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特表2022-519202レーザ加工に及ぼすレーザ加工パラメータの影響を自動的に特定する方法ならびにレーザ加工機械およびコンピュータプログラム製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(54)【発明の名称】レーザ加工に及ぼすレーザ加工パラメータの影響を自動的に特定する方法ならびにレーザ加工機械およびコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/00 20140101AFI20220314BHJP
【FI】
B23K26/00 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021543427
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(85)【翻訳文提出日】2021-07-27
(86)【国際出願番号】 EP2020052016
(87)【国際公開番号】W WO2020157050
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】102019201033.4
(32)【優先日】2019-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506065105
【氏名又は名称】トルンプフ レーザー- ウント ジュステームテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Laser- und Systemtechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Strasse 2, D-71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アルトゥール シェレンベルク
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ゼーバッハ
【テーマコード(参考)】
4E168
【Fターム(参考)】
4E168AD07
4E168BA32
4E168CB03
4E168DA23
4E168DA26
4E168DA42
4E168DA43
4E168FB02
4E168FB03
(57)【要約】
レーザビームによるレーザ加工にレーザ加工パラメータが及ぼす影響を特定する、本発明による方法は、以下のステップ、すなわち、(a)レーザ加工パラメータの異なる値(W~W)で直線状のレーザ加工(12)を実行し、特に自動的に実行し、レーザ加工(12)の際に、少なくとも不完全加工が生じるまでレーザビームの送り速度(v)をそれぞれ増大させるステップと、(b)レーザ加工(12)の測定される加工長さ(L~L)、対応する加工時間(t~t)、または対応する不完全発生速度(v)に基づき、レーザ加工(12)の加工長さ(L~L)、対応する加工時間(t~t)または対応する不完全発生速度(v)と、レーザ加工パラメータとの間の関係を特定する、特に自動的に特定するステップと、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザビーム(5)によるレーザ加工にレーザ加工パラメータが及ぼす影響を特定する、特に自動的に特定する方法であって、以下のステップ、すなわち、
(a)前記レーザ加工パラメータの異なる値(W~W)で直線状のレーザ加工(12;22;32)を実行し、特に自動的に実行し、前記レーザ加工(12;22;32)の際に、少なくとも不完全加工が生じるまで前記レーザビーム(5)の送り速度(v)をそれぞれ増大させるステップと、
(b)前記レーザ加工(12;22;32)の測定される加工長さ(L~L)、対応する加工時間(t~t)、または対応する不完全発生速度(vA,1~vA,5)に基づき、前記レーザ加工(12;22;32)の加工長さ(L)、対応する加工時間(t)または対応する不完全発生速度(v)と、前記レーザ加工パラメータとの間の関係を特定する、特に自動的に特定するステップと、を有する、方法。
【請求項2】
前記レーザビーム(5)による被加工物加工に及ぼす切断パラメータの影響を、以下のステップによって特定する、特に自動的に特定する、すなわち、
(a)被加工物(6)において、前記切断加工パラメータの異なる値(W~W)で直線状のレーザ切断(12)を実行し、特に自動的に実行し、
複数の前記レーザ切断(12)の際に、少なくとも不完全切断が生じるまで、切断速度(v)をそれぞれ増大させるステップと、
