(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-17
(54)【発明の名称】ジスルフィド化合物
(51)【国際特許分類】
C07C 323/65 20060101AFI20220310BHJP
C07D 239/52 20060101ALI20220310BHJP
C07D 307/38 20060101ALI20220310BHJP
A61K 31/341 20060101ALI20220310BHJP
A61K 31/505 20060101ALI20220310BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20220310BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220310BHJP
A61P 31/00 20060101ALI20220310BHJP
A61K 31/10 20060101ALI20220310BHJP
C07D 239/36 20060101ALI20220310BHJP
C07D 261/08 20060101ALI20220310BHJP
A61K 31/42 20060101ALI20220310BHJP
C07C 319/20 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
C07C323/65
C07D239/52 CSP
C07D307/38
A61K31/341
A61K31/505
A61P7/02
A61P29/00
A61P31/00
A61K31/10
C07D239/36
C07D261/08
A61K31/42
C07C319/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542456
(86)(22)【出願日】2020-01-22
(85)【翻訳文提出日】2021-08-02
(86)【国際出願番号】 GB2020050137
(87)【国際公開番号】W WO2020157463
(87)【国際公開日】2020-08-06
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517183328
【氏名又は名称】ニーム バイオテク リミティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー グレゴリー ニュートン
(72)【発明者】
【氏名】ガレス ジェイムズ ストリート エバンズ
(72)【発明者】
【氏名】コダンダ ランガナサ ナガラジャ ラーオ
(72)【発明者】
【氏名】シャイスタ シェローゼ コーカール
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ジョン ダッドフィールド
【テーマコード(参考)】
4C037
4C086
4C206
4H006
【Fターム(参考)】
4C037HA01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BA03
4C086BC42
4C086BC67
4C086GA13
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA52
4C086ZA36
4C086ZB11
4C086ZB35
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA03
4C206JA19
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA36
4C206ZB11
4C206ZB35
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB20
4H006AC62
4H006BD70
4H006TA01
4H006TA02
4H006TB78
(57)【要約】
【課題】 Yがスルフリルまたはスルフィニルであり、Zがフェニルまたは置換フェニルであり、そして他の変数が特許請求の範囲に定義された通りである、式(I)の化合物のジスルフィド化合物。それらの化合物を含む医薬組成物、およびそれらの化合物の製造方法を提供する。
【解決手段】 これらの化合物は、微生物感染、炎症を治療するため、および血栓の形成を減少させるための治療方法において有用であり、並びに、抗菌薬、抗炎症薬および抗血栓薬としての非治療的使用においても有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
〔前記式中、
R
1 はフェニル、置換フェニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、またはアルキルであり;
Xは (CH
2)
nであり;
nは0~10であり;
Yはスルフリルまたはスルフィニルであり;
Zはフェニルまたは置換フェニルであり;
R
2 は水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO
2R
3)(NHCO
2R
4)-CH(CO
2H)(NH
2)、または-CH(CO
2R
5)(R
6)であり;そして
R
3、R
4、R
5 および R
6 はアルキルである〕
または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグであって、ただし、下記化合物:
【化2】
を除く化合物、または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグ。
【請求項2】
前記化合物が式(IA)または(IB)に従う、請求項1に記載の化合物。
【化3】
【請求項3】
R
1 がフェニル、置換フェニル、またはアルキルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R
1 がフェニルである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
R
2 が水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
R
2 が水素、アルキル、またはアルケニル、例えば水素またはアルケニルである、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
nが0または1である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Yがスルフリルである、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Zがフェニルである、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
前記アルキルがエテニルである、請求項1~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
R
2 が置換フェニルであるとき、前記フェニルがアルコキシ、ハロゲン、スルホニル(例えばアルキルスルホニル)またはハロアルキルのうちの1つで置換されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
R
2 が置換フェニルであるとき、前記フェニルがメトキシ、フルオロ、メチルスルホニルまたはトリフルオロメチルのうちの1つで置換されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
R
2 が置換フェニルであるとき、前記フェニルがフェニル環のパラ位のところで置換されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容される賦形剤および/または担体および/または希釈剤とを含む、医薬組成物。
【請求項15】
細菌感染を治療するためおよび/または炎症を治療するためおよび/または血栓の形成を減少させるための治療法に用いられる、式(I)の化合物もしくはその医薬組成物、または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグ:
【化4】
〔上式中、
R
1 はフェニル、置換フェニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、またはアルキルであり;
Xは (CH
2)
nであり;
nは0~10であり;
Yはスルフリルまたはスルフィニルであり;
Zはフェニルまたは置換フェニルであり;
R
2 は水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO
2R
3)(NHCO
2R
4)-CH(CO
2H)(NH
2)、または-CH(CO
2R
5)(R
6)であり;そして
R
3、R
4、R
5 および R
6 はアルキルである〕。
【請求項16】
細菌感染を治療するためおよび/または炎症を治療するためおよび/または血栓の形成を減少させるための医薬品の製造における、式(I)の化合物もしくは医薬組成物、または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグの使用:
【化5】
〔上式中、
R
1 はフェニル、置換フェニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、またはアルキルであり;
Xは (CH
2)
nであり;
nは0~10であり;
Yはスルフリルまたはスルフィニルであり;
Zはフェニルまたは置換フェニルであり;
R
2 は水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO
2R
3)(NHCO
2R
4)-CH(CO
2H)(NH
2)、または-CH(CO
2R
5)(R
6)であり;そして
R
3、R
4、R
5 および R
6 はアルキルである〕。
【請求項17】
細菌感染を治療するためおよび/または炎症を治療するためおよび/または血栓の形成を減少させるための治療方法であって、式(I)の化合物もしくは医薬組成物、または薬学的に許容されるその塩、エステルまたはプロドラッグを、被験者に投与することを含む方法:
【化6】
〔上式中、
R
1 はフェニル、置換フェニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、またはアルキルであり;
Xは (CH
2)
nであり;
nは0~10であり;
Yはスルフリルまたはスルフィニルであり;
Zはフェニルまたは置換フェニルであり;
R
2 は水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO
2R
3)(NHCO
2R
4)-CH(CO
2H)(NH
2)、または-CH(CO
2R
5)(R
6)であり;そして
R
3、R
4、R
5 および R
6 はアルキルである〕。
【請求項18】
抗菌薬としておよび/または抗炎症薬としておよび/または抗血栓薬としての、式(I)の化合物もしくは医薬組成物または薬学的に許容されるその塩、エステルもしくはプロドラッグの非治療的使用:
【化7】
〔上式中、
R
1 はフェニル、置換フェニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、またはアルキルであり;
Xは (CH
2)
nであり;
nは0~10であり;
Yはスルフリルまたはスルフィニルであり;
Zはフェニルまたは置換フェニルであり;
R
2 は水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO
2R
3)(NHCO
2R
4)-CH(CO
2H)(NH
2)、または‐CH(CO
2R
5)(R
6)であり;そして
R
3、R
4、R
5 および R
6 はアルキルである〕。
【請求項19】
式(I)の化合物が請求項1~13のいずれか一項に記載の化合物である、請求項15の使用、請求項16の使用、請求項17の方法、または請求項18の非治療的使用のための化合物または医薬組成物。
【請求項20】
反応スキーム(IA)または(IB)の工程1~4または工程1~5を経由して進行する、式(I)の化合物の製造方法であって、
【化8】
【化9】
ここで、
R
1 はフェニル、置換フェニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、またはアルキルであり;
Xは (CH
2)
nであり;
nは0~10であり;
Yはスルフリルまたはスルフィニルであり;
Zはフェニルまたは置換フェニルであり;
R
2 は水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO
2R
3)(NHCO
2R
4)-CH(CO
2H)(NH
2)、または-CH(CO
2R
5)(R
6)であり;そして
R
3、R
4、R
5 および R
6 はアルキルである
式(I)の化合物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、式(I)のジスルフィド化合物、および式(I)の1または複数のジスルフィド化合物を含む医薬組成物に関する。本発明はまた、式(I)のジスルフィド化合物を製造する方法に関する。本発明は、更に式(I)のジスルフィド化合物の様々な用途、例えば抗菌薬として、抗炎症薬として、抗血栓薬として、創傷の治療のため、および/または嚢胞性線維症の治療のための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
多数のジスルフィド化合物が生理学的効果を有することが知られている。例えば、ニンニク抽出物中に含まれるジスルフィド化合物であるアホエンは、抗菌作用、抗炎症作用、および抗血栓作用を有することが知られている。従って、1つ以上の有利な生理学的効果を有し得る、代替的なまたは改善された新規ジスルフィド化合物を得ることが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第一態様によれば、式(I)の化合物:
【0004】
【0005】
〔上式中、
R1 は、フェニル、置換フェニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、またはアルキルであり;
Xは(CH2)nであり;
nは0~10であり;
Yはスルフリルまたはスルフィニルであり;
Zはフェニルまたは置換フェニルであり;
R2 は水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO2R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)、または-CH(CO2R5)(R6)であり;そして
R3、R4、R5およびR6はアルキルである〕;
または薬学的に許容される塩、エステル、またはプロドラッグが提供される。
【0006】
ある一定の実施形態では、式(I)の化合物は式(IA)または式(IB)に従うものである:
【0007】
【0008】
本発明の第二態様によれば、本発明の第一態様の化合物、薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグ、並びに薬学的に許容される賦形剤および/または担体および/または希釈剤を含む医薬組成物が提供される。
【0009】
本発明の第三態様によれば、微生物感染を治療するためおよび/または炎症を治療するためおよび/または血栓の形成を低減するためおよび/または創傷を治療するためおよび/または嚢胞性線維症を治療するための治療方法に用いられる、本発明の全ての実施形態を含む、本発明の任意の態様の化合物、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグまたは医薬組成物が提供される。
【0010】
本発明の第四態様によれば、微生物感染を治療するためおよび/または炎症を治療するためおよび/または血栓の形成を低減するためおよび/または創傷を治療するためおよび/または嚢胞性線維症を治療するための医薬の製造に用いられる、本発明の全ての実施形態を含む、本発明の任意の態様の化合物、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、または医薬組成物の使用が提供される。
【0011】
本発明の第五態様によれば、微生物感染を治療するためおよび/または炎症を治療するためおよび/または血栓の形成を低減するためおよび/または創傷を治療するためおよび/または嚢胞性線維症を治療するための治療方法が提供され、該方法は、本発明の全ての実施形態を含む本発明の任意の態様の化合物、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、または医薬組成物を被験者に投与することを含む。
【0012】
本発明の第六態様によれば、抗菌薬としておよび/または抗炎症薬としておよび/または抗血栓薬としての、本発明の全ての実施形態を含む、本発明の任意の態様の化合物、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグまたは医薬組成物の非治療用途が提供される。例えば、抗菌薬としておよび/または抗炎症薬としての、本発明の全ての実施形態を含む、本発明の任意の態様の化合物、薬学的許容される塩、エステル、プロドラッグまたは医薬組成物のインビトロ(in vitro)使用が提供される。
【0013】
本発明の第七態様によれば、本発明の第一態様の化合物、薬学的に許容されるその塩、エステル、またはプロドラッグを製造する方法が提供される。該方法は、例えば、反応スキーム(IA)または反応スキーム(IB)の工程1~4経由又は工程1~5経由で進行することができる。
【0014】
【0015】
【0016】
反応スキーム(IA)および/または反応スキーム(IB)の出発物質は、例えば、Zが式(I)の化合物中の置換フェニルである場合、1つ以上の追加の置換基を有してもよい。
【0017】
本発明の任意の態様の或る特定の実施形態では、式(I)の化合物の定義から次の化合物が除外される:
【0018】
【0019】
本発明の言及される態様のうちの任意の特定の1つ以上に関連して提供される詳細、例および/または選好は、本明細書中に更に記載され、本発明の全ての態様に等しく適用されるだろう。全ての可能な変形として本明細書に記載される実施形態、例および選好は、本明細書中に別記しない限り、または文脈により明らかに矛盾しない限り、本発明に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本発明は、次の非限定的な図面を参照しながら説明することができる。
【
図1】
図1は、アホエン、システアミン、HDMF、硝酸ガリウムおよびC-30のものと比較した、化合物Aの濃度対%緑膿菌(P. aeruginosa)バイオフィルム量のプロットを示す。
【
図2】
図2は、アホエン、システアミン、HDMF、硝酸ガリウムおよびC-30のものと比較した、化合物Aの濃度対%黄色ブドウ球菌(S. aureus)バイオフィルム量のプロットを示す。
【
図3】
図3は、化合物Bの濃度対%緑膿菌(P. aeruginosa)バイオフィルム呼吸作用のプロット(対照の%として)を示す。
【
図4】
図4は、試験化合物で前処理した黄色ブドウ球菌(S. aureus)滲出液にHaCaT細胞を暴露したときの、どの細菌滲出液にも暴露されていないかまたはビヒクルで前処理した黄色ブドウ球菌に暴露されたHaCaT細胞に比較した、HaCaT細胞の単層に残存している%スクラッチの経時プロットを示す。
【
図5】
