(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(54)【発明の名称】ビフェノール四酸組成物の精製のための方法およびビフェノール四酸組成物
(51)【国際特許分類】
C07C 51/47 20060101AFI20220311BHJP
C07C 65/24 20060101ALI20220311BHJP
【FI】
C07C51/47
C07C65/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544592
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(85)【翻訳文提出日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2020015777
(87)【国際公開番号】W WO2020160201
(87)【国際公開日】2020-08-06
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521198963
【氏名又は名称】エスエイチピーピー グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュルテ ジェームス パトリック ザ セカンド
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス オルドネス フアン フスティノ
【テーマコード(参考)】
4H006
【Fターム(参考)】
4H006AA01
4H006AA02
4H006AB84
4H006AC46
4H006AD15
4H006BB14
4H006BB31
4H006BC51
4H006BJ50
4H006BP60
(57)【要約】
ビフェノール四酸組成物の精製のための方法が、ビフェノール四酸組成物を、C1-6アルコールを包含する溶媒と接触させてスラリーを形成することと、精製されたビフェノール四酸をスラリーから単離することとを包含する。ビフェノール四酸組成物はビフェノール四酸およびビフェノールを包含する。精製されたビフェノール四酸組成物もまた記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式
【化1】
のビフェノール四酸と、式
【化2】
のビフェノールと、を含むビフェノール四酸組成物の精製のための方法であって、
前述の式中、R
aおよびR
bはそれぞれ独立してハロゲンまたは一価C
1-6アルキル基であり、pおよびqはそれぞれ独立して0から4の整数であり、
前記方法が、
前記ビフェノール四酸組成物を、C
1-6アルコールを含む溶媒と接触させて前記ビフェノール四酸組成物を含むスラリーを形成するステップと、
精製されたビフェノール四酸を前記スラリーから単離するステップと、
を含み、
前記精製されたビフェノール四酸を単離することは、
前記スラリーを濾過して前記ビフェノール四酸を含む湿潤ケークを提供するステップと、
前記湿潤ケークをC
1-6アルコール、水、C
1-6アルコールと混和性の有機溶媒、またはそれらの組み合わせを含む追加の溶媒によって洗浄するステップと、
を含む、
方法。
【請求項2】
前記ビフェノール四酸組成物が、それぞれ前記ビフェノール四酸組成物の合計重量に基づいて、1から10重量パーセントの前記ビフェノール、好ましくは1から5重量パーセント、より好ましくは1から3重量パーセントを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビフェノール四酸組成物が、さらに、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、鉄イオン、およびリンイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、塩化物イオン、またはそれらの組み合わせを含み、
前記ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、鉄イオン、およびリンイオンのそれぞれ、リン酸イオン、硫酸イオン、または塩化物イオンが、それぞれ前記ビフェノール四酸組成物の合計重量に基づいて、0から1700ppmの量で存在する、
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
pおよびqが、それぞれ0である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記ビフェノール四酸のビフェノール基の二価結合が、3,3’位、3,4’位、または4,4’位、好ましくは3,3’位においてである、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ビフェノール四酸が異性体混合物であり、好ましくは、前記ビフェノール四酸の10~100重量パーセントが前記ビフェノール四酸のビフェノール基の二価結合を3,3’位に有し、より好ましくは、前記ビフェノール四酸の90~100重量パーセントは前記ビフェノール四酸のビフェノール基の二価結合を3,3’位に有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記C
1-6アルコールが、イソプロパノール、エチレングリコール、メタノール、エタノール、n-プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記溶媒が、さらに、水、またはC
1-6アルコールと混和性の有機溶媒を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記有機溶媒が、オルト-ジクロロベンゼン、パラ-ジクロロベンゼン、メタ-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、ベンゼン、キシレン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,3,4-トリクロロベンゼン、好ましくはオルト-ジクロロベンゼンを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記精製されたビフェノール四酸が、
超高速液体クロマトグラフィーによって決定される1重量パーセント未満、好ましくは0.7重量パーセント未満、より好ましくは0.2重量パーセント未満、さらにはより好ましくは0.16重量パーセント未満の前記ビフェノール、
10ppm未満のナトリウムイオン、
合計50ppm未満のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、鉄イオン、およびリンイオン、
250ppm未満の硫酸イオン、ならびに
合計3,000ppm未満のリン酸イオン、硫酸イオン、および塩化物イオン、
を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記スラリーを撹拌すること、好ましくは1から2時間の時間にわたって前記スラリーを撹拌することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記溶媒が、0.8:1から8:1という溶媒対ビフェノール四酸の重量比で存在する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ビフェノール四酸組成物であって、式
【化3】
のビフェノール四酸、式中、R
aおよびR
bはそれぞれ独立してハロゲンまたは一価C
1-6アルキル基であり、pおよびqはそれぞれ独立して0から4の整数である、ならびに
超高速液体クロマトグラフィーによって決定される0超から1重量パーセント未満、好ましくは0超から0.7重量パーセント未満、より好ましくは0超から0.2重量パーセント未満、さらにはより好ましくは0超から0.16重量パーセント未満のビフェノール、
0超から10ppm未満のナトリウムイオン、
合計0超から50ppm未満のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、鉄イオン、およびリンイオン、
0超から250ppm未満の硫酸イオン、ならびに
合計0超から3,000ppm未満のリン酸イオン、硫酸イオン、および塩化物イオン、
を含む、ビフェノール四酸組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビフェノール四酸組成物の精製のための方法およびビフェノール四酸組成物に関する。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本願は2019年1月31日出願の欧州特許出願第19382065.1号の利益を主張し、これの内容はその全体が参照によってここに組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ポリ(イミド)およびポリ(エーテルイミド)(PEI)はより多大な180℃というガラス転移温度(Tg)を有する高性能ポリマーである。これらのポリマーは、さらに、高い強度、耐熱性、およびモジュラス、並びに幅広い耐薬品性を有する。ポリ(エーテルイミド)は、自動車および電気/電子用途ほども多様な用途に広く用いられている。なぜなら、これらの組成物は良好な機械的および熱的特性をオファーするからである。
