(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-17
(54)【発明の名称】粘着ボードを利用する動物捕獲検出システム
(51)【国際特許分類】
A01M 23/00 20060101AFI20220310BHJP
【FI】
A01M23/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544416
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(85)【翻訳文提出日】2021-08-18
(86)【国際出願番号】 US2020015460
(87)【国際公開番号】W WO2020160025
(87)【国際公開日】2020-08-06
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】507124988
【氏名又は名称】バイエル クロップサイエンス エルピー
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE LP
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】ガエル、ファージュ
(72)【発明者】
【氏名】バイロン、リード
(72)【発明者】
【氏名】寺本 誉
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン、ペリシエ
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA02
2B121AA08
2B121AA11
2B121BA03
2B121BA58
2B121BA60
2B121EA21
(57)【要約】
動物捕獲システムは、粘着ボードと、動物捕獲器加速度センサと、動物捕獲器加速度センサにごく近接しており、かつ動物捕獲器加速度センサと通信を行い、やはり加速度センサを含む信号ユニットと、を含んでいる。動物捕獲システムは、差分信号分析および機械学習手法を用いて、捕獲事象、非捕獲事象、偽陽性、および/または捕らえられた動物の種類を検出可能である。動物捕獲器加速度センサが、プリセットされた加速度閾値を超える加速度を受けた場合には、動物捕獲器加速度センサは、捕獲信号を信号ユニットへ送信し、信号ユニットが、そのような加速度事象を受信しない場合には、信号ユニットは、捕獲信号をオフサイト受信機へ送信する。また、このシステムを使って1匹または複数の動物をわなで捕獲する方法も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着ボードを含む動物捕獲器と、
前記動物捕獲器に貼付され、または前記動物捕獲器と通信を行う動物捕獲器センサであって、加速度センサである動物捕獲器センサと、
前記動物捕獲器センサに近接しており、かつ前記動物捕獲器センサと通信を行う信号ユニットであって、加速度センサを含む信号ユニットと、
を含む動物捕獲システム。
【請求項2】
前記動物捕獲器センサは、前記動物捕獲器センサと、前記信号ユニット内に設置された前記加速度センサとが独立信号応答を作り出すように、前記粘着ボードに貼付されかつ有線接続により前記信号ユニットへ接続される、請求項1に記載の動物捕獲システム。
【請求項3】
前記複数の加速度センサの一方または両方は、前記加速度がプリセットされた加速度閾値を超える場合に、前記センサが、移動信号を提供して、前記移動信号によって前記信号ユニットに信号をオフサイト受信機へと送信させるように適合されるよう、前記センサの1つまたは複数の軸における加速度を測定する、請求項1または2に記載の動物捕獲システム。
【請求項4】
前記複数の加速度センサの一方または両方は、2軸または3軸加速度センサである、請求項1~3のいずれか一項に記載の動物捕獲システム。
【請求項5】
前記加速度センサの一方からの前記独立信号応答により、差分信号分析が可能となる、請求項2に記載の動物捕獲システム。
【請求項6】
前記差分信号分析は、捕獲信号、移動信号、偽陽性、および/または捕らえられた動物の種類、などのパラメータを示すのに使用可能である、請求項5に記載の動物捕獲システム。
【請求項7】
