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特表2022-519050サンプルの表面のオフアクシスイメージングのためのシステムおよび関連する方法およびコンピュータプログラム製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(54)【発明の名称】サンプルの表面のオフアクシスイメージングのためのシステムおよび関連する方法およびコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/107 20060101AFI20220311BHJP
   A61B 3/10 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
A61B3/107
A61B3/10 100
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544266
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(85)【翻訳文提出日】2021-07-28
(86)【国際出願番号】 US2020023544
(87)【国際公開番号】W WO2020191148
(87)【国際公開日】2020-09-24
(31)【優先権主張番号】62/821,556
(32)【優先日】2019-03-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501226778
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems Inc.
【住所又は居所原語表記】1700 Leider Lane, Buffalo Grove, IL 60089, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エイチ. ハート
(72)【発明者】
【氏名】ドロシー エム. ブランコ
(72)【発明者】
【氏名】エリック エル. バックランド
(72)【発明者】
【氏名】ミカエラ アール. メンドゥロウ
【テーマコード(参考)】
4C316
【Fターム(参考)】
4C316AA03
4C316AA24
4C316AA25
4C316AB02
4C316AB11
4C316FA18
4C316FB23
4C316FY03
(57)【要約】
サンプルから得られた画像の湾曲の頂点を決定するためのシステムが提供される。このシステムは、ラジアルパターンを使用してサンプルの複数のスキャンを取得するように構成されているイメージングシステムと、イメージングシステムに関連付けられたプロセッサとを含んでいる。プロセッサは、複数のスキャンのそれぞれをセグメント化し、サンプルの表面に曲線あてはめするように構成されており、複数のスキャンのそれぞれに関連付けられた各曲線の頂点を決定するように構成されており、最小値の導関数を使用して、決定されたすべての頂点の中から真の頂点を決定するように構成されており、決定された真の頂点に基づいてXYオフセットを計算するように構成されており、XとYとがゼロに等しい原点に真の頂点をマッピングするように構成されており、かつ計算されたオフセットに基づいて、真の頂点であると決定されなかった残りの頂点に関連付けられた座標を調整するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルから得られた画像の湾曲の頂点を決定するためのシステムであって、前記システムは、
ラジアルパターンを使用してサンプルの複数のスキャンを取得するように構成されているイメージングシステムと、
前記イメージングシステムに関連付けられたプロセッサと、
を含んでおり、
前記プロセッサは、
前記複数のスキャンのそれぞれをセグメント化し、前記サンプルの表面に曲線あてはめし、
前記複数のスキャンのそれぞれに関連付けられた各曲線の頂点を決定し、
最小値の導関数を使用して、決定されたすべての頂点の中から真の頂点を決定し、
決定された前記真の頂点に基づいてXYオフセットを計算し、
XとYとがゼロに等しい原点に前記真の頂点をマッピングし、
計算された前記オフセットに基づいて、前記真の頂点であると決定されなかった残りの頂点に関連付けられた座標を調整する、
ように構成されているシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、さらに、前記オフセットを計算した後に、前記複数のスキャンに存在する、ランダムノイズおよび非ランダムノイズのうちの1つであるノイズの程度を評価するように構成されており、
存在する前記ノイズが許容できないと決定された場合に、前記イメージングシステムは、計算された前記オフセットに基づいてスキャン原点を自動シフトさせて前記サンプルを再スキャンする、または、前記複数のスキャンを破棄して前記サンプルを再スキャンするように構成されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記プロセッサは、さらに、
入射角を提供するために、前記イメージングシステムのスキャンビームの曲線の傾斜の逆正接を計算し、
前記入射角を屈折計算および厚さ測定に適用する、
ように構成されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のスキャンは、前記サンプルの複数のBスキャンを含んでおり、前記イメージングシステムは、回転軸線を有するラジアルスキャンを使用して前記複数のBスキャンを取得するように構成されている、
請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサは、さらに、XY座標面上にプロットされたときに楕円を生成するように、前記複数のスキャンのそれぞれに関連付けられた各曲線に対して、決定された前記頂点のそれぞれをプロットするように構成されており、プロットされた頂点の1つは、前記真の頂点を含んでいる、
請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記サンプルは、対象の眼の角膜である、
