(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(54)【発明の名称】低炭素建設バインダーのための新しい配合物、調製方法および建設材
(51)【国際特許分類】
C04B 28/04 20060101AFI20220311BHJP
C04B 14/10 20060101ALI20220311BHJP
C04B 24/32 20060101ALI20220311BHJP
C04B 24/16 20060101ALI20220311BHJP
C04B 24/02 20060101ALI20220311BHJP
C04B 22/10 20060101ALI20220311BHJP
C04B 22/08 20060101ALI20220311BHJP
C04B 24/00 20060101ALI20220311BHJP
C04B 24/18 20060101ALI20220311BHJP
C04B 24/26 20060101ALI20220311BHJP
C04B 22/16 20060101ALI20220311BHJP
C04B 24/38 20060101ALI20220311BHJP
C04B 24/12 20060101ALI20220311BHJP
C04B 22/06 20060101ALI20220311BHJP
C04B 18/14 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
C04B28/04
C04B14/10 A
C04B24/32 A
C04B24/16
C04B24/02
C04B22/10
C04B22/08 A
C04B24/00
C04B24/18 A
C04B24/26 E
C04B22/16 A
C04B24/38 B
C04B24/12 A
C04B22/06 Z
C04B18/14 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021538492
(86)(22)【出願日】2019-12-31
(85)【翻訳文提出日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 FR2019053319
(87)【国際公開番号】W WO2020141285
(87)【国際公開日】2020-07-09
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521287234
【氏名又は名称】マタラップ
【氏名又は名称原語表記】MATERR’UP
【住所又は居所原語表記】50 Allee Ceres Technopole Domolandes Parc Atlantisud,40230 Saint-Geours-de-Maremne,FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・ヌーヴィル
【テーマコード(参考)】
4G112
【Fターム(参考)】
4G112MB06
4G112PA06
4G112PA29
4G112PB03
4G112PB06
4G112PB08
4G112PB13
4G112PB14
4G112PB15
4G112PB20
4G112PB22
4G112PB23
4G112PB31
4G112PB36
4G112PB39
(57)【要約】
本発明は、脱水形態で、原粘土マトリックスと解膠剤とを含む低炭素建設バインダーの配合物に関する。それはまた、建設バインダー、この建設バインダーを調製する方法、ならびに本発明による建設バインダーを含む建設材に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原粘土マトリックスと解膠剤と活性剤組成物とを含む建設バインダーであって、前記建設バインダーが少なくとも30重量%の原粘土マトリックスを含むことを特徴とする建設バインダー。
【請求項2】
30重量%未満のメタカオリンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の建設バインダー。
【請求項3】
少なくとも40重量%の原粘土マトリックスを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の建設バインダー。
【請求項4】
前記解膠剤が、
- ポリオキシエチレンエーテルなどの非イオン性界面活性剤;
- アルキルアリールスルホン酸塩、アミノアルコール、炭酸塩、ケイ酸塩、脂肪酸、フミン酸塩(例えばフミン酸ナトリウム)、カルボン酸、リグノスルホン酸塩(例えばリグノスルホン酸ナトリウム)、ポリアクリル酸塩、ヘキサメタリン酸ナトリウムケイ酸塩、トリポリリン酸ナトリウム、オルトリン酸ナトリウムなどのリン酸塩またはポリリン酸塩、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの混合物から選択される陰イオン剤などの陰イオン剤;
- ポリアクリル酸ナトリウムまたはポリアクリル酸アンモニウムから選択されるポリアクリル酸塩などのポリアクリル酸塩;
- 2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミン;イソプロパノールアミン(1-アミノ-2-プロパノール、ジイソプロパノールアミンおよびトリイソプロパノールアミン)およびN-アルキル化エタノールアミンから選択されるアミンなどのアミン;或いは
- それらの混合物
から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項5】
前記解膠剤が前記建設バインダーの少なくとも0.25重量%を占めることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項6】
前記活性剤組成物が前記建設バインダーの少なくとも10重量%を占めることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項7】
前記原粘土マトリックスと前記解膠剤と前記活性剤組成物とが2成分系または多成分系を形成することを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項8】
前記建設バインダーは、
- 30~80重量%の原粘土マトリックス、
- 0.25~20重量%の解膠剤、および
- 10~50重量%の活性剤組成物、
を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項9】
前記活性剤組成物がアルカリ性活性剤組成物であることを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項10】
前記活性剤組成物がトリポリリン酸ナトリウムなどの有機リン化合物を含み、好ましくは当該有機リン化合物が前記建設バインダーの少なくとも2重量%を占めることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項11】
少なくとも2重量%の金属酸化物を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項12】
前記金属酸化物が、FeO、Fe
3O
4、Fe
2O
3などの酸化鉄、アルミナAl
2O
3、酸化マンガン(II)MnO、酸化チタン(IV)TiO
2およびそれらの混合物などから選択されることを特徴とする、請求項11に記載の建設バインダー。
【請求項13】
高炉スラグ組成物を含み、好ましくは当該高炉スラグ組成物が前記建設バインダーの少なくとも5重量%を占めることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項14】
前記活性剤組成物がポルトランドセメントを含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項15】
前記活性剤組成物がメタカオリンを含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項16】
- 40~70重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~6重量%の解膠剤、
- 5~20重量%の活性剤組成物、および
- 20~45重量%の高炉スラグ、
を含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項17】
- 35~65重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~5重量%の解膠剤、
- 31~49重量%のポルトランドCEM1セメント
を含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項18】
- 35~65重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~5重量%の解膠剤、
- 10~30重量%の高炉スラグ、および
- 15~35重量%のポルトランドCEM1セメント
を含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項19】
- 45~70重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~6重量%の解膠剤、
- 10~35重量%の活性剤組成物、および
- 15~30重量%のメタカオリン
を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項20】
- 45~70重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~5重量%の解膠剤、
- 10~25重量%の活性剤組成物、
- 5~20重量%の高炉スラグ、および
- 15~30重量%のメタカオリン
を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項21】
建設バインダーを調製する方法(100)であって、
- 少なくとも1つの原粘土マトリックスと1つの解膠剤と水とを含む粘土懸濁液を調製する工程(110)と、
- 前記粘土懸濁液に活性剤組成物を添加する工程(130)であって、前記活性剤組成物は、アルカリ性活性剤組成物であり得、および/または金属酸化物を含み得る工程(130)と、
- 前記建設バインダーが得られるように混合する工程(140)であって、前記建設バインダーは、少なくとも30重量%の原粘土マトリックスを含む工程(140)と、
を含む、建設バインダーを調製する方法。
【請求項22】
解膠された粘土懸濁液を得るために前記粘土懸濁液を混合する工程(120)を含み、当該混合する工程(120)の後に前記活性剤組成物が添加されることを特徴とする、請求項21に記載の建設バインダーを調製する方法。
【請求項23】
前記建設バインダーが、少なくとも50重量%、好ましくは50~80重量%の原粘土マトリックスを含むことを特徴とする、請求項21または22に記載の調製方法。
【請求項24】
前記解膠剤が、建設バインダーの少なくとも0.25重量%、好ましくは建設バインダーの少なくとも0.5重量%、より好ましくは建設バインダーの0.5~10重量%を占めることを特徴とする、請求項21~23のいずれかに記載の調製方法。
【請求項25】
前記活性剤組成物が、前記バインダーの少なくとも10重量%の含有量で存在することを特徴とする、請求項21~24のいずれかに記載の調製方法。
【請求項26】
請求項1~20のいずれかに記載の建設バインダーを含む、モルタル、コーティング、プラスター、断熱材、軽量コンクリート、プレハブ要素などの建設材。
【請求項27】
前記建設バインダーが、前記原粘土マトリックスを含む掘削土を含むことを特徴とする、請求項26に記載の建設材。
【請求項28】
1つ以上の充填剤をさらに含み、前記充填剤が、例えば、鉱物充填剤または植物充填剤から選択されることを特徴とする、請求項26または27に記載の建設材。
【請求項29】
アルミニウム粉末などの発泡剤または膨張剤をさらに含むことを特徴とする、請求項26~28のいずれかに記載の建設材。
【請求項30】
被覆要素、特にタイル、石板(スラブ)、敷石または縁取り(エッヂング)などの床被覆、内部または外部の正面要素、外装パネル、板張り要素などの壁被覆、またはタイルタイプの屋根被覆の製造のための、レンガなどの押出建設モジュールまたは成形建設モジュールの製造のための、或いは、さまざまな押出し形状の製造のための、請求項1~20のいずれかに記載の建設バインダーの使用。
【請求項31】
プレハブパネルタイプの建設パネル、ドア若しくは窓のまぐさなどのプレハブブロック、プレハブ壁要素、または、任意の他のプレハブの建設要素などの複合材料の製造のための、請求項1~20のいずれかに記載の建設バインダーの使用。
【請求項32】
仕切りパネルまたは軽量の断熱建設モジュールなどの断熱モジュール(1.5kg/L未満、好ましくは1.2kg/L未満、より好ましくは1.0kg/L未満、より好ましくは0.7kg/L未満の密度を有する)の製造のための、請求項1~20のいずれかに記載の建設バインダーの使用。
【請求項33】
3Dプリンターなどによる積層造形による、建設要素、建物若しくは家、または装飾品の製造のための、請求項1~20のいずれかに記載の建設バインダーの使用。
【請求項34】
一方では固体形態の組成、他方では液体形態の組成のいずれか、或いは、2つのペーストの形態の組成、を有する2成分系の形態での、シーラント、接着剤またはグラウトの製造のための、請求項1~20のいずれかに記載の建設バインダーの使用。
【請求項35】
建設バインダーの調製のための、原粘土マトリックスと活性剤組成物とを組み合わせた解膠剤の使用であって、前記原粘土マトリックスは、前記建設バインダーの少なくとも30重量%を占め、前記活性剤組成物は、NF EN206-1規格で測定した28日目のシリンダーの最小圧縮強度が20MPa以上、好ましくは25MPa以上、より好ましくは40MPa以上であるコンクリートを得るための組成物である、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設材の分野、より具体的には、建設に使用できるバインダーの分野に関する。本発明は、建設バインダー用の配合物に関する。本発明はまた、建設バインダーを調製する方法、建設バインダーそれ自体、ならびに建設材の製造におけるそのようなバインダーの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントは世界で2番目に消費されている資源であり、世界中で毎年40億トン以上の材料が生産されており、この消費量は住宅とインフラストラクチャの需要の高まりに牽引されて絶えず増加している。
【0003】
セメントは一般的に水硬性のバインダーであり、水と混合すると硬化して固定される。硬化後、セメントは水にさらされてもその強度と安定性を維持する。世界中で使用されているセメントは多種多様である。それにもかかわらず、すべての従来のセメントは、一部の高炉セメント用の5%からポルトランドセメント用の最低95%までの範囲の割合でクリンカーを含んでいる。ポルトランドセメントは今日世界で最も広く使用されているセメントである。
【0004】
クリンカーは、約80%の石灰石と20%のアルミノケイ酸塩(粘土など)の混合物を焼成した結果である。この焼成、クリンカリゼーションは1200℃以上の温度で行われるため、このようなセメント調製プロセスは高いエネルギー消費を意味する。さらに、石灰石から石灰への化学的変換も二酸化炭素を放出する。その結果、セメント産業は世界のCO2排出量の約8%を生み出している。この課題に応えて、業界と研究者は、セメント業界から発生する二酸化炭素排出の影響を減らす方法を模索している。
【0005】
最初の解決策は、廃棄物ベースの代替燃料と、セメント製造中に排出される炭素の回収と貯蔵に関連する技術とを組み合わせて使用するセメントプラントの作製となり、ゼロエミッションステータスを達成した。しかし、これらの解決策はまだ産業規模では利用できず、多額の投資が必要である。
【0006】
推奨されるルートは、エネルギー集約的すぎるポルトランドセメントの代替品を見つけることである。確かに、生産に必要なエネルギー消費量が少ない代替の建設バインダーの開発は、建設業界全体のエネルギーフットプリントを削減する可能性がある(Maddalenaら、「ポルトランドセメントを低炭素代替材料に置き換えることができる?革新的なセメントの熱特性と炭素排出量の研究」、Journal of Cleaner Production 186; 2018; 933-942)。
【0007】
たとえば、ポルトランドセメントに似ているが、発電所での石炭燃焼中に形成される灰などの二次成分を含む新しい水硬性バインダーが提案されている。しかし、二次成分(灰、ポゾラン、高炉スラグ)は一般に混合物の最大35%を占め、この複合ポルトランドセメントには少なくとも50%のクリンカーが含まれている。これはまだクリンカー含有量が高すぎるため、ポルトランドセメントの真の低炭素代替品にはならない。
【0008】
メタカオリンベースの水硬性バインダー、つまりセメントも提案されている。メタカオリンは、一般組成Al2Si2O7の脱ヒドロキシル化アルミナシリケートであり、強力なポゾラン活性を有する一般式Al2(OH)4Si2O5のカオリナイトの、大部分がアモルファスである脱水生成物である。一般的に、材料のポゾラン活性は、材料の能力として定義することができ、それは、結合特性を持たないが、細かく分割された形で水分の存在下で、室温で水酸化カルシウムと化学的に反応して結合特性を持つ化合物を形成する能力である。カオリナイト粘土は地殻で広く利用可能であり、熱処理(たとえば、600~800℃で「フラッシュ」と呼ばれる短時間)により、カオリナイトの結晶構造が脱ヒドロキシル化されてメタカオリンが生成される。セメントの水和中における、石灰または水酸化ナトリウムとメタカオリンの混合物は、ポゾラン反応を誘発する。この反応により、メタカオリンベースのセメントの結合特性が向上する。これらの特性のために、文書FR3034094またはUS10315115に記載されているように、水酸化ナトリウムに関連するフラッシュメタカオリンを含むメタカオリンベースの建設材が提案されている。これらの建設バインダーのレオロジー特性は、可塑剤またはポリアクリル酸塩やリグノスルホン酸塩などの減水剤を添加することで改善できる。しかし、高温上昇を必要とするこのような方法は、エネルギー消費量が多いため、カーボンフットプリントを改善する必要がある。
【0009】
一方、カーボンフットプリントの低いセメントには、未焼成のカオリナイトの使用または原粘土マトリックスのより広い使用が提案されている(NA Hadi、「NaOHと高カルシウム灰を組み込んだカオリンとメタカオリンのジオ重合」、Earth Science Research Vol.5、No.1; 2016)。しかし、これらのセメントは、文書FR3016376に記載されているように、機械的強度の向上、毛細管吸収の低下もしくは液体透過性の低下などの物理的特性が低すぎるか、許容できる機械的特性を有するためにポルトランドセメントを部分的に追加する必要があった。
【0010】
さらに、古典的には、建設バインダーを土壌に添加して建設材を形成することが提案されてきた。それにもかかわらず、これらの建設材は限られた機械的特性を有している。実際、Ulrich RohlenとChristof Ziegertによる、題名「Construire en terre crue、construction-renovation-finitions」という刊行物(2013、editions le Moniteur ISBN 978-2-281-11567-3)は、土壌コンクリートの圧縮強度が一般的な値は約3MPaであり、0.6MPaから最大12MPaまで変化することを示している。さらに、題名「Traite de Construction en terre」という刊行物は、セメントで安定化された土壌の圧縮強度の変化を測定し、特に7%のセメント(すなわち、セメントと粘土でできているバインダー中に50%のセメント)を含む土壌コンクリートの圧縮強度値が12MPaを超えないことを示している。これは、建設バインダー、より一般的には高い圧縮強度を必要とする建設材に、建設業者が過度に高い含有量の原粘土を使用することを常に思いとどまらせてきた。
【0011】
したがって、NF EN197-1規格で定義されてる、CEM I、CEM II、CEM III、CEM IV、およびCEM Vセメントなどの建設分野で一般的に使用されるセメントからコンクリートの機械的特性と少なくとも同等またはそれよりも優れたコンクリートの機械的特性を生成しながら、低炭素フットプリントの建設バインダーの新しい配合物が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、先行技術の不利な点を克服することを目的としている。特に、本発明は、一方ではポルトランドセメントと少なくとも同等の機械的特性を有する建設材を取得し、他方では、ポルトランドセメントから形成されたコンクリートと比較して、住民の快適さを向上させるための、建設バインダーのための配合物を提供することを目的としている。
【0013】
本発明はまた、建設バインダーを製造する方法を提供することを目的とし、当該建設バインダーは、建設分野におけるその使用に関連する前記バインダーの機械的特性を維持しながら、そのようなバインダーの調製中に放出される二酸化炭素などの温室効果ガスの放出を低減するためのものである。本発明はまた、従来のコンクリートと比較して住民の快適さ、特に建物の湿熱特性を改善することができる、建設要素の製造のための建設バインダーの使用に関する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的のために、本発明は、脱水形態で、原粘土マトリックスと解膠剤を含む、建設バインダーの配合物に関する。
【0015】
したがって、この脱水配合物は、ポルトランドセメント、石灰、またはアルミン酸カルシウムセメント(「スルホアルミン酸カルシウムセメント」-アングロサクソンの用語ではCSA)などの従来のセメントを全体的または部分的に置き換えることを意図されている。以下に示すように、この配合物により、ポルトランドセメント(クラスC 25/30)と同じ機械的性能を実現しながら、温室効果ガス排出量を30~85%、より一般的には約50%削減できる。
【0016】
さらに、原粘土マトリックスの存在は、より良い湿熱伝達を可能にし、したがって、この配合物から生じるバインダーを使用する建設のより良い冷却特性を可能にする。
【0017】
配合物の他の随意の特徴によると:
- 原粘土マトリックスには、カオリナイト、イライト、スメクタイト、ベントナイト、クロライト、モンモリロナイト、マスコバイト、ハロサイト、セピオライト、アタパルジャイト、バーミキュライト、および、いくつかの粘土の複雑な組み合わせであるいわゆる層状粘土から選択された少なくとも1つの鉱物種が含まれる。バインダー配合物中にこれらの鉱物種の1つ以上が存在することにより、セメント、より一般的には、良好な機械的特性、すなわちポルトランドセメントを含む建設材の機械的特性と同等の機械的特性を有する建設材を得ることができる。好ましくは、原粘土マトリックスは、カオリナイト、イライト、スメクタイトおよびベントナイトから選択される少なくとも1つの鉱物種を含む。
- それは、原粘土マトリックスを少なくとも80重量%、好ましくは80~99.5重量%、より好ましくは90~99重量%含む。この量の原粘土マトリックスにより、この配合物で構築された材料の機械的特性を改善することができる。
- 解膠剤は以下から選択される:
- ポリオキシエチレンエーテルなどの非イオン性界面活性剤;
- アルキルアリールスルホン酸塩、アミノアルコール、炭酸塩、ケイ酸塩、脂肪酸、フミン酸塩(例えばフミン酸ナトリウム)、カルボン酸、リグノスルホン酸塩(例えばリグノスルホン酸ナトリウム)、ポリアクリル酸塩、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、オルトリン酸ナトリウムなどのリン酸塩またはポリリン酸塩、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの混合物から選択される陰イオン剤などの陰イオン剤;
- ポリアクリル酸ナトリウムまたはポリアクリル酸アンモニウムから選択されるポリアクリル酸塩などのポリアクリル酸塩;
- 2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミン;イソプロパノールアミン(1-アミノ-2-プロパノール、ジイソプロパノールアミンおよびトリイソプロパノールアミン)およびN-アルキル化エタノールアミンから選択されるアミンなどのアミン;或いは
- それらの混合物。
これらの解膠剤は、粘土の良好な分散を可能にし、建設に使用できる粘土マトリックスに適している。
- 解膠剤は、原粘土マトリックスの少なくとも0.5重量%、好ましくは原粘土マトリックスの0.5から20重量%、より好ましくは1から10重量%を占める。そのような濃度は、この配合物から作られた材料の機械的特性を改善することを可能にする。
- それは、
- 80~99.5重量%の原粘土マトリックス、および
- 0.5~20重量%の解膠剤、
含む。建設バインダー用のそのような配合物は、そのような配合物が活性剤組成物と組み合わせて使用される場合、ポルトランドセメントと同等の機械的特性を得ることができる。
【0018】
本発明はさらに、本発明による建設バインダーの配合物の成分および活性剤組成物を含む建設バインダーに関する。
特に、本発明はさらに、原粘土マトリックスと解膠剤と活性剤組成物とを含む建設バインダーであって、建設バインダーが少なくとも30重量%の原粘土マトリックスを含むことを特徴とする、建設バインダーに関する。
活性剤組成物は、建設バインダーに目的の機械的特性を与えること、特に粘土シートを構造化することを可能にする。
【0019】
建設材の他の随意の特徴によると:
- 建設バインダーは、30重量%未満のメタカオリン、好ましくは26重量%未満のメタカオリン、より好ましくは21重量%未満のメタカオリン、17重量%未満のメタカオリン、13重量%未満のメタカオリン、さらにより好ましくは10重量%未満のメタカオリン、5重量%未満のメタカオリンを含む。たとえば、メタカオリンが含まれていない場合がある。
- 原粘土マトリックスには、カオリナイト、イライト、スメクタイト、ベントナイト、クロライト、モンモリロナイト、マスコバイト、ハロサイト、セピオライト、アタパルジャイト、バーミキュライト、およびいくつかの粘土の複雑な組み合わせであるいわゆる層間粘土から選択された少なくとも1つの鉱物種が含まれる。
- 原粘土マトリックスには、カオリナイト、イライト、スメクタイト、ベントナイト、クロライト、モンモリロナイト、マスコバイト、ハロサイト、セピオライト、アタパルジャイト、バーミキュライト、およびいくつかの粘土の複雑な組み合わせであるいわゆる層間粘土から選択された少なくとも1つの鉱物種が含まれる。
- それは少なくとも40重量%の原粘土マトリックスを含む。
- 解膠剤は以下から選択される:
- ポリオキシエチレンエーテルなどの非イオン性界面活性剤;
- アルキルアリールスルホン酸塩、アミノアルコール、炭酸塩、ケイ酸塩、脂肪酸、フミン酸塩(例えばフミン酸ナトリウム)、カルボン酸、リグノスルホン酸塩(例えばリグノスルホン酸ナトリウム)、ポリアクリル酸塩、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、オルトリン酸ナトリウムなどのリン酸塩またはポリリン酸塩、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの混合物から選択される陰イオン剤などの陰イオン剤;
- ポリアクリル酸ナトリウムまたはポリアクリル酸アンモニウムから選択されるポリアクリル酸塩などのポリアクリル酸塩;
- 2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミン;イソプロパノールアミン(1-アミノ-2-プロパノール、ジイソプロパノールアミンおよびトリイソプロパノールアミン)およびN-アルキル化エタノールアミンから選択されるアミンなどのアミン;或いは
- それらの混合物。
- 解膠剤は、建設バインダーの少なくとも0.25重量%を占める。
- 活性剤組成物は、建設バインダーの少なくとも10重量%を占める。
- 原粘土マトリックス、解膠剤、および活性剤組成物は、2成分または多成分系を形成する。
- それは、
- 30~80重量%の原粘土マトリックス、
- 0.25~20重量%の解膠剤、および
- 10~50重量%の活性剤組成物、
を含む。
- 活性剤組成物は、アルカリ性活性剤組成物である。アルカリ性組成物は、例えば、10以上、より好ましくは12以上、さらにより好ましくは実質的に14に等しいpKaを有する化合物を含み得る。
- 活性剤組成物は、トリポリリン酸ナトリウムなどの有機リン化合物を含み、好ましくは、有機リン化合物は、建設バインダーの少なくとも2重量%を占める。
- それは、少なくとも2重量%の金属酸化物を含む。特に、活性剤組成物は金属酸化物を含む。特に、金属酸化物は、組成物の少なくとも2重量%、好ましくは組成物の少なくとも5重量%、さらにより好ましくは組成物の少なくとも10重量%の含有量で存在する。そのような濃度は、この配合物から作られた材料の機械的特性を改善することを可能にする。
- 金属酸化物は、FeO、Fe3O4、Fe2O3などの酸化鉄、アルミナAl2O3、酸化マンガン(II)MnO、酸化チタン(IV)TiO2およびそれらの混合物から選択される。
- 活性剤組成物は、セメント、好ましくはポルトランドセメントを含む。セメントは、例えば、CEM Iタイプのセメントであり得る。
- それは、高炉スラグ組成物を含み、好ましくは高炉スラグ組成物が建設バインダーの少なくとも5重量%を占める。
- それは、
- 40~70重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~6重量%の解膠剤、
- 5~20重量%の活性剤組成物、および
- 20~45重量%の高炉スラグ、
を含む。
- それは、
- 35~65重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~5重量%の解膠剤、
- 31~49重量%のポルトランドCEM 1タイプのセメント、
を含む。
- それは、
- 35~65重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~5重量%の解膠剤、
- 10~30重量%の高炉スラグ、および
- 15~35重量%のポルトランドCEM 1タイプのセメント、
を含む。
- それは、
- 45~70重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~6重量%の解膠剤、
- 10~30重量%の活性剤組成物、および
- 15~35重量%のメタカオリン、
を含む。
- それは、
- 45~70重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~5重量%の解膠剤、
- 10~25重量%の活性剤組成物、
- 5~20重量%の高炉スラグ、および
- 15~30重量%のメタカオリン、
を含む。
【0020】
これらの量により、カーボンフットプリントを大幅に削減しながら、ポルトランドセメントと同等の機械的特性を得ることができる。
【0021】
本発明はさらに、建設バインダーを調製する方法に関する。
建設バインダーを調製する方法は、原粘土マトリックスと解膠剤と活性剤組成物とを混合する工程を含み得、前記建設バインダーは、少なくとも30重量%の原粘土マトリックスを含む。
【0022】
特に、建設バインダーを調製する方法は、特に以下の工程を含み得る:
- 少なくとも1つの原粘土マトリックスと1つの解膠剤と水とを含む粘土懸濁液を調製する工程と、
- 粘土懸濁液に活性剤組成物を添加する工程であって、前記活性剤組成物は、アルカリ性活性剤組成物であり得、および/または金属酸化物を含み得る工程と、
- 建設バインダーが得られるように混合する工程であって、前記建設バインダーは、少なくとも30重量%の原粘土マトリックスを含む工程。
【0023】
方法の他の随意の特性によると:
- それは、解膠された粘土懸濁液を得るために粘土懸濁液を混合する工程を含み、当該混合する工程の後に活性剤組成物が添加される。
- 建設バインダーは、少なくとも50重量%、好ましくは50~80重量%の原粘土マトリックスを含む。それはまた、少なくとも40重量%の原粘土マトリックス、好ましくは40から60重量%の原粘土マトリックスを含み得る。
- 解膠剤は、建設バインダーの少なくとも0.25重量%、好ましくは建設バインダーの少なくとも0.5重量%、より好ましくは建設バインダーの0.5~10重量%を占める。
- 活性剤組成物は、バインダーの少なくとも10重量%の含有量で存在する。例えば、金属酸化物は、バインダーの少なくとも10重量%の含有量で存在する。
【0024】
本発明はさらに、本発明による建設バインダーを含む、モルタル、コーティング、プラスター(plaster)、断熱材、軽量コンクリート、プレハブ要素などの建設材に関する。
【0025】
建設材の他の随意の特徴によると:
- 建設バインダーは、掘削土を含み、前記掘削土は、原粘土マトリックスを含む。実際、既知の建設材とは対照的に、本発明の枠組み内で、建設バインダーを製造することが可能であり、したがって、拡張すると、掘削土から直接、十分な圧縮強度を有する建設材を製造することが可能である。掘削土は、限定されないが、砂および/または砂利(gravel)などの骨材をさらに含み得る。
- それは、1つ以上の充填剤をさらに含み、充填剤は、例えば、鉱物充填剤または植物充填剤から選択される。充填剤は、建設材の分野の当業者に知られている任意の充填剤であり得る。特に、それらは、リサイクルまたは非リサイクルの骨材、粉末、砂、小石(grit)、砂利(gravel)および/または繊維から選択することができる。繊維は、特に、おがくず、木材チップおよび繊維、わら、亜麻、パーライト、コルク、さらにはケネボットなどの植物由来の繊維であり得る。好ましくは、本発明による建設材は、植物由来の繊維をさらに含む。
- それは、顔料を含む。
- それは、アルミニウム粉末などの発泡剤または膨張剤をさらに含む。
【0026】
別の態様によれば、本発明は、被覆要素、特にタイル、スラブ、敷石または縁取りなどの床被覆、内部または外部の正面要素、外装パネル、板張り要素などの壁被覆、またはタイルタイプの屋根被覆の製造のため、レンガなどの押出建設モジュールまたは成形建設モジュールの製造のため、或いは、さまざまな押出し形状の製造のための、本発明による建設バインダーの使用に関する。
【0027】
本発明は、プレハブパネルタイプの建設パネル、ドア若しくは窓のまぐさなどのプレハブブロック、プレハブ壁要素、または、任意の他のプレハブの建設要素などの複合材料の製造のための、本発明による建設バインダーの使用に関する。
【0028】
本発明は、仕切りパネル、または軽量の断熱建設モジュールなどの断熱モジュール(1.5kg/L未満、好ましくは1.2kg/L未満、より好ましくは1.0kg/L未満、より好ましくは0.7kg/L未満の密度を有する)の製造のための、本発明による建設バインダーの使用に関する。
【0029】
本発明は、3Dプリンターなどによる積層造形による、建設要素、建物若しくは家、または装飾品の製造のための、本発明による建設バインダーの使用に関する。
【0030】
本発明は、一方では固体形態の組成、他方では液体形態の組成のいずれか、或いは、2つのペーストの形態の組成、を有する2成分系の形態での、シーラント、接着剤またはグラウトの製造のための、本発明による建設バインダーの使用に関する。
【0031】
本発明はまた、建設バインダーの調製のための、原粘土マトリックスと活性剤組成物とを組み合わせた解膠剤の使用に関し、原粘土マトリックスは、建設バインダーの少なくとも30重量%を占め、活性剤組成物は、NF EN206-1規格で測定した28日目のシリンダーの最小圧縮強度が20MPa以上、好ましくは25MPa以上、より好ましくは40MPa以上であるコンクリートを得るための組成物である。
【0032】
本発明の他の利点および特徴は、添付の図を参照して、例示的かつ非限定的な例として与えられた以下の説明を読むと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明による建設バインダーを調製する方法の図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の説明において、原粘土マトリックス、配合物、バインダーまたは建設材に関する「重量%」という用語は、配合物、バインダーまたは建設材の乾燥重量に基づく比率として理解されるべきである。乾燥重量は、水を加える前の重量であり、水は、例えば、建設バインダーの形成に必要である。
【0035】
本発明の意味における「脱水」という用語は、減量された量の水を含む配合物に対応し、例えば、20重量%未満、好ましくは10重量%未満、より好ましくは5重量%未満、例えば1重量%未満の含水量である。水分含有量は、当技術分野で知られている任意の方法によって測定することができる。たとえば、1995年9月のNF P 94 050規格「材料の水分含有量の決定:オーブン乾燥法」に従って測定することができる。
【0036】
「粘土マトリックス」とは、ラメラ構造の水和ケイ酸塩またはアルミノケイ酸塩に基づく1つ以上の岩石材料を意味し、前記粘土マトリックスは、長石などの三次元フレームワークを有するケイ酸塩の変質に一般的に由来する微粒子から構成される。したがって、粘土マトリックスは、例えば、カオリナイト、イライト、スメクタイト、ベントナイト、緑泥石、バーミキュライト、メタカオリンまたはそれらの混合物からなり得るそのような岩石材料の混合物を含み得る。「原粘土マトリックス」という表現は、本発明の意味の範囲内で、か焼工程を経ていない粘土マトリックスに対応する。特に、これは、事前に熱処理を行っていない。例えば、これは、300℃を超える、好ましくは200℃を超える、より好ましくは150℃を超える温度上昇を受けていない粘土マトリックスに対応する。実際、原粘土マトリックスは、一般に150℃以下の温度上昇を必要とする加熱工程を経ることができるが、か焼工程は経ない。
【0037】
「解膠剤」または「解膠剤」とは、水性懸濁液中で、凝集体およびコロイドを解離する任意の化合物を意味する。解膠剤は、例えば、粘土をより流動的にし、抽出または掘削を容易にするために、石油掘削または抽出の文脈で使用されてきた。
【0038】
「活性剤組成物」とは、コンパクトな構造の形成を促進し、それによってそのような活性剤組成物を組み込んだ材料の機械的強度を高める機能を有する任意の組成物を意味する。
【0039】
本発明の意味の範囲内での「実質的に等しい」という用語は、比較値に対して20%未満、好ましくは10%未満、さらにより好ましくは5%未満変動する値に対応する。
【0040】
本発明者は、ポルトランドセメント、石灰またはCSAの代替物として有利に、しかし限定的にではなく使用することができる建設バインダーのための新しい配合物を開発した。本発明による配合物、より具体的には、本発明による建設バインダーは、今日世界で最も使用されているほとんどの建設バインダー、または油圧式バインダー(すなわち、ポルトランドセメント)よりも少なくとも2倍低いカーボンフットプリントを有するという利点を有する。実際、本発明による建設バインダーは、主に、原粘土マトリックスとも呼ばれる粘土マトリックスから構成され、これは、か焼工程、また、温室ガス、より具体的には二酸化炭素の放出を生成するエネルギー消費工程を受けていない。
【0041】
さらに、本発明による配合物または建設バインダーは、同等の製品よりもクリンカー含有量が低く、同等の機械的特性のために、CO2排出量および製造コストを削減することができる。
【0042】
有利には、実施例に示されるように、本発明による建設バインダーは、ポルトランドセメントで、または前述のものなどの「低炭素」材料で配合されたコンクリートと少なくとも同等の機械的特性を有する建設材の製造を可能にする。
【0043】
したがって、第1の態様によれば、本発明は、脱水形態で、原粘土マトリックスと解膠剤とを含む、建設バインダーの配合物に関する。
【0044】
前述のように、原粘土マトリックスを使用することで、建設バインダーの環境への影響を減らすことができる。
【0045】
解膠剤はすでに粘土で使用されている。これは特に陶器やセラミックの場合であり、液体で非脱水状態のスリップの調製には、解膠剤を粘土マトリックスと混合することが含まれ得る。この実践により、粘土を液化して微粒子のみを回収することができ、この実践は、建設バインダーの調製を目的としていない。
【0046】
ここで、理論に制限されることなく、解膠剤は、原粘土マトリックスを構成するシートの界面にそれ自体を配置し、それを分解することができる。したがって、解膠剤の使用は、分解された原粘土マトリックスを含み、活性剤組成物の存在下で、より効果的な建設バインダーを形成することができる配合物を原粘土マトリックスから得ることが可能になるであろう。
【0047】
このような配合物は、事前の準備なしで調製することも、製造現場で調製し、場合によっては保管してから建設現場に輸送することもできる。
【0048】
したがって、本発明は、例えば、原粘土マトリックスと解膠剤とを含む建設バインダーの配合物に関し、これは、活性剤組成物と混合するまで貯蔵および/または輸送され、それにより建設バインダーの形成を可能にする。特に、配合物は、0.5Lから50Lの容量の容器に保存することができる。
【0049】
本発明による配合物の各構成要素の一般的かつ好ましい特性が詳細に提示される。
【0050】
原粘土マトリックス
原粘土マトリックスは、例えば、カオリナイト、イライト、スメクタイト、ベントナイト、亜塩素酸塩およびバーミキュライトから選択される少なくとも1つの鉱物種を含み得る。
以下の表1は、これらの鉱物種の化学的特性を示す。
【表1】
【0051】
好ましくは、本発明による配合物は、少なくとも80重量%の原粘土マトリックス、より好ましくは少なくとも90重量%の原粘土マトリックスを含む。実際、本発明による建設バインダーの配合物は、これが建設材の機械的特性を変えることなく、大量の原粘土マトリックスを含むことができるという利点を有し、したがって、適切な機械的性能を有する建設材を製造することを可能にする。
【0052】
さらに、好ましくは、本発明による配合物は、最大で98重量%の原粘土マトリックス、より好ましくは最大で96重量%の原粘土マトリックスを含む。実際、本発明による建設バインダー用の配合物はまた、少なくとも1つの解膠剤を含み、したがって、配合物中の原粘土マトリックスの割合を制限する。
【0053】
したがって、特に、本発明による配合物は、80から99.5重量%の原粘土マトリックス、好ましくは90から99重量%または80から98重量%の原粘土マトリックス、より好ましくは85から97重量%の原粘土マトリックス、さらにより好ましくは、90から96重量%の原粘土マトリックスを含み得る。
【0054】
解膠剤
多くの化合物は解膠剤として作用することができ、多くは一般に当業者に知られている。
【0055】
本発明の文脈において、解膠剤は、特に、ポリオキシエチレンエーテルなどの非イオン性界面活性剤である。ポリオキシエチレンエーテルは、例えば、ポリ(オキシエチレン)ラウリルエーテルから選択することができる。
【0056】
解膠剤はまた、陰イオン界面活性剤などの陰イオン剤であり得る。特に、陰イオン剤は、アルキルアリールスルホネート、アミノアルコール、カーボネート、シリケート、脂肪酸、フミン酸塩(例えば、フミン酸ナトリウム)、カルボン酸、リグノスルホン酸塩(例えば、リグノスルホン酸ナトリウム)、ポリアクリレート、リン酸塩、または、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、オルトリン酸ナトリウムなどのポリリン酸塩、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの混合物から選択することができる。
解膠剤はまた、ポリアクリル酸塩でもあり得る。次に、それは、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムおよびポリアクリル酸アンモニウムから選択され得る。
【0057】
解膠剤はまた、例えば、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミン;イソプロパノールアミン(1-アミノ-2-プロパノール、ジイソプロパノールアミン、およびトリイソプロパノールアミン)およびN-アルキル化エタノールアミン;から選択されるアミンでもあり得る。
解膠剤はまた、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムまたは三ケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩であり得る。
【0058】
あるいは、解膠剤は、非イオン性界面活性剤、陰イオン性剤、ポリアクリル酸塩、アミンおよび有機リン化合物から選択される少なくとも2つの化合物を含む混合物などの化合物の混合物であり得る。
特に、解膠剤は、ケイ酸ナトリウムと炭酸ナトリウムの混合物であり得る。
好ましくは、解膠剤は、リグノスルホン酸塩(例えば、リグノスルホン酸ナトリウム)、ポリアクリル酸塩、フミン酸塩、およびそれらの混合物から選択される。
【0059】
解膠剤は、好ましくは塩の形態である。
しかしながら、本発明は、上記の解膠剤に限定されず、上記の解膠剤の代わりに、当業者に知られている任意のタイプの解膠剤を使用することができる。
【0060】
特に、解膠剤は、原粘土マトリックスの少なくとも0.5重量%、好ましくは原粘土マトリックスの少なくとも1重量%、より好ましくは原粘土マトリックスの少なくとも2重量%、さらにより好ましくは原粘土マトリックスの少なくとも3重量%、例えば、原粘土マトリックスの少なくとも4重量%を占める。実際、そのような濃度の解膠剤を用いて、次に、本発明によるバインダー配合物を活性剤組成物と組み合わせて使用して、有利な機械的特性を有する材料を形成することができる。
【0061】
さらに、解膠剤は、原粘土マトリックスの最大で20重量%、好ましくは原粘土マトリックスの最大10重量%を占める。実際、有利な機械的特性を備えた材料を形成するために、高すぎる濃度は必要ではない。
【0062】
特に、解膠剤は、原粘土マトリックスの0.5から20重量%の間、好ましくは原粘土マトリックスの1から10重量%の間、より好ましくは原粘土マトリックスの3から10重量%の間、さらにより好ましくは原粘土マトリックスの4から10重量%を占める。
【0063】
別の態様によれば、本発明はさらに、本発明による建設バインダーの配合物の構成要素および活性剤組成物を含む建設バインダーに関する。
【0064】
建設バインダーに目的の機械的特性を与えるのは、原粘土マトリックスおよび解膠剤を組み合わせた活性剤組成物の添加である。
【0065】
建設バインダーは、有利には、2成分系または多成分系の形態をとることができ、すなわち、その構成要素、具体的には原粘土マトリックスと解膠剤と活性剤組成物を並置した形態で含むことができる。
【0066】
特に、建設バインダーの実際の使用に必要な混合工程の前に、建設バインダーは、活性剤組成物が原粘土マトリックスおよび/または解膠剤と接触しないように調製することができる。そのような特徴は、その使用前に建設バインダーの安定性を改善することができるという利点を有する。
【0067】
例えば、建設バインダーは、本発明によるバインダー配合物に対応する混合物と、別の容器に入れられた活性剤組成物との組み合わせに対応し得る。2成分系または多成分系では、成分がすべて同じ形態(液体、固体、ペーストなど)であるとは限らないか、成分がペースト形態であるか、或いは、異なる容器に入れられる。
【0068】
使用直前に、建設バインダーを水、またはより一般的には、建設バインダーの成分を完全に混合することを可能にする水溶液と混合することができる。それにもかかわらず、この水の添加の前に、それは、少なくとも部分的に脱水された形態である建設バインダーの形態である可能性がある。
【0069】
以下に記載されるように、活性剤組成物は、液体組成物であり得る。したがって、建設バインダーは、水または追加の水溶液を添加することなく形成することができる。
【0070】
有利なことに、そして詳細に説明するように、建設バインダーの成分のいくつか(解膠剤および粘土マトリックス)は、活性剤組成物を添加する前に水と混合することができる。
【0071】
それにもかかわらず、建設バインダーはまた、脱水形態で有利に調製することができる。この場合、使用直前に水溶液と混合することができる。これにより、輸送と梱包を簡単にすることができる。
【0072】
理論によって制限されることなく、活性剤組成物は、本発明による建設バインダーにその機械的特性を付与する粘土シート間のネットワークの構成を可能にするであろう。
【0073】
活性剤組成物は、例えば、建設バインダーの少なくとも10重量%、好ましくは建設バインダーの少なくとも15重量%、より好ましくは建設バインダーの少なくとも20重量%、さらにより好ましくは建設バインダーの25重量%、および例えば、建設バインダーの少なくとも30重量%の含有量で存在する。
さらに、活性剤組成物は、建設バインダーの最大で50重量%、好ましくは建設バインダーの最大で45重量%、より好ましくは建設バインダーの最大40重量%を占めることができる。
特に、活性剤組成物は、建設バインダーの10から50重量%の間、好ましくは建設バインダーの15から50重量%の間を占めることができる。
より好ましくは、活性剤組成物は、建設バインダーの10から35重量%の間、さらにより好ましくは建設バインダーの15から30重量%の間を占める。
【0074】
特に、活性剤組成物は、金属酸化物を含み得、および/またはアルカリ性活性剤組成物であり得る。
好ましくは、金属酸化物は遷移金属酸化物である。
より好ましくは、金属酸化物は、FeO、Fe3O4、Fe2O3などの酸化鉄、アルミナAl2O3、酸化マンガン(II)MnO、酸化チタン(IV)TiO2およびそれらの混合物から選択される。
【0075】
金属酸化物は、好ましくは、例えば鉄鉱石からの銑鉄の製造中に形成される高炉スラグの組成物に由来し得る。
【0076】
金属酸化物は、建設バインダーの少なくとも2重量%、好ましくは建設バインダーの少なくとも5重量%、より好ましくは建設バインダーの少なくとも10重量%の含有量で存在する。
【0077】
活性剤組成物がアルカリ性活性剤組成物である場合、アルカリ性組成物は、好ましくは、10以上、より好ましくは12以上、さらにより好ましくは実質的に14に等しいpKaを有する化合物を含み得る。それは、強塩基と見なすことができる。
【0078】
特に、活性剤組成物は、水酸化ナトリウムとケイ酸ナトリウムの混合物を含み得る。活性剤組成物は、固体形態で使用することができる。それはまた、例えばアルカリ性活性剤組成物の場合、液体の形態で使用することができる。この場合、配合物に示される百分率は、液体組成物の重量に対応する。
【0079】
液体アルカリ活性剤組成物に関して、それは、当該組成物の総重量の乾燥生成物のグラムに対して、10から70%の間、好ましくは20から60%の間、より好ましくは30から50%の間の水酸化ナトリウムとケイ酸ナトリウムの混合物を含み得る。
【0080】
アルカリ性組成物、およびより広義には活性剤組成物は、例えば、頭字語NaTPPによって示されるトリポリリン酸ナトリウムなどの有機リン化合物を含み得る。
【0081】
有利には、活性剤組成物は、金属酸化物をさらに含むアルカリ性活性剤組成物であり得る。実施例に示されるように、そのような活性剤組成物から調製された建設バインダーは、良好な機械的特性を有する。したがって、好ましくは、活性剤組成物は、金属酸化物およびpKa10以上の少なくとも1つの化合物を含み得る。
【0082】
活性剤組成物は、水性組成物であり得る。したがって、それは好ましくは水を含み得る。以下に説明するように、その使用は、本発明による建設バインダーの形成において水の添加と組み合わせることができる。しかしながら、あるいは、活性剤組成物は、固体形態、例えば粉末形態である。
【0083】
好ましくは、原粘土マトリックスは、建設バインダーの少なくとも30重量%、好ましくは建設バインダーの少なくとも40重量%、より好ましくは40から80重量%の間、さらにより好ましくは45から65重量%の間、さらにより好ましくは50から60重量%の間を占める。
【0084】
同様に、解膠剤は、建設バインダーの少なくとも0.25重量%、好ましくは建設バインダーの少なくとも0.5重量%、より好ましくは建設バインダーの少なくとも1重量%、さらにより好ましくは建設バインダーの少なくとも1.5重量%、および例えば、建設バインダーの少なくとも2重量%を占めることができる。
【0085】
さらに、解膠剤は、建設バインダーの最大20重量%、好ましくは建設バインダーの最大15重量%、より好ましくは建設バインダーの最大10重量%を占めることができる。
【0086】
特に、解膠剤は、建設バインダーの0.25から10重量%の間、好ましくは建設バインダーの0.5から10重量%の間、より好ましくは建設バインダーの1から10重量%の間、建設バインダーの1から8重量%の間、建設バインダーの2から8重量%の間、建設バインダーの2から5重量%の間を占めることができる。さらにより好ましくは、解膠剤は、建設バインダーの0.5から6重量%の間、建設バインダーの1から4重量%の間を占めることができる。
【0087】
特定の実施形態では、本発明による建設バインダーは、
- 30~80重量%の原粘土マトリックス、
- 0.25~20重量%の解膠剤、および
- 10~50重量%の活性剤組成物、
を含む。
【0088】
好ましくは、本発明による建設バインダーは、
- 45~60重量%の原粘土マトリックス、
- 0.25%~5重量%、好ましくは1%~4%の解膠剤、および
- 10~50重量%の活性剤組成物、
を含む。
【0089】
好ましくは、本発明による建設バインダーは、
- 30~80重量%の原粘土マトリックス、
- 1~10重量%の解膠剤、および
- 10~50重量%の活性剤組成物、
を含む。
【0090】
好ましくは、本発明による建設バインダーは、
- 50~75重量%の原粘土マトリックス、
- 1~10重量%の解膠剤、および
- 15~50重量%の活性剤組成物、
を含む。
【0091】
より好ましくは、本発明による建設バインダーは、
- 50~75重量%の原粘土マトリックス、
- 2~5重量%の解膠剤、および
- 15~45重量%の活性剤組成物、
を含む。
【0092】
より好ましくは、本発明による建設バインダーは、
- 50~60重量%の原粘土マトリックス、
- 2~5重量%の解膠剤、および
- 25~45重量%の金属酸化物、
を含む。
【0093】
さらにより好ましくは、本発明による建設バインダーは、
- 30~80重量%の原粘土マトリックス、
- 1~10重量%の解膠剤、
- 10~40重量%の金属酸化物、および
- 2~15重量%の強塩基、
を含む。
【0094】
原粘土マトリックス、解膠剤および活性剤組成物に加えて、建設バインダーは、メタカオリン、フラッシュもしくはフラッシュでなく、セメント、石灰および/またはプラスターを含み得る。さらに、実施例に示されるように、いくつかの建設バインダー組成物は、ポルトランドセメントと同等またはそれ以上の機械的性能を有し得る。したがって、さらにより好ましくは、本発明による建設バインダーは、
- 45~70重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~6重量%の解膠剤、
- 10~35重量%の活性剤組成物、および
- 15~30重量%のメタカオリン、
を含む。
【0095】
さらにより好ましくは、本発明による建設バインダーは、
- 35~65重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~5重量%の解膠剤、
- 10~30重量%の高炉スラグ、および
- 15~35重量%のポルトランドCEM1セメント、
を含む。
【0096】
さらにより好ましくは、本発明による建設バインダーは、
- 40~70重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~6重量%の解膠剤、
- 5~20重量%の活性剤組成物、および
- 20~45重量%の高炉スラグ、
を含む。
【0097】
さらにより好ましくは、本発明による建設バインダーは、
- 40~70重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~5重量%の解膠剤、
- 10~25重量%の活性剤組成物、
- 5~20重量%の高炉スラグ、および
- 15~30重量%のメタカオリン、
を含む。
【0098】
上記のように、上記の配合物は開かれた配合物(open formulation)であり、建設バインダーは、可塑剤または減水剤などの相補的な化合物をさらに含み得る。
【0099】
さらに、本明細書で建設バインダーと参照される組成物の乾燥物に対する水の重量比は制御され、好ましくは1未満であり、有利には実質的に0.6に等しい。
【0100】
別の態様によれば、本発明は、建設バインダーを調製する方法に関する。
図1に示される本発明によるそのような方法は、いわゆる低炭素法であるという利点を有する。すなわち、低炭素法の特に二酸化炭素排出などの温室効果ガス排出が、建設バインダーを調製する既知の方法の温室効果ガス排出と比較して低減される。温室効果ガス排出量のこのような削減は、特にエネルギー集約的なか焼段階がないことにつながる。
【0101】
特に、この方法は、少なくとも1つの原粘土マトリックスと、1つの解膠剤と水とを含む粘土懸濁液を調製する工程110を含む。以前のように、原粘土マトリックスは、カオリナイト、イライト、スメクタイト、ベントナイト、クロライト、モンモリロナイト、マスコバイト、ハロサイト、セピオライト、アタパルジャイト、バーミキュライト、およびいくつかの粘土の複雑な組み合わせであるいわゆる層状粘土、から選択される少なくとも1つの鉱物種を含み得る。有利には、調製工程110は、原粘土マトリックスと解膠剤とを含む脱水されたプレミックスから開始される。
【0102】
懸濁液の調製工程110において、建設バインダーの質量に対する水の質量の比が1未満、例えば、0.4から0.8の間になるように、水を添加することができる。さらに、原粘土マトリックスと解膠剤を乾式混合した後に、水を有利に加えることができる。
【0103】
有利なことに、粘土懸濁液の調製工程110の間に使用される原粘土マトリックスは、建設現場の近くで掘削された土壌から得られ得る。したがって、建設バインダーを調製する方法は、粘土懸濁液の調製工程110の前に、原粘土マトリックスを含む土壌を掘削する工程を含み得る。さらに、この場合、この方法は、掘削された土壌を準備する工程を含むことができ、前記準備は、例えば、乾燥、粉砕、ふるい分け、保管を含むことができる。
【0104】
したがって、本発明による建設バインダーの調製は、建設現場からの原材料から少なくとも部分的に作られた現場コンクリートの準備を可能にし得る。このような特性により、製造されるコンクリートの環境フットプリントがさらに削減される。
【0105】
好ましくは、本発明による方法は、粘土懸濁液の調製に続いて、分散または解膠された粘土懸濁液を得るために粘土懸濁液を混合する工程120を含み得る。
【0106】
粘土懸濁液を混合するこの工程120は、限定的ではないが、有利には、ミキサーおよびトラックミキサーから選択される装置で、またはより一般的には、建設バインダーの製造のために粘土懸濁液を混合するように適合された任意の装置内で実行することができる。超音波を利用した分散装置も使用できる。
【0107】
活性剤組成物を添加する前に、粘土懸濁液を混合するこの工程120は、少なくとも10秒、好ましくは少なくとも30秒、より好ましくは少なくとも60秒の期間にわたって実施することができる。
【0108】
さらに、活性剤組成物を添加する前に、粘土懸濁液を混合するこの工程120は、最大24時間、好ましくは最大12時間、より好ましくは最大6時間の期間にわたって実施することができる。
【0109】
本方法はまた、粘土懸濁液に活性剤組成物を添加する工程130を含む。上記で詳述したように、活性剤組成物は、金属酸化物を含み得、および/またはアルカリ性活性剤組成物であり得る。
【0110】
本方法は、建設バインダーを得るための均質化または混合工程140を含む。
【0111】
活性剤組成物の添加の前、同時、または後に、本発明による方法は、最終的な建設材の機械的特性を改変するための添加剤または材料の添加を含み得る。
【0112】
追加される材料は、例えば、充填剤、粉末、砂、小石(grit)、砂利(gravel)、および/または繊維、および任意選択で顔料から選択される、リサイクルまたは非リサイクル骨材であり得る。
【0113】
この方法はまた、可塑剤の添加を含み得る。可塑剤は、例えば、ポリアクリレート、ポリナフタレンスルホネート、ポリカルボキシレートまたはポリホスホネートであり得る。
【0114】
本方法はまた、繊維の添加を含み得る。繊維は、例えば、綿、亜麻、麻、セルロース、竹、ミスカンサス繊維などの植物繊維、金属、ガラス、炭素、ポリプロピレン繊維などの合成繊維、およびそれらの混合物から選択される。繊維の存在は、改善された機械的および断熱特性を備えた建設材の形成を可能にすることができる。
【0115】
本方法はまた、骨材の追加を含み得る。骨材は、例えば、砂利(gravel)、破砕コンクリート、再生コンクリート、およびそれらの混合物から選択される。
【0116】
この方法はまた、添加剤の添加を含み得る。添加剤は、例えば、合成または天然のレオロジー保持剤、収縮防止剤、保水剤、空気連行剤、合成樹脂、およびそれらの混合物から選択される。
【0117】
特に、本発明による建設バインダーの調製は、砂および水の添加を含むであろう。砂は、特に「現場(site)」コンクリートの場合、掘削された材料から得られる可能性があり得る。砂は砂漠の砂でもよい。
【0118】
得られる建設材は、例えば、モルタル、コーティング、またはプラスター(plaster)から選択することができる。
【0119】
したがって、別の態様によれば、本発明は、本発明による建設バインダーから形成された建設材に関する。
【0120】
さらに、本発明は、本発明による方法から得られる建設バインダーに関する。本発明は、本発明による方法から得られた建設材に関する。
【0121】
本発明は、特に以下の製造を可能にする。
- 断熱建設材:「植物性または多孔性」タイプの軽量骨材を添加した、本発明による建設バインダーから;
- 軽量コンクリート:アルミニウム粉末タイプの発泡剤を添加した、本発明による建設バインダーから。これにより、空気が材料に閉じ込められ、その断熱特性が向上する。;
- プレハブ要素:本発明による建設バインダーからの工場でのコンクリートブロックまたはスラブの製造;および
- 断熱モジュール。
【0122】
したがって、本発明はまた、本発明による構造バインダーの使用、被覆要素の製造、押し出しまたは成形された構造モジュールの製造、またはより一般的には様々な押し出し形状の製造に関する。
【0123】
被覆要素は、例えば、タイル、板石(flagstone)、敷石(paving stone)または縁取り(border)などの床被覆、内部または外部の正面要素、外装パネル、板張り要素などの壁被覆、またはタイルタイプの屋根被覆から選択することができる。押出建設ブロックまたは成形建設ブロックに関しては、それらは、例えばレンガである。
【0124】
