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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-18
(54)【発明の名称】触媒によるアルケンの二量化方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 2/12 20060101AFI20220311BHJP
   B01J 29/70 20060101ALI20220311BHJP
   C01B 39/24 20060101ALI20220311BHJP
   C01B 39/26 20060101ALI20220311BHJP
   C01B 39/46 20060101ALI20220311BHJP
   C01B 39/38 20060101ALI20220311BHJP
   B01J 29/08 20060101ALI20220311BHJP
   B01J 29/18 20060101ALI20220311BHJP
   B01J 29/40 20060101ALI20220311BHJP
   C07C 11/02 20060101ALI20220311BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20220311BHJP
【FI】
C07C2/12
B01J29/70 Z
C01B39/24
C01B39/26
C01B39/46
C01B39/38
B01J29/08 Z
B01J29/18 Z
B01J29/40 Z
C07C11/02
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544645
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(85)【翻訳文提出日】2021-08-24
(86)【国際出願番号】 EP2020052322
(87)【国際公開番号】W WO2020157216
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】19154774.4
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】ツリーズ・マリア・デ・バールデマーケル
(72)【発明者】
【氏名】アンドレイ-ニコラエ・パルヴレスク
(72)【発明者】
【氏名】イヴァナ・ジェヴトヴィク
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・ジョン・ケイン-ボルグマン
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ・ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・クシェル
【テーマコード(参考)】
4G073
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G073BA02
4G073BA04
4G073BB05
4G073BB48
4G073BD21
4G073CZ05
4G073CZ07
4G073CZ13
4G073CZ25
4G073FD08
4G073GA01
4G073GA03
4G073GA12
4G073GA40
4G073UA03
4G169AA02
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BA42A
4G169CB47
4G169DA05
4G169EA01Y
4G169EC03Y
4G169FA01
4G169GA01
4G169ZA04A
4G169ZA04B
4G169ZA06A
4G169ZA06B
4G169ZA11A
4G169ZA11B
4G169ZA19A
4G169ZA19B
4G169ZB03
4G169ZB04
4G169ZB08
4G169ZB09
4G169ZC02
4G169ZC07
4G169ZC08
4G169ZD01
4G169ZD05
4G169ZE04
4H006AA02
4H006AC21
4H006AC92
4H006BA71
4H006BC10
4H006BC11
4H006DA12
4H006DA15
4H006DA30
4H006DA70
4H039CA19
4H039CF10
4H039CL11
(57)【要約】
本発明は、アルケンの二量化方法であって、(1)1種又は複数のアルケンを含むガス流を供給する工程と、(2)(1)において供給されたガス流を触媒と接触させて、前記の1種以上のアルケンの1種以上の二量化生成物を含む混合物M1を得る工程とを含み、(2)における触媒が、MOR、BEA、FER、MFI、TON、FAU、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造型を有するゼオライト材料を含み、ゼオライト材料の骨格構造がYOを含み、Yが1種以上の4価元素を表す、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルケンの二量化方法であって、
(1)1種又は複数のアルケンを含むガス流を供給する工程と、
(2)(1)で供給されたガス流を触媒と接触させて、1種又は複数のアルケンの1種又は複数の二量化生成物を含む混合物M1を得る工程と
を含み、
(2)における触媒がMOR、BEA、FER、MFI、TON、FAU、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造型を有するゼオライト材料を含み、
ゼオライト材料の骨格構造がYOを含み、Yが1種又は複数の4価元素を表す、
方法。
【請求項2】
Yが1種又は複数の4価元素を表し、YがSi、Sn、Ti、Zr、Ge、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ゼオライト材料の骨格構造がXを更に含み、Xが1種又は複数の3価元素を表し、XがAl、B、In、Ga、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
触媒に含まれるゼオライト材料が0.4~4mmol/gの範囲の酸点の総量を有し、
酸点の総量が、アンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)によって測定される、ゼオライト材料の質量当たりの脱離したアンモニアの総モル量と定義される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
(1)において供給される1種又は複数のアルケンが、式(I)
【化1】
(式中、R及びR’はアルキル基である)
による1種又は複数のアルケンを含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
(2)において得られる1種又は複数のアルケンの1種又は複数の二量化生成物が、式(II)
【化2】
(式中、R及びR’はアルキル基である)
による1種又は複数のアルケンを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
R及びR’が、互いに独立して、任意選択により分岐していてもよい及び/又は任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により不飽和であってもよいC1~C6アルキル基からなる群から選択される、任意選択により分岐していてもよい及び/又は任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により不飽和であってもよいアルキル基である、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
(1)において供給され、(2)において触媒と接触させられるガス流が、ガス流の総体積に基づいて50体積%以下の脂肪族有機化合物を含有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(2)における接触が、80~350℃の範囲の温度で行われる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(2)における接触が、2~80barの範囲の圧力で行われる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
(2)における接触が、連続様式及び/又はバッチ様式で行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
(3)1種又は複数の未反応のアルケンを、(2)において得られた反応混合物M1から分離して、1種又は複数のアルケンを含有する混合物M2を得る工程と、
(4)1種又は複数のアルケンを含有する混合物M2を(1)に再循環させる工程と
を更に含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
触媒が一定間隔で再生される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
BEA型骨格構造を有するゼオライト材料が、少なくとも以下の反射:
【表1】
を含むX線回折パターンを示し、ここで、100%が、X線粉末回折パターンの20~45°2θ範囲内の最大ピーク強度に関連付けられ、
BEA型骨格構造が、YO及びXを含み、Yが4価元素であり、かつ、Xが3価元素である、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
触媒に含まれるBEA型骨格構造を有するゼオライト材料が、有機テンプレート不使用の合成方法により得ることができる及び/又は得られる、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒としてゼオライト材料を使用する、アルケンの二量化のための接触法(触媒による方法)に関する。
【背景技術】
【0002】
アルケンの二量化は、高分子量のアルケン、特に2,4,4-トリメチルペンタン (ガソリンのアンチノック価の割り当てにおいて「オクタン価」100の参照化合物) の不飽和前駆体である2,4,4-トリメチルペンテン等の高度に分岐した生成物の合成に重要な反応である。従来技術において、アルケンの二量化は、一般に、酸性樹脂及び選択的エンハンサー、例えばメタノール及び2-ブタノールを用いて行われる。
【0003】
前記の従来技術の方法の欠点としては、
- 特に高度に分岐した生成物に対するアルケンの二量化に関して、最適化されていない選択性、及び
- 選択的エンハンサーの使用
が挙げられる。
【0004】
したがって、高度に分岐した生成物に対して高い選択性を達成することができるアルケンの二量化のための改善された方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、経済的に有利であり、特に長い反応時間にわたって、二量化生成物に対して高い収率及び選択性で行うことができるアルケンの二量化方法を提供することであった。更に、本発明の目的は、高度に分岐した生成物に対して高い選択性を示すアルケンの二量化方法を提供することであった。これらに加えて、本発明の目的はまた、複数回の再生サイクル後でも触媒性能が著しく失われずに、時間及び費用対効果の高い方式で再生できる触媒を使用するアルケンの二量化方法を提供することであった。したがって、驚くべきことに、二量化生成物に対して、特に高度に分岐した二量化生成物に対して高い選択性を与えるアルケンの二量化方法が、触媒として特定のゼオライト材料を使用することにより提供できることが見出された。更に、意外にも、ゼオライト材料の使用が、長い反応時間にわたって、高いアルケン転化率で二量化反応を維持することを可能にするだけでなく、更にゼオライト材料が簡単に再生でき、複数回の再生サイクル後でも未使用の触媒に匹敵する性能を提供できることも見出された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明はアルケンの二量化方法であって、
(1)1種又は複数のアルケンを含むガス流を供給する工程と、
(2)(1)で供給されたガス流を触媒と接触させて、1種又は複数のアルケンの1種又は複数の二量化生成物を含む混合物M1を得る工程と
を含み、
(2)における触媒が、MOR、BEA、FER、MFI、TON、FAU、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造型を有するゼオライト材料を含み、
ゼオライト材料の骨格構造がYO2を含み、Yが1種又は複数の4価元素を表す、
