(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(54)【発明の名称】液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリならびに関連システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20220314BHJP
G01N 21/03 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
G02B21/00
G01N21/03 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545412
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(85)【翻訳文提出日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 US2020016573
(87)【国際公開番号】W WO2020163326
(87)【国際公開日】2020-08-13
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511227336
【氏名又は名称】モレキュラー デバイシーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】リー, ローレンス
【テーマコード(参考)】
2G057
2H052
【Fターム(参考)】
2G057AA01
2G057AA02
2G057AA04
2G057AB04
2G057AB06
2G057AB07
2G057AC01
2G057BA03
2G057DB01
2H052AA09
2H052AB02
2H052AB03
2H052AC04
2H052AC34
2H052AD03
2H052AD20
2H052AD27
2H052AF01
(57)【要約】
液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリは、対物レンズと、浸漬液体を対物レンズのレンズに送達するための液体送達システムと、液体をレンズの周囲の面積から除去するための液体帰還システムとