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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(54)【発明の名称】軟骨トランスデューサ
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20220314BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20220314BHJP
   H04R 25/00 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/01 510
H04R1/00 317
H04R25/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021532938
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(85)【翻訳文提出日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 US2020016936
(87)【国際公開番号】W WO2020163558
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】16/270,753
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Blu-ray
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】フェイスブック・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FACEBOOK TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】特許業務法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】ボブク, アーロン
【テーマコード(参考)】
5D017
5E555
【Fターム(参考)】
5D017AB11
5E555AA76
5E555BA01
5E555BA38
5E555BB01
5E555BB38
5E555BC01
5E555BE17
5E555DA08
5E555DA23
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
装置が、ウェアラブルデバイスの支持構造と、支持構造に結合されたトランスデューサとを備える。トランスデューサは、オーディオ入力信号に応答して動きを生成するように構成され得る。本装置は、トランスデューサに結合された動き伝導要素をも有し得る。動き伝導要素は、ユーザの耳の上部分に、生成された動きを加えるように構成され得る。動き伝導要素は、動き伝導要素のどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、生成された動きがユーザの耳に一貫して伝導されるように、ユーザの耳の上部分との接触を維持し得る。様々な他の方法、システム、およびコンピュータ可読媒体も開示される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェアラブルデバイスの支持構造と、
前記支持構造に結合された少なくとも1つのトランスデューサであって、前記少なくとも1つのトランスデューサが、オーディオ入力信号に応答して動きを生成するように構成された、少なくとも1つのトランスデューサと、
前記トランスデューサに結合された少なくとも1つの動き伝導要素であって、前記動き伝導要素が、ユーザの耳の上部分に、生成された動きを加えるように構成された、少なくとも1つの動き伝導要素と
を備え、
前記動き伝導要素は、前記動き伝導要素のどの部分が前記ユーザの耳の前記上部分に接触するかにかかわらず、前記生成された動きが前記ユーザの耳に一貫して伝導されるように、前記ユーザの耳の前記上部分との接触を維持する、
装置。
【請求項2】
前記装置が一対の人工現実眼鏡を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記支持構造が少なくとも1つのテンプルアームを備え、前記動き伝導要素が、前記人工現実眼鏡の前記少なくとも1つのテンプルアームに配置される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、前記ユーザの耳の各々の上に少なくとも1つのトランスデューサと少なくとも1つの動き伝導要素とを含む、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記支持構造、前記トランスデューサ、および前記伝導要素が、各々、前記ウェアラブルデバイスに関連する総合重量に寄与し、
前記ウェアラブルデバイスの前記総合重量は、前記動き伝導要素が、前記動き伝導要素のどの部分が前記ユーザの耳の前記上部分に接触するかにかかわらず、前記生成された動きが前記ユーザの耳に一貫して伝導されるように、前記ユーザの耳の前記上部分との接触を維持することを生じさせる、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記装置が、前記動き伝導要素に結合された少なくとも2つのトランスデューサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記動き伝導要素が近位端と遠位端とを含み、前記近位端および前記遠位端がカウンタバランス部材に結合され、
動き伝導部材の前記近位端または前記遠位端のいずれかの上で前記ユーザの耳の前記上部分によって与えられる圧力は、前記動き伝導要素が前記ユーザの耳とどこで結合するかにかかわらず、前記生成された動きが前記ユーザの耳に一貫して伝導されるように、前記カウンタバランス部材が、前記動き伝導要素の対向するそれぞれの前記端を平衡させるための対向力を加えることを行わせる、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記生成された動きは、前記動き伝導要素のどの部分が前記ユーザの耳の前記上部分に接触するかにかかわらず、指定された周波数範囲内で前記ユーザの耳に一貫して伝導される、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記指定された周波数範囲が約20Hz~20,000Hzを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのトランスデューサが、指定された周波数および/または指定された音響効果のために最適化され、さらに、前記ユーザの耳にインピーダンス整合される、カスタムビルトトランスデューサを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記少なくとも1つのトランスデューサを前記支持構造から分離するための二重ばね機構をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記動き伝導要素が前記ユーザの耳の前記上部分に部分的に載っており、前記動き伝導要素の少なくとも一部が、空気によって囲まれ、前記ユーザの耳に前記入力信号の少なくともいくらかの空気伝導を与える、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
第2の動き伝導要素をさらに備え、前記動き伝導要素が第1の指定された長さを有し、前記第2の動き伝導要素が、前記第1の指定された長さよりも長い第2の指定された長さを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記オーディオ入力信号に応答して追加の動きを生成するように構成された骨伝導トランスデューサをさらに備え、前記追加の動きが骨伝導のために最適化される、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記装置が、高い範囲の周波数のための空気伝導スピーカーを含み、中間の範囲のおよび/または低い範囲の周波数のための少なくとも1つのトランスデューサをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年2月8日に出願された米国出願第16,270,753号からの優先権を主張する。米国出願第16/270,753号の内容は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、オーディオシステムに関する。より詳細には、本発明は、ユーザの耳にオーディオ信号を伝導するための装置に関する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の第1の態様によれば、ウェアラブルデバイスの支持構造と、支持構造に結合された少なくとも1つのトランスデューサであって、少なくとも1つのトランスデューサが、オーディオ入力信号に応答して動きを生成するように構成された、少なくとも1つのトランスデューサと、トランスデューサに結合された少なくとも1つの動き伝導要素であって、動き伝導要素が、ユーザの耳の上部分に、生成された動きを加えるように構成された、少なくとも1つの動き伝導要素とを備え、動き伝導要素は、動き伝導要素のどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、生成された動きがユーザの耳に一貫して伝導されるように、ユーザの耳の上部分との接触を維持する、装置が提供される。
