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特表2022-519007脳性麻痺におけるジスキネジアを処置するためのデューテトラベナジン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(54)【発明の名称】脳性麻痺におけるジスキネジアを処置するためのデューテトラベナジン
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4745 20060101AFI20220311BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20220311BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
A61K31/4745
A61P25/00
A61P25/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021534126
(86)(22)【出願日】2019-12-13
(85)【翻訳文提出日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 US2019066150
(87)【国際公開番号】W WO2020123900
(87)【国際公開日】2020-06-18
(31)【優先権主張番号】62/801,450
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/779,232
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515247864
【氏名又は名称】オースペックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユハ-マッティ・サヴォラ
(72)【発明者】
【氏名】マーク・フォレスト・ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】フランク・シュナイダー
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB18
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
(57)【要約】
本開示は、デューテトラベナジン及びその活性代謝物を使用する、ヒト患者の脳性麻痺におけるジスキネジアを処置する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト患者の脳性麻痺におけるジスキネジアを処置する方法であって、式(I):
【化1】
(式中、Dと表されている各位置に、約10%以上の重水素濃縮がある)
を有する治療有効量の化合物又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法。
【請求項2】
患者への治療有効量の投与が、患者に、1日量約6mg/日~約48mg/日を、1又は2用量で投与することである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
処置によって、ベースラインでの患者の異常不随意運動と比較して、患者の脳性麻痺におけるジスキネジアに関連する異常不随意運動が維持されるか又は減少する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
脳性麻痺におけるジスキネジアに関連する異常不随意運動が、ジストニア型のものである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
脳性麻痺におけるジスキネジアに関連する異常不随意運動が、舞踏病型のものである、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ヒト患者が小児患者である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
脳性麻痺におけるジスキネジアに関連する異常不随意運動を、評価尺度:
a)MD-CRSパートII;
b)MD-CRSパートI;
c)CaGI-I;及び
d)CGI-I、
のうちの少なくとも1つによって測定する、請求項3から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
脳性麻痺におけるジスキネジアに関連する異常不随意運動が、ベースラインでの患者の異常不随意運動と比較して少なくとも20%低下する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
患者が、ベースラインと比較して、少なくとも0.5ポイントのMD-CRSパートII合計スコアの低下を呈する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
患者が、ベースラインと比較して、少なくとも2ポイントのMD-CRSパートI合計スコアの低下を呈する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
患者が、ベースラインで体重が少なくとも12kgである、請求項3から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
患者が、ベースラインで体重が12kg~17kg未満であり、患者にCYP2D6障害がない場合、投与されるデューテトラベナジンの1日量は約24mg以下であるか;又は患者にCYP2D6障害がある場合、約12mg以下である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
患者が、ベースラインで体重が17kg~30kg未満であり、患者にCYP2D6障害がない場合、投与されるデューテトラベナジンの1日量は約30mg以下であるか;又は患者にCYP2D6障害がある場合、約18mg以下である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
患者が、ベースラインで体重が30kg~40kg未満であり、患者にCYP2D6障害がない場合、投与されるデューテトラベナジンの1日量は約42mg以下であるか;又は患者にCYP2D6障害がある場合、約24mg以下である、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
患者が、ベースラインで体重が40kg以上であり、患者にCYP2D6障害がない場合、投与されるデューテトラベナジンの1日量は約48mg以下であるか;又は患者にCYP2D6障害がある場合、約36mg以下である、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
ヒト患者の脳性麻痺におけるジスキネジアを処置する方法であって、式(II):
【化2】
(式中、Dと表されている各位置に、約10%以上の重水素濃縮がある)
を有する治療有効量の化合物又はその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法。
【請求項17】
Dと表されている各位置に、約50%以上、約90%以上、約95%以上、約98%以上、又は約99%以上の重水素濃縮がある、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月13日出願の米国特許仮出願第62/779,232号、及び2019年2月5日出願の米国特許仮出願第62/801,450号の利益を主張するものであり、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、デューテトラベナジン及びその活性代謝物を使用する小児患者を含むヒト患者の脳性麻痺におけるジスキネジアを処置する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
デューテトラベナジン((RR,SS)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-9,10-ジ(メトキシ-d3)-3-(2-メチルプロピル)-2H-ベンゾ[a]キノリジン-2-オン)は、小胞モノアミン輸送体2型(VMAT2)である。デューテトラベナジン(アルファ-ジヒドロテトラベナジン[α-HTBZ]及びベータ-ジヒドロテトラベナジン[β-HTBZ])から形成される生物活性代謝物は、VMAT2結合の強力な阻害剤であり、阻害定数値はそれぞれ3.8及び22nMである。デューテトラベナジンは、テトラベナジンと比較して、その活性代謝物の半減期の増加を呈する(例えば、米国特許第8,524,733号)。
【0004】
デューテトラベナジンは、ハンチントン病(HD)に関連する舞踏病の処置及び成人の遅発性ジスキネジア(TD)の処置のために、商品名AUSTEDO(登録商標)の下で米国食品医薬品局によって承認されている。デューテトラベナジンを含む医薬組成物は、米国特許第9,233,959号に開示されている。米国特許出願公開第2016/0287574号は、異常不随意運動障害の処置のためのデューテトラベナジンを開示している。
【0005】
脳性麻痺(CP)は、発達中の胎児又は乳幼児(2歳以下)の脳において通常発生する脳機能の非進行性障害である。CPは、子供における慢性運動障害の最も一般的で費用のかかる形態であり、米国(US)では出生1,000人あたり2~4人の罹患率であり、この状態は女児よりも男児においてより一般的である。CPを有する人の平均余命に関する一般的な試験は今迄に存在しないが、CPの影響を受けたほとんどの子供は、状態の重症度に応じて30~70歳の間で生存する。一般に、軽度のCPの症例の子供は、通常、可動性及び知的制限のある子供よりも長く生存する。米国には、18歳未満の約500,000人の子供を含む、約764,000人のCPを有する子供及び成人が存在する。未熟児はCPの最も一般的な原因であるが、他の原因としては、脳卒中、低酸素性虚血性損傷、感染症、又は脳奇形が挙げられる。
【0006】
CPの合併症としては、眼球運動異常、コミュニケーションの問題、嚥下困難、体重増加不良、社会的孤立、股関節形成不全及び脱臼、脊柱側弯症、骨減少症及び骨折、並びに疼痛を挙げてもよい。痙縮、ジスキネジア(ジストニア、舞踏病、アテトーゼ、更にはバリスムス)、及び運動失調を含む、さまざまな運動障害がCPに関連している。CPを有する多くの患者は、混合型の運動障害を示す。
【0007】
ジスキネジアは、脳の大脳基底核における非進行性の損傷に起因すると考えられている。脳性麻痺におけるジスキネジア(DCP)は、CPを有する患者のおよそ6%~15%におけるジストニア型及び舞踏病型の異常不随意運動を特徴とする過剰運動障害である。DCPはまれな疾患であり、米国における上記のCPの罹患率に基づいて、18歳未満の子供およそ30,000~75,000人及び成人16,000~40,000人がDCPを有すると推測することができる。
【0008】
アンメットメディカルニーズを伴う重大な疾患であるDCPの承認された処置法は、現在存在しない。ジストニア及び舞踏病を処置するための現在の処置選択肢(適応外使用)には、テトラベナジン、ドーパミン作動性、又はガンマアミノ酪酸作動性介入が含まれるが、これらは反応において高い変動性を示す。ボツリヌス神経毒Aもまた、痙縮及びジストニアの処置に臨床的に使用されており、選択された患者に適度に有効であると考えられているが、完全な処置ニーズを満たしているわけではない。非喫煙大麻誘導体であるナキシビモルス(Naxibimols)は、多発性硬化症に関連する痙縮を処置するために2010年に英国で承認されており、CPにおける痙縮を処置するために調査されている。現時点では、CPの運動障害の発症において新規な作用機序を伴う薬剤はほとんど存在しない。中枢脱髄軸索における伝導を回復すると考えられている小分子カリウムチャネル遮断薬であるダルファンプリジンは、多発性硬化症における使用が承認されているが、CP患者における機能改善を実証することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第8,524,733号
【特許文献2】米国特許第9,233,959号
【特許文献3】米国特許出願公開第2016/0287574号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Battini Rら、Responsiveness of the MD-Childhood Rating Scale in dyskinetic cerebral palsy patients undergoing anticholinergic treatment. Eur J Paediatr Neurol 2014年;18(6):698~703頁
【非特許文献2】Battini Rら、Movement Disorder-Childhood Rating Scale: reliability and validity. Pediatr Neurol 2008年;39(4):259~65頁
【非特許文献3】Busner J, Targum SD. The Clinical Global Impressions Scale: Applying a Research Tool in Clinical Practice. Psychiatry (Edgmont) 2007年;4(7):28~37頁
【非特許文献4】Dumas HM, Fragala-Pinkham MA. Concurrent Validity and Reliability of the Pediatric Evaluation of Disability Inventory-Computer Adaptive Test Mobility Domain. Pediatric Physical Therapy 2012年;24:171~76頁
【非特許文献5】Varni, JWら、The PedsQL(商標)in pediatric cerebral palsy: Reliability, validity, and sensitivity of the Generic Core Scales and Cerebral Palsy Module. Developmental Medicine and Child Neurology 2006年;48:442~49頁
【非特許文献6】Huntington Study Group. Unified Huntington's Disease Rating Scale: reliability and consistency. Huntington Study Group. Mov Disord 1996年;11(2):136~42頁
【非特許文献7】Law Mら、The Canadian occupational performance measure: an outcome measure for occupational therapy. Can J Occup Ther 1990年4月;57(2):82~7頁
【非特許文献8】Posner Kら、The Columbia-Suicide Severity Rating Scale: Initial Validity and Internal Consistency Findings From Three Multisite Studies With Adolescents and Adults. American Journal of Psychiatry 2011年;168(12):1266~77頁
【非特許文献9】Monbaliu Eら、Clinical presentation and management of dyskinetic cerebral palsy. Lancet Neurol 2017年;16(9):741~9頁
【非特許文献10】Wimalasundera N, Stevenson VL. Cerebral palsy. Pract Neurol 2016年;16:184~194頁
【非特許文献11】Cans, C. Surveillance of cerebral palsy in Europe: a collaboration of cerebral palsy surveys and registers. Developmental Medicine & Child Neurology 2000年;42:816~24頁
【非特許文献12】Rubin DB. Multiple Imputation for Nonresponse in Surveys. 1987年、New York: John Wiley & Sons
【非特許文献13】Little RJA, Rubin DB. Statistical Analysis with Missing Data, Second Edition. 2002年、New York: John Wiley & Sons
【非特許文献14】Mehta CR, Pocock SJ. Adaptive increase in sample size when interim results are promising: a practical guide with examples. Stat Med 2011年;30(28):3267~84頁
【非特許文献15】Chen YH, DeMets DL, Lan KK. Increasing the sample size when the unblinded interim result is promising. Stat Med 2004年;23(7):1023~38頁
【非特許文献16】Chouinard G, Margolese HC. Manual for the Extrapyramidal Symptom Rating Scale (ESRS). Schizophrenia Research 2005年;76:247~65頁
【非特許文献17】Achenbach TM, Ruffle TM. The Child Behavior Checklist and related forms for assessing behavioral/emotional problems and competencies. Pediatr Rev 2000年;21(8):265~71頁