請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記イメージングシステムは、光コヒーレンストモグラフィイメージングシステムを含んでいる、
請求項1記載のシステム。
【請求項8】
サンプルから得られた画像の湾曲の頂点を決定するための方法であって、前記方法は、
ラジアルパターンを使用してサンプルの複数のスキャンを取得するステップと、
前記複数のスキャンのそれぞれをセグメント化し、前記サンプルの表面に曲線あてはめするステップと、
前記複数のスキャンのそれぞれに関連付けられた各曲線の頂点を決定するステップと、
最小値の導関数を使用して、決定されたすべての頂点の中から真の頂点を決定するステップと、
決定された前記真の頂点に基づいてXYオフセットを計算するステップと、
XとYとがゼロに等しい原点に前記真の頂点をマッピングするステップと、
計算された前記オフセットに基づいて、前記真の頂点であると決定されなかった残りの頂点に関連付けられた座標を調整するステップと、
を含んでおり、
取得するステップ、セグメント化するステップ、頂点を決定するステップ、真の頂点を決定するステップ、計算するステップ、マッピングするステップおよび調整するステップの少なくとも1つを、少なくとも1つのプロセッサによって実行する、
方法。
【請求項9】
前記オフセットを計算するステップの後に、
前記複数のスキャンに存在する、ランダムノイズおよび非ランダムノイズのうちの1つであるノイズの程度を評価するするステップと、
存在する前記ノイズが許容できないと決定された場合に、計算された前記オフセットに基づいてスキャン原点を自動シフトさせて前記サンプルを再スキャンするステップ、または、前記複数のスキャンを破棄して前記サンプルを再スキャンするステップと、
が続く、
請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、
入射角を提供するために、イメージングシステムのスキャンビームの曲線の傾斜の逆正接を計算するステップと、
前記入射角を屈折計算および厚さ測定に適用するステップと、
をさらに含んでいる、
請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記複数のスキャンは、前記サンプルの複数のBスキャンを含んでおり、前記方法は、回転軸線を有するラジアルスキャンを使用して前記複数のBスキャンを取得するステップをさらに含んでいる、
請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記方法は、XY座標面上にプロットされたときに楕円を生成するように、前記複数のスキャンのそれぞれに関連付けられた各曲線に対して、決定された前記頂点のそれぞれをプロットするステップをさらに含んでおり、プロットされた頂点の1つは、前記真の頂点を含んでいる、
請求項8記載の方法。
【請求項13】
前記サンプルは、対象の眼の角膜である、
請求項8記載の方法。
【請求項14】
前記複数のスキャンを取得するステップは、光コヒーレンストモグラフィイメージングシステムを用いて前記複数のスキャンを取得するステップを含んでいる、
請求項8記載の方法。
【請求項15】
サンプルから得られた画像の湾曲の頂点を決定するためのコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラム製品は、
非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含んでおり、前記非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、前記媒体に具体化されているコンピュータ可読プログラムコードを有しており、前記コンピュータ可読プログラムコードは、
ラジアルパターンを使用してサンプルの複数のスキャンを取得するコンピュータ可読プログラムコードと、
前記複数のスキャンのそれぞれをセグメント化し、前記サンプルの表面に曲線あてはめするコンピュータ可読プログラムコードと、
前記複数のスキャンのそれぞれに関連付けられた各曲線の頂点を決定するコンピュータ可読プログラムコードと、
最小値の導関数を使用して、決定されたすべての頂点の中から真の頂点を決定するコンピュータ可読プログラムコードと、
決定された前記真の頂点に基づいてXYオフセットを計算するコンピュータ可読プログラムコードと、
XとYとがゼロに等しい原点に前記真の頂点をマッピングするコンピュータ可読プログラムコードと、
計算された前記オフセットに基づいて、前記真の頂点であると決定されなかった残りの頂点に関連付けられた座標を調整するコンピュータ可読プログラムコードと、
を含んでおり、
前記取得、前記セグメント化、頂点の前記決定、真の頂点の前記決定、前記計算、前記マッピングおよび前記調整の少なくとも1つは、少なくとも1つのプロセッサによって実行される、
コンピュータプログラム製品。
【請求項16】
前記コンピュータプログラム製品は、
前記複数のスキャンに存在する、ランダムノイズおよび非ランダムノイズのうちの1つであるノイズの程度を評価するコンピュータ可読プログラムコードと、
存在する前記ノイズが許容できないと決定された場合に、計算された前記オフセットに基づいてスキャン原点を自動シフトさせて前記サンプルを再スキャンするコンピュータ可読プログラムコード、または、前記複数のスキャンを破棄して前記サンプルを再スキャンするコンピュータ可読プログラムコードと、
をさらに含んでいる、
請求項15記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
前記コンピュータプログラム製品は、
入射角を提供するために、イメージングシステムのスキャンビームの曲線の傾斜の逆正接を計算するコンピュータ可読プログラムコードと、
前記入射角を屈折計算および厚さ測定に適用するコンピュータ可読プログラムコードと、
をさらに含んでいる、
請求項15記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
前記複数のスキャンは、前記サンプルの複数のBスキャンを含んでおり、前記コンピュータプログラム製品は、回転軸線を有するラジアルスキャンを使用して前記複数のBスキャンを取得するコンピュータ可読プログラムコードをさらに含んでいる、
