(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-17
(54)【発明の名称】糖アルコール類物質の官能属性の改善方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220310BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021558707
(86)(22)【出願日】2020-09-26
(85)【翻訳文提出日】2021-09-30
(86)【国際出願番号】 CN2020117962
(87)【国際公開番号】W WO2021109692
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】201911245282.0
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520401745
【氏名又は名称】浙江▲華▼康葯▲業▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】ZHEJIANG HUAKANG PHARMACEUTICAL CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 文▲瑤▼
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 徳水
(72)【発明者】
【氏名】石 ▲麗▼▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】左 ▲齊▼▲樂▼
(72)【発明者】
【氏名】李 勉
(72)【発明者】
【氏名】唐 文娟
(72)【発明者】
【氏名】田 ▲師▼一
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
本発明は、糖アルコール類物質の官能属性を改善する方法及びその使用に関し、風味分析方法によって甘味料代用品としての糖アルコール類物質とスクロースについて複数の官能属性に関する差別を分析し、差別の大きさに応じて対応する矯味物質を添加することによって、食品分野において甘味料代用品としての糖アルコール類物質の味覚官能属性にはスクロースとは差別があるという問題を解決する。本発明は、糖アルコール類物質とスクロースについて複数の官能属性に関する味覚上の差別を分析することで、味覚をより広く改善することができ、官能フレーバーホイールにより差別を複数のレベルで正確に定量化し、矯味を正確に行うことを可能とし、味覚改善の正確性を向上させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の官能評価者に、9点尺度法によって同濃度の評価対象の糖アルコール類物質及びスクロースについて甘味、後甘味、苦味、渋味、金属味、及び唾液分泌促進、合計6つの官能属性の強度について評価をそれぞれ行ってもらい、評価結果をそれぞれ記録するステップ1と、
それぞれステップ1における評価対象の糖アルコール類物質及びスクロースの6つの官能属性の強度の評価結果の平均値を算出して、官能フレーバーホイール分析を該平均値で行い、評価対象の糖アルコール類物質及びスクロースの6つの官能属性の味覚差別の数値を得るステップ2と、
ステップ2において味覚差別の数値が1つ以上の強度単位である官能属性について、それぞれ以下の方式により対応する矯味物質を増加して味覚改善を行うステップ3と、を含む糖アルコール類物質の官能属性の改善方法であって、
前記方式は、
(1)評価対象の糖アルコール類物質の甘味官能属性がスクロースの甘味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、1~10mg/kg・強度単位で塩化ナトリウムを添加し、評価対象の糖アルコール類物質の甘味官能属性がスクロースの甘味官能属性を1強度単位だけ上回る場合、1~5mg/kg・強度単位でレモン皮抽出物を添加することと、
(2)評価対象の糖アルコール類物質の後甘味官能属性がスクロースの後甘味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、1~3mg/kg・強度単位で塩化ナトリウムを添加し、1~200mg/kg・強度単位でステビオシドを添加し、評価対象の糖アルコール類物質の後甘味官能属性がスクロースの後甘味官能属性よりも1強度単位だけ上回る場合、1~10mg/kg・強度単位でレモン皮抽出物を添加することと、
(3)評価対象の糖アルコール類物質の苦味官能属性がスクロースの苦味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、いずれの物質も添加せず、評価対象の糖アルコール類物質の苦味官能属性がスクロースの苦味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ上回る場合、1~10mg/kg・強度単位でL-アスパラギンを添加することと、
(4)評価対象の糖アルコール類物質の渋味官能属性がスクロースの渋味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、いずれの物質も添加せず、評価対象の糖アルコール類物質の渋味官能属性がスクロースの渋味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ上回る場合、1~100mg/kg・強度単位でアラビノースを添加することと、
(5)評価対象の糖アルコール類物質の金属味官能属性がスクロースの金属味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、いずれの物質も添加せず、評価対象の糖アルコール類物質の金属味官能属性がスクロースの金属味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ上回る場合、1~800mg/kg・強度単位でマルトースを添加することと、
