはそれらの組み合わせを含む群から選択することができる。
【0048】
いくつかの実施形態によれば、部品10の表面仕上げは、スプレー処理で噴霧される粒子が堆積して外面18に付着したまま残存することを可能にする特定の最小表面粗さを有する。
【0049】
好ましくは、部品10の外面18の最小表面粗さRaは、約1.6μm~約12.5μmの間に含まれる。
いくつかの実施形態によれば、第2の材料は、CIP/SIP処理、特に過酸化水素蒸気を使用するVPHP(気相過酸化水素)処理に抵抗するのに適した材料である。
【0050】
いくつかの実施形態によれば、第2の材料は、例えばステライト、ニッケル合金、ステンレス鋼などのコバルトクロム合金、例えばポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などのポリマーマトリックス、金属セラミック複合材料、炭素繊維、または損傷や酸化を受けることなく除染および滅菌処理を行うのに適した他の材料からなる群で選択することができる。
【0051】
コーティング20は、第1の材料を保護するように機能する。したがって、集中的な処理に対する耐性が不要なため、上記の軽い材料から選択することができ、使用する材料の種類に応じて、より薄い厚さで部品10を形成することができる。
【0052】
いくつかの実施形態によれば、溶射処理は、コールドスプレー処理と高速酸素燃料(HVOF)コーティングスプレー処理との間で選択することができる。
いくつかの実施形態によれば、この方法は、部品10の外面18もその各結合縁もコールドスプレー処理またはHVOF処理する。
【0053】
いくつかの実施形態によれば、コールドスプレー処理は、スプレーノズル21によって、コーティング20を形成するために使用される材料の粉末または固体粒子を運ぶガスからなる混合物を、処理される表面に向けて噴霧する。
【0054】
考えられる解決策によれば、キャリアガスの少なくとも一部は、200℃~1200℃の温度に加熱される。
例示的な実施形態によれば、ガスの一部は、加熱され、第1の導管22を通ってスプレーノズル21に向かって運ばれる一方、キャリアガスの残りの部分は、室温に保たれ、図示しないタンクを通過すると共に、第2の材料の粉末を含み、第2の導管23を通ってスプレーノズル21に向かって運ばれる。
【0055】
いくつかの実施形態によれば、スプレーノズル21において、ガス流中の粉末は、加速され、処理される表面に向かって、一般に300m/秒~1400m/秒の超音速で発射される。
【0056】
いくつかの実施形態によれば、キャリアガスの圧力は、材料の種類および運ばれる粒子のサイズに応じて5bar(500kPa)~100bar(10000kPa)である。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、窒素またはアルゴンは、例えば、キャリアガスとして使用することができる。
有利なことに、スプレーノズル21は、粉末およびキャリアガスの加速に有利な収束発散形状を有することができる。
【0058】
加速された粒子が処理される表面に衝突すると、その衝撃によって処理された表面の変形が決定され、表面と材料の粒子との間に安定的な永続的な結合が生成される。
いくつかの実施形態によれば、処理される表面上のスプレーノズル21の各通路で、約15μm~約100μmの厚さの材料の層を堆積させることができる。いくつかの実施形態によれば、この方法は、所望の厚さのコーティング20が得られるまで、複数の重なり合う層を堆積することができる。
【0059】
いくつかの実施形態によれば、コーティング20は、コールドスプレー処理によって形成された複数の重なり合う層を含むことができ、その後の層は、必要に応じて、同じ材料または異なる材料で形成することができる。
【0060】
いくつかの実施形態によれば、高速酸素燃料(HVOF)コーティングスプレー処理は、燃焼室内での酸素および燃料の燃焼によって得られるガス流によって、第2の材料の粒子を加熱および加速する。
【0061】
燃焼によって得られるガスの流れは、2000m/sを超える速度まで加速される。第2の材料の粉末は、ガス流に注入され、部分的に溶融され、約1000m/秒の速度まで加速され、最後に、スプレーノズル21を通ってコーティングされる表面に向かって放出される。粒子が表面に衝突すると、粒子の高い運動エネルギーにより、粒子は急速に固化し、緻密なコーティングを形成する層状構造を形成する。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、HVOF処理においても、所望の厚さのコーティング20が得られるまで、複数の重なり合う層を堆積することができ、場合によっては、必要に応じてその後の層の材料の種類を変更してもよい。
【0063】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、他の部品10と結合して装置11またはその一部を形成する前に、およびそれをチャンバ12内に設置する前に、各部品10を溶射処理する。これらの実施形態では、外面18およびまたは結合縁17にコーティングを堆積するための熱処理は、上記の熱処理を実行するために適切に装備された適切な作業センターにおいて、チャンバ12の外側で実行される。
【0064】
可能な実施形態によれば、この方法は、ガスと第2の材料の粒子の混合物による圧力に起因する望ましくない動きを防ぐために、溶射処理中に安定した方法で部品10を配置する。
【0065】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、部品10の内面19を保護および覆うなど、嵌合形状をそれぞれ有する支持体によって、部品10を配置および定位置に保持することができる。
【0066】
本発明による方法は、例えば、擬人化アーム、または少なくとも4つの作動軸を有する図示しないCNC(コンピュータ数値制御)機械に取り付けられたスプレーノズル21を使用する。特に、いくつかの実施形態によれば、この方法は、常時、スプレーノズル21を用いて、部品10、および場合によっては結合部の外面18の変化を追跡する。
【0067】
いくつかの実施形態によれば、例えば、図2aに示されるように、この方法はスプレーノズル21を用いて、各外面18と共に、実質的に階段状の各角34を形成する結合縁17の変化を追跡する。