【非特許文献18】Achenbach TM. Advancing assessment of children and adolescents: commentary on evidence-based assessment of child and adolescent disorders. J Clin Child Adolesc Psychol 2005年;34:541~7頁
【非特許文献19】Johns MW. The assessment of sleepiness in children and adolescents. Sleep Biol Rhythm 2015年;13(補遺1): 97
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、DCPの有効な処置の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示は、ヒト患者の脳性麻痺におけるジスキネジアを処置する方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは式(II):
【0013】
【化1】
【0014】
(式中、Dと表されている各位置に、約10%以上の重水素濃縮がある)
を有する化合物又はそれらの組み合わせ或いはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法に関する。
【0015】
本開示はまた、ヒト患者の脳性麻痺におけるジスキネジアを処置する方法であって、1日量約6mg/日~約48mg/日のデューテトラベナジンを1又は2用量で患者に投与することを含み、脳性麻痺におけるジスキネジアに関連する患者の異常不随意運動が、ベースラインでの脳性麻痺におけるジスキネジアに関連する患者の異常不随意運動と比較して減少している、方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の一部を形成する以下の詳細な説明を参照することにより、本主題をより容易に理解することができる。本発明は、本明細書に記載及び/又は示される特定の方法、条件、又はパラメータに限定されるものではなく、かつ本明細書で使用される専門用語は、例としてのみ特定の実施形態を説明することを目的としており、特許請求された発明を限定することを意図するものではないということが理解されるべきである。
【0017】
本明細書において他に定義されない限り、本出願に関連して使用する科学的及び技術的用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。更に、文脈によって他に要求されない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0018】
上記及び本開示全体で使用される場合、以下の用語及び略語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0019】
本開示において、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数形の複数の指示対象を含み、特定の数値への言及は、文脈上別段の明確な指示がない限り、少なくともその特定の値を含む。したがって、例えば、「化合物」への言及は、当業者に既知の1つ又は複数のそのような化合物及びそれらの同等物への言及である。本明細書で使用される「複数」という用語は、2以上を意味する。値の範囲が表される場合、別の実施形態は、一方の特定の値から、及び/又は他方の特定の値までを含む。同様に、ある値が、先行する「約」の使用によって近似値として表される場合、特定の値が別の実施形態を形成することが理解される。すべての範囲は包括的かつ組み合わせ可能である。
【0020】
本明細書で使用される場合、「組成物」、「化合物の組成物」、「化合物」、「薬物」、「薬理学的活性剤」、「活性剤」、「治療的」、「治療」、「処置」、又は「医薬」という用語は、本明細書において互換的に使用され、対象(ヒト又は動物)に投与される場合、局所的及び/又は全身的作用によって所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を誘発する1つ若しくは複数の化合物又は物質の組成物を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、「処置」又は「治療」(及びそれらの異なる形態)という用語は、予防の(preventative)(例えば、予防的(prophylactic))、治癒的、又は緩和的処置を含む。本明細書で使用される場合、「処置する」という用語は、状態、疾患又は障害のうちの少なくとも1つの有害若しくは負の効果又は症状を緩和若しくは軽減することを含む。この状態、疾患又は障害は、DCPを指す。
【0022】
「投与する」という用語は、本発明の化合物若しくは組成物を直接投与すること、又は体内で等量の活性化合物若しくは物質を形成するプロドラッグ、誘導体若しくは類似体を投与することのいずれかを意味する。
【0023】
「対象」、「個体」、及び「患者」という用語は、本明細書では互換的に使用され、本発明による医薬組成物を用いる予防的処置を含む処置が提供されるヒトを指す。
【0024】
「薬学的に許容される」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題、合併症を伴わず、合理的な利益/リスク比に見合う、ヒトの組織と接触させるのに好適な、それらの化合物、材料、組成物及び/又は剤形を指す。
【0025】
本発明の範囲内で、開示される化合物は、薬学的に許容される塩の形態で調製することができる。「薬学的に許容される塩」とは、親化合物が、その酸塩又は塩基塩を作製することによって修飾される、開示された化合物の誘導体を指す。薬学的に許容される塩の例としては、アミン等の塩基性残基の無機酸塩又は有機酸塩;カルボン酸等の酸性残基のアルカリ塩又は有機塩;等が挙げられるが、これらに限定されない。薬学的に許容される塩としては、例えば、非毒性無機若しくは有機酸から形成される親化合物の従来の非毒性塩又は第4級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、そのような従来の非毒性塩としては、無機酸、例として塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、等から誘導されるもの;及び有機酸、例として酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、等から調製される塩が挙げられる。これらの薬学的に許容される塩を、当技術分野で既知の方法によって、例えば、遊離アミン塩基を過剰の酸とともに水性アルコール中に溶解することによって、又は遊離カルボン酸を水酸化物等のアルカリ金属塩基又はアミンで中和することによって、調製する。
【0026】
「ポイント」及び「スコア」という用語は、本明細書では互換的に使用され、ある特定の評価尺度の尺度を指す。
【0027】
一部の態様では、本開示は、ヒト患者におけるDCPを処置する方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは式(II):
【0028】
【化2】
【0029】
(式中、Dと表されている各位置に、約10%以上の重水素濃縮がある)
の化合物又はそれらの組み合わせ或いはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法に関する。
【0030】
一部の実施形態では、この方法は、式(I)の化合物の投与を含んでいた。化学名1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-9,10-ジ(メトキシ-d3)-3-(2-メチルプロピル)-2H-ベンゾ[a]キノリジン-2-オン、を有する、式(I)の化合物は、2つの立体中心炭素原子を有し、これは、式(I)の化合物の4つの立体異性体:IA、IB、IC、ID:
【0031】
【化3】
【0032】
をもたらす。
【0033】
(R,R)及び(S,S)立体異性体のラセミ混合物(すなわち、IAとIBとの混合物)は、デューテトラベナジンと呼ばれる。一部の実施形態では、この方法は、デューテトラベナジンと呼ばれる(R,R)及び(S,S)立体異性体のラセミ混合物(すなわち、IAとIBとの混合物)の投与を含む。
【0034】
本明細書で使用される場合、式(I)の化合物は、式IA、IB、IC、又はIDの化合物、並びに任意の比率の式IA、IB、IC、又はIDの化合物の混合物を指す。
【0035】
一部の実施形態では、式(I)の化合物は、デューテトラベナジンを指す。
【0036】
一部の実施形態では、この方法は、式(II)の化合物の投与を含む。化学名3-イソブチル-9,10-ビス(メトキシ-d3)-1,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-2H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-2-オール、を有する、式(II)の化合物は、3つの立体中心炭素原子を有し、これらは、式(II)の化合物の8つの立体異性体:IIA、IIB、IIC、IID、IIE、IIF、IIG、IIH:
【0037】
【化4】
【0038】
をもたらす。
【0039】
本明細書で使用される場合、式(II)の化合物は、式IIA、IIB、IIC、IID、IIE、IIF、IIG、IIHの化合物、並びに任意の比率の式IIA、IIB、IIC、IID、IIE、IIF、IIG、又はIIHの化合物の混合物を指す。
【0040】
デューテトラベナジンは、代謝的に還元されて、重水素化アルファ-ジヒドロテトラベナジン(α-HTBZ)(すなわち、IIA及びIIF)及び重水素化ベータ-ジヒドロテトラベナジン(β-HTBZ)(すなわち、IIB及びIIE)になる。
【0041】
一部の態様では、本開示の方法は、式(I)若しくは式(II)(式中、Dと表されている各位置には、約10%以上の重水素濃縮がある)の化合物、又はそれらの組み合わせ、或いはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。本明細書で使用される場合、重水素濃縮は、1H及び/又は3H同位体のいずれかではなく、重水素同位体(すなわち、2H)である所与の位置における水素原子の百分率を指す。例えば、10%の重水素濃縮は、所与の位置における水素原子の10%が重水素であり、その位置における水素原子の90%が1H及び/又は3H同位体であることを意味する。水素同位体含有量を決定する方法は、当業者に知られており、これには質量分析及びNMRが含まれる。
【0042】
本開示の方法の一部の実施形態では、式(I)又は式(II)におけるDと表されている各位置に、約10%以上の重水素濃縮がある。
【0043】
本開示の方法の他の実施形態では、式(I)又は式(II)中におけるDと表されている各位置に、約20%以上の重水素濃縮がある。
【0044】
本開示の方法の他の実施形態では、式(I)又は式(II)におけるDと表されている各位置に、約50%以上の重水素濃縮がある。
【0045】
本開示の方法の他の実施形態では、式(I)又は式(II)におけるDと表されている各位置に、約70%以上の重水素濃縮がある。
【0046】
本開示の方法の他の実施形態では、式(I)又は式(II)におけるDと表されている各位置に、約80%以上の重水素濃縮がある。
【0047】
本開示の方法の他の実施形態では、式(I)又は式(II)におけるDと表されている各位置に、約90%以上の重水素濃縮がある。
【0048】
本開示の方法の他の実施形態では、式(I)又は式(II)におけるDと表されている各位置に、約98%以上の重水素濃縮がある。
【0049】
一部の態様では、本開示の方法において、対応する非重水素化化合物の同等な有効用量と比較して、式(I)の投与によって、最大耐用量の実質的な増加、毒性の減少、半減期(t1/2)増加、又は最小有効用量(MED)の最大血漿中濃度(Cmax)の低下、又はそれらの組み合わせがもたらされる。
【0050】
本明細書で使用される場合、式(I)の対応する非重水素化化合物は、構造
【0051】
【化5】
【0052】
を有する化合物を指す。
【0053】
本明細書で使用される場合、式(II)の対応する非重水素化化合物は、構造
【0054】
【化6】
【0055】
を有する化合物を指す。
【0056】
本明細書で使用される場合、式(I)の化合物に関して、対応する非重水素化化合物の同等な有効用量とは、脳性麻痺の患者のジスキネジアにおいて式(I)の化合物の特定の用量と同じ改善を生じさせる、対応する非重水素化化合物の用量を指す。式(II)の化合物に関して、対応する非重水素化化合物の同等な有効用量とは、脳性麻痺の患者のジスキネジアにおいて式(II)の化合物の特定の用量と同じ改善をもたらす対応する非重水素化化合物の用量を指す。
【0057】
一部の態様では、式(I)、(II)、又はそれらの組み合わせの化合物の投与によって、対応する非重水素化化合物の同等な有効用量の投与と比較して、最大耐用量の実質的な増加がもたらされる。
【0058】
他の態様では、式(I)、(II)、又はそれらの組み合わせの化合物の投与によって、対応する非重水素化化合物の同等な有効用量の投与と比較して、毒性の低下がもたらされる。
【0059】
他の態様では、式(I)、(II)、又はそれらの組み合わせの化合物の投与によって、対応する非重水素化化合物の同等な有効用量の投与と比較して、式(I)又は(II)の化合物の半減期(t1/2)の増加がもたらされる。
【0060】
他の態様では、式(I)、(II)、又はそれらの組み合わせの化合物の投与によって、対応する非重水素化化合物の同等な有効用量の投与と比較して、MEDのCmaxの低下がもたらされる。
【0061】
一部の態様では、本開示の方法は、ヒト患者の脳性麻痺(DCP)におけるジスキネジアを処置することに関する。「脳性麻痺におけるジスキネジア」とは、ジストニア型及び/又は舞踏病型の異常不随意運動を特徴とする過剰運動障害を指す。ジストニアの異常不随意運動は、不随意筋けいれんに起因する。舞踏病型の異常不随意運動としては、舞踏病、アテトーゼ、及びバリズム/バリスムスが挙げられる。
【0062】
本開示の方法の一部の実施形態では、DCPに関連する異常不随意運動は、ジストニア型のものである。
【0063】
本開示の方法の他の実施形態では、DCPに関連する異常不随意運動は、舞踏病型のものである。
【0064】
本開示の方法の他の実施形態では、DCPに関連する異常不随意運動は、ジストニア型及び舞踏病型のものである。
【0065】
本開示の方法の更に他の実施形態では、DCPに関連する異常不随意運動は、ジストニア型又は舞踏病型のものである。
【0066】
一部の態様では、本開示の方法は、ヒト患者に対して実施される。本開示の方法の一部の実施形態では、ヒト患者は小児患者である。本明細書で使用される場合、「小児患者」は、18歳以下の患者を指す。本開示の方法の一部の実施形態では、ヒト患者は成人患者である。本明細書で使用される場合、「成人患者」は、18歳超の患者を指す。
【0067】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者は、6歳~18歳の間である。
【0068】
本開示の方法の他の実施形態では、患者は6歳~12歳未満の間である。
【0069】
本開示の方法の他の実施形態では、患者は12歳~18歳の間である。
【0070】
本開示の方法の更に他の実施形態では、患者は6歳未満である。
【0071】
本開示の方法の一部の態様では、患者(patent)は、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は約18歳である。本開示の方法の一部の態様では、患者は、約1、2、3、4、又は約5歳である。本開示の方法の一部の態様では、患者は、約6、7、8、9、10、又は約11歳である。本開示の方法の一部の態様では、患者は、約12、13、14、15、16、17、又は約18歳である。
【0072】
一部の態様では、本開示の方法において、患者に、追加の治療剤を更に投与する。本明細書で使用される場合、追加の治療剤は、患者の脳性麻痺の態様、例として、眼球運動異常、コミュニケーションの問題、嚥下困難、体重増加不良、社会的孤立、股関節形成不全及び脱臼、脊柱側弯症、骨減少症及び骨折、疼痛、並びに運動障害等、を処置するために投与される、式(I)及び/又は式(II)の化合物以外の薬剤を指す。例示的な追加の治療剤としては、抗コリン作用薬(例えば、メシル酸ベンズトロピン、カルビドパ-レボドパ、グリコピロレート、プロシクリジン塩酸塩、及びトリヘキシフェニジル塩酸塩)、抗けいれん薬(例えば、ガバペンチン、ラモトリギン、オクスカルバゼピン、及びトピラマート、ゾニサミド)、抗うつ薬(例えば、シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、及びセルトラリン)、鎮痙薬(例えば、ボツリヌス毒素、ジアゼパム、ダントロレン、シクロベンザプリン(cyclobenzadrine)、髄腔内バクロフェン、及びチザニジン)、及び抗炎症薬(例えば、アスピリン、コルチコステロイド、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、及びステロイド)、が挙げられる。この方法の一部の実施形態では、式(I)、式(II)、又はそれらの組み合わせの化合物の投与に付随して、化合物の投与の前に、又は化合物の投与後に、追加の治療剤の投与。
【0073】
一部の態様では、本開示は、ヒト患者の脳性麻痺におけるジスキネジアを処置する方法であって、1日量約6mg/日~約48mg/日の式(I)の化合物を、1又は2用量で患者に投与することを含む、方法に関する。
【0074】
本開示の方法の一部の態様では、患者に、1日量約6mg/日~約48mg/日のデューテトラベナジンを、1又は2用量で投与する。
【0075】
