(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(54)【発明の名称】光電池、カプセル化光電池の製造方法、光起電タイル用及び光起電屋根タイル用の電気接続部セット
(51)【国際特許分類】
H01L 31/18 20060101AFI20220314BHJP
H01L 31/068 20120101ALI20220314BHJP
H02S 40/36 20140101ALI20220314BHJP
H02S 20/25 20140101ALI20220314BHJP
【FI】
H01L31/04 440
H01L31/06 300
H02S40/36
H02S20/25
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2021544862
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(85)【翻訳文提出日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 BR2019050573
(87)【国際公開番号】W WO2020154784
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】BR102019001956-5
(32)【優先日】2019-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(31)【優先権主張番号】BR1320190215240
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521339245
【氏名又は名称】テグラ ソルソンィス パラ テルハドス エルティーディーエー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アブラン、クライトン
(72)【発明者】
【氏名】イナシオ、ロドリゴ アンジェロ
(72)【発明者】
【氏名】ロペス、ルイス アントニオ
【テーマコード(参考)】
5F151
【Fターム(参考)】
5F151AA02
5F151AA16
5F151BA11
5F151DA03
5F151EA19
5F151JA04
5F151JA07
(57)【要約】
p型ドーパント溶液及びn型ドーパント溶液を用いて形成された導電膜(12)で被覆された結晶シリコン構造(11)を含み、p型及びn型ドーパント溶液がカロチノイド成分を含むp-n型の光電池(10)。p-n光電池(10)を用いてカプセル化されたp-n光電池を製造するための方法、これらのカプセル化された光電池(19)を形成するために用いられるモジュール(15)を用いて、光起電タイル(20)を備え、電気エネルギー発生及びカバレッジ機能を有する単一部品と共に形成するための方法。光起電タイル(20)によって生成された電気エネルギーを単純かつ安全にインバータに伝えるために使用される、光起電タイル(20)の電気接続ユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
p型ドーピング溶液及びn型ドーピング溶液から形成された導電膜(12)で被覆された結晶シリコン構造(11)を含み、前記n型及び前記p型のドーピング溶液がカロチノイド成分を含むことを特徴とするp-n型の光電池(10)。
【請求項2】
前記p型ドーパント溶液は、5A群ドーパント元素を含み、前記n型ドーパント溶液は、周期律表の2A群ドーパント元素を含むことを特徴とする請求項1に記載の光電池。
【請求項3】
5A群ドーパントは、1.5~4%の量のリンであり、2A群ドーパントは、0.5~2%の量のカルシウムであることを特徴とする請求項2に記載の光電池。
【請求項4】
前記p型ドーピング溶液及び前記n型溶液は、15~30重量%の量のコロフォニー樹脂と、0.5~2%の量のフルオロカーボンカチオン性界面活性剤と、0.5~2.5%の量の液体グリセリンと、1.5~4%の量の硝酸銀とをさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の光電池。
【請求項5】
カロチノイドは、前記p型ドーパント溶液及び前記n型ドーパント溶液中に、各溶液中に1~5重量%の量で存在することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の光電池。
【請求項6】
前記カロチノイドは、ビキシン、ノルビキシン、リコペン、カンタキサンチン、フコキサンチン及びβ-カロチンを含む群から選択されることを特徴とする、請求項5に記載の光電池。
【請求項7】
カプセル化されたp-n型の光電池の製造方法であって、
a)カロチノイド成分を含むp型及びn型ドーピング溶液から形成される導電膜(12)によって複数の結晶シリコン構造(11)の被覆と、複数のp-n型の光電池(10)の形成と、