図5は、試験化合物で前処理した緑膿菌(P. aeruginosa)滲出液にHaCaT細胞を暴露したときの、どの細菌滲出液にも暴露されていないかまたはビヒクルで前処理した緑膿菌に暴露されたHaCaT細胞に比較した、HaCaT細胞の単層に残存している%スクラッチの経時プロットを示す。[発明の詳細な説明]
【0021】
合物および医薬組成物
【0022】
本発明は、少なくとも一部は、式(I)の化合物が有利な抗菌活性を有するという驚くべき発見に基づいている。例えば、本発明の実施形態は、式(I)の化合物が他のジスルフィド化合物と比較して改善された抗菌活性を提供するという驚くべき発見に基づいている。
【0023】
以後、本発明は、本発明の好ましい実施形態に従って、および添付の説明を参照することによって記載される。しかしながら、その記載を本発明の好ましい実施形態に限定するのは、単に本発明の論述を促進するためであって、当業者が添付の特許請求の範囲から逸脱することなく様々な変更を導出できることは想像されよう。
【0024】
上記および下記に一般的に用いられる用語は、特に断らない限り、好ましくは下記に指摘する意味を有し、その結果、一般的な定義の代わりに、より具体的な意味を本発明の好ましい実施形態において互いに独立に用いることができ、それらのより具体的な意義が本発明の特に好ましい実施形態を記載することができる。
【0025】
上記および下記に「少なくとも1」または「1以上」という用語がある場合、この用語は例えば、成分などの列挙される特徴の1~10つ、好ましくは1~3つ、特に1つ、または更に2つを意味する。重量%範囲などの範囲が示される場合、それらは示された限界値を包含する。よって、例えば、「a~bの間」とは、「aを含むaから、bを含むbまで」を意味する。
【0026】
式(I)の化合物は以下のように定義される:
【0027】
【0028】
ここで、
R1 は、フェニル、置換フェニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、またはアルキルであり;
Xは(CH2)nであり;
nは0~10であり;
Yはスルフリルまたはスルフィニルであり;
Zはフェニルまたは置換フェニルであり;
R2 は、水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO2R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)、または-CH(CO2R5)(R6)であり;そして
R3、R4、R5、およびR6はアルキルである。
【0029】
特定の実施形態において、式(I)の化合物は、式(IA)に従う化合物または式(IB)に従う化合物である:
【0030】
【0031】
ここでR1、R2、XおよびYは、式(I)に関して定義したものと同じである。
【0032】
特定の実施形態において、式(I)または式(IA)または式(IB)の定義は、次の化合物を除外する:
【0033】
【0034】
本明細書で使用される「フェニル」という用語は、1または複数の水素原子の除去によってベンゼンから誘導される基を指す。例えば、R1 および/またはR2 がフェニルである場合、前記基は式C6H5を有し、水素原子が除去されている式(I)の化合物中の隣接原子に結合している。たとえば、Zがフェニルの場合、当該基は式C6H4を有し、水素原子が除去されている式(I)の化合物中の隣接原子に結合している。
【0035】
本明細書で使用される「置換フェニル」という用語は、1または複数の水素原子の除去によってベンゼンから誘導される基であって、ベンゼン環上の残りの水素原子の1または複数個が官能基によって置き換えられている基を指す。置換フェニルは、例えば、1、2、3、4、または5個の官能基を含み得る。置換フェニルは、例えば、1個または2個の官能基を含み得る。置換フェニルは、例えば、1個の官能基のみを含み得る。置換(単置換または複数置換)は、例えば、フェニル環上のメタ位、オルト位、またはパラ位で起こり得る。例えば、置換(単置換または複数置換)は、フェニル環上のパラ位置で起こり得る。
【0036】
本明細書で使用する「シクロアルキル」という用語は、水素原子の除去によって飽和環状炭化水素から誘導される基を指す。シクロアルキルは、例えば、3~12個の炭素原子または3~10個の炭素原子または3~8個の炭素原子または3~6個の炭素原子を含み得る。
【0037】
本明細書で使用する「置換シクロアルキル」という用語は、1個の水素原子の除去によって飽和環状炭化水素から誘導される基であって、環状炭化水素上の残りの水素原子のうちの1個以上が官能基により置換されている基を指す。置換シクロアルキルは、例えば、1、2、3、4、または5個の官能基を含み得る。置換シクロアルキルは、例えば、1個または2個の官能基を含み得る。置換シクロアルキルは、例えば、1個の官能基のみを含み得る。置換シクロアルキルは、例えば、3~12個の炭素原子または3~10個の炭素原子または3~8個の炭素原子または3~6個の炭素原子を含み得る。
【0038】
本明細書で使用する「ヘテロシクリル」という用語は、1個の水素原子の除去によって環の構成員として少なくとも2個の異なる元素の原子を有する、飽和または不飽和の環状構造から誘導される基を指す。ヘテロシクリルは、例えば、環の構成員として、1個以上の炭素原子と、窒素、酸素および硫黄から選択される1個以上の原子とを有し得る。ヘテロシクリルは、例えばヘテロアリールであり得る。ヘテロシクリルは、例えば、イソオキサゾール、フラン、チオフェンまたはピリミジンであり得る。ヘテロシクリルは、例えば、イソオキサゾール、フランまたはピリミジンであり得る。例えば、ヘテロシクリルはフランであり得る。
【0039】
本明細書で使用する「置換ヘテロシクリル」という用語は、環の構成員として少なくとも2個の異なる元素の原子を有し、ヘテロシクリル上の残りの水素原子の1つ以上が官能基で置換されている、飽和または不飽和環状構造から誘導される基を指す。置換ヘテロシクリルは、例えば、置換ヘテロアリールであり得る。置換ヘテロシクリルは、例えば、1、2、3、4、または5個の官能基を含み得る。置換ヘテロシクリルは、例えば、1または2個の官能基を含み得る。置換ヘテロシクリルは、例えば、1個の官能基のみを含み得る。各官能基は、例えば、アルキル基(例えばメチル)またはアルコキシ基(例えばメトキシ)であり得る。置換は、例えば炭素原子上で起こり得る。ヘテロシクリルは、例えば、オキサゾール環、イソオキサゾール環、フラン環、チオフェン環またはピリミジン環を含み得る。ヘテロシクリルは、例えば、オキサゾール環、イソオキサゾール環、フラン環またはピリミジン環を含み得る。置換ヘテロシクリルは、例えば、置換イソオキサゾール環または置換ピリミジン環であり得る。
【0040】
各官能基は、例えば、アルキル基、ハロアルキル基、エステル基、アルコキシ基、ハロゲン基、スルホニル基(例えばアルキルスルホニル基)、ハロアルコキシ基、またはアミン基から独立に選択することができる。このように、置換フェニルは、例えば、アルキルフェニル、ハロアルキルフェニル、アルキルベンゾエート、アルコキシフェニル、ハロフェニル、アルキルフェニルスルホン、ハロアルコキシフェニル、またはアミノフェニルであり得る。各官能基は、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン基、スルホニル基(例えばアルキルスルホニル基)、またはハロアルキル基から独立に選択することができる。
【0041】
本明細書で使用する「スルフリル」という用語は、式-S(=O)2-を有する基を指す。
【0042】
本明細書で使用する「スルフィニル」という用語は、式-S(=O)-を有する基を指す。
【0043】
本明細書で使用する「アルキル」という用語は、1個の水素原子の除去によって飽和直鎖状または分枝状炭化水素から誘導される基を指す。アルキルは、例えば、1~8個の炭素原子または1~4個の炭素原子または1~2個の炭素原子を含み得る。
【0044】
本明細書で使用する「アルケニル」という用語は、不飽和直鎖状または分枝状炭化水素から誘導される基を指す。アルケニル基は、例えば、1、2、または3個の炭素-炭素二重結合を含み得る。例えば、アルケニル基は、1個の炭素-炭素二重結合を含み得る。アルケニルは、例えば、2~8個の炭素原子または2~4個の炭素原子または2~3個の炭素原子を含み得る。アルケニルは、例えばエテニルであり得る。
【0045】
本明細書で使用する「ハロアルキル」という用語は、1個の水素原子の除去によって飽和直鎖状または分枝状炭化水素から誘導される基を指し、アルキル基の残りの水素原子の1または複数個がハロゲンで置き換えられている。ハロアルキルは、例えば、1~8個の炭素原子または1~4個の炭素原子または1~2個の炭素原子を含み得る。ハロアルキルは、例えば、1~8個のハロゲン原子または1~5個のハロゲン原子または1~4個のハロゲン原子または1~3個のハロゲン原子を含み得る。ハロゲン原子は、それぞれ独立に、ヨウ素、塩素、臭素およびフッ素から選択することができる。ハロアルキルは、例えばハロメチルであり得る。例えば、ハロアルキルはトリハロメチルであり得る。例えば、ハロアルキルはトリフルオロメチルであり得る。従って、置換フェニルは、ハロアルキルフェニル、例えばハロメチルフェニルであり得る。ハロアルキルフェニルは、例えばトリハロメチルフェニルであり得る。ハロアルキルフェニルは、例えばトリフルオロメチルフェニルであり得る。トリフルオロメチル基は、例えばフェニル環のパラ位に存在し得る。
【0046】
本明細書で使用される「エステル」という用語は、式-C(=O)ORを有する基を指し、ここでRはアルキル基である。アルキルは飽和直鎖状または分枝状炭化水素である。アルキルは、例えば、1~8個の炭素原子、または1~4個の炭素原子、または1~2個の炭素原子を含み得る。
【0047】
本明細書で使用する「アルコキシ」という用語は、式-ORを有する基を指し、ここで、Rはアルキル基である。アルキルは飽和直鎖状または分枝状炭化水素である。アルキルは、例えば1~8個の炭素原子または1~4個の炭素原子または1~2個の炭素原子を含み得る。アルキルは、例えば、アルコキシフェニルがメトキシフェニルであるように、1個の炭素原子(メチル基)を含み得る。アルコキシは、例えばフェニル環上のパラ位に存在し得る。
【0048】
本明細書で使用する「ハロアルコキシ」という用語は、式-ORを有する基を指し、ここでRはアルキル基であり、該アルキル基の1個以上の水素原子がハロゲンにより置き換えられている。ハロアルコキシは、例えば、1~8個の炭素原子または1~4個の炭素原子または1~2個の炭素原子を含み得る。ハロアルコキシは、例えば、1~8個のハロゲン原子または1~5個のハロゲン原子または1~4個のハロゲン原子または1~3個のハロゲン原子を含み得る。ハロゲン原子は、各々独立に、ヨウ素、塩素、臭素およびフッ素から選択することができる。
【0049】
本明細書で使用する「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素およびアスタチンのいずれかを指す。特定の実施形態では、ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される。特定の実施形態では、ハロゲンは、フッ素、塩素および臭素から選択される。特定の実施形態では、ハロゲンはフッ素または塩素である。特定の実施形態では、ハロゲンはフッ素である。置換フェニルは、フルオロフェニルであってもよい。ハロゲンは、例えば、フェニル環上のパラ位に存在し得る。
【0050】
本明細書で使用する「スルホニル」という用語は、式-S(O)(O)Rを有する基を指し、Rは官能基、例えば水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、カルボニル(-C(O)R”、ここでR”はアルキル基である)、またはエステルから選択される官能基である。例えば、Rはハロゲンおよびアルキル、例えばアルキルから選択され得る。
【0051】
本明細書で使用する「アルキルスルホニル」という用語は、式-S(O)(O)Rを有する基を指し、Rはアルキル基である。アルキル基は、例えば、1~8個の炭素原子、または1~4個の炭素原子、または1~2個の炭素原子を含み得る。アルキルは例えば、アルキルスルホンがメチルスルホンであるように1個の炭素原子(メチル基)を含むことができる(すなわち、置換フェニルはメチルフェニルスルホンであろう)。アルキルスルホンは例えば、フェニル環上のパラ位に存在し得る。
【0052】
本明細書で使用する「アミン」という用語は、式-NR’を有する基を指し、RおよびR’は、それぞれ、水素、ハロゲン、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、カルボニル〔-C(O)R”、ここでR”はアルキル基である〕、エステルまたはアルキルスルホニルから独立に選択される。
【0053】
R1 は、フェニル、置換フェニル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、またはアルキルである。R1 は、例えば、フェニル、置換フェニル、ヘテロシクリルまたはアルキルであり得る。R1 は、例えば、フェニル、ヘテロシクリルまたはアルキルであり得る。R1 は、例えば、フェニル、置換フェニル、またはアルキルであり得る。R1 は、例えばフェニルまたは置換フェニルであり得る。R1 は、例えばフェニルであり得る。
【0054】
Xは(CH2)n であり、ここでnは0~10である。nは、例えば、0~8または0~5または0~4または0~3または0~2であり得る。nは例えば1であり得る。nは例えば0であり得る。
【0055】
Yはスルフリルまたはスルフィニルである。Yは、例えばスルフリルであり得る。Yは、例えばスルフィニルであり得る。
【0056】
Zはフェニルまたは置換フェニルである。Zは、例えばフェニルであり得る。
【0057】
R2 は、水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO2R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)、または-CH(CO2R5)(R6)である。R2 は、例えば、水素、フェニル、置換フェニル、アルケニル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO2R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)、または-CH(CO2R5)(R6)である。R2 は、例えば、水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、アルケニル、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルであり得る。R2 は、例えば、水素、フェニル、置換フェニル、アルケニル、ヘテロシクリル、または置換ヘテロシクリルであり得る。
【0058】
-CH(CO2 R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)、および-CH(CO2R5)(R6)基は、例えば、(R)または(S)配置であり得る。-CH(CO2 R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)、および-CH(CO2R5)(R6)基は、例えば(R)配置であり得る。
【0059】
R3、R4、R5、およびR6 基は、存在する場合、例えば、各々独立に、1~8個の炭素原子または1~6個の炭素原子または1~4個の炭素原子を含み得る。例えば、存在する場合、R3 およびR4 基は、各々独立に、3~8個の炭素原子または3~6個の炭素原子または3~4個の炭素原子を含み得る。例えば、存在する場合、R2 およびR4 基は、第二級または第三級アルキル基であり得る。例えば、存在する場合、R3 およびR4 基は、各々独立に、ブチル基、例えば、第三級ブチル基であり得る。例えば、存在する場合、R5 およびR6 基は、各々独立に、1~4個の炭素原子または1~3個の炭素原子または1~2個の炭素原子を含み得る。例えば、存在する場合、R5 およびR6 基は、メチル基であり得る。
【0060】
-CH(CO2R3)(NHCO2R4)基は、例えば、-CH(CO2 t-Bu)(NHCO2t-Bu)であり得る。
【0061】
-CH(CO2R5)(R6)基は、例えば、-CH(CO2Me)(Me)であり得る。
【0062】
R2 が置換フェニルである場合、フェニルは、アルコキシ、ハロゲン、スルホニル(例えばアルキルスルホニル)およびハロアルキルから選択される1または複数の官能基で置換され得る。例えば、R2 が置換フェニルである場合、フェニルは、アルコキシ、ハロゲン、スルホニル(例えばアルキルスルホニル)およびハロアルキルから選択される、1つの官能基で置換され得る。例えば、R2 が置換フェニルである場合、フェニルは、パラ位において、アルコキシ、ハロゲン、スルホニル(例えばアルキルスルホニル)、およびハロアルキルから選択される1つの官能基で置換され得る。アルコキシ官能基は、例えば、1~8個の炭素原子、例えば、1~4個の炭素原子または1~2個の炭素原子を含み得る。例えば、アルコキシ官能基はメトキシであり得る。ハロゲン官能基は、例えば、フッ素、塩素、または臭素であってもよい。例えば、ハロゲン官能基はフッ素であり得る。スルホニル官能基は、例えばアルキルスルホニル官能基であり得る。アルキルスルホニル官能基中のアルキルは、例えば、1~8個の炭素原子、例えば、1~4個の炭素原子または1~2個の炭素原子を含み得る。例えば、スルホニル官能基は、メチルスルホニル官能基であり得る。ハロアルキル基は、例えば、1~8個の炭素原子、例えば、1~4個の炭素原子または1~2個の炭素原子を含み得る。ハロアルキル基は、例えば、1~4個のハロゲン原子を含み得る。ハロアルキル基は、例えば、トリハロアルキル基であり得る。例えば、ハロアルキル基は、トリフルオロメチルなどのトリハロメチル基であり得る。
【0063】
R2 がアルキルである場合、アルキルは、例えば、1~8個の炭素原子または1~4個の炭素原子または1~2個の炭素原子を含み得る。アルキルは、例えば、直鎖状アルキルまたは分枝鎖状アルキルであり得る。アルキルは、例えば、第二級または第三級アルキルであり得る。アルキルは、例えば、-CH(CH2CH3)(CH3)または-CH(CH3)(CH3)であり得る。
【0064】
R2 がアルケニルである場合、アルケニルは、例えば、1、2、または3個の炭素-炭素二重結合を含み得る。例えば、R2 がアルケニルである場合、アルケニル基は、1個の炭素-炭素二重結合を含み得る。R2 がアルケニルである場合、アルケニルは、2~8個の炭素原子または2~4個の炭素原子または2~3個の炭素原子を含み得る。R2 がアルケニルである場合、アルケニルは、例えば、エテニルであり得る。
【0065】
R2 がヘテロシリルまたは置換ヘテロシクリルである場合、複素環は、イソオキサゾール、フランまたはピリミジン、例えば、イソオキサゾールまたはピリミジンであり得る。イソオキサゾールまたはピリミジン環は、例えば、1または複数の官能基で置換され得る。例えば、イソオキサゾールまたはピリミジン環は、1個または2個の官能基で置換され得る。各官能基は、例えば、それぞれ、アルキル基(例えばメチル)またはアルコキシ基(例えばメトキシ)であり得る。官能基は、例えば、それぞれ(例えば両方)が、イソオキサゾールまたはピリミジン環の炭素原子上に存在し得る。例えば、官能基は、イソオキサゾール環上の3番および/または5番の番号が付けられた炭素原子上に存在し得る(ここで、酸素環原子は1番であり、窒素環原子は2番である)。例えば、官能基(1または複数)は、ピリミジン環上の4番および/または6番の番号が付けられた炭素原子上に存在してもよい(一方の窒素環原子は1番であり、他方の窒素原子は3番と番号付けされる)。例えば、ヘテロシクリルは