本明細書で使用される場合、「1日量」又は「1日用量」という用語は互換的に使用することができ、例えば、用量滴定、又は例えば、主治医によって決定された他の方法によって最適であることが示される1日あたりに投与される用量を指す。デューテトラベナジン療法の開始直前の期間は、「ベースライン」と呼ばれる。デューテトラベナジン療法を開始する直前の患者の状態を、患者のベースライン状態と呼ぶことができる。1日量又は1日用量を、1又は2用量で患者に投与し、本明細書で以下に更に記載されている。
【0076】
一部の実施形態では、デューテトラベナジンの1日量は、6mg/日~48mg/日である。一部の実施形態では、デューテトラベナジンの1日量は、6mg/日である。
【0077】
一部の実施形態では、デューテトラベナジンの1日量は、12mg/日である。
【0078】
一部の実施形態では、デューテトラベナジンの1日量は、18mg/日である。
【0079】
一部の実施形態では、デューテトラベナジンの1日量は、24mg/日である。
【0080】
一部の実施形態では、デューテトラベナジンの1日量は、30mg/日である。
【0081】
一部の実施形態では、デューテトラベナジンの1日量は、36mg/日である。
【0082】
一部の実施形態では、デューテトラベナジンの1日量は、42mg/日である。
【0083】
一部の実施形態では、デューテトラベナジンの1日量は、48mg/日である。
【0084】
本開示の方法の一部の態様では、1日量は、1又は2用量で投与することができる。一部の実施形態では、1日量を、単回用量で投与する。一部の実施形態では、1日量を、2用量で投与する。
【0085】
1日用量を2用量で投与する場合、この2用量は、等しい量であっても、異なる量であってもよい。一部の実施形態では、2用量のそれぞれは、等しい量の用量である。
【0086】
1日量を2用量で投与する場合、この2用量は、等しい量であっても、異なる量であってもよい。一部の実施形態では、1日量の2用量のそれぞれは、等しい用量である。
【0087】
1日量を2用量で投与する場合、介在する期間によって用量投与を分離する。他の実施形態では、2回目用量を、1回目用量の約8~10時間後に投与する。他の実施形態では、2回目用量を、1回目用量の約8時間後に投与する。他の実施形態では、2回目用量を、1回目用量の約10時間後に投与する。
【0088】
一部の実施形態では、滴定レジメンを使用して、式(I)の化合物の初期1日用量を決定する。一部の実施形態では、滴定レジメンを使用して、式(II)の化合物又は式(I)及び式(II)の組み合わせの初期1日用量を決定する。一部の実施形態では、初期1日用量は、維持1日用量とは異なる。
【0089】
一部の実施形態では、投与は、
a)対象に1日あたり少なくとも約6mgの初期1日量のデューテトラベナジンを投与する工程;
b)約1週間後、初期1日量を用いて達成されたDCPに関連する異常不随意運動の制御の程度、及び初期1日量の忍容性を判定する工程;
c)DCPに関連する異常不随意運動の制御の程度が不十分であり、初期1日量が忍容性である場合は、デューテトラベナジンの1日量をその後の1日量に対して6mg/日以上で上方に増加させる工程;
d)必要に応じて、DCPに関連する異常不随意運動の制御の程度が十分となり、デューテトラベナジンの1日量が忍容性となるまで、工程b)及び工程c)を反復する工程;並びに
e)その後の量が忍容性を示さない場合、1日量をその後の1日量に対して6mg/日以上下方に減少させる工程、
を含む。
【0090】
一部の態様では、処置によって、ベースラインでのDCPに関連する患者の異常不随意運動と比較して、DCPに関連する患者の異常不随意運動が維持される。本文脈中で使用される場合、「患者の異常不随意運動が維持される」とは、DCPに関連する患者の異常不随意運動がベースラインに対して変化しないことを意味する。したがって、DCPに関連する患者の異常不随意運動は安定したままであり、改善はしないが悪化することはない。このような処置は、DCPに関連する異常不随意運動が悪化した病歴のある患者にとって臨床上の利益を示す。
【0091】
本開示の方法の一部の態様では、式(I)の化合物及び/又は式(II)の化合物を用いる処置によって、ベースラインでのDCPに関連する患者の異常不随意運動と比較して、DCPに関連する患者の異常不随意運動が減少する。本開示の方法の一部の態様では、式(I)の化合物による処置によって、ベースラインでのDCPに関連する患者の異常不随意運動と比較して、DCPに関連する患者の異常不随意運動が減少する。本開示の方法の一部の態様では、デューテトラベナジンによる処置によって、ベースラインでのDCPに関連する患者の異常不随意運動と比較して、DCPに関連する患者の異常不随意運動が減少する。
【0092】
本開示の方法の一部の態様では、式(II)の化合物による処置によって、ベースラインでのDCPに関連する患者の異常不随意運動と比較して、DCPに関連する患者の異常不随意運動が減少する。本開示の方法の一部の態様では、重水素化α-HTBZ又は重水素化β-HTBZによる処置によって、ベースラインでのDCPに関連する患者の異常不随意運動と比較して、DCPに関連する患者の異常不随意運動が減少する。
【0093】
一部の態様では、DCPに関連する患者の異常不随意運動は、臨床評価手段、例えば、評価尺度:a)MD-CRSパートII;b)MD-CRSパートI;c)CaGI-I;及びd)CGI-I、のうちの少なくとも1つ等を使用して測定される。そのような臨床手段の1つは、運動障害-小児評価尺度指数(Movement Disorder-Childhood Rating Scale Index)(MD-CRS)である。例えば、Battini Rら、Responsiveness of the MD-Childhood Rating Scale in dyskinetic cerebral palsy patients undergoing anticholinergic treatment. Eur J Paediatr Neurol 2014年;18(6):698~703頁;Battini Rら、Movement Disorder-Childhood Rating Scale: reliability and validity. Pediatr Neurol 2008年;39(4):259~65頁、を参照のこと、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0094】
MD-CRSは、パートI及びパートIIの2つの部分を有し、スコアが高いほど、状態が悪化していることを示す。
【0095】
MD-CRSパートIは、患者の活動に対するDCPの影響を評価し、運動機能(7項目)、口腔/口頭機能(3項目)、セルフケア(3項目)、注意/覚醒(2項目)に対する運動障害の総合評価を、0(存在)~4(非存在)の尺度で提供する。MD-CRSパートIの合計スコア(0~60)は、「指標I」と呼ばれる0~1の範囲に正規化することができる。
【0096】
MD-CRSパートIIは、運動障害、この場合、DCPに関連する不随意運動の重症度の特定の運動評価である。MD-CRSパートIIは、CP患者においてジスキネジアが見られる7つの身体部位のそれぞれにおいて0~4の尺度で運動障害の重症度を評価する。したがって、MD-CRSパートIIにおいて可能な最大合計スコアは28である。MD-CRSパートIIの合計スコア(0~28)は、「指標II」と呼ばれる0~1の範囲に正規化することができる。MD-CRSパートIIでは、スコア0は運動障害の非存在を指し、スコア4は、検査された領域及び/又は関与する3つ以上の他の領域においてすべてのタスク中に運動障害が存在し、完了できないことを指す。MD-CRSパートIIにより評価された7つの身体領域は、(i)眼及び眼窩周囲領域、(ii)顔、(iii)舌及び口周囲領域、(iv)首、(v)体幹、(vi)上肢、(vii)下肢、である。MD-CRSは、ジストニア型又は舞踏病型の脳性麻痺におけるジスキネジアを区別せず、評価セッション中に観察された領域のいずれかにおける最悪のジスキネジアを、影響を受けた各身体領域のスコアとして採用する。
【0097】
別の評価手段は、介護者の全般印象改善尺度(Caregiver Global Impression of Improvement Scale)(CaGI-I)である。CaGI-Iは、治療開始後の脳性麻痺症状のジスキネジアの改善に関する介護者の印象を評価するための単一項目の質問票である。この尺度は、患者の健康のすべての態様を評価し、ジスキネジアの症状に全体的な改善があったかどうかを判定することを目的とした、介護者が報告したアウトカムである。介護者の評価は、1=非常に大幅に改善されている(処置の開始以来);2=大幅に改善されている;3=最小限で改善されている;4=ベースラインから変化なし(症状は本質的に変化がないままである);5=最小限で悪化している;6=大幅に悪化している;又は7=非常に悪化している(処置の開始以来)、である。
【0098】
別の評価手段は、臨床全般印象改善度(Clinical Global Impression of Improvement)(CGI-I)、すなわち、処置開始以来の患者の状態を、臨床医が以下のようにベースライン状態と比較することが可能となる7ポイント尺度:1=処置開始以来非常に大幅に改善されている(ほぼすべてがより良好である;良好なレベルの機能;最小限の症状;非常に実質的な変化を表す);2=大幅に改善されている(症状が大幅に軽減して特により良好である;機能レベルは向上しているが、一部の症状は残る);3=最小限で改善されている(臨床的に意味のある症状の軽減がほとんど又はまったくない、わずかにより良好である;基本的な臨床状態、ケアのレベル、又は機能的能力の変化をほとんど示さない);4=ベースラインからの変化がない(症状は本質的に変化がないままである);5=最小限で悪化している(わずかに悪化しているが、臨床的に意味がない場合がある;基本的な臨床状態又は機能的能力の変化をほとんど示さない場合がある);6=大幅に悪化している(症状の臨床的に有意な増加及び機能の低下);7=処置開始以来非常に大幅に悪化している(症状の重度の悪化及び機能喪失)、を使用する、臨床医が報告するアウトカムである。例えば、Busner J, Targum SD. The Clinical Global Impressions Scale: Applying a Research Tool in Clinical Practice. Psychiatry (Edgmont) 2007年;4(7):28~37頁を参照のこと、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0099】
別の評価手段は、以下のようにジスキネジア重症度を評価するために7ポイントのLikert尺度(DCPによってもたらされる最も適切な重症度レベルを選択するためのアンカーポイントを伴う):1=正常(まったく病気ではなく、過去7日間に障害の症状が存在しない);2=境界線(微妙な又は疑わしい病理);3=軽度(社会的及び/又は職業的機能における苦痛又は困難があったとしても最小限であり、明確に確立された症状);4=中等度(顕著であるが中程度の機能障害又は苦痛をもたらす明白な症状;症状レベルは投薬を正当化する場合がある);5=顕著な(社会的/職業的機能を明らかに損なう、又は侵入レベルの苦痛をもたらす侵入症状);6=重度(破壊的症状、行動、及び機能は症状の影響を受けることが多く、他人の援助が必要な場合がある);7=極度(症状は多くの生活機能に劇的に干渉する;入院する場合がある)、を使用する、臨床全般印象重症度(Clinical Global Impression of Severity)(CGI-S)である。
【0100】
別の評価手段は、小児及び青年のための臨床的評価である小児評価障害目録(子どもの能力低下評価法)-コンピュータ適応試験(Pediatric Evaluation Disability Inventory-Computer Adapted Test)(PEDI-CAT)である。PEDI-CATは、乳幼児期、小児期、及び若年成人期を通じて取得された276の機能的活動の包括的な項目バンクで構成されている。例えば、Dumas HM, Fragala-Pinkham MA. Concurrent Validity and Reliability of the Pediatric Evaluation of Disability Inventory-Computer Adaptive Test Mobility Domain. Pediatric Physical Therapy 2012年;24:171~76頁を参照のこと、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
別の評価手段は、小児の生活の質の目録(Pediatric Quality of Life Inventory)(PedsQL)であり、これは、十分に検証された包括的コア尺度といくつかの状態及び疾患固有のモジュールからなる健康関連の生活の質の手段である(Varni, JWら。The PedsQL(商標)in pediatric cerebral palsy: Reliability, validity, and sensitivity of the Generic Core Scales and Cerebral Palsy Module. Developmental Medicine and Child Neurology 2006年;48:442~49頁)、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。35項目のPedsQL3.0 CPモジュールは、7つの尺度:(1)日常の活動(9項目);(2)学校活動(4項目);(3)運動及びバランス(5項目);(4)疼痛及び傷(4項目);(5)疲労感(4項目);(6)食事活動(5項目);(7)発話及びコミュニケーション(4項目)、を包含する。指示では、過去1か月間に各項目でどの程度の問題があったかを尋ねている。以下のように、子供の自己報告及び親の代理報告全体で5ポイントの応答尺度を利用する:0=問題がない;1=ほとんど問題がない;2=時々問題がある;3=多くの場合問題がある;4=ほとんどいつも問題がある。
【0102】
別の評価手段は、患者の全般印象改善度(Patient Global Impression of Improvement)(PGI-I)であり、これは、開示された治療を開始した後のジスキネジア症状における患者の改善印象を評価するための単一項目質問票である。PGI-Iは、患者の健康のすべての態様を評価し、ジスキネジアの症状に全体的な改善があったかどうかを判定することを目的とした、患者が報告したアウトカムである。患者は、自分の健康状態と全体的な状態を最も正確に説明する視覚的応答選択肢(「絵文字」)から1つの応答を選択する必要がある:1=大幅に改善されている(処置の開始以来);2=やや改善されている;3=変化なし;4=やや悪化している;5=大幅に悪化している(処置の開始以来)。
【0103】
別の評価手段は、統一ハンチントン病評価尺度-総合運動スコア(Unified Huntington's Disease Rating Scale-Total Motor Score)(UHDRS-TMS)であり、15項目を含み、眼球運動、発話、交互の手の動き、ジストニア、舞踏病、及び歩行を評価する。UHDRS-TMSは、31の運動評価の合計として計算され、各評価の範囲は0~4ポイントの間である。合計最小スコアは0(非存在)であり、最大スコアは124(最悪)である。統一ハンチントン病評価尺度-総合最大舞踏病(Unified Huntington's Disease Rating Scale-Total Maximal Chorea)(UHDRS-TMC)は、UHDRS-TMS評価の一部であり、顔、口、体幹、及び四肢において舞踏病の重症度を評価する。最小スコアは0(非存在)であり、最大スコアは28(顕著な/長期)である。統一ハンチントン病評価尺度-総合最大ジストニア(Unified Huntington's Disease Rating Scale-Total Maximal Dystonia)(UHDRS-TMD)は、UHDRS-TMS評価の一部であり、体幹及び四肢においてジストニアの重症度を評価する。最小スコアは0(非存在)であり、最大スコアは20(顕著な/長期)である。例えば、Huntington Study Group. Unified Huntington's Disease Rating Scale: reliability and consistency. Huntington Study Group. Mov Disord 1996年;11(2):136~42頁を参照のこと、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0104】
別の評価手段は、カナダ作業遂行測定(Canadian Occupational Performance Measure)(COPM)である。COPMは、セルフケア、生産性、及び余暇の分野における患者のアウトカムを評価するように設計されている。COPMは、半構造化面接法を使用して、日常の機能における個々の患者が特定した問題領域を測定する5段階プロセスである。遂行及び遂行の満足度の2つのスコアが得られる。Law Mら、The Canadian occupational performance measure: an outcome measure for occupational therapy. Can J Occup Ther 1990年4月;57(2):82~7頁、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0105】
