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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(54)【発明の名称】照明付きカニューレ・システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20220314BHJP
   A61B 1/06 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
A61B1/00 R
A61B1/06 530
A61B1/00 713
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544202
(86)(22)【出願日】2020-02-07
(85)【翻訳文提出日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 US2020017276
(87)【国際公開番号】W WO2020163753
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】62/803,276
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518411372
【氏名又は名称】リバウンド セラピュティクス コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】REBOUND THERAPEUTICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】13900 Alton Parkway,Suite 120,Irvine,CA 92618,USA
(74)【代理人】
【識別番号】100101340
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100205730
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 重輝
(74)【代理人】
【識別番号】100213551
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 智貴
(72)【発明者】
【氏名】フラワー ロバート ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ゼックミスタ マーク ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ラム リンジー
(72)【発明者】
【氏名】マッキンタイア トッド ディー
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィス ピーター ジー
(72)【発明者】
【氏名】チット ラヴァット
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA23
4C161AA26
4C161BB01
4C161CC06
4C161DD01
4C161FF11
4C161LL03
4C161NN01
(57)【要約】
低侵襲手術に使用するのに適したカニューレが、高度に研磨され極めて円滑な内腔壁、および/またはカニューレの軸に対して特定の角度に向けられたLEDもしくは他の光源によって、改善される。本装置は、低侵襲手術に使用されるカニューレに関して、照明を改善し、かつ/または照明への要求を緩和する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体内の目標部位にアクセスするためのカニューレ・システムであって、
遠位端および近位端と、前記近位端から前記遠位端まで延びる内腔と、
前記内腔によって画定される中心長手方向軸と、前記カニューレ管の内壁に設けられた内腔面と、を備えているカニューレ管と;
前記カニューレ管の近位端の近くに配置され、前記カニューレチューブの内腔に光を投射するように構成されている光源と;を備え、
前記カニューレ管が、可視光線を透過しない不透明材料からなり、
前記内腔面が、約0.2ミクロン(8マイクロ・インチ)またはそれより平滑な平均粗さを有する、カニューレ・システム。