b)モジュール(15)を形成するスズはんだ付け(13)の手段による前記複数のp-n型の光電池(10)の接合と、
c)カプセル化された光電池(19)を形成する前記モジュール(15)のカプセル化と、
d)電気的接続と、
を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項8】
前記導電膜(12)によって複数の結晶シリコン構造(11)の被覆は、
(i)混合物Aを形成するコロフォニー樹脂とイソプロピルアルコールとの混合と、
(ii)均一な混合物Bを形成する混合物A中のカロチノイドの添加と、
(iii)混合物Cを形成する混合物Bへのカチオン性フルオロカーボン界面活性剤及び硝酸銀の添加と、
(iv)混合物Dを形成する混合物Cへのグリセリンの添加と、
(v)混合物Dの混合物D1及びD2への分離、前記n型ドーピング溶液を形成する混合物D1へのリンの添加、及び前記p型ドーピング溶液を形成する混合物D2へのカルシウムの添加と、
(vi)p-n型の光電池(10)を形成するp型及びn型ドーピング溶液中の前記複数の結晶シリコン構造(11)の浸漬と、
(vii) 前記導電膜(12)を形成する前記p-n型の光電池(10)の乾燥と、
を含むことを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
光電池(10)を取り付けられた光起電タイル(20)用の電気接続アセンブリであって、
前記光起電タイル(20)に埋め込まれ、少なくとも1つの光電池(10)の電気バスバー(101、101’)に関連付けられた少なくとも1つの第1主コネクタ(121)と、
主導管系(151)を形成する一対の主導線(141)に接続された少なくとも第2主コネクタ(131)と、
を含むことを特徴とする電気接続アセンブリであって、
少なくとも前記1つの第2主コネクタ(131)は、少なくとも1つの前記光電池(10)によって発生した電力をインバータ素子(261)に伝導するために、少なくとも1つの前記第1コネクタ(121)と電気的に関連付けられた、
電気接続アセンブリ。
【請求項10】
副導管系(161)を形成する一対の副導線(241)に接続される少なくとも1つの副コネクタ(191)をさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の電気接続アセンブリ。
【請求項11】
前記主導管系(151)は、少なくとも1つのダイオード(251)を設けた接続端子(171)を備えることを特徴とする請求項9に記載の電気接続アセンブリ。
【請求項12】
前記副導管系(161)の少なくとも1つの副コネクタ(191)は、前記主導管系(151)の前記接続端子(171)に関連付けられていることを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の電気接続アセンブリ。
【請求項13】
前記副導管系(161)は、前記インバータ素子(261)に接続されていることを特徴とする請求項12に記載の電気接続アセンブリ。
【請求項14】
前記光起電タイル(20)の各光電池(10)用の第1主コネクタ(121)を備えることを特徴とする請求項9に記載の電気接続アセンブリ。
【請求項15】
各第1主コネクタ(121)に電気的に関連した第2主コネクタ(131)を備えることを特徴とする請求項14に記載の電気接続アセンブリ。
【請求項16】
各第2主コネクタ(131)は、高絶縁耐力、機械的剛性及び断熱性の高分子絶縁体で被覆されていることを特徴とする請求項15に記載の電気接続アセンブリ。
【請求項17】
少なくとも1つの第1主コネクタ(121)は、前記光電池(10)の反対側の、前記光起電タイル(20)の裏面(221)に埋め込まれていることを特徴とする請求項14に記載の電気接続アセンブリ。
【請求項18】
請求項10~17のいずれか一項に記載の光起電タイル用の電気接続アセンブリと、請求項7及び8に定義される複数のカプセル化された光電池(19)と、を備えることを特徴とする光起電タイル(20)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱係数を減少させるための紫外線防御指数を提供し、その結果、電気伝導率のより良い効率を提供する作用剤を含む、p-n型の光電池に関する。本発明は、カプセル化された光電池の製造方法についても言及し、光起電タイル用の電気接続アセンブリへ、簡単かつ安全な方法で、光起電タイルによって生成された電力を、インバータと、カプセル化された光電池及び電気接続アセンブリを含む光起電タイルとに伝導させる役割を果たす。
【背景技術】
【0002】
光電池は、日射を光電効果によって電気エネルギーに変換する半導体材料で作られた装置である。他方、光起電タイルは、1つ以上の光電池を含む住宅及び建物を覆うために使用される建築要素である。
【0003】
従来技術から、いくつかのタイプの光電池が知られている。それらはそれらが作られる材料によって区別され、その最も一般的なものは結晶シリコンであるが、二酸化チタンナノ粒子(TiO2)及び酸化亜鉛(ZnO)で被覆されたスズ/インジウム酸化物(OEI)などの、より価値のある他の貴な材料もまた、この装置の製造に採用される。