一部の態様では、処置の安全性を、自殺念慮又は自殺行動の頻度及び重症度を測定するコロンビア自殺重症度評価尺度(Columbia-Suicide Severity Rating Scale)(C-SSRS)によって測定する。例えば、Posner Kら、The Columbia-Suicide Severity Rating Scale: Initial Validity and Internal Consistency Findings From Three Multisite Studies With Adolescents and Adults. American Journal of Psychiatry 2011年;168(12):1266~77頁を参照のこと、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0106】
本開示の方法の一部の実施形態では、DCPに関連する患者の異常不随意運動は、少なくとも1つの臨床評価手段によって測定される。例えば、本開示の方法の一部の態様では、DCPに関連する患者の異常不随意運動は、
・運動障害-小児評価尺度指数(Movement Disorder-Childhood Rating Scale Index)(MD-CRS;
・介護者の全般印象改善尺度(CaGI-I);
・臨床全般印象改善度(CGI-I);
・臨床全般印象重症度(CGI-S);
・小児評価障害目録-コンピュータ適応試験(PEDI-CAT);
・小児の生活の質の目録(PedsQL);
・患者の全般印象改善度(PGI-I);
・統一ハンチントン病評価尺度-総合運動スコア(UHDRS-TMS);
・コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS);
・カナダ作業遂行測定(COPM)、
のうちの少なくとも1つによって測定される。
【0107】
本開示の方法の一部の実施形態では、DCPに関連する患者の異常不随意運動を、a)MD-CRSパートII;b)MD-CRSパートI;c)CaGI-I;及びd)CGI-I、のうちの少なくとも1つによって測定する。
【0108】
一部の実施形態では、DCPに関連する異常不随意運動の減少を、
a)ベースラインから15週目までのMD-CRSパートII合計スコアの低下;
b)ベースラインから15週目までのMD-CRSパートI合計スコアの低下;
c)ベースラインから15週目までのCaGI-Iスコアの低下;及び
d)ベースラインから15週目までのCGI-Iスコアの低下、
のうちの少なくとも1つによって実証する。
【0109】
本開示の方法の一部の実施形態では、DCPに関連する患者の異常不随意運動は、MD-CRSパートIIスコアのベースラインから15週目までの変化によって測定される。
【0110】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者は、ベースラインでMD-CRSパートII項目について≧8の合計スコアを有する。
【0111】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者は、ベースラインでMD-CRSパートII項目について≧10の合計スコアを有する。
【0112】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者は、ベースラインでMD-CRSパートII項目について≧12の合計スコアを有する。
【0113】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者は、ベースラインでMD-CRSパートII項目について≧14の合計スコアを有する。
【0114】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者は、ベースラインでMD-CRSパートII項目について≧16の合計スコアを有する。
【0115】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者は、ベースラインでMD-CRSパートII項目について≧18の合計スコアを有する。
【0116】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者は、ベースラインでMD-CRSパートII項目について≧20の合計スコアを有する。
【0117】
本開示の方法の一部の実施形態では、DCPに関連する患者の異常不随意運動は、MD-CRSパートIスコアのベースラインから15週目までの変化によって測定される。
【0118】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者のMD-CRSパートI合計スコアは、ベースラインと比較して約1~8ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では、患者のMD-CRSパートI合計スコアは、ベースラインと比較して約2~4ポイント低下する。一部の実施形態では、患者のMD-CRSパートI合計スコアは、ベースラインと比較して少なくとも1ポイント低下する。一部の実施形態では、患者のMD-CRSパートI合計スコアは、ベースラインと比較して少なくとも2ポイント低下する。一部の実施形態では、患者のMD-CRSパートI合計スコアは、ベースラインと比較して少なくとも3ポイント低下する。一部の実施形態では、患者のMD-CRSパートI合計スコアは、ベースラインと比較して少なくとも4ポイント低下する。一部の実施形態では、患者のMD-CRSパートI合計スコアは、ベースラインと比較して少なくとも5ポイント低下する。一部の実施形態では、患者のMD-CRSパートI合計スコアは、ベースラインと比較して少なくとも6ポイント低下する。一部の実施形態では、患者のMD-CRSパートI合計スコアは、ベースラインと比較して少なくとも7ポイント低下する。一部の実施形態では、患者のMD-CRSパートI合計スコアは、ベースラインと比較して少なくとも8ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では、本明細書に開示されるMD-CRSパートI合計スコアの低下は、処置の開始から15週目に観察される。本開示の方法の一部の実施形態では、本明細書に開示されるMD-CRSパートI合計スコアの低下は、処置の開始から少なくとも15週間観察される。
【0119】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者の異常不随意運動は、CaGI-I評価尺度におけるベースラインから15週目までの変化によって測定される。
【0120】
本開示の方法の一部の実施形態では患者のCaGI-1スコアは、ベースラインと比較して約0.2~0.8ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では患者のCaGI-1スコアは、ベースラインと比較して約0.5~0.7ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では患者のCaGI-1スコアは、ベースラインと比較して少なくとも0.2ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では患者のCaGI-1スコアは、ベースラインと比較して少なくとも0.3ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では患者のCaGI-1スコアは、ベースラインと比較して少なくとも0.4ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では患者のCaGI-1スコアは、ベースラインと比較して少なくとも0.5ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では患者のCaGI-1スコアは、ベースラインと比較して少なくとも0.6ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では患者のCaGI-1スコアは、ベースラインと比較して少なくとも0.7ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では、本明細書に開示されるCaGI-Iスコアの低下は、処置の開始から15週目に観察される。本開示の方法の一部の実施形態では、本明細書に開示されるCaGI-Iスコアの低下は、処置の開始から少なくとも15週間観察される。
【0121】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者の異常不随意運動は、CGI-I評価尺度におけるベースラインから15週目までの変化によって測定される。
【0122】
本開示の方法の一部の実施形態では患者のCGI-Iスコアは、ベースラインと比較して約0.2~0.8ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では患者のCGI-Iスコアは、ベースラインと比較して約0.5~0.7ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では患者のCGI-Iスコアは、ベースラインと比較して少なくとも0.2ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では患者のCGI-Iスコアは、ベースラインと比較して少なくとも0.3ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では患者のCGI-Iスコアは、ベースラインと比較して少なくとも0.4ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では患者のCGI-Iスコアは、ベースラインと比較して少なくとも0.5ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では患者のCGI-Iスコアは、ベースラインと比較して少なくとも0.6ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では患者のCGI-Iスコアは、ベースラインと比較して少なくとも0.7ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では、本明細書に開示されるCGI-Iスコアの低下は、処置の開始から15週目に観察される。本開示の方法の一部の実施形態では、本明細書に開示されるCGI-Iスコアの低下は、処置の開始から少なくとも15週間観察される。
【0123】
本開示の方法の一部の態様では、ベースラインでの患者の異常不随意運動の重症度と比較して、DCPに関連する患者の異常不随意運動の重症度が低下する。
【0124】
一部の態様では、DCPに関連する患者の異常不随意運動の重症度の低下は、MD-CRSパートIIを使用して測定される。
【0125】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者のMD-CRSパートII合計スコアは、ベースラインと比較して約0.5~10ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では、患者のMD-CRSパートII合計スコアは、ベースラインと比較して約0.5~4ポイント低下する。一部の実施形態では、患者のMD-CRSパートII合計スコアは、ベースラインでの患者のMD-CRSパートII合計スコアと比較して、少なくとも0.5ポイント低下する。一部の実施形態では、患者のMD-CRSパートII合計スコアは、ベースラインでの患者のMD-CRSパートII合計スコアと比較して、少なくとも1ポイント低下する。他の実施形態では、患者のMD-CRSパートII合計スコアは、ベースラインでの患者のMD-CRSパートII合計スコアと比較して、少なくとも2ポイント低下する。他の実施形態では、患者のMD-CRSパートII合計スコアは、ベースラインでの患者のMD-CRSパートII合計スコアと比較して、少なくとも3ポイント低下する。他の実施形態では、患者のMD-CRSパートII合計スコアは、ベースラインでの患者のMD-CRSパートII合計スコアと比較して、少なくとも4ポイント低下する。他の実施形態では、患者のMD-CRSパートII合計スコアは、ベースラインでの患者のMD-CRSパートII合計スコアと比較して、少なくとも5ポイント低下する。他の実施形態では、患者のMD-CRSパートII合計スコアは、ベースラインでの患者のMD-CRSパートII合計スコアと比較して、少なくとも6ポイント低下する。他の実施形態では、患者のMD-CRSパートII合計スコアは、ベースラインでの患者のMD-CRSパートII合計スコアと比較して、少なくとも7ポイント低下する。他の実施形態では、患者のMD-CRSパートII合計スコアは、ベースラインでの患者のMD-CRSパートII合計スコアと比較して、少なくとも8ポイント低下する。他の実施形態では、患者のMD-CRSパートII合計スコアは、ベースラインでの患者のMD-CRSパートII合計スコアと比較して、少なくとも9ポイント低下する。他の実施形態では、患者のMD-CRSパートII合計スコアは、ベースラインでの患者のMD-CRSパートII合計スコアと比較して、少なくとも10ポイント低下する。本開示の方法の一部の実施形態では、本明細書に開示されるMD-CRSパートII合計スコアの低下は、処置の開始から15週目に観察される。本開示の方法の一部の実施形態では、本明細書に開示されるMD-CRSパートII合計スコアの低下は、処置の開始から少なくとも15週間観察される。
【0126】
本開示の方法の一部の態様では、患者の運動機能は、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。一部の実施形態では、患者の運動機能の改善は、MD-CRSパートIIによって評価される7つの身体領域:(i)眼及び眼窩周囲領域、(ii)顔、(iii)舌及び口周囲領域、(iv)首、(v)体幹、(vi)上肢、(vii)下肢、又はそれらの組み合わせ、のうちの1つ又は複数で実証される。
【0127】
一部の実施形態では、眼及び眼窩周囲領域における患者の運動機能は、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。一部の実施形態では、眼及び眼窩周囲領域における患者の運動機能は、ベースラインでのスコアと比較して、MD-CRSパートIIでの眼及び眼窩周囲領域のスコアが低下することによって実証されるように、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。
【0128】
一部の実施形態では、顔面における患者の運動機能は、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。一部の実施形態では、顔面における患者の運動機能は、ベースラインでのスコアと比較して、MD-CRSパートIIでの顔面のスコアが低下することによって実証されるように、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。
【0129】
一部の実施形態では、舌及び口周囲領域における患者の運動機能は、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。一部の実施形態では、舌及び口周囲領域における患者の運動機能は、ベースラインでのスコアと比較して、MD-CRSパートIIでの舌及び口周囲領域のスコアが低下することによって実証されるように、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。
【0130】
一部の実施形態では、首における患者の運動機能は、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。一部の実施形態では、首における患者の運動機能は、ベースラインでのスコアと比較して、MD-CRSパートIIでの首のスコアが低下することによって実証されるように、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。
【0131】
一部の実施形態では、体幹における患者の運動機能は、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。一部の実施形態では、体幹における患者の運動機能は、ベースラインでのスコアと比較して、MD-CRSパートIIでの体幹のスコアが低下することによって実証されるように、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。
【0132】
一部の実施形態では、体幹における患者の運動機能は、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。一部の実施形態では、上肢における患者の運動機能は、ベースラインでのスコアと比較して、MD-CRSパートIIでの上肢のスコアが低下することによって実証されるように、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。
【0133】
一部の実施形態では、下肢における患者の運動機能は、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。一部の実施形態では、下肢における患者の運動機能は、ベースラインでのスコアと比較して、MD-CRSパートIIでの下肢のスコアが低下することによって実証されるように、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される。
【0134】
本開示の方法の一部の態様では、患者の口腔/口頭機能は、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の口腔/口頭機能と比較して改善される。一部の実施形態では、患者の口腔/口頭機能は、MD-CRSパートIでの口腔/口頭機能のスコアが低下することによって実証されるように、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の口腔/口頭機能と比較して改善される。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者の口腔/口頭スコアは、ベースラインから0.5ポイント以上低下している。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者の口腔/口頭スコアは、ベースラインから1ポイント以上低下している。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者の口腔/口頭スコアは、ベースラインから2ポイント以上低下している。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者の口腔/口頭スコアは、ベースラインから3ポイント以上低下している。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者の口腔/口頭スコアは、ベースラインから4ポイント低下している。
