(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-17
(54)【発明の名称】傷手当用品組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61L 15/28 20060101AFI20220310BHJP
A61L 15/18 20060101ALI20220310BHJP
A61L 15/64 20060101ALI20220310BHJP
A61F 13/00 20060101ALI20220310BHJP
【FI】
A61L15/28
A61L15/18
A61L15/64
A61F13/00 301G
A61F13/00 301J
A61F13/00 301C
A61F13/00 301A
A61F13/00 301Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544462
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(85)【翻訳文提出日】2021-08-17
(86)【国際出願番号】 IB2020050617
(87)【国際公開番号】W WO2020157633
(87)【国際公開日】2020-08-06
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521336200
【氏名又は名称】コア サイエンティフィック クリエイションズ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CORE SCIENTIFIC CREATIONS LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181272
【氏名又は名称】神 紘一郎
(72)【発明者】
【氏名】シャニ エリヤフ-グロス
(72)【発明者】
【氏名】ユヴァル ヤスキル
【テーマコード(参考)】
4C081
【Fターム(参考)】
4C081AA02
4C081AA12
4C081BA11
4C081BA16
4C081CD021
4C081CD022
4C081CE01
4C081CE02
4C081CF21
4C081DA02
4C081DA04
4C081DA05
4C081DA11
4C081DA12
4C081DA15
(57)【要約】
吸収性高分子電解質材料およびイオン結晶を含む創傷包帯およびその製造方法を提供する。高分子電解質材料中のイオン結晶の重量パーセントは、創傷包帯の所望の使用のために調整することができる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性高分子電解質材料およびイオン性結晶を含み、吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントが全体重量の少なくとも約5重量パーセントである創傷包帯。
【請求項2】
前記イオン性結晶が、前記吸収性高分子電解質材料に埋め込まれている、請求項1に記載の創傷包帯。
【請求項3】
前記イオン性結晶の重量パーセントが、全体重量の約20~70重量パーセントで請求項1に記載の創傷包帯。
【請求項4】
前記イオン性結晶が、NaCl、NaBr、NaI、NaF、KCl、KBr、KI、およびKFからなる群から選択される、請求項1に記載の創傷包帯。
【請求項5】
前記イオン性結晶が、二価塩結晶からなる群から選択される、請求項1に記載の創傷包帯。
【請求項6】
前記イオン性結晶が、三価塩結晶からなる群から選択される、請求項1に記載の創傷包帯。
【請求項7】
前記高分子電解質材料が生体吸収性で請求項1に記載の創傷包帯。
【請求項8】
前記高分子電解質材料が、非酸化カルボキシメチルセルロースで請求項7に記載の創傷包帯。
【請求項9】
非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度が約0.3~1.8で請求項8に記載の創傷包帯。
【請求項10】
非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度が約0.75~1.2で請求項9に記載の創傷包帯。
【請求項11】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度が約20~3500で請求項8に記載の創傷包帯。
【請求項12】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度が約100~1500で請求項11に記載の創傷包帯。
【請求項13】
前記高分子電解質材料が、生体吸収性、生分解性、および生体吸収性からなる群から選択される、請求項1に記載の創傷包帯。
【請求項14】
前記高分子電解質材料が、非酸化多糖類、酸化多糖類、再生多糖類、非再生多糖類、漂白多糖類、非漂白多糖類、非漂白多糖類、マーセル化多糖類、非マーセル化多糖類、精練多糖類、天然多糖類、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の創傷包帯。
【請求項15】
前記高分子電解質材料が、一価カチオン、一価アニオン、価陽イオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群から選択される高分子電解質イオン性基を含む、請求項1に記載の創傷包帯。
【請求項16】
前記イオン性結晶が、一価カチオン、一価アニオン、価陽イオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群から選択されるイオン性基を含む、請求項1に記載の創傷包帯。
【請求項17】
前記高分子電解質イオン基および前記イオン性結晶の原子価が同じで請求項15または16に記載の創傷包帯。
【請求項18】
前記原子価が、1、2、および3からなる群から選択される、請求項17に記載の創傷包帯。
【請求項19】
前記創傷包帯が、粉末、フィルム、織物、発泡体、糸、繊維、コーティング、溶液、ゲル、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から形成される、請求項1に記載の創傷包帯。
【請求項20】
前記創傷包帯が止血剤または包帯の形成で請求項19に記載の創傷包帯。
【請求項21】
織布、不織布、および編布からなる群から選択される、請求項19に記載の創傷包帯。
【請求項22】
活性成分をさらに含む、請求項1に記載の創傷包帯。
【請求項23】
前記活性成分が、抗生物質、抗菌剤、鎮痛剤、凝固剤、ステロイド、創傷治癒剤、冷却剤、および電位剤からなる群から選択される、請求項22に記載の創傷包帯。
【請求項24】
前記抗生物質が、セファゾリン、エリスロマイシン、およびセフォキシチンからなる群から選択される、請求項23に記載の創傷包帯。
【請求項25】
前記抗菌剤が、消毒剤および抗菌ペプチドからなる群から選択される、請求項23に記載の創傷包帯。
【請求項26】
鎮痛薬が、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジヒドロモルヒネ、ペチジン、トラマドール、ブプレノルフィン、アルコール、および大麻からなる群より選択される、請求項23記載の創傷包帯。
【請求項27】
ステロイドが、アンドロゲン、同化ステロイド、抗アンドロゲン、エストロゲン、プロゲストゲン、コルチコステロイド、および神経ステロイドからなる群より選択される、請求項23記載の創傷包帯。
【請求項28】
前記創傷治癒剤が、スルファジアゼン銀、硝酸銀、ポビドンヨウ素、クロロヘキシジン、およびポリヘキサメチレンビグアニドからなる群から選択される、請求項23に記載の創傷包帯。
【請求項29】
前記創傷包帯の吸収パーセントが、約24時間にわたって約2000~約4000パーセントで請求項1に記載の創傷包帯。
セルロースのアルカリ溶液処理;
アルカリ溶液をクロル酢酸(CAA)溶液と混合して、飽和クロロ酢酸ナトリウム(NaCAA)溶液を形成し、ここで、イオン性結晶がNaCAA溶液中で形成される;およびセルロースをNaCAA溶液で処理して、埋め込まれたイオン性結晶を有するカルボキシメチルセルロース(CMC)を形成し、ここで、吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントは、全体重量の少なくとも約5重量パーセントである、創傷被覆材の製造方法。
【請求項30】
前記カルボキシメチルセルロースをエタノールで洗浄することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項31】
前記カルボキシメチルセルロースを酸で中和することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項32】
前記イオン性結晶の重量パーセントが、全重量の約20~70重量パーセントで請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記高分子電解質材料が、非酸化カルボキシメチルセルロースで請求項30に記載の方法。
【請求項34】
非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度が約0.3~1.8で請求項34に記載の方法。
【請求項35】
非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度が約0.75~1.2で請求項35に記載の方法。
【請求項36】
非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度が約20~3500で請求項34に記載の方法。
【請求項37】
非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度が約100~1500で請求項37に記載の方法。
【請求項38】
アルカリ溶液が水酸化ナトリウムおよび溶媒を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
溶剤が、H
2 Oおよびエタノールからなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項40】
CAA溶液がCAAおよび溶媒を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
前記溶媒が、H
2 O、エタノール、その他からなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項42】
アルカリ溶液を塩素酢酸(CAA)溶液と混合することが、約50℃で行われる、請求項30に記載の方法。
【請求項43】
セルロースを約50~約60℃のNaCAA溶液で約12~14時間処理する、請求項30記載の方法。
【請求項44】
吸収性高分子電解質材料をイオン性結晶と会合させることを含む、創傷包帯の製造方法であって、吸収性高分子電解質材料と会合したイオン性結晶の重量パーセントが、全体重量の少なくとも約5重量パーセントである方法。
【請求項45】
前記イオン性塩結晶が、前記吸収性高分子電解質材料と実質的に関連している、請求項45に記載の方法。
【請求項46】
