(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】抗体薬物複合体用薬物毒素PNU-159682の調製方法及びその中間体
(51)【国際特許分類】
C07H 19/24 20060101AFI20220309BHJP
C07H 23/00 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
C07H19/24
C07H23/00 CSP
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544473
(86)(22)【出願日】2020-04-24
(85)【翻訳文提出日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 CN2020086631
(87)【国際公開番号】W WO2021031599
(87)【国際公開日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】201910779777.5
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521336325
【氏名又は名称】聯寧(蘇州)生物製薬有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】孔 令配
(72)【発明者】
【氏名】賈 忠全
(72)【発明者】
【氏名】張 彬彬
(72)【発明者】
【氏名】陳 雨
(72)【発明者】
【氏名】夏 徳銀
(72)【発明者】
【氏名】桂 東
(72)【発明者】
【氏名】李 海泓
(72)【発明者】
【氏名】郭 茂君
(72)【発明者】
【氏名】李 輝
【テーマコード(参考)】
4C057
【Fターム(参考)】
4C057AA18
4C057CC03
4C057DD02
4C057LL02
4C057LL51
4C057NN10
(57)【要約】
本発明によれば、抗体薬物複合体の薬物毒素PNU-159682(モルホリニルアントラサイクリン誘導体)を調製するための方法及び当該調製方法に係る中間体が提供される。本発明の調製方法によれば、保護基を導入し、拡大しやすい試薬に変更することにより、プロセスの安定性、実用性及び拡大可能性が向上する。本発明の調製方法によれば、拡大生産時における危険性及び操作の難易度が低減される。調製生産は操作が簡便である。
【選択図】
図29
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式が
【化1】
であり、
Rは、トリメチルシリルTMS、tert-ブチルジメチルシリルTBS、tert-ブチルジフェニルシリルTBDPS、ジエチルイソプロピルシリルDEIPS、トリイソプロピルシリルTIPS、トリフェニルシリルTPS、トリメチルシリルMes、ベンジルBn、P-メトキシベンジルPMB、トリフェニルメチルTr、2-テトラヒドロピラニルTHP、メトキシメチルMOM、2-エトキシエチルEE、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルSEM、アリルAllyl、アセチルAc、ベンゾイルBz、ピバロイルPvから選ばれる一種類である、
PNU-159682を合成する中間体化合物。
【請求項2】
構造式が
【化2】
であり、
Rは、トリメチルシリルTMS、tert-ブチルジメチルシリルTBS、tert-ブチルジフェニルシリルTBDPS、ジエチルイソプロピルシリルDEIPS、トリイソプロピルシリルTIPS、トリフェニルシリルTPS、トリメチルシリルMes、ベンジルBn、P-メトキシベンジルPMB、トリフェニルメチルTr、2-テトラヒドロピラニルTHP、メトキシメチルMOM、2-エトキシエチルEE、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルSEM、アリルAllyl、アセチルAc、ベンゾイルBz、ピバロイルPvから選ばれる一種類である、
PNU-159682を合成する中間体化合物。
【請求項3】
構造式が
【化3】
である中間体化合物が得られるように、溶媒Xにおいて、構造式が
【化4】
である化合物を、試薬Yにより保護基Rで置換し、
Rは、トリメチルシリルTMS、tert-ブチルジメチルシリルTBS、tert-ブチルジフェニルシリルTBDPS、ジエチルイソプロピルシリルDEIPS、トリイソプロピルシリルTIPS、トリフェニルシリルTPS、トリメチルシリルMes、ベンジルBn、P-メトキシベンジルPMB、トリフェニルメチルTr、2-テトラヒドロピラニルTHP、メトキシメチルMOM、2-エトキシエチルEE、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルSEM、アリルAllyl、アセチルAc、ベンゾイルBz、ピバロイルPvから選ばれる一種類であり、
溶媒Xは、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、水、ベンゼン、エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランから選ばれる一種類又は複数種類であり、
試薬Yは、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、イミダゾール、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びジイソプロピルジアミンから選ばれる一種類又は複数種類であり、
反応温度は-20~80℃である、
ことを特徴とするPNU-159682の中間体化合物
【化5】
を合成する方法。
【請求項4】
