(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(54)【発明の名称】容量性接触システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20220314BHJP
G06F 3/0354 20130101ALI20220314BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220314BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
G06F3/01 514
G06F3/01 560
G06F3/0354 453
G06F3/044 124
G06F3/041 580
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021533489
(86)(22)【出願日】2020-02-03
(85)【翻訳文提出日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 US2020016369
(87)【国際公開番号】W WO2020167509
(87)【国際公開日】2020-08-20
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】515046968
【氏名又は名称】フェイスブック・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FACEBOOK TECHNOLOGIES, LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110002974
【氏名又は名称】特許業務法人World IP
(72)【発明者】
【氏名】アーネ, アダム
(72)【発明者】
【氏名】コックス, ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】ドクソン, アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】ウォーカー, ジュヌビエーブ リン
(72)【発明者】
【氏名】ティンブリン, モーガン デ フェイ
(72)【発明者】
【氏名】エンブリング, ケイリン オースティン
【テーマコード(参考)】
5B087
5E555
【Fターム(参考)】
5B087AA05
5B087AA09
5B087AB02
5B087BC06
5B087BC22
5B087BC34
5B087DD02
5E555AA64
5E555BA02
5E555BA08
5E555BA38
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5E555BB08
5E555BB38
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5E555CA23
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5E555CB66
5E555CC01
5E555CC03
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
電極間の近接ステータスを決定するための開示されるコンピュータ実装方法は、人工現実デバイスに通信可能に結合された電極の中のある電極における電荷の量を検出することを含み得る。本方法は、さらに、電極における電荷の検出された量に基づいて、他の電極間の相互キャパシタンスの量を示す相互キャパシタンス測定値を決定することを含み得る。本方法はまた、相互キャパシタンス測定値に基づいて、電極間の相対近接ステータスを決定することであって、相対近接ステータスは、電極が互いに近接している程度を示す、相対近接ステータスを決定することを含み得る。本方法は、さらに、電極間の決定された相対近接ステータスを人工現実デバイスへの入力として提供することを含み得る。様々な他の方法、システム、およびコンピュータ可読媒体も開示される。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工現実デバイスに通信可能に結合された少なくとも2つの電極と、
コントローラと
を備えるシステムであって、前記コントローラは、
前記電極のうちの少なくとも1つにおける電荷の量を検出することと、
前記少なくとも1つの電極における電荷の検出された量に基づいて、前記少なくとも2つの電極間の相互キャパシタンスの量を示す相互キャパシタンス測定値を決定することと、
決定された前記相互キャパシタンス測定値に基づいて、前記少なくとも2つの電極間の相対近接ステータスを決定することであって、前記相対近接ステータスは、前記電極が互いに近接している程度を示す、相対近接ステータスを決定することと、
前記少なくとも2つの電極間の決定された前記相対近接ステータスを、前記人工現実デバイスへの入力として提供することと
を行うように構成された、システム。
【請求項2】
前記コントローラが、前記少なくとも2つの電極の両方における電荷の検出された量に基づいて前記相互キャパシタンス測定値を決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記少なくとも2つの電極間の絶縁体がいつ互いに接触しているかを決定し、任意選択的に、前記コントローラは、さらに、前記少なくとも2つの接触している電極がいつ互いに接触することを中止したかを決定する、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムが、前記人工現実デバイスに通信可能に結合された3つまたはそれ以上の電極を備え、任意選択的に、前記コントローラは、前記3つまたはそれ以上の電極の中のどの2つの電極が互いの指定された距離内にあるかを決定する、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも2つの電極が、ユーザの手の少なくとも一部分に適合するように構成された少なくとも部分的グローブ内に埋め込まれた、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記電極のうちの少なくとも1つが、トリガリング入力を受信すると体感できる動きを提供するように構成されたトランスデューサを備え、任意選択的に、トランスデューサを備える前記少なくとも1つの電極は、前記コントローラが前記少なくとも2つの電極間の前記相互キャパシタンス測定値を決定する間に、前記体感できる動きを提供するように構成され、および/または前記トランスデューサを制御する信号が、前記トランスデューサにおける相互キャパシタンスを検出するために使用される信号と同じワイヤ上で転送される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、前記電極のうちの少なくとも1つからフィードバックを受信し、前記コントローラが、前記システムに通信可能に結合された1つまたは複数の他のセンサーを較正するために、受信された前記フィードバックを使用する、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記電極のうちの少なくとも1つが、少なくとも1本の指の上に位置を定められたカフに取り付けられた、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
電極間の近接ステータスを決定するためのコンピュータ実装方法であって、
人工現実デバイスに通信可能に結合された少なくとも2つの電極の中の少なくとも1つの電極における電荷の量を検出することと、
前記少なくとも1つの電極における電荷の検出された量に基づいて、前記少なくとも2つの電極間の相互キャパシタンスの量を示す相互キャパシタンス測定値を決定することと、
決定された前記相互キャパシタンス測定値に基づいて、前記少なくとも2つの電極間の相対近接ステータスを決定することであって、前記相対近接ステータスは、前記電極が互いに近接している程度を示す、相対近接ステータスを決定することと、
前記少なくとも2つの電極間の決定された前記相対近接ステータスを、前記人工現実デバイスへの入力として提供することと
を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記電極のうちの少なくとも1つが伸縮センサーを備え、前記伸縮センサーは、前記少なくとも2つの電極間の前記相互キャパシタンス測定値が決定されている間に、前記人工現実デバイスの伸縮の量を検出するように構成され、および/または前記少なくとも2つの電極が、前記人工現実デバイスに固定された刺繍されたパッチに埋め込まれた、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記人工現実デバイスが少なくとも部分的グローブを備え、前記グローブの親指カバーが少なくとも1つの電極を含み、前記グローブの人さし指カバーが少なくとも2つの電極を含み、任意選択的に、前記親指カバーの前記少なくとも1つの電極と前記人さし指カバーの前記少なくとも2つの電極との間の摺動を検出することをさらに含む、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記電極のうちの少なくとも1つが、少なくとも1本の指の上に位置を定められたカフに取り付けられた、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
ユーザが前記人工現実デバイスにジェスチャーを入力することを可能にするために、複数の追加の電極が実装される、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項14】
複数の電極が、互いに隣接するパターンで配列され、電極のグリッドを形成し、それにより、対向電極が電極の前記グリッドに近接したとき、電極の前記グリッドに対する前記対向電極のロケーションを示すグリッド位置が決定される、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項15】
コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、前記コンピューティングデバイスに、請求項9から14のいずれか一項に記載の方法を実施させる1つまたは複数のコンピュータ実行可能命令を備える非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容の全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、2019年2月12日に出願された米国出願第16/273,360号からの優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
人工現実デバイスは、ますます一般的になりつつある。これらの人工現実デバイスの多くは、何らかのタイプのハプティックフィードバックを採用する。このハプティックフィードバックは、たとえば、仮想世界において人工オブジェクトに接触したとき、ユーザにある感覚を感じさせる感覚入力をユーザに提供する。これらのハプティックフィードバックシステムは、しばしば、グローブに組み込まれるが、ヘッドウェア、フットウェア、ボディスーツまたは他のウェアラブルシステムにおいても実装され得る。いくつかのタイプのハプティックグローブは、身体の様々なエリア間の(たとえば、指先(fingertip)間の)接触を検出するために指先上に導電性パッドを含み得る。2つのそのような導電性パッドが接触したとき、導電性パッドは、電流が流れることを引き起こすガルヴァニック接続を形成し、これは電子的構成要素によって検出される。しかしながら、これらのガルヴァニック接続は、汚れ、油まみれになる傾向があり、その結果、信頼できない接続になる。その上、導電性パッドは互いに短絡し、検出のさらなるあいまいさを生じ得る。
【0003】