【0004】
随意に、本装置は、一対の人工現実眼鏡を備える。
【0005】
随意に、支持構造は、少なくとも1つのテンプルアームを備える。随意に、動き伝導要素は、人工現実眼鏡の少なくとも1つのテンプルアームに配置される。
【0006】
随意に、本装置は、ユーザの耳の各々の上に少なくとも1つのトランスデューサと少なくとも1つの動き伝導要素とを含む。
【0007】
随意に、支持構造、トランスデューサ、および伝導要素は、各々、ウェアラブルデバイスに関連する総合重量に寄与し得る。随意に、ウェアラブルデバイスの総合重量は、動き伝導要素が、随意に、動き伝導要素のどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、生成された動きがユーザの耳に一貫して伝導されるように、ユーザの耳の上部分との接触を維持することを生じさせる。
【0008】
随意に、本装置は、動き伝導要素に結合された少なくとも2つのトランスデューサを含む。
【0009】
随意に、動き伝導要素は近位端と遠位端とを含み、近位端および遠位端はカウンタバランス部材(counterbalancing member)に結合される。随意に、動き伝導部材の近位端または遠位端のいずれかの上でユーザの耳の上部分によって与えられる圧力は、随意に、動き伝導要素がユーザの耳とどこで結合するかにかかわらず、生成された動きがユーザの耳に一貫して伝導されるように、カウンタバランス部材が、動き伝導要素の対向するそれぞれの端を平衡させるための対向力を加えることを行わせる。
【0010】
随意に、生成された動きは、動き伝導要素のどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、指定された周波数範囲内でユーザの耳に一貫して伝導される。随意に、指定された周波数は、約20Hz~20,000Hzの範囲内にあり得る。
【0011】
随意に、少なくとも1つのトランスデューサは、指定された周波数のために最適化されたカスタムビルト(custom-built)トランスデューサを含む。
【0012】
随意に、少なくとも1つのトランスデューサは、指定された音響効果のために最適化され、さらに、ユーザの耳にインピーダンス整合された、カスタムビルトトランスデューサを含む。
【0013】
随意に、システムは、ウェアラブルデバイスの支持構造と、支持構造に結合された少なくとも1つのトランスデューサであって、少なくとも1つのトランスデューサが、オーディオ入力信号に応答して動きを生成するように構成された、少なくとも1つのトランスデューサと、トランスデューサに結合された少なくとも1つの動き伝導要素であって、動き伝導要素が、ユーザの耳の上部分に、生成された動きを加えるように構成された、少なくとも1つの動き伝導要素とを備え、動き伝導要素は、動き伝導要素のどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、生成された動きがユーザの耳に一貫して伝導されるように、ユーザの耳の上部分との接触を維持する。
【0014】
随意に、本システムは、少なくとも1つのトランスデューサを支持構造から分離するための二重ばね機構を含む。随意に、二重ばね機構は、ばね作動による、少なくとも指定された量の追加の適応を与える。
【0015】
随意に、動き伝導要素は、ユーザの耳の上部分に部分的に載っており、動き伝導要素の少なくとも一部は、空気によって囲まれ、ユーザの耳に入力信号の少なくともいくらかの空気伝導を与える。
【0016】
随意に、本システムは、第2の動き伝導要素を備える。随意に、動き伝導要素は、第1の指定された長さを備える。随意に、第2の動き伝導要素は、随意に、第1の指定された長さよりも長い第2の指定された長さを備える。
【0017】
随意に、本システムは、オーディオ入力信号に応答して追加の動きを生成するように構成された骨伝導トランスデューサを備え、追加の動きは骨伝導のために最適化される。
【0018】
随意に、人工現実デバイスは、眼鏡フレームと、眼鏡フレームに結合された少なくとも1つのトランスデューサであって、少なくとも1つのトランスデューサが、オーディオ入力信号に応答して動きを生成するように構成された、少なくとも1つのトランスデューサと、トランスデューサに結合された少なくとも1つの動き伝導要素であって、動き伝導要素が、ユーザの耳の上部分に、生成された動きを加えるように構成された、少なくとも1つの動き伝導要素とを備え、動き伝導要素は、動き伝導要素のどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、生成された動きがユーザの耳に一貫して伝導されるように、ユーザの耳の上部分との接触を維持する。
【0019】
随意に、眼鏡フレームは、2つのテンプルアームを含み、動き伝導要素は、テンプルアームのうちの少なくとも1つの上に配置される。
【0020】
随意に、本人工現実デバイスは、高い範囲の周波数のための空気伝導スピーカーを含み、中間の範囲のおよび/または低い範囲の周波数のための少なくとも1つのトランスデューサをさらに含む。
【0021】
添付の図面は、いくつかの例示的な実施形態を示し、本明細書の一部である。以下の説明とともに、これらの図面は、本開示の様々な原理を示し、それらの原理について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】人工現実ヘッドセットの一実施形態を示す図である。
図2】拡張現実ヘッドセットおよび対応するネックバンドの一実施形態を示す図である。
図3】仮想現実ヘッドセットの一実施形態を示す図である。
図4】ユーザの耳の上部分を通してオーディオを伝導するための装置の一実施形態を示す図である。
図5】ユーザの耳の上部分を通してオーディオを伝導するための装置の代替実施形態を示す図である。
図6】ユーザの耳の上部分を通してオーディオを伝導するための装置の代替実施形態を示す図である。
図7】ユーザの耳の上部分を通してオーディオを伝導するための装置の代替実施形態を示す図である。
図8A-8B】比較的より長いおよびより短い動き伝導要素の実施形態を示す図である。
図9A-9C】動き伝導要素が、異なるユーザに適応するために整合される、ユーザの耳の上部分を通してオーディオを伝導するための装置の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図面全体にわたって、同一の参照符号および説明は、同様であるが必ずしも同一でない要素を指示する。本明細書で説明される例示的な実施形態は、様々な修正および代替形態が可能であるが、特定の実施形態が、図面において例として示されており、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、本明細書で説明される例示的な実施形態は、開示される特定の形態に限定されるものではない。むしろ、本開示は、添付の特許請求の範囲内に入るすべての修正、均等物、および代替形態をカバーする。
【0024】
人工現実デバイスおよびシステムは、ますます普及している。これらの人工現実システム(たとえば、拡張現実(AR)、仮想現実(VR)など)は、仮想世界にセットされた仮想オブジェクトとの対話、または通常の物理世界にオーバーレイされた仮想オブジェクトとの対話を可能にし得る。これらの人工現実システムは、一般に、スピーチまたは音楽など、ユーザにオーディオ音を提供するオーディオシステムをも含む。
【0025】
いくつかの場合には、これらの人工現実システムにおいて使用されるオーディオシステムは、軟骨伝導オーディオシステムであり得る。そのような軟骨伝導オーディオシステムは、一般に、ユーザの耳の後部または下部において振動を与え、ユーザの耳が、オーディオ信号と同期して動くことを生じさせる。この技法は、ユーザの耳を、オーディオ信号を再生するためのダイヤフラムとして効果的に使用する。
【0026】