【0066】
【0067】
であり得る。ここで、点線は、ヘテロシクリルが式(I)の化合物に結合している位置を示す。例えば、置換ヘテロシクリルは、
【0068】
【0069】
であり得る。ここで、点線は、置換ヘテロシクリルが式(I)の化合物に結合している位置を示す。
【0070】
R1 が置換フェニルである場合、フェニルは、アルコキシ、ハロゲン、スルホニル(例えばアルキルスルホニル)、およびハロアルキルから選択された1または複数の官能基で置換され得る。例えば、R1 が置換フェニルである場合、フェニルは、1つ以上のハロゲン基(これは例えばフッ素であり得る)で置換されてよい。例えば、R1 が置換フェニルである場合、フェニルは、例えばパラ位において1個のフッ素原子で置換され得る。
【0071】
式(I)の化合物は、例えば、R1 がフェニルである式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、R1 がフェニルであり、Yがスルフリルである式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、R1 がフェニルであり、Yがスルフィニルである、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。特定の実施形態では、nは1である。
【0072】
式(I)の化合物は、例えば、R1 がフェニルまたはヘテロシクリルである式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、R1 がフェニルまたはヘテロシクリルであり、Yがスルフリルである、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、R1 がフェニルまたはヘテロシクリルであり、Yがスルフィニルである、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。特定の実施形態では、nは1である。特定の実施形態では、ヘテロシクリルはフラン環である。
【0073】
式(I)の化合物は、例えば、R1 がフェニルであり、R2 が水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO2R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)、または-CH(CO2R5)(R6)である、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、R1 がフェニルであり、R2 が水素、フェニル、アルキル、ヘテロシクリル、-CH(CO2R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)、もしくは-CH(CO2R5)(R6)であるか、または、アルコキシで、ハロゲンで、スルホニル(例えばアルキルスルホニル)で、もしくはハロアルキルで置換されたフェニル、またはアルキルでもしくはアルコキシで置換されたヘテロシクリルである、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。特定の実施形態では、nは1である。
【0074】
式(I)の化合物は、例えば、R1がフェニルまたはヘテロシクリルであり、R2が水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO2R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)、または-CH(CO2R5)(R6)である、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、R1がフェニルまたはヘテロシクリルであり、R2が水素、フェニル、アルキル、ヘテロシクリル、-CH(CO2R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)もしくは-CH(CO2R5)(R6)、または、アルコキシで、ハロゲンで、スルホニル(例えばアルキルスルホニル)で、もしくはハロアルキルで置換されたフェニル、またはアルキルでもしくはアルコキシで置換されたヘテロシクリルである、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。特定の実施形態では、nは1である。特定の実施形態では、ヘテロシクリルがフラン環である。
【0075】
式(I)の化合物は、例えば、Yがスルフリルであり、R2が水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO2R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)、または-CH(CO2R5)(R6)である、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、Yがスルフリルであり、R2が水素、フェニル、アルキル、ヘテロシクリル、-CH(CO2R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)もしくは-CH(CO2R5)(R6)、アルコキシで、ハロゲンで、スルホニル(例えばアルキスルホニル)で、もしくはハロアルキルで置換されたフェニル、またはアルキルでもしくはアルコキシで置換されたヘテロシクリルである、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、Yがスルフィニルであり、R2が水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO2R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)、または-CH(CO2R5)(R6)である、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、Yがスルフィニルであり、R2 が水素、フェニル、アルキル、ヘテロシクリル、-CH(CO2R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)もしくは-CH(CO2R5)(R6)、または、アルコキシで、ハロゲンで、スルホニル(例えばアルキルスルホニル)でもしくはハロアルキルで置換されたフェニル、または、アルキルでもしくはアルコキシで置換されたヘテロシクリルである、式(IA)または式(IB)の化合物である。特定の実施形態では、nは1である。
【0076】
式(I)の化合物は、例えば、R1がフェニルであり、Yがスルフリルまたはスルフィニルであり、R2が水素、フェニル、置換フェニル、アルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、-CH(CO2R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)、または-CH(CO2R5)(R6)である、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、R1がフェニルであり、Yがスルフリルまたはスルフィニルであり、R2が水素、フェニル、アルキル、ヘテロシクリル、-CH(CO2R3)(NHCO2R4)、-CH(CO2H)(NH2)、もしくは-CH(CO2R5)(R6)、または、アルコキシで、ハロゲンで、スルホニル(例えばアルキルスルホニル)でもしくはアルコキシで置換されたフェニル、またはアルキルでもしくはハロアルキルで置換されたヘテロシクリルである、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。特定の実施形態では、nは1である。
【0077】
式(I)の化合物は、例えば、R1がフェニルまたは置換フェニルであり、nが0または1であり、Yがスルフリルまたはスルフィニルであり、Zがフェニルであり、そしてR2 が水素、アルキルまたはアルケニルである、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、R1 がフェニルであり、nが1であり、Yがスルフリルであり、Zがフェニルであり、そしてR2が水素、アルキル、またはアルケニルである、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、R1 がフェニルであり、nが1であり、Yがスルフリルであり、Zがフェニルであり、そしてR2 が水素、アルキル、またはアルケニルである、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、R1 がフェニルであり、nが1であり、Yがスルフリルであり、Zがフェニルであり、そしてR2 が水素またはアルケニルである、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。
【0078】
式(I)の化合物は、例えば、R1 がフェニルまたは置換フェニルまたはヘテロシクリルであり、nが0または1であり、Yがスルフリルまたはスルフィニルであり、Zがフェニルであり、そしてR2が水素、アルキルまたはアルケニルである、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、R1 がフェニルまたはヘテロシクリルであり、nが1であり、Yがスルフリルであり、Zがフェニルであり、そしてR2 が水素、アルキルまたはアルケニルである、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。式(I)の化合物は、例えば、R1 がフェニルまたはヘテロシクリルであり、Yがスルフリルであり、Zがフェニルであり、そしてR2 が水素またはアルケニルである、式(IA)または式(IB)の化合物であり得る。特定の実施形態では、ヘテロシクリルがフラン環である。
【0079】
特定の実施形態において、式(I)の化合物は、以下の化合物のうちの1つである。
【0080】
【0081】
1-({[2-(ベンジルジスルファニル)フェニル]メタンスルフィニル}メチル)-4-メトキシベンゼン
【0082】
δH (400MHz, CDCl3): 3.79 (s, 3H, OCH3); 3.89 (s, 2H, CH2S=O); 3.93 (d, J.=12.8 Hz, 1H, CH2-S=O); 4.29 (d, J.= 13.2 Hz, 1H, CH2-S=O), 6.78-7.71 (m, 13H, CH-Ar)。
【0083】
【0084】
(2R)-2-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-3-{[3-(フェニルメタンスルホニルメチル)フェニル]ジスルファニル}プロパン酸tert-ブチルエステル
【0085】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.51 (1H, br s) 重複7.50 (1H, br s), 7.39 (5H, br s), 重複7.34 (1H, t, J = 7.9 Hz), 7.26 (1H, br s), 5.27 (1H, br d, J = 8.3 Hz), 4.43 (1H, ABX), 4.14 (2H, br s), 重複4.10 (2H, br s), 3.25 (1H, ABX), 3.13 (1H, ABX), 1.44 (9H, s), 重複 1.41 (9H, s)。
【0086】
【0087】
1-フルオロ-4-({[3-(フェニルメタンスルホニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)ベンゼン
【0088】
δH (400 MHz, CDCl3) 7.42-7.32 (4H, m), 7.31-7.17 (6H, m), 7.09 (1H, br d, J = 7.83 Hz), 6.93-6.86 (2H, m), 3.91 (2H, s), 3.89 (2H, m), 3.82 (1H, AB, J = 13.0 Hz), 3.75 (1H, AB, J = 13.0 Hz)
【0089】
【0090】
1-メトキシ-4-({[3-(フェニルメタンスルホニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)ベンゼン
【0091】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.43-7.34 (7H, m), 7.27 (1H, t, J = 7.7 Hz), 7.20-7.25 (3H, m), 6.78-6.73 (2H, m), 4.11 (2H, s), 4.02 (2H, s), 3.90 (2H, s), 3.74 (3H, s)。
【0092】
【0093】
1-メタンスルホニル-4-({[3-(フェニルメタンスルホニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)ベンゼン
【0094】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.77-7.74 (2H, m), 7.45-7.40 (7H, m), 7.35-7.29 (2H, m), 7.21 (1H, t, J= 7.7 Hz), 7.10 (1H, dm, J = 7.6 Hz), 4.20 (2H, s), 4.00 (2H, s), 3.96 (2H, s), 2.99 (3H, s)。
【0095】
【0096】
1-メトキシ-4-({[3-(フェニルメタンスルフィニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)ベンゼン
【0097】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.41-7.24 (8H, m), 7.19-7.14 (2H, m), 7.09 (1H, br d, J = 7.6 Hz), 6.78-6.74 (2H, m), 3.94-3.77 (6H, 重複した多重線), 3.74 (3H, s)。
【0098】
【0099】
1-(メチルジスルファニル)-3-(フェニルメタンスルホニルメチル)ベンゼン
【0100】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.56-7.49 (2H, m), 7.44-7.36 (5H, m), 重複 7.35 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.23 (1H, dm) 残余のCHCl3と重複, 4.14 (2H, s), 4.09 (2H, s), 2.43 (3H, s)。
【0101】
【0102】
1-メタンスルホニル-4-({[3-(フェニルメタンスルフィニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)ベンゼン
【0103】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.78-7.74 (2H, m), 7.44-7.25 (9H, m), 7.21 (1H, t, J = 7.7 Hz), 7.06 (1H, dm, J = 7.6 Hz), 3.9 (4H, s), 3.82 (1H, AB, J = 13.0 Hz), 3.69 (1H, AB, J = 13.0 Hz), 2.99 (3H, s)
【0104】
【0105】
1-(メチルジスルファニル)-3-(フェニルメタンスルフィニルメチル)ベンゼン
【0106】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.49 (1H, dm, J = 7.9 Hz), 7.45-7.27 (7H, m), 7.15 (1H, dm, J = 7.6 Hz), 3.92 (2H, d, J = 1.6 Hz) 重複3.90 (1H, AB, J = 13.1 Hz), 3.82 (1H, AB, J = 13.0Hz), 2.44 (3H, s)。
【0107】
【0108】
1-({[2-(フェニルメタンスルフィニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン
【0109】
δH (300 Hz, CDCl3): 3.89 (d, J.= 12.9 Hz, 1H, CH2-S=O); 3.93 (s, 2H, CH2-S=O), 4.01 (d, J.= 3 Hz, 2H, CH2-S-S), 4.21 (d, J.= 12.9 Hz, 1H, CH2-S-=O); 7.25-7.84 (m, 13H, CH-Ar)。
【0110】
【0111】
1-({[3-(フェニルメタンスルホニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン
【0112】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.47-7.31 (11H, m), 7.23 (1H, t, J = 7.7 Hz) 残余のCHCl3と重複, 7.13 (1H, 幅広三重項の二重線, J = 7.6 Hz), 4.14 (2H, s), 4.00 (2H, s) 3.94 (2H,s)。
【0113】
【0114】
1-({[3-(フェニルメタンスルフィニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)-4-(トリフルオロメチル)ベンゼン
【0115】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.45 (2H, br. d, J = 8.1 Hz), 7.42-7.27 (9H, m), 7.22 (1H, t, J = 7.7 Hz), 7.07 (1H, 幅広三重項の二重線, J = 7.6 Hz), 3.94 (2H, s), 3.92 (2H, s), 3.82 (1H, AB, J = 13.0 Hz), 3.72 (1H, AB, J = 13.0 Hz)。
【0116】
【0117】
1-(フェニルメタンスルフィニルメチル)-2-(プロパ-2-エン-1-イルジスルファニル)ベンゼン
【0118】
δH (400 Hz, CDCl3): 3.37 (d, J.= 7.2 Hz, 2H, CH2-S-S), 3.98 (d, J.= 12.8 Hz, 1H, CH2-S=O); 4.04 (s, 2H, CH2-S=O); 4.36 (d, J.= 12.8 Hz, 1H, CH2-S=O), 5.13-5.18 (m, 2H, CH2=), 5.76-5.82 (m, 1H, CH=), 7.34-7.81 (m, 9H, CH-Ar)。
【0119】
【0120】
1-(フェニルメタンスルホニルメチル)-3-(プロパ-2-エン-1-イルジスルファニル)ベンゼン
【0121】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.56-7.51 (2H, m), 7.45-7.37 (5H, m), 7.34 (1H, td, J = 7.6, 0.7 Hz), 7.23 (1H, dm, J = 7.6 Hz), 5.81 (1H, ddt, J = 17.0, 10.0, 7.4 Hz), 5.18-5.10 (2H, 重複した多重線), 4.15 (2H, s), 4.10 (2H, s), 3.37 (2H, dt, J = 7.4, 0.9 Hz)。