【請求項2】
前記カニューレ管全体が、可視光線を透過しない材料のみからなる、請求項1に記載のカニューレ・システム。
【請求項3】
前記カニューレ管が、可視光線を透過する材料から成り、前記内腔面の部材が、可視光線を透過しない材料からなる、請求項1に記載のカニューレ・システム。
【請求項4】
前記光源が、前記カニューレ管の前記近位端部に配置された複数の発光体を備え、前記発光体が主光軸によって特徴付けられ、前記主光軸が、前記カニューレ管の半径方向軸から約80°の角度に向けられる、請求項1に記載のカニューレ・システム。
【請求項5】
前記光源が、前記カニューレ管の前記近位端部に配置された複数の発光体を備え、前記発光体が主光軸によって特徴付けられ、前記主光軸が、前記カニューレ管の前記内腔面に対して約10°の角度に向けられる、請求項1に記載のカニューレ・システム。
【請求項6】
前記光源が、前記カニューレ管の前記近位端部に配置された複数の発光体を備え、前記発光体が主光軸によって特徴付けられ、前記主光軸が、前記カニューレの内壁の前記内腔面の一部分と平行に向けられる、請求項1に記載のカニューレ・システム。
【請求項7】
前記光源が、主光軸によって特徴付けられ、前記主光軸が、前記カニューレ管の半径方向軸から10~30°の角度に向けられる、請求項1に記載のカニューレ・システム。
【請求項8】
前記光源が、前記カニューレ管の前記近位端部に配置され、約60°の第1の円弧によって離された2つの発光体、または対同士が約60°の第1の円弧によって離された2対の密接した複数の発光体から構成される、請求項2から7のいずれか一項に記載のカニューレ・システム。
【請求項9】
前記カニューレ管近位端部の内径が円錐形であり、前記カニューレ管遠位端部の内径が等直径である、請求項2から7のいずれか一項に記載のカニューレ・システム。
【請求項10】
前記カニューレ管近位端部の内径が等直径であり、前記カニューレ管遠位端部の内径が等直径であり、前記カニューレ管遠位端部の内径が、前記カニューレ管近位端部の内径より小さく、前記カニューレ管近位端部と前記カニューレ管遠位端部とが、前記カニューレ管のネックダウン部分によって結合される、請求項2から7のいずれか一項に記載のカニューレ・システム。
【請求項11】
前記カニューレ管の内径が、前記近位端部から前記遠位端部まで等直径である、請求項2から7のいずれか一項に記載のカニューレ・システム。
【請求項12】
前記カニューレ管が、金属からなる、請求項2から7のいずれか一項に記載のカニューレ・システム。
【請求項13】
前記カニューレ管の前記不透明材料が、光ファイバを全く有さない、請求項2から7のいずれか一項に記載のカニューレ・システム。
【請求項14】
前記カニューレの前記近位端部に固定されたカメラ・アセンブリであって、
カメラ・アセンブリの一部分が、前記内腔上に張り出し、前記カニューレ管の前記内腔によって画定される円筒空間内に延出する、カメラ・アセンブリをさらに備え、
前記カメラ・アセンブリが、最遠位の光学面を有し、前記最遠位の光学面が、前記カニューレ管の前記近位端部の直前に配置される、
請求項2から7のいずれか一項に記載のカニューレ・システム。
【請求項15】
前記カニューレの前記近位端部に固定されたカメラ・アセンブリであって、
カメラ・アセンブリの一部分が、前記内腔上に張り出し、前記カニューレ管の前記内腔によって定義される円筒空間内に延出する、カメラ・アセンブリをさらに備え、
前記カメラ・アセンブリが、最遠位の光学面を有し、前記最遠位の光学面が、前記カニューレ管の前記近位端部の直前に配置され、
前記カメラ・アセンブリが、約60°の前記第1の円弧内、前記2つの発光体の間に半径方向に配置される、
請求項8に記載のカニューレ・システム。
【請求項16】
前記カニューレ管の前記内腔面に、電気絶縁コーティングをさらに備える、請求項2から7のいずれか一項に記載のカニューレ・システム。
【請求項17】
前記カニューレ管の前記内腔面に疎水性コーティングをさらに備える、請求項2から7のいずれか一項に記載のカニューレ・システム。
【請求項18】