請求項15記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
前記コンピュータプログラム製品は、XY座標面上にプロットされたときに楕円を生成するように、前記複数のスキャンのそれぞれに関連付けられた各曲線に対して、決定された前記頂点のそれぞれをプロットするコンピュータ可読プログラムコードをさらに含んでおり、プロットされた頂点の1つは、前記真の頂点を含んでいる、
請求項15記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
前記サンプルは、対象の眼の角膜であり、前記複数のスキャンを得る前記コンピュータ可読プログラムコードは、光コヒーレンストモグラフィイメージングシステムを用いて前記複数のスキャンを得るコンピュータ可読プログラムコードを含んでいる、
請求項15記載のコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本出願は、2019年3月21日に出願された米国仮出願第62/821556号「Methods, Systems and Computer Program Products for Off-Axis Imaging of a Surface of a Sample」に対する優先権を主張し、その内容は、その全体が記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府支援の記載
本発明の概念は、DOE(アメリカ合衆国エネルギー省)によるGAANNフェローシップの下での政府支援によって部分的に資金提供されている。合衆国政府は、本発明の概念における特定の権利を有している。
【0003】
分野
本発明の概念は、全般的に、イメージングシステム、より具体的には、サンプルの湾曲した表面のイメージングおよび関連するシステムおよびデバイスに関する。
【背景技術】
【0004】
手術用顕微鏡は、外科医に手術野の拡大図を提供する。眼科手術用顕微鏡は通例、外科医用の双眼ビューポートを備えたズーム式実体顕微鏡であり、しばしば外科医に対して90度(左右)に、1つまたは2つの観察者ビューポートを有している。顕微鏡の対物レンズと患者の眼の表面との間の作動距離は、外科医に十分な作業領域を与えるために、例えば、約100mm~約200mmの範囲であり得る。しかし、各作動距離が異なっていてよい。
【0005】
手術用顕微鏡は、均一な照明および正確な色温度を伴って、対象に明確な光学的視野を提供するように調整されている。実体顕微鏡は、ある程度の視差を提供して、外科医に空間およびトポグラフィの感覚を提供する。時折、トポグラフィを強調するために染料が使用される。視覚の明瞭さを向上させるために、高解像度ビデオが手術用顕微鏡に提供されている。現在、エンターテインメント業界から採用されたトポグラフィ三次元(3D)ビデオ技術、例えば偏波ダイバーシチ立体視が、奥行き感を高めるために付け足されている。
【0006】
そのような手術用実体顕微鏡は、表面の可視化に制約され得る。光コヒーレンストモグラフィ(OCT)は、現在、光学的に半透明の表面下をイメージングするための確立された技術である。高解像度OCTは、手術用実態顕微鏡、手術用高解像度顕微鏡および手術用3D顕微鏡の表面ビューを補完する表面下構造を観察する機能を提供する。光コヒーレンストモグラフィは網膜診断における標準的な治療であり、角膜イメージングでのいくつかの使用が見出されており、計測学OCTは、手術中イメージングでの使用を見出したばかりである。Bioptigen社は、麻酔下の患者をイメージングするために、アメリカ食品医薬品局(「FDA」)によって認可された、手持ち式眼科用OCTシステムを提供している。このデバイスは、網膜手術および角膜移植手術を含む眼科手術中の構造イメージングのため、かつ外科医の顕微鏡による視覚化の補助のために、手持ち式構造および取り付け式構造において使用されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
本発明の概念のいくつかの実施形態は、サンプルから得られた画像の湾曲の頂点を決定するためのシステムを提供する。このシステムは、ラジアルパターンを使用してサンプルの複数のスキャンを取得するように構成されているイメージングシステムと、イメージングシステムに関連付けられたプロセッサと、を含んでいる。プロセッサは、複数のスキャンのそれぞれをセグメント化し、サンプルの表面に曲線あてはめするように構成されており、複数のスキャンのそれぞれに関連付けられた各曲線の頂点を決定するように構成されており、最小値の導関数を使用して、決定されたすべての頂点の中から真の頂点を決定するように構成されており、決定された真の頂点に基づいてXYオフセットを計算するように構成されており、XとYとがゼロに等しい原点に真の頂点をマッピングするように構成されており、かつ計算されたオフセットに基づいて、真の頂点であると決定されなかった残りの頂点に関連付けられた座標を調整するように構成されている。
【0008】
別の実施形態では、プロセッサはさらに、オフセットを計算した後に、複数のスキャンに存在するノイズの程度を評価するように構成されていてよく、ノイズは、ランダムノイズおよび非ランダムノイズのうちの1つであり、存在するノイズが許容できないと決定された場合、イメージングシステムは、計算されたオフセットに基づいてスキャン原点を自動シフトさせてサンプルを再スキャンする、または複数のスキャンを破棄してサンプルを再スキャンするように構成されている。
【0009】
さらに別の実施形態では、プロセッサはさらに、入射角を提供するために、イメージングシステムのスキャンビームの曲線の傾斜の逆正接を計算し、入射角を屈折計算および厚さ測定に適用するように構成されていてよい。
【0010】
いくつかの実施形態では、複数のスキャンは、サンプルの複数のBスキャンであってよく、イメージングシステムは、回転軸線を有するラジアルスキャンを使用して複数のBスキャンを取得するように構成されていてよい。
【0011】