前記動物捕獲システムは、前記加速度センサのいずれかからの前記独立信号応答を、前記オフサイト受信機を介して受信するよう構成された処理ユニットをさらに含み、前記処理ユニットはさらに、差分信号分析を実行するよう構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の動物捕獲システム。
【請求項8】
前記動物捕獲システムは、出力ユニットをさらに含む、請求項7に記載の動物捕獲システム。
【請求項9】
前記処理ユニットは、前記動物捕獲器センサ内の前記加速度センサと前記信号ユニット内の前記加速度センサの両方により、互いの10秒以内に移動信号が作成された場合に、差分信号分析を実行して非捕獲事象を識別するよう構成され、前記出力ユニットは、前記非捕獲事象を出力するよう構成される、請求項8に記載の動物捕獲システム。
【請求項10】
前記処理ユニットは、前記動物捕獲器センサ内の前記加速度センサのみにより移動信号が作成された場合に、差分信号分析を実行して捕獲事象を識別するよう構成され、前記出力ユニットは、前記捕獲事象を出力するよう構成される、請求項8に記載の動物捕獲システム。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の動物捕獲システムを準備し、
前記動物捕獲器センサを、プリセットされた加速度閾値へ設定し、
前記信号ユニットの前記加速度センサを、プリセットされた加速度閾値へ設定し、
加速度が、前記動物捕獲器センサ、および/または前記信号ユニットの前記加速度センサの前記プリセットされた閾値に達したときに、1つまたは複数の移動信号を作成し、
前記信号をオフサイト受信機へ送信し、
前記動物捕獲器センサ内の前記加速度センサ、および/または前記信号ユニット内の前記加速度センサのいずれかから、前記1つまたは複数の移動信号を受信したときに、差分信号分析を実行して結果を識別する、
ことを含む動物捕獲システムの監視方法。
【請求項12】
前記動物捕獲器センサ内の前記加速度センサと前記信号ユニット内の前記加速度センサの両方により、互いに10秒以内に移動信号が作成された場合に、前記差分信号分析により非捕獲事象が与えられる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記動物捕獲器センサ内の前記加速度センサのみにより移動信号が提供された場合に、前記差分信号分析により捕獲事象が与えられる、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記差分信号分析の前記結果は、ユーザへ示される、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2019年1月30日に出願された米国仮特許出願第62/798,538号の利益を主張し、その内容の全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は概して動物捕獲システムの分野に関する。より詳細には、本発明は粘着ボード(glue board)を含む動物捕獲検出システム(animal trap detection system)に関する。また、本願は、無線による事象の報告にも関連し、より詳細には、無線による動物捕獲器の状態の報告にも関連する。
【背景技術】
【0003】
動物捕獲器(animal trap)は久しく使用されており、こうした装置の大半は、粘着ボード捕獲装置、ばね仕掛け捕獲装置、または生け捕り用捕獲装置のいずれかを用いる。動物捕獲器は高い頻度で多くの場所に設置され、また必要に応じて動かされることがある。これらの装置は監視の容易な場所に適していることがある一方で、遠く離れた監視の難しい場所には適していない。これらの従来型の捕獲器に関する問題の一つは、これらの装置がしばしば、例えば住宅の屋根裏に設置され、捕獲器がいつ作動されたかを知る簡易な方法が目視以外にないことである。標準的な粘着ボード捕獲器、および、ばね仕掛け捕獲器に関する別の問題は、動物が腐敗し始めてさらに多くの動物を引き寄せてしまう時点まで長期間放置されることがしばしばあることである。
【0004】