【0135】
本開示の方法の一部の態様では、患者のセルフケア機能は、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者のセルフケア機能と比較して改善される。一部の実施形態では、患者のセルフケア機能は、MD-CRSパートIでのセルフケア機能のスコアが低下することによって実証されるように、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者のセルフケア機能と比較して改善される。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者のセルフケアスコアは、ベースラインから0.5ポイント以上低下している。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者のセルフケアスコアは、ベースラインから1ポイント以上低下している。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者のセルフケアスコアは、ベースラインから2ポイント以上低下している。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者のセルフケアスコアは、ベースラインから3ポイント以上低下している。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者のセルフケアスコアは、ベースラインから4ポイント低下している。
【0136】
本開示の方法の一部の態様では、患者の注意/覚醒は、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の注意/覚醒と比較して改善される。一部の実施形態では、患者の注意/覚醒は、MD-CRSパートIでの注意/覚醒のスコアが低下することによって実証されるように、デューテトラベナジンの投与後に、ベースラインでの患者の注意/覚醒と比較して改善される。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者の注意/覚醒スコアは、ベースラインから0.5ポイント以上低下している。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者の注意/覚醒スコアは、ベースラインから1ポイント以上低下している。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者の注意/覚醒スコアは、ベースラインから2ポイント以上低下している。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者の注意/覚醒スコアは、ベースラインから3ポイント以上低下している。一部の実施形態では、MD-CRSパートIでの患者の注意/覚醒スコアは、ベースラインから4ポイント低下している。
【0137】
本開示の方法の一部の態様では、患者の異常不随意運動は、ベースラインと比較して大幅に又は非常に大幅に改善される。一部の実施形態では、患者の異常不随意運動の改善は、介護者の全般印象改善尺度(CaGI-I)でのスコア1若しくは2によって、又は臨床全般印象改善度(CGI-I)でのスコア1若しくは2によって実証される。
【0138】
本開示の方法の一部の実施形態では、CaGI-1でのスコア2によって実証されるように、患者の異常不随意運動は、ベースラインと比較して大幅に改善されている。
【0139】
本開示の方法の他の実施形態では、CGI-1でのスコア2によって実証されるように、患者の異常不随意運動は、ベースラインと比較して大幅に改善されている。
【0140】
本開示の方法の一部の実施形態では、CaGI-1でのスコア1によって実証されるように、患者の異常不随意運動は、ベースラインと比較して非常に大幅に改善されている。
【0141】
本開示の方法の他の実施形態では、CGI-1でのスコア1によって実証されるように、患者の異常不随意運動は、ベースラインと比較して非常に大幅に改善されている。
【0142】
本開示の方法の一部の態様では、患者は、ベースラインでの臨床全般印象重症度(CGI-S)評価尺度において4以上のスコアを有する。CGI-Sでは、7ポイントの尺度を使用してジスキネジアの重症度を測定する:1=正常(まったく病気ではなく、過去7日間に障害の症状が存在しない);2=境界線(微妙な又は疑わしい病理);3=軽度(社会的及び/又は職業的機能における苦痛又は困難があったとしても最小限であり、明確に確立された症状);4=中等度(顕著であるが中程度の機能障害又は苦痛をもたらす明白な症状;症状レベルは投薬を正当化する場合がある);5=顕著な(社会的/職業的機能を明らかに損なう、又は侵入レベルの苦痛をもたらす侵入症状);6=重度(破壊的症状、行動、及び機能は症状の影響を受けることが多く、他人の援助が必要な場合がある);7=極度(症状は多くの生活機能に劇的に干渉する;入院する場合がある)。
【0143】
本開示の方法の一部の態様では、DCPに関連する患者の異常不随意運動は、ベースラインと比較して少なくとも20%減少する。一部の実施形態では、減少百分率は、本明細書に記載の臨床評価手段の1つにおけるスコアの変化百分率と同等である。
【0144】
一部の態様では、本開示の方法が実施される患者は、体重がベースラインで少なくとも12kgである。一部の態様では、患者に投与される化合物(例えば、式(I)又は式(II))の用量は、患者の体重、及び患者がCYP2D6障害を有するかどうかに依存する。本明細書で使用される場合、CYP2D6障害は、患者にデューテトラベナジンと同時に強力なCYP2D6阻害剤を投与すること、又は患者が低CYP2D6代謝者であることを意味する。強力なCYP2D6阻害剤の例としては、ブプロピオン、フルオキセチン、及びパロキセチンが挙げられる。
【0145】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者は、体重が12kg~17kg未満、例えば、12、13、14、15、又は約16kgであり、患者にCYP2D6障害がない場合、患者には1日量約24mg以下のデューテトラベナジンを投与するか;又は患者にCYP2D6障害がある場合、患者には1日量約12mg以下のデューテトラベナジンを投与する。
【0146】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者は、体重が17kg~30kg未満、例えば、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、又は約29kgであり、患者にCYP2D6障害がない場合、患者には1日量約30mg以下のデューテトラベナジンを投与するか;又は患者にCYP2D6障害がある場合、患者には1日量約18mg以下のデューテトラベナジンを投与する。
【0147】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者は、体重が30kg~40kg未満、例えば、30、31、32、33、34、35、36、37、38、又は約39kgであり、患者にCYP2D6障害がない場合、患者には1日量約42mg以下のデューテトラベナジンを投与するか;又は患者にCYP2D6障害がある場合、患者には1日量約24mg以下のデューテトラベナジンを投与する。
【0148】
本開示の方法の一部の実施形態では、患者は、体重が40kg以上、例えば40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、又は約150kgであり、患者にCYP2D6障害がない場合、患者には1日量約48mg以下のデューテトラベナジンを投与するか;又は患者にCYP2D6障害がある場合、患者には1日量約36mg以下のデューテトラベナジンを投与する。
【0149】
本開示の特定の実施形態は、以下を含む。
【0150】
1)ヒト患者の脳性麻痺におけるジスキネジアを処置する方法であって、治療有効量の、式(I)若しくは式(II):
【0151】
【化7】
【0152】
(式中、Dと表されている各位置に、約10%以上の重水素濃縮がある)
を有する化合物又はそれらの組み合わせ或いはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含む、方法。
【0153】
2)Dと表されている各位置に、約20%以上の重水素濃縮がある、実施形態1に記載の方法。
【0154】
3)Dと表されている各位置に、約50%以上の重水素濃縮がある、実施形態1に記載の方法。
【0155】
4)Dと表されている各位置に、約70%以上の重水素濃縮がある、実施形態1に記載の方法。
【0156】
5)Dと表されている各位置に、約80%以上の重水素濃縮がある、実施形態1に記載の方法。
【0157】
6)Dと表されている各位置に、約90%以上の重水素濃縮がある、実施形態1に記載の方法。
【0158】
7)Dと表されている各位置に、約98%以上の重水素濃縮がある、実施形態1に記載の方法。
【0159】
8)化合物が、式(I)を有する化合物又はその薬学的に許容される塩である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0160】
9)式(I)の化合物がデューテトラベナジンである、実施形態8に記載の方法。
【0161】
10)化合物が、式(II)を有する化合物又はその薬学的に許容される塩である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
11)式(II)の化合物が重水素化α-HTBZ又は重水素化β-HTBZである、実施形態10に記載の方法。
【0163】
12)前記化合物の投与によって、対応する非重水素化化合物の同等な有効用量の投与と比較して、最大耐用量の実質的な増加、毒性の減少、半減期(t1/2)の増加、又は最小有効用量(MED)の最大血漿中濃度(Cmax)の低下がもたらされる、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
13)ジスキネジアがジストニア型のものである、実施形態1~12のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
14)ジスキネジアが舞踏病型のものである、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
15)ヒト患者が小児患者である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
16)患者が6歳~18歳の間である、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
17)患者に追加の治療剤を更に投与する、実施形態1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
18)ヒト患者の脳性麻痺におけるジスキネジアを処置する方法であって、1日量約6mg/日~約48mg/日のデューテトラベナジンを、1又は2用量で患者に投与することを含む、方法。
【0170】
19)処置によって、ベースラインでの患者の異常不随意運動と比較して、DCPに関連する患者の異常不随意運動が維持されるか又は減少する、実施形態18に記載の方法。
【0171】
20)処置によって、ベースラインでの患者の異常不随意運動と比較して、DCPに関連する患者の異常不随意運動が減少する、実施形態19に記載の方法。
【0172】
21)異常不随意運動を、評価尺度:a)MD-CRSパートII;
b)MD-CRSパートI;
c)CaGI-I;及び
d)CGI-I、
のうちの少なくとも1つによって測定する、実施形態19~20に記載の方法。
【0173】
22)異常不随意運動の減少が、
a)ベースラインから15週目までのMD-CRSパートIIスコアの低下;
b)ベースラインから15週目までのMD-CRSパートIスコアの低下;
c)ベースラインから15週目までのCaGI-Iスコアの低下;及び
d)ベースラインから15週目までのCGI-Iスコアの低下、
のうちの少なくとも1つによって実証される、実施形態21に記載の方法。
【0174】
23)患者が、ベースラインでMD-CRSパートIIにおいて≧10の合計スコアを有する、実施形態21又は実施形態22に記載の方法。
【0175】
24)ベースラインでの患者の異常不随意運動の重症度と比較して、患者の異常不随意運動の重症度が減少する、実施形態20~23のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
25)患者の運動機能が、ベースラインでの患者の運動機能と比較して改善される、実施形態20~24のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
26)運動機能が、眼及び眼窩周囲領域、顔、舌及び口周囲領域、首、体幹、上肢、若しくは下肢、又はそれらの任意の組み合わせにある、実施形態25に記載の方法。
【0178】
27)患者の口腔/口頭機能が、ベースラインでの患者の口腔/口頭機能と比較して改善される、実施形態20~26のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
28)患者のセルフケア能力が、ベースラインでの患者のセルフケア能力と比較して改善される、実施形態20~27のいずれか1つに記載の方法。
【0180】
29)患者の注意/覚醒が、ベースラインでの患者の注意/覚醒と比較して改善される、実施形態20~28のいずれか1つに記載の方法。
【0181】
30)ベースラインでの患者の異常不随意運動と比較して、患者の異常不随意運動が大幅に又は非常に大幅に改善される、実施形態20~29のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
31)患者が、ベースラインでの臨床全般印象重症度(CGI-S)評価尺度において4以上のスコアを有する、実施形態18~30のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
32)脳性麻痺におけるジスキネジアに関連する異常不随意運動が、ベースラインでの患者の異常不随意運動と比較して少なくとも20%低下する、実施形態20~31のいずれか1つに記載の方法。
【0184】
33)患者が、ベースラインと比較して、少なくとも0.5ポイントのMD-CRSパートII合計スコアの低下を呈する、実施形態20~32のいずれか1つに記載の方法。
【0185】
34)患者が、ベースラインと比較して、少なくとも1ポイントのMD-CRSパートII合計スコアの低下を呈する、実施形態20~32のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
35)患者が、ベースラインと比較して、少なくとも2ポイントのMD-CRSパートII合計スコアの低下を呈する、実施形態20~32のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
36)患者が、ベースラインと比較して、少なくとも3ポイントのMD-CRSパートII合計スコアの低下を呈する、実施形態20~32のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
37)患者が、ベースラインと比較して、少なくとも4ポイントのMD-CRSパートII合計スコアの低下を呈する、実施形態20~32のいずれか1つに記載の方法。
【0189】
38)患者が、ベースラインと比較して、少なくとも2ポイントのMD-CRSパートI合計スコアの低下を呈する、実施形態20~37のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
39)患者が、ベースラインと比較して、少なくとも3ポイントのMD-CRSパートI合計スコアの低下を呈する、実施形態20~37のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
40)患者が、ベースラインと比較して、少なくとも4ポイントのMD-CRSパートI合計スコアの低下を呈する、実施形態20~37のいずれか1つに記載の方法。
【0192】
41)患者が、ベースラインと比較して、少なくとも0.5ポイントのCaGI-Iスコアの低下を呈する、実施形態20~40のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
42)患者が、ベースラインと比較して、少なくとも0.6ポイントのCaGI-Iスコアの低下を呈する、実施形態20~40のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
43)患者が、ベースラインと比較して、少なくとも0.7ポイントのCaGI-Iスコアの低下を呈する、実施形態20~40のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
44)患者が、ベースラインと比較して、少なくとも0.5ポイントのCGI-I尺度の低下を呈する、実施形態20~43のいずれか1つに記載の方法。
【0196】
45)患者が、ベースラインと比較して、少なくとも0.6ポイントのCGI-I尺度の低下を呈する、実施形態20~43のいずれか1つに記載の方法。
【0197】
46)患者が、ベースラインと比較して、少なくとも0.7ポイントのCGI-I尺度の低下を呈する、実施形態20~43のいずれか1つに記載の方法。