他の人工現実システムは、異なる手段を使用して、指などの身体部位がいつ接触しているかを決定する。たとえば、いくつかの人工現実システムは、ユーザの手をポイントする赤外線カメラを使用して、ユーザの指または腱がいつ動いているかを決定し得る。次いで、これらの動きから、人工現実システムは、ユーザの指が接触している瞬間を決定することを試み得る。他のシステムでは、指が接触しているかどうかを示し得るユーザの手のポーズを見るために、旧来のカメラがセットアップされ得る。他の場合には、検出器をユーザの指の後部にアタッチし、そのポイントが空間中のどこにあるかを決定するために磁界を使用することが試みられている。次いで、空間中のこの3D測位から、システムは、ユーザの指がいつ接触しているかを決定することを試みることになる。さらに他のシステムは、接触から圧力が印加されたとき、ユーザの指の爪において発生する色変化を見るためにカメラを使用することを試みている。そのようなシステムは、ユーザの指の爪の色が十分に変化したとき、ユーザの指が接触したと決定する。これらのシステムのいずれも、特に、ユーザの指がいつ接触したかを特定することに優れていない。その結果、人工現実体験の没入型性質は、ユーザにとって大幅に低減され得る。
【発明の概要】
【0004】
以下でより詳細に説明されるように、本開示は、従来技術の制限のうちの少なくともいくつかを克服するために、添付の特許請求の範囲による、ユーザの指が接触しているかどうかを示す、電極間の近接ステータスを効果的に決定する方法およびシステムについて説明する。
【0005】
本発明の一実施形態では、システムは、人工現実デバイスに通信可能に結合された少なくとも2つの電極を含み得る。本システムはまた、2つの電極のうちの少なくとも1つにおける電荷の量を検出することと、電荷の検出された量に基づいて、2つの電極間の相互キャパシタンスの量を示す相互キャパシタンス測定値を決定することとを行うように構成されたコントローラを含み得る。コントローラはまた、相互キャパシタンス測定値に基づいて、少なくとも2つの電極間の相対近接ステータスを決定することであって、相対近接ステータスは、電極が互いに近接している程度を示す、相対近接ステータスを決定することを行うように構成され得る。コントローラは、さらに、少なくとも2つの電極間の決定された相対近接ステータスを人工現実デバイスへの入力として提供するように構成され得る。
【0006】
本発明の別の実施形態では、コントローラは、少なくとも2つの電極の両方における電荷の検出された量に基づいて相互キャパシタンス測定値を決定し得る。本発明のまた別の実施形態では、コントローラは、少なくとも2つの電極間の絶縁体がいつ互いに接触しているかを決定し得る。本発明のさらなる実施形態では、コントローラは、電極間の少なくとも2つの接触している絶縁体がいつ互いに接触することを中止したかを決定し得る。本発明の別の実施形態では、システムは、人工現実デバイスに通信可能に結合された3つまたはそれ以上の電極を含み得る。本発明のまた別の実施形態では、コントローラは、3つまたはそれ以上の電極の中のどの2つの電極が互いの指定された距離内にあるかを決定し得る。
【0007】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも2つの電極は、ユーザの手の少なくとも一部分に適合するように構成された少なくとも部分的グローブ内に埋め込まれ得る。本発明の別の実施形態では、電極のうちの少なくとも1つは、トリガリング入力を受信すると体感できる(tangible)動きを提供するように構成されたトランスデューサを含み得る。本発明の一実施形態では、トランスデューサは、コントローラが少なくとも2つの電極間の相互キャパシタンス測定値を決定する間に、体感できる動きを提供するように構成され得る。本発明の別の実施形態では、トランスデューサを制御する信号が、トランスデューサにおける相互キャパシタンスを検出するために使用される信号と同じワイヤ上で転送され得る。本発明のまた別の実施形態では、トランスデューサは振動触覚器(vibrotactor)であり得る。本発明の別の実施形態では、電極のうちの少なくとも1つが、少なくとも1本の指の上に位置を定められたカフに取り付けられ得る。
【0008】
本発明のさらなる実施形態では、コントローラは、電極のうちの少なくとも1つからフィードバックを受信し得、コントローラは、システムに通信可能に結合された他のセンサーを較正するために、受信されたフィードバックを使用し得る。
【0009】
別の態様では、本発明は、添付の特許請求の範囲による、電極間の近接ステータスを決定するための対応する方法を対象とする。本発明の一実施形態では、本方法は、人工現実デバイスに通信可能に結合された少なくとも2つの電極の中の少なくとも1つの電極における電荷の量を検出することを含み得る。本方法は、さらに、少なくとも1つの電極における電荷の検出された量に基づいて、少なくとも2つの電極間の相互キャパシタンスの量を示す相互キャパシタンス測定値を決定することを含み得る。本方法は、次に、決定された相互キャパシタンス測定値に基づいて、少なくとも2つの電極間の相対近接ステータスを決定することであって、相対近接ステータスは、電極が互いに近接している程度を示し得る、相対近接ステータスを決定することを含み得る。本方法はまた、少なくとも2つの電極間の決定された相対近接ステータスを人工現実デバイスへの入力として提供することを含み得る。
【0010】
本発明による方法およびシステムの一実施形態では、電極のうちの少なくとも1つは伸縮センサーを含み得る。伸縮センサーは、少なくとも2つの電極間の相互キャパシタンス測定値が決定されている間に、人工現実デバイスの伸縮の量を検出するように構成され得る。いくつかの例では、少なくとも2つの電極は、人工現実デバイスに固定された刺繍されたパッチに埋め込まれ得る。別の実施形態では、人工現実デバイスは、少なくとも部分的グローブを含み得る。そのような場合、グローブの親指カバーが少なくとも2つの電極を含み得、グローブの人さし指カバーが少なくとも2つの電極を含み得る。
【0011】
本発明のさらなる実施形態では、本方法は、さらに、親指カバーの少なくとも2つの電極と人さし指カバーの少なくとも2つの電極との間の摺動を検出することを含み得る。さらなる実施形態では、電極のうちの少なくとも1つが、少なくとも1本の指の上に位置を定められたカフに取り付けられ得る。
【0012】
本発明による方法およびシステムのまた別の実施形態では、ユーザが人工現実デバイスにジェスチャーを入力することを可能にするために、複数の追加の電極が実装され得る。さらなる実施形態では、複数の電極が、互いに隣接するパターンで配列され、電極のグリッドを形成し得る。したがって、対向電極(opposing electrode)が電極のグリッドに近接したとき、電極のグリッドに対する対向電極のロケーションを示すグリッド位置が決定され得る。
【0013】
本発明のさらなる態様では、上記で説明された方法は、コンピュータ可読媒体上のコンピュータ可読命令として符号化され得る。たとえば、コンピュータ可読媒体は、コンピューティングデバイスの少なくとも1つのプロセッサによって実行されたとき、コンピューティングデバイスに、人工現実デバイスに通信可能に結合された少なくとも2つの電極の中の少なくとも1つの電極における電荷の量を検出することと、少なくとも1つの電極における電荷の検出された量に基づいて、少なくとも2つの電極間の相互キャパシタンスの量を示す相互キャパシタンス測定値を決定することと、決定された相互キャパシタンス測定値に基づいて、少なくとも2つの電極間の相対近接ステータスを決定することであって、相対近接ステータスは、電極が互いに近接している程度を示す、相対近接ステータスを決定することと、少なくとも2つの電極間の決定された相対近接ステータスを、人工現実デバイスへの入力として提供することとを行わせ得る1つまたは複数のコンピュータ実行可能命令を含み得る。
【0014】
本明細書で説明される実施形態のいずれかからの特徴が、本明細書で説明される一般的な原理に従って、互いと組み合わせて使用され得る。これらおよび他の実施形態、特徴、および利点は、添付の図面および特許請求の範囲とともに以下の発明を実施するための形態を読むとより十分に理解されよう。
【0015】
添付の図面は、いくつかの例示的な実施形態を示し、本明細書の一部である。以下の説明とともに、これらの図面は、本開示の様々な原理を示し、それらの原理について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】人工現実ヘッドセットの一実施形態を示す図である。
【
図2】拡張現実ヘッドセットおよび対応するネックバンドの一実施形態を示す図である。
【
図3】仮想現実ヘッドセットの一実施形態を示す図である。
【
図4】少なくとも2つの電極を含む近接検出システムの一実施形態を示す図である。
【
図5】電極間の近接ステータスを決定するための例示的な方法の流れ図である。
【
図6】電極が一緒に動かされ、その後離れるように動かされる漸進的実施形態を示す図である。
【
図7A】近接検出システムの一実施形態を示す図である。
【
図7B】近接検出システム中に含まれ得る回路についての例示的な回路図である。
【
図8】少なくとも部分的グローブに埋め込まれた近接検出システムの代替実施形態を示す図である。
【
図9】少なくとも部分的グローブに埋め込まれた近接検出システムの代替実施形態を示す図である。
【
図10】少なくとも部分的グローブに埋め込まれた近接検出システムの代替実施形態を示す図である。
【
図11】少なくとも部分的グローブに埋め込まれた近接検出システムの代替実施形態を示す図である。
【
図12A】少なくとも部分的グローブに埋め込まれた近接検出システムの代替実施形態を示す図である。
【
図12B】少なくとも部分的グローブに埋め込まれた近接検出システムの代替実施形態を示す図である。
【
図13】電極が人工現実ボディウェアに刺繍され得る複数の実施形態を示す図である。
【
図14A】少なくとも部分的グローブに埋め込まれた近接検出システムの代替実施形態を示す図である。
【
図14B】少なくとも部分的グローブに埋め込まれた近接検出システムの代替実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面全体にわたって、同じ参照符号および記述は、同様であるが、必ずしも同じとは限らない、要素を示す。本明細書で説明される例示的な実施形態は、様々な修正および代替形態が可能であるが、特定の実施形態が、図面において例として示されており、本明細書で詳細に説明される。しかしながら、本明細書で説明される例示的な実施形態は、開示される特定の形態に限定されるものではない。むしろ、本開示は、添付の特許請求の範囲内に入るすべての修正、均等物、および代替形態をカバーする。
【0018】
本開示は、一般に、電極間の近接ステータスを決定することを対象とする。以下でより詳細に説明されるように、本開示の実施形態は、コントローラまたは他のコンピューティングシステムが、電極がいつ互いに近いか、電極がいつ接触しているか、および電極がいつ分離されたかを決定することを可能にし得る。電極がいつ接触するかを正確に決定することは、没入型体験を提供する人工現実システムの能力に対して大きい影響を有し得る。たとえば、ユーザが、人工現実デバイス(たとえば、ハプティックフィードバックをもつ、拡張現実ヘッドセットあるいは仮想現実ヘッドセットおよび/またはグローブ)を使用している場合、人工現実デバイスが、ユーザの指がいつ接触しているかを適切に検出しなければ、そのユーザにとって苛立たしいことになり得る。
【0019】