(6)評価対象の糖アルコール類物質の唾液分泌促進官能属性がスクロースの唾液分泌促進官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、1~250mg/kg・強度単位でマンニトールを添加し、評価対象の糖アルコール類物質の唾液分泌促進官能属性がスクロースの唾液分泌促進官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ上回る場合、いずれの物質も添加しないことと、を含むことを特徴とする糖アルコール類物質の官能属性の改善方法。
【請求項2】
ステップ1において、前記9点尺度法は、数字1~9で9個の強度単位を表し、それぞれ、極端に嫌いこと、非常に嫌いこと、嫌いこと、少し嫌いこと、好きでも嫌いでもないこと、ちょっと気に入ること、気に入ること、非常に気に入ること、極端に気に入ることに対応する、ことを特徴とする請求項1に記載の糖アルコール類物質の官能属性の改善方法。
【請求項3】
ステップ1において、官能評価者の数は少なくとも10名である、ことを特徴とする請求項1に記載の糖アルコール類物質の官能属性の改善方法。
【請求項4】
評価対象の糖アルコール類物質は、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、イソマルト、ラクチトール、タガトース、ポリオール、スクラロース、ステビオシド、アセスルファムのうちのいずれか1種である、ことを特徴とする請求項1に記載の糖アルコール類物質の官能属性の改善方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の糖アルコール類物質の官能属性の改善方法の使用であって、
甘味剤の風味改善用、又は、酸味剤の風味改善用、又は、苦味剤の風味改善用を含む、ことを特徴とする使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の官能測定の技術分野に属し、特に糖アルコール類物質の官能属性の改善方法及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、人間が感じられる味覚属性には、甘味属性、酸味属性、苦味属性、塩辛味属性、旨味属性、辛味属性、麻味属性など、複数の味覚属性がある。このため、それぞれの味覚属性については、複数種類の味覚物質が同じ味覚を感じさせることができ、例えば、甘味属性のスクロース、フルクトース、キシリトール、酸味属性のクエン酸、リンゴ酸、酒石酸などが挙げられる。
【0003】
また、同じ味覚属性を有する異なる味覚物質が同じ味覚を感じさせるが、別の異なる官能属性を呈し、例えば甘味属性については、スクラロースはスクロースに比べて金属味官能属性を有し、塩辛味属性については、塩化カリウムは塩化ナトリウムに比べて苦味官能属性を有する。したがって、食品分野において、特に食品研究開発者が各種の味覚物質を実際の製品に添加する際に他の官能属性による影響を考慮しなければならない。したがって、適切で正確な一連の官能評価属性は、単一の味覚物質の実際の官能特性を反映できるとともに、官能評価者や研究者が異なる味覚物質を分けて使用することを支援できる。
【0004】
現在、食品官能分野では、味覚物質の官能評価属性を決定する技術や方法がほとんどない。食品分野の作業者が、多くの場合、実務経験や他人の関連研究を参照して、味覚物質を評価するための官能評価属性を決定する。しかし、このように経験に基づく官能評価属性の決定方法は、味覚物質の官能特性をある程度程度できるが、統計学的に分析していないことから、ある角度からは、該方法で決定される味覚属性と官能特性との実際の相関性や有効性が明確であると言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、糖アルコール類物質の官能属性の改善方法及びその使用を提供することであり、甘味料代用品としての糖アルコール類物質とスクロースについて複数の官能属性に関する差別を分析し、差別の大きさに応じて対応する矯味物質を添加することによって、食品分野において甘味料代用品としての糖アルコール類物質の味覚官能属性にはスクロースとは差別があるという問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下のように実現される。糖アルコール類物質の官能属性の改善方法を提供し、この改善方法は、
複数の官能評価者に、9点尺度法によって同濃度の評価対象の糖アルコール類物質及びスクロースについて甘味、後甘味、苦味、渋味、金属味、及び唾液分泌促進、合計6つの官能属性の強度について評価をそれぞれ行ってもらい、評価結果をそれぞれ記録するステップ1と、
それぞれステップ1における評価対象の糖アルコール類物質及びスクロースの6つの官能属性の強度の評価結果の平均値を算出して、官能フレーバーホイール分析を該平均値で行い、評価対象の糖アルコール類物質及びスクロースの6つの官能属性の味覚差別の数値を得るステップ2と、
ステップ2において味覚差別の数値が1つ以上の強度単位である官能属性について、それぞれ以下の方式により対応する矯味物質を増加して味覚改善を行うステップ3と、を含む。
【0007】
(1)評価対象の糖アルコール類物質の甘味官能属性がスクロースの甘味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、1~10mg/kg・強度単位で塩化ナトリウムを添加し、評価対象の糖アルコール類物質の甘味官能属性がスクロースの甘味官能属性を1強度単位だけ上回る場合、1~5mg/kg・強度単位でレモン皮抽出物を添加する。
【0008】
(2)評価対象の糖アルコール類物質の後甘味官能属性がスクロースの後甘味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、1~3mg/kg・強度単位で塩化ナトリウムを添加し、1~200mg/kg・強度単位でステビオシドを添加し、評価対象の糖アルコール類物質の後甘味官能属性がスクロースの後甘味官能属性よりも1強度単位だけ上回る場合、1~10mg/kg・強度単位でレモン皮抽出物を添加する。
