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特表2022-519025改善された断熱値を有する熱硬化性発泡体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(54)【発明の名称】改善された断熱値を有する熱硬化性発泡体
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/00 20060101AFI20220311BHJP
【FI】
C08G18/00 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021542318
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 US2020016010
(87)【国際公開番号】W WO2020160346
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】62/800,022
(32)【優先日】2019-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500575824
【氏名又は名称】ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】Honeywell International Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100120754
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ビン
(72)【発明者】
【氏名】ハルス、ライアン
【テーマコード(参考)】
4J034
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DF01
4J034HA01
4J034HA06
4J034HA07
4J034HA08
4J034HB12
4J034HC03
4J034HC09
4J034HC12
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC63
4J034HC64
4J034HC65
4J034HC67
4J034HC71
4J034HC73
4J034NA02
4J034NA03
4J034QB17
4J034QB19
4J034QC01
4J034RA10
(57)【要約】
【解決手段】 (a)イソシアネートと、ポリオールと、少なくとも約50重量%の、トランス1233zdを含むヒドロハロオレフィンを含む物理発泡剤と、を含む、発泡性組成物を提供することであって、ポリオールは、トランス1233zdを含むヒドロハロオレフィンが、約30%未満のかかるポリオール中の溶解度を有するように、ポリオール又はポリオールの混合物を含む、ことと、(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む、発泡体を形成する方法が開示される。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱硬化性断熱発泡体を製造する方法であって、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、前記ポリオールは、前記物理発泡剤に対して少なくとも約50重量%の低溶解性ポリオールを含み、前記物理発泡剤は、少なくとも約50重量%のトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス1233zd)を含む、ことと、
(b)前記発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記発泡体が、約7mW/mK未満のデルタラムダを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリオールが、少なくとも約75重量%の低溶解度ポリオールを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリオールが、少なくとも約75重量%のポリエステルポリオールを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項5】
前記物理発泡剤が、少なくとも約75重量%の前記トランス1233zdを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項6】
前記物理発泡剤が、少なくとも約75重量%の前記トランス1233zdを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記低溶解性ポリオールがポリオール又はポリオールの混合物を含み、前記トランス1233zdが約25%未満の前記ポリオール中の溶解度を有し、前記発泡体が約6mW/mK未満のデルタラムダを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
熱硬化性断熱発泡体を製造する方法であって、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、前記物理発泡剤は、少なくとも約50重量%のトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス1233zd)を含み、前記ポリオールは、前記トランス1233zdが約25%未満の前記ポリオール中の溶解度を有するように、ポリオール又はポリオールの混合物を含む、ことと、
(b)前記発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む、方法。
【請求項9】
前記ポリオールは、前記トランス1233zdが約20%以下の前記ポリオール中の溶解度を有するように、ポリオール又はポリオールの混合物を含み、前記発泡体が20mW/mK以下の初期ラムダを有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記発泡体が、約7mW/mK未満のデルタラムダを有する、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第62/800022号に関する優先権の利益に関し、これを請求する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、改善された断熱特性を達成する熱硬化性発泡体、特にポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はその混合物、並びに発泡性組成物及び発泡性組成物を作製するための発泡方法に関する。
【背景技術】
【0003】
断熱を提供するための発泡体の使用は周知である。例えば、ポリイソシアヌレート(PIR)又はポリウレタン(PU)発泡体から作製された断熱ボードは、建物内及び/又は建物外への熱の流れに対する抵抗を提供するために、商業的、住宅用、及び工業用建物に使用されている。他の形態のPU及びPIR発泡体もまた、断熱値のために少なくとも部分的に使用されている。そのような発泡体はまた、特定の用途の必要性に応じて、低密度、優れた耐火性、及び/又は高い強度対重量比を有し得る。
【0004】
ポリウレタン発泡体は、典型的には、ポリイソシアネートを1つ以上の発泡剤、1つ以上の触媒、1つ以上の界面活性剤、及び任意選択で他の成分の存在下でポリイソシアネートを1つ以上のポリオールと反応させることによって生成される。PIR発泡体の場合、発泡体は、ポリイソシアネート自体を反応させて環状三量体構造を形成することによって形成される。実際には、ポリイソシアヌレートとして一般に記載される発泡体は、ポリウレタン及びポリイソシアヌレート構造体の両方を含有し、ポリウレタンとして記載される発泡体は、多くの場合、いくつかのポリイソシアヌレート構造を組み込む。したがって、本出願は、ポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、及びこれらの混合物に関する。発泡剤は、物理発泡剤又は化学発泡剤であってもよい。物理発泡剤は、ポリイソシアネートがポリオールと反応してその内部に泡を形成する際に発生する熱により揮発及び膨張することにより、液体混合物中に泡を生成する。ガス発生材料としても知られる化学発泡剤の場合、ガス種は、ポリウレタン及び/又はポリイソシアヌレート発泡体を生成するために使用される成分のうちの1つ以上と熱分解又は反応によって発生する。重合反応が進行すると、液体混合物は、セル状固体になり、その発泡体のセル内に発泡剤を封入する。
【0005】
特定の液体フルオロカーボン発泡剤は、これらの使用の容易さのために、他の要因の中でも使用することが一般的である。フッ化炭素は、それらの揮発性により物理発泡剤として作用するだけではなく、発泡体の独立セル構造に封入又は同調(entrained)され、かつ一般的に発泡体の低い熱伝導特性の主要原因でもある。発泡体が形成された後、生成された発泡体に関連するkファクター又はラムダは、発泡体を通した熱の移動に抵抗する発泡体の能力の尺度を提供する。より低いkファクターを有する発泡体は、熱伝達に対してより耐性があり、したがって一般的には断熱目的のためにより良好な発泡体である。したがって、より低いkファクター発泡体の生成は、一般的に望ましくかつ有利である。
