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特表2022-518850線維芽細胞成長因子21変異体、その融合タンパク質とその使用
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  • 特表-線維芽細胞成長因子21変異体、その融合タンパク質とその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】線維芽細胞成長因子21変異体、その融合タンパク質とその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20220309BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220309BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20220309BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220309BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220309BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20220309BHJP
   C07K 14/50 20060101ALI20220309BHJP
   C07K 14/575 20060101ALI20220309BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20220309BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220309BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220309BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220309BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/12
C12N15/13
C07K19/00
C07K16/18
C07K14/50
C07K14/575
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/02 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544582
(86)(22)【出願日】2019-11-22
(85)【翻訳文提出日】2021-07-30
(86)【国際出願番号】 CN2019120357
(87)【国際公開番号】W WO2020155807
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】201910093697.4
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】521173351
【氏名又は名称】北京双因生物科技有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】521173362
【氏名又は名称】段海峰
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】段海峰
(72)【発明者】
【氏名】解晶
(72)【発明者】
【氏名】弓景波
(72)【発明者】
【氏名】薛冰華
(72)【発明者】
【氏名】肖秀孝
(72)【発明者】
【氏名】張群偉
(72)【発明者】
【氏名】崔美蘭
(72)【発明者】
【氏名】▲ホウ▼如梦
(72)【発明者】
【氏名】于▲テイ▼▲テイ▼
(72)【発明者】
【氏名】王瑞
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG13
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA44
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA01
4H045DA76
4H045EA23
4H045EA27
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、線維芽細胞成長因子21変異体、その融合タンパク質とその使用を開示している。前記融合タンパク質には、線維芽細胞成長因子21変異体、GLP-1変異体とFC配列が含まれる。本発明によって提供される融合タンパク質は、高い活性、長い半減期、新しい構造を有し、血糖、体重を有意に減少させ、脂肪代謝を改善することができる。本発明はまた、前記の融合タンパク質のコードヌクレオチド配列を含む融合遺伝子、発現コンストラクト、宿主細胞、および前記融合タンパク質、融合遺伝子、発現コンストラクト、宿主細胞または医薬組成物の、肥満、高血脂症、糖尿病及び心血管疾患のための医薬の調製における使用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変異体のアミノ酸配列が以下の一般式Iで示される:
一般式I
DSSPLLQFGGQVRQX15YLYTDDAQQTEAHLEIREDGTVGGAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFREX94LLEDGYNVYQSEAHGLPLHX114PGNKSPHRDPAPRGPX130RFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLSMVGGSQGRSPSYX176
ここで、X15がArgまたはValであり、
94がLeuまたはArgであり、
114がLeuまたはCysであり、
130がAlaまたはCysであり、
176がAlaまたはGluであり、
さらに、X94とX114の1つだけのサイトがLeuであり、X130とX176の多くても1つのサイトがAlaであり、
好ましくは、前記変異体のアミノ酸配列が配列番号1~4のいずれか1つに示されることを特徴とするヒト化線維芽細胞成長因子21の変異体。
【請求項2】
以下の一般式で示される融合タンパク質であって、
G-L-Fc-L-F、または
G-L-G-L-Fc-L-F。
ここで、Fは、請求項1に記載のヒト化線維芽細胞成長因子21の変異体を表し、
Gは、GLP-1変異体を表し、そのアミノ酸配列が配列番号5に示され、
Lは、リンカー配列を表し、
FCは、ヒトまたは動物の免疫グロブリンとそのアイソフォおよび変異体、ヒトまたは動物アルブミンとその変異体またはPEGを表すことを特徴とする融合タンパク質。
【請求項3】
前記Lの一般式が(GGGGS)nであり、ここで、nが0~5の整数であり、
FCは、IgG4 FCフラグメントを表し、好ましくは、前記FCは、配列番号17で示されるアミノ酸配列を含み、
前記融合タンパク質はまた、その他の抗原、機能的アミノ酸配列および/またはシグナルペプチド配列を含み、前記機能的アミノ酸配列がヒスチジンタグまたはGSTタグであり、
より好ましくは、前記融合タンパク質のアミノ酸配列が配列番号6~9、18または24~26のいずれか1つに示されることを特徴とする請求項2に記載の融合タンパク質。
【請求項4】
前記融合遺伝子は、請求項1に記載のヒト化線維芽細胞成長因子21の変異体または請求項2または3に記載の融合タンパク質のコードヌクレオチド配列を含み、
好ましくは、前記線維芽細胞成長因子21の変異体のコードヌクレオチド配列が配列番号20~23のいずれか1つに示される。
前記融合タンパク質のコードヌクレオチド配列が配列番号10~13、19または27~29のいずれか1つに示されることを特徴とする融合遺伝子。
【請求項5】
前記発現コンストラクトは、請求項1に記載のヒト化線維芽細胞成長因子21の変異体または請求項2または3に記載の融合タンパク質のコードヌクレオチド配列を含むことを特徴とする発現コンストラクト。
【請求項6】
前記発現コンストラクトは、原核生物の発現コンストラクトまたは真核生物の発現コンストラクトであり、
好ましくは、前記原核生物の発現コンストラクトがpETベクターシリーズであり、
前記真核生物の発現コンストラクトがプラスミドDNAベクター、組換えウィルスベクター、またはレトロウイルスベクターであることを特徴とする請求項5に記載の発現コンストラクト。
【請求項7】
請求項5または6に記載の発現コンストラクトを含む宿主細胞であって、
前記発現コンストラクトが原核生物の発現コンストラクトである場合、前記宿主細胞は、原核生物細胞であり、好もしくは細菌細胞であり、或いは
前記発現コンストラクトが真核生物の発現コンストラクトである場合、前記宿主細胞は、真核生物細胞であり、好ましくは哺乳動物細胞であり、より好ましくはCHO細胞であることを特徴とする宿主細胞。
【請求項8】
請求項1に記載のヒト化線維芽細胞成長因子21の変異体または請求項2または3前記融合タンパク質を含む医薬組成物。
【請求項9】
融合タンパク質を調製するための方法であって、請求項1に記載のヒト化線維芽細胞成長因子21の変異体または請求項2または3前記融合タンパク質のコードヌクレオチド配列を発現ベクターにクローニングする工程を含む方法。
好ましくは、前記調製方法は、以下の工程を含む:
1)請求項1に記載のヒト化線維芽細胞成長因子21の変異体或いは請求項2または3に記載の融合タンパク質の核酸配列を構築する。
2)工程1)の核酸配列を含む発現ベクターを構築する。及び
3)工程2)の発現ベクターを宿主細胞のトランスフェクションまたは形質転換に用い、宿主細胞で前記核酸配列を発現させる。
より好ましくは、工程3)において、前記宿主細胞がCHO-S細胞である。
【請求項10】
請求項1に記載のヒト化線維芽細胞成長因子21の変異体、または請求項2または3前記融合タンパク質、請求項4に記載の融合遺伝子、請求項5または6に記載の発現コンストラクト、請求項7に記載の宿主細胞または請求項8に記載の医薬組成物の、糖尿病、肥満、高血脂症および心血管疾患のための医薬の調製における使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明はバイオ医薬品の分野に属する。具体的には、本発明は、線維芽細胞成長因子21変異体に関する。更具体的には、本発明はまた、線維芽細胞成長因子21変異体、GLP-1変異体とFC配列が含まれる融合タンパク質とその使用に関する。
〔背景技術〕
現代人の長期の座りがちな生活と過剰なカロリー摂取は、肥満、非アルコール性脂肪肝と2型糖尿病の世界的な蔓延を悪化させている。エネルギー代謝におけるこれらの欠陥は、さらに深刻な心血管疾患、さらには腫瘍を引き起こす可能性がある。現在、肥満やそれに関連する合併症の効果的な治療法は限られており、副作用が少なく、エネルギー代謝の不均衡を是正できる新薬を見つけることが急務となっている。
【0002】