前記イオン性塩結晶が、機械的力によって前記吸収性高分子電解質材料と会合される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記イオン性塩結晶が、コーティングによって前記吸収性高分子電解質材料と結合される、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記イオン性塩結晶が、含浸によって前記吸収性高分子電解質材料と会合される、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記イオン性塩結晶が、堆積によって前記吸収性高分子電解質材料に結合される、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記イオン性結晶が、前記吸収性高分子電解質材料中に埋め込まれている、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記イオン性結晶の重量パーセントが、全重量の約20~70重量パーセントである請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記イオン性結晶が、NaCl、NaBr、NaI、NaF、KCl、KBr、KI、およびKFからなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記イオン性結晶が、二価塩結晶からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項54】
前記イオン性結晶が、三価塩結晶からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項55】
前記高分子電解質材料が、非酸化カルボキシメチルセルロースである請求項55に記載の創傷包帯。
【請求項56】
非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度が約0.3~1.8である請求項56に記載の方法。
【請求項57】
非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度が約0.75~1.2である請求項57に記載の創傷包帯。
【請求項58】
非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度が約20~3500である請求項56に記載の創傷包帯。
【請求項59】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度が約100~1500である請求項59に記載の創傷包帯。
【請求項60】
前記高分子電解質材料が、生体吸収性、生分解性、および生体吸収性からなる群から選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項61】
前記高分子電解質材料が、非酸化多糖類、酸化多糖類、再生多糖類、非再生多糖類、漂白多糖類、非漂白多糖類、非漂白多糖類、マーセル化多糖類、非マーセル化多糖類、精練多糖類、天然多糖類、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項62】
前記高分子電解質材料が、一価カチオン、一価アニオン、価陽イオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群から選択される高分子電解質イオン性基を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項63】
前記イオン性結晶が、一価カチオン、一価アニオン、価陽イオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群から選択されるイオン性基を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項64】
前記高分子電解質イオン基およびイオン性結晶の原子価が同じである請求項63に記載の方法。
【請求項65】
原子価が、1、2、および3からなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項66】
前記創傷包帯が、粉末、フィルム、発泡体、織物、糸、繊維、コーティング、溶液、ゲル、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から形成される、請求項45に記載の方法。
【請求項67】
前記創傷包帯が止血剤または包帯の形である請求項67に記載の方法。
【請求項68】
前記布帛が、織布、不織布、および編布からなる群から選択される、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記創傷包帯が、活性成分をさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項70】
前記活性成分が、抗生物質、抗菌剤、鎮痛剤、凝固剤、ステロイド、創傷治癒剤、冷却剤、および電位剤からなる群から選択される、請求項70に記載の方法。
【請求項71】
吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントを、全体重量の約5重量パーセントよりも低くないように減少させることを含む、請求項1に記載の創傷包帯の水親和性を増加させる方法。
【請求項72】
請求項1に記載の創傷被覆材による体液の吸収を増加させる方法であって、吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントを全体重量の約5重量パーセントまで減少させることを含む方法。
【請求項73】
吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントを全体重量の約90重量パーセントまで増加させることを含む、請求項1に記載の創傷包帯のゲル安定性を増加させる方法。
【請求項74】
吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントを全体重量の約5重量パーセントまで減少させることを含む、請求項1に記載の創傷被覆材のトポグラフィ調整電位を増加させる方法。
【請求項75】
請求項1に記載の創傷被覆材の創傷に対する接着力を増加させる方法であって、吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントを全体重量の約5重量パーセントまで減少させることを含む方法。
【請求項76】
請求項1に記載の創傷包帯によって覆われた創傷について凝血塊活性化時間を増加させる方法であって、該方法は、該吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントを、該全体重量の約90重量パーセントまで増加させることを含む、方法。
【請求項77】
請求項1に記載の創傷包帯によって覆われた創傷に関連する膨潤を減少させる方法であって、該方法は、該吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントを、該全体重量の約5重量パーセントまで減少させることを含む、方法。
【請求項78】
請求項1に記載の創傷被覆材で覆われた創傷に関連する腫れを減少させる方法であって、吸収性高分子電解質材料中のイオン結晶の重量パーセントを全重量の約5%w/wまで減少させることを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、平成31年1月28日に出願された米国仮特許出願第62/797,576号の優先権および利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
本明細書中に引用される全ての参考文献、特許、および特許出願は、それらの全体が参考として援用される。
【0003】
止血剤は、生体吸収性止血剤と非溶解性止血剤の2つのタイプの出血制御製品に大別することができる。溶解性止血剤の大部分は酸化セルロース構造(例えば、酸化(再生)セルロース)に基づく。非酸化カルボキシメチルセルロース(CMC)から構成される生体吸収性セルロース系止血剤は出血制御のための非圧縮使用について記載されているが、特定の最終製品特性の制御は欠けている。例えば、WO 2016/067266 A1; WO 2016/067250 A1; US 2017/0335017 A1;およびUS 2016/0121019 A1を参照されたい。必要とされるものは、2つ以上の成分を一緒に組み合わせることによって最終製品の特性を制御するための組み合わせ止血製品および方法である。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載される態様はイオン性結晶(例えば、塩)が埋め込まれた生体吸収性高分子電解質材料を含むハイブリッド創傷包帯(例えば、止血剤)およびその臨床的利点を提供する。
【0005】
さらに別の態様では、一般に、特に出血性創傷の臨床環境下で、ポリマー成分特性を制御および変化させるために利用される、イオン性結晶(例えば、塩)が埋め込まれた生体吸収性高分子電解質材料を含むハイブリッド創傷包帯が提供される。制御可能な特性は例えば、生成物の親水性/疎水性の性質、体とのその相互作用、密着性、吸光度パーセント、生分解速度、凝固強度、電荷、および酸度である。
【0006】
高分子電解質は、繰り返し単位が電解質(イオン性)基を有する重合体である。これらの基は水溶液中で解離し、ポリマーを荷電させる。
【0007】
別の態様では、創傷包帯が非酸化CMC/NaClガーゼ製品を含む。本明細書に記載のさらなる態様は成分比を制御し、製品の全体的な挙動およびその用途に影響を及ぼす方法として、ハイブリッド止血剤内の置換度(DS)および塩レベルを特徴付ける。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】CMC/NaCl生成物を生成するための例示的な化学反応を提供する。
【
図2】種々の溶液:(1)脱イオン水(DI)、(2)0.9% NaCl生理食塩水、および(3)2% NaCl生理食塩水中での(脱塩)超音波処理の前後24時間にわたって行われた例示的な吸水率プロフィールを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
塩包埋WoundClot
本明細書に記載される態様は、飽和溶液(以下のIVに記載される)を利用する例示的な製造プロセスを提供する。この態様では高い一定濃度および、例えば製造中の無機塩沈降の存在は塩を埋め込んだ止血剤の製造をもたらす。
【0010】
さらなる局面は例えば、3つの異なった塩:モノクロロ酢酸ナトリウム(ClCH
2 COONa)(CAANa)反応体、グリコール酸ナトリウム(OHCH
2 COONa)、および塩化ナトリウム(NaCl)を副産物として使用する創傷包帯を作製する方法を記載する(
図1)。[参考文献1]。反応は有機溶媒中で起こるので、NaCl無機塩は、低い溶解性を有する結晶形状の固体形態を保持する。無機塩結晶は反応媒体中に分散され、処理された不織布の多孔質構造によって捕捉され、一方、有機塩は有機媒体で洗い流される。
【0011】
あるいは、常法(低級有機塩CAANa形成を伴う非飽和溶液)に従ってカルボキシメチルセルロース材料を製造し、カルボキシメチルセルロース製品上に必要量の塩を意図的に添加して、創傷包帯に塩を包埋し、本明細書に記載されるような特定の特性を提供することができる。
【0012】
一態様では、塩の化学構造は一価である。理論に束縛されるものではないが、より高い電気価の塩は創傷包帯の生体吸収特性の架橋および排除をもたらし得ると考えられる。
【0013】
HPLC-LCMS分析を使用して、例示的なハイブリッド止血剤中のCAA誘導体の形態の残留有機塩を決定した。ハイブリッド止血剤製品は例えば、平均して0.29重量%の残留CAA誘導体を含有することが見出された。CAA誘導体は、例示的なハイブリッド止血剤に対してこの濃度において有意な効果を有さないと考えられる。