しかしながら、そのような軟骨伝導システムは、大きく、かさばる傾向がある。たとえば、これらのシステムは、一般に、ユーザの耳の後部との接触を保つストラップ、伸縮部、またはヒンジ機構(hinged mechanism)を使用して、ユーザの頭部に合わせて調節される必要がある。実際、これらのシステムは、軟骨伝導のためにユーザの耳の後部を使用することを試み得るので、それらのシステムは、音を伝導するのを助けるためのばね力を追加する必要があり得る。デバイスにばね、ヒンジ、伸縮構成要素、または他の可動部を追加することにより、重量およびバルクが追加される。その上、これらの構成要素は、異なるユーザによって装着されるときに繰り返し調節を受け、したがって摩耗または破損を起こしやすい。加えて、ユーザは、効果的におよび一貫してオーディオ信号を再生するために軟骨伝導システムを正しく配置することの困難を体験し得る。旧来の軟骨伝導デバイスは、ある位置において機能し得るが、異なる位置においてまったく機能しないことがある。したがって、異なる頭部サイズまたは異なる耳サイズを有するユーザは、実際に機能する位置を見つけるまで、複数の異なる位置にデバイスを動かす必要があり得る。
【0027】
本開示は、概して、ユーザの耳の上部を通してオーディオ信号を伝導するための装置、デバイスまたはシステムを対象とする。以下でより詳細に説明されるように、本開示の実施形態は、他の旧来の軟骨伝導システムに関連する可動部、取付け要素およびバルクの多くを回避し得る。実際、本明細書の実施形態のうちの少なくともいくつかでは、ユーザは、ユーザの耳の上部にデバイスを置くだけであり得、音楽、音声または他のオーディオ情報を聞き得る。ユーザは、所定の場所にデバイスをストラップでつけ、デバイスに関連する様々な取付け要素を調節する必要がなく、または場合によっては、デバイスを使用するより前にデバイスを修正する必要がないことがある。むしろ、ユーザは、デバイスを着けるだけであり得、デバイスは、デバイスがユーザの耳とどこで結合するかにかかわらず、一貫した信号を提供し得る。
【0028】
たとえば、本明細書で説明されるデバイスは、人工現実眼鏡(たとえば、図2の眼鏡202)など、一対の眼鏡において具現され得る。これらの眼鏡は、リムと、レンズと、鼻ブリッジと、ユーザの眼からユーザの耳にわたるテンプルアームとを含み得る。テンプルアームは、ユーザの頭部上の所定の場所に眼鏡を保持するためのフックを耳の近くの端上に含み得る。テンプルアームは、トランスデューサと動き伝導要素とをも含み得る。トランスデューサは、オーディオ入力信号を受信し、それらの信号を物理的動きにコンバートし得る。動き伝導要素は、トランスデューサによって生成された動きを受信し、ユーザの耳の上部にそれらの動きを加え得る。動き伝導要素は、ユーザの頭部のサイズにかかわらず、動き伝導要素が、ユーザの耳に、生成された動きを一貫して伝導し得る様式で、設計され得る。
【0029】
したがって、比較的小さい頭部をもつユーザが眼鏡を着け、動き伝導要素の一部がユーザの耳の上部に触れる場合でも、または、比較的大きい頭部をもつユーザが眼鏡を着け、動き伝導要素の別の一部がユーザの耳の上部に触れる場合でも、デバイスは、各ユーザに同じまたは同様の体験を提供するように構成され得る。様々な技法および実施形態が、この目的を達成するために実装され得る。これらの実施形態は、図1図9Cに関して以下でより詳細に説明される。以下で最初に取り上げられる図1図3は、本明細書で説明される実施形態が採用され得る異なる人工現実デバイスの多くについて説明する。
【0030】
人工現実システムは、様々な異なるフォームファクタおよび構成において実装され得る。いくつかの人工現実システムは、ニアアイディスプレイ(NED)なしで働くように設計され得、その一例が図1中のARシステム100である。NEDなしで働くARシステムは、ヘッドバンド、ハット、ヘアバンド、ベルト、ウォッチ、リストバンド、アンクルバンド、リング、ネックバンド、ネックレス、胸バンド、アイウェアフレーム、および/あるいは任意の他の好適なタイプまたは形態の装置など、様々な形態をとり得る。他の人工現実システムは、現実世界への可視性を提供し得るNED(たとえば、図2中のARシステム200)、または人工現実にユーザを視覚的に没入させるNED(たとえば、図3中のVRシステム300)とともに働くように設計され得る。いくつかの人工現実デバイスは独立型システムであり得るが、他の人工現実デバイスは、人工現実体験をユーザに提供するために外部デバイスと通信および/または協調し得る。そのような外部デバイスの例は、ハンドヘルドコントローラ、モバイルデバイス、デスクトップコンピュータ、ユーザによって装着されるデバイス、1人または複数の他のユーザによって装着されるデバイス、および/または任意の他の好適な外部システムを含む。
【0031】
図1を参照すると、ARシステム100は、概して、ユーザの身体部分(たとえば、頭部)の周りに適合するように寸法決定されたウェアラブルデバイスを表す。図1に示されているように、システム100は、フレーム102と、フレーム102に結合され、ローカル環境を観測することによってローカル環境に関する情報を集めるように構成されたカメラアセンブリ104とを含み得る。ARシステム100は、出力オーディオトランスデューサ108(A)および108(B)ならびに入力オーディオトランスデューサ110など、1つまたは複数のオーディオデバイスをも含み得る。出力オーディオトランスデューサ108(A)および108(B)は、オーディオフィードバックおよび/またはコンテンツをユーザに提供し得、入力オーディオトランスデューサ110は、ユーザの環境におけるオーディオをキャプチャし得る。
【0032】
本開示で説明される実施形態は、1つまたは複数のNEDを含むARシステムにおいても実装され得る。たとえば、図2に示されているように、ARシステム200は、ユーザの眼の前で左ディスプレイデバイス215(A)および右ディスプレイデバイス215(B)を保持するように構成されたフレーム210をもつアイウェアデバイス202を含み得る。ディスプレイデバイス215(A)とディスプレイデバイス215(B)とは、画像または一連の画像をユーザに提示するために、一緒にまたは独立して働き得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、ARシステム200は、センサー240など、1つまたは複数のセンサーを含み得る。センサー240は、ARシステム200の運動に応答して測定信号を生成し得、フレーム210の実質的に任意の部分上に位置し得る。センサー240は、位置センサー、慣性測定ユニット(IMU)、深度カメラアセンブリ、またはそれらの任意の組合せを含み得る。センサー240の例は、限定はしないが、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、運動を検出する他の好適なタイプのセンサー、IMUの誤差補正のために使用されるセンサー、またはそれらの何らかの組合せを含み得る。ARシステム200は、まとめて音響センサー220と呼ばれる、複数の音響センサー220(A)~220(J)をもつマイクロフォンアレイをも含み得る。
【0034】
ARシステム200は、さらに、ネックバンド205など、外部デバイス(たとえば、ペアにされたデバイス)を含むかまたはそのデバイスに接続され得る。示されているように、ネックバンド205は、1つまたは複数のコネクタ230を介してアイウェアデバイス202に結合され得る。コネクタ230は、ワイヤードまたはワイヤレスコネクタであり得、電気的および/または非電気的(たとえば、構造的)構成要素を含み得る。いくつかの場合には、アイウェアデバイス202とネックバンド205とは、それらの間のワイヤードまたはワイヤレス接続なしに独立して動作し得る。図2は、アイウェアデバイス202およびネックバンド205上の例示的なロケーションにおけるアイウェアデバイス202およびネックバンド205の構成要素を示すが、それらの構成要素は、他の場所に位置し、ならびに/あるいはアイウェアデバイス202および/またはネックバンド205上に別様に分散され得る。いくつかの実施形態では、アイウェアデバイス202およびネックバンド205の構成要素は、アイウェアデバイス202、ネックバンド205、またはそれらの何らかの組合せとペアにされた、1つまたは複数の追加の周辺デバイス上に位置し得る。さらに、ネックバンド205は、概して、任意のタイプまたは形態のペアにされたデバイスを表す。したがって、ネックバンド205の以下の説明は、スマートウォッチ、スマートフォン、リストバンド、グローブ、他のウェアラブルデバイス、ハンドヘルドコントローラ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータなど、様々な他のペアにされたデバイスにも適用され得る。
【0035】
ネックバンド205など、外部デバイスをARアイウェアデバイスとペアリングすることは、アイウェアデバイスが、依然として、拡大された能力のための十分なバッテリーおよび計算電力を提供しながら、一対の眼鏡のフォームファクタを達成することを可能にし得る。ARシステム200のバッテリー電力、計算リソース、および/または追加の特徴の一部または全部が、ペアにされたデバイスによって提供されるか、またはペアにされたデバイスとアイウェアデバイスとの間で共有され、したがって、依然として、所望の機能性を保ちながら、アイウェアデバイスの重量、熱プロファイル、およびフォームファクタを全体的に低減し得る。ネックバンド205は、コントローラ225と電源235とをも含み得る。その上、ネックバンドは、ユーザに触覚フィードバックを提供するように構成された1つまたは複数のトランスデューサを含み得る。触覚フィードバックは、ユーザに情報を通信するパルス、振動、鳴動または他の感覚を含み得る。