【0004】
ポリ(エーテルイミド)は例えばジアミンとの酸二無水物の縮合重合によって調製され得る。良好な反応速度論を得るためには、高い分子量を達成するためには、および安定な加工性のポリマー生成物を提供するためには、高純度のモノマーコンポーネントが望ましい。加えて、いくつかの用途は、ポリマーが良好な光学的透明度ならびに良好な熱的および機械的特性を有するということを要求し得る。製造品(article)が見せるヘイズのレベルは、ポリマーが調製される方法に関係し得る。
【0005】
好適な酸二無水物は芳香族四酸の閉環プロセスによって調製され得る。高い純度を有する(例えば、残留アルカリ金属およびそれらの塩を不含である)所望の芳香族四酸を提供することは、公知のプロセスを用いては困難であり得る。ビフェノール系コンタミナントが四酸前駆体中に存在することもまた普通である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
それゆえに、究極的には、低いレベルのコンタミナントならびに改善された特性、例えば低いヘイズ、高い光学的透明度、良好な反応速度論、および高い分子量を有するポリ(エーテルイミド)を提供するために、芳香族四酸、具体的にはビフェノールに由来するものの調製のための改善されたプロセスの必要が当分野において残っている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
式
【化1】
のビフェノール四酸と、式
【化2】
のビフェノールと、を含むビフェノール四酸組成物[前述の式中、R
aおよびR
bはそれぞれ独立してハロゲンまたは一価C
1-6アルキル基であり、pおよびqはそれぞれ独立して0から4の整数である]の精製のための方法が、
ビフェノール四酸組成物を、C
1-6アルコールを含む溶媒と接触させてビフェノール四酸組成物を含むスラリーを形成することと、精製されたビフェノール四酸をスラリーから単離することとを含み、精製されたビフェノール四酸を単離することは、スラリーを濾過してビフェノール四酸を含む湿潤ケークを提供することと、湿潤ケークをC
1-6アルコール、水、C
1-6アルコールと混和性の有機溶媒、またはそれらの組み合わせを含む追加の溶媒によって洗浄することとを含む。
【0008】
ビフェノール四酸組成物であって、式
【化3】
のビフェノール四酸[式中、R
aおよびR
bはそれぞれ独立してハロゲンまたは一価C
1-6アルキル基であり、pおよびqはそれぞれ独立して0から4の整数である]、超高速液体クロマトグラフィーによって決定される0超から1重量パーセント未満、好ましくは0超から0.7重量パーセント未満、より好ましくは0超から0.2重量パーセント未満、さらにはより好ましくは0超から0.16重量パーセント未満のビフェノール、0超から10ppm未満のナトリウムイオン、合計0超から50ppm未満のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、鉄イオン、およびリンイオン、0超から250ppm未満の硫酸イオン、ならびに合計0超から3,000ppm未満のリン酸イオン、硫酸イオン、および塩化物イオンを含む。
【0009】
上に記載されているおよび他の特徴は次の詳細な記載によって例示される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
意外にも、本発明者は、新たな方法論を用いて低いレベルの不純物を有する芳香族ビフェノール四酸が調製され得るということを発見した。芳香族ビフェノール四酸は、対応する酸二無水物をポリ(エーテルイミド)前駆体として形成することにとって特に有用であり得る。
【0011】
従って、本開示のある態様はビフェノール四酸組成物の精製のための方法である。ビフェノール四酸組成物は、式
【化4】
のビフェノール四酸を含み、式中、R
aおよびR
bはそれぞれ独立してハロゲンまたは一価C
1-6アルキル基であり、pおよびqはそれぞれ独立して0から4の整数であり、好ましくはpおよびqはそれぞれ0である。いくつかの実施形態では、p、q、または両方は1から4、好ましくは1から2、より好ましくは1であり得る。いくつかの実施形態では、R
aおよびR
bはそれぞれ独立してC
1-3アルキル基、例えばメチル基であり得る。ビフェノール基の二価結合は3,3’位、3,4’位、または4,4’位においてであり得る。いくつかの実施形態では、ビフェノール四酸は異性体混合物であり得る。例えば、ビフェノール四酸の10から100重量パーセントがビフェノール基の二価結合を3,3’位に有し得るか、またはビフェノール四酸の90から100重量パーセントはビフェノール基の二価結合を3,3’位に有し得る。好ましくは、ビフェノール基の二価結合は3,3’位においてであり得る。具体的な実施形態では、ビフェノールは式
【化5】
であり得る。
【0012】
ビフェノール四酸は芳香族ビスイミド前駆体から調製され得る。N-有機置換された芳香族ビスイミドは苛性アルカリプロセスによって加水分解されてビフェノール四酸塩を生じ得、これはそれから(例えば、鉱酸によって)酸性化されて上の式を有するビフェノール四酸を生じ得る。四酸を提供するためのこの経路は、芳香族ビスイミドの塩基加水分解と、もたらされる塩から酸への変換とを要求する。無機の塩がこのプロセスによって作り出され得、これはビフェノール四酸にコンタミネーションし得る。それゆえに、ビフェノール四酸に加えて、ビフェノール四酸組成物は、任意に、さらに、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、鉄イオン、リンイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、塩化物イオン、またはそれらの組み合わせの1つ以上を包含し得る。前述のイオン種は、ビフェノール四酸組成物の合計重量に基づいて0から1700ppm、または0から1000ppm、または0超から1700ppm、または0超から1000ppmの量でビフェノール四酸組成物中に存在し得る。
【0013】
ビフェノール四酸および存在するときには1つ以上のイオン種に加えて、ビフェノール四酸組成物は式
【化6】
のビフェノールを含み、式中、R
a、R
b、p、およびqは上で定められている通りである。ある実施形態では、pおよびqはそれぞれ0である。ビフェノールは、それぞれビフェノール四酸組成物の合計重量に基づいて、1から10重量パーセント、または1から5重量パーセント、または1から3重量パーセントの量で組成物中に存在し得る。
【0014】
ビフェノール四酸組成物を精製するための方法は、ビフェノール四酸組成物を、C1-6アルコールを含む溶媒と接触させてスラリーを形成することを含む。いくつかの実施形態では、C1-6アルコールはイソプロパノール、エチレングリコール、メタノール、エタノール、n-プロパノール、ブタノール、またはそれらの組み合わせを含む。ある実施形態では、C1-6アルコールはイソプロパノール、エチレングリコール、またはそれらの組み合わせを含む。具体的な実施形態では、C1-6アルコールはイソプロパノールを含む。溶媒はC1-6アルコール以外のいずれかの溶媒を排除し得る。いくつかの実施形態では、溶媒は、任意に、さらに、水、またはC1-6アルコールと混和性である有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、例えばオルト-ジクロロベンゼン、パラ-ジクロロベンゼン、メタ-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、ベンゼン、キシレン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,3,4-トリクロロベンゼン、好ましくはオルト-ジクロロベンゼンを含み得る。具体的な実施形態では、溶媒は、C1-6アルコールおよび水、好ましくはイソプロパノールおよび水を含む。C1-6アルコールおよび水は、0.25:1から5:1、または0.5:1から4:1、または0.5:1から2.5:1、または0.5:1から2:1、または0.5:1から1.5:1という水:イソプロパノールの重量比で用いられ得る。なお別の具体的な実施形態では、ビフェノール四酸は、C1-6アルコール、好ましくはイソプロパノールによってさらに洗浄され得る。溶媒は0.65:1から4:1という溶媒対ビフェノール四酸の重量比で存在し得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、溶媒およびビフェノール四酸組成物から形成されるスラリーは撹拌され得る。撹拌は、10分から2時間、または30分から2時間、または1から2時間、または30分超、または30分超から5時間、または45分から5時間、または1時間から5時間の時間に渡ってであり得る。撹拌は、例えば、50rpm以上、好ましくは150rpm以上のスピードにおいてであり得る。スラリーは、15から80℃、または15から70℃、または15から50℃、または15から30℃、または20から30℃の温度において形成、維持され、および任意に撹拌され得る。具体的な実施形態では、スラリーは常温において形成および撹拌される。