さらに、通常は、各人が捕獲器がそれぞれどこに設置されているかを覚えている必要があり、捕獲器が動物を捕獲しているかを確かめるために高い頻度で捕獲器を視覚的に確認する必要がある。捕獲器確認の作業は、注意が必要な特定の施設(例えば、市販食品)内において、または野生生物(例えばアライグマ、リス、ヌートリア種など)が対象で、あまりに長期間にわたって動物がわなで捕らえられた状態にあると現行法により刑罰が科される場合には、一層重要になる。
【0005】
これまで、動物捕獲器の作動検出システムは、非常に限定的な狭い用途で、基本的なオン/オフの警告情報をユーザへ提供することが可能であった。その例として、作動するとその場で音声信号を発するばね仕掛け捕獲器が挙げられる。これは、遠く離れた捕獲器が作動したことを警告するという問題を解決する試みではあるが、捕獲器が捕獲機のユーザからかなりの距離にある場合には根本的な問題を解決しない。加えて、電池式の音声装置には電池を消耗させてしまうという不利益がある。別の種類の警告システムは、赤外線や動きセンサなどの最新の高価な検出技術を使って、捕獲器が作動したことを検出すると捕獲器のユーザに警告する。さらに他の警告システムでは、様々な撮像システムを使って捕獲器内に動物がいることを報告するが、デジタル画像の送信には広い帯域幅と多くのエネルギーが必要となる。これらの装置はその費用と複雑さにより、有害生物防除のような大量でローテクな分野での使用を制限されることがある。概して、こうした過去の手法はあまりに高価で、あまりに複雑であり、限られた範囲にしか適用できない。
【0006】
米国特許出願公開第2013/0342344号明細書は、一つのデジタル加速度センサを利用して、動物捕獲器が動いたかどうか-これは動物を捕獲したことを示しうる-を警告する動物捕獲システムを開示しており、警告後に無線信号が非専用のオフサイト受信機へ送信される。
【0007】
米国特許出願公開第2004/0020100号明細書は、電池式の無線電波周波数(RF)センサ/送信機が、無線RF送信機からの信号を受信するよう構成されている受信機と共に生け捕り用捕獲器やばね仕掛け捕獲器などの捕獲器へと組み込まれた警告システムを開示している。
【0008】
米国特許第9,380,775号明細書は、害虫や有害生物用の捕獲器の状態を監視、伝達するための、長寿命電池で駆動される装置を開示している。警報の発報後にこの装置は無線で情報をサーバへ送信し、サーバはこの情報を解釈して警報の性質と発生源を判定し、この情報をユーザへ送信する。
【0009】
米国特許第8,418,396号明細書は、電子センサが結合されたトリガー回路を有する、動物愛護的な動物捕獲器を開示している。このトリガー回路は、捕獲器内部の動物の存在を判定するための検出回路を含む。無線警告回路を検出回路に結合して、動物捕獲器が作動した場合に警報ユニットにより遠隔で信号を送信することができる。
【0010】
米国特許第6,775,946号明細書は、複数の動物捕獲器のそれぞれと関連する無線送信機、および捕獲器からの信号を受信して、捕獲器の状態の兆候を表示する集中表示ユニットを開示している。動物が餌を取って捕獲器のばねを動作させると、捕獲器の可動部分が動いてその動物を捕らえる。センサが可動部材の動きを検出して、コントローラが次にセンサを読み出す際に信号が表示ユニットへ送信されて状態の変化が反映される。
【0011】
依然として、簡易で安価な検出技術を使って、最小限の帯域幅とエネルギーを必要とし、有害生物防除のような大量でローコストの分野に適合していて、複数の動物捕獲器のうちのどれの手入れが必要なのかを作業者が容易に正確に特定するのを可能とする検出システムに対する要求がある。
【発明の概要】
【0012】
一態様では、本明細書で開示される実施形態は動物捕獲システムに関し、この動物捕獲システムは、粘着ボードタイプの動物捕獲器と、動物捕獲器の上に取り付けられる、あるいはそうでなければ動物捕獲器と通信を行う動物捕獲器加速度センサと、通常は動物捕獲器のすぐ近くにある信号ユニットとを含み、また信号ユニットも加速度センサを含む、あるいは信号ユニットに加速度センサが取り付けられている。動物捕獲器センサは、各加速度センサが独立して作動できるように電線を介して、または無線で信号ユニットへ接続することができる。それゆえ、動物捕獲器加速度センサまたは信号ユニット加速度センサのいずれかがプリセットされた閾値を超える加速度を受けた場合、差分信号分析(differential signal analysis)を行うことができて、移動事象、捕獲事象、および/または、非捕獲事象でありうる信号を生成して信号ユニットへ送信することができて、信号ユニットは信号をオフサイト受信機へ送信する。