(b)前記レーザ切断(12)の測定される切断長さ(L~L)、対応する切断時間(t~t)、または対応する不完全発生速度(vA,1~vA,5)に基づき、前記レーザ切断(12)の切断長さ(L)と、対応する切断時間(t)または対応する不完全発生速度(v)と、前記切断パラメータとの間の関係を特定する、特に自動的に特定するステップと、によって特定する、特に自動的に特定する、ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レーザビーム(5)による被加工物加工に及ぼす溶接パラメータの影響を、以下のステップによって特定する、特に自動的に特定する、すなわち、
(a)被加工物(6)において、前記溶接パラメータの異なる値(W~W)で、直線状のレーザ裏波溶接(22)を実行し、特に自動的に実行し、前記レーザ裏波溶接(22)の際に、少なくとも不完全裏波溶接が生じるまで、溶接速度(v)をそれぞれ増大させるステップと、
(b)前記レーザ裏波溶接(22)の測定される裏波溶接長さ(L~L)、対応する溶接時間(t~t)、または対応する不完全裏波溶接速度(vA,1~vA、5)に基づき、前記レーザ裏波溶接(22)の裏波溶接成長さ(L)、対応する溶接時間(t)または対応する不完全裏波溶接速度(v)と、前記溶接パラメータとの間の関係を特定する、特に自動的に特定するステップと、によって特定する、特に自動的に特定する、ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レーザビーム(5)によって金属粉末を再溶融させる際の再溶融パラメータの影響を、以下のステップによって特定する、特に自動的に特定する、すなわち、
(a)前記再溶融パラメータの異なる値(W~W)において、直線状の溶融トレース(32)を生成し、特に自動的に生成し、前記溶融トレース(32)において、少なくとも不完全溶融トレースが生じるまで、前記レーザビーム(5)の送り速度(v)をそれぞれ増大させるステップと、
(b)前記溶融トレース(32)の測定される溶融トレース長さ(L~L)、対応する再溶融時間(t~t)、または対応する不完全溶融トレース速度(vA,1~vA,5)に基づき、前記溶融トレース(32)の溶融トレース長さ(L)、対応する再溶融時間(t)または対応する不完全溶融トレース発生速度(v)と、再溶融パラメータとの間の関係を特定する、特に自動的に特定するステップと、によって特定する、特に自動的に特定する、ことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記レーザ加工パラメータは、レーザビーム側のパラメータ、特に波長、ビーム品質、強度分布、ビーム方向(z)におけるレーザビームの焦点位置、焦点直径またはレーザ出力であり、かつ/または前記レーザ加工パラメータは、特に、ノズルタイプ、ノズル直径、およびノズルと被加工物との間隔によって決定される、あらかじめ設定されるガス組成におけるガスダイナミックパラメータである、ことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
特にすべてのレーザ加工(12;22;32)について、少なくとも不完全加工が発生するまで同様に、ステップ的にまたは連続的に前記送り速度(v)を増大させる、ことを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記不完全加工に達した際に前記レーザビーム(5)を停止させる、ことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記レーザ加工(12;22;32)の前記加工長さ(L)もしくは対応する前記加工時間(t)もしくは対応する前記不完全発生速度(v)が最大であるパラメータ値を前記最適パラメータ値として特定し、特に自動的に特定する、ことを特徴とする、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記レーザ加工(12;22;32)の前記加工長さ(L)、対応する前記加工時間(t)または前記不完全発生速度(v)を補間することによって前記最適パラメータ値を特定し、特に自動的に特定する、ことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
特定対象の前記最適パラメータ値は、前記レーザビーム(5)の、ビーム方向(z)における最適焦点位置(Fopt)であり、ステップ(a)では、前記レーザビーム(5)の、ビーム方向(z)の異なる焦点位置において前記レーザ加工(12;22;32)を実行する、ことを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
異なるレーザ出力(L、L)についてそれぞれ前記レーザビーム(5)の、ビーム方向(z)における前記最適焦点位置(Fopt)を特定し、前記最適焦点位置(Fopt)から、出力に依存する焦点シフト(ΔF)を特定する、ことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