線維芽細胞成長因子21(FGF21)は、線維芽細胞成長因子(FGF)ファミリーに属し、重要な代謝調節因子であり、チロシンキナーゼ膜貫通受容体ファミリーのFGF受容体(FGFRs)及びコレセプターβ-klotho(KLB)を活性化することによってエネルギーと糖脂質代謝のバランスの調節に関与している(Sonoda J、ChenMZ、Baruch A. Hormone Molecular Biology and Clinical Investigation、2017、30(2):1~13)。野生型のヒトFGF21は、181アミノ酸を含む分泌型ポリペプチドであり、マウスのFGF21とのアミノ酸配列相同性が81%である。ヒトFGF21配列のNセグメント末端はFGFRsと相互作用に関与し、Cセグメント配列はコレセプターKLBへの結合に不可欠である(Micanovic R、Raches DW、Dunbar JD、ら. Journal of Cellular Physiology、2009、219(2): 227~234)。FGF21は、主にAMPK/SIRT1/PGC1αを活性化することにより、高血糖を緩和し、トリグリセリドレベルを低下させ、脂質代謝を改善する(Chau MD、Gao J、Yang Q、ら. Proceedings of the National Academy of Sciences USA、2010、107(28):12553-12558)。FGF21は、様々な代謝性疾患の治療に効果的な標的であると考えられている。例えば、組換えFGF21タンパク質をマウスと被験者の体内に注射すると、血清グルコース、トリグリセリド、コレステロールのレベルを下げ、インスリン感受性を高め、エネルギー代謝を促進し、脂肪肝と肥満を減らすことができる。(Hecht R、Li YS、Sun Jら. PLoS One、2012、7(11):e49345。Kharitonenkov A、Beals JM、Micanovic Rら. PLoS One. 2013。8(3):e58575)。FGF21は、体内での半減期は非常に短く、霊長類ではわずか0.5~2時間である。また、FGF21はN末端のP2およびP4部位でプロテアーゼDPPIVによって血中で容易に切断され、そして線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)はC末端のP171部位で切断され、それによってその活性を失っている(Sonoda J、Chen MZ、Baruch A. Hormone Molecular Biology and Clinical Investigation、2017、30(2):1~13)。これらの問題は、代謝性疾患の治療薬としてのFGF21の開発で遭遇する大きな課題である。
【0003】
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、グルカゴンペプチドファミリーのメンバーであり、内因性のインクレチンであり、グルコースの輸送と代謝のプロセスに関与している(Lee S、Lee DY. Annals of Pediatric Endocrinology&Metabolism、2017、22(1):15-26)。人体には2つの形態のGLP-1がある。GLP-1(7-36)は主に膵臓組織から分泌され、GLP-1(7-37)は主に腸から分泌される。GLP-1は、Gタンパク質共役型受容体ファミリーのGLP-1受容体(GLP-1R)を活性化することにより、下流のcAMP依存性シグナル伝達経路を活性化する。GLP-1受容体アゴニストも現在、2型糖尿病の治療の人気のある標的であり、ノボノルディスクのリラグルチドやイーライリリーのデュラグルチドなど、様々な薬剤が2型糖尿病の治療での臨床使用が承認されている。これらのGLP-1受容体作動薬は、体重を減らす効果もあるが、主に食欲を抑制し、摂食量を制御することによって達成され、それは患者の生活の質を低下させる。(Glaesner W、Vick AM、Millican R、ら. Diabetes/Metabolism Research and Reviews、2010、26(4):287-296)。
【0004】
融合タンパク質の研究はここ数年でかなりの進歩を遂げましたが、その究極の臨床応用の輝かしい展望がますます見られている。しかし、一般的に言えば、野生型タンパク質配列に基づいて融合タンパク質を直接調製すると、その空間構造に影響を与え、その活性に影響を与える。出願番号CN201280057819.0の特許出願は、線維芽細胞成長因子(FGF21)と、その変異体を含む対象の代謝プロファイルを改善することが知られている他の代謝調節因子を含む新しいタンパク質が開示されている。また、代謝状態を含む、FGF21関連疾患、GLP-1関連疾患、およびエキセンディン-4関連疾患の治療方法も開示されている。しかしながら、その発明により得られた融合タンパク質の活性があまり高くないため、実際の臨床使用においては頻繁に投与する必要があり、臨床コンプライアンスをさらに改善する必要がある。
【0005】
したがって、より高い活性およびより良好なコンプライアンスを有するFGF21関連疾患の治療薬が依然として必要とされている。
〔発明の概要〕
そこで、本発明の目的は、先行技術の欠点を考慮して、GLP-1およびFGF21活性の両方を有する融合タンパク質を提供することであり、本発明はまた、タンパク質の調製方法およびその使用を提供する。本発明によって提供されるタンパク質は、肥満、高脂血症、糖尿病、ならびに心血管および脳血管疾患を含む代謝性疾患の治療または予防に使用される。従来技術と比較して、本発明によって提供される融合タンパク質は、高い活性、長い半減期、新しい構造を有し、血糖、血中脂肪、体重を有意に減少させ、脂肪代謝を改善することができる。
【0006】
具体的には、本発明の目的は以下の態様を提供することである。
【0007】
一態様では、本発明は、ヒト化線維芽細胞成長因子21(FGF21)の変異体を提供し、前記変異体のアミノ酸配列が以下の一般式Iで示される:
一般式I