止血特性を制御するための塩
【0014】
本明細書に提供される態様は例示的な生体吸収性ハイブリッド止血剤の挙動特性を制御するために、異なる塩量を利用する。
【0015】
理論に束縛されるものではないが、基本的な止血体?体相互作用は高分子電解質?水性液体物理的相互作用の性質によって支配されると考えられる。分子がより極性であればあるほど、それが水性周囲中により速く溶解することは既知の物理的原理である。高分子電解質の極性は例えば、次のように影響される:
A)ポリマー鎖に沿った電荷の量
B)これらの電荷のイオン解離比(ID)。
【0016】
カルボキシメチルセルロースに関して、イオン性基は置換度(DS)を測定することによって(例えば、滴定またはフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によって)、すべてのイオン性基がセルロース構造に添加されるにつれて決定され得る。発明カルボキシメチルセルロース止血剤のDSの関連範囲は例えば、0.6~1.4、最も一般的には0.7~1.2である。
【0017】
本明細書に記載される態様は、イオン解離比に基づいて止血剤?身体相互作用を制御することを対象とすることができる。
【0018】
いくつかの理論は、本明細書に記載の特性をもたらす充電?溶液相互作用を説明することができる。例えば、Poisson?ボルツマン方程式は、様々な科学分野を通じて多くの形態をとることができる。生物物理学およびある種の表面化学応用では、それは単にポアソン?ボルツマン方程式として知られている。電気化学ではGouy-Chapman理論として、溶液化学ではDebye-Huckel理論として、コロイド化学ではDerjaguin-Landau-Verwey-Overbeek(DLVO)理論としても知られている。これらの理論はすべて、既存の電荷の相互作用、および環境との相互作用が他の電荷の存在によって影響を受ける方法に関する。一般的に言えば、存在するイオンのより高い濃度は特定の電荷のスクリーニングをもたらし、環境中でのその潜在的な相互作用を減少させる。
【0019】
1つの局面において、例示的な乾燥カルボキシメチルセルロース止血材内の埋め込まれた固体塩結晶は、製品が液体(血液/浸出液)に曝されると、重要な役割を有する。生成物が液体を吸収し始めるにつれて、一価の結晶は液体と接触面積の周囲に局所的に溶解し、高分子電解質の遊離イオンを局所的な周囲領域に放出する。カルボキシメチルセルロース生成物上に埋め込まれた塩が多いほど、液体に暴露すると遊離イオンの局所濃度が高くなる。より高い遊離イオン濃度は数が減少するカルボキシメチルセルロースの結合イオン基の解離比に影響し、ポリマー鎖はより電荷が小さくなる。
【0020】
理論に束縛されるものではないが、重合体の吸収速度が低下し、関連する特性が改変されると考えられる。この効果は、システム全体の動的挙動に起因して、カルボキシメチルセルロース止血剤の挙動に一時的な変化を引き起こし得る。化学ポテンシャルがポリマー鎖全体に均一に分配されると、システムはその通常の挙動に戻る。一時的な効果の利点は出血している創傷を治療し、血流を止める時間枠において、それが起こり、次いで正常な挙動に戻ることができることである。塩の量を増加させることによって、ゲル形成を強化することができ、これは、ゼラチン状形態の生成物による流れの閉塞を通して創傷からの血流を減速または停止させることによって、有効な出血制御を補助し、ゼラチン状形態の生成物の溶解速度を遅くする。したがって、カルボキシメチルセルロース製品の生体吸収特性を後の処理工程のために維持しながら、重度の出血を容易に処理することができる。
【0021】
本明細書中に記載される態様は吸収性高分子電解質材料およびイオン性結晶を含む創傷包帯を提供し、ここで、吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントは、全体重量の少なくとも約5重量パーセントである。
【0022】
用語「創傷包帯」は創傷または損傷の処理または改善を補助するために、内部または外部の創傷または損傷に適用されるか、または関連するように適合された装置、材料、または物質を指し、典型的には、使用前に滅菌される。創傷包帯は創傷または損傷の処理または改善を補助するために、支持構造および他の活性または不活性成分を含むことができる。
【0023】
用語「高分子電解質」は、電解質基を有する繰り返し単位を有するポリマーを指す。
【0024】
別の態様では、イオン性結晶(例えば、NaCl、NaBr、NaI、NaF、KCl、KBr、KI、およびKF)が吸収性高分子電解質材料中に埋め込まれる。さらなる態様において、イオン性結晶の重量パーセントは、全体重量の約20~70重量パーセントである。イオン性結晶は例えば、二価または三価の塩結晶であり得る。
【0025】
高分子電解質材料は生体吸収性であり得る(例えば、非酸化カルボキシメチルセルロース)。この局面において、非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度は、約0.3~1.8または約0.75~1.2であり得る。
【0026】
この態様では、非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度が約20~3500または約100~1500であり得る。
【0027】
別の態様では、高分子電解質材料が生体吸収性、生分解性、および生体吸収性の高分子電解質材料からなる群から選択される。さらに別の局面において、高分子電解質材料は、非酸化多糖類、酸化多糖類、再生多糖類、非再生多糖類、漂白多糖類、非漂白多糖類、マーセル化多糖類、非マーセル化多糖類、精練多糖類、天然多糖類、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0028】
さらなる態様では、高分子電解質材料が一価カチオン、一価アニオン、価陽イオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群から選択される高分子電解質イオン性基を含む。別の態様では、高分子電解質材料が一価カチオン、一価アニオン、価陽イオン、二価アニオン、三価カチオン、及び三価アニオンからなる群から選択される1つ以上の高分子電解質イオン性基を含むことができる。
【0029】
さらに別の局面において、イオン性結晶は、一価カチオン、一価アニオン、価陽イオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群より選択されるイオン性基を含む。
【0030】
一態様では、高分子電解質イオン基およびイオン性結晶の原子価は同じである。別の態様では、原子価が1、2、および3からなる群から選択される。
【0031】
創傷包帯は、粉末、フィルム、織物、発泡体、糸、繊維、コーティング、溶液、ゲル、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から形成され得る。創傷包帯は、止血剤または包帯の形成であり得る。別の態様では、布帛が織布、不織布、および編布からなる群から選択することができる。
【0032】
さらに別の態様では、創傷被覆材が活性成分(例えば、抗生物質、抗菌剤、鎮痛剤、凝固剤、ステロイド、創傷治癒剤、冷却剤、および電位剤)をさらに含む。抗生物質は、セファゾリン、エリスロマイシン、およびセフォキシチンからなる群から選択することができる。抗菌剤は、消毒剤および抗菌ペプチドからなる群から選択することができる。鎮痛薬は、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジヒドロモルヒネ、ペチジン、トラマドール、ブプレノルフィン、アルコール、および大麻からなる群より選択することができる。ステロイドは、アンドロゲン、同化ステロイド、抗アンドロゲン、エストロゲン、プロゲストゲン、コルチコステロイド、および神経ステロイドからなる群から選択することができる。創傷治癒剤は、スルファジアゼン銀、硝酸銀、ポビドンヨウ素、クロロヘキシジン、およびポリヘキサメチレンビグアニドからなる群から選択することができる。
【0033】
別の態様では、創傷被覆材の吸収パーセントが約24時間にわたって約2000~約4000%である。
創傷被覆材の製造方法
【0034】
本明細書に記載の態様はセルロースをアルカリ溶液で処理することと、アルカリ溶液を塩化酢酸(CAA)溶液と混合して、飽和クロロ酢酸ナトリウム(NaCAA)溶液を形成すること(ここで、イオン性結晶がNaCAA溶液中で形成される)と、セルロースをNaCAA溶液で処理して、埋め込まれたイオン性結晶を有するカルボキシメチルセルロース(CMC)を形成することとを含む、創傷包帯を作製する方法を提供し、ここで、吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントは、全体重量の少なくとも約5重量パーセントである。この態様では、カルボキシメチルセルロースをエタノールで洗浄することができる。別の態様では、カルボキシメチルセルロースを酸で中和することができる。
【0035】
別の態様では、イオン性結晶の重量パーセントが全体重量の約20~70重量パーセントである。
【0036】
さらなる態様では、高分子電解質材料が非酸化カルボキシメチルセルロースである。さらに別の態様では、非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度が約0.3~1.8である。非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度は、約0.75~1.2であり得る。さらなる態様において、非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度は、約20~3500または100~1500である。
【0037】
別の態様では、アルカリ溶液が水酸化ナトリウムおよび溶媒を含む。溶剤は、H2 Oおよびエタノールからなる群から選択することができる。別の態様では、CAA溶液がCAAおよび溶媒を含むことができる。溶剤は、H2 O、エタノール、その他からなる群から選択することができる。
【0038】
一態様では、アルカリ溶液を塩素酢酸(CAA)溶液と混合することは約50℃で行われる。
【0039】
別の態様では、セルロースを約50~約60℃のNaCAA溶液で約12~14時間処理する。
【0040】
吸収性高分子電解質材料をイオン性結晶と会合させることを含む、創傷包帯の製造方法であって、吸収性高分子電解質材料と会合したイオン性結晶の重量パーセントが、全体重量の少なくとも約5重量パーセントである方法が提供される。
【0041】
この態様では、イオン性塩結晶が吸収性高分子電解質材料と実質的に関連する。塩結晶の少なくとも約50%、60%、70%、80%、または90%を手段する「実質的に関連する」という語は吸収性高分子電解質物質の近傍にあるか、または吸収性高分子電解質物質と物理的または化学的に接続されている(例えば、機械的力、被覆、含浸、析出、または埋め込まれている)。
【0042】
別の態様では、イオン性結晶の重量パーセントが全体重量の約20~70重量パーセントである。さらなる態様では、イオン性結晶がNaCl、NaBr、NaI、NaF、KCl、KBr、KI、およびKFからなる群から選択される。イオン性結晶は、二価または三価の塩結晶から選択することができる。
【0043】
別の態様では、高分子電解質材料が非酸化カルボキシメチルセルロースである。非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度は、約0.3~1.8または0.75~1.2であり得る。
【0044】