特定対象の前記最適パラメータ値は、前記レーザビーム(5)の最適焦点直径(dopt)であり、ステップ(a)では、前記レーザビーム(5)の異なる焦点直径において前記レーザ加工(12;22;32)を実行する、ことを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項13】
名目上同じレーザ出力および名目上同じ焦点直径において、前記レーザ加工パラメータ「ビーム方向(z)における前記レーザビーム(5)の焦点位置」の異なる値について、異なる2つの時点に前記ステップ(a)および(b)を実行し、特に自動的に実行し、前記レーザ加工(12;22;32)の前記加工長さ(L)、対応する前記加工時間(t)または前記不完全発生速度(v)と、前記レーザ加工パラメータ「ビーム方向(z)における前記レーザビーム(5)の焦点位置」との間でそれぞれ特定される関係を互いに比較することにより、加工面(6)に当たる前記レーザ出力の変化、または前記レーザビーム(5)の前記加工面における前記焦点直径の変化のいずれかを確定し、特に自動的に確定する、ことを特徴とする、請求項1から12までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
レーザビーム(5)を生成するレーザビーム発生源(2)と、共に互いに相対的に可動である、前記レーザビーム(5)が出射するレーザ加工ヘッド(3)および被加工物または粉末テーブル(4)と、レーザ加工の際に、少なくとも不完全加工が発生するまで、前記レーザビーム(5)の送り速度(v)を高めるようにプログラミングされている機械制御部(11)と、を有する、レーザ加工機械(1)。
【請求項15】
不完全加工を検出する不完全検出器(14)を有する、ことを特徴とする、請求項14に記載のレーザ加工機械。
【請求項16】
前記加工長さ(L)、前記加工時間(t)または前記不完全発生速度(v)ならびに前記レーザ加工パラメータの対応する値が特に自動的に記憶されるデータ記憶装置(15)を有する、ことを特徴とする、請求項14または15に記載のレーザ加工機械。
【請求項17】
記憶されたデータに基づいて、前記加工長さ(L)、対応する前記加工時間(t)または対応する前記不完全発生速度(v)と、前記レーザ加工パラメータとの間の関係を自動的に特定し、特に、特定された複数の関係を互いに自動的に比較して評価するように前記機械制御部(11)がプログラミングされている、ことを特徴とする、請求項16に記載のレーザ加工機械。
【請求項18】
レーザ加工機械(1)の機械制御部(11)上でプログラムが動作する場合に、請求項1から13までのいずれか一項に記載の方法のすべてのステップを実行するように適合化されているコード手段を有するコンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビームによるレーザ加工に及ぼすレーザ加工パラメータの影響を特定する方法と、この方法を実施するのに適したレーザ加工機械と、コンピュータプログラム製品とに関する。
【0002】
レーザビームを用いて切断する際には、切断品質が低下し、不完全切断を生じてしまうことさえもある。原因は、多くの場合、レーザビームプロフィールの逸脱である。その結果、長い機械動作不能時間およびカスタマーの不満が生じてしまう。現在のところ、誤りの原因を機械によって調べることはできず、それに適格な従業員が問題に扱えるようにするために、レーザ加工機械を停止させなければならない。現在のところ、レーザ加工機械の光学的な目標状態を設定もしくは検査するために、さまざまな方法が使用されているが、これらは主観的な評価の影響下にある。さらに、例えば、出力に依存する焦点シフト、出力損失、焦点直径変化などを特定するためには、コストのかかる測定手段、大きな時間コスト、および専門のノウハウが必要である。
【0003】
本発明の根底にある課題は、これに対し、レーザ加工に及ぼすレーザ加工パラメータの影響を特に自動的に特定できるようにする簡単かつコスト的に有利な方法を提供することである。特に、最短時間で最適なレーザ加工パラメータ値およびレーザ加工パラメータ変化の原因も見つけられるようにしたい。
【0004】
この課題は、本発明にしたがい、レーザビームによるレーザ加工にレーザ加工パラメータが及ぼす影響を特定する、特に自動的に特定する方法によって解決され、この方法は、以下のステップ、すなわち、
(a)レーザ加工パラメータの異なる値で直線状のレーザ加工を実行し、特に完全自動で実行し、レーザ加工の際に、少なくとも不完全加工が生じるまでレーザビームの送り速度をそれぞれ増大させるステップと、
(b)レーザ加工の測定される加工長さ、対応する加工時間、または対応する不完全発生速度に基づき、レーザ加工の加工長さ、対応する加工時間または対応する不完全発生速度と、レーザ加工パラメータとの間の関係を特定する、特に完全自動で特定するステップと、を有する。
【0005】