たとえば、いくつかの場合には、ユーザにハプティックフィードバックを提供するように構成されたハプティックグローブは、グローブ全体にわたって散らばった電極を含み得る。いくつかの場合には、たとえば、ハプティックグローブは、ユーザの親指上に配置された電極と、ユーザの人差し指の先に配置された電極とを含み得る。ユーザが人差し指と親指とを互いに狭めたとき、2つの電極は、2つの電極が接触するまでますます近づくことになる。(ハプティックグローブとは別に)触覚感覚を通して、ユーザは、ユーザの人差し指と親指とがいつ接触しているかを知ることになる。ユーザが、人差し指と親指とが事実上接触していることを知ったときにハプティックグローブが接触を表現(register)しない場合、ユーザの脳は、不一致を表現することになる。これは、ユーザが、本来なら没入型の体験からはずれることを引き起こし得る。同様に、ユーザの指がその後互いから離れるように動かされ、ハプティックシステムがその動きを表現しない場合、ユーザは、また別の動きが適切に表現されなかったことに気づいて、苛立つことがある。時間がたつにつれて、指接触に関する精度の欠如は、ユーザが、ハプティックグローブおよび/または人工現実システムを使用することを完全に停止することをもたらし得る。
【0020】
したがって、本明細書の実施形態は、電極がいつ接触しているかを決定する、より精密で正確な方法を提供し得る。他の実施形態は、いつ電極が、接触していないが、近々接触するかを決定し得る。さらに他の実施形態は、前に接触していた電極がいつ離れたかを決定し得る。これらの瞬間の各々(ほぼ接触、接触、および分離)は、ハプティックシステムによって別々に表現され得る。各別個の瞬間は、次いで、ユーザインターフェースと対話すること、仮想オブジェクトと対話すること、他のユーザと対話すること、他のデバイスと対話することなどを含む、人工現実デバイス内の側面を制御するために使用され得る。またさらに、本明細書の実施形態のうちの少なくともいくつかは、ハプティックフィードバックを提供することと、電極の近接を検出することの両方を行うために、ハプティックフィードバックアクチュエータを実装し得る。したがって、本明細書の実施形態を実装するハプティックグローブまたは他のハプティックボディウェアは、より少ない構成要素とより少ない重量とを有し、グローブを、長期的に装着するのにより望ましくし得る。これらの実施形態は、
図1~
図3の人工現実システム100、200および300に関して、およびさらに
図4~
図14Bに関して以下でさらに説明される。
【0021】
人工現実システムは、様々な異なるフォームファクタおよび構成において実装され得る。いくつかの人工現実システムは、ニアアイディスプレイ(NED)なしで働くように設計され得、その一例が
図1中のARシステム100である。NEDなしで働くARシステムは、ヘッドバンド、ハット、ヘアバンド、ベルト、ウォッチ、リストバンド、アンクルバンド、リング、ネックバンド、ネックレス、胸バンド、アイウェアフレーム、および/あるいは任意の他の好適なタイプまたは形態の装置など、様々な形態をとり得る。他の人工現実システムは、現実世界への可視性を提供し得るNEDとともに働くように設計される(たとえば、
図2中のARシステム200)か、または人工現実にユーザを視覚的に没入させるNEDとともに働くように設計され得る(たとえば、
図3中のVRシステム300)。いくつかの人工現実デバイスは独立型システムであり得るが、他の人工現実デバイスは、人工現実体験をユーザに提供するために外部デバイスと通信および/または協調し得る。そのような外部デバイスの例は、ハンドヘルドコントローラ、モバイルデバイス、デスクトップコンピュータ、ユーザによって装着されるデバイス、1人または複数の他のユーザによって装着されるデバイス、および/または任意の他の好適な外部システムを含む。
【0022】
図1を参照すると、ARシステム100は、概して、ユーザの身体部分(たとえば、頭部)の周りに適合するように寸法決定されたウェアラブルデバイスを表す。
図1に示されているように、システム100は、フレーム102と、フレーム102に結合され、ローカル環境を観測することによってローカル環境に関する情報を集めるように構成されたカメラアセンブリ104とを含み得る。ARシステム100は、出力オーディオトランスデューサ108(A)および108(B)ならびに入力オーディオトランスデューサ110など、1つまたは複数のオーディオデバイスをも含み得る。出力オーディオトランスデューサ108(A)および108(B)は、オーディオフィードバックおよび/またはコンテンツをユーザに提供し得、入力オーディオトランスデューサ110は、ユーザの環境におけるオーディオをキャプチャし得る。
【0023】
本開示で説明される実施形態は、1つまたは複数のNEDを含むARシステムにおいても実装され得る。たとえば、
図2に示されているように、ARシステム200は、ユーザの眼の前で左ディスプレイデバイス215(A)および右ディスプレイデバイス215(B)を保持するように構成されたフレーム210をもつアイウェアデバイス202を含み得る。ディスプレイデバイス215(A)とディスプレイデバイス215(B)とは、画像または一連の画像をユーザに提示するために、一緒にまたは独立して働き得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、ARシステム200は、センサー240など、1つまたは複数のセンサーを含み得る。センサー240は、ARシステム200の運動に応答して測定信号を生成し得、フレーム210の実質的に任意の部分上に位置し得る。センサー240は、位置センサー、慣性測定ユニット(IMU:inertial measurement unit)、深度カメラアセンブリ、またはそれらの任意の組合せを含み得る。センサー240の例は、限定はしないが、加速度計、ジャイロスコープ、磁力計、運動を検出する他の好適なタイプのセンサー、IMUの誤差補正のために使用されるセンサー、またはそれらの何らかの組合せを含み得る。ARシステム200は、まとめて音響センサー220と呼ばれる、複数の音響センサー220(A)~220(J)をもつマイクロフォンアレイをも含み得る。
【0025】
ARシステム200は、さらに、ネックバンド205など、外部デバイス(たとえば、ペアにされたデバイス)を含むかまたはそのデバイスに接続され得る。示されているように、ネックバンド205は、1つまたは複数のコネクタ230を介してアイウェアデバイス202に結合され得る。コネクタ230は、ワイヤードまたはワイヤレスコネクタであり得、電気的および/または非電気的(たとえば、構造的)構成要素を含み得る。いくつかの場合には、アイウェアデバイス202とネックバンド205とは、それらの間のワイヤードまたはワイヤレス接続なしに独立して動作し得る。
図2は、アイウェアデバイス202およびネックバンド205上の例示的なロケーションにおけるアイウェアデバイス202およびネックバンド205の構成要素を示すが、それらの構成要素は、他の場所に位置し、ならびに/あるいはアイウェアデバイス202および/またはネックバンド205上に別様に分散され得る。いくつかの実施形態では、アイウェアデバイス202およびネックバンド205の構成要素は、アイウェアデバイス202、ネックバンド205、またはそれらの何らかの組合せとペアにされた、1つまたは複数の追加の周辺デバイス上に位置し得る。さらに、ネックバンド205は、概して、任意のタイプまたは形態のペアにされたデバイスを表す。したがって、ネックバンド205の以下の説明は、スマートウォッチ、スマートフォン、リストバンド、グローブ、他のウェアラブルデバイス、ハンドヘルドコントローラ、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータなど、様々な他のペアにされたデバイスにも適用され得る。
【0026】
ネックバンド205など、外部デバイスをARアイウェアデバイスとペアリングすることは、アイウェアデバイスが、依然として、拡大された能力のための十分なバッテリーおよび計算電力を提供しながら、一対の眼鏡のフォームファクタを達成することを可能にし得る。ARシステム200のバッテリー電力、計算リソース、および/または追加の特徴の一部または全部が、ペアにされたデバイスによって提供されるか、またはペアにされたデバイスとアイウェアデバイスとの間で共有され、したがって、依然として、所望の機能性を保ちながら、アイウェアデバイスの重量、熱プロファイル、およびフォームファクタを全体的に低減し得る。ネックバンド205は、コントローラ225と電源235とをも含み得る。その上、ネックバンドは、ユーザにハプティックフィードバックを提供するように構成された1つまたは複数のトランスデューサを含み得る。ハプティックフィードバックは、情報をユーザに通信する、パルス、振動、鳴動または他の感覚を含み得る。
【0027】
述べられたように、いくつかの人工現実システムが、人工現実を実際の現実と混合する代わりに、現実世界の、ユーザの感覚認知のうちの1つまたは複数を仮想体験と実質的に置き換え得る。このタイプのシステムの一例が、
図3中のVRシステム300など、ユーザの視野をほぼまたは完全にカバーする頭部装着型ディスプレイシステムである。VRシステム300は、ユーザの頭部の周りに適合するように成形された前方剛体302とバンド304とを含み得る。VRシステム300は、出力オーディオトランスデューサ306(A)および306(B)をも含み得る。さらに、
図3には示されていないが、前方剛体302は、人工現実体験を作り出すための、1つまたは複数の電子ディスプレイ、1つまたは複数の慣性測定ユニット(IMU)、1つまたは複数の追跡エミッタまたは検出器、および/あるいは任意の他の好適なデバイスまたはシステムを含む、1つまたは複数の電子要素を含み得る。
【0028】
図1~
図3には示されていないが、人工現実システムは、触覚(すなわち、ハプティック)フィードバックシステムを含み得、これは、ヘッドウェア、グローブ、ボディスーツ、ハンドヘルドコントローラ、環境デバイス(たとえば、椅子、床マットなど)、および/あるいは任意の他のタイプのデバイスまたはシステムに組み込まれ得る。ハプティックフィードバックシステムは、振動、力、牽引力、テクスチャ、および/または温度を含む、様々なタイプの皮膚フィードバックを提供し得る。ハプティックフィードバックシステムは、運動およびコンプライアンスなど、様々なタイプの運動感覚フィードバックをも提供し得る。ハプティックフィードバックは、モーター、圧電アクチュエータ、流体システム、および/または様々な他のタイプのフィードバック機構を使用して実装され得る。ハプティックフィードバックシステムは、他の人工現実デバイスから独立して、他の人工現実デバイス内に、および/または他の人工現実デバイスとともに実装され得る。
【0029】
ハプティック感覚、可聴コンテンツ、および/または視覚コンテンツを提供することによって、人工現実システムは、様々なコンテキストおよび環境において、仮想体験全体を作り出すか、またはユーザの現実世界の体験を拡張し得る。たとえば、人工現実システムは、特定の環境内でのユーザの知覚、記憶、またはコグニションを支援または拡大し得る。いくつかのシステムが、現実世界における他の人々とのユーザの対話を拡張し得るか、または仮想世界における他の人々とのより没入型の対話を可能にし得る。人工現実システムは、教育目的のために(たとえば、学校、病院、政府団体、軍事団体、ビジネス企業などにおける教示またはトレーニングのために)、娯楽目的(たとえば、ビデオゲームをプレイすること、音楽を傾聴すること、ビデオコンテンツを視聴することなどを行うために)、および/またはアクセシビリティ目的のために(たとえば、補聴器、視覚補助器などとして)も使用され得る。本明細書で開示される実施形態は、これらのコンテキストおよび環境のうちの1つまたは複数における、ならびに/または他のコンテキストおよび環境における、ユーザの人工現実体験を可能にするかまたは拡張し得る。
【0030】
図4は、例示的な人工現実システム400を示す。人工現実システム400は、コントローラ401と、2つの(またはより多くの)電極413および414と、人工現実デバイス410とを含み得る。人工現実デバイス410は、拡張現実ヘッドセット、仮想現実ヘッドセットまたは他の人工現実デバイスを含む、
図1、
図2、または
