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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(54)【発明の名称】副甲状腺ホルモンバリアント
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20220311BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220311BHJP
   C07K 16/00 20060101ALI20220311BHJP
   C07K 14/635 20060101ALI20220311BHJP
   C12N 15/16 20060101ALI20220311BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20220311BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20220311BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20220311BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20220311BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20220311BHJP
   C07K 1/16 20060101ALI20220311BHJP
   A61K 38/29 20060101ALI20220311BHJP
   A61P 5/18 20060101ALI20220311BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20220311BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
C12N15/62 Z
C07K19/00 ZNA
C07K16/00
C07K14/635
C12N15/16
C12N15/13
C12N15/63 Z
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C07K1/16
A61K38/29
A61P5/18
A61K47/64
A61K9/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544383
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(85)【翻訳文提出日】2021-08-27
(86)【国際出願番号】 US2020015634
(87)【国際公開番号】W WO2020160118
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】62/884,730
(32)【優先日】2019-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/798,113
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/800,744
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505166351
【氏名又は名称】シャイア-エヌピーエス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100116540
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 香
(72)【発明者】
【氏名】パン,クラーク
(72)【発明者】
【氏名】ノートン,アンジェラ
(72)【発明者】
【氏名】ホームズ,ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ロイド,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】グッドウィン,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】シー,ロンシン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン,スチット
(72)【発明者】
【氏名】シェン,チュアン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA12
4C076AA95
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC30
4C076CC41
4C076EE59
4C076FF31
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA07
4C084BA41
4C084DB32
4C084MA17
4C084MA66
4C084NA12
4C084NA13
4C084ZC061
4C084ZC062
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA40
4H045CA42
4H045DA30
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本発明は、副甲状腺ホルモン(PTH)バリアントおよびそれを含む医薬組成物に関する。本発明はさらに、改善された血清半減期およびピーク/トラフ比を有するPTH組成物、ならびに本発明のPTHバリアントおよび組成物を用いて血清カルシウムレベルを制御する方法に関する。本発明はさらに、本発明のPTHバリアントおよび組成物を用いて副甲状腺機能低下症および/または副甲状腺機能低下症に起因する低カルシウム血症を処置する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
副甲状腺ホルモン(PTH)-Fc融合タンパク質であって、ヒトIgG抗体のFc領域またはその誘導体に化学的に結合したC末端変異および/もしくは短縮型PTHまたはそのバリアントを含み、前記C末端変異および/もしくは短縮型PTHあるいはそのバリアントはPTH(1-34)ではない、PTH-Fc融合タンパク質。
【請求項2】
前記C末端変異および/もしくは短縮型PTHまたはそのバリアントが、変異型PTH(1-84)、PTH(1-74)、PTH(1-64)、PTH(1-54)、およびPTH(1-44)から選択される、請求項1に記載のPTH-Fc融合タンパク質。
【請求項3】
前記C末端変異および/もしくは短縮型PTHまたはそのバリアントが、変異型PTH(1-84)、PTH(1-83)、またはPTH(1-82)、またはPTH(1-81)、またはPTH(1-80)、またはPTH(1-79)、またはPTH(1-78)、またはPTH(1-77)、またはPTH(1-76)、またはPTH(1-75)、またはPTH(1-74)、またはPTH(1-73)、またはPTH(1-72)、またはPTH(1-71)、またはPTH(1-70)、またはPTH(1-69)、またはPTH(1-68)、またはPTH(1-67)、またはPTH(1-66)、またはPTH(1-65)、またはPTH(1-64)、またはPTH(1-63)、またはPTH(1-62)、またはPTH(1-61)、またはPTH(1-60)、またはPTH(1-59)、またはPTH(1-58)、またはPTH(1-57)、またはPTH(1-56)、またはPTH(1-55)、またはPTH(1-54)、またはPTH(1-53)、またはPTH(1-52)、またはPTH(1-51)、またはPTH(1-50)、またはPTH(1-49)、またはPTH(1-48)、またはPTH(1-47)、またはPTH(1-46)、またはPTH(1-45)、またはPTH(1-44)、またはPTH(1-43)、またはPTH(1-42)、またはPTH(1-41)、またはPTH(1-40)、またはPTH(1-39)、またはPTH(1-38)、またはPTH(1-37)、またはPTH(1-36)、またはPTH(1-35)、またはPTH(1-33)から選択される、請求項1に記載のPTH-Fc融合タンパク質。
【請求項4】
前記C末端変異および/もしくは短縮型PTHまたはそのバリアントがPTH(1-74)である、請求項1~3のいずれか一項に記載のPTH-Fc融合タンパク質。
【請求項5】
前記Fc領域またはその誘導体が、L234AおよびL235A置換を含むhFcLALAである、請求項1~4のいずれか一項に記載のPTH-Fc融合タンパク質。
【請求項6】
前記PTHまたはそのバリアントが、F34A置換、F34D置換、V35S置換、またはV35T置換、あるいはそれらの組み合わせを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のPTH-Fc融合タンパク質。
【請求項7】
前記PTHまたはそのバリアントがグリコシル化されている、請求項1~6のいずれか一項に記載のPTH-Fc融合タンパク質。
【請求項8】
配列番号8のアミノ酸配列を有するPTH-66である、請求項1~7のいずれか一項に記載のPTH-Fc融合タンパク質。
【請求項9】
配列番号9のアミノ酸配列を有するPTH-67である、請求項1~7のいずれか一項に記載のPTH-Fc融合タンパク質。
【請求項10】
配列番号10のアミノ酸配列を有するPTH-68である、請求項1~7のいずれか一項に記載のPTH-Fc融合タンパク質。
【請求項11】
配列番号11のアミノ酸配列を有するPTH-69である、請求項1~7のいずれか一項に記載のPTH-Fc融合タンパク質。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載のPTH-Fc融合タンパク質をコードする核酸。
【請求項13】
請求項12に記載の核酸を含む発現ベクター。
【請求項14】
請求項12に記載の核酸または請求項13に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項15】
前記宿主細胞が、原核細胞、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞である、請求項14に記載の宿主細胞。
【請求項16】
前記宿主細胞がCHO細胞である、請求項14または15に記載の宿主細胞。
【請求項17】
PTH(1-84)の血清半減期よりも長い血清半減期を有する、請求項1~11のいずれかに記載のPTH-Fc融合タンパク質。
【請求項18】
PTH(1-84)の血清半減期よりも少なくとも2倍長い血清半減期を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のPTH-Fc融合タンパク質。
【請求項19】
PTH(1-84)の血清半減期よりも少なくとも10倍長い血清半減期を有する、請求項1~11のいずれかに記載のPTH-Fc融合タンパク質。
【請求項20】
PTH(1-84)の血清半減期よりも少なくとも20倍長い血清半減期を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載のPTH-Fc融合タンパク質。
【請求項21】
請求項1~11または17~20のいずれか一項に記載のPTH-Fc融合タンパク質および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項22】
請求項1~11または17~20のいずれか一項に記載のPTH-Fc融合タンパク質、あるいは請求項21に記載の医薬組成物を含む、医薬製剤。
【請求項23】
注射または注入による投与に適した液体剤形である、請求項22に記載の医薬製剤。
【請求項24】
必要とする対象における血清カルシウムレベルを制御する方法であって、請求項1~11または17~20のPTH-Fc融合タンパク質、請求項21の医薬組成物、あるいは請求項22または23の医薬製剤の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項25】
前記対象が副甲状腺機能低下症を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記PTH-Fc融合タンパク質、医薬組成物、または医薬製剤が皮下投与される、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記PTH-Fc融合タンパク質、医薬組成物、または医薬製剤が1日1回投与される、請求項24~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記PTH-Fc融合タンパク質、医薬組成物、または医薬製剤が週に1回投与される、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記PTH-Fc融合タンパク質、医薬組成物、または医薬製剤が、約20μg/日~約100μg/日のPTH-Fc融合タンパク質の量で対象に提供される、請求項24~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
副甲状腺機能低下症を有する対象を処置する方法であって、請求項1~11または17~20のPTH-Fc融合タンパク質、請求項21の医薬組成物、あるいは請求項22または23の医薬製剤の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項31】
前記PTH-Fc融合タンパク質、医薬組成物、または医薬製剤が皮下投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記PTH-Fc融合タンパク質、医薬組成物、または医薬製剤が1日1回投与される、請求項30または31に記載の方法。
【請求項33】
前記PTH-Fc融合タンパク質、医薬組成物、または医薬製剤が、約20μg/日~約100μg/日のPTH-Fc融合タンパク質の量で対象に提供される、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症の対象を処置する方法であって、請求項1~11または17~20のPTH-Fc融合タンパク質、請求項21の医薬組成物、あるいは請求項22または23の医薬製剤の有効量を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項35】
前記PTH-Fc融合タンパク質、医薬組成物、または医薬製剤が皮下投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記PTH-Fc融合タンパク質、医薬組成物、または医薬製剤が1日1回投与される、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記PTH-Fc融合タンパク質、医薬組成物、または医薬製剤が、約20μg/日~約100μg/日のPTH-Fc融合タンパク質の量で対象に提供される、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記PTH-Fc融合タンパク質がPTHの1つのコピーおよびFcの1つのコピーを含む、請求項1~11または17~20のいずれか一項に記載のPTH-Fc融合タンパク質、請求項21に記載の医薬組成物、あるいは請求項22または23に記載の医薬製剤。
【請求項39】
前記PTH-Fc融合タンパク質がPTHの2つのコピーおよびFcの1つのコピーを含む、請求項1~11または17~20のいずれか一項に記載のPTH-Fc融合タンパク質、請求項21に記載の医薬組成物、あるいは請求項22または23に記載の医薬製剤。
【請求項40】
C末端短縮型副甲状腺ホルモン(PTH)-Fc融合タンパク質、またはPTH(1-74)を含むそのバリアントを調製する方法であって、マルチモーダルクロマトグラフィー樹脂を使用して前記(PTH)-Fc融合タンパク質を精製することを含む、方法。
【請求項41】
前記マルチモーダルクロマトグラフィー樹脂が、陽イオン交換樹脂および陰イオン交換樹脂を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記陽イオン交換樹脂がCapto MMC ImpResである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
(PTH)-Fc融合タンパク質が、50mMのMESバッファーにおいてpH6.0で結合される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記陰イオン交換樹脂がCapto Adhere ImpResである、請求項41記載の方法。
【請求項45】
(PTH)-Fc融合タンパク質が、50mM酢酸バッファーにおいてpH5.0で溶出される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
マルチモーダルクロマトグラフィー樹脂から(PTH)-Fc融合タンパク質を徐々に溶出させることをさらに含む、請求項40~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
精製された(PTH)-Fc融合タンパク質が10%未満の総断片化不純物を含む、請求項40~46のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2019年1月29日に出願された米国仮出願第62/798,113号、2019年2月4日に出願された米国仮出願第62/800,744号、および2019年8月9日に出願された米国仮出願第62/884,730号に基づく優先権を主張し、それらの開示は全体として本願明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、副甲状腺ホルモンバリアント(parathyroid hormone variant)およびそれを含む組成物に関する。本発明はさらに、血清半減期が改善された副甲状腺ホルモンバリアントおよび組成物、ならびに本発明の副甲状腺ホルモン組成物を用いて血清カルシウムレベルを制御する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