【0016】
方法は、さらに、精製されたビフェノール四酸をスラリーから単離することを含む。精製されたビフェノール四酸をスラリーから単離することは、一般的にいずれかの固液分離技術によってであり得る。例えば、単離することは、濾過、遠心、および同類、またはそれらの組み合わせによってであり得る。ある実施形態では、方法は、精製されたビフェノール四酸を濾過によって単離して、精製されたビフェノール四酸を含む湿潤ケークを提供することと、任意に、湿潤ケークを追加の溶媒によってさらに洗浄することとを含み得る。追加の溶媒はC1-6アルコール、水、混和性の有機溶媒、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0017】
有利には、精製されたビフェノール四酸を提供するためには、追加の精製ステップは必要ではない。例えば、方法は、追加の精製ステップ、例えば再結晶化、具体的には腐食性溶媒、酢酸または酢酸無水物からの再結晶化を排除し得る。
【0018】
精製されたビフェノール四酸組成物は有利には縮減された量の残留不純物を含み得る。例えば、精製されたビフェノール四酸組成物は、下の実施例にさらに記載される通り、超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)によって決定される1重量パーセント未満、好ましくは0.7重量パーセント未満、より好ましくは0.2重量パーセント未満、さらにはより好ましくは0.16重量パーセント未満のビフェノールを含む。精製されたビフェノール四酸組成物は10ppm未満のナトリウムイオンを含み得る。精製されたビフェノール四酸組成物は、合計50ppm未満のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、鉄イオン、およびリンイオンを含み得る。精製されたビフェノール四酸組成物は250ppm未満の硫酸イオンを含み得る。精製されたビフェノール四酸組成物は、合計3,000ppm未満のリン酸イオン、硫酸イオン、および塩化物イオンを含み得る。
【0019】
精製されたビフェノール四酸組成物は本開示の別の態様に相当する。ビフェノール四酸組成物は、式
【化7】
のビフェノール四酸を含み、式中、R
a、R
b、p、およびqは上で定められている通りであり得る。具体的な実施形態では、pおよびqはそれぞれ0である。ビフェノール基の二価結合は3,3’位、3,4’位、または4,4’位においてであり得る。いくつかの実施形態では、ビフェノール四酸は異性体混合物であり得る。例えば、ビフェノール四酸の10から100重量パーセントはビフェノール基の二価結合を3,3’位に有し得るか、またはビフェノール四酸の90から100重量パーセントはビフェノール基の二価結合を3,3’位に有し得る。好ましくは、ビフェノール基の二価結合は3,3’位においてであり得る。具体的な実施形態では、ビフェノールは式
【化8】
であり得る。
【0020】
精製されたビフェノール四酸組成物は、超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)によって決定される1重量パーセント未満、好ましくは0.7重量パーセント未満、より好ましくは0.2重量パーセント未満、さらにはより好ましくは0.16重量パーセント未満のビフェノール、10ppm未満のナトリウムイオン、合計50ppm未満のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、鉄イオン、およびリンイオン、250ppm未満の硫酸イオン、ならびに合計3,000ppm未満のリン酸イオン、硫酸イオン、および塩化物イオンを含む。ある態様では、精製されたビフェノール四酸組成物は、超高速液体クロマトグラフィーによって決定される0超から1重量パーセント未満、好ましくは0超から0.7重量パーセント未満、より好ましくは0超から0.2重量パーセント未満、さらにはより好ましくは0超から0.16重量パーセント未満のビフェノール、0超から10ppm未満のナトリウムイオン、合計0超から50ppm未満のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、鉄イオン、およびリンイオン、0超から250ppm未満の硫酸イオン、ならびに合計0超から3,000ppm未満のリン酸イオン、硫酸イオン、および塩化物イオンを含み得る。
【0021】
よって、本発明者は、高純度ビフェノール四酸の調製のための改善されたプロセスを提供した。本開示の精製されたビフェノール四酸は、有意に縮減されたレベルの無機塩および有機ビフェノール系不純物を有する。本開示のビフェノール四酸は、良好な光学的透明度、高い熱的性能、低い吸水性、良好な機械的特性、および高剪断における改善された流動を包含する特性の望ましい組み合わせを有する高純度ポリ(エーテルイミド)の調製にとって特に良く適し得る。
【実施例】
【0022】
本開示は次の実施例によってさらに例解されるが、これらは限定していない。
【0023】
次の実施例に用いた材料を表1に記載する。
【0024】
【0025】
次の例1~31では、95.2~96.8重量%の3,3’-BPoTAおよび3,4’-BPoTA(組み合わせ。BPoTA組成物の合計重量に基づく)を有するビフェノール四酸(BPoTA)ならびに3.2~4.8重量%のビフェノールを、異なるアルコール、アルコールおよび水の混合物、ならびにアルコールおよびo-DCBの混合物によって、温度、時間、ならびに固形分含量の異なる条件下において処理した。BPoTA組成物の組成をUPLCによって決定した。
【0026】
次の例の超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)分析は、ウォーターズACQUITY-UPLC-BEH-C18-1.7μm-2.1×50mmカラムによって35℃で行った。PDA検出は232nmにおいて0.313mL/minの流量で行った。アセトニトリルおよび酸性水の二溶媒系による勾配法を用いた(4LのDI-H2O+3mLの85%H3PO4)。
【0027】
次の例の金属(ナトリウム、カリウム、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、鉄、チタン、リン)の全ての残留レベルは誘導結合プラズマ-分解(ICP-Dig)法によって決定されている。これはICP分光分析機器を用い、アキシャルおよび/またはラジアル観測、Gem-Coneおよび/または超音波ネブライザー、ならびにセットされた適当なサンプル分解ベッセルを備えたマイクロウェーブ分解系を備える。サンプルは、超純度の濃硝酸、塩酸、硫酸、および/またはフッ化水素酸を用いて調製されている。
【0028】
BPoTAサンプル中に存在するアニオン(硫酸、塩化物、リン酸、硝酸、亜硝酸)の残留レベルは、燃焼トータルイオンクロマトグラフィー(IC-トータル)によって、較正済みのDionex-ICS2000機器を用いて測定された。
【0029】
次の例1~6は、ICP分解法によって決定されたナトリウム(69ppm)、カリウム(27ppm)、亜鉛(1ppm)、カルシウム(5ppm)、アルミニウム(3ppm)、鉄(3ppm)、チタン(0ppm)、リン(6ppm)、IC-トータル法によって決定された硫酸(949ppm)、塩化物(591ppm)、リン酸(<20ppm)、および254nmにおけるUPLCによって決定された92.93mol%(95.87wt%)BPoTA異性体、6.36mol%(3.83wt%)ビフェノールを包含する出発のBPoTA組成物を用いた。
【0030】
実施例7~13は、232nmおよび254nmにおけるHPLCによって決定された93.98mol%のBPoTA異性体(95.72wt%)、5.31mol%(3.20wt%)ビフェノールのBPoTA組成物を用いた。
【0031】
<比較例1>
メカニカルスターラーを有する500mLビーカーにIPA(200g)を仕込み、それから175rpmで撹拌した。それから、BPoTA組成物(27.28g、27.0g乾燥質量、96.34%純度、50.57mmol)を、分割して2~4分かけて追加した。混合物が常温で60分に渡って撹拌された。次に、スラリーをミディアムフリットガラス漏斗によって濾過した。ケークの洗浄は行わなかった。橙色の濾液を捨て、固形分をさらにバキューム(0.4インチHg)オーブンで60~70℃において一晩乾燥して、25.01gの白色固体を96.1%収率で提供した。UPLC:97.23mol%のBPoTA異性体、1.26mol%(0.67wt%)ビフェノール。
【0032】
<実施例2>