方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明によれば、ゼオライト材料が、MOR、BEA、MFI、及びこれらの2種又は3種の混合物からなる群から選択される骨格構造型を有し、より好ましくはゼオライト材料が、MOR及び/又はBEA型骨格構造、より好ましくはBEA型骨格構造を有することが好ましい。
【0008】
本発明の方法で用いられるゼオライト材料に含まれうる特定のゼオライトに関しては、特に制限は適用されないが、但しゼオライト材料は、MOR、BEA、FER、MFI、TON、FAU、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格型を有する。したがって、例として、本発明によれば、ゼオライト材料が、モルデナイト、ゼオライトベータ、フェリエライト、ZSM-5、ZSM-22、及びゼオライトYからなる群から選択される1種又は複数のゼオライトを含み、より好ましくはゼオライト材料がモルデナイト、ゼオライトベータ、及びZSM-5からなる群から選択される1種又は複数のゼオライトを含み、より好ましくは触媒に含まれるゼオライト材料がモルデナイト及び/又はゼオライトベータ、より好ましくはゼオライトベータを含み、より好ましくは触媒に含まれるゼオライト材料が、モルデナイト及び/又はゼオライトベータ、より好ましくはゼオライトベータであることが好ましい。
【0009】
ゼオライト材料のイオン交換サイトに含有されるイオンについては、本発明によれば特に制限は適用されず、ゼオライト材料がゼオライト骨格のイオン交換サイトにH+を含み、より好ましくはゼオライト材料がH型であることが好ましい。
【0010】
本発明によれば、触媒に含まれるゼオライト材料が、元素として計算して且つゼオライト材料の骨格構造中に含有される100質量%のYO2に対して5質量%以下の金属M、元素として計算して且つゼオライト材料の骨格構造中に含有される100質量%のYO2に対して好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以下及びより好ましくは0.0001質量%以下の金属Mを含有し、
金属MがNa、好ましくはNa及びK、より好ましくはアルカリ金属、並びにより好ましくはアルカリ及びアルカリ土類金属を表すことが好ましい。
【0011】
原則として、ゼオライト材料に含有され得る元素又は化合物に関しては制限がない。しかし、本発明によれば、触媒に含まれるゼオライト材料が、元素として計算して且つゼオライト材料の骨格構造中に含有される100質量%のYO2に対して5質量%以下のリン、並びに元素として計算して且つゼオライト材料の骨格構造中に含有される100質量%のYO2に対してより好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以下及びより好ましくは0.0001質量%以下のリンしか含有しないことが好ましい。
【0012】
ゼオライト材料のイオン交換サイトに含有され得るイオンに関しては、本発明によれば、ゼオライト材料が、ゼオライト骨格のイオン交換サイトに1種又は複数の金属カチオンを含み、1種又は複数の金属カチオンが、好ましくはこれらの2種以上の混合物を含むアルカリ土類金属及び希土類金属からなる群から、好ましくはMg、Ca、Sr、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはMg、Ca、La、Ce、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはゼオライト材料が、ゼオライト骨格のイオン交換サイトにMg及び/又はLaを含み、より好ましくはゼオライト材料が、Mg-ZSM-5、La-ZSM-5、La-モルデナイト、及びこれらの2種又は3種の混合物、より好ましくはLa-ZSM-5及び/又はLa-モルデナイトからなる群から選択される1種又は複数のゼオライトを含み、より好ましくはゼオライト材料が、Mg-ZSM-5、La-ZSM-5、La-モルデナイト、及びこれらの2種又は3種の混合物からなる群から選択される1種又は複数のゼオライトで構成され、より好ましくはゼオライト材料が、La-ZSM-5及び/又はLa-モルデナイトであることが好ましい。
【0013】
本発明によれば、ゼオライト材料の骨格構造に含まれる1種又は複数の4価元素が、任意の好適な4価元素であってよく、Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはSi、Sn、Ti、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、Yが、好ましくはSi又はSiとSnの両方を含み、より好ましくはYがSiを含み、より好ましくはYがSi又はSiとSnの両方のいずれかであり、より好ましくはYがSiであり、より好ましくはゼオライト材料が4価元素としてSi及びSnを含む骨格を有するゼオライトベータ、より好ましくは4価元素としてSiとSnを含む骨格を有するゼオライトベータを含み、より好ましくは、ゼオライト材料が、4価元素としてSi及びSnを含む骨格を有するゼオライトベータ、より好ましくは4価元素としてSi及びSnを含む骨格を有するゼオライトベータで構成されることが好ましい。
【0014】
本発明によれば、ゼオライト材料の骨格構造がX2O3を更に含み、Xが1種又は複数の3価元素を表し、XがAl、B、In、Ga、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、Xが好ましくはAlを含み、より好ましくはXがAlであることが更に好ましい。
【0015】
ゼオライト材料の骨格構造がX2O3を更に含む本発明の特定の及び好ましい実施形態によれば、ゼオライト材料が2~300、より好ましくは6~200、より好ましくは8~150、より好ましくは10~100、より好ましくは15~80、より好ましくは20~70、より好ましくは40~60、及びより好ましくは45~55の範囲のYO2:X2O3のモル比を示すことが好ましい。
【0016】
ゼオライト材料の骨格構造がX2O3を更に含む本発明の特定の及び好ましい実施形態によれば、ゼオライト材料がZSM-5を含み、より好ましくはゼオライト材料がZSM-5であることが好ましい。
【0017】
好ましくは触媒に含まれるゼオライト材料は、0.4~4 mmol/g、好ましくは0.5~3 mmol/g、より好ましくは0.6~2.8 mmol/g、より好ましくは0.8~2.6 mmol/g、より好ましくは1~2.4 mmol/g、より好ましくは1.2~2.2 mmol/g、より好ましくは1.4~2 mmol/g、より好ましくは1.6~1.9 mmol/g、及びより好ましくは1.7~1.8 mmol/gの範囲の酸点 (acid site) の総量を有し、酸点の総量はアンモニアの昇温脱離 (temperature programmed desorption) (NH3-TPD) により測定されるゼオライト材料の質量当たりの脱離したアンモニアの総モル量と定義される。
【0018】
触媒に含まれるゼオライト材料の酸点の総量に関しては、本発明によれば、酸点の総量が、150~750℃、好ましくは180~680℃、より好ましくは190~630℃、より好ましくは200~600℃、より好ましくは205~570℃、より好ましくは210~540℃、より好ましくは215~490℃、及びより好ましくは220~440℃の温度範囲で、アンモニアの昇温脱離 (NH3-TPD) により測定される、ゼオライト材料の質量当たりの脱離したアンモニアの量と定義されることが好ましい。
【0019】
触媒に含まれるゼオライト材料の酸点に関しては、どの程度の数の酸点が弱、中、及び/又は強酸点であるかについては特に制限はない。しかし、本発明によれば、触媒に含まれるゼオライト材料が、一定量の中酸点(中程度の酸点)を有し、中酸点の量が、0.4~4 mmol/g、好ましくは0.5~3 mmol/g、より好ましくは0.6~2.8 mmol/g、より好ましくは0.8~2.6 mmol/g、より好ましくは1~2.4 mmol/g、より好ましくは1.2~2.2 mmol/g、より好ましくは1.4~2 mmol/g、より好ましくは1.6~1.9 mmol/g、及びより好ましくは1.7~1.8 mmol/gの範囲であることが好ましい。触媒に含まれるゼオライト材料に含有される中酸点の量に関しては、本発明によれば、中酸点の量が、150~400℃、好ましくは180~320℃、より好ましくは190~280℃、より好ましくは200~250℃、より好ましくは205~240℃、より好ましくは210~230℃、及びより好ましくは215~220℃の温度範囲でアンモニアの昇温脱離 (NH3-TPD) により測定されるゼオライト材料の質量当たりの脱離したアンモニアの量と定義されることが好ましい。
【0020】
本発明によれば、触媒に含まれるゼオライト材料の強酸点(強い酸点)の量はまた、特に制限はないが、触媒に含まれるゼオライト材料が、1 mmol/g未満、より好ましくは0.5 mmol/g未満、より好ましくは0.2 mmol/g未満、より好ましくは0.1 mmol/g未満、より好ましくは0.05 mmol/g未満、より好ましくは0.03 mmol/g未満、より好ましくは0.02 mmol/g未満、より好ましくは0.01 mmol/g未満、より好ましくは0.005 mmol/g未満、及びより好ましくは0.001 mmol/g未満の強酸点を有することが好ましい。触媒に含まれるゼオライト材料に含有される強酸点の量に関しては、本発明によれば、強酸点の量が、300~750℃、好ましくは400~720℃、より好ましくは450~690℃、より好ましくは500~670℃、より好ましくは530~650℃、より好ましくは550~630℃、より好ましくは570~610℃、及びより好ましくは590~600℃の温度範囲でアンモニアの昇温脱離 (NH3-TPD) により測定されるゼオライト材料の質量当たりの脱離したアンモニアの量と定義されることが好ましい。
【0021】
本明細書で用いられる酸点の総量並びに中酸点の量及び強酸点の量は、公知の方法により、好ましくはアンモニアの昇温脱離 (NH3-TPD) により、好ましくは熱伝導度検出器を有する自動化学吸着分析装置を用いて、好ましくはオンライン質量分析計による脱離種の連続分析により容易に測定でき、好ましくは温度は、石英管内の試料の真上のNi/Cr/Ni熱電対により測定され、より好ましくはオンライン質量分析計は、アンモニアの分子量16を使用することによりアンモニアの脱離を監視し、より好ましくは自動化学吸着分析装置はMicromeritics社のAutoChem II 2920であり、より好ましくはオンライン質量分析計はPfeiffer Vacuum社製のOmniStar QMG200である。好ましくは、前記測定は、1. 調製の工程、2. NH3による飽和の工程、3. 過剰なアンモニアの除去の工程、及び4. NH3-TPD工程を含み、より好ましくは酸点の総量についての4. NH3-TPD工程は、好ましくは10K/分の加熱速度でHe流量下で600℃に加熱し、次いで好ましくは600℃の温度を30分間保持することを含む。中酸点の量を測定するために、前記4. NH3-TPD工程は250℃~500℃の温度範囲で行われることがより好ましい。強酸点の量を測定するために、前記4. NH3-TPD工程が500℃超の温度範囲で行われることがより好ましい。本発明によれば、本明細書において用いられる酸点の総量並びに中酸点の量及び強酸点の量が、「酸点の測定」下の例において、本明細書に記載の方法に従って測定されることがより好ましい。
【0022】
好ましくは(1)において供給される1種又は複数のアルケンは、式(I)
【0023】
【化1】
【0024】
(式中、R及びR'はアルキル基である)
による1種又は複数のアルケンを含む。
【0025】
更に、本発明の方法によれば、(2)において得られた1種又は複数のアルケンの1種又は複数の二量化生成物が、式 (II)
【0026】
【化2】
【0027】
(式中、この場合もやはりR及びR'はアルキル基である)
による1種又は複数のアルケンを含むことが好ましい。
【0028】
