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特表2022-519229パルス圧縮レーダにおけるブラインドレンジの復元のための方法及び装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(54)【発明の名称】パルス圧縮レーダにおけるブラインドレンジの復元のための方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/28 20060101AFI20220314BHJP
   G01S 13/95 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
G01S13/28
G01S13/95
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544356
(86)(22)【出願日】2020-01-29
(85)【翻訳文提出日】2021-09-06
(86)【国際出願番号】 US2020015697
(87)【国際公開番号】W WO2020160160
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】62/798,287
(32)【優先日】2019-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508318926
【氏名又は名称】ザ ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティ オブ オクラホマ
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】サラザール アクイノ、セザール、エム.
(72)【発明者】
【氏名】パーマー、ロバート、ディー.
(72)【発明者】
【氏名】チェオン、ブーン、レン
【テーマコード(参考)】
5J070
【Fターム(参考)】
5J070AB01
5J070AD01
5J070AE12
5J070AF01
5J070AH31
5J070AK01
5J070BG07
(57)【要約】
ブラインド領域内の信号を復元するためにレーダ信号を処理する方法、システム及び非一時的コンピュータ可読媒体が開示される。送信信号は、レーダシステムから送信される。レーダシステムは、戻り信号を受信する。戻り信号は、送信中に漏れた送信信号の第1部分と、ブラインド領域内の物体から反射された第2部分とを含む。戻り信号は、送信信号の第1部分を0設定することによって部分的にデコードされ、修正済の戻り信号を形成する。パルス圧縮が修正済の戻り信号に対して実行され、圧縮された戻り信号を形成する。前記圧縮された戻り信号は、モーメント積を計算するために処理される。モーメント積は較正係数を用いて較正され、ここで較正係数は、部分的にデコードされたレンジゲートの計算されたモーメント積に対してのみ乗算される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブラインド領域内の信号を復元するためにレーダ信号を処理する方法であって、当該方法は、
レーダシステムから送信信号を送信する段階と、
前記レーダシステムにおいて戻り信号を受信する段階であって、前記戻り信号は、送信中に漏れた前記送信信号の第1部分と、前記ブラインド領域内の物体から反射された第2部分とを含む、段階と、
前記送信信号の送信中に漏れた前記送信信号の第1部分を0設定することと、修正済の戻り信号を形成することと、前記修正済の戻り信号に対してパルス圧縮を実行して圧縮された戻り信号を形成することとによって前記戻り信号を部分的にデコードする段階と、
前記圧縮された戻り信号を処理して、そこからモーメント積を計算する段階と、
前記ブラインド領域内のレンジゲートの前記モーメント積を較正係数で較正することによって、前記ブラインド領域から復元されたデータを備えるデータセットを形成する段階であって、前記較正係数は、部分的にデコードされたレンジゲートの計算されたモーメント積に対してのみ乗算され、前記較正係数は、特定のレンジゲートにおける前記部分的なデコードの影響に起因した電力損失に比例し、前記較正係数は、前記送信信号の波形と、前記特定のレンジゲートにより覆われた範囲に対する前記レーダシステムの近接性に基づく、段階と
を備える、方法。
【請求項2】
前記データセットに基づいて画像を生成するさらなる段階であって、前記画像は、前記ブラインド領域にターゲットを含む、段階を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記データセットは気象データを備え、前記画像は気象画像である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記戻り信号はI/Q信号である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ブラインド領域内の信号を復元するためにレーダ信号を処理するためのプログラムであって、プロセッサに、
レーダシステムから戻り信号を受信する手順あって、前記戻り信号は、送信中に漏れた送信信号の第1部分と、前記ブラインド領域内の物体から反射された第2部分とを含む、手順と、
前記送信信号の送信中に漏れた前記送信信号の第1部分を0設定することと、修正済の戻り信号を形成することと、前記修正済の戻り信号に対してパルス圧縮を実行して圧縮された戻り信号を形成することとによって前記戻り信号を部分的にデコードする手順と、
前記圧縮された戻り信号を処理して、そこからモーメント積を計算する手順と、
前記ブラインド領域内のレンジゲートの前記モーメント積を較正係数で較正することによって、前記ブラインド領域から復元されたデータを備えるデータセットを形成する手順であって、前記較正係数は、部分的にデコードされたレンジゲートの計算されたモーメント積に対してのみ乗算され、前記較正係数は、特定のレンジゲートにおける前記部分的なデコードの影響に起因した電力損失に比例し、前記較正係数は、前記送信信号の波形と、前記特定のレンジゲートにより覆われた範囲に対する前記レーダシステムの近接性に基づく、手順と
を実行させるプログラム。
【請求項6】
前記プロセッサに、前記データセットに基づいて画像を生成する手順であって、前記画像は、前記ブラインド領域にターゲットを含む、手順を実行させる、請求項5に記載のプログラム。
【請求項7】
前記データセットは気象データを備え、前記画像は気象画像である、請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記戻り信号はI/Q信号である、請求項5から7のいずれか一項に記載のプログラム。
【請求項9】
1又は複数のプロセッサを備えるコンピュータシステムであって、前記1又は複数のプロセッサは、
レーダシステムから戻り信号を受信する段階であって、前記戻り信号は、送信中に漏れた送信信号の第1部分と、ブラインド領域内の物体から反射された第2部分とを含む、段階と、
前記送信信号の送信中に漏れた前記送信信号の第1部分を0設定することと、修正済の戻り信号を形成することと、前記修正済の戻り信号に対してパルス圧縮を実行して圧縮された戻り信号を形成することとによって前記戻り信号を部分的にデコードする段階と、
前記圧縮された戻り信号を処理して、そこからモーメント積を計算する段階と、
前記ブラインド領域内のレンジゲートの前記モーメント積を較正係数で較正することによって、前記ブラインド領域から復元されたデータを備えるデータセットを形成する段階であって、前記較正係数は、部分的にデコードされたレンジゲートの計算されたモーメント積に対してのみ乗算され、前記較正係数は、特定のレンジゲートにおける前記部分的なデコードの影響に起因した電力損失に比例し、前記較正係数は、前記送信信号の波形と、前記特定のレンジゲートにより覆われた範囲に対する前記レーダシステムの近接性に基づく、段階と
を行う、コンピュータシステム。
【請求項10】
前記1又は複数のプロセッサは前記データセットに基づいて画像を生成し、前記画像は前記ブラインド領域にターゲットを含む、請求項9に記載のコンピュータシステム。
【請求項11】
前記データセットは気象データを備え、前記画像は気象画像である、請求項10に記載のコンピュータシステム。
【請求項12】
前記戻り信号はI/Q信号である、請求項9から11のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
【請求項13】
1又は複数のプロセッサを備えるコンピュータシステムであって、前記1又は複数のプロセッサは、
レーダシステムから戻り信号を受信する段階であって、前記戻り信号は、送信中に漏れた送信信号の第1部分と、ブラインド領域内の物体から反射された第2部分とを含む、段階と、
前記送信信号の送信中に漏れた前記送信信号の第1部分を0設定して修正済の戻り信号を形成することと、前記修正済の戻り信号を1又は複数の較正係数で較正して較正された修正済の戻り信号を形成することと、前記較正された修正済の戻り信号に対してパルス圧縮を実行して圧縮された戻り信号を形成することとによって、前記戻り信号を部分的にデコードする段階と、