【0004】
「クリーン」な発電装置とされているにもかかわらず、太陽電池は半導体材料でできているため、大規模な使用に大きな関心が寄せられています。一般に、2つの主な要因によりエネルギー効率が低くなります。(i)導電率が下げることになる電池の温度の上昇をもたらす、半導体材料による吸収された過剰な太陽エネルギー、主に紫外線スペクトラムエネルギー;及び(ii)電池の温度を上昇させる単純な熱交換と導電率の低下とをもたらす、導電率のための十分なエネルギーを持たない日射の形で電池の半導体によって吸収された赤外線スペクトラム。
【0005】
導電率の問題を解決するために、この技術分野でいくつかの研究開発が行われている。
【0006】
この意味で、文献BR 10 2012 027389-6は、単一のハンドルを形成する構造にカプセル化しリンをドープした、光起電結晶シリコン電池で構成する、ローマタイルモデル又はプランモデルにおけるタイルを記載している。組み立てられたタイルは、上面から底面まで、半透明樹脂の層、エチレン酢酸ビニル(EVA)ポリマー、光電池、バックシート層としてのEVAポリマー、タイル、及び半透明樹脂を含む。
【0007】
また、例えば、「Photovoltaic response of carotenoid-sensitized electrode in aqueous solution: ITO coated with a mixture of TiO2 nanoparticles, carotenoid, and polyvinylcarbazole」と題するGaoらの論文は、これらの半導体材料の有効性を改善するために、カンタキサンチンベースのカロチノイド及び[5]-カロチンと二酸化チタンナノ粒子(OEI/TiO2)で被覆されたスズ/ミディアム酸化物半導体を処理することを記載している。本稿はまた、このタイプの処理におけるカロチノイドの作用メカニズムを教示する。これに関連して、これらの半導体中に存在するカンタキサンチン分子は、エネルギー的に励起されるようになることによって日射を吸収する。この場合、その電子はその導電率を最適化するTiO2と共に、スズ/ミディアム酸化物の伝導帯に供与される。
【0008】
また、「Natural- photosynthesis-inspired photovoltaic cells using carotenoid aggregates as electron donors, and chlorophyll derivatives as electron acceptors」と題するZhuangらによる論文は、リコピンベースのカロチノイド及びクロロフィル色素を用いた、スズ/酸化インジウム(OEI)及び酸化モリブデン(III)(MoO3)光電池、又はOEI/MoO3の処理を明らかにしている。この書類はまた、電子供与体分子として作用するカロチノイド、及び電子受容体分子として作用するクロロフィルの存在によるエネルギー効率を最適化するプロセスを教示する。これらの分子の存在はこれらの光電池において正孔及び電子束のバランスを作り出し、それらの効率を改善する。
【0009】
Muthusaamyの論文「Marine seaweed Sargassum wightii extract as a low-cost sensitizer for ZnO photoanode-based dye-sensitized solar cell」は、一種の半導体である酸化亜鉛(ZnO)光アノードのエネルギー効率を増加させるために、カロチノイド、フコキサンチン及びクロロフィルのような色素の混合物を含む海藻抽出物の使用を記載している。本論文では、これらの色素の存在がこの材料の光起電効率を改善する。
【0010】
したがって、p-n型の光電池(p型及びn型ドーパントでドープされている)だけでなくドープされていない光電池におけるカロチノイドも利用する最先端の研究に見出すことが可能である。しかし、それはカロチノイドを含まない。
【0011】
さらに、通常の光起電タイル及びパネルでは、生成した電力を伝導するためのそれらの間の接続が2つの保護、すなわち、太陽から送られる紫外線であるUVBに対する耐性、燃焼に対する耐性と、を含む光起電ケーブルを介して行われる。
【0012】
また、これらの既知の光起電タイル及びパネルは、各パネル又は各タイル内の電力伝導ケーブルの端子に設置され、インバータとの電力出力ケーブルの接続を仲介する、接続箱及び単一接点電気コネクタを有する。
【0013】
接続箱は通常、逆電流を防止するダイオードを収納するために適用される。次に、コネクタは、電気的接続における接触不良を回避するために使用される。しかしながら、通常の接続箱及び電気コネクタが存在すると、屋根タイル及び光起電パネルのコストが増加し、同様に屋根の製造及び組立がより複雑になる。
【0014】