アルキル基R及びR'に関しては、本発明の方法によれば、R及びR'が、互いに独立して、任意選択により分岐していてもよい及び/又は任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により不飽和であってもよいC1~C6アルキル基、好ましくはC1~C5アルキル基、より好ましくはC1~C4アルキル基、より好ましくはC1~C3アルキル基、より好ましくはC1~C2アルキル基、及びより好ましくはC1アルキル基からなる群から選択される任意選択により分岐していてもよい及び/又は任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により不飽和であってもよいアルキル基であり、より好ましくはR及びR'が、互いに独立して、任意選択により置換されていてもよいメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルからなる群から、より好ましくは任意選択により置換されていてもよいメチル、エチル、プロピル、ブチル、及びペンチルからなる群から、より好ましくは任意選択により置換されていてもよいメチル、エチル、プロピル、及びブチルからなる群から、より好ましくは任意選択により置換されていてもよいメチル、エチル、及びプロピルからなる群から選択され、より好ましくはR及びR'が、互いに独立して、任意選択により置換されていてもよいメチル又はエチル、好ましくはメチルであることが好ましい。
【0029】
本発明の方法によれば、したがって、(1)において供給される1種又は複数のアルケンが、任意選択により置換されていてもよいイソブテン、2-メチル-1-ブテン、2-エチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、2-エチル-1-ペンテン、2-n-プロピル-1-ペンテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-エチル-3-メチル-1-ブテン、2-i-プロピル-1-ペンテン、2-i-プロピル-3-メチル-1-ブテン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、より好ましくは任意選択により置換されていてもよいイソブテン、2-メチル-1-ブテン、2-エチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、2-エチル-1-ペンテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-エチル-3-メチル-1-ブテン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、より好ましくは任意選択により置換されていてもよいイソブテン、2-メチル-1-ブテン、2-エチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、1種又は複数のアルケンを含み、より好ましくは、式(II)のアルケンが、任意選択により置換されていてもよいイソブテン及び/又は2-メチル-1-ブテン、好ましくはイソブテン又は2-メチル-1-ブテン及びより好ましくはイソブテンであることが好ましい。
【0030】
本発明の方法によれば、(2)において得られた1種又は複数の二量化生成物が、1種又は複数のアルカン及び/又は1種又は複数のアルケン、好ましくは1種又は複数のアルケン、より好ましくは1種又は複数のC4~C20アルケン、より好ましくは1種又は複数のC4~C16アルケン、より好ましくは1種又は複数のC5~C14アルケン、より好ましくは1種又は複数のC5~C13アルケン、より好ましくは1種又は複数のC6~C12アルケン、より好ましくは1種又は複数のC6~C11アルケン、より好ましくは1種又は複数のC7~C10アルケン、より好ましくは1種又は複数のC7~C9アルケン、より好ましくは1種又は複数のC8アルケンを含み、より好ましくは(2)において得られた1種又は複数の二量化生成物が、1-オクテン、2,4,4-トリメチル-1-ペンテン、2,4,4-トリメチル-2-ペンテン、及びこれらの2種若しくは3種の混合物からなる群から選択される1種又は複数のアルケンを含み、より好ましくは (2)において得られた1種又は複数の二量化生成物が、1-オクテン及び/又は2,4,4-トリメチル-1-ペンテン、より好ましくは2,4,4-トリメチル-1-ペンテンを含むことが好ましい。
【0031】
(1)において供給されるガス流中に含有されるアルケンの量に関しては、本発明の方法によれば特に制限は適用されず、(1)において供給され、(2)において触媒と接触させられたガス流中の1種又は複数のアルケンの含有量が、ガス流の総体積に基づいて5~100体積%の範囲、より好ましくは10~99体積%の範囲、より好ましくは15~98体積%の範囲、より好ましくは20~95体積%の範囲、より好ましくは25~90体積%の範囲、より好ましくは30~80体積%の範囲、より好ましくは35~70体積%の範囲、より好ましくは40~60体積%の範囲、及びより好ましくは45~55体積%の範囲であることが好ましい。
【0032】
(1)において供給されるガス流中に含有され得る化合物については、本発明によれば特に制限は適用されないが、(1)において供給され、(2)において触媒と接触させられたガス流が、ガス流の総体積に基づいて50体積%以下、より好ましくは30体積%以下、より好ましくは20体積%以下、より好ましくは10体積%以下、より好ましくは5体積%以下、より好ましくは3体積%以下、より好ましくは2体積%以下、より好ましくは1体積%以下、より好ましくは0.5体積%以下、より好ましくは0.1体積%以下、より好ましくは0.05体積%以下、より好ましくは0.01体積%以下、より好ましくは0.005体積%以下、及びより好ましくは0.001体積%以下の脂肪族有機化合物しか含有しないことが好ましい。本発明によれば、1種又は複数の脂肪族有機化合物が、任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により環状であってもよい及び/又は任意選択により分岐していてもよい (C2~C20)炭化水素及びこれらの2種以上の混合物、好ましくは(C2~C16)炭化水素、より好ましくは(C2~C16)炭化水素、より好ましくは(C2~C14)炭化水素、より好ましくは(C2~C12)炭化水素、より好ましくは(C2~C10)炭化水素、より好ましくは(C2~C8)炭化水素、より好ましくは(C2~C6)炭化水素、より好ましくは(C3~C5)炭化水素、及びより好ましくはC4炭化水素、並びにこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により分岐していてもよい炭化水素に関しては、1種又は複数の任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により環状であってもよい炭化水素は、分岐しており、より好ましくは1種又は複数の分岐した炭化水素が、式:
【0033】
【化3】
【0034】
(式中、R1、R2、及びR3は、互いに独立して、任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により環状であってもよい及び/又は任意選択により分岐していてもよい(C1~C8)アルキル、好ましくは(C1~C6)アルキル、より好ましくは(C1~C5)アルキルであり、より好ましくはR1、R2、及びR3は、互いに独立して、任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により分岐していてもよい(C1~C4)アルキル、好ましくは(C1~C3)アルキルであり、より好ましくはR1、R2、及びR3は、互いに独立して、任意選択により置換されていてもよいメチル又はエチル、好ましくは任意選択により置換されていてもよいメチルである)
を有することが好ましい。
【0035】
1種又は複数の脂肪族有機化合物の任意選択による置換に関しては、1種又は複数の脂肪族有機化合物が1つ又は複数の官能基で置換されており、1つ又は複数の官能基が、ヒドロキシル、ハロゲン、カルボニル、アルデヒド、炭酸エステル、カルボキシレート、カルボキシル、エステル、エーテル、カルボキサミド、アミン、イミン、シアネート、イソシアネート、ナイトレート、ニトリル、イソニトリル、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルフィノ、スルホ、チオシアネート、イソチオシアネート、ホスフィノ、ホスホノ、及びホスフェートからなる群から、より好ましくはヒドロキシル、ハロゲン、カルボニル、アルデヒド、カルボキシレート、カルボキシル、エステル、エーテル、カルボキサミド、アミン、イミン、シアネート、イソシアネート、ナイトレート、ニトリル、イソニトリル、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくはヒドロキシル、ハロゲン、カルボニル、アルデヒド、カルボキシレート、カルボキシル、エステル、エーテル、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくはヒドロキシル、ハロゲン、カルボニル、アルコキシ、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくはヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、(C1~C3)アルコキシ、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくはヒドロキシル、フルオロ、クロロ、(C1~C2)アルコキシ、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくはヒドロキシル、フルオロ、クロロ、メトキシ、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から好ましくは選択され、より好ましくは1種又は複数の脂肪族化合物が、1つ又は複数のヒドロキシル基で置換されていることが好ましい。
【0036】
しかし本発明によれば、代替的には1種又は複数の脂肪族有機化合物が非置換の炭化水素であり、より好ましくは1種又は複数の脂肪族有機化合物がイソブタンを含み、より好ましくは1種又は複数の脂肪族有機化合物がイソブタンであることが好ましい。
【0037】
しかし、(1)において供給され、(2)において触媒と接触させられるガス流が、1種又は複数の不活性ガスを更に含み、1種又は複数の不活性ガスが、窒素、ヘリウム、アルゴン、CO2、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくは窒素、アルゴン、CO2、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはガス流が窒素及び/又はアルゴン、より好ましくは窒素及びアルゴンを更に含むことが好ましい。その含有量に関しては、(1)において供給され、(2)において触媒と接触させられるガス流中の1種又は複数の不活性ガスの含有量が、ガス流の総体積に基づいて0~95体積%の範囲、好ましくは1~90体積%の範囲、より好ましくは2~85体積%の範囲、より好ましくは5~80体積%の範囲、より好ましくは10~75体積%の範囲、より好ましくは20~70体積%の範囲、より好ましくは30~65体積%の範囲、より好ましくは40~60体積%の範囲、及びより好ましくは45~55体積%の範囲であることが好ましい。
【0038】
本発明の方法によれば、(2)における接触が、80~350℃、より好ましくは100~320℃、より好ましくは120~300℃、より好ましくは140~280℃、より好ましくは160~260℃、より好ましくは180~250℃、より好ましくは200~245℃、より好ましくは220~240℃、及びより好ましくは225~235℃の範囲の温度で行われることが好ましい。
【0039】
更に及びこれとは独立して、(2)における接触が、2~80bar、好ましくは4~60bar、より好ましくは6~50bar、より好ましくは8~45bar、より好ましくは10~40bar、より好ましくは12~38bar、より好ましくは14~36bar、より好ましくは16~34bar、より好ましくは18~32bar、より好ましくは20~30bar、より好ましくは22~28bar、及びより好ましくは24~26barの範囲の圧力で行われることが好ましい。
【0040】
原則として、好ましくは(2)における接触が連続様式及び/又はバッチ様式で、好ましくは連続様式で行われるように、本発明の方法は連続様式及び/又はバッチ様式で行われ得る。
【0041】