【0122】
【0123】
1-(フェニルメタンスルフィニルメチル)-3-(プロパ-2-エン-1-イルジスルファニル)ベンゼン
【0124】
δH (400 MHz, CDCl3) 7.48 (1H, dm, J = 7.9 Hz), 7.43-7.26 (7H, m), 7.13 (1H, dm, J = 7.7 Hz), 5.79 (1H, ddt, J = 17.0, 9.9, 7.4 Hz), 5.16-5.08 (2H, 重複した多重線), 3.91 (2H, d, J = 2.7 Hz), 重複3.89 (1H, AB), 3.81 (1H, AB, J = 13.0 Hz), 3.35 (2H, dm, J = 7.1 Hz)。
【0125】
【0126】
1-(ベンジルジスルファニル)-3-(フェニルメタンスルホニルメチル)ベンゼン
【0127】
δH (400 MHz, CDCl3) 7.43-7.33 (7H, m), 7.30- 7.16 (7H, m) CHCl3シグナルと重複, 4.10 (2H, s), 4.02 (2H, s), 3.93 (2H, s)。
【0128】
【0129】
1-(ベンジルジスルファニル)-3-(フェニルメタンスルフィニルメチル)ベンゼン
【0130】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.39-7.34 (3H, m), 7.30-7.16 (10H, m) CHCl3シグナルと重複, 7.09 (1H, dm, J = 7.7 Hz), 3.92 (2H, s), 3.88 (2H, d, J = 2.8 Hz), 3.82 (1H, AB, J = 13.0 Hz), 3.76 (1H, AB, J = 13.0 Hz)。
【0131】
【0132】
1-(ベンジルジスルファニル)-2-(フェニルメタンスルホニルメチル)ベンゼン
【0133】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.68 (1H, dd, J = 7.8, 1.2 Hz), 7.41-7.28 (7H, m), 7.26 (1H, dd, J = 7.4, 1.4 Hz), 7.23-7.15 (5H, m), 4.36, (2H, s), 4.16 (2H, s) 3.91 (2H, s)。
【0134】
【0135】
1-(ベンジルジスルファニル)-2-(フェニルメタンスルフィニルメチル)ベンゼン
【0136】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.63 (1H, dm, J = 7.6 Hz), 7.40-7.18 (13H, m) CHCl3シグナルと重複, 4.23 (1H, AB, J = 12.9 Hz), 3.96 (2H, s), 3.88 (2H, s), 重複 3.86 (1H, AB)。
【0137】
【0138】
2-メチル-3-{[3-(フェニルメタンスルフィニルメチル)フェニル]ジスルファニル}プロパン酸メチル
【0139】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.48 (1H, br d, J = 8.0 Hz), 7.42-7.26 (7H, m), 7.14 (1H, br d, J = 7.6 Hz), 3.95, 3.92 (1H, AB, J = 13.0 Hz), 3.91, 3.87 (1H, AB, J =13.0 Hz), 3.88 (1H, AB, J = 13.1 Hz), 3.81 (1H, AB, J = 13.1 Hz), 3.65 (3H, s), 3.05 (1H, dd, J = 13.3, 7.3 Hz), 2.84 (1H, 六重線, J = 7.0Hz), 2.71 (1H, dd, J = 13.3, 6.6 Hz), 1.22 (3H, d, J = 7.0 Hz)。
【0140】
【0141】
3,5-ジメチル-4-({[3-(フェニルメタンスルフィニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)-1,2-オキサゾール
【0142】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.41-7.32 (4H, m), 7.32-7.26 (4H, m), 7.11 (1H, dm, J = 7.6 Hz), 3.96,3.93 (1H, AB, J = 13.5 Hz), 重複 3.93,3.89 (1H, AB, J = 13.6 Hz), 3.86 (1H, AB, J = 13.0 Hz), 3.76 (1H, AB, J = 13.0 Hz), 3.66 (2H, s), 2.23 (3H, s), 2.18 (3H, s)。
【0143】
【0144】
3,5-ジメチル-4-({[3-(フェニルメタンスルホニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)-1,2-オキサゾール
【0145】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.43-7.37 (7H, m), 7.31 (1H, dd, J = 8.4, 7.6Hz), 7.16 (1H, dm, J = 7.7 Hz), 4.16 (2H, s), 4.06 (2H, s), 3.68 (2H, s), 2.23 (3H, s), 2.19 (3H, s)。
【0146】
【0147】
1-[(2-メチルブチル)ジスルファニル]-3-(フェニルメタンスルホニルメチル)ベンゼン
【0148】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.53 (1H, dm, J = 7.8 Hz), 7.49 (1H, t, 1.6 Hz), 7.43-7.36 (5H, m) 7.34 (1H, t, J = 7.7 Hz)と重複, 7.22 (1H, dm, 7.7 Hz), 4.13 (2H, s), 4.08 (2H, s), 2.75 (1H, dd, J = 12.8, 5.9 Hz), 2.59 (1H, dd, J = 12.8, 7.5 Hz), 1.70 (1H, 八重線, J = 6.6 Hz), 1.52-1.40 (1H, m), 1.26-1.11 (1H, m), 0.95 (3H, d, J =6.7 Hz), 0.83 (3H, t, J = 7.4 Hz)。
【0149】
【0150】
1-[(2-メチルプロピル)ジスルファニル]-3-(フェニルメタンスルホニルメチル)ベンゼン
【0151】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.53 (1H, dm, J = 7.9 Hz), 7.49(1H, t, J = 1.6 Hz), 7.42-7.36 (5H, m) 7.34 (1H, t, J = 7.7 Hz)と重複, 7.22 (1H, dm, J = 7.6 Hz) 残余のCHCl3と重複, 4.13 (2H, s), 4.08 (2H, s), 2.63 (2H, d, J = 6.9 Hz), 1.92 (1H, 九重線, J = 6.7 Hz), 0.97 (6H, d, J = 6.7 Hz)。
【0152】
【0153】
(2R)-2-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-3-{[3-(フェニルメタンスルフィニルメチル)フェニル]ジスルファニル}プロパン酸tert-ブチルエステル
【0154】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.49-7.42 (2H, m), 7.40-7.27 (6H, m), 7.15 (1H, dm, J = 7.6Hz), 5.38 (0.5H, br d, J = 7.8 Hz), 5.33 (0.5H, br d, J = 7.3 Hz) , 4.48-4.38 (1H, m), 3.94-3.78 (4H, m), 3.27,3.26, 3.23, 3.22 (1H, ABX, J = 14.1, 4.6Hz), 3.18-3.08 (1H,m), 1.44 (9H, s), 1.41 (4.5H, br s)1 1.40 (4.5H, br s)。
【0155】
【0156】
4,6-ジメトキシ-2-({[3-(フェニルメタンスルホニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)ピリミジン
【0157】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.46 (1H, dm, J = 7.8 Hz), 7.42-7.34 (6H, m), 7.27 (1H, t, J = 7.7 Hz), 7.19 (1H, 幅広三重項の二重線, J = 7.6 Hz), 4.10 (2H, s), 4.03 (2H, s), 4.00 (2H, s), 3.83 (6H, s)。
【0158】
【0159】
(2R)-2-{[(tert-ブトキシ)カルボニル]アミノ}-3-{[2-(フェニルメタンスルフィニルメチル)フェニル]ジスルファニル}プロパン酸tert-ブチルエステル
【0160】
δH (300MHz, CDCl3): 1.45 (s, 9H, (CH3)3); 1.47 (s, 9H, (CH3)3), 3.00-3.28 (m, 2H, CH2-S-S), 3.90-4.10 (m, 2H, CH2-S-=O); 4.25-4.60 (m, 2H, CH2-S=O); 5.20-5.25 (m, 1H, -CH-NH); 7.25-7.84 (m, 9H, CH-Ar)。
【0161】
【0162】
1-フルオロ-4-({[2-(フェニルメタンスルフィニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)ベンゼン
【0163】
δH (300MHz, CDCl3): 3.82-4.04(m, 2H, CH2-S-S); 4.13-4.51 (m, 4H, CH2S=O), 7.05-7.70 (m, 13H, CH-Ar)。
【0164】
【0165】
1-メタンスルホニル-4-({[2-(フェニルメタンスルフィニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)ベンゼン
【0166】
δH (300MHz, CDCl3): 3.09 (s, 3H, SO2CH3); 4.27 (m, 2H, CH2-S-S), 4.40 (dd, J.= 12.6 Hz, 2H, CH2-S=O), 4.51 (dd, J.= 12.9 Hz, 2H, CH2-S=O), 7.38-8.10 (m, 13H, CH-Ar)。
【0167】
【0168】
1-(メチルジスルファニル)-2-(フェニルメタンスルフィニルメチル)ベンゼン
【0169】
δH (300MHz, CDCl3): 2.96 (s, 3H, CH3-S-S), 4.03 (dd, J.= 12.6 Hz, 1H, CH2-S=O); 4.06 (d, J.= 4.5 Hz, 2H, CH2-S=O); 4.44 (dd, J.= 12.6 Hz, 1H, CH2-S=O), 7.28-7.75 (m, 9H, CH-Ar)。
【0170】
【0171】
1-[(2-メチルブチル)ジスルファニル]-3-(フェニルメタンスルフィニルメチル)ベンゼン
【0172】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.46 (1H, dm, J = 7.8 Hz), 7.42-7.34 (6H, m), 7.27 (1H, t, J = 7.7 Hz), 7.19 (1H, 幅広三重項の二重線, J = 7.6 Hz), 4.10 (2H, s), 4.03 (2H, s), 4.00 (2H, s), 3.83 (6H, s)。
【0173】
【0174】
1-[(2-メチルプロピル)ジスルファニル]-3-(フェニルメタンスルフィニルメチル)ベンゼン
【0175】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.48 (1H, dm, J = 7.9 Hz), 7.42-7.26 (7H, m), 7.12 (1H, 幅広三重項の二重線, J = 7.6 Hz), 3.94,3.91 (1H, AB, J = 13.0 Hz), 重複3.90,3.86 (1H, AB) 3.90,3.86 (1H, AB), 3.82 (1H, AB, J = 13.0 Hz), 2.61 (2H, d, J = 6.9 Hz), 1.91 (1H, 七重線, J = 6.7 Hz), 0.96 (6H, d, J = 6.7 Hz)
【0176】
【0177】
(2R)-2-アミノ-3-{[3-(フェニルメタンスルホニルメチル)フェニル]ジスルファニル}プロパン酸
【0178】
δH (400 MHz,CD3OD) 7.70-7.67 (1H, m), 7.61 (1H, dm, J = 7.8 Hz), 7.46-7.34 (7H, m), 4.44 (2H, s), 重複4.43 (2H, s), 4.30 (1H, dd, J = 8.3, 4.3 Hz), 3.36 (1H, dd, J = 14.9, 4.3 Hz), 3.19 (1H, dd, J = 14.9, 8.2 Hz)。
【0179】
【0180】
4,6-ジメトキシ-2-({[3-(フェニルメタンスルフィニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)ピリミジン
【0181】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.42 (1H, dm, J = 7.9 Hz), 7.39-7.25 (7H, m), 7.09 (1H, dm, J = 7.6 Hz), 5.78 (1H, s), 3.99 (2H, s), 3.92, 3.89 (1H, AB, J = 13.0 Hz), 3.87, 3.84 (1H, AB), 重複3.82 (6H, s), 重複3.83, 3.81 (1H, AB), 3.77, 3.74 (1H, AB, J = 13.0 Hz)。
【0182】
【0183】
2-({[3-(フェニルメタンスルフィニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)ピリミジン
【0184】
δH (400 MHz,CDCl3) 8.56 (2H,d, J =4.9 Hz), 7.42-7.27 (7H, m), 7.21 (1H, t, J = 7.7 Hz), 7.07 (1H, dm, J = 7.6 Hz), 7.04 (1H, t, J = 4.9 Hz), 4.20 (2H, s), 3.95,3.92 (1H, AB, J = 13.1 Hz),重複3.91,3.88 (1H, AB, J = 13.1 Hz), 3.83 (1H, AB, J = 12.9 Hz), 3.75 (1H, AB, J = 13.0 Hz)。
【0185】
【0186】
1-フルオロ-4-({[3-(フェニルメタンスルホニルメチル)フェニル]ジスルファニル}メチル)ベンゼン
【0187】
δH (400 MHz,CDCl3) 7.44-7.36 (7H, m), 7.30-7.24 (1H, m), 7.23-7.14 (3H, m), 6.90 (2H, t, J = 8.7 Hz), 4.14 (2H, s), 4.03 (2H, s), 3.90 (2H, s)。
【0188】
【0189】
1-(3-(((4-フルオロフェニル)スルホニル)メチル)フェニル)-2-メチルジスルファン
【0190】
【0191】
1-(3-(((4-フルオロフェニル)スルフィニル)メチル)フェニル)-2-メチルジスルファン
【0192】
【0193】
1-メチル-2-(3-((フェニルスルホニル)メチル)フェニル)ジスルファン
【0194】
【0195】
1-メチル-2-(3-((フェニルスルフィニル)メチル)フェニル)ジスルファン
【0196】
【0197】
1-(3-(((4-フルオロベンジル)スルホニル)メチル)フェニル)-2-メチルジスルファン
【0198】
【0199】
1-(3-(((4-フルオロベンジル)スルフィニル)メチル)フェニル)-2-メチルジスルファン
【0200】
【0201】
1-(3-((イソブチルスルホニル)メチル)フェニル)-2-メチルジスルファン
【0202】
【0203】
1-(3-((イソブチルスルフィニル)メチル)フェニル)-2-メチルジスルファン
【0204】
【0205】
2-({[3-(プロパ-2-エン-1-イルジスルファニル)フェニル]メタンスルホニル}メチル)フラン
【0206】
式(I)の化合物の薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグが、本明細書において更に提供される。本明細書で使用される「薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ」なる用語は、患者への投与時に、式(I)の化合物の任意の薬学的に許容される形態(例えば、式(I)の化合物の塩またはエステル)を指す。薬学的に許容される塩には、無機または有機塩基からおよび無機または有機酸から誘導される塩が含まれる。適切な塩としては、カリウムおよびナトリウムなどのアルカリ金属、およびカルシウムおよびマグネシウムなどのアルカリ土類金属から誘導される塩が挙げられる。薬学的に許容されるプロドラッグとは、被験者において代謝され、例えば、加水分解または酸化されて、式(I)の化合物を形成する化合物を指す。
【0207】
式(I)の化合物と薬学的に許容される担体および/または賦形剤および/または希釈剤とを含む、医薬組成物が本明細書で更に提供される。本発明の文脈における「医薬組成物」または「医薬品」という用語は、式(I)の化合物(薬学的に有効な量)と、更に1以上の薬学的に許容される担体および/または賦形剤および/または希釈剤とを含む組成物を意味する。
【0208】
医薬組成物は、投与様式および剤形の性質に応じて、例えば、アジュバント(佐剤)、ビヒクル、防腐剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤、香料、潤滑剤、コーティング剤、カプセル化剤、エアロゾル化剤および分散剤から選択される成分を更に含有することができる。
【0209】
医薬組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、カプレット、糖衣錠、トローチ、粒剤、粉剤、ペレット、ビーズ、包帯剤、包帯具(バンデージ)、パッチ、外科用パッチ、カテーテル、ペースト、およびカシェをはじめとする固体製剤の形態;ゲル、バーム、クリーム、軟膏、ガム、フォーム、塗布剤、接着剤およびローションをはじめとする半固体製剤の形態;エリキシル剤、シロップ、懸濁液剤、スプレー、乳液(エマルション)、ローション、石鹸、混濁乳剤、コロジオン、塗料、洗浄剤、灌注剤および溶液をはじめとする液体製剤の形態;溶液、水ベースのシステム、懸濁または分散システム、発泡システムを利用するエアロゾル製剤、および/または液化ガス推進剤、圧縮ガス、乾燥粉末および噴霧剤を利用するエアロゾル製剤から選択され得る。技術および処方は、一般に、Remington, The Science and Practice of Pharmacy、Mack Publishing、ペンシルベニア州イーストン、最新版に見つけることができる。