メカニカルスターラーを有する500mLビーカーにIPA(63g)を仕込み、それから175rpmで撹拌した。それから、BPoTA組成物(27.28g、27.0g乾燥質量、96.34%純度、50.57mmol)を分割して2~4分かけて追加した。混合物が常温で60分に渡って撹拌された。次に、スラリーをミディアムフリットガラス漏斗によって濾過した。ケークをIPA(50g)によって常温において撹拌なしで洗浄した。橙色の濾液を捨て、固形分をさらにバキューム(0.4インチHg)オーブンで60~70℃において一晩乾燥して、25.11gの白色固体を96.5%収率で提供した。UPLC:98.11mol%のBPoTA異性体、0.49mol%(0.26wt%)ビフェノール。
【0033】
<実施例3>
メカニカルスターラーを有する500mLビーカーにIPA(78g)を仕込み、それから175rpmで撹拌した。それから、BPoTA組成物(27.28g、27.0g乾燥質量、96.34%純度、50.57mmol)を分割して2~4、3分かけて追加した。混合物が常温で60分に渡って撹拌された。次に、スラリーをミディアムフリットガラス漏斗によって濾過した。ケークをIPA(50g)によって常温において撹拌なしで洗浄した。橙色の濾液を捨て、固形分をさらにバキューム(0.4インチHg)オーブンで60~70℃において一晩乾燥して、25.15gの白色固体を96.7%収率で提供した。UPLC:98.34mol%のBPoTA異性体、0.19mol%(0.10wt%)ビフェノール。
【0034】
<実施例4>
メカニカルスターラーを有する500mLビーカーにIPA(78g)を仕込み、それから175rpmで撹拌した。それから、BPoTA組成物(27.28g、27.0g乾燥質量、96.34%純度、50.57mmol)を分割して2~4分かけて追加した。混合物が常温で60分に渡って撹拌された。次に、スラリーをミディアムフリットガラス漏斗によって濾過した。ケークを脱イオン水(50g)によって常温において撹拌なしで洗浄した。橙色の濾液を捨て、固形分をさらにバキューム(0.4インチHg)オーブンで60~70℃において一晩乾燥して、25.08gの白色固体を96.4%収率で提供した。UPLC:98.31mol%のBPoTA異性体、0.27mol%(0.15wt%)ビフェノール。
【0035】
<比較例5>
メカニカルスターラーを有する500mLビーカーにIPA(78g)を仕込み、それから175rpmで撹拌した。それから、BPoTA組成物(27.28g、27.0g乾燥質量、96.34%純度、50.57mmol)を分割して2~4分かけて追加した。混合物が常温で30分に渡って撹拌された。次に、スラリーをミディアムフリットガラス漏斗によって濾過した。ケークをIPA(50g)によって常温において撹拌なしで洗浄した。橙色の濾液を捨て、固形分をさらにバキューム(0.4インチHg)オーブンで60~70℃において一晩乾燥して、25.04gの白色固体を96.3%収率で提供した。UPLC:97.53mol%のBPoTA異性体、0.83mol%(0.44wt%)ビフェノール。
【0036】
<比較例6>
メカニカルスターラーを有する500mLビーカーにIPA(78g)を仕込み、それから175rpmで撹拌した。それから、BPoTA組成物(27.28g、27.0g乾燥質量、96.34%純度、50.57mmol)を分割して2~4分かけて追加した。混合物が常温で60分に渡って撹拌された。次に、スラリーをミディアムフリットガラス漏斗によって濾過した。ケークの洗浄は行わなかった。橙色の濾液を捨て、固形分をさらにバキューム(0.4インチHg)オーブンで60~70℃において一晩乾燥して、25.5gの白色固体を98.0%収率で提供した。UPLC:97.18mol%のBPoTA異性体、1.27mol%(0.68wt%)ビフェノール。
【0037】
<実施例7>
磁力式撹拌子を有する250mLビーカーにBPoTA粉末(6.0g)を仕込み、15gのイソプロパノール(IPA)を追加した。混合物を25℃で撹拌プレートを用いて撹拌した。1時間後に、混合物を、2マイクロメートル濾紙を用いてブフナー漏斗によって吸引濾過した。固形分をIPA(4g)によって洗浄し、それからさらにバキュームオーブンで90℃において一晩乾燥して、102ppm(0.0102wt%)のビフェノールを含有する5.7gの白色固体を提供した。
【0038】
<実施例8>
磁力式撹拌子を有する250mLビーカーにBPoTA粉末(12.0g)を仕込み、15gのIPAを追加した。混合物を25℃で撹拌プレートを用いて撹拌した。1時間後に、混合物を、2マイクロメートル濾紙を用いてブフナー漏斗によって吸引濾過した。固形分をIPA(8g)によって洗浄し、それからさらにバキュームオーブンで90℃において一晩乾燥して、203ppm(0.0203wt%)のビフェノールを含有する11.1gの白色固体を提供した。
【0039】
<実施例9>
磁力式撹拌子を有する250mLビーカーにBPoTA粉末(12.0g)を仕込み、10gのIPAを追加した。混合物を25℃で撹拌プレートを用いて撹拌した。1時間後に、混合物を、2マイクロメートル濾紙を用いてブフナー漏斗によって吸引濾過した。固形分をIPA(8g)によって洗浄し、それからさらにバキュームオーブンで90℃において一晩乾燥して、265ppm(0.0265wt%)のビフェノールを含有する11.4gの白色固体を提供した。
【0040】
<実施例10>
磁力式撹拌子を有する250mLビーカーにBPoTA粉末(50.0g)を仕込み、50gのIPAを追加した。混合物を25℃で撹拌プレートを用いて撹拌した。1時間後に、混合物を、2マイクロメートル濾紙を用いてブフナー漏斗によって吸引濾過した。固形分をIPA(33g)によって洗浄し、それからさらにバキュームオーブンで90℃において一晩乾燥して、486ppm(0.0486wt%)のビフェノールを含有する47.3gの白色固体を提供した。
【0041】
<実施例11>
ベッセルに3,3’-BPoTA湿潤ケーク(150kg、70wt%固形分、4.42wt%ビフェノール(乾燥重量基準)、195mol)を仕込み、それから窒素によって不活性化した。次に、IPA(246kg)をベッセルに仕込み、ベントバルブを閉じた。撹拌を80%出力までゆっくり持っていき、それから常温で2時間に渡って継続した。
【0042】
一方で、DI水をフレックスホースから40リットルヌッチェフィルターに接続した。2時間の撹拌後に、テフロン(登録商標)ライニングフレキシブルホースおよび適当な適合性の構造材料の継手を用いて、3,3’-BPoTA/IPAスラリーをベッセルから60マイクロメートルTEFLON(登録商標)濾材を含有するヌッチェフィルターに移送した。50psigにおいて、液体をヌッチェフィルターによって固形分から分離し、濾液をカーボンスチールドラムに送った。これはベントヘッダーに繋がれた。濾過が完了した後に、生成物ケークがヌッチェフィルターの底部セクションを満たすまで、移送プロセスを繰り返した。それから、フィルターを常圧まで圧抜きした。
【0043】
次に、追加の新しいIPA(10~12kg)をヌッチェフィルターに追加して生成物ケークを洗浄した。前の通り、系に加圧し、濾液をカーボンスチールドラムに送った。それから、フィルターを常圧まで圧抜きした。この時点で、3,3’-BPoTAケークの代表的なサンプルをサンプリングし、UPLCによってビフェノールの存在について分析した。存在するときには、追加のIPA(8kg)を用いてケークを再度洗浄した。
【0044】
ホールドタンクをクリーニングし、DI水を満たし、それから50psigまで常温で加圧した。それから、水(10kg)をホールドタンクからヌッチェフィルターに移送して、浸漬時間なしで生成物ケークを洗浄した。前の通り、系に加圧し、濾液をポリプロピレントートに送った。組み合わせた水系廃液を直ちに6~9のpHに中和した。ベッセルからの全ての材料が収集されるまで、この単離プロセスを複数回繰り返した。湿潤ケークをホイルパンに移し、乾燥するまで窒素下において、バキュームオーブンで90~105℃において乾燥した。この試行では、純粋な生成物の14.41kgという合計の乾燥重量が収集されて、14.35%の収率を提供した。
【0045】
精製されたサンプルは次の組成を有した。ICP分解法によって決定されたナトリウム(12ppm)、カリウム(7.6ppm)、亜鉛(0ppm)、カルシウム(5.8ppm)、アルミニウム(1.8ppm)、鉄(2.9ppm)、チタン(0ppm)、リン(8.3ppm)、IC-トータル法によって決定された硫酸(42ppm)、塩化物(334ppm)、リン酸(<20ppm)、およびUPLCによって決定された98.8mol%BPoTA異性体、0mol%ビフェノール。
【0046】
<実施例12>
磁力式撹拌子を有する250mLビーカーにBPoTA湿潤ケーク(25.0g、67%固形分、33%水)を仕込み、125gのIPAを追加した。混合物を70℃で撹拌プレートを用いて加熱および撹拌した。3時間後に、混合物を、2ミクロン濾紙を用いてブフナー漏斗によって吸引濾過した。固形分をIPA(11g)によって洗浄し、それからさらにバキュームオーブンで90℃において一晩乾燥して、41ppm(0.0041wt%)のビフェノールを含有する10.85gの白色固体を提供した。
【0047】
<実施例13>