本発明では、レーザ加工プロセスが原因で発生する不完全加工が、センサ(例えばレーザビーム発生源におけるフォトダイオード)により、完全自動(無人)で、または操作員により、レーザ加工パラメータに依存して検出される。評価は、レーザ加工機械の機械制御部によって完全自動(無人)で行われるかまたは操作員によって行われる。レーザ加工パラメータは、好ましくは、レーザビーム側のパラメータ(波長、ビーム品質、強度分布、ビーム方向におけるレーザビームの焦点位置(z焦点位置)、レーザビームまたはレーザケーブルの焦点直径、レーザ出力、…)であるか、かつ/または特にノズルタイプ、ノズル直径、およびノズルと被加工物との間隔によって決定される、あらかじめ設定されるガス組成におけるガスダイナミックパラメータである。
【0006】
送り速度は、開始・送りから出発して、レーザビームを点火して、つねに同じように、例えば連続的またはステップ的に最終・送りまで加速される。レーザ側のセンサにより、完全自動かつ無人で、レーザ加工開始とそれぞれの不完全レーザ加工との間のレーザ加工時間を検出する。加速がつねに一定であることにより、レーザ加工時間は、レーザ加工パラメータのそれぞれの値におけるそれぞれのレーザ加工長さを表す。択一的には、機械制御部により、不完全の時点の送り速度を、不完全発生速度として決定して、レーザ加工パラメータのそれぞれの値に対応付けることも可能であり、この場合にはレーザ加工速度は、つねに一定に加速される必要はなく、任意に加速可能である。手動による変形形態では、レーザ加工長さが、操作員によって測定され、レーザ加工パラメータのそれぞれの値に対応付けられる。
【0007】
方法の好ましい第1変形形態では、レーザビームによる被加工物加工に及ぼす切断パラメータの影響を、以下のステップによって特定する、特に自動的に特定する、すなわち、
(a)被加工物において、切断パラメータの異なる値で直線状のレーザ切断を実行し、特に自動的に実行し、レーザ切断の際に、少なくとも不完全切断が生じるまで切断速度をそれぞれ増大させるステップと、
(b)レーザ切断の測定される切断長さ、対応する切断時間、または対応する不完全発生速度に基づき、レーザ切断の切断長さ、対応する切断時間または対応する不完全発生速度と、切断パラメータとの間の関係を特定する、特に自動的に特定するステップと、によって特定する、特に自動的に特定する。
【0008】
方法の好ましい第2変形形態では、レーザビームによる被加工物加工に及ぼす溶接パラメータの影響を、以下のステップによって特定する、特に自動的に特定する、すなわち、
(a)被加工物において、溶接パラメータの異なる値で、直線状のレーザ裏波溶接を実行し、特に自動的に実行し、レーザ裏波溶接の際に、少なくとも不完全裏波溶接、すなわち溶込みへの移行部が生じるまで、溶接速度をそれぞれ増大させるステップと、
(b)レーザ裏波溶接の測定される裏波溶接長さ、対応する溶接時間、または対応する不完全発生速度に基づき、レーザ裏波溶接の裏波溶接長さ、対応する溶接時間または対応する不完全発生速度と、溶接パラメータとの間の関係を特定する、特に自動的に特定するステップと、によって特定する、特に自動的に特定する。
【0009】
例えば、光学系の汚れに起因するレーザビームの変化は、機械内の伝搬区間によって識別可能であり、溶接結果へのマイナスの影響は早期に阻止可能である。溶接光学系(スパッタ)の汚れにより、レーザ出力の一部は、光学コンポーネントにおいて吸収され、被加工物におけるプロセスにおいて不足してしまう。これに対応して、裏波溶接閾値に早期に達成してしまい(というのはエネルギの一部が不足しているからである)、裏波溶接区間が、対応して短くなってしまう。このことは、上で示した方法によって検出可能である。レーザビーム溶接の際に溶接プロセスを用いてレーザビーム特性を診断するためには、いわゆる裏波溶接閾値を使用する。これは、溶込みプロセスから裏波溶接プロセスへの移行またはその逆である。すなわち、裏波溶接閾値においては、ビームエネルギは、板厚全体にわたって材料を溶解させるためにちょうど十分である。その他のパラメータ設定を一定に保ち、速度を連続して増大させる。最初に、板の裏波溶接を過剰出力で行う。速度がさらに増大すると、ここでは評価のための判定基準として使用される上述の裏波溶接閾値に到達する。送りをさらに増大させると、裏波溶接のためのエネルギが不足し、これにより、さらに進むと、溶込みもしくは裏波溶接の不完全性が発生する。次のステップにおいて、例えば、焦点位置が変化すると、裏波溶接閾値の進みが、変化し、溶接継ぎ目の幅が比較的広い場合にはより早く発生し、または溶接継ぎ目幅が比較的狭い場合にはより遅く発生する。最長区間は、焦点位置の変化を介し、板下面において手動で測定可能であるか、またはセンサ(例えば、溶込み深さセンサ(OCT)またはレーザ装置内部ダイオード)によって自動的に検出可能である。これにより、閾値を越えた際にレーザ側の特性を検査し、機械の状態監視部において再現して推奨処理を推奨可能である。
【0010】