別の実施形態では、プロセッサはさらに、XY座標面上にプロットされたときに楕円を生成するように、複数のスキャンのそれぞれに関連付けられた各曲線に対して、決定された頂点のそれぞれをプロットするように構成されていてよく、ここで、プロットされた頂点の1つは真の頂点を含んでいる。
【0012】
さらに別の実施形態では、サンプルは、対象の眼の角膜であってよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、イメージングシステムは、光コヒーレンストモグラフィイメージングシステムであってよい。
【0014】
関連する方法およびコンピュータプログラム製品が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】眼の様々な領域を示す図である。
図2】角膜の実際のAPEXの周りの理想的なイメージングスキャンを示す図である。
図3】回転スキャン中の非理想的なAPEXを示す図である。
図4】スキャンされた画像から得られた楕円の図である。
図5】本発明の概念の様々な実施形態による動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の概念のいくつかの実施形態による、原点にセンタリングされていないローカル極座標系を示す図である。
図7】本発明の概念のいくつかの実施形態による、角膜のAPEX軸線と視覚軸線との間の角度を示す図である。
図8A】例示的なOCT網膜(後方)イメージングシステムを示すブロック図である。
図8B】例示的な光コヒーレンストモグラフィ(OCT)角膜(前方)イメージングシステムを示すブロック図である。
図9】本発明の概念の様々な実施形態によるイメージングシステムおよびデータ処理システムを含むシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の概念は、本発明の概念の実施形態が示されている添付の図を参照して、以降でより詳細に説明される。しかし本発明の概念は、多くの代替の形態で具体化されてよく、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0017】
したがって、本発明の概念は様々な修正および代替の形態に影響を受けやすいが、本発明の概念の特定の実施形態を、例として図面に示し、本明細書で詳細に説明する。しかし、本発明の概念を開示された特定の形態に限定する意図はなく、それとは反対に、本発明の概念は、特許請求の範囲によって規定された本発明の概念の精神および範囲内にあるすべての修正、同等物および代替物を網羅するものであることを理解されたい。同様の番号は、図の説明全体において同様の要素を指す。
【0018】
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、本発明の概念を限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が明らかに他を示さない限り、複数形も含むことを意図している。さらに、用語「comprise」、「comprising」、「includes」および/または「including」は、本明細書において使用される場合、記載された機能、整数、ステップ、動作、要素および/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つもしく複数の他の機能、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネントおよび/またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。さらに、ある要素が別の要素に「responsive」または「connected」であると記載される場合、これは、別の要素に直接的に応答するか、もしくは接続されているか、または介在する要素が存在する可能性がある。これに対して、ある要素が別の要素に「directly responsive」または「directly connected」であると記載されている場合、介在する要素は存在しない。本明細書で使用される用語「and/or」は、関連する、列挙された項目の1つまたは複数の任意のすべての組み合わせを含んでおり、「/」と省略され得る。
【0019】
別段の規定がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本発明の概念が属する当業者によって全般的に理解されるのと同じ意味を有している。さらに、本明細書で使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有していると解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように規定されない限り、理想化された意味または過度に形式的な意味で解釈されないことが理解される。
【0020】
本明細書では、様々な要素を説明するために第1、第2等の用語が使用されることがあるが、これらの要素はこれらの用語によって限定されるべきではないことが理解される。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためだけに使用される。例えば、本開示の教示から逸脱することなく、第1の要素は第2の要素と呼ばれてよく、同様に、第2の要素は第1の要素と呼ばれてよい。いくつかの図は、通信の主要な方向を示すために通信経路上の矢印を含むが、通信は、描かれた矢印とは反対の方向に発生する可能性があることを理解されたい。
【0021】
本開示の態様は、本開示の実施形態による方法、装置(システム)およびコンピュータプログラム製品のフローチャート図および/またはブロック図を参照して本明細書に記載されている。フローチャート図および/またはブロック図の各ブロック、およびフローチャート図および/またはブロック図のブロックの組み合わせが、コンピュータプログラム命令によって実装されることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または機械を製造するための他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されて、コンピュータまたは他のプログラム可能な命令実行装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図ブロックもしくはブロックで指定された機能/動作を実行するためのメカニズムを作成する。本明細書で使用される場合、「a processor」は、1つまたは複数のプロセッサを指す場合がある。