【0006】
近年、気候変化に対する懸念は、オゾン層の枯渇及び気候変化規制の両方の要件を満たすことができる新世代の発泡剤の開発を推進している。これらの中には、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze)及び1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン(1336mzzm)が特に重要である特定のハイドロフルオロオレフィン、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd)が特に重要であるヒドロクロロフルオロオレフィンを含む特定のハイドロハロオレフィンがある。トランス-1,3,3,3-テトラフルオロプロペンの製造のためのプロセスは、米国特許第7,230,146号及び同第7,189,884号に開示されている。トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス1233zd)の製造のためのプロセスは、米国特許第6,844,475号及び同第6,403,847号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
PIR又はPU発泡断熱ボードは、長期間にわたって建物の一部として存在してもよい。操作条件下での25年の使用期間にわたる平均熱伝導率(ラムダ値又はkファクター)の推定は、工場で作製された硬質ポリウレタン及び建築物の断熱ボードとして使用されるポリイソシアヌレート発泡体製品のための欧州規格EN13165(2010)、及び、その場で形成されたスプレーされた硬質ポリウレタン及びポリイソシアヌレート発泡体製品のための欧州規格EN14315(2013)(その両方が参照により組み込まれる)を使用して行うことができる。
【0008】
発泡体のKファクター(又はラムダ)は、発泡体を形成するために使用されている発泡剤の断熱特性にこれまで概ね関連してきた。しかしながら、出願人らは、特にトランス-1233zdを含む特定の発泡剤では、発泡体の製造に使用される発泡剤とポリオールとの間の相互関係が、発泡体の初期Kファクターだけでなく、時効後の発泡体のKファクターにも著しい影響を及ぼし得ることを見出した。本発明は、少なくとも部分的に、物理発泡剤、特にクロロトリフルオロプロペン発泡剤、例えば特に、好ましくはトランス1233zdと、発泡体の形成に使用されるある種のポリオールとの相乗関係により、向上した断熱性を有する発泡体、例えば特に、発泡体の時効後の断熱性の維持能が向上した発泡体の形成能をもたらす、発明者らの予想外の発見に基づく。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施例による、PIR発泡体ベースの異なるポリオールの初期ラムダを示すグラフである。
図2図2は、PIR発泡体ベースの異なるポリオールの時効ラムダを示すグラフである。
図3図3は、実施例による、異なるポリオールを有する発泡体のデルタラムダを示すグラフである。
図4図4は、実施例による、異なるポリオールを有する各発泡体の初期ラムダを示すグラフである。
図5図5は、実施例による、異なるポリオールを有する各発泡体の時効ラムダを示すグラフである。
図6図6は、実施例による、異なるポリオールを有する各発泡体のデルタラムダを示すグラフである。
図7図7は、実施例による、吹き付け発泡体中の溶解度のラムダに対する影響を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、優れた断熱特性(例えば好ましくは、低初期ラムダ値、低時効ラムダ値、及び/又は、低デルタラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、かかる物理発泡剤に対して少なくとも約50重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)の低溶解性ポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約50重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のヒドロハロオレフィン発泡剤を含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法1と称する。
【0011】
本明細書で使用するとき、用語「低溶解性ポリオール」は、ヒドロフルオロオレフィン物理発泡剤が、かかるポリオール中に30%以下の溶解度を有することを意味する。
【0012】
本明細書で使用するとき、用語「ポリオール中の溶解度」は、本明細書の実施例で特定された手順に従って、又は本質的に同じ測定値+/-2%を提供する手順によって測定されるときの溶解度を意味する。
【0013】
成分の重量パーセントに関して本明細書で使用するとき、「約」は、示された重量パーセント+/-2%を意味する。
【0014】
本発明はまた、優れた断熱特性(例えば好ましくは、低初期ラムダ値、低時効ラムダ値、及び/又は、低デルタラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、かかる物理発泡剤に対して少なくとも約50重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)の低溶解性ポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約50重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(トランス1233zd)を含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法2と称する。
【0015】
本発明は、優れた断熱特性(好ましくは、低初期ラムダ値及び低時効ラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、少なくとも約75重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)の低溶解性ポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約50重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のヒドロハロオレフィン発泡剤を含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法3と称する。
【0016】
本発明は、優れた断熱特性(好ましくは、低初期ラムダ値及び低時効ラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、少なくとも約75重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)の低溶解性ポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約50重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のトランス1233zdを含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法4と称する。
【0017】
本発明は、優れた断熱特性(好ましくは、低初期ラムダ値、低時効ラムダ値、及び/又は、低デルタラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、少なくとも約90重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)の低溶解性ポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約50重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のヒドロハロオレフィン発泡剤を含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法5と称する。
【0018】
本発明は、優れた断熱特性(好ましくは、低初期ラムダ値、低時効ラムダ値、及び/又は、低デルタラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、少なくとも約90重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)の低溶解性ポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約50重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のトランス1233zdを含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法6と称する。