磁力式撹拌子を有する250mLビーカーにBPoTA湿潤ケーク(20.0g、67%固形分、33%水)を仕込み、50gのIPAを追加した。混合物を70℃で撹拌プレートを用いて加熱および撹拌した。3時間後に、混合物を、2ミクロン濾紙を用いてブフナー漏斗によって吸引濾過した。固形分をIPA(9g)によって洗浄し、それから、さらにバキュームオーブンで90℃において一晩乾燥して、50ppm(0.0050wt%)のビフェノールを含有する10.5gの白色固体を提供した。
【0048】
<実施例14>
磁力式撹拌子を有する250mLビーカーにBPoTA湿潤ケーク(20.0g、67%固形分、33%水)を仕込み、50gのIPAを追加した。混合物を70℃で撹拌プレートを用いて加熱および撹拌した。1時間後に、混合物を、2マイクロメートル濾紙を用いてブフナー漏斗によって吸引濾過した。固形分をIPA(9g)によって洗浄し、それからさらにバキュームオーブンで90℃において一晩乾燥して、72ppm(0.0072wt%)のビフェノールを含有する11.4gの白色固体を提供した。
【0049】
下の表2は例1~14に用いられた条件をまとめている。実施例12から14の70℃におけるトリチュレーションに対して、例1から11では、トリチュレーションを常温において175rpmの撹拌速度で濾過に先立って行った。
【0050】
【0051】
表3は、例1~14のIPAトリチュレーション研究からの結果を示している。トリチュレーションが常温で行われたケースでは(例1~11)、大スケール(実施例11)を除いて、回収された収率は92%超であった。トリチュレーションが70℃で行われたケースでは(実施例12~14)、回収された収率は有意に縮減された。結果は、IPAトリチュレーション溶媒から濾過後に洗浄されなかったBPoTAケーク(比較例1および6)が、存在する0.76wt%ビフェノールを有する生成物をもたらしたということを示している。より大量のIPAがBPoTAのトリチュレーションに用いられたときには(実施例3対実施例2)、生成物純度は改善された。さらにその上、湿潤ケークを水によって洗浄すること(実施例4)は、IPAによって洗浄したとき(実施例3)よりも高い量の存在するビフェノールを有する生成物をもたらしたが、より低い量のナトリウムが存在した。また、30分のみに渡る湿潤ケークのトリチュレーション(比較例5)は、60分に渡ってトリチュレーションするとき(実施例3)よりも高い量の存在するビフェノールを有する生成物をもたらした。
【0052】
実施例7、8、9、および10は非常に低い量の残留ビフェノールを見せ、回収された収率は高かった(>92%)。実施例9および10が用いたIPA:BPoTAの比はそれぞれ0.83および1であった。実験12、13、および14は、洗浄温度を増大させることによって、非常に低いレベルの残留ビフェノールが、縮減された収率だが一貫して達成され得るということを実証した。
【0053】
【0054】
次の実施例15~27は、水/IPA混合物によるBPoTAのトリチュレーションを実証している。実施例15~19は、ICP分解法によって決定されたナトリウム(69ppm)、カリウム(27ppm)、亜鉛(1ppm)、カルシウム(5ppm)、アルミニウム(3ppm)、鉄(3ppm)、チタン(0ppm)、リン(6ppm)、IC-トータル法によって決定された硫酸(949ppm)、塩化物(591ppm)、リン酸(<20ppm)、および92.93mol%(95.87wt%)BPoTA異性体、UPLCによって決定された6.36mol%(3.83wt%)ビフェノールからなる組成を有するBPoTAを用いた。
【0055】
実施例20~24は、93.98mol%のBPoTA異性体(96.50wt%)、5.31mol%(3.20wt%)ビフェノールという組成を有するBPoTAを用いた。実施例25は、91.30mol%のBPoTA異性体(94.89wt%)、7.99mol%(4.81wt%)ビフェノールという組成を有するBPoTAを用いた。実施例26~27は、91.98mol%のBPoTA異性体(95.30wt%)、HPLCによって決定された7.31mol%(4.40wt%)ビフェノールという組成を有するBPoTAを用いた。
【0056】
<実施例15>
メカニカルスターラーを有する500mLビーカーにDI水(52.02g)を仕込み、それから175rpmで撹拌した。それから、BPoTA組成物(27.28g、27.0g乾燥質量、96.34%純度、50.57mmol)を分割して2~4分かけて追加した。次に、IPA(26g)を追加し、混合物が常温で60分に渡って撹拌された。スラリーをミディアムフリットガラス漏斗によって濾過した。ケークをIPA(36g)によって常温において撹拌なしで洗浄した。橙色の濾液を捨て、固形分をさらにバキューム(0.4インチHg)オーブンで60~70℃において一晩乾燥して、25.51gの白色固体を98.1%収率で提供した。UPLC:98.28mol%のBPoTA異性体、0.10mol%(0.06wt%)ビフェノール。
【0057】
<実施例16>
メカニカルスターラーを有する500mLビーカーにDI水(70.2g)を仕込み、それから175rpmで撹拌した。それから、BPoTA組成物(27.28g、27.0g乾燥質量、96.34%純度、50.57mmol)を分割して2~4分かけて追加した。次に、IPA(35.1g)を追加し、混合物が常温で60分に渡って撹拌された。スラリーをミディアムフリットガラス漏斗によって濾過した。ケークをIPA(36g)によって常温において撹拌なしで洗浄した。橙色の濾液を捨て、固形分をさらにバキューム(0.4インチHg)オーブンで60~70℃において一晩乾燥して、25.20gの白色固体を96.9%収率で提供した。UPLC:98.33mol%のBPoTA異性体、0.18mol%(0.10wt%)ビフェノール。
【0058】
<実施例17>
メカニカルスターラーを有する500mLビーカーにDI水(84.24g)を仕込み、それから175rpmで撹拌した。それから、BPoTA組成物(27.28g、27.0g乾燥質量、96.34%純度、50.57mmol)を分割して3分かけて追加した。次に、IPA(21.06g)を追加し、混合物が常温で60分に渡って撹拌された。スラリーをミディアムフリットガラス漏斗によって濾過した。ケークをIPA(50g)によって常温において撹拌なしで洗浄した。橙色の濾液を捨て、固形分をさらにバキューム(0.4インチHg)オーブンで60~70℃において一晩乾燥して、25.37gの白色固体を97.5%収率で提供した。UPLC:98.17mol%のBPoTA異性体、0.22mol%(0.12wt%)ビフェノール。
【0059】
<実施例18>
メカニカルスターラーを有する500mLビーカーにDI水(70.2g)を仕込み、それから175rpmで撹拌した。それから、BPoTA組成物(27.28g、27.0g乾燥質量、96.34%純度、50.57mmol)を分割して2~4分かけて追加した。次に、IPA(35.1g)を追加し、混合物が常温で60分に渡って撹拌された。スラリーをミディアムフリットガラス漏斗によって濾過した。ケークをIPA(59g)によって常温において撹拌なしで洗浄した。橙色の濾液を捨て、固形分をさらにバキューム(0.4インチHg)オーブンで60~70℃において一晩乾燥して、25.53gの白色固体を98.2%収率で提供した。UPLC:98.29mol%のBPoTA異性体、0.14mol%(0.08wt%)ビフェノール。
【0060】
<実施例19>
メカニカルスターラーを有する500mLビーカーに脱イオン水(52.65g)を仕込み、それから175rpmで撹拌した。それから、BPoTA組成物(27.28g、27.0g乾燥質量、96.34%純度、50.57mmol)を分割して2~4分かけて追加した。次に、IPA(52.65g)を追加し、混合物が常温で60分に渡って撹拌された。スラリーをミディアムフリットガラス漏斗によって濾過した。ケークをIPA(59g)によって常温において撹拌なしで洗浄した。橙色の濾液を捨て、固形分をさらにバキューム(0.4インチHg)オーブンで60~70℃において一晩乾燥して、24.95gの白色固体を95.9%収率で提供した。UPLC:98.67mol%のBPoTA異性体、0.0mol%(0.0wt%)ビフェノール。
【0061】
<実施例20>
磁力式撹拌子を有する250mLビーカーにBPoTA粉末(12.0g)を仕込み、8gのIPAおよび4gのDI水を追加した。混合物を25℃で撹拌プレートを用いて撹拌した。1時間後に、混合物を、2ミクロン濾紙を用いてブフナー漏斗によって吸引濾過した。固形分をIPA/H2O(2:1、8g)によって洗浄し、それから、さらにバキュームオーブンで90℃において一晩乾燥して、791(0.0791wt%)ppmのビフェノールを含有する11.3gの白色固体を提供した。
【0062】
<実施例21>
比較例5の繰り返しを完了し、862ppm(0.0862wt%)ビフェノールを有する11.2gの白色BPoTA粉末を生んだ。
【0063】
<実施例22>