【0022】
これらのコンピュータプログラム命令はコンピュータ可読媒体に格納されていてもよく、これは実行されると、コンピュータ、他のプログラム可能なデータ処理装置または他のデバイスに特定の方法で機能するように指示することができ、その結果、これらの命令は、コンピュータ可読媒体に格納されると製品を製造し、これは命令を含んでおり、この命令は、実行されると、コンピュータに、フローチャートおよび/またはブロック図ブロックもしくはブロックで指定された機能/動作を実行させる。コンピュータプログラム命令は、コンピュータ、他のプログラム可能な命令実行装置または他のデバイスにロードされていてもよく、コンピュータ、他のプログラム可能な装置または他のデバイス上で一連の動作ステップを実行させて、コンピュータ実装されたプロセスを生成し、これによって、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で実行される命令が、フローチャートおよび/またはブロック図ブロックもしくはブロックで指定された機能/動作を実行するためのプロセスを提供する。
【0023】
本明細書で論じられる例の多くは、眼、具体的には、眼の網膜、角膜、前眼部および水晶体であるサンプル/対象に言及しているが、本発明の概念の実施形態は、このタイプのサンプルに限定されない。本明細書で論じられる実施形態に関連して使用され得るサンプルの任意のタイプが、本発明の概念の範囲から逸脱することなく使用されてよい。
【0024】
本発明の概念の実施形態は、サンプルをスキャンするための光コヒーレンストモグラフィ(OCT)の使用に焦点を合わせているが、本発明の概念の実施形態は、OCTの使用に限定されない。ラジアルパターンを使用してサンプルをスキャンする任意の方法およびシステムを、本発明の概念の範囲から逸脱することなく使用できることが理解される。
【0025】
さらに、本明細書で論じられるようなイメージングを、当技術分野の当業者に知られている任意の方法で実行することができる。例えば、いくつかの実施形態では、イメージングシステムは、顕微鏡または手術用顕微鏡に組み込まれていてよく、人工レンズ等の処方を正確に較正するために使用されてよい。これらの実施形態の変形は、例えば、米国特許第877412号および米国特許公開第2015/0168250号および第2015/0359426号において論じられており、それらの開示は、その全体が記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
本明細書で使用される場合、「subject(対象)」は、画像化される人、人の一部または物を指す。本発明の概念の実施形態は、対象である眼に関して、本明細書において論じられているが、本発明の概念の実施形態は、このような構成に限定されないことが理解される。対象は、本発明の概念の範囲から逸脱することなく、例えば、獣医学、死体研究または人間の対象を含む、任意の対象であってよい。
【0027】
光および透明材料の屈折特性(すなわちスネルの法則)を使用して厚さを計算する場合、材料の屈折率と表面湾曲に対する光(すなわちスキャンビーム)の入射角との両方が、高い精度で判明していなければならない。角膜の厚さを測定する場合は、表面湾曲および湾曲のApexに対するスキャンビームの位置が、組織表面への真の入射角を正しく決定するために使用される。イメージングプロセス中の対象物の動きは、厚さ測定にノイズを導入する。例えば、眼をイメージングする場合、対象の体内に血液が流れているため、眼は脈動する。この脈動によって、結果として得られる厚さマップに歪みが生じる可能性がある。したがって、結果として生じる厚さ計算の不正確さが除去されて、実際のまたは真の入射角が屈折計算において使用されることが保証される。本明細書において以降でより詳細に説明するように、各Apexのオフセットを計算することによって、対応する、入射角の変化を決定して、厚さ測定の精度を向上させるために、屈折計算に適用することができる。
【0028】
図1をはじめに参照して、その様々な領域を示している、眼の図が論じられる。図1に示されているように、眼には様々な関心領域があり、これは様々なイメージング特性を必要とし得る。例えば、OCTイメージング特性を例として使用すると、角膜領域である領域1は通常、比較的高い解像度のOCTイメージングを必要とする。角膜構造全体をイメージングするには、かなり大きな焦点深度(DOF)が望ましい。そのようなイメージングは、例えば、角膜移植手順のサポートにおいて望まれている。同様に、水晶体のイメージングである領域2は、嚢構造の高い解像度イメージングの恩恵を受ける。嚢構造または袋(水晶体嚢)は、水晶体を眼の中心位置に保持する構造である。嚢構造は全般的に、前嚢および後嚢を含んでいる。水晶体全体を一度に視覚化するには、通常、大きなDOFが必要である。対照的に、網膜上の構造、領域3は、制約された深さ領域にあり、非常に細かい傾向がある。したがって、網膜イメージングは通常、極めて高い解像度を必要とするが、必ずしも大きなDOFである必要はない。
【0029】
本明細書において、実施形態は、角膜の例とともに論じられているが、本発明の概念の実施形態は、それに限定されない。本明細書で論じられるシステム、方法およびコンピュータプログラム製品は、任意の凸面、例えば球面、非球面、角膜、コンタクトレンズ、眼内レンズ等に関して使用され得る。サンプルが何であれ、本発明の概念の実施形態を使用して、その真のAPEXを決定することができる。
【0030】