【0019】
本発明は、優れた断熱特性(好ましくは、低初期ラムダ値、低時効ラムダ値、及び/又は、低デルタラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、少なくとも約50重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)の低溶解性ポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約75重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のヒドロハロオレフィン発泡剤を含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法7と称する。
【0020】
本発明は、優れた断熱特性(好ましくは、低初期ラムダ値、低時効ラムダ値、及び/又は、低デルタラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、少なくとも約50重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)のポリエステルポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約75重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のトランス1233zdを含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法8と称する。
【0021】
本発明は、優れた断熱特性(好ましくは、低初期ラムダ値、低時効ラムダ値、及び/又は、低デルタラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、少なくとも約50重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)の低溶解性ポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約95重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のヒドロハロオレフィン発泡剤を含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法9と称する。
【0022】
本発明は、優れた断熱特性(好ましくは、低初期ラムダ値、低時効ラムダ値、及び/又は、低デルタラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、少なくとも約50重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)のポリエステルポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約95重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のトランス1233zdを含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法10と称する。
【0023】
本発明は、優れた断熱特性(好ましくは、低初期ラムダ値、低時効ラムダ値、及び/又は、低デルタラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、少なくとも約75重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)の低溶解性ポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約75重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のヒドロハロオレフィン発泡剤を含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法11と称する。
【0024】
本発明は、優れた断熱特性(好ましくは、低初期ラムダ値、低時効ラムダ値、及び/又は、低デルタラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、少なくとも約75重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)の低溶解性ポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約75重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のヒドロハロオレフィン発泡剤を含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法12と称する。
【0025】
本発明は、優れた断熱特性(好ましくは、低初期ラムダ値、低時効ラムダ値、及び/又は、低デルタラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、少なくとも約95重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)の低溶解性ポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約75重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のヒドロハロオレフィン発泡剤を含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法13と称する。
【0026】
本発明は、優れた断熱特性(好ましくは、低初期ラムダ値、低時効ラムダ値、及び/又は、低デルタラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、少なくとも約95重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)の低溶解性ポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約75重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のトランス1233zdを含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法14と称する。
【0027】
本発明は、優れた断熱特性(好ましくは、低初期ラムダ値、低時効ラムダ値、及び/又は、低デルタラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、少なくとも約95重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)の低溶解性ポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約95重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のヒドロハロオレフィンを含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法15と称する。
【0028】
本発明は、優れた断熱特性(好ましくは、低初期ラムダ値、低時効ラムダ値、及び/又は、低デルタラムダ値)を有する熱硬化性発泡体を製造する方法を含み、この方法は、
(a)イソシアネートと、ポリオールと、物理発泡剤とを含む発泡性組成物を提供することであって、かかるポリオールは、少なくとも約95重量%(発泡性組成物中のポリオールの合計に基づく)の低溶解性ポリオールを含み、かかる物理発泡剤は、少なくとも約95重量%(発泡体の形成に使用される物理発泡剤の総重量に基づく)のトランス1233zdを含む、ことと、
(b)かかる発泡性組成物から発泡体を形成することと、を含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法16と称する。
【0029】
本発明はまた、方法1、3、5、7、9、11、13及び15のそれぞれを含む、熱硬化性発泡体を製造する方法も含み、かかる低溶解性ポリオールはポリオール又はポリオールの混合物を含み、かかるヒドロハロオレフィン発泡剤は約25%未満のかかるポリオール中の溶解度(a solubility is said polyol)を有する。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法17と称する。
【0030】