【0013】
別の態様では、調整可能な振動センサ、一般的な加速度センサ、および/または、チューブ内に単純なボールが入っていてボールが転がると動作する振動センサなどの任意の種類の加速度センサを使用することができる。加速度センサは、内蔵マイクロプロセッサがある/ない加速度センサ、調整可能なボールチルト式振動センサ、および/または、単一ボールチルト式振動センサを含む、加速度または振動を測定する任意の種類のセンサの中の一つとすることができる。
【0014】
別の態様では、本明細書で開示される実施形態は動物捕獲システムに関し、この動物捕獲システムは粘着ボードタイプの動物捕獲器と、動物捕獲器の上で動物捕獲器へ接続される、あるいは動物捕獲器と通信を行う動物捕獲器加速度センサとを含み、動物捕獲器に乗った動物が充分に動くことで、加速度がプリセットされた加速度閾値を超えるようにセンサが動かされる。センサは移動信号(move signal)を提供するよう構成され、この移動信号によって信号ユニットが信号をオフサイト受信機へ送信する。
【0015】
別の態様では、本明細書で開示される実施形態は、テストモードを始動するためのテストモード制御機構を含む動物捕獲器センサに関し、テストモードが始動されてオフサイト受信機が信号を受信して捕獲が行われたこと(捕獲事象)を登録した場合は動物センサが使用できる可能性を示し、オフサイト受信機が信号を受信しない場合は動物センサが使用できない可能性を示す。
【0016】
別の態様では、本明細書で開示される実施形態は、その1つまたは複数の軸における加速度を測定する加速度センサを含む動物捕獲器センサに関し、センサは、加速度がプリセットされた加速度閾値を超える場合、わなで捕らえられた動物以外によってセンサが動かされて所望の場所で使用できない可能性を示す移動信号をオフサイト受信機へ提供するよう構成される。
【0017】
別の態様では、本明細書で開示される実施形態は動物をわなで捕獲する方法に関し、この方法は動物捕獲器を準備することと、動物捕獲器センサを動物捕獲器の上に配置することと、を含み、動物捕獲器センサは加速度センサと別の加速度センサを含む信号ユニットとを含み、動物捕獲器加速度センサがプリセットされた閾値を超える加速度を受けて、信号ユニット内の加速度センサが加速度を受けない、あるいは動物センサ内の加速度を下回る加速度しか受けないと、捕獲事象信号が生成されて信号ユニットへ送信され、信号ユニットは信号をオフサイト受信機へ送信して捕獲事象を登録する。
【0018】
別の態様では、本明細書で開示される実施形態は1匹または複数の動物をわなで捕獲する方法に関し、この方法は任意選択でテストモードを始動することと、信号をオフサイト受信機へ送信することと、を含み、テストモードが始動されてオフサイト受信機が信号を受信して捕獲事象を登録した場合は動物センサが使用できる可能性を示し、オフサイト受信機が信号を受信しない場合は動物センサが使用できない可能性を示す。
【0019】
別の態様では、本明細書で開示される実施形態は、捕獲器内での動物の捕獲事象を登録するのに動物捕獲器を使用することに関し、動物捕獲器センサはテストモードを始動するためのテストモード制御機構を含むことができて、テストモードが始動されてオフサイト受信機が信号を受信して捕獲事象を登録した場合は動物センサが使用できる可能性を示し、オフサイト受信機が信号を受信しない場合は動物センサが使用できない可能性を示す。
【0020】
別の態様では、本明細書で開示される実施形態は、捕獲器内での動物の捕獲事象を登録するのに動物捕獲器を使用することに関し、動物捕獲器センサはその1つまたは複数の軸における加速度を測定する加速度センサを含むことができて、加速度がプリセットされた加速度閾値を超える場合、わなで捕らえられた動物以外によってセンサが動かされて使用できない可能性を示す移動信号をオフサイト受信機へ提供するよう構成される。
【0021】