別の態様では、非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度が約20~3500または100~1500である。
【0045】
高分子電解質材料は、生体吸収性、生分解性、および生体吸収性からなる群から選択することができる。高分子電解質材料は、非酸化多糖類、酸化多糖類、再生多糖類、非再生多糖類、漂白多糖類、非漂白多糖類、マーセル化多糖類、非マーセル化多糖類、精練多糖類、天然多糖類、またはそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0046】
高分子電解質材料は、一価カチオン、一価アニオン、価陽イオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群から選択される高分子電解質イオン性基を含むことができる。
【0047】
別の態様では、イオン性結晶が一価カチオン、一価アニオン、価陽イオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群から選択されるイオン性基を含むことができる。
【0048】
高分子電解質イオン基およびイオン性結晶の原子価は同じであり得る。原子価は、1、2、および3からなる群から選択することができる。
【0049】
別の態様では、創傷包帯が粉末、フィルム、発泡体、織物、糸、繊維、コーティング、溶液、ゲル、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される材料から形成することができる。
【0050】
創傷包帯は、止血剤または包帯の形成であり得る。布帛は、織布、不織布、および編布からなる群から選択することができる。
【0051】
この態様では、創傷被覆材が活性成分(例えば、抗生物質、抗菌剤、鎮痛剤、凝固剤、ステロイド、創傷治癒剤、冷却剤、および電位剤)をさらに含むことができる。
【0052】
本明細書に記載される態様は、吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントを全体重量の約5重量パーセントまで減少させることによって、本明細書に記載される創傷包帯の水親和性を増加させる方法を提供する。
【0053】
さらなる態様は、吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントを全体重量の約5重量パーセントまで減少させることによって、本明細書に記載される創傷包帯による体液の吸収を増加させる方法を提供する。
【0054】
さらにさらなる態様は、吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントを全体重量の約90重量パーセントまで増加させることによって、本明細書に記載される創傷包帯のゲル安定性を増加させる方法を提供する。
【0055】
さらなる局面は、吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントを全体重量の約5重量パーセントまで減少させることによって、本明細書中に記載される創傷包帯のトポグラフィー調整電位を増加させる方法を提供する。
【0056】
本明細書に記載される態様は、吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントを全体重量の約5重量パーセントまで減少させることによって、本明細書に記載される創傷包帯の創傷への接着を増加させる方法を提供する。
【0057】
本明細書中に記載される態様は、吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントを全体重量の約90重量パーセントまで増加させることによって、本明細書中に記載される創傷包帯によって覆われる創傷についての凝血塊活性化時間を増加させる方法を提供する。
【0058】
本明細書に記載の態様は、吸収性高分子電解質材料中のイオン性結晶の重量パーセントを全体重量の約5重量パーセントまで減少させることによって、本明細書に記載の創傷包帯によって覆われた創傷に関連する膨潤を減少させる方法を提供する。
結果と考察
【0059】
高分子電解質材料の近くの局所的な周囲領域における塩濃度の影響を評価するために、例示的な実験室実験を行った。
【0060】
図2は生成物による水吸着に対するNaCl濃度の影響を示し、ここで、より高い塩濃度は、試料の吸着能力を低下させる。塩の影響は、(1)埋め込まれた生成物中の塩の量を測定する(超音波処理によって減少させる)こと、および(2)生成物に暴露された塩濃度のメジアンを測定することの2つの方法によって評価した。
【0061】
図2によれば、より高い塩濃度を有する超音波処理されていない試料は、より低い水吸収プロフィールを与えた。吸水率の減少は、0.9重量%および2重量%のNaClを含有する生理食塩水溶液から吸収された試料に匹敵した。これらの結果は、試料中または吸収溶液中のより高い塩濃度が生成物の水吸着能力を低下させることを示す。
【0062】
超音波処理の前後に、溶解した試料に対して行われた遊離塩化物試験は、CMC/NaCl生成物がガーゼ内の2つの形態のNaCl結晶、すなわち、超音波処理によって洗い流すことができる5~15重量%のカバー層と、ガーゼ溶解中に溶解することができる5~50重量%の内部埋め込み層とから形成されることを示した。製品中のNaCl含有量は、創傷治癒目的および適用のための適用時に製品の特性に影響を与え、制御する。
【0063】
高分子電解質鎖が電解質の水溶液に浸漬されると、鎖の周りの静電場は、拡散対イオンの局所濃度を増加させ、共イオンの1つを減少させる。2つの濃度間の差は鎖表面で最大であり、バルク中で準指数関数的にゼロまで減少する。
【0064】
自由イオンの局所濃度の分布は、静電エネルギーと熱エネルギーとの比によって決定することができる。この態様では、この比が臨界値を超えて増加すると、対イオンの一部が鎖上に静電的に吸着され、重合体の電荷と一時的なイオン対を形成する。この現象は、対イオン凝縮として知られている。[参考文献2]
【0065】
この挙動は、典型的には電解質溶液の非理想性のデバイ‐Hζckel理論を示す。[参考文献3]。デバイ?Huckel理論によれば、非理想性は主に、互いに引きつける反対電荷のイオンから生じ、一方、同じ電荷のイオンは、静電気力のために互いに反発する。その結果、電気二重層(EDL)が試料表面の近くに生成され、その吸水容量に有意な影響を特性:吸収された溶液中のより高いイオン性(塩)濃度はカルボキシメチルセルロース親水性を遮蔽し、生成物の吸水率および溶解速度を低下させ、また、より強いゲル中で発現される。
【0066】
この例題では、塩素イオン(Cl-)の濃度が凝固組織に最も影響する。生理学的状態では、Cl-の存在が凝固過程の間に繊維素繊維の厚さに影響を及ぼすことによって、凝固を促進することができる。塩化物はタンパク質鎖の特定の側鎖の解離速度を変化させ、反応し、一緒に凝集する傾向を変化させる。従って、創傷の周りで塩を操作することは、塊の構造、厚さおよび強度を有意に変化させ得る。[参考文献4]。
【0067】
生成物中のNaClを制御することは、特定用途標的のために生成物を改変することができる。例えば、より高いNaCl平滑化生成物はより低い吸光度速度を保持し、生分解プロセスを延長することができる。この特性は、より硬く、より安定した製品が必要とされる重度の出血損傷に適用することができる。イオンの徐々の解離はHageman因子の長期の活性化時間を提供し、そして天然の凝固カスケードを促進する。より低いNaCl平滑化生成物は、短期安定性を有する高い吸収速度のために使用することができる。
塩埋め込みCMCの例示的な製造工程
【0068】
槽1:反応容器
槽2:混合容器(溶液調製用)
【0069】
不織布ガーゼを巻き、槽1に入れる。不織布ガーゼはまた、任意の適切な方法(例えば、折り畳まれる、段階的に)によって配置され得る。ガーゼは、化学反応によって改質されるセルロース原料である。同じ反応を、エーテル化反応を受けて基材上にカルボキシ?メチル置換基を形成することができる他の炭水化物基材(例えば、デンプンまたはキチン)にも使用することができる。
【0070】
槽2において、アルカリ液(NaOH (aq))をエタノール溶媒中で30分間混合する。
【0071】
槽2の含有量は織物と共に槽1に移され、アルカリセルロースを形成するために4時間混合される(すなわち、セルロース結晶を反応段階に開くための活性化段階)。
【0072】
混合容器(槽2)内でクロロ酢酸(CAA)を水およびエタノールと混合して、CAA均質溶液を生成する。
【0073】
槽1からの媒体(溶媒とアルカリ溶液との混合物)を撹拌条件下で槽2に徐々に移す。CAAとアルカリ物質(NaOH)との間の混合は、CAAの塩状態、酢酸クロロナトリウム?NaCAAへの変換をもたらす。NaCAAは培地中での溶解度が限られている(すなわち、アルカリ溶液からのエタノールと水の混合物)ため、NaCAAは最大容量まで溶解し、培地は飽和状態となり、NaCAAの生成塩の残りは培地中の沈殿物として固体状態となる。この段階は発熱性であり、50℃に維持される。
【0074】
いったんNaCAAの飽和溶液が槽2内で形成されると、全ての物質(媒体+沈降)は、槽1からアルカリセルロースに移される。この反応(エーテル化)段階において、NaCAA分子はセルロース基質に化学的に結合し、カルボキシメチルセルロース(CMC)を形成する。各置換(すなわち、1つのNaCAA分子のセルロースへの結合)について、1つのNaCl分子が形成される。この態様では、培地中のNaClの溶解度は非常に限定され(例えば、エタノール中のNaClの溶解度は0.65/kgである)、したがって、布帛不織布の間に捕捉される固体結晶として形成される塩である。反応を50~60℃で12~14時間維持することができる。
【0075】
反応時に、培地をエタノールで洗い流してアルカリ残渣を除去し、周囲温度で12時間HCl溶液で中和する。この局面において、中和反応は、NaOH + HCl NaCl + H2 Oであり得、その結果、さらなるNaClがカルボキシメチルセルロースの中和の間に提供される。
【0076】
不織布が中和されると、エタノールは廃棄物に移され、不織布は反応器の外側の乾燥段階に移される(例えば、エタノールを空気で蒸発させる)。
【0077】
次に、製品を切断し、折り畳み、包装し、滅菌する。
【0078】
本明細書に記載される態様は特定の実施形態を参照して開示されているが、添付の特許請求の範囲に定義されるように、本発明の範囲および範囲から逸脱することなく、記載される実施形態に対する多数の修正、変化、および変化が可能である。従って、本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求項に記載の文言及びその均等物の全ての範囲にあるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】Saputra et al、Int.J. ChemEng.Appl.、2014、5(1)、36-40.
【特許文献2】A-MZhivkov(2013).Electric properties of Carboxymethyl Cellulose、Cellulose-Fundamental Aspects、Dr.Theo G.MVan De Ven(Ed.).
【特許文献3】P. Debye and E.Huckel、Physikalische Zeitschrift. 1923, 24, 185-206.
【特許文献4】Di Stasio et al.、Biophysical J.1998、75、1973-1979.