従って、これらの電池によって生成された電気エネルギーを伝導するためにケーブル端子に電気コネクタを使用せず、かつ、接続箱を使用しないタイルのような屋根に使用するための光電池を構築するために、開発が既に行われている。
【0015】
例えば、文献BR 10 2012 027389-6には、タイルの本体に配置された光電池を備えたポリマー複合タイルが記載されている。光電池とタイルとの関連付けシステムは、製造コストの削減と生産プロセスの容易化を目的として、接続箱を使用していない。従って、電池によって変換された電気エネルギーを通電された光電池間のバスバーストリップは、電気エネルギーの現在のインバータへの接続及び転送のために電気ハーネスにハンダ付けされる。このようにして、ハーネスは、直列の光電池の電力供給されるバスバーを接続するため、そして、最終的に直列の光電池を、コネクタを使用するインバータに接続するために使用される。
【0016】
この解決策において、光電池コネクタは、もはや使用されないが、それでもなお、ハーネスをインバータに接続するために使用する必要がある。また、ハーネスと光電池のバスバーとの関連付けは、溶接を用いて行われている。これは製品が設置のために完成して到着しないため、カバーの設置を簡略化できず、溶接を必要とする。
【0017】
国際公開第2008/137966号論文は、信頼性のある構造及び低コストのソーラールーフのための解決策をもたらす。この場合、ケーブル配線が削減され、光電池の各列の端部にケーブルのみが残され、接続箱がなくなる。また、屋根タイルの電気部品の組立は、タイルが互いに接続され、各接続箱と電気コネクタとともに、最終的な接続が個々にタイルによって接続される代わりに、タイルの列によって行われる。
【0018】
この文献に記載された構成は、電気接続部があるタイルのタブを隣接するタイルのタブに合わせることによって行われ、その結果、電気接続部はタイルが屋根に取り付けられたときにのみ生じる。タイルを接続する電気ハーネスはなく、コネクタは内部にあり、1つのタイルは「オス」コネクタを有し、隣接するタイルは「メス」コネクタを有する。タイルを取り付けると電気接点が閉じ、接続箱を使用しなくなる。インバータ接続にとって、ケーブル配線は、各タイル列の終端のみに制限されるが、インバータに接続する場合、タイル列の各々にコネクタを使用しないことについては何も言及されていない。
【0019】
したがって、光起電タイルの組立における電気的接続部を簡略化することに関心があることが分かる。この意味で、タイルの電気的単純化が必要であり、しかしながら、感電又は火災のリスクを発生させる可能性のある安全でない設置をもたらすことなく、コスト及び接続の困難をもたらす構成要素を排除する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
したがって、本発明はp型及びn型ドーパントを含むp-n型の光電池と、このような光電池の電気伝導率の増加及びこの電気伝導率における効率の増加にそれぞれ起因する、熱係数を減少させるための紫外線防御指数を提供する作用剤と、を提供することを目的とする。
【0021】
本発明の別の目的は、熱係数を減少させ、その結果、この電池の電気伝導率の効率を増加させるための紫外線防御指数を提供する作用剤を含有するドーピング工程を含む、カプセル化されたp-n型の光電池を製造するための方法を提供することである。
【0022】
本発明のさらなる目的は、屋根材と発電特性を同時に備えるように、カプセル化された光電池を有する単一のハンドルを形成する光起電タイルを提供することである。
【0023】
本発明の別の目的は、複数の光起電タイルによって生成された電気エネルギーを、単純かつ安全な方法で、電流インバータに伝導することができる光起電タイルのための電気接続アセンブリを提供することである。
【0024】
また、本発明の目的は、光起電タイル用の電気接続アセンブリを備えた光起電タイルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明の目的は、p型ドーパント溶液及びn型ドーパント溶液から形成された導電膜で被覆された結晶シリコン構造を含むp-n型の光電池であって、p型及びn型ドーパント溶液がカロチノイド成分を含むp-n型の光電池を提供することである。
【0026】
本発明の別の目的は、以下の工程を含む、カプセル化されたp-n型の光電池の製造方法である。
a)カロチノイド成分を含むp型及びn型ドーピング溶液から形成される導電膜によって複数の結晶シリコン構造を被覆、複数のp-n型の光電池を形成
b)モジュールを形成するスズはんだの手段によるp-n型の複数の光電池の結合
c)カプセル化された光電池を形成するモジュールカプセル化
d)電気的接続
【0027】