磁力式撹拌子を有する250mLビーカーにBPoTA粉末(12.0g)を仕込み、6gのIPAおよび6gのDI水を追加した。混合物を25℃で撹拌プレートを用いて撹拌した。1時間後に、混合物を、2ミクロン濾紙を用いてブフナー漏斗によって吸引濾過した。固形分をIPA/H2O(1:1、8g)によって洗浄し、それから、さらにバキュームオーブンで90℃において一晩乾燥して、632ppm(0.0632wt%)のビフェノールを含有する11.3gの白色固体を提供した。
【0064】
<実施例23>
実施例7の繰り返しを完了し、498ppm(0.0498wt%)ビフェノールを有する11.7gの白色BPoTA粉末を生んだ。
【0065】
<実施例24>
磁力式撹拌子を有する250mLビーカーにBPoTA粉末(50.0g)を仕込み、25gのIPAおよび25gのDI水を追加した。混合物を25℃で撹拌プレートを用いて撹拌した。1時間後に、混合物を、2ミクロン濾紙を用いてブフナー漏斗によって吸引濾過した。固形分をIPA/H2O(1:1、33g)によって洗浄し、それから、さらにバキュームオーブンで90℃において一晩乾燥して、661ppm(0.0661wt%)のビフェノールを含有する47.7gの白色固体を提供した。
【0066】
<実施例25>
ベッセルにDI水(194kg)を仕込み、100%出力で撹拌した。次に、3,3’-BPoTA湿潤ケーク(140kg、53.85wt%固形分、4.81wt%ビフェノール(乾燥重量基準)、139mol)を仕込み、それからベッセルを窒素によって不活性化した。次に、IPA(122kg)をベッセルに仕込み、ベントバルブを閉じた。100%出力における撹拌を2.5~3時間に渡って常温で継続した。
【0067】
一方で、DI水をフレックスホースから40リットルヌッチェフィルターに接続した。2.5~3時間の撹拌後に、テフロン(登録商標)ライニングフレキシブルホースおよび適当な適合性の構造材料の継手を用いて、白濁したH2O/3,3’-BPoTA/IPAスラリーをベッセルから60ミクロンテフロン(登録商標)濾材を含有する40リットルヌッチェフィルターに移送した。50psigにおいて、液体を固形分からヌッチェフィルターによって分離し、濾液をカーボンスチールドラムに送った。これはベントヘッダーに繋がれた。濾過が完了した後に、生成物ケークがヌッチェフィルターの底部セクションを満たすまで、移送プロセスを繰り返した。それから、フィルターを常圧まで圧抜きした。
【0068】
次に、追加の新しいIPA(7~9kg)をヌッチェフィルターに追加して生成物ケークを洗浄した。前の通り、系に加圧し、濾液をカーボンスチールドラムに送った。それから、フィルターを常圧まで圧抜きした。この時点で、3,3’-BPoTAケークの代表的なサンプルをカラムチューブによってサンプリングし、UPLCによってビフェノールの存在について分析した。存在するときには、追加のIPA(8kg)を用いてケークを再度洗浄した。
【0069】
ホールドタンクをクリーニングし、DI水を満たし、それから常温で50psigまで加圧した。それから、水(10kg)をホールドタンクからヌッチェフィルターに移送して、生成物ケークを洗浄した。前の通り、系に加圧し、濾液をポリプロピレントートに送った。組み合わせた水系廃液を直ちに6~9のpHに中和した。ベッセルからの全ての材料が収集されるまで、この単離プロセスを複数回繰り返した。合計で6つのケークを収集し、それからホイルパンに移し、乾燥するまで窒素下において、バキュームオーブンで90~105℃において乾燥した。この試行では、純粋な生成物の61.47kgという合計の乾燥重量が収集されて、85.7%の収率を提供した。
【0070】
精製されたサンプルは次の組成を有した。ICP分解法によって決定されたナトリウム(10ppm)、カリウム(15ppm)、亜鉛(0ppm)、カルシウム(5ppm)、アルミニウム(0ppm)、鉄(4ppm)、チタン(0ppm)、リン(9ppm)、IC-トータル法によって決定された硫酸(<20ppm)、リン酸(22ppm)、塩化物(316ppm)、およびUPLCによって決定された98.0mol%のBPA-TA異性体、0mol%ビフェノール。
【0071】
<実施例26>
2つのベッセル、ヌッチェフィルター、および窒素入口からなるパイロットプラント装置を用いて、実施例30を行った。合計で2892ポンド(lb)のRO(逆浸透)水を第1のベッセルに仕込んだ。それから、66.07%固形分(残部水(water to balance))および4.4重量%ビフェノール(乾燥基準vs.ケーク固形分)を含有する1446lbのBPoTA湿潤ケークを第1のベッセルに仕込んだ。最後に、2892lbのIPAを第1のベッセルに仕込み、混合物を25℃で4時間に渡って撹拌した。それから、第1のベッセルの底部をヌッチェフィルターにリサイクルし、ヌッチェから再び第1のベッセルに圧送した。ひとたび溶液が透明に見えたら、溶媒をヌッチェから第2のベッセルに圧送した。ひとたび全ての溶媒が除去されたら、フィルターを通過するo-DCBによってケークを洗浄して、ケーク中に巻き込まれたIPAを除去した。ケークの分析は、66.03%固形分および存在する0.03重量%(300ppm)ビフェノール(乾燥基準vs.ケーク固形分)を示した。
【0072】
<実施例27>
2つのベッセル、ヌッチェフィルター、および窒素入口(グラフ付属)からなるパイロットプラント装置を用いて、比較例31を行った。合計で3314lbのRO(逆浸透)水を第1のベッセルに仕込んだ。それから、66.07%固形分(残部水)および4.4重量%ビフェノール(乾燥基準vs.ケーク固形分)を含有する1657lbのBPoTA湿潤ケークを第1のベッセルに仕込んだ。最後に、3314lbのIPAを第1のベッセルに仕込み、混合物を25℃で4時間撹拌した。それから、第1のベッセルの底部をヌッチェフィルターにリサイクルし、ヌッチェから再び第1のベッセルに圧送した。ひとたび溶液が透明に見えたら、溶媒をヌッチェから第2のベッセルに圧送した。ひとたび全ての溶媒が抜けたら、フィルターを通過するo-DCBによってケークを洗浄して、ケーク中に巻き込まれたIPAを除去した。ケークの分析は、51.02%固形分および存在する0.03重量%(300ppm)ビフェノール(乾燥基準vs.ケーク固形分)を示した。
【0073】
下の表4は実施例15~27に用いられた条件をまとめている。ここでは、水とのIPAの混合物を用いてクルードなBPoTAをトリチュレーションした。これは3.20~4.81wt%ビフェノールおよび69ppm超のナトリウムを含有した。トリチュレーションは常温において175rpmの撹拌速度で濾過に先立って行った。実施例15~27では、BPoTAケークの爾後の洗浄をもまた行った。
【0074】
【0075】
表5は、実施例15~27のH2O/IPAトリチュレーション研究からの結果を示している。ほとんどのケースでは、回収された収率は93%超であり、最終BPoTA中のナトリウムの量は2つを除いて全ての実施例で有意に10ppm未満まで縮減された。さらにその上、結果は、実施例15~27が全て、存在する0.14wt%未満のビフェノールを有する生成物を提供したことを示している。クルードなBPoTAのトリチュレーションの間には、0.5:1および4:1の間の水対IPA比(質量/質量)を用いた。採用された合計の溶媒質量対クルードなBPoTA質量比は1:1および6.57:1の間であった。実施例15~23および27は、175rpmで60分に渡ってH2O/IPA中において濾過に先立ってトリチュレーションした。爾後に、BPoTA湿潤ケークを36から59gの間のIPAまたはIPA/H2Oの混合物によって洗浄した。対照的に、実施例24~26は濾過に先立って数時間に渡って撹拌された。爾後に、BPoTA湿潤ケークを、IPA、IPA/H2Oの混合物、IPA、それから水、またはo-DCB単独によって洗浄した。実施例17からの結果は、より高い量の水がトリチュレーション溶媒混合物に用いられるときには、ビフェノールのより効率的でない除去が起こるということを示している(実施例15と比較)。さらにその上、実施例18からの結果は、より多くのIPAを用いてBPoTA湿潤ケークを洗浄することが、最終生成物の若干により高い純度をもたらすということを示している(実施例16と比較)。実施例20~23は、BPoTAケークを水対IPA比(質量/質量)2:1および1:1によって洗浄することが、低いレベルの残留ビフェノール、ナトリウム、および硫酸コンタミナントを有する精製されたケークに至るということを示している。単離されたBPoTAケークをIPA、次に水によって洗浄すること(実施例24および25)もまた、低いレベルのビフェノールおよびナトリウム含量に至った。実施例26および27は、湿潤ケークを1:4の割合(湿潤ケーク/溶媒、質量/質量)で洗浄することおよび塩素系溶媒を用いて巻き込まれた溶媒を除去することもまた、高い純度および低いナトリウム含量のBPoTAに至るということを示している。
【0076】
【0077】