本発明はまた、方法2、4、6、8、10、12、14及び16のそれぞれを含む、熱硬化性発泡体を製造する方法も含み、かかる低溶解性ポリオールはポリオール又はポリオールの混合物を含み、かかるトランス1233zdは約25%未満のかかるポリオール中の溶解度を有する。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法18と称する。
【0031】
本発明はまた、方法1、3、5、7、9、11、13及び15のそれぞれを含む、熱硬化性発泡体を製造する方法も含み、かかる低溶解性ポリオールはポリオール又はポリオールの混合物を含み、かかるヒドロハロオレフィン発泡剤は約20%未満のかかるポリオール中の溶解度を有する。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法19と称する。
【0032】
本発明はまた、方法2、4、6、8、10、12、14及び16のそれぞれを含む、熱硬化性発泡体を製造する方法も含み、かかる低溶解性ポリオールはポリオール又はポリオールの混合物を含み、かかるトランス1233zdは約20%未満のかかるポリオール中の溶解度を有する。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法20と称する。
【0033】
本発明はまた、方法1~20のそれぞれを含む、熱硬化性発泡体を製造する方法も含み、かかる低溶解性ポリオールはポリエステルポリオールを含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法21と称する。
【0034】
本発明はまた、方法1~20のそれぞれを含む、熱硬化性発泡体を製造する方法も含み、かかる低溶解性ポリオールは少なくとも約50重量%のポリエステルポリオールを含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法22と称する。
【0035】
本発明はまた、方法1~20のそれぞれを含む、熱硬化性発泡体を製造する方法も含み、かかる低溶解性ポリオールは少なくとも約75重量%のポリエステルポリオールを含む。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法23と称する。
【0036】
本発明はまた、方法1~20のそれぞれを含む、熱硬化性発泡体を製造する方法も含み、かかる低溶解性ポリオールはポリエステルポリオールから本質的になる。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法24と称する。
【0037】
本発明はまた、方法1~20のそれぞれを含む、熱硬化性発泡体を製造する方法も含み、かかる低溶解性ポリオールはポリエステルポリオールからなる。便宜上、本明細書では、本段落による方法を方法25と称する。
【0038】
本発明はまた、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書に記載の方法のいずれかから作製される発泡体も提供する。
【0039】
本発明は、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書に記載の方法のいずれかに従って作製される吹き付け発泡体を含む。
【0040】
本発明は、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書に記載の方法のいずれかに従って作製されるサンドイッチパネル発泡体を含む。
【0041】
本発明は、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書に記載の方法のいずれかに従って作製されるサンドイッチパネル発泡体を含む。
【0042】
本発明は、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書に記載の方法のいずれかに従って作製される電気器具用、例えば冷蔵庫、冷凍庫、及び温水器用発泡体を含む。
【0043】
本発明は、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書に記載の方法のいずれかに従って作製されるボードストックを含む。
【0044】
本発明は、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書に記載の方法のいずれかに従って作製されるブロック発泡体を含む。
【0045】
本発明は、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書に記載の方法のいずれかに従って作製されるパイプ発泡体を含む。
【0046】
本発明は、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書に記載の方法のいずれかに従って作製されるパイプ発泡体を含む。
【0047】
本発明は、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書に記載の方法のいずれかに従って作製される容器断熱発泡体を含む。
【0048】
本発明は、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書に記載の方法のいずれかに従って作製されるポアインプレース発泡体を含む。本発明は、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書に記載の方法のいずれかに従って作製されるPIR発泡体を含む。
【0049】
本発明は、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書に記載の方法のいずれかに従って作製されるPIR発泡体を含む。
【0050】
方法1~25のそれぞれを含む、上記の本発明の発泡体のそれぞれ及びいずれかは、ポリウレタン、ポリイソシアヌレート、又は2つの組み合わせであってよい。
【0051】
詳細な説明
発泡体
本発明は、7mW/mK(10℃)以下のデルタラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。本明細書で使用するとき、用語「デルタラムダ」は、本明細書の実施例に従って10℃で測定されるデルタラムダを指す。
【0052】
本発明は、7mW/mK(10℃)以下のデルタラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。本明細書で使用するとき、用語「デルタラムダ」は、本明細書の実施例に従って10℃で測定されるデルタラムダを指す。
【0053】
本発明は、約6mW/mK(10℃)以下のデルタラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。本明細書で使用するとき、デルタラムダ値に関連して本明細書で使用するときの用語「約」は、示される値+/-0.5を意味する。
【0054】
本発明は、約5mW/mK(10℃)以下のデルタラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。本発明は、5.5mW/mK(10℃)以下のデルタラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。
【0055】
本発明は、20mW/mK(10℃)以下の初期ラムダ値を有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。本明細書で使用するとき、用語「初期ラムダ」は、本明細書の実施例に従って10℃で測定されるラムダを指す。
【0056】
本発明は、約17mW/mK(10℃)以下の初期ラムダ値を有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。ラムダ値に関連して本明細書で使用するときの用語「約」は、示される値+/-0.1を意味する。
【0057】
本発明は、約27mW/mK以下の時効ラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。本明細書で使用するとき、用語「時効ラムダ」は、本明細書の実施例に記載される手順に従って、70℃で21日間時効させた後に測定されるラムダを指す。
【0058】
本発明は、約26mW/mK以下の時効ラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。
【0059】
本発明は、約25mW/mK以下の時効ラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。
【0060】
本発明は、約24mW/mK以下の時効ラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。
【0061】
本発明は、20mW/mK(10℃)以下の初期ラムダ値及び約27mW/mK以下の時効ラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。
【0062】