別の態様では、本明細書で開示される実施形態は、粘着ボード動物捕獲器上に存在する動物の捕獲事象を登録するのに動物捕獲システムを使用することに関し、動物捕獲器センサは加速度センサと、やはり加速度センサを含む信号ユニットとを含み、複数の加速度センサの一方または両方はその1つまたは複数の軸における加速度を測定し、加速度が動物捕獲器加速度センサに対するプリセットされた加速度閾値のみを超え、信号ユニット内の加速度センサがプリセットされた閾値を超える加速度を受けない場合は、動物がわなで捕らえられたことを示し、動物捕獲器加速度センサは移動信号を提供するよう構成され、この移動信号によって信号ユニットが信号をオフサイト受信機へ送信する。
【0022】
本発明の他の態様および利点は、以下の説明および添付の請求項により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る動物捕獲システムを示す。
【
図2】本発明の別の実施形態に係る動物捕獲方法を示す。
【
図3】本発明の一実施形態に係る動物捕獲器センサを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
動物捕獲器は高い頻度で多くの場所、例えば建造物もしくは住宅の中また近くに設置され、その後に他の場所で必要になった際に移動される。本発明は、例えば住宅の屋根裏などの遠く離れた監視の難しい場所における無線による動物捕獲器の状態の報告を可能とするシステムを提供する。
【0025】
本発明の実施形態は、動物捕獲システム、例えば粘着ボード動物捕獲器と、粘着ボードに貼付された加速度センサと、捕獲器内の動物の存在を検出するためにやはり加速度センサを含む信号ユニットと、を含む。例えば、加速度センサは、プリセットされた加速度閾値を超える加速度に基づいて、様々な事象を示すこともできる信号を提供することができる。加速度センサが取り付けられた粘着ボード捕獲器上に動物が直接乗った場合、動物が粘着ボード捕獲器を動かすことで加速度センサを作動させ、通信信号が無線ネットワークを介して配信されて、捕獲事象が登録される。現在のシステムにより1匹または複数の動物をわなで捕獲することができる。わなで捕獲できる動物には、その動物が現在いる場所では望ましくない可能性のある動物、例えば、アライグマ、リス、フクロネズミ、ラット、ハツカネズミ、モグラ、ハムスター、および他の齧歯動物が含まれる。また、蛇やトカゲなどの爬虫類も捕獲できる。また、捕獲器を使って昆虫やクモ形類、例えば蜘蛛を捕獲することもできる。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る動物捕獲システム10を示す。動物捕獲システム10は、粘着ボード捕獲器11、粘着ボードに取り付けられた加速度センサ12、内部に加速度センサ35が搭載された信号ユニット30へ加速度センサ12を接続する通信ケーブル13、ならびに、信号32を伝送する電力をオフサイト受信機34へ供給するのに使用される送信機および電池を有する信号ユニット30(
図3参照)を含む。特定の実施形態では、電池のほかに、または電池に加えて、Wi-Fi、ブルートゥース、ZigBeeなどの短距離用で高消費電力の技術を使用することもできる。しかし、好ましくは、信号ユニット30にはより長距離の通信を可能とし、より少ない電力を消費する、超狭帯域技術(例えばSigfox)、スペクトラム拡散技術(例えばLoRa)、または狭帯域技術(例えばWeightless-P)、などの省電力広域(LPWA)技術を使うことができる。
【0027】
粘着ボード捕獲器11は、小型動物、および/または、齧歯動物用の接着剤タイプ捕獲器の任意の1つとすることができる。接着剤は天然または合成とすることができて、例えば小型動物、および/または、齧歯動物を引きつける餌、および/または、芳香剤も含みうる、平坦な、またはトレー状の構造物に入った金属、プラスチック、ボール紙、または類似の材料のうちのいずれか一つへ塗布することができる。粘着ボード捕獲器は、動物を捕獲するため、糊で満たされたプラスチックトレー、または、接着剤の付いた一枚の紙もしくはボール紙もしくは他の基材とすることができる。捕獲器は平坦で閉じられていないものとすることができる。あるいは、捕獲器は、例えば1つまたは複数の面に接着剤が含まれる、ボール紙で出来た閉鎖された装置とすることができる。粘着ボード捕獲器は、小型動物を捕獲可能で、動物がくっついて捕らえられる接着剤を含む任意の捕獲器である。捕獲器は1つまたは複数の粘着ボードを含むことができる。