DSSPLLQFGGQVRQX15YLYTDDAQQTEAHLEIREDGTVGGAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFREX94LLEDGYNVYQSEAHGLPLHX114PGNKSPHRDPAPRGPX130RFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLSMVGGSQGRSPSYX176
ここで、X15がArgまたはValであり、X94がLeuまたはArgであり、X114がLeuまたはCysであり、X130がAlaまたはCysであり、X176がAlaまたはGluであり、
さらに、X94とX114の1つだけのサイトがLeuであり、X130とX176の多くても1つのサイトがAlaであり、
好ましくは、そのアミノ酸配列が配列番号1~4のいずれか1つに示される。
【0008】
別の一態様では、本発明は、融合タンパク質を提供し、前記融合タンパク質が以下の一般式で示される通りである。
【0009】
G-L-Fc-L-F、またはG-L-G-L-Fc-L-F。
【0010】
ここで、Gは、本発明のヒト化FGF21の変異体を表す。
【0011】
Gは、GLP-1変異体(GLP-1v)を表す、そのアミノ酸配列が配列番号5に示されている。
【0012】
Lは、リンカー配列を表す。
【0013】
FCは、ヒトまたは動物の免疫グロブリンとそのアイソフォおよび変異体、ヒトまたは動物アルブミンとその変異体またはPEGを表す。
【0014】
本発明に記載の融合タンパク質によれば、前記Lの一般式が(GGGGS)nであり、ここで、nが0~5の整数であり、好ましくは、nが3であり、
好ましくは、FCは、IgG4FCフラグメントを表す。より好ましくは、前記FCは、配列番号17で示されるアミノ酸配列を含む。
【0015】
本発明に記載の融合タンパク質によれば、前記融合タンパク質はまた、その他の抗原、機能的アミノ酸配列および/またはシグナルペプチド配列を含む。好ましくは、前記機能的アミノ酸配列がヒスチジンタグまたはGSTタグである。
【0016】
好ましくは、前記融合タンパク質のアミノ酸配列が配列番号6~9、18または24~26のいずれか1つに示される通りである。
【0017】
別の一態様では、本発明は、融合遺伝子を提供し、ここで、前記融合遺伝子は本発明に記載のヒト化FGF21の変異体または融合タンパク質のコードヌクレオチド配列を含む。前記FGF21の変異体のコードヌクレオチド配列が配列番号20~23のいずれか1つに示される。
【0018】
前記融合タンパク質のコードヌクレオチド配列が配列番号10~13、19または27~29のいずれか1つに示される通りである。
【0019】
別の一態様では、本発明は、発現コンストラクトを提供し、ここで、前記発現コンストラクトは、本発明に記載のヒト化FGF21の変異体または融合タンパク質のコードヌクレオチド配列を含む。
【0020】
本発明に記載の発現コンストラクトによれば、前記発現コンストラクトは、原核生物の発現コンストラクトであり、好ましくは、前記原核生物の発現コンストラクトがpETベクターシリーズである。
【0021】
または前記発現コンストラクトが真核生物の発現コンストラクトであり、好ましくは、前記真核生物の発現コンストラクトがプラスミドDNAベクターであり、好ましくはpVAX1ベクターとpSV1.0ベクターである。組換えウィルスベクターは、好ましくは組換えワクシニアウィルスベクター、組換えアデノウイルスベクターまたは組換えアデノ随伴ウィルスベクターである。或いはレトロウイルスベクターであり、好ましくはHIVウィルスベクター、またはレンチウイルスベクターである。
【0022】
別の一態様では、本発明は、宿主細胞を提供し、ここで、前記宿主細胞は本発明に記載の発現コンストラクトを含む。
【0023】
好ましくは、前記発現コンストラクトが原核生物の発現コンストラクトである場合、前記宿主細胞は、原核生物細胞であり、好もしくは細菌細胞であり、または前記発現コンストラクトが真核生物の発現コンストラクトである場合、前記宿主細胞は、真核生物細胞であり、好ましくは哺乳動物細胞であり、より好ましくはCHO細胞である。
【0024】
別の一態様では、本発明は、医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、本発明に記載のヒト化FGF21の変異体または融合タンパク質を含む。
【0025】
別の一態様では、本発明は、ヒト化FGF21の変異体または融合タンパク質の調製方法を提供し、前記方法には、前記の融合タンパク質のコードヌクレオチド配列を発現ベクターにクローニングする工程を含む。
【0026】
好ましくは、前記調製方法は、以下の工程を含む。
【0027】
1)前記ヒト化FGF21の変異体または融合タンパク質の核酸配列を構築する。
【0028】
2)工程1)の核酸配列を含む発現ベクターを構築する。
【0029】
3)工程2)の発現ベクターを宿主細胞のトランスフェクションまたは形質転換に用い、宿主細胞で前記核酸配列を発現させる。及び
4)工程3)で発現したタンパク質を精製する。
【0030】
より好ましくは、工程3)において、前記宿主細胞がCHO-S細胞である。
【0031】
本発明はまた、前記ヒト化FGF21の変異体または融合タンパク質、融合遺伝子、発現コンストラクト、に記載の宿主細胞または医薬組成物の、糖尿病、肥満、高血脂症および心血管疾患のための医薬の調製における使用を提供する。
【0032】
本発明のヒト化FGF21の変異体(FGF21v)Fv2、Fv3、Fv4とFv5のアミノ酸配列が配列番号1、2、3と4に示される通りである。
【0033】
Fv2配列番号1
