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特表2022-519018供給ラインフィットメントを備えたアテレクトミーシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(54)【発明の名称】供給ラインフィットメントを備えたアテレクトミーシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/3207 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
A61B17/3207
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021540803
(86)(22)【出願日】2020-01-15
(85)【翻訳文提出日】2021-07-19
(86)【国際出願番号】 US2020013764
(87)【国際公開番号】W WO2020150405
(87)【国際公開日】2020-07-23
(31)【優先権主張番号】62/792,808
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500332814
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】フルーリー、クリスティ メイ
(72)【発明者】
【氏名】バダダマス、シャラス
(72)【発明者】
【氏名】ファラゴ、ラスズロ トレント
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160MM36
(57)【要約】
アテレクトミーシステムは、ハンドルハウジングを有するハンドルと、ハンドルハウジング内に配置され、かつ、ハンドルの中を通って延びてアテレクトミーバリに動作可能に接続された駆動ケーブルを回転させる駆動モーターとを含む。供給ラインはハンドルハウジングから延びる。供給ラインフィットメントは、ハンドルハウジングに配置され、供給ラインがハンドルハウジングから離間して複数の方向から選択される一定の方向に向けられるように、ハンドルハウジングに対して供給ラインを着脱自在に固定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルハウジングを有するハンドルと、
前記ハンドルハウジング内に配置された駆動モーターであって、前記ハンドルを貫通して延びてアテレクトミーバリに動作可能に接続された駆動ケーブルを回転させる前記駆動モーターと、
前記ハンドルハウジングから延びる供給ラインと、
前記ハンドルハウジングに対して配置される供給ラインフィットメントであって、前記供給ラインが前記ハンドルハウジングから離間して2つ以上の方向から選択された一定の方向に方向付けられるように、前記ハンドルハウジングに対して前記供給ラインを着脱自在に固定する前記供給ラインフィットメントと、
を備えるアテレクトミーシステム。
【請求項2】
前記供給ラインは、電力ラインを含む、請求項1に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項3】
前記供給ラインは、生理食塩水ラインを含む、請求項1に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項4】
前記供給ラインは、管状部材を備え、電力ライン及び生理食塩水ラインが前記管状部材の中を通過する、請求項1に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項5】
前記供給ラインフィットメントは、前記ハンドルハウジング内に形成された2つ以上の溝を含み、前記2つ以上の溝は、前記供給ラインが前記ハンドルハウジングから退出して複数の異なる方向に延びる、請求項1~4のいずれか一項に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項6】
前記供給ラインフィットメントは、前記ハンドルハウジングの近位端に固定された回転可能なノブを備え、前記回転可能なノブは、前記ハンドルハウジングに対して回転される把持可能部及び前記把持可能部から延びる中空の突起を含み、前記供給ラインは、前記中空の突起を貫通する、請求項1~4のいずれか一項に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項7】
前記供給ラインフィットメントは、部材の近位端で前記ハンドルハウジングに対して枢動可能に連結された前記部材を備え、前記部材は、前記供給ラインを着脱自在に固定するための固定具を含み、前記固定具は、前記部材の遠位端に固定される、請求項1~4のいずれか一項に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項8】
ハンドルハウジングを有するハンドルと、前記ハンドルハウジングは近位端を含んでおり、
前記ハンドルハウジング内に配置された駆動モーターであって、前記ハンドルを貫通して延びてアテレクトミーバリに動作可能に接続された駆動ケーブルを回転させる前記駆動モーターと、
前記ハンドルハウジングの近位端に固定された回転可能なノブであって、前記ハンドルハウジングに対して回転される把持可能部分及び前記把持可能部分から延びる中空の突起を含む前記回転可能なノブと、
前記回転可能なノブの前記中空の突起を貫通して延びる供給ラインと、
を備えるアテレクトミーシステム。
【請求項9】
前記回転可能なノブは、重力に反応する前記供給ラインによって決定される回転位置にまで回転する、請求項8に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項10】
前記回転可能なノブは、約180度の範囲に亘って回転する、請求項8に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項11】
前記回転可能なノブは、約180度の範囲を細分する1つ以上の戻り止めを含む、請求項8に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項12】
前記回転可能なノブは、約135度の範囲に亘って回転する、請求項8に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項13】
ハンドルハウジングを有するハンドルと、
前記ハンドルハウジング内に配置された駆動モーターであって、前記ハンドルを貫通して延びてアテレクトミーバリに動作可能に接続された駆動ケーブルを回転させる前記駆動モーターと、
前記ハンドルハウジングから延びる供給ラインと、
前記ハンドルハウジング内に形成された凹部であって、前記供給ラインが前記凹部を介してハンドルハウジングから退出する前記凹部と、
前記ハンドルハウジング内に形成されて、前記凹部から第1の方向に延びる第1の溝と、
前記ハンドルハウジング内に形成されて、前記凹部から前記第1の方向とは異なる第2の方向に延びる第2の溝と、
を備え、
前記供給ラインは、前記第1の溝又は前記第2の溝のうちのいずれか一方に着脱自在に係合される、アテレクトミーシステム。
【請求項14】
前記供給ラインは、電力ラインを含む、請求項13に記載のアテレクトミーシステム。
【請求項15】
前記供給ラインは、生理食塩水ラインを含む、請求項13に記載のアテレクトミーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療装置、並びに医療装置を製造及び使用するための方法に関する。より詳細には、本発明は、体管腔から閉塞物質を除去するための装置及び方法に関する。さらに、本発明は、血管などの体管腔の閉塞部位を貫通する通路を形成するためのアテレクトミー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの患者が、血流を妨げる閉塞した動脈やその他の血管の影響を受けている。閉塞には、血管の閉塞した部分を通過する血流が減少する部分的閉塞、又は閉塞された血管を通過する血流が実質的に遮断されている完全閉塞(例えば、慢性完全閉塞)がある。いくつかの場合には、ステントが治療された閉塞部位に配置される。しかしながら、ステント内で再狭窄が生じると、血管をさらに閉塞させて血流を制限する可能性がある。血行再建術には、様々な装置を使用して閉塞部分を通過して閉塞部分を貫通する開口部を形成又は拡張する工程が含まれる。アテレクトミーは、切開要素を搭載したカテーテルを閉塞部位の中を通って前進させて、閉塞部位を貫通する通路を形成したり、閉塞部位を拡張したりする技術である。閉塞部位の横断を容易にするための代替的なアテレクトミー装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、医療機器のための設計、材料、製造方法、及び代替的用途を提供する。例えば、本発明は、アテレクトミーシステムに関し、該アテレクトミーシステムは、ハンドルハウジングを有するハンドルを含み、駆動モーターは、ハンドルハウジング内に配置されて、ハンドルを貫通して延びてアテレクトミーバリに動作可能に接続された駆動ケーブルを回転させるように構成されている。供給ラインはハンドルハウジングから延びる。供給ラインフィットメントは、ハンドルハウジングに配置されて、供給ラインがハンドルハウジングから離間して複数の方向から選択された一定の方向に向けられるように、ハンドルハウジングに対して供給ラインを着脱自在に固定する。
【0004】
代替的又は追加的に、供給ラインは電力線を含んでよい。
代替的又は追加的に、供給ラインは生理食塩水ラインを含んでよい。
代替的又は追加的に、供給ラインは、管状部材を含んでもよく、電力線及び生理食塩水ラインはその管状部材を貫通する。
【0005】
代替的又は追加的に、供給ラインは、供給ラインフィットメントから離間した位置からハンドルを出てよい。
代替的又は追加的に、供給ラインは、供給ラインフィットメントに近接する位置からハンドルを出てもよい。
【0006】
代替的又は追加的に、供給ラインは、供給ラインフィットメントの中を通ってハンドルを出てもよい。
代替的又は追加的に、供給ラインフィットメントは、ハンドルハウジング内に形成された2つ以上の溝を含み、2つ以上の溝は、供給ラインがハンドルハウジングを出る部位とは異なる方向に延びる。
【0007】
代替的又は追加的に、供給ラインフィットメントは、ハンドルハウジングの近位端に対して固定された回転可能なノブを含み、回転可能なノブは、ハンドルハウジングに対して回転される把持可能部と、把持可能部から延びる中空の突起とを含み、供給ラインは中空の突起の中を通過する。
【0008】
代替的又は追加的に、供給ラインフィットメントは、部材の近位端でハンドルハウジングに枢動可能に連結される部材を含み、部材は、供給ラインを着脱自在に固定するための固定具を含み、固定具は、部材の遠位端に固定される。
【0009】
別例として、本開示は、近位端を備えたハンドルハウジングを有するハンドルを含むアテレクトミーシステムに関する。駆動モーターは、ハンドルハウジング内に配置され、ハンドルの中を通って延びてアテレクトミーバリに動作可能に接続された駆動ケーブルを回転させるように構成される。回転可能なノブは、ハンドルハウジングの近位端に固定されており、回転可能なノブは、ハンドルハウジングに対して回転される把持可能部と、把持可能部から延びる中空の突起とを含む。供給ラインは、回転可能なノブの中空の突起を貫通して延びる。
【0010】
代替的又は追加的に、回転可能なノブは、重力に反応する供給ラインによって決定される回転位置に回転するように構成されてよい。
代替的又は追加的に、回転可能なノブは、約180度の範囲に亘って回転するように構成されてよい。
【0011】
代替的又は追加的に、回転可能なノブは、約180度の範囲を細分する1つ以上の戻り止め(detent)を含んでよい。
代替的又は追加的に、回転可能なノブは、約135度の範囲に亘って回転するように構成されてよい。
【0012】
代替的又は追加的に、供給ラインは電力線を含んでよい。
代替的又は追加的に、供給ラインは生理食塩水ラインを含んでよい。
別例として、本開示は、アテレクトミーシステムに関し、該アテレクトミーシステムは、ハンドルハウジングを有するハンドルを備え、ハンドルハウジングは、ハンドルハウジング内に配置され、且つ、ハンドルを貫通して延びてアテレクトミーバリに動作可能に接続された駆動ケーブルを回転させるように構成された駆動モーターを含む。供給ラインはハンドルハウジングから延びる。ハンドルハウジングには凹部が形成され、供給ラインは凹部を介してハンドルハウジングから出る。第1の溝は、ハンドルハウジングに形成されて凹部から第1の方向に延び、第2の溝は、ハンドルハウジングに形成されて凹部から第1の方向とは異なる第2の方向に延びる。供給ラインは、第1の溝又は第2の溝のいずれかの内部で着脱自在に係合するように構成される。
【0013】
代替的又は追加的に、供給ラインは電力線を含んでよい。
代替的又は追加的に、供給ラインは生理食塩水ラインを含んでよい。
いくつかの実施形態の上記概要は、本発明の各実施形態又はすべての実装を説明することを意図していない。以下の図面及び詳細な説明は、これらの実施形態をより詳細に例示する。
【0014】
本発明は、添付図面に関連して本発明の様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮することにより、より完全に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】例示的なアテレクトミーシステムを示す概略図。
図2図1の例示的なアテレクトミーシステムとともに使用され得る例示的な供給ラインフィットメントを含むアドバンサーハンドルの一部を示す斜視図。
図3図1の例示的なアテレクトミーシステムとともに使用され得る例示的な供給ラインフィットメントを含む、アドバンサーハンドルの一部を示す側面図。
図4図1の例示的なアテレクトミーシステムとともに使用され得る例示的な供給ラインフィットメントを含む、アドバンサーハンドルの一部を示す側面図。
図5図1の例示的なアテレクトミーシステムとともに使用され得る例示的な供給ラインフィットメントを含む、アドバンサーハンドルの一部を示す側面図。
図6図1の例示的なアテレクトミーシステムとともに使用され得る例示的な供給ラインフィットメントを含む、アドバンサーハンドルの一部を示す側面図。
図7図1の例示的なアテレクトミーシステムとともに使用され得る例示的な供給ラインフィットメントを含む、アドバンサーハンドルの一部を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、様々な修正形態及び代替形態が可能であるが、そのうちの特別なものが例を示すことを目的として図面に示され、且つ詳細に説明されている。しかしながら、その意図は、本発明を説明する特定の実施形態に限定することではないことを理解されたい。むしろ、その意図は、本発明の趣旨及び範囲に含まれるすべての変更物、均等物、及び代替物を網羅することにある。
【0017】
以下の定義された用語については、請求項又は本明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、以下の定義が適用されるものとする。
本明細書では、全ての数値は、明記されているか否かに関係なく、「約」という用語で修飾されることが想定されている。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等である(つまり、同じ機能又は結果を有する)と見なすであろう数値範囲を指す。多くの場合には、「約」という用語には、最も近い有効数字に四捨五入される複数の数値が含まれてよい。
【0018】
終点による数値範囲の列挙には、その範囲内のすべての数値が含まれる(例えば、1~5には、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5が含まれる)。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するように、単数形「ひとつ(a)」、「ひとつ(an)」、及び「その(the)」は、内容が明らかに別に指示しない限り、複数の指示対象を含む。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用する場合、「又は(or)」という用語は、内容が明らかに別に指示しない限り、「及び/又は(and/or)」を含む意味で一般に使用される。
【0019】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれたい。図面では、異なる図面の類似する要素には同一番号が付されている。図面は必ずしも縮尺通りではないが、例示的な実施形態を示したものであり、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0020】
多くの患者が、閉塞した動脈、その他の血管、及び/又は体液の流れ(例えば、血液、胆汁など)を妨げる閉塞した管又は体管腔を患っている。閉塞には、血管の閉塞した部分を通過する血流が減少する部分的閉塞、又は閉塞した血管の中を通過する血流が実質的に遮断される完全閉塞(例えば、慢性完全閉塞)がある。血行再建術には、様々な装置を使用して閉塞部分を貫通させて閉塞部分に開口部を形成又は拡張する工程が含まれる。アテレクトミーは、切開要素を搭載したカテーテルを閉塞部分の中を貫通して前進させて、閉塞部分を貫通する通路を形成したり拡張したりする技術である。切開要素は、再狭窄が生じた場所において周囲の血管壁や以前に埋め込まれたステントを損傷することなく閉塞部分を切開することが望ましい。しかしながら、切開要素は、血管壁及び/又はステントに接触するように操作されたり前進されたりする場合がある。したがって、再狭窄が生じた場所において周囲の血管や以前に埋め込まれたステントに損傷を与えることなく閉塞部分を切開することができる材料を用いたり、アテレクトミー装置を設計したりすることが望ましい。加えて、切開要素は、柔かな閉塞物質だけでなく、石灰化した物質などの堅固な閉塞物質を除去する際にも有用であることが望ましい。本明細書に記載の方法及びシステムは、従来のアテレクトミー装置の有する欠点の少なくともいくつかを克服しつつ、閉塞物質を効果的に除去するように設計されている。例えば、本明細書に開示する装置及び方法のいくつかは、独特の切開面ジオメトリ及び/又は設計を有する切開要素を備える。
【0021】
図1は、例示的な回転式アテレクトミーシステム10を示す。回転式アテレクトミーシステム10は、回転式アテレクトミー装置12と、回転式アテレクトミー装置12を制御するための制御装置14とを含む。回転式アテレクトミー装置12は、ハウジング16と、ハウジング16から長尺状シャフト18の遠位端に配置された切開部材20まで遠位方向に延びる長尺状シャフト18を含む。長尺状シャフト18は、切開部材20に回転運動を付与するための駆動シャフト24を含む。いくつかの場合には、長尺状シャフト18は、長尺状シャフトを貫通して延びるルーメンを有する外側管状部材22を含み、駆動シャフト24は、外側管状部材22のルーメンを貫通して延びる。切開部材20に固定された駆動シャフト24は、外側管状部材22に対して回転して切開部材20を回転させることができる。いくつかの場合には、外側管状部材22に対する切開部材20の軸方向の位置は、外側管状部材22に対して駆動シャフト24を長手方向に動かすことによって調整することができる。例えば、アテレクトミー装置12は、ハウジング16内に配置、又はハウジング16とともに設けられたアドバンサーアセンブリ26を含み、それは、ハウジング16に対して長手方向に移動可能である。外側管状部材22は、ハウジング16に連結され、駆動シャフト24は、アドバンサーアセンブリ26に連結される。したがって、ハウジング16に対してアドバンサーアセンブリ26を作動させることによって、駆動シャフト24(したがって、切開部材20)は、外側管状部材22に対して長手方向に移動できる。
【0022】
回転式アテレクトミー装置52は、駆動シャフト24に回転運動を付与して切開部材20を回転させるための原動機(図示せず)を含む。例えば、いくつかの場合には、原動機は、例えば、アドバンサーアセンブリ26に設けられるようなハウジング16内の流体タービンである。しかしながら、別例では、原動機は電気モーターなどである。制御装置14が使用されて原動機は制御される。例えば、使用者は、原動機に電力を付与したり、制御装置14を介して駆動シャフト24の回転速度を制御したりし得る。例えば、制御装置14のフロントパネル28は、電源スイッチ、速度制御機構(例えば、速度制御ノブ及び/又はボタン)、ディスプレイ、及び/又は回転アテレクトミー装置12を制御するためのその他の要素を含むユーザインターフェースを含み得る。いくつかの場合には、回転式アテレクトミーシステム10は、例えば原動機への動力及び/又は速度を制御するために使用されるフットペダル、ハンドコントロール、又はその他の機構などの遠隔制御装置30を含む。
【0023】
原動機が電気モーターである場合、電気モーターは、電気接続39を介してコントローラー14に接続されて、電気モーターを制御したり、電気モーターに電気を供給したりし得る。
【0024】
いくつかの場合には、回転式アテレクトミー装置12は、速度データを制御装置14に提供するために、光ファイバコネクタなどのコネクタ38を介して制御装置14に接続された光速度センサーなどの速度センサーを含む。別例では、駆動シャフト24及び切開部材20の速度を感知するために、ホール効果センサーなどの電子センサー、又は他のタイプのセンサーが用いられてもよい。速度データは、フロントパネル28及び/又は制御装置14などに表示されたり、医療処置中に切開部材20の所望の速度を維持するなど、切開部材20の速度を制御するために使用され得る。
【0025】
いくつかの場合には、回転式アテレクトミーシステム10は、長尺状シャフト18の中を介して治療部位に対して流体を注入したり、治療部位から流体を吸引したりする。いくつかの場合には、回転式アテレクトミーシステム10は、吸引するための真空ライン36を含む。例えば、回転式アテレクトミーシステム10は、長尺状シャフト18のルーメンを介して治療部位に流体の流れを形成するために流体供給部40を含む。いくつかの場合には、流体供給部40は、圧力カフ44によって加圧されて、流体供給ライン46を介して回転式アテレクトミー装置12に加圧された流体(例えば、生理食塩水)を供給し得る生理食塩水バッグ42を含む。別例では、蠕動ポンプなどの注入ポンプを使用して、加圧された流体が回転式アテレクトミー装置12に送達される。追加的に又は代替的に、いくつかの場合には、回転式アテレクトミーシステム10は、治療部位から流体を吸引するように構成される。例えば、回転式アテレクトミーシステム10は、必要に応じて、蠕動ポンプなどの吸引ポンプを含み、真空を生成して長尺状シャフト18のルーメンを介して流体収集容器(図示せず)に流体を吸引し得る。
【0026】
いくつかの場合には、回転式アテレクトミー装置12の長尺状シャフト18は、ガイドワイヤ48に沿って治療部位に進行される。例えば、駆動シャフト24は、ガイドワイヤ48が貫通できるガイドワイヤルーメンを含む。追加的に又は代替的に、長尺状シャフト18は、ガイドカテーテルのルーメンを介して治療部位に進行されてもよい。
【0027】
回転式アテレクトミーシステム10に組み合わせて使用される多くの異なるラインが存在する。これらラインとして、真空ライン36、光ファイバーライン38、電力ライン39、及び流体供給ライン46などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。更なるラインも考えられる。いくつかの場合には、これらのラインの1つ以上のハウジング16から退出する方向を制御したい場合がある。図2図4は、これらのラインのうちの1つ以上のラインがハウジング16から退出する方向を制御するために、ハウジング16に対して実施することができる追加及び/又は変更の例を示す。処置室、カテーテル室、手術室などの特定の構成に応じて、特定のラインを特定の方向に向けることができることが役立つ場合がある。いくつかの場合には、ハウジング16は、特定のラインを特定の方向に向けるのを補助するために使用され得る供給ラインフィットメントを含むように変更され得る。供給ラインフィットメントは、ハウジング16の外部に追加され得る。いくつかの場合には、例えば、供給ラインフィットメントは、ハウジング16の外部に取り付けられ、又はハウジング16の外部に形成される。
【0028】
図2は、ハウジング16aの近位部分を示す斜視図であり、図2では、図1に示すハウジング16は、供給ラインフィットメント50を含めることによって変更されている。供給ラインフィットメント50は、ハウジング16とともに使用することができる。いくつかの場合には、図に示すように、供給ラインフィットメント50は、回転可能なノブ52と、回転可能なノブ52から延びる中空の突起54とを含む。回転可能なノブ52は、回転可能なノブ52を貫通して延びる回転軸Rを中心として回転させ得る。図示のように、供給ラインフィットメント50は、ハウジング16aの近位端56から近位方向に延びる。供給ラインフィットメント50は、必要に応じて、ハウジング16aの別の部分に固定することができる。図示のように、管状部材58は、中空の突起54を貫通して延びており、第1の供給ライン60及び第2の供給ライン6は管状部材58を貫通する。いくつかの場合には、管状部材58は管状部材ではなく、代わりに、第1の供給ライン60及び第2の供給ライン62の一部をともに固定するために使用される単なるテープである。第1の供給ライン60及び第2の供給ライン62はそれぞれ、真空ライン36、光ファイバーライン38、電力ライン39、及び流体供給ライン46を含むがこれらに限定されない図1に関して説明した複数の供給ラインのうちの1つを表す。
【0029】
いくつかの場合には、第1の供給ライン60及び/又は第2の供給ライン62の重量は、第1の供給ライン60及び/又は第2の供給ライン62が安定した位置に達して重力に応じてもはや移動しなくなるまで、回転可能なノブ52を回転させる。いくつかの場合には、例えば、第1の供給ライン60及び/又は第2の供給ライン62は、机上にあるか、又は単に空間にぶら下がっている。いくつかの場合には、回転可能なノブ52は、管状部材58及び/又は第1の供給ライン60及び第2の供給ライン62を損傷しないために、制限された回転範囲を有する。例えば、いくつかの場合には、回転可能なノブ52は、約180度を超える回転範囲を有するように構成される。回転可能なノブ52は、約180度の回転範囲を有するように構成されてもよい。回転可能なノブ52は、約135度の回転範囲を有するように構成されてもよい。回転可能なノブ52は、例えば約90度の回転範囲を有するように構成されてもよい。これらは、単なる例である。いくつかの場合には、回転可能なノブ52は、その回転範囲に亘って自由に回転する。いくつかの場合には、回転可能なノブ52は、使用者が1つ以上の所定の角度を見つけるための容易な方法を提供する1つ以上の戻り止めを有するように構成される。例えば、回転可能なノブ52が約180度の回転範囲を有する場合には、回転可能なノブ52は、45度、90度、及び135度に戻り止めを有するように構成されてもよい。いくつかの場合には、供給ライン60,62は、回転可能なノブ52の回転に対応するために、ハンドル16a内に更なる長さを有する。
【0030】
よって、供給ラインフィットメント50は、供給ライン60,62がハウジング16aから延びる特定の方向を使用者が選択することを可能にすることが理解できる。したがって、使用者は、処置室の物理的レイアウト及び処置室内の特定の機器の配置によりよく対応しながら、患者に適切な位置及び向きにハンドル16aを配置することができる。例えば、供給ライン60,62のうちの一方が生理食塩水ラインである場合、使用者は、処置室における生理食塩水供給部の特定の配置によりよく対応することができる。供給ライン60,62のうちの一方が電力ラインである場合、ユーザは、処置室内の電源の特定の配置によりよく対応することができる。
【0031】
図3は、ハウジング16bの近位部分を示す側面図であり、図1に示すハウジング16は、供給ラインフィットメント70を含めることによって変更されている。いくつかの場合には、図に示すようにハウジング16bは外面72を有し、供給ラインフィットメント70は外面72内に形成される。供給ラインフィットメント70は、例えば外面72に成形される。いくつかの場合には、供給ラインフィットメント70は、外面72に切り込まれてもよい。供給ラインフィットメント70は、管状部材58(又は個別に使用される場合には、各供給ライン60,62)がハウジング16bから出る凹部74を含む。供給ラインフィッティング70は、ハウジング16b内に形成されて凹部74から矢印78で示す第1の方向に延びる第1の溝76を含む。供給ラインフィッティング70は、ハウジング16b内に形成されて凹部74から矢印82で示す第2の方向に延びる第2の溝80を含む。合計2つの溝76,80が示されているが、いくつかの場合には、供給ラインフィットメント70は、3つ以上の別個の溝を含むことができ、それぞれは、さらなる方向の選択に対応するために異なる方向に延びることが理解できる。
【0032】
いくつかの場合には、供給ラインフィットメント70は、ハウジング16bの下面に形成される。いくつかの場合には、供給ラインフィットメント70は、ハウジング16bの側面又は上面に形成される。特定の部位に供給ラインフィットメント70を有することは、例えば特定の処置室で使用される特定の回転式アテレクトミーシステムでハウジング16bを使用するのに有益である。
【0033】
図4は、ハウジング16cの近位部分を示す側面図であり、この図では、図1に示すハウジング16は、供給ラインフィットメント90を含めることによって変更されている。供給ラインフィットメント90は、回動軸94を中心として枢動する回転可能部材92を含む。いくつかの場合には、回転可能部材92は、枢動軸94を介してハウジング16cに固定される。供給ラインフィッティング90は、管状部材58(又は供給ライン60,62を個別に)を回転可能部材92に着脱自在に固定するために使用される固定具96も含む。回転可能部材92は台形の形状を有するものとして示されているが、いくつかの場合には、回転可能な材92は様々な任意の異なる形状を有する。例えば、回転可能部材92は、三角形、丸みを帯びた形状、又は直線状の形状を有してよい。
【0034】
図4は、回転可能部材92の図示された位置によって示す第1の位置と、回転可能部材92が破線で示されて、回転可能部材92aとしてラベル付けされている第2の位置との間で回転可能なものとして供給ラインフィットメント90を示す。いくつかの場合には、回転可能部材92は、紙面内で第1の位置と第2の位置との間で自由に回動する。いくつかの場合には、管状部材58及び/又は供給ライン60,62の重量は、回転可能部材92が特定の位置に回転して、その特定の位置で安定させる。いくつかの場合には、回転可能部材92は、回転可能部材92と回動軸94との間、又はおそらく回転可能部材92とハウジング16cの外面98との間の相互作用によって形成される複数の戻り止めの間を移動する。例えば、ハウジング16cの外面98は、回転可能部材92に相互作用して回転可能部材92の動きを制御するように構成された1つ以上の隆起部を含み得る。いくつかの場合には、回動軸94を中心として回動する代わりに、回転可能部材92は、外面98に対してヒンジで固定されて、紙面の外方に枢動する。これらは単なる例である。
【0035】
固定具96は、回転可能部材92に対して管状部材58及び/又は供給ライン60,62を着脱自在に固定するように構成された様々な任意の異なる構造であり得る。例えば、図5は、回転可能部材92の下面に対して固定され、内部に管状部材58を受承して管状部材58の外面に摩擦係合するように構成された隆起状の留め具100(raised clasp)として固定具96を示す。いくつかの場合には、固定具96は、例えば図6に示すように、クリップ102,104を含む。クリップ102,104は、回転可能部材92の上面に形成された隆起した凸部又はその他の要素であり、管状部材58がその間に固定されることを可能にする距離だけ離間されている。図7は同様であるが、管状部材58の第1の側に沿って複数のクリップ102a,102b,102cを使用し、管状部材58の第2の側に沿って複数のクリップ104a,104b,104cを使用する。いくつかの場合には、回転可能部材92は、複数の固定具96を含み、供給ライン60,62は、管状部材58なしで、別々に固定される。いくつかの場合には、回転可能部材92は、複数の固定具96を含み、複数の固定具96はそれぞれ、異なる直径の供給ラインを固定するように構成される。
【0036】
本明細書は、多くの点で単なる例示であることを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、詳細において、特に形状、サイズ、及び工程の構成の事項に関して変更を行うことができる。これは、適切な範囲内で、1つの例示的な実施形態の要素の任意の使用が他の実施形態で使用されることを含み得る。本発明の範囲は言うまでもないが、添付の特許請求の範囲が表現する文言で定義される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】