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  • 特表-湿分輸送ゾーンを備えた衣料品 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(54)【発明の名称】湿分輸送ゾーンを備えた衣料品
(51)【国際特許分類】
   A41B 11/00 20060101AFI20220314BHJP
   A41D 31/12 20190101ALI20220314BHJP
   A41D 31/00 20190101ALI20220314BHJP
【FI】
A41B11/00 Z
A41D31/12
A41D31/00 503F
A41D31/00 503H
A41D31/00 503C
A41D31/00 503D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543304
(86)(22)【出願日】2020-01-21
(85)【翻訳文提出日】2021-07-21
(86)【国際出願番号】 EP2020051424
(87)【国際公開番号】W WO2020152174
(87)【国際公開日】2020-07-30
(31)【優先権主張番号】102019101832.3
(32)【優先日】2019-01-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521325499
【氏名又は名称】ファルケ コマンディト ゲゼルシャフト アウフ アクティーン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク クナル
(72)【発明者】
【氏名】エフェリン ボング
【テーマコード(参考)】
3B018
【Fターム(参考)】
3B018AA00
3B018AB02
3B018AB06
3B018AB07
3B018AC02
3B018AD05
3B018AD07
(57)【要約】
湿分輸送ゾーン114を有する編成された基体112を有する衣料品100であって、湿分輸送ゾーン114が少なくとも1つのベース糸と少なくとも1つの湿分輸送糸とから編成されており、湿分輸送ゾーン114が、基体112のウェール方向118に対して平行に延びる、湿分輸送ゾーン114の長手方向120に沿って第1端部122から第2端部124まで延びている、衣料品100において、湿分、具体的には汗を湿分輸送ゾーン114の第1端部122から第2端部124まで特に効果的に輸送する、衣料品を提供するために、湿分輸送ゾーン114が少なくとも1つの湿分受容領域130を有しており、湿分受容領域130内で、1コース当たりに含有される湿分輸送糸の質量が、湿分輸送ゾーン114の長手方向120に沿って増大する、衣料品100が提案される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿分輸送ゾーン(114)を有する編成された基体(112)を有する衣料品であって、
前記湿分輸送ゾーン(114)が少なくとも1つのベース糸と少なくとも1つの湿分輸送糸とから編成されており、
前記湿分輸送ゾーン(114)が、前記基体(112)のウェール方向(118)に対して平行に延びる、前記湿分輸送ゾーン(114)の長手方向(120)に沿って第1端部(122)から第2端部(124)まで延びている、衣料品において、
前記湿分輸送ゾーン(114)が少なくとも1つの湿分受容領域(130)を有しており、前記湿分受容領域(130)内で、1コース当たりに含有される前記湿分輸送糸の質量が、前記湿分輸送ゾーン(114)の長手方向(120)に沿って増大することを特徴とする、衣料品。
【請求項2】
前記湿分受容領域(130)内で、1コース当たりに含有される前記湿分輸送糸の質量が、少なくとも部分的に定常的に増大することを特徴とする、請求項1に記載の衣料品。
【請求項3】
前記基体(112)のコース方向(134)における前記湿分受容領域(130)の広がりが、前記湿分輸送ゾーン(114)の長手方向(120)に沿って増大することを特徴とする、請求項1又は2に記載の衣料品。
【請求項4】
前記コース方向(134)における基体(112)の広がり全体に対する前記基体(112)のコース方向(134)における前記湿分受容領域(130)の広がりの比率が、100%未満であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の衣料品。