連続様式で行われる本発明の方法の特定の及び好ましい実施形態に関しては、(2)における接触の空間速度が10~10,000時間-1、好ましくは50~5,000時間-1、より好ましくは100~3,000時間-1、より好ましくは300~2,500時間-1、より好ましくは500~1,800時間-1、より好ましくは700~1,500時間-1、より好ましくは800~1,200時間-1、より好ましくは900~1,100時間-1の範囲であることが好ましい。更に及びこれとは独立して、(2)における接触が連続様式で行われる場合、触媒の寿命が、50~2,000時間、好ましくは100~1,000時間、より好ましくは150~500時間、より好ましくは200~400時間、より好ましくは230~350時間、及びより好ましくは250~300時間の範囲であり、その間、二量化反応を中断せずに連続方法が行われることが好ましい。
【0042】
本発明の方法が、
(3)1種又は複数の未反応のアルケンを、(2)において得られた反応混合物M1から分離して、1種又は複数のアルケンを含有する混合物M2を得る工程と、
(4)1種又は複数のアルケンを含有する混合物M2を(1)に再循環(リサイクル)させる工程と
を更に含むことが好ましい。
【0043】
更に及びこれとは独立して、本発明の方法によれば、触媒が、一定間隔で再生されることが好ましい。触媒の再生に関しては、再生が、触媒を、酸素を含有するガス流と接触させることにより行われ、接触が、250~1000℃、好ましくは300~900℃、より好ましくは350~800℃、より好ましくは400~700℃、より好ましくは450~650℃、及びより好ましくは500~600℃の範囲の温度で行われることが好ましい。更に及びこれとは独立して、再生用ガス流が、ガス流の総体積に基づいて0.1~25体積%、好ましくは0.5~20体積%、より好ましくは1~15体積%、より好ましくは1.5~12体積%、より好ましくは2~10体積%、より好ましくは2.5~8体積%、より好ましくは3~7体積%、より好ましくは3.5~6体積%、及びより好ましくは4~5体積%の量で酸素を含有することが好ましい。再生用ガス流に関しては、ガス流が、1種又は複数の不活性ガスを更に含み、1種又は複数の不活性ガスが、窒素、ヘリウム、アルゴン、CO2、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくは窒素、アルゴン、CO2、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはガス流が窒素及び/又はアルゴン、より好ましくは窒素及びアルゴンを更に含むことが好ましい。再生用ガス流中の1種又は複数の不活性ガスの含有量に関しては、本発明の方法によれば、含有量が、ガス流の総体積に基づいて75~99.9体積%の範囲、好ましくは80~99.5体積%の範囲、より好ましくは85~99体積%の範囲、より好ましくは88~98.5体積%の範囲、より好ましくは90~98体積%の範囲、より好ましくは92~97.5体積%の範囲、より好ましくは93~97体積%の範囲、より好ましくは94~96.5体積%の範囲、及びより好ましくは95~96体積%の範囲であることが好ましい。
【0044】
触媒に含まれるゼオライト材料に関しては、本発明の方法によれば、触媒に含まれるゼオライト材料が骨格構造型BEAを有する場合、ゼオライト材料が、少なくとも以下の反射:
【0045】
【表1】
【0046】
を含むX線回折パターンを示し、ここで、100%はX線粉末回折パターンの20~45°2θ範囲内の最大ピーク強度に関連づけられ、BEA型骨格構造がYO2及びX2O3を含み、Yが4価元素であり、Xが3価元素であることが好ましい。前記の特定の及び好ましい実施形態によれば、BEA型骨格構造を有するゼオライト材料が、2~100、好ましくは3~50、より好ましくは4~30、より好ましくは5~25、より好ましくは6~20、より好ましくは7~18、より好ましくは8~16、及びより好ましくは9~14の範囲のYO2:X2O3のモル比を示すことが好ましい。更に及びこれとは独立して、ゼオライト材料が、ゼオライトベータを含み、好ましくはゼオライト材料が、ゼオライトベータであることが好ましい。更に及びこれとは独立して、触媒に含まれるBEA型骨格構造を有するゼオライト材料が、有機テンプレートを使わない合成方法(organotemplate-free synthetic process)により得ることができる及び/又は得られることが好ましい。
【0047】
本発明によれば、用語「有機テンプレート」及び「有機構造指向剤」は同義的に用いられ、用語「有機テンプレート」又は「有機構造指向剤」は、任意の有機化合物、好ましくは構造指向剤としてBEA骨格構造を有するゼオライト材料の調製のための合成方法に加えられ得る有機カチオンを含有する任意の有機化合物を指す。更に、本出願で用いられる用語「有機テンプレートを使わない」は、構造指向剤として有機テンプレートを使用しない、即ち有機テンプレート不使用である合成方法を指し、前記の用語は、BEA骨格構造を有するゼオライト材料の調製のための合成方法を規定し、その方法のいずれの時点でも、反応混合物が、反応混合物中に含有される100質量%のYO2に対して1質量%超の有機構造指向剤、反応混合物中に含有される100質量%のYO2に対して好ましくは0.5質量%超、より好ましくは0.1質量%超、より好ましくは0.05質量%超、より好ましくは0.01質量%超、より好ましくは0.005質量%超、より好ましくは0.001質量%超、より好ましくは0.0005質量%超、及びより好ましくは0.0001質量%超の有機構造指向剤を含有しない、BEA骨格構造を有するゼオライト材料の調製のための合成方法を規定する。
【0048】
本発明の方法で用いられるBEA型骨格構造を有するゼオライト材料に関しては、回折角及び反射強度を測定するためにX線回折を得る方法に対して特に制限は適用されないが、但しCu K(アルファ1)照射がこの効果に用いられる。しかし、本発明の方法によれば、X線回折パターンが、Cu K アルファ-1照射を使用して、Lynx Eye検出器を備えたD8 Advance X線回折計(Bruker社AXS)を用いて行われる粉末材料のX線回折実験から得られ、Cu-Ka照射がBragg-Brentano幾何学において用いられ、データが0.02°のステップサイズ及び1ステップ当たり2.4秒の滞留時間を用いて2~50°(2θ)から集められることが好ましい。更に、X線回折実験で用いられるパラメーターが、以下の通りであることが好ましい:
一次側: ASSで発散スリット0.1°
二次側: 0.1固定スリット
検出器: Lynx Eye,3°。
【0049】
BEA型骨格構造を有するゼオライト材料が得られる好ましい有機テンプレート不使用合成方法に関しては、本発明によれば、有機テンプレート不使用合成方法が、
(A)1種又は複数のYO2源、1種又は複数のX2O3源、及び種結晶を含む混合物を調製する工程であって、種結晶がBEA型骨格構造を有する材料を含む、工程と、
(B)(A)において得られた混合物を結晶化させて、BEA型骨格構造を有するゼオライト材料を得る工程と
を含み、
Yが4価元素であり、Xが3価元素であり、
(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物が、構造指向剤として有機テンプレートを含有しないことが好ましい。
【0050】
好ましくは、(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物が、元素として計算して且つ混合物中に含有される100質量%のYに対して5質量%以下の炭素、元素として計算して且つ混合物中に含有される100質量%のYに対して好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以下、及びより好ましくは0.0001質量%以下の炭素しか含有しない。
【0051】
(B)において得られたBEA型骨格構造を有するゼオライト材料に関しては、前記ゼオライト材料が、1種又は複数のアルカリ金属AMを含み、AMが、Li、Na、K、Cs、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくはLi、Na、K、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から好ましくは選択され、より好ましくはアルカリ金属AMが、Na及び/又はK、より好ましくはNaであることが好ましい。更に、(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物中のAM:YO2のモル比が、0.05~5、好ましくは0.1~2、より好ましくは0.3~1、より好ましくは0.4~0.8、より好ましくは0.45~0.7、より好ましくは0.5~0.65、及びより好ましくは0.55~0.6の範囲であることが好ましい。
【0052】
BEA型骨格構造を有するゼオライト材料が得られる好ましい有機テンプレート不使用合成方法に関しては、Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、Yが好ましくはSiであることが好ましい。更に、(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物中に含有される1種又は複数のYO2源が、1種又は複数のケイ酸塩、好ましくは1種又は複数のアルカリ金属ケイ酸塩を含み、アルカリ金属が、Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から好ましくは選択され、より好ましくはアルカリ金属がNa及び/又はKであり、より好ましくはアルカリ金属がNaであり、より好ましくは(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物中に含有される1種又は複数のYO2源が、水ガラス、好ましくはケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸カリウム、より好ましくはケイ酸ナトリウムを含むことが好ましい。更に、(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物中に含有される1種又は複数のYO2源が、1種又は複数のシリカ、好ましくは1種又は複数のシリカヒドロゾル及び/又は1種又は複数のコロイダルシリカ、及びより好ましくは1種又は複数のコロイダルシリカを更に含むことが好ましい。
【0053】
BEA型骨格構造を有するゼオライト材料が得られる好ましい有機テンプレート不使用合成方法に関しては、Xが、Al、B、In、Ga、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、Xが好ましくはAlであることが好ましい。前記の特定の及び好ましい実施形態によれば、(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物中に含有される1種又は複数のX2O3源が、1種又は複数のアルミン酸塩、好ましくはアルカリ金属アルミン酸塩を含み、アルカリ金属が、Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から好ましくは選択され、より好ましくはアルカリ金属がNa及び/又はKであり、より好ましくはアルカリ金属がNaであることが好ましい。更に及びこれとは独立して、(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物のYO2:X2O3のモル比が、1~200、好ましくは5~100、より好ましくは10~50、より好ましくは15~40、より好ましくは20~30、より好ましくは23~25、及びより好ましくは23.5~24の範囲であることが好ましい。
【0054】
BEA型骨格構造を有するゼオライト材料が得られる好ましい有機テンプレート不使用合成方法に関しては、(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物中に含まれる種結晶の量が、YO2として計算して、混合物中の100質量%の1種又は複数のYO2源に対して0.5~30質量%、好ましくは1~25質量%、より好ましくは3~20質量%、より好ましくは5~15質量%、より好ましくは8~12質量%、及びより好ましく9~11質量%の範囲であることが更に好ましい。更に及びこれとは独立して、(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物が、1種又は複数の溶媒を更に含み、前記1種又は複数の溶媒が好ましくは水、より好ましくは脱イオン水を含み、より好ましくは水、好ましくは脱イオン水が、(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物中に更に含まれる溶媒として用いられることが好ましい。特定の及び好ましい実施形態に関しては、1種又は複数の溶媒が水を含む場合、(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物のH2O:YO2のモル比が5~100、好ましくは10~50、より好ましくは13~30、より好ましくは15~20、及びより好ましくは17~18の範囲であることが好ましい。