【0028】
粘着ボードに取り付けられた加速度センサ12および信号ユニット30内に設置された加速度センサは、それぞれプリセットされた閾値を設定することができて、互いに独立して動作できる。これにより、複数の独立した信号をこれらの加速度センサにより生成することが可能となり、差分信号分析を行ってより正確な事象分析を提供することができて、結果として偽陽性がより少なくなる。この例は、両方の加速度センサがほぼ同一の加速度を受ける場合に起こり得て、これは、装置全体が人により動かされるなどの何らかの外的要因、または地震などの外的要因により両方の加速度センサが一緒に動かされる偽陽性を示しうる。差分信号分析がより正確な事象を提供する別の可能性は、粘着ボード捕獲器に取り付けられた加速度センサがプリセットされた閾値を超える加速度を受けて、信号ユニット内に設置された加速度センサがプリセットされた閾値を超える加速度を受けない場合で、これは捕獲事象を示す。更なる実施形態では、機械学習を入力信号に適用して、基本的な事象(捕獲/非捕獲/偽陽性)を強化することができて、またどんな種類の動物(例えば、ハツカネズミ、割合、ハムスター、モグラ)が捕らえられたかの指示を提供することもできる。さらに、差分信号分析は、例えば信号ユニットの計算能力を使って現場で(on-site)行うことができる、あるいは必要に応じて現場から離れて(off-site)バックエンドサーバで行うことができる。一実施形態では、処理ユニットは、オフサイト受信機34を介して一方の加速度センサからの独立信号応答を受信するよう構成される。処理ユニットは差分信号分析を実行するよう構成される。
【0029】
更なる実施形態では、動物捕獲システムは、出力ユニットを含む。
【0030】
別の実施形態では、処理ユニットは動物捕獲器センサ内の加速度センサと信号ユニット内の加速度センサの両方により、互いの10秒以内に移動信号が作成された場合に、差分信号分析を実行して非捕獲事象を識別するよう構成され、出力ユニットは、非捕獲事象を出力するよう構成される。
【0031】
更なる実施形態では、処理ユニットは、動物捕獲器センサ内の加速度センサのみにより移動信号が作成された場合に、差分信号分析を実行して捕獲事象を識別するよう構成され、出力ユニットは、捕獲事象を出力するよう構成される。
【0032】
図2は、本発明の別の実施形態に係る動物捕獲方法20を示す。動物が粘着ボードに乗ってプリセットされた閾値を超える加速度が作り出され、粘着ボードに取り付けられた(
図1に示される)加速度センサ12により検出される。これにより信号ユニットに対する移動信号が作成され、信号ユニットは動物捕獲システムの状態をブロードキャストする無線信号を生成する。オフサイト受信機34が信号ユニットからブロードキャストされた信号を受信すると、この信号はセルラー通信によりクラウド21へ送信される。リアルタイムで、少なくとも1つの処理ユニットを含むクラウドが信号で伝えられた事象を処理し、差分信号分析を含む何らかの分析を行い、ユーザへ送信されて、例えばモニター、プリンタ、スピーカーなどの出力ユニットによりユーザへ示される警告22を生成する。クラウドソフトウェアは、eメールやテキストメッセージなどにより、ユーザへリアルタイムの通知を送信することができる。ユーザは警告を受信すると事象(ハツカネズミがわなにかかったことを示す事象など)に対応することができて、受信した警告の種類に基づいて適切な行動を取ることができる。システムは、リアルタイムの捕獲警告および(例えば、システムがいまだ動作していること、または電源がいまだオンであることを確認するために)毎日の心拍メッセージや動きの検出、電池レベルなどの定期的なシステム状態報告を自動的に送信することができて、これによりリアルタイムでの齧歯動物の監視と改善された監査準備状態を提供することができる。
【0033】
図3は、本発明の一実施形態に係る、動物捕獲システムの信号ユニットを示す。動物捕獲器センサ12は、動物捕獲器センサ12の低電圧通信ケーブル13を信号ユニット30のデータケーブルレセプタクル36へ差し込むことで信号ユニット30と接続される。信号ユニット30は信号ユニット30をリセットするためのリセットスイッチ38を有することができて、あるいはリセットを遠隔から行うことができる。動物捕獲器センサ12がプリセットされた閾値を超える加速度を受けたことに基づいて移動信号を生成した場合、信号ユニットはこの信号を受信し、信号ユニットが指定の時間内に自身の加速度センサから類似の信号を受信しなかった場合は信号ユニット30は信号32をオフサイト受信機34へ送信する、または捕獲事象を登録もしくは報告する。