【請求項5】
前記コース方向(134)における基体(112)の広がり全体に対する前記基体(112)のコース方向(134)における前記湿分受容領域(130)の広がりの比率が、前記湿分輸送ゾーン(114)の長手方向(120)に沿って増大していることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の衣料品。
【請求項6】
前記湿分受容領域(130)がほぼ楔状の区分(140)を有していることを特徴する、請求項1~5のいずれか1項に記載の衣料品。
【請求項7】
前記湿分輸送ゾーン(114)が少なくとも1つの湿分放出領域(132)を有しており、前記湿分放出領域(132)が前記湿分輸送ゾーン(114)の長手方向(120)において前記湿分輸送ゾーン(114)の少なくとも1つの湿分受容領域(130)に続いて設けられていることを特徴する、請求項1~6のいずれか1項に記載の衣料品。
【請求項8】
前記コース方向(134)における基体(112)の広がり全体に対する前記基体(112)のコース方向(134)における前記湿分放出領域(132)の広がりの比率が、ほぼ100%であることを特徴とする、請求項7に記載の衣料品。
【請求項9】
前記少なくとも1つの湿分輸送糸が前記少なくとも1つのベース糸上にプレーティングされていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の衣料品。
【請求項10】
前記少なくとも1つの湿分輸送糸が、前記衣料品(100)の着用状態で、前記ベース糸の、前記衣料品(100)の着用者の皮膚とは離反した外側にプレーティングされていることを特徴とする、請求項9に記載の衣料品。
【請求項11】
前記少なくとも1つの湿分輸送糸が前記少なくとも1つのベース糸よりも高い湿分輸送能力を有していることを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の衣料品。
【請求項12】
少なくとも1つの湿分輸送糸が少なくとも1つのベース糸よりも大きい繊維断面積を有しており、少なくとも1つの湿分輸送糸が少なくとも1つのベース糸よりも多いフィラメント数を有しており、少なくとも1つの湿分輸送糸が少なくとも1つのベース糸よりも高親水性の化学組成を有しており、且つ/又は少なくとも1つの湿分輸送糸が親水性仕上げを施されていることを特徴とする、請求項1~11のいずれか1項に記載の衣料品。
【請求項13】
少なくとも1つの湿分輸送糸がポリエステル及び/又はポリアミドを含むことを特徴とする、請求項1~12のいずれか1項に記載の衣料品。
【請求項14】
少なくとも1つのベース糸が綿、ビスコース、リヨセル、ポリプロピレン、ウール、麻、及び/又は、ポリアミドを含むことを特徴とする、請求項1~13のいずれか1項に記載の衣料品。
【請求項15】
前記衣料品(100)が脚用衣料品(102)として形成されており、少なくとも1つの湿分受容領域(130)が、前記衣料品(100)の基体(112)のつま先領域(126)内で又はつま先領域(126)の縁部で始まっており、且つ/又は、少なくとも1つの湿分放出領域(132)が、前記衣料品(100)の基体(112)の踵領域(128)の上方に配置されていることを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の衣料品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿分輸送ゾーンを有する編成された基体を有する衣料品であって、前記湿分輸送ゾーンが少なくとも1つのベース糸と少なくとも1つの湿分輸送糸とから編成されており、前記湿分輸送ゾーンが、前記基体のウェール方向に対して平行に延びる、前記湿分輸送ゾーンの長手方向に沿って第1端部から第2端部まで延びている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の根底を成す課題は、湿分、具体的には汗が湿分輸送ゾーンの第1端部から第2端部まで特に効果的に輸送される、湿分輸送ゾーンを有するこのような衣料品を提供することである。
【発明の概要】
【0003】