前記圧縮された戻り信号を処理してそこからモーメント積を計算する段階と
を行い、
前記修正済の戻り信号を前記1又は複数の較正係数で較正する段階はデータセットを形成し、前記戻り信号はI/Q信号である、コンピュータシステム。
【請求項14】
前記1又は複数の較正係数は、部分的にデコードされたレンジゲートの前記修正済の戻り信号に対してのみ乗算され、前記1又は複数の較正係数は、特定のレンジゲートにおける前記部分的なデコードの影響に起因した電力損失に比例し、前記1又は複数の較正係数は、前記送信信号の波形と、前記特定のレンジゲートにより覆われた範囲に対する前記レーダシステムの近接性に基づく、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【請求項15】
前記1又は複数のプロセッサは前記データセットに基づいて画像を生成し、前記画像は前記ブラインド領域にターゲットを含み、前記データセットは気象データを備え、前記画像は気象画像である、請求項13に記載のコンピュータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2019年1月29日に出願され、米国特許出願第62/798,287号で特定される仮特許出願に基づく優先権を主張しており、ここでその全体の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
一般的に、固体化レーダは、固体化送信機の低いピーク送信電力に起因する感度損失を取り戻すために、長い送信波形の使用を必要とする。パルス圧縮技術は通常、レンジ分解能を復元するために並んで使用される。長い送信パルスを使用することの欠点は、それが近い範囲においていわゆるブラインド領域をもたらすことであって、ここでデータ集合の第1部分は、レーダシステム内の強いリークスルー送信信号に起因してブラインドである。これは、パルス圧縮波形がレーダにおいて実装される場合の固有の問題である。
【0003】
ブラインド領域を緩和する既存の技術は、失われたデータを充填するために、長パルスの後に、時間遅延された短パルス又は周波数偏移された短パルスのいずれかを使用する。1つのそのような既存の技術は、複数の送信周波数帯域(N.Bharadwaj,and V.Chandrasekar,"Wideband Waveform Design Principles for Solid-State Weather Radars",J. Atmos.Oceanic Technol.,29(1),pp 14-31,2012)を使用する。当該技術は、合わせて連結された広帯域波形の集合を使用することによって、ブラインドレンジの充填を達成した。この技術はもちろん、より多くの周波数スペクトルを必要とし、広帯域実験X帯域レーダ(WiBEX)を使用して示される。第2の同様の技術は、(B.L.Cheong,K.Redmond,R.D.Palmer,Y.Zhang,M.Yeary and T.-Y.Yu,"PX-1000:A Solid-State Polarimetric X-Band Weather Rada r and Time-Frequency Multiplexed Waveform for Blind Range Mitigation,"IEEE Trans.Instrum.Meas.,62(11),pp 3064-3072,2013)に提示された、時間‐符号多重化(TFM)波形と称される間隔の狭い周波数分割を使用する。当該技術は、長い送信波形とわずかに異なる周波数における短パルスを使用し、商用オフザシェルフデジタルトランシーバ(Pentek)を通じて示される。この方法において、レーダハードウェアは、全てを単一波形として扱う。信号処理方法は、戻り信号を長い範囲と短い範囲の2つのストリームの生データに逆多重化する。図1は、時間‐符号多重化(TFM)波形を使用したブラインドレンジの充填を含む例示的な反射率画像を示す。なお、ムーア市付近のレーダ感度における急激な遷移は、波形のブラインドレンジを示す。しかし、これらの解決手段は準最適である。これは、それらが1つより多くのトーンの送信、すなわち、より高い周波数帯域幅の使用率を必要とし、動作費用を増やすからである。
【0004】
したがって、充填パルスの使用に依存しないアプローチに対する需要が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本開示のいくつかの実施形態が、添付図面においてここで示される。しかし、添付図面はいくつかの典型的な実施形態を図示しているのみであり、したがって、本開示の範囲を限定するとみなされることを意図しているものではないことを留意されたい。さらに、添付図面において、同様の又は同一の参照番号若しくは文字は、共通の又は同様の要素を特定するのに使用され得、全てのそのような要素がそのように付番されてもよいわけではない。図は、必ずしも寸法どおりである必要はなく、明確性及び簡潔性のために、図の特定の特徴及び特定のビューが、縮尺において又は概略的に示され得る。
【0006】
図1】オクラホマ州ムーア市近郊で急激な感度遷移が見られ得る短パルスの時間‐符号多重化(TFM)波形を使用したブラインドレンジの充填を含む反射率画像の例(Cheong et al,2013から)を示す。
【0007】
図2A】送信サイクル中のブラインドレンジの領域を示すパルス圧縮レーダからの反射率画像を示す。
【0008】
図2B】本開示の方法に係る部分的なデコードを通じて復元されるブラインドレンジの領域内の反射率データを示す。
【0009】
図3】本開示に従って構成される例示的なレーダシステムのブロック図である。
【0010】
図4図3に示されたレーダシステムの順次送信及び受信モードのロジックフローダイアグラムである。
【0011】
図5】本開示に従って構成された例示的なコンピュータシステムのブロック図である。
【0012】
図6】本開示に係る送信/受信アルゴリズム及びレーダ処理アルゴリズムを格納するコンピュータシステムの例示的なメモリのブロック図である。
【0013】
図7】本開示の部分的なデコード方法の実施形態の段階を示すフローチャートである。
【0014】
図8】従来のパルス圧縮方法(左側)と比較した本開示のブラインドレンジの復元方法の概念的手順(右側)を図示する。従来の方法を使用する処理において、ターゲット#1は未検出であり、すなわち、送信リークスルーの下に埋め込まれている。現在開示される方法を使用する処理において、ターゲット#1はここで復元される。
【0015】
図9A】非LFM波形の複素時系列を示す。
【0016】
図9B】LFM波形の複素時系列を示す。
【0017】
図9C】窓掛けLFM波形の複素時系列を示す。
【0018】
図9D】Barker‐13二相符号波形の複素時系列を示す。
【0019】
図9E】P4多相符号波形の複素時系列を示す。
【0020】
図10A】非LFM波形を使用して、現在開示される方法のシミュレーションの結果を示す。上側のパネルは、理想的なターゲットを利用する。センターパネルは、従来のパルス圧縮方法を使用して、受信信号からの反射率を示す。下側パネルは、現在開示されるブラインドレンジの復元方法を使用して、受信信号からの反射率を示す。
【0021】
図10B】LFM波形を使用して、現在開示される方法のシミュレーションの結果を示す。上側のパネルは、理想的なターゲットを利用する。センターパネルは、従来のパルス圧縮方法を使用して、受信信号からの反射率を示す。下側パネルは、現在開示されるブラインドレンジの復元方法を使用して、受信信号からの反射率を示す。
【0022】
図10C】窓掛けLFM波形を使用して、現在開示される方法のシミュレーションの結果を示す。上側のパネルは、理想的なターゲットを利用する。センターパネルは、従来のパルス圧縮方法を使用して、受信信号からの反射率を示す。下側パネルは、現在開示されるブラインドレンジの復元方法を使用して、受信信号からの反射率を示す。
【0023】
図10D】Barker‐13二相符号を使用して、現在開示される方法のシミュレーションの結果を示す。側のパネルは、理想的なターゲットを利用する。センターパネルは、従来のパルス圧縮方法を使用して、受信信号からの反射率を示す。下側パネルは、現在開示されるブラインドレンジの復元方法を使用して、受信信号からの反射率を示す。
【0024】
図10E】P4多相符号を使用して、現在開示される方法のシミュレーションの結果を示す。上側のパネルは、理想的なターゲットを利用する。センターパネルは、従来のパルス圧縮方法を使用して、受信信号からの反射率を示す。下側パネルは、現在開示されるブラインドレンジの復元方法を使用して、受信信号からの反射率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本開示は、充填パルスを使用することなくブラインド領域内のエコーを復元するための新規信号処理の方法及び装置を対象とする。これは、信号処理と、部分的なデコードに基づく技術の使用とを通じて実現される。固体化送信機は通常、低い送信電力を有しており、それを補うためには、長パルスがパルス圧縮を使用して送信及び処理されて、良好なレンジ分解能を維持する必要がある。しかし、この長パルスが送信された場合、送信パルスの送信期間中に戻り信号が隠され、これがブラインド領域と呼ばれるものである。より短い充填パルスは、ブラインド領域を復元するためのオプションである。しかし、ブラインド領域内における感度はより低い。一方、この技術は、パルス圧縮の基礎を使用して問題を解決する。