【0034】
図3は、信号ユニット30がテストモードボタン33を使ってテストモードを始動するためのテストモード制御機構31を含みうることを示す。例えば信号ユニット30の側面にあるテストモードボタン33、もしくは同様の要素、例えばリセットスイッチ38を押して、または設置中もしくは定期的な保守の間にテストモードを動作させた場合、信号ユニット30を介してテストモード信号を送ることができる。テストモードボタン33とリセットスイッチ38は、テストモードの始動およびリセットのための同一の唯一のボタンとすることができる。テスト信号は、捕獲事象とみなされて実際に動物が捕獲されたと示すことのないように処理して、履歴データから分離させることができる。例えば、テストモードが始動されて加速度センサ12が作動された場合、すなわち、加速度センサ12がプリセットされた閾値を超える加速度を受けた場合、オフサイト受信機34が信号32を受信して捕獲事象を登録した場合は、動物センサ12がセンサ12からクラウドでの演算まで、例えば無線信号32の送信やオフサイト受信機34での信号32の登録を含む「エンドーツーエンド」で使用可能であることを示しうる。一方で、オフサイト受信機34が信号32を受信しない場合は、センサ12からクラウドでの演算まで、例えば無線信号32の送信や信号32の登録を含めて、動物捕獲システムが使用できないことを示しうる。したがって、テストモードの操作により、作業者は潜在的な問題を特定し、それらの問題を解決して、動物捕獲器にセンサ12を設置する際にセンサ12、および/または、信号ユニット30が使用可能であることを保証することができる。問題を解決するための試みは、テストモードで加速度センサ12を作動させることでそれぞれ確認することができる。例えば、問題が無事解決されたことは、オフサイト受信機34が信号32を受信して捕獲事象を登録することで示すことができる。この捕獲事象には、オフサイト受信機34が「テストモード中」に登録されたこの捕獲事象を実際の捕獲事象とみなすことのないように、例えば今後の捕獲事象を予測するための傾向分析に使用するために、「テストモード中」とのフラグを付けてもよい。
【0035】
図3は、信号ユニット30が信号ユニット30の1つまたは複数の軸における加速度を測定する加速度センサ35、例えば2軸加速度センサまたは3軸加速度センサを含みうることを示す。センサ12、および/または、信号ユニット30が押されたり動かされた場合、加速度センサ35は加速度がプリセットされた加速度閾値を超える急激な動作を検出しうる。その後、センサ12、および/または、信号ユニット30は移動信号をオフサイト受信機34へ提供して、センサ12、および/または、信号ユニット30が意図せず、および、意図的に動物以外によって動かされて、その結果使用できない可能性があるのを示すことができる。つまり、例えば捕獲器が所望の場所から動かされた、例えば捕獲器がもう壁に隣接しておらず部屋の中央にある、といった、捕獲器がもはや良好な動作状態にはない可能性があることをユーザへ警告するのに移動信号を使うことができる。加えて、オフサイト受信機34が移動信号および捕獲信号を互いから近接した時間内、例えば1秒、2秒、5秒、10秒以内に受信した場合、登録された捕獲事象は偽陽性として扱ってよい。センサ12、および/または、信号ユニット30は単に動かされた、または押されたのであり、実際には動物によって作動されたのではないため、オフサイト受信機34は捕獲事象の傾向付けのためにこの偽陽性を実際の捕獲とはみなさなくてよく、捕獲データは記録されない。これにより、ユーザが誤った捕獲メッセージ、つまり、そうでなければユーザに捕獲された動物がいるか捕獲器を確認させるメッセージを受信するのが防がれ、かなりの時間が節約される。テストモード制御機構31および加速度センサ35は、一緒に同じ信号ユニット30の中に配置することができる。あるいは、テストモード制御機構31および加速度センサ35は、別々に異なる信号ユニット、および/または、センサの中に配置することができる。