次の実施例28~29は、o-DCB/IPA混合物によるBPoTAのトリチュレーションを実証している。当初の(initial)BPoTA組成物は、ICP分解法によって決定されたナトリウム(68ppm)、カリウム(31ppm)、亜鉛(2ppm)、カルシウム(9ppm)、アルミニウム(3ppm)、鉄(5ppm)、チタン(0ppm)、リン(7ppm)、IC-トータル法によって決定された硫酸(1,661ppm)、塩化物(592ppm)、リン酸(<20ppm)、および90.24mol%のBPoTA異性体、UPLCによって決定された7.20mol%(4.34wt%)ビフェノールを含んだ。
【0078】
<実施例28>
メカニカルスターラーを有する500mLビーカーにo-DCB(50g)を仕込み、それから175rpmで撹拌した。それから、BPoTA組成物(64.2g、35.0g乾燥質量、95.79%純度、65.17mmol)を分割して2~4分かけて追加した。次に、IPA(50.0g)を追加し、混合物が常温で60分に渡って撹拌された。スラリーをミディアムフリットガラス漏斗によって濾過した。ケークをIPA(77g)によって常温において撹拌なしで洗浄した。橙色の濾液を捨て、固形分をさらにバキューム(0.4インチHg)オーブンで25℃において一晩乾燥して、28.10gの白色固体を83.8%収率で提供した。UPLC:98.94mol%のBPoTA異性体、0.0mol%(0.0wt%)ビフェノール。
【0079】
<実施例29>
メカニカルスターラーを有する500mLビーカーにo-DCB(162.8g)を仕込み、それから175rpmで撹拌した。それから、BPoTA組成物(64.2g、35.0g乾燥質量、95.79%純度、65.17mmol)を分割して2~4分かけて追加した。次に、IPA(68.4g)を追加し、混合物が常温で60分に渡って撹拌された。スラリーをミディアムフリットガラス漏斗によって濾過した。ケークをIPA(77g)によって常温において撹拌なしで洗浄した。橙色の濾液を捨て、固形分をさらにバキューム(0.4インチHg)オーブンで25℃において一晩乾燥して、26.43gの白色固体を78.8%収率で提供した。UPLC:98.99mol%のBPoTA異性体、0.0mol%(0.0wt%)ビフェノール。
【0080】
表6は実施例28および29に用いられた条件をまとめている。ここでは、o-DCBとのIPAの混合物を用いてクルードなBPoTAをトリチュレーションした。これは4.34wt%ビフェノールおよび68ppmのナトリウムを含有した。トリチュレーションは常温において175rpmの撹拌速度で濾過に先立って行った。実施例28および29では、BPoTAケークの爾後の洗浄をもまた行った。
【0081】
【0082】
表7は、実施例28および29のo-DCB/IPAトリチュレーション研究からの結果を示している。これらのケースでは、回収された収率は有意に以前の研究未満であった。結果は、実施例28および29両方が、検出可能ではない量のビフェノールおよび非常に低いレベルのナトリウムを有する生成物を提供したということを示している。1:1および2.38:1の間のo-DCB対IPA比(質量/質量)をクルードなBPoTAのトリチュレーションの間に用いた。採用された合計の溶媒質量対クルードなBPoTA質量比は2.86:1から6.61:1の間であった。実施例28および29両方は、175rpmで60分に渡ってo-DCB/IPA中において濾過に先立ってトリチュレーションされた。BPoTA湿潤ケークを爾後に77gのIPAによって洗浄した。結果は、トリチュレーションの間に溶媒対クルードなBPoTAのより高い比を用いることが、回収された生成物のより低い収率を与えるということを示している。
【0083】
【0084】
次の実施例30~比較例31は、エチレングリコールおよびエチレングリコール/H2O混合物によるBPoTAのトリチュレーションを実証している。当初のBPoTA組成物は、232nmおよび254nmにおけるHPLCによって決定された93.98mol%のBPoTA異性体(95.72wt%)および5.31mol%(3.20wt%)ビフェノールを含んだ。
【0085】
<実施例30>
磁力式撹拌子を有する250mLビーカーにBPoTA粉末(12.0g)を仕込み、12gのエチレングリコールを追加した。混合物を25℃で撹拌プレートを用いて撹拌した。1時間後に、混合物を、2ミクロン濾紙を用いてブフナー漏斗によって吸引濾過した。固形分をエチレングリコール(8g)によって洗浄し、それからさらにバキュームオーブンで乾燥し、2,094ppm(0.2094wt%)のビフェノールを有する11.3gの淡黄色粉末を生じた。
【0086】
<比較例31>
磁力式撹拌子を有する250mLビーカーにBPoTA粉末(12.0g)を仕込み、12gのエチレングリコールおよび4gのDI水を追加した。混合物を25℃で撹拌プレートを用いて撹拌した。1時間後に、混合物を、2ミクロン濾紙を用いてブフナー漏斗によって吸引濾過した。固形分をエチレングリコール/H2O(3:1、8g)によって洗浄し、それからさらにバキュームオーブンで乾燥し、9,812ppm(0.9812wt%)のビフェノールを有する11.6gの淡黄色粉末を生じた。
【0087】
表8は、BPoTAのクルードな粉末(3.20wt%ビフェノール)をグリコール単独によって洗浄すること(実施例30)が、有意に縮減されたレベルの残留ビフェノール(0.21wt%)に至るということを示している。対照的に、BPoTAのクルードな粉末をグリコール/水混合物によって洗浄すること(比較例31)は、依然として高いレベル(0.98wt%)のビフェノールを有するBPoTA粉末に至る。
【0088】
【0089】
本開示はさらに次の態様を包摂する。
【0090】
態様1:式
【化9】
のビフェノール四酸と、式
【化10】
のビフェノールと、を含むビフェノール四酸組成物の精製のための方法であって、
前述の式中、R
aおよびR
bはそれぞれ独立してハロゲンまたは一価C
1-6アルキル基であり、pおよびqはそれぞれ独立して0から4の整数であり、
前記方法が、前記ビフェノール四酸組成物を、C
1-6アルコールを含む溶媒と接触させて前記ビフェノール四酸組成物を含むスラリーを形成することと、精製されたビフェノール四酸を前記スラリーから単離することとを含み、
前記精製されたビフェノール四酸を単離することは、前記スラリーを濾過して前記ビフェノール四酸を含む湿潤ケークを提供することと、前記湿潤ケークをC
1-6アルコール、水、C
1-6アルコールと混和性の有機溶媒、またはそれらの組み合わせを含む追加の溶媒によって洗浄することとを含む。
【0091】
態様2:態様1の方法であって、前記ビフェノール四酸組成物が、それぞれ前記ビフェノール四酸組成物の合計重量に基づいて、1から10重量パーセントのビフェノール、好ましくは1から5重量パーセント、より好ましくは1から3重量パーセントを含む。
【0092】
態様3:態様1または2の方法であって、前記ビフェノール四酸組成物が、さらに、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、鉄イオン、およびリンイオン、リン酸イオン、硫酸イオン、塩化物イオン、またはそれらの組み合わせを含み、前記ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、鉄イオン、およびリンイオンのそれぞれ、リン酸イオン、硫酸イオン、または塩化物イオンが、それぞれビフェノール四酸組成物の合計重量に基づいて、0から1700ppmの量で存在する。
【0093】
態様4:態様1から3のいずれかの方法であって、pおよびqが、それぞれ0である。
【0094】
態様5:態様1から4のいずれかの方法であって、前記ビフェノール四酸のビフェノール基の二価結合が、3,3’位、3,4’位、または4,4’位、好ましくは3,3’位においてである。
【0095】
態様6:態様1から5のいずれかの方法であって、前記ビフェノール四酸が異性体混合物であり、好ましくは、前記ビフェノール四酸の10~100重量パーセントは前記ビフェノール四酸のビフェノール基の二価結合を3,3’位に有し、より好ましくは、前記ビフェノール四酸の90~100重量パーセントは前記ビフェノール四酸のビフェノール基の二価結合を3,3’位に有する。
【0096】
態様7:態様1から6のいずれかの方法であって、前記C1-6アルコールが、イソプロパノール、エチレングリコール、メタノール、エタノール、n-プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、またはそれらの組み合わせを含む。
【0097】
態様8:態様1から7のいずれかの方法であって、前記溶媒が、さらに、水、またはC1-6アルコールと混和性の有機溶媒を含む。
【0098】
態様9:態様8の方法であって、前記有機溶媒が、オルト-ジクロロベンゼン、パラ-ジクロロベンゼン、メタ-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、ベンゼン、キシレン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,3,4-トリクロロベンゼン、好ましくはオルト-ジクロロベンゼンを含む。
【0099】