このような課題は、請求項1の上位概念の特徴を有する衣料品において、本発明によれば、前記湿分輸送ゾーンが少なくとも1つの湿分受容領域を有しており、前記湿分受容領域内で、1コース当たりに含有される前記湿分輸送糸の質量が、前記湿分輸送ゾーンの長手方向に沿って増大することによって解決される。
【0004】
湿分受容領域内の湿分輸送糸の質量が湿分輸送ゾーンの長手方向に沿って高まることによって、衣料品の着用者の皮膚から受容された湿分に対する、具体的には受容された汗に対する吸引作用が、湿分輸送ゾーンの長手方向に、好ましくは湿分輸送ゾーンの湿分放出領域へ向かって生じる。
【0005】
前記湿分受容領域内で、1コース当たりに含有される前記湿分輸送糸の質量が、少なくとも部分的に定常的に増大すると特に好都合である。このことは、湿分受容領域内で、1コース当たりに含有される湿分輸送糸の質量が、湿分輸送ゾーンの長手方向に沿って、コース間で一定のままであるか又は増大するが、しかし減少はしないことを意味する。
【0006】
具体的には、前記基体のコース方向における前記湿分受容領域の広がりが、前記湿分輸送ゾーンの長手方向に沿って、好ましくは少なくとも部分的に定常的に増大していてよい。
【0007】
前記コース方向における基体の広がり全体に対する前記基体のコース方向における前記湿分受容領域の広がりの比率が、好ましくは100%未満であり、具体的には少なくとも部分的に最大で70%であり、特に有利には少なくとも部分的に最大で50%である。
【0008】
コース方向における基体の広がり全体に対する基体のコース方向における前記湿分受容領域の広がりの比率は、それぞれのコースの全ての編み目に対する、少なくとも1つの湿分輸送糸が編み込まれている編み目の比率から得られる
【0009】
前記コース方向における基体の広がり全体に対する前記基体のコース方向における前記湿分受容領域の広がりの比率が、前記湿分輸送ゾーンの長手方向に沿って、好ましくは少なくとも部分的に定常的に増大していることが好ましい。
【0010】
前記湿分受容領域は具体的にはほぼ楔状の区分を有することができる。
【0011】
衣料品が脚用衣料品として形成されている場合、湿分受容領域のこのようなほぼ楔状の区分は、衣料品の編成された基体のソール領域内に配置されていることが好ましい。
【0012】
本発明の有利な構成では、前記湿分輸送ゾーンが少なくとも1つの湿分放出領域を有しており、前記湿分放出領域が前記湿分輸送ゾーンの長手方向で、前記湿分輸送ゾーンの少なくとも1つの湿分受容領域に続いて設けられている。
【0013】
具体的には、湿分輸送ゾーンの第2端部は湿分放出領域の縁部に配置されていてよい。
【0014】
前記コース方向における基体の広がり全体に対する前記基体のコース方向における前記湿分放出領域の広がりの比率が、ほぼ100%であることが好ましい。
【0015】
湿分輸送糸が編み込まれた湿分放出領域が大きければ大きいほど、湿分放出領域内の湿分を周囲により効果的に放出することができる。
【0016】
前記少なくとも1つの湿分輸送糸が前記少なくとも1つのベース糸上にプレーティングされていることが好ましい。
【0017】
基本的には、前記少なくとも1つの湿分輸送糸が、前記衣料品の着用状態で、前記ベース糸の、前記衣料品の着用者の皮膚とは離反した外側にプレーティングされているか、又は前記ベース糸の、前記衣料品の着用者の皮膚に向いた内側にプレーティングされていてよい。
【0018】
前記少なくとも1つの湿分輸送糸は、前記衣料品の着用状態で、前記ベース糸の、前記衣料品の着用者の皮膚とは離反した外側にプレーティングされていることが好ましい。前記少なくとも1つの湿分輸送糸はこの場合にはつまり外側にプレーティングされている。
【0019】
前記少なくとも1つの湿分輸送糸が前記少なくとも1つのベース糸よりも高い湿分輸送能力を有していることが好ましい。
【0020】
具体的には、少なくとも1つの湿分輸送糸が少なくとも1つのベース糸よりも大きい繊維断面積を有しており、少なくとも1つの湿分輸送糸が少なくとも1つのベース糸よりも多いフィラメント数を有しており、少なくとも1つの湿分輸送糸が少なくとも1つのベース糸よりも高親水性の化学組成を有しており、且つ/又は少なくとも1つの湿分輸送糸が、好ましくは前記少なくとも1つのベース糸にはない親水性仕上げ(具体的には「柔軟仕上げ(Avivage)」)を施されていてよい。
【0021】
少なくとも1つの湿分輸送糸が具体的にはポリエステル及び/又はポリアミドを含んでよい。
【0022】