副甲状腺ホルモン(PTH)は、哺乳類の副甲状腺から分泌される84アミノ酸の産物であり、骨を含むさまざまな組織への作用をとおして血清カルシウムレベルを制御する。特定の形態のPTHを用いたヒトでの研究は、骨に対する同化作用を示し、骨粗鬆症および関連する骨障害、ならびに副甲状腺機能低下症の処置のためのその使用に大きな関心をもたらした。
【0004】
最初の34個のN末端アミノ酸は、PTHの唯一の既知の受容体である「PTH1R」において全長PTH(1-84)と同じ活性化を有することが知られている。例えば、非特許文献1~3を参照されたい。さらに、39-84や53-84などのC末端フラグメントは、受容体結合に関して1-34フラグメントと競合しないことが示されている。さらに、これらのC末端フラグメントはアデニル酸シクラーゼを活性化せず、それらのすべてが、PTHペプチドのC末端部分は無関係であるという結論をもたらした。参考文献4~6を参照されたい。
【0005】
しかしながら、PTHのC末端が生物活性に関連しないと考えられていたとしても、ペプチドのC末端部分は通常の輸送およびプロセシングに必要であることがわかっている。例えば、非特許文献7~12を参照されたい。特に、全長PTHが副甲状腺内でC末端フラグメントに切断され、これらのフラグメントが、血中のカルシウムイオン濃度の上昇に応答して分泌されるという証拠がある。N末端フラグメントは、インタクトPTHの形態にあるものを除いて、腺内に保存されまたは腺から分泌されるという証拠はこれまでない。非特許文献13~33を参照されたい。
【0006】
さらに、PTHのC末端領域が、ホルモンのこの領域に特異的な新規な受容体を有することは現在明らかである。例えば、非特許文献34を参照されたい。したがって、全長PTHは、N末端PTH類似体とは異なる生物学的特性を有する。
【0007】
しかしながら、骨の成長、カルシウムの生理機能、および補充に対する全長の副甲状腺ホルモンの重要性および効果は、おそらく、例えばカルシウムの影響として、まだ直ちには理解されていない。血中のPTHレベルの通常の毎日の上がり下がりは骨に大きな影響を及ぼし、PTHの注射は、骨粗鬆症で骨が失われている場合に新しい骨の成長を刺激することができる。
【0008】
副甲状腺機能低下症は、副甲状腺による副甲状腺ホルモン(PTH)の不十分な産生を特徴とする生涯にわたる疾患である。PTHはカルシウムとリン酸塩のレベルの調節に重要であるため、PTHの喪失は血中および骨のカルシウムレベルを低下させ、リン酸塩レベルを上昇させる(低カルシウム血症および高リン血症)。低カルシウム血症は、錯感覚(paresthesia)、筋肉の痙攣、喉頭痙攣(話すことができなくなり、根本的な病状を医療提供者に警告することができず、処置の遅れや不正確な処置につながる可能性がある)、および潜在的にテタニー(強直)や発作を含む、神経筋の易興奮性(neuromuscular irritability)などの症状を引き起こす。
【0009】
うまく処方されている他のタンパク質とは異なり、PTHはさまざまな形態の分解に特に感受性である。例えば、8位と18位のメチオニン残基で酸化が起こる可能性があり、酸化されたPTH種ox-M(8)-PTHおよびox-M(18)-PTHを生じさせ、一方、16位のアスパラギンで脱アミド化が起こる可能性があり、d16-PTHを生じさせる。ポリペプチド鎖は、N末端とC末端の両方でペプチド結合が切断されることによって短縮される。さらに、PTHはまた、表面に吸着し、非特異的な凝集体を形成し、および/または沈殿し、したがって、薬物の利用可能な濃度を低下させる可能性がある。これらすべての分解反応、およびそれらの組み合わせは、PTHの生物活性の部分的または完全な喪失につながる。したがって、PTHの製剤は、これらの分解反応を防止する必要がある。
【0010】
テリパラチド(Teriparatide)(Forteo(登録商標)のブランド名でイーライリリー・アンド・カンパニー(Eli Lilly and Co)により販売されているPTH(1-34))は、副甲状腺機能低下症のカルシトリオール療法の有効な代替療法として特定されており、高カルシウム尿症なしに正常な血清カルシウムレベルを維持できる。
【0011】
全長PTH(1-84)は、副甲状腺機能低下症の安全で有効な治療薬として最近承認された(Shire-NPS PharmaceuticalsからNATPARA(登録商標)のブランド名で販売されている)。これは副甲状腺機能低下症のための最初の特異的なホルモン代替物であり、カルシウムおよびビタミンDの補助として摂取される、1日1回の皮下注射可能物質である。ただし、in vivoでの半減期が短いため、NATPARAのヒトでの薬物動態プロファイルは、速いクリアランスおよび高いピーク/トラフ比を示し、それにより、血清カルシウムの日内変動が大きくなり、尿中のカルシウムレベルの上昇に関連する状態であるカルシウム尿症の制御が不十分になる。
【0012】
したがって、改善されたPTH受容体アゴニスト、特に、PTH受容体で長時間作用する活性およびより定常状態の生理学的プロファイルを有するPTH受容体アゴニストの必要性が存在する。非特許文献35を参照されたい。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Potts et al., Amer. Journ. of Med., 50: 639-649 (1971)
【非特許文献2】Potts et al., Proceed. of the 3rd Intern. Symp. of Endocrin., London, pp 333-349 (1971)
【非特許文献3】Tregear et al., Endocrin., 93: 1349-1353 (1973)
【非特許文献4】Segre et al., Journ. of Bio. Chem., 254: 6980-6986 (1979)
【非特許文献5】Nissenson et al., Journ. of Bio. Chem., 254: 1469-1475 (1979)
【非特許文献6】Potts et al., Adv. in Prot. Chem., 35: 323-396 (1982)
【非特許文献7】Kemper et al., Proceed. of the Nat. Acad. of Sciences, 71: 3731-3735 (1974)
【非特許文献8】Freeman et al., Molec. Endocrin., 1: 628-638 (1987)
【非特許文献9】Wiren et al., Journ. of Bio. Chem., 263: 19771-19777 (1988)
【非特許文献10】Cioffi et al., Journ. of Bio. Chem., 264: 15052-15058 (1989)
【非特許文献11】Karaplis et al., Journ. of Bio. Chem., 270: 1629-1635 (1995)
【非特許文献12】Lim et al., Endocrin., 131: 2325-2330 (1992)
【非特許文献13】Habener et al., Nature-New Biol., 238: 152-154 (1972)
【非特許文献14】Flueck et al., Journ. of Clin. Invest., 60: 1367-1375 (1977)
【非特許文献15】Mayer et al., Endocrin., 104: 1778-1784 (1979)
【非特許文献16】Chu et al., Endocrin., 93: 915-924 (1973)
【非特許文献17】Habener et al., Endocrin., 97: 431-441 (1975)
【非特許文献18】Russell et al., Journ. of Clin. Invest., 72: 1851-1855 (1983)
【非特許文献19】Heinrich et al., Endocrin., 112: 449-458 (1983)
【非特許文献20】Brookman et al., Journ. of Bone & Min. Res., 1: 529-537 (1986)
【非特許文献21】Sherwood et al., Proceed. of the Nat. Acad. of Sciences, 67: 1631-1638 (1970)
【非特許文献22】Arnaud et al., Amer. Journ. of Med., 50: 630-638 (1971)
【非特許文献23】Hanley et al., Journ. of Clin. Invest., 62: 1247-1254 (1978)
【非特許文献24】Di Bella et al., Journ. of Clin. Endocrin. & Metab., 46: 604-612 (1978)
【非特許文献25】Roos et al., Journ. of Clin. Endocrin. & Metab., 53: 709-721 (1981)
【非特許文献26】MacGregor et al., Endocrin., 112: 1019-1025 (1983)
【非特許文献27】Hanley et al., Journ. of Clin. Endocrin. & Metab., 63: 1075-1079 (1986)
【非特許文献28】Morrissey et al., Endocrin., 107: 164-171 (1980)
【非特許文献29】MacGregor et al., Journ. of Biol. Chem., 261: 1929-1934 (1986)
【非特許文献30】MacGregor et al., Journ. of Biol. Chem., 254: 4428-4433 (1979)
【非特許文献31】Kubler et al., Experim. & Clin. Endocrin., 88: 101-108 (1986)
【非特許文献32】Schachter et al., Surgery, 110: 1048-1052 (1991)
【非特許文献33】Tanguay et al., Endocrin., 128: 1863-1868 (1991)
【非特許文献34】Hodsman et al., J. Clin. Endocrinol. Metab., 88, pp. 5212-5220 (2003)
【非特許文献35】Winer KK et al, J. Clin. Endocrinol. Metab, 2003, 88(9), 4214-20
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の様々な非限定的な態様および実施形態を以下に説明する。
【0015】
一態様では、副甲状腺ホルモン(PTH)バリアントが提供される。いくつかの実施形態において、本発明によるPTHバリアントは、ヒトIgG抗体のFc領域またはその誘導体に化学的に結合したPTHまたはそのバリアントを含む、PTH-Fc融合タンパク質であり得る。一実施形態では、Fcに結合したPTHまたはそのバリアントは、全長PTH(すなわち、PTH(1-84))、または短縮型(truncated)PTH、例えば、C末端短縮型PTH、あるいはそれらのバリアントであり得る。一実施形態では、Fcに結合したPTHは、PTH(1-74)、またはPTH(1-64)、またはPTH(1-54)、またはPTH(1-44)であり得る。一実施形態では、Fcに結合したPTHは、PTH(1-34)ではない。一実施形態では、Fcに結合したPTHは、全長PTH(1-84)、例えば、変異型(mutated)PTH(1-84)であり得る。
【0016】
一実施形態では、Fcに結合したPTHは、PTH(1-35)からPTH(1-83)までの任意の長さであり得る。一実施形態では、Fcに結合したPTHは、PTH(1-33)であり得る。
【0017】
一実施形態では、Fcに結合したPTHは、PTH(1-84)、またはPTH(1-83)、またはPTH(1-82)、またはPTH(1-81)、またはPTH(1-80)、またはPTH(1-79)、またはPTH(1-78)、またはPTH(1-77)、またはPTH(1-76)、またはPTH(1-75)、またはPTH(1-74)、またはPTH(1-73)、またはPTH(1-72)、またはPTH(1-71)、またはPTH(1-70)、またはPTH(1-69)、またはPTH(1-68)、またはPTH(1-67)、またはPTH(1-66)、またはPTH(1-65)、またはPTH(1-64)、またはPTH(1-63)、またはPTH(1-62)、またはPTH(1-61)、またはPTH(1-60)、またはPTH(1-59)、またはPTH(1-58)、またはPTH(1-57)、またはPTH(1-56)、またはPTH(1-55)、またはPTH(1-54)、またはPTH(1-53)、またはPTH(1-52)、またはPTH(1-51)、またはPTH(1-50)、またはPTH(1-49)、またはPTH(1-48)、またはPTH(1-47)、またはPTH(1-46)、またはPTH(1-45)、またはPTH(1-44)、またはPTH(1-43)、またはPTH(1-42)、またはPTH(1-41)、またはPTH(1-40)、またはPTH(1-39)、またはPTH(1-38)、またはPTH(1-37)、またはPTH(1-36)、またはPTH(1-35)、またはPTH(1-33)であり得る。
【0018】
一実施形態では、Fcに結合したPTHのアミノ酸配列は、アミノ酸の置換、付加、または欠失から選択されるさらなる改変を含む。一実施形態では、Fcに結合したPTHは、F34A置換、F34D置換、V35S置換、またはV35T置換、あるいはそれらの組み合わせを含む。一実施形態では、Fcに結合したPTHは、例えば、ペグ化(PEG化)、グリコシル化など、さらに修飾されてもよい。一実施形態では、Fcに結合したPTHはPEG化されている。一実施形態では、Fcに結合したPTHはグリコシル化されている。一実施形態では、Fcは、ネイティブのFc形態である。別の実施形態では、Fcは、アミノ酸の置換、付加、または欠失から選択されるさらなる改変を含む。一実施形態では、Fcは、L234AおよびL235A置換を含むhFcLALAである。他の実施形態では、Fcは、例えばYang et al, mAbs, 2017, 9, 1105に記載されているように、また当技術分野で一般に知られている他の方法により、半減期延長の増大のために修飾され得る。
【0019】
一実施形態では、配列番号8~11のアミノ酸配列を有するFc結合PTHバリアントが提供される。
【0020】
一実施形態では、本発明によるFc結合PTHバリアントは、二価構造、すなわち、PTHの2つのコピーおよびFcの1つのコピーを有するものとして提供される。
【0021】
別の実施形態では、本発明によるFc結合PTHバリアントは、一価構造として、すなわち、PTHの1つのコピーおよびFcの1つのコピーを有するものとして提供される。一実施形態では、一価のPTH-Fcバリアントは、当技術分野で知られている重鎖変異(例えば、ノブおよびホールなど)を使用して調製され得る。当技術分野で知られている1つの方法は、例えば、米国特許第8,679,785号に記載されている。別の実施形態では、一価のPTH-Fcバリアントは、単量体Fcを使用して調製することができ、2つのFc部分が、リンカー(例えば、アミノ酸リンカー)を介して接続され得る。
【0022】
一実施形態では、本発明のPTH-Fc融合タンパク質の血清半減期は、PTH(1-84)の血清半減期よりも長い。一実施形態では、本発明のPTH-Fc融合タンパク質の血清半減期は、PTH(1-84)の血清半減期よりも、2倍長い、または3倍長い、または5倍長い、または10倍長い、または20倍長い、または30倍長い、または40倍長い。一実施形態では、本発明のPTH-Fc融合タンパク質は、PTH(1-84)の血清半減期よりも40倍長い血清半減期を有する。
【0023】
別の実施形態において、PTH-Fc融合タンパク質のピーク/トラフ比は、外因性PTH(1-84)のピーク/トラフ比よりも低い。一実施形態では、本発明のPTH-Fc融合タンパク質は、PTH(1-84)のピーク/トラフ比の1/2以下のピーク/トラフ比を有する。一実施形態では、本発明のPTH-Fc融合タンパク質は、PTH(1-84)のピーク/トラフ比の1/10以下のピーク/トラフ比を有する。
【0024】
いくつかの実施形態において、PTHバリアントは、PTHバリアントと直接結合したシグナルペプチドを含むPTHバリアント前駆体ポリペプチドからプロセシングされる。ポリペプチド上のシグナルペプチドは、PTHバリアントを生成するために使用される哺乳動物宿主細胞からのPTHバリアントの分泌を促進することができ、分泌後にシグナルペプチドはPTHバリアントから切断される。任意の数のシグナルペプチドを使用することができる。一実施形態では、シグナルペプチドは、以下の配列(IgKシグナルペプチド):METPAQLLFLLLLWLPDTTG(配列番号3)を有し得る。別の実施形態では、シグナルペプチドは、以下の配列(IgG重鎖シグナルペプチド):MEFGLSWLFLVAILKGVQC(配列番号4)を有し得る。さらに別の実施形態では、シグナルペプチドは、以下の配列(CD33シグナルペプチド):MPLLLLLPLLWAGALA(配列番号5)を有し得る。1つの特定の実施形態において、配列MPLLLLLPLLWAGALA(配列番号5)を有するCD33シグナルペプチドは、最適なシグナルペプチド切断を提供することができ、PTHバリアントの1位をインタクトな(無傷の)ままにする。
【0025】
別の態様では、本発明の少なくとも1つのPTH-Fc融合タンパク質と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物が提供される。
【0026】
別の態様では、本発明の少なくとも1つのPTH-Fc融合タンパク質または本発明の医薬組成物を含む医薬製剤(pharmaceutical dosage form)が提供される。一実施形態では、本発明の医薬製剤は液体剤形である。一実施形態では、医薬製剤は、注射または注入による投与に適している。
【0027】
別の態様では、本発明によるPTHバリアントをコードする核酸が提供される。一実施形態では、PTH-Fc融合バリアントタンパク質をコードする核酸が提供される。
【0028】
別の態様において、本発明によるPTHバリアントをコードする核酸を含む発現ベクターが提供される。一実施形態では、PTH-Fc融合バリアントタンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターが提供される。