図3に関して上記で説明されたデバイス100、200、または300のいずれかまたはすべてを含み得る。人工現実デバイス410は、コントローラ401および/または電極413/414に通信可能に接続され得る。本明細書の実施形態の多くでは、電極は、グローブに埋め込まれるもの、またはグローブの一部として図示および説明され得ることを理解されよう。しかしながら、電極413/414は、ユーザの身体上の任意の場所で使用するために設計された実質的に任意のタイプのハプティックフィードバックデバイスの一部であるか、またはそのハプティックフィードバックデバイスに組み込まれ得る。その上、1つまたは2つの電極を含んでいる例が本明細書で言及されるとき、実質的に任意の数の電極が所与の実装形態において使用され得ることを理解されよう。
【0031】
電極413/414は、銅、亜鉛、銀、金、白金または他の導電性金属、あるいはシリコーンなどの他の導電性材料から作られ得る。少なくともいくつかの場合には、電極413/414は絶縁体を含み得る。たとえば、電極413/414はグローブに埋め込まれ得、電極413は、ユーザの人差し指411のグローブ指先上に埋め込まれ、電極414は、親指412のパッド上に埋め込まれる。各電極上の絶縁体が互いに接するとき、電極は、接触していると言われ得る。いくつかの実施形態では、電極絶縁体は、エナメル、シリコーン、プラスチック、または他の絶縁性物質から作られ得る。
【0032】
各電極は、ワイヤ415を介してコントローラ401にリンクされ得る。コントローラ401は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、電気的消去可能プログラマブル読取り専用メモリ(EEPROM)、システムオンチップ、または何らかの他のタイプのコンピューティングハードウェアを含む、電気的入力を受信および処理するように構成された任意のタイプの電子ハードウェアであり得る。コントローラ401は、導電性ワイヤ415を介して電極413/414から電気的入力を受信し得る。コントローラ401はまた、コントローラが電気的入力をどのように処理するべきであるかを示すソフトウェアコードまたは他の命令を記憶するように構成され得るメモリ402を含み得る。少なくともいくつかの実施形態では、コントローラ401は、計算ステップのうちの1つまたは複数を実施するモジュールを含み得る。これらのモジュールは、ハードウェア単独で、ソフトウェア単独で、ハードウェアとソフトウェアの両方の組合せを使用してこれらのモジュールの機能を実施し得る。
【0033】
たとえば、電荷検出器403が、電極413/414のうちの1つまたは複数から受信された電荷を検出するように構成され得る。たとえば、電極は、ユーザによって所与の距離離れて配置され得る。電極413/414が近づくにつれて、各電極は電荷を蓄積し始め得る。実際、2つの電極は、電極間に存在する空気のエリアとともに、空気が誘電体として作用するキャパシタを形成し得る。(たとえば、
図2のネックバンド205において)電源によって電力供給されるとき、電極413/414は、電荷検出器403によって測定可能である電荷を堆積し得る。電荷検出器403は、電極のいずれかにおける堆積した電荷を個々に検出し得るか、または電極のグループにおける電荷量をまとめて決定し得る。
【0034】
電荷検出器403が電荷の少なくとも一部の量を検出すると、電荷の検出された量404は、相互キャパシタンス決定モジュール405への入力として提供され得る。相互キャパシタンス決定モジュール405は、一方の電極(たとえば、413)におけるまたは両方の電極(たとえば、413/414)における検出された電荷404を分析し得、相互キャパシタンス測定値406を算出し得る。相互キャパシタンス測定値406は、2つの電極413/414間に存在するキャパシタンスの量を(たとえば、アナログデジタル(ADC)カウントで、または何らかの他の形式の測定値で)示し得る。相互キャパシタンスのこの量は、電極413/414間の距離が減少または増加するにつれて変化し得る。たとえば、電極413/414間の相互キャパシタンスの量は、誘電体材料(この例では空気)の量が減少するにつれて増加し得る。
【0035】
この相互キャパシタンス測定値406は、次いで、近接ステータス決定モジュール407への入力として提供され得る。近接ステータス決定モジュール407は、相互キャパシタンス測定値406を使用して、電極413/414間の相対近接ステータス408を算出し得る。この相対近接ステータス408は、電極がどのくらい互いに近いか、またはどのくらい互いから遠く離れているかを(たとえば、ミリメートルで測定されたものとして)示し得る。たとえば、電極413/414が互いのほうへ近づくにつれて、誘電体として作用する電極413/414間の空気の量は、電極413/414間に空気がなくなり、電極が接触するまで、減少し続けることになる。コントローラ401は、次いで、電極413/414が接触していると決定し得、人工現実デバイス410に上記のことを示し得る。この情報は、正確にタイミングがとられたハプティックフィードバックを提供するためにARデバイス410に提供され、それにより、ユーザを人工現実体験に完全に没入させ得る。このプロセスは、
図5の方法500に関して、および
図6A~
図14Bに示される実施形態に関して以下でより詳細に説明される。
【0036】
図5は、電極間の近接ステータスを決定するための例示的なコンピュータまたはコントローラ実装方法500の流れ図を示す。
図5に示されているステップは、
図4に示されているシステムを含む、任意の好適なコンピュータ実行可能コードおよび/またはコンピューティングシステムによって実施され得る。一例では、
図5に示されているステップの各々が、その構造が複数のサブステップを含みおよび/または複数のサブステップによって表される、アルゴリズムを表し得、その例が以下でより詳細に提供される。
【0037】
図5に示されているように、ステップ510において、本明細書で説明されるシステムのうちの1つまたは複数は、人工現実デバイスに通信可能に結合された少なくとも2つの電極の中の少なくとも1つの電極における電荷の量を検出し得る。たとえば、コントローラ401の電荷検出器403は、電極413および/または電極414における電荷の量を検出し得る。これらの電極の各々は、単一のワイヤ(たとえば、415)を介して、または別個のワイヤを介してコントローラに接続され得る。
【0038】
方法500は、次に、少なくとも1つの電極における電荷の検出された量404に基づいて、少なくとも2つの電極間の相互キャパシタンスの量を示す相互キャパシタンス測定値406を決定すること(ステップ520)を含み得る。たとえば、相互キャパシタンス決定モジュール405は、電極413/414において電荷の検出された量404に基づいて相互キャパシタンス測定値406を決定し得る。そのプロセスが油および汚れによって引き起こされる誤動作を受けやすい、電極間のガルヴァニック接続を測定する旧来のシステムとは対照的に、相互キャパシタンス決定モジュール405は、電極間のキャパシタンスの測度を決定するように構成され得る。相互キャパシタンス測定値406は、接触信号または非接触信号よりも多くのものを提供し得る。実際、相互キャパシタンス測定値406は、近いが接触していない(たとえば、2mm内にある)電極を検出し得る。その上、相互キャパシタンス決定モジュール405は、電極が接触する前に電極間の距離を測定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、たとえば、電荷検出器403、相互キャパシタンス決定モジュール405、および/または近接ステータス決定モジュール407は、連続的にまたは継続的に繰り返して機能すると決定され得る。したがって、電極において検出される電荷量は、電極413/414間の距離の測定値を継続的に更新するために、秒ごとに、ミリ秒ごとに、マイクロ秒ごとに、または何らかの他の期間において更新され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、相互キャパシタンス決定モジュール405は、2つの電極(たとえば、413/414)間のキャパシタンスを測定するように構成され得る。そのような場合、いずれの電極も、電気的に接地されないことがある。代替的に、相互キャパシタンス決定モジュール405は、単一の電極(たとえば、413)と接地との間のキャパシタンスを測定するように構成され得る。この後者の測定値は、2つの電極がいつ接触したかを認識し得るが、どの電極が接触したかを知らないことがあるという点で相互キャパシタンス測定値とは、区別され得る。見方を変えれば、相互キャパシタンス測定値406は、2つの電極がいつ接触したかを決定し得、どの2つの電極が接触したかを決定し得る。少なくともいくつかの実施形態では、相互キャパシタンスはまた、接地に対して失われる寄生キャパシタンスに、より耐性があり得、したがって、信号の実質的な損失なしに、導体(たとえば、ワイヤ415)がシステムを通して配線されることをより容易に可能にし得る。またさらなる実施形態では、相互キャパシタンス決定モジュール405は、関係する米国特許第9,109,939号において説明されるように、1つの電極が接地されたとき、2つの電極(たとえば、413/414)間の相互キャパシタンスを測定するように構成され得る。
【0040】
各指先が電極を含む場合、たとえば、ユーザは、ユーザの親指をユーザの手の他の指における電極のいずれかに接触し得る。他の場合には、ユーザは、ユーザの親指または他の指をユーザの他方の手の上の指に、さらには潜在的に別のユーザの手の上の指に接触し得る。そのような場合、各個々の電極からの信号を使用する相互キャパシタンス測定値は、どの電極が接触されたかを識別するために使用され得る。相互キャパシタンス測定値はまた、コントローラ401が、電極の各々が(たとえば、ユーザに対して)動いているときでも、電極が近いのか接触しているのかを決定することを可能にし得る。実際、本明細書の実施形態では、電極のいずれも、固定または不動である必要がない。電極のいずれも、互いに対して、またはユーザに対して可動であり得、少なくともいくつかの場合には、相互キャパシタンスが検出されている間に動き得る。
【0041】
図5の方法500は、次に、ステップ530において、相互キャパシタンス測定値406に基づいて、少なくとも2つの電極(たとえば、413/414)間の相対近接ステータス408を決定することを含み得る。相対近接ステータス408は、電極413/414が互いに近接している程度を示し得る。コントローラ401は、次いで、ステップ540において、少なくとも2つの電極413/414間の決定された相対近接ステータス408を人工現実デバイス410への入力として提供し得る。相対近接ステータス408は、所与の時点における2つの電極間の距離を示し得る。
【0042】
たとえば、
図6A~
図6Cに示されているように、2つの電極603および604は、互いに対して多くの異なる位置に動かされ得る。各位置において、
図4のコントローラ401は、異なる検出された電荷404を表現し得、したがって、異なる相互キャパシタンス406と異なる得られた近接ステータス408とを算出し得る。したがって、近接ステータス408は、
図6の電極603および604が互いのほうへ、および互いから離れて動かされるように変化し得る。
図6Aでは、たとえば、電極603/604は、相互キャパシタンスが2つの電極に対して測定され得るほど十分に短い距離内に位置を定められ得る(この距離は、電極のサイズ、電極の化学組成、または誘電体に影響を及ぼすであろう環境ファクタなどの他の環境ファクタに応じて変動し得る)。
【0043】
図6Bでは、電極603/604は、接触する距離内に動かされ得る。
図6Cでは、指601と親指602とは、コントローラがもはや相互キャパシタンスを表現しないほど十分離れるように動かされ得る(すなわち、電極における電荷404は、電極603/604間の相互キャパシタンスが無視できるほど十分に小さい)。したがって、コントローラは、電極603/604がいつ接触しているかだけでなく、電極がいつ接触することを停止したかをも検出し得る。その上、電極が、電極間の容量効果を生じるのに十分に近くなった後に、コントローラは、2つの電極603/604間の相対距離を決定し得る。これは、電極の両方がユーザに対して動いている(たとえば、ユーザはユーザの手を振っている)場合でも当てはまり得る。