【0026】
言及されているように、長い送信サイクルに起因して、レーダ受信機は、送信パルスのブロードキャストからの干渉だけでなく、送信信号からのエコーを同時に受信する。送信パルスのブロードキャストからの干渉は、当技術分野において、「リークスルー」と称される。送信サイクルの範囲時間内の全てのターゲットは、送信電力の漏洩のよりはるかに高い電力に起因して、復元可能ではないと一般的に考えられていた。ターゲットからの戻りエコーに比較して、送信漏洩、すなわち「リークスルー」は、数桁大きいので、レーダを近い範囲においてブラインドにさせる。しかし、本開示に従って、これらのターゲットからの受信されたサンプルが完全に隠されてはいないことが決定された。返された信号の一部は、送信サイクルの範囲時間を超えて到着し、したがって影響を受けず、良好な部分のみが使用されている場合、ターゲットをレーダシステムによって復元可能にする。
【0027】
本開示の様々な実施形態を例示的な説明、例、及び結果によってより詳細に説明する前に、本開示の実施形態が、以下の説明に記載されているような方法及び装置の詳細に対する適用に限定されないことを理解されたい。本開示の実施形態は、他の実施形態を実行可能である、又は様々な方法で実施若しくは実行されることが可能である。このように、本明細書で使用される文言は、最も広い可能な範囲及び意味を与えることを意図しており、実施形態は、包括的ではなく例示的であることが意図されている。また、本明細書において使用される語句及び用語は、説明の目的のためであり、別段の指示がない限り、限定としてみなされるべきではないことを理解されたい。さらに、以下の詳細な説明において、数多くの具体的な詳細が、本開示のより完全な理解を提供するために記載されている。しかし、本開示の特定の実施形態がこれらの具体的な詳細がなくても実施できることは、当業者にとっては明らかである。他の例において、当業者に周知の特徴は、説明が余計に複雑になることを回避するために、詳細に説明されていない。
【0028】
本明細書において別様に定義されていない限り、本開示の実施形態に関連して使用される科学的及び技術的用語は、当業者により一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈によって別段に必要とされない限り、単数形の用語は複数形を含むものとし、複数形の用語は単数形を含むものとする。
【0029】
本明細書において言及されている米国特許出願第62/798,287により特定される仮特許出願を含むがこれに限定されない全ての特許、公開された特許出願、及び非特許文献は、本開示の実施形態が関係する当業者の技術のレベルを示す。本願の任意の部分において参照される全ての特許、公開された特許出願、及び非特許文献が、各個々の特許又は文献が参照により組み込まれることが具体的に且つ個々に示される場合と同じ程度で、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0030】
本開示の実施形態の方法及び装置が特定の実施形態の観点から説明されてきたが、発明の概念の趣旨及び範囲から逸脱することなく、そこに、そして本明細書に説明されている方法の段階又は段階の順序において、変形が適用され得ることは、当業者にとって明らかであろう。当業者にとって明らかである全てのそのような同様の置換及び修正は、本明細書に定義されるように、システムの趣旨及び範囲内にあるとみなされる。
【0031】
本開示の実施形態の方法及び装置に従って利用されるように、以下の用語は、別段の指示がない限り、以下の意味を有すると理解されるものとする。
【0032】
請求項及び/又は明細書における用語「備える(comprising)」と併せて使用される場合の単語「a」又は「an」の使用は、「1つ」を意味してもよいが、これはさらに、「1又は複数の」、「少なくとも1つの」、及び「1つ又は1つより多くの」の意味と一致する。本開示は代替物のみと「及び/又は」とを指す定義をサポートしているが、請求項における用語「又は(or)」の使用は、代替物のみを指すこと又は代替物が相互排他的である場合を明示的に示されていない限り、「及び/又は(and/or)」を意味するものとして使用される。用語「少なくとも1つの(at least one)」の使用は、1だけでなく、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、100を含むがそれに限定されない1つより多くの任意の数量、又は、その中に含まれる任意の整数を含むと理解される。用語「少なくとも1つの(at least one)」は、それが付加される用語に応じて、最大100又は1000又はそれより多くに拡張されてよい。加えて、100/1000の数量は、それより高い制限値も、満足する結果をもたらし得るので、限定的であるとみなされるべきではない。加えて、用語「X、Y及びZのうちの少なくとも1つ(at least one of X,Y and Z)」の使用は、Xのみ、Yのみ、及びZのみだけでなく、X、Y及びZの任意の組み合わせを含むものとして理解される。
【0033】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される、単語「備える(comprising)」(並びに、「comprise」及び「comprises」など、comprisingの任意の形態)、「有する(having)」(並びに「have」及び「has」など、havingの任意の形態)、「含む(including)」(並びに、「includes」及び「include」など、includingの任意の形態)、又は「含有する(containing)」(並びに、「contains」及び「contain」など、containingの任意の形態)は、包括的又は非限定的であり、追加の記載されていない要素又は方法の段階を排除しない。
【0034】
本明細書で使用される用語「又はこれらの組み合わせ(or combinations thereof)」は、当該用語に先行する列挙された項目のあらゆる並べ替え及び組み合わせを指す。例えば、「A、B、C、又はこれらの組み合わせ(A,B,C,or combinations thereof)」は、A、B、C、AB、AC、BC、又はABCのうちの少なくとも1つを含むことを意図しており、且つ、特定の文脈において順序が重要な場合は、BA、CA、CB、CBA、BCA、ACB、BAC、又はCABも含む。この例で続けると、BB、AAA、AAB、BBC、AAABCCCC、CBBAAA、CABABBなどといった1又は複数の項目又は用語の反復を含む組み合わせが、明示的に含まれる。当業者であれば、文脈から明らかに別様でない限り、典型的には任意の組み合わせにおいて項目又は用語の数に制限がないことを理解する。
【0035】
本願の全体にわたって、用語「約(about)」又は「およそ(approximately)」は、ある値が誤差の固有変動を含むことを示すのに使用される。さらに、この詳細な説明において、各数値(例えば、時間又は周波数)は、用語「約(about)」により修正されたものとして一度読み取られ、(既にそのように明示的に修正されていない限り)、その後、文脈において別段の指示がない限り、そのように修正されていないものとして再度読み取られるべきである。用語「約(about)」又は「およそ(approximately)」の使用は、別様に記載されていない限り、後続の数の±0.5%、又は±1%、±2%、又は±3%、又は±4%、又は±5%、±6%、又は±7%、又は±8%、又は±9%、又は±10%、又は±11%、又は±12%、又は±13%、又は±14%、又は±15%、又は±25%を含む範囲を意味し得る。
【0036】
本明細書に使用されるように、用語「実質的に(substantially)」は、続いて説明される事象又は状況が完全に発生すること、又は続いて説明される事象又は状況が大部分又はかなりの程度において発生することを意味する。例えば、用語「実質的に(substantially)」は、続いて説明される事象又は状況が時間の少なくとも80%において又は時間の少なくとも90%において又は時間の少なくとも95%において又は時間の少なくとも98%において発生することを意味する。
【0037】
本明細書に説明される実施形態のいずれかの特徴は、他の実施形態のいずれかと組み合わせて、新たな実施形態を作成し得る。本明細書で使用されるように、「1つの実施形態(one embodiment)」又は「ある実施形態(an embodiment)」に対する任意の参照は、実施形態に関連して説明された特定の要素、特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。本明細書の様々な場所における「一実施形態において(in one embodiment)」という語句の出現は、必ずしも同じ実施形態を全て参照しているとは限らない。
【0038】