【0055】
BEA型骨格構造を有するゼオライト材料が得られる好ましい有機テンプレート不使用合成方法に関しては、(B)における結晶化が、好ましくは80~200℃、より好ましくは90~180℃、より好ましくは100~160℃、より好ましくは110~140℃、及びより好ましくは115~130℃の範囲の温度での混合物の加熱を含むことが更に好ましい。前記の特定の及び好ましい実施形態によれば、(B)における結晶化が、自然に発生する圧力下、好ましくはソルボサーマル条件下及びより好ましくは熱水条件下で行われることが好ましい。
【0056】
BEA型骨格構造を有するゼオライト材料が得られる好ましい有機テンプレート不使用合成方法に関しては、(B)において混合物が、5~200時間、好ましくは20~150時間、より好ましくは50~100時間、及びより好ましくは65~75時間の範囲の期間加熱されることが好ましい。
【0057】
BEA型骨格構造を有するゼオライト材料が得られる有機テンプレート不使用合成方法が、
(C)(B)において得られたBEA型骨格構造を有するゼオライト材料を好ましくは濾過により単離する工程、及び
(D)任意選択により場合によって、(B)若しくは(C)、好ましくは (C)において得られたBEA型骨格構造を有するゼオライト材料を洗浄する工程、及び/又は
(E)任意選択により場合によって、(B)、(C)、若しくは(D)、好ましくは(D)において得られたBEA型骨格構造を有するゼオライト材料を乾燥する工程
を更に含み、
工程(C)及び/又は(D)及び/又は(E)は、任意の順番で行うことができ、
前記工程のうちの1つ又は複数が、好ましくは1回又は複数回繰り返されることが好ましい。
【0058】
これとは独立して、BEA型骨格構造を有するゼオライト材料が得られる有機テンプレート不使用合成方法が、
(F) (C)、(D)若しくは(E)、好ましくは(E)において得られたBEA型骨格構造を有するゼオライト材料に含有されるイオン性非骨格元素のうちの1種若しくは複数をH+及び/若しくはNH4 +、好ましくはNH4 +に対して交換する工程、並びに/又は、好ましくは並びに
(G) (C)、(D)、(E) 若しくは(F)において得られたBEA型骨格構造を有するゼオライト材料を乾燥及び/若しくはか焼する、好ましくは乾燥及びか焼する工程
を更に含むことが好ましい。
【0059】
本発明は、実施形態の以下のセット及び示された従属及び後方参照による実施形態の組み合わせにより更に例示される。特に、実施形態の範囲が言及されている各事例において、例えば「実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法」等の用語の文脈において、この範囲の全ての実施形態が当業者のために明確に開示されることが意味される、即ち、この用語の表現が、「実施形態1、2、3、及び4のいずれか1つに記載の方法」と同義であると、当業者に理解されるべきであることに留意されたい。
【0060】
1.アルケンの二量化方法であって、
(1)1種又は複数のアルケンを含むガス流を供給する工程と、
(2)(1)において供給されたガス流を触媒と接触させて、1種又は複数のアルケンの1種又は複数の二量化生成物を含む混合物M1を得る工程と
を含み、
(2)における触媒が、MOR、BEA、FER、MFI、TON、FAU、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される骨格構造型を有するゼオライト材料を含み、
ゼオライト材料の骨格構造がYO2を含み、Yが1種又は複数の4価元素を表す、
方法。
【0061】
2.ゼオライト材料が、MOR、BEA、MFI、及びこれらの2種又は3種の混合物からなる群から選択される骨格構造型を有し、好ましくはゼオライト材料が、MOR及び/又はBEA型骨格構造、より好ましくはBEA型骨格構造を有する、実施形態1に記載の方法。
【0062】
3.ゼオライト材料が、モルデナイト、ゼオライトベータ、フェリエライト、ZSM-5、ZSM-22、及びゼオライトYからなる群から、好ましくはモルデナイト、ゼオライトベータ、及びZSM-5からなる群から選択される1種又は複数のゼオライトを含み、より好ましくは触媒に含まれるゼオライト材料がモルデナイト及び/又はゼオライトベータ、より好ましくはゼオライトベータを含み、より好ましくは触媒に含まれるゼオライト材料が、モルデナイト及び/又はゼオライトベータ、より好ましくはゼオライトベータである、実施形態1又は2に記載の方法。
【0063】
4.ゼオライト材料が、ゼオライト骨格のイオン交換サイトにH+を含み、好ましくはゼオライト材料がH型である、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0064】
5.触媒に含まれるゼオライト材料が、元素として計算して且つゼオライト材料の骨格構造中に含有される100質量%のYO2に基づいて5質量%以下の金属M、元素として計算して且つゼオライト材料の骨格構造中に含有される100質量%のYO2に基づいて好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以下、及びより好ましくは0.0001質量%以下の金属Mしか含有せず、
金属MがNa、好ましくはNa及びK、より好ましくはアルカリ金属並びにより好ましくはアルカリ及びアルカリ土類金属を表す、実施形態1~4のいずれか1つに記載の方法。
【0065】
6.触媒に含まれるゼオライト材料が、元素として計算して且つゼオライト材料の骨格構造中に含有される100質量%のYO2に基づいて5質量%以下のリン、元素として計算して且つゼオライト材料の骨格構造中に含有される100質量%のYO2に基づいて好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以下、及びより好ましくは0.0001質量%以下のリンしか含有しない、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0066】
7.ゼオライト材料が、ゼオライト骨格のイオン交換サイトに1種又は複数の金属カチオンを含み、1種又は複数の金属カチオンが、これらの2種以上の混合物を含むアルカリ土類金属及び希土類金属からなる群から、好ましくはMg、Ca、Sr、Sc、Y、La、Ce、Pr、Nd、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、より好ましくはMg、Ca、La、Ce、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはゼオライト材料が、ゼオライト骨格のイオン交換サイトにMg及び/又はLaを含み、より好ましくはゼオライト材料が、Mg-ZSM-5、La-ZSM-5、La-モルデナイト、及びこれらの2種又は3種の混合物、より好ましくはLa-ZSM-5及び/又はLa-モルデナイトからなる群から選択される1種又は複数のゼオライトを含み、より好ましくはゼオライト材料が、Mg-ZSM-5、La-ZSM-5、La-モルデナイト、及びこれらの2種又は3種の混合物からなる群から選択される1種又は複数のゼオライトで構成され、より好ましくはゼオライト材料がLa-ZSM-5及び/又はLa-モルデナイトである、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0067】
8.YがSi、Sn、Ti、Zr、Ge、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくはSi、Sn、Ti、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、Yが好ましくはSi又はSiとSnの両方を含み、より好ましくはYがSiを含み、より好ましくはYがSi又はSiとSnの両方のいずれかであり、より好ましくはYがSiであり、より好ましくはゼオライト材料が4価元素としてSi及びSnを含む骨格を有するゼオライトベータ、より好ましくは4価元素としてSiとSnを含む骨格を有するゼオライトベータを含み、より好ましくはゼオライト材料が、4価元素としてSi及びSnを含む骨格を有するゼオライトベータ、より好ましくは4価元素としてSi及びSnを含む骨格を有するゼオライトベータで構成される、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0068】
9.ゼオライト材料の骨格構造がX2O3を更に含み、Xが1種又は複数の3価元素を表し、Xが、Al、B、In、Ga、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、Xが好ましくはAlを含み、より好ましくはXがAlである、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0069】
10.ゼオライト材料が2~300、好ましくは6~200、より好ましくは8~150、より好ましくは10~100、より好ましくは15~80、より好ましくは20~70、より好ましくは40~60、及びより好ましくは45~55の範囲のYO2:X2O3のモル比を示す、実施形態9に記載の方法。
【0070】
11.ゼオライト材料がZSM-5を含み、好ましくはゼオライト材料がZSM-5である、実施形態9又は110に記載の方法。
【0071】
12.触媒に含まれるゼオライト材料が、0.4~4 mmol/g、好ましくは0.5~3 mmol/g、より好ましくは0.6~2.8 mmol/g、より好ましくは0.8~2.6 mmol/g、より好ましくは1~2.4 mmol/g、より好ましくは1.2~2.2 mmol/g、より好ましくは1.4~2 mmol/g、より好ましくは1.6~1.9 mmol/g、及びより好ましくは1.7~1.8 mmol/gの範囲の酸点の総量を有し、
酸点の総量が、アンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)により測定されるゼオライト材料の質量当たりの脱離したアンモニアの総モル量と定義される、実施形態1~11のいずれか1つに記載の方法。
【0072】
13.酸点の総量が、150~750℃、好ましくは180~680℃、より好ましくは190~630℃、より好ましくは200~600℃、より好ましくは205~570℃、より好ましくは210~540℃、より好ましくは215~490℃、及びより好ましくは220~440℃の温度範囲でアンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)により測定されるゼオライト材料の質量当たりの脱離したアンモニアの量と定義される、実施形態12に記載の方法。
【0073】
14.触媒に含まれるゼオライト材料が、一定量の中酸点を有し、中酸点の量が、0.4~4mmol/g、好ましくは0.5~3 mmol/g、より好ましくは0.6~2.8 mmol/g、より好ましくは0.8~2.6 mmol/g、より好ましくは1~2.4 mmol/g、より好ましくは1.2~2.2 mmol/g、より好ましくは1.4~2 mmol/g、より好ましくは1.6~1.9 mmol/g、及びより好ましくは1.7~1.8 mmol/gの範囲である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0074】
15.中酸点の量が、150~400℃、好ましくは180~320℃、より好ましくは190~280℃、より好ましくは200~250℃、より好ましくは205~240℃、より好ましくは210~230℃、及びより好ましくは215~220℃の温度範囲でアンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)により測定されるゼオライト材料の質量当たりの脱離したアンモニアの量と定義される、実施形態14に記載の方法。
【0075】
16.触媒に含まれるゼオライト材料が、1 mmol/g未満、好ましくは0.5 mmol/g未満、より好ましくは0.2 mmol/g未満、より好ましくは0.1 mmol/g未満、より好ましくは0.05 mmol/g未満、より好ましくは0.03 mmol/g未満、より好ましくは0.02 mmol/g未満、より好ましくは0.01 mmol/g未満、より好ましくは0.005 mmol/g未満、及びより好ましくは0.001 mmol/g未満の強酸点しか有しない、実施形態1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0076】