【0029】
別の態様では、本発明によるPTHバリアントをコードする発現ベクターまたは核酸を含む宿主細胞が提供される。一実施形態では、PTH-Fc融合バリアントタンパク質をコードする発現ベクターまたは核酸を含む宿主細胞が提供される。一実施形態では、宿主細胞は、原核細胞、酵母細胞、昆虫細胞、または哺乳動物細胞である。一実施形態では、宿主細胞はCHO細胞である。
【0030】
別の態様において、それを必要とする対象における血清カルシウムおよびリン酸塩レベルを制御する方法が提供され、この方法は、本発明のPTHバリアント、または本発明のPTHバリアントを含む医薬組成物、または本発明のPTHバリアントを含む医薬製剤を対象に投与することを含む。
【0031】
別の態様では、それを必要とする対象における尿中カルシウムレベルを制御する方法が提供され、この方法は、本発明のPTHバリアント、または本発明のPTHバリアントを含む医薬組成物、または本発明のPTHバリアントを含む医薬製剤を対象に投与することを含む。
【0032】
別の態様において、副甲状腺機能低下症を有する対象を処置する方法が提供され、この方法は、本発明のPTHバリアント、または本発明のPTHバリアントを含む医薬組成物、または本発明のPTHバリアントを含む医薬製剤の有効量を対象に投与することを含む。
【0033】
別の態様において、副甲状腺機能低下症を有する対象を処置する方法が提供され、この方法は、本発明のPTHバリアント、または本発明のPTHバリアントを含む医薬組成物、または本発明のPTHバリアントを含む医薬製剤の有効量を対象に投与することを含む。
【0034】
いくつかの実施形態において、本発明のPTHバリアントは、1日2回、または1日1回、または2日ごと、または3日ごと、または5~8日ごとに投与される。一実施形態では、本発明のPTHバリアントは、1日1回投与される。一実施形態では、本発明のPTHバリアントは、週に1回投与される。一実施形態では、本発明のPTHバリアントは皮下投与される。
【0035】
いくつかの実施形態では、本発明のPTHバリアントの用量は、集団での変動のせいで、個体について滴定する必要がある可能性がある。一実施形態では、本発明のPTHバリアントは、約1μg/日~約500μg/日、または約2μg/日~約250μg/日、または約5μg/日~約100μg/日、または約10μg/日~約80μg/日、または約20μg/日~約100μg/日、または約50μg/日~約100μg/日、または約50μg/日、または約60μg/日、または約70μg/日、または約80μg/日、または約90μg/日、または約100μg/日の量で投与される。
【0036】
本発明のこれらおよび他の態様は、添付の特許請求の範囲を含めて本発明の以下の詳細な説明を読んだ後、当業者に明らかになるであろう。
【0037】
特許または出願ファイルは、少なくとも1つのカラーで作成された図面を含む。この特許または特許出願のカラー図面を含む刊行物のコピーは、申請および必要な料金の支払いに基づき、特許庁から提供される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】ラットへの単回皮下投与後の、さまざまなC末端短縮型PTH-Fc融合バリアントの時間の関数としての血清濃度の比較である。
図2A】マウスへの単回皮下投与後の、ビヒクル(リン酸バッファー)対照と比較した、PTH-66(PTH(1-74)-Fc融合体)の時間の関数としての血清カルシウム濃度を示す。
図2B】マウスへの単回皮下投与後の、ビヒクル(リン酸バッファー)対照と比較した、PTH-66(PTH(1-74)-Fc融合体)の時間の関数としての尿中カルシウム濃度を示す。
図3A】単回皮下注射後のTxPTxラットにおけるさまざまな濃度でのPTH-66(PTH(1-74)-Fc)融合体のPKデータを示す。
図3B】単回皮下注射後のTxPTxラットにおける血清カルシウムに関するさまざまな濃度でのPTH-66(PTH(1-74)-Fc)融合体のPDデータを示す。
図4A】PTH-66とPTH(1-84)を比較した、TPTxラットでの単回投与PK試験データを示す。
図4B】PTH-66とPTH(1-84)を比較した、TPTxラットでの単回投与PD試験データを示す。
図5A】TPTxラットへのPTH-66の毎日の皮下投与による複数回投与PK試験データを示す。
図5B】TPTxラットへのPTH-66の毎日の皮下投与による複数回投与PD試験データを示す。
図5C】TPTxラットへのPTH-66の毎日の皮下投与による複数回投与PD試験データを示す。
図5D】TPTxラットへのPTH-66の毎日の皮下投与による複数回投与PD試験データを示す。
図6A】PTH-66とPTH(1-84)を比較した、野生型カニクイザルでの単回投与PK試験データを示す。
図6B】PTH-66とPTH(1-84)を比較した、野生型カニクイザルでの単回投与PD試験データを示す。
図7】毎日の皮下投与後のPTH-66とビヒクルを比較した野生型カニクイザルでのPKおよびPD試験データを示す。
図8A】2x5mL MabSelect Sureカラムを使用したPTH-66を発現する約900mLのCMのクロマトグラフィー精製のトレースを示す。
図8B】本発明の実施形態による、PTH-66の精製ステップを概説するフローチャートである。
図9A】PTH-66のMab選択粗溶出画分を示す。
図9B】PTH-66のMab選択粗溶出画分のクーマシーブルー染色を示す。
図10】最終PTH-66生成物のSDS-PAGEクーマシー染色を示す。
図11】PTH-66のダウンストリームプロセスフローを示す。
図12】10%未満の断片化の目標を達成するPTH-66の製造プロセスのフローチャートである。
図13A】PTH-66精製のポリッシング(最終精製)ステップの開発のフローチャートである。
図13B】プロセスフローのフローチャートである。
図14A】Capto MMC ImpResのハイスループットスクリーニングのプロットである。
図14B】最適結合条件を決定するためのCapto Adhere ImpResのハイスループットスクリーニングのプロットである。
図14C】Capto MMCの化学構造である。
図14D】Capto Adhereの化学構造である。
図15】Capto MMC ImpResのプロセスフローを示す。
図16】Capto Adhere ImpResプロセスフローを示す。
図17A】Capto MMC ImpResを使用したPTH-66のグラジエント溶出のプロットである。
図17B】Capto Adhere ImpResを使用したPTH-66のフロースルー(素通り画分)のプロットである。
図18A】PTH-66の下流のポリッシングステップの設計を示す。
図18B】不純物クリアランスおよびプロセス収率に基づき安定したプールを有するプロセスの堅牢性を示すグラフである。
図19A】PTH-66のパイロットスケールの製造のためのプロセス開発(PD)の収率と比較した、PTH-66の精製のためのパイロットプラント運転(PPO)のステップ収率を示す。
図19B】PTH-66のパイロットスケールの製造のためのプロセス開発(PD)の収率と比較した、PTH-66の精製のためのパイロットプラント運転(PPO)のステップ収率を示す。
図19C】PTH-66のパイロットスケールの製造のためのプロセス開発(PD)の収率と比較した、PTH-66の精製のためのパイロットプラント運転(PPO)のステップ収率を示す。
図19D】PTH-66のパイロットスケールの製造のためのプロセス開発(PD)の収率と比較した、PTH-66の精製のためのパイロットプラント運転(PPO)のステップ収率を示す。
図19E】PTH-66のパイロットスケールの製造のためのプロセス開発(PD)の収率と比較した、PTH-66の精製のためのパイロットプラント運転(PPO)のステップ収率を示す。
図19F】PTH-66のパイロットスケールの製造のためのプロセス開発(PD)の収率と比較した、PTH-66の精製のためのパイロットプラント運転(PPO)のステップ収率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の詳細な実施形態が本明細書に開示されている;しかしながら、開示された実施形態は、様々な形態で具体化され得る本発明の単なる例示であることを理解されたい。さらに、本発明の様々な実施形態に関連して与えられた各実施例は、例示的であり、限定的ではないことを意図している。したがって、本明細書に開示される特定の構造的および機能的詳細は、限定的であると解釈されるべきではなく、本発明を様々に使用することを当業者に教示するための代表的な基礎として単に解釈されるべきである。
【0040】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。
【0041】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明確に別段の指示をしない限り、複数形の参照を含む。したがって、例えば、「方法」への言及は、1つまたは複数の方法、および/または本明細書に記載のタイプのステップ、および/または本開示を読むと当業者に明らかになるであろう方法を含む。
【0042】
状況、障害または状態を「処置する(treat)」または「処置(treatment)」という用語には以下が含まれる:(1)状況、障害または状態に罹患しているかまたはその素因を有する可能性があるが、まだその状況、障害または状態の臨床症状または無症候性症状を経験または表示していない対象において進行している状況、障害または状態の少なくとも1つの臨床症状または無症候性症状の発生および/または出現の可能性を防止、遅延または低減すること;あるいは(2)状況、障害または状態を阻害すること、すなわち、疾患もしくはその再発、またはそれらの少なくとも1つの臨床症状もしくは無症候性症状の進行を阻止、低減または遅延させること;あるいは(3)疾患を緩和すること、すなわち、状況、障害もしくは状態またはそれらの臨床症状もしくは無症候性症状の少なくとも1つの後退を生じさせること。処置される対象に対する利益は、統計的に有意であるか、あるいは少なくとも患者または医師に知覚可能であるかのいずれかである。
【0043】
本明細書で使用される「対象」または「患者」または「個体」または「動物」は、ヒト、獣医動物(例えば、猫、犬、牛、馬、羊、豚など)および疾患の実験動物モデル(例えば、マウス、ラット)を指す。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0044】
本明細書で使用される場合、用量または量に適用される「有効」という用語は、それを必要とする対象に投与したときに所望の活性をもたらすのに十分な化合物または医薬組成物の量を指す。有効成分の組み合わせが投与される場合、組み合わせの有効量は、個別に投与された場合に有効であったであろう各成分の量を含む場合も含まない場合もあることに留意されたい。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢、および全身状態、処置される状態の重症度、使用される特定の薬物または投与方法などに応じて、対象ごとに異なる。
【0045】
本発明の組成物に関連して使用される「薬学的に許容される」という語句は、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与されたときに、生理学的に許容可能であり、通常は有害な反応を生じないそのような組成物の分子実体および他の成分を指す。好ましくは、本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、哺乳動物、より具体的にはヒトで使用するために、連邦政府または州政府の規制機関によって承認されている、あるいは米国薬局方または他の一般に認められた薬局方に掲載されていることを意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、「担体」および「希釈剤」という用語は、医薬製剤の調製に有用な薬学的に許容される(例えば、ヒトへの投与について安全かつ非毒性の)担体または希釈物質を指す。例示的な希釈剤には、滅菌水、注射用静菌水(BWFI)、pH緩衝液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、滅菌生理食塩水、リンゲル液またはデキストロース溶液が含まれる。
【0047】
本明細書で使用される場合、「融合タンパク質」または「キメラタンパク質」という用語は、2つ以上の元々別々のタンパク質またはその一部の連結によって作製されたタンパク質を指す。一部の実施形態では、リンカーまたはスペーサーが各タンパク質の間に存在するであろう。
【0048】
本明細書で使用される場合、「半減期」という用語は、タンパク質濃度または活性などの量が、期間の開始時に測定された値の半分に低下するのに必要な時間である。
【0049】
本明細書で使用される場合、「改善する」、「増加する」または「減少する」の用語、または文法上の同等物は、本明細書に記載の処置の開始前の同じ個体における測定値などのベースライン測定値、または本明細書に記載の処置がない場合の対照対象(または複数の対照対象)における測定値と対比した値を示す。「対照対象」とは、処置対象とほぼ同じ年齢である、処置対象と同じ形態の疾患に罹患している対象である。
【0050】
本明細書で使用される場合、「in vitro」という用語は、多細胞生物内ではなく、人工環境、例えば、試験管または反応容器内、細胞培養などで発生する事象を指す。
【0051】
本明細書で使用される場合、「in vivo」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物などの多細胞生物内で発生する事象を指す。細胞ベースのシステムの文脈では、この用語は、(例えば、in vitroシステムとは対照的に)生細胞内で発生する事象を指すために使用され得る。
【0052】
本明細書で使用される場合、「リンカー」という用語は、融合タンパク質において、その天然タンパク質または誘導体の特定の位置に現れるもの以外のアミノ酸配列を指し、一般に、柔軟であるか、または2つのタンパク質部分の間にα-ヘリックスなどの構造を置くように設計される。リンカーはスペーサーとも呼ばれる。リンカーまたはスペーサーは通常、それ自体では生物学的機能を持たない。
【0053】
本明細書で使用される「ポリペプチド」という用語は、ペプチド結合を介して一緒に連結されたアミノ酸の連続鎖を指す。この用語は、任意の長さのアミノ酸鎖を指すために使用されるが、当業者は、この用語が長い鎖に限定されず、ペプチド結合を介して一緒に連結された2つのアミノ酸を含む最小鎖を指すこともできることを理解する。当業者に知られているように、ポリペプチドは、プロセシングおよび/または修飾され得る。本明細書で使用される場合、「ポリペプチド」および「ペプチド」という用語は交換可能に使用される。「ポリペプチド」という用語はまた、タンパク質を指すこともある。
【0054】
本明細書で使用される場合、「PTHバリアント」という用語は、ネイティブなPTH(1-84)の任意の誘導体を指し、それには、アミノ酸の付加、欠失、および/または置換を含むPTH(1-84)誘導体、短縮型(例えば、C末端短縮型)PTH(1-84)、直接あるいはリンカーまたはスペーサーを介してペプチドまたはタンパク質またはタンパク質ドメインに融合されたPTH、および当技術分野で知られている何らかの方法(例えば、グリコシル化、PEG化など)で翻訳後修飾されたPTH、またはそれらの組み合わせが含まれるが、それらに限定されない。
【0055】
PTH
副甲状腺ホルモン(PTH)は、哺乳類の副甲状腺から分泌されるポリペプチドである。ネイティブなPTHは84アミノ酸長であり、以下の配列(配列番号1)を有する:
SVSEIQLMHNLGKHLNSMERVEWLRKKLQDVHNFVALGAPLAPRDAGSQRPRKKEDNVLVESHEKSLGEADKADVNVLTKAKSQ、または
【0056】
本明細書で使用される場合、「ヒトPTH」または「hPTH」という用語は、PTHまたは副甲状腺ホルモンという用語に含まれる。ヒトPTHは、当技術分野で知られている標準的な技術を使用して、in vivoで、組換え的に(細胞内で)、または合成的に、合成することができる。
【0057】
PTH-Fc融合体
いくつかの実施形態において、本発明のPTHバリアントは、PTH-Fc融合タンパク質である。本明細書で使用される「Fc」は、ヒトIgG抗体のFc領域を意味する。Fc融合タンパク質(Fcキメラ融合タンパク質、Fc-Ig、Igベースのキメラ融合タンパク質、およびFc-タグタンパク質としても知られている)は、目的のペプチドまたはタンパク質(例えば、PTH)に化学的に結合したIgGのFcドメインで構成される。
【0058】
任意のIgGのFcドメインを使用できる。非限定的な例として、IgG1、またはIgG2、またはIgG3、またはIgG4のFcドメイン、ならびに例えば、半分IgG2で半分IgG4など、異なるIgGに由来するFcドメインの様々な組み合わせを使用することができる。1つの非限定的な実施形態において、本発明のPTH-Fc融合タンパク質は、ヒトIgG1抗体のFcドメインを有する。
【0059】
サイレンシングされたエフェクター機能は、抗体のFc領域における変異によって得ることができ、異なるIgGは、当業者に知られている異なるサイレンサー領域を有し得る。例えば、IgG1については、以下のサイレンサー領域が知られており、文献に記載されている:LALAおよびN297A(Strohl, W., 2009, Curr. Opin. Biotechnol. vol. 20(6):685-691);およびD265A(Baudino et al., 2008, J. Immunol. 181: 6664-69; Strohl, W.、前出)。サイレントFc IgG1抗体の例は、IgG1 Fcアミノ酸配列にL234AおよびL235A(EUナンバリング)変異を含む、いわゆるLALA変異体(「hFcLALA」)を含む。サイレントIgG1抗体の別の例は、D265A変異を含む。別のサイレントIgG1抗体はN297A変異を含み、これはアグリコシル化(aglycosylated)/非グリコシル化抗体をもたらす。
【0060】
本明細書で使用される場合、IgG1 hFcLALAは以下の配列を有し、LALA変異に下線が引かれている(配列番号2):
DKTHTCPPCPAPEAAGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSRDELTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG
【0061】
PTH配列は、Fcドメインに直接または間接的に結合され得る。一実施形態では、PTHはFcドメインに直接結合される。他の実施形態では、PTHは、アミノ酸リンカーによってFcドメインに結合される。
【0062】
いくつかの実施形態において、Fc領域は、融合タンパク質の半減期をさらに延ばすためにさらに改変され得る。1つの非限定的な例では、半減期延長技術、例えば、ArGenXによるNHance技術を、本発明のPTH-Fcバリアントと組み合わせて利用することができる。NHance技術は、例えば、米国特許第8,163,881号に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0063】
一実施形態では、本発明によるFc結合PTHバリアントは、二価構造として、すなわち、PTHの2つのコピーおよびFcの1つのコピーを有するものとして提供される。
【0064】
別の実施形態では、本発明によるFc結合PTHバリアントは、一価構造として、すなわち、PTHの1つのコピーおよびFcの1つのコピーを有するものとして提供される。一実施形態では、一価のPTH-Fcバリアントは、当技術分野で知られている重鎖変異(例えば、ノブおよびホールなど)を使用して調製することができる。当技術分野で知られている1つの方法は、例えば、米国特許第8,679,785号に記載されている。別の実施形態では、一価のPTH-Fcバリアントは、単量体Fcを使用して調製することができ、2つのFc部分は、リンカー(例えば、アミノ酸リンカー)を介して接続され得る。
【0065】
シグナルペプチドおよびプロテアーゼタグ
いくつかの実施形態において、本発明のPTHバリアントは、PTHバリアントと直接結合したシグナルペプチドを含むPTHバリアント前駆体ポリペプチドからプロセシングされる。ポリペプチド上のシグナルペプチドは、PTHバリアントを生成するために使用される哺乳動物宿主細胞からのPTHバリアントの分泌を促進することができ、分泌後にシグナルペプチドはPTHバリアントから切断される。任意の数のシグナルペプチドを使用することができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、以下の配列(配列番号3)を有するIgKリーダー配列が本発明のバリアントに存在する:
METPAQLLFLLLLWLPDTTG
【0067】
いくつかの実施形態において、以下の配列(配列番号4)を有するIgG重鎖シグナルペプチドが本発明のバリアントに存在する:
MEFGLSWLFLVAILKGVQC
【0068】
いくつかの実施形態において、以下の配列(配列番号5)を有するCD33シグナルペプチドが本発明のバリアントに存在する:
MPLLLLLPLLWAGALA
【0069】
1つの特定の実施形態において、配列MPLLLLLPLLWAGALA(配列番号5)を有するCD33シグナルペプチドは、最適なシグナルペプチド切断を提供し、PTHバリアントの1位をインタクトなままにすることができる。
【0070】
いくつかの実施形態において、ポリヒスチジンタグ(HISタグ)が本発明のバリアントに存在し、HISタグを認識して結合するアフィニティークロマトグラフィー樹脂を使用してPTHタンパク質の精製を容易にする。一実施形態では、TEV-HISタグが、本発明のPTHバリアントのC末端に存在する。TEV構成要素は、タンパク質精製後にHISタグを除去できるプロテアーゼ認識部位である。一実施形態では、TEV-HISタグの配列は、ENLYFQSHHHHHH(配列番号6)である。一実施形態では、TEV認識配列の一部であるENLYFQ(配列番号7)はタンパク質の末端に残り、タンパク質の活性に影響を及ぼさない。
【0071】
タンパク質のグリコシル化
本明細書で使用されるグリコシル化は、炭水化物(グリカン)がペプチドまたはタンパク質に結合する反応である。異なるクラスのグリカンが認識されており、最も重要な2つは、窒素またはアルギニン側鎖に結合したN結合型グリカンと、セリン、スレオニン、チロシン、ヒドロキシリジン、またはヒドロキシプロリンの側鎖のヒドロキシル酸素に結合したO結合型グリカンである。
【0072】
いくつかの実施形態において、グリコシル化部位を挿入するためのアミノ酸置換が、本発明のPTHバリアントに導入される。いくつかの実施形態において、これらのアミノ酸置換は、セリン部分をPTHバリアントに導入し得る。いくつかの実施形態において、本発明のPTHバリアントは、グリカン部位をPTHバリアントに挿入するためにF34A、F34D、および/またはV35S、またはV35T変異を含み得る。
【0073】
いくつかの実施形態において、特定の細胞タイプ、例えば、CHO細胞での分子の発現中にこの領域で観察されるタンパク質分解を最小化するために、F34(例えば、F34AまたはF34D)および/またはV35(例えば、V35SまたはV35T)でアミノ酸変化がなされ得る。F34AおよびF34D変異は、タンパク質分解を減らす。F34AとV35S(またはV35T)の変異の組み合わせは、タンパク質分解をさらに大幅に減らす。これらの変異は、N33位を含むコンセンサスN-結合型グリコシル化部位を作り出す。これにより、位置N33でグリコシル化が起こり、この位置でのタンパク質分解を大幅に減らす。
【0074】
いくつかの実施形態において、N33でのグリカン部位の挿入は、宿主細胞発現中のタンパク質切断を減らす。グリカンは、PTHバリアントに追加のサイズと嵩(bulk)を導入する。グリカン部位はまた、PTHバリアントの溶解性を改善し得る。グリカン部位は、PTHバリアントの半減期(T1/2)も延長し得る。タンパク質変異部位へのグリカンの挿入は、変異した配列の潜在的な免疫原性を低下させる可能性もある。いくつかの実施形態において、グリコシル化部位を挿入するためのアミノ酸置換を、PTHバリアントの他の変異または配列トランケーションまたは翻訳後修飾と組み合わせてもよい。
【0075】
いくつかの実施形態では、アミノ酸変化は、L59(例えば、L59SまたはL59T)でなされ得る。この変異は、N57の位置にグリコシル化部位を作り出し、宿主細胞発現中のタンパク質の切断を減らし得る。
【0076】
他のバリアント:いくつかの実施形態において、アミノ酸置換がPTHバリアントに導入され、開発可能性特性を改善する。いくつかの実施形態において、これらのアミノ酸置換は、発現中のPTHバリアントの切断の減少をもたらす。いくつかの実施形態において、これらのアミノ酸置換は、PTHバリアントの溶解性の改善をもたらす。いくつかの実施形態において、これらのアミノ酸置換は、グリカン挿入をもたらす。いくつかの実施形態において、これらのアミノ酸置換は、アスパラギン酸を配列に導入し得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、本発明のPTHバリアントは、発現中のタンパク質切断を減少させるためのF34D変異を含み得る。いくつかの実施形態において、F34Dを含むPTHバリアントを、PTHバリアントの他の変異または配列トランケーションまたは翻訳後修飾と組み合わせてもよい。
【0078】
典型的には、適切なPTHバリアントは、約2時間以上、3時間以上、4時間以上、6時間以上、8時間以上、10時間以上、12時間以上、14時間以上、16時間以上、18時間以上、20時間以上、22時間以上、24時間以上、26時間以上、28時間以上、30時間以上、32時間以上、34時間以上、36時間以上、38時間以上、40時間以上、42時間以上、44時間以上、46時間以上、または48時間以上のin vivo半減期を有する。いくつかの実施形態において、PTHバリアントは、2~48時間の間、2~44時間の間、2~40時間の間、3~36時間の間、3~32時間の間、3~28時間の間、4~24時間、6~24時間、または6~18時間のin vivo半減期を有する。
【0079】
選択された副甲状腺ホルモンバリアントのリスト
以下のリストおよび明細書全体で、次の略語が使用される:
PTH(1-N)は、副甲状腺ホルモンペプチド残基1からNを意味し、ここで、Nは84(ネイティブの長さのPTHおよびバリアントの場合)または84未満(C末端短縮型PTHバリアントの場合)である。例えば、PTH(1-84)は、副甲状腺ホルモンペプチドの残基1から84(全長の配列)を意味する;PTH(1-74)は、副甲状腺ホルモンのペプチド残基1から74、すなわち、PTHの最後の10残基が除去された最初の74残基であるPTH(1-84)のC末端短縮型バリアントを意味する;PTH(1-34)は、副甲状腺ホルモンペプチドの残基1から34、すなわち、最後の50残基が削除された最初の34残基であるPTH(1-84)のC末端短縮型バリアントを意味する;などである。
【0080】
バリアント配列における点変異は、標準的な規則に従って指定される;例えば、F34Aは、34位のフェニルアラニンアミノ酸がアラニンアミノ酸で置き換えられていることを意味する;F34Dは34位のフェニルアラニンアミノ酸がアスパラギン酸残基に置き換わっていることを意味し、V35Sは35位のバリンがセリンに置き換わっていることを意味する。
【0081】
Δは[欠失された配列]を意味し、例えば、ΔLysはリジン残基の欠失を意味する。ここに含まれる構築物の場合、除去されるLysはFc分子のC末端領域であり、とりわけ、医薬品の均質性を向上させる。
【0082】
一実施形態では、Fcに結合したPTHは、全長PTH(1-84)、例えば、変異型PTH(1-84)であり得る。
【0083】
一実施形態では、Fcに結合したPTHは、PTH(1-35)からPTH(1-83)までの任意の長さの短縮型PTHであり得る。一実施形態では、Fcに結合したPTHは、PTH(1-33)であり得る。
【0084】
本発明のいくつかの実施形態では、Fcに結合したPTHは、PTH(1-84)、またはPTH(1-83)、またはPTH(1-82)、またはPTH(1-81)、またはPTH(1-80)、またはPTH(1-79)、またはPTH(1-78)、またはPTH(1-77)、またはPTH(1-76)、またはPTH(1-75)、またはPTH(1-74)、またはPTH(1-73)、またはPTH(1-72)、またはPTH(1-71)、またはPTH(1-70)、またはPTH(1-69)、またはPTH(1-68)、またはPTH(1-67)、またはPTH(1-66)、またはPTH(1-65)、またはPTH(1-64)、またはPTH(1-63)、またはPTH(1-62)、またはPTH(1-61)、またはPTH(1-60)、またはPTH(1-59)、またはPTH(1-58)、またはPTH(1-57)、またはPTH(1-56)、またはPTH(1-55)、またはPTH(1-54)、またはPTH(1-53)、またはPTH(1-52)、またはPTH(1-51)、またはPTH(1-50)、またはPTH(1-49)、またはPTH(1-48)、またはPTH(1-47)、またはPTH(1-46)、またはPTH(1-45)、またはPTH(1-44)、またはPTH(1-43)、またはPTH(1-42)、またはPTH(1-41)、またはPTH(1-40)、またはPTH(1-39)、またはPTH(1-38)、またはPTH(1-37)、またはPTH(1-36)、またはPTH(1-35)、またはPTH(1-33)であり得る。
【0085】
本発明の例示的な実施形態の以下の説明において、シグナルペプチドはイタリック体でマークされ、PTH領域は太字であり、その中の任意の変異には下線が引かれ、任意の融合配列は波下線でマークされている。
【0086】
分子表記「PTH-66」(配列番号8)
説明:PTH(1-74)-[F34A、V35S]-hFcLALA-ΔLys
シグナルペプチド、PTH1-74、グリカン部位を挿入するための変異、Fc
【0087】
分子表記「PTH-67」(配列番号9)
説明:PTH(1-64)-[F34A、V35S]-hFcLALA-ΔLys
シグナルペプチド、PTH1-64、グリカン部位を挿入するための変異、Fc
【0088】
分子表記「PTH-68」(配列番号10)
説明:PTH(1-54)-[F34A、V35S]-hFcLALA-ΔLys
シグナルペプチド、PTH1-54、グリカン部位を挿入するための変異、Fc
【0089】
分子表記「PTH-69」(配列番号11)
説明:PTH(1-44)-[F34A、V35S]-hFcLALA-ΔLys
シグナルペプチド、PTH1-44、グリカン部位を挿入するための変異、Fc
【0090】
分子表記「PTH-11」(配列番号12)
説明:PTH(1-84)-hFcLALA
【0091】
他のPTHバリアント
一実施形態では、本発明によるPTHバリアントは、直接またはリンカーを介して、アルブミンまたはアルブミンのドメインにコンジュゲートされ得る。一実施形態では、本発明によるPTH-アルブミン融合体は、米国特許第7,592,010号に記載されている方法によって調製することができる。PTH-アルブミンバリアントは、一価構造、すなわち、PTHの1つのコピーとアルブミンまたはアルブミンのドメインの1つのコピーを有するものであってよい。一実施形態では、PTH-アルブミン融合タンパク質の血清半減期は、PTH(1-84)の血清半減期よりも長い。一実施形態では、本発明のPTH-アルブミン融合タンパク質は、PTH(1-84)の血清半減期よりも、2倍長い、または3倍長い、または5倍長い、または10倍長い、または20倍長い、または30倍長い、または40倍長い血清半減期を有する。一実施形態では、本発明のPTH-Fc融合タンパク質は、PTH(1-84)の血清半減期よりも40倍長い血清半減期を有する。
【0092】
一実施形態では、アルブミンに結合したPTHは、変異型PTH(1-84)、またはPTH(1-83)、またはPTH(1-82)、またはPTH(1-81)、またはPTH(1-80)、またはPTH(1-79)、またはPTH(1-78)、またはPTH(1-77)、またはPTH(1-76)、またはPTH(1-75)、またはPTH(1-74)、またはPTH(1-73)、またはPTH(1-72)、またはPTH(1-71)、またはPTH(1-70)、またはPTH(1-69)、またはPTH(1-68)、またはPTH(1-67)、またはPTH(1-66)、またはPTH(1-65)、またはPTH(1-64)、またはPTH(1-63)、またはPTH(1-62)、またはPTH(1-61)、またはPTH(1-60)、またはPTH(1-59)、またはPTH(1-58)、またはPTH(1-57)、またはPTH(1-56)、またはPTH(1-55)、またはPTH(1-54)、またはPTH(1-53)、またはPTH(1-52)、またはPTH(1-51)、またはPTH(1-50)、またはPTH(1-49)、またはPTH(1-48)、またはPTH(1-47)、またはPTH(1-46)、またはPTH(1-45)、またはPTH(1-44)、またはPTH(1-43)、またはPTH(1-42)、またはPTH(1-41)、またはPTH(1-40)、またはPTH(1-39)、またはPTH(1-38)、またはPTH(1-37)、またはPTH(1-36)、またはPTH(1-35)、またはPTH(1-33)であり得る。
【0093】
核酸
別の態様では、本明細書に記載のPTHバリアントをコードする配列を含む核酸が提供される。配列は、配列番号8~12のいずれかと70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の同一性を有し得る。いくつかの実施形態において、核酸は、さらなる非コード配列を含み得る。核酸は、それらの特定のフラグメント、バリアントまたはコンセンサス配列、あるいはこれらの配列の少なくとも1つを含む寄託されたベクターをさらに含み得る。核酸分子は、mRNA、hnRNA、tRNAまたは他の任意の形態などのRNAの形態であってよく、あるいは、クローニングによって得られた、合成的に作成された、遺伝子治療を介した(例えば、AAVを用いて)、またはそれらの任意の組合せにより得られたcDNAおよびゲノムDNAを含むがこれらに限定されないDNAの形態であってもよい。DNAは、三本鎖、二本鎖または一本鎖、あるいはそれらの任意の組み合わせであってよい。DNAまたはRNAの少なくとも1つの鎖の任意の部分は、センス鎖としても知られているコード鎖であってよく、またはアンチセンス鎖としても知られている非コード鎖であってもよい。
【0094】
いくつかの実施形態において、導入遺伝子をコードする核酸は、コードされたPTHバリアントの発現の増加を提供するように改変されていてよく、これは、コドン最適化とも呼ばれる。例えば、導入遺伝子をコードする核酸は、コード配列のオープンリーディングフレームを変更することによって改変することができる。本明細書で使用される場合、「オープンリーディングフレーム」という用語は「ORF」と同義であり、潜在的にタンパク質またはタンパク質の一部をコードすることができる任意のヌクレオチド配列を意味する。オープンリーディングフレームは通常、開始コドン(標準的なコードでは、例えば、RNA分子の場合AUG、DNA分子の場合はATGとして表される)で始まり、終止コドン(標準的なコードでは、例えば、RNA分子の場合UAA、UGAまたはUAG、DNA分子の場合はTAA、TGAまたはTAGとして表される)でフレームが終止するまでコドントリプレットで読み取られる。本明細書で使用される場合、「コドン」という用語は、タンパク質合成中に特定のアミノ酸を指定する、核酸分子中の3つのヌクレオチドの配列を意味する;トリプレットまたはコドントリプレットとも呼ばれる。例えば、標準的な遺伝暗号における64の可能なコドンのうち、GAAとGAGの2つのコドンはアミノ酸のグルタミンをコードし、AAAとAAGのコドンはアミノ酸のリジンを指定する。標準的な遺伝暗号では、3つのコドンは終止コドンであり、アミノ酸を指定しない。本明細書で使用される場合、「同義コドン」という用語は、単一アミノ酸をコードするすべてのコドンを意味する。メチオニンとトリプトファンを除いて、アミノ酸は2~6個の同義コドンによってコードされている。例えば、標準的な遺伝暗号では、アミノ酸アラニンをコードする4つの同義コドンはGCA、GCC、GCG、GCUであり、グルタミンを指定する2つの同義コドンはGAAとGAGであり、リジンをコードする2つの同義コドンはAAAとAAGである。
