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特表2022-519272調整可能なディスプレイを有する車両
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  • 特表-調整可能なディスプレイを有する車両 図1
  • 特表-調整可能なディスプレイを有する車両 図2a
  • 特表-調整可能なディスプレイを有する車両 図2b
  • 特表-調整可能なディスプレイを有する車両 図2c
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(54)【発明の名称】調整可能なディスプレイを有する車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20220314BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20220314BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20220314BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
G09G5/00 510A
G09G5/00 550C
G09G5/00 530H
G09G5/36 520D
G09F9/00 351
G09F9/00 366A
G09F9/00 362
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545376
(86)(22)【出願日】2020-01-28
(85)【翻訳文提出日】2021-08-03
(86)【国際出願番号】 EP2020051991
(87)【国際公開番号】W WO2020160958
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】102019102943.0
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】シュミット・ベルンハルト
【テーマコード(参考)】
3D344
5C182
5G435
【Fターム(参考)】
3D344AA14
3D344AA16
3D344AA28
3D344AB01
3D344AC30
3D344AD01
5C182AA04
5C182AB15
5C182AB25
5C182AC43
5C182BA06
5C182BA35
5C182BA46
5C182BA65
5C182BA66
5C182CB11
5C182CC24
5G435EE16
5G435EE49
5G435LL17
(57)【要約】
ディスプレイ(110)を有する車両(100)について述べる。そのディスプレイ(110)は、観察位置と鏡映位置との間を動かされるように構成されている。ディスプレイ(110)は、ディスプレイ面(201)を備え、観察位置にあるディスプレイ面(201)は、車両(100)のユーザが車両(100)のユーザ位置(103)から直接視ることができる。車両(100)が鏡面(203)を備え、鏡映位置にあるディスプレイ面(201)が鏡面(203)に面していることで、ディスプレイ面(201)に表示された画像が鏡面(203)上に鏡像(211)を作り、その鏡像が、車両(100)のユーザ位置(103)から車両(100)のユーザに視認可能とされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ(110)を有する車両(100)であって、
-ディスプレイ(110)は、観察位置と鏡映位置との間を動かされるように構成され;
-ディスプレイ(110)は、ディスプレイ面(201)を備え;
-観察位置にあるディスプレイ面(201)は、車両(100)のユーザが車両(100)のユーザ位置(103)から直接視ることができ;
-車両(100)が鏡面(203)を備え;
-鏡映位置にあるディスプレイ面(201)が鏡面(203)に面していることで、ディスプレイ面(201)に表示された画像が鏡面(203)上に鏡像(211)を作り、その鏡像が、車両(100)のユーザ位置(103)から車両(100)のユーザに視認可能とされている
車両。
【請求項2】
請求項1に記載の車両(100)であって、鏡面(203)は、鏡像(203)がディスプレイ面(201)より大きく、特にファクター1.5以上,2以上または3以上だけ大きくなるようにディスプレイ面(201)に対して配置されている及び/又は成形されている車両。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両(100)であって、
-ディスプレイ(110)と鏡面(203)は、ディスプレイ面(201)に対してファクターqだけ拡大された、歪の無い画像情報の再生が可能となるような鏡像(211)を作るように構成され;
-ファクターqは、特に1.5以上、2以上または3以上である
車両。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の車両(100)であって、鏡面(203)は、車両(100)のインストルメント・パネル(103)及び/又は計器盤の一部である車両。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の車両(100)であって、観察位置と鏡映位置との間でディスプレイ(110)を動かすために、ディスプレイ(110)は、軸(202)に回転可能に支承されている車両。