図2をここで参照して、図1の領域1に示されるような角膜の「理想的な」スキャンを示す図が論じられる。特に、サンプルが眼の角膜100であり、それがスキャンされる場合には、理想的には、スキャン回転または原点が、APEXTRUEにセンタリングされるだろう。APEXTRUEは、ANSI Z80.23規格によって、「局所的な主曲率の平均が最大となる、通常角膜の角膜表面上の位置」として定義されている。図2は、頂点の理想的な位置を示している。しかし、実際には、図3に示されているように、角膜がスキャンされる場合に、ずれまたは眼の動きによって、APEXREALはAPEXTRUEと同じ場所に配置されず、したがって、角膜のAPEXは、画像取得中、各スキャンの中心にない。例えば、論じたように、単に、眼を通る血液の脈動が、動きを引き起こすことがある。オフアクシスの状況を図3に示す。角膜の湾曲に対するOCTビームからの照明の法線入射の結果として、鏡面反射アーチファクトまたは「Perkinje反射」が存在し得る。OCTスキャンビームの光軸線を決定するために、この反射を使用することができるが、オフアクシスイメージングの場合には、角膜のAPEXTRUE位置でこれが生じないことがある。
【0031】
上から(画像を見下ろして)見た場合、すべてのAPEX点がプロットされていてよく、プロットされた一連の点は、例えば、図4に示されるように、楕円または部分楕円400を形成する。静止したサンプルでのオフアクシスイメージングの際には、部分楕円のみが形成されるということに留意されたい。従来、楕円の中心(C)は、角膜の実際のAPEXTRUEであると仮定されていた。この場合には、楕円のすべての点が中心点Cに登録されるだろう。しかし、この仮定は正しくなかった。実際、角膜(サンプル)のAPEXTRUEすなわち中心が実際に、楕円または部分楕円400の点の1つであるということが、本明細書で論じられた本発明の概念のいくつかの実施形態に応じて決定された。したがって、方法、システムおよびコンピュータプログラム製品は、ここで、実際の中心(APEXTRUE)の位置を特定し、楕円の中心ではなく、実際の中心に基づいてオフセットを計算するために提供される。この場合には、楕円上の残りの点を実際の中心にマッピング(登録)することができる。この場合、スキャンパラメータを相応に調整することができ、これによってスキャンの中心は角膜のAPEXTRUE上に位置し、所望であれば、新たなスキャンを、スキャンの回転中心で、角膜のAPEXTRUEによって行うことができる。新たなスキャンが望まれていない場合、屈折計算において入射角の値を調整するために、オフセットデータを使用することができる。
【0032】
さらに以降で論じられるように、本発明の概念のいくつかの実施形態は、角膜の厚さの計算におけるノイズを減らすために、角膜のAPEXを識別し、各Bスキャン角膜APEXの位置オフセットを計算し、すべてのAPEX点を真の角膜Apexに再マッピングするための方法、システムおよびコンピュータプログラム製品を提供する。
【0033】
図5をはじめに参照して、オフアクシスイメージングのための動作が論じられる。図5に示されているように、動作は、一連の角膜スキャンを取得することによって(ブロック500)から始まる。画像(一連のBスキャン)は、必ずしも角膜の実際のAPEXの周りにあるとは限らない回転軸線を用いたラジアルスキャンによって得られることが理解される。本発明の概念のこの態様は、角膜の真の中心Apex(APEXTRUE)への各BスキャンのオフアクシスAPEXの修正につながる。スキャンが完了すると、画像がセグメント化され、角膜表面を決定するために曲線あてはめされる(ブロック510)。各曲線のApexが計算され(ブロック520)、APEXTRUE点が最小値の導関数によって決定される(ブロック530)。上で論じたように、プロットされた場合にAPEX点は楕円または部分楕円400を形成するので、APEXTRUE点に対応する点が決定されなければならない。いくつかの実施形態では、角膜のAPEXTRUEは数式を使用して決定される。
【0034】
特に、デカルト座標における標準的な楕円体の上半分を考慮し、
【数1】
ここでドメイン
【数2】
であり、この表面の最大z値は原点で生じるだろう。Ωは、標準的な楕円体の上半分にあり、式1を満たす二次元の実数空間内の点のセット(x,y)を規定する。第2の点(x,y)∈Ωを考慮に入れると、そのz値(「高さ」)が、z軸に平行な任意の二次元断面に沿って最大である(1)を満たし、(x,y)を含んでいる点の軌跡が識別され得る。したがって、楕円内の点は、式1を使用して値zを計算することから得られることが理解される。これは、各Bスキャン画像内の最高標高点を表す。したがって、各Bスキャンのz点は、体積として表示されたときに、点の楕円を形成する。
【0035】
図6に示されているように、この問題を解決するために、ローカル座標系が極座標において規定され、
【数3】
になり、ここで、
【数4】
は極座標であり、ここで
【数5】
はローカル動径座標であり、
【数6】
は角度である。
【0036】
新しい座標系を適用し、
【数7】
を固定することによって、特定の断面の高さを、ローカル動径座標
【数8】
の関数として表すことができ、
【数9】
ここで、
【数10】
は、断面の高さを表す極座標形態における関数であり、これは、式1におけるデカルト座標におけるzに等しい。
【0037】
【数11】
のように、より簡単に表され、ここで
【数12】
である。
【0038】
(5)の最大値は、
【数13】
の場合に発生し、ここで、
【数14】
および
【数15】
はそれぞれ、
【数16】
の一次導関数および二次導関数である。
【0039】
(式10)がどこでも成り立つことを確認するために(式9)が規定され(具体的に、
【数17】
)、c>0であることに留意されたい。したがって、この問題は、
【数18】
を示すことと同等である。(x,y)は楕円体の領域にあり、(1)の結果、α≧0であり、ここでα=0は、特定の断面に対して、
【数19】
の場合にのみ発生する。しかし、
【数20】
は、
【数21】
を暗示し、これは、一次導関数が規定されているという仮定と矛盾する。したがって、αは厳密に正でなくてはならない。
【数22】
の場合、したがって
【数23】
の場合には、γも厳密に正であり、(4)は
【数24】
のすべての許可された値に対して成り立つ。
【0040】
したがって、(9)によって与えられた、固有の臨界点
【数25】
は最大の高さ
【数26】
を表す。座標の変更を元のデカルト系に戻って適用することは、そのようなすべての点(x,y,z)のすべてのセットが制約
