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特表2022-518866広いビデオ帯域幅のRFパワーアンプ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-16
(54)【発明の名称】広いビデオ帯域幅のRFパワーアンプ
(51)【国際特許分類】
   H03F 1/44 20060101AFI20220309BHJP
   H03F 3/24 20060101ALI20220309BHJP
   H03F 3/193 20060101ALI20220309BHJP
【FI】
H03F1/44
H03F3/24
H03F3/193
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545293
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(85)【翻訳文提出日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 CN2020073368
(87)【国際公開番号】W WO2020156351
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】201910097927.4
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521341525
【氏名又は名称】蘇州遠創達科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】馬 強
(72)【発明者】
【氏名】張 勇
【テーマコード(参考)】
5J500
【Fターム(参考)】
5J500AA01
5J500AA28
5J500AA41
5J500AC62
5J500AC64
5J500AC92
5J500AF12
5J500AF16
5J500AH09
5J500AH25
5J500AH29
5J500AH33
5J500AK13
5J500AK47
5J500AK65
5J500AM19
5J500AM21
5J500AQ02
5J500AQ03
5J500AQ04
5J500AQ05
5J500AS09
5J500AS14
5J500LV08
5J500LV10
5J500WU08
(57)【要約】
【課題】 広いビデオ帯域幅的RFパワーアンプを提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明は、広いビデオ帯域幅のRFパワーアンプを開示する。広いビデオ帯域幅のRFパワーアンプはパワーデバイスと、放熱板と、を備え、前記パワーデバイスは、キャリアフランジを備え、前記キャリアフランジにトランジスタ及びデカップリング回路モジュールが貼設され、前記トランジスタ及びデカップリング回路モジュールがリード線で接続され、前記パワーデバイスは、放熱板の上に溶着され、ここで、前記デカップリング回路モジュールは、第1コンデンサと、第2コンデンサと、ダンピング抵抗器と、を少なくとも備え、前記ダンピング抵抗器が第1コンデンサ及び第2コンデンサに接続され、前記第1コンデンサ、第2コンデンサ及びダンピング抵抗器が多層共焼成セラミック材料スタックによって作製され、前記第1コンデンサ及びダンピング抵抗器のインダクタンスはビデオLC共振回路を形成し、前記第2コンデンサがダンピング抵抗器及びリード線と直列に接続してインダクタンスを形成した後、回路内の直列等価インダクタンスLと超低周波共振回路を構成する。加工工程は、簡単で小型で、同時にビデオ帯域幅の最大化を実現する。
【選択図】 図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広いビデオ帯域幅的RFパワーアンプであって、パワーデバイスと、放熱板と、を備え、
前記パワーデバイスは、キャリアフランジを備え、前記キャリアフランジにトランジスタ及びデカップリング回路モジュールが貼設され、前記トランジスタ及びデカップリング回路モジュールがリード線で接続され、
前記パワーデバイスは、放熱板の上に溶着され、
ここで、前記デカップリング回路モジュールは、第1コンデンサと、第2コンデンサと、ダンピング抵抗器と、を少なくとも備え、前記ダンピング抵抗器が前記第1コンデンサ及び前記第2コンデンサに接続され、前記第1コンデンサ、前記第2コンデンサ及び前記ダンピング抵抗器が多層共焼成セラミック材料スタックによって作製され、前記第1コンデンサ及び前記ダンピング抵抗器のインダクタンスはビデオLC共振回路を形成し、前記第2コンデンサが前記ダンピング抵抗器及びリード線と直列に接続してインダクタンスを形成した後、回路内の直列等価インダクタンスLと超低周波共振回路を構成することを特徴とする、広いビデオ帯域幅的RFパワーアンプ。
【請求項2】
前記第1コンデンサの静電容量値は、100pFより大きいことを特徴とする、請求項1に記載の広いビデオ帯域幅的RFパワーアンプ。
【請求項3】
前記第2コンデンサの静電容量値は、10nFより大きいことを特徴とする、請求項1に記載の広いビデオ帯域幅的RFパワーアンプ。
【請求項4】
前記ダンピング抵抗器は、0.1Ω~5Ωの範囲であることを特徴とする、請求項1に記載の広いビデオ帯域幅的RFパワーアンプ。
【請求項5】