【0036】
述べられたように、いくつかの人工現実システムが、人工現実を実際の現実と混合する代わりに、現実世界の、ユーザの感覚認知のうちの1つまたは複数を仮想体験と実質的に置き換え得る。このタイプのシステムの一例が、図3中のVRシステム300など、ユーザの視野をほぼまたは完全にカバーする頭部装着型ディスプレイシステムである。VRシステム300は、ユーザの頭部の周りに適合するように成形された前方剛体302とバンド304とを含み得る。VRシステム300は、出力オーディオトランスデューサ306(A)および306(B)をも含み得る。さらに、図3には示されていないが、前方剛体302は、人工現実体験を作り出すための、1つまたは複数の電子ディスプレイ、1つまたは複数の慣性測定ユニット(IMU)、1つまたは複数の追跡エミッタまたは検出器、および/あるいは任意の他の好適なデバイスまたはシステムを含む、1つまたは複数の電子要素を含み得る。
【0037】
図1図3には示されていないが、人工現実システムは、タクティル(tactile)(すなわち、触覚)フィードバックシステムを含み得、これは、ヘッドウェア、グローブ、ボディスーツ、ハンドヘルドコントローラ、環境デバイス(たとえば、椅子、床マットなど)、および/あるいは任意の他のタイプのデバイスまたはシステムに組み込まれ得る。触覚フィードバックシステムは、振動、力、牽引力、テクスチャ、および/または温度を含む、様々なタイプの皮膚フィードバックを提供し得る。触覚フィードバックシステムは、運動およびコンプライアンスなど、様々なタイプの運動感覚フィードバックをも提供し得る。触覚フィードバックは、モーター、圧電アクチュエータ、流体システム、および/または様々な他のタイプのフィードバック機構を使用して実装され得る。触覚フィードバックシステムは、他の人工現実デバイスから独立して、他の人工現実デバイス内に、および/または他の人工現実デバイスとともに実装され得る。
【0038】
触覚感覚、可聴コンテンツ、および/または視覚コンテンツを提供することによって、人工現実システムは、様々なコンテキストおよび環境において、仮想体験全体を作り出すか、またはユーザの現実世界の体験を拡張し得る。たとえば、人工現実システムは、特定の環境内でのユーザの知覚、記憶、またはコグニションを支援または拡大し得る。いくつかのシステムが、現実世界における他の人々とのユーザの対話を拡張し得るか、または仮想世界における他の人々とのより没入型の対話を可能にし得る。人工現実システムは、教育目的のために(たとえば、学校、病院、政府団体、軍事団体、ビジネス企業などにおける教示またはトレーニングのために)、娯楽目的(たとえば、ビデオゲームをプレイすること、音楽を傾聴すること、ビデオコンテンツを視聴することなどを行うために)、および/またはアクセシビリティ目的のために(たとえば、補聴器、視覚補助器などとして)も使用され得る。本明細書で開示される実施形態は、これらのコンテキストおよび環境のうちの1つまたは複数における、ならびに/または他のコンテキストおよび環境における、ユーザの人工現実体験を可能にするかまたは拡張し得る。
【0039】
図4は、拡張現実ヘッドセット、仮想現実ヘッドセットまたは他の人工現実デバイスを含む、それぞれ、図1図2、または図3に関して上記で説明されたデバイス100、200、または300のいずれかとともに実装され得るか、あるいはそれらのいずれかに組み込まれ得る、例示的な装置400を示す。装置400は、支持構造401を含み得る。この支持構造401は、一対の人工現実眼鏡などのウェアラブルデバイスの一部であり得る。他の場合には、支持構造401は、異なるタイプのウェアラブルデバイスの一部であり得る。デバイスが一対の人工現実眼鏡である場合、支持構造401は、ユーザの耳404にわたって延びるテンプルアームを含み得る。支持構造401は、レンズリムと、鼻ブリッジと、テンプルアームをレンズリムに接続する接続ハードウェアとをも含み得る。他の支持構造要素も含まれ得る。
【0040】
支持構造401は、プラスチック、金属(たとえば、アルミニウム、チタンなど)、セラミック、カーボンファイバー、または他の材料を含む、多くの異なる材料または材料の組合せから構築され得る。支持構造401は、1つまたは複数のトランスデューサ(たとえば、402)を収容するように設計され得る。図4のトランスデューサ402は、電子オーディオソースからオーディオ信号(たとえば、アナログまたはデジタルオーディオ信号)を受信し、それらの信号を物理的動きまたは振動にコンバートするように構成され得る。これらの物理的動きを生成することによって、トランスデューサ402はオーディオ入力信号を再生し得る。トランスデューサ402は、様々な異なる様式で支持構造401に結合され得る。たとえば、トランスデューサ402は、接着剤または他の接合要素を使用して支持構造に結合されるか、リベットまたはねじなどのファスナーを使用して支持構造に結合され得るか、あるいは支持構造401のフレーム中に成形され得る。
【0041】
トランスデューサ402によって生成されたこれらの動きは、トランスデューサ402に結合された動き伝導要素403を通してユーザの耳404に転送され得る。動き伝導要素403は、ユーザの耳404に、特に、テンプルアーム401がユーザの耳に接触するユーザの耳の上部分に、生成された動きを加えるかまたは伝導するように構成され得る。動き伝導要素403は、動き伝導要素のどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、生成された動きがユーザの耳に一貫して伝導されるように、ユーザの耳404の上部分との接触を維持するように設計され得る。
【0042】
たとえば、図5に示されているように、耳の上に置かれた動き伝導要素を含む装置500が提供され得る。たとえば、装置500は、ユーザの眼の近くからユーザの耳の後ろに延びるテンプルアーム501を含み得る。この例では、装置500は、一対の人工現実眼鏡であり得る。人工現実眼鏡は、リム505と、レンズ(図示せず)と、鼻ブリッジ506を含む他の構造部とを含み得る。人工現実眼鏡は、トランスデューサ502と、(図4の動き伝導要素403と同じかまたはそれとは異なり得る)動き伝導要素503とを含み得る。動き伝導要素503は、ユーザの耳504の上部に載っており、ユーザの耳を通して物理的動きまたは振動を伝えるように設計され得る。ユーザの耳軟骨が、トランスデューサ502によって生成された動きに従って振動し得る。このようにして、人工現実眼鏡は、ユーザの耳軟骨を通してオーディオを伝導することによって、ユーザにオーディオを伝え得る。
【0043】
動き伝導要素503は、多くの異なる頭部サイズに適応するのに十分に長くなるように設計され得る。すべての異なる頭部サイズおよび頭部形状の男性、女性、および子供が、テンプルアーム501の長さに対してほとんどまたはまったく変更を行わずに、同じ一対の人工現実眼鏡を使用することが可能であり得る。したがって、伸縮フレームなしに、または、ユーザの耳の後部にテンプルアームを押しつけるヒンジコネクタなしに、本明細書で説明される実施形態は、多くの異なるタイプのユーザに適応し得る。いくつかの実施形態では、たとえば、動き伝導要素503は、約20~36mmの長さで設計され得る。たいていのユーザのテンプルアーム長(すなわち、ユーザの眼からユーザの耳の上部までの長さ)は約81mmから約107mmである。その上、いくらかのユーザは、自分の鼻の上の方にまたは下の方に自分の眼鏡を装着する傾向があり、5~10mmのアイレリーフ差異を潜在的に追加する。
【0044】
したがって、20~40mmの長さで設計された動き伝導要素503は、ユーザのテンプルアーム長が81mmであるのか107mmであるのかにかかわらず、およびユーザが自分の鼻のどこに眼鏡を配置するかにかかわらず、依然として、ユーザの耳の上部と接触し、ユーザの耳を通してオーディオを伝導し得る。他の実施形態が、2つの異なるサイズの眼鏡を実装し得、一方のサイズは、20~30mmの動き伝導要素でより小さい頭部に適応することができるより短いテンプルアーム長を有し、他方のサイズは、同じ20~30mmの長さの動き伝導要素でより大きい頭部に適応することができるより長いテンプルアーム長を有する。ユーザは、眼鏡をつけてみて適切な適合を見つけ得るか、または、本明細書の実施形態は、1回の較正を実施した後にユーザの応答を測定するように構成され得る。次いで、その応答に基づいて、本明細書の実施形態は、ユーザがどのサイズを装着するべきであるかを推奨し得る。さらに他の実施形態が、たとえば、2つの15~20mmの動き伝導要素など、より短い長さの異なる2つの動き伝導要素を実装し得る。比較のために、ユーザの耳の後部または下部に届く必要がある旧来の軟骨伝導システムは、ユーザの耳の後部または下部との正しい接触を保証するために、ユーザの眼と耳との間のはるかに大きい量の差異を考慮する必要がある。