【0198】
47)患者が、ベースラインで体重が少なくとも12kgである、前述の実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
48)患者が、ベースラインで体重が12kg~17kg未満であり、患者にCYP2D6障害がない場合、投与されるデューテトラベナジンの1日量は約24mg以下であるか;又は患者にCYP2D6障害がある場合、約12mg以下である、実施形態47に記載の方法。
【0200】
49)患者が、ベースラインで体重が17kg~30kg未満であり、患者にCYP2D6障害がない場合、投与されるデューテトラベナジンの1日量は約30mg以下であるか;又は患者にCYP2D6障害がある場合、約18mg以下である、実施形態47に記載の方法。
【0201】
50)患者が、ベースラインで体重が30kg~40kg未満であり、患者にCYP2D6障害がない場合、投与されるデューテトラベナジンの1日量は約42mg以下であるか;又は患者にCYP2D6障害がある場合、約24mg以下である、実施形態47に記載の方法。
【0202】
51)患者が、ベースラインで体重が40kg以上であり、患者にCYP2D6障害がない場合、投与されるデューテトラベナジンの1日量は約48mg以下であるか;又は患者にCYP2D6障害がある場合、約36mg以下である、実施形態47に記載の方法。
【実施例
【0203】
以下の実施例を提供して、以前の開示を補足し、本明細書に記載の主題のより良い理解を提供する。これらの実施例は、記載された主題を限定するものと考えるべきではない。本明細書に記載の実施例及び実施形態は、例示のみを目的としており、それらの見地からの種々の修正又は変更は、当業者には明らかであり、開示の真の範囲内に含まれるべきであり、開示の真の範囲から逸脱することなく行うことができると理解されている。
【0204】
(実施例1)
有効性試験
デューテトラベナジンの有効性及び安全性を評価するための第3相、21週間、多施設、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験を、以下のように実施する。
【0205】
およそ185人の患者を、ベースラインでの年齢(6~12歳未満、12~18歳、12、18歳を含む)及び地域(米国[US]、非US)により層別化して、2:1の比率で、デューテトラベナジン対プラセボにランダム化した(デューテトラベナジン群におよそ124、プラセボ群に約61)。サンプルサイズを中間分析(IA)で再推定して、合計で最大およそ230人の患者まで調整することができる。
【0206】
試験集団は、DCPと診断された、6、18歳を含む、6歳~18歳の男性及び女性患者からなる。
【0207】
以下の基準のすべてを満たす場合にのみ、患者を試験に含めることができる:
1.患者はベースライン時に6歳~18歳(6、18歳を含む)である。
2.患者は、ベースライン時に体重が少なくとも26ポンド(12kg)である。
3.患者は乳幼児期(2歳以下)以来脳性麻痺(CP)症状を有しており、CPは進行性ではないと治験責任医師によって判断されている(Monbaliu Eら、Clinical presentation and management of dyskinetic cerebral palsy. Lancet Neurol 2017年;16(9):741-9頁; Wimalasundera N, Stevenson VL. Cerebral palsy. Pract Neurol 2016年;16:184~194頁、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
4.患者は、ヨーロッパにおける脳性麻痺の監視基準(Surveillance of Cerebral Palsy in Europe criteria)に従ってDCPと診断されている(Cans, C. Surveillance of cerebral palsy in Europe: a collaboration of cerebral palsy surveys and registers. Developmental Medicine & Child Neurology 2000年;42:816~24頁、その全体は参照により本明細書に組み込まれる)。
5.患者は、治験責任医師による舞踏病のスコアリングに基づいて、ベースライン訪問時にMD-CRSパートII項目の合計スコアが≧10である。
6.患者の症状は、治験責任医師によるスコアリングに基づいて4以上の臨床全般印象重症度(CGI-S)スコアによって決定される機能上の問題を引き起こしている。
7.舞踏病型が、スクリーニング時にEABによって評価される主要な運動障害である。
8.患者は、治験薬を丸ごと嚥下することができる。
9.患者及び介護者/成人は、投薬レジメンを遵守し、すべての試験手順を順守する意思がある。
10.医学的及び精神医学的病歴、並びに身体的及び神経学的検査によって示されるように、患者は良好な全身健康状態にある。
11.治験責任医師の意見では、患者及び介護者/成人は、試験の性質及びその手順を理解する能力を有しており、患者は設計どおりに試験を完了することが予想されている。
12.患者及び介護者/成人は、地域の規制に従って書面によるインフォームドコンセントを提供した(例えば、患者/青年の場合、患者は必要に応じて14歳以上の患者のための書面によるアセント及び/又は共同意を提供している)。
13.初潮後(postmenarchal)又は12歳以上の女性は、ベースライン時にベータヒト絨毛性ゴナドトロピン検査が陰性であるか、不妊である場合にのみ含めることができる。
14.初潮後又は12歳以上で、男性のパートナーに潜在的に生殖能力がある(つまり、精管切除を行っていない)女性は、試験期間中(つまり、スクリーニングを開始して)、及びIMPの最終投与後30日間、非常に効果的な避妊法を使用する必要がある。
【0208】
以下の基準のいずれかを満たす場合、患者はこの試験への参加から除外される:
1.a.患者はジスキネジア以外の主要な運動障害を有する。
b.患者の主要な運動症状はジストニアである。
c.患者の主要な運動症状は痙性である。
d.患者は、MD-CRSパートIIの運動評価を損なう可能性のある別の運動障害を有する。
e.患者は、患者の生涯にわたって一貫性がない舞踏病型運動障害を有している。
2.患者は、スクリーニング又はベースライン時に臨床的に重大なうつ病を有する。抗うつ療法を受けている患者は、スクリーニング前に少なくとも6週間安定な用量を服用している場合、登録することができる。
3.患者は、スクリーニングから2年以内に自殺念慮又は関連する行動の病歴を有する:
- 希死念慮の時点で、両価性のレベルに関係なく、特定の計画により自殺念慮に基づいて行動するという以前の意図
- 以前の自殺準備行為又は行動
4.患者は、以前実際の、中断された、又は中止された自殺企図の病歴を有する。
5.患者は、自殺を完遂した一等親血縁者を有する。
6.治験中の臨床試験においてボツリヌス神経毒素(BoNT)を現在受けている患者、又はスクリーニング前の過去4か月間に、受けていた患者。
- 患者は、下肢の痙縮又はジストニアを処置するため、食品医薬品局が承認したBoNTを定期的な間隔で(例えば、3~4か月ごとに)、適度に安定な投与量及び場所で少なくとも2回処置を受けている場合(治験責任医師の判断による)、並びに彼らがこの試験の期間中、BoNT注射のこの安定なレジメンを継続することが予想される場合、患者を試験に含めることができる。患者は、この試験の期間中、3か月ごとに定期的に予定された間隔で、BoNT注射のこの安定なレジメンを継続することが予想される。痙縮又はジストニアの注射は、舞踏病型運動障害の影響を受ける主な領域から離れた筋肉領域に行う必要がある。
- スクリーニングの4か月より前にBoNT注射を受けた患者で、これらの注射を継続する予定がない患者は、この試験の対象と考えられ得る。
7.患者は、指定されたスクリーニングの除外空白期間内に、ジストニア又は舞踏病に対して以下の併用薬のいずれかを受けている:
- 3か月以内:デポー神経弛緩薬
- 30日以内:テトラベナジン、デューテトラベナジン、又はバルベナジン
- 21日以内:レセルピン
- 14日以内:神経弛緩薬(経口)、定型及び非定型抗精神病薬、メトクロプラミド、レボドパ、ドーパミン作動薬、及びモノアミンオキシダーゼ阻害剤
- スクリーニング前に少なくとも4週間投薬が安定である場合に、ベンゾジアゼピン、筋弛緩薬、トリヘキシフェニジル、バクロフェン(経口及び髄腔内)、ガバペンチン、及びレベチラセタムの使用が許容される。
- スクリーニング前に少なくとも4週間投薬が安定である場合に、トピラマート(最高200mg/日)の使用が許容される。
8.患者は、スクリーニング訪問から6か月以内に、異常運動又はCPの処置のために幹細胞、脳深部刺激法、経頭蓋磁気刺激法(transmagnetic stimulation)、若しくは経頭蓋直流電気刺激法による処置を受けているか、又は患者は安定な臨床状態ではない。
9.患者は最近外科的処置を受けているか、又は試験中に外科的処置を受けることが予想され、治験責任医師の意見では、このことによって患者は試験に適さないものになる。
10.患者は、スクリーニング又はベースラインで重度の精神障害又は不安定若しくは重大な医学的疾患(例えば、てんかん)を有しており、治験責任医師の意見では、このことによって、この試験に参加する患者の能力が危険にさらされるか、損なわれる可能性がある。
11.患者は、スクリーニング時に、12誘導心電図でFridericiaの式値>450ミリ秒を使用して心拍数を補正したQT間隔を有する。
12.トルサードドポワント、先天性QT延長症候群、徐脈性不整脈、その他の心不整脈、又は非代償性心不全の病歴を有する患者。
13.以下に示すように、患者は肝機能の低下のエビデンスを有する:
- スクリーニング時のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)又はアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)>2.5×基準範囲上限(ULN)
- スクリーニング時のアルカリホスファターゼ(ALP)又は総ビリルビン>2×ULN
- 注意:ジルベール症候群の患者は、メディカルモニターによって承認された場合に参加する資格がある。
- 注意:以下の臨床検査パラメータのうちの2つ以上に異常がある患者は、メディカルモニターによる登録の承認を受ける必要がある:AST、ALT、ALP、及び総ビリルビン。
14.患者は、スクリーニング時の血清クレアチニン>1.5×ULNによって示される、臨床的に重大な腎機能障害のエビデンスを有する。
15.患者は、治験薬(IMP)の成分のいずれかに対して既知のアレルギーを有する。
16.患者は治験薬又はデバイス試験に参加し、スクリーニングから30日以内又は5つの薬物半減期以内のいずれか長い期間内にIMP/介入を受けた。
17.患者は、妊娠中又は授乳中である。
18.精神障害の診断及び統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)(第5版)で定義されているように、患者はスクリーニング前の12か月間におけるアルコール又は薬物乱用の病歴を有するか、又はスクリーニング前の12か月間におけるアルコール又は薬物乱用を認めている。
19.患者は、尿中薬物スクリーニング検査の結果が陽性であるか、又は試験全体を通して薬物乱用を控えることができない。
【0209】
併用療法又は薬物使用を、試験を通じて監視する。許容された薬物を、以下の表に示す。試験中に投薬の変更を行うことはできない。
【0210】
【表1】
【0211】
患者がQTc延長に関連する、又は既知の強力なCYP阻害剤である薬物を受けている(又は試験中に投与を開始又は停止しなければならない)場合、メディカルモニターに連絡する。試験中は、以下の薬物の使用は禁止されている。QTc延長に関連する禁止薬物は、アジスロマイシン(最高500mg/日が許容されている)、クロロキン/メフロキン、クラリスロマイシン(全身使用は禁止、局所使用は許容)、ドンペリドン、ドロペリドール、エリスロマイシン(全身使用は禁止、局所使用は許容)、モキシフロキサシン、セボフルラン、プロブコール、及びスパルフロキサシン、である。禁止抗精神病薬は、クロルプロマジン、ハロペリドール、ロキサピン、モリンドン、ペルフェナジン、ピモジド、プロクロルペラジン、チオリダジン、チオチキセン、トリフルオペラジン、プロメタジン含有化合物、カルバマゼピン、アリピプラゾール、アセナピンマレイン酸塩、クロザピン、イロペリドン、ルラシドン、オランザピン、オランザピン/フルオキセチン、パリペリドン、クエチアピン、リスペリドン、ジプラシドン、及びチアプリド、である。
【0212】
主要及び副次的試験目的及び尺度/評価項目は以下の通りである:
【0213】
【表2A】
【0214】
【表2B】
【0215】
基本試験設計:
これは、乳幼児期以来(2歳以下)、非進行性の脳性麻痺(CP)症状を有しており、主要な舞踏病型運動障害を伴うDCPの患者(6~18歳)において1日1回6mgの開始用量の経口錠剤として投与された、デューテトラベナジンの有効性及び安全性を評価するための第3相、21週間、多施設、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験である。この試験は、スクリーニング期間(最長31日)と、滴定期間(7週間)及び維持期間(8週間)を含む二重盲検処置期間と、それに続く1週間の休薬期間と、休薬期間の1週間後の、フォローアップ電話連絡とで構成される。試験全体にわたって、患者は、安全性/忍容性、ジスキネジアの重症度、及び行動状態(診療所内のみ)の評価のために、診療所内で及び電話(非録画ライブビデオを用いて)により、定期的に治験センターの担当者と対話する。
【0216】
ベースライン訪問時(1日目)に、患者を、ベースラインでの年齢(6~12歳未満、12~18歳、12、18歳を含む)及び地域(米国[US]、非US)により層別化して、2:1の比率で、デューテトラベナジン治験薬(「IMP」)又はプラセボIMPを用いる2つの処置群のうちの1つに無作為に割り当てる。IMPは、二重盲検処置期間中、2日目と3日目の朝に6mgのデューテトラベナジン又は適合するプラセボIMPにより滴定を開始して、その後、夕方の投与を、3日目に開始して週の残りの間行う(体重が40kg/88ポンド以上の場合)。1日用量が12mg以上のデューテトラベナジンは、2回に分けて等用量として、1日のうちおよそ8~10時間間隔で投与する。それに応じて、適合するプラセボIMP錠の数を増加させる。1週目以降は、5日ごとよりも頻繁には、増量が行われない場合がある。滴定期間中、IMPの用量を、滴定スキームに従って調整して、ジスキネジアを最適に軽減させ(臨床全般印象改善度[CGI-I]の低下によって示されるように、治験責任医師によって判定される)、忍容性が良好である用量レベルを特定する。患者が、IMPに起因する「臨床的に重大な」有害事象を経験した場合、治験責任医師はまず、(以前の用量レベルへの)用量減少又は一時停止が必要かつ可能であるかどうかを判断する。滴定後、患者は維持期間の間、最適な用量で維持する。
【0217】
スクリーニング期間(最長31日):インフォームドコンセント(及び必要に応じて書面によるアセント及び/又は共同意)が得られた後、医学的及び精神医学的観点から安定な患者は、MD-CRSパートI及びパートII評価(ビデオ録画、登録審査判定委員会(Enrollment Adjudication Board)[EAB]による中央判定)とともに、病歴、身体的及び神経学的検査、臨床検査、12誘導心電図(ECG)を含む、ジスキネジアの重症度、付随するCP症状、及び行動状態を評価するため、スクリーニング評価を受ける。スクリーニングは、治験責任医師の裁量により、2回の別々の訪問で実施することができる。CP及びDCPの診断は、包含/除外基準に記載されている臨床的特徴に基づいて確立される。EABはまた、ビデオ録画に基づいて、舞踏病型が、臨床的に患者のDCPの主要な運動障害であることを確認する。EABによる評価結果は、ベースライン及びランダム化の前に、治験責任医師に利用可能になる。他のすべての訪問では、MD-CRSパートIIの評価尺度は、治験センターの医師によって管理され、盲検中央判定のためにビデオ録画される。
【0218】
滴定期間(7週間):試験への参加資格を維持している患者は、ベースライン訪問時(1日目)にランダム化され、食事に関係なく、翌朝、盲検IMPの1回目用量を服用するように指示される。滴定スキーム及び最大用量を、ベースラインでの体重及びシトクロムP450 2D6(CYP2D6)の障害状態によって決定する。強力なCYP2D6阻害剤を受けている場合、又はCYP2D6の低代謝者である場合、患者を、CYP2D6障害者として分類する。
【0219】
試験IMPを、1日1回6mgの開始用量で経口錠剤として投与する。ベースライン時の体重に基づく滴定スキームを、Table 1(表3)及びTable 2(表4)に示す:
【0220】
【表3】
【0221】
【表4】
【0222】
最大1日用量は、ベースライン時の体重及びCYP2D6障害状態によって決定される。
【0223】
安全性/忍容性を評価し、ジスキネジア性不随意運動の重症度を最適に低下させ(CGI-Iの低下によって示されるような、臨床上意味のあるジスキネジアの低下)、忍容性が良好であるIMPの用量を確立するために、患者及びその介護者/成人は、滴定期間の1週目~7週目に、電話連絡(非録画ライブビデオを用いて)又は診療所訪問のいずれかによって、治験責任医師/スタッフと毎週対話する。滴定中の安全性/忍容性の臨床評価には、バイタルサインの評価、有害事象及び併用薬の監視、12誘導ECG、並びにうつ病及び自殺傾向の評価尺度が含まれる。患者が、IMPに起因する「臨床的に重大な」有害事象を経験した場合、治験責任医師はまず、(以前の用量レベルへの)用量減少又は一時停止が必要かつ可能であるかどうかを判断する。滴定期間の最後に、患者の投与量を、維持期間のために確立する。
【0224】