本発明はまた、複合材料、プレハブブロックの製造のための、本発明による建設バインダーの使用に関する。
【0125】
複合材料は、例えば、プレハブパネルタイプの建設パネルであり、プレハブブロックは、例えば、ドアまたは窓のまぐさ、プレハブ壁要素、または他の任意のプレハブ建設要素である。
【0126】
本発明はまた、仕切りパネルまたは軽量の断熱構造モジュールなどの断熱モジュールの製造のための本発明による構造バインダーの使用に関する。これらの断熱モジュールは、例えば、1.5kg/L未満、好ましくは1.2kg/L未満、より好ましくは1.0kg/L未満、さらにより好ましくは0.7kg/L未満の密度を有する。
【0127】
本発明はまた、積層造形の実施のための、本発明による建設バインダーの使用に関する。特に、積層造形の実行は、3Dプリンターなどの自動化された3D構築システムを使用して実施できる。このような積層造形は、建設要素、建物若しくは家、または装飾品を製造するために使用され得る。
【0128】
より一般的には、本発明はまた、建設バインダーの調製のために、原粘土マトリックスと活性剤組成物とを組み合わせた解膠剤の使用に関するものであり、ここで、原粘土マトリックスは、建設バインダーの少なくとも30重量%を占め、活性剤組成物は、ISO 1920-4:2005規格(コンクリートの試験-パート4:硬化コンクリートの強度)で測定した28日目の最小圧縮強度が20MPa以上、好ましくは25MPa以上、好ましくは40MPa以上であるコンクリートを得るための組成物である。
【0129】
本発明はまた、建設バインダーの調製のために、原粘土マトリックスと活性剤組成物とを組み合わせた解膠剤の使用に関するものであり、ここで、原粘土マトリックスは、建設バインダーの少なくとも30重量%を占め、活性剤組成物は、NF EN197-1規格で測定した28日目の最小圧縮強度が20MPa以上、好ましくは25MPa以上、より好ましくは40MPa以上のコンクリートを得るための組成物である。
【0130】
以下の実施例に示すように、本発明は、原粘土マトリックス、解膠剤、および活性剤組成物の混合物に基づく解決策を提供し、カーボンフットプリントを低減しながら、標準のものと同様の機械的特性を有する建設バインダーを提供する。
【実施例】
【0131】
建設バインダーの準備:
以下に示すすべての例において、本発明による配合物は、同一の実施要綱に従って調製される、すなわち、乾燥プレミックスが、原粘土マトリックスと解膠剤との間で所定の量で作られ、次いで、水が加えられ、溶液は低速で混合され、つまり、実質的に毎分600回転で30秒間混合される。次に、活性剤組成物をプレミックスに添加し、次にプレミックスを高速で、すなわち毎分約1500回転で3分間混合する。
【0132】
組成物(建設バインダーとも呼ばれる)の乾燥物に対する水の重量比は、実質的に0.6に等しい値に調整される。
【0133】
次に、得られた建設バインダーを型に流し込み、室温、すなわち摂氏約20度で28日間硬化させる。
【0134】
建設バインダーの機械的特性を測定するための方法論:
成熟が完了すると、機械的強度が測定される。建設バインダーの機械的強度とは、一辺が40ミリメートル、長さが160ミリメートルのプリズムについて、NF EN 196-1規格に従って測定された圧縮強度を意味し、メガパスカル(MPa)で表される。
【0135】
本発明による建設バインダーと既知の建設バインダーとの比較:
以下の表2は、異なるタイプの建設バインダーについて、既知の配合物および本発明による配合物を示す。各配合物に関連する成分の質量は、建設バインダーの総質量(乾燥重量)の百分率として表される。
【0136】
【0137】
したがって、表2は、「ポルトランド」セメントの名前でよりよく知られているCEM1タイプの建設バインダーなど、本発明の一部ではない既知の建設バインダー(CEM1、HP2A1、CMTバインダー)の機械的強度を示し、CEM1タイプの建設バインダーの圧縮強度は45MPaのオーダーである。
【0138】
HP2A1製剤は、特許出願FR3034094の教示に従って入手できる。建設バインダータイプHP2A1は、カオリンをか焼することによって得られる35重量%のメタカオリン、65重量%の活性剤組成物を含む。したがって、このような建設バインダーの相対強度は、42MPaのオーダーであり、ポルトランドタイプの建設バインダーの強度よりも低くなる。
【0139】
最後に、特許出願FR3016376の教示に従うことによって得られるCMT建設バインダーは、75重量%の原粘土マトリックスと、特に石灰を含む10重量%の活性剤組成物と、15重量%のポルトランドタイプのセメントとを含む。原粘土マトリックスの大部分を含むそのようなバインダーに関連する機械的強度は、特許出願FR3016376によれば25MPaのオーダーであり、したがって、ポルトランドまたはHP2A1タイプの建設バインダーよりも実質的に低い圧縮強度を有する。それにもかかわらず、出願人によるこれらの試験の再現は、10MPa以上の強度を得ることができなかった。したがって、高濃度の原粘土マトリックスが存在し、解膠剤が存在しない場合、建設バインダーは適切な機械的特性を有するコンクリートを製造しないだろう。
【0140】
表2はまた、本発明によるMUP1配合物を示す。解膠剤を3%含むこの配合物は、原粘土マトリックスの大部分(55%)を含むが、ポルトランドセメントの機械的強度と同じ機械的強度を持っていることに注意することが重要である。
【0141】
解膠剤の重要性
以下の表3は、既知の配合物HP2A_X02と、本発明MUP2、MUP S9-1およびMUP S10-1による3つの配合物を示している。
【0142】
【0143】
HP2A2タイプの建設バインダーは、54重量%の原粘土マトリックス、23重量%の活性剤組成物(アルカリケイ酸塩溶液および/またはNaTPP)、18重量%のメタカオリンおよび5%のBFSを含む。特に、そのような配合物は、特許出願FR3034094の教示から導き出され得る。このようなバインダーに関連する機械的強度は、27MPaのオーダーである。
【0144】
反対に、本発明に従って得られ、3%の解膠剤の存在を除いて同様の組成物を含むMUP2バインダーは、43MPaの機械的強度を有する。このような強度は、ポルトランドセメントと同等と見なすことができる。
【0145】
同様に、本発明に従って得られ、1.5%の解膠剤の存在を除いて同様の組成物を含むMUPS9-1バインダーは、46MPaの機械的強度を有する。このような強度は、ポルトランドセメントと同等と見なすことができる。
【0146】
これらの結果は、本発明による建設バインダーの関連性を確認し、例えば高炉スラグ(blast furnace slags)からの金属酸化物の存在によって圧縮強度に与えられる利点を強調している。
【0147】
以下の表4Aは、すでに提示された本発明による配合物のMUP1、および解膠剤が添加されていない同等の配合物を示している。
【0148】
【0149】
この比較は、本発明による配合物の機械的強度が45MPaに達することができるのに対し、解膠剤(CMT2)を含まない同じ配合物の機械的強度は、特許出願FR3016376によれば、25MPaだけであることを示す。さらに、上記のように、出願人によるこれらの試験の複製では、CMT2試験で10MPa以上の強度を取得することはできなかった。したがって、高濃度の原粘土マトリックスが存在し、解膠剤が存在しない場合、建設バインダーは適切な機械的特性を備えたコンクリートを製造しない。上記のように、原粘土マトリックスおよび活性剤組成物と組み合わせた解膠剤の存在は、建設バインダーの機械的強度を改善することを可能にする。
【0150】
以下の表4Bは、解膠剤が添加されていない参照の配合物と比較した、本発明のMUPS8-1およびMUPS12-1による配合物を示している。
【0151】
【0152】
この比較は、本発明による配合物の機械的強度が40MPa以上に到達できるのに対し、解膠剤を含まない同じ配合物(MUPS8-2またはMUPS11-3)の機械的強度は30MPAに到達しないことを示す。前の段落で説明したように、原粘土マトリックスと、活性剤組成物と、場合によってはメタカオリンとの組み合わせた解膠剤の存在により、ここでの建設バインダーの機械的強度を約30%以上改善することができる。
【0153】
以下の表4Cは、参照のバインダー(MUPS2-1およびMUPS2-2)と比較した、本発明によるいくつかの建設バインダーの配合物を詳述している。これらの建設バインダーは、本発明による建設バインダーが解膠剤を含むという点で特に異なる。
【0154】
【0155】
表4Cは、セメントが活性剤組成物の役割を有する配合物を示している。解膠剤が除去された同等の配合物は、機械的強度が低く、不十分である。
【0156】
逆に、50%以上の含有量の原粘土に、セメントと解膠剤とを組み合わせることにより、20MPaを超える強度を達成することができる。得られた機械的特性は、3倍以上になる。
【0157】
金属酸化物とアルカリ性活性剤組成物の組み合わせの使用:
以下の表5は、本発明によるいくつかの建設バインダーの配合物を詳述している。特に、これらの建設バインダーは、アルカリ性活性剤組成物(この場合はNaTPPを含む溶液)を含むものと、ポルトランドセメントを含むものがあるという点で異なる。
【0158】
【0159】
表5は、
- 金属酸化物を含む高炉スラグ(BFS)と、
- トリポリリン酸ナトリウムと、
の混合物を含む配合物の機械的強度が45MPaであることを示す。
【0160】
アルカリ活性剤組成物がCEM1セメントに置き換えられた同等の配合物は、同様の機械的強度を有する。
【0161】
さらに、BFSを含まないMUPS5-1組成物は、許容できるが圧縮強度の値が低くなっている。この組成物は、本発明のおかげで、50%を超える原粘土マトリックスを含むこれらの建設バインダーについて、20MPaを超える機械的強度値に到達することが可能であることを示している。
【0162】
本発明による建設バインダーからのコンクリート配合物:
以下の表6は、ポルトランドセメントから形成された参考のコンクリート(Bポルトランド)および本発明による建設バインダーから形成されたコンクリート(MUP_BA1、MUP_BA2、MUP_BA3)を含むいくつかのコンクリートの配合物を詳述している。これらのコンクリートは、特に、原粘土マトリックスの性質、解膠剤の性質、および使用される活性化組成物によって異なる。
【0163】
【0164】
表6に示すように、本発明のコンクリートは、ポルトランドセメントで形成されたコンクリートで得られる圧縮強度と同等の圧縮強度を有する。したがって、本発明は、原粘土マトリックスから、セクターのニーズの大部分を満たす建設材にするのに十分な機械的特性を有する低炭素建設バインダーを形成することを可能にする。