【0210】
医薬組成物(医薬品)は、例えば、全身投与、経口、吸入、経鼻、局所、坐剤、静脈内または皮内投与に適応することができる。あるいは、組成物は、栄養補助食品組成物、例えば、食品、食品サプリメント、栄養補助食品、健康補助食品、代替食品、飲料、飲料サプリメント、食品添加物、動物飼料または飼料添加物であり得る。
【0211】
式(I)の化合物は、例えば、1または複数の他の生物学的に活性な薬剤と組み合わせて投与することができる。従って、医薬組成物は、1または複数の他の生物学的に活性な薬剤を含み得る。1または複数の生物学的に活性な薬剤は、例えば、創面清拭剤;石鹸;ペニシリン類(例えばペニシリン、アモキシシリン)、セファロスポリン類(例えばセファレキシン)、マクロライド類(例えばエリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン)、フルロオキノロン類(例えばシプロフラクシン、レボフラシン(revoflacin)、オフロキサシン)、スルホンアミド類(例えばコトリモキサゾール、トリメトプリム)、テトラサイクリン類(例えばテトラサイクリン、ドキシサイクリン)およびアミノグリコシド類(例えばゲンタマイシン、トブラマイシン)などの抗生剤;タウロリジン、過マンガン酸カリウム、ホウ酸、界面活性剤(例えばオクテニジン二塩酸塩、オクテニジン二塩酸塩/フェノキシエタノール)、アルコール類(例えばエタノール、イソプロピルアルコール、n-プロパノール)、アニリド類(例えばトリクロカルバン)、ビグアニド類(例えばクロルヘキシジン、ポリヘキサジン、ポリヘキサメチレン、ポリヘキサニド)、ビスフェノール類(例えばジフェニルエーテル-トリクロサン、塩素化フェノール-ヘキサクロロフェン)、塩素化合物(例えば次亜塩素酸ナトリウム)、ハロフェノール類(例えばクロロキシレノール)、ヨウ素化合物(例えばルゴール液、ヨードチンキ、ヨウ化ポリビニルピロリドン、ヨウ化ポビドン、ヨウ化カデキソマーなどのヨードフォア)、銀化合物類(例えばスルファジアジン銀、硝酸銀、(供給源に関係なく、すなわち溶液、クリーム軟膏またはナノ結晶銀から放出される銀)、過酸化物(例えば過酸化水素)、酸素処理剤〔例えばラジカル酸素種や気体状O2の形(例えば、高圧室、Nitrox/Natrox)〕;抗炎症薬(例えば、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、例えばアスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン)、抗凝固薬(例えばヘパリンやワルファリン)、抗血小板薬(例えばアスピリンなど)および血栓溶解薬(ストレプトキナーゼなど)などの抗血栓薬;紫外、可視、紫、青、緑、黄、赤色および近赤外光線領域(単独またはそれらの組み合わせ)内の抗菌光源、創傷治癒装置および光力学的治療源、例えば、レーザー、広範囲または短距離の偏光および未偏光の光源並びにインコヒーレント光源、例えば発光ダイオード(LED)からの光を利用する、深部透過光戦療法、低レベル光/レーザー治療から選択することができる。
【0212】
式(I)の化合物は、例えば、嚢胞性線維症を治療するために使用される1または複数の他の生物学的に活性な薬剤と組み合わせて投与することができる。従って、医薬組成物は、嚢胞性線維症を治療するために使用される1または複数の他の生物学的に活性な薬剤を含み得る。嚢胞性線維症の治療に使用される生物学的に活性な薬剤の例としては、例えば、嚢胞性線維症の膜コンダクタンス制御因子(CFTR)のモジュレーター(例えば、イバカフトール、ルマカフトール、テザカフトール)、抗生物質、粘液溶解薬(例えば、ドルナーゼアルファ、高張食塩水、マンニトール)、免疫調節薬(例えばアジスロマイシン)、気管支拡張薬、およびステロイド薬が挙げられる。
【0213】
特定の実施形態において、1つ以上の他の生物学的に活性な薬剤は、組成物または医薬組成物中に、組成物の総重量に基づいて約0.00001重量%~約99重量%の範囲の量で存在する。例えば、約0.0001重量%~約80重量%、または約0.001重量%~約50重量%、または約0.1重量%~約15重量、または約0.5重量%~約10重量%、または約0.5重量%~約5重量%、または約0.1重量~約3重量%、または約0.1重量%~約2重量%、または約0.1重量~約1重量%、または約0.001重量%~約5重量%、または約0.001重量%~約2重量%、または約0.001重量%~約1重量%、または約0.001重量%~約0.5重量%、または約0.001重量%~約0.1重量%、または約0.001重量%~約0.01重量%の範囲の量で存在する。
【0214】
経口投与用の固体剤形において、式(I)の化合物は、リン酸二カルシウムまたはマクロライドなどの1つ以上の薬学的に許容される担体、および/または以下のいずれかと混合することができる:希釈剤、充填剤または増量剤、例えば、デンプン、ケイ素、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、微結晶セルロースおよび/またはケイ酸;結合剤、例えばヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、スクロースおよび/またはアカシア;崩壊剤、例えばデンプン、例えば、ジャガイモまたはタピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなどのデンプン誘導体、クロスポリビニルピロリドン、炭酸カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、アルギン酸、および特定のケイ酸塩;滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリル硫酸ナトリウム、固体ポリエチレングリコール;可溶化剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸アンモニウムおよびドデシル硫酸ナトリウム;非イオン性界面活性剤、例えば、ポリグリセロールアルキルエーテル、グルコシルジアルキルエーテル、クラウンエーテル;エステル結合型界面活性剤、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、Brij(登録商標)、Span(登録商標)(ソルビタンエステル)およびTween(登録商標)(ポリソルベート);陰イオン性界面活性剤、例えばスルホン酸塩、リン酸塩、硫酸塩およびカルボン酸塩;カルボン酸アルキル(石鹸)、例えば、ステアリン酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、ペルフルオロオクタンスルホネート、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(LAB)およびペルフルオロブタンスルホネート;硫酸アルキルアリールエーテル、ラウロイルサルコシン酸ナトリウムおよびカルボン酸塩ベースのフッ素系界面活性剤、例えば、ペルフルオロノナン酸エステルおよびペルフルオロオクタン酸エステル;カチオン性界面活性剤、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、および塩化ベンゼトニウム;アルキルトリメチルアンモニウム塩、例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウム(CTAB)および塩化セチルトリメチルアンモニウム(CTAC);両イオン性界面活性剤、例えば、スルテイン類CHAPS(3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-1-プロパンスルホネート)中のようなスルホネート;ベタイン類、例えば、コカミドプロピルベタジン;香料および着色剤並びにそれらの混合物。
【0215】
錠剤、および医薬組成物の他の固体剤形は、随意に、腸溶性コーティングや製薬分野で周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。それらはまた、例えば、1または複数の活性成分の徐放または制御放出を提供するように製剤化することもでき、例えば、天然および合成のポリマー、例えばメタクリル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸コポリマー(例えばアクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー、メタクリル酸メチル-メタクリル酸コポリマー)、シェラック、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメット酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、酢酸コハク酸セルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシルプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ワックス、脂肪酸、ゼイン、それぞれを様々な比率で、所望の放出プロファイルを提供するために使用でき、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアも使用することができる。これらの組成物はまた、随意に着色剤および/または乳白剤を含むこともでき、それらが活性成分(1または複数)のみを放出するか、または随意に遅延方式で、優先的に胃腸管の一部分に活性成分を放出するような組成のものであり得る。
【0216】
医薬組成物は、約50重量(w/w)%以下の薬学的に許容される担体および/または賦形剤および/または希釈剤、例えば、約45重量%以下の薬学的に許容される担体および/または賦形剤および/または希釈剤、または約40重量%以下の薬学的に許容される担体および/または賦形剤および/または希釈剤、または約35%重量%以下の薬学的に許容される担体および/または賦形剤および/または希釈剤を含み得る。例えば、医薬組成物は、少なくとも約1重量(w/w)%、または少なくとも約10重量%、または少なくとも約15重量%、または少なくとも約20重量%、または少なくとも約25重量%、または少なくとも約30重量%の薬学的に許容される担体および/または賦形剤および/または希釈剤を含み得る。
【0217】
液体形態の製剤としては、液剤、懸濁液剤、および乳剤、例えば、経口投与用の水または水-プロピレングリコール液が挙げられる。液体製剤は、ポリエチレングリコール水溶液中に溶解して配合することもできる。特定の実施形態において、式(I)の化合物は、水および/または以下のいずれかの1つ以上の薬学的に許容される担体と混合することができる:プロピレングリコールなどの溶剤;アルコール;グリセロールなどの保湿剤;液体グルコース、コーンシロップ、ショ糖などの甘味料;アスパルテーム、ステビア、スクラロースなどの人工甘味料;安息香酸塩やパラベンなどの防腐剤;ガムやアルギン酸塩などの粘度調整剤/増粘剤;緩衝剤;風味剤および着色剤。
【0218】
例えば、錠剤、カプセル剤、粒剤および粉剤などの固体形態の製剤も含まれ、これらは、使用の直前に、経口投与用の液体形態の製剤に変換されることを意図している。このような液体形態としては、液剤、懸濁液剤、および乳剤が挙げられる。これらの特定の固体形態の製剤は、単位用量形態(1回量剤形)で最も便利に提供され、従って、液体の単回投薬単位を提供するために使用される。あるいは、スプーンまたは他の計量装置を用いるなどで所定量の固形製剤を計量することにより、必要に応じて複数の個別の液量を再構成できるように十分な量の固形物を提供することができる。液体形態に変換することを意図した固体形態製剤は、活性物質(有効成分)に加えて、香味料、着色剤、安定剤、緩衝液、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含むことができる。液体形態の製剤を調製するために利用される液体は、水、等張の水、ジュース、ミルク、エタノール等、並びにそれらの混合物であり得る。
【0219】
本明細書中の上記および下記に言及される成分は、特に、薬局方、例えば米国薬局方国民医薬品集(National Formulary)、欧州薬局方、国民医薬品集、標準薬局方(Helvetica)、英国薬局方、ドイツ薬局方、中国薬局方、日本薬局方、または、法令で定められたサプリメント集、などの中に列挙されているものの中から選択される。
【0220】
式(I)の化合物および医薬組成物の使用
本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、様々な治療および非治療用途で使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、患者に1または複数の有益な効果を提供するために使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、様々な化粧品用途で使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、インビトロ法またはインビボ法で使用することができる。この方法は、本明細書に記載の化合物または医薬組成物を被験者に投与することを含んでよい。
【0221】
用語「治療処置」または「治療法」は、被験者における疾患および/または障害の予防並びに軽減も含むが、化粧法は含まない。
【0222】
本明細書で使用する「治療または予防する」という表現および類似の用語は、一般的な医療行為に従って利用可能な試験のいずれかにより判断されるような、疾患および/または障害を除去もしくは回避すること、または予防的および治癒的ケアを含むその症状を緩和することを目的とする、あらゆる形態のヘルスケアを指す。特定の結果を達成すべく合理的な期待を持って目指すけれども、常にそうとは限らない、治療介入は、「治療または予防」という表現に含まれる。疾患および/または障害の進行を遅らせるかまたは停止させることに成功する治療介入は、「治療または予防する」という表現に含まれる。
【0223】
特定の実施形態では、被験者はヒトである。他の実施形態では、被験者は、非ヒト霊長類(例えば類人猿、サルおよびキツネザル)などのヒト以外の哺乳動物、猫または犬などのコンパニオン・アニマル、犬、馬およびポニーなどの作業用動物およびスポーツ用動物、家畜動物、例えばブタ、ヒツジ、ヤギ、鹿、雄牛、畜牛、並びにげっ歯類などの実験動物(例えばウサギ、ラット、マウス、ハムスター、アレチネズミ、モルモット)である。
【0224】
投与される化合物または医薬組成物の量は、被験者または使用の要件に応じて変更することができる。治療および非治療用途の両方について、投与される化合物または医薬組成物の量は、所望の結果、被験者の要件、および治療すべき状態の重症度、に応じて変更することができる。特定の状況に対する適切な量/投与量の決定は、当業者の技術の範囲内である。例えば、治療用途の場合、通常の技術を有する医師または獣医は、必要な化合物または医薬組成物の有効量を容易に決定しそして処方することができる。必要に応じて、合計1日量/投与量を分割し、1日の間に分割投与することができる。
【0225】
一般に、活性剤(すなわち、式(I)の化合物)の適切な1日量は、所望の効果、例えば治療効果、を生み出すのに有効な最低用量である量である。組成物の非毒性性質のために、広範囲の用量を使用できることが期待される。当業者は、適切な用量または投与量が典型的には被験者ごとに異なるだろうし、投与の開始時における被験者の健康状態の重症度といった要因に左右されるだろうということを理解している。例えば、組成物中の活性剤の用量は、1日あたり最大15 g、例えば、1日あたり最大約10 g、または1日あたり最大約5 gであり得る。特定の実施形態では、活性剤の投与量は1日あたり100 mg~約3 gの範囲内であるが、その量は、1日を通して適当な間隔で、2もしくは3つ以上の部分量(sub-dose)として、随意に単位投与形態において投与することが可能である。特定の実施形態では、組成物中の活性剤の用量は、1日あたり約200 mg~約3 gの化合物、例えば1日あたり約500 mg~約3 gの化合物、または1日あたり約750 mg~約2.5 g、または1日あたり約1000 mg~約2000 mgであり得る。特定の実施形態では、活性剤は、1日2回または3回投与することができる。特定の実施形態では、活性剤の各用量は、例えば、多くて約5 g、例えば最大で約3 g、例えば最大で約2.5 gである。活性剤の各用量は、所望の効果を得るために他の従来の薬剤と組み合わせることができる。組成物が局所投与用である場合、化合物の濃度は、皮膚1cm2あたり約0.01 g~約0.5 g、または約0.1 g~約0.4 g、または皮膚1cm2あたり約0.2 g~約0.3 gであり得る。
【0226】
本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、例えば、微生物感染を治療するため、および/または炎症を治療するため、および/または血栓の形成を低減するため、および/または創傷を治療するため、および/または嚢胞性線維症を治療するために使用することができる。これらの使用は、例えば、治療的または非治療的であり得る。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、被験者の慢性創傷を治療または予防するために使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、被験者の虚血性潰瘍を治療または予防するために使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、嚢胞性線維症を有する被験者の肺において粘液の蓄積を低減するために使用することができる。
【0227】
本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、抗菌薬として使用することができる。本明細書で用いる場合、「抗菌(性)」という用語は、本明細書に記載の組成物および医薬組成物が、微生物を死滅させ、細菌の運動性、例えば、群集化、遊泳またはtwitching運動を阻害し、そして/または微生物の増殖を阻害し、そして/または微生物の成長を減らすために用いることができることを意味する。用語「抗菌(性)」には、細菌などの微生物の病原性(ビルレンス)を減少させ、そしてクオラムセンシング(Quorum sensing;菌体間情報伝達機構)を阻害する効果が含まれる。
【0228】
本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、細菌のバイオフィルム形成を阻害および/または根絶するために、そして/または既に形成されている細菌のバイオフィルムを破壊するために使用され得る。細菌のバイオフィルム形成の阻害および/または根絶並びに/または細菌バイオフィルムの破壊は、例えば、細菌のシグナル伝達の阻害、例えば、クオラムセンシング(Quorum sensing;菌体間情報伝達機構)、細菌のバイオフィルム形成または分散の阻害、または全体的な調節システム(例えば、環状二量体グアノシン一リン酸の細胞内レベルに依存するもの)の阻害または刺激、並びに機能的な細菌細胞表面および分泌されたタンパク質の阻害の結果であることができる。