前記パワーデバイスを覆い、前記放熱板に固定され、前記放熱板と閉じた空洞を形成する保護カバーをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の広いビデオ帯域幅的RFパワーアンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信技術分野に関し、特に、広いビデオ帯域幅のRFパワーアンプに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおける無線周波数フロントエンドの重要なコアモジュールの一つとして、パワーアンプは、通信システムの全体的な性能に重大な影響を与えている。最先端の無線通信システムは、ますます増加するデータ速度と帯域幅が必要となっている。信号帯域幅は、RFパワーデバイスの無制限の増幅を制限する。信号帯域幅及びビデオ帯域幅(低周波数)は、無線通信システムの線形性要件を満たすのが非常に重要である。ここでのビデオ帯域幅は、デジタルプリディストーションシステム性能の向上を制限する主な要因である。
【0003】
現在、RFパワーデバイスのビデオ帯域幅を増やすため、図1に示されるように、パワーデバイスの内部構造に電子部品を設置してパワーデバイス内部の電子部品間にデカップリングLC回路を形成し、等価回路図を図2に示す。しかしながら、従来の主流の高出力RFパワーアンプ内において、そのパワーデバイスは、一般的にセラミックパッケージ構造が採用され、このセラミックパッケージ構造の内部空間が限られており、外方に拡張することができないため、スペース及びLC回路(大型コンデンサ・小型インダクタ)サイズによって制限され、第2コンデンサ5’の厚さが非常に厚くなることが多くなるため、キャリアフランジに溝を設ける必要があり、加工工程が面倒で、コストも高くなる。第2コンデンサ5’と接続するリード線は、インダクタンスLを形成し、Lと回路内のマッチングする並列インダクタンスL+Lが等価インダクタンスを共に形成し、(L+L)>>Lであるため、等価インダクタンスがLにほぼ等しいため、ビデオ帯域幅は下式で表される通りである。したがって従来のパワーデバイスの構造は、ビデオ帯域幅の最大化の実現が非常に困難であった。
【0004】
【数1】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記技術的課題に着目し、本発明の目的は、加工工程が簡単で、同時にビデオ帯域幅の最大化を実現する広いビデオ帯域幅のRFパワーアンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、従来の技術的課題を解決するために以下のような技術的手段を講じた。
広いビデオ帯域幅のRFパワーアンプであって、パワーデバイスと、放熱板と、を備え、
前記パワーデバイスは、キャリアフランジを備え、前記キャリアフランジにトランジスタ及びデカップリング回路モジュールが貼設され、前記トランジスタ及びデカップリング回路モジュールがリード線で接続され、
前記パワーデバイスは、放熱板の上に溶着され、
ここで、前記デカップリング回路モジュールは、第1コンデンサと、第2コンデンサと、ダンピング抵抗器と、を少なくとも備え、前記ダンピング抵抗器が第1コンデンサ及び第2コンデンサに接続され、前記第1コンデンサ、第2コンデンサ及びダンピング抵抗器が多層共焼成セラミック材料スタックによって作製され、前記第1コンデンサ及びダンピング抵抗器のインダクタンスはビデオLC共振回路を形成し、前記第2コンデンサがダンピング抵抗器及びリード線と直列に接続してインダクタンスを形成した後、回路内の直列等価インダクタンスLと超低周波共振回路を構成する。
【0007】
好ましい技術的手段として、前記第1コンデンサの静電容量値は、100pFより大きい。
【0008】
好ましい技術的手段として、前記第2コンデンサの静電容量値は、10nFより大きい。
【0009】
好ましい技術的手段として、前記ダンピング抵抗器は、0.1Ω~5Ωの範囲である。
【0010】
好ましい技術的手段として、パワーデバイスを覆い、放熱板に固定され、放熱板と閉じた空洞を形成する保護カバーをさらに備える。
【発明の効果】
【0011】
従来技術内の技術的手段と比較して、本発明は、次の利点を有する。
パワーデバイスのビデオ帯域幅を増やすため、増設されるデカップリング回路モジュールは、多層共焼成セラミック材料スタックによって作製され、第1コンデンサと、ダンピング抵抗器を介して接続された第2コンデンサと、を備え、パワーデバイス内に設けられ、パワーデバイス及びデカップリング回路モジュールを図3に示す等価回路に簡略化できる。第2コンデンサは、LCデカップリング回路内のデカップリング電容を形成し、リード線と接続してLCデカップリング回路内のデカップリングインダクタンスを形成し、第1コンデンサ回路の上で第2コンデンサと直列に接続されたダンピング抵抗器と直接接続し、従来技術内の配線インダクタンスLvが存在しないため、この構造はビデオ帯域幅の最大化の実現に有利となる。
【0012】
同時に、この構造は、キャリアフランジに溝を設ける必要がなく、加工工程が簡単でコストも安くなる。
【0013】
以下、図面及び実施例を参照しつつ本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】従来技術における広いビデオ帯域幅のRFパワーアンプの上面図である。
図2】本発明の従来技術における広いビデオ帯域幅のRFパワーアンプの等価回路図である。
図3】本発明の実施例の等価回路図である。
図4】本発明の実施例に係るRFパワーアンプの上面図である。
図5図4に示すRFパワーアンプのA-A線に沿った断面図である。