ジスキネジア及び有害事象を評価するために、対面(診療所内)試験訪問が、3週目及び7週目に予定され、電話連絡(非録画ライブビデオを用いる)が、1、2、4、5、及び6週目に予定される。患者への電話連絡は、非録画ライブビデオストリームによって支持され、患者又は介護者によって提供された口頭情報を、治験責任医師が視認する。CGI-Iの低下によって示されるように、ジスキネジアの臨床上意味のある軽減に到達するために、IMPの用量を、毎週増加するべきである。以下のいずれかが発生した場合は、IMPの用量を更に増加するべきではない。
・患者は、プロトコルで定義された「臨床的に重大な」有害事象(IMPに関連し、強度が中程度若しくは重度であるか、重大な有害事象の基準を満たす有害事象として定義される)を経験するか、又は
・ベースラインでの患者の体重とCYP2D6障害状態に基づいて、最大許容用量に達する。
【0225】
用量調整を、7週目の診療所訪問を含む、7週目の診療所訪問までに行うことができる。7週目の診療所訪問の前に最適な投与量に達した場合、IMPの用量をそれ以上増加すべきではないが、患者は残りの滴定期間及び維持期間にわたってその用量を継続すべきである。患者が、IMPに起因する「臨床的に重大な」有害事象を経験した場合、治験責任医師はまず、(以前の用量レベルへの)用量減少又は一時停止が必要かつ可能であるかどうかを判断する。電話連絡中に患者が用量減少又は一時停止を必要としていると判断された場合は、その後可及的速やかに予定外の診療所訪問を行う必要がある。
【0226】
維持期間(8週間):患者は次の8週間にわたって維持用量を受け続けるが、有害事象のため1回の用量減少(試験の残りの部分について以前の用量レベルへの)が許容される。患者は、有効性及び安全性の評価のために、9、12、及び15週目に診療所に戻る。
【0227】
休薬期間及びフォローアップ:すべての患者は、15週目の訪問時にIMPを中止し、1週間後に試験終了訪問のために戻る。試験を完了した患者は、非盲検継続投与安全性試験(open-label safety extension study)への参加を開始する資格がある場合がある。非盲検継続投与安全性試験に参加しない患者には、休薬期間の終了後1週間(IMPの最後の投与から2週間後[17週目])で安全性評価のためのフォローアップ電話連絡がある。
【0228】
約90人の患者が試験(フォローアップを含む)を完了すると、独立データモニタリング委員会(independent Data Monitoring Committee )(iDMC)が、中央判定によるMD-CRSパートIIに基づく無益性及びサンプルサイズの再推定のために、非盲検IAを実施する。IAの結果に基づいて、試験を中止するか、又はサンプルサイズを予定どおりに維持するか(合計およそ185人の患者)、又は増加させる(最大およそ230人の患者)ことができる。IAのためにiDMC手順書が作成され、試験の完全性を確保するための手順が手順書に記載される。
【0229】
インフォームドコンセントの時点で、親/法定後見人は、一旦処置のためにランダム化されると、同意を撤回する選択を行わない限り、患者は、試験に留まり、すべての試験手順を完了するべきであると勧告される。15週間の処置期間を完了する前に試験から離脱した患者は、IMPの最後の投与後できるだけ速やかに早期終了(ET)訪問を行うべきである。早期に中止したすべての患者は、IMPの最後の投与から2週間後に安全性評価のためにフォローアップ電話連絡があり、評価は17週目の場合に説明した通りである。
【0230】
主要及び副次的推定値:
主要推定値は、用量減少、中断、又は中止が起こったかどうかに関係なく、かつ処置関連の有害事象に関係なく中央判定によるMD-CRSパートIIにおけるベースラインから15週目までの変化についての、標的患者集団におけるデューテトラベナジンとプラセボとの間の平均の差である。
【0231】
副次的推定値は、用量減少、中断、又は中止が起こったかどうかに関係なく、かつ処置関連の有害事象に関係なく、(1)中央判定による運動障害-小児評価尺度パートIにおけるベースラインから15週目までの変化(MD-CRSパートI);(2)15週目の介護者の全般印象改善度(CaGI-I);及び(3)15週目のCGI-I、についての、標的患者集団におけるデューテトラベナジンとプラセボとの間の平均の差である。
【0232】
主要推定値は、IMPに起因する因果効果に焦点を合わせて、主要な舞踏病型運動障害を伴うDCPを有する患者における舞踏病型運動の減少における有効性を評価する。副次的推定値は、IMPに起因する因果効果に焦点を合わせて、介護者及び治験責任医師によって評価された、日常機能を実行する患者の能力及びジスキネジア症状の改善に対する有効性を評価する。
【0233】
この試験の患者集団は、主要な舞踏病型運動障害を伴うDCP及びベースラインでのMD-CRSパートIIでの合計スコアが≧10で表される重度のDCPを有する患者である。この集団は、デューテトラベナジンによる処置後に臨床的に意味のある改善を実証する感度を有すると予想される。実用上の理由により、患者が試験の資格があるかどうかを判断するため、ランダム化の前、ベースライン訪問時にMD-CRSパートII項目の中央判定を取得することはできない。したがって、試験への組み入れは、ベースラインでのMD-CRSパートII項目の治験責任医師スコアリングに基づく。中央判定に基づくMD-CRSパートII基準を満たさない患者は、一次分析セットから除外される(つまり、修正治療企図解析集団[mITT]には、中央判定スコアリングに基づいて、ベースライン訪問時にMD-CRSパートII項目の合計スコアが≧10である患者のみが含まれる)。
【0234】
主要評価項目の分析:
主要評価項目は、中央判定MD-CRSパートIIのベースラインから15週目までの変化である (デューテトラベナジン対プラセボ) 。
【0235】
mITT分析(ベースライン時のMD-CRSパートII項目で≧10の中央判定合計スコア、及び少なくとも1つのベースライン後の中央判定によるMD-CRSII評価、を有するすべての患者に対する)を、一次分析に使用する。
【0236】
一次分析は、従属変数としてMD-CRSパートII合計スコアの変化を用いる混合モデルの反復測定である。モデルには、処置群、週(3レベル:9、12、及び15週)、及び週ごとの対話による処置群の固定効果が含まれる。ベースラインMD-CRSパートII合計スコア、ベースライン時の年齢群(2レベル:6~12歳未満、12~18歳)、及び地域(US、非US)が、共変量として含まれる。非構造化共分散モデルを使用する。
【0237】
欠損データを、無作為な欠損(MAR)及び無作為ではない欠損(MNAR)として分類する。フォローアップに失敗した患者、又は忍容性、有害事象、若しくは有効性の欠如に関係のない理由で終了した患者の断続的な欠損データ及びETを、MARとして分類する。他のすべての早期終了を、MNARとして分類する。MAR/MNARとしての分類を、IAの前、及びデータベースロックの前に、盲検的に行う。一次分析では、MAR/MNAR多重代入法を適用し、参照群の分布にジャンプする方法(jump-to-reference method)を使用してMNARデータを代入し、ランダム化処置群に基づいてMARデータを代入する。得られた完全な代入データセットを、それぞれ上記の分析モデルを使用して分析し、得られた統計を、Rubin DB. Multiple Imputation for Nonresponse in Surveys. 1987年、New York: John Wiley & Sons)及びLittle RJA, Rubin DB. Statistical Analysis with Missing Data, Second Edition. 2002年、New York: John Wiley & Sons、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる、ものによって提示された方法論を使用して結合する。
【0238】
ベースラインから15週目までのMD-CRSパートII合計スコアの変化の最小二乗(LS)平均の差(デューテトラベナジン対プラセボ)を、名目上の有意水準α=0.025での優越性について、片側検定を使用して比較する。
【0239】
15週目での比較(デューテトラベナジン対プラセボ)のための、処置群のLS平均及び標準誤差、LS平均差、両側95%信頼区間、及びp値を提示する。
【0240】
主な副次的評価項目及び分析:
主な副次的評価項目は以下の通りである:
1.中央判定によるMD-CRSパートIのベースラインから15週目までの変化(デューテトラベナジン対プラセボ)
2.15週目のCaGI-I(デューテトラベナジン対プラセボ)
3.15週目の臨床全般印象改善度(CGI-I)(デューテトラベナジン対プラセボ)
【0241】
所与の評価項目のベースライン値が共変量として含まれることを除いて、各主な副次的評価項目を、一次分析と同じ方法で分析する。
【0242】
他の有効性尺度/評価項目:
その他の有効性尺度及び評価項目(デューテトラベナジン対プラセボ)には、以下のものが含まれる:
・MD-CRS全般指標(MD-CRSパートI及びパートIIから計算)
・統一ハンチントン病評価尺度-総合運動スコア(UHDRS-TMS)
・統一ハンチントン病評価尺度-総合最大舞踏病(UHDRS-TMC)
・統一ハンチントン病評価尺度-総合最大ジストニア(UHDRS-TMD)
・小児評価障害目録-コンピュータ適応試験(PEDI-CAT)(日常生活動作、親/介護者完了、カウンターバランスバージョン)
・小児の生活の質の目録(PedsQL)のCPモジュール(生活の質、患者/介護者)
・患者の全般印象改善尺度([PGI-I]、全般的、患者/介護者)
・臨床全般印象重症度([CGI-S]、全般的、医師による評価)
・CaGI-I応答、介護者によって、CaGI-Iスコアにおいて「大幅に改善された」又は「非常に大幅に改善された」と説明された患者として定義されている。
・CGI-I応答、CGI-Iスコアにおいて「大幅に改善された」又は「非常に大幅に改善された」と説明された患者として定義されている。
・CGI-S応答、CGI-Sスコアにおいて≧1ポイント低下した患者として定義されている。
・PGI-I応答、PGI-Iスコアにおいて「大幅に改善された」又は「やや改善された」と説明された患者として定義されている。
【0243】
多重比較及び多重度:
主要有効性評価項目を、α=0.025の片側有意水準で試験する。
【0244】
主要評価項目が統計的に有意である場合(p値≦0.025)、3つの主な二次仮説を、以下の順序:(1)MD-CRSパートI、(2)CaGI-I、及び(3)CGI-I、にて、α=0.025の片側有意水準で階層的アプローチを使用して試験する。
【0245】
主要評価項目が統計的に有意でない場合、検証的仮説検定を二次仮説に対して実行せず、二次仮説は検証的ではなく探索的であると考えられる。
【0246】
副次的評価項目が統計的に有意でない場合、検証的仮説検定を1又は複数の次の二次仮説に対して実行せず、1又は複数の次の二次仮説は、検証的ではなく探索的であると考えられる。
【0247】
多重度制御を、感度分析又は他の評価項目に適用しない。
【0248】
予定された中間分析:
およそ90人の患者が試験(フォローアップを含む)を完了すると、iDMCは、中央判定によるMD-CRSパートIIに基づく無益性及びサンプルサイズの再推定のために、非盲検IAを実施する。
【0249】
サンプルサイズの再推定を、有望ゾーンアプローチ(promising zone approach) (Mehta CR, Pocock SJ. Adaptive increase in sample size when interim results are promising: a practical guide with examples. Stat Med 2011年;30(28):3267~84頁、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を使用して実施する。IAでは、観測データを考慮して、最初に予定されたおよそ185人の患者のサンプルサイズの条件付き検出力が推定され、サンプルサイズは合計で最大およそ230人の患者まで増加する場合がある。
【0250】
タイプIの過誤率を、Chen、DeMets、及びLanの方法(Chen YH, DeMets DL, Lan KK. Increasing the sample size when the unblinded interim result is promising. Stat Med 2004年;23(7):1023~38頁、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を使用して制御する;したがって、一次分析にはα=0.025を使用する。
【0251】
安全性分析:
安全性分析セットに対して、安全性分析を実施する。
【0252】
すべての有害事象を、医薬規制用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)を使用してコード化する。各患者は、安全性の分析のために、各基本語又は器官別大分類(system organ class)カテゴリーにおいて1回だけ計数される。要約を、すべての有害事象(全体及び重症度別)、治験責任医師がIMPの試験に関連すると判断した有害事象(すなわち、合理的な可能性)(関連又は関連性の欠如として定義)(全体及び重症度別)、重大な有害事象、及び試験からの離脱をもたらす有害事象について提示する。要約は、処置群ごと及びすべての患者に対して提示される。重大な有害事象及び離脱につながる有害事象の患者リストを提示する。
【0253】
実験室、ECG、及びバイタルサインの測定データの変化を、記述的に要約する。すべての値を、事前定義された基準と比較して、潜在的に臨床的に有意な値又は変化を特定し、そのような値を列挙する。
【0254】
併用薬の使用を、記述統計を使用して治療クラスによって要約する。
【0255】
子供のコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)質問票による自殺念慮又は自殺行動の頻度及び重症度を、訪問によって及び処置群によって12歳以上のすべての患者に対して提示する。処置期間中の最悪の(最高の)カテゴリーと比較した、ベースラインでの子供のC-SSRSカテゴリーのシフト表を提示する。
【0256】
薬物誘発性パーキンソニズムを、錐体外路症状評価尺度(Extrapyramidal Symptom Rating Scale)(ESRS)(下位尺度I(主観的質問票)及びII(パーキンソニズム/アカシジアの評価))に従って評価する。(例えば、Chouinard G, Margolese HC. Manual for the Extrapyramidal Symptom Rating Scale (ESRS). Schizophrenia Research 2005年;76:247~65頁、を参照のこと、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ESRSを、スクリーニング時;ベースライン時; 3、7、9、12、15週目/ET、及び16週目/EOSに投与する。ESRS質問票の下位尺度Iでは、過去7日間の検査日以外の期間における主観的パーキンソニズム/アカシジアを評価する。4ポイント尺度でスコアを付ける(0=非存在、1=軽度、2=中等度、又は3=重度)。評価では、1)日中の症状の頻度及び期間、2)前の週で症状があった日数、及び3)患者による症状の強度の主観的評価、に関する患者の口頭による報告を、考慮する。パーキンソニズム及びアカシジアを評価するためのESRS質問票の下位尺度IIには、以下の:振戦(0~48)、歩行及び姿勢(0~6)、姿勢の安定性(0~6)、筋固縮(0~24)、表出性自動運動(0~6)、動作緩慢(0~6)、及びアカシジア(0~6)、を評価するために0~102の範囲のスコアを伴う17項目が含まれる。
【0257】
行動の変化の評価を、子どもの行動チェックリスト(Child Behavior Checklist)(CBCL)質問票に従って実施する。例えば、Achenbach TM, Ruffle TM. The Child Behavior Checklist and related forms for assessing behavioral/emotional problems and competencies. Pediatr Rev 2000年;21(8):265~71頁;Achenbach TM. Advancing assessment of children and adolescents: commentary on evidence-based assessment of child and adolescent disorders. J Clin Child Adolesc Psychol 2005年;34:541~7頁、を参照のこと、これらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。完全なCBCLには、能力尺度(パートI~VII)及び症候群尺度(行動項目)の2つのパートがある。能力尺度(パートI~VII)は、種々の活動(スポーツ、趣味、ゲーム、組織、クラブ、チーム、グループ、仕事、及び雑用等)、対人関係、及び学業成績を評価する。症候群尺度は、問題行動に関連する118の質問で構成されている。この試験では、「現在又は過去6か月以内」であった元の尺度からの変更を表す、「現在又は過去1週間以内」のリコール期間を使用する。各項目について、親/介護者は、項目が自分の子供に当てはまらない場合は0を、項目がある程度又は時々当てはまる場合は1を、項目が非常に当てはまるか多くの場合に当てはまる場合は2を、丸で囲む。CBCLは、ある特定のタイプの行動的、社会的、又は感情的な問題を示す行動クラスターである症候群を特定する、実証に基づくAchenbachの評価システム(Achenbach System of Empirically Based Assessment)の一部である。問題行動は、以下の8つの実証に基づく症候群に対してスコア付けされる:不安/抑うつ、引きこもり/抑うつ、身体的愁訴、社会問題、思考問題、注意問題、規則違反行動、及び攻撃的行動。能力及び症候群尺度を、性別及び年齢別百分位数に関連するプロファイル、並びに国家標準サンプルに基づくTスコアに表示する。完全なCBCL評価(能力及び症候群尺度)は、スクリーニング時及び15週目/ETに完了する。ベースライン時、3、7、9、12、及び16週目/EOSには、CBCL症候群尺度のみが完了する。