【手続補正書】
【提出日】2021-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原粘土マトリックスと解膠剤と活性剤組成物とを含む建設バインダーであって、前記建設バインダーが
、少なくとも30重量%の原粘土マトリックス
と、少なくとも2重量%の金属酸化物とを含
み、前記活性剤組成物が、pKa10以上である化合物を含むアルカリ性活性剤組成物であることを特徴とする建設バインダー。
【請求項2】
30重量%未満のメタカオリンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の建設バインダー。
【請求項3】
少なくとも40重量%の原粘土マトリックスを含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の建設バインダー。
【請求項4】
前記解膠剤が、
- ポリオキシエチレンエーテルなどの非イオン性界面活性剤;
- アルキルアリールスルホン酸塩、アミノアルコール、炭酸塩、ケイ酸塩、脂肪酸、フミン酸塩(例えばフミン酸ナトリウム)、カルボン酸、リグノスルホン酸塩(例えばリグノスルホン酸ナトリウム)、ポリアクリル酸塩、ヘキサメタリン酸ナトリウムケイ酸塩、トリポリリン酸ナトリウム、オルトリン酸ナトリウムなどのリン酸塩またはポリリン酸塩、カルボキシメチルセルロースおよびそれらの混合物から選択される陰イオン剤などの陰イオン剤;
- ポリアクリル酸ナトリウムまたはポリアクリル酸アンモニウムから選択されるポリアクリル酸塩などのポリアクリル酸塩;
- 2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、またはトリエタノールアミン;イソプロパノールアミン(1-アミノ-2-プロパノール、ジイソプロパノールアミンおよびトリイソプロパノールアミン)およびN-アルキル化エタノールアミンから選択されるアミンなどのアミン;或いは
- それらの混合物
から選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項5】
前記解膠剤が前記建設バインダーの少なくとも0.25重量%を占めることを特徴とする、請求項1~4のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項6】
前記活性剤組成物が前記建設バインダーの少なくとも10重量%を占めることを特徴とする、請求項1~5のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項7】
前記原粘土マトリックスと前記解膠剤と前記活性剤組成物とが2成分系または多成分系を形成することを特徴とする、請求項1~6のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項8】
前記建設バインダーは、
- 30~80重量%の原粘土マトリックス、
- 0.25~20重量%の解膠剤、および
- 10~50重量%の活性剤組成物、
を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項9】
前記活性剤組成物が
、pKa12以上である化合物を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項10】
前記活性剤組成物がトリポリリン酸ナトリウムなどの有機リン化合物を含み、好ましくは当該有機リン化合物が前記建設バインダーの少なくとも2重量%を占めることを特徴とする、請求項1~9のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項11】
少なくとも
5重量%の金属酸化物を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項12】
前記金属酸化物が、FeO、Fe
3O
4、Fe
2O
3などの酸化鉄、アルミナAl
2O
3、酸化マンガン(II)MnO、酸化チタン(IV)TiO
2およびそれらの混合物などから選択されることを特徴とする、請求項11に記載の建設バインダー。
【請求項13】
高炉スラグ組成物を含み、好ましくは当該高炉スラグ組成物が前記建設バインダーの少なくとも5重量%を占めることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項14】
前記活性剤組成物がポルトランドセメントを含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項15】
前記活性剤組成物がメタカオリンを含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項16】
- 40~70重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~6重量%の解膠剤、
- 5~20重量%の活性剤組成物、および
- 20~45重量%の高炉スラグ、
を含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項17】
- 35~65重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~5重量%の解膠剤、
- 31~49重量%のポルトランドCEM1セメント
を含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項18】
- 35~65重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~5重量%の解膠剤、
- 10~30重量%の高炉スラグ、および
- 15~35重量%のポルトランドCEM1セメント
を含むことを特徴とする、請求項1~14のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項19】
- 45~70重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~6重量%の解膠剤、
- 10~35重量%の活性剤組成物、および
- 15~30重量%のメタカオリン
を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項20】
- 45~70重量%の原粘土マトリックス、
- 0.5~5重量%の解膠剤、
- 10~25重量%の活性剤組成物、
- 5~20重量%の高炉スラグ、および
- 15~30重量%のメタカオリン
を含むことを特徴とする、請求項1~15のいずれかに記載の建設バインダー。
【請求項21】
建設バインダーを調製する方法(100)であって、
- 少なくとも1つの原粘土マトリックスと1つの解膠剤と水とを含む粘土懸濁液を調製する工程(110)と、
- 前記粘土懸濁液に活性剤組成物を添加する工程(130)であって、前記活性剤組成物は、
pKa10以上である化合物を含むアルカリ性活性剤組成物で
ある工程(130)と、
- 前記建設バインダーが得られるように混合する工程(140)であって、前記建設バインダーは、少なくとも30重量%の原粘土マトリックス
と、少なくとも2重量%の金属酸化物とを含む工程(140)と、
を含む、建設バインダーを調製する方法。
【請求項22】
解膠された粘土懸濁液を得るために前記粘土懸濁液を混合する工程(120)を含み、当該混合する工程(120)の後に前記活性剤組成物が添加されることを特徴とする、請求項21に記載の建設バインダーを調製する方法。
【請求項23】
前記建設バインダーが、少なくとも50重量%、好ましくは50~80重量%の原粘土マトリックスを含むことを特徴とする、請求項21または22に記載の調製方法。
【請求項24】
前記解膠剤が、建設バインダーの少なくとも0.25重量%、好ましくは建設バインダーの少なくとも0.5重量%、より好ましくは建設バインダーの0.5~10重量%を占めることを特徴とする、請求項21~23のいずれかに記載の調製方法。
【請求項25】
前記活性剤組成物が、前記バインダーの少なくとも10重量%の含有量で存在することを特徴とする、請求項21~24のいずれかに記載の調製方法。
【請求項26】
充填剤、粉末、砂、小石、砂利、および/または繊維、並びに任意選択で顔料から選択される、リサイクルまたは非リサイクル骨材の添加を含むことを特徴とする、請求項21~25のいずれかに記載の調製方法。
【請求項27】
モルタル、コーティング、またはプラスターを形成するために砂および水を添加することを含むことを特徴とする、請求項21~25のいずれかに記載の調製方法。
【請求項28】
被覆要素、特にタイル、石板(スラブ)、敷石または縁取り(エッヂング)などの床被覆、内部または外部の正面要素、外装パネル、板張り要素などの壁被覆、またはタイルタイプの屋根被覆の製造のための、レンガなどの押出建設モジュールまたは成形建設モジュールの製造のための、或いは、さまざまな押出し形状の製造のための、請求項1~20のいずれかに記載の建設バインダーの使用。
【請求項29】
プレハブパネルタイプの建設パネル、ドア若しくは窓のまぐさなどのプレハブブロック、プレハブ壁要素、または、任意の他のプレハブの建設要素などの複合材料の製造のための、請求項1~20のいずれかに記載の建設バインダーの使用。
【請求項30】
仕切りパネルまたは軽量の断熱建設モジュールなどの断熱モジュール(1.5kg/L未満、好ましくは1.2kg/L未満、より好ましくは1.0kg/L未満、より好ましくは0.7kg/L未満の密度を有する)の製造のための、請求項1~20のいずれかに記載の建設バインダーの使用。
【請求項31】
3Dプリンターなどによる積層造形による、建設要素、建物若しくは家、または装飾品の製造のための、請求項1~20のいずれかに記載の建設バインダーの使用。
【請求項32】
一方では固体形態の組成、他方では液体形態の組成のいずれか、或いは、2つのペーストの形態の組成、を有する2成分系の形態での、シーラント、接着剤またはグラウトの製造のための、請求項1~20のいずれかに記載の建設バインダーの使用。
【請求項33】
建設バインダーの調製のための、原粘土マトリックスと
アルカリ性活性剤組成物とを組み合わせた解膠剤の使用であって、前記原粘土マトリックスは、前記建設バインダーの少なくとも30重量%を占め、前記
アルカリ性活性剤組成物は、
pKa10以上である化合物を含み、前記建設バインダーは、NF EN206-1規格で測定した28日目のシリンダーの最小圧縮強度が20MPa以上、好ましくは25MPa以上、より好ましくは40MPa以上であるコンクリートを得るため
であって、少なくとも2重量%の金属酸化物を含む、使用。
【国際調査報告】