【誤訳訂正書】
【提出日】2021-10-26
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、その全体が参照によりここに組み込まれる、2019年1月28日に出願された米国仮特許出願第62/797,576号に対する優先権およびその利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
ここに引用されるすべての参考文献、特許、および特許出願は、それらの全体が参考として組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ヘモスタットは二つのタイプの出血制御生産物に大別することができ:生体吸収性ヘモスタットおよび非溶解性ヘモスタットである。溶解性ヘモスタットの大部分は酸化セルロース系構造(例えば、酸化(再生)セルロース)に基づく。非酸化カルボキシメチルセルロース(CMC)から構成される生体吸収性セルロース系ヘモスタットは出血制御のための非圧縮使用について説明されているが、特定の最終製品特性の制御は欠けている。例えば、国際公開第2016/067266号、国際公開第2016/067250号、米国特許出願公開第2017/0335017号明細書、および米国特許出願公開第2016/0121019号明細書参照。必要とされるのは、2つ以上の成分を一緒に組み合わせることによって最終製品の特性を制御するための組合せ止血作用生産物および方法である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ここに記載する態様は、イオン結晶(例えば、塩)が埋め込まれた生体吸収性高分子電解質物質を含むハイブリッド傷手当用品(例えば、ヘモスタット)およびその臨床的利益を提供する。
【0005】
さらに別の態様では、概して、および特に出血性傷の臨床環境下で、重合体成分特性を制御および変化させるために利用される、イオン結晶(例えば、塩)を埋め込んだ生体吸収性高分子電解質物質を含むハイブリッド傷手当用品を提供する。制御可能な特性は、例えば、生産物の親水性/疎水性の性質、体とのその相互作用、付着性、吸光度パーセント、生分解速度、凝固強度、電荷、および酸度である。
【0006】
高分子電解質は繰り返し単位が電解質(イオン性)基をもつ重合体である。これらの基は水溶液において解離し、重合体を荷電させる。
【0007】
別の態様では、傷手当用品は非酸化CMC/NaCl薄端(gauze、薄織、紗、ガーゼなどを言う)生産物を含む。ここに記載のさらなる態様は、成分比を制御し、ならびに生産物の全体的な挙動、およびその用途に影響を及ぼす手段として、ハイブリッドヘモスタット内の置換度(DS)および塩レベルを特徴付ける。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】CMC/NaCl生産物を生成するための例示的な化学反応を提供する。
【
図2】種々の溶液:(1)脱イオン水(DI)、(2)0.9%NaCl生理食塩水、および(3)2%NaCl生理食塩水における(脱塩した)超音波処理の前および後の24時間にわたって行われた例示的な水分吸収プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な記載
I.塩埋込みウーンドクロット(WoundClot)
ここに記載する態様は、飽和溶液を利用する例示的な製造プロセスを提供する(以下のIVにおいて記載する)。この態様では、高い一定濃度、および、例えば製造中の無機塩沈降の存在は塩を埋め込んだヘモスタットの生産をもたらす。
【0010】
さらなる態様は、例えば、三つの異なった塩:モノクロロ酢酸ナトリウム(ClCH
2COONa)(CAANa)反応体、グリコール酸ナトリウム(OHCH
2COONa)、および塩化ナトリウム(NaCl)を副生成物として使用する傷手当用品を作製する方法を記載する(
図1)。[参考文献1]。反応は有機溶媒において起こるので、NaCl無機塩は低い溶解性を有する結晶形状でのその固形形態を保持する。無機塩結晶は反応媒体において分散され、および処理されたファブリックの多孔質構造によって捕捉され、一方で有機塩は有機媒体により洗い流される。
【0011】
あるいはまた、あるものは常法に従ってCMC物質を生成し(低級有機塩CAANa形成を伴う非飽和溶液)、および傷手当用品に塩を埋め込むためにCMC生成物上に必要量の塩を意図的に添加し、およびここに記載するような特定の特性を提供することができる。
【0012】
一態様では、塩の化学構造は一価である。理論に束縛されるものではないが、より一層高いイオン価(electrovalent)の塩は傷手当用品の生体吸収特性の架橋および排除をもたらし得ると考えられる。
【0013】
例示的なハイブリッドヘモスタットにおけるCAA誘導体の形態での残留有機塩を定めるためにHPLC-LCMS分析を使用した。ハイブリッドヘモスタット生産物は、例えば、平均して0.29重量%の残留CAA誘導体を含有することが見出された。CAA誘導体は例示的なハイブリッドヘモスタットに対してこの濃度において有意な効果を及ぼさないと考えられる。
II.止血作用特性を制御するための塩
【0014】
ここに提供する態様は例示的な生体吸収性ハイブリッドヘモスタットの挙動特性を制御するために異なる塩量を利用する。
【0015】
理論に束縛されるものではないが、基本的なヘモスタット-体の相互作用は高分子電解質-水性液体の物理的相互作用の性質によって支配されると考えられる。分子がより一層極性であればあるほど、それが水性周囲状況においてより一層速く溶解することはよく知られる物理的原理である。高分子電解質の極性の性質は、例えば、以下に影響される:
A)重合体鎖に沿った電荷の量
B)それらの電荷のイオン解離比(ID)。
【0016】
CMCに関して、イオン基は置換度(DS)を測定することによって(例えば、滴定またはフーリエ変換赤外分光法(Fourier-transform infrared spectroscopy)(FTIR)によって)あらゆるイオン基がセルロース構造に添加されるにつれて定めることができる。本CMCヘモスタットのDSの関連範囲は、例えば、0.6-1.4および最も多くは0.7-1.2間である。
【0017】
ここに記載する態様は、イオン解離比に基づいてヘモスタット-体の相互作用を制御することを対象とすることができる。
【0018】
いくつかの理論は、ここに記載の特性をもたらす電荷-溶液の相互作用を説明することができる。例えば、ポアソン-ボルツマン方程式(Poisson-Boltzmann equation)は、様々な科学分野を通じて多くの形態をとることができる。生物物理学およびある種の界面化学適用では、それは単にポアソン-ボルツマン方程式としてだけ知られている。電気化学ではグイ-チャプマン理論(Gouy-Chapman theory)として;溶液化学ではデバイ-ヒュッケル理論(Debye-Huckel theory)として;コロイド化学ではデルジャグイン-ランドウ-フェルバイ-オーバービーク(DLVO)理論(Derjaguin-Landau-Verwey-Overbeek (DLVO) theory)としても知られている。これらの理論はすべて、既存の電荷の相互作用および環境とのその相互作用が他の電荷の存在によって影響を受ける手段に関する。概して言えば、存在するイオンのより一層高い濃度は特定の電荷のスクリーニングをもたらし、および環境におけるその潜在的な相互作用を減少させる。
【0019】
一つの態様において、例示的な乾燥CMCヘモスタット内の埋め込まれた固形塩結晶は、ひとたび生産物が液体(血液/浸出液)に曝されると、重要な役割を有する。生産物が液体を吸収し始めるにつれて、一価の結晶は液体と接触する領域の周りで局所的に溶解し、および高分子電解質の遊離イオン(自由イオンとも言う)を局所的な周囲領域に放出する。CMC生産物にて埋め込まれた塩が多いほど、液体に曝露されると遊離イオンの局所濃度が高くなる。より一層高い遊離イオン濃度は数が減少するCMCの結合イオン基の解離比に影響し、および重合体鎖はより一層電荷が小さくなる。
【0020】
理論に束縛されるものではないが、重合体の吸収速度は低下し、および関連する特性が修飾されると考えられる。この効果は、システム全体の動的挙動に起因してCMCヘモスタットの挙動に一時的な変化を引き起こすことができる。化学ポテンシャルが重合体鎖にわたって均一に分配されると、システムはその標準の挙動に戻る。一時的な効果の利益は出血している傷を処置し、および血流を止める時間枠において、それが起こり、および次に標準の挙動に戻って消散することができることである。塩の量を増加させることによって、一つはゲル形成を強化することができ、それは生産物のゼラチン状形態を伴う流れの閉塞を通して傷からの血流を遅くしまたは停止することによって有効な出血制御を補助し、および生産物のゼラチン状形態について溶解速度を遅くする。それゆえに、重度の出血は楽々と処置することができ、一方でCMC生産物の生体吸収特性が後での処置プロセスのために保存される。
【0021】
ここに記載する態様は、吸収性高分子電解質物質およびイオン結晶を含む傷手当用品を提供し、そこで吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントは全体重量の少なくとも約5%w/wである。
【0022】
用語「傷手当用品」(wound dressing、傷ドレッシング材、傷被覆材、などとも言う)は、傷または傷害の処置または改善を補助するために、内部または外部の体の傷または傷害に適用されるか、またはそれと関連されるように適合されたデバイス、材料、または物質を指し、および使用に先立って典型的には滅菌される。傷手当用品は、傷または傷害の処置または改善を補助するために、支持構造および他の活性または不活性原料を含むことができる。
【0023】
用語「高分子電解質」は、電解質基をもつ繰り返し単位を伴う重合体を指す。
【0024】
別の態様では、イオン結晶(例えば、NaCl、NaBr、NaI、NaF、KCl、KBr、KI、およびKF)は吸収性高分子電解質物質において埋め込まれる。さらなる態様において、イオン結晶の重量パーセントは全体重量の約20ないし70%w/wである。イオン結晶は、例えば、二価または三価の塩結晶であることができる。
【0025】
高分子電解質物質は生体吸収性であることができる(例えば、非酸化カルボキシメチルセルロース)。この態様において、非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度は約0.3-1.8である(be from)か、または約0.75-1.2であることができる。