本発明は、20mW/mK(10℃)以下の初期ラムダ値及び約25mW/mK以下の時効ラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。
【0063】
本発明は、20mW/mK(10℃)以下の初期ラムダ値及び約24mW/mK以下の時効ラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。
【0064】
本発明は、17mW/mK(10℃)以下の初期ラムダ値及び約27mW/mK以下の時効ラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。
【0065】
本発明は、17mW/mK(10℃)以下の初期ラムダ値及び約25mW/mK以下の時効ラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。
【0066】
本発明は、17mW/mK(10℃)以下の初期ラムダ値及び約24mW/mK以下の時効ラムダを有する、方法1~25のそれぞれを含む、本明細書の方法のいずれかによって作製される、熱硬化性発泡体、好ましくはポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物を提供する。
【0067】
発泡性組成物
上述したように、本発明の発泡性組成物は、必須成分としての熱硬化性材料(好ましくはウレタン及び/又はイソシアヌレート)、ポリオール、及び物理発泡剤を含む。本明細書で必要とされるものとは別に、これらの構成成分の特定の特性及び量は、当業者に既知の広範な範囲にわたって提供されてもよく、以下に記載されるものを含む追加の任意の構成要素もまた、このような広い範囲で含まれてもよい。
【0068】
発泡剤
本発明の目的のために、物理発泡剤は、好ましくは、少なくとも約50重量%のトランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd)を含む。
【0069】
任意の共発泡剤としては、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze)、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブタ-2-エン(1336mzzm)が挙げられる。1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(1234ze)は、シス異性体、トランス異性体、又はこれらの組み合わせとして提供することができる。好ましくは、1,3,3,3-テトラフルオロプロペンが、トランス異性体として提供される。1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エン(1336mzzm)は、シス異性体、トランス異性体、又はこれらの組み合わせとして提供することができる。好ましくは、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロブト-2-エンが、シス異性体として提供される。
【0070】
方法1~25のそれぞれを含む、本発明の方法に従って使用される物理発泡剤は、トランス-1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(1233zd)を含んでもよく、これから本質的になってもよく、又はこれからなってもよい。
【0071】
発泡剤は、炭化水素、フルオロカーボン、クロロカーボン、フルオロクロロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハロゲン化炭化水素、エーテル、フッ素化エーテル、エステル、アセタール、アルコール、アルデヒド、ケトン、有機酸、ガス発生材料、水、二酸化炭素(CO)、又はそれらの組み合わせなどの1つ以上の追加の共発泡剤を更に含んでもよい。好ましい発泡剤は、150以下、好ましくは100以下、より好ましくは75以下の地球温暖化係数(GWP)を有する。本明細書で使用される場合、「GWP」は、参照により本明細書に組み込まれる「The Scientific Assessment of Ozone Depletion,2002,a report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project」に定義されるように、二酸化炭素のGWPに対して相対的に、かつ100年の計画対象期間にわたって測定される。好ましい」発泡剤は、0.05以下、好ましくは0.02以下、より好ましくは約ゼロのオゾン層破壊係数(ODP)を有する。本明細書で使用される場合、「ODP」は、参照により本明細書に組み込まれる「The Scientific Assessment of Ozone Depletion,2002,A report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project」に定義されるとおりである。
【0072】
好ましい任意の化学共発泡剤としては、水、CO及び/又はCOを生成する有機酸が挙げられる。
【0073】
好ましい任意の物理共発泡剤としては、CO、エーテル、ハロゲン化エーテル;エステル、アルコール、アルデヒド、ケトン;トランス1,2ジクロロエチレン;メチラール、ギ酸メチル;1,1,1,2-テトラフルオロエタン(134a)などのハイドロフルオロカーボン;1,1,2,2-テトラフルオロエタン(134);1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(365mfc);1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(227ea)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(236fa);1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン(236ea);1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(227ea)、1,1-ジフルオロエタン(152a);1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(245fa);ブタンなどの炭化水素;イソブタン;ノルマルペンタン;イソペンタン;シクロペンタン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0074】
より好ましくは、共発泡剤は、水、CO及び/又はCOを生成する有機酸、トランス-1,2-ジクロロエチレン;メチラール、ギ酸メチル;1,1,1,2-テトラフルオロエタン(134a);1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン(365mfc);1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン(227ea)、1,1-ジフルオロエタン(152a);1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(245fa);ブタン;イソブタン;ノルマルペンタン;イソペンタン;シクロペンタン、又はこれらの組み合わせである。
【0075】
トランス1234zdである発泡剤、及び任意選択な共発泡剤は、好ましくは、組成物中のポリオール及び発泡剤の重量で、約1重量%~約30重量%、好ましくは約3重量%~約25重量%、より好ましくは約5重量%~約25重量%の量で発泡性組成物中に存在する。
【0076】
ポリオール
上述したように、出願人らは、本発明の発泡性組成物に使用されるポリオールを注意深く選択すると、発泡体が時効するときの経時的な熱伝達抵抗の減少を含む、発泡体の熱伝達抵抗に、予想外であるが非常に有益な効果を有し得ることを見出した。したがって、本発明によるポリオールは、本明細書に記載される構造要件のうちの1つ(例えば、少なくとも50%のポリオールエステルに従って、及び/又は本明細書に記載される溶解度要件のうちの1つ(例えば、トランス1233zdに対する25%以下の溶解度)に従って選択されるべきである。これらの選択のうちの1つが本明細書の教示に従ってなされる場合、ポリオールは、ポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体又はそれらの混合物の調製において既知の方法でイソシアネートと反応する任意のポリオール又はポリオール混合物であり得る。有用なポリオールは、好ましいポリエステルポリオールに加えて、任意選択的に、例えば、スクロース含有ポリオール;フェノール、フェノールホルムアルデヒド含有ポリオール;グルコース含有ポリオール;ソルビトール含有ポリオール;メチルグルコシド含有ポリオールが挙げられ得る。
【0077】
ポリオール又はポリオールの混合物は、例えば、発泡性組成物の総重量に基づき、約20重量%~約70重量%、好ましくは約30重量%~約60重量%、より好ましくは約35重量%~約55重量%の量で発泡性組成物中に存在し得る。