前記溶媒XはN,N-ジメチルホルムアミドであり、前記試薬Yはイミダゾールであり、反応温度は20℃~25℃である、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
構造式が
【化6】
である中間体化合物が得られるように、構造式が
【化7】
である化合物を、溶媒Mにおいて、酸化試薬Nを添加して酸化反応させ、
Rは、トリメチルシリルTMS、tert-ブチルジメチルシリルTBS、tert-ブチルジフェニルシリルTBDPS、ジエチルイソプロピルシリルDEIPS、トリイソプロピルシリルTIPS、トリフェニルシリルTPS、トリメチルシリルMes、ベンジルBn、P-メトキシベンジルPMB、トリフェニルメチルTr、2-テトラヒドロピラニルTHP、メトキシメチルMOM、2-エトキシエチルEE、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルSEM、アリルAllyl、アセチルAc、ベンゾイルBz、ピバロイルPvから選ばれる一種類であり、
前記溶媒Mは、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、水、ベンゼン、エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランから選ばれる一種類又は複数種類であり、
前記試薬Nは、ジョーンズ試薬(Jones試薬)、Collins試薬(CrO3.2Py)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、ピリジン二クロム酸塩(PDC)、二酸化マンガン、DMSO、デイズマーティン酸化剤、過マンガン酸カリウム、過ヨウ素酸、四酸化オスミウム、30%過酸化水素水、メタクロロ過安息香酸m-CPBA、tert-ブチルヒドロペルオキシドTBHP、ペルオキシアセトン(DMDO)から選ばれる一種類又は複数種類であり、
反応温度は-78℃~25℃である、
ことを特徴とするPNU-159682の中間体化合物
【化8】
を合成する方法。
【請求項6】
前記試薬Nは、メタクロロ過安息香酸m-CPBAであり、前記溶媒Mはジクロロメタンであり、反応温度は-40℃~0℃である、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
中間体化合物
【化9】
が生成されるように、溶媒Oにおいて、構造式が
【化10】
である化合物を、試薬Pにより脱水閉環反応させ、
Rは、トリメチルシリルTMS、tert-ブチルジメチルシリルTBS、tert-ブチルジフェニルシリルTBDPS、ジエチルイソプロピルシリルDEIPS、トリイソプロピルシリルTIPS、トリフェニルシリルTPS、トリメチルシリルMes、ベンジルBn、P-メトキシベンジルPMB、トリフェニルメチルTr、2-テトラヒドロピラニルTHP、メトキシメチルMOM、2-エトキシエチルEE、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルSEM、アリルAllyl、アセチルAc、ベンゾイルBz、ピバロイルPvから選ばれる一種類であり、
前記溶媒Oは、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、ベンゼン、トルエン、メシチレン、キシレン、クロロベンゼン、エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランから選ばれる一種類又は複数種類であり、
前記試薬Pは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ポリリン酸、バージェス試薬、ビス[a,a-ビス(トリフルオロメチル)フェニルエタノール]-硫化ジフェニル、二硫化炭素、ヨードメタン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、N-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、シアヌル酸クロリドから選ばれる一種類又は複数種類であり、
反応温度は-50℃~50℃である、
ことを特徴とするPNU-159682の中間体化合物
【化11】
を合成する方法。
【請求項8】
前記試薬Pはバージェス試薬であり、前記溶媒Oはジクロロメタンであり、反応温度は-40℃~25℃である、
ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
化合物PNU-159682
【化12】
が生成されるように、溶媒Qにおいて、構造が
【化13】
である化合物を、試薬Sにより、脱保護反応させ、
Rは、トリメチルシリルTMS、tert-ブチルジメチルシリルTBS、tert-ブチルジフェニルシリルTBDPS、ジエチルイソプロピルシリルDEIPS、トリイソプロピルシリルTIPS、トリフェニルシリルTPS、トリメチルシリルMes、ベンジルBn、P-メトキシベンジルPMB、トリフェニルメチルTr、2-テトラヒドロピラニルTHP、メトキシメチルMOM、2-エトキシエチルEE、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルSEM、アリルAllyl、アセチルAc、ベンゾイルBz、ピバロイルPvから選ばれる一種類であり、
前記溶媒Qは、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、アセトニトリル、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、ベンゼン、トルエン、メシチレン、キシレン、クロロベンゼン、エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランから選ばれる一種類又は複数種類であり、