図6】本発明のデカップリング回路モジュールの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、具体的実施例と併せて上記技術的手段をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を説明するために使用され、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。実施例内で用いられている実施条件は、業者の条件に基づいてさらに調整することができ、明示されていない実施条件は通常従来試験中の条件である。
【0016】
図3図4図5及び図6に示すように、前記RFパワーアンプは、パワーデバイス1と、放熱板3と、を備え、図4に示すように、パワーデバイス1は放熱板3の上に溶着される。
【0017】
パワーデバイス1は、キャリアフランジ11を備え、キャリアフランジ11にトランジスタ及びデカップリング回路モジュール10が貼設され、トランジスタが複数のトランジスタチップ13で接続され、トランジスタとデカップリング回路モジュール10がリード線12を通じて接続され溶接機器を通じてキャリアフランジ11に溶接され、パワーデバイス1の内部に設けることができる。
【0018】
図6に示すように、デカップリング回路モジュール10は、第1コンデンサ14と、第2コンデンサ22と、ダンピング抵抗器15と、を備え、ダンピング抵抗器15が第1コンデンサ14及び第2コンデンサ22に接続され、第1コンデンサ14、第2コンデンサ22及びダンピング抵抗器15が多層共焼成セラミック材料スタックによって作製され、好ましくはパッケージに作製される。共焼成セラミック材料は、多層高温共焼成セラミック材料及び/又は多層低温共焼成セラミック材料を含み得、本実施例の具体的実施例は、上部の多層(図では2層として示されている)が誘電率の小さな材料で構成された第1コンデンサC14であり、下部の多層が誘電率の大きな材料で構成された第2コンデンサC22であり、もちろん、接地層も含まれている。なおダンピング抵抗器15は、モジュール内に設けることができ、最上層等に設けられてもよい。
【0019】
第1コンデンサC14は、無線周波数DCブロッキングコンデンサである。
【0020】
よって、パワーデバイス1とデカップリング回路モジュール10で構成される回路は、図3に示す等価回路に簡略化されることができ、異なる周波数でこれらの等価回路内に3つの共振回路を出現させることができる。
【0021】
ここで、第1の共振回路は、トランジスタの出力寄生容量とリード線12によって形成されたインダクタンスLdで構成された無線周波数共振回路である。
【0022】
第2の共振回路は、第2コンデンサCがダンピング抵抗器R及びインダクタンスLと直列に接続した後に回路内の直列等価インダクタンスLと構成された超低周波共振回路であり、前記共振回路の式が次に表され、
【0023】
【数2】
ダンピング抵抗器は、超低周波数範囲内(<50MHz)の振幅と位相を含むインピーダンス変化を効果的に滑らかにすることができる。滑らかな振幅と位相は、滑らかな振幅と位相は、メモリー効果が低くなる。パワーアンプの線形性及びデジタルプリディストーションシステム性能を向上させる上で重要な役割を果たす。
【0024】
第3の共振回路は、第1コンデンサC14とダンピング抵抗器のインダクタンスL(R)で構成されたビデオLC共振回路であり、第1コンデンサC14がビデオデカップリング電容であり、
【0025】
【数3】
上記ビデオ帯域幅の公式から分かるように、ダンピング抵抗器Rdのインダクタンスが極めて小さいため、ビデオ帯域幅は理論的においてある程度拡大された。
【0026】
具体的実施例として、第1コンデンサは、100pFより大きくてもよい。
【0027】
第2コンデンサは、10nFより大きくてもよい。
【0028】
なお、ダンピング抵抗器は、0.1Ω~5Ωの範囲にすることができる。
【0029】
また、パワーデバイス1内部の電子部品を保護するため、図5に示すように、パワーデバイスの外部に保護カバー5をさらに設けてもよい。前記保護カバー5は、入出力ピン2に固定され、入出力ピン2と閉じた空洞を形成する。前記保護カバー5は、パワーデバイス1内の全ての電子部品を覆い、パワーデバイス1を保護し、雑物がパワーデバイス1に入らないよう保護するために用いられる。
【0030】
組立方法は柔軟で多様で、本実施例は例えばセラミック、OMP、空洞プラスチック等の従来のパッケージ形態で説明し、もちろんパッケージ構造なしのパワーデバイスPCB組立形態に適用することもできる。
【0031】
本発明の上記具体的実施形態は、本発明の原理を例示的に説明するか、又は解釈するためにのみ使用され、本発明を限定することを構成しないことを理解されたい。したがって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行われた修正、均等範囲内での置換、改善などは、本発明の保護範囲に含まれるべきである。なお、本発明の添付の特許請求の範囲は、添付の特許請求の範囲と境界線、又はそのような範囲と境界線の均等の形態に含まれる全ての変更及び修正例を網羅することを意図している。
【符号の説明】
【0032】
100 パワーデバイス
10 デカップリング回路モジュール
1 パワーデバイス
1’ チップ
11 キャリアフランジ
12 リード線
13 チップ
14 第1コンデンサ
15 ダンピング抵抗器
2 入出ピン
2’ 入出ピン
22 第2コンデンサ
3 放熱板
3’ 第1コンデンサ
5 保護カバー
5’ 第2コンデンサ
6’ リード線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】