【0078】
イソシアネート
本発明の目的のために、イソシアネートは、脂肪族及び芳香族ポリイソシアネートを含むポリウレタン及び/又はポリイソシアヌレート発泡体合成に用いることができる任意の有機ポリイソシアネートであり得る。好適な有機ポリイソシアネートとしては、ポリウレタン化学の分野において周知である脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族、及び複素環式イソシアネートが挙げられる。これらは、例えば、米国特許第4,868,224号、同第3,401,190号、同第3,454,606号、同第3,277,138号、同第3,492,330号、同第3,001,973号、同第3,394,164号、同第3,124.605号及び同第3,201,372号に記載され、これらの全てが参照により本明細書に組み込まれる。芳香族ポリイソシアネートが、クラスとして好ましい。
【0079】
代表的な有機ポリイソシアネートは、式:
R(NCO)
に対応し、式中、Rは、脂肪族、アラルキル、芳香族又はそれらの混合物である多価有機基であり、zは、Rの原子価に対応し、少なくとも2である整数である。本明細書で企図される代表的な有機ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ジイソシアネート、例えば2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-及び2,6-トルエンジイソシアネートの混合物、粗トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネート、粗メチレンジフェニルジイソシアネート;芳香族トリイソシアネート、例えば4,4’,4’’-トリフェニルメタントリイソシアネート、2,4,6-トルエントリイソシアネート;芳香族テトライソシアネート、例えば4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’5,5-’テトライソシアネート;アリールアルキルポリイソシアネート、例えばキシレンジイソシアネート;ヘキサメチレン-1,6-ジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステルなどの脂肪族ポリイソシアネート、及びこれらの混合物が挙げられる。他の有機ポリイソシアネートとしては、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、水素化メチレンジフェニルイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、1-メトキシフェニレン-2,4-ジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメトキシ-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニルジイソシアネート、及び3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネートが挙げられる。典型的な脂肪族ポリイソシアネートは、アルキレンジイソシアネート、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホレン(isophorene)ジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)などである。典型的な芳香族ポリイソシアネートとしては、m-及びp-フェニレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、2,4-及び2,6-トルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ビトイレンイソシアネート、1,4-ジイソシアネート、ビス(4-イソシアナトフェニル)メテン、ビス(2-メチル-4-イソシアナトフェニル)メタンなどが挙げられる。好ましいポリイソシアネートは、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、特に約30~約85重量%のメチレンビス(フェニルイソシアネート)を含有し、混合物の残りの部分が、2よりも高い官能性のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートである、混合物である。これらのポリイソシアネートは、当該分野において既知の従来の方法によって調製される。本発明では、ポリイソシアネート及びポリオールは、好ましくは、約0.9~約5.0の範囲のNCO/OH化学量論比をもたらす量で用いられる。本発明において、NCO/OH当量比は、好ましくは約1以上約4以下であり、理想的な範囲は、約1.1~約3である。特に好適な有機ポリイソシアネートには、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、メチレンビス(フェニルイソシアネート)、トルエンジイソシアネート、又はそれらの組み合わせが含まれる。
【0080】
他の構成成分
発泡性組成物に含まれ得る他の構成成分としては、シリコーン界面活性剤、非シリコーン界面活性剤、及び触媒(金属触媒及びアミン触媒及びこれらの組み合わせを含む(includind)が挙げられる。
【0081】
非シリコーン(Non-Silicon)界面活性剤
非シリコーン界面活性剤、例えば非シリコーン非イオン性界面活性剤としては、オキシエチル化アルキルフェノール、オキシエチル化脂肪族アルコール、パラフィン油、ヒマシ油エステル、リシノール酸エステル、ターキーレッド油、落花生油、パラフィン、及び脂肪族アルコールが挙げられ得る。好ましい非シリコーン非イオン性界面活性剤は、Air Products Corporationから市販されているLK-443若しくはDowからのVorasurf 504である。
【0082】
非シリコーン非イオン性界面活性剤が使用される場合、組成物中のポリオール、発泡剤、及びシリコーン(silicon)の重量に基づき、約0.25重量%~約3.0重量%、好ましくは約0.5重量%~約2.5重量%、より好ましくは約0.75重量%~約2.0重量%の量で組成物中に、通常存在する。
【0083】
触媒
触媒としては、アミン触媒及び/又は金属触媒を挙げられ得る。アミン触媒には、第一級アミン、第二級アミン、又は第三級アミンが含まれ得るが、これらに限定されない。有用な第三級アミン触媒としては、非排他的に、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N’-トリメチル-N’-ヒドロキシエチルビスアミノエチルエーテル、テトラメチルイミノビスプロピルアミン、2-[[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エチル]メチルアミノ]エタノール、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、N,N,N’,N’’,N’’-ペンタメチル-ジプロピレントリアミン、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、N,N-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)-N-イソプロパノールアミン、N’-(3-(ジメチルアミノ)プロピル)-N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、ビス(3-ジメチルアミノプロピル)-n,n-ジメチルプロパンジアミン、ビス-(2-ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N’,N’’-ジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン、テトラメチルイミノビスプロピルアミン、トリメチル-n’、2-ヒドロキシエチル-プロピレンジアミン、ビス-(3-アミノプロピル)-メチルアミン、N,N-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1-(ジメチルアミノ)ヘキサデカン、ベンジルジメチルアミン、3-ジメチルアミノプロピル尿素、ジシクロヘキシルメチルアミン;エチルジイソプロピルアミン;ジメチルイソプロピルアミン;メチルイソプロピルベンジルアミン;メチルシクロペンチルベンジルアミン;イソプロピル-sec-ブチル-トリフルオロエチルアミン;ジエチル-(α-フェニルエチル)アミン、トリ-n-プロピルアミン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。有用な第二級アミン触媒は、非排他的に、ジシクロヘキシルアミン;t-ブチルイソブチルアミン、ジ-t-ブチルアミン;シクロヘキシル-t-ブチルアミン;ジ-sec-ブチルアミン、ジシクロペンチルアミン;ジ-(α-トリフルオロメチルエチル)アミン;ジ-(α-フェニルエチル)アミン;又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0084】