前記試薬Sは、塩酸メタノール溶液、塩酸エタノール溶液、塩酸1,4-ジオキサン溶液、塩酸エーテル溶液、塩酸テトラヒドロフラン、酢酸テトラヒドロフラン溶液、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、Pd/C触媒水素化、DDQ、p-トルエンスルホン酸、メタノール/水酸化ナトリウム、メタノール/ナトリウムメトキシドから選ばれる一種類又は複数種類であり、
反応温度は-50℃~50℃である、
ことを特徴とするPNU-159682を合成する方法。
【請求項10】
試薬Sはテトラ-ブチルフッ化アンモニウム(TBAF)であり、前記溶媒Qはテトラヒドロフランであり、反応温度は-30℃~25℃である、
ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機合成分野に関し、特に、(モルホリニルアントラサイクリン誘導体の方法)抗体薬物複合体用薬物毒素PNU-159682の調製方法及びその中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
抗体薬物複合体(Antibody drug conjugate,略してADC)は、一種の新規抗腫瘍薬物であり、その原理は、細胞毒素を抗体に接続し、抗体による癌細胞表面における特定の抗原の認識によりエンドサイトーシスを介して癌細胞に入り込み、それにより細胞毒素を標的に輸送し、悪性腫瘍の標的治療の目的を達成することである。ADCは、従来の小分子抗腫瘍薬物と比較して、抗体の標的認識と毒素の高い活性に依存できるため、より特異的で効率的である。
【0003】
ADCは、三つの異なる構成部分、すなわち抗体、リンカー及び細胞毒素を含む。抗体は標的化を実現し、リンカーは血液輸送中のADCの安定性を保証し、作用標的に到達した後、毒素は癌細胞に対して殺傷効果を発揮する。作用機構によっては、ADCに適した毒素は微小管系阻害剤(Microtubule inhibitors)、DNA損傷剤(DNAdamaging agents)、RNAポリメラーゼ阻害剤(RNApolymerase inhibitors)などに分類される。現在、市場で販売及び臨床試験におけるADCに採用される毒素は、主に微小管系阻害剤であり、主に例えば、MMAE、MMAF、MMADなどの海ウサギ毒素(Dolastatin-based)に基づいて設計される化合物及び、例えば、DM1及びDM4などのマイタンシン(Maytansine-based)に基づいて設計される化合物を含む。リンガーに関しては、例えば、バリン-シトルリン(Valine-Citriline)やシクロヘキシルギ酸(MCC)などの分裂不可型が主に適用され、リソソーム加水分解後も薬物は依然として活性を有し、接続領域を介してアミノ酸残基に結合する。
【0004】
抗体薬物複合体の形成方式は、複数ある。抗体におけるアミノ基又はメルカプト基と薬物リンカーとの化学反応によって結合してもよく、抗体を修飾し、抗体に特定の機能基を導入した後、薬物リンカーと化学反応して結合し、又は酵素触媒反応して結合してもよい。本発明に係る抗体薬物毒素分子の構造を以下に示す。
【化14】
【0005】
現在文献で報告されているPNU-159682の合成方法は、WO2012/73217,2012,A1に記載されている。当該合成方法は、Nemorubicin(ネモルビシン)を保護基なしで酸化及び閉環させ、酸化剤は、調製が繁雑であり、かつ爆発しやすい酸化剤DMDO(過酸化アセトン)を採用し、閉環試薬に選択されるのは、トリクロロトリアジンであり、閉環収率が低く、かつ精製が容易ではない。
【発明の概要】
【0006】
従来技術では、第一級アルコールが酸化される副反応が起こり、拡大生産時に目標収率が低くなるなど多くの欠点があり、従来技術に存在する欠陥に対して、本発明によれば、新規の合成方法及び当該合成方法の各ステップに係る中間体化合物が提供される。
【0007】
本発明の上記目的は、以下の技術的手段によって実現される。
【0008】
構造式が
【化15】
である中間体化合物が得られるように、溶媒Xにおいて、構造式が
【化16】
である化合物を、試薬Yにより保護基Rで置換し、
Rは、トリメチルシリルTMS、tert-ブチルジメチルシリルTBS、tert-ブチルジフェニルシリルTBDPS、ジエチルイソプロピルシリルDEIPS、トリイソプロピルシリルTIPS、トリフェニルシリルTPS、トリメチルシリルMes、ベンジルBn、P-メトキシベンジルPMB、トリフェニルメチルTr、2-テトラヒドロピラニルTHP、メトキシメチルMOM、2-エトキシエチルEE、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルSEM、アリルAllyl、アセチルAc、ベンゾイルBz、ピバロイルPvから選ばれる一種類であり、
溶媒Xは、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、水、ベンゼン、エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランから選ばれる一種類又は複数種類であり、
試薬Yは、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、イミダゾール、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びジイソプロピルジアミンから選ばれる一種類又は複数種類であり、
反応温度は-20~80℃であり、20~25℃であることが好ましい。
【0009】
前のステップで得られた中間体化合物