【0026】
この態様では、非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度は約20-3500であるか、または約100-1500であることができる。
【0027】
別の態様では、高分子電解質物質は、生体再吸着性(bioresorbable)、生分解性、および生体吸収性(bioabsorbable)の高分子電解質物質からなる群より選ばれる。さらに別の態様において、高分子電解質物質は、非酸化多糖類、酸化多糖類、再生多糖類、非再生多糖類、脱色(bleached、漂白とも言う)多糖類、無脱色(unbleached、無漂白とも言う)多糖類、マーセル化(mercerized、苛性処理、つや出しなど)多糖類、非マーセル化多糖類、精練(scoured、スカウアードとも言う)多糖類、自然(natural、天然とも言う)多糖類、またはそれらの組合せからなる群より選ばれる。
【0028】
さらなる態様では、高分子電解質物質は、一価カチオン、一価アニオン、二価カチオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群より選ばれる高分子電解質イオン基を含む。別の態様では、高分子電解質物質は、一価カチオン、一価アニオン、二価カチオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群より選ばれる一以上の高分子電解質イオン基を含むことができる。
【0029】
さらに別の態様において、イオン結晶は、一価カチオン、一価アニオン、二価カチオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群より選ばれるイオン基を含む。
【0030】
一態様では、高分子電解質イオン基およびイオン結晶の価数は同じである。別の態様では、価数は1、2、および3からなる群より選ばれる。
【0031】
傷手当用品は、粉体(powder、粉末とも言う)、フィルム、ファブリック(fabric、織物、編物、布地、布帛、などとも言う)、フォーム(foam、泡状物質、発泡体など)、糸、繊維質物(繊維など)、コーティング(被膜など)、溶液、ゲル、またはそれらの組合せからなる群より選ばれる材料から形成することができる。傷手当用品は、ヘモスタット(hemostat、止血具、止血剤、止血鉗子など)または帯具(bandage、バンデージ、包帯、帯布など)の形態にあることができる。別の態様では、ファブリックは、織られた(woven)、不織の(non-woven)、および編まれた(knitted)ファブリックからなる群より選ぶことができる。
【0032】
さらに別の態様では、傷手当用品は、活性原料(active ingredient、活性成分とも言う)(例えば、抗生物質(antibiotic、抗菌剤と言うこともある)、抗微生物剤(antimicrobial、抗菌剤と言うこともある)、鎮痛剤(analgesic、鎮痛薬と言うこともある)、凝固剤(clotting agent)、ステロイド、傷治癒剤、冷却剤、および電位剤(electric potential agent))をさらに含む。抗生物質は、セファゾリン、エリスロマイシン、およびセフォキシチンからなる群より選ぶことができる。抗微生物剤は、消毒剤および抗微生物ペプチド(anti-microbial peptides、抗菌ペプチドとも言う)からなる群より選ぶことができる。鎮痛剤は、アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジヒドロモルヒネ、ペチジン、トラマドール、ブプレノルフィン、アルコール、およびカンナビス(cannabis、大麻)からなる群より選ぶことができる。ステロイドは、アンドロゲン、同化ステロイド(anabolic steroids、アナボリックステロイド、タンパク質同化ステロイドとも言う)、抗アンドロゲン、エストロゲン、プロゲストゲン、コルチコステロイド、および神経ステロイド(neurosteroids、ニューロステロイド)からなる群より選ぶことができる。傷治癒剤は、スルファジアゼン銀(silver sulphadiazene)、硝酸銀、ポビドンヨード(ポビドンヨウ素とも言う)、クロロヘキシジン(chlorohexidine)、およびポリヘキサメチレンビグアニドからなる群より選ぶことができる。
【0033】
別の態様では、傷手当用品の吸収パーセントは約24時間にわたって約2000から約4000パーセントまでである。
III.傷手当用品の製造方法
【0034】
ここに記載の態様は傷手当用品を作製する方法を提供し、セルロースをアルカリ溶液により処理すること;飽和クロロ酢酸ナトリウム(saturated sodium chloroacetate)(NaCAA)溶液を形成するためにアルカリ溶液をクロル(クロロ)酢酸(chloracetic acid)(CAA)溶液と混合することであり、そこでイオン結晶はNaCAA溶液において形成されること;および埋め込まれたイオン結晶を有するカルボキシメチルセルロース(CMC)を形成するためにセルロースをNaCAA溶液により処理することであり、そこで吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントは全体重量の少なくとも約5%w/wであること、が含まれる。この態様では、CMCはエタノールにより洗浄することができる。別の態様では、CMCは酸により中和することができる。
【0035】
別の態様では、イオン結晶の重量パーセントは全体重量の約20ないし70%w/wである。
【0036】
さらなる態様では、高分子電解質物質は非酸化カルボキシメチルセルロースである。さらに別の態様では、非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度は約0.3-1.8である。非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度は約0.75-1.2であることができる。さらなる態様において、非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度は約20-3500または100-1500である。
【0037】
別の態様では、アルカリ溶液は水酸化ナトリウムおよび溶媒を含む。溶媒はH2Oおよびエタノールからなる群より選ぶことができる。別の態様では、CAA溶液はCAAおよび溶媒を含むことができる。溶媒はH2O、エタノール、その他からなる群より選ぶことができる。
【0038】
一態様では、アルカリ溶液をクロル酢酸(chloracetic acid)(CAA)溶液と混合することは50℃前後(around)で行われる。
【0039】
別の態様では、セルロースはNaCAA溶液により約50ないし約60℃にて約12ないし14時間処理する。
【0040】
傷手当用品を作製するには、吸収性高分子電解質物質をイオン結晶と結合させること(associating~with、関係、会合なども含まれる)が含まれ、そこで吸収性高分子電解質物質と結合したイオン結晶の重量パーセントは全体重量の少なくとも約5%w/wである方法が提供される。
【0041】
この態様では、イオン性塩結晶(ionic salt crystals)は吸収性高分子電解質物質と実質的に結合する(substantially associated)。「実質的に結合する」という語は塩結晶の少なくとも約50%、60%、70%、80%、または90%が吸収性高分子電解質物質の近傍にあるか、または吸収性高分子電解質物質と物理的または化学的に接続されている(例えば、機械力(機械的力)、コーティング、浸透(impregnating、浸漬、含浸など)、析出(deposition、堆積、沈着など)、または埋め込まれているによる)を意味する。
【0042】
別の態様では、イオン結晶の重量パーセントは全体重量の約20ないし70%w/wである。さらなる態様では、イオン結晶はNaCl、NaBr、NaI、NaF、KCl、KBr、KI、およびKFからなる群より選ばれる。イオン結晶は二価または三価の塩結晶から選ぶことができる。
【0043】
別の態様では、高分子電解質物質は非酸化カルボキシメチルセルロースである。非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度は約0.3-1.8または0.75-1.2であることができる。
【0044】
別の態様では、非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度は約20-3500または100-1500である。
【0045】
高分子電解質物質は、生体再吸着性、生分解性、および生体吸収性からなる群より選ぶことができる。高分子電解質物質は非酸化多糖類、酸化多糖類、再生多糖類、非再生多糖類、脱色多糖類、無脱色多糖類、マーセル化多糖類、非マーセル化多糖類、精練多糖類、自然多糖類、またはそれらの組合せからなる群より選ぶことができる。
【0046】
高分子電解質物質は、一価カチオン、一価アニオン、二価カチオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群より選ばれる高分子電解質イオン基を含むことができる。
【0047】
別の態様では、イオン結晶は、一価カチオン、一価アニオン、二価カチオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群より選ばれるイオン基を含むことができる。
【0048】
高分子電解質イオン基およびイオン結晶の価数は同じであることができる。価数は1、2、および3からなる群より選ぶことができる。
【0049】
別の態様では、傷手当用品は粉体、フィルム、フォーム、ファブリック、糸、繊維質物、コーティング、溶液、ゲル、またはそれらの組合せからなる群より選ばれる材料から形成することができる。
【0050】
傷手当用品は、ヘモスタットまたは帯具の形態にあることができる。ファブリックは、織られた、不織の、および編まれたファブリックからなる群より選ぶことができる。
【0051】
この態様では、傷手当用品は活性原料((例えば、抗生物質、抗微生物剤、鎮痛剤、凝固剤、ステロイド、傷治癒剤、冷却剤、および電位剤)をさらに含むことができる。
【0052】
ここに記載する態様は、吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントを全体重量のおおよそ5%w/wまでに減少させることによって、ここに記載する傷手当用品の水親和性を増加させる方法を提供する。