【数27】
を満たさなければならないことを示し、これは、原点と(x,y)との中間にセンタリングされた楕円に対する式である。要素
【数28】
は、
【数29】
が、関数
【数30】
の最大値であるようなローカル動径座標である。同様に、zは、デカルト座標における式1の最大値である。(x,y,z)は、すべての制約を満たし、結果として、体積(Bスキャンの集合)またはAPEXTRUEにおける最大の高さになるデカルト座標である。
【0041】
したがって、上記の式は、角膜の実際の真のAPEXが楕円内に位置することを可能にし得る(ブロック530)。オフセットXYを計算することができ(ブロック530)、APEXTRUE点を原点にマッピングするために、このオフセットが使用されてよい(ブロック540)。さらに、残りのすべての計算されたApex点が同様にAPEXTRUE位置にマッピングされてよい(ブロック550)。
【0042】
オフセットが計算されると、ノイズの評価が行われる(ブロック560)。簡単に言えば、ノイズの存在の程度が許容される場合、BスキャンApex点が、各オフセットを用いて、角膜のAPEXTRUEに再マッピングされてよい。しかし、ノイズが許容されない場合、すなわち、計算されたBスキャンApex点が楕円基準に沿っていない場合、角膜の厚さを計算するためのデータセットからこのスキャンが破棄される。択一的に、イメージングシステムは、スキャン原点をAPEXTRUE位置に自動シフトさせ、再イメージングするように構成されていてよい。
【0043】
曲線あてはめアルゴリズム、したがって計算されたApex点に影響を与える可能性のある、少なくとも2つのタイプのノイズ、すなわちランダムノイズおよび非ランダムノイズが存在する。ランダムノイズは、眼の動き、眼の脈動または衝動性眼球運動等のバルク運動から発生する。非ランダムノイズは通常、フィットエラーに起因し、Apex点がApex点の楕円上に配置されない結果になる。画像内にランダムノイズが多すぎる場合は、ランダムノイズが少ない画像を取得するために、対象が再イメージングされてよい。隣接するBスキャンからの外挿を用いて、非ランダムノイズを除去することができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、オフセットが決定されると、精度向上のために、入射角を計算し、屈折計算および厚さ測定に適用することができる(ブロック570)。本明細書で使用する場合、「angle of incidence(入射角)」とは、スキャンビームの位置における曲線の傾斜の逆正接である。楕円上の点の1つがAPEXTRUE、(xTRUE,yTRUE)として同定されると、次に、入射角を
【数31】
のように計算することができる。
【0045】
例は、角膜およびOCTイメージングシステムを使用して本明細書で論じられているが、本発明の概念の実施形態は、この構成に限定されないことが理解される。ラジアルパターンを使用する任意の対象および/またはイメージングシステムは、本発明の概念の範囲から逸脱することなく、本発明の概念から利益を得ることができる。例えば、この技術を、眼内レンズ(IOL)の配置を支援するために、眼内レンズの光軸線をその場で位置付けるために適用することができる。
【0046】
特に、本発明の概念の実施形態は、光コヒーレンストモグラフィ(OCT)イメージングシステムにおいて使用され得る。これらのシステムは、例えば、その内容が、その全体が記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8777412号において論じられているように、眼科手術用顕微鏡に含まれていてよい。これらの画像システムは、白内障手術を含む様々なタイプの手術で使用されてよい。これらはまた、例えば、その内容が、その全体が記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2015/0168250号において論じられているように、コンタクトレンズをイメージングするために使用されてよい。
【0047】
次に、本発明の概念のいくつかの実施形態に従って使用される例示的なイメージングシステムを、図8Aおよび図8Bに関して論じる。これらのシステムは、例示の目的のためにのみ提供され、したがって、本発明の概念の実施形態は、それに限定されるべきではないことが理解される。ここで、従来のフーリエドメインOCT(FDOCT)システムについて論じ、これらのシステムに関連するいくつかの背景を提供する。最初に図8Aを参照して、FDOCT網膜イメージングシステムのブロック図について論じる。図8Aに示されているように、システムは、ビームスプリッタ120によって互いに結合されている広帯域光源100、基準アーム110およびサンプルアーム140を含んでいる。ビームスプリッタ120は、例えば、ファイバオプティックカプラまたはバルクオプティックカプラもしくはマイクロオプティックカプラであってよい。ビームスプリッタ120は、約50/50~約90/10の分割比を提供することができる。図8Aにさらに示されているように、ビームスプリッタ120は、光ファイバによって提供され得る検出経路106を介して、波長または周波数でサンプリングされた検出モジュール130にも結合されている。
【0048】
図8Aにさらに示されているように、光源100は、光源経路105によってビームスプリッタ120に結合されている。光源100は、例えば、連続波広帯域スーパールミネッセントダイオード、パルス広帯域光源または調整可能な光源であってよい。基準アーム110は、基準アーム経路107を介してビームスプリッタ120に結合されている。同様に、サンプルアーム140は、サンプルアーム経路108を介してビームスプリッタ120に結合されている。光源経路105、基準アーム経路107およびサンプルアーム経路108はすべて、光ファイバによって、または光ファイバと自由空間とバルク光学要素もしくはマイクロ光学要素との組み合わせによって提供され得る。
【0049】