本明細書で使用されるように、全ての数値又は範囲は、文脈が別途明確に示さない限り、そのような範囲内の値及び整数の端数、並びにそのような範囲内の整数の端数を含む。したがって、図示するために、1-10のような数値範囲に対する参照は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10だけでなく、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5などを含む。したがって、1-50の範囲に対する参照は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20などを含み、最大50までであり、50を含む。同様に、任意の2つの連続する整数間の端数は、本明細書に含まれることを意図されており、例えば、.05、.1、.15、.2、.25、.3、.35、.4、.45、.5、.55、.6、.65、.7、.75、.8、.85、.9、及び.95などであるが、これらに限定されるわけではない。例えば、3-4の範囲は、限定されるわけではないが、3.05、3.1、3.15、3.2、3.25、3.3、3.35、3.4、3.45、3.5、3.55、3.6、3.65、3.7、3.75、3.8、3.85、3.9、及び3.95を含む。したがって、範囲内における特定のデータポイントが明示的に特定又は具体的に言及されても、又は範囲内のデータポイントが明示的に特定又は具体的に言及されなくても、範囲内の任意のデータポイントは指定されたものとみなされ、発明者は範囲全体と範囲内の点とについての知識を有していることを理解されたい。一連の範囲に対する参照は、当該一連の範囲内の異なる範囲の境界の値を組み合わせる範囲を含む。例えば、「1から10の範囲」は、約1と約10との間の連続体に沿って、各可能な数、特に整数を示していると読み取られる。したがって、範囲内における特定のデータポイントが明示的に特定又は具体的に言及されても、又は範囲内のデータポイントが明示的に特定又は具体的に言及されなくても、範囲内の任意のデータポイントは指定されたものとみなされ、発明者は範囲全体と範囲内の点とについての知識を有していることを理解されたい。
【0039】
したがって、一連の範囲に対する参照をさらに図示するために、例えば1-1000の範囲は、例えば、1-10、10-20、20-30、30-40、40-50、50-60、60-75、75-100、100-150、150-200、200-250、250-300、300-400、400-500、500-750、750-1、000を含み、且つ、1-20、10-50、50-100、100-500、及び500-1、000の範囲を含む。したがって、100単位から2000単位の範囲は、単位の全ての値又は値の範囲、及び当該範囲内の単位及び整数の値の端数を指すとともに含む。範囲は、限定されるわけではないが、例えば、以下を含む:100単位から1000単位,100単位から500単位,200単位から1000単位,300単位から1500単位,400単位から2000単位,500単位から2000単位,500単位から1000単位,250単位から1750単位,250単位から1200単位,750単位から2000単位,150単位から1500単位,100単位から1250単位,及び800単位から1200単位。したがって、約100単位から約2000単位の範囲内の任意の2つの値は、本開示の実施形態に係る範囲の下方境界及び上方境界を設定するのに使用され得る。
【0040】
本開示に説明されている処理は、機能を実行するように適合されたソフトウェアを実行するコンピュータシステムを用いて実行でき、結果として得られる画像及びデータは、1又は複数の非一時的コンピュータ可読媒体に格納される。非一時的コンピュータ可読媒体の例は、光ストレージデバイス、磁気ストレージデバイス、電子ストレージデバイスなどを含む。本明細書で使用される用語「コンピュータシステム」は、本明細書に説明されている処理のロジックを具体化及び/又は実行可能な1つのシステム又は複数のシステムを意味する。ソフトウェア命令又はファームウェアの形態で具現化されたロジックは、専用システム若しくはシステム、又は特別にプログラミングされたコンピュータシステム、又は分散処理コンピュータシステムであり得る任意の適切なハードウェア上で実行され得る。本明細書に説明されている処理のロジックを実行するのにコンピュータシステムが使用される場合、そのようなコンピュータ及び/又は実行は、同じ地理的位置又は複数の異なる地理的位置において実施され得る。さらに、ロジックの実行は、連続的に又は複数の別個の時間において実施され得る。さらに、そのようなロジックは、光学画像、熱画像、RF情報のキャプチャ、又はその後、若しくはこれらの組み合わせで略同時に実行され得る。
【0041】
本明細書で使用されるような回路は、アナログ及び/又はデジタルコンポーネント、又は1又は複数の適切にプログラミングされたプロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)並びに関連付けられたハードウェア及びソフトウェア、又はハードワイヤードロジックであり得る。また、「コンポーネント」は、1又は複数の機能を実行し得る。用語「コンポーネント」は、プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)などのハードウェア、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ、及び/又は同様のものを含み得る。本明細書で使用されるような用語「プロセッサ」は、あるタスクを集合的に実行するべく、独立して又は共に動作する単一のプロセッサ又は複数のプロセッサを意味する。
【0042】
ここで本開示の様々な実施形態の説明に戻ると、10km送信波形が使用され、一方が1km地点で他方が5km地点の2つのターゲットが存在する簡単なシナリオを考慮する。典型的には、最大10kmの範囲の一部が完全にブラインドであり、そのためレーダは1km地点又は5km地点におけるこれらの2つのターゲットを検出できないと想定される。しかし、1km地点における第1のターゲットは、1kmと11kmとの間における範囲に跨ぐ戻り信号を有するので、最後の1kmが良好であることは無視されてきた。したがって、最後の1-kmの部分からの戻り信号は、最初の10km地点からの信号が使用できないので、戻り信号が残された戻り電力の10分の1(1/10)のみを有するが、1km地点のターゲットを特定するのに使用できる。同様の解析によって、5km地点のターゲットは、その戻り信号の2分の1(50%)が10kmを超えて到着することになる。ターゲットから戻すことの完全性は、範囲が拡大するにつれて徐々に増すことが分かる。したがって、本開示の新たな処理技術は、ブラインド領域を有しない、且つ感度機能が連続的なレーダ製品を生産する。このように、この技術は、TFM実装などの現在の最新技術と比較して、急激な感度変化に悩まされない。
【0043】
現在開示されている技術は、ほとんどの固体化パルス圧縮レーダに、そして限定されるわけではないが、単一偏波レーダ、ウインドプロファイラ、及び位相段列レーダの固体化変形例を含む様々なレーダシステムに適用できる。以前に使用された方法及びシステムに比べて、現在開示される方法及びシステムにより提供される改良は、限定されるわけではないが、より低い周波数スペクトルと、急激な感度遷移の不在に対する必要性を含む。
【0044】
図2Aは、送信サイクル中のブラインドレンジを含むパルス圧縮レーダからの従来の反射率画像の例を示す。しかし、図2Bは、本開示の方法に係る部分的なデコードを通じて復元されるブラインドレンジ内の反射率データを示す。
【0045】
ここで図3を参照すると、その中に示され参照符号10により指定されるのは、本開示に従って構成されたレーダシステムである。特に、レーダシステム10は、パルス化されたアーキテクチャを利用し、X帯域周波数において動作し、高度の固体化気象レーダのために設計及び構築され得る。しかし、レーダシステム10は異なる周波数において動作され、気象レーダ以外の目的のために使用されることができることを理解されたい。レーダシステム10は、送信波形をレーダアンテナ12に方向付けし得、送信波形からのエコーは、レーダアンテナ12により受信され、戻り信号に変換され得る。フロントエンドアーキテクチャは、本明細書でさらに説明されるように、あらゆるパルスにおける増幅された送信波形がリアルタイムでモニタリングされることと、キャリア周波数から復調されてコンピュータシステム16にフィードバックされることと、キャリア周波数からも復調される戻り信号を解釈するためのフィードバックとして使用されることとを可能とし得る。
【0046】
一実施形態において、レーダシステム10には、1又は複数のコンピュータシステム16、1又は複数の中間周波数トランシーバ18(以下、「IFトランシーバ18」と称される)、1又は複数のマイクロ波トランシーバ20(以下、「マイクロ波トランシーバ20」と称される)、1又は複数のレーダ増幅器22(以下、「レーダ増幅器22」と称される)、1又は複数のフロントエンド回路24(以下、「フロントエンド回路24」と称される)、1又は複数の電源26(以下、「電源26」と称される)、及び1又は複数のクロック28(以下、「クロック28」と称される)が提供される。本開示に従って、レーダ増幅器22は、他のレーダ増幅器と比較して比較的に低い電力容量を有し得る。