【請求項6】
請求項5に記載の車両(100)であって、前記軸(202)は、車両(100)の長手軸線及び/又は走行方向に対して交差する方向に延在している車両。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の車両(100)であって、制御ユニット(204)を有し、当該制御ユニットは、
-ディスプレイ(110)が観察位置にあるのか或いは鏡映位置にあるのかいずれであるのかを特定し、
-ディスプレイ(110)が鏡映位置にあることが特定された場合、ディスプレイ面(201)上に表示すべき画像を歪データに基づいて変化させることで、鏡面(203)上の画像がユーザにとって歪の無い鏡像(211)として視認できるようにし、このとき歪データは、鏡面(203)の形状及び/又はディスプレイ面(201)に対する鏡面(203)の向きに依存する
ように設けられている車両(100)。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の車両(100)であって、
-鏡面(203)が変形可能であり;
-鏡面(203)は、ディスプレイ(110)が観察位置にあるときに第一の形状を備え、ディスプレイ(110)が鏡映位置にあるときに第二の形状を備え、
-第一の形状と第二の形状が異なっている
車両。
【請求項9】
請求項8に記載の車両(100)であって、ディスプレイ(110)が観察位置から鏡映位置に及び/又は鏡映位置から観察位置に動かされる間に鏡面(203)を変形させるように構成されている車両(100)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の車両(100)であって、ディスプレイ(110)を観察位置から鏡映位置に及び/又は鏡映位置から観察位置に動かすように設けられた電動アクチュエータ(205)を有する車両(100)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の車両(100)であって、
-ディスプレイ(110)は、タッチ感応型のディスプレイ面(201)を備え;
-ディスプレイ(110)が観察位置にあるときにのみ、ディスプレイ面(201)のタッチによる車両(100)の機能操作のためのユーザ入力を検知するように設けられている;及び/又は
-ディスプレイ(110)が鏡映位置にあるときには、ディスプレイ面(201)のタッチによる車両(100)の機能操作のためのユーザ入力を無視するように設けられている
車両(100)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の車両(100)であって、
-ディスプレイ(110)は、ディスプレイ(110)が観察位置にあるとき、車両(100)のマニュアル運転中に、車両(100)のドライバがディスプレイ(110)のディスプレイ面(201)を視る及び/又は触れることができるように配置され;及び/又は
-鏡面(203)は、ディスプレイ(110)が鏡映位置にあるとき、車両(100)の複数のユーザ位置(103)から鏡像(211)を視ることができるように配置され及び/又は形成されている
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる使用場面に様々な設定を行なうことができるディスプレイを有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両、特に自動車は、通常、車両のセンターコンソール内及び/又はインストルメント・パネル上に配置されている少なくとも一つのディスプレイを備えている。ディスプレイは、車両のインフォテインメントシステムの一部である場合もあり、例えば、ユーザインターフェースの一部として及び/又はナビゲーション装置として使用することができる。車両内の設置スペースが限られていることに加え、設計とコストの理由から、車両のディスプレイは、多くは比較的小さいので、ディスプレイは、特に動画の再生には、制限のある状態でしか使用できない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本書面では、様々な用途に効率的かつ柔軟に使用できるコンパクトなディスプレイを有する車両を提供するという技術的課題を扱う。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は、独立請求項により解決される。有利な実施形態は、とりわけ、従属請求項に記載されている。独立特許請求項に従属する特許請求項の追加的な特徴部は、独立特許請求項の特徴部が無くても、または、独立特許請求項の特徴部の一部と組み合わされるだけでも、独立特許請求項の全ての特徴部を組み合わせたものから独立した独自の発明を形成することができ、それが独立特許請求項の対象、分割出願の対象または後願の対象になり得ることを指摘しておく。このことは、明細書に記載された技術的教示にも同様に当てはまり、独立特許請求項の特徴部から独立した発明を形成することができる。
【0005】