本発明はさらに、目的として、光電池を有する光起電タイル用の電気接続アセンブリを有する。電気接続アセンブリは、光起電タイルに埋め込まれ、少なくとも1つの光電池の電気バスバーに関連付けられた、少なくとも1つの第1のコネクタと、一対の導線に接続された少なくとも1つの第2のコネクタと、を含み、少なくとも1つの第2のコネクタが少なくとも1つの光電池によって生成された電気エネルギーをインバータ素子に伝導するように、少なくとも1つの第1のコネクタに電気的に関連付けられている。
【0028】
また、本発明の目的は、複数のカプセル化された光電池と、光起電タイル用の電気接続アセンブリとを含む光起電タイルである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1A】本発明のp-n型の光電池主題の概略断面図である。
【
図1B】互いに関連付けられた複数のp-n型の光電池の概略図である。
【
図2】本発明の主題である光起電タイルの斜視図である。
【
図3】本発明の目的であるカプセル化された光電池の製造方法のフローチャートである。
【
図4】カプセル化された光電池の製造方法における工程、より具体的には、複数の結晶シリコン構造を導電膜によって被覆する工程のフローチャートである。
【
図5】カプセル化された光電池の概略分解図である。
【
図6】本発明の主題である電気接続アセンブリを備えた光起電タイルの上面図である。
【
図7】本発明の主題である電気接続アセンブリを備えた光起電タイルの底面図である。
【
図8】本発明の主題である電気接続アセンブリを備えた光起電タイルの概略断面図である。
【
図8A】光起電タイルに埋め込まれた電気接続アセンブリの第1コネクタの詳細図である。
【
図9】本発明の主題である電気接続アセンブリの主導管系の概略斜視図である。
【
図9A】本発明の主題である電気接続アセンブリの主導電性スレッドの詳細図である。
【
図10】本発明の電気接続アセンブリ主題の副導管系の概略斜視図である。
【
図11】本発明の目的である電気接続部セットで互いに接続された複数のタイルの底面図である。
【
図12】本発明の主題である電気接続アセンブリと接続された複数のタイルの上面図である。
【
図13】本発明の主題である電気接続アセンブリと接続された複数のタイルの斜視図である。
【
図14】本発明の主題である電気接続アセンブリの主導管系の電気接続部図の概略図である。
【
図15】本発明の電気接続アセンブリ主題の副導管系の電気接続部図の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
好ましい実施形態によれば、
図1A及び
図1Bに示すように、本発明の主題であるp-n型の光電池10は、p型ドーパント溶液及びn型ドーパント溶液から形成された導電膜12で被覆された結晶シリコン構造11を含む。
【0031】
p型及びn型ドーパント溶液は、ドーパント元素に加えて、以下の詳細に記載されるようなカロチノイド成分を含む。
【0032】
この点に関して、p型ドーパント溶液は、周期律表の5A群からのドーパント元素を、好ましくはリンを1.5~4質量%の量で含む。一方、n型ドーパント溶液は、周期律表の2A族からのドーパント元素、好ましくはカルシウムを0.5~2質量%の量で含む。
【0033】
p型及びn型ドーパント溶液はさらに、50~70質量%の量のイソプロピルアルコール、15~30質量%の量のコロフォニー樹脂、0.5~2質量%の量のカチオン性フルオロカーボン界面活性剤、0.5~2.5質量%の量の液体グリセリン、及び1.5~4質量%の量の硝酸銀を含む。
【0034】
また、導電膜12を形成するために、p型及びn型ドーパント溶液は、それぞれの溶液中に1~5質量%の量のカロチノイドを含む。カロチノイドは天然色素であり、日射線を吸収する能力が高く、紫外線フィルターとしても作用する。これらのカロチノイドは、好ましくはビキシン、ノルビキシン、リコペン、カンタキサンチン、フコキサンチン、及びβ-カロチンを含む群から選択される。
【0035】
p-n型の光電池10は、太陽光に曝されると、電流を発生する。結晶シリコン構造11に存在するシリコン原子は、その最後の電子層に正確に4個の電子を有する。n型ドーパント元素として導電膜12中に存在するリンは、5個の電子を有するので、リン原子は、4個の電子を共有し、共有結合の一部ではないが依然としてリン核の正電荷によって引き付けられる1個の電子を残す。したがって、共有結合の一部ではないリン電子はリン核との結合を容易に切断することができ、これには低エネルギーで十分である。この場合、これらの電子は自由であると見なされ、導電膜12に存在するn型ドーパント元素によってドープされた結晶シリコン構造11は、今やn型電子層を有する。
【0036】
次に、カルシウムは、最後の電子層に二つの電子をもち、それゆえに、シリコン原子を置き換える場合、二つの負電荷がないことと定義される「正孔」が形成され、p型電子層を形成する。
【0037】
n型とp型の二つの電子層を接触させることにより、電子濃度の低い領域から電子濃度の高い領域に電子が流れる。電子がn型側から離れるとき、p-n接点境界上に正電荷の蓄積があり、同様にp形側に負電荷の蓄積がある。p-n型接続の境界で起こるこの電荷の不均衡は、電子の拡散と正孔の自然な傾向に対抗する電場の出現の原因となり、したがって、均衡状態に到達する。