方法の好ましい第3変形形態では、レーザビームによって金属粉末を再溶融させる際の再溶融パラメータの影響を、以下のステップによって特定する、特に自動的に特定する、すなわち、
(a)再溶融パラメータの異なる値において、直線状の溶融トレースを生成し、特に自動的に生成し、溶融トレースにおいて、少なくとも不完全溶融トレースが生じるまで、レーザビームの送り速度をそれぞれ増大させるステップと、
(b)溶融トレースの測定される溶融トレース長さ、対応する再溶融時間、または対応する不完全発生速度に基づき、溶融トレースの溶融トレース長さ、対応する再溶融時間または対応する不完全発生速度と、再溶融パラメータとの間の関係を特定する、特に自動的に特定するステップと、によって特定する、特に自動的に特定する。
【0011】
レーザメタルデポジション(LMD:Laser Metal Deposition)プロセスにおけるプロセス粉末の混入状況下での、例えば光学系の汚れに起因する光学セットアップの変化は、機械内の伝搬区間によって識別可能であり、再溶解結果へのマイナスの影響は早期に阻止可能である。他の制御変数がステップ的に変化する状況下において、制御変数が直線的に変化することにより、最長の再溶解トレースが特定され、この最長の再溶融トレースは、設定されたエネルギ供給において、粉末もしくは粉末噴射との相互作用下で発生する。最長の溶融トレースは、機械のレーザ側のセンサにより、自動的に評価される。レーザビームのエネルギは、レーザビームウエスト位置に依存して、異なる効率で、金属粉末の溶融および再溶融に使用される。効果量として、特定の再溶融レートを生じさせる、レーザビームと粉末との間の相互作用長さが観察可能である。本発明によれば、LMDプロセスの水平方向の、傾斜した、または垂直方向の配置において機械状態を評価することを目的として、プロセス診断に再溶融レートを使用可能である。
【0012】
与えられた相互作用長さにおいて送り速度が増大すると、限界速度に到達し、この限界速度以降では、エネルギ入力が少なすぎることによって再溶融が、もはや十分には行わなくなり、相互作用長さが、短くなりすぎ、また流動化された粉末が、被加工物表面に結合されなくなる。これにより、この限界速度において、最大溶融トレース長さが発生する。この限界速度を上回ると、粉末はレーザビームを吸収するが、支持体材料とはもはや結合しない。溶融トレース長さの特定は、例えば、プロセス側の散乱光を評価することによって行われ、溶融物が支持体材料に結合する際には、放射の変化が生じる。プロセス開始時点から信号変化までの時間を特定することができ、これにより、限界速度または不完全発生速度を計算可能である。最大溶融トレース長さは、三角測量またはOCTベースの方法によって行うことも可能である。
【0013】
本発明は、材料を切断するおよび溶融または再溶融するためにエネルギが十分であれば、cwモードにもパルスモードに適している。
【0014】
好適には、不完全加工に達した際に、例えば、光源におけるレーザ側のセンサによって、または光源の外部のセンサによってレーザを停止させる。
【0015】
特に好ましくは、レーザ加工の加工長さもしくは対応する加工時間もしくは対応する不完全発生速度が最大であるパラメータ値を最適パラメータ値として特定し、特に自動的に特定する。この際に、この最適パラメータ値は、測定される加工長さ、測定される加工時間または決定される不完全発生速度を補間することによって特定可能である。完全自動化されている場合には、機械はそれ自体で、この最適パラメータ値に設定可能である。このため、最適パラメータ値は、レーザ加工機械が変わってもほとんど互いに逸脱しない。というのは、主観的な評価はないからである。
【0016】
特定対象の最適パラメータ値が、レーザビームの最適z焦点位置である場合、ステップ(a)では、レーザビームの異なるz焦点位置においてレーザ加工を実行する。異なるレーザ出力についてそれぞれレーザビームの最適z焦点位置を特定する場合、ここから、出力に依存する焦点シフトが特定可能である。
【0017】
特定対象の最適パラメータ値が、レーザビームの最適焦点直径である場合、ステップ(a)では、レーザビームの異なる焦点直径においてレーザ加工を実行する。
【0018】
時間の経過と共に発生する出力損失または時間の経過と共に発生するビームの広がりを確定できるようにするために、名目上同じレーザ出力および名目上同じ焦点直径において、レーザ加工パラメータ「z焦点位置」の異なる位置について、異なる2つの時点にステップ(a)および(b)を実行し、特に自動的に実行する。レーザ加工の加工長さ、対応する加工時間または不完全発生速度と、レーザ加工パラメータ「z焦点位置」との間でそれぞれ特定される関係(曲線)を互いに比較して、これにより、出力損失またはレーザの広がりを確定する。出力損失の場合、レーザ加工パラメータ「z焦点位置」のすべての値域にわたり、後に特定される曲線において、それぞれの加工長さ、加工時間または不完全発生速度の減少(負のオフセット)が生じる。これに対し、ビームの広がりの場合、2つの曲線が、それぞれ高いおよび低い焦点位置において交わり、後に記録される曲線は、これらの2つの交点間の領域において負のオフセットを有し、かつこの領域外にそれぞれ1つの正のオフセットを有する。