DSSPLLQFGGQVRQRYLYTDDAQQTEAHLEIREDGTVGGAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRELLLEDGYNVYQSEAHGLPLHCPGNKSPHRDPAPRGPCRFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLSMVGGSQGRSPSYAS
Fv3配列番号2
DSSPLLQFGGQVRQVYLYTDDAQQTEAHLEIREDGTVGGAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRELLLEDGYNVYQSEAHGLPLHCPGNKSPHRDPAPRGPCRFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLSMVGGSQGRSPSYAS
Fv4配列番号3
DSSPLLQFGGQVRQVYLYTDDAQQTEAHLEIREDGTVGGAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRERLLEDGYNVYQSEAHGLPLHLPGNKSPHRDPAPRGPARFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLSMVGGSQGRSPSYES
Fv5配列番号4
DSSPLLQFGGQVRQVYLYTDDAQQTEAHLEIREDGTVGGAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRELLLEDGYNVYQSEAHGLPLHCPGNKSPHRDPAPRGPCRFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLSMVGGSQGRSPSYES
本発明のヒト化FGF21の変異体(FGF21v)Fv2、Fv3、Fv4とFv5のヌクレオチド配列が配列番号20、21、22と23に示される通りである。
【0034】
従来技術と比較して、本発明は以下の利点を有する:
本発明の実施形態では、低密度リポタンパク質欠損マウスの正常なマウスグルコース負荷モデルを用いて、陽性対照薬としてデュラグルチドを使用して、本発明の融合タンパク質の活性を評価した。結果は、本発明の融合タンパク質が高脂血症の治療に対して良好な治療効果を有し、そしてその利点がより明白であることを示している。
〔図面の簡単な説明〕
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0035】
図1:pcDNA3.4-融合タンパク質のプラスミドマップ。
【0036】
図2:HepG2細胞におけるAMPKのリン酸化および総AMPKに対する野生型GFタンパク質とその変異体の影響。conは薬物で治療されていない細胞である。*はconと比較した有意差を表す(p値<0.05)。**はconと比較して非常に有意差があることを表す(p値<0.001)。##はGFと比較して非常に有意差があることを表す(p値<0.001)。
【0037】
図3:HEK293-GLP1R/β-klotho/CRE-ルシフェラーゼ細胞におけるルシフェラーゼの発現に対する様々なタンパク質の影響。(A)様々なGGFvnタンパク質のEC50値と対応するGFvnタンパク質の比較、n=2-5。(B)G、GFv5とGGFv5のEC50値の比較。
【0038】
図4:ldlr-/-マウス体重(A)及び摂食量(B)に対するGFv5とGGFv5の影響。*はcon群と比較した有意差を表す(p値<0.05)。#はG群と比較した有意差を表す(p値<0.05)。$はGFv5と比較した有意差を表す(p値<0.05)。
【0039】
図5:GFv5とGGFv5対ldlr-/-小血脂の影響。*はcon群と比較した有意差を表す(p値<0.05)。#はG群と比較した有意差を表す(p値<0.05)。$はGFv5と比較した有意差を表す(p値<0.05)。
〔発明を実施するための形態〕
以下、本発明は、好ましい実施形態および実施例を通じてさらに詳細に説明される。これらの説明を通じて、本発明の特徴および利点がより明確になるであろう。
【0040】
ここで、の「例示的」は、「例、実施形態または例示性としての役割を果たす」である。本明細書で「例示的」として記載される任意の実施形態は、他の実施形態よりも優れている、またはより優れていると解釈される必要はない。
【0041】
特に指定のない限り、以下の実施例で使用される試薬はすべて分析グレードの試薬であり、通常のチャネルから市販されている。
【0042】
実施例1本発明の融合タンパク質の調製
前記融合タンパク質は、本発明の従来の技術的手段を使用して調製され、具体的には、以下の工程を含む。pcDNA3.4-TOPO TA cloning kit(Invitech(Shanghai)Trading Co., Ltd.ら購入)を用いて融合タンパク質を含むpcDNA3.4プラスミドを構築し、プラスミドマップが図1に示される。該プラスミドを使用してExpiCHO-S細胞をトランスフェクトし、ExpiCHO発現システム(Invitech(Shanghai)Trading Co., Ltd.ら購入)によりタンパク質を発現させた。
【0043】
本発明の融合タンパク質は、以下の方法による精製後に得られ、上清を0.22μmのフィルター膜で濾過して細胞破片を除去した。protein AアフィニティーカラムHiTrap MabSelect SuRe(GE General Companyから購入)を5カラム容量の平衡化バッファー(5.6mM NaHPO、14.4mM NaHPO、0.15M NaCl、pH7.2)で処理し、次に、上清をロードし、サンプルの完了後、緩く結合した汚染物質をバッファー(5.6mM NaHPO・H2O、14.4mM NaHPO、0.5M NaCl、pH7.2)でベースラインまで洗浄した。次に、溶離液50mMクエン酸/クエン酸ナトリウムバッファー(0.02%Tween-80+5%マンニトールを含む、pH3.2)を使用してタンパク質を溶出し、1M Tris-Cl(pH8.0)でpHを7.0に調整した。精製したサンプルを0.22μmフィルターでろ過し、滅菌して4℃で保存した。