【0229】
特定の実施形態において、微生物は、細菌、真菌および原生動物から選択することができる。細菌株は、例えば、グラム陽性菌、グラム陰性菌、非定型細菌、およびディデルム菌(diderm;2つの膜を持つ)から選択することができる。グラム陽性細菌は、例えば、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens;ウェルシュ菌)、リステリア・モノサイトジェネス(Listeria monocytogenes;リステリア菌)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus;セレウス菌)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis;フェーカリス菌)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus;黄色ブドウ球菌)、メチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)、スタフィロコッカス・エピデルミディス(Staphylococcus epidermidis;表皮ブドウ球菌)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptocuccus pneumoniae;肺炎球菌)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes;化膿レンサ球菌)、クロストリジウム属(Clostridium spp.)およびぺプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus spp.)の1つ以上から選択することができる。グラム陰性菌は、例えば、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium;ネズミチフス菌)、ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus;腸炎ビブリオ)、エンテロバクター属(Enterobacteriae)、例えば、エシェリキア・コリ(Escherichia coli;大腸菌)、クレブシェラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae;肺炎桿菌)、エンテロバクター属、プロテウス属(Proteus spp.)、シトロバクター属(Citrobacter spp.)、モルガネラ・モーガンニィ(Morganella morgannii)、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa;緑膿菌)、アシネトバクター・バウマニィ(Acinetobacter baumannii)、カンピロカテリ・ジェジュニ(Campylocateri jejuni)、バクテリオデス属(Bacteriodes spp.)、プレボテラ属(Prevotella spp.)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori;ピロリ菌)、およびポルフィロモナス属(Porphyromonas spp.)の1つ以上から選択することができる。非定型菌は、例えば、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumonia;肺炎マイコプラズマ)、クラミジア・ニューモニエ(Chlamydia pneumonia;肺炎クラミジア)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、およびマイコバクテア(mycobacteria)の1つ以上から選択することができる。ディデルム菌は、例えば、スピロヘータ菌、例えばレプトスピラ種(Leptospira spp.)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、ボレリア・メイオニ(Borrelia mayonii)、ボレリア・アフゼリ(Borrelia afzelii)、ボレリア・ガリニ(Borrelia garinii)、ボレリア・レカレンティス(Borrelia recurrentis)、トレポネーマ・パリダム(Treponema pallidum;梅毒トレポネーマ)、ブラキスピラ・ピロシコリ(Brachyspira pilosicoli)、およびブラキスピラ・アールボルギ(Brachyspira aalborgi)から選択することができる。真菌は、例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、アスペルギリス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)の1つ以上から選択することができる。
【0230】
細菌株は、バイオフィルム形成細菌および/またはバイオフィルムを形成能のある細菌であることができる。バイオフィルム形成細菌および/またはバイオフィルム形成能のある細菌は、例えば、バチルス属(Bacillus spp)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus;黄色ブドウ球菌)、ラクトバチルス・プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトコッカス・ラクチス(Lactococcus lactis;ラクチス菌)、ビブリオ・フィシェリ(Vibrio fischeri)、エロモナス・ヒドロフィラ(Aeromonas hydrophila)、エロモナス・サルモニシダ(Aeromonas salmonicida)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、クロモバクテリウム・ビオラセウム(Chromobacterium violaceum)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)、エルウィニア・クリサンテミ(Erwinia chrysanthemi)、エルウィニア・ステワルティ(Erwinia stewartii)、エシェリキア・コリ(Escherichia coli;大腸菌)、ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pyrori;ピロリ菌)、シュードモナス・アウレオファシエンス(Pseudomonas aureofaciens)、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa;緑膿菌)、ラルストニア・ソラナケアルム(Ralstonia solanacearum;青枯病菌)、リゾビウム・エトリ(Rhizobium etli)、リゾビウム・レグミノサルム(Rhizobium leguminosarum)、ロドバクター・スフェロイデス(Rhodobacter sphaeroides;紅色非硫黄細菌)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium;ネズミチフス菌)、セラチア・リクファシエンス(Serratia liquefaciens;セラチア菌)、シノリゾビウム・メリロティ(Sinorhizobium meliloti)、ビブリオ・アンギラルム(Vibrio anguillarum;魚類ビブリオ菌)、ビブリオ・ハーベイ(Vibrio harveyi)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、エルシニア・シュードツベルクロシス(Yersinia pseudotuberculosis;偽結核菌)から選択することができる。
【0231】
例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、被験者における微生物感染を治療および/または予防するために被験者に投与することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、皮膚上の創傷の治癒を促進するために使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、損傷した皮膚の微生物感染を防ぐために使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、消化器系における微生物感染を治療または予防するために使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、被験者の鼻腔または耳腔における微生物感染を治療または予防するために使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、被験者の気道における微生物感染を治療または予防するために使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、嚢胞性線維症患者の気道(例えば肺)における微生物感染を治療または予防するために使用することができる〔例えば、式(I)の化合物の吸入により〕。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、被験者の皮膚における微生物感染を治療または予防するために使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、被験者の慢性創傷を治療または予防するために使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、被験者の虚血性潰瘍を治療または予防するために使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、例えば、尿路インプラント、留置導尿カテーテル、および腎臓透析患者のために、尿路洗液または膀胱洗液として使用することができる。
【0232】
従って、抗菌薬としての本明細書に記載の化合物または医薬組成物の治療用途が本明細書に提供される。抗菌薬として使用するための、本明細書に記載の化合物または医薬組成物も本明細書に提供される。抗菌薬の製造における本明細書に記載の組成物または医薬組成物の使用が、本明細書に更に提供される。被験者における微生物感染を治療および/または予防するための治療方法が本明細書に更に提供され、この方法は、本明細書に記載の化合物または医薬組成物を被験者に投与することを含む。
【0233】
特定の実施形態では、本明細書に開示される化合物および医薬組成物は、非治療用途で使用される。
【0234】
例えば、本明細書に記載の化合物は、非生体表面上の抗菌薬として(例えば消毒剤として)使用することができる。例えば、本明細書に開示される化合物および医薬組成物は、化粧品用途、例えば、生体表面(例えば皮膚)上の抗菌薬として使用することができる。例えば、本明細書に開示される化合物および医薬組成物は、美容スキンケア組成物または化粧品組成物において抗菌薬として使用することができる。
【0235】
例えば、本明細書に記載の化合物は、工業用の非生体表面上の抗菌薬として、例えば水道または石油産業において用いられる配管の中のバイオフィルム形成を除去または防止するために、貯水槽用の洗浄剤として(例えば漁業において)、工業プロセスにおける防鳥剤として(例えば水産業、漁業)、使用することができる。
【0236】
例えば、本明細書に記載の化合物は、疾病伝播の保護および/または予防のための食品添加物および/または水添加物として使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物は、植物、新鮮な果物および野菜の洗浄に使用することができる。本明細書に記載の化合物は、表面細菌を減少させ、貯蔵寿命を延ばし、そして/または生存している作物または農産物への害虫の侵入から表面を保護することができる。
【0237】
例えば、本明細書に記載の化合物は、医療機器または薬用組成物、例えば、骨または歯科インプラント用のセメント、インプラント、創傷被覆材、縫合糸、または糸の抗菌薬として使用することができる。
【0238】
例えば、本明細書に記載の化合物は、生体表面上の抗菌薬として使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物は、衛生上の理由で(例えば、病気の蔓延を防ぐために)微生物を殺菌するか、または微生物の増殖を阻害するために皮膚に適用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物は、手指消毒剤として手に塗布することができる。例えば、本明細書に記載の化合物は、例えば口臭を治療または予防するために、うがい薬として使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物は、例えば虫歯および歯垢を治療または予防するために、歯科治療用製剤として使用することができる。
【0239】
例えば、本明細書に記載の化合物は、農業用途に使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物は、植物の小さな傷口の感染を治療または予防するために使用することができ、または植物の表面病原体を減少させるために使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物は、例えば動物の農場施設のためのバイオセキュリティー用消毒剤として使用することができる。例えば、本明細書に記載の化合物は、動物飼料の滅菌に使用することができる。
【0240】
本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、抗炎症薬として使用することができる。本明細書で使用される「抗炎症(性)」という用語は、本明細書に記載の組成物および医薬組成物を使用して、炎症または腫脹を軽減することができることを意味する。
【0241】
例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、被験者の炎症を治療および/または予防するために該被験者に投与することができる。従って、抗炎症薬として本明細書に記載されている化合物または医薬組成物の治療用途が本明細書に提供される。抗炎症薬として使用するための、本明細書に記載の化合物または医薬組成物も本明細書に提供される。抗炎症薬の製造における本明細書に記載の組成物または医薬組成物の使用も、本明細書に更に提供される。本明細書では、被験者の炎症を治療および/または予防するための治療法が更に提供され、この方法は、本明細書に記載の化合物または医薬組成物を被験者に投与することを含む。
【0242】
、従って、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、炎症性疾患または障害を治療または予防するために使用することができる。炎症性疾患または障害の例としては、例えば、アレルギー、癌、アテローム性動脈硬化症、虚血性心臓病、尋常性ざ瘡、喘息、自己免疫疾患、自己炎症性疾患、セリアック病、慢性前立腺炎、大腸炎、憩室炎、糸球体腎炎、化膿性汗腺炎、過敏症、炎症性腸疾患、間質性嚢胞炎、苔癬平面、マスト細胞活性化症候群、肥満細胞症、耳炎、骨盤炎症性疾患、再灌流障害、リウマチ熱、関節リウマチ、鼻炎、サルコイドーシス、移植拒絶、および血管炎が挙げられる。
【0243】
炎症の治療は、例えば、C反応性タンパク質(CRP)および赤血球沈降速度(ESR)などの1つ以上の炎症マーカーの発現レベルを測定することによって決定することができる。CRPおよびESR発現の低下は、炎症の低下を示す。
【0244】
本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、抗血栓薬として使用することができる。本明細書で使用される「抗血栓(性)」という用語は、本明細書に記載の組成物および医薬組成物が、例えば血小板凝集を阻害することによって血栓の形成を低減するために使用できることを意味する。従って、抗血栓薬を使用して、被験者の血流を増加させることが可能である。
【0245】
例えば、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、被験者における血栓の形成を低減するために被験者に投与され得る。従って、本明細書に抗血栓薬として記載される化合物または医薬組成物の治療用途が本明細書に提供される。抗血栓薬として使用するための、本明細書に記載の化合物または医薬組成物も本明細書に提供される。抗血栓薬の製造における本明細書に記載の組成物または医薬組成物の使用も、本明細書に更に提供される。本明細書では、被験者における血栓の形成を低減するための治療方法が更に提供され、この方法は、本明細書に記載の化合物または医薬組成物を被験者に投与することを含む。
【0246】
従って、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、被験者における血流に関連する障害を治療または予防するために使用することができる。本明細書に開示される化合物および医薬組成物は、被験者の血流、例えば正常または健常の範囲であると見なされるものの外側にある血流レベルを有する被験者において、血流を改善するため(例えば増加させるため)に使用することができる。例えば、本明細書に開示される化合物および医薬組成物は、被験者の血流(例えば循環系)と関連がある任意の疾患または障害を治療または予防するために用いることができる。例えば、被験者は、おそらく血流に関連する1または複数の疾患または障害を発症しやすいだろう。
【0247】
血流および/または血小板凝集に関連する疾患および障害には、例えば、心血管疾患、脳血管または脳疾患、免疫疾患、骨、関節および/または筋肉疾患、並びに疲労性疾患が含まれる。
【0248】
心血管疾患および障害には、例えば、冠動脈疾患、冠動脈性心臓病、狭心症、心筋梗塞、高血圧性心臓病、心不全、肺心臓病、心不整脈、炎症性心疾患、リウマチ性心疾患、心筋症、心房筋疾患、先天性心臓病、心内膜炎、炎症性心肥大、心筋炎、弁心疾患、大動脈瘤、静脈血栓症、リウマチ性血管炎、アテローム性動脈硬化症、末梢動脈疾患、腎動脈狭窄が含まれる。
【0249】
脳血管疾患および脳疾患には、例えば、脳卒中(例えば、軽度の脳卒中、出血性脳卒中、虚血性脳卒中)、一過性脳虚血発作(TIA)、くも膜下出血、および血管性認知症が含まれる。
【0250】
免疫疾患および免疫障害には、例えば、被験者の免疫応答が正常な健常な個体よりも低い任意の疾患、例えば免疫不全疾患(例えば原発性、続発性、体液性、T細胞性、好中球減少症、無脾症および補体欠損症)、免疫系が損なわれている被験者(例えば、化学療法および/または放射線療法を受けている被験者、HIVに感染している被験者、脾臓、扁桃腺、リンパ節などの免疫機能に関連する1つ以上の臓器を欠損している被験者)における低免疫応答が含まれる。例えば、免疫疾患としては、毛細血管拡張性運動失調症、チェディアック・東症候群、複合免疫不全症、補体欠損症、ディジョージ症候群、低ガンマグロブリン血症、ジョブ症候群、白血球接着障害、汎低ガンマグロブリン血症、ブルートン病、先天性無ガンマグロブリン血症、選択的IgA欠損症、ウィスコット・アルドリッチ症候群および重症複合免疫不全症(SCID)が挙げられる。例えば、免疫の健常性に関連する感染症や症状としては、上下気道感染症、花粉症、副鼻腔炎および咽頭炎が挙げられる。
【0251】