【0045】
動き伝導要素503は、異なる長さに加えて、異なる厚さで製造され得る。たとえば、いくつかの実施形態では、動き伝導要素503は、約3mm~5mmの幅で製造され得る。動き伝導要素503は、ユーザの耳の上部上を容易に摺動するように、湾曲したエッジおよび/または湾曲した端を有し得る。ユーザの頭部上の所定の場所に人工現実眼鏡を保つのを助けるためのパッドまたは他の要素が、テンプルアーム501上に含まれ得る。一対のサングラスまたは読書用眼鏡の場合にユーザが通常実施するであろう、眼鏡をかけることおよび眼鏡を外すことが実施され得る。ユーザの耳の後部に伝導システムをしっかりと設置するためのヒンジまたは他の調節可能な要素を必要とする、ユーザの耳の後部または下部にアタッチする他の軟骨伝導システムとは対照的に、本明細書で説明される人工現実眼鏡は、ユーザが、デバイスの調節を行うことなしに、単に、眼鏡を着けるまたは外すことを可能にし得る。
【0046】
動き伝導要素503はまた、異なるタイプの材料を使用して製造され得る。いくつかの場合には、人々の耳は、動き伝導要素503が異なるタイプの材料から作られたとき、異なって応答し得る。たとえば、人1は、材料A(たとえば、アルミニウム)から最も大きいおよび最もフラットな音響応答を得ることがあり、人2は、材料B(たとえば、プラスチック)から最も大きいおよび最もフラットな音響応答を得ることがある。いくつかの実施形態では、動き伝導要素503は、それの下部にアタッチされた交換可能なパッドを含み得る。パッドは、ユーザの耳の上部と直接接触し得る。各交換可能なパッドは、異なるタイプの材料から作られ得る。したがって、ユーザは、ユーザが、自分にとって特にうまく伝導するパッドを見つけるまで、新しいパッドを試み得る。他の実施形態では、動き伝導要素503自体が、交換可能であり得、異なるサイズおよび形状であり得、それらの各々は、異なる材料から作られ得る。したがって、異なるタイプの動き伝導要素が、各ユーザのために選択および使用され得る。
【0047】
図4および図5は、単一のトランスデューサおよび動き伝導要素が実装される、実施形態を示す。図6は、トランスデューサおよび対応する動き伝導要素がユーザの耳の各々の上に取り付けられる、人工現実デバイス(たとえば、眼鏡)600の一実施形態を示す。たとえば、人工現実デバイス600は、テンプルアーム601A上にトランスデューサ602Aを含み、テンプルアーム601B上に別のトランスデューサ602Bを含み得る。この例では、トランスデューサ602Aは動き伝導要素603Aに結合され得、トランスデューサ602Bは動き伝導要素603Bに結合され得る。そのような実施形態では、各トランスデューサ602A/602Bは、同一のオーディオ信号を再生し得る。他の場合には、各トランスデューサは、わずかに異なる信号を再生するように構成され得る。トランスデューサ/動き伝導要素ペアの各々に伝えられる信号は、コントローラ(たとえば、図2の225)によって管理され得る。
【0048】
(たとえば、リムと、レンズと、鼻ブリッジとテンプルアームとを含む)支持構造、トランスデューサ、および伝導要素は、各々、ウェアラブルデバイス600に関連する総合重量に寄与し得る。この総合重量は、動き伝導要素602A/602Bが、ユーザの耳の上部分を押し下げ、それとの接触を維持することを引き起こし得る。ウェアラブルデバイス600の総合重量によって与えられるこの接触は、トランスデューサによって生成された動きが、動き伝導要素603A/603Bのどの部分がユーザの耳に接触するかにかかわらず、ユーザの耳に一貫して伝導されることを可能にし得る。したがって、比較的長いテンプルアーム長をもつユーザがウェアラブルデバイス600を着け、動き伝導要素の後部分がユーザの耳に接触した場合、デバイスの重量は、ユーザの耳軟骨を通してクリアな一貫した伝導信号が伝えられ得るほど十分な接触をユーザの耳に与え得る。同様に、比較的短いテンプルアーム長をもつユーザがウェアラブルデバイス600を着け、動き伝導要素の前部分がユーザの耳に接触した場合、デバイスの重量はまた、動き伝導要素602A/602Bが、ユーザの耳軟骨を通してクリアな一貫した信号を伝導することを可能にし得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、図7に示されているように、人工現実眼鏡700などの装置が、各動き伝導要素に結合された2つの(またはそれ以上の)トランスデューサを含み得る。たとえば、ウェアラブルデバイス700のテンプルアーム701上に示されているように、動き伝導要素703は、それに結合された2つのトランスデューサ702Aおよび702Bを有し得る。各トランスデューサ702A/702Bは、同じオーディオ入力信号を使用して駆動され得るか、または異なるオーディオ入力信号を使用して駆動され得る。いくつかの場合には、トランスデューサ702A/702Bのうちの一方は、他方が非アクティブである間、使用され得る。
【0050】
たとえば、いくつかの実施形態では、トランスデューサ702Aは、デバイス700の装着者が比較的短いテンプルアームを有する場合に使用され得、トランスデューサ702Bは、装着者が比較的長いテンプルアームを有する場合に使用され得る。そのような場合、ウェアラブルデバイス700は、ユーザの耳によって与えられる、動き伝導要素703に対する圧力を検出するように構成され得る。(たとえば、圧電圧力センサーまたは他の圧力検出構成要素によって測定された)検出された圧力がトランスデューサ702Aにおいてより大きい場合、ユーザの耳にオーディオ入力信号を伝導するためにトランスデューサ702Aが使用され得る。代替的に、検出された圧力がトランスデューサ702Bにおいてより大きい場合、オーディオ信号を伝導するためにトランスデューサ702Bが使用され得る。
【0051】
さらに、3つ、4つまたはそれの以上のトランスデューサが、ウェアラブルデバイス700において実装され得る。これらのトランスデューサのうちの任意の1つまたは複数は、オーディオ入力信号を再生するために実装され得る。トランスデューサは、単独でまたは他のトランスデューサと組み合わせて信号を再生し得る。たとえば、ウェアラブルデバイス700が各テンプルアームにおいて4つのトランスデューサを含む場合、最も大きい圧力が動き伝導要素703上のどこで検出されたかに応じて、2つのトランスデューサのグループ化(たとえば、第1および第2の、または第2および第3の、または第3および第4のトランスデューサ)が、ユーザの耳軟骨を通して信号を伝導するために使用され得る。複数のトランスデューサが関与する他の実施形態では、ユーザは、単に、ウェアラブルデバイス700によって提供されたソフトウェアメニューを介して、どのトランスデューサが使用されるべきであるかを選択し得る。ユーザは、異なるトランスデューサまたはトランスデューサの組合せを試み、次いで、最良の音質をもたらした、トランスデューサのうちの1つまたはトランスデューサのグループを選択した後に、この選択を行い得る。その上、いくつかの場合には、ユーザの頭部は、均一でないことがある。すなわち、ユーザのテンプルアーム長は、一方の側または他方の側においてわずかに異なり得る。そのような場合、使用されるトランスデューサ(たとえば、702または702B)または使用されるトランスデューサのグループ化(たとえば、702Aおよび702B)は、各側において異なり得る。これは、この場合も、検出された圧力に基づいて、またはユーザの選択に基づいて、各ユーザのために自動的にまたは手動でカスタマイズされ得る。
【0052】
図8Aおよび図8Bは、異なるサイズの動き伝導要素を有するテンプルアーム801を示す。たとえば、図8Aは、比較的短い長さを有する動き伝導要素803Aを示し、図8Bは、動き伝導要素803Aよりも長い比較的長い長さを有する動き伝導要素803Bを示す。動き伝導要素のより長いまたはより短い長さは、動き伝導要素がユーザの耳の上部とどのようにおよびどこで結合するかに影響を及ぼし得る。たとえば、より短い長さをもつ動き伝導要素(たとえば、803A)は、より小さい頭部(したがってより短いテンプルアーム距離)をもつ子供または大人とともに使用するために設計され得る。より長い長さをもつ動き伝導要素(たとえば、803B)は、より大きい頭部、したがってより長いテンプルアーム距離を有する大人とともに使用するために設計され得る。より長い長さの動き伝導要素はより多くの人々に適応し得、より短い長さの動き伝導要素は少量の重量およびバルクを低減し得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、動き伝導要素(803Aまたは803Bのいずれか)は、ユーザの耳の上部に部分的に載っていることがあるが、動き伝導要素の他の部分は、空気によって囲まれたままである。空気によって囲まれた動き伝導要素の部分は、ユーザの耳への入力信号の空気伝導の少なくともいくらかの量を与え得る。より長い動き伝導要素(たとえば、803B)は、そのような空気伝導を実施することにより適していることがある。空気伝導は、スピーカーとして働き、空気を通してユーザの鼓膜にオーディオ入力信号の少なくとも一部を伝導し得る。追加または代替として、ユーザにオーディオ信号の一部分を投影するために、テンプルアーム801上の異なるロケーションにおいて、小さいスピーカーが置かれ得る。そのようなスピーカーは、いずれかの動き伝導要素803A/803Bに加えて、使用され得る。追加のスピーカーは、たとえば、動き伝導要素803A/803Bを使用して完全には再生されないことがあるオーディオ信号を提供するために、実装され得る。したがって、追加のスピーカーおよび/または空気伝導は、動き伝導要素803A/803Bを介してユーザの耳を通して伝導されるオーディオ信号を補足し得る。