【0044】
具体的には、本発明の融合タンパク質は、一般式G-L-Fc-L-Fv2、G-L-Fc-L-Fv3、G-L-Fc-L-Fv4、G-L-Fc-L-Fv5を有する。そのアミノ酸配列は、それぞれ配列番号6~9に示されている。ヌクレオチド配列が配列番号10~13に示されている。
【0045】
G-L-Fc-L-Fv2配列番号6(ここで、太字の部分はGLP-1変異体のアミノ酸配列であり、斜体の太字の部分はリンカー配列のアミノ酸配列であり、下線の部分はFcのアミノ酸配列である)。
【0046】
【化1】
【0047】
G-L-Fc-L-Fv3配列番号7(ここで、太字の部分はGLP-1変異体のアミノ酸配列であり、斜体の太字の部分はリンカー配列のアミノ酸配列であり、下線の部分はFcのアミノ酸配列である)。
【0048】
【化2】
【0049】
G-L-Fc-L-Fv4配列番号8(ここで、太字の部分はGLP-1変異体のアミノ酸配列であり、斜体の太字の部分はリンカー配列のアミノ酸配列であり、下線の部分はFcのアミノ酸配列である)。
【0050】
【化3】
【0051】
G-L-Fc-L-Fv5配列番号9(ここで、太字の部分はGLP-1変異体のアミノ酸配列であり、斜体の太字の部分はリンカー配列のアミノ酸配列であり、下線の部分はFcのアミノ酸配列である)。
【0052】
【化4】
【0053】
さらに、本発明者は、野生型G-L-Fc-L-F融合タンパク質を調製し、そのアミノ酸配列は配列番号14に示されている。
【0054】
HGEGTFTSDVSSYLEEQAAKEFIAWLVKGGGGGGGSGGGGSGGGGSAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGGGGGSGGGGSGGGGSHPIPDSSPLLQFGGQVRQRYLYTDDAQQTEAHLEIREDGTVGGAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRELLLEDGYNVYQSEAHGLPLHLPGNKSPHRDPAPRGPARFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLSMVGPSQGRSPSYAS
そのヌクレオチド配列が配列番号15に示されている。
【0055】
ここで、使用されるシグナルペプチドのヌクレオチド配列が配列番号16に示されている。
【0056】
ATGCCGTCTTCTGTCTCGTGGGGCATCCTCCTGCTGGCAGGCCTGTGCTGCCTGGTCCCTGTCTCCCTGGCT
実施例2 HepG2細胞のAMPKシグナル経路に対する本発明の融合タンパク質の影響
10%FBSを含むDMEM培地でHepG2細胞(軍事医学科学院より贈与)を90%を超えるコンフルエンシーまで培養し、細胞を消化して再懸濁し、ウェルあたり2.5×10個の細胞を6ウェルプレートに接種し、10%FBSを含む2mLのDMEM培地を各ウェルに加え、37°C、5%CO飽和湿度で70%-80%飽和まで一晩インキュベートした。元の培地は廃棄され、新しい予熱された無血清DMEM培地と交換された。6時間培養した後、100nM精製された野生型融合タンパク質G-L-Fc-L-F(GF)と4種類の変異体G-L-Fc-L-Fv2(GFv2)、G-L-Fc-L-Fv3(GFv3)、G-L-Fc-L-Fv4(GFv4)、G-L-Fc-L-Fv5(GFv5)を添加し、細胞を24時間処理した後、培養上清を捨て、細胞を消化して収集し、予冷したPBSで細胞を1回洗浄し、1%PMSFを含むRIPA溶解バッファーで(Beijing Kangwei Century Biotechnology Co., Ltd. から購入)細胞を溶解して、取引書に従って総細胞タンパク質を抽出した。15μLの総タンパク質を採取して、イムノブロッティングにより細胞内の総AMPK(AMPKα抗体)とリン酸化AMPK(pAMPK、phospho-AMPKα(Thr172)抗体)(抗体はすべてCell Signaling Technologies社から購入)の発現レベルを検出した。
【0057】
結果を図2に示している。野生型のGF融合タンパク質と4種類のGF変異体で処理した後、HepG2細胞のAMPKのリン酸化レベルは対照群(con)よりも有意に高く(pAMPK/AMPKの比率が増加)、タンパク質がすべて活性タンパク質であることを示している。ここで、変異体GFv3とGFv5で処理されたHepG2細胞におけるAMPKのリン酸化レベルは、GFタンパク質よりも有意に高く、変異後のこれら2つのタンパク質が野生型タンパク質よりも高い活性を持っていることを示している。
【0058】
実施例3 GF融合タンパク質とその変異体によるGLP1受容体とFGF21受容体の活性化の比較