【0044】
したがって、コントローラ401は、少なくとも1つの電極(たとえば、603)において検出された電荷の量に基づいて相互キャパシタンス測定値406を決定するように構成され得、また、2つの異なる電極(たとえば、603/604)において検出された電荷の量に基づいて相互キャパシタンス測定値406を決定し得る。この相互キャパシタンス測定値406を使用して、コントローラ401は、2つの電極がいつ互いに接触しているかを決定し得る。ハプティックグローブ、ボディスーツ、または他の1つのハプティック機器が複数の異なる電極を含む場合、コントローラ401は、2つの電極が接触していると決定し得るだけでなく、どの2つの電極が接触しているかをも決定し得る。
【0045】
たとえば、
図7Aに示されているように、左側ボックス700Aは、グローブ710をはめたユーザの手の手のひら側を示す。グローブは、複数の埋込み電極701~705を含み得る。電極701~705は、たとえば、グローブ上で各指の指先に埋め込まれ得る。
図6A~
図6Cに示されている実施形態の場合のように、ユーザは、ユーザの親指を、たとえば、ユーザの指のいずれかに接触し得る。したがって、親指上の電極701が人差し指上の電極702に接触したか、または中指上の電極703に接触したか、または薬指上の電極704に接触したか、または小指上の電極705に接触したとき、コントローラ708は、それぞれの電極がいつ近いか、いつ接触しているか、またはいつ分離されたかを決定することが可能であり得る。右側ボックス700Bに示されているユーザの手の甲側は、各電極をコントローラ708に接続する1つまたは複数の導電ワイヤ707を含み得る。またさらに、ユーザの手の甲側は、たとえば、ユーザの親指と人差し指との間に位置を定められた他の電極(たとえば、(以下でさらに説明されるように、基準電極であり得る)電極706)を含み得る。多くの他の電極が、電極701~706に加えてハプティックグローブ710上に埋め込まれ得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、ハプティックグローブ710は、電力メッシュから作成され得る。電極701~706は、この電力メッシュに統合され得る。電力メッシュは、ナイロン、スパンテックス、または伸縮するように設計された他の材料から作られたファブリックメッシュのタイプであり得る。そのような材料から作成されたハプティックグローブは、グローブが、手の任意の形状またはサイズに実質的に適応するように伸縮し得るので、様々なユーザにとってより快適であり得る。
図7Aでは、電極は、各指先において、および親指の先に位置する。各電極は、1つまたは複数の導体707を使用してコントローラ708(たとえば、プリント回路板(PCB))に接続され得る。
【0047】
いくつかの場合には、導体707はエナメルワイヤを含み得る。いくつかの実施形態では、このワイヤは、直径が30ゲージまたはそれより小さくなり得、他の実施形態では、ワイヤは34ゲージまたはそれより小さくなり得る。ワイヤが小さいほど、ユーザが装着するのによりフレキシブルであり、したがって、より快適であり得る。いくつかの実施形態では、導体707は、シリコーンジャケット付きの30ゲージ(またはそれより小さい)撚り(stranded)ワイヤを備え得る。導体707は、意図しない電気的接続を回避するために絶縁され得る。代替的に、導体707は、たとえば、導電性スレッドなどの非絶縁であり得る。電極701~706は、測定誤差を回避するために、ユーザの身体からおよび他の導体から電極をシールドするために様々な材料を使用して絶縁され得る。いくつかの実施形態では、導体707は、蛇行パターンでハプティックグローブ710にアタッチされ得、したがって、導体は自由に動き、ユーザの手に適合する。代替的に、ハプティックグローブ710においてフレキシブル導体が実装され得る。そのようなフレキシブル導体は、たとえば、スレッドを使用して導体にわたって縫合することによって、ハプティックグローブ710にアタッチされ得る。
【0048】
動作しているとき(たとえば、人工現実ヘッドセットまたは他の人工現実システム(たとえば、それぞれ
図1、
図2、または
図3からの100、200、または300のいずれか)に接続されたとき)、コントローラ708は、1つの電極上で信号を駆動し、第2の電極に対する効果を検出し得る。第1の電極は送信電極(TX)と呼ばれることがあり、第2の電極は受信電極(RX)と呼ばれることがある。TX電極は、比較的低いインピーダンスにおいて駆動され得、RX電極は、検知回路(たとえば、コントローラ708)への高インピーダンス入力を形成し得る。その結果、少なくともいくつかの実施形態では、TX電極間の寄生キャパシタンスが無視され得る。一方、TX電極とRX電極との間の寄生キャパシタンスが、たとえば、TX導体とRX導体との間の、少なくとも5mmの最小間隔を維持することによって低減され得る。いくつかの実施形態では、電極701および706はRX電極であり得、電極702、703、704、および705はTX電極であり得る。コントローラ708を手の甲上に配置することによって、および導体707を指の後部にわたって配線することによって、TX電極とRX電極とについての最適間隔が提供され得る。
【0049】
追加または代替として、各RX導体は、TX導体に結合することを低減するためにシールド材料を使用してシールドされ得る。代替的に、各TX導体はシールドされ得るか、またはRX導体とTX導体の両方はシールドされ得る。シールディングは、たとえば、導体707の各々を囲み得る。他の場合には、シールドワイヤがシールド導体に隣接して(たとえば、1mm以内)配線され得る。シールドは、システム接地に接続され得るか、またはシールド導体に整合するように駆動され得る。コントローラ708は、したがって、単一のTX電極を駆動し得、次いで、1つまたは複数のRX電極上の受信された信号を測定し得る。このようにして、TX電極とRX電極とにわたる測定は、システム内で時間多重化され得る。測定プロセスを支援するために、電極706は、基準電極として実装され得る。いくつかの場合には、信号の部分は、TX電極からユーザの身体を通してRX電極に結合し得る。基準電極(たとえば、706)は、ユーザの身体を通して行われるこの結合を補正するために使用され得る。基準電極は、別の電極が基準電極に接触することになる可能性が低い、グローブ(または他のハプティックデバイス)上のロケーションに配置され得る。いくつかの実施形態では、基準電極706はTX電極であり得、他の場合には、基準電極706はRX電極であり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、RX電極の数を制限することは有利であり得、なぜなら、RX電極が高いインピーダンスを供給するように設計され、その結果、それらの導体は、それらの導体が、TX導体への寄生結合をより受けやすいので、配線することがより困難であり得るからである。そのような場合、グローブ710は、TX電極よりも少ないRX電極を含み得る。導体(たとえば、707)はまた、指の付け根の手のひら側などの鋭い曲げ領域を回避するように配線され得る。そのような配線は、導体に対する鋭い曲げを制限し、早期の障害を潜在的に回避し得る。導体をこのようにして配線することはまた、グローブ710を装着している間のユーザの快適さを改善し得る。電極701~706および/またはコントローラ708は、以下でさらに説明されるように、グローブ710上の刺繍されたパッチに取り付けられ得る。
【0051】
したがって、710などのハプティックグローブは、様々な異なるロケーションにおいて配列された多くの異なる電極を含み得る。コントローラ708は、RX電極から、それらの電極における電荷レベルを示す入力を受信し得る。この電荷から、コントローラ708は、測定可能な相互キャパシタンスを生成し始めるのに十分近い電極のうちの任意の2つの間の相互キャパシタンス測定値を決定し得る。コントローラは、どの2つの電極が互いの指定された距離内にあるかを決定し得、その距離が何であるかを決定し得る。その上、コントローラ708は、電極がいつ接触しているか、電極がどのくらいの時間の間接触しているか、および2つの電極がいつ互いから分離するかを、すべて、相互キャパシタンス測定値を使用して決定し得る。これらの瞬間の各々は、ユーザインターフェースにおいて、そのユーザインターフェースとの対話および/または仮想オブジェクトとの対話を制御するために使用され得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、電極701~706のうちの1つまたは複数は、トリガリング入力を受信すると体感できる動きを提供するように構成されたトランスデューサであり得る。これらのトランスデューサは、ハプティックフィードバックを提供するハプティックグローブ中の要素であり得る。トランスデューサは、コントローラ708から、または別のコントローラ(たとえば、
図3の300などの人工現実ヘッドセット内のコントローラ)から入力信号を受信し得、ユーザによって感じられ得る鳴動または振動などの動きを作り出し得る。いくつかの実施形態では、これらのトランスデューサは、ハプティックグローブ710中の電極701~706として実装され得る。
【0053】
そのようなトランスデューサまたはアクチュエータの一例は、振動触覚器である。振動触覚器は、入力駆動信号を受信すると振動するフレキシブル圧電材料であり得る。たとえば、コントローラ708は、(たとえば、200Vにおける)正弦波入力信号を印加し得、振動触覚器は、圧電要素にわたって印加される電圧の量に比例して曲がり得る。振動触覚器は小さくなり得、ユーザの指にうまく適合し得る。各振動触覚器は、容量性プレートとして使用され得る導体を有し得る。本明細書の実施形態は、容量結合を実施するために、既存の圧電駆動システムを一時的に切断し、より高い周波数の信号を印加し得る。実際、少なくともいくつかの実施形態では、振動触覚器に印加されるより高い周波数の信号は、容量性プレートとして使用される導体において、電荷の堆積を引き起こし得る。
【0054】
コントローラ708は、たとえば、振動触覚器に、振動触覚器が振動することを引き起こすTX信号を送り得る。いくつかの実施形態では、その信号は、約100Hzの周波数におけるものであり得る。そのようなTX信号の中間に、あるいはそのような信号の前または後に、コントローラ708は、電荷堆積(たとえば、
図4の電荷404)を検出するために振動触覚器により高い周波数の信号を送り得る。(たとえば、KHzまたはMHz範囲における)このより高い周波数の信号は、振動触覚器によって再び作り出されないことがあるか、または振動触覚器が信号を再び作り出すことが可能である場合、その信号は、ユーザによって感じられないことがある。したがって、電荷404(したがって、相互キャパシタンス)を検出することは、より高い周波数において実施され得るが、ハプティックフィードバック作動は、より低い周波数において実施され得る。したがって、同じトランスデューサ(たとえば、振動触覚器)は、電極とアクチュエータの両方として使用され得る。
【0055】
たとえば、
図7Bは、
図7Aのコントローラ708において実装され得るかまたはコントローラ708によってアクセスされ得る回路
図750の一実施形態を示す。いくつかの実施形態では、回路
図750は、振動触覚器(VT)についての駆動信号を提供し得る。たとえば、VT駆動1(VT1 751)は第1の振動触覚器を駆動し得、VT駆動2(VT2 752)は第2の振動触覚器を駆動し得る。いくつかの場合には、VT1は送信機であり得、VT2は受信機であり得る。両方のVTは、(たとえば、各々1kオームにおける)直列抵抗R1およびR2を通して高電圧VT駆動(751/752)によって駆動され得る。測定中に、VT2の正端子は、高電圧スイッチ753を開くことによってVT駆動752から切断され得る。負端子は、スイッチ7を開くことによって接地から切断され得る。そのような場合、VT2は、ここで、高インピーダンス受信機(RX)になるであろう。
【0056】