【0047】
コンピュータシステム16は、例えば、コンピュータシステム16とIFトランシーバ18との間における双方向通信を許容するために、ケーブルの形態であり得る通信リンク30を介して、IFトランシーバ18に結合される。IFトランシーバ18は、その間の双方向通信を許容するために、通信リンク32及び34によりマイクロ波トランシーバ20に結合される。特に、IFトランシーバ18は、通信リンク32を介して、送信信号をマイクロ波トランシーバ20に方向付けし、マイクロ波トランシーバ20は、通信リンク34を介して、復調された戻り信号をIFトランシーバ18に方向付けする。通信リンク32及び34は個別に示されているが、通信リンク32及び34は、単一の物理的通信リンクバンドル上にあってよいことを理解されたい。例えば、通信リンク32及び34は、1又は複数のケーブルであり得る。マイクロ波トランシーバ20は、通信リンク36を介してレーダ増幅器22に結合され、通信リンク36は、ケーブルであり得、通信リンク38を介してフロントエンド回路24に結合されてもよい。レーダ増幅器22には、通信リンク36から送信信号を受信するように構成された低電力側40と、通信リンク38上に増幅された送信波形を提供するように構成された高電力側42とが提供される。フロントエンド回路24は、増幅された送信波形を受信し、その後、増幅された送信波形を、通信リンク44を介してレーダアンテナ12に方向付けする。フロントエンド回路24はまた、リンク38を介して送信信号をマイクロ波トランシーバ20に方向付けし、続いて、リンク34を介してIFトランシーバ18に方向付けし、送信波形をサンプリングする。そうでない場合、フロントエンド回路24は、受信信号(図3における94,96,及び98において低い)を、アンテナ12からマイクロ波トランシーバ20に方向付けする。通信リンク38及び44は、ケーブル又は任意の他の適切な導電体であってよい。
【0048】
クロック28は、通信リンク46及び48を介してIFトランシーバ18及びマイクロ波トランシーバ20に結合され、IFトランシーバ18とマイクロ波トランシーバ20とを同期するための参照信号を提供する役割を果たす。通信リンク46及び48は、ケーブル又は任意の他の適切な導電体であってよい。電源26は、レーダシステム10内の様々なコンポーネントに電力だけでなく、同様に様々な制御信号も提供し得る。例えば、図1に示されるように、電源26は、電力線58、60及び62を介して、マイクロ波トランシーバ20、レーダ増幅器22、及びフロントエンド回路24に電力を供給する。さらに、電源26は、通信リンク64を介してIFトランシーバ18から送信/受信論理信号を受信し、通信リンク66を介して、送信/受信論理信号をフロントエンド回路24に方向付けるように構成されている。
【0049】
ここで図4を参照すると、その中に示されているものは、単一パルスサイクル中のレーダシステム10の機能を示す例示的なロジックフローダイアグラムである。一般的に、パルス化サイクルの前に、送信波形は、IFトランシーバ20の波テーブルにロードされる。各パルスサイクルにおいて、送信波形は、ブロック72により示されているように、アナログ形式に変換される。この例において、送信パルスはデジタル形式であり、ここで送信波形は、予め定められたタイムシーケンスアルゴリズムにより解釈され得る一連の数字として実装される。IFトランシーバ18は、送信波形を有する送信パルスをコンピュータシステム16から受信し、その後、予め定められたタイムシーケンスアルゴリズムを用いて送信パルスを処理し、一連の数字を、ブロック72により示されているように、アナログ波形に変換する。IFトランシーバ18は、通信リンク32を介してアナログ波形をマイクロ波トランシーバ20に方向付けし、送信/受信信号を電源26に方向付けもする。アナログ波形及び送信/受信信号の方向は同期され、その結果、増幅された送信波形はサンプリングされ、コンピュータシステム16にフィードバックされ、上述のように戻り信号が続く。
【0050】
ブロック74により示されるように、マイクロ波トランシーバ20は、アナログ波形の形態で送信信号を受信し、その後、アナログ波形をキャリア周波数上で変調し、送信信号を生成する。マイクロ波トランシーバ20は、ブロック75により示されるように、通信リンク36を介して、送信信号をレーダ増幅器22に方向付けし、これにより、レーダ増幅器22は、送信信号を増幅して上述の増幅された送信波形を形成する。レーダ増幅器22は、任意の適切なゲインを有し得、例えば、非線形範囲において動作し得る。その後、ブロック76により示されるように、フロントエンド回路24は、増幅された送信波形及び送信/受信論理信号を受信し、その後、増幅された送信波形をサンプリングしつつ、通信リンク44を介してレーダアンテナ12に増幅された送信波形を方向付けもする。ブロック77により示されるように、増幅された送信波形と戻り信号とのサンプルは、その後、通信リンク38、34及び30と、増幅された送信波形のサンプル及び戻り信号がアナログ形式からデジタル形式に復調及び変換されるマイクロ波トランシーバ20及びIFトランシーバ18とによって、コンピュータシステム16に方向付けされる。換言すると、増幅された送信波形のサンプル及び戻り信号の受信に応答して、マイクロ波トランシーバ20は、サンプルを復調して、キャリア周波数を除去し、アナログ波形を形成し、アナログ波形はその後、IFトランシーバ18によりデジタル波形(すなわち、一連の数字)に変換される。
【0051】
その後、ブロック78により示されるように、コンピュータシステム16は、復調された戻り信号を、増幅された送信波形の復調されたサンプルを用いて整合フィルタリングし、その後、復調された戻り信号を増幅された送信波形の復調されたサンプルを用いて整合フィルタリングすることにより生成された情報を有するレーダ信号を、本明細書にさらに説明されるように、レーダ処理アルゴリズムを用いて処理して、当該情報を地球大気内の1又は複数の特徴を示す気象データなどのデータに変換する。
【0052】
図5に示されるように、コンピュータシステム16は、プロセッサ実行可能コードを実行するように構成されたプロセッサ100と、プロセッサ実行可能コードを格納可能な1又は複数のメモリ102と、入力デバイス104と、1又は複数の通信インターフェース106と、出力デバイス108とを有する。コンピュータシステム16は、部分的又は完全に、ネットワークベース又はクラウドベースであり得、必ずしも単一の物理的位置に位置付けられる必要はない。
【0053】
プロセッサ100は、本明細書に説明されるロジックを実行するために、単一のプロセッサ又は共に動作する複数のプロセッサとして実装され得る。プロセッサ100の例示的な実施形態は、デジタル信号プロセッサ(DSP)、中央処理装置(CPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、及びこれらの組み合わせを含む。プロセッサ100は、例えばデータバスとして実装され得る経路110を介して、1又は複数のメモリ102と通信可能である。プロセッサ100は、経路112及び114を介して、入力デバイス104及び出力デバイス108とそれぞれ通信可能である。経路112及び114は、経路110と同様に又はそれと異なるように実装され得る。プロセッサ100はさらに、例えば、TCP/IPなどのネットワークプロトコルを使用して、1又は複数の物理的又は仮想ポートを介して電子、デジタル及び/又は光信号を交換することなどによって、1又は複数の通信インターフェース106、経路122及び124を介したネットワーク420を介して、1又は複数のユーザ端末(図示せず)とインターフェース接続及び/又は通信可能であってよい。特定の実施形態において、プロセッサ100が1つより多くのプロセッサを含む場合、そのようなプロセッサは、互いに離れて位置付けられてもよく、同じ位置に位置付けられてもよく、又は、単一物のマルチコアプロセッサ(図示せず)を備えることを理解されたい。プロセッサ100は、プロセッサ実行可能コードを読み取り並びに/若しくは実行すること、及び/又は、コンピュータデータ構造を1又は複数のメモリ102に作成、操作、変更、及び格納することが可能である。
【0054】
1又は複数のメモリ102は、プロセッサ実行可能コードを格納し、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、CD-ROM、ハードドライブ、ソリッドステートドライブ、フラッシュドライブ、メモリカード、DVD-ROM、フロッピーディスク、光学式ドライブ、及びこれらの組み合わせなどの非一時的メモリとして実装され得る。1又は複数のメモリ102がコンピュータシステム16と同じ物理位置に位置付けられていることが示されているが、1又は複数のメモリ102は、コンピュータシステム16から離れて位置付けられてもよく、ネットワーク120を介してプロセッサ100と通信してもよいことを理解されたい。加えて、1つより多くのメモリ102が使用される場合、1又は複数のメモリ102は、コンピュータシステム16と同じ物理位置に位置付けられてよく、1又は複数のメモリ102は、コンピュータシステム16から離れた物理的位置に位置付けられてもよい。1又は複数のメモリ102の物理的位置は変動可能で、1又は複数のメモリ102は、「クラウドメモリ」、すなわち、部分的又は完全にネットワーク120に基づく又はネットワーク120を使用してアクセスされる1又は複数のメモリ102として実装されてよい。