一態様に従って、車両、特に(道路)自動車(例えば、乗用車またはトラックまたはバスまたはオートバイ)を説明する。車両は、ディスプレイを有し、そのディスプレイは、観察位置と鏡映位置との間を動かされるように構成されている。観察位置と鏡映位置との間でディスプレイを動かすために、ディスプレイは、例えば軸に回転可能に支承されていてもよい。その軸は、(少なくとも部分的に)車両の長手軸線に対して交差する方向及び/又は走行方向に対して交差する方向に延在していてもよい。
【0006】
ディスプレイは、ディスプレイ面を備えている。ディスプレイ面は、複数の画素ないしピクセルを備え、画素ないしピクセルは、例えば、画素のマトリックスに配置されている。例えば、ディスプレイ面は、N行M列の画素を備えていてもよい。このとき、NおよびMは、それぞれ100以上、500以上、1000以上または2000以上とすることができる。個々の画素は、個別に制御でき、それにより発光して、車両のユーザが視ることのできる画像をディスプレイ面上に再生する。
【0007】
ディスプレイは、観察位置にあるディスプレイ面を車両のユーザが車両のユーザ位置から(例えばドライバ位置から)直接視ることができるように配置されている。こうして、観察位置にあるディスプレイは、画像情報をそのまま再生ないし表示するために使用することができる。ディスプレイ面はこのとき、ディスプレイが観察位置にあるときに、ユーザがユーザ入力のためにディスプレイ面を触ることができるように、必要に応じてタッチ感応型とすることができる。
【0008】
車両は、鏡面を備えている。鏡面は、車両のインストルメント・パネル及び/又は計器盤の一部である場合もある。鏡面は、一つ若しくは複数の車両のユーザ位置に面していてもよい。
【0009】
ディスプレイは、鏡映位置にあるディスプレイ面が鏡面に面していることで、ディスプレイ面に表示された画像が鏡面上に鏡像を作り、その鏡像が、車両のユーザ位置から車両のユーザに視認可能とされているように構成されている。こうして、鏡映位置にあるディスプレイは、画像情報を再生するための鏡像を生成するプロジェクタとして使用することができる。これにより、一つのディスプレイを複数の用途に効率的に使用することができる。
【0010】
既に上で述べたように、観察位置にあるディスプレイのディスプレイ面は、車両のユーザ位置に面している。他方、鏡映位置にあるディスプレイ面は、ユーザ位置とは反対側を向くか或いは少なくともユーザ位置にはもはや面していないようにできる。特に、鏡映位置にあるディスプレイは、車両のユーザ位置からはそのままディスプレイ面を視ることができないか或いは目にすることができないように配置することができる。 これにより、ユーザが常に((ディスプレイが観察位置にあるときには)そのままディスプレイ面上か或いは(ディスプレイが鏡映位置にあるときには)鏡面上かのいずれかに)一つの画像しか目にすることができないことを確実にできる。
【0011】
鏡面は、鏡像がディスプレイ面より大きく、特にファクター1.5以上、2以上または3以上大きくなるようにディスプレイ面に対して配置されている及び/又は成形されているようにしてもよい。代替的または付加的に、ディスプレイと鏡面は、ディスプレイ面に対してファクターqだけ拡大された、歪の無い画像情報の再生が可能となるような鏡像を作るように構成することができる。ファクターqは、好ましくは、1.5以上、2以上または3以上である。こうして、投影された鏡像を介した画像情報の拡大再生を可能にすることができる。これは例えば、(例えば、車両の自律走行時において)動画を再生するために有利に使用することができる。
【0012】
車両は、ディスプレイが観察位置にあるのか或いは鏡映位置にあるのかいずれであるのかを特定するように設けられている制御ユニットを有することができる。ディスプレイのディスプレイ面上における画像再生は、ディスプレイが観察位置にあるのか或いは鏡映位置にあるのかいずれであるのかに応じて行なうことができる。特に、ディスプレイが鏡映位置にあるとき、例えば、効率的に鏡面上に歪の無い鏡像の画像再生ができるように、ディスプレイ面上の画像再生を修正することができる。
【0013】
制御ユニットは、(特に、ディスプレイが鏡映位置にあることが特定された場合)ディスプレイ面上に表示すべき画像を歪データに基づいて変化させることで、鏡面上の画像がユーザにとって歪の無い鏡像として視認できるように設けられていてもよい。歪データはこのとき、鏡面の形状及び/又はディスプレイ面に対する鏡面の向きに依存するのでもよい。こうして、画像処理により、歪の無い鏡像の画像再生を効率的に可能にすることができる。
【0014】
鏡面は、変形可能でもよい。特に、鏡面は、ディスプレイが観察位置にあるときに第一の形状を備え、ディスプレイが鏡映位置にあるときに第二の形状を備え、第一の形状と第二の形状が異なっている。第一の形状は、例えば、(マニュアルでの)車両の走行運転のために(例えば、車両の送行運転に合わせたユーザインターフェースを利用できるようにするために)最適化することができる。他方、第二の形状は、鏡像を再生するために(例えば、できるだけ大きな鏡像が提供されるように)最適化することができる。こうして、車両のユーザにとっての快適さをさらに高めることができる。
【0015】
車両は、ディスプレイが観察位置から鏡映位置に及び/又は鏡映位置から観察位置に動かされる間に鏡面を(自動的に)変形させるように構成されている。こうして、ディスプレイの異なる用途を便利な方法で利用可能にすることができる。
【0016】