VT1の負端子は、指定された電圧(たとえば、0Vまたは5V)を出力する高電流論理ドライバに接続され得る。ドライバは、R2を通る電流を克服するのに十分に低いインピーダンスを有し得る。ドライバは、パルス生成器754によって制御され得る。パルスは、たとえば、幅1.7uSであり得、シーケンス中に10個のパルスがある。シーケンス持続時間は、たとえば、34.5uSであり得、たとえば、10mSごとに繰り返し得る(すなわち、0.4%デューティサイクル)。少なくともいくつかの場合には、振動触覚器応答時間はこの速度のパルスに反応するには遅すぎることがあり、したがって、パルスは、振動触覚器ユーザ体験を劣化させないであろう様式で実装され得る。振動触覚器1は、ここで、低インピーダンス送信機(TX)になり得る。少なくともいくつかの実施形態では、VT2が高電圧駆動から切断されるので、測定は、比較的急速に行われ得る。手のポーズの機械学習推定のためにデータを集めるときに、各RX VTは、複数の送信機振動触覚器に対して測定され得る。受信機振動触覚器は、振動触覚器として動作するとき、測定ウィンドウが過度に長い場合、ある程度の量のひずみを経験し得る。
【0057】
図7Bの例示的な回路
図750中の「Cmutual」は、VT1とVT2との間の相互キャパシタンスを指し得る。これは、
図4の相互キャパシタンス測定値406と同じであり得る。いくつかの実施形態では、Cmutualは、1/2pFから5pFの間にあり得る。少なくともいくつかの実施形態では、コントローラ708は、相互キャパシタンスを測定するための内蔵ハードウェアを有し得る。たとえば、いくつかのコントローラは、アキュムレータキャパシタに転送される電荷を測定するために電流デジタルアナログ変換器(DAC)とタイマーとを実装し得る。本明細書の実施形態は、オシロスコープ上の回路をより容易に観測するために電圧ベースの測定を行うように構成され得る。
【0058】
一実施形態では、測定の開始時に、高電圧スイッチ73およびスイッチ7が開かれる。これらのスイッチは、測定全体にわたって開いたままであり得る。以下のステップは、複数回(たとえば、いくつかの場合には10回)繰り返され得る。1)スイッチ2、4、および5を閉じる。これは、CpositiveとCnegativeとの上に同じバイアス電圧を印加し得、したがって、CpositiveとCnegativeとの間の差動測定が、0において開始する。バイアス電圧は1/2Vccであり得、仮想接地であり得る。少なくともいくつかの実施形態では、使用される電圧は、ADC755がCpositiveとCnegativeとの間で差動的に測定し得るので変動し得る。2)スイッチ1および3を閉じる。受信機(RX)は、接地に対する寄生キャパシタンスを有し得る。これらのスイッチを閉じることは、Cpositive上の電圧まで寄生キャパシタンスを充電し得る。3)すべてのスイッチを開き、これは、RXを高インピーダンスにし得る。4)TXを高に駆動する。Cmutualを通した結合は、電圧を、TXにおける増加に続いてRXにおいて増加させ得る。5)スイッチ1および4を閉じる。これはCpositive上の電圧を増加させ得、その増加はCmutualに比例し得る。6)スイッチ1および6を閉じる。これは、Cnegative上の電圧までRX寄生キャパシタンスを充電し得る。7)すべてのスイッチを開く。これは、RXを高インピーダンスにし得る。8)TXを低に駆動する。Cmutualを通した結合は、電圧を、TXにおける減少に続いてRXにおいて減少させ得る。9)スイッチ1および5を閉じる。これはCnegative上の電圧を減少させ得、その減少はCmutualに比例し得る。このシーケンスの終了時に、コントローラ708は、CpositiveとCnegativeとの間の差動電圧を測定し得る。この測定値はCmutualに比例し得る。したがって、このプロセスは、振動触覚器(または他のトランスデューサ)がハプティックフィードバックプロバイダとして、および相互キャパシタンスセンサーとして作用することを可能にし得る。
【0059】
この二重目的検出器およびハプティックフィードバックプロバイダ機能性内で、実質的に任意のタイプのトランスデューサが使用され得る。たとえば、ボイスコイルトランスデューサ、線形共振アクチュエータ(LRA)、電気的に起動されるジャマー、流体アクチュエータ、または他のタイプのアクチュエータが使用され得る。いくつかの場合には、導体エリアの十分な量を有する実質的に任意のアクチュエータは、電極とトランスデューサとのように同時に(または少なくとも近い連続内に)作用するように構成され得る。したがって、(
図6Bの場合のように)任意の2つのトランスデューサ(たとえば、振動触覚器)が一緒になったとき、2つのトランスデューサは、相互キャパシタンスを通して1つになり得、この相互キャパシタンスは、検出され、振動または鳴動などのハプティックフィードバックを提供するために使用され得る。コントローラは、トランスデューサに制御信号を送って、ハプティックフィードバックを提供し得、その後直ちに、(この場合電極としても作用している)トランスデューサにおける電荷を検出するために1つまたは複数の電荷検出信号を提供し得る。ハプティックフィードバックトランスデューサを電極として実装することによって、各ハプティックグローブまたは他のハプティックデバイスは、電極と別個のトランスデューサの両方を含む必要がないことがある。したがって、ハプティックグローブはより軽くなり、したがって、装着するのがより快適になり得る。その上、別個のワイヤを電極とトランスデューサの両方に通さなければならない代わりに、本明細書の実施形態を使用するハプティックデバイスは、各組み合わせられたトランスデューサ/電極に対して単一のワイヤを実装し得る。
【0060】
したがって、このようにして、
図7Aに示されている電極701~706のいずれかは、ハプティックフィードバックをユーザに提供するためにトランスデューサまたはアクチュエータとしても機能し得る。コントローラ708は、コントローラ708がハプティックフィードバック入力をトランスデューサ/電極に提供する前に、提供した後に、または提供している間に相互キャパシタンスを測定し得る。コントローラ708は、ハプティックフィードバック制御信号を提供するために、相互キャパシタンスを検出するために使用されたワイヤと同じワイヤを使用し得る。その上、コントローラ708は、ハプティックフィードバック入力を提供する前に、提供した後に、または提供している間にこれらの電極からフィードバックを受信し得る。コントローラ708は、次いで、システムに通信可能に結合された他のセンサーを較正するために、受信されたフィードバックを使用し得る。
【0061】
たとえば、いくつかの実施形態では、電極のうちの1つまたは複数は伸縮センサーであり得る。伸縮センサーは、人工現実デバイス(たとえば、ハプティックグローブ710)における伸縮の量を検出するように構成され得る。コントローラ708は、少なくとも2つの電極間の相互キャパシタンス測定値を決定する間に伸縮の量を検出し得る。コントローラ708は、伸縮センサーを較正するために他の電極(たとえば、701~706)から受信されたフィードバックを使用し得る。導電性シリコーンなどの伸縮性材料から作られ得る伸縮センサーは、絶縁層が導電性シリコーンの2つのレイヤ間にはさまれており、その伸縮センサーが(たとえば、ユーザの手の甲の上で)伸ばされたとき、キャパシタンス測定値を生成し得る。このキャパシタンス測定値は、次いで、電極701~706においてとられる測定値によって改良され得る。代替的に、伸縮センサーからのフィードバックは、電極701~705のうちのいずれか1つまたは複数を較正するために使用され得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、これらの伸縮センサーは、電極としても使用され得る。実際、上述のように、1つまたは複数の伸縮センサーは、ユーザの指がどこで曲がるかを識別するために、ハプティックグローブの甲上に配置され得る。他の場合には、伸縮センサーは、
図7Aに示されている電極701~705と同様に、指先にわたって、およびグローブの指先上に伸縮し得る。そのような場合、伸縮センサーは、ユーザの指先において接触を検出することが可能な電極として使用され得る。フレキシブル圧電アクチュエータは、同様の様式で伸縮センサーおよび/または電極としても使用され得る。
【0063】
次に
図8を参照すると、ボックス800Aは、ハプティックグローブ810をはめたユーザの手の前面を示す。ボックス800Bは、同じグローブ810をはめたユーザの手の甲を示す。他の先行する図を用いて述べられたように、本明細書の実施形態は、(810などの)完全なグローブにおいて、または部分的グローブにおいて実装され得る。本明細書の実施形態はまた、フットウェア、ボディウェア、ヘッドウェアまたは他のハプティックフィードバックシステムにおいて動作し得る。
図8のグローブ810では、親指は、2つのRX電極(801および802)を有し得る。人さし指は、TX指先電極803を有し、ならびに親指に面する指の側面にTX電極(804、805および806)を有し得る。2つの親指電極801および802は、ジェスチャーを検出するように構成され得る。たとえば、2つの親指電極801および802は、人さし指に直角に親指を摺動するジェスチャー(たとえば、プッシュまたはプル)を検出するように構成され得る。単一のTX電極(803~806)が801から802に摺動するとき、801上の検出された電荷は、802上の検出された電荷が増加するにつれて減少し得る。したがって、人工現実デバイスおよび/または通信可能に結合されたコントローラは、TX電極が親指電極801および802にわたって摺動するとき、TX電極の粒度の細かい(granular)位置を測定し得る。この方法を使用して、ユーザの指は、指が親指電極上で摺動するときスライダー制御として作用し得る。
【0064】
代替的に、コントローラまたは人工現実デバイスは、あらかじめ決められた測定しきい値を使用して、各電荷測定値を接触または非接触測定値として扱い得る。そのような場合、接触すること以外の電荷測定値は、非接触として表現され得、接触のみが接触として示される。次いで、親指電極801/802からの接触または非接触測定値のタイミングに基づいて、コントローラは、ユーザがユーザの親指をユーザの指(たとえば、
図8に示されている例では人差し指)に対してどの方向で摺動しているかを決定し得る。他の例では、電極は、異なる指上に配置され得るが、同じまたは同様の様式で機能し得る。また、ユーザの指の側面の電極は、親指が人さし指に平行に摺動していることまたは他の指に対して摺動していることを検出するために使用され得る。
【0065】
図9は、電極がグローブの親指の側面に取り付けられた代替グローブ実施形態を示す。
図9のボックス900Aは、カフ903を含むグローブ910の手のひら側を示す。カフは、非導電性伸縮性材料のループから製造され得、指(
図9中の中指)の上に配置されるか、または指にアタッチされ得る。カフは、ボックス900Bに示されているように、導体を介してコントローラ904に接続された電極902を有し得る。このカフは、指に沿った任意の場所で再び位置を定められ得、電極902は、グローブに対する任意の回転で位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、カフ903は、所定の位置に1回グローブ910に縫合され得る。電極902は、親指と中指の側面との間の接点を検出するために使用され得る。したがって、ユーザは、ユーザインターフェースを制御するために、人工現実オブジェクトを制御するために、または他のアクションを実施するために人工現実デバイスによって使用され得る様々なジェスチャーを作り出すために、親指電極901とカフ電極902とを実装し得る。いくつかの場合には、たとえば、親指電極901およびカフ電極902は、拡張世界または仮想世界において、おそらく、たとえば、ゲームをプレイするかまたはVRマーダーミステリーにおいて役割を演じるとき、指鉄砲を形成するために使用され得る。
【0066】