【0019】
本発明は、レーザビームを生成するレーザビーム発生源と、共に互いに相対的に可動である、レーザビームが出射するレーザ加工ヘッドおよび被加工物または粉末テーブルと、被加工物をレーザ加工する際に、少なくとも不完全加工が発生するまで、送り速度を高めるようにプログラミングされている機械制御部とを有するレーザ加工機械にも関する。
【0020】
好適には、レーザ加工機械は、不完全加工を検出する不完全検出器、加工長さ、加工時間または不完全発生速度、ならびにレーザ加工パラメータの対応する値を互いに対応付けて記憶するデータ記憶装置を有する。
【0021】
特に好ましくは、記憶されたデータに基づいて、加工長さ、対応する加工時間または対応する不完全発生速度と、レーザ加工パラメータとの間の関係を自動的に特定し、特に、特定された複数の関係を互いに自動的に比較して評価するように機械制御部がプログラミングされている。
【0022】
最後に、本発明は、レーザ加工機械の機械制御部上でプログラムが動作する場合に、上で説明された方法のすべてのステップを実行するように適合化されているコード手段を有するコンピュータプログラム製品にも関する。
【0023】
本発明の対象の別の利点および有利な実施形態は、以下の説明、特許請求の範囲および図から明らかになる。同様に、上で挙げられておりかつ以下にさらに説明される特徴的構成はそれぞれ、それ自体で、または複数の任意の組み合わせで使用可能である。図示されかつ説明される複数の実施形態は、完全な列挙と理解されるべきではなく、むしろ、本発明を説明するための例示的な特徴を有すると理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明による方法を実施するのに適したレーザ加工機械を示す図である。
図2】切断パラメータの異なる値について、不完全切断速度までにそれぞれ実行されるレーザ切断の切断長さを示す図である。
図3】不完全切断速度までにそれぞれ実行されるレーザ切断の切断長さ/切断時間/不完全切断速度と、切断パラメータ「レーザビームのz焦点位置」との間の関係を示す線図である。
図4】焦点シフトの場合に対し、不完全切断速度までにそれぞれ実行されるレーザ切断の切断長さ/切断時間/不完全切断速度と、切断パラメータ「レーザビームのz焦点位置」との間の関係を2つの異なるレーザ出力についてそれぞれ示す線図である。
図5】不完全切断速度までにそれぞれ実行されるレーザ切断の切断長さ/切断時間/不完全切断速度と、切断パラメータ「レーザビームのz焦点位置」との間の関係を、異なるレーザ出力についてそれぞれ示す線図である。
図6】不完全切断速度までにそれぞれ実行されるレーザ切断の切断長さ/切断時間/不完全切断速度と、切断パラメータ「レーザビームのz焦点位置」との間の関係を、異なる焦点直径についてそれぞれ示す線図である。
図7】溶接パラメータの異なる値について、不完全発生速度までにそれぞれ実行されるレーザ裏波溶接の裏波溶接長さを示す図である
図8】不完全発生速度までにそれぞれ実行されるレーザ裏波溶接の裏波溶接長さ/溶接時間/不完全発生速度と、溶接パラメータ「レーザビームのz焦点位置」との間の関係を示す線図である。
図9】再溶融パラメータの異なる値について、不完全発生速度までにそれぞれ形成される溶融トレースの溶融トレース長さを示す図である。
図10】不完全発生速度までにそれぞれ形成される溶融トレースの溶融トレース長さ/再溶融時間/不完全発生速度と、再溶融パラメータ「レーザビームのz焦点位置」との間の関係を示す線図である。
【0025】
図1に斜視図で描画されたレーザ加工機械1は、レーザビーム発生源2として、例えば、COレーザ、ダイオードレーザまたは固体レーザと、X方向およびY方向に移動可能な(レーザ)加工ヘッド3と、ここでは被加工物テーブルとして構成された被加工物または粉末テーブル4とを有する。レーザビーム発生源2では、レーザビーム5(cwモードまたはパルスモード)が生成され、レーザビーム5は、(図示されない)光ケーブルまたは(図示されない)偏向ミラーによって、レーザビーム発生源2から加工ヘッド3に案内される。被加工物テーブル4には、プレート状の被加工物6が配置されている。レーザビーム5は、加工ヘッド3に配置された集束光学系を用いて被加工物6に向けられる。レーザ切断装置1には、さらに、切断ガス7、例えば酸素および窒素が、またLMDプロセス用にはヘリウムまたはアルゴンが、供給される。それぞれの切断ガス7の使用は、被加工物材料および切断エッジに対する品質要求に依存する。さらに、被加工物テーブル4の下にある吸込みチャネル9に接続されている吸込み装置8が設けられている。切断ガス7は、加工ヘッド3の切断ガスノズル10に供給され、この加工ヘッド3から切断ガス7がレーザビーム5と共に放出される。レーザ加工機械1はさらに、機械制御部11を有する。