車両は、ディスプレイを観察位置から鏡映位置に及び/又は鏡映位置から観察位置に動かすように設けられた電動アクチュエータ(例えば電気モータ)を有していてもよい。アクチュエータは、例えば、ユーザ入力に対応して作動させることができる。電動アクチュエータを用いることによって、ディスプレイの異なる用途を快適に利用可能にすることができる。
【0017】
既に上述したように、ディスプレイは、タッチ感応型のディスプレイ面(例えば、タッチスクリーン)を備えていてもよい。車両は、ディスプレイが観察位置にあるときにのみ、ディスプレイ面のタッチによる車両の機能操作のためのユーザ入力を検知するように設けられていてもよい。代替的または付加的に、車両は、ディスプレイが鏡映位置にあるときには、ディスプレイ面のタッチによる車両の機能操作のためのユーザ入力を無視するように設けられていてもよい。こうして、ディスプレイを介して利用可能になる車両のユーザインターフェースの信頼性を高めることができる。
【0018】
ディスプレイは、ディスプレイが観察位置にあるとき、車両のマニュアル運転中に、車両のドライバがディスプレイのディスプレイ面を視る及び/又は触れることができるように配置されていてもよい。代替的または付加的に、鏡面は、ディスプレイが鏡映位置にあるとき、車両の複数のユーザ位置から鏡像を視ることができるように配置され及び/又は形成されていてもよい。このようにして、車両において、一つのディスプレイを通して異なる用途を快適に利用可能にすることができる。
【0019】
本書面で述べられている装置及びシステムは、単独で使用することも、本書面で述べられている他の装置及びシステムと組み合わせても使用することができることに留意されたい。さらに、本書面で述べられているあらゆる観点の装置及びシステムは、互いに多様に組み合わせることができる。特に、請求項の特徴部は、互いに多様に組み合わせることができる。
【0020】
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】例示的な車両の内部空間を示す図である。
図2a】車両のための例示的なディスプレイを示す図である。
図2b】車両のための例示的なディスプレイを示す図である。
図2c】車両のための例示的なディスプレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
冒頭で述べたように、本書面は、車両において様々な用途に使用できるコンパクトなディスプレイを利用可能にすることを扱う。これに関して、図1は、車両100の例示的な構成要素を示している。車両100は、例えば、内部空間若しくはキャビン101の内部に(例えば、座席の形で)一つ若しくは複数の乗員位置ないしユーザ位置103を有している。さらに、車両100は、内部空間101の前部領域に、インストルメント・パネル104と操舵装置102(ステアリングホイール等)を備えていてもよい。車両100のドライバは、乗員位置103に配置されていてもよく、操舵装置102を介して車両100を少なくとも部分的にマニュアルで操縦できる。
【0023】
さらに、車両100は、例えば車両100のインストルメント・パネル104に設けられたディスプレイ110を備えている。ディスプレイ110は、車両100に恒久的に組み込まれていてもよく、例えば、車両100のユーザインターフェースの一部及び/又はナビゲーションシステムの一部として使用することができる。ディスプレイはここで、コスト及び設計上の理由から、比較的小さいことが多いため、通常は、動画を再生して車両100の異なる乗員位置103から視ることができるようにするのには適さない。
【0024】
図2aから図2cは、車両100のための例示的なディスプレイ110を示しているが、このディスプレイは、異なる用途のために、異なる位置ないし姿勢にすることができる。ディスプレイ110は、軸202周りに回転可能ないし揺動可能に支承されており、ディスプレイ110が観察位置(図2a参照)と鏡映位置(図2b参照)との間で行ったり来たり動けるようになっている。図1及び図2aから図2cに座標系によって表されているように、軸202は、車両100の横軸ないしy軸に沿って延在していてもよい。z軸は、通常、車両100の垂直軸に対応し、x軸は、通常、車両100の長手軸線に対応する。
【0025】
観察位置では、ディスプレイ110は、車両100のユーザが車両100の乗員位置103からディスプレイ110のディスプレイ面201を直接視ることができるように車両100内に配置されている。ディスプレイ面201は、ディスプレイ110が観察位置にあるときには、例えば車両100のx軸に略垂直に延びているのでもよい。特に、ユーザは、観察位置にあるディスプレイ面201上に表示される画素221を直接目にすることができる。さらに、タッチ感応型のディスプレイ110を使用する場合、観察位置では、車両100の乗員位置103に配置されているユーザによるディスプレイ面201のタッチを可能にすることができる。
【0026】
鏡映位置では、ディスプレイ110のディスプレイ面201は、通常は、車両100のユーザには見えない。ディスプレイ面201は、鏡映位置では、車両100の鏡面203に面しているので、ディスプレイ面201上に表示される画像は、鏡面203で反射されることになり、車両100の乗員位置103に配置されている車両100のユーザに鏡像211として視認可能となる。鏡面203は、例えば、車両100のインストルメント・パネル104の一部であってもよい。鏡映位置では、ディスプレイ110のディスプレイ面201は、車両100のz軸に略垂直に配置されていてもよい。