17.強酸点の量が、300~750℃、好ましくは400~720℃、より好ましくは450~690℃、より好ましくは500~670℃、より好ましくは530~650℃、より好ましくは550~630℃、より好ましくは570~610℃、及びより好ましくは590~600℃の温度範囲でアンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)により測定されるゼオライト材料の質量当たりの脱離したアンモニアの量と定義される、実施形態16に記載の方法。
【0077】
18.(1)において供給される1種又は複数のアルケンが、式(I):
【化4】
(式中、R及びR'はアルキル基である)
による1種又は複数のアルケンを含む、実施形態1~17のいずれか1つに記載の方法。
【0078】
19.(2)において得られた1種又は複数のアルケンの1種又は複数の二量化生成物が、式(II):
【化5】
(式中、R及びR'はアルキル基である)
による1種又は複数のアルケンを含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の方法。
【0079】
20.R及びR'が、互いに独立して、任意選択により分岐していてもよい及び/又は任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により不飽和であってもよいC1~C6アルキル基、好ましくはC1~C5アルキル基、より好ましくはC1~C4アルキル基、より好ましくはC1~C3アルキル基、より好ましくはC1~C2アルキル基、及びより好ましくはC1アルキル基からなる群から選択される任意選択により分岐していてもよい及び/又は任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により不飽和であってもよいアルキル基であり、より好ましくはR及びR'が、互いに独立して、任意選択により置換されていてもよいメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、及びヘキシルからなる群から、より好ましくは任意選択により置換されていてもよいメチル、エチル、プロピル、ブチル、及びペンチルからなる群から、より好ましくは任意選択により置換されていてもよいメチル、エチル、プロピル、及びブチルからなる群から、より好ましくは任意選択により置換されていてもよいメチル、エチル、及びプロピルからなる群から選択され、より好ましくはR及びR'が、互いに独立して、任意選択により置換されていてもよいメチル又はエチル、好ましくはメチルである、実施形態18又は19に記載の方法。
【0080】
21.(1)において供給される1種又は複数のアルケンが、任意選択により置換されていてもよいイソブテン、2-メチル-1-ブテン、2-エチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、2-エチル-1-ペンテン、2-n-プロピル-1-ペンテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-エチル-3-メチル-1-ブテン、2-i-プロピル-1-ペンテン、2-i-プロピル-3-メチル-1-ブテン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、より好ましくは任意選択により置換されていてもよいイソブテン、2-メチル-1-ブテン、2-エチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、2-エチル-1-ペンテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、2-エチル-3-メチル-1-ブテン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される、より好ましくは任意選択により置換されていてもよいイソブテン、2-メチル-1-ブテン、2-エチル-1-ブテン、2-メチル-1-ペンテン、2,3-ジメチル-1-ブテン、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択される1種又は複数のアルケンを含み、より好ましくは式(II)のアルケンが任意選択により置換されていてもよいイソブテン及び/又は2-メチル-1-ブテン、好ましくはイソブテン又は2-メチル-1-ブテン及びより好ましくはイソブテンである、実施形態1~20のいずれか1つに記載の方法。
【0081】
22.(2)において得られた1種又は複数の二量化生成物が、1種又は複数のアルカン及び/又は1種又は複数のアルケン、好ましくは1種又は複数のアルケン、より好ましくは1種又は複数のC4~C20アルケン、より好ましくは1種又は複数のC4~C16アルケン、より好ましくは1種又は複数のC5~C14アルケン、より好ましくは1種又は複数のC5~C13アルケン、より好ましくは1種又は複数のC6~C12アルケン、より好ましくは1種又は複数のC6~C11アルケン、より好ましくは1種又は複数のC7~C10アルケン、より好ましくは1種又は複数のC7~C9アルケン、より好ましくは1種又は複数のC8アルケンを含み、より好ましくは(2)において得られた1種又は複数の二量化生成物が、1-オクテン、2,4,4-トリメチル-1-ペンテン、2,4,4-トリメチル-2-ペンテン、及びこれらの2種若しくは3種の混合物からなる群から選択される1種又は複数のアルケンを含み、より好ましくは(2)において得られた1種又は複数の二量化生成物が、1-オクテン及び/又は2,4,4-トリメチル-1-ペンテン、より好ましくは2,4,4-トリメチル-1-ペンテンを含む、実施形態1~21のいずれか1つに記載の方法。
【0082】
23.(1)において供給され、(2)において触媒と接触させられるガス流中の1種又は複数のアルケンの含有量が、ガス流の総体積に基づいて5~100体積%の範囲、好ましくは10~99体積%の範囲、より好ましくは15~98体積%の範囲、より好ましくは20~95体積%の範囲、より好ましくは25~90体積%の範囲、より好ましくは30~80体積%の範囲、より好ましくは35~70体積%の範囲、より好ましくは40~60体積%の範囲、及びより好ましくは45~55体積%の範囲である、実施形態1~22のいずれか1つに記載の方法。
【0083】
24.(1)において供給され、(2)において触媒と接触させられるガス流が、ガス流の総体積に基づいて50体積%以下、好ましくは30体積%以下、より好ましくは20体積%以下、より好ましくは10体積%以下、より好ましくは5体積%以下、より好ましくは3体積%以下、より好ましくは2体積%以下、より好ましくは1体積%以下、より好ましくは0.5体積%以下、より好ましくは0.1体積%以下、より好ましくは0.05体積%以下、より好ましくは0.01体積%以下、より好ましくは0.005体積%以下、及びより好ましくは0.001体積%以下の脂肪族有機化合物しか含有しない、実施形態1~23のいずれか1つに記載の方法。
【0084】
25.1種又は複数の脂肪族有機化合物が、任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により環状であってもよい及び/又は任意選択により分岐していてもよい(C2~C20)炭化水素及びこれらの2種以上の混合物、好ましくは(C2~C16)炭化水素、より好ましくは(C2~C16)炭化水素、より好ましくは(C2~C14)炭化水素、より好ましくは(C2~C12)炭化水素、より好ましくは(C2~C10)炭化水素、より好ましくは(C2~C8)炭化水素、より好ましくは(C2~C6)炭化水素、より好ましくは(C3~C5)炭化水素、及びより好ましくはC4炭化水素、並びにこれらの混合物からなる群から選択される、実施形態24に記載の方法。
【0085】
26.1種又は複数の任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により環状であってもよい炭化水素が分岐しており、好ましくは1種又は複数の分岐した炭化水素が、式:
【化6】
(式中、R1、R2、及びR3は、互いに独立して、任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により環状であってもよい及び/又は任意選択により分岐していてもよい(C1~C8)アルキル、好ましくは(C1~C6)アルキル、より好ましくは(C1~C5)アルキルであり、より好ましくはR1、R2、及びR3は、互いに独立して、任意選択により置換されていてもよい及び/又は任意選択により分岐していてもよい(C1~C4)アルキル、好ましくは(C1~C3)アルキルであり、より好ましくはR1、R2、及びR3は、互いに独立して、任意選択により置換されていてもよいメチル又はエチル、好ましくは任意選択により置換されていてもよいメチルである)
を有する、実施形態25に記載の方法。
【0086】
27.1種又は複数の脂肪族有機化合物が1つ又は複数の官能基で置換されており、1つ又は複数の官能基が、ヒドロキシル、ハロゲン、カルボニル、アルデヒド、炭酸エステル、カルボキシレート、カルボキシル、エステル、エーテル、カルボキサミド、アミン、イミン、シアネート、イソシアネート、ナイトレート、ニトリル、イソニトリル、スルフィド、スルフィニル、スルホニル、スルフィノ、スルホ、チオシアネート、イソチオシアネート、ホスフィノ、ホスホノ、及びホスフェートからなる群から、
より好ましくはヒドロキシル、ハロゲン、カルボニル、アルデヒド、カルボキシレート、カルボキシル、エステル、エーテル、カルボキサミド、アミン、イミン、シアネート、イソシアネート、ナイトレート、ニトリル、イソニトリル、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、
より好ましくはヒドロキシル、ハロゲン、カルボニル、アルデヒド、カルボキシレート、カルボキシル、エステル、エーテル、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、
より好ましくはヒドロキシル、ハロゲン、カルボニル、アルコキシ、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、
より好ましくはヒドロキシル、フルオロ、クロロ、ブロモ、(C1~C3)アルコキシ、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、
より好ましくはヒドロキシル、フルオロ、クロロ、(C1~C2)アルコキシ、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、
より好ましくはヒドロキシル、フルオロ、クロロ、メトキシ、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から好ましくは選択され、
より好ましくは1種又は複数の脂肪族化合物が、1つ又は複数のヒドロキシル基で置換されている、実施形態25又は26に記載の方法。
【0087】
28.1種又は複数の脂肪族有機化合物が非置換の炭化水素であり、好ましくは1種又は複数の脂肪族有機化合物がイソブタンを含み、より好ましくは1種又は複数の脂肪族有機化合物がイソブタンである、実施形態25又は26に記載の方法。
【0088】
29.(1)において供給され、(2)において触媒と接触させられるガス流が、1種又は複数の不活性ガスを更に含み、1種又は複数の不活性ガスが窒素、ヘリウム、アルゴン、CO2、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくは窒素、アルゴン、CO2、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくは、ガス流が窒素及び/又はアルゴン、より好ましくは窒素及びアルゴンを更に含む、実施形態1~28のいずれか1つに記載の方法。
【0089】
30.(1)において供給され、(2)において触媒と接触させられるガス流中の1種又は複数の不活性ガスの含有量が、ガス流の総体積に基づいて0~95体積%の範囲、好ましくは1~90体積%の範囲、より好ましくは2~85体積%の範囲、より好ましくは5~80体積%の範囲、より好ましくは10~75体積%の範囲、より好ましくは20~70体積%の範囲、より好ましくは30~65体積%の範囲、より好ましくは40~60体積%の範囲、及びより好ましくは45~55体積%の範囲である、実施形態29に記載の方法。
【0090】
31.(2)における接触が、80~350℃、より好ましくは100~320℃、より好ましくは120~300℃、より好ましくは140~280℃、より好ましくは160~260℃、より好ましくは180~250℃、より好ましくは200~245℃、より好ましくは220~240℃、及びより好ましくは225~235℃の範囲の温度で行われる、実施形態1~30のいずれか1つに記載の方法。