【化17】
を適切な溶媒Mに溶解し、酸化試薬Nを添加し、反応により
【化18】
が得られ、
前記適切な溶媒Mは、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、水、ベンゼン、エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランから選ばれる一種類又は複数種類であることが好ましく、
前記試薬Nは、ジョーンズ試薬(Jones試薬)、Collins試薬(CrO3.2Py)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、ピリジン二クロム酸塩(PDC)、二酸化マンガン、DMSO、デイズマーティン酸化剤、過マンガン酸カリウム、過ヨウ素酸、四酸化オスミウム、30%過酸化水素水、メタクロロ過安息香酸m-CPBA、tert-ブチルヒドロペルオキシドTBHP、ペルオキシアセトン(DMDO)から選ばれる一種類又は複数種類であることが好ましく、
前記試薬Nは、tert-ブチルヒドロペルオキシドTBHP、ペルオキシアセトン(DMDO)又はメタクロロ過安息香酸m-CPBAであり、前記溶媒Mはジクロロメタンであることが好ましく、
当該ステップにおいて、反応温度は、-50℃~50℃であり、-40℃~25℃であることが好ましい。
【0010】
当該ステップにおいて、反応が完了した後に、
【化19】
を反応液から分離することをさらに含むことが好ましい。
【0011】
前記分離は、
【化20】
が得られるように、減圧により溶媒を蒸発乾燥させ、それから、中圧クロマトグラフィーで精製又は再結晶することを含むことが好ましい。
【0012】
本特許によれば、構造式が
【化21】
であり、Rは、トリメチルシリルTMS、tert-ブチルジメチルシリルTBS、tert-ブチルジフェニルシリルTBDPS、ジエチルイソプロピルシリルDEIPS、トリイソプロピルシリルTIPS、トリフェニルシリルTPS、トリメチルシリルMes、ベンジルBn、P-メトキシベンジルPMB、トリフェニルメチルTr、2-テトラヒドロピラニルTHP、メトキシメチルMOM、2-エトキシエチルEE、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルSEM、アリルAllyl、アセチルAc、ベンゾイルBz、ピバロイルPvから選ばれる一種類である中間体化合物が提供される。以下の化合物
【化22】
A1、
【化23】
B1、
【化24】
C1、
【化25】
D1が好ましい。化合物
【化26】
は、これまで報告されたことのない新しい化合物であり、我々は合成に創造的なデザインを使用している。
【0013】
前のステップで得られた中間体化合物
【化27】
を適切な溶媒Oに溶解し、脱水試薬Pを添加し、反応により
【化28】
が得られ、
前記溶媒Oは、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、ベンゼン、トルエン、メシチレン、キシレン、クロロベンゼン、エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランから選ばれる一種類又は複数種類であることが好ましく、
前記試薬Pは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ポリリン酸、バージェス試薬、ビス[a,a-ビス(トリフルオロメチル)フェニルエタノール]-硫化ジフェニル、二硫化炭素、ヨードメタン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、N-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、シアヌル酸クロリドから選ばれる一種類又は複数種類であることが好ましく、
前記試薬Pは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ポリリン酸、バージェス試薬又はビス[a,a-ビス(トリフルオロメチル)フェニルエタノール]-硫化ジフェニルであり、前記溶媒Oはジクロロメタンであることが好ましく、
当該ステップにおける反応温度は、-78℃~25℃であり、-40℃~25℃であることが好ましい。
【0014】
当該ステップにおいて、反応が完了した後に、
【化29】
を反応液から分離することをさらに含むことが好ましい。
【0015】
前記分離は、
【化30】
が得られるように、減圧により溶媒を蒸発乾燥させ、それから、中圧クロマトグラフィーで精製又は再結晶することを含むことが好ましい。
【0016】
本特許によれば、化合物
【化31】
から脱水閉環させることにより得られ、構造式が
【化32】
であり、Rは、トリメチルシリルTMS、tert-ブチルジメチルシリルTBS、tert-ブチルジフェニルシリルTBDPS、ジエチルイソプロピルシリルDEIPS、トリイソプロピルシリルTIPS、トリフェニルシリルTPS、トリメチルシリルMes、ベンジルBn、p-メトキシベンジルPMB、トリフェニルメチルTr、2-テトラヒドロピラニルTHP、メトキシメチルMOM、2-エトキシエチルEE、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルSEM、アリルAllyl、アセチルAc、ベンゾイルBz、ピバロイルPvから選ばれる一種類である中間体化合物がさらに提供される。化合物
【化33】
は、これまで報告されたことのない新しい化合物であり、我々は合成に創造的なデザインを使用している。
【0017】
化合物
【化34】
を適切な溶媒Qに溶解し、脱保護試薬Sを添加し、脱保護反応により
【化35】
が得られ、