【0258】
鎮静の評価を、エプワース眠気尺度(Epworth Sleepiness Scale)(ESS)質問票に従って実施する。(例えば、Johns MW. The assessment of sleepiness in children and adolescents. Sleep Biol Rhythm 2015年;13(補遺. 1): 97を参照のこと、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。ESSは、患者の日中の眠気の一般的レベルの尺度を提供する8つの質問で構成される自己記入式の質問票である。ESSを、スクリーニング時;ベースライン時;3、7、9、12、15週目/ET、及び16週目/EOSに投与する。ESSは、応答者に、ほとんどの人が日常生活の一部として従事しているさまざまな状況や活動においてうたた寝又は居眠りする通常の機会を、4ポイントのLikert尺度(0~3;0=居眠りしない;1=居眠りのわずかな可能性;2=居眠りの可能性は中等度;3=居眠りする可能性が高い)で、評価するように求めている。合計ESSスコアは8項目のスコアの合計であり、0~24の間の範囲であり得、スコアが高いほど日中の眠気のレベルが高いことを示す。
【0259】
連続変数の場合、ベースラインから各時点までの実際の値及び変化について記述統計を提供する。カテゴリー変数に対し、患者数及び百分率を提供する。重大な有害事象、有害事象による患者の離脱、及び事前定義された基準に基づく潜在的に臨床的に重大な異常値(臨床検査室又はバイタルサイン)の記述的要約も同様に提供する。
【0260】
試験中にいずれかの患者が死亡した場合、死亡のリストを提供し、すべての関連情報を、臨床試験報告に含まれる患者の説明において考察する。
【0261】
忍容性分析:
患者の15%よりも多くが処置期間の終了前に試験から離脱する場合、試験中止までの日数を、ITT分析セットを使用するカプランマイヤー方法論を使用して分析する。
【0262】
薬物動態/薬力学的分析:
薬物動態分析のために収集したサンプルを、デューテトラベナジン並びにデューテトラベナジンの活性代謝物としてのアルファ-ジヒドロテトラベナジン(α-HTBZ)及びベータ-ジヒドロテトラベナジン(β-HTBZ)、並びに必要に応じて、その他の代謝物について定量化する。α-HTBZとβ-HTBZの合計を、個々の濃度から計算する。デューテトラベナジン及び代謝物の濃度(個別に及び合計として)は、集団薬物動態手法を使用して分析することができる。デューテトラベナジン試験からの関連するすべての蓄積された薬物動態/薬力学データを使用して、薬力学/安全性評価項目について探索的薬物動態/薬力学的分析を実施することができる。
【0263】
結果
デューテトラベナジンによる処置は、安全かつ効果的であることが示されている。デューテトラベナジンを用いた処置によってすべての主要及び副次的評価項目における有意な改善がもたらされる。
【0264】
デューテトラベナジンを受けている患者は、ベースラインから15週目までのMD-CRSパートII合計スコアが約0.5~4ポイント(プラセボに対して)有意に低下していることを実証し、それにより、デューテトラベナジンに起因するDCPの改善が実証される。
【0265】
デューテトラベナジンを受けている患者はまた、ベースラインから15週目までのMD-CRSパートI合計スコアが約2~4ポイント(プラセボに対して)有意に低下していることを実証し、それにより、デューテトラベナジンに起因するDCPの改善が実証される。
【0266】
デューテトラベナジンを投与されている患者はまた、ベースラインから15週目のCaGI-Iスコアが約0.5~0.7ポイント(プラセボに対して)有意に低下していることを実証し、それにより、デューテトラベナジンに起因するDCPの改善が実証される。
【0267】
デューテトラベナジンを投与されている患者はまた、ベースラインから15週目のCGI-Iスコアが約0.5~0.7ポイント(プラセボに対して)有意に低下していることを実証し、それにより、デューテトラベナジンに起因するDCPの改善が実証される。
【0268】
デューテトラベナジンを投与されている患者はまた、統一ハンチントン病評価尺度-総合運動スコア(UHDRS-TMS)、又は統一ハンチントン病評価尺度-総合最大舞踏病(UHDRS-TMC)、又は統一ハンチントン病評価尺度-総合最大ジストニア(UHDRS-TMD)、又は小児の生活の質の目録(PedsQL)のCPモジュール(生活の質、患者/介護者)、の有意な低下に基づく改善を実証する。
【0269】
デューテトラベナジンを受けている患者はまた、小児評価障害目録-コンピュータ適応試験(PEDI-CAT)(日常生活動作、親/介護者完了、コンテンツバランスバージョン)、に基づく改善を実証する。
【0270】
デューテトラベナジンを受けている患者はまた、介護者によって、CaGI-Iスコアにおいて「大幅に改善された」又は「非常に大幅に改善された」と説明された患者として定義されたCaGI-I応答を実証する。
【0271】
デューテトラベナジンを受けている患者はまた、CGI-Iスコアにおいて「大幅に改善された」又は「非常に大幅に改善された」と説明された患者として定義されたCGI-I応答を実証する。
【0272】
デューテトラベナジンを受けている患者はまた、CGI-Sスコアにおいて≧1ポイント低下した患者として定義されたCGI-S応答を実証する。
【0273】
デューテトラベナジンを受けている患者はまた、PGI-Iスコアにおいて「大幅に改善された」又は「やや改善された」と説明された患者として定義されたPGI-I応答を実証する。
【0274】
デューテトラベナジン処置は、子供のコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)、錐体外路症状評価尺度(ESRS)、子どもの行動チェックリスト(CBCL)、エプワース眠気尺度(ESS)、及び重大な有害事象の欠如、によるように、安全であることが示される。
【0275】
(実施例2)
非盲検継続試験
子供及び青年の脳性麻痺におけるジスキネジアの処置のためのデューテトラベナジンの第3相、55週間、非盲検、単群、長期安全性、忍容性、及び有効性の試験を、以下のように実施する。
【0276】
基本試験設計:デューテトラベナジンの有効性及び安全性を評価するための第3相、21週間、多施設、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、並行群間試験(「親試験」)を完了するのに成功した患者は、1週間の休薬期間及び16週目の最終評価を完了した後、この試験に登録する資格があり得る。この試験には、親試験に登録した時点で6歳~18歳の間の子供及び青年が含まれる。
【0277】
スクリーニング:この非盲検試験のスクリーニング評価は、ベースライン訪問の一部として実施する。親試験の終了後に開始し、この非盲検試験のインフォームドコンセント/アセント後に記録された有害事象はすべて、この試験内に取り込まれる。
【0278】
1日目の訪問:すべての患者にとって、親試験から16週目の訪問は、非盲検試験の1日目の訪問であり得る。いずれも最新のものである、親試験の15/16週目の訪問評価と同一の非盲検試験の1日目の評価は、1日目に繰り返す必要がある起立性脈拍数及び血圧を除いて、繰り返す必要はない。
【0279】
滴定期間(7週間):親試験からの患者は、親試験の完了時に少なくとも1週間デューテトラベナジン処置を中止したか、又は親試験でプラセボを受けたので、親試験の盲検化を維持するため、すべての患者は、この試験において、デューテトラベナジン用量滴定を受ける。患者は、2日目の朝に6mgのデューテトラベナジンの投与を受ける。滴定スキーム及び最大用量は、親試験のものに従う。
【0280】
維持期間(46週間):滴定期間の最後に、維持期間(第8週~第53週)のための患者の初期用量を確立する。必要に応じて、デューテトラベナジンの用量調整(上方又は下方)を、維持期間中に行うことができるが、5日毎より頻繁ではなく、6mgの増分でのみ行うことができる。滴定中と同様に、利用可能なすべての情報に基づいて用量調整を行うべきである。有害事象又は忍容性の所見のため、患者のデューテトラベナジンの用量減少又は一時停止が許容される。維持期間中、安全性及び有効性の評価のために、対面(診療所内)試験訪問が、14、27、40、及び53週目に予定され、有害事象及びジスキネジアを評価するために、電話連絡(非録画ライブビデオを用いる)が、21、33、及び46週目に予定される。53週目/早期終了(ET)時に、患者はバイタルサイン及び体重、身体的及び神経学的検査、身長測定、12誘導心電図、実験室内安全検査、尿中薬物検査、及び、該当する場合ベータヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-HCG)検査、並びにMD-CRSパートI及びII、CaGI-I、CGI-I、CGI-S、PEDI-CAT、UHDRS-TMS、COPM、子供のC-SSRS評価、ESRS(下位尺度I及びII)、CBCL、及びESS、を含む完全な評価を受ける。
【0281】
休薬期間及びフォローアップ期間:すべての患者は、53週目の訪問でデューテトラベナジンを中止し、安全性の評価のために1週間後(54週目)に戻る。患者には、休薬期間の終了後1週間(デューテトラベナジンの最後の投与から2週間後(55週目))に安全性評価のためのフォローアップ電話連絡(ライブビデオストリーミングなし)がある。
【0282】
主要及び副次的試験目的及び尺度/評価項目は以下の通りである:
【0283】
【表5】
【0284】
以下の基準のすべてを満たす場合にのみ、患者を試験に含めることができる:
1.患者は、親試験を完了している(実施例1、上記)。
2.患者は、この試験の1日目に、体重が少なくとも12kg(26ポンド)である。
3.患者は、デューテトラベナジン錠を丸ごと嚥下することができる。
4.患者及び介護者は、デューテトラベナジンレジメンを遵守し、すべての試験手順を順守する意思がある。
5.医学的及び精神医学的病歴、並びに身体的及び神経学的検査によって示されるように、患者は良好な全身健康状態にある。
6.治験責任医師の意見では、患者及び介護者は、試験の性質及びその手順を理解する能力を有しており、患者は設計どおりに試験を完了することが予想されている。
7.未成年の患者の場合、親/法定後見人は書面によるインフォームドコンセントを提供し、患者は(地域の規制に従って)アセントを提供する。成人患者は(地域の規制に従って)、独自の書面によるインフォームドコンセントを提供する。
8.介護者は、成人患者によって役割が割り当てられた後、又はこの役割が未成年の患者の親/法定後見人によって委任された場合、書面によるインフォームドコンセントを提供する。
9.初潮後又は12歳以上の女性は、1日目にβ-HCG検査が陰性であるか、又は不妊である場合にのみ含めることができる。
10.初潮後又は12歳以上で、男性のパートナーに潜在的に生殖能力がある(つまり、精管切除を行っていない)女性は、試験期間中(つまり、1日目から)、デューテトラベナジンの最終投与後30日間、非常に効果的な避妊法を使用する必要がある。
【0285】
以下の基準のいずれかを満たす場合、患者はこの試験への参加から除外される:
1.患者は、この試験の1日目に臨床上重大なうつ病を患っている。
2.患者は、自殺念慮又は関連する行動の病歴を有する:
- 希死念慮の時点で、両価性のレベルに関係なく、特定の計画により自殺念慮に基づいて行動するという以前の意図
3.患者は、以前実際の、中断された、又は中止された自殺企図の病歴を有する。
4.患者は、自殺を完遂した一等親血縁者を有する。
5.治験中の臨床試験においてボツリヌス神経毒(BoNT)を現在受けている患者、又は受けていた患者。
6.患者は、この試験の1日目の指定された除外空白期間内に、ジストニア又は舞踏病に対して以下の併用薬のいずれかを受けている:
- 3か月以内:デポー神経弛緩薬
- 30日以内:テトラベナジン、又はバルベナジン
- 21日以内:レセルピン
- 14日以内:神経弛緩薬(経口)、定型及び非定型抗精神病薬、メトクロプラミド、レボドパ、ドーパミン作動薬、及びモノアミンオキシダーゼ阻害薬
7.患者は、異常運動又はCPの処置のために幹細胞、脳深部刺激法、経頭蓋磁気刺激法、若しくは経頭蓋直流電気刺激法による処置を受けているか、又は患者は安定な臨床状態ではない。
8.患者は最近外科的処置を受けているか、又は試験中に外科的処置を受けることが予想され、治験責任医師の意見では、このことによって患者は試験に適さないものになる。
9.患者は、重度の精神障害又は不安定若しくは重大な医学的疾患(例えば、てんかん)を有しており、治験責任医師の意見では、このことによって、この試験に参加する患者の能力が危険にさらされるか、損なわれる可能性がある。
10.患者は、この試験の1日目に、12誘導心電図でFridericiaの式(QTcF)値>450ミリ秒を使用して心拍数を補正したQT間隔(QTc)を有する。
11.トルサードドポワント、先天性QT延長症候群、徐脈性不整脈、その他の心不整脈、又は非代償性心不全の病歴を有する患者。
12.以下に示すように、患者は肝機能障害のエビデンスを有する:
- この試験の1日目のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)又はアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)>2.5×基準範囲上限(ULN)
- この試験の1日目のアルカリホスファターゼ(ALP)又は総ビリルビン(Tbil)>2×ULN
13.患者は、この試験の1日目の血清クレアチニン>1.5×ULNによって示される、臨床的に重大な腎機能障害のエビデンスを有する。
14.患者は、デューテトラベナジンの成分のいずれかに対して既知のアレルギーを有する。
15.患者は、親試験以外の治験薬又はデバイス試験に参加し、この試験の1日目から30日以内又は5つの薬物半減期以内のいずれか長い期間内にIMP/介入を受けた。
16.患者は、妊娠中又は授乳中である。
17.精神障害の診断及び統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)第5版(DSM-V(商標))で定義されているように、患者はアルコール又は薬物乱用の病歴を有するか、又はアルコール又は薬物乱用を認めている。
18.患者は、尿中薬物スクリーニング検査の結果が陽性であるか、又は試験全体を通して薬物乱用を控えることができない。
【0286】
結果
忍容できる量のデューテトラベナジンの長期投与によって、好ましい安全性プロファイルにより、脳性麻痺のジスキネジアに関連する異常不随意運動が減少することが示されている。
【0287】
(実施例3)
成人における有効性試験
デューテトラベナジンの有効性及び安全性を評価するための第3相試験を、DCPと診断された男性及び女性の患者からなる集団に対して実施する。以下の基準のすべてを満たす場合にのみ、患者を試験に含めることができる:
1.患者はベースライン時に18歳を超えている。
2.患者は乳幼児期(2歳以下)以来脳性麻痺(CP)症状を有している。
3.患者は、ヨーロッパにおける脳性麻痺の監視基準に従ってDCPと診断されている。
4.患者は、舞踏病の治験責任医師によるスコアリングに基づいて、ベースライン訪問時にMD-CRSパートII項目の合計スコアが≧10である。
5.患者の症状は、治験責任医師によるスコアリングに基づいて4以上の臨床全般印象重症度(CGI-S)スコアによって決定される機能上の問題を引き起こしている。
6.舞踏病型が、スクリーニング時にEABによって評価される主要な運動障害である。
【0288】
患者は、6mg~48mgのデューテトラベナジンを受ける。滴定スキーム及び最大用量は、上記、実施例1の親試験のものに従う。
【0289】
結果
成人患者への忍容できる量のデューテトラベナジンの投与によって、好ましい安全性プロファイルにより、脳性麻痺のジスキネジアに関連する異常不随意運動が減少することが示されている。
【0290】
(実施例4)
有効性試験
デューテトラベナジンの有効性及び安全性を評価するための第3相試験を、DCPと診断された男性及び女性の患者からなる集団に対して実施する。以下の基準のすべてを満たす場合にのみ、患者を試験に含めることができる:
1.患者はベースライン時に6歳~18歳(6、18歳を含む)である。
2.患者は乳幼児期(2歳以下)以来脳性麻痺(CP)症状を有している。
3.患者は、ヨーロッパにおける脳性麻痺の監視基準に従ってDCPと診断されている。
4.患者は、舞踏病の治験責任医師によるスコアリングに基づいて、ベースライン訪問時にMD-CRSパートII項目の合計スコアが≧10である。
5.患者の症状は、治験責任医師によるスコアリングに基づいて4以上の臨床全般印象重症度(CGI-S)スコアによって決定される機能上の問題を引き起こしている。
6.患者の主要な運動症状はジストニアである。
【0291】
患者は、6mg~48mgのデューテトラベナジンを受ける。滴定スキーム及び最大用量は、上記、実施例1の親試験のものに従う。
【0292】
結果
小児患者への忍容できる量のデューテトラベナジンの投与によって、好ましい安全性プロファイルにより、脳性麻痺のジスキネジアに関連するジストニアの異常不随意運動が減少することが示されている。
【0293】
当業者は、本開示の好ましい実施形態に対して多数の変更及び修正を行うことができ、そのような変更及び修正を、本開示の精神から逸脱することなく行うことができることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の精神及び範囲に含まれるすべての均等の変形を包含することが意図されている。
【国際調査報告】