【0038】
光子によって形成された太陽光がp-n型の光電池に落ちる瞬間に、電子と正孔との対の形成があるだろう。電子を一つの電子層からもう一つの電子層に流すのに十分なエネルギーをもつすべての光子に対して、電子と正孔との形成がある。このような条件下では、生成された電子は、n型側に流れ、正孔はp型側に流れ、この電子の流れが電流の発生の原因となる。電池の電界が電位差を与えることになるので、まさにこの二つの物理量の積である発電が可能になるだろう。
【0039】
電子を一つの電子層からもう一つの電子層に流すのに必要なエネルギーよりも高いエネルギーをもつ光子、つまり紫外線領域の近くでエネルギーを保持する光子は、より高い周波数をもって、熱に変換されるのであろう過剰なエネルギーを与える。同様に、電子を1つの電子層から次の電子層へと流すのに必要なエネルギーよりも低いエネルギーをもつ光子、すなわち、より低い周波数をもって、光の赤外領域近くでエネルギーを保持する光子は、電子の軌道からの放出に十分なエネルギーを与えず、その結果、このエネルギーが熱に変換される。
【0040】
上述したこの2つの状況では発生した熱は、結晶シリコン構造11を備えるp-n型の光電池10が効率を失わせるが、これは電池電圧が低下し、したがって、それが生成するできる電力も減少するためである。
【0041】
p型及び導電膜12ドーピング溶液中にカロチノイドが存在すると、p-n型の光電池10の効率が高くなる。これは、カロチノイドが太陽光を吸収するのに役立ち、さらに、カロチノイドは日射、特に紫外線を吸収する高い能力を有するからである。
【0042】
紫外線によって生成された過剰なエネルギーを吸収することによって、カロチノイドはp-n型の光電池10における熱の発生を防止し、また、紫外線領域における過剰なエネルギーを吸収し、p-n型の光電池10の伝導帯に向けられた新たな電子流動を形成する。より具体的には、カロチノイド分子自体からの電子がいわゆる伝導帯に移動し、その結果、電流が増加し、それと共に、電池10の電力が増加する。
【0043】
図1Aに示されるように、光起電システムを有するために、複数のp-n型の光電池10のユニオンからなるモジュールを構成する必要があり、ここで、このユニオンは、スズはんだ13を介して作られる。はんだ領域13における問題を回避するために、電池10は、特にこの接合領域において、不純物を含まないことが必要である。したがって、p型及びn型ドーパント溶液に添加されたイソプロピルアルコールは、電池10の導電性を干渉し得る不純物の除去及び残留水の完全な除去を提供する。
【0044】
さらに、コロフォニー樹脂及びグリセリンは、はんだが均一に広がるように作用する。これにより、はんだ付け時には、はんだ付けされる部品にスズが自由に流れ込む。一方、硝酸銀は優れたエネルギー伝導体であり、p型及びn型ドーパント溶液の両方に存在し、電池10の接合領域におけるエネルギー性能を改善する。
【0045】
その結果、複数のp-n型の光電池10の接合部にスズはんだ13が存在は、例えば、発電に影響を及ぼす電気的絶縁の領域を回避して、接合された電池10間に導電性をもたらす。
【0046】
また、本発明の目的は
図3に示すように、カプセル化されたp-n型の光電池10を製造するための方法であって、以下の工程を含む方法を提供することである。
a)カロチノイド成分を含むp型及びn型ドーパント溶液から形成される導電膜12による複数の結晶シリコン構造11の被覆、複数のp-n型の光電池10の形成
b)モジュール15からスズはんだ13による複数のp-n型の光電池10の接合
c)カプセル化された光電池19を形成するモジュール15のカプセル化
d)電気的接続
【0047】
a)被覆工程
【0048】
p型及びn型ドーパント溶液から形成された導電膜12によって複数の結晶シリコン構造11を被覆する工程は、混合物Aを形成する3部のイソプロピルアルコールへの1部のコロフォニー樹脂の混合物、均一混合物Bを形成する16部の混合物Aへの1部のカロチノイドの添加と、混合物Cを形成する、1部のカチオン性フルオロカーボン界面活性剤の85部の混合物Bへの接着及び3部の硝酸銀の1部のカチオン性フルオロカーボン界面活性剤への接着と、1部のグリセリンの混合物Dを形成する44部の混合物C毎への添加と、を含む(
図4)。
【0049】
混合物Dが形成されると、混合物D1と混合物D2とに等しい割合で分離される。混合物D1において、n型ドーパント溶液を形成する15部の混合物D1に1部のリンを添加する工程がある。混合物D2において、p型ドーパント溶液を形成する混合物D2の45部と半部に1部のカルシウムを添加する工程がある。
【0050】
次に、結晶シリコン構造11は、
図4のルート1に従って、p型ドーパント溶液に浸漬され、それからn型ドーパント溶液に浸漬される。任意選択で、結晶シリコン構造11は、