【0027】
鏡面203は、鏡像211が、ディスプレイ110のディスプレイ面201上に表示される画像の拡大版であるように形成され及び/又は配置されていてもよい。特に、鏡面203は、この目的のために、ディスプレイ110のディスプレイ面201に対して斜めに配置されていてもよい。代替的または付加的に、鏡面203は、拡大する湾曲を備えていてもよい。
【0028】
こうして、室内で可動な及び/又は横軸202周りに回転可能に支承されたディスプレイ装置110が説明される。第一の位置では(すなわち観察位置では)、ディスプレイ装置110のディスプレイ面201上にユーザが直接目にすることのできる情報を表示することができる。ユーザに視認可能な表示の大きさはこのとき、ディスプレイ面201の大きさに相当する。第一の位置では、タッチ感応型のディスプレイ面201を介したタッチ操作も可能にすることができる。
【0029】
さらに、ディスプレイ装置110は、ディスプレイ面201上に表示される画像が鏡面203で反射するように、第二の位置に(すなわち鏡映位置に)動かすことができる。これにより、所定のファクターqだけ拡大された鏡像211が生成され、このときファクターqは、鏡面203の向き及び/又は曲率に依存する。第二の位置は、例えば、車両100の複数の乗員位置103から視ることのできる動画を再生するために使用することができる。第二の位置では、ユーザ入力は、例えば、リモートタッチ、音声及び/又はジェスチャを介して可能にすることができる。
【0030】
車両100の鏡面203は、フレキシブル及び/又は可撓に形成されていてもよい。特に、鏡面203は、ディスプレイ110が観察位置から鏡映位置に動かされるときに、或る機構を用いて変形させることができる。換言すれば、(例えば、車両100の計器盤ないしインストルメント・パネル104の一部として)鏡面203は、モニタないしディスプレイ110を回転させる際に鏡面203がフレキシブルに及び/又は裂け目が入らないように撓んでモニタ110の回転が可能になるように作られていてもよい。さらに換言すれば、鏡面203は、観察位置にあるときには、鏡映位置にあるときとは別の形状を備えることができる。特に、鏡面203の形状は、観察位置では、車両100の走行運転に最適化されていてもよい。他方、鏡面203の形状は、鏡映位置では、拡大された歪の無い鏡像211を表示するのに最適化されていてもよい。このようにして、姿勢を調節できるディスプレイ110を利用可能にすることをさらに改善することができる。
【0031】
車両100は、ディスプレイ110を自動的に観察位置と鏡映位置との間で行ったり来たり動かすように設けられたアクチュエータ205、例えば電気モータを備えることができる。さらに、車両100は、ディスプレイ110を観察位置から鏡映位置に及び/又は鏡映位置から観察位置に動かせるようにするために車両100のユーザが操作することのできる少なくとも一つの操作要素(不図示)を有することができる。こうして、車両100のユーザにとっての快適さをさらに高めることができる。
【0032】
さらに、車両100は、ディスプレイ110が観察位置にあるのか鏡映位置にあるのかいずれであるのかを特定するように設けられた制御ユニット204を有していてもよい。ディスプレイ110は、ディスプレイ110が観察位置にあるのか鏡映位置にあるのかに応じて動作させることができる。例えば、タッチ感応型のディスプレイ面201を介したユーザ入力は、場合によっては、ディスプレイ110が観察位置にあるときにだけ可能となるようにすることができる。他方、ディスプレイ110が鏡映位置にあるときには、ディスプレイ面201のタッチを無視するようにしてもよい。このようにして、ディスプレイ110を介して利用可能になる車両100のユーザインターフェースの信頼性を高めることができる。
【0033】
代替的または付加的に、ディスプレイ110が観察位置にあるのか鏡映位置にあるのかに応じて、ディスプレイ面201上に表示される画像を出力することができる。特に、ディスプレイ110が鏡映位置にあるとき、鏡面203の向き及び/又は形状により生じる歪を少なくとも部分的に相殺するために、画像は、場合によっては歪ませてディスプレイ面201上に出力することができる。例えば、制御ユニット204により、鏡面203の向き及び/又は形状に基づいた歪データを考慮することができる。歪データは、ディスプレイ面201上に表示される画像と、鏡像211との間の変換を表すものでもよい。制御ユニット204は、その逆変換をディスプレイ面201上に表示する画像に適用して、表示されるべき画像を鏡像211に歪なしで再現させることができる。歪データを考慮することにより、鏡面203上での歪の無い鏡像211の再生を効率的に可能にすることができる。
【0034】
かくして、観察位置においてマニュアル運転モードのための高解像度のユーザインターフェースを利用可能にできる位置調節可能なディスプレイ110が説明される。さらに、このディスプレイ110が、(例えば、車両100が自動運転モードにあるとき)鏡映位置において比較的大きな仮想モニタとして使用される。このようにして、車両100のユーザにとっての快適さを効率的に高めることができる。
【0035】
本発明は、示された実施例に限定されない。特に、明細書及び図面は、提案された装置及びシステムの原理だけを具体的に示していることに留意されたい。
図1
図2a
図2b
図2c
【国際調査報告】