前記カニューレ管の前記内腔面に揆油性または疎油性コーティングをさらに備える、請求項2から7のいずれか一項に記載のカニューレ・システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に記載の本発明は、低侵襲の脳または脊髄手術の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第10,172,525号は、低侵襲手術中の脳の視認性を向上させるカニューレおよび近位装着カメラ・システムを開示する。システムは、カニューレの近位端部に装着され、内腔を覗き込み内腔内および内腔下の組織を視認するカメラと、さらに、内腔への妨害を最低限にしながらカメラがカニューレ内を覗けるようにするために、カメラとカニューレの内腔との間に配置されたプリズム、反射鏡、または他の適切な光学要素とを有するカニューレを備える。この特許で開示された照明機構は、カニューレの遠位端部またはカニューレの遠位端部近傍の組織を照らすために、カニューレ内に発光体、またはアセンブリの外部に設けられた光源、あるいはカニューレの近位端部に装着された発光体を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以下に記述する本装置および方法は、低侵襲手術に使用されるカニューレに関して、照明を改善し、かつ/または照明への要求を緩和する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
低侵襲手術に使用するのに適したカニューレが、高度に研磨され極めて平滑な内腔壁(面)、および/またはカニューレの軸に対して特定の角度に向けられるLEDもしくは他の光源によって、改善される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】照明付きカニューレ・システムを示す。
図2】照明付きカニューレ・システムを示す。
図3】照明付きカニューレ・システムを示す。
図4】照明付きカニューレ・システムを示す。
図5】直径が一様でないカニューレ管を有する照明付きカニューレ・システムを示す。
図6】直径が一様でないカニューレ管を有する照明付きカニューレ・システムを示す。
図7】直径が一様でないカニューレ管を有する照明付きカニューレ・システムを示す。
図8】直径が一様でないカニューレ管を有し、2つのLEDからなる近位光源を有する照明付きカニューレ・システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1は、患者の体内の目標部位にアクセスするためのカニューレ・システム1を示す。カニューレ・システムは、カニューレ管2と、カニューレ管の近位端部2pの直前に配置された照明アセンブリ3とを備える。照明アセンブリ3は、複数の発光体5(LED、白熱電球など)を有するハウジング4を備える。照明アセンブリは、図示のようにリングまたは部分リング6に装着することができ、カニューレ管の近位端部2pに恒久的に固定することができ、あるいは、近位端部外面の溝に係合するように拡張可能なC-リングなどの取外し可能な取付手段により、環状スナップ・リングにより、もしくはスクリューねじにより、または他の容易に取付け取外し可能な機構によって、取外し可能に取り付けることができる。その代わりに、照明アセンブリは、カニューレ管の近位端部に直接固定し、またはカニューレ管に固定されるリング18に固定することができる(図5~8に示される)。
カニューレ管は、遠位端部2dおよび近位端部2p、ならびに近位端部から遠位端部まで延在する内腔7、内腔によって画定される中心長手方向軸2L、およびカニューレ管の内壁の内腔面8を備えていることを特徴とする。カニューレ管は、最も好都合には、円形の半径方向断面を有するが、半径方向断面は、特定の手術部位へのアクセスを行うために変えることができる。
カニューレ管は、金属などの可視光を透過しない不透明な材料で構成されていてもよいし、透過性または非透過性の材料のカニューレ管に、可視光を透過しない不透明な材料からなる内腔面を含む不透明な構造を備えていてもよい。(例えば、金属コーティングされたアクリルチューブ)
【0007】
照明アセンブリ(光源)3は、カニューレ管の近位端部の近くに配置され、カニューレ管の内腔内に光を投射するためにカニューレ管の近位開口に隣接して発光体5を保持するように構成される(これが好ましいが、発光体は、内腔内に僅かに遠位方向に延出してもよい)。