図8Aに示されているように、FDOCT網膜イメージングシステムの基準アームは、コリメータアセンブリ180、中性濃度フィルタまたは可変アパーチャを含み得る可変減衰器181、ミラーアセンブリ182、基準アーム可変経路長調整183および経路長整合位置150、すなわち、基準アーム経路長と関心対象領域までのサンプルアーム経路長との間の光路長整合を含んでいてよい。さらに図示されているように、サンプルアーム140は、二軸スキャナアセンブリ190と可変焦点191を備えた対物レンズとを含んでいてよい。
【0050】
図8Aに示されているサンプルは、角膜195、虹彩/瞳孔194、水晶体193および網膜196を含んでいる眼である。FDOCTイメージングウィンドウ170は、網膜196の近くに表現されている。網膜イメージングシステムは、眼の後方構造をイメージングするために、対物レンズに加えて、対象の眼の光学系、特に角膜195および水晶体193に依存する。さらに示されているように、対象内の関心領域170は、対象内の経路長整合位置197が所望の位置にあるように、焦点位置196および基準アーム経路長調整183の調整を通じて選択される。
【0051】
図8Bを次に参照して、FDOCT角膜(前方)イメージングシステムを示すブロック図について論じる。図8Bに示されているように、図8Bのシステムは、図8Aのシステムと極めて類似している。しかし、対物レンズの可変焦点が含まれている必要はなく、図8Bには含まれていない。図8Bの前方イメージングシステムは、前方構造に焦点合わせするために対象の光学系に依存することなく、前方構造を直接的にイメージングする。
【0052】
本発明の概念のいくつかの実施形態は、OCTスキャンを網膜観察レンズシステムのリレーレンズの中心に位置合わせするために使用され得る。眼科手術用顕微鏡と組み合わせて使用される第三者網膜観察レンズシステムの調整における高い変動性を考慮に入れると、このレンズシステムの光軸線の絶対的な位置は不明である。加えて、デバイスの清掃のために使用される殺菌プロセスの結果、コンポーネントが僅かに曲げられる、または変形されることがあり、これによって、手術用顕微鏡の光軸線に対する元のレンズ位置が古いものになってしまう。したがって、OCTスキャンの原点は全般的に、手術前に、網膜観察レンズシステムの中心に対して、再度センタリングされる。
【0053】
本発明の概念のさらなる実施形態では、OCTスキャンビームを手術用顕微鏡の眼のカメラ視野と一致する位置にオフセットするために、網膜観察光学系の中心の位置を使用することができる。
【0054】
上記の本発明の概念の実施形態の議論から明らかなように、本明細書で論じられた方法の多くは、コンピューティングデバイスによって提供される処理を必要とする。次に、図9を参照して、本発明の概念の実施形態に従って構成されたデータ処理システム930の例示的な実施形態を、図9に関して論じる。理解されるように、本発明の概念の範囲から逸脱することなく、データ処理システム930は、例えば、図8Aおよび図8Bのシステムに含まれていてよい、または図8Aおよび図8Bのシステムと通信する別個のデバイスであってよい。データ処理システム930は、ユーザインターフェース944、例えば、キーボードもしくはキーパッド、ディスプレイ、スピーカおよび/またはマイクロフォン等の入力デバイスと、プロセッサ938と通信するメモリ936と、を含んでいる。データ処理システム930はさらに、プロセッサ938とも通信するI/Oデータポート946を含んでいてよい。I/Oデータポート946を、データ処理システム930と別のコンピュータシステム、または例えば、インターネットプロトコル(IP)接続を使用するネットワークとの間で情報を転送するために使用することができる。これらのコンポーネントは、本明細書に説明されたように動作するように構成されていてよい、多くの従来のデータ処理システムにおいて使用されるもの等の従来のコンポーネントであってよい。
【0055】
図9にさらに示されているように、上で論じたように、データ処理システム930は、イメージングシステム980と通信することができる。イメージングシステム980は、本発明の概念の範囲から逸脱することなく、データ処理システム930から分離されているか、またはデータ処理システム930の一部であってよい。上で論じたように、イメージングシステム980は、OCTイメージングシステム、例えば、図8Aおよび図8Bに示されたシステムであってよい、または本発明の概念の範囲から逸脱することなく、別のタイプのイメージングシステムであってよい。
【0056】
図中のフローチャートおよびブロック図は、本開示の様々な態様による、システム、方法およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能および動作を示している。これに関して、フローチャートまたはブロック図の各ブロックは、指定された論理機能を実装するための1つまたは複数の実行可能な命令を含んでいる、モジュール、セグメントまたはコードの一部を表していてよい。いくつかの代替の実装では、ブロックで示されている機能が、図に示されている順序とは異なって発生し得ることにも留意されるべきである。例えば、連続して示されている2つのブロックが、実際には、実質的に同時に実行される場合もあれば、これらのブロックが、関連する機能性に応じて、逆の順序で実行される場合もある。ブロック図および/またはフローチャート図の各ブロック、およびブロック図および/またはフローチャート図のブロックの組み合わせが、指定された機能または行動を実行する専用ハードウェアベースのシステムによって、または専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせによって実装され得ることにも留意される。
【0057】
本開示の説明は、例示および説明の目的で提示されたが、網羅的であることを意図するものではなく、または開示された形式での開示に限定されることを意図するものではない。本開示の範囲および精神から逸脱することなく、多くの修正および変形が当業者には明らかであろう。本明細書における開示の態様は、開示の原理および実際の適用を最もよく説明し、他の当業者が、考えられた特定の使用に適した様々な修正とともに、この開示を理解することができるようにするために選択および説明された。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
【国際調査報告】