図4のルート2に従って、n型ドーパント溶液に浸漬され、次に、p型ドーパント溶液に浸漬される。この工程の端部に、p型の光電池10が得られ、次に、最終乾燥工程に進み、導電膜12が形成される。
【0051】
b)複数のp-n型の光電池を接合工程
【0052】
この工程では、複数のp-n型の光電池10が少なくとも7つの電池10のクラスターを形成する直列に配置され、それが互いに接合されてモジュール15を形成することになる(
図1B)。
【0053】
接合部は、スズはんだ13の手段によって形成されており、接合部がモジュール15の導電性を損なわないようになっている。
【0054】
c)モジュールカプセル化工程
【0055】
形成されたモジュール15は、その後、カプセル化される。
図5に示されるように、最初に、モジュール15の上に、EVAポリマー16の第1の層が配置され、負圧側を形成する。モジュール15の下には、EVAポリマー17の第2の層が配置され、続いてTPT(Tedlar Polyester Tedlar)材料の保護下層18が配置され、正圧側を形成する。
【0056】
モジュール15の上下にこれらの層を配置した後、カプセル化は行われ、これは積層装置内でアセンブリを真空に構成することからなる。このカプセル化は、腐食保護及び防水を提供する。
【0057】
最後に、カプセル化されたアセンブリは、樹脂層14を形成する第1のEVAポリマー層16によって形成された負圧部分の上に、樹脂、例えば半透明エポキシ樹脂の層を適用することからなる樹脂被覆される。
【0058】
この工程の結果、カプセル化された光電池19が得られる。
【0059】
d)電気的接続
【0060】
カプセル化された光電池19は、保護バックグラウンド層18の外面に配置された接続箱(図示せず)を受け取る。この接続箱は、使用中にカプセル化された光電池19を電流コンバータ(図示せず)に接続できるようにすることを目的としている。しかしながら、電気的接続の好ましい実施形態は、後に詳細に説明される。
【0061】
本発明の別の目的は、
図2に示される、光起電タイル20からなる。光起電タイル20は、好ましくはコンクリート又は繊維セメントで作られるが、セラミック及びポリマーのような他の材料で作ることもでき、光起電システムを形成するために複数のカプセル化された光電池19を受ける。
【0062】
光起電タイル20は、少なくとも1つの波形21を含む波形の形状、続いて少なくとも1つのプラトー22、プラトーが存在しない波形の形状21、又は他の多数の形状を有する可能性がある。カプセル化された光電池19は、好ましくはポリウレタングルーによる接着の手段によって屋根タイル20上に固定され、中でも接着剤、ねじ、リベットなどの他のタイプの固定を使用することができ、その結果、カプセル化された光電池19は、光起電タイル20と共に、2つの機能、すなわち屋根材及び電気エネルギーの生成を含む単一のハンドルを形成する。それらは屋根として使用されるタイル自体がその構成において既に光電池を含むため、屋根に固定するための、アルミニウムプロファイルと余分な構造とを有する固定システムを、光起電システムのために必要としない。通常の屋根のための木材又は金属構造で十分である。
【0063】
特に、カプセル化された光電池19は、光起電タイル20のプラトー22に、光起電タイル20の波形21に、2つの後続の波形21の間に形成される谷(図示せず)内に、波形21の壁側に、又は光起電タイル20の表面の他の点に取り付けられてもよい。
【0064】
本発明の目的である光起電タイル20は、従来の太陽光発電パネルの美的-機能的問題を解決し、固定の問題を解決し、屋根への設置及びメンテナンスを容易にし、屋根の耐久性を高め、屋根構造に重量を加える制限があるプロジェクトにおいて光起電システムを設置することを可能にし、材料の使用を減らし、光起電システムのコストを低減する。
【0065】
電気接続部に関して、好ましくは
図6、7及び
図8及び
図8Aに図示されるように、光起電タイル20のための電気接続アセンブリは、光起電タイル20に埋め込まれた第1主コネクタ121を含み、特に、光起電タイル20の背面221で、光電池10とは反対側にあり、電気接続アセンブリが光起電タイル20の各光電池10のための第1主コネクタ121を含む。
【0066】
図8Aから分かるように、光起電タイル20の裏面221に埋め込まれた各第1主コネクタ121は、タイル20の前面211に取り付けられた光電池10の電気バスバー101、101’に関連付けられ、その結果、光電池10によって生成された電気エネルギーは、第1主コネクタ121に向けられる。
【0067】
図9及び
図10に図示するように、電気接続アセンブリは、一対の主導線141に接続され、主導管系151を形成する複数及び第2主コネクタ131を備えることが好ましい。各第2主コネクタ131は、高絶縁耐力、機械的剛性、及び断熱性の高分子絶縁体で覆われている。
【0068】
より具体的には及び
図9及び