さらに、少なくとも1つのベース糸が綿、ビスコース、リヨセル(好ましくはウールが付加されない)、ポリプロピレン、ウール、麻、及び/又はポリアミド(好ましくは前記少なくとも1つの湿分輸送糸の構成部分としてのポリエステルとの組み合わせで)を含んでよい。
【0023】
前記衣料品が脚用衣料品として形成されている場合、少なくとも1つの湿分受容領域が、前記衣料品の基体のつま先領域内又はつま先領域の縁部に位置しており、且つ/又は少なくとも1つの湿分放出領域が、前記前記衣料品の基体の踵領域の上方、具体的には衣料品の着用者の踝領域内に配置されていてよい。
【0024】
衣料品は丸編機上で編成されていることが好ましい。
【0025】
前記衣料品がつま先領域を有する脚用衣料品として形成されている場合、つま先領域は往復運動で編成されていることが好ましい。
【0026】
前記衣料品が踵領域を有する脚用衣料品として形成されている場合、踵領域は往復運動で編成されていることが好ましい。
【0027】
本発明のさらなる特徴及び利点が、1実施例の下記説明及び図面の対象となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、衣料品、具体的には脚用衣料品、例えば靴下であって、衣料品が編成された基体を有しており、基体の部分領域が湿分輸送ゾーンとして形成されており、湿分輸送ゾーンが少なくとも1つのベース糸と少なくとも1つの湿分輸送糸とから編成されている衣料品を概略的に示す側面図である。
図2図2は、図1の衣料品のソール領域を概略的に示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
同じ又は機能的に同等のエレメントは全ての図面において同一の符号で示されている。
【0030】
図1及び2に示された衣料品100は例えば脚用衣料品102、具体的には靴下104として形成されている。
【0031】
衣料品100が靴下104として形成されていることは純粋に一例に過ぎない。
【0032】
これとは別に、脚用衣料品102として形成された衣料品100は例えば、タイツ、レギンス、又はズボンとして形成されていてよい。
【0033】
衣料品100は上半身用衣料品、例えばシャツとして、又はオーバースリーブとして形成されていてもよい。
【0034】
さらに、衣料品100は、必ずしも脚用衣料品102又は上半身用衣料品とは限らない衣料品100のいずれの他の形態でも形成されていてよい。
【0035】
図1及び2に衣料品100として例示された靴下104は足部106と筒部108とを有している。筒部108の上端部は弾性的な履き口110を備えていてよい。履き口は例えば包み込み二重縁部(Umhange-Doppelrand)として形成されていてよい。
【0036】
足部106と筒部108とは一緒に、衣料品100の編成された基体112を形成している。基体は(図1及び2においてハッチングで示された)湿分輸送ゾーン114を有している。
【0037】
湿分輸送ゾーン114は、少なくとも1つのベース糸と少なくとも1つの湿分輸送糸とから編成されている。
【0038】
湿分輸送ゾーン114の外部に位置する基体112の領域は、湿分輸送ゾーン114と同じベース糸から編成されていてよく、任意には1つ又は2つ以上の別の糸を有することもできる。
【0039】
しかしながら、湿分輸送ゾーン114の外部に位置する、編成された基体112の領域116を、湿分輸送ゾーン114のベース糸とは異なるベース糸から形成することもできる。
【0040】
湿分輸送ゾーン114の編成時には、少なくとも1つの湿分輸送糸が少なくとも1つのベース糸上にプレーティングされることが好ましい。
【0041】
少なくとも1つの湿分輸送糸は、衣料品100の着用状態で、ベース糸の、衣料品100の着用者の皮膚とは離反した外側にプレーティングされているか、又は衣料品100の着用状態で、ベース糸の、衣料品100の着用者の皮膚に向いた内側にプレーティングされていてよい。
【0042】
本発明の有利な構成では、少なくとも1つの湿分輸送糸は、衣料品100の着用状態で、ベース糸の、着用者の皮膚とは離反した外側にプレーティングされていることが好ましい。
【0043】