【0026】
レーザビーム5のエネルギにより、被加工物6では、特定の溶融体積もしくは特定の溶融レートを生成可能である。例えば、比較的大きな焦点直径もしくはビーム直径に起因して、レーザ切断の際にレーザビーム5のエネルギが、被加工物6において、レーザビーム5の送り方向に対して横方向により多くデポジットされる場合、最大限に可能な切断速度は減少する。
【0027】
被加工物6をレーザ切断する際の切断パラメータの、例えば切断パラメータの「レーザビーム5のz焦点位置F」の影響を特定するために、以下のようにする。すなわち、
図2に示されているように、被加工物6では(機械制御部11によって完全自動で制御されて)開始点Xにおいて複数のレーザ切断12を送り方向13に行い、しかもここでは異なる5つの切断パラメータの値W~Wについて行う。レーザ切断12の際には、少なくとも終点X1,max~X5,maxにおいてそれぞれ不完全切断が生じるまで、レーザビーム5の切断速度vをそれぞれ増大させる。不完全検出器14、例えばレーザビーム発生源2のフォトダイオードにより、不完全切断を検出して、レーザビーム5を停止する。
【0028】
引き続き、(機械制御部11によって完全自動で制御されて)、レーザ切断12の測定される切断長さL~L、対応する切断時間t1~、または対応する不完全切断速度vA,1~vA,5に基づき、レーザ切断12の切断長さL、対応する切断時間tまたは対応する不完全切断速度vと、切断パラメータとの間の関係を特定する。
【0029】
z焦点位置の変化により、異なるエネルギ量が、送り方向に対して横方向にデポジットされ、これにより、異なる不完全切断速度が生じる。すなわちレーザ切断12もしくは切断時間tの長さが異なる。切断開始および不完全切断との間の切断時間tは、不完全検出器14を用いて検出される。択一的には、不完全切断の時点の切断速度を、機械制御部11により、不完全切断速度vとして確定し、切断パラメータのそれぞれの値に対応付けることが可能である。
【0030】
図3には、それぞれ不完全切断速度までに実行されるレーザ切断12の切断長さL/切断時間t/不完全切断速度vと、切断パラメータ「レーザビーム5のz焦点位置F」との間の補間された関係が描画されている。すなわち、制御変数は、レーザビーム5のz焦点位置Fである。このz焦点位置Fを変更し、レーザ切断12を連続した加速度で不完全切断まで実行する。引き続き、z焦点位置を変更し、機械軸線を次の位置に移動し、被加工物6において、レーザ切断12を同じ連続した加速度で不完全切断まで繰り返す。レーザ切断12の切断長さLもしくは対応する切断時間tもしくは対応する不完全切断速度vが最大である、レーザビーム5のz焦点位置を、機械制御部11によって自動的に最適焦点位置Foptとして特定し、機械制御部11は、この最適焦点位置Foptにレーザビーム5の焦点位置を自立的に設定する。
【0031】
図4に示されているように、レーザ切断12の切断長さL/切断時間t/不完全切断速度vと、z焦点位置Fとの間の関係をそれぞれ、2つの異なるレーザ出力LおよびL(L>L)について記録し、それぞれの最適焦点位置Fopt,L1およびFopt,L2を特定し、これにより、ここから、出力依存の焦点シフトΔF=Fopt,L1-Fopt,L2を特定可能である。
【0032】
図5には、レーザ切断12の切断長さL/切断時間t/不完全切断速度v間の関係が、レーザビーム12のz焦点位置に依存して、それぞれ異なるレーザ出力L、L、L(L>L>L)について示されている。出力がより小さい場合には、出力がより大きい場合の切断長さ、切断時間または不完全切断速度と比べ、z焦点位置Fのすべての値域にわたり、それぞれの切断長さ、切断時間または不完全切断速度の減少(負のオフセット)が生じている。
【0033】
図6には、レーザ切断12の切断長さL/切断時間t/不完全切断速度v間の関係が、レーザビーム12のz焦点位置に依存して、レーザビーム12のそれぞれ異なる焦点直径d、d、d、d(d>d>d>d)について示されている。個々の曲線は、高い焦点位置および低い焦点位置においてそれぞれ交わっている。焦点直径がより大きい場合と比べると、焦点直径がより小さい場合の切断長さ、切断時間または不完全切断速度は、2つの交点の間に領域において、負のオフセットを有し、この領域外では正のオフセットを有する。
【0034】
時間の経過と共に発生する出力損失または時間の経過と共に発生するビームの広がりを確定できるようにするために、名目上同じレーザ出力および名目上同じ焦点直径において、切断長さL/切断時間t/不完全切断速度vと、レーザビーム12の「z焦点位置」との関係を異なる2つの時点に特定する。図5および図6の異なる曲線経過に基づき、出力損失またはビームの広がりを確定できるようにするために、特定された曲線を互いに比較する。
【0035】
機械側での実行は、例えば、次のように行うことが可能である。すなわち、