カニューレ管は、可視光を透過しない不透明な材料で構成されていてもよく、ステンレスやアルミニウムなどの金属製であることが好ましい。
【0008】
照明の効果は、カニューレ管の内壁に非常に滑らかな表面を形成することで高められるのが好ましい。
内腔面は、カニューレの近位端部からカニューレの遠位端部まで、かつカニューレの遠位端部を越えて目標部位までの光の透過を強化するために、8マイクロ・インチまたはそれより平滑な平均粗さ(8×10-6インチ、すなわちRa(μm)0.2(0.2ミクロン)、米国の#8仕上、日本のバフ#300、もしくはISOのN4と同等、またはそれらより平滑)になるように、高度に研磨/平滑化されることが好ましい。
図1の発光体は、200~700ルーメンの総出力を有し得、それは、平滑な内腔面と共同して、カニューレ管の遠位端部の施術部位に十分な光を注ぎ込む。
僅かにより粗い表面を、より高い出力の光源と組み合わせて使用することもできる。内腔面は、9~32マイクロ・インチの平均粗さ(0.22~0.81マイクロ・メートル、すなわちISOのN5またはN6仕上、#6もしくは#7仕上(おおよそ)、日本のバフ#100、またはそれらより平滑)に形成してもよく、発光体は、上記範囲のより高域側の追加のルーメンをもたらすように選択してもよい。
あるいは、内腔面は、33~63マイクロ・インチの平均粗さ(0.82~1.6マイクロ・メートル、すなわちISOのN7仕上、米国の#3または#4仕上)に形成してもよく、発光体は、上記範囲のより高域側の追加のルーメンをもたらすように選択してもよい。
【0009】
図2に示されるように、発光体5は主光軸9によって特徴付けられ、その主光軸9は、半径方向軸2Rから下方に(遠位方向に)70°~85°、好ましくは約80°の角度αで向けられたものでもよいし、または、言い換えれば、内方にカニューレ管の長手軸2Lに対して5°~15°、好ましくは約10°の角度βで遠位方向に向けられたものでよい。この実施形態では、カニューレは、真直ぐな内孔を有する遠位部分(遠位部分の全長を通して一定の直径の)と、円錐孔を有する近位円錐部分であって、その円錐孔が、近位円錐部分の近位端部では真直ぐな内孔の直径より大きく、真直ぐな遠位部分の真直ぐな内孔の直径に整合するようにネックダウンする、近位円錐部分とを有する。
【0010】
図2に示されるように、光源は主光軸9によって特徴付けられ、その主光軸9は、半径方向軸2Rから80°の角度αで遠位方向に向けられたもの、または、カニューレ管の内腔面に対して10°の角度βで(内腔の中心の方へ)向けられたものでもよい。
【0011】
図1および2は、カニューレ管の近位部分に円錐内腔を有するカニューレ管を備えるシステムを示すが、カニューレ管は、円錐部分またはネックダウン部分なしに、近位端部から遠位端部まで一定または一様な内径および真直ぐな内腔壁をし、全長に亘って等直径でもよい。
【0012】
図3は、カニューレ・システムの底面図またはカニューレ管の遠位端部の図である。この図に示されるように、光軸9は、カニューレ管の中心軸2Cと交差するように向けられてもよいし、または半径方向軸2R(LEDと中心軸2Cとの間の直線、または、カニューレ管によって画定される円の弦に沿う直線)から角度γに向けられてもよい。この角度は、好ましくは、約10~30°である。図3および4に示されるように、光源は、カニューレ管の近位端部上に(近位端部に近接して)、直接にまたはリング6を介してのどちらかで配置された2つだけのLEDから構成されてもよい。それらのLEDは、図3に示されるように、50°~70°、好ましくは約60°の第1の円弧α(または、逆に、図3に示されるように、290°~310°、好ましくは約300°の第2の円弧β)によって離隔されている。光源は、対同士が同様に離れた2対の密接した複数の発光体から構成されていてもよい。発光体および連携するあらゆるレンズは、内腔内に遠位方向に延出することなく、カニューレ管の近位開口に近接して配置されることが好ましい。カニューレ管の近位端部は、近位開口がカニューレ管の遠位部分の直径より僅かに大きい円錐形の内孔/内腔を有する。
【0013】