図9Aに見られるように、複数の第2主コネクタ131は、一対の主導線141に離隔して接続され、後続の第2主コネクタ131の間の間隔と光起電タイル20内に埋め込まれた後続の第1主コネクタ121の間の間隔と一致する。さらに、主導管系151を形成する主導線141に接続される第2主コネクタ131の数は、一線に相互接続されることになる光起電タイル20の数に応じて変化する。
【0069】
従って、
図9及び
図14の配線図は主導管系151を形成する一対の主導線141に離隔して接続された複数の第2主コネクタ131を図示し、この主導管系はその端部に、少なくとも1つのダイオード251を提供する接続端子171を備えている。ダイオード251の機能は、逆電流が発生するのを防止することである。
【0070】
各主導管系151は、第2主コネクタ131から第1主コネクタ121への嵌合から、タイル20の列の端と、端子171と、各列又は主導管系151と組み立てられ相互接続されたタイル20の列などに空きを残し、光起電タイル20の線又は列を相互に接続する。
【0071】
第2主コネクタ131は、少なくとも1つの光電池10によって生成され、第1主コネクタ121によって受け取られた電気エネルギーを、一対の主導線141を介して接続端子171に伝導するように、第1主コネクタ121に、嵌め込まれ、電気的に関連付けられる。
【0072】
図10及び
図15は、次に、副導管系161を形成する一対の副導線241に接続された少なくとも1つの、好ましくは複数の副コネクタ191を示す。この副導管系161の機能は、タイル20の線又は列をインバータ素子261又はマイクロインバータに相互接続することである。
(0073)
したがって、副導管系161の各副コネクタ191は、光起電タイル20で生成された電気エネルギーをインバータ素子261に伝導する主導管系151の接続端子171に関連するか、又は接続される。
【0073】
この点に関し、
図11、
図12及び
図13から分かるように、第1主コネクタ121は、露出した端子又はケーブルがなくても光起電タイル20内に埋め込まれ、感電の危険はなく、これらのタイル20を取り扱うための安全を提供する。すでに説明したように、各第1主コネクタ121は、光電池10によって生成される電気エネルギーを受け取るために、光起電タイル20の裏面221に埋め込まれる。
【0074】
光起電タイル20は、関心のある屋根に列又は列をなして取り付けられた後、第2主コネクタ131は、
図11に示すように、タイル20の各第1主コネクタ121に1つずつ、列をなして嵌め込まれる。
【0075】
所望のカバーを構成する多数の列に嵌合が完成すると、主導管系151の接続端子171は、副導管系161の副コネクタ191に接続され、その副導管系161の端部は、インバータ素子261に関連付けられる。
【0076】
図12は、
図11に示されたものと同じ接続部を示すが、上から見たものである。この場合、主導管系151の主導線対が20本のタイルで保護されており、UV保護材料で作る必要はないことが分かり、太陽に曝されないことから、20本のタイル間の伝導性は屋根の下で行われ、紫外線の入射を受けることがない。
【0077】
メイン及びセカンダリのすべてのコネクタは、8mmの端子があり、70アンペアの電流をサポートする。また、電気エネルギー用の非常に導電性が高く、腐食に強いスズメッキ黄銅を使用している。
【0078】
第1主導体121と第2主導体131との接続部は、第1主導体121に爪が存在することにより、第2主導体131のスリーブに爪が付くことに加え、断線や接触不良を防止し、アークの発生を防止し、火災のリスクを解消する。
【0079】
本発明の目的である光起電タイル20のための電気接続部セットを使用することにより、光起電タイル20の設置に実用性があり、電気接続部エラーを不可能にする、すなわち、タイル20を所望の屋根空間に設置し、第1主導体121内の第2主導体131の接続部又はプラグと、光起電タイル20が機能するための接続端子171内の副導管系161の副コネクタ191の接続部又はプラグとを設置するには十分であり、それらによって生成された電気エネルギーを満足のいく方法で捕捉する。
【0080】
また、本発明の目的は、上述の光起電タイル20用の電気接続アセンブリを含む光起電タイル20である。
【0081】
従って、光起電タイル20用の電気接続部セットを収容した光起電タイル20の設置は、この種の接続部において広く使用されているMC4型端子及び接続箱のような構成要素を使用する必要がなくなるが、しかしながら、電気接続部セットは電気アークの形成、接触不良及び感電を防止するため、タイル20の電気接続部を安全でないものとすることはない。火災の危険も排除される。
【0082】
光起電タイル20用の電気接続セットの別の利点は、電気接続部の簡略化であり、タイル20及び電気接続セットの設置のための専門的な労力を免じる。
【0083】
好ましい実施形態の例を説明したが、本発明の範囲は可能な均等物を含む添付の特許請求の範囲の内容によってのみ限定される、他の可能な変形形態を包含することを理解されたい。
【国際調査報告】