【0095】
PTHバリアントのオープンリーディングフレームをコードする核酸は、標準的なコドン最適化方法を使用して改変され得る。コドン最適化のための様々な市販のアルゴリズムが利用可能であり、本発明を実施するために使用することができる。通常、コドン最適化は、コードされるアミノ酸配列を変更しない。
【0096】
ヌクレオチドの変化は、PTHバリアントを発現するために選択された特定の異種細胞に見られる内因性コドンの使用頻度と一致させるために、オープンリーディングフレーム内の同義コドンを変更し得る。あるいは、またはさらに、ヌクレオチドの変化は、異種宿主細胞内に存在する内因性核酸に見られるオープンリーディングフレームの平均G+C含有量にうまく一致させるために、オープンリーディングフレーム内のG+C含有量を変化させ得る。ヌクレオチドの変化はまた、PTHバリアント配列内に見られるポリモノヌクレオチド領域または内部調節部位もしくは構造部位を変化させ得る。したがって、原核細胞、酵母細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞においてPTHバリアントの発現の増加を提供する核酸配列を含むがこれらに限定されない、様々な改変されたまたは最適化されたヌクレオチド配列が想定される。
【0097】
本明細書に示されるように、ポリヌクレオチドはさらに、少なくとも1つのイントロンなどの前述の追加のコード配列の有無にかかわらず、少なくとも1つのシグナルリーダーまたは融合ペプチドのコード配列などの追加の配列を、転写や、スプライシングおよびポリアデニル化シグナルを含むmRNAプロセシング(例えば、mRNAのリボソーム結合および安定性)において役割を担う転写された非翻訳配列などの非コード5’および3’配列を含むがこれらに限定されない追加の非コード配列;追加の機能性を提供するアミノ酸などの追加のアミノ酸をコードする追加のコード配列;と共に含み得る。したがって、PTHバリアントまたは特定部分をコードする配列を、例えば、融合されたPTHバリアントまたは特定部分(PTHバリアントのフラグメントまたは部分を含む)の精製を容易にするペプチドをコードする配列などの、マーカー配列に融合させることができる。
【0098】
核酸は、本発明のポリヌクレオチドに加えて配列をさらに含み得る。例えば、1つまたは複数のエンドヌクレアーゼ制限部位を含むマルチクローニング部位を核酸に挿入して、ポリヌクレオチドの単離を支援することができる。また、翻訳可能な配列を挿入して、本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離を支援することができる。例えば、ヘキサヒスチジンマーカー配列は、本発明のタンパク質を精製するための便利な手段を提供する。本発明の核酸(コード配列を除く)は、任意選択で、本発明のポリヌクレオチドのクローニングおよび/または発現のためのベクター、アダプター、またはリンカーである。
【0099】
導入遺伝子のコード領域は、特定の細胞タイプ用にコドン使用頻度を最適化するために、1つまたは複数のサイレント変異を含み得る。例えば、PTHバリアントのコドンは、脊椎動物細胞での発現のために最適化され得る。いくつかの実施形態において、PTHバリアントのコドンは、哺乳動物細胞での発現のために最適化され得る。いくつかの実施形態において、PTHバリアントのコドンは、ヒト細胞での発現のために最適化され得る。いくつかの実施形態において、PTHバリアントのコドンは、CHO細胞での発現のために最適化され得る。
【0100】
本出願に記載されるPTHバリアントをコードする核酸配列は、宿主細胞における増殖または発現に適切なベクターに分子コローニング(挿入)されてよく、あるいはいくつかの実施形態では、プラスミド全体が同様に合成され得る。例えば、配列番号8~12から選択される配列など、宿主細胞からPTHバリアントを分泌させるのに有効なシグナルペプチドを含むPTHバリアント配列が適切なベクターに挿入される。原核生物発現ベクター、酵母発現ベクター、昆虫発現ベクターおよび哺乳動物発現ベクターを含むがこれらに限定されない多種多様な発現ベクターが、本発明を実施するために使用され得る。本発明に適した例示的なベクターには、ウイルスベースのベクター(例えば、AAVベースのベクター、レトロウイルスベースのベクター、プラスミドベースのベクター)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、PTHバリアントをコードする核酸配列は、適切なベクターに挿入され得る。典型的には、PTHバリアントをコードする核酸は、様々な調節配列または調節エレメントに作動可能に連結される。
【0101】
様々な調節配列またはエレメントが、本発明に適した発現ベクターに組み込まれ得る。例示的な調節配列またはエレメントには、プロモーター、エンハンサー、リプレッサーまたはサプレッサー、5’非翻訳(または非コード)配列、イントロン、3’非翻訳(または非コード)配列が含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
本明細書で使用される場合、「プロモーター」または「プロモーター配列」は、細胞内のRNAポリメラーゼに結合し(例えば、直接または他のプロモーター結合タンパク質または物質を介して)、コード配列の転写を開始することができるDNA調節領域である。プロモーター配列は、一般に、その3’末端で転写開始部位に結合し、任意のレベルで転写を開始するのに必要な最小限の数の塩基またはエレメントを含むように上流(5’方向)に延在する。プロモーターは、エンハンサー配列およびリプレッサー配列を含む発現制御配列に、または発現される核酸と、作動可能に関連または作動可能に連結され得る。いくつかの実施形態において、プロモーターは誘導性であり得る。いくつかの実施形態において、誘導性プロモーターは、一方向性または双方向性であり得る。いくつかの実施形態において、プロモーターは、構成的プロモーターであり得る。いくつかの実施形態において、プロモーターは、転写調節領域を含む配列が1つの供給源から得られ、転写開始領域を含む配列は第2の供給源から得られる、ハイブリッドプロモーターであり得る。導入遺伝子内のコード配列に制御エレメントを連結するためのシステムは、当技術分野でよく知られている(一般的な分子生物学的および組換えDNA技術は、Sambrook, Fritsch, and Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y., 1989に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる)。様々な成長条件および誘導条件下において様々な宿主細胞で発現させるために導入遺伝子を挿入するのに適した市販のベクターも、当技術分野でよく知られている。
【0103】
一部の実施形態において、SRa-プロモーター(Takebe et al., Molec. and Cell. Bio. 8:466-472 (1988))、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)最初期プロモーター(Boshart et al., Cell 41:521-530 (1985); Foecking et al., Gene 45:101-105 (1986))、ヒトCMVプロモーター、ヒトCMV5プロモーター、マウスCMV最初期プロモーター、EF1-α-プロモーター、肝臓特異的発現のためのハイブリッドCMVプロモーター(例えば、CMV最初期プロモーターをヒトα-1-アンチトリプシン(HAT)またはアルブミン(HAL)のいずれかのプロモーターの転写プロモーターエレメントと結合させることによって作製された)、または肝細胞がん特異的発現のためのプロモーター(例えば、ヒトアルブミン(HAL;約1000bp)またはヒトα-1-アンチトリプシン(HAT;約2000bp)のいずれかの転写プロモーターエレメントが、ヒトα-1-ミクログロブリンおよびビクニン前駆体遺伝子(AMBP)の145長エンハンサーエレメントと結合している;HAL-AMBPおよびHAT-AMBP);SV40初期プロモーター領域(Benoist at al., Nature 290:304-310 (1981))、Orgyia pseudotsugata最初期プロモーター、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner at al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1441-1445 (1981));またはメタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinster et al., Nature 296:39-42 (1982))などであるがこれらに限定されない特異的プロモーターを使用して、哺乳動物宿主細胞での導入遺伝子の発現を制御することができる。一部の実施形態において、哺乳動物プロモーターは、ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPTR)プロモーター、アデノシンデアミナーゼプロモーター、ピルビン酸キナーゼプロモーター、ベータアクチンプロモーター、ならびに当業者に既知の他の構成的プロモーターなどであるがこれらに限定されない構成的プロモーターである。
【0104】
いくつかの実施形態では、β-ラクタマーゼプロモーター(Villa-Komaroff et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 75:3727-3731 (1978))、tacプロモーター(DeBoer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80:21-25 (1983))、T7プロモーター、T3プロモーター、M13プロモーターまたはM16プロモーターなどであるがこれらに限定されない特定のプロモーターを使用して、原核細胞宿主における導入遺伝子の発現を制御することができ;またGAL1、GAL4もしくはGAL10プロモーター、ADH(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、PGK(ホスホグリセロールキナーゼ)プロモーター、アルカリホスファターゼプロモーター、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼIII(TDH3)プロモーター、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼII(TDH2)プロモーター、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼI(TDH1)プロモーター、ピルビン酸キナーゼ(PYK)、エノラーゼ(ENO)、またはトリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)などであるがこれらに限定されない特定のプロモーターを使用して、酵母宿主細胞における導入遺伝子の発現を制御することができる。
【0105】
いくつかの実施形態において、プロモーターは、ウイルスプロモーターであってよく、その多くは、哺乳動物細胞を含むいくつかの宿主細胞タイプにおける導入遺伝子の発現を調節することができる。真核細胞においてコード配列の構成的発現を駆動することが示されているウイルスプロモーターには、例えば、シミアンウイルスプロモーター、単純ヘルペスウイルスプロモーター、パピローマウイルスプロモーター、アデノウイルスプロモーター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、モロニーマウス白血病ウイルスおよび他のレトロウイルスの長い末端反復(LTR)、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーター、ならびに当業者に既知の他のウイルスプロモーターが含まれる。
【0106】
いくつかの実施形態において、発現ベクターの遺伝子制御エレメントにはまた、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列、コザック配列など、それぞれ転写および翻訳の開始に関与する5’非転写配列および5’非翻訳配列も含まれ得る。任意選択で、発現されるポリペプチドまたはタンパク質の発現レベルを高めるためにエンハンサーエレメントが使用され得る。哺乳動物細胞で機能することが示されているエンハンサーエレメントの例には、Dijkema et al., EMBO J. (1985) 4: 761に記載されているSV40初期遺伝子エンハンサー、ならびにGorman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1982b) 79:6777に記載されているラウス肉腫ウイルス(RSV)およびBoshart et al., Cell (1985) 41:521に記載されているヒトサイトメガロウイルスの長い末端反復(LTR)に由来するエンハンサー/プロモーターが含まれる。発現ベクターの遺伝子制御エレメントには、転写および翻訳の終結に関与する3’非転写配列および3’非翻訳配列も含まれる。それぞれ、プロモーターから転写されたmRNAの3’末端の安定化およびプロセシングのためのポリアデニル化(ポリA)シグナルなどである。例示的なポリAシグナルには、例えば、ウサギベータグロビンポリAシグナル、ウシ成長ホルモンポリAシグナル、ニワトリベータグロビンターミネーター/ポリAシグナル、およびSV40後期ポリA領域が含まれる。
【0107】
発現ベクターは、好ましくは、しかし任意選択で、少なくとも1つの選択マーカーを含む。いくつかの実施形態において、選択マーカーは、細胞毒性の化学物質および/または薬剤の存在下で成長させたときに生存性を維持する能力を宿主細胞に与えるために、1つまたは複数の遺伝子調節エレメントに作動可能に連結された耐性遺伝子をコードする核酸配列である。一部の実施形態では、選択可能な薬剤は、宿主細胞内での発現ベクターの保持を維持するために使用され得る。一部の実施形態では、選択可能な薬剤は、発現ベクター内での導入遺伝子配列の修飾(すなわち、メチル化)および/またはサイレンシングを防止するために使用され得る。一部の実施形態では、選択可能な薬剤は、宿主細胞内でのベクターのエピソーム発現を維持するために使用される。一部の実施形態では、選択可能な薬剤は、宿主細胞ゲノム内への導入遺伝子配列の安定した組み込みを促進するために使用される。一部の実施形態において、薬剤および/または耐性遺伝子には、真核宿主細胞のための、メトトレキサート(MTX)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR、米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、同第4,656,134号、同第4,956,288号、同第5,149,636号、同第5,179,017号)、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、ゼオマイシン、ミコフェノール酸、またはグルタミンシンテターゼ(GS、米国特許第5,122,464号、同第5,770,359号、同第5,827,739号);原核宿主細胞のための、テトラサイクリン、アンピシリン、カナマイシンまたはクロラムペニコール(chlorampenichol);および酵母宿主細胞のための、URA3、LEU2、HIS3、LYS2、HIS4、ADE8、CUP1またはTRP1が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0108】
発現ベクターは、宿主細胞にトランスフェクトされ、形質転換され、または形質導入され得る。本明細書で使用される場合、「トランスフェクション」、「形質転換」および「形質導入」という用語はすべて、宿主細胞への外因性核酸配列の導入を指す。いくつかの実施形態において、PTH Fc融合体をコードする核酸配列を含む発現ベクターは、同時に、宿主細胞にトランスフェクトされ、形質転換され、または形質導入される。いくつかの実施形態において、PTHバリアントをコードする核酸配列を含む発現ベクターは、順次に、宿主細胞にトランスフェクトされ、形質転換され、または形質導入される。
【0109】
当技術分野で周知の形質転換、トランスフェクションおよび形質導入の方法の例には、リポソーム送達、すなわち、Hawley-Nelson,Focus 15:73(1193)のLipofectamine(商標)(Gibco BRL)法、エレクトロポレーション、Graham and van der Erb,Virology,52:456-457(1978)のCaPO送達法、DEAE-デキストラン媒介性送達、マイクロインジェクション、パーティクル・ガン法(biolistic particle delivery)、ポリブレン媒介性送達、カチオン媒介性脂質送達、形質導入、ならびに、例えば、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスおよびバキュロウイルス(昆虫細胞)などのウイルス感染が含まれる。
【0110】
細胞内に導入されると、発現ベクターはゲノム内に安定して組み込まれるか、または染色体外構築物として存在し得る。ベクターはまた、増幅され、複数のコピーが存在するかまたはゲノムに組み込まれ得る。いくつかの実施形態において、本発明の細胞は、PTHバリアントをコードする核酸の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20またはそれ以上のコピーを含み得る。
【0111】
宿主細胞