【0054】
外部スピーカーに加えて、他の構成要素もテンプルアーム801に追加され得る。たとえば、骨伝導トランスデューサがテンプルアーム801に(たとえば、テンプルアームの端にあるフック上に)追加され得る。骨伝導トランスデューサは、ユーザの頭蓋骨を通してオーディオ入力信号を伝導するように設計され得る。これらの構成要素のいずれかまたはすべては、ソフトウェアおよび/またはハードウェアコントローラを使用して制御され得る。したがって、これらの構成要素は、周波数の完全なスペクトルを提供するために協働し得る。骨伝導と、軟骨伝導と空気伝導とのこの組合せは、自動的に、またはユーザインターフェースにおいて提供されるセッティングを通して手動でのいずれかで、各ユーザのためにカスタマイズされ得る。したがって、ユーザは、骨伝導を増加させることを選び得るか、または空気伝導を減少させることなどを選び得る。またさらに、ユーザは、いくつかのタイプの伝導がいつ使用されるべきであるかを指定し得る。たとえば、ユーザは、他の周囲のユーザがオーディオを聞くことが許容されるゲームモードを初期設定し得る。したがって、これらの場合、空気伝導が使用され得る。ユーザが、他のユーザがオーディオを聞くことを希望しない場合(たとえば、プライベート通話)、ユーザは、軟骨伝導または骨伝導のみが使用されるべきであることを指定し得る。したがって、ユーザは、どの伝導構成要素が、オーディオ入力信号を伝達するために使用されるかについて、大量の制御を有し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、(1つまたは複数の)動き伝導要素によって生成された動きは、特定の周波数または周波数範囲に合わせられ得る。たとえば、トランスデューサ802によって生成された動きは、指定された周波数範囲内でユーザの耳に一貫して伝導され得る。この伝導は、動き伝導要素803A/803Bのどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、生じ得る。いくつかの実施形態では、指定された周波数範囲は、約20Hz~20,000Hzであり得る。他の場合には、指定された周波数範囲は、約200Hz~3,000Hzであり得る。そのような場合、動き伝導要素803A/803Bは、音声性能または音声拡張のために設計および最適化され得る。この周波数範囲はまた、ユーザに空間化キューを提供するのに最適であり得る。
【0056】
いくつかの場合には、トランスデューサ802は、約200~3,000Hzで周波数を再生するために最適化されたカスタム設計およびカスタムビルトトランスデューサであり得る。そのような場合、カスタム設計トランスデューサは、ユーザの耳にインピーダンス整合され得る。他の例では、そのようなカスタムビルトトランスデューサは、異なる周波数範囲のために、またはいくつかの指定されたタイプの音響効果のために設計され得る。トランスデューサ802および/または動き伝導要素803A/803Bは、各々、他のものよりも良好ないくつかの範囲の周波数を生成および伝導するように設計され得る。したがって、トランスデューサ802および動き伝導要素803A/803B、ならびに潜在的な追加のスピーカーおよび骨伝導トランスデューサは、各々、いくつかの周波数を提供することと、カスタムビルトトランスデューサによって除外され得る周波数のギャップを埋めることとを行うように設計および実装され得る。
【0057】
図9A図9Cは、動き伝導要素903および/または対応するトランスデューサ902が異なる位置に動かされ得る、テンプルアーム901の実施形態を示す。たとえば、ユーザが一対の人工現実眼鏡または他のタイプの仮想現実ヘッドセットを着けたとき、テンプルアームは、ユーザの耳の上部分に載っていることがある。動き伝導要素903がどこでユーザの耳に当たるかに応じて、動き伝導要素903に対してユーザの耳によって加えられる対向圧力は、動き伝導要素903が、一端において上方へ動き、他端において下方へ動くことを引き起こし得る。たとえば、動き伝導要素903は、近位端と遠位端とを含み得る。近位端は、ユーザの眼に面し得、遠位端は、ユーザの頭部の後部に面し得る。近位端および遠位端は、1つまたは複数のカウンタバランス部材904に結合され得る。圧力が動き伝導部材903の近位端または遠位端のいずれかの上でユーザの耳の上部によって加えられたとき、カウンタバランス部材904は、動き伝導要素の対向するそれぞれの端を平衡させるための対向力を加え得る。
【0058】
したがって、図9Aに示されているように、ユーザは、比較的小さい頭部を有し得、したがって、ユーザの耳は、動き伝導要素903の近位端と接触し得る。これは、近位端を上方へ押し、遠位端を下方へ押し得る。(1つまたは複数の)カウンタバランス部材904は、図9Bに示されているように、動き伝導要素903をその正しい動作位置に戻すように動かすための対向力(たとえば、ばね力)を加え得る。一方、ユーザが、比較的大きい頭部を有する場合、ユーザの耳は、動き伝導要素903の遠位端と接触し得る。これは、(図9Cに示されているように)動き伝導要素903の遠位端を上方へ押し、近位端を下方へ押し得る。この場合も、(1つまたは複数の)カウンタバランス部材904は、動き伝導要素903を、図9Bに示されているその正しい動作位置に戻すように動かすための対向力を加え得る。
【0059】
(1つまたは複数の)カウンタバランス部材904は、圧力が加えられたときに対向圧力を与えるように設計された、コイルばね、レバー、アクチュエータ、または他の構成要素を含み得る。したがって、カウンタバランス部材904は、(図9Bに示されているように)動き伝導要素の平衡およびレベル位置を維持するので、トランスデューサ902によって生成された動きは、動き伝導要素がユーザの耳とどこで結合するかにかかわらず、ユーザの耳に一貫して伝導され得る。したがって、これらの構成要素またはそれらの何らかの組合せを有する人工現実デバイスは、ユーザの頭部に対して軟骨伝導デバイスを押しつけるストラップまたはヒンジ部片などの調節機構を必要とすることなしに、広範囲のユーザおよび頭部サイズに適応し得る。
【0060】
対応するシステムが、ウェアラブルデバイスの支持構造と、支持構造に結合されたトランスデューサとを含み得る。トランスデューサは、オーディオ入力信号に応答して動きを生成するように構成され得る。システムは、トランスデューサに結合された動き伝導要素をも含み得る。動き伝導要素は、ユーザの耳の上部分に、生成された動きを加えるように構成され得る。動き伝導要素は、動き伝導要素のどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、生成された動きがユーザの耳に一貫して伝導され得るように、ユーザの耳の上部分との接触を維持し得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、図9A図9Cに関して述べられたように、このシステムは、動き伝導要素903に加えられた圧力を相殺するための1つまたは複数の要素を含み得る。そのような構成要素は、たとえば、カウンタバランス力を与えるための二重ばね機構(たとえば、904)を含み得る。二重ばね機構はまた、トランスデューサ902を支持構造(たとえば、テンプルアーム901)から分離するように働き得る。これは、トランスデューサによって生成された動きが支持構造に漏れるのを防ぎ得る。いくつかの実施形態では、二重ばね機構904は、ばね作動による、何らかの量の追加の適応を与え得る。二重ばね機構は、たとえば、追加の1~2mmの適応を与え、わずかにより小さいまたはわずかにより大きい頭部をもつユーザが、同じデバイスを使用し、依然として、トランスデューサ902および対応する動き伝導要素903によって与えられた周波数の各々を正しく聞くことを可能にし得る。
【0062】