他の有用なアミンとしては、モルホリン、イミダゾール、及びエーテル含有化合物が挙げられる。これらとしては、
ジモルフォリノジエチルエーテル
N-エチルモルホリン
N-メチルモルホリン
ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル
イミジゾール
n-メチルイミダゾール
1,2-ジメチルイミダゾール
ジモルフォリノジメチルエーテル
N,N,N’,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジエチレントリアミン
N,N,N’,N’,N’’,N’’-ペンタエチルジエチレントリアミン
N,N,N’,N’,N’’,N’’-ペンタメチルジプロピレントリアミン
ビス(ジエチルアミノエチル)エーテル
ビス(ジメチルアミノプロピル)エーテルが挙げられる。
【0085】
好適な非アミン触媒は、ビスマス、鉛、スズ、チタン、アンチモン、ウラン、カドミウム、コバルト、トリウム、アルミニウム、水銀、亜鉛、ニッケル、セリウム、モリブデン、バナジウム、銅、マンガン、ジルコニウム、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、バリウム、カルシウム、ハフニウム、ランタン、ニオビウム、タンタル、テルル、タングステン、セシウム、又はこれらの組み合わせを含有する有機金属化合物を含んでもよい。好ましくは、非アミン触媒は、ビスマス、鉛、スズ、亜鉛、ナトリウム、カリウム、又はこれらの組み合わせを含有する有機金属化合物を含む。
【0086】
非アミン触媒として、2-エチルヘキソン酸ビスマス、2-エチルヘキソン酸鉛、安息香酸鉛、カルボン酸の第一スズ塩、カルボン酸の亜鉛塩、カルボン酸のジアルキルスズ塩(例えば、ジブチルスズジラウレート、ジネオデカン酸ジメチルスズ、ジオクチルスズジネオデカノエート、ジブチルスズジラウリルメルカプチドジブチルスズジイソオクチルマレエートジメチルスズジラウリルメルカプチドジオクチルスズジラウリルメルカプチド、ジブチルスズジチオグリコール酸塩、ジオクチルスズジチオグリコレート)、酢酸カリウム、オクタン酸カリウム、2-エチルヘキサン酸カリウム、グリシン塩、第四級アンモニウムカルボキシレート、アルカリ金属カルボン酸塩及びスズ(II)2-エチルヘキサン酸塩又はそれらの組み合わせが挙げられる。
【0087】
三量化触媒は、ブレンドを過剰なイソシアネートと併せてポリイソシアヌレート-ポリウレタン発泡体に変換する目的で、使用され得る。用いられる三量化触媒は、グリシン塩、第三級アミン三量化触媒、第四級アンモニウムカルボキシレート、及びアルカリ金属カルボン酸塩、並びに様々な種類の触媒の混合物が挙げられるが、これらに限定されない、当業者に既知の任意の触媒であり得る。三量化触媒は、酢酸カリウム、オクタン酸カリウム、及びN-(2-ヒドロキシ-5-ノニルフェノール)メチル-N-メチルグリシンネートである。
【0088】
難燃剤
難燃剤は、発泡断熱ボードに追加され、炎の化学反応を抑制するか、材料の表面に保護チャー層を形成することにより、火の広がりを抑制又は遅延させる。一般に、難燃剤は、液体又は固体としてポリオールプレミックス又は発泡性組成物に添加される。代替的に、難燃剤を、イソシアヌレートで添加してもよく、又は発泡体を形成する前に別個の流れとして添加してもよい。一般的に難燃剤は、鉱物系、有機ハロゲン化合物又は有機リン化合物であり得る。発泡断熱ボードに使用される従来の難燃剤としては、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(1,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、トリ(2-クロロイソプロピル)ホスフェート、リン酸トリクレシル、トリ(2,2-ジクロロイソプロピル)ホスフェート、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホン酸ジエチル、メチルホスホン酸ジメチル、トリ(1,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、及びテトラキス-(2-クロロエチル)エチレンジホスフェート、リン酸トリエチル、リン酸アンモニウム、様々なハロゲン化芳香族化合物、アルミニウム三水和物、ジエチル-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネート(Fyrol6)及びメラミンが挙げられる。
【0089】
本発明の目的のために、ホスフェート系難燃剤は、好ましくは、トリス(2-クロロエチル)ホスフェート、トリス(2-クロロプロピル)ホスフェート、トリス(1,3-ジクロロプロピル)ホスフェート、トリ(2-クロロイソプロピル)ホスフェート、リン酸トリクレシル、トリ(2,2-ジクロロイソプロピル)ホスフェート、ジエチルN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネート、メチルホスホン酸ジメチル、トリ(1,3-ジクロロイソプロピル)ホスフェート、ジエチル-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネート(Fyrol6)、テトラキス-(2-クロロエチル)エチレンジホスフェート、リン酸トリエチル及びリン酸アンモニウム、より好ましくは、トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート(TCPP)、リン酸トリエチル(TEP)及びジエチル-N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネート(Fyrol6)からなる群から選択される。
【0090】
ポリオールプレミックス組成物中のホスフェート系難燃剤の量は、好ましくは25phpp以下、好ましくは20phpp以下、好ましくは15phpp以下、好ましくは10phpp以下、好ましくは5phpp以下である。好ましくは、発泡性組成物は、ホスフェート系難燃剤を含有しない。
【0091】
難燃剤は、ポリオールとブレンドすることができ、したがって、発泡性組成物の生成前に、ポリオール又はポリオール類の混合物とのポリオールプレミックス組成物で提供することができる。代替的に、難燃剤は、発泡性組成物の形成中に別個の流れとして添加することができる。本発明の目的のために、ホスフェート系難燃剤の量には、全てのホスフェート系難燃剤、すなわち、ポリオールプレミックス組成物中に存在するか、発泡性組成物の形成中に別個の流れとして添加されるホスフェート系難燃剤の量が含まれる。
【0092】
本発明者らは、ポリオールプレミックス組成物中のホスフェート系難燃剤の量を25phpp以下に制限することにより、70℃で21日間時効させた後、ポリオールプレミックス組成物から生成されたポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はそれらの混合物のラムダ時効を減らすことができることを以外にも発見した。
【0093】
その他
また、ポリオールプレミックス組成物には、染料、充填剤、顔料などの他の成分を含めることができる。分散剤及びセル安定剤を使用することができる。本明細書で使用するための従来の充填剤としては、例えば、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、ガラス繊維、カーボンブラック、及びシリカが挙げられる。充填剤は、使用される場合、通常、重量でポリオール100部当たり約5部~100部の範囲の量で存在する。本明細書で使用され得る顔料としては、任意の従来の顔料、例えば二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化アンチモン、クロムグリーン、クロムイエロー、鉄ブルーシエナ、モリブデンオレンジ、並びに有機顔料、例えば、パラレッド、ベンジジンイエロー、トルイジンレッド、トナー、及びフタロシアニンであってもよい。
【0094】
発泡方法
発泡剤、ポリオール、任意のその他構成成分、及びイソシアネートを使用するポリウレタン及び/又はポリイソシアヌレート発泡体の調製は、発泡体形成に関する当技術分野で既知の任意の方法に従うことができ、Saunders and Frisch,Volumes I and II Polyurethanes Chemistry and technology,1962、John Wiley and Sons,New York,N.Y.又はGum,Reese,Ulrich,Reaction Polymers,1992、Oxford University Press,New York,N.Y.又はKlempner and Sendijarevic,Polymeric Foams and Foam Technology,2004、Hanser Gardner Publications,Cincinnati,OHを参照されたい。一般に、ポリウレタン及び/又はポリイソシアヌレート発泡体は、とりわけイソシアネート及びポリオールプレミックス組成物を組み合わせることによって調製される。生成された発泡体は、好ましくは、剛性又は半剛性であり得る独立セル発泡体である。好ましくは、生成された発泡体は、硬質発泡体である。