【0009】
(3)評価対象の糖アルコール類物質の苦味官能属性がスクロースの苦味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、いずれの物質も添加せず、評価対象の糖アルコール類物質の苦味官能属性がスクロースの苦味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ上回る場合、1~10mg/kg・強度単位でL-アスパラギンを添加する。
【0010】
(4)評価対象の糖アルコール類物質の渋味官能属性がスクロースの渋味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、いずれの物質も添加せず、評価対象の糖アルコール類物質の渋味官能属性がスクロースの渋味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ上回る場合、1~100mg/kg・強度単位でアラビノースを添加する。
【0011】
(5)評価対象の糖アルコール類物質の金属味官能属性がスクロースの金属味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、いずれの物質も添加せず、評価対象の糖アルコール類物質の金属味官能属性がスクロースの金属味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ上回る場合、1~800mg/kg・強度単位でマルトースを添加する。
【0012】
(6)評価対象の糖アルコール類物質の唾液分泌促進官能属性がスクロースの唾液分泌促進官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、1~250mg/kg・強度単位でマンニトールを添加し、評価対象の糖アルコール類物質の唾液分泌促進官能属性がスクロースの唾液分泌促進官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ上回る場合、いずれの物質も添加しない。
【発明の効果】
【0013】
従来技術に比べて、本発明の糖アルコール類物質の官能属性の改善方法及びその使用は以下の特徴を有する。
【0014】
1、風味分析方法によって、甘味料代用品としての糖アルコール類物質及びスクロースについて複数の官能属性の味覚差別を比較して分析した後に矯味を行い、それにより、味覚をより広範な範囲で改善し、正確性を向上させる。
【0015】
2、官能フレーバーホイール分析グラフを通じて、甘味料代用品としての糖アルコール類物質及びスクロースについて差別を複数のレベルで正確に定量化し、それにより、正確な矯味を可能とし、味覚改善の正確性をより向上させる。
【0016】
3、現在、食品分野において甘味料代用品としての糖アルコール類物質の味覚官能属性にはスクロースとは差別が存在するという問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の糖アルコール類物質の官能属性の改善方法によってプロットした、キシリトールとスクロースの官能フレーバーホイール分析結果図である。
【
図2】本発明の糖アルコール類物質の官能属性の改善方法によってプロットした、エリスリトールとスクロースの官能フレーバーホイール分析結果図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明が解決しようとする技術的課題、技術案及び有益な効果をより明確にするために、以下、図面及び実施例を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。なお、ここで説明する具体的な実施例は本発明を解釈するために過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0019】
本発明の糖アルコール類物質の官能属性の改善方法の好適な実施例は、以下のステップを含む。
【0020】
ステップ1、複数の官能評価者に、9点尺度法によって同濃度の評価対象の糖アルコール類物質及びスクロースについて甘味、後甘味、苦味、渋味、金属味、及び唾液分泌促進、合計6つの官能属性の強度について評価をそれぞれ行ってもらい、評価結果をそれぞれ記録する。
【0021】
ステップ2、それぞれステップ1における評価対象の糖アルコール類物質及びスクロースの6つの官能属性の強度の評価結果の平均値を算出して、官能フレーバーホイール分析を該平均値で行い、官能フレーバーホイール分析結果図をプロットし、評価対象の糖アルコール類物質及びスクロースの6つの官能属性の味覚差別の数値を得る。
【0022】
ステップ3、ステップ2において味覚差別の数値が1つ以上の強度単位である官能属性について、それぞれ以下の方式により対応する矯味物質を増加して味覚改善を行う。
【0023】
(1)評価対象の糖アルコール類物質の甘味官能属性がスクロースの甘味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、1~10mg/kg・強度単位で塩化ナトリウムを添加し、評価対象の糖アルコール類物質の甘味官能属性がスクロースの甘味官能属性を1強度単位だけ上回る場合、1~5mg/kg・強度単位でレモン皮抽出物を添加する。
【0024】
(2)評価対象の糖アルコール類物質の後甘味官能属性がスクロースの後甘味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、1~3mg/kg・強度単位で塩化ナトリウムを添加すると共に、1~200mg/kg・強度単位でステビオシドを添加し、評価対象の糖アルコール類物質の後甘味官能属性がスクロースの後甘味官能属性よりも1強度単位だけ上回る場合、1~10mg/kg・強度単位でレモン皮抽出物を添加する。