湿分輸送ゾーン114を形成するために2つ以上の湿分輸送糸を使用する場合、具体的には、第1湿分輸送糸は、衣料品100の着用状態で、ベース糸の、衣料品100の着用者の皮膚とは離反した外側にプレーティングされており、第2湿分輸送糸は、同様に衣料品100の着用状態で、ベース糸の、衣料品の着用者の皮膚とは離反した外側にプレーティングされているか、又は衣料品100の着用状態で、ベース糸の、衣料品100の着用者の皮膚に向いた内側にプレーティングされていてよい。
【0044】
少なくとも1つの湿分輸送糸は少なくとも1つのベース糸よりも高い湿分輸送能力を有している。
【0045】
具体的には、少なくとも1つの湿分輸送糸は少なくとも1つのベース糸よりも大きい繊維断面積を有しており、少なくとも1つのベース糸よりも多いフィラメント数を有しており、少なくとも1つのベース糸よりも高親水性の化学組成を有しており、且つ/又はベース糸には施されていない親水性仕上げ(いわゆる「柔軟仕上げ(Avivage)」)を施されていてよい。
【0046】
少なくとも1つの湿分輸送糸はポリエステル及び/又はポリアミドを含んでよい。
【0047】
さらに、少なくとも1つのベース糸が綿、ビスコース、リヨセル(ウールが付加されるか又は付加されない)、ポリプロピレン、ウール、麻、及び/又はポリアミド(好ましくは湿分輸送糸の構成部分としてのポリエステルとの組み合わせで)を含んでよい。
【0048】
特に有利な実施例の場合、湿分輸送糸と比較して湿分輸送能力が低いベース糸としては、繊度17dtexの二重スパンデックス糸(Elastan-Faden)が使用される。この二重スパンデックス糸は繊度16dtex及びフィラメント数10のポリアミド糸(PA6.6)で巻きつけられている。
【0049】
湿分輸送ゾーン114の外部に位置する、編成された基体112の領域116を形成するために同じベース糸が使用される。
【0050】
このようなベース糸は、衣料品100の、直接の皮膚に向いた側に直接に位置していることが好ましい。
【0051】
ベース糸に対して湿分輸送能力が高い湿分輸送糸としては、このような実施例の場合、繊度78dtex及びフィラメント数68のポリエステル糸が使用される。
【0052】
このような湿分輸送糸は、ベース糸、すなわち湿分輸送能力がより低い材料の、衣料品100の着用者の皮膚とは離反した側で外側に位置していることが好ましい。
【0053】
図1及び2から判るように、湿分輸送ゾーン114は基体112のウェール方向118に対して平行に延びる、湿分輸送ゾーン114の長手方向120に沿って第1端部122から第2端部124まで延びている。
【0054】
湿分輸送ゾーン114の第1端部122は、同一コース内に配置された1つ又は2つ以上の編み目を有することができる。このような編み目において、湿分輸送糸はベース糸上にプレーティングされている。
【0055】
湿分輸送ゾーン114の第2端部124は、同一コース内に配置された1つ又は2つ以上の編み目を有することができる。このような編み目において、湿分輸送糸はベース糸上にプレーティングされている。湿分輸送ゾーン114の第2端部124は、1つのコースによって形成されていることが好ましい。このコースの全ての編み目において湿分輸送糸はベース糸上にプレーティングされている。
【0056】
衣料品100が脚用衣料品102として形成されている図示の実施例の場合、湿分輸送ゾーン114の第1端部122は例えば衣料品100のつま先領域126の縁部に位置している。つま先領域はつま先袋(Zehenbeutel)として往復運動(Pendelgang)で編成されることが好ましい。
【0057】
湿分輸送ゾーン114の第2端部124は、一例として脚用衣料品102として形成された衣料品100の場合、好ましくは筒部108内に、衣料品100の踵領域128の上方に位置している。
【0058】
衣料品100の踵領域128は踵袋(Fersenbeutel)として、往復運動(Pendelgang)で編成されることが好ましい。
【0059】
湿分輸送ゾーン114は湿分受容領域130と湿分放出領域132とを有している。
【0060】
湿分受容領域130内では、主として湿分、特に汗が衣料品100の着用者から受容され、この湿分は湿分受容領域130へ向かって輸送される。
【0061】
湿分放出領域132内では、主として湿分受容領域130を通して輸送された湿分、具体的には汗が蒸発によって周囲に放出される。
【0062】
湿分輸送ゾーン114の第1端部122で始まる湿分受容領域130内では、1コース当たりに含有される湿分輸送糸の質量が、湿分輸送ゾーン114の長手方向120に沿って増大し、それも好ましくは定常的に増大する。