別の態様では、本明細書に記載のポリヌクレオチド(例えば、宿主細胞においてPTHバリアントの発現を可能にするポリヌクレオチド)を含む、宿主細胞が提供される。宿主細胞は、哺乳動物細胞であってよく、非限定例には、BALB/cマウス骨髄腫細胞株(NSO/1、ECACC番号:85110503);ヒト網膜芽細胞(PER.C6,CruCell,Leiden,The Netherlands);SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1細胞株(COS-7,ATCC CRL 1651);ヒト胎児腎細胞株(HEK293細胞、または懸濁培養での成長のためにサブクローニングされた293細胞、Graham et al., J. Gen Virol., 36:59, 1977);ヒト線維肉腫細胞株(例えば、HT1080);ベビーハムスター腎細胞(BHK21、ATCC CCL 10);CHO EBNA(Daramola O. et al., Biotechnol. Prog., 2014, 30(1):132-41)およびCHO GS(Fan L. et al., Biotechnol. Bioeng. 2012, 109(4):1007-15)を含む、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO、Urlaub and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216, 1980);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, Biol. Reprod., 23:243-251, 1980);サル腎臓細胞(CV1、ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1 587);ヒト子宮頚がん細胞(HeLa、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci., 383:44-68, 1982);MRC 5細胞;FS4細胞;およびヒト肝細胞がん株(Hep G2)が含まれる。一実施形態では、宿主細胞はチャイニーズハムスター卵巣細胞であり得る。
【0112】
ポリヌクレオチドは、発現プラスミド内にあってよい。発現プラスミドは、当業者に既知の任意の数の複製起点を有し得る。ポリヌクレオチドまたは発現プラスミドは、当業者に既知の任意の数の方法によって宿主細胞に導入され得る。例えば、MaxCyte GT(登録商標)、MaxCyte VLX(登録商標)、またはMaxCyte STX(登録商標)トランスフェクションシステムなどのフローエレクトロポレーションシステムを使用して、ポリヌクレオチドまたは発現プラスミドを宿主細胞に導入することができる。
【0113】
様々な実施形態において、宿主細胞は核酸を発現する。宿主細胞は、流加(またはフェッドバッチ)細胞培養規模または他の大きな規模に十分なレベルでPTHバリアントを発現し得る。組換えPTHバリアントを大規模に生成するための代替方法には、ローラーボトル培養、バイオリアクターバッチ培養、および灌流法が含まれる。いくつかの実施形態において、組換えPTHバリアントタンパク質は、懸濁培養(または浮遊培養)された細胞によって産生される。いくつかの実施形態において、組換えPTHバリアントタンパク質は、接着性細胞によって産生される。
【0114】
製造
組換えPTHバリアントは、任意の利用可能な手段によって製造され得る。例えば、組換えPTHバリアントは、組換えPTHバリアントをコードする核酸を発現するように操作された宿主細胞系を利用することによって組換え的に産生され得る。あるいは、またはさらに、組換えPTHバリアントは、内因性遺伝子を活性化することによって産生され得る。あるいは、またはさらに、組換えPTHバリアントは、化学合成によって部分的または完全に調製され得る。あるいは、組換えPTHバリアントは、mRNA治療またはAAV/レンチウイルス遺伝子治療によってin vivoで産生され得る。
【0115】
いくつかの実施形態において、組換えPTHバリアントは哺乳動物細胞において産生される。本発明によって使用され得る哺乳動物細胞の非限定的な例には、BALB/cマウス骨髄腫細胞株(NSO/1、ECACC番号:85110503);ヒト網膜芽細胞(PER.C6,CruCell,Leiden,The Netherlands);SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7,ATCC CRL 1651);ヒト胎児腎細胞株(HEK293細胞、または懸濁培養での成長のためにサブクローニングされた293細胞、Graham et al., J. Gen Virol., 36:59, 1977);ヒト線維肉腫細胞株(例えば、HT1080);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK21,ATCC CCL 10);CHO EBNA(Daramola O. et al., Biotechnol. Prog., 2014, 30(1):132-41)およびCHO GS(Fan L. et al., Biotechnol. Bioeng. 2012, 109(4):1007-15)を含む、チャイニーズハムスター卵巣細胞+/-DHFR(CHO、Urlaub and Chasin, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:4216, 1980);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, Biol. Reprod., 23:243-251, 1980);マウス腎臓細胞(CV1、ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1 587);ヒト子宮頚がん細胞(HeLa、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci., 383:44-68, 1982);MRC 5細胞;FS4細胞;およびヒト肝細胞がん株(Hep G2)が含まれる。
【0116】
いくつかの実施形態において、組換えPTHバリアントはヒト細胞から産生される。いくつかの実施形態において、組換えPTHバリアントは、CHO細胞またはHT1080細胞から産生される。
【0117】
特定の実施形態において、宿主細胞は、細胞を培養するために選択された特定の条件下での特定の好ましい属性または増殖に基づき細胞株を作製するために選択される。そのような属性は、確立された株(すなわち、特徴付けられた市販の細胞株)の既知の特徴および/または特性に基づき、あるいは経験的評価をとおして、確認できることが当業者に理解されるであろう。いくつかの実施形態において、細胞株は、フィーダー細胞層上で増殖するその能力について選択され得る。いくつかの実施形態において、細胞株は、懸濁液中で増殖するその能力について選択され得る。いくつかの実施形態において、細胞株は、細胞の接着単層として増殖するその能力について選択され得る。いくつかの実施形態において、細胞株は、優先的な翻訳後修飾(例えば、グリコシル化)について選択され得る。いくつかの実施形態において、そのような細胞は、任意の組織培養容器または適切な接着基質で処理された任意の容器で使用することができる。いくつかの実施形態において、適切な接着基質は、コラーゲン(例えば、コラーゲンI、II、II、またはIV)、ゼラチン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、フィブリノーゲン、BDマトリゲル(商標)、基底膜マトリックス、デルマタン硫酸プロテオグリカン、ポリ-D-リジンおよび/またはそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、接着性宿主細胞は、懸濁液中で増殖するように特定の成長条件下で選択および改変され得る。懸濁状態で増殖するように接着性細胞を改変するそのような方法は、当技術分野で知られている。例えば、経時的に動物血清を増殖培地から徐々に除去することにより、懸濁培養(または浮遊培養)で増殖するように細胞を調整することができる。
【0118】
典型的には、組換えPTHバリアントを発現するように操作された細胞は、本明細書に記載の組換えPTHバリアントをコードする導入遺伝子を含み得る。組換えPTHバリアントをコードする核酸は、調節配列、遺伝子制御配列、プロモーター、非コード配列、および/または組換えPTHバリアントを発現するための他の適切な配列を含み得ることを理解されたい。典型的には、コード領域は、これらの核酸構成要素の1つまたは複数と作動可能に連結される。
【0119】
いくつかの実施形態において、PTHバリアントは、バッチ培養法を使用して発現される。いくつかの実施形態において、バッチ培養期間は、7~14日間であり得る。いくつかの実施形態において、バッチ培養は、14~21日間であり得る。いくつかの実施形態において、PTHバリアントは、灌流培養法(毎日の経時的な培養培地の採取)を使用して発現される。いくつかの実施形態において、PTHバリアントは、偽灌流培養法(pseudoperfusion culture method)(新鮮な培地との交換を伴う単一の時点での培養培地の毎日の採取)を使用して発現される。いくつかの実施形態では、特定の流加レジメン(feeding regimen)/培地を使用して、最適なPTHバリアントの生成(グリカンの改善、クリッピングの減少)を促進することができる。いくつかの実施形態において、細胞密度を制御/維持して、最適なPTHバリアントの生成(グリカンの改善/クリッピングの減少)を促進することができる。
【0120】
いくつかの実施形態において、組換えPTHバリアントは、mRNA治療によってin vivoで産生される。PTHバリアントをコードするmRNAが調製され、PTHバリアントを必要とする患者に投与される。mRNAは、配列番号8~12のDNA配列に対応する配列を含むことができる。注射、肺への噴霧、および皮下へのエレクトロポレーションなど、さまざまな投与経路を使用することができる。mRNAは、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクター内に封入され得る。例示的な非ウイルスベクターには、リポソーム、カチオン性ポリマーおよびキュボソームが含まれる。
【0121】
回収および精製
細胞からPTHバリアントを精製するための様々な手段を使用することができる。本明細書に記載の様々な方法に従って生成されたPTHバリアントを精製または単離するために、様々な方法を使用することができる。いくつかの実施形態において、発現されたタンパク質は、培地中に分泌され、したがって、細胞および他の固形物は、例えば、精製プロセスの最初のステップとして、遠心分離または濾過によって除去され得る。あるいは、またはさらに、発現されたタンパク質は、宿主細胞の表面に結合している。この実施形態において、ポリペプチドまたはタンパク質を発現する宿主細胞は、精製のために溶解される。哺乳動物宿主細胞の溶解は、ガラスビーズによる物理的破壊、界面活性剤の利用、および高pH条件への曝露を含む、当業者に周知の任意の数の手段によって達成され得る。いくつかの実施形態において、PTHバリアントは、不溶性画分(封入体)中に発現され得る。そのような実施形態では、細胞は、例えば、遠心分離によって収集され、当技術分野で一般に知られている変性剤を使用して溶解される。
【0122】
PTHバリアントは、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティ、サイズ排除、およびヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー)、ゲル濾過、遠心分離、または溶解度差(differential solubility)、エタノール沈殿を含むがこれらに限定されない標準的な方法によって、あるいはタンパク質の精製に利用できるその他の技術によって、単離および精製され得る。例えば、参照によってそれらのすべてが本明細書に組み込まれる、Scopes, Protein Purification Principles and Practice 2nd Edition, Springer-Verlag, New York, 1987; Higgins, S. J. and Hames, B. D. (eds.), Protein Expression: A Practical Approach, Oxford Univ Press, 1999; and Deutscher, M. P., Simon, M. I., Abelson, J. N. (eds.), Guide to Protein Purification: Methods in Enzymology (Methods in Enzymology Series, Vol 182), Academic Press, 1997を参照されたい。特にイムノアフィニティークロマトグラフィーの場合、タンパク質は、そのタンパク質に対して得られた抗体を固定支持体に固定したアフィニティーカラムに結合させることによって単離され得る。あるいは、インフルエンザコート配列、ポリヒスチジン、またはグルタチオン-S-トランスフェラーゼなどのアフィニティータグを標準的な組換え技術によってタンパク質に取り付けて、適切なアフィニティーカラムを通過させることにより容易に精製できるようにすることができる。精製プロセス中のポリペプチドまたはタンパク質の分解を低減または排除するために、フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)、ロイペプチン、ペプスタチンまたはアプロチニンなどのプロテアーゼ阻害剤が、任意のまたはすべての段階で添加され得る。プロテアーゼ阻害剤は、発現されたポリペプチドまたはタンパク質を単離および精製するために細胞を溶解しなければならない場合に特に望ましい。
【0123】
PTHバリアントまたは特定部分は、プロテインA精製、硫酸アンモニウムまたはエタノール沈殿、酸抽出、陰イオンまたは陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、混合様式のクロマトグラフィー(例えば、MEP Hypercel(商標))、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィーおよびレクチンクロマトグラフィーを含むがこれらに限定されない周知の方法によって、組換え細胞培養物から回収および精製され得る。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)も精製に使用することができる。例えば、Colligan, Current Protocols in Immunology, or Current Protocols in Protein Science, John Wiley & Sons, NY, N.Y. (1997-2003)を参照されたい。
【0124】
プロテインA精製後の中和は、PTH-Fc融合タンパク質の凝集/沈殿を避けるために注意深く行う必要がある。
【0125】
本発明のPTHバリアントまたは特定の部分には、天然に精製された生成物、化学合成手順の生成物、および例えば、酵母、高等植物、昆虫および哺乳動物細胞を含む真核生物宿主から組換え技術によって産生された生成物が含まれる。組換え産生手順で使用される宿主および特定のPTHバリアントに応じて、本発明のPTHバリアントまたは特定の部分は、グリコシル化され得るか、または非グリコシル化され得る。
【0126】
製剤
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、担体をさらに含む。適切な許容可能な担体には、水、塩溶液(例えば、NaCl)、生理食塩水、緩衝生理食塩水、アルコール、グリセロール、エタノール、アラビアガム、植物油、ベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ゼラチン;ラクトース、アミロースまたはデンプンなどの炭水化物;マンニトール、スクロースまたはその他のものなどの糖;デキストロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、香油、脂肪酸エステル、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなど、ならびにこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。医薬製剤は、必要に応じて、活性化合物と有害に反応せずまた活性化合物の活性に干渉しない助剤(例えば、希釈剤、緩衝剤、親油性溶剤、防腐剤、アジュバント、潤滑剤、保存剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を及ぼすための塩、緩衝剤、着色物質、香味物質および/または芳香物質など)と混合され得る。一部の実施形態では、静脈内投与に適した水溶性担体が使用される。
【0127】
薬学的に許容される助剤が好ましい。このような滅菌溶液およびそれを調製する方法の非限定的な例は、Gennaro, Ed., Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, Mack Publishing Co. (Easton, Pa.) 1990などに記載されているように当技術分野で周知であるが、これらに限定されない。当技術分野で周知のようにまたは本明細書に記載されているように、PTHバリアント組成物の投与方法、溶解性および/または安定性に適した薬学的に許容される担体は、通常通りに選択することができる。例えば、わずかに酸性のまたは生理学的pHの滅菌生理食塩水およびリン酸緩衝生理食塩水が使用され得る。pH緩衝剤は、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、N-トリス(ヒドロキシメチル)メチル-3-アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、重炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、好ましいバッファーであるヒスチジン、アルギニン、リジン、または酢酸塩、あるいはこれらの混合物であり得る。好ましい緩衝範囲は、pH4~8、pH6.5~8、より好ましくはpH7~7.5である。パラ-、メタ-、およびオルト-クレゾール、メチルパラベンおよびプロピルパラベン、フェノール、ベンジルアルコール、安息香酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ベンジル、ソルビン酸、プロパン酸、p-ヒドロキシ安息香酸のエステルなどの防腐剤が医薬組成物中に提供され得る。例えばアスコルビン酸、メチオニン、トリプトファン、EDTA、アスパラギン、リジン、アルギニン、グルタミンおよびグリシンなどの、酸化、脱アミド化、異性化、ラセミ化、環化、ペプチド加水分解などを防止する安定剤が医薬組成物中に提供され得る。ドデシル硫酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、シクロデキストリンなどの、凝集、フィブリル化、および沈殿を防止する安定剤が医薬組成物中に提供され得る。エタノール、酢酸または酢酸塩およびこれらの塩など、可溶化のためまたは凝集を防止するための有機改質剤が、医薬組成物中に提供され得る。塩(例えば、塩化ナトリウム)、または炭水化物(例えば、デキストロース、マンニトール、ラクトース、トレハロース、スクロースもしくはこれらの混合物)などの等張化剤(isotonicity maker)が医薬組成物中に提供され得る。