システムに加えて、対応する人工現実デバイスも提供され得る。人工現実デバイス(たとえば、図5の500)は、眼鏡フレームと、眼鏡フレームに結合されたトランスデューサとを含み得る。トランスデューサは、オーディオ入力信号に応答して動きを生成するように構成され得る。人工現実デバイスは、トランスデューサに結合された動き伝導要素をも含み得る。動き伝導要素は、ユーザの耳の上部分に、生成された動きを加えるように構成され得る。動き伝導要素は、動き伝導要素のどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、生成された動きがユーザの耳に一貫して伝導されるように、ユーザの耳の上部分との接触を維持し得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、上述のように、人工現実デバイスは、複数のトランスデューサを含み得る。実際、図7は、2つのトランスデューサ702Aおよび702Bが示されている一実施形態を示し、その両方が、動き伝導要素703に結合される。複数のトランスデューサが所与のデバイスにおいて使用される場合、それらのトランスデューサのうちの少なくともいくつかは、指定された周波数または周波数範囲において動作するように設計され得る。たとえば、トランスデューサ702Aは、中間の範囲の周波数(たとえば、2,000Hz~5,000Hz)のために実装され得、トランスデューサ702Bは、高い範囲の周波数(たとえば、5,000Hz~15,000Hz)のために実装され得る。低い範囲の周波数(たとえば、100~2,000Hz)を再生するように設計され得る他のトランスデューサも含まれ得る。他の場合には、より高い範囲の周波数を与えるために、空気伝導スピーカーが実装され得、中間の範囲のおよび低い範囲の周波数のために、軟骨伝導トランスデューサが実装される。上記で識別された周波数範囲は、任意に選定され、異なるトランスデューサまたはトランスデューサのセットが多くの異なる周波数範囲のために設計および実装され得ることに留意されたい。いくつかの実施形態では、特定の周波数曲線のために、トランスデューサまたはトランスデューサのペアが設計され得る。したがって、製品設計者は、たとえば、特定の周波数曲線を選択し、次いで、その周波数曲線をカバーするように、(1つまたは複数の)対応するトランスデューサをカスタマイズし得る。これは、対人的な対話のために設計された人工現実デバイスなど、パーパスビルト(purpose-built)デバイスにとって有益であり得る。
【0064】
このようにして、トランスデューサによって生成された動きをユーザの耳に一貫して伝導するシステム、装置およびデバイスが提供され得る。これらのシステムは、ユーザの耳の上部に載っている動き伝導要素を通してこれらの動きを与え得る。これらのシステムは、ユーザが、ストラップ、伸縮機構、ヒンジ機構(hinging mechanism)または、動き伝導要素とユーザの耳との間の接触を保証する他のやり方を使用してデバイスを調節する必要なしに、広範囲のユーザに適応し得る。本明細書で説明されるシステムは、ユーザが容易にデバイスを着けるおよび外すことを可能にしながら、依然として、広範囲のユーザ頭部サイズに適応し得る。さらに、動き伝導要素に対してユーザの耳によって加えられる一様でない圧力を相殺し得る、カウンタバランス構成要素が実装され得る。したがって、デバイスがユーザの耳とどこで結合するかにかかわらず、デバイスは、オーディオ入力信号の一貫した再生をユーザに提供し得る。
【0065】
したがって、本開示は、ウェアラブルデバイスの支持構造と、支持構造に結合されたトランスデューサとを含み得る装置について説明する。トランスデューサは、オーディオ入力信号に応答して動きを生成するように構成され得る。装置は、トランスデューサに結合された動き伝導要素をも含み得る。動き伝導要素は、ユーザの耳の上部分に、生成された動きを加えるように構成され得る。動き伝導要素は、動き伝導要素のどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、生成された動きがユーザの耳に一貫して伝導されるように、ユーザの耳の上部分との接触を維持し得る。
【0066】
いくつかの例では、装置は、一対の人工現実眼鏡を含み得る。そのような場合、人工現実眼鏡は、少なくとも1つのテンプルアームを含み得る。動き伝導要素は、人工現実眼鏡の少なくとも1つのテンプルアームに配置され得る。いくつかの例では、装置は、ユーザの耳の各々の上に、少なくとも1つのトランスデューサと少なくとも1つの動き伝導要素とを含み得る。
【0067】
いくつかの例では、支持構造、トランスデューサ、および伝導要素は、各々、ウェアラブルデバイスに関連する総合重量に寄与し得る。ウェアラブルデバイスのこの総合重量は、伝導要素が、動き伝導要素のどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、生成された動きがユーザの耳に一貫して伝導されるように、ユーザの耳の上部分との接触を維持することを引き起こし得る。
【0068】
いくつかの例では、装置は、動き伝導要素に結合された少なくとも2つのトランスデューサを含み得る。いくつかの例では、動き伝導要素は、近位端と遠位端とを含み得る。近位端および遠位端は、カウンタバランス部材に結合され得る。装置の重量と、動き伝導部材の近位端または遠位端のいずれかの上のユーザの耳の上部とによって与えられる圧力は、カウンタバランス部材が、動き伝導要素の対向するそれぞれの端を平衡させるための対向力を加えることを引き起こし得る。したがって、生成された動きは、動き伝導要素がどこでユーザの耳に接触するかにかかわらず、ユーザの耳に一貫して伝導され得る。
【0069】
いくつかの例では、生成された動きは、動き伝導要素のどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、指定された周波数範囲内でユーザの耳に一貫して伝導され得る。いくつかの例では、指定された周波数範囲は、約2,000Hz~4,000Hzであり得、空間化および/または音声オーディオ信号のためにカスタマイズされ得る。いくつかの例では、トランスデューサは、指定された周波数、または特定のアプリケーションのために最適化された、カスタムビルトトランスデューサであり得る。他の例では、トランスデューサは、指定された音響効果のために最適化されたカスタムビルトトランスデューサであり得る。
【0070】
対応するシステムが、以下、すなわち、ウェアラブルデバイスの支持構造と、支持構造に結合されたトランスデューサとを含み得る。トランスデューサは、オーディオ入力信号に応答して動きを生成するように構成され得る。システムは、トランスデューサに結合された動き伝導要素をも含み得る。動き伝導要素は、ユーザの耳の上部分に、生成された動きを加えるように構成され得る。動き伝導要素は、動き伝導要素のどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、生成された動きがユーザの耳に一貫して伝導されるように、ユーザの耳の上部分との接触を維持し得る。
【0071】
いくつかの例では、システムは、トランスデューサを支持構造から分離するための二重ばね機構を含み得る。いくつかの例では、二重ばね機構は、ばね作動による、少なくとも指定された量の追加の適応を与え得る。いくつかの例では、動き伝導要素は、ユーザの耳の上部上に少なくとも部分的に載っていることがある。そのような場合、動き伝導要素の少なくとも一部は、空気によって囲まれ、ユーザの耳に入力信号の少なくともいくらかの空気伝導を与え得る。
【0072】
いくつかの例では、システムは、第2の動き伝導要素を含み得る。そのような場合、動き伝導要素のうちの1つは第1の指定された長さを含み得、他の動き伝導要素は、第1の指定された長さよりも長い第2の指定された長さを含み得る。いくつかの例では、システムは、オーディオ入力信号に応答して追加の動きを生成するように構成され得る骨伝導トランスデューサを含み得る。追加の動きは骨伝導のために最適化され得る。
【0073】
対応する人工現実デバイスも提供され得る。人工現実デバイスは、眼鏡フレームと、眼鏡フレームに結合されたトランスデューサとを含み得る。トランスデューサは、オーディオ入力信号に応答して動きを生成するように構成され得る。人工現実デバイスは、トランスデューサに結合された動き伝導要素をも含み得る。動き伝導要素は、ユーザの耳の上部分に、生成された動きを加えるように構成され得る。動き伝導要素は、動き伝導要素のどの部分がユーザの耳の上部分に接触するかにかかわらず、生成された動きがユーザの耳に一貫して伝導されるように、ユーザの耳の上部分との接触を維持し得る。
【0074】
いくつかの例では、眼鏡フレームは、2つのテンプルアームを含み得る。そのような場合、動き伝導要素は、それらのテンプルアームのうちの少なくとも1つ上に配置され得る。いくつかの例では、人工現実デバイスは、中間の範囲の周波数のためのトランスデューサと、高い範囲の周波数のためのトランスデューサとを含み得る。いくつかの例では、人工現実デバイスは、低い範囲の周波数のための別のトランスデューサをさらに含み得る。
【0075】
本明細書で説明される実施形態のいずれかからの特徴が、本明細書で説明される一般的な原理に従って、互いと組み合わせて使用され得る。これらおよび他の実施形態、特徴、および利点は、添付の図面および特許請求の範囲とともに以下の発明を実施するための形態を読むとより十分に理解されよう。