【0036】
また、本発明の実施形態には、動物捕獲器および捕獲器の状態を監視するための動物捕獲器センサを含む動物捕獲システムも含まれる。
【0037】
図4は動物をわなで捕獲する方法40を示し、この方法は、動物捕獲器、例えば粘着ボード捕獲器を準備すること(41)と、動物捕獲器加速度センサを動物捕獲器へ取り付けること(42)と、動物捕獲器センサのすぐ近くにあり動物捕獲器センサと通信を行う、別の加速度センサを含む信号ユニットを準備すること(43)と、任意選択でテストモードを始動して信号をオフサイト受信機へ送信することであって、テストモードが始動されてオフサイト受信機がこの信号を受信して捕獲事象を登録した場合は動物センサが使用できることを示し、一方でオフサイト受信機がこの信号を受信しない場合は動物センサが使用できないことを示しうる、送信すること(44)と、任意選択で信号ユニットの加速度センサを動かして移動信号をオフサイト受信機へ送信することであって、移動信号は信号ユニットが動かされて使用できない可能性があることを示しうる、送信すること(45)と、動物捕獲器加速度センサをプリセットされた閾値を超えて動かすことであって、信号ユニット内の加速度センサがプリセットされた閾値を超える加速度を受けない場合は確認された捕獲事象となりうる、動かすことにより移動信号を生成すること(46)と、信号をオフサイト受信機へ送信して捕獲事象を登録または報告すること(47)と、を含む。テストモードで登録された捕獲事象は、実際の捕獲事象から分離して、捕獲事象の履歴に含めなくてもよく、または今後の捕獲事象を予測するための傾向分析で使われなくてもよい。テストモードの始動(44)は、捕獲器の設置時、または捕獲器の保守を行う際に行われてもよい。加えて、オフサイト受信機が信号ユニットからの移動信号、および捕獲信号を互いから近接した時間内、例えば1秒、2秒、5秒、10秒以内に受信した場合、登録された捕獲事象は偽陽性として扱ってよい。また、信号をオフサイト受信機へ送信するためのこのような方法は、捕獲事象の頻度を登録および測定するのにも適用できる。
【0038】
図5は、本発明のいくつかの実施形態に係るセンサを使って動物捕獲システムを監視する方法50を示し、この方法は、センサをテストするステップ(51)であって、テストモードに仮調印することと、動物捕獲器加速度センサをプリセットされた閾値を超えて動かすことであって、オフサイト受信機が信号を受信して捕獲事象を登録した場合は動物センサが使用できることを示し、オフサイト受信機がこの信号を受信しない場合は動物センサが使用できない可能性を示す、動かすこととを含みうるテストするステップ(51)と、テストモードを終了するステップ(52)と、任意選択で信号ユニットの加速度センサを動かし、信号ユニットが動かされて例えば所望の場所、例えば動物捕獲器加速度センサから外された電線から移動された、ということを示す移動信号を送信して、任意選択で動物捕獲器加速度センサを動かすステップ(53)と、捕獲事象を監視するステップ(54)と、を含みうる。オフサイト受信機が移動信号、および捕獲事象を登録するための信号を互いから10秒以内に受信した場合、(捕獲事象を登録するための)信号は偽陽性として登録される。テストモード中に登録された捕獲事象は、今後の捕獲事象を予測するための傾向分析において捕獲事象とみなさなくてもよい。テストモードの始動(51)は、捕獲器の設置時、または捕獲器の保守を行う際に行われてもよい。一実施形態では、差分信号分析の結果は、例えばモニター、プリンタ、スピーカーなどの出力ユニットによりユーザへ示される。
【0039】
本発明の利点には、2つの加速度センサを、例えば一方を粘着ボードに取り付けて、他方は信号ユニット内に設置して提供し、差分信号分析を用いることで登録された事象に対する更なる知見を提供する粘着ボード動物捕獲システムが含まれうる。
【0040】
本発明は限られた数の実施形態に関して説明されてきたが、本開示の恩恵を受ける当業者は、本明細書で開示された本発明の範囲を逸脱しない他の実施形態を考案可能であることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は添付の請求項によってのみ制限されるべきである。
【国際調査報告】