【0128】
本組成物において有用な医薬賦形剤および添加剤には、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、脂質、および炭水化物(例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖を含む糖類;アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などの誘導体化された糖類;ならびに多糖類または糖ポリマー)が含まれるが、これらに限定されず、これらは、単独でまたは組み合わせて存在することができ、単独でまたは組み合わせて、1~99.99重量%または体積%を構成することができる。例示的なタンパク質賦形剤には、ヒト血清アルブミン(HSA)などの血清アルブミン、組換えヒトアルブミン(rHA)、ゼラチン、カゼインなどが含まれる。緩衝能でも機能することができる代表的なアミノ酸/PTHバリアント成分には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リジン、ロイシン、イソロイシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが含まれる。1つの好ましいアミノ酸はグリシンである。
【0129】
炭水化物賦形剤、例えば、フルクトース、マルトース、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類;ラクトース、スクロース、トレハロース、セロビオースなどの二糖類;ラフィノース、メレジトース、マルトデキストリン、デキストラン、デンプンなどの多糖類;ならびにマンニトール、キシリトール、マルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシトールなどのアルジトールを使用することができる。
【0130】
PTHバリアント組成物はまた、バッファー(緩衝液)またはpH調整剤を含むことができる;典型的には、バッファーは、有機酸または有機塩基から調製される塩である。例示的なバッファーには、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、またはフタル酸の塩などの有機酸塩;トリス、トロメタミン塩酸塩、またはリン酸バッファーが含まれる。
【0131】
さらに、本発明のPTHバリアント組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(糖ポリマー)、デキストラート(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシクロデキストリン)、ポリエチレングリコール、香味料、抗菌剤、甘味料、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN(登録商標)20」および「TWEEN(登録商標)80」などのポリソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロール)、およびキレート剤(例えば、EDTA)などのポリマー賦形剤/添加剤を含むことができる。
【0132】
本発明によるPTHバリアント組成物での使用に適したこれらおよび追加の既知の医薬賦形剤および/または添加剤は、例えば、“Remington: The Science & Practice of Pharmacy”, 21st ed., Williams & Williams, (2005)、および“Physician's Desk Reference”, 71st ed., Medical Economics, Montvale, N.J. (2017)に列挙されているように当技術分野で知られており、これらの開示は参照により完全に本明細書に組み込まれる。好ましい担体または賦形剤の材料は、塩(例えば、塩化ナトリウム)、炭水化物(例えば、マンニトール)およびバッファー(例えば、クエン酸塩)である。
【0133】
医薬組成物は、静脈内または皮下への注射または注入による投与に適した液剤として処方され得る。液剤は、1つまたは複数の溶剤を含み得る。例示的な溶剤には、水;エタノールおよびイソプロピルアルコールなどのアルコール;植物油;ポリエチレングリコール;プロピレングリコール;およびグリセリン;またはこれらの混合物および組み合せが含まれるが、これらに限定されない。静脈内投与に適した水溶性担体が使用され得る。例えば、一部の実施形態において、静脈内投与用の組成物は、典型的には、滅菌等張水性バッファー中の溶液である。必要な場合、組成物はまた、可溶化剤、および注射部位における疼痛を緩和するための局所麻酔薬を含み得る。一般に、成分は、単位剤形で別個にまたは一緒に混合され、例えば、活性薬の量を示すアンプルまたはサシェなどの気密容器内の凍結乾燥粉末または水非含有濃縮物として供給される。組成物が注入によって投与される場合、無菌の医薬品グレードの水、生理食塩水またはデキストロース/水を含む注入ボトルで組成物を分配することができる。組成物が注射によって投与される場合、投与前に成分を混合できるように、注射用滅菌水または生理食塩水のアンプルが提供され得る。
【0134】
上記のように、製剤には、好ましくは、薬学的に許容される製剤中に少なくとも1つのPTHバリアントを含む、生理食塩水または選択された塩を含有する適切なバッファー、ならびに保存剤を含む任意選択の保存された溶液および製剤、ならびに薬学または獣医学用途に適した多用途の保存された製剤が含まれ得る。保存された製剤は、水性希釈剤中に少なくとも1つの既知の保存剤を含み、任意選択で保存剤は、少なくとも1つのフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、亜硝酸フェニル水銀、フェノキシエタノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、六水和物)、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびチメロサール、またはこれらの混合物からなる群より選択される。当技術分野で既知のように、任意の適切な濃度または混合物を使用することができ、それは、0.001~5%またはその中の任意の範囲もしくは値などであり、例えば、0.001、0.003、0.005、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4.、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、またはその中の任意の範囲もしくは値などであるが、これらに限定されない。非限定的な例には、保存剤なし、0.1~2%のm-クレゾール(例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.9、1.0%)、0.1~3%のベンジルアルコール(例えば、0.5、0.9、1.1.、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001~0.5%のチメロサール(例えば、0.005、0.01)、0.001~2.0%のフェノール(例えば、0.05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005~1.0%のアルキルパラベン(複数可)(例えば、0.00075、0.0009、0.001、0.002、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.075、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)などが含まれる。
【0135】
PTHバリアントは、非経口投与用に処方することができ、一般的な賦形剤として、滅菌水または生理食塩水、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール、植物由来の油、硬化ナフタレンなどを含むことができる。注射用の水性または油性懸濁液は、既知の方法に従って、適切な乳化剤または湿潤剤および懸濁剤を使用することによって調製され得る。注射用剤は、水溶液、または溶剤中の滅菌注射溶液もしくは懸濁液などの、非毒性の非経口投与可能な希釈剤であり得る。使用可能なビヒクルまたは溶剤として、水、リンゲル液、等張生理食塩水などが許容され;通常の溶剤または懸濁溶剤として、滅菌不揮発性油を使用することができる。これらの目的のために、天然または合成または半合成の脂肪油または脂肪酸;天然または合成または半合成のモノグリセリドまたはジグリセリドまたはトリグリセリドを含む、任意の種類の不揮発性油および脂肪酸を使用することができる。非経口投与は、当技術分野で既知であり、従来の注射手段、米国特許第5,851,198号に記載されているガス圧無針注射装置、および米国特許第5,839,446号に記載されているレーザー穿孔装置が含まれるが、これらに限定されない。
【0136】
医薬組成物は、延長放出製剤(または徐放製剤)であり得る。医薬組成物はまた、PTHバリアント(例えば、配列番号8のアミノ酸配列を含む)の持続放出、延長放出、遅延放出または徐放のために処方され得る。制御放出および持続放出としても知られる延長放出を注射用製剤に提供することができる。ミクロスフェア、ナノスフェア、インプラント、デポー、およびポリマーを、本明細書に記載の化合物、方法、および製剤のいずれかと組み合わせて使用して、延長放出(または徐放)プロファイルを提供することができる。
【0137】
例えば、配列番号8のアミノ酸配列を含む本発明のPTHバリアントは、約0.001~約100mg/mL、または約0.005~約50mg/mL、または約0.007~約20mg/mL、または約0.01~約10mg/mL、または約0.05~約5.0mg/mL、または約0.07~約2.0mg/mL、または約0.1~約1.0mg/mLの濃度で処方され得る。一実施形態では、PTHバリアントは、約0.01~約10mg/mLの濃度で処方され得る。一実施形態では、PTHバリアントは、約0.1~約1.0mg/mLの濃度で処方され得る。
【0138】
PTHバリアントを含む製剤および組成物は、任意選択で、糖尿病またはインスリン代謝関連薬、抗感染症薬、心血管(CV)系薬、中枢神経系(CNS)薬、自律神経系(ANS)薬、呼吸器薬、消化(GI)管薬、ホルモン薬、体液または電解質バランスのための薬剤、血液薬、抗腫瘍薬、免疫調節薬、眼科薬、耳鼻科薬、局所薬、栄養薬などのうちの少なくとも1つから選択される少なくとも1つの化合物またはタンパク質の有効量をさらに含むことができる。そのような薬物は、本明細書に提示されるそれぞれの製剤、適応症、投薬および投与を含めて、当技術分野で周知である(例えば、それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、Nursing 2001 Handbook of Drugs, 21st edition, Springhouse Corp., Springhouse, Pa., 2001; Health Professional's Drug Guide 2001, ed., Shannon, Wilson, Stang, Prentice-Hall, Inc, Upper Saddle River, NJ; Pharmacotherapy Handbook, Wells et al., ed., Appleton & Lange, Stamford, CTを参照されたい)。
【0139】
PTHバリアントはまた、PTHバリアントの長期または持続投与のための徐放性移植デバイスとして処方され得る。そのような持続放出製剤は、体の外部に配置されたパッチの形態であり得る。持続放出製剤の例には、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、メチルセルロース、ヒアルロン酸、シアル酸、ケイ酸塩、コラーゲン、リポソームなどの生体適合性ポリマーの複合材料が含まれる。持続放出製剤は、PTHバリアントの高い局所濃度を提供することが望ましい場合に特に興味深いものとなり得る。
【0140】
PTHバリアントの組成物および製剤は、清澄な溶液として、あるいは、再構成される凍結乾燥された少なくとも1つのPTHバリアント(例えば、配列番号8のアミノ酸配列を含む)または特定部分もしくはバリアントのバイアルと、水性希釈剤を含有する第2のバイアルとを含むデュアルバイアルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアルまたは再構成を要するデュアルバイアルは、複数回再利用することができ、患者の単回または複数回サイクルの処置に十分であり、したがって現在利用可能なものよりも便利な処置レジメンを提供する。
【0141】
PTHバリアントの組成物および製剤は、薬局、診療所、または他のそのような施設および設備に、清澄溶液、あるいは再構成される凍結乾燥された少なくとも1つのPTHバリアント(例えば、配列番号8のアミノ酸配列を含む)または特定部分もしくはバリアントのバイアルと、水性希釈剤を含有する第2のバイアルとを含むデュアルバイアルを提供することにより、患者に間接的に提供することができる。この場合において清澄溶液は、最大1リットルまたはそれ以上のサイズであってもよく、大きなリザーバーを提供し、そこからPTHバリアント(例えば、配列番号8のアミノ酸配列を含む)または特定部分もしくはバリアントの溶液のより少ない部分を1回または複数回取り出してより小さなバイアルに移し、薬局または診療所から顧客および/または患者に提供することができる。このような製品は、包装材料を含むことができる。包装材料は、規制当局が要求する情報に加えて、製品を使用できる条件を提供することができる。包装材料は、2バイアルウェット/ドライ製品について、PTHバリアント(例えば、配列番号8のアミノ酸配列を含む)または特定部分もしくはバリアントを水性希釈剤で再構成して溶液を形成し、その溶液を2~24時間またはそれ以上の時間にわたり使用するように患者に指示を提供することができる。
【0142】
処置
別の態様では、対象の血清および尿中カルシウムレベルを制御するのに有効な投薬レジメンを使用して、本発明のPTHバリアントで対象を処置することを含む、副甲状腺機能低下症および/または副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症を有する対象を処置するための方法が提供される。PTHバリアントは、ネイティブPTH(1-84)よりも半減期が長いため、副甲状腺機能低下症および/または副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症の処置に特に有効となり得る。より長い半減期は、より生理学的に適切なレベルでのPTHバリアントの毎日の投与および維持を可能にし、血清および尿中カルシウムの両方に対するより持続的な制御を可能にする。
【0143】
いくつかの実施形態では、この方法は、対象の血清カルシウムレベルを制御するのに有効である。一実施形態では、この方法は、本発明のPTHバリアントの投与がない場合の前記対象の血清カルシウムレベルと比較して、副甲状腺機能低下症および/または副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症を有する対象の血清カルシウムレベルを高めるのに有効である。一実施形態では、この方法は、外因性のネイティブPTH(1-84)を投与されている対象の血清カルシウムレベルと比較して、対象の血清カルシウムレベルをより低いピーク対トラフ比(ピーク/トラフ比)に維持するのに有効である。一実施形態では、この方法は、副甲状腺機能低下症の対象のカルシウムサプリメントの量を減らすのに有効である。
【0144】
いくつかの実施形態では、この方法は、対象の尿中カルシウム分泌を制御するのに有効である。一実施形態では、この方法は、尿中カルシウム排泄量を健康なボランティアのレベルまで減少させる(潜在的な腎臓合併症を減少させる)のに有効である。
【0145】
例えば、配列番号8のアミノ酸配列を含むPTHバリアントは、皮下または静脈内投与され得る。様々な実施形態において、投薬レジメンに従って複数回投与が行われる。本明細書で使用される場合、用語「QD」または「q.d.」は1日1回の投与、「Q2D」は2日ごとの投与などを意味する。「QW」は毎週(週1回)の投与を意味する。「BID」は、1日2回の投与を意味する。投薬は、例えば、BID、1日1回(QD)、Q2D、Q3D、Q4D、Q5D、Q6D、QW、8日に1回、9日に1回、10日に1回、11日に1回、12日に1回、13日に1回、2週間に1回、15日に1回、16日に1回、または17日に1回、3週に1回、または月1回行われ得る。
【0146】
PTHバリアント(例えば、配列番号8のアミノ酸配列を含む)は、0.001μg~1,000μgの間で、1日2回、または1日1回、または2日ごと、または5~8日ごと、または毎週(QW)の投薬レジメンに従って、皮下投与され得る。あるいは、PTHバリアントは、維持目的などのために、3週間ごとまたは月に1回投与され得る。
【0147】
PTHバリアント(例えば、配列番号8のアミノ酸配列を含む)は、約1μg/日~約500μg/日、または約2μg/日~約250μg/日、または約5μg/日~約100μg/日、または約10μg/日~約80μg/日、または約20μg/日~約100μg/日、または約20μg/日~約100μg/日、あるいは1日1回(QD)の約50μg、または約60μg、または約70μg、または約80μg、または約90μg、または約100μgの投与レジメンに従って皮下投与され得る。PTHバリアント(例えば、配列番号8のアミノ酸配列を含む)は、0.001~1,000μg/mLの濃度で投与され得る。
【0148】