態様10:態様1から9のいずれかの方法であって、前記精製されたビフェノール四酸が、超高速液体クロマトグラフィーによって決定される1重量パーセント未満、好ましくは0.7重量パーセント未満、より好ましくは0.2重量パーセント未満、さらにはより好ましくは0.16重量パーセント未満の前記ビフェノール、10ppm未満のナトリウムイオン、合計50ppm未満のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、鉄イオン、およびリンイオン、250ppm未満の硫酸イオン、ならびに合計3,000ppm未満のリン酸イオン、硫酸イオン、および塩化物イオンを含む。
【0100】
態様11:態様1から10のいずれかの方法であって、さらに、前記スラリーを撹拌すること、好ましくは1から2時間の時間にわたって前記スラリーを撹拌することを含む。
【0101】
態様12:態様1から11のいずれかの方法であって、前記溶媒が、0.8:1から8:1という溶媒対ビフェノール四酸の重量比で存在する。
【0102】
態様13:ビフェノール四酸組成物であって、式
【化11】
のビフェノール四酸[式中、R
aおよびR
bはそれぞれ独立してハロゲンまたは一価C
1-6アルキル基であり、pおよびqはそれぞれ独立して0から4の整数である]、ならびに超高速液体クロマトグラフィーによって決定される0超から1重量パーセント未満、好ましくは0超から0.7重量パーセント未満、より好ましくは0超から0.2重量パーセント未満、さらにはより好ましくは0超から0.16重量パーセント未満のビフェノール、0超から10ppm未満のナトリウムイオン、合計0超から50ppm未満のナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、チタンイオン、鉄イオン、およびリンイオン、0超から250ppm未満の硫酸イオン、ならびに合計0超から3,000ppm未満のリン酸イオン、硫酸イオン、および塩化物イオンを含む。
【0103】
代替的には、組成物、方法、および製造品は、本明細書において開示されるいずれかの適当な材料、ステップ、またはコンポーネントを含み得るか、それからなり得るか、または本質的にそれからなり得る。加えてまたは代替的には、組成物、方法、および製造品は、組成物、方法、および製造品の機能または目的の達成にとって別様に必要ではないいずれかの材料(または種)、ステップ、またはコンポーネントを欠くかまたは実質的に不含であるように策定され得る。
【0104】
本明細書において開示される全ての範囲はエンドポイントを包含し、エンドポイントは独立して互いと組み合わせ可能である。「組み合わせ」はブレンド、混合物、アロイ、反応生成物、および同類を包含する。用語「第1」、「第2」および同類はいずれかの順序、数量、または重要性を意味せず、むしろ1つの要素を別のものから区別するために用いられる。本明細書において別様に指示されないかまたは文脈と明瞭に矛盾しない限り、用語「a」および「an」および「the」は数量の限定を意味せず、単数形および複数形両方をカバーすると解釈されるべきである。「または」は別様に明瞭に申し立てられない限り「および/または」を意味する。本明細書における「いくつかの実施形態」、「ある実施形態」などとの言は、実施形態に関連して記載される特定の要素が本明細書に記載される少なくとも1つの実施形態に包含され、他の実施形態に存在し得るかまたはせずにあり得るということを意味する。本明細書において用いられる用語「それらの組み合わせ」は、列記されている要素の1つ以上を包含し、開放的であり、名指しされていない1つ以上の同類の要素の存在を可能にする。加えて、記載されている要素が種々の実施形態においていずれかの好適な様式で組み合わせられ得るということは理解されるはずである。
【0105】
本明細書において反対に規定されない限り、全ての試験規格は、本願の出願日、または優先権が主張される場合には試験規格が載る最も早い優先権出願の出願日において発効している最も最近の規格である。
【0106】
別様に定められない限り、本明細書において用いられる技術的および科学的用語は、本願が属する分野の業者によって普通に理解される同じ意味を有する。全ての引用される特許、特許出願、および他の参照はそれらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。しかしながら、本願の用語が組み込まれた参照の用語と矛盾または相反する場合には、本願からの用語が、組み込まれた参照の相反する用語よりも優先される。
【0107】
化合物は標準的な命名法を用いて記載される。例えば、いずれかの指示されている基によって置換されないいずれかの位置は、指示されている結合または水素原子によって満たされたその原子価を有すると理解される。2つの文字または記号の間にないダッシュ(「-」)は、置換基の取り付け点を指示するために用いられる。例えば、-CHOはカルボニル基の炭素を介して取り付けられる。
【0108】
本明細書において用いられる用語「ヒドロカルビル」は、それだけでまたは別の用語の接頭辞、接尾辞、もしくは断片として用いられるかどうかにかかわらず、炭素および水素のみを含有する残基を言う。残基は、脂肪族または芳香族、直鎖、環式、二環式、分岐、飽和、または不飽和であり得る。それは、脂肪族、芳香族、直鎖、環式、二環式、分岐、飽和、および不飽和炭化水素部分の組み合わせをもまた含有し得る。しかしながら、ヒドロカルビル残基が置換されたと記載されるときには、それは、任意に、置換基残基の炭素および水素構成員の他にヘテロ原子を含有し得る。それゆえに、具体的に置換されたと記載されるときには、ヒドロカルビル残基は1つ以上のカルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基、または同類をもまた含有し得るか、あるいはそれはヒドロカルビル残基のバックボーン上にヘテロ原子を含有し得る。用語「アルキル」は、分岐鎖または直鎖の不飽和脂肪族炭化水素基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、ならびにn-およびs-ヘキシルを意味する。「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分岐鎖の一価炭化水素基を意味する(例えば、エテニル(-HC=CH2))。「アルコキシ」は、酸素を介して連結されているアルキル基(すなわち、アルキル-O-)、例えばメトキシ、エトキシ、およびsec-ブチルオキシ基を意味する。「アルキレン」は直鎖または分岐鎖の飽和の二価脂肪族炭化水素基を意味する(例えば、メチレン(-CH2-)またはプロピレン(-(CH2)3-))。「シクロアルキレン」は二価環式アルキレン基-CnH2n-xを意味し、式中、xは環化(単数または複数)によって置き換えられる水素の数である。「シクロアルケニル」は、1つ以上の環と環上の1つ以上の炭素-炭素二重結合とを有する一価基を意味し、全ての環員は炭素である(例えば、シクロペンチルおよびシクロヘキシル)。「アリール」は、規定された数の炭素原子を含有する芳香族炭化水素基、例えばフェニル、トロポン、インダニル、またはナフチルを意味する。「アリーレン」は二価アリール基を意味する。「アルキルアリーレン」はアルキル基によって置換されたアリーレン基を意味する。「アリールアルキレン」はアリール基(例えばベンジル)によって置換されたアルキレン基を意味する。接頭辞「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード置換基のもう1つを包含する基または化合物を意味する。異なるハロ基の組み合わせ(例えば、ブロモおよびフルオロ)またはクロロ基のみが存在し得る。接頭辞「ヘテロ」は、化合物または基がヘテロ原子である少なくとも1つの環員(例えば1、2、または3つのヘテロ原子(単数または複数))を包含するということを意味し、ヘテロ原子(単数または複数)はそれぞれ独立してN、O、S、Si、またはPである。「置換」は、化合物または基が少なくとも1つの(例えば、1、2、3、または4つの)置換基によって置換されるということを意味する。これらは、それぞれ独立して、水素の代わりに、C1-9アルコキシ、C1-9ハロアルコキシ、ニトロ(-NO2)、シアノ(-CN)、C1-6アルキルスルホニル(-S(=O)2-アルキル)、C6-12アリールスルホニル(-S(=O)2-アリール)、チオール(-SH)、チオシアノ(-SCN)、トシル(CH3C6H4SO2-)、C3-12シクロアルキル、C2-12アルケニル、C5-12シクロアルケニル、C6-12アリール、C7-13アリールアルキレン、C4-12ヘテロシクロアルキル、およびC3-12ヘテロアリールであり得る。ただし、置換される原子の正常な原子価は超過されない。ある基の指示されている炭素原子の数はいずれかの置換基を排除する。例えば、-CH2CH2CNはニトリルによって置換されたC2アルキル基である。
【0109】
特定の実施形態が記載されたが、現在は予見されないかまたはされ得ない代替、改変、変形、改善、および実質的な均等物が、出願人、または他の当業者に思い浮かび得る。従って、出願される通りのおよびそれらが補正され得る通りの添付の請求項は、全てのかかる代替、改変、変形、改善、および実質的な均等物を包含することが意図される。
【国際調査報告】