図1に示されるように、カニューレ・システムは、カニューレの近位端部に固定されたカメラ・アセンブリ10を備えることができ、カメラ・アセンブリの一部分が、内腔上に張り出し、カニューレ管の内腔によって画定される円筒空間内に延出することができる。カメラ・アセンブリは、最遠位の光学面を有し、その光学面は、対物レンズまたはプリズムの遠位面であり得(プリズム11が図2に示され、最遠位の光学面12が、図3の遠位図に見られる)、最遠位の光学面は、カニューレ管の近位端部の直前に配置される。対物レンズまたはプリズムは、カメラ・アセンブリの、内腔上に張り出す部分であり得る。カメラ・システムの最遠位光学面は、図ではカニューレ管の近位端部から近位方向に離隔しているが、カニューレ管の最も近位の縁から少しだけ遠位に配置してもよい(カニューレ管の遠位端部まで延出することなく)。また、図1に示されるように、カニューレ・システムは、カニューレをテーブル固定式可撓アームに固定するためにタブ13を備え得る。図3および4に示されるように、カメラ・アセンブリの最遠位光学面は、両発光体の間、2つの発光体を分離する小さい方の円弧α内に配置される。2つの発光体(または2対の複数の発光体)の間の、ハウジングの空隙は、最遠位光学面とカニューレ管の遠位端部での施術空間との間の視線が遮られないようにし、カメラ・アセンブリの最遠位光学面は、この空隙内または空隙に近接して配置される。
【0014】
図5は、患者の体内の目標部位にアクセスするためのカニューレ・システムの第2の変形形態を示す。図5のカニューレ・システム14は、カニューレ管15と、カニューレ管の近位端部の直前に配置された照明アセンブリ16とを備える。照明アセンブリ16は、図示のようにリング18(部分リングを使用してもよく、またはリングを省略してもよいが)に装着された多数の発光体17(LED、白熱電球など)を備え、カニューレ管の近位端部に恒久的に固定され得、または環状スナップ・リング、ねじ式フィッティング(または近位端部外面の溝に係合するように拡張可能なC-リング)などの取外し可能な取付手段を介して、取外し可能に取り付けることができる。カニューレ管は、遠位端部15dおよび近位端部15p、ならびに近位端部から遠位端部へ延在する内腔19、内腔によって定義される中心長手方向軸15L、およびカニューレ管の内壁の内腔面20を特徴とする。カニューレ管の近位端部15pの内径は、長手方向に等直径であり(真直ぐな壁で囲まれ、図2のように円錐ではない)、カニューレ管の遠位端部15dの内径は、長手方向に等直径であり、カニューレ管の遠位端部の内径は、カニューレ管の近位端部の内径より小さく、カニューレ管の近位端部15pとカニューレ管の遠位端部15dとは、カニューレ管のネックダウン部分15Nによって結合されている。
【0015】
図1~3に関して記述した構造と同様に、図5の照明アセンブリ16は、カニューレ管の近位端部の直前に配置され、カニューレ管の内腔内に光を投射するように構成されている。カニューレ管は、可視光が非透過性の不透明材料、好ましくは、ステンレス鋼またはアルミニウムなどの金属からから構成することができる。内腔面は、カニューレの近位端部からカニューレの遠位端部まで、かつカニューレの遠位端部を越えて目標部位までの光の透過を強化するために、8マイクロ・インチより小さい平均粗さによって高度に研磨/平滑化される。
図5の発光体は、1500~2500ルーメンの総出力を有し得、それは、平滑な内腔面と共同して、カニューレ管の遠位端部での施術部位に十分な光を注ぎ込む。図1のカニューレ管と同様に、9~32マイクロ・インチまたは33~63マイクロ・インチの範囲内の平均粗さの内腔壁では、上記範囲のより高域側の追加のルーメンをもたらすように光源を選択することができる。
【0016】
図6に示されるように、照明アセンブリ16は、カニューレ管の近位端部に直接に固定、またはカニューレ管に固定されるリング18に固定のどちらかで、カニューレ管の近位端部に配置された複数のLED17を備え得る。リング18は、カニューレ管の近位端部15pに恒久的に固定することができ、あるいは、近位端部外面の溝に係合するように拡張可能なC-リングなどの取外し可能な取付手段により、環状スナップ・リングにより、もしくはスクリューねじにより、または他の容易に取付け取外し可能な機構によって、取外し可能に取り付けることができる。
【0017】