【0055】
入力デバイス104はプロセッサ100にデータを送信し、例えば、キーボード、マウス、タッチスクリーン、カメラ、携帯電話、タブレット、スマートフォン、PDA、マイクロフォン、ネットワークアダプタ、及びこれらの組み合わせとして実装できる。入力デバイス104は、コンピュータシステム16と同じ物理位置に位置付けられてもよく、又は、離れて位置付けられる及び/又は部分的若しくは完全にネットワークベースであってもよい。入力デバイス104は、上述のようにデータバスであり得る経路112を介してプロセッサ100と通信する。
【0056】
出力デバイス108は、プロセッサ100からの情報をユーザに送信し、その結果、情報はユーザにより認識され得る。例えば、出力デバイス108は、サーバ、コンピュータモニタ、携帯電話、タブレット、スピーカ、ウェブサイト、PDA、ファックス、プリンタ、プロジェクタ、ラップトップモニタ、及びこれらの組み合わせとして実装できる。出力デバイス108は、コンピュータシステム16と物理的に同じ場所に位置し得、又はコンピュータシステム16と離れて位置付けられ得、部分的又は完全にネットワークベース(例えば、1又は複数のサーバによりホスティングされ、例えばHTML、XHTML、セキュアHTML、及び/又はTCP/IPを使用してインターネットを介してアクセス可能なウェブサイト)であり得る。出力デバイス108は、経路114を介してプロセッサ100と通信する。
【0057】
ネットワーク120は、コンピュータシステム16と1又は複数のユーザ端末及び/又は他のデバイス(図示せず)との間における情報及び/又はデータの双方向通信を許容することが好ましい。ネットワーク120は、光及び/又は電子インターフェースによるなど様々な方法でコンピュータシステム16とインターフェース接続し得、例えば、イーサネット(登録商標)、TCP/IP、回路交換経路、及びこれらの組み合わせなどの複数のネットワークトポグラフィ及びプロトコルを使用し得る。例えば、ネットワーク120は、ワールドワイドウェブ(又はインターネット)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンネットワーク、ワイヤレスネットワーク、セルラーネットワーク、GSM(登録商標)-ネットワーク、CDMAネットワーク、3Gネットワーク、4Gネットワーク、衛星ネットワーク、無線ネットワーク、光ネットワーク、ケーブルネットワーク、公衆交換電話網、イーサネットネットワーク、及びこれらの組み合わせとして実装でき、プロセッサ100とネットワーク120との間においてデータ及び/又は情報の双方向インターフェース及び通信を許容するために、様々なネットワークプロトコルを使用し得る。
【0058】
ここで図6を参照すると、1又は複数のメモリ102は、本明細書で「非一時的コンピュータ可読媒体」と称され得、レーダ送信/受信アルゴリズム130とレーダ処理アルゴリズム132とを備えるプロセッサ実行可能コード及び/又は情報を格納することが好ましい。プロセッサ実行可能コードは、例えばC++などの任意の適切なプログラミング言語で書き込まれ得る。レーダ送信/受信アルゴリズム130とレーダ処理アルゴリズム132とは、データ構造として格納され得る。代替的な実施形態において、プロセッサ100、レーダ送信/受信アルゴリズム130、及びレーダ処理アルゴリズム113に関して上述されたロジックは、特定用途向け集積回路又はフィールドプログラマブルゲートアレイなどのハードウェアにより実行され得る。
【0059】
図7は、以下でより完全に説明されるように、ターゲットのブラインドレンジの復元のためのレーダ処理アルゴリズム132の実装の段階の一般的な順序を示すフローチャートである。
【0060】
システム10がアンテナ12から送信信号を発する場合、送信信号からの電波は物体に反射し、アンテナ12に返され、アンテナ12により受信される。これらの反射された信号は、本明細書で、返された信号又は返された波と称される。システム10には、順次開閉することで、返された信号が所与の期間内に各連続的なレンジゲートを通過することを可能とするレンジゲート(図示せず)が提供され得る。各ゲートを通過する信号はサンプルと称され、アンテナ12からの所与の範囲のインクリメントを表す。送信信号は、多くの場合パルス幅と称される予め定められた時間量の間、発される。送信済信号の周波数に応じて、送信信号の開始において送信された電波は、送信信号の発信が終了する前に、アンテナ12から一定の距離に到達する。例えば、図2A及び図2Bにおいて、円4及び6はそれぞれ、円4及び6の中心に位置付けられたレーダシステム10のアンテナ12などの送信機から送信された第1電波が、送信信号の終了の前に到達する距離を表す。円4及び6の内部の領域は、上記で称されているいわゆるブラインド領域を表す。距離の観点から説明される場合、ブラインド領域は、ブラインドレンジとも称され得る。換言すると、図2A及び2Bに表された例示的な波形の場合、ブラインド領域は、送信機から10キロメートルの半径、又は、10キロメートルのブラインドレンジを有する円である。
【0061】
送信済信号からの電波がブラインド領域内の物体に反射する場合、又は、送信信号の送信が完了する前に、反射された電波及び送信された電波は互いに干渉し、当技術分野において「漏洩」又は「リークスルー」と称されるものを発生させ、これは、反射された信号と合流し、反射された信号を効果的に打ち消す合成信号をもたらす。システム10の例示的な実施形態において、返された信号は、同相/直交位相(I/Q)であり、返された信号のうちいくつかは、送信信号からの漏洩によって影響されたサンプルである。本明細書に説明されるように、システム10は、漏洩により影響されたサンプルの部分を除去し、レーダ処理アルゴリズム132における漏洩の影響を補償し、新たな圧縮信号及びモーメント積(moment product)を生成する。これを達成すべく、レーダ処理アルゴリズム132は、本明細書に説明されるような部分的なデコード処理を実行する。部分的なデコード処理の第1の段階202は、送信波形漏洩により影響された反射された信号、例えばI/Qサンプルを除去する。これは、送信サイクル中に受信された全ての戻り信号を破棄することによって実現され得、これは、物体から返された任意の信号又は送信信号により発生した干渉を効果的に0設定する。送信されたパルスからの漏洩を抑制するために、エンコード済入力x(n)は修正され、それをウィンドウ(w(n))で乗算する。ウィンドウの表現については、図8を参照する。エンコード済入力x(n)は、コンピュータシステム16により処理されている戻り信号のデジタルバージョンであってよい。ウィンドウw(n)は、送信信号の送信中に受信された戻り信号を0設定する役割を果たす機能である。その後、新たなエンコード済入力は、以下のように表され得る。
【数1】
ここで、
【数2】
は、新たなエンコード済入力である。
【0062】
部分的なデコードの第2の段階204において、新たなエンコード済入力(例えば、非圧縮I/Qサンプル)がパルス圧縮される。この新たなエンコード済入力は、デコーダを通過する場合、異なるデコード済出力を生成するが、デコードのために同じテンプレート
【数3】
を依然として使用する。新たなデコード済出力は、以下のように表され得る。
【数4】
【0063】
その後、段階206において、新たなパルス圧縮I/Qデータは、当技術分野において周知の方式でモーメント積に対して処理される。例えば、1つの非限定的な実施形態において、モーメント積は、それらが通常あるものとして気象レーダにおいて計算される。この計算には、従来の実装において使用されるものと異なる点がない。
【0064】
段階207において、レーダ処理アルゴリズム132は、データがあるか、すなわち、処理された出力におけるブラインドレンジ内の物体から返された信号が存在するかを決定する。処理された出力にデータが存在しない場合、レーダ処理アルゴリズム132は終了し、処理された出力は、レーダ製品の計算を実行するのに使用される。
【0065】
しかし、レーダ処理アルゴリズム132が、段階207において、ブラインドレンジにおけるデータが存在すると決定した場合、例えば、図8に示されるように不完全な戻りを発見した場合、処理アルゴリズム132は、システム10のコンピュータ16に、部分的なデコード及び較正を実行させる。非圧縮I/Q受信信号の開始におけるウィンドウ(0設定された部分)に起因して、ブラインドレンジ内のターゲット又は物体から返された信号は、部分的にのみデコードされ、比較的に小さい信号強度(すなわち、戻り信号の通常信号強度の1/2から1/10の順序)を有する。ブラインドレンジ内のターゲット又は物体からの戻り信号を適切に検出すべく、この影響を補償する必要があり得る。段階208において、レーダ処理アルゴリズム132は、較正又はスケーリング係数を、処理された出力におけるレーダからの計算されたモーメント積に対して、乗算された重みとして適用する。スケーリング係数の重みは、影響されたレンジゲートが送信機にどれだけ近いか、且つ、どの波形が送信されたかという2つの因子に依存する。スケーリング係数の近似値は、以下の式に提示される:
【数5】
ここで、
s(n)は較正係数に対応し、
(i)はデコードに使用されるテンプレートに対応し、
w(i)は、エンコード済入力を乗算するウィンドウに対応する。
【0066】
いくつかの実施形態において、較正係数s(n)は、モーメント積の計算の前に適用されることでデータセットを形成し得、モーメント積はその後、データセットを使用して計算される。例えば、較正係数s(n)は、新たなエンコード済入力
【数6】
に適用され得る。較正係数s(n)は、送信パルス中に受信するか、又は、部分的なデコードに苦しむレンジゲートのサンプルに対してのみ適用され得、全ての他のレンジゲートに対して、較正係数は1である。言い換えると、較正が必要な唯一のレンジゲートは、パルス圧縮のための少なくとも1つの0設定I/Qサンプルを有するものであり、したがって、一般的に、ブラインド領域の外部にあるレンジゲートは、較正される必要はない。また、戻り信号、例えば、圧縮I/Qサンプルが、多くの0を有するセットから圧縮された場合、その後、較正係数は、0をほとんど有しないセットから圧縮されたサンプルと比較して大きくてよい。例として、送信されたものと同一の受信信号を生成する理想的なターゲットを想定すると、ターゲットがブラインド領域内にあり部分的なデコードが適用される場合、戻り信号は依然として送信された信号に等しいが、開始におけるいくつかのサンプルは部分的なデコードにより影響され(0と置き換えられ)、これは、圧縮されたサンプルと、圧縮されたサンプルから計算されたモーメントとに影響を与える。その影響はほとんどが反射率としてモーメント積において見ることができ、ここで、計算された値は、理想的なターゲットと比較してより低く、レーダアンテナ12に近くなる場合はより一層低い。この損失は、部分的なデコードにより影響を受けない場合、同じターゲットからの電力と比較した場合、0設定された部分に起因するターゲットからの電力損失に比例する。この電力の比が計算されたモーメントに再び乗算される場合、電力は、予想されるものに戻る。この概念は、較正係数を計算するのに使用されており、較正係数は、部分的なデコード(範囲における位置)により影響された受信信号の部分のサイズに依存するので、この計算は、各範囲に対して個々に実行される。この計算を図8に示される2つの例示的なターゲットに実行するために、3つの異なる波形が必要であり、そのうち2つは以下の2つのターゲットからのものである;一方は、目標数2からの規格化された受信信号であり、部分的なデコードにより影響されない(規格化された送信済信号と同じであると想定される)、他方は、部分的なデコードにより人為的に0設定された部分(図8に示される例では、サンプルのおよそ75%が0設定されるが、部分的にデコードされた信号のうちどれだけが各レンジゲートに含まれるかに応じて、影響される部分が変化するということに留意するべきである)だけでなく、規格化された送信済信号のコピーを有する、この受信信号の修正されたバージョンである。較正係数を計算する第1の段階は、パルス圧縮をエミュレートすることであり、前述のターゲットの両方のバージョンからの戻り信号(部分的なデコードにより影響されたもの及び影響を受けなかったもの)は、前述の送信済波形と相互相関し、両方の場合にゼロラグが保存される。第2の段階は、較正に使用される重みである電力の比を計算することであり、当該電力は、部分的なデコードにより影響を受けない第2ターゲットと、部分的なデコードにより影響されている第1のターゲットとの両方から、ゼロラグの相互相関の二乗値として計算され得る。較正係数は、第2ターゲットからの電力を、部分的なデコードにより影響された第1のターゲットの電力により除算したものである。この処理は、部分的なデコードにより影響されたあらゆるゲート範囲に対して繰り返され、部分的なデコードにより影響された各個々のゲートに対応する異なる重みを取得し、全ての他のゲートに対して、乗算された重みは1である。
【0067】
処理された出力がスケーリング係数により一度乗算されると、新たなデコード済出力は、以下のように書き込まれ得る。
【数7】
ここで、s(n)はスケーリング係数である。このスケーリング係数は、前述の式から導出され得る。
【0068】
図8は、従来のパルス圧縮方法(「従来の方法」)と、本明細書に開示される新規のブラインドレンジの復元方法(「新たな方法」)との比較を図示する。この非限定的な例は、2つのターゲットに基づいており、一方(ターゲット#2)は使用可能な範囲内に正常に位置付けられており、本開示のブラインドレンジの復元の対象である他方(ターゲット#1)はブラインド領域内に位置付けられている。
[例]
【0069】
いくつかの非限定的な実験が、様々な波形を使用した新たな技術の有効性を立証するために実施された。実験中に、返された信号は、従来のパルス圧縮、及び新たなブラインドレンジの復元方法という2つの技術を使用して処理され、両方の性能を評価した。
【0070】
実験を実行するために、4つのターゲットが使用され、そのうち2つはブラインドレンジ内に位置付けられ、2つはブラインドレンジの外部に位置付けられた。含まれる送信済波形は以下の通りである:図9Aに示された非線形周波数変調(Non-LFM)波形、図9Bに示された線形周波数変調(LFM)波形、図9Cに示された窓掛けLFM波形、図9Dに示されたBarker‐13二相符号波形、及び図9Eに示されたP4多相符号波形(例えば、B.L.Lewis and F.F.Kretschmer JR.,"Liner Frequency Modulation Derived Polyphase Pulse Compression Codes,"IEEE Trans.Aerosp.Electron.Syst.,Vol.AES-18.NO.5,pp 637-641,1982)を参照)。シミュレーションは、各波形を使用して実施された。理想的なターゲットの応答だけでなく、両方の技術からの反射率の観点からの結果が、図10Aから図10Eに提示される(それぞれ図9A図9Eに示された波形に対応する)。位相符号化波形はシミュレーションにおいて実装されたが、それらは通常、レーダアプリケーション及びレーダシステムでは使用されない。
【0071】
これらの結果により示されるように、ブラインド領域内のターゲットは、本明細書に開示されている方法及びシステムを使用してここで見ることができ、従来の方法を使用して取得された結果におけるように隠されていない。ブラインド領域内のターゲットが復元されるだけでなく、返された波形の単なる一部から復元された場合であっても、ターゲットからの反射率値が正しいことは注目に値する。これは、較正係数の包含に起因して達成された。さらに、ターゲットは、正しい範囲スポットにおいて、送信済波形から独立して復元される。
【0072】
本開示の少なくとも1つの実施形態は、ブラインド領域内の物体により反射された信号を復元するためにレーダ信号を処理する方法であって、当該方法は、レーダシステムからの送信信号を送信する段階と、レーダシステムにおいて戻り信号を受信する段階であって、当該戻り信号は、送信中に漏れた送信信号の一部分と、ブラインド領域内の物体から反射された一部分とを含む、段階と、送信信号の送信中に受信された戻り信号を0設定することにより戻り信号を部分的にデコードし、修正済の戻り信号を形成する段階と、修正済の戻り信号のパルス圧縮を実行し、圧縮された戻り信号を形成する段階と、圧縮された戻り信号を処理し、そこからのモーメント積を計算する段階と、送信信号の持続時間中に戻り信号を受信したレンジゲートのモーメント積を較正係数で較正することによって、ブラインド領域内の物体を表すデータを備えるデータセットを形成する段階と、を備え、ここで較正係数は、特定のレンジゲートにおいて受信された戻り信号の部分的なデコードの影響に起因した電力損失に比例しており、較正係数は、送信信号の波形と、特定のレンジゲートにより覆われた範囲に対するレーダの近接性とに基づく、方法を対象とする。当該方法は、データセットに基づく画像を生成するさらなる段階を備えてよく、ここで画像は、ブラインドレンジにおけるターゲットを含む。データセットは気象データを備えてよく、ここで画像は気象画像である。
【0073】
以下は、本明細書に開示される発明の概念の非限定的且つ例示的な実施形態の番号リストである。
[項目1]
ブラインド領域内の信号を復元するためにレーダ信号を処理する方法であって、当該方法は、
レーダシステムから送信信号を送信する段階と、
上記レーダシステムにおいて戻り信号を受信する段階であって、上記戻り信号は、送信中に漏れた上記送信信号の第1部分と、上記ブラインド領域内の物体から反射された第2部分とを含む、段階と、
上記送信信号の送信中に漏れた上記送信信号の第1部分を0設定することと、修正済の戻り信号を形成することと、上記修正済の戻り信号に対してパルス圧縮を実行して圧縮された戻り信号を形成することとによって上記戻り信号を部分的にデコードする段階と、
上記圧縮された戻り信号を処理して、そこからモーメント積を計算する段階と、