【0068】
可能な解決策によれば、スプレーノズル21は、加工される要素の形状に基づいて予め定義及び設定された経路に基づいて、処理される表面の形状に従い追跡することができる。
【0069】
変形例によれば、スプレーノズル21の経路および方向は、例えば、スプレーノズル21を支持および移動する同じ擬人化アームに設置された3Dカメラにより取得した画像を処理することによって、リアルタイムで定義することができる。
【0070】
可能な変形例によれば、作動中の部品10およびスプレーノズル21が互いに対して相対運動で移動することも提供される。例えば、作動中の要素が一方向に並進し、スプレーノズル21が3つの軸上を移動することで、それぞれの動きの組み合わせにより、少なくとも4つの軸を有するアームの自由度が提供される。
【0071】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、外面18および結合部、または結合縁17(図2a)に直交する方向に対して±45°の間に含まれる入射角αで第2の材料を噴霧するようにスプレーノズル21を向ける。
【0072】
この入射角αにより、処理される表面の可能性のある不均一な部分に対応して、特に外壁18と各結合部およびまたは結合縁17との間の角24に対応してさえ、均一な厚さのコーティング20を得るように、ガスと第2の材料の粒子の混合物を標的に向けることが可能となる。
【0073】
いくつかの実施形態によれば、角24、または外面18の可能性のあるくぼみまたは突起に対応する第2の材料形態の可能性のある蓄積物の場合、本発明による方法は、コーティング20の堆積直後、実質的には連続的に、適切なツールの手段によって、これらの蓄積物を除去することができる。
【0074】
いくつかの実施形態によれば、ツールは、スプレーノズル21の移動中にガスと粒子の混合物が衝突した表面に作用するように、スプレーノズル21に隣接して設置することができる。
【0075】
いくつかの実施形態によれば、部品10の外面18および結合縁17上にコーティング20を形成した後、この方法は、機器11(または装置、または要素)の部品を形成するため、適切な方法で複数の部品10を組み付けるか、それらをチャンバ12に設置することで、可能性のある各内面19が外部(すなわち、チャンバ12に関して)から保護および隔離されると共に、各外面18が全て外側を向いてチャンバ12の空気に晒される。
【0076】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、2つの各部品10A、10B(図2b)間を確実に封止するため相互に接触して配置される結合部間、又は部品10とチャンバ12の壁13との間に、封止要素26を挿入する。
【0077】
いくつかの実施形態によれば、部品10が少なくとも1つの結合縁17(図2a~2c)上の封止要素26のためのハウジングシート25を備えている場合、この方法は、外部角24からハウジングシート25の少なくとも1つの外部縁27まで、各結合縁17をコーティングする。
【0078】
また、本明細書に記載の実施形態は、医薬品の製造およびまたは包装のための機械の保護チャンバ12の調製方法、すなわち、すぐに使用でき、加工およびまたは包装の対象となる医薬品が導入される除染および滅菌処理されたチャンバ12を得ることができる方法に関する。
【0079】
いくつかの実施形態によれば、本発明によるチャンバ12の調製方法は、本発明の製造方法によってチャンバ12の外側で製造された複数の部品10を利用可能にし、CIP/SIP処理されるのに適した材料のコーティング20が設けられ、コーティングは、組み付けられ設置された状態で、チャンバ12内に配置される少なくとも各部品10の外面18上に延在し、空気に晒される。
【0080】
続いて、この方法は、図1および上記の機器11の部品のように、部品10を一体に組付けて機器11の部品を形成する。
いくつかの実施形態によれば、この方法は、2つ以上の部品10を一体に結合し、それらの結合縁17を互いに向き合わせて配置する。この操作は、好ましくは、少なくとも部分的に、装置11の部品を組み付ける際にチャンバ12の外側で実行され、コーティング20を備えた部品10は相互に組み付けられる。
【0081】
いくつかの実施形態によれば、この方法は、各部品10およびまたは機器11の部品をチャンバ12の内部に設置することを提供し、場合によりそれらを移送ポート15を通して内部に持ち込む。
【0082】
可能な変形例によれば、複数の部品10を相互に結合することで、チャンバ12の内部に機器11の部品を直接形成することも提供される。
続いて、チャンバ12への部品10の設置、および機器11の必要な部品の設置が完了すると、本発明による方法は、それを外部環境から密閉された方法で隔離するために、例えば、移送ポート15を閉じることによって、チャンバ12を閉じる。
【0083】
最後に、本発明による方法は、少なくとも各外面18を除染およびまたは滅菌するために、チャンバ12およびその中に配置された部品10および機器11を除染または滅菌処理、例えばCIP/SIP処理する。非限定的な例として、除染および滅菌処理は、過酸化水素蒸気を使用する。
【0084】
チャンバ12内の除染滅菌処理に晒されるすべての表面は既にコーティング処理されているため、機器11の外面は、使用される除染剤によって損なわれたり損傷したりすることはない。したがって、除染処理は、必要に応じて、機械内の部品10および機器11を取り外したり覆ったりすることなく、繰り返すことができる。よって、必要な時間および人員を大幅に節約することができる。
【0085】
本発明の分野および範囲から逸脱することなく、これまでに説明したように、部品10を製造する方法、部品10、およびチャンバ12を準備する方法に修正およびまたは追加できることは明らかである。
【0086】
本発明がいくつかの特定の例を参照して説明したが、当業者は、請求項に記載した特性とそれによって定義される保護範囲の全てを含む部品10の製造方法、部品10、チャンバ12を準備する方法について、他の多くの同等形態を確実に実現することができる。
図1
図2a
図2b
図2c
【国際調査報告】