Rは、トリメチルシリルTMS、tert-ブチルジメチルシリルTBS、tert-ブチルジフェニルシリルTBDPS、ジエチルイソプロピルシリルDEIPS、トリイソプロピルシリルTIPS、トリフェニルシリルTPS、トリメチルシリルMes、ベンジルBn、P-メトキシベンジルPMB、トリフェニルメチルTr、2-テトラヒドロピラニルTHP、メトキシメチルMOM、2-エトキシエチルEE、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルSEM、アリルAllyl、アセチルAc、ベンゾイルBz、ピバロイルPvから選ばれる一種類であり、
前記試薬Sは、塩酸メタノール溶液、塩酸エタノール溶液、塩酸1,4-ジオキサン溶液、塩酸エーテル溶液、塩酸テトラヒドロフラン、酢酸テトラヒドロフラン溶液、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、Pd/C触媒水素化、DDQ、p-トルエンスルホン酸、メタノール/水酸化ナトリウム、メタノール/ナトリウムメトキシドから選ばれる一種類又は複数種類であり、
前記溶媒Qは、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、アセトニトリル、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、ベンゼン、トルエン、メシチレン、キシレン、クロロベンゼン、エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランから選ばれる一種類又は複数種類であり、
当該ステップにおいて、反応温度は-50℃~50℃であり、-30℃~25℃であることが好ましい。
当該ステップにおいて、試薬Sはテトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)であり、試薬Qはテトラヒドロフランであることが好ましい。
当該ステップにおいて、反応が完了した後に、
【化36】
を反応液から分離することが好ましい。
前記分離は、
【化37】
が得られるように、減圧により溶媒を蒸発乾燥させ、それから、中圧クロマトグラフィーで精製又は再結晶することを含むことが好ましい。
【0018】
本発明の調製方法によれば、PNU-159682を合成するために構造式が
【化38】
である化合物Nemorubicinを直接使用しないので、N原子反応の有効性が向上し、それにより、第一級アルコールが酸化される副反応の発生が効果的に制御され、大量生産時における危険性及び操作の難易度が低減され、逆相調製を必要とせずに、調製生産は操作が簡便である。上記のように、当該方法によれば、操作の難易度が低減され、品質基準が制御しやすくなり、1000グラムレベルの調製にも適用することができる。本発明の調製方法によれば、保護基を導入し、拡大しやすい試薬に変更することにより、プロセスの安定性、実用性及び拡大可能性が向上する。
【0019】
本明細書において、一般的に使用される有機物の略語の定義及び対応するCAS番号を表1に示す。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1a】本発明により合成されたA1の液体クロマトグラムである。
【
図1b】本発明により合成されたA1の液体クロマトグラフィーデータグラフである。
【
図2a】本発明により合成された化合物A1のガスクロマトグラムである。
【
図2b】本発明により合成された化合物A1のマススペクトルである。
【
図3】本発明により合成された化合物A1の核磁気共鳴スペクトルである。
【
図4a】本発明により合成されたA2の液体クロマトグラムである。
【
図4b】本発明により合成されたA2の液体クロマトグラフィーデータグラフである。
【
図5a】本発明により合成された化合物A2のガスクロマトグラムである。
【
図5b】本発明により合成された化合物A2のマススペクトルである。
【
図6a】本発明により合成されたA3の液体クロマトグラムである。
【
図6b】本発明により合成されたA3の液体クロマトグラフィーデータグラフである。
【
図7a】本発明により合成された化合物A3のガスクロマトグラムである。
【
図7b】本発明により合成された化合物A3のマススペクトルである。
【
図8】本発明により合成された化合物A3の核磁気共鳴スペクトルである。
【
図9a】本発明により合成された化合物PNU-159682の液体クロマトグラムである。
【
図9b】本発明により合成された化合物PNU-159682の液体クロマトグラフィーデータグラフである。
【
図10a】本発明により合成された化合物PNU-159682のガスクロマトグラムである。
【
図10b】本発明により合成された化合物PNU-159682のマススペクトルである。
【
図11】本発明により合成された化合物PNU-159682の核磁気共鳴スペクトルである。
【
図12a】本発明により合成された化合物B1の液体クロマトグラムである。
【
図12b】本発明により合成された化合物B1の液体クロマトグラフィーデータグラフである。
【
図13a】本発明により合成された化合物B1のガスクロマトグラムである。
【
図13b】本発明により合成された化合物B1のマススペクトルである。
【
図14】本発明により合成された化合物B1の核磁気共鳴スペクトルである。
【
図15a】本発明により合成された化合物C1の液体クロマトグラムである。
【
図15b】本発明により合成された化合物C1の液体クロマトグラフィーデータグラフである。
【
図16a】本発明により合成された化合物C1のガスクロマトグラムである。
【
図16b】本発明により合成された化合物C1のマススペクトルである。
【
図17】本発明により合成された化合物C1の核磁気共鳴スペクトルである。
【