上記ブラインドレンジ内のレンジゲートの上記モーメント積を較正係数で較正することによって、上記ブラインド領域から復元されたデータを備えるデータセットを形成する段階であって、上記較正係数は、部分的にデコードされたレンジゲートの計算されたモーメント積に対してのみ乗算され、上記較正係数は、特定のレンジゲートにおける上記部分的なデコードの影響に起因した電力損失に比例し、上記較正係数は、上記送信信号の波形と、上記特定のレンジゲートにより覆われた範囲に対する上記レーダの近接性に基づく、段階と
を備える、方法。
[項目2]
上記データセットに基づいて画像を生成するさらなる段階であって、上記画像は、上記ブラインドレンジにターゲットを含む、段階を備える、項目1に記載の方法。
[項目3]
上記データセットは気象データを備え、上記画像は気象画像である、項目2に記載の方法。
[項目4]
上記戻り信号はI/Q信号である、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
[項目5]
コンピュータ実行可能ロジックを格納する非一時的コンピュータ可読媒体であって、上記コンピュータ実行可能ロジックは、1又は複数のプロセッサにより実行される場合、
レーダシステムから戻り信号を受信する段階であって、上記戻り信号は、送信中に漏れた送信信号の第1部分と、ブラインド領域内の物体から反射された第2部分とを含む、段階と、
上記送信信号の送信中に漏れた上記送信信号の第1部分を0設定することと、修正済の戻り信号を形成することと、上記修正済の戻り信号に対してパルス圧縮を実行して圧縮された戻り信号を形成することとによって上記戻り信号を部分的にデコードする段階と、
上記圧縮された戻り信号を処理して、そこからモーメント積を計算する段階と、
上記ブラインドレンジ内のレンジゲートの上記モーメント積を較正係数で較正することによって、上記ブラインド領域から復元されたデータを備えるデータセットを形成する段階であって、上記較正係数は、部分的にデコードされたレンジゲートの計算されたモーメント積に対してのみ乗算され、上記較正係数は、特定のレンジゲートにおける上記部分的なデコードの影響に起因した電力損失に比例し、上記較正係数は、上記送信信号の波形と、上記特定のレンジゲートにより覆われた範囲に対する上記レーダの近接性に基づく、段階と
によって、
上記1又は複数のプロセッサに、上記ブラインド領域内の信号を復元するためにレーダ信号を処理させる、非一時的コンピュータ可読媒体。
[項目6]
上記コンピュータ実行可能ロジックは、上記1又は複数のプロセッサにより実行される場合、上記1又は複数のプロセッサに、上記データセットに基づいて画像を生成させ、上記画像は、上記ブラインドレンジにターゲットを含む、項目5に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
[項目7]
上記データセットは気象データを備え、上記画像は気象画像である、項目6に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
[項目8]
上記戻り信号はI/Q信号である、項目5から7のいずれか一項に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
[項目9]
1又は複数のプロセッサを備えるコンピュータシステムであって、上記1又は複数のプロセッサは、
レーダシステムから戻り信号を受信する段階であって、上記戻り信号は、送信中に漏れた送信信号の第1部分と、上記ブラインド領域内の物体から反射された第2部分とを含む、段階と、
上記送信信号の送信中に漏れた上記送信信号の第1部分を0設定することと、修正済の戻り信号を形成することと、上記修正済の戻り信号に対してパルス圧縮を実行して圧縮された戻り信号を形成することとによって上記戻り信号を部分的にデコードする段階と、
上記圧縮された戻り信号を処理して、そこからモーメント積を計算する段階と、
上記ブラインドレンジ内のレンジゲートの上記モーメント積を較正係数で較正することによって、上記ブラインド領域から復元されたデータを備えるデータセットを形成する段階であって、上記較正係数は、部分的にデコードされたレンジゲートの計算されたモーメント積に対してのみ乗算され、上記較正係数は、特定のレンジゲートにおける上記部分的なデコードの影響に起因した電力損失に比例し、上記較正係数は、上記送信信号の波形と、上記特定のレンジゲートにより覆われた範囲に対する上記レーダの近接性に基づく、段階と
を行う、コンピュータシステム。
[項目10]
上記1又は複数のプロセッサは上記データセットに基づいて画像を生成し、上記画像は上記ブラインドレンジにターゲットを含む、項目9に記載のコンピュータシステム。
[項目11]
上記データセットは気象データを備え、上記画像は気象画像である、項目10に記載のコンピュータシステム。
[項目12]
上記戻り信号はI/Q信号である、項目9から11のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
[項目13]
1又は複数のプロセッサを備えるコンピュータシステムであって、上記1又は複数のプロセッサは、
レーダシステムから戻り信号を受信する段階であって、上記戻り信号は、送信中に漏れた送信信号の第1部分と、ブラインド領域内の物体から反射された第2部分とを含む、段階と、
上記送信信号の送信中に漏れた上記送信信号の第1部分を0設定して修正済の戻り信号を形成することと、上記修正済の戻り信号を1又は複数の較正係数で較正して較正された修正済の戻り信号を形成することと、上記較正された修正済の戻り信号に対してパルス圧縮を実行して圧縮された戻り信号を形成することとによって、上記戻り信号を部分的にデコードする段階と、
上記圧縮された戻り信号を処理してそこからモーメント積を計算する段階と
を行い、
上記修正済の戻り信号を上記1又は複数の較正係数で較正する段階はデータセットを形成する、コンピュータシステム。
[項目14]
上記較正係数は、部分的にデコードされたレンジゲートの上記修正済の戻り信号に対してのみ乗算され、上記較正係数は、特定のレンジゲートにおける上記部分的なデコードの影響に起因した電力損失に比例し、上記較正係数は、上記送信信号の波形と、上記特定のレンジゲートにより覆われた範囲に対する上記レーダの近接性に基づく、項目13に記載のコンピュータシステム。
[項目15]
上記1又は複数のプロセッサは上記データセットに基づいて画像を生成し、上記画像は上記ブラインドレンジにターゲットを含む、項目13に記載のコンピュータシステム。
[項目16]
上記データセットは気象データを備え、上記画像は気象画像である、項目15に記載のコンピュータシステム。
[項目17]
上記戻り信号はI/Q信号である、項目13、14、15又は16のいずれか一項に記載のコンピュータシステム。
[項目18]
レーダシステムから戻り信号を受信する段階であって、上記戻り信号は、送信中に漏れた送信信号の第1部分と、ブラインド領域内の物体から反射された第2部分とを含む、段階と、
上記送信信号の送信中に漏れた上記送信信号の第1部分を0設定することと、修正済の戻り信号を形成することと、上記修正済の戻り信号に対してパルス圧縮を実行して圧縮された戻り信号を形成することとによって上記戻り信号を部分的にデコードする段階と、
上記圧縮された戻り信号を処理してそこからモーメント積を計算する段階と
を備え、
較正係数は、上記修正済の戻り信号、上記圧縮された戻り信号、及び上記モーメント積のうちの少なくとも1つに適用され、上記ブラインド領域から復元されたデータを備えるデータセットを形成する。
方法。
[項目19]
プロセッサにより実行される場合、上記プロセッサに、項目18に記載の方法を実行させる、コンピュータ実行可能コードを格納する非一時的コンピュータ可読媒体。
[項目20]
項目18に記載の方法を実行する1又は複数のプロセッサを備える、コンピュータシステム。
いくつかの実施形態が本開示において提供されたが、開示されたシステム及び方法は、本開示の趣旨又は範囲から逸脱することなく、多くの他の具体的な形態で具現化され得ることが理解されよう。本例は、限定的なものではなく例示的なものとみなされるべきであり、本明細書に提供される詳細に限定することは意図していない。例えば、様々な要素又はコンポーネントが別のシステム内において組み合わされ得るか、若しくは、統合され得る。又は、特定の特徴は省略され得るか、若しくは、実装されないことがあり得る。
加えて、様々な実施形態において、個別又は別個のものとして説明及び示される技術、システム、サブシステム、及び方法は、本開示の範囲から逸脱することなく、他のシステム、コンポーネント、技術、又は方法と組み合わされ得るか、又は統合され得る。結合されたものとして示された又は説明された他の項目は、直接結合されてもよく、又は間接的に結合されてもよく、又はいくつかのインターフェース、デバイス、又は中間コンポーネントを通じて電気的に、機械的に、又は別様に通信する。変化、置換、及び変更の他の例は、当業者により確認可能であり、本明細書に開示された発明の概念の趣旨及び範囲から逸脱することなく行われ得る。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
【国際調査報告】