【0053】
さらなる態様は、吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントを全体重量のおおよそ5%w/wまでに減少させることによって、ここに記載する傷手当用品による体液の吸収を増加させる方法を提供する。
【0054】
まださらなる態様は、吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントを全体重量の約90%w/wまで増加させることによって、ここに記載する傷手当用品のゲル安定性を増加させる方法を提供する。
【0055】
さらなる態様は、吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントを全体重量のおおよそ5%w/wまでに減少させることによって、ここに記載する傷手当用品のトポグラフィー調整電位(topographic adjustment potential)を増加させる方法を提供する。
【0056】
ここに記載する態様は、吸収性高分子電解質物質中のイオン結晶の重量パーセントを全体重量のおおよそ5%w/wまでに減少させることによって、ここに記載する傷手当用品の傷への接着を増加させる方法を提供する。
【0057】
ここに記載する態様は、吸収性高分子電解質物質中のイオン結晶の重量パーセントを全体重量のおおよそ90%w/wまで増加させることによって、ここに記載する傷手当用品によって覆われる傷についての凝固活性化時間(clot activation time、凝血塊活性化時間と言うこともある)を増加させる方法を提供する。
【0058】
ここに記載する態様は、吸収性高分子電解質物質中のイオン結晶の重量パーセントを全体重量のおおよそ5%w/wまでに減少させることによって、ここに記載する傷手当用品によって覆われる傷と関係する増大(swelling、膨張、膨潤など)を減少させる方法を提供する。
IV.結果および考察
【0059】
高分子電解質物質の近くの局所的な周囲領域における塩濃度の影響を評価するために、例示的な研究室実験を行った。
【0060】
図2は生成物による水吸着に対するNaCl濃度の影響を示し、そこでより一層高い塩濃度は試料の吸着能力を低下させる。塩の影響は、二つの方法-(1)埋め込まれた生産物における塩の量を測定する(超音波処理によって減少させる)こと、および(2)生産物に暴露されたメジアン塩濃度を測定することによって評価した。
【0061】
図2によれば、より一層高い塩濃度を有する超音波処理されていない試料は、より一層低い水吸収プロファイルを与えた。水吸収における減少は、0.9重量%および2重量%のNaClを含有する生理食塩水(saline solutions、塩類溶液、生理食塩水溶液など)から吸収された試料と比較できた。これらの結果は試料においてまたは吸収溶液においてより一層高い塩濃度が生産物の水吸着能力を低下させることを示す。
【0062】
超音波処理の前および後に、溶解した試料に対して行った遊離塩化物試験は、CMC/NaCl生産物が薄端内の二つの形態、すなわち、超音波処理によって洗い流すことができる5-15重量%のカバー層と、薄端溶解中に溶解することができる5-50重量%の内部埋め込み層とのNaCl結晶から構成されることを示した。生産物におけるNaCl含量は傷治癒の目的およびアプリケーションについて適用の際に生産物の特性に影響を与え、かつ制御する。
【0063】
高分子電解質鎖が電解質の水溶液において浸漬されるとき、鎖の周りの静電場は、拡散対イオンの局所濃度を増加させ、および共イオン(co-ions)の一つを減少させる。二つの濃度間の差は鎖表面にて最大であり、およびバルクにおいて準指数関数的に(quasi-exponentially)ゼロまでに減少する。
【0064】
遊離イオンの局所濃度の分配は静電および熱エネルギー間の比によって定めることができる。この態様では、この比が臨界値を超えて増加するとき、対イオンの一部分が鎖にて静電的に吸着され、重合体の電荷と一時的なイオン対が形成される。この現象は対イオン凝縮として知られる。[参考文献2]
【0065】
この挙動は電解質溶液の非理想性のデバイ-ヒュッケル理論を典型的に論証する。[参考文献3]。デバイ-ヒュッケル理論によれば、非理想性は主として、互いに引きつける反対電荷のイオンから生じ、その一方、同じ電荷のイオンは静電気力のために互いに反発する。その結果、電気二重層(EDL)が試料表面の近くに作り出され、およびその吸水容量への重要な影響を有し:吸収された溶液におけるより一層高いイオン性(塩)濃度は、CMC親水特性を遮蔽し、および生産物の吸水率および溶解速度を低下させ、およびまたより一層強いゲルにおいて発現される。
【0066】
この例では、塩素イオン(Cl-)の濃度が凝固構造(clot structure)に最大の影響を有する。生理学的条件下、Cl-の存在は凝集プロセス(coagulation process)の間にフィブリン(繊維素)線維の厚さに影響を及ぼすことによって、凝集物(aggregation)を促進することができる。塩化物はタンパク質鎖の一定の側鎖の解離速度を変動させ、および反応し、および一緒にクランプする(clump together、群がるとも言う)それらの傾向を変動させる。それゆえに、傷の周りで塩を操作することは、凝固の構造、厚さおよび強度を著しく変動させることができる。[参考文献4]。
【0067】
生産物においてNaClを制御することにより、特定用途標的のために生産物を修飾することができる。例えば、より一層高いNaCl平準化生産物(higher NaCl leveled products)はより一層低い吸収度速度(absorbance rates)を保持し、および生分解プロセスを延長することができる。この特質は、より一層硬く、およびより一層安定した生産物が必要とされる重度の出血傷害に適用することができる。イオンの漸次の解離はハーゲマン因子(Hageman factors)の長期の活性化時間を提供し、および自然な凝固カスケードを促進する。より一層低いNaCl平準化生産物は短期安定性を有する高い吸収速度のために使用することができる。
V.塩埋込みCMCについての例示的な製造プロセス
【0068】
タンク1:反応容器
タンク2:混合容器(溶液調製用)
【0069】
ファブリックガーゼを巻き、タンク1において配置する。ファブリックガーゼはまた、任意の適切な方法(例えば、折り畳まれる、段階的に仕組まれること)によって配置することができる。ガーゼは化学反応によって修飾されるセルロース原材料である。同じ反応はまた、基材上にカルボキシ-メチル置換基を形成するためにエーテル化反応を受けることができる他の炭水化物基材(例えば、でんぷんまたはキチン)についても使用することができる。
【0070】
タンク2において、アルカリ液(NaOH(aq))をエタノール溶媒において30分間混合する。
【0071】
タンク2の内容はファブリックと共にタンク1に移し、アルカリセルロースを形成するために4時間混合する(即ち、セルロース結晶を反応段階に供するための活性化段階)。
【0072】
混合容器(タンク2)においてクロロ酢酸(CAA)を水およびエタノールと混合して、CAA均質溶液を作り出す。
【0073】
タンク1からの媒体(溶媒とアルカリ溶液との混合物)を撹拌条件下でタンク2に徐々に移す。CAAおよびアルカリ物質(NaOH)間の混合は、CAAのその塩状態、クロロ酢酸ナトリウム-NaCAAへの変換をもたらす。NaCAAは媒体(即ち、エタノールとアルカリ溶液からの水との混合物)において溶解度が限られているため、NaCAAは最大容量まで溶解し、媒体は飽和状態となり、およびNaCAAの生成塩の残りは媒体における沈殿物として固形状態となる。この段階は発熱を伴い、50℃に維持される。
【0074】
いったんNaCAAの飽和溶液がタンク2において形成されると、すべての物質(媒体+沈降)はタンク1に-アルカリセルロースに移される。この反応(エーテル化)段階において、NaCAA分子はセルロース基材に化学的に結合し、およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を形成する。各置換(即ち、一つのNaCAA分子のセルロースへの結合)について、一つのNaCl分子が形成される。この態様では、媒体におけるNaClの溶解度は非常に制限され(例えば、エタノールにおけるNaClの溶解度は0.65/kgである)、それで塩は固体結晶として形成され、それらはファブリック繊維(fabric fibers)間に捕捉される。反応は50-60℃にて12-14時間維持することができる。
【0075】
反応に関して、媒体をエタノールで洗い流してアルカリ残渣を除去し、周辺の温度にて12時間HCl溶液により中和する。この態様において、中和反応はNaOH+HCl⇒NaCl+H2Oであることができ、その結果さらなるNaClはCMCの中和の間に提供される。
【0076】
ファブリックが中和されると、エタノールは廃棄物に移され、およびファブリックは反応器の外側での乾燥段階(例えば、エタノールを空気により蒸発させること)に移される。
【0077】
次いで生産物を切断し、折り畳み、包装し、および滅菌する。
【0078】
ここに記載される態様は一定の実施形態を参照し開示しているが、添付の請求の範囲に規定されるように、本発明の分野および範囲から離れることなく、記載した実施形態に対する非常に多くの修飾、改変、および変化が可能である。したがって、本発明は、説明した実施形態に制限されず、むしろそれは以下の請求の範囲の言語によって規定される十分な範囲を有することが意図される。
参考文献
【0079】
1.Saputra(サプトラ)ら,Int.J.Chem.Eng.Appl.(インターナショナル・ジャーナル・オブ・ケミカル・エンジニアリング・アンド・アプリケーション),2014,5(1),36-40.
2.A-M.Zhivkov(ジフコフ)(2013).Electric Properties of Carboxymethyl Cellulose,Cellulose-Fundamental Aspects(カルボキシメチルセルロースの電気的性質、セルロース-基本的側面),Dr.Theo(テオ)G.M.Van De Ven(ヴァン・デ・ベン)(Ed.).
3.P.DebyeおよびE.Huckel,Physikalische Zeitschrift.(フュズィカリッシェ・ツァイトシュリフト)1923,24,185-206.
4.Di Stasio(ディ・スタシオ)ら,Biophysical J.(バイオフィジカル・ジャーナル)1998,75,1973-1979.