上記の投薬レジメンは、副甲状腺機能低下症および/または副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症を処置するために、1ヶ月、または2ヶ月、または6ヶ月、または1年、または2年、または5年、または5年より長く行われ得る。PTHバリアントは、維持のために、対象者の生涯にわたって投与され得る。
【0149】
本明細書で使用される場合、「皮下組織」という用語は、皮膚のすぐ下の緩い不規則な結合組織の層として定義される。例えば、皮下投与は、大腿部、腹部、臀部、または肩甲骨を含むがこれらに限定されない領域に組成物を注射することによって行われ得る。そのような目的のために、製剤は注射器を用いて注射され得る。しかしながら、注射装置(例えば、Inject-ease(商標)装置およびGenject(商標)装置)、注射ペン(GenPen(商標)など)、無針装置(例えば、MediJector(商標)およびBioJector(商標))、および皮下パッチ送達システムなど、製剤の投与のための他の装置も利用可能である。いくつかの実施形態において、PTHバリアント(例えば、配列番号8のアミノ酸配列を含む)、またはそれを含む医薬組成物は、静脈内投与される。
【0150】
様々な実施形態において、副甲状腺機能低下症および/または副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症を処置する上記の方法は、副甲状腺機能低下症および/または副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症を処置する他の方法と組み合わせて使用される。
【実施例
【0151】
次の実施例は、本明細書の記載の特定の態様を示す。実施例は、単に、実施形態およびそれらの様々な態様の具体的な理解および実践を提供するものであり、実施例は限定的であると解釈されるべきではない。
【0152】
実施例1:Fc融合PTHバリアント(PTH-66により例示)の製造および精製
PTH-66をCHO細胞で一過性に発現させ、馴化培養液をさらに使用するまで-20℃で保存した。馴化培養液を25℃の水浴で解凍し、0.2μmのボトルトップフィルターユニットで濾過した。PTH-66タンパク質を、製造元のプロトコルに従って、プロテインA派生レジンMabSelect SuReで精製した(図8)。MabSelect SuReカラムをPBSで事前に平衡化した。解凍した馴化培養液をカラムにロードした後、PBSで十分に洗浄した。PTH-66タンパク質を、100mMのクエン酸ナトリウムバッファーpH3.2を用いた段階溶出によって溶出させた。溶出画分をSDS-PAGEで分析した(図9)。プールした溶出画分のpHを、1M Tris pH10で約pH6にした。中和されたプール溶出画分をPTH-66保存バッファー(20mMリン酸ナトリウムバッファー、50mM塩化ナトリウム、26mg/mlマンニトール、pH6.0)に透析し、-80℃で保存した。
【0153】
図8Aは、2x5mL MabSelect Sureカラムを使用したPTH-66を発現する約900mLのCMのクロマトグラフィー精製のトレースを示す。図8Bは、本発明の実施形態による、PTH-66の精製ステップを概説するフローチャートである。
【0154】
図9Aは、PTH-66のMab選択粗溶出画分を示す。図9Bは、PTH-66のMab選択粗溶出画分のクーマシーブルー染色を示す。
【0155】
図10は、最終的なPTH-66生成物のSDS-PAGEクーマシー染色を示す。最終収量は約75mg/900mL細胞培養液(CM)であった。タンパク質は、PTH保存バッファー中3mg/mLである。タンパク質を分注し、-80℃で保存した。
【0156】
実施例2:PTH-Fc融合体のC末端トランケーションの効果
様々な長さの短縮型PTHを含むPTH-Fc融合バリアントを、実施例1に概説した方法論に従って調製した。次のPTH-Fc融合バリアントを作成した:PTH-66(PTH(1-74)-Fc)、PTH-67(PTH(1-64)-Fc)、PTH-68(PTH(1-54)-Fc)、PTH-69(PTH(1-44)-Fc)、およびPTH(1-34)-Fc。
【0157】
短縮型バリアントおよび全長PTH(1-84)-Fcを用いて0.25mg/kgでSpraque-Dawleyラットを単回皮下投与した後のPTHの血清濃度を、Immunotopics生物活性ELISAキット(60-3000)を使用して評価し、図1に結果を示す。
【0158】
図1に示すように、PTHのC末端トランケーション(C-terminal truncation)は、驚くべきことに、予想外に、PTH-Fc融合体の曝露および薬物動態を改善する。
【0159】
図が示すように、本発明の短縮型PTH-Fc融合バリアントは、ネイティブ長のPTH(1-84)-Fc融合体およびテリパラチド-Fc(PTH(1-34)-Fc融合体)の両方よりも優れている。さらに驚くべきことに、PTH(1-74)は、ネイティブ長のPTH(1-84)-Fcおよび他の類似体と比較して、in vivoで特に長い半減期を有する。
【0160】
実施例3:正常マウスにおけるPTH-66
PTH-66を50nmol/kgの用量で正常マウスに投与した。投与後2、8、24、48、および72時間目にサンプルを採取し、カルシウム濃度をプロットして、リン酸バッファー(ビヒクル)対照と比較した。
【0161】
図2は、マウスにおけるPTH-66(50nmol/kg用量)の投与後時間の関数として血清カルシウムレベル(図2A)および尿中カルシウムレベル(図2B)を示す。図2Aに示されるように、PTH-66は、PTH(1-84)およびビヒクル対照と比較して、血清カルシウムの長期にわたる増加を誘発する。図2Bに示されるように、PTH-66は、PTH(1-84)よりも尿中カルシウムレベルのより長い維持を示す。PTH(1-84)処置は、血清カルシウムの上昇および分子の一時的な曝露と一致して、最初の数時間以内に尿中カルシウムのスパイクをもたらす。対照的に、血清カルシウムレベルの上昇にもかかわらず、PTH-66は尿中カルシウムレベルのより長期的な制御を示し、12~24時間ビヒクルに近いレベルを維持する。要約すると、PTH-66による処置はカルシウムレベルに持続的な効果をもたらす。
【0162】
実施例4:TxPTxラットにおけるPTH-66
正常(インタクト)ラットおよび甲状腺副甲状腺摘出(TxPTx)ラットに、5、20、および60nmol/kgのさまざまな用量でPTH-66を投与した。投与後1、6、12、18、24、36、48、および72時間目に連続サンプルを採取し、ビヒクル対照と比較した。
【0163】
図3Aおよび3Bに示すように、PTH-66で処置したTxPTxラットは、投与後72時間まで上昇および維持される用量依存的な血清Ca++レベルを伴う用量線形PK/PD応答を示す。図3Bは、5nmol/kgのPTH-66を投与されたTxPTxラットが、インタクトラットの血清カルシウムレベルに戻る正常化された血清カルシウムレベルを有するのに対して、20および60nmol/kgのPTH-66での処置は、投与後12~48時間目に、プラセボビヒクルを受けたインタクトラットよりも高い血清カルシウムレベルを示すことを表す。
【0164】
図4(A-B)は、PTH-66とPTH(1-84)を比較したTPTxラットからの単回投与PK(図4A)およびPD(図4B)試験データを示す。TPTxラットのデータは、PTH(1-84)を超える明らかなPK延長を示し、血清カルシウムのごく一時的な増加のみを示すPTH(1-84)と対比して、5nmol/kgのPTH-66が血清カルシウムを正常レベルに戻すことができることを示す。
【0165】
別の複数回投与試験では、正常(インタクト)ラットおよび甲状腺副甲状腺摘出(TxPTx)ラットに、2および4nmol/kgの用量でPTH-66を10日間毎日皮下投与した。投与前に1日1回サンプルを採取し、ビヒクル対照と比較した。
【0166】
図5(A-D)は、TPTxラットへのPTH-66の毎日の皮下投与からの複数回投与PK(図5A)およびPD(図5B-D)試験データを示す。図5AのPKデータは、ほぼ定常状態レベルのPTH-66が達成された用量線形PK応答を示す。図5Bに示すように、2および4nmol/kgのPTH-66は血清カルシウムを正常範囲(インタクト)レベルに戻し、維持する。図5Cは、PTH-66の毎日の投与が血清リン酸塩レベルの正常化をもたらすことを示す。図5Dは、図5Aに示すように、PTH-66が正常な血清カルシウムレベルを維持している一方で、その分子が正常な尿中カルシウムレベルも維持していることを示す。これらのデータは、PTH-66の毎日の皮下投与が、血清カルシウムおよびリン酸塩、そして重要なことに尿中カルシウムの完全な正常化をもたらすことを示す。
【0167】
実施例5:霊長類におけるPTH-66
野生型カニクイザルにPTH-66を2mmol/kgの投薬量で単回投与し、他のサルには5mmol/kgのナトパラ(Natpara)(PTH(1-84))を単回投与した。投与後0、1、3、6、9、12、18、24、36、48、および72時間目に連続サンプルを採取し、Natparaおよびビヒクル対照と比較した。
【0168】
図6(A-B)は、PTH-66とPTH(1-84)を比較した野生型カニクイザルの単回投与PK(図6A)およびPD(図6B)試験データを示す。
【0169】
図6のデータは、Natparaを超えるPTH-66の明らかなPK延長を示し、2nmol/kgのPTH-66が、PTH(1-84)で得られるレベルを超えて血清カルシウムレベルを刺激および維持できることを示す。PTH-66と比較して、Natparaは短命であり、血清カルシウムに対してより一時的な影響を及ぼす。
【0170】
別の複数回投与試験では、PTH-66を野生型カニクイザルに1nmol/kgの用量で9日間毎日皮下投与した。サンプルを、投与前と最後の投与の24、48、72、および120時間後に毎日採取し、ビヒクル対照と比較した。
【0171】
図7は、野生型カニクイザルに1nmol/kgのPTH-66を毎日皮下投与した場合の複数回投与PKおよびPD試験データを示す。PKデータは、PTH-66の比較的平坦なPKプロファイルが達成され、その結果、ビヒクル対照と比較して、試験期間にわたって血清カルシウムが増加し、かつ血清リン酸塩が減少したことを示す。
【0172】
実施例6:PTH cAMP効力アッセイ
表1は、本発明による例示的なPTHバリアントのcAMP効力(EC50)アッセイの結果を要約する。表2は、PTHバリアントのPKデータを要約する。
【0173】
【表1】
【0174】
【表2】
【0175】
表1および2に示すように、すべてのPTH-Fcサンプルが、ナノモル以下のEC50Sで活性を有し、PTH(1-84)よりも大幅に改善されたPK特性を有する。
【0176】
実施例6:PTH-66の精製におけるマルチモーダルクロマトグラフィー
最初のキャプチャーステップとしてのプロテインA(Protein A)クロマトグラフィーは、図11に示すダウンストリームプラットフォームに従って実施した。ウイルスの不活化のために溶出液を3.5の低pHで1時間保持し、その後pH6に中和し、-80℃で凍結した。クリッピング種と宿主細胞タンパク質を除く不純物の大部分が十分に除去された。以下に説明するポリッシングステップは、残留宿主細胞およびプロセス不純物を除去するために開発された。
【0177】
マルチモーダル(混合モードとしても知られる)クロマトグラフィーの適用は、媒体がさまざまな相互作用を介して高効率で化合物の分離を可能にする抗体精製において急速に成長している。下流のポリッシング開発では、カチオン性Capto(商標)MMC ImpResとアニオン性Capto(商標)Adhere ImpResの2つのマルチモーダルカラムステップを検討した。ただし、複雑な媒体特異的な相互作用を前提として、精製プロセスは、バッファー成分、イオン強度、pH、および塩の種類によって決定される。最適な結合および溶出条件を推定することは困難であるため、これら2つの樹脂の分離条件は、最適なプロセス性能を達成するために以下に説明するステップを経て決定された。
【0178】
PTH-66(PTH(1-74)-Fc融合体)は、バイオリアクターから適度な断片化を受け、それは、循環半減期が長くなったにもかかわらずその効力に悪影響を与える可能性がある。下流の処理の前に採取した細胞培養物にプロテアーゼ阻害剤を添加すると、将来の生成物の分解を防ぐことが示されている。細胞培養における組換えタンパク質の断片化は、薬物の安全性と効力に悪影響を与える可能性がある。下流プロセスの開発において、上流プロセスから生じた疎水性または電荷が変化したフラグメントアイソフォームが、マルチモーダルクロマトグラフィーを使用してインタクトなFc融合タンパク質からうまく分離された。10%未満の断片化目標を達成する製造プロセスのフローチャートを図12に示す。
【0179】
6μLのPreDictor96ウェルプレートを使用して、Capto MMCおよびAdhere ImpResの初期操作条件についての徹底的なハイスループットスクリーニング(HTS)を実施して、塩濃度やpHなどの幅広いパラメーターを評価した(図13Aおよび13Bを参照)。
【0180】
ハイスループットプロセスを使用して決定された陽イオン交換(陽イオン)Capto MMC ImpResと陰イオン交換(陰イオン)Capto Adhere ImpResの分離条件を図14Aおよび14Bに示す。Capto MMC ImpResのスクリーニングされた実験条件には、50g/L樹脂のロードおよび1時間のインキュベーション時間で、pH5.0~7.0および0~750mMの塩(NaCl)濃度での酢酸、MES、およびリン酸バッファーシステムが含まれる。Capto Adhere ImpResのスクリーニングされた実験条件には、50g/L樹脂のロードおよび1時間のインキュベーション時間で、pH5.0~8.0および0~1500mMの塩(NaCl)濃度での酢酸、MES、リン酸、およびTrisバッファーシステムが含まれる。
【0181】
図14Cに示す構造を有する陽イオン樹脂であるCapto MMC ImpResの最適な結合条件は、塩を含まないpH6.0の50mM MESバッファーを含むことが決定された。図14Dに示す構造を有する陰イオン樹脂であるCapto Adhere ImpResの最適なフロースルー条件は、塩を含まないpH5.0の50mM酢酸バッファーを含むことが決定された。
【0182】
第2のステップは、HTS静的結合容量の結果によって加速されるベンチスケールでプロセスを最適化することである。Capto MMC ImpResは、不純物クリアランス能力を最大化するために、結合および溶出モードで実施した。不必要な生成物損失なしに、プロセス関連および生成物関連の過剰な不純物を減らすために洗浄ステップを検討した(図15)。後続のCapto Adhere ImpResステップは、プロセスが製品品質基準を満たすことを可能にする高速フロースルー(FT)ステップとして開発された(図16)。MMCおよびAdhereのベンチトップ確認実験を実施して、不純物クリアランスおよびステップ収率に関するプロセスの堅牢性を検証した。PTH-Fcの定量化は、MMCおよびAdhereの収量を追跡するためにUV280に依存する。
【0183】
図17~19に示すように、ハイスループット研究からの条件はベンチスケールにうまく移行された。Capto MMC ImpResグラジエント溶出トレースを図14Aに示す。0.66x10cm(3.4mL)カラムで、pH6.0の50mM MES、0~1MのNaClグラジエント溶出により、より優れた分離能が達成された。MMCは、HCP、DNA、HMW、およびクリッピング種の除去を効果的にもたらす。
【0184】
【表3】
【0185】
他のプロセス関連および生成物関連の不純物を減らすためにMMC洗浄ステップを検討した。MMC洗浄の最適化を表4に示す。最適な洗浄条件は、6CVの200mM NaClおよび3CVの250mM NaClであると決定された。
【0186】
【表4】
【0187】
図17Bに示され、以下の表5に示されるCapto Adhere ImpResのフロースルーは、追加のHCPおよびHMW除去能力を提供することを示す。0.66x10cm(3.4mL)カラムで、pH5.0の50mM酢酸ナトリウムバッファーを使用するフロースルーで、より優れた分離能が達成された。
【0188】
【表5】
【0189】
下流のポリッシングステップの設計を図18Aに示す。不純物クリアランスおよびプロセス収率に基づき安定したプールを有するプロセスの堅牢性が図15Bならびに以下の表6に示される。
【0190】
【表6】
【0191】
パイロットスケールでの製品品質特性を図19A~19Fに示す。これらの図に示されているように、大規模な精製であるパイロットプラント操作(PPO)のステップ収率は、小規模なラボスケールであるプロセス開発(PD)からの収率に匹敵する。これらの2つの収率を比較することにより、上記のパラメーターを使用して精製プロセスがうまくスケールアップされたと結論付けることができる。
【0192】
インプロセス(in-process)サンプルの安定性は、MMC溶出液およびAdhere FTを周囲温度および4~8℃でそれぞれ5日間と4日間保持した後、SEC-HPLCとインタクトマス分析で分析することによって決定した。
【0193】
したがって、Fc融合タンパク質の断片化の問題は、マルチモーダルクロマトグラフィーを使用してうまく対処され、堅牢な不純物クリアランスを損なうことなく比較的高い回収率を達成するリニアグラジエントからの段階溶出が確立された。
【0194】
本発明の範囲および精神から逸脱することなく、上記の主題に様々な変更を加えることができるため、上記の説明に含まれるまたは添付の特許請求の範囲で定義されるすべての主題は、説明的であり、本発明の例証であると解釈されることが意図されている。上記の教示を考慮して、本発明の多くの修正および変形が可能である。したがって、本説明は、添付の特許請求の範囲内にあるそのようなすべての代替案、修正、および差異を包含することを意図している。
【0195】
本明細書で引用されるすべての特許、出願、刊行物、試験方法、文献、および他の資料は、本明細書に物理的に存在するかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図14C
図14D
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図19A
図19B
図19C
図19D
図19E
図19F
【配列表】
2022519061000001.app
【国際調査報告】