図18a】本発明により合成された化合物D1の液体クロマトグラムである。
【
図18b】本発明により合成された化合物D1の液体クロマトグラフィーデータグラフである。
【
図19a】本発明により合成された化合物D1のガスクロマトグラムである。
【
図19b】本発明により合成された化合物D1のマススペクトルである。
【
図20】本発明により合成された化合物D1の核磁気共鳴スペクトルである。
【
図21a】本発明により合成された化合物B2のガスクロマトグラムである。
【
図21b】本発明により合成された化合物B2のマススペクトルである。
【
図22a】本発明により合成された化合物B2の液体クロマトグラムである。
【
図22b】本発明により合成された化合物B2の液体クロマトグラフィーデータグラフである。
【
図23a】本発明により合成された化合物B3のガスクロマトグラムである。
【
図23b】本発明により合成された化合物B3のマススペクトルである。
【
図24】本発明により合成された化合物B3の核磁気共鳴スペクトルである。
【
図25a】本発明により合成された化合物C2のガスクロマトグラムである。
【
図25b】本発明により合成された化合物C2のマススペクトルである。
【
図26a】本発明により合成された化合物C2の液体クロマトグラムである。
【
図26b】本発明により合成された化合物C2の液体クロマトグラフィーデータグラフである。
【
図27a】本発明により合成された化合物C3のガスクロマトグラムである。
【
図27b】本発明により合成された化合物C3のマススペクトルである。
【
図28】本発明により合成された化合物C3の核磁気共鳴スペクトルである。
【
図29】本発明により合成された化合物PNU-159682の分子構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下は、本発明の技術的手段について、具体的な実施形態に基づいてさらに詳細に説明する。なお、以下の実施例は、本発明の技術的概念及び特徴を説明するものに過ぎず、その目的は、当業者が本発明の内容を理解し、実施することができるようにすることであり、本発明の保護範囲を制限するものではない。本説明の精神の本質に基づく同等の変更又は修正は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【0022】
LCMSは液体クロマトグラフィー/質量分析検出法を表し、HPLCは高速液体クロマトグラフィー検出法を表する。
【0023】
本発明に係る各ステップの反応のための原料及び試薬は、市場から購入し、又は本発明に記載の方法に従って調製することができる。
【0024】
本発明によれば、以下のステップを含むPNU-159682を合成する方法が提供される。
【化39】
【0025】
まず、構造式が
【化40】
である化合物(ネモルビシンnemorubicin)を溶媒Xに溶解し、溶媒Xは、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、水、ベンゼン、エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランから選ばれる一種類又は複数種類であり、4-ジメチルアミノピリジン、ピリジン、イミダゾール、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びジイソプロピルジアミンの一種類又は複数種類により、保護基Rを有する置換試薬と反応させ、すなわち保護基Rで置換することにより、構造式が
【化41】
である中間体化合物が得られる。保護基Rは、トリメチルシリルTMS、tert-ブチルジメチルシリルTBS、tert-ブチルジフェニルシリルTBDPS、ジエチルイソプロピルシリルDEIPS、トリイソプロピルシリルTIPS、トリフェニルシリルTPS、トリメチルシリルMes、ベンジルBn、P-メトキシベンジルPMB、トリフェニルメチルTr、2-テトラヒドロピラニルTHP、メトキシメチルMOM、2-エトキシエチルEE、2-(トリメチルシリル)エトキシメチルSEM、アリルAllyl、アセチルAc、ベンゾイルBz、ピバロイルPvから選ばれる一種類であり、当該ステップにおける置換反応の反応温度は、-20~80℃であり、20~25℃であることが好ましい。
【0026】
前のステップで得られた化合物
【化42】
を適切な溶媒Mに溶解し、溶媒Mは、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、水、ベンゼン、エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランから選ばれる一種類又は複数種類であり、酸化試薬Nを添加し、試薬Nは、ジョーンズ試薬(Jones試薬)、Collins試薬(CrO3.2Py)、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)、ピリジン二クロム酸塩(PDC)、二酸化マンガン、DMSO、デイズマーティン酸化剤、過マンガン酸カリウム、過ヨウ素酸、四酸化オスミウム、30%過酸化水素水、メタクロロ過安息香酸m-CPBA、tert-ブチルヒドロペルオキシドTBHP、ペルオキシアセトン(DMDO)から選ばれる一種類又は複数種類であり、酸化反応により、
【化43】
が得られ、酸化反応温度は-50℃~50℃であり、-40℃~25℃であることが好ましく、反応が完了した後に、反応液を分離操作し、減圧により溶媒を蒸発乾燥させ、それから、中圧クロマトグラフィーで精製又は再結晶することにより、
【化44】
が得られる。
【0027】
得られた化合物
【化45】