【0095】
本発明の目的のために、イソシアネートは、特定のシリコーン界面活性剤などの他の成分と組み合わせて提供され得る。イソシアネートは、発泡剤と組み合わせることができるが、発泡剤が、本明細書では、少なくとも主に第1の態様のポリオールプレミックス組成物を含むことが想定される。しかしながら、本発明は、発泡剤の少なくとも一部がイソシアネートと組み合わされる選択肢を包含する。
【0096】
ポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレートフ発泡体又はそれらの混合物は、少量の調製のために手で混合し、好ましくはボード、ブロック、スラブ、積層板、ポアインプレースパネル及びその他のアイテム、スプレー塗布発泡体、浮渣などを形成するための連続的又は不連続的な生産技術により、イソシアネートとポリオールプレミックス組成物を一緒にすることにより調製される。任意に、着色剤、補助発泡剤、水、触媒、及び更に他のポリオールなどの他の成分が、混合ヘッド又は反応部位に流れとして添加され得る。しかしながら、最も便利には、それらは全て、上記のようにポリオールプレミックスに組み込まれる。
【0097】
本発明の目的のために、ポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体、又はこれらの混合物は、連続的又は不連続的なポアインプレースパネル、ボード又はスプレー塗布発泡体として生成される。
【0098】
具体的には、発泡体がボード又はパネルとして提供される場合、発泡体は、発泡性混合物をパネルの2つのフェーシングの間に注ぎ、発泡体を上昇させて、所望の長さに切断された「発泡体サンドイッチ」を生成することができる。パネルの化粧面は、アルミニウム箔、屋根紙、金属、木材などであり得る。次いで、得られたボード又はパネルを既存の建造物外囲器に適用するか、又は建物の外囲器を形成するために使用することができる。これらのパネルは、連続的又は不連続的なプロセスの両方によって生成することができる。
【0099】
生成されるポリウレタン発泡体、ポリイソシアヌレート発泡体又はそれらの混合物は、密度が約0.5ポンド/立方フィート~約60ポンド/立方フィート、好ましくは約1.0~20.0ポンド/立方フィート、最も好ましくは約1.5~6.0ポンド/立方フィートで異なり得る。得られる密度は、どれほどの発泡剤又は発泡剤混合物、加えて水又は共発泡剤などの補助発泡剤の量が、発泡体を調製するために使用されるかの関数である。
【0100】
用途
多くの用途の中でも、本発明の発泡体は、建物(例えば建築物エンベロープ)又はその外側の温度変動からエネルギー管理及び/又は断熱が望ましい任意の構造体を断熱するために使用されてよい。そのような構造には、これらに限定されないが、粘土、木材、石、金属、プラスチック、コンクリートなどから製造された、家、オフィスビル、又は他の構造住宅、商業、工業、農業、又はエネルギー効率と断熱が望ましくあり得る場所を含むがこれらに限定されない。
【0101】
したがって、本発明の態様は、本発明の第1の態様の方法によって製造される、ボード発泡体、発泡体コアパネル、又は吹き付け発泡体に関する。
【0102】
実験手順
ポリオールブレンド:以下の製剤に基づいて材料を混合することによってブレンドを調製した。
【0103】
発泡:発泡体は、以下に列挙される配合に基づいて手で混合することによって作製した。金型(30cm×30cm×10cm)を使用した。
【0104】
ラムダ値:LaserComp FOX50を使用して、試料サイズ20cm×20cm×2cmでラムダ値を記録した。
【0105】
1233zd(E)ガス溶解度:ポリオール/難燃剤中の1233zd(E)の溶解度は、マイクロバランスを利用する重量測定法を使用して測定される。マイクロバランスは、VTIモデルのGHP(高圧重量分析器)によって作製される。試料は純ガスで充填された環境内にあり、試料の重量増加は、一定の温度及び圧力において経時的に測定される。時間依存データから、溶解度を、初期及び平衡重量から決定することができる。
【0106】
実施例#1-異なるポリオール中の1233zd(E)ガス溶解度
異なる官能性を有するポリエステルポリオールを含む様々なポリオール、異なる官能性/異なる開始剤を有するポリエーテルポリオールを、30℃でマイクロバランスでの重量増加を測定することによって1233zd(E)ガス溶解度の試験のために選択した。表1に様々なポリオール中の1233zd(E)ガス溶解度がまとめられている。
【0107】
【表1】
【0108】
試験したポリオールの中で、Isoexter 4404-USは、1233zd(E)ガスについて最も低い溶解度を示し、Voranol 270は最も高い溶解度を示した。出願人らは、一般に、ポリエステルポリオールが、ポリエーテルポリオールよりも1233zd(E)について低い溶解度を有する傾向があることを見出した。
【0109】
実施例2 異なるポリオールに基づくPIR発泡体の初期ラムダ
表2は、ポリオールプレブレンドの組成を示す。これらのプレブレンドを、250の同じインデックスを有するイソシアネートM20と反応させることによってPIR発泡体の調製に使用した。
【0110】
【表2】
【0111】
新たに作製した発泡体を24時間硬化させた後、20cm×20cm×2cmの寸法のコア発泡体を切り出し、初期ラムダ測定を行った。
【0112】
各PIR発泡体の初期ラムダは、図1に示すように顕著に変化した。Terate HT 5510のポリエステルポリオールを使用した発泡体は、17.62mW/mK(10℃)の最も良好な初期ラムダを有し、一方、ポリエーテルポリオールであるVoranol 270を使用した発泡体は、23.8mW/mKの最も不良な初期ラムダを有した。
【0113】
実施例3 異なるポリオールに基づくPIR発泡体の時効ラムダ
初期ラムダを記録した後、全く同じ発泡体をオーブンにいれ、EN 13165の正規性試験の要件に基づいて、70℃で21日間時効させた。このような時効発泡体サンプルから、ラムダ値(時効ラムダ)を再度測定した。PIR発泡体の時効ラムダは、図2に示されるように、発泡体の調製に使用されたポリオールに応じて顕著に変化した。最も良好な時効ラムダを有する発泡体は、Terate HT 5510を使用したものであり、一方、Voranol 270から調製された発泡体は、最も不良な時効ラムダを有した。
【0114】
実施例4 異なるポリオールに基づくPIR発泡体の時効性能
発泡体の時効性能は、時効ラムダと初期ラムダとの差に基づいて得られたデルタラムダ値で判断することができる。
デルタラムダ=時効ラムダ-初期ラムダ
【0115】
図3は、発泡体に使用されるポリオールに依存する各発泡体の時効性能(デルタラムダ)を示す。Terate HT 5510を使用した発泡体は、4.53mW/mKの最も低いデルタラムダを伴う最も良好な時効性能を有し、一方、Voranol 270を使用した発泡体は、11.72mW/mKのデルタラムダを伴う最も不良な時効性能を有する。このような傾向は、各発泡体の初期ラムダに対するポリオールの影響についての観察と一致する。
【0116】
実施例5 各発泡体のガス溶解度と初期ラムダ、時効ラムダとデルタラムダの相関関係
図4に示されるように、実施例4の結果は、各ポリオール中の1233zd(E)溶解度(図中、線で示される右y軸の値)と、PIR発泡体の初期ラムダ(図中、棒で示される左y軸の値)に相関関係があったことを示す。最も良好な初期ラムダを有する発泡体は、1233zd(E)ガスに対する最も低い溶解度を有するポリオールを含有していた。
【0117】
発泡体の時効ラムダと、発泡体の調製に使用した1233zd(E)のガス溶解度には同様の相関関係が存在した(図5参照、ここで、各ポリオールへの溶解度は、図中に線で示され、値は右y軸であり、PIR発泡体の時効ラムダは、図中に乏で示され、値は左y軸である)。
【0118】
各ポリオール中の1233zd(E)のガス溶解度と、ポリオールを使用した発泡体の時効性能との間で、同様の結論を引き出すことができる(図6)。
【0119】
【表3】
【0120】
実施例6 吹き付け発泡体のラムダにおける1233zd(E)のガス溶解度の影響
ラムダ値に対するポリオール中の1233zd(E)のガス溶解度の影響は吹き付け発泡体で観察し、図7に示されている。試験した吹き付け発泡体の配合物を表3に記載する。
【0121】
【表4】
【0122】
ポリオールTerol 649は、ポリオールTerate HT5350よりも1233zd(E)のガス溶解度が高い。吹き付け発泡体中のTerol 649をTerate HT 5350で置き換えた場合、全てのラムダ値が改善された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】