GLP1RとFGF21コレセプター(β-klotho)およびCRE-ルシフェラーゼ誘導性発現システムを発現するHEK293細胞(HEK293-GLP1R/β-klotho/CRE-ルシフェラーゼ)を、10%FBSを含むDMEM培地で90%を超えるコンフルエンシーまで培養し、細胞を消化して再懸濁し、ウェルあたり4×10個の細胞を96ウェルプレートに接種し、10%FBSを含む100mLのDMEM培地を各ウェルに加え、37°C、5%CO飽和湿度で一晩インキュベートした。2日目に、異なる濃度勾配(0、0.001、0.01、0.1、1、10、100nM)の野生型融合タンパク質G-L-Fc-L-F(GF)と4種類の変異体G-L-Fc-L-Fv2(GFv2)、G-L-Fc-L-Fv3(GFv3)、G-L-Fc-L-Fv4(GFv4)、G-L-Fc-L-Fv5(GFv5)を加え、細胞を6~8時間処理した後、培養上清を廃棄し、PBSで細胞を2回洗浄し、取引書に従って細胞を溶解し、ルシフェラーゼの発現を検出した(単一のルシフェラーゼレポーター遺伝子検出キット、Beijing Yuanpinghao Biotechnology Co., Ltd. から購入)。Graphpad Prismソフトウェアを使用してデータを分析して、GFタンパク質のEC50値を表1に示している。結果から、4つの変異体のEC50値がすべて野生型融合タンパク質GFよりも低いことを示し、2つの受容体を同時に活性化するのにより効果的であることを示している。その中で、変異体GFv5のEC50値が最も小さく、その活性が最も高いことを示している。
【0059】
【表1】
【0060】
実施例4 新しい構造のGGF融合タンパク質の発現・構築とその活性の分析
4種類のGF変異体に基づいて、新しい構造融合タンパク質GGFv2、GGFv3、GGFv4、GGFv5を発現して構築する。
【0061】
具体的には、新しい構造の融合タンパク質は、一般式G-L-G-L-Fc-L-Fv2(GGFv2)、G-L-G-L-Fc-L-Fv3(GGFv3)、G-L-G-L-Fc-L-Fv4(GGFv4)、G-L-G-L-Fc-L-Fv5(GGFv5)を有する。そのアミノ酸配列は、それぞれ配列番号24~26と18に示されている。ヌクレオチド配列は配列番号27~29と19に示されている。
【0062】
ここで、G-L-G-L-Fc-L-Fv2アミノ酸配列は配列番号24に示されている。
【0063】
HGEGTFTSDVSSYLEEQAAKEFIAWLVKGGGGGGGSGGGGSGGGGSHGEGTFTSDVSSYLEEQAAKEFIAWLVKGGGGGGGSGGGGSGGGGSAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGGGGGSGGGGSGGGGSDSSPLLQFGGQVRQRYLYTDDAQQTEAHLEIREDGTVGGAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRELLLEDGYNVYQSEAHGLPLHCPGNKSPHRDPAPRGPCRFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLSMVGGSQGRSPSYAS
ここで、G-L-G-L-Fc-L-Fv3アミノ酸配列は配列番号25に示されている。
【0064】
HGEGTFTSDVSSYLEEQAAKEFIAWLVKGGGGGGGSGGGGSGGGGSHGEGTFTSDVSSYLEEQAAKEFIAWLVKGGGGGGGSGGGGSGGGGSAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGGGGGSGGGGSGGGGSDSSPLLQFGGQVRQVYLYTDDAQQTEAHLEIREDGTVGGAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRELLLEDGYNVYQSEAHGLPLHCPGNKSPHRDPAPRGPCRFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLSMVGGSQGRSPSYAS
ここで、G-L-G-L-Fc-L-Fv4アミノ酸配列は配列番号26に示されている。
【0065】
HGEGTFTSDVSSYLEEQAAKEFIAWLVKGGGGGGGSGGGGSGGGGSHGEGTFTSDVSSYLEEQAAKEFIAWLVKGGGGGGGSGGGGSGGGGSAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGGGGGSGGGGSGGGGSDSSPLLQFGGQVRQVYLYTDDAQQTEAHLEIREDGTVGGAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRERLLEDGYNVYQSEAHGLPLHLPGNKSPHRDPAPRGPARFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLSMVGGSQGRSPSYES
G-L-G-L-Fc-L-Fv5アミノ酸配列は配列番号18に示されている。
【0066】
HGEGTFTSDVSSYLEEQAAKEFIAWLVKGGGGGGGSGGGGSGGGGSHGEGTFTSDVSSYLEEQAAKEFIAWLVKGGGGGGGSGGGGSGGGGSAESKYGPPCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGGGGGSGGGGSGGGGSDSSPLLQFGGQVRQVYLYTDDAQQTEAHLEIREDGTVGGAADQSPESLLQLKALKPGVIQILGVKTSRFLCQRPDGALYGSLHFDPEACSFRELLLEDGYNVYQSEAHGLPLHCPGNKSPHRDPAPRGPCRFLPLPGLPPALPEPPGILAPQPPDVGSSDPLSMVGGSQGRSPSYES
ここで、G-L-G-L-Fc-L-Fv2ヌクレオチド配列が配列番号27に示されている。G-L-G-L-Fc-L-Fv3ヌクレオチド配列が配列番号28に示されている。G-L-G-L-Fc-L-Fv4ヌクレオチド配列が配列番号29に示されている。G-L-G-L-Fc-L-Fv5ヌクレオチド配列が配列番号19に示されている。