を適切な溶媒Oに溶解し、溶媒Oは、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、ベンゼン、トルエン、メシチレン、キシレン、クロロベンゼン、エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランから選ばれる一種類又は複数種類であり、脱水試薬Pを添加し、試薬Pは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ポリリン酸、バージェス試薬、ビス[a,a-ビス(トリフルオロメチル)フェニルエタノール]-硫化ジフェニル、二硫化炭素、ヨードメタン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水素化ナトリウム、カリウムtert-ブトキシド、ナトリウムtert-ブトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、N-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、シアヌル酸クロリドから選ばれる一種類又は複数種類であり、反応により
【化46】
が得られ、反応温度は-78℃~25℃であり、-40℃~25℃であることが好ましく、反応が完了した後に、分離操作する。減圧により溶媒を蒸発乾燥させ、それから、中圧クロマトグラフィーで精製又は再結晶することにより、
【化47】
が得られることが好ましい。
【0028】
化合物
【化48】
を適切な溶媒Qに溶解し、溶媒Qは、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、アセトニトリル、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、ベンゼン、トルエン、メシチレン、キシレン、クロロベンゼン、エーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、メチルtert-ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン及び2-メチルテトラヒドロフランから選ばれる一種類又は複数種類であり、脱保護試薬Sを添加し、試薬Sは、塩酸メタノール溶液、塩酸エタノール溶液、塩酸1,4-ジオキサン溶液、塩酸エーテル溶液、塩酸テトラヒドロフラン、酢酸テトラヒドロフラン溶液、テトラメチルアンモニウムフルオリド、テトラエチルアンモニウムフルオリド、テトラ-n-ブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)、Pd/C触媒水素化、DDQ、p-トルエンスルホン酸、メタノール/水酸化ナトリウム、メタノール/ナトリウムメトキシドから選ばれる一種類又は複数種類であり、脱保護反応により、
【化49】
が得られ、反応温度は-50℃~50℃であり、-30℃~25℃であることが好ましい。反応が完了した後に、分離操作する。PNU-159682
【化50】
が得られるように減圧により溶媒を蒸発乾燥させ、それから、中圧クロマトグラフィーで精製又は再結晶することが好ましい。
【0029】
(実施例1)
反応経路は以下のとおりである。
【化51】
【0030】
ステップ1:
R=TBSの場合、A1の合成:
1)Nemorubicin 1.0eq 20g、8V/160mlの無水DMFを取り、室温で攪拌し、内温10~25度。
2)2.5eq/5.28gのイミダゾールを添加し、2min攪拌し、TBSCl(1.5eq)/7.02gを取り、5min間隔で二回に分けて添加し、25度以下に温度を制御し、室温で攪拌する。
3)2h間隔でHPLCをサンプリングして原料の反応状況を検出し、5~8h前後で反応が完全になる。
4)反応完全後処理:5V(DMFに対して)の水を取り、機械的に攪拌しながら、反応システムを水に滴下する。オイルポンプで水を引き、又は凍結乾燥機で凍結乾燥させることにより、濃い赤色の粉末状の固体生成物A1が得られる。
【0031】
ステップ2、a2の合成:
1)A1 10g(1.0eq)、13Vの無水DCM130mlを取り、内温-40~-35度まで下がるように攪拌する。
2)m-CPBA(85% 1.02eq)を10min間隔で三回に分けて反応システムに添加する。添加して30min後にサンプリング検出を開始し、HPLC/LCMSをそれぞれ検出し、1h前後で反応が完全になる。
3)HPLCで反応が完全であることを確認し、KIデンプン試験紙でシステムにおける酸化物の残留状況を検出し、試験紙が青色に変化しない場合は、次のステップに進む。
【0032】
ステップ3、A3の合成
4)バージェス試薬3.5eq 1.1gを取り20mlのDCMに溶解し、反応システムに滴下し、添加した後に低温浴を取り外し、室温20~25度まで自然に昇温し4~8時間反応させ、HPLC/LCMSを検出し、反応が完全であることを確認する。
5)後処理:システムを回転蒸発させ、全体積の2/3の溶媒を除去し、クロマトグラフィーカラムで精製する。
6)精製条件:DCM-10%EtOH/DCM勾配が上昇する。
7)最終的に濃い赤褐色の固体生成物A3が得られる。
【0033】
ステップ4:
1)A3 1.0eq/16g、10V/160mlの無水THFを取り、攪拌して溶解し、温度-3~2度まで冷却し、TBAF 1.3eq/27.5ml(1.0M in THF)を反応システムに滴下し、5min後にサンプリングを開始し、LCMS/HPLC-40により30minで反応が完全であることを検出する。
2)後処理:システムに10V/160ml/水を添加し、THFなどの溶媒を濃縮して除去する。粗品システムを湿式法により直接カラムに置き、少量の水でボトルをすすぎ、中圧逆相カラムで精製する。