【0063】
具体的には、衣料品100の、編成された基体112の(ウェール方向118に対して直角に配向された)コース方向134における湿分受容領域130の広がりは、湿分輸送ゾーン114の長手方向120に沿って増大していてよい。
【0064】
コース方向134における基体112の広がり全体に対する基体112のコース方向134における湿分受容領域130の広がりの比率が、100%未満であり、具体的には少なくとも部分的に最大で70%であり、特に有利には少なくとも部分的に最大で50%であることが好ましい。
【0065】
コース方向134における基体112の広がり全体に対する基体112のコース方向134における湿分受容領域130の広がりの比率は、湿分輸送ゾーン114の長手方向120に沿って増大していることが好ましい。
【0066】
例えば図1及び2から判るように、コース方向134における基体112の広がり全体に対する基体112のコース方向134における湿分受容領域130の広がりの比率は、湿分輸送ゾーン114の長手方向120に沿って、つま先領域126と踵領域との間に位置する衣料品100のソール領域136内で0%から、好ましくはほぼ線形に、踵領域128への移行部における50%まで上昇する。
【0067】
コース方向134における基体112の広がり全体に対する基体112のコース方向134における湿分受容領域130の広がりの比率は、湿分輸送糸がベース糸上にプレーティングされている、1つのコースの編み目の比率に相当する。
【0068】
湿分受容領域130は実質的に踵領域128全体を含むので、このような領域内では、コース方向134における、ここでは足甲領域138をも含む基体112の広がり全体に対する基体112のコース方向134における湿分受容領域130の広がりの比率は、ほぼ50%である。
【0069】
図2から判るように、湿分受容領域130は楔状の区分140を有している。楔状区分は湿分輸送ゾーン114の第1端部122から踵領域128の縁部まで延びており、好ましくはつま先領域126、踵領域128、及びこれらの領域間に位置するソール領域136の共通の長手方向軸線146に対してほぼ対称的である。
【0070】
図1から最もよく判るように、踵領域128に続いて上方へ向かって湿分受容領域130の第1筒区分142が設けられている。第1筒区分142内では、コース方向134における基体112の広がり全体に対する基体112のコース方向134における湿分受容領域130の広がりの比率は、湿分輸送ゾーン114の長手方向120に沿って、好ましくはほぼ50%でほぼ一定のままである。
【0071】
第1筒区分142に続いて上方へ向かって、湿分受容領域130の第2筒区分144が設けられている。第2筒区分内では、コース方向134における基体112の広がり全体に対する基体112のコース方向134における湿分受容領域130の広がりの比率は、湿分輸送ゾーン114の長手方向120に沿って、好ましくはほぼ100%までさらに増大している。
【0072】
湿分受容領域130の第2筒区分144は、衣料品100の着用状態において、衣料品100の着用者の踝の領域内に位置することが好ましい。
【0073】
湿分放出領域132は湿分輸送ゾーン114の長手方向120において、好ましくは上方へ向かって、湿分受容領域130の第2筒区分144に続いて設けられている。
【0074】
湿分放出領域132内では、コース方向134における基体112の広がり全体に対する基体112のコース方向134における湿分放出領域132の広がりの比率は、好ましくはほぼ100%である。
【0075】
湿分放出領域132はつまり好ましくは衣料品100の基体112の周方向に沿って、基体112の周りに完全に延びている。
【0076】
湿分輸送糸がベース糸上に完全にプレーティングされている湿分放出領域132が大きければ大きいほど、湿分は湿分放出領域132内で周囲により効果的に放出することができる。
【0077】
湿分受容領域130内の湿分輸送糸の1コースあたりの質量が湿分輸送ゾーン114の長手方向120に沿って高まることによって、衣料品100の着用者の皮膚から受容された湿分、具体的には汗に対する吸引作用が、湿分輸送ゾーン114の長手方向120に、湿分放出領域132へ向かって生じる。
【0078】
湿分は最小抵抗の原理に基づいて湿分輸送ゾーン114の内部に分布される。
図1
図2
【国際調査報告】