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性高分子電解質物質およびイオン結晶を含み、前記吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントは全体重量の少なくとも約5%w/wである、傷手当用品。
【請求項2】
前記イオン結晶は前記吸収性高分子電解質物質に埋め込まれている、請求項1に記載の傷手当用品。
【請求項3】
前記イオン結晶の重量パーセントは全体重量の約20ないし70%w/wである、請求項1に記載の傷手当用品。
【請求項4】
前記イオン結晶はNaCl、NaBr、NaI、NaF、KCl、KBr、KI、およびKFからなる群より選ばれる、請求項1に記載の傷手当用品。
【請求項5】
前記イオン結晶は二価塩結晶からなる群より選ばれる、請求項1に記載の傷手当用品。
【請求項6】
前記イオン結晶は三価塩結晶からなる群より選ばれる、請求項1に記載の傷手当用品。
【請求項7】
前記高分子電解質物質が生体吸収性である、請求項1に記載の傷手当用品。
【請求項8】
前記高分子電解質物質は非酸化カルボキシメチルセルロースである、請求項7に記載の傷手当用品。
【請求項9】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度は約0.3-1.8である、請求項8に記載の傷手当用品。
【請求項10】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度は約0.75-1.2である、請求項9に記載の傷手当用品。
【請求項11】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度は約20-3500である、請求項8に記載の傷手当用品。
【請求項12】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度は約100-1500である、請求項11に記載の傷手当用品。
【請求項13】
前記高分子電解質物質は生体再吸着性、生分解性、および生体吸収性からなる群より選ばれる、請求項1に記載の傷手当用品。
【請求項14】
前記高分子電解質物質は非酸化多糖類、酸化多糖類、再生多糖類、非再生多糖類、脱色多糖類、無脱色多糖類、マーセル化多糖類、非マーセル化多糖類、精練多糖類、自然多糖類、またはそれらの組合せからなる群より選ばれる、請求項13に記載の傷手当用品。
【請求項15】
前記高分子電解質物質は一価カチオン、一価アニオン、二価カチオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群より選ばれる高分子電解質イオン基を含む、請求項1に記載の傷手当用品。
【請求項16】
前記イオン結晶は一価カチオン、一価アニオン、二価カチオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群より選ばれるイオン基を含む、請求項1に記載の傷手当用品。
【請求項17】
前記高分子電解質イオン基および前記イオン結晶の価数は同じである、請求項15または16に記載の傷手当用品。
【請求項18】
前記価数は1、2、および3からなる群より選ばれる、請求項17に記載の傷手当用品。
【請求項19】
前記傷手当用品は粉体、フィルム、ファブリック、フォーム、糸、繊維質物、コーティング、溶液、ゲル、またはそれらの組合せからなる群より選ばれる材料から形成される、請求項1に記載の傷手当用品。
【請求項20】
前記傷手当用品がヘモスタットまたは帯具の形態にある、請求項19に記載の傷手当用品。
【請求項21】
前記ファブリックは織られた、不織の、および編まれた、ファブリックからなる群より選ばれる、請求項19に記載の傷手当用品。
【請求項22】
活性原料をさらに含む、請求項1に記載の傷手当用品。
【請求項23】
前記活性原料は抗生物質、抗微生物剤、鎮痛剤、凝固剤、ステロイド、傷治癒剤、冷却剤、および電位剤からなる群より選ばれる、請求項22に記載の傷手当用品。
【請求項24】
前記抗生物質はセファゾリン、エリスロマイシン、およびセフォキシチンからなる群より選ばれる、請求項23に記載の傷手当用品。
【請求項25】
前記抗微生物剤は消毒剤および抗微生物ペプチドからなる群より選ばれる、請求項23に記載の傷手当用品。
【請求項26】
前記鎮痛剤はアセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、エトリコキシブ、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、ジヒドロモルヒネ、ペチジン、トラマドール、ブプレノルフィン、アルコール、およびカンナビスからなる群より選ばれる、請求項23に記載の傷手当用品。
【請求項27】
前記ステロイドはアンドロゲン、同化ステロイド、抗アンドロゲン、エストロゲン、プロゲストゲン、コルチコステロイド、および神経ステロイドからなる群より選ばれる、請求項23に記載の傷手当用品。
【請求項28】
前記傷治癒剤はスルファジアゼン銀、硝酸銀、ポビドンヨード、クロロヘキシジン、およびポリヘキサメチレンビグアニドからなる群より選ばれる、請求項23に記載の傷手当用品。
【請求項29】
前記傷手当用品の吸収パーセントは約24時間にわたって約2000から約4000パーセントまでである、請求項1に記載の傷手当用品。
【請求項30】
傷手当用品の作製方法であり
セルロースをアルカリ溶液により処理すること;
飽和クロロ酢酸ナトリウム(NaCAA)溶液を形成するために前記アルカリ溶液をクロル酢酸(CAA)溶液と混合することであり、イオン結晶は前記NaCAA溶液において形成されること;および
埋め込まれたイオン結晶を有するカルボキシメチルセルロース(CMC)を形成するために前記セルロースを前記NaCAA溶液により処理することであり、吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントは全体重量の少なくとも約5%w/wであること
を含む、方法。
【請求項31】
前記CMCをエタノールで洗浄することをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記CMCを酸で中和することをさらに含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記イオン結晶の重量パーセントは全体重量の約20ないし70%w/wである、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
前記高分子電解質物質は非酸化カルボキシメチルセルロースである、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度は約0.3-1.8である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度は約0.75-1.2である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度は約20-3500である、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度は約100-1500である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
アルカリ溶液は水酸化ナトリウムおよび溶媒を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記溶媒はH
2Oおよびエタノールからなる群より選ばれる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記CAA溶液はCAAおよび溶媒を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項42】
前記溶媒はH
2O、エタノール、その他からなる群より選ばれる、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記アルカリ溶液をクロル酢酸(CAA)溶液と混合することは50℃前後にて行う、請求項30に記載の方法。
【請求項44】
前記セルロースを前記NaCAA溶液により約50ないし約60℃にて約12ないし14時間処理する、請求項30に記載の方法。
【請求項45】
傷手当用品の作製方法であり、吸収性高分子電解質物質をイオン結晶と結合させることを含み、前記吸収性高分子電解質物質と結合するイオン結晶の重量パーセントは全体重量の少なくとも約5%w/wである、方法。
【請求項46】
前記イオン性塩結晶は前記吸収性高分子電解質物質と実質的に結合している、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記イオン性塩結晶は前記吸収性高分子電解質物質と機械力によって結合している、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記イオン性塩結晶は前記吸収性高分子電解質物質とコーティングによって結合している、請求項45に記載の方法。
【請求項49】
前記イオン性塩結晶は前記吸収性高分子電解質物質と浸透によって結合している、請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記イオン性塩結晶は前記吸収性高分子電解質物質と析出によって結合している、請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記イオン結晶は前記吸収性高分子電解質物質に埋め込まれている、請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記イオン結晶の重量パーセントは全体重量の約20ないし70%w/wである、請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記イオン結晶はNaCl、NaBr、NaI、NaF、KCl、KBr、KI、およびKFからなる群より選ばれる、請求項45に記載の方法。
【請求項54】
前記イオン結晶は二価塩結晶からなる群より選ばれる、請求項45に記載の方法。
【請求項55】
前記イオン結晶は三価塩結晶からなる群より選ばれる、請求項45に記載の方法。
【請求項56】
前記高分子電解質物質は非酸化カルボキシメチルセルロースである、請求項55に記載の傷手当用品。
【請求項57】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度は約0.3-1.8である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの置換度は約0.75-1.2である、請求項57に記載の傷手当用品。
【請求項59】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度は約20-3500である、請求項56に記載の傷手当用品。
【請求項60】
前記非酸化カルボキシメチルセルロースの重合度は約100-1500である、請求項59に記載の傷手当用品。
【請求項61】
前記高分子電解質物質は生体再吸着性、生分解性、および生体吸収性からなる群より選ばれる、請求項45に記載の方法。
【請求項62】
前記高分子電解質物質は非酸化多糖類、酸化多糖類、再生多糖類、非再生多糖類、脱色多糖類、無脱色多糖類、マーセル化多糖類、非マーセル化多糖類、精練多糖類、自然多糖類、またはそれらの組合せからなる群より選ばれる、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記高分子電解質物質は一価カチオン、一価アニオン、二価カオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群より選ばれる高分子電解質イオン基を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項64】
前記イオン結晶は一価カチオン、一価アニオン、二価カオン、二価アニオン、三価カチオン、および三価アニオンからなる群より選ばれるイオン基を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項65】
前記高分子電解質イオン基および前記イオン結晶の価数は同じである、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記価数は1、2、および3からなる群より選ばれる、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記傷手当用品は粉体、フィルム、フォーム、ファブリック、糸、繊維質物、コーティング、溶液、ゲルまたはそれらの組合せからなる群より選ばれる材料から形成される、請求項45に記載の方法。
【請求項68】
前記傷手当用品がヘモスタットまたは帯具の形態にある、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記ファブリックは織られた、不織の、および編まれた、ファブリックからなる群より選ばれる、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記傷手当用品は活性原料をさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項71】
前記活性原料は抗生物質、抗微生物剤、鎮痛剤、凝固剤、ステロイド、傷治癒剤、冷却剤、および電位剤からなる群より選ばれる、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
請求項1に記載の傷手当用品の水親和性を増加させる方法であり、前記吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントを全体重量の約5%w/wよりも低くないように減少させることを含む、方法。
【請求項73】
請求項1に記載の傷手当用品による体液の吸収を増加させる方法であり、前記吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントを全体重量のおおよそ5%w/wまでに減少させることを含む、方法。
【請求項74】
請求項1に記載の傷手当用品のゲル安定性を増加させる方法であり、前記吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントを全体重量のおおよそ90%w/wまで増加させることを含む、方法。
【請求項75】
請求項1に記載の傷手当用品のトポグラフィ調整電位を増加させる方法であり、前記吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントを全体重量のおおよそ5%w/wまでに減少させることを含む、方法。
【請求項76】
請求項1に記載の傷手当用品の傷に対する接着力を増加させる方法であり、前記吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントを全体重量のおおよそ5%w/wまでに減少させることを含む、方法。
【請求項77】
請求項1に記載の傷手当用品によって覆われる傷について凝固活性化時間を増加させる方法であり、前記吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントを全体重量のおおよそ90%w/wまで増加させることを含む、方法。
【請求項78】
請求項1に記載の傷手当用品によって覆われる傷と関係する増大を減少させる方法であり、前記吸収性高分子電解質物質におけるイオン結晶の重量パーセントを全体重量のおおよそ5%w/wまでに減少させることを含む、方法。
【誤訳訂正3】
【訂正対象書類名】図面
【訂正対象項目名】全図
【訂正方法】変更
【訂正の内容】
【国際調査報告】