【0067】
精製された4種類のGGFvタンパク質について、HEK293-GLP1R/β-klotho/ CRE-ルシフェラーゼ細胞を用いて、GLP1受容体とFGF21受容体の活性化を評価した。具体的な方法は実施例3を参照する。図3Aに示すように、4種類のGGFvタンパク質のEC50値はすべて、対応するGFvタンパク質と比較して減少しており、新しい構造の融合タンパク質の活性が改善され、GGFv5の活性が最も改善されたことを示している。図3Bに示すように、GGFv5とGFv5のEC50値は両方とも薬物デュラグルチド(G、Eli Lilly and Companyから購入)より低く、GGFv5の値は最小であり、最も高い活性を示している。
【0068】
実施例5 高脂血症モデルマウスにおける二機能性タンパク質の生物学的活性の検証
4~8週齢の24匹の低密度リポタンパク質欠損マウス(Ldlr-/-マウス)(Jiangsu Jicui Yaokang Biotechnology Co., Ltd.から購入)に対して、高脂肪食(60%脂肪を含む、Beijing Boao Biological Technology Co., Ltd.から購入)で2週間飼育した後、高脂血症モデルマウスを作成した。マウスは、ランダムな体重に応じて4つのグループに分けられた:対照群(con、生理食塩水)、G群(デュラグルチド)、GFv5群(GFv5タンパク質)、GGFv5群(GGFv5タンパク質)、各グループに6匹のマウスであった。各群の投与方法は皮下注射であり、投与量は週2回20nmol/kgであった。毎週マウスのランダムな体重を量り、記録した。4週間の治療後、血清生化学的指標をテストした。マウスの眼球から採血し、3000rpmで10分間遠心分離して血清を分離し、サンプルは、Beijing North Biomedical Technology Co., Ltd.に送られ、トリグリセリド(TG)、総コレステロール(TG)、高密度リポタンパク質(HDL)、低密度リポタンパク質(LDL)インジケーターの検出を行った。
【0069】
図4の結果から、3種類の薬剤を4週間治療した後、マウスの体重はGGFv5群<GFv5群<G群の順であり、すべてはcon群マウスの体重よりも有意に小さく、GFv5群の体重もG群よりも有意に小さかった。GGFv5群の体重は、3週間の治療後に対照群及びG群と有意に異なり、4週間後のGFv5群との有意差も顕著であり、4週間の観察期間中、マウス群全体の体重は投与前の体重と比較してほとんど増加しなかった。(体重の増加率が-0.48±2.23%である)。治療過程でいくつかのグループのマウスの摂餌量を観察したところ、G群マウスの摂餌量がcon群マウスよりも有意に低かったことを除けば、GGFv5群とGFv5群の摂餌量は対照群と有意差はなかった。これは、2群のマウスと対照群の体重差が食餌の減少によるものではなく、マウスの体重に対する薬物Gの効果が食餌の減少に関連している可能性が高いことを示している。これらは、高脂肪食の条件下で、GFv5およびGGFv5薬物がマウスの体重増加をうまく制御でき、GGFv5の効果がより優れていることを示している。
【0070】
図5の結果は、con群のマウスと比較して、G群のマウスの血清中のトリグリセリド(TG)が大幅に減少し、GFv5群のコレステロール(CHOL)とTGは大幅に減少し、GGFv5群のCHOL、TGと低密度リポタンパク質(LDL-C)は大幅に減少した。また、GGFv5群のCHOL、TGとLDL-CはすべてG群よりも有意に低く、GGFv5群のTGとLDL-CもGFv5群のマウスとは有意に異なっている。これは、高脂血症の治療におけるGFv5とGGFv5の優れた治療効果を完全に示しており、GGFv5の利点はより明白である。
【0071】
本発明の特定の実施形態の上記の説明は、本発明を限定するものではない。当業者は、本発明の精神から逸脱しない限り、本発明に従って様々な変更または修正を行うことができる。それらは、本発明の添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】pcDNA3.4-融合タンパク質のプラスミドマップ。
図2】HepG2細胞におけるAMPKのリン酸化および総AMPKに対する野生型GFタンパク質とその変異体の影響。conは薬物で治療されていない細胞である。*はconと比較した有意差を表す(p値<0.05)。**はconと比較して非常に有意差があることを表す(p値<0.001)。##はGFと比較して非常に有意差があることを表す(p値<0.001)。
図3】HEK293-GLP1R/β-klotho/CRE-ルシフェラーゼ細胞におけるルシフェラーゼの発現に対する様々なタンパク質の影響。(A)様々なGGFvnタンパク質のEC50値と対応するGFvnタンパク質の比較、n=2-5。(B)G、GFv5とGGFv5のEC50値の比較。
図4】ldlr-/-マウス体重(A)及び摂食量(B)に対するGFv5とGGFv5の影響。*はcon群と比較した有意差を表す(p値<0.05)。#はG群と比較した有意差を表す(p値<0.05)。$はGFv5と比較した有意差を表す(p値<0.05)。
図5】GFv5とGGFv5対ldlr-/-小血脂の影響。*はcon群と比較した有意差を表す(p値<0.05)。#はG群と比較した有意差を表す(p値<0.05)。$はGFv5と比較した有意差を表す(p値<0.05)。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
【配列表】
2022518850000001.app
【国際調査報告】