【0091】
32.(2)における接触が、2~80bar、好ましくは4~60bar、より好ましくは6~50bar、より好ましくは8~45bar、より好ましくは10~40bar、より好ましくは12~38bar、より好ましくは14~36bar、より好ましくは16~34bar、より好ましくは18~32bar、より好ましくは20~30bar、より好ましくは22~28bar、及びより好ましくは24~26barの範囲の圧力で行われる、実施形態1~31のいずれか1つに記載の方法。
【0092】
33.(2)における接触が連続様式及び/又はバッチ様式で、好ましくは連続様式で行われる、実施形態1~32のいずれか1つに記載の方法。
【0093】
34.(2)における接触が連続様式で行われ、(2)における接触の空間速度が10~10,000時間-1、好ましくは50~5,000時間-1、より好ましくは100~3,000時間-1、より好ましくは300~2,500時間-1、より好ましくは500~1,800時間-1、より好ましくは700~1,500時間-1、より好ましくは800~1,200時間-1、より好ましくは900~1,100時間-1の範囲である、実施形態33に記載の方法。
【0094】
35.(2)における接触が連続様式で行われ、触媒の寿命が50~2,000時間、好ましくは100~1,000時間、より好ましくは150~500時間、より好ましくは200~400時間、より好ましくは230~350時間、及びより好ましくは250~300時間の範囲であり、その間、二量化反応を中断せずに連続方法が行われる、実施形態33又は34に記載の方法。
【0095】
36.方法が
(3)1種又は複数の未反応のアルケンを、(2)において得られた反応混合物M1から分離して、1種又は複数のアルケンを含有する混合物M2を得る工程と、
(4)1種又は複数のアルケンを含有する混合物M2を(1)に再循環させる工程と
を更に含む、実施形態1~35のいずれか1つに記載の方法。
【0096】
37.触媒が一定間隔で再生される、実施形態1~36のいずれか1つに記載の方法。
【0097】
38.再生が、触媒を、酸素を含有するガス流と接触させることにより行われ、接触が、250~1000℃、好ましくは300~900℃、より好ましくは350~800℃、より好ましくは400~700℃、より好ましくは450~650℃、及びより好ましくは500~600℃の範囲の温度で行われる、実施形態37に記載の方法。
【0098】
39.再生用ガス流が、ガス流の総体積に基づいて0.1~25体積%、好ましくは0.5~20体積%、より好ましくは1~15体積%、より好ましくは1.5~12体積%、より好ましくは2~10体積%、より好ましくは2.5~8体積%、より好ましくは3~7体積%、より好ましくは3.5~6体積%、及びより好ましくは4~5体積%の量で酸素を含有する、実施形態37又は38に記載の方法。
【0099】
40.再生用ガス流が、1種又は複数の不活性ガスを更に含み、1種又は複数の不活性ガスが窒素、ヘリウム、アルゴン、CO2、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から、好ましくは窒素、アルゴン、CO2、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、より好ましくはガス流が窒素及び/又はアルゴン、より好ましくは窒素及びアルゴンを更に含む、実施形態37~39のいずれか1つに記載の方法。
【0100】
41.再生用ガス流中の1種又は複数の不活性ガスの含有量が、ガス流の総体積に基づいて75~99.9体積%の範囲、好ましくは80~99.5体積%の範囲、より好ましくは85~99体積%の範囲、より好ましくは88~98.5体積%の範囲、より好ましくは90~98体積%の範囲、より好ましくは92~97.5体積%の範囲、より好ましくは93~97体積%の範囲、より好ましくは94~96.5体積%の範囲、及びより好ましくは95~96体積%の範囲である、実施形態37~40のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
42.BEA型骨格構造を有するゼオライト材料が、少なくとも以下の反射:
【表2】
を含むX線回折パターンを示し、ここで、100%はX線粉末回折パターンの20~45°2θ範囲の最大ピーク強度に関連し、
BEA型骨格構造がYO2及びX2O3を含み、Yが4価元素であり、Xが3価元素である、実施形態1~41のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
43.BEA型骨格構造を有するゼオライト材料が、2~100、好ましくは3~50、より好ましくは4~30、より好ましくは5~25、より好ましくは6~20、より好ましくは7~18、より好ましくは8~16、及びより好ましくは9~14の範囲のYO2:X2O3のモル比を示す、実施形態42に記載の方法。
【0103】
44.ゼオライト材料がゼオライトベータを含み、好ましくはゼオライト材料がゼオライトベータである、実施形態42又は43に記載の方法。
【0104】
45.触媒に含まれるBEA型骨格構造を有するゼオライト材料が、有機テンプレート不使用合成方法により得ることができる及び/又は得られる、実施形態1~44のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
46.有機テンプレート不使用合成方法が、
(A)1種又は複数のYO2源、1種又は複数のX2O3源、及び種結晶を含む混合物を調製する工程であって、種結晶がBEA型骨格構造を有する材料を含む、工程と、
(B)(A)において得られた混合物を結晶化させて、BEA型骨格構造を有するゼオライト材料を得る工程と
を含み、
Yが4価元素であり、Xが3価元素であり、
(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物が、構造指向剤として有機テンプレートを含有しない、実施形態45に記載の方法。
【0106】
47.(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物が、元素として計算して且つ混合物中に含有される100質量%のYに基づいて5質量%以下の炭素、元素として計算して且つ混合物中に含有される100質量%のYに基づいて好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、より好ましくは0.005質量%以下、より好ましくは0.001質量%以下、より好ましくは0.0005質量%以下、及びより好ましくは0.0001質量%以下の炭素しか含有しない、実施形態46に記載の方法。
【0107】
48.(B)において得られたBEA型骨格構造を有するゼオライト材料が、1種又は複数のアルカリ金属AMを含み、AMが、Li、Na、K、Cs、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から、より好ましくはLi、Na、K、及びこれらの2種以上の組み合わせからなる群から好ましくは選択され、より好ましくはアルカリ金属AMがNa及び/又はK、より好ましくはNaである、実施形態46又は47に記載の方法。
【0108】
49.(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物中のAM:YO2のモル比が、0.05~5、好ましくは0.1~2、より好ましくは0.3~1、より好ましくは0.4~0.8、より好ましくは0.45~0.7、より好ましくは0.5~0.65、及びより好ましくは0.55~0.6の範囲である、実施形態48に記載の方法。
【0109】
50.Yが、Si、Sn、Ti、Zr、Ge、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、Yが好ましくはSiである、実施形態46~49のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
51.(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物中に含有される1種又は複数のYO2源が、1種又は複数のケイ酸塩、好ましくは1種又は複数のアルカリ金属ケイ酸塩を含み、アルカリ金属が、Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から好ましくは選択され、より好ましくはアルカリ金属がNa及び/又はKであり、より好ましくはアルカリ金属がNaであり、より好ましくは(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物中に含有される1種又は複数のYO2源が、水ガラス、好ましくはケイ酸ナトリウム及び/又はケイ酸カリウム、より好ましくはケイ酸ナトリウムを含む、実施形態46~50のいずれか1つに記載の方法。
【0111】
52.(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物中に含有される1種又は複数のYO2源が、1種又は複数のシリカ、好ましくは1種又は複数のシリカヒドロゾル及び/又は1種又は複数のコロイダルシリカ、及びより好ましくは1種又は複数のコロイダルシリカを更に含む、実施形態51に記載の方法。
【0112】
53.XがAl、B、In、Ga、及びこれらの2種以上の混合物からなる群から選択され、Xが好ましくはAlである、実施形態46~52のいずれか1つに記載の方法。
【0113】
54.(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物中に含有される1種又は複数のX2O3源が、1種又は複数のアルミン酸塩、好ましくはアルカリ金属アルミン酸塩を含み、アルカリ金属が、Li、Na、K、Rb、及びCsからなる群から好ましくは選択され、より好ましくはアルカリ金属が、Na及び/又はKであり、より好ましくはアルカリ金属がNaである、実施形態46~53のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
55.(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物のYO2:X2O3のモル比が、1~200、好ましくは5~100、より好ましくは10~50、より好ましくは15~40、より好ましくは20~30、より好ましくは23~25、及びより好ましくは23.5~24の範囲である、実施形態46~54のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
56.(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物中に含まれる種結晶の量が、YO2として計算して、混合物中の100質量%の1種又は複数のYO2源に基づいて0.5~30質量%、好ましくは1~25質量%、より好ましくは3~20質量%、より好ましくは5~15質量%、より好ましくは8~12質量%、及びより好ましく9~11質量%の範囲である、実施形態46~55のいずれか1つに記載の方法。
【0116】
57.(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物が、1種又は複数の溶媒を更に含み、前記1種又は複数の溶媒が好ましくは水、より好ましくは脱イオン水を含み、より好ましくは水、好ましくは脱イオン水が、(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物中に更に含まれる溶媒として用いられる、実施形態46~56のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
58.(A)において調製され、(B)において結晶化された混合物のH2O:YO2のモル比が、5~100、好ましくは10~50、より好ましくは13~30、より好ましくは15~20、及びより好ましくは17~18の範囲である、実施形態57に記載の方法。
【0118】
59.(B)における結晶化が、好ましくは80~200℃、より好ましくは90~180℃、より好ましくは100~160℃、より好ましくは110~140℃、及びより好ましくは115~130℃の範囲の温度での混合物の加熱を含む、実施形態46~58のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