図10は、特殊なタイプのカフが実装される代替ハプティックグローブ実施形態を示す。ボックス1000Aはハプティックグローブ1010の手のひら側を示し、ボックス1000Bはハプティックグローブ1010の甲側を示す。
図9の場合のように、1つの電極(1001)が親指に取り付けられる。カフ1003は、たとえば、導電性スレッドなどの導電性材料を含み得る。カフ1003は、グローブ1010に統合され得る電極1002上に位置し得る。いくつかの場合には、電極1002は、導体配線を簡略化するために(ボックス1000Bに示されているように)手の甲上に位置し得る。カフ1003はフローティング導体であり得、その場合、TX電極1002はカフに容量結合し得る。カフ1003は、次いで、RX電極1001に容量結合し得る。この実施形態は(カフ1003がフローティング導体であるので)導体配線のより大きい制御を提供し得、したがって、グローブ1010全体にわたって電極を配置することにおいてより多くの自由を可能にし得る。
【0067】
図11は、電極が、追加のジェスチャーを検出するような様式で位置を定められたハプティックグローブ1110の代替実施形態を示す。ボックス1100Aはハプティックグローブ1110の手のひら側を示し、ボックス1100Bはハプティックグローブ1110の甲側を示す。電極1101および1107はRX電極であり得、電極1102、1103、1104、1105、および1106はTX電極であり得る。電極1101が電極1106に接触したとき、コントローラ1108は、親指が小指の付け根の近くの手のひらに接触するジェスチャーを検知し得る。電極1102、1103、1104、および/または1105が電極1107に接触したとき、コントローラ1108は、閉じられた手を検知し得る。いくつかの場合には、電極1107は、どの指先が手のひらの下部に接触しているかを検出するために複数の別個の電極に分けられ得る。これらの追加のジェスチャーは、より表現的なユーザインターフェースのための異なる入力を提供し得るか、または仮想オブジェクトとのよりニュアンスを含んだ対話を可能にし得る。いくつかの実施形態では、外転、すなわち、指を広げることを測定するために、追加の電極が指の面する側上に配置され得る。対向電極は、それぞれ、RXおよびTXであり得る。そのような場合、電極間の距離は、電極間のキャパシタンスを測定することによって決定され得る。たとえば、そのような場合の薬指電極が指の各側上で両方ともRX電極であるかまたは両方ともTX電極である場合、ワイヤリングが簡略化され得る。いくつかの場合には、電極は、
図10のカフ1003の場合と同様に、指を囲み得る。
【0068】
図12Aおよび
図12Bは、ハプティックグローブ1210上の様々な異なるロケーションに埋め込まれた複数の異なる電極を含むグローブの実施形態を示す。コントローラ1201は、導体1202を介してこれらの電極の各々に接続され得る。少なくともいくつかの実施形態では、これらの電極のいずれかまたはすべてが、触覚フィードバックを提供するためのトランスデューサとして、ならびに相互キャパシタンスを測定するための電極として機能し得る。いくつかの場合には、電極(たとえば、1203~1209および1211~1214)は、ハプティックグローブ1210に固定された刺繍されたパッチに埋め込まれ得る。たとえば、
図13A~
図13Dに示されているように、電極は、様々な異なる設計において、刺繍されたパッチに埋め込まれ得る。追加または代替として、刺繍されたパッチ1301、1302、1303、および1304は、それら自体電極であり、導電性スレッドまたは他の好適な材料から作成され得る。
【0069】
これらの刺繍された電極は、極めてフレキシブルであり得、したがって、装着するのが快適であり得る。電極1301は、蛇行パターンで示されている。いくつかの実施形態では、RX電極上の経路は、TX電極上の経路から90度回転されて、パターン間の位置合わせを変化させることによって引き起こされ得る可変結合を回避し得る。たとえば、指(fingers)は、回転半径が、指の縦軸に直角であるラインで位置合わせされ得る。これは、指の曲げ半径に沿ってフレキシブルである長いラン(run)を可能にし得る。いくつかの場合には、親指の回転半径は、親指の縦軸に平行に位置合わせされ得る。専門的な刺繍機械が、導体(たとえば、
図2の1202)を配置するために使用され得、導体にわたって縫合するためにも使用され得る。パターン1302は、回転半径を互いに対して回転することによって、より高い導体密度を達成し得る。パターン1302はまた、TX電極上のパターンとRX電極上のパターンとの間の位置合わせにあまり影響を受けないことがある。
【0070】
これらの実施形態では、電極導体密度が100%である(たとえば、導電性ホイル)必要がないことがあることに留意されたい。密度が小さいほど、たとえば、よりフレキシブルでより快適になり得る。いくつかの場合には、50%の密度が使用され得、いくつかの場合には、10%よりも小さい密度が使用され得る。たとえば、パターン1303は、1301、1302または1304よりも低い密度を呈し、したがって、より大きいフレキシビリティを提供し得る。他の場合には、導電性メッシュ(たとえば、導電性スレッドから作られた導電性グリッド)が電極のために使用され得る。これらの例のうちの少なくともいくつかでは、電極と、電極を電子回路に接続する導体とは、連続的ワイヤであり得る。いくつかの場合には、ミニマリスト電極(minimalist electrode)が単一のワイヤであり得る。そのような場合、電極であるものと導体であるものとの間の指定は、部分(section)が反対の機能(RX対TX)の別の電極によって接触され得るかどうかであり得る。したがって、
図12および
図13A~
図13Bに示されているように、本明細書で説明される電極は、多くの異なるパターンで実装され得、導通することもしないこともある多くの異なるタイプの材料からなり得る。導電性スレッドなどのこれらの材料のうちのいくつかは、人工現実デバイスが、より軽く、よりフレキシブルになり、したがって、経時的に装着するのがより快適になり得るので、人工現実デバイス中に実装するときに有利であり得る。
【0071】
図14Aおよび
図14Bは、電極のグリッドを形成するために複数の電極が互いに隣接するパターンで配列され得る実施形態を示す。たとえば、
図14Aでは、電極1401、1402および1403は、円形パターンで配列され得る。したがって、対向電極(たとえば、1405)が電極のグリッドに近接したとき、電極に通信可能に結合されたコントローラが、電極のグリッドに対する対向電極1405のロケーションを示すグリッド位置を決定し得る。したがって、たとえば、
図14Bに示されているように、ユーザが対向電極1405を、電極1401上で、および部分的に電極1402および1403上に摺動するとき、電極1401は、対向電極1405の大部分が電極1401に近いかまたは電極1401に接触しているので、高いキャパシタンス示度を表現し得る。電極1402および1402は、各々、それら自体と対向電極1405との間の相互キャパシタンスのより小さい量を表現し得る。対向電極1405が(3つよりもより多いまたはより少ない電極を含み得る)グリッド上で動くので、グリッド中の各個々の電極は、その電極の現在の電荷レベルを継続的に報告し得る。コントローラは、次いで、グリッド中の電極の各々からの入力信号に基づいて、対向電極がグリッドに対してどこにあるかを示す、組み合わせられたグリッド位置インジケータを算出し得る。このようにして、ユーザの親指および人差し指は、トラックパッドとして機能し得、トラックパッドは、完全に束縛されておらず、グローブまたは他のハプティックデバイスの一部としてユーザとともに動くことができる。
【0072】
上記で説明された実施形態に加えて、またはその代替として、少なくとも1つの実施形態は、手のひら側および甲側を有するグローブと、グローブの少なくとも2つの別個の指先上に位置を定められた少なくとも2つの電極とを含み得る。この実施形態では、電極は、グローブ上に位置する絶縁ワイヤから形成され得、絶縁ワイヤは、少なくとも2つの指先の各々からそれぞれグローブの甲側の少なくとも一部分に配線され得る。たとえば、
図7に関して前に述べられたように、それぞれ、親指および人差し指上に位置を定められた電極701および702を含むグローブ710が提供され得る。
図7のボックス700Aはグローブ710の手のひらを示し、ボックス700Bはグローブ710の甲を示す。
【0073】
いくつかの実施形態では、コントローラ708は随意であり得る。実際、グローブ710は、グローブを形成するメッシュまたは他の材料と、電極を形成する1つまたは複数の絶縁ワイヤ(たとえば、707)とを含むように製造され得る。絶縁ワイヤ707は、電極701~706のいずれかを形成し得、他の電極(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態では、グローブ710は、人工現実デバイスに通信可能に結合され得る。たとえば、グローブ710は、それぞれ、
図1、
図2または
図3の人工現実デバイス100、200または300のいずれかに通信可能に結合され得る。この結合は、作動信号および/または測定信号が、人工現実デバイスからグローブ710上の電極(たとえば、701および702)に送信されることを可能にし得る。
【0074】
いくつかの場合には、電極のうちの少なくとも1つが、グローブ710上の指のエッジ上に位置を定められる。たとえば、電極701は、ボックス700Aに示されているグローブ710中の親指のエッジ上に位置を定められ得る。追加または代替として、電極は、他の指のエッジ上に位置を定められ得る。これらの電極は、指先上に位置を定められた電極(たとえば、702~705)への追加、またはそれの代替であり得る。たとえば、いくつかの場合には、指先上に位置を定められた電極は、同じ指のエッジ上に位置を定められた電極に電気的に接続され得る。これらの電極の各々は、異なる形式で配列され得る。
【0075】
実際、
図12A~
図12Bおよび
図13A~
図13Bに示されているように、電極1208~1214または1301~1302はスパイラルで配列され得る。スパイラルは、比較的密集したスパイラルであり得、ワイヤの各ループが他のループに密接して巻かれ、またはスパイラルは比較的緩いことがあり、ワイヤの各ループが他のループから比較的遠く離れて巻かれる。いくつかの場合には、スパイラルの「締まり(tightness)」またはループ間の距離の量は、充填密度と呼ばれることがある。電極スパイラル(たとえば、1301)が100%の充填密度を有する場合、スパイラルのループは互いに接触していることがあるが、電極スパイラルが0%の充填密度を有する場合、スパイラルのループは、ワイヤの長さが可能にするであろう距離と同程度に遠く離れて位置を定められ得る。いくつかの場合には、電極は、50%未満の充填密度で作成され得、いくつかの実施形態では、電極は、10%未満の充填密度で作成され得る。
【0076】
図13Cは、電極1303が、1つまたは複数の並列なランをもつ蛇行パターンで配列された導体から形成された実施形態を示す。したがって、電極1303は、ワイヤの初期長さから始まり、垂直になるまで曲がり、次いで、ある長さにわたって平行になるまで180度曲がり、次いで、ある長さにわたって平行になるまで180度曲がり得、以下同様である。そのような蛇行パターンはまた、50%未満、10%未満を含む所与の充填密度において、または何らかの他の充填密度において製造され得る。
図13Dは、電極が、ひずんだ蛇行パターンで配列された実施形態を示す。そのようなパターンは、人間の指紋を模倣し得る。これらの蛇行電極は、グローブ(たとえば、
図12Bのグローブ1210)の指先の半径の周りに位置を定められ得る。いくつかの実施形態では、蛇行電極(たとえば、1303)はグローブの少なくとも1本の指上に位置を定められ得、らせん電極(たとえば、1301)はグローブの親指上に位置を定められ得る。これは、ワイヤの平行なランが互いに潜在的に接触し得るシナリオを回避するのを助け得る。
【0077】
いくつかの場合には、絶縁ワイヤ(たとえば、