【0076】
上記で詳述されたように、本明細書で説明および/または示される人工現実デバイス、コントローラ、コンピューティングデバイスおよびシステムは、本明細書で説明されるモジュール内に含まれているものなど、コンピュータ可読命令を実行することが可能な任意のタイプまたは形態のコンピューティングデバイスまたはシステムを広く表す。それらの最も基本的な構成では、(1つまたは複数の)これらのコンピューティングデバイスは、各々、少なくとも1つのメモリデバイスと少なくとも1つの物理プロセッサとを含み得る。
【0077】
いくつかの例では、「メモリデバイス」という用語は、概して、データおよび/またはコンピュータ可読命令を記憶することが可能な、任意のタイプまたは形態の揮発性または不揮発性記憶デバイスまたは媒体を指す。一例では、メモリデバイスは、本明細書で説明されるモジュールのうちの1つまたは複数を記憶、ロード、および/または維持し得る。メモリデバイスの例は、限定はしないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、光ディスクドライブ、キャッシュ、上記のうちの1つまたは複数の変形形態または組合せ、あるいは任意の他の好適な記憶メモリを含む。
【0078】
いくつかの例では、「物理プロセッサ」という用語は、概して、コンピュータ可読命令を解釈および/または実行することが可能な任意のタイプまたは形態のハードウェア実装処理ユニットを指す。一例では、物理プロセッサは、上記で説明されたメモリデバイスに記憶された1つまたは複数のモジュールにアクセスし、および/またはそれらのモジュールを修正し得る。物理プロセッサの例は、限定はしないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理ユニット(CPU)、ソフトコアプロセッサを実装するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、上記のうちの1つまたは複数の部分、上記のうちの1つまたは複数の変形形態または組合せ、あるいは任意の他の好適な物理プロセッサを含む。
【0079】
別々の要素として示されているが、本明細書で説明および/または示されるモジュールは、単一のモジュールまたはアプリケーションの部分を表し得る。さらに、いくつかの実施形態では、これらのモジュールのうちの1つまたは複数は、コンピューティングデバイスによって実行されたとき、コンピューティングデバイスに1つまたは複数のタスクを実施させ得る、1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションまたはプログラムを表し得る。たとえば、本明細書で説明および/または示されるモジュールのうちの1つまたは複数は、本明細書で説明および/または示されるコンピューティングデバイスまたはシステムのうちの1つまたは複数上で稼働するように記憶および構成されたモジュールを表し得る。これらのモジュールのうちの1つまたは複数は、1つまたは複数のタスクを実施するように構成された1つまたは複数の専用コンピュータのすべてまたは部分をも表し得る。
【0080】
さらに、本明細書で説明されるモジュールのうちの1つまたは複数は、データ、物理デバイス、および/または物理デバイスの表現をある形態から別の形態に変換し得る。たとえば、本明細書で具陳されるモジュールのうちの1つまたは複数は、変換されるべきオーディオデータを受信し、オーディオデータを変換し、伝導信号を生成するために変換の結果を出力し、ユーザの耳を通して信号を伝導するために変換の結果を使用し得る。追加または代替として、本明細書で具陳されるモジュールのうちの1つまたは複数は、コンピューティングデバイス上で実行すること、コンピューティングデバイスにデータを記憶すること、および/または場合によっては、コンピューティングデバイスと対話することによって、物理コンピューティングデバイスのプロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、および/または任意の他の部分をある形態から別の形態に変換し得る。
【0081】
いくつかの実施形態では、「コンピュータ可読媒体」という用語は、概して、コンピュータ可読命令を記憶または搬送することが可能な任意の形態のデバイス、キャリア、または媒体を指す。コンピュータ可読媒体の例は、限定はしないが、搬送波など、送信タイプ媒体、磁気記憶媒体など、非一時的タイプの媒体(たとえば、ハードディスクドライブ、テープドライブ、およびフロッピーディスク)、光記憶媒体(たとえば、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、およびBLU-RAYディスク)、電子記憶媒体(たとえば、ソリッドステートドライブおよびフラッシュメディア)、および他の配信システムを含む。
【0082】
本開示の実施形態は、人工現実システムを含むか、または人工現実システムとともに実装され得る。人工現実は、ユーザへの提示の前に何らかの様式で調節された形式の現実であり、これは、たとえば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、あるいはそれらの何らかの組合せおよび/または派生物を含み得る。人工現実コンテンツは、完全に生成されたコンテンツ、またはキャプチャされた(たとえば、現実世界の)コンテンツと組み合わせられた生成されたコンテンツを含み得る。人工現実コンテンツは、ビデオ、オーディオ、触覚フィードバック、またはそれらの何らかの組合せを含み得、それらのいずれも、単一のチャネルまたは複数のチャネルにおいて提示され得る(観察者に3次元効果をもたらすステレオビデオなど)。加えて、いくつかの実施形態では、人工現実は、たとえば、人工現実におけるコンテンツを作り出すために使用される、および/または人工現実において別様に使用される(たとえば、人工現実におけるアクティビティを実施する)アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組合せにも関連付けられ得る。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されたヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スタンドアロンHMD、モバイルデバイスまたはコンピューティングシステム、あるいは、1人または複数の観察者に人工現実コンテンツを提供することが可能な任意の他のハードウェアプラットフォームを含む、様々なプラットフォーム上に実装され得る。
【0083】
本明細書で説明および/または示されるステップのプロセスパラメータおよびシーケンスは、単に例として与えられ、必要に応じて変動させられ得る。たとえば、本明細書で示されるおよび/または説明されるステップは特定の順序で示されるかまたは説明され得るが、これらのステップは、必ずしも、示されるかまたは説明される順序で実施される必要がない。本明細書で説明および/または示される様々な例示的な方法はまた、本明細書で説明されるかまたは示されるステップのうちの1つまたは複数を省略するか、あるいは、開示されるものに加えて追加のステップを含み得る。
【0084】
先行する説明は、他の当業者が、本明細書で開示される例示的な実施形態の様々な態様を最も良く利用することを可能にするために提供された。この例示的な説明は、網羅的であること、または開示される正確な形態に限定することは意図されない。多くの修正および変形が、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく可能である。本明細書で開示される実施形態は、あらゆる点で、限定的ではなく例示的であると見なされるものとする。本開示の範囲を決定する際に、添付の特許請求の範囲およびその均等物に対して参照が行われるべきである。
【0085】
別段に記載されていない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される「に接続された(connected to)」および「に結合された(coupled to)」という用語(およびそれらの派生語)は、直接接続と間接接続(すなわち、他の要素または構成要素を介したもの)の両方を許容するものとして解釈されるべきである。さらに、本明細書および特許請求の範囲において使用される「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、「少なくとも1つの」を意味するものとして解釈されるべきである。最後に、使いやすさのために、本明細書および特許請求の範囲において使用される「含む(including)」および「有する(having)」という用語(およびそれらの派生語)は、「備える、含む(comprising)」という単語と交換可能であり、その単語と同じ意味を有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A-8B】
図9A-9C】
【国際調査報告】