60.(B)における結晶化が、自然に生じる圧力下、好ましくはソルボサーマル条件下及びより好ましくは熱水条件下で行われる、実施形態46~59のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
61.(B)において混合物が、5~200時間、好ましくは20~150時間、より好ましくは50~100時間、及びより好ましくは65~75時間の範囲の期間加熱される、実施形態59又は60に記載の方法。
【0121】
62.BEA型骨格構造を有するゼオライト材料の調製のための有機テンプレート不使用合成方法が、
(C)(B)において得られたBEA型骨格構造を有するゼオライト材料を好ましくは濾過により単離する工程、及び
(D)任意選択により場合によって、(B)若しくは (C)、好ましくは(C)において得られたBEA型骨格構造を有するゼオライト材料を洗浄する工程、及び/又は
(E)任意選択により場合によって、(B)、(C)、若しくは(D)、好ましくは(D)において得られたBEA型骨格構造を有するゼオライト材料を乾燥する工程
を更に含み、
工程(C)及び/又は(D) 及び/又は(E)が、任意の順番で行われてもよく、
前記工程のうちの1つ又は複数が、好ましくは1回又は複数回繰り返される、
実施形態46~61のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
63.BEA型骨格構造を有するゼオライト材料の調製のための有機テンプレート不使用合成方法が、
(F) (C)、(D)若しくは (E)、好ましくは(E)において得られたBEA型骨格構造を有するゼオライト材料に含有されるイオン性非骨格元素のうちの1つ若しくは複数をH+及び/若しくはNH4 +、好ましくはNH4 +に対して交換する工程、並びに/又は、好ましくは並びに
(G) (C)、(D)、(E)若しくは (F)において得られたBEA型骨格構造を有するゼオライト材料を乾燥及び/若しくはか焼する、好ましくは乾燥及びか焼する工程
を更に含む、実施形態62に記載の方法。
【実施例
【0123】
<酸点の測定>: アンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)
アンモニアの昇温脱離(NH3-TPD)を、熱伝導度検出器を有する自動化学吸着分析装置(Micromeritics社AutoChem II 2920)で行った。脱離種の連続分析を、オンライン質量分析計(Pfeiffer Vaccum社製のOmniStar QMG200)を用いて実施した。試料(0.1 g)を石英管に導入し、以下に記載するプログラムを用いて分析した。温度を石英管内の試料の真上のNi/Cr/Ni熱電対により測定した。分析には、純度5.0のHeを使用した。全ての測定前に、較正のためにブランク試料を分析した。
【0124】
1.調製: 記録の開始; 毎秒1回測定。25℃及びHe流量30 cm3/分(室温(約25℃)及び1 atm)で10分間待ち、20K/分の加熱速度で最大600℃に加熱し、10分間保持する。He流(30 cm3/分)下、20K/分の冷却速度で100℃に冷却(炉傾斜温度)し、He流(30 cm3/分)下、3K/分の冷却速度で100℃に冷却(試料傾斜温度)する。
2.NH3による飽和: 記録の開始; 毎秒1回測定。ガス流を、100℃のHe中10%NH3の混合物(75 cm3/分;100℃及び1 atm)に変更し、30分間保持する。
3.過剰分の除去: 記録の開始; 毎秒1回測定。ガス流を、100℃で75 cm3/分(100℃及び1 atm)のHe流に変更し、60分間保持する。
4.NH3-TPD: 記録の開始; 毎秒1回測定。He流下(流量:30 cm3/分)、10K/分の加熱速度で600℃に加熱し、30分間保持する。
5.測定終了。
【0125】
脱離したアンモニアを、オンライン質量分析計により測定し、熱伝導度検出器からのシグナルが脱離したアンモニアにより発生したことが示された。これは、アンモニアからのm/z=16のシグナルを使用して、アンモニアの脱離を監視することを含んでいた。吸着したアンモニアの量(mmol/g試料)を、Micromeritics社のソフトウェアにより水平ベースラインを用いたTPDシグナルの積分を介して確認した。
【0126】
<参考例1>:有機テンプレート不使用合成からのゼオライトベータ(H型)の合成
12.693 kgの蒸留水を60 Lのオートクレーブに供給した。2回分477.5 gのNaAlO2(Aldrich社から市販されている)を各々2.5 Lの蒸留水に溶解し、オートクレーブに添加し、そこで3.5 Lの蒸留水を個々の工程間のすすぎに使用した。21.447 kgの水ガラスのナトリウム溶液(26質量%のSiO2及び8質量%のNa2O;Woellner社から市販されている)を、200 rpmで撹拌しながら徐々に添加した後、3.762 kgのコロイダルシリカ(Grace社製のLudox (登録商標)AS40)を添加し、得られた混合物を200 rpmで更に2時間撹拌した。次いで、717 gのゼオライトベータ種(商品名CP814CでZeolyst International社,Valley Forge,PA19482,USAから市販されており、これをか焼によりH型に変換した) を少量ずつ混合物に添加し、このようにして1.00 SiO2:0.042 Al2O3:0.29 Na2O:17.49 H2Oのモル比でアルミノケイ酸塩のゲルを得た。次いで、反応混合物を100 rpmで撹拌しながらオートクレーブ中で結晶化させ、混合物を3時間以内に120℃に加熱し、その温度を67時間保持した。次いで、固体反応生成物を濾別し、洗浄して電気的に中性にした(洗浄水の導電性<200μS)。固体を120℃の乾燥オーブン中で一晩乾燥し、1.9 kgのゼオライトベータの白色粉末を得、X線回折により測定されるように71%の結晶化度を示した。
【0127】
次いで、302 gの得られたゼオライトベータ及び301 gの硝酸アンモニウムを2 kgの蒸留水に添加し、撹拌した。次いで、懸濁液を4 Lの丸底フラスコに移し、最初の容器を1 Lの蒸留水ですすいだ。次いで、得られた混合物を80℃に加熱し、2時間連続撹拌しながらこの温度に維持した。固体を濾別し、次いでフィルターケーキを120℃で3時間乾燥し、次いで450℃で5時間か焼して、270 gのイオン交換ゼオライトベータを得た。
【0128】
次いで、267 gの第1のイオン交換工程から得られたゼオライトベータ生成物及び265.3gの硝酸アンモニウムを5 Lのビーカーに入れ、2 kgの蒸留水に懸濁した。次いで、懸濁液を4 Lの丸底フラスコに移し、最初の容器を650 mLの蒸留水ですすいだ。次いで、得られた混合物を80℃に加熱し、2時間連続撹拌しながらこの温度に維持した。固体を濾別し、次いでフィルターケーキを120℃で3時間乾燥し、次いで450℃で5時間か焼して、234.2 gのイオン交換ゼオライトベータを得た。
【0129】
次いで、233.4 gの第2のイオン交換工程から得られたゼオライトベータ生成物及び233gの硝酸アンモニウムを5 Lのビーカーに入れ、1.8 kgの蒸留水に懸濁した。次いで、懸濁液を4 Lの丸底フラスコに移し、最初の容器を550 mLの蒸留水ですすいだ。次いで、得られた混合物を80℃に加熱し、2時間連続撹拌しながらこの温度に維持した。固体を濾別し、次いでフィルターケーキを120℃で3時間乾燥し、次いで450℃で5時間か焼して、そのH型のゼオライトベータを得た。
【0130】
得られた生成物の元素分析:4.9質量%Al、0.05質量%Na、及び34質量%Si。
【0131】
<参考例2>:ZSM-5の合成
2 m3の反応器に、79.61 kgの蒸留水を最初に導入する。水に、411.15 kgの水性テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド溶液 (TPAOH; 40質量%) を撹拌 (70 rpm) しながら添加する。懸濁液を更に10分間撹拌放置する。8.2 kgの固体NaOHを撹拌しながら2.5 kgの分割量ずつ徐々に添加し、各分割量添加後、系を5分間混合させる。次に、29.25 kgのアルミニウムトリイソプロポキシドを懸濁液に添加し、系を更に1時間撹拌する。最後に538.19 kgのコロイダルシリカ (Ludox AS-40)、次いで追加10 kgの蒸留水を添加する。合成混合物を室温で更に1時間撹拌した後、反応器に窒素ガスを流し、圧力を~900mbarに減圧する。その後、反応器を11時間で170℃に加熱する。熱水合成を70 rpmで撹拌しながら170℃で72時間行う。結晶化後、合成混合物を30℃に冷却する。懸濁液をより大きい容器に移し、そこで懸濁液のpHを、10質量%の水性硝酸溶液を添加することにより7±0.5に調整する。pH調整した懸濁液を70 rpmで更に30分間撹拌放置する。ゼオライトを濾過により分離し、フィルターケーキを、洗浄水の導電性が<200μSになるまで蒸留水で洗浄する。次いで、フィルターケーキを120℃で96時間乾燥する。乾燥した材料を空気中で550℃に6時間か焼して、BET表面積390 m2/gを有するか焼したZSM-5ゼオライトを得て、X線回折により測定されるように94%の結晶化度を示した。
【0132】
250 kgの蒸留水を400 Lの反応器に添加し、25 kgの硝酸アンモニウムを撹拌 (150 rpm) しながら添加する。懸濁液を80℃に加熱し、次いで25 kgのか焼したゼオライトを添加する。混合物を80℃で更に1時間撹拌する。その後、反応混合物を冷却し、フィルタープレスを用いて濾別し、洗浄水の導電性が<200μSになるまで水で洗浄する。次いで、イオン交換法を繰り返して、アンモニウム交換ZSM-5を得る。第2のアンモニウムイオン交換法後に得られたフィルターケーキを120℃で10時間乾燥し、空気中、500℃で5時間か焼して (加熱速度2℃/分)、H型のZSM-5を得る。
【0133】
元素分析により、得られた生成物は、物質100 g当たりで測定して<0.1 gの炭素、1.6 gのアルミニウム、<0.01 gのナトリウム及び43 gのケイ素の含有量を有していた。
【0134】
BET表面積は408 m2であると測定された。
【0135】
<参考例3>:酸点の測定
参考例1及び2からのゼオライト材料、及びモルデナイト (CBV 21A,Zeolyst社から市販されている) 及びゼオライトベータ (CP814E,Zeolyst社から市販されている) の酸点及びその総量をアンモニアの昇温脱離により測定した。結果を以下の表1に示す。脱離ピークを弱酸点 (ピーク最大温度<200℃)、中酸点 (ピーク最大温度<200~400℃) 及び強酸点 (ピーク最大温度>400℃) に相当するとして分類できる。
【0136】
【表3】
【0137】
<実施例3>:触媒試験
参考例1からの触媒及び更なる触媒を、異なる温度及び圧力でイソブテンの二量化で試験した (50体積%のガス供給)。全ての反応に対するガス空間速度は1,000時間-1であり、そこで反応前に、各触媒を不活性ガス流 (90体積%のN2及び10体積%のAr) で一晩活性化させた。試験した更なる触媒はモルデナイト (CBV 21A,Zeolyst社から市販されている)、Yゼオライト (CBV-600及びCBV-300,各々Zeolyst社から市販されている) 及びゼオライトベータ (CP 814E,Zeolyst社から市販されている) であった。全ての試験した更なる触媒を各々500℃で5時間か焼した後、各H型への市販のアンモニウム型の変換について試験した。試験結果を下の表2及び3に示し、表中、反応において生成された生成物中の検出されたC8アルケンは1-オクテン、2,4,4-トリメチル-1-ペンテン、及び2,4,4-トリメチル-2-ペンテンであった。表1中の結果は、ガス流について20時間の平均値を示す参考例1を除いて、ガス流について19時間のC8アルケン、非C8アルカン、及びアルケン、並びに芳香族に対する反応の選択率の平均値を示している。
【0138】
【表4】
【0139】
表3中の結果は、この場合もやはりガス流について20時間の平均値を示す参考例1を除いて、ガス流で19時間についての転化率及び触媒の不活性化速度の平均値を示している。
【0140】
【表5】
【0141】
表1及び2に示した結果から解釈できるように、驚くべきことに、二量化生成物に対して、特に高度に分岐した二量化生成物に対して高い選択性を与えるアルケンの二量化方法が、触媒として特定のゼオライト材料を使用することにより提供できることが見出された。更に、意外にも、ゼオライト材料の使用が、長い反応時間にわたって高いアルケン転化率で二量化反応を維持することを可能にするだけでなく、更にゼオライト材料が簡単に再生でき、再生サイクル後でも未使用の触媒に匹敵する性能をもたらすことができることも見出された。
【国際調査報告】