図7の707)は、絶縁ワイヤ間の指定された最小距離で配線され得る。いくつかの実施形態では、この指定された最小距離は、少なくとも5ミリメートルであり得る。いくつかの場合には、これらのワイヤは、RX電極とTX電極とを形成するために使用され得る。したがって、そのような場合、RX電極を形成するワイヤと、TX電極を形成するワイヤとは、干渉を回避するために少なくとも5ミリメートル離れて位置を定められ得る。RX電極とTX電極とをもつグローブは、TX電極よりも少ないRX電極を含むように製造され得る。たとえば、
図7では、電極701および706はRX電極であり得、電極702、703、704、および705はTX電極であり得る。
【0078】
これらの電極を形成する絶縁ワイヤは、グローブ710において鋭い曲げを回避する様式で配線され得る。たとえば、
図12Aのグローブ1210の甲側上に示されているように、ワイヤ1202は、指または手の手のひら側上など、鋭い曲げが発生し得る手上のロケーションから離れて配線され得る。鋭い曲げを回避する様式でワイヤを配線することによって、ワイヤは、繰り返し曲がられることによる破損の前により長い寿命を享受し得る。いくつかの実施形態では、電極は、指先以外の、グローブ上の異なるロケーション上に配置され得る。たとえば、電極は、
図12Aの電極1204~1207など、指の側面上に位置を定められ得る。いくつかの場合には、これらの電極のうちの少なくとも2つは、グローブ1210中の隣接する指の対向する側に沿って位置を定められ得る。隣接する指の対向する側に沿って配置されたとき、電極は、離れるおよび一緒の動きのレートを含む指の外転、ならびに指と指との間の距離を測定するために実装され得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、グローブおよび対応する電極は、コントローラに接続され得る。たとえば、
図12Aのワイヤ1202は、コントローラ1201に接続され得る。しかしながら、このコントローラは、随意であり得、グローブ1210の一部として含まれないことがある。コントローラ1201がグローブとともに含まれる場合、コントローラは、グローブ1210の甲側に、またはグローブの何らかの他の部分に取り付けられ得る。他の場合には、コントローラはワイヤ1202およびグローブ1210とともに実装され得るが、コントローラは、グローブに対してリモートであり、グローブから離れた別のロケーションに位置し得る。そのような場合、コントローラは、電極との間で信号を送るおよび受信するためにワイヤ1202に通信可能に接続され得る。このようにして、コントローラがどこに位置するかにかかわらず、それは、グローブ上の電極と通信し、グローブ上の電極を制御し得、いくつかの場合には、相互キャパシタンスを測定することと、触覚フィードバックをユーザに提供することの両方を行うために電極を使用し得る。
【0080】
したがって、本明細書で説明される様々な実施形態は、人工現実システムにおける接触を検出するための様々な異なる方法およびシステムを提供し得る。実施形態は、複数の異なる構成において様々な異なるタイプの電極を使用し得る。いくつかの実施形態では、電極は、電荷検出電極とアクチュエータの両方として機能し、駆動信号を受信するとハプティックフィードバックを提供し得る。これらの電極は、上記の本明細書で説明されるグローブの多くの代替タイプを含む様々な異なるハプティックフィードバックデバイス上で採用され得る。
【0081】
上記で詳述されたように、本明細書で説明および/または示されるコントローラ、コンピューティングデバイスおよびシステムは、本明細書で説明されるモジュール内に含まれているものなど、コンピュータ可読命令を実行することが可能な任意のタイプまたは形態のコンピューティングデバイスまたはシステムを広く表す。それらの最も基本的な構成では、(1つまたは複数の)これらのコンピューティングデバイスは、各々、少なくとも1つのメモリデバイスと少なくとも1つの物理プロセッサとを含み得る。
【0082】
いくつかの例では、「メモリデバイス」という用語は、概して、データおよび/またはコンピュータ可読命令を記憶することが可能な、任意のタイプまたは形態の揮発性または不揮発性記憶デバイスまたは媒体を指す。一例では、メモリデバイスは、本明細書で説明されるモジュールのうちの1つまたは複数を記憶、ロード、および/または維持し得る。メモリデバイスの例は、限定はしないが、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)、光ディスクドライブ、キャッシュ、上記のうちの1つまたは複数の変形形態または組合せ、あるいは任意の他の好適な記憶メモリを含む。
【0083】
いくつかの例では、「物理プロセッサ」という用語は、概して、コンピュータ可読命令を解釈および/または実行することが可能な任意のタイプまたは形態のハードウェア実装処理ユニットを指す。一例では、物理プロセッサは、上記で説明されたメモリデバイスに記憶された1つまたは複数のモジュールにアクセスし、および/またはそれらのモジュールを修正し得る。物理プロセッサの例は、限定はしないが、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、中央処理ユニット(CPU)、ソフトコアプロセッサを実装するフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、上記のうちの1つまたは複数の部分、上記のうちの1つまたは複数の変形形態または組合せ、あるいは任意の他の好適な物理プロセッサを含む。
【0084】
別個の要素として示されているが、本明細書で説明および/または示されるモジュールは、単一のモジュールまたはアプリケーションの部分を表し得る。さらに、いくつかの実施形態では、これらのモジュールのうちの1つまたは複数は、コンピューティングデバイスによって実行されたとき、コンピューティングデバイスに1つまたは複数のタスクを実行させ得る、1つまたは複数のソフトウェアアプリケーションまたはプログラムを表し得る。たとえば、本明細書で説明および/または示されるモジュールのうちの1つまたは複数は、本明細書で説明および/または示されるコンピューティングデバイスまたはシステムのうちの1つまたは複数上で稼働するように記憶および構成されたモジュールを表し得る。これらのモジュールのうちの1つまたは複数は、1つまたは複数のタスクを実施するように構成された1つまたは複数の専用コンピュータのすべてまたは部分をも表し得る。
【0085】
さらに、本明細書で説明されるモジュールのうちの1つまたは複数は、データ、物理デバイス、および/または物理デバイスの表現をある形態から別の形態に変換し得る。たとえば、本明細書で具陳されるモジュールのうちの1つまたは複数は、変換されるべきデータを受信し、データを電荷測定値に変換し、入力信号を作り出すために変換の結果を出力し、ハプティックフィードバックを生成するために変換の結果を使用し、他のセンサーのための潜在的フィードバックとして変換の結果を記憶し得る。追加または代替として、本明細書で具陳されるモジュールのうちの1つまたは複数は、コンピューティングデバイス上で実行すること、コンピューティングデバイスにデータを記憶すること、および/または場合によっては、コンピューティングデバイスと対話することによって、物理コンピューティングデバイスのプロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、および/または任意の他の部分をある形態から別の形態に変換し得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、「コンピュータ可読媒体」という用語は、概して、コンピュータ可読命令を記憶または搬送することが可能な任意の形態のデバイス、キャリア、または媒体を指す。コンピュータ可読媒体の例は、限定はしないが、搬送波など、送信タイプ媒体、磁気記憶媒体など、非一時的タイプの媒体(たとえば、ハードディスクドライブ、テープドライブ、およびフロッピーディスク)、光記憶媒体(たとえば、コンパクトディスク(CD)、デジタルビデオディスク(DVD)、およびBLU-RAYディスク)、電子記憶媒体(たとえば、ソリッドステートドライブおよびフラッシュメディア)、および他の配信システムを含む。
【0087】
本開示の実施形態は、人工現実システムを含むか、または人工現実システムとともに実装され得る。人工現実は、ユーザへの提示の前に何らかの様式で調整された形式の現実であり、これは、たとえば、仮想現実(VR)、拡張現実(AR)、複合現実(MR)、ハイブリッド現実、あるいはそれらの何らかの組合せおよび/または派生物を含み得る。人工現実コンテンツは、完全に生成されたコンテンツ、またはキャプチャされた(たとえば、現実世界の)コンテンツと組み合わせられた生成されたコンテンツを含み得る。人工現実コンテンツは、ビデオ、オーディオ、ハプティックフィードバック、またはそれらの何らかの組合せを含み得、それらのいずれも、単一のチャネルまたは複数のチャネルにおいて提示され得る(観察者に3次元効果をもたらすステレオビデオなど)。加えて、いくつかの実施形態では、人工現実は、たとえば、人工現実におけるコンテンツを作り出すために使用される、および/または人工現実において別様に使用される(たとえば、人工現実におけるアクティビティを実施する)アプリケーション、製品、アクセサリ、サービス、またはそれらの何らかの組合せにも関連付けられ得る。人工現実コンテンツを提供する人工現実システムは、ホストコンピュータシステムに接続されたヘッドマウントディスプレイ(HMD)、スタンドアロンHMD、モバイルデバイスまたはコンピューティングシステム、あるいは、1人または複数の観察者に人工現実コンテンツを提供することが可能な任意の他のハードウェアプラットフォームを含む、様々なプラットフォーム上に実装され得る。
【0088】
本明細書で説明および/または示されるステップのプロセスパラメータおよびシーケンスは、単に例として与えられ、必要に応じて変動させられ得る。たとえば、本明細書で示されるおよび/または説明されるステップは特定の順序で示されるかまたは説明され得るが、これらのステップは、必ずしも、示されるかまたは説明される順序で実施される必要がない。本明細書で説明および/または示される様々な例示的な方法はまた、本明細書で説明されるかまたは示されるステップのうちの1つまたは複数を省略するか、あるいは、開示されるものに加えて追加のステップを含み得る。
【0089】
先行する説明は、他の当業者が、本明細書で開示される例示的な実施形態の様々な態様を最も良く利用することを可能にするために提供された。この例示的な説明は、網羅的であること、または開示される正確な形態に限定することは意図されない。多くの修正および変形が、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく可能である。本明細書で開示される実施形態は、あらゆる点で、限定的ではなく例示的であると見なされるものとする。本開示の範囲を決定する際に、添付の特許請求の範囲およびその等価物に対して参照が行われるべきである。
【0090】
別段に記載されていない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される「に接続された(connected to)」および「に結合された(coupled to)」という用語(およびそれらの派生語)は、直接接続と間接接続(すなわち、他の要素または構成要素を介したもの)の両方を許容するものとして解釈されるべきである。さらに、本明細書および特許請求の範囲において使用される「1つの(a)」または「1つの(an)」という用語は、「少なくとも1つの」を意味するものとして解釈されるべきである。最後に、使いやすさのために、本明細書および特許請求の範囲において使用される「含む(including)」および「有する(having)」という用語(およびそれらの派生語)は、「備える、含む(comprising)」という単語と交換可能であり、その単語と同じ意味を有する。
【国際調査報告】