【0025】
(3)評価対象の糖アルコール類物質の苦味官能属性がスクロースの苦味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、いずれの物質も添加せず、評価対象の糖アルコール類物質の苦味官能属性がスクロースの苦味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ上回る場合、1~10mg/kg・強度単位でL-アスパラギンを添加する。
【0026】
(4)評価対象の糖アルコール類物質の渋味官能属性がスクロースの渋味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、いずれの物質も添加せず、評価対象の糖アルコール類物質の渋味官能属性がスクロースの渋味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ上回る場合、1~100mg/kg・強度単位でアラビノースを添加する。
【0027】
(5)評価対象の糖アルコール類物質の金属味官能属性がスクロースの金属味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、いずれの物質も添加せず、評価対象の糖アルコール類物質の金属味官能属性がスクロースの金属味官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ上回る場合、1~800mg/kg・強度単位でマルトースを添加する。
【0028】
(6)評価対象の糖アルコール類物質の唾液分泌促進官能属性がスクロースの唾液分泌促進官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ低い場合、1~250mg/kg・強度単位でマンニトールを添加し、評価対象の糖アルコール類物質の唾液分泌促進官能属性がスクロースの唾液分泌促進官能属性よりも1つ以上の強度単位だけ上回る場合、いずれの物質も添加しない。
【0029】
具体的には、ステップ1において、前記9点尺度法は数字1~9で9つの強度単位を表し、それぞれ極端に嫌いこと、非常に嫌いこと、嫌いこと、少し嫌いこと、好きでも嫌いでもないこと、ちょっと気に入ること、気に入ること、非常に気に入ること、極端に気に入ることに対応する。官能評価者の数は少なくとも10名である。官能評価者は評価のニーズに応じて、性別や年齢別に分類することができる。
【0030】
具体的には、評価対象の糖アルコール類物質は、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、イソマルト、ラクチトール、タガトース、ポリオール、スクラロース、ステビオシド、アセスルファムのうちのいずれか1種である。
【0031】
以下、具体的な実施例にて本発明の方法をさらに説明する。
【0032】
<実施例1>
本発明の第1の糖アルコール類物質の官能属性の改善方法の好適な実施例であって、評価対象の糖アルコール類物質としてキシリトールを採用し、具体的には、以下のステップを含む。
【0033】
ステップ1、30名官能評価者に、9点尺度法によって含有量5%のキシリトールとスクロースについて、甘味、後甘味、苦味、渋味、金属味、及び唾液分泌促進、合計6つの官能属性の強度をそれぞれ評価してもらう。
【0034】
ステップ2、ステップ1におけるキシリトール及びスクロースの6つの官能属性の強度評価の平均値をそれぞれ算出し、官能フレーバーホイール分析を該平均値で行い、キシリトール及びスクロースの6つの官能属性の味覚差別の数値を得て、結果を下記表に示し、官能フレーバーホイール分析結果図をプロットして
図1に示す。
【0035】
【0036】
ステップ3、ステップ2において味覚差別の数値が1つ以上の強度単位である官能属性について、それぞれ対応する矯味物質を増加して味覚改善を行い、改善前後の数値の比較結果を得て、下記表に示す。
【0037】
【0038】
上表の結果から分かるように、含有量5%のキシリトールは、矯味物質を添加された後、スクロースの味覚官能属性との差別が明らかに低減した。
【0039】
<実施例2>
本発明の第2の糖アルコール類物質の官能属性の改善方法の好適な実施例であって、評価対象の糖アルコール類物質としてエリスリトールを採用し、具体的には、以下のステップを含む。
【0040】
ステップ1、30名の官能評価者に、9点尺度法によって含有量8%のエリスリトール及びスクロースについて、甘味、後甘味、苦味、渋味、金属味、及び唾液分泌促進、合計6つの官能属性の強度をそれぞれ評価してもらう。
【0041】
ステップ2、ステップ1におけるエリスリトール及びスクロースの6つの官能属性の強度評価の平均値をそれぞれ算出し、官能フレーバーホイール分析を該平均値で行い、エリスリトール及びスクロースの6つの官能属性の味覚差別の数値を得て、結果を下記表に示し、官能フレーバーホイール分析結果図をプロットして
図2に示す。
【0042】
【0043】
ステップ3、ステップ2において味覚差別の数値が1つ以上の強度単位である官能属性について、それぞれ対応する矯味物質を増加して味覚改善を行い、改善前後の数値の比較結果を得て、下記表に示す。
【0044】
【0045】
上表の結果から分かるように、含有量8%エリスリトールは、矯味物質を添加された後、スクロースの味覚官能属性との差別が明らかに低減した。
【0046】
本発明は、前記した糖アルコール類物質の官能属性の改善方法の使用をさらに開示し、前記使用は、甘味剤の風味改善用、又は、酸味剤の風味改善用、又は、苦味剤の風味改善用を含む。使用する際に、本発明の方法におけるスクロースを他の甘味剤、酸味剤や苦味剤に変更して、本発明の方法と同様に、風味調整及び改善を行う。
【0047】
以上は、本発明の好適な実施例に過ぎず、本発明を制限するものではなく、本発明の精神及び原則を逸脱することなく行われる全ての修正、等同置換や改良などは、本発明の特許範囲に含まれるものとする。
【国際調査報告】