図7の断面図に示されるように、発光体17は主光軸21を特徴とし、その主光軸は、真直ぐな側壁、またはカニューレ管の近位端部の内壁の内腔面の部分に平行に向けられ得る(すなわち、各LEDの光軸は、カニューレの内壁の内腔面の一部分に平行であり得る)。あるいは、図1および2のシステムように、主光軸21は、やはり、半径方向軸2Rから下方に(遠位方向に)70°~85°、好ましくは約80°の角度αで向けられ得、または、言い換えれば、カニューレ管の内腔面に対して5°~15°、好ましくは約10°の角度βに向けられ得る(内腔の中心に向かって)。
【0018】
図5のカニューレ・システムは、カニューレの近位端部に固定されたカメラ・アセンブリ10を備え得、カメラ・アセンブリの一部分が、内腔上に張り出し、カニューレ管の内腔によって画定される円筒空間内に延出する。カメラ・アセンブリは、最遠位の光学面を有し、その光学面は、対物レンズまたはプリズムの遠位面であり得、最遠位の光学面は、カニューレ管の近位端部の直前に配置され、対物レンズまたはプリズムは、カメラ・アセンブリの、内腔上に張り出す部分であり得る。カメラ・システムの最遠位光学面は、図ではカニューレ管の近位端部から近位方向に離隔しているが、カニューレ管の最も近位の縁から少しだけ遠位に配置してもよい。
【0019】
図8は、2つのLED5からなる近位光源を有する、直径が一様でないカニューレ管を有する、照明付きカニューレ・システムを示す。図8は、2つのLEDからなる光源を使用するシステムにおいて、より大きい近位内腔の利点を得るために、図5のカニューレ管を図1~4の2個LED光源と組み合させることができることを示す。この実施形態では、2つのLED(または2対)は、図7と同様に、カニューレ管の側壁に平行な光軸によって、直接遠位方向に向けることができ、または、図2と同様に、光軸に、内腔の中心に向けて角度を付けることができる。
【0020】
内腔面の最高度の平滑性が、近位光源からカニューレ遠位端部内への光の十分な反射を実現し、カニューレ内腔内に配置される器具が投じる影を最低限にし、カニューレ壁内に埋め込まれる光ファイバや、発光体リングから透明壁内への光の透過機構や、カニューレ管の近位端部において光の取り込みおよび送給に必要な粗い表面形体を有する光案内機構として働くカニューレ壁の構造など、より複雑な管構造を用いることを不要にする。
カニューレ管は透明な材料からなり得るが、より好都合には、ステンレス鋼やアルミニウムなどの金属から製作され、金属は、プラスチックに比べて壁をより薄くして製作することができ、殺菌し再使用することができ、剥離器具によって摩耗したり削られたりしない(脊髄手術にとってより重要である)。このように、カニューレチューブは、光ファイバやウェーブガイド機能が埋め込まれていない不透明な材料、好ましくは金属で構成することができます。カニューレ管は、また、カニューレ・システムの本発明の特徴による利点を得るのに管の透明性を必要とはしないが、埋込式の光ファイバまたは光波誘導形体を伴わない透明ポリマーから構成することもできる。
【0021】
あるいは、カニューレ管は、高度に反射性の材料を内腔壁に付着させた他の材料から製作することができ、そのカニューレ管は、埋込式光ファイバまたは光波誘導形体を伴わずに、近位照明アセンブリからの良好な光透過をやはり実現する。
【0022】
カニューレ管の内腔面は、様々な態様において性能を向上させるためにコーティングすることができる。内腔面は、カニューレ管を通して施術部位に挿入する器具によって切断エネルギーを放出する必要がある手術に使用するために、パリレンまたは他の誘電性化合物によって電気絶縁コーティングすることができる。内腔面は、使用中の体液または洗浄液の付着を最低限に抑えるために、疎水性コーティング、撥油性コーティング、または疎油性コーティングによってコーティングすることができる。
【0023】
本装置および方法の好ましい実施形態が、それらが開発された状況に関連させて説明されてきたが、それら実施形態は、本発明の原理の単なる例示である。様々な実施形態の要素は、他の形態のそれぞれに組み込んで、それら他の形態との組み合わせにおけるそれら要素の利点を得ることができ、様々な有利な特徴は、単独で、または互いに組み合わせて諸実施形態に取り入れることができる。他の実施形態および構成を、本発明の精神および添付特許請求の範囲から逸脱することなく考案することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】