3)精製条件:0~20min 10%アセトニトリル/炭酸水素アンモニウム水、20~120min 10%~90%アセトニトリル/炭酸水素アンモニウム水、製品が完成したらカラムをすすぐ。
4)製品を合わせて凍結乾燥させることにより収率が60%である10gの製品が得られる。
【0034】
(実施例2)
反応経路は以下のとおりである。
【化52】
【0035】
ステップ1:
R=TBDPSの場合、B1の合成:
1)Nem 1.0eq 200mg、8V/4mlの無水DMF、室温で攪拌し、内温20~25度。
2)2.5eq/53mgのイミダゾールを添加し、2min攪拌し、TBDPSCl(1.5eq)/128mgを取り反応液に添加し、25度以下に温度を制御し、室温で攪拌する。
3)2h間隔でHPLCをサンプリングして原料の反応状況を検出し、5~8h前後で反応が完全になる。
4)反応完全後処理:10V(DMFに対して)の水を取り、常温で攪拌し、反応システムを水に滴下する。システムに酢酸エチル10Vを添加し、(DMFに対して)分液を三回抽出し、有機相を合わせ、水10V(DMFに対して)で三回洗浄し、濃縮して遠心脱水し、カラムで精製することにより濃い赤褐色の固体生成物B1(150mg,54.7%)が得られる。
【0036】
ステップ2、B2の合成:
1)B1 2.0g(1.0eq)、13Vの無水DCM26mlを取り、内温-55~-60度まで下がるように攪拌する。
2)m-CPBA 0.47g(85% 1.01eq)を10min間隔で三回に分けて反応システムに添加する。添加して30min後にサンプリング検出を開始し、HPLC/LCMSをそれぞれ検出し、1~2h前後で反応が完全になり、B2が得られる。
3)KIデンプン試験紙でシステムにおける酸化物の残留状況を検出し、試験紙が青色に変化しない場合は、次のステップに進む。
【0037】
ステップ3、B3の合成:
4)バージェス試薬3.5eq 1.89gを取り20mlのDCMに溶解し、反応システムに滴下し、添加した後に低温浴を取り外し、室温20~25度まで自然に昇温し8~15h反応させ、HPLC/LCMSを検出し、反応が完全であることを確認する。
5)後処理:システムを回転蒸発させ、全体積の2/3の溶媒を除去し、クロマトグラフィーカラムで精製する。
6)精製条件:DCM-10%EtOH/DCM勾配が上昇する。
7)最終的に濃い赤褐色の固体生成物B3が得られる。
【0038】
ステップ4は、実施例1のステップ4を参照して、収率が50%であるPNU-159682が得られる。
【0039】
(実施例3)
反応経路は以下のとおりである。
【化53】
【0040】
ステップ1:
R=TPSの場合、C1の合成:
1)Nem 1.0eq 150mg、8V/4mlの無水DMF、室温で攪拌し、内温20~25度。
2)3.5eq/55mgのイミダゾールを添加し、2min攪拌し、TPSCl(2.0eq)/128mgを取り反応液に添加し、25度以下に温度を制御し、室温で攪拌する。
3)2h間隔でHPLCをサンプリングして原料の反応状況を検出し、5~8h前後で反応がほぼ完全になる。
4)反応完全後処理:10V(DMFに対して)の水を取り、常温で攪拌し、反応システムを水に滴下する。システムに酢酸エチル10Vを添加し、(DMFに対して)分液を三回抽出し、有機相を合わせ、水10V(DMFに対して)で三回洗浄し、濃縮して遠心脱水し、カラムで精製することにより濃い赤褐色の固体生成物C1(60mg,28.7%)が得られる。
【0041】
ステップ2、C2の合成:
1)C1 2.0g(1.0eq)、13Vの無水DCM26mlを取り、内温-55~-60度まで下がるように攪拌する。
2)m-CPBA 0.46g(85% 1.01eq)を10min間隔で三回に分けて反応システムに添加する。添加して30min後にサンプリング検出を開始し、HPLC/LCMSをそれぞれ検出し、1~2h前後で反応が完全になり、C2が得られる。
3)KIデンプン試験紙でシステムにおける酸化物の残留状況を検出し、試験紙が青色に変化しない場合は、次のステップに進む。
【0042】
ステップ3、C3の合成:
4)バージェス試薬3.5eq 1.85gを取り20mlのDCMに溶解し、反応システムに滴下し、添加した後に低温浴を取り外し、室温20~25度まで自然に昇温し8~15h反応させ、HPLC/LCMSを検出し、反応が完全であることを確認する。
5)後処理:システムを回転蒸発させ、全体積の2/3の溶媒を除去し、クロマトグラフィーカラムで精製する。
6)精製条件:DCM-10%EtOH/DCM勾配が上昇する。
7)最終的に濃い赤褐色の固体生成物C3が得られる。
【0043】
ステップ4は、実施例1のステップ4を参照して、収率が50%であるPNU-159682が得られる。
【0044】
【0045】
ステップ1:
R=TIPSの場合、D1の合成:
1)Nem 1.0eq 150mg、8V/4mlの無水DMF、室温で攪拌し、内温20~25度。
2)2.5eq/40mgのイミダゾール、0.5eq/14mgのDMAPを添加し、氷水浴下で5min攪拌し、TIPSCl(3.0eq)/135mgを取り氷水浴下で反応液に添加し、室温で攪拌する。
3)1h間隔でHPLCをサンプリングして原料の反応状況を検出し、3h前後で反応が完全になる。
4)反応完全後処理:10V(DMFに対して)の飽和塩化アンモニウム水溶液を取り、常温で攪拌し、反応システムをそれに滴下する。システムに酢酸エチル10Vを添加し、(DMFに対して)分液を三回抽出し、有機相を合わせ、水10V(DMFに対して)で三回洗浄し、濃縮して遠心脱水し、カラムで精製することにより濃い赤褐色の固体生成物D1(100mg,53.7%)が得られる。
【0046】
ステップ2、3、4は、実施例1を参照して、収率が25%であるPNU-159682が得られる。
【国際調査報告】