関節の疾患および障害には、例えば、関節、運動、筋肉および骨の健康に関連するあらゆる疾患、例えば関節炎(例えば、変形性関節症、関節リウマチ、乾癬性関節炎、敗血症性関節炎)、滑液包炎、骨壊死、脱臼、骨のペルテス病およびパジェット病が含まれる。
【0252】
倦怠感の疾患および障害には、例えば、単純な倦怠感および/または倦怠感が一症状である任意の疾患が含まれる。例えば、疲労性疾患および障害には、慢性疲労症候群、貧血、うつ病、鉄欠乏症(貧血を伴わない)、睡眠障害、甲状腺機能低下、甲状腺機能亢進症、アディソン病、神経性食欲不振または他の摂食障害、ループス、糖尿病などの自己免疫疾患、線維筋痛、腎臓病、肝臓病および栄養失調が含まれる。
【0253】
特定の実施形態において、本明細書に記載の化合物または医薬組成物は、循環系の全体的健康を維持および/または改善するために使用することができ、例えば、1つ以上の循環系関連疾患もしくは障害の発症を治療または軽減または予防するため、および/または健康な血流の維持もしくは改善を介して代謝系に有益な効果を提供するために使用することができる。
【0254】
本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、様々な非治療用途で使用することができる。
【0255】
例えば、当該化合物および医薬組成物は、被験者の血流を維持する方法において使用することができる。例えば、被験者が健康であるかまたは正常な血流レベルを有し、そして例えば、血流に関連する何らかの疾患を発症する任意の特定のリスクがないであろう場合に、被験者は、正常な血液を維持するために本明細書に開示される組成物を摂取することができる。例えば、被験者が健康であり、そして例えば、血流および/または血小板凝集に関連する何らかの疾患を発症する任意の特定のリスクがないであろう場合に、被験者は、健康的なライフスタイルの一部として本明細書に開示される組成物を摂取することができる。
【0256】
化合物の抗血栓活性は、例えば、光学血小板凝集計を使用して、血小板凝集の程度を決定することによって測定することができる。
【0257】
本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、抗癌剤として使用することができる。従って、本明細書に記載の化合物および医薬組成物は、癌を治療または予防するために使用することができる。
【0258】
式(I)の化合物を製造する方法
式(I)の化合物および式(I)の化合物を含む医薬組成物は、任意の適切な方法によって製造することができる。
【0259】
特定の実施形態において、医薬組成物は、式(I)の化合物を薬学的に許容される担体および/または賦形剤および/または希釈剤と組み合わせることにより製造される。成分を適切な量で組み合わせて、各成分の所望の量と濃度を有する組成物を得る。各成分は、所望の製品を得るのに適した任意の順序および組み合わせで、1または複数の他の成分と組み合わせることができる。例えば、各成分は、混合することによって組み合わせることができる。そのような方法は、当技術分野でよく知られており、例えば、製薬業界で知られている方法である。医薬組成物は、乾燥固体形態、例えば、粉末形態で調製することができ、そして意図される最終製品のための処方のタイプに応じて、さらなる処理工程に供することができる。この方法は、混合物を成形し、圧縮し、噴霧乾燥し、またはその他の方法で、好ましくは本明細書中に記載のヒトまたは他の種類の哺乳動物による消費に適当な寸法および/またはテクスチャー(質感)を有する、1つの形状(例えば棒状、球状、ペレット状、クラスター状、錠剤)に成形するという、成形工程を更に含むことができる。
【0260】
特定の実施形態において、式(I)の化合物の製造方法は、反応スキーム(IA)または反応スキーム(IB)の工程1~4または工程1~5を経由して進行することができる。反応スキーム(IA)は、例えば、式(IA)の化合物を製造することができる。反応スキーム(IB)は、例えば、式(IB)の化合物を製造することができる。
【0261】
【0262】
【0263】
工程1は、
【0264】
【0265】
を、R1-メルカプタンと反応させることを含んでもよい。例えば、工程1は、
【0266】
【0267】
を、アルキルメルカプタンまたは置換チオール、例えばベンジルメルカプタンと反応させることを含んでよい。
【0268】
工程1の反応は、例えば、水素化ナトリウムなどの水素化物の存在下で起こり得る。工程1の反応は、例えば、テトラヒドロフランのような環状エーテルなどの複素環式化合物の存在下で起こり得る。
【0269】
工程1の反応は、例えば、約15℃~約25℃の範囲の温度で行うことができる。工程1の反応は、例えば、約6時間~約24時間の範囲の期間に渡って行うことができる。
【0270】
工程1の生成物の精製は、例えば、反応混合物を、例えば塩化アンモニウムでクエンチングすること、および揮発性物質を除去することを含み得る。次に、残留物を水とトルエンなどの有機化合物との間に分配させることができる。水層は、例えば、2回目に追加のトルエンなどの有機化合物を使用して抽出することができる。次に、有機層を一緒に合わせ、そして/または例えば硫酸ナトリウム上で乾燥させることができる。次に、生成物を、例えば減圧下で濾過および/または濃縮することができる。粗製残留物は、例えば、80 gまたは120 gのシリカカートリッジと、溶媒系としてヘプタン:ジクロロメタン0~10%を使用するシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製することができる。
【0271】
工程2は、
【0272】
【0273】
を、例えばトルエンなどの有機化合物の存在下で、チオ酢酸カリウムなどのチオ酢酸塩と反応させることができる。例えば、該混合物に窒素を吹き込むことができる。ヨウ化銅などの金属ハロゲン化物および/または1,10-フェナントロリンなどの複素環式化合物を反応混合物に添加することができる。反応は、例えば、還流条件下で起こり得る。反応は、例えば、約80℃~約120℃の範囲の温度、例えば約100℃で行うことができる。反応は、例えば、約12時間~約36時間、例えば約48時間の範囲の期間に渡って行うことができる。
【0274】
工程2の生成物の精製は、例えば、反応混合物をほぼ室温に冷却することを含み得る。反応物は、例えば、水と酢酸エチルなどの有機化合物との間に分配させることができる。水層は、例えば、2回目に酢酸エチルなどの追加の有機化合物を使用して抽出することができる。次に、有機層を一緒に合わせ、そして/または例えば硫酸ナトリウムで乾燥させることができる。次に、生成物を、例えば減圧下で濾過および/または濃縮することができる。粗製残留物は、例えば、80 gのシリカカートリッジおよび溶媒系としてヘプタン:ジクロロメタン10~20%を使用するシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製することができる。
【0275】
工程3は、
【0276】
【0277】
を、-CH2-R2基を含むスルホノチオエート、例えばS-ベンジル4-メチルベンゼンスルホノチオエートと反応させることを含んでよい。該反応は、例えば水酸化カリウムなどの水酸化物および/またはメタノールなどのアルコールのような1つ以上の有機化合物および/またはテトラヒドロフランなどの環状エーテルのような複素環式化合物の存在下で起こり得る。反応は、例えば、約0℃以下、例えば約-20℃以下または約-40℃以下、または約-60℃以下の温度で行うことができる。反応混合物は、例えば、アセトニトリル/ドライアイス(cardice)浴、またはアセトン/ドライアイス浴を使って冷却することができる。反応は、例えば、約15分~約2時間、例えば約1時間の範囲の時間に渡って起こりうる。
【0278】
工程3の生成物の精製は、例えば、反応混合物を、例えば、塩化アンモニウムなどの塩の水溶液で中和することを含み得る。反応混合物を酢酸エチルなどの有機化合物と塩化アンモニウムなどの塩の水溶液との間で分配させることができる。水層は、例えば、2回目に酢酸エチルなどのより多くの有機化合物を使用して抽出することができる。次に、有機層を一緒に合わせ、そして/または例えば硫酸ナトリウムで乾燥させることができる。次に、生成物を、例えば減圧下で濾過および/または濃縮することができる。粗製残留物を、例えば、12.0 gのシリカカートリッジと、溶媒系としてヘプタン:酢酸エチル1~2%を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製することができる。
【0279】
工程4は、
【0280】
【0281】
を、3-クロロ過安息香酸などの酸化剤と反応させることを含んでよい。該反応は、例えば、ジクロロメタンなどの有機溶媒の存在下で行うことができる。
【0282】
反応は、例えば、約0℃以下、例えば約-20℃以下または約-40℃以下、または約-60℃以下の温度で行うことができる。反応は、例えば、約15分~約2時間、例えば約1時間の範囲の時間に渡って行うことができる。
【0283】
工程4の生成物の精製は、例えば、反応混合物を、例えば、重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄することを含み得る。水層は、例えば、ジクロロメタンなどの有機溶媒で更に抽出することができる。次に、有機層を一緒に合わせ、そして/または例えば硫酸ナトリウム上で乾燥させることができる。次に、生成物を例えば減圧下で濾過および/または濃縮することができる。粗製残留物を、例えば、20 gのシリカカートリッジと溶媒系としてヘプタン:酢酸エチル30~40%を用いる、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製することができる。
【0284】
工程5は、
【0285】
【0286】
を、過マンガン酸カリウムなどの酸化剤と反応させることを含み得る。該反応は、アセトンなどの有機溶媒の存在下で行うことができる。該反応は、例えば、約0℃未満、例えば約-20℃未満、または約-40℃未満の温度で行うことができる。反応は、例えば、約15分~約10時間の範囲、例えば6時間の期間に渡り行うことができる。
【0287】
工程5の生成物の精製は、例えば、セライトのパッドを通して濾過することを含み得る。例えば、溶媒を除去することができ、例えば12 gのシリカカートリッジと、溶媒系としてヘプタン:酢酸エチル10~15%またはヘキサン:ジクロロメタンを用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより、粗製物質を精製することができる。
【0288】
実施例1:1-ベンジル-2-(3-((ベンジルスルフィニル)メチル)フェニル)ジスルファンおよび1-ベンジル-2-(3-(ベンジルスルホニル)フェニル)ジスルファンの調製方法
【0289】
【0290】
工程1:ベンジル(3-ヨードベンジル)スルファンの調製
ベンジルメルカプタン(2.17 mL、18.50ミリモル)を、テトラヒドロフラン(100 mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中60%)(808 mg、20.20ミリモル)の懸濁液に5分間かけて滴下添加し、続いてテトラヒドロフラン(15 mL)中の3-ブロモメチルヨードベンゼン(5.00 g、16.80ミリモル)の溶液を加え、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。
【0291】
反応混合物を塩化アンモニウムの飽和水溶液でクエンチングし、揮発性物質を真空下で留去した。残留物を水(100 mL)とトルエン(100 mL)の間に分配した。水層を更にトルエン(2×250 mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗製残留物を、80 gのシリカカートリッジおよび溶媒系としてヘプタン:ジクロロメタン0~10%を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の化合物であるベンジル(3-ヨードベンジル)スルファンを赤色油として得た(5.49 g、収率96%)。
【0292】
工程2:S-(3-((ベンジルチオ)メチル)フェニル)エタンチオエートの調製
トルエン(200 mL)中のベンジル(3-ヨードベンジル)スルファン(3.70 g、10.90ミリモル)の溶液にチオ酢酸カリウム(1.24 g、10.90ミリモル)を加え、その混合物に窒素を10分間吹き込んで脱気した。次に、ヨウ化銅(1.04 g、5.40ミリモル)および1,10-フェナントロリン(1.96 g、10.90ミリモル)を混合物に加え、還流条件(150℃)で加熱し、48時間撹拌した。
【0293】
その混合物を水(200 mL)で洗浄し、水層を酢酸エチル(2×100 mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗製残留物を、80 gのシリカカートリッジと、溶媒系としてヘプタン:酢酸エチル10~20%とを用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の化合物であるS-(3-((ベンジルチオ)メチル)フェニル)エタンチオエート(2.37 g、収率76%)を得た。
【0294】
工程3:1-ベンジル-2-(3-((ベンジルチオ)メチル)フェニル)ジスルファンの調製
水酸化カリウム(1.68 mL、1.68ミリモル)の1M溶液を、アセトニトリル/ドライアイス(cardice)浴中で予め-40℃に冷却しておいたメタノール(5 mL)とテトラヒドロフラン(2 mL)中のS-(3-((ベンジルチオ)メチル)フェニル)エタンチオエート(440 mg、1.53ミリモル)の溶液に、温度を-35℃未満に維持しながら、滴下添加した。反応混合物を20分間撹拌し、次いでアセトン/ドライアイス浴で-70℃に冷却した。
【0295】
テトラヒドロフラン(5 mL)中のS-ベンジル=4-メチルベンゼンスルホノチオエート(638 mg、2.29ミリモル)の溶液を滴下添加した。得られた混合物を-70℃で20分間、次いで室温で1時間撹拌した。
【0296】
その混合物を、飽和塩化アンモニウム水溶液で中和し、酢酸エチル(50 mL)と追加の飽和塩化アンモニウム水溶液(40 mL)の間に分配させた。水層を更に酢酸エチル(50 mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗製残留物を、120 gのシリカカートリッジと溶媒系としてヘプタン:酢酸エチル1%を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の化合物である1-ベンジル-2-(3-(ベンジルチオ)フェニル)ジスルファン(0.52 g、収率92%)を得た。
【0297】
工程4:1-ベンジル-2-(3-((ベンジルスルフィニル)メチル)フェニル)ジスルファンの調製
【0298】
3-クロロ過安息香酸(77%)(380 mg、1.69ミリモル)を、ドライアイス/アセトン浴を使って-70℃に予め冷却しておいたジクロロメタン(20 mL)中の1-ベンジル-2-(3-((ベンジルチオ)メチル)フェニル)ジスルファン(520 mg、1.41ミリモル)の溶液に添加した(添加の間、温度を-65℃未満に維持した)。反応混合物を-70℃で10分間、次いで室温で1時間撹拌した。
【0299】
その後、混合物をジクロロメタン(20 mL)で希釈し、重炭酸ナトリウム水溶液(40 mL)で洗浄した。水層を更にジクロロメタン(2×20 mL)で抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して、褐色油を得た。粗製残留物を、20 gのシリカカートリッジと溶媒系としてヘキサン:酢酸エチル40%を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の化合物である1-ベンジル-2-(3-(ベンジルスルフィニル)フェニル)ジスルファンを得た(387 mg、収率71%)。
【0300】
工程5:1-ベンジル-2-(3-((ベンジルスルホニル)メチル)フェニル)ジスルファンの調製
アセトン(15 mL)中の過マンガン酸カリウム(260 mg、1.64ミリモル)の溶液を、予め-40℃に冷却しておいたアセトン(20 mL)中の1-ベンジル-2-(3-((ベンジルスルフィニル)メチル)フェニル(290 mg、0.75ミリモル)と硫酸マグネシウム(909 mg、7.47ミリモル)の混合物に、10分間にわたって滴下添加した。添加の間、内部温度を-35℃未満に保った。反応混合物を-40℃で20分間、次いで-20℃で2時間撹拌した。混合物をセライトのパッドを通して濾過し、溶媒を真空中で留去した。多量のアセトンを用いて別のセライトのパッドを通して濾過することによりマンガンIIIを除去した。濾液を減圧濃縮して白色固体を得た。粗製物を12 gのシリカカートリッジと、溶媒系としてヘキサン:酢酸エチル5~10%、ヘキサンおよびヘキサン:ジクロロメタン(1:2)を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の化合物である1-ベンジル-2-(3-((ベンジルスルホニル)フェニル)ジスルファンを白色固体(32 mg、収率11%)として得た。
【0301】
実施例2:1-ベンジル-2-(2-((ベンジルスルフィニル)メチル)フェニル)ジスルファンおよび1-ベンジル-2-(2-(ベンジルスルホニル)フェニル)ジスルファンの調製方法
【0302】
【0303】
工程1:ベンジル(2-ヨードベンジル)スルファンの調製
ベンジルメルカプタン(2.0 mL、16.80ミリモル)を、テトラヒドロフラン(100 mL)中の水素化ナトリウム(鉱油中60%)(672 mg、16.30ミリモル)の懸濁液に10分間かけて滴下添加した。反応混合物を室温で更に15分間撹拌し、テトラヒドロフラン(20 mL)中の2-ブロモメチルヨードベンゼン(5.00 g、16.80ミリモル)の溶液を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。
【0304】
反応混合物を塩化アンモニウム飽和溶液(10 mL)でクエンチングし、揮発性物質を真空中で留去した。残留物を水(200 mL)とトルエン(200 mL)の間に分配させた。水層を更にトルエン(50 mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮して、淡褐色油を得た。粗製残留物を、120 gのシリカカートリッジと、溶媒系としてヘプタン:ジクロロメタン10%を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の化合物であるベンジル(2-ヨードベンジル)スルファンを粘稠な無色油(5.30 g)として得た。
【0305】
工程2:S-(2-((ベンジルチオ)メチル)フェニル)エタンチオエートの調製
トルエン(200 mL)中のベンジル(2-ヨードベンジル)スルファン(3.24 g、9.52ミリモル)の溶液にチオ酢酸カリウム(1.63 g、14.30ミリモル)を加え、その混合物に窒素を10分間通して脱気した。次に、ヨウ化銅(0.91 g、4.76ミリモル)および1,10-フェナントロリン(1.72 g、9.52ミリモル)を混合物に加え、それを100℃に加熱した(100℃に加熱しながら脱気を続けた)。混合物を100℃で48時間撹拌した。
【0306】