1.z焦点位置Fに依存して、切断長さL/切断時間Δt/不完全切断速度vを検出することにより、それぞれのレーザ加工機械1の実際状態を特定する。
2.特定された値を基準値として、機械制御部11のデータ記憶装置15に格納する。
3.機械制御部11により、自立的、無人かつ完全自動で、ユーザによって任意に自由に定められた時点に、格納された値に対して実際値をチェックする。
4.機械制御部11のアルゴリズムにより、結果を評価する。
5.必要でありかつ可能であれば、指示もしくは推奨処理と共に、制限された再調整(レーザ出力、焦点位置、…)を行う。
6.定められた限界を上回った後、警告表示を挿入するか、もしくはサービスコールを推奨する。
7.信号機能に機械状態を表示する。
【0036】
結果的に、上で説明した方法により、切断パターンを用いて、デジタル化されたデータが収集可能になり、これらのデータから、可能であれば、レーザ加工機械1は自立的に調整される。
【0037】
被加工物6をレーザ溶接する際の溶接パラメータの、例えば溶接パラメータの「レーザビーム5のz焦点位置F」の影響を特定するために、以下のようにする。すなわち、図7に示されているように、被加工物6では(機械制御部11によって完全自動で制御されて)開始点Xにおいて複数のレーザ裏波溶接22を送り方向23に行い、しかもここでは、溶接パラメータの異なる5つの値W~Wについて行う。レーザ裏波溶接22の際には、少なくとも終点X1,max~X5,maxにおいてそれぞれ不完全裏波溶接が生じるまで、レーザビーム5の溶接速度vをそれぞれ増大させる。不完全検出器14により、不完全裏波溶接を検出して、レーザビーム5を停止する。引き続き、(機械制御部11によって完全自動で制御されて)、レーザ裏波溶接22の測定される裏波溶接長さL~L、対応する溶接時間t~t、または対応する不完全裏波溶接速度vA,1~vA,5に基づき、レーザ裏波溶接22の裏波溶接長さL、対応する溶接時間tまたは対応する不完全裏波溶接速度vと、溶接パラメータとの間の関係を特定する。
【0038】
図8には、それぞれ不完全裏波溶接速度までに実行されるレーザ裏波溶接22の裏波溶接長さL/溶接時間t/不完全裏波溶接速度vと、溶接パラメータ「レーザビーム5のz焦点位置F」との間の補間された関係が描画されている。レーザ裏波溶接22の裏波溶接長さLもしくは対応する溶接時間tもしくは対応する不完全裏波速度vが最大である、レーザビーム5のz焦点位置を、機械制御部11により、自動的に最適焦点位置Foptとして特定し、機械制御部11は、この最適焦点位置Foptにレーザビーム5の焦点位置を自立的に設定する。焦点位置の特定は、一回はより小さなレーザ出力で、一回はより大きなレーザ出力で行うことが可能である。2つの焦点位置の差分は、出力依存の焦点シフトに対応する。
【0039】
LMDプロセスにおいて、レーザビーム5を用いて金属粉末を再溶融する際の再溶融パラメータの、例えば再溶融パラメータの「レーザビーム5のz焦点位置F」の影響を特定するために、以下のようにする。すなわち、図9に示されているように、粉末テーブル4の粉末ベッド36では(択一的には粉末噴射も可能である)、(機械制御部11によって完全自動で制御されて)開始点Xにおいて複数の溶融トレース32を送り方向33に行い、しかもここでは、再溶融パラメータの異なる5つの値W~Wについて行う。溶融トレース32の際には、少なくとも終点X1,max~X5,maxにおいてそれぞれ不完全溶融トレースが生じるまで、レーザビーム5の送り速度vをそれぞれ増大させる。不完全検出器14により、不完全溶融トレースを検出して、レーザビーム5を停止する。引き続き、(機械制御部11によって完全自動で制御されて)、溶融トレース32の測定される溶融トレース長さL~L、対応する再溶融時間t~t、または対応する不完全溶融トレース速度vA,1~vA,5に基づき、溶融トレース32の溶融トレース長さL、対応する再溶融時間tまたは対応する不完全溶融トレース速度vと、再溶融パラメータとの間の関係を特定する。
【0040】
図10には、それぞれ不完全溶融トレース速度までに実行される溶融トレース32の溶融トレース長さL/再溶融時間t/不完全溶融トレース速度vと、再溶融パラメータ「レーザビーム5のz焦点位置F」との間の補間された関係が描画されている。溶融トレース32の溶融トレース長さLもしくは対応する再溶融時間tもしくは対応する不完全溶融トレース速度vが最大である、レーザビーム5のz焦点位置を、機械制御部11により、自動的に最適焦点位置Foptとして特定し、機械制御部11により、レーザビーム5のこの最適焦点位置Foptにレーザビーム5の焦点位置を自立的に設定する。焦点位置の特定は、一回はより小さなレーザ出力で、一回はより大きなレーザ出力で行うことが可能である。2つの焦点位置の差分は、出力依存の焦点シフトに対応する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】