その混合物を室温に冷却し、水(250 mL)と酢酸エチル(100 mL)の間に分配させた。水層を酢酸エチル(100 mL)で抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧濃縮した。粗製残留物を、80 gのシリカカートリッジと、溶媒系としてヘプタン:ジクロロメタン10%~20%を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の化合物であるS-(2-((ベンジルチオ)メチル)フェニル)エタンチオエートを得た(2.10 g)。
【0307】
工程3:1-ベンジル-2-(2-((ベンジルチオ)メチル)フェニル)ジスルファンの調製
アセトニトリル/ドライアイス(cardice)浴で予め-35℃に冷却しておいたメタノール(5 mL)とテトラヒドロフラン(2 mL)中のS-(2-((ベンジルチオ)メチル)フェニル)エタンチオエート(418 mg、1.45ミリモル)の溶液に、1M水酸化カリウム溶液(2.17 mL、2.17ミリモル)を、温度を-35℃未満に維持しながら滴下添加した。反応混合物を20分間撹拌し、次いでアセトン/ドライアイス浴で-70℃に冷却した。テトラヒドロフラン(5 mL)中のS-ベンジル=4-メチルベンゼンスルホノチオエート(604 mg、2.17ミリモル)の溶液を滴下添加し、得られた混合物を-70℃で20分間撹拌し、次いで室温で1時間撹拌した。
【0308】
その混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液(10 mL)で中和し、酢酸エチル(40 mL)と追加の飽和塩化アンモニウム水溶液(20 mL)の間に分配させた。水層を更に酢酸エチル(2×20 mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。粗残留物を、12 gのシリカカートリッジと溶媒系としてヘプタン:酢酸エチル2%を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の化合物である1-ベンジル-2-(2-(ベンジルチオ)フェニル)ジスルファンを得た(320 mg)。
【0309】
工程4:1-ベンジル-2-(2-((ベンジルスルフィニル)メチル)フェニル)ジスルファンの調製
3-クロロ過安息香酸(77%)(234 mg、1.04ミリモル)を、ジクロロメタン(20 mL)中の1-ベンジル-2-(2-((ベンジルチオ)メチル)フェニル)ジスルファン(320 mg、0.87ミリモル)の溶液に、温度を-65℃未満に保ちながら滴下添加した。その混合物を-70℃で10分間攪拌し、次いで室温で1時間撹拌した。
【0310】
その後、混合物を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、水層を更にジクロロメタン(2×20 mL)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗製残留物を、12 gのシリカカートリッジと、溶媒系としてヘプタン:酢酸エチル30~40%を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の化合物である1-ベンジル-2-(2-(ベンジルスルフィニル)フェニル)ジスルファンを黄色固体として得た(226 mg)。
【0311】
工程5:1-ベンジル-2-((ベンジルスルホニル)メチル)フェニル)ジスルファンの調製
アセトン(15 mL)中の過マンガン酸カリウム(159 mg、1.01ミリモル)の溶液を、-40℃に予め冷却しておいた1-ベンジル-2-(2-((ベンジルスルフィニル)メチル)フェニル)ジスルファン(176 mg、0.46ミリモル)の溶液に滴下添加した。反応混合物を-40℃で5時間、次いで-20℃で1時間撹拌した後、セライトのパッドを通して濾過した。
【0312】
溶媒を真空中で留去し、粗製物質を12 gのシリカカートリッジと溶媒系としてのイソヘキサン:酢酸エチル10~15%を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の化合物である1-ベンジル-2-(2-(ベンジルスルホニル)フェニル)ジスルファンを得た(53 mg、収率29%)。
【0313】
実施例3:1-メチル-2-(3-((フェニルスルフィニル)メチル)フェニル)ジスルファンおよび1-メチル-2-(3-((フェニルスルホニル)メチル)フェニル)ジスルファンの調製方法
【0314】
【0315】
工程1:3-ヨードベンジル(フェニル)スルファンの調製
チオフェノール(0.50 mL、4.90ミリモル)を、予め5℃に冷却しておいたテトラヒドロフラン(10 mL)中の水素化ナトリウム(213 mg、5.34ミリモル)の混合物に滴下添加した。反応混合物を5℃で20分間撹拌し、次いでテトラヒドロフラン(10 mL)中の臭化4-ヨードベンジル(1.20 g、4.45ミリモル)の溶液を添加し、そして混合物を室温で1時間撹拌した。
【0316】
反応混合物を塩化アンモニウムの飽和溶液(2 mL)でクエンチングした。揮発性物質の大部分を真空中で留去し、得られた油と固体を、トルエン(50 mL)と水(50 mL)の間に分配した。水層を更にトルエン(2×25 mL)で抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮して、淡黄色油を得た。粗製物質を、40 gのシリカカートリッジと、溶媒系としてヘプタン:ジクロロメタン0~4%を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物である(3-ヨードベンジル)(フェニル)スルファンを無色油として得た(1.22 g、収率84%)。
【0317】
工程2:S-(3-((フェニルチオ)メチル)フェニル)エタンチオエートの調製
チオ酢酸カリウム(420 mg、3.67ミリモル)を、トルエン(40 mL)中の(3-ヨードベンジル)(フェニル)スルファン(1.20 g、3.67ミリモル)の溶液に添加した。得られた混合物を撹拌し、窒素で20分間脱気した。その後、1,10-フェナントロリン(661 mg、3.67ミリモル)およびヨウ化銅(350 mg、1.84ミリモル)を加え、反応混合物を110℃(外部温度)に加熱し、窒素下で60時間撹拌した。
【0318】
混合物を室温に冷却し、セライトで濾過し、酢酸エチル(200 mL)で洗浄した。濾液をブライン(100 mL)で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。粗製物質を、40 gのシリカカートリッジおよび溶媒系としてのヘプタン:酢酸エチル4%を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物であるS-(3-((フェニルチオ)メチル)フェニル)エタンチオエートを橙色の粘稠な油として得た(690 mg、収率69%)。
【0319】
工程3:1-メチル-2-(3-((フェニルチオ)メチル)フェニル)ジスルファンの調製
三つ口丸底フラスコ(温度計、隔壁、塩化カルシウム保護管を備えた)にS-(3-((フェニルチオ)メチル)フェニル)エタンチオエート(680 mg、2.48ミリモル)およびメタノール(25 mL)を投入した。混合物を-35℃に冷却し、メタノール中の1M水酸化カリウム溶液(3.2 mL、3.20ミリモル)を5分間に渡り滴下添加した。内部温度を-35℃前後に維持しながら、反応混合物を30分間撹拌した。その後、混合物を更に65℃に冷却し、温度を-60℃前後に維持しながら、メタノール(25 mL)中のメチルチオトシレート(652 mg、3.23ミリモル)の溶液を20分間に渡って滴下添加した。温度を0℃に上昇させながら反応混合物を3時間撹拌した。
【0320】
反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(200 mL)に注ぎ、tert-ブチルメチルエーテル(3×80 mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(100 mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧濃縮した。粗製物質を、20 gのシリカカートリッジと、溶媒系としてヘプタン:酢酸エチル2%を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物である1-メチル-2-(3-((フェニルチオ)メチル)フェニル)ジスルファンを黄色油として得た(630 mg、収率91%)。
【0321】
工程4:1-メチル-2-(3-((フェニルスルフィニル)メチル)フェニル)ジスルファンの調製
予め-65℃に冷却しておいたジクロロメタン(50 mL)中の1-メチル-2-(3-((フェニルチオ)メチル)フェニル)ジスルファン(620 mg、2.23ミリモル)の溶液に、3-クロロ過安息香酸(513 mg、2.23ミリモル)を一度に加えた。温度を0℃に加温しながら反応混合物を3時間撹拌した。LCMS分析が反応が完了していないことを示したので、更に3-クロロ過安息香酸(51 mg、0.22ミリモル)を加え、温度を0℃から室温に温めながら、反応混合物を更に2時間撹拌した。
【0322】
混合物をジクロロメタン(200 mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(2×100 mL)および水(100 mL)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗製物質を、40 gのシリカカートリッジと、溶媒系としてヘプタン:酢酸エチル40%を使用するシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物である1-メチル-2-(3-((フェニルスルフィニル))メチル)フェニル)ジスルファンを粘稠な無色油として得た(500 mg、収率76%)。
【0323】
工程5:1-メチル-2-(3-((フェニルスルホニル)メチル)フェニル)ジスルファンの調製
アセトン(20 mL)中の1-メチル-2-(3-((フェニルスルフィニル)メチル)フェニル)ジスルファン(340 mg、1.16ミリモル)および硫酸マグネシウム(702 mg、5.83ミリモル)の混合物を撹拌し、-20℃に冷却した。アセトン(35 mL)中の過マンガン酸カリウム(194 mg、1.23ミリモル)溶液を、温度を0℃未満に保ちながら、1時間かけて滴下添加した。反応混合物を5℃で4.5時間撹拌した。
【0324】
混合物をセライトを通して濾過し、アセトン(150 mL)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮し、得られた粗製物質を、20 gのシリカカートリッジと、溶媒系としてヘプタン:酢酸エチル20%を用いるシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物である1-メチル-2-(3-((フェニルスルホニル)メチル)フェニル)ジスルファンを、粘稠な無色油/ガムとして得た(290 mg、収率80%)。
【0325】
実施例4:1-(フェニルメタンスルホニルメチル)-3-(プロパ-2-エン-1-イルジスルファニル)ベンゼン [化合物A]の最小バイオフィルム形成阻害濃度(MBIC)
【0326】
黄色ブドウ球菌(スタフィロコッカス・アウレウス Staphylococcus aureus)および緑膿菌(シュードモナス・エルギノーザ Pseudomonas aeruginosa)に対する式(I)の化合物の阻害活性を、アホエン、システアミン、HDMF、硝酸ガリウム、および(Z)-4-ブロモ-5-(ブロモメチレン)-2(5H)-フラノン(フラノンC-30)と比較した。
【0327】
【0328】
システアミン、HDMF、硝酸ガリウムおよびC-30の構造を下記に示す。
【0329】
【0330】
【0331】
【0332】
【0333】
それらの化合物を、以下のように、黄色ブドウ球菌または緑膿菌のバイオフィルム形成を阻害する能力についてアッセイした。
【0334】
全ての化合物は、DMSO中の30 mM原液として調製し、トリプシン大豆ブロス(TSB)で48μM(黄色ブドウ球菌)または144μM(緑膿菌)に希釈した。化合物を更に48μMから0.75μMまで(黄色ブドウ球菌)または144μMから2.3μMまで(緑膿菌)倍々希釈により段階希釈し、ウェルあたり100μLの量で96ウェルプレートに添加した。細菌の一晩培養物を、新鮮なTSB中にOD600=0.07に希釈し、そして希釈した細菌培養物の100μLを、化合物の入ったウェルに添加した。化合物の存在下で細菌を37℃で一晩インキュベートした。インキュベーション後、浮遊細菌をH2Oで3回洗浄することにより除去し、残っているバイオフィルムをクリスタルバイオレットで染色し、A570の吸光度で測光学的に定量した。バイオフィルムの量に対応する吸光度を、化合物濃度に対してプロットし、IC50値を算出した。参考:O'Toole GA. Microtiter Dish Biofilm Formation Assay, J. Vis. Exp. (2011)。
【0335】
結果を
図1および
図2に示す。驚くべきことに、式(I)の化合物が、黄色ブドウ球菌および緑膿菌の両方に関して、アホエン、システアミン、HDMF、硝酸ガリウムおよびC-30のいずれよりも低いIC
50を有することが見出された。
【0336】
実施例5:1-(メチルジスルファニル)-3-(フェニルメタンスルホニルメチル)ベンゼン(化合物B)およびトブラマイシンによる、人工喀痰培地(ASM)中で増殖させた緑膿菌(P. aeuruginosa)バイオフィルムの呼吸/生存能の阻害
【0337】
【0338】
化合物Bを、以下のように人工喀痰培地(ASM)中での緑膿菌バイオフィルム形成を阻害するその効力について試験した。緑膿菌の一晩培養物をOD595=0.07で再播種し、更にASM中で1:100希釈し、37℃で24時間増殖させ、バイオフィルム形成を可能にした。化合物Bは、100%DMSO中30 mM原液として調製し、増加する濃度の化合物で処理するかまたは未処理のまま37℃で5時間維持した。次いで全てのサンプルを10μg/mLのトブラマイシンで37℃にて16時間処理した。人工喀痰はスプタゾールを使って液化した。バイオフィルムの呼吸能は、塩化テトラゾリウム(塩化2,3,5-トリフェニルテトラゾリウム(TTZ))生存率アッセイを使って定量した。
【0339】
結果を
図3に示す。驚くべきことに、化合物Bは、人工喀痰培地で増殖させた緑膿菌バイオフィルムの呼吸/生存能を阻害するトブラマイシンの効力を増強することが判明した。
【0340】
実施例6:アホエン対照と比較参照した、最小バイオフィルム形成阻害濃度(MBIC)アッセイ
化合物のMBICアッセイは、参照および標準化のためにアホエンと一緒に実施される。黄色ブドウ球菌および緑膿菌に対するアホエンのIC50は、明確に定義されておりかつ再現性があるため、アホエンは、実験に効果的な対照として役割を果たすことが可能である。よって、試験した化合物について計算されたIC50は、全ての実験においてアホエンのIC50と比較され、アホエンの%として表される。
【0341】
特定の実験において、ある化合物がアホエンの100%のIC50を有していた場合、この化合物はアホエンと同等の効力があるだろう。化合物がアホエンに対比して100%未満のIC50を有する(IC50<100%アホエン)場合、この化合物はアホエンよりも有効である。化合物がアホエンに対比して100%超のIC50を有する(IC50>100%アホエン)を有する場合、この化合物はアホエンよりも効力が低い。
【0342】
以下の表1は、式(I)の構造を有する代表的な化合物のMBIC結果を示す。
【0343】
【0344】
実施例7:細菌滲出液スクラッチテスト(BEST)に対する予防的治療の効果
実験の目的は、非致死量の試験化合物を使用して、スクラッチを有する細胞HaCaT単層の生存および増殖を測定することにより、分泌されたビルレンス因子(VF)に対する試験化合物の効果を実証することであった(n=4)。
【0345】
試験化合物は以下であった:
【0346】
【0347】
細菌培養物(黄色ブドウ球菌および緑膿菌)を試験化合物と共に24時間、予防的に増殖させ、滲出液を収集した。
【0348】
微生物は、トリプトン大豆ブロス(TSB)中で37℃、150 rpmにて16時間増殖させることにより調製した。
【0349】
滲出液は、最初に24ウェルプレートに、1 mLの各化合物処理培地およびビヒクル対照培地を三重複製において播種することにより得られた。次に、1 mLの未処理TSBを未処理の対照用に3つのウェルに添加し、2 mLのTSBを無菌対照用に3つのウェルに添加した。不稔性対照ウェルを除いて、各ウェルに1 mLの細菌懸濁液を加え、十分に混合した。次に、プレートを加湿インキュベーター内で37℃、75 rpmにて24時間インキュベートした。適切なインキュベーション時間の後、ウェルの内容物全体を取り出し、滅菌遠心管に移した。次に、その遠心管を10,000 rpmで10分間、4℃で遠心分離してバイオマスをペレット化した。ルアーロック付き0.2μMフィルターを使用して、上清を別の滅菌遠心管にろ過した。滲出液を0.5 mL のPCR管中500μLのアリコートに分注した。滲出液をフェノールレッド不含有培地α(MEM)中で1:20に希釈した。
【0350】
HaCaT細胞を、ウェル当たり5×104 細胞数の密度で96ウェルプレートに播種し、37℃、5%CO2および湿度95%で一晩インキュベートした。HaCaT細胞を、予め温めたPBSで洗浄し、個々のウェルに垂直の無細胞領域を挿入することによって単層を機械的に損傷させ(単層に垂直の切り込みを入れて傷(スクラッチ)を付けること)、再び洗浄した。
【0351】
次に、100 μLの滲出液を単層と接触させた。すべての条件は、N=4の複製物を用いて試験した。
【0352】
プレートを37℃、5%CO2で20時間インキュベートし、必要とされる時点で画像を撮影した。スクラッチ「サイズ」は、ImageJソフトウェアを使って分析した。
【0353】
HaCaT細胞の細胞増殖率は、20時間目に、0時間目の初期スクラッチサイズの百分率(%)として算出される。
結果を
図4と
図5に示す。
【0354】
試験化合物(125μM)による黄色ブドウ球菌(S. aureus)の予防的(バイオフィルム形成前)処理は、ビヒクルでの前処理によって得られた細菌滲出液と比較して、HaCaT細胞におけるスクラッチの閉塞(傷が埋まる過程)の阻害を完全に救済することが見出された。試験化合物での前処理によって得られた細菌滲出液に曝露されたHaCaTは、ビヒクルでの前処理により得られた細菌滲出液への曝露で66%が残存していたのと比較して、20時間目にスクラッチ領域のほぼ完全な閉塞を有した。
【0355】
試験化合物(250μM)による緑膿菌(P. aeruginosa)の予防的(バイオフィルム形成前)処理は、ビヒクルでの前処理によって得られた細菌滲出液と比較して、HaCaT細胞におけるスクラッチの閉塞の阻害を減少させることが見出された。ビヒクルでの前処理により得られた細菌滲出液に曝露されたHaCaTは、細菌滲出液に曝露されていないHaCaTのスクラッチ面積が9%に減少したのと比較して、20時間目にスクラッチ面積を109%に増加させた。試験化合物で前処理することによって得られた細菌滲出液は、20時間目にスクラッチ面積を64%に減少させた。
【0356】
上記は、限定することなく本発明の特定の実施形態を広く説明している。当業者に容易に明らかであるような変形および修正は、添付の特許請求の範囲においておよびそれにより定義される本発明の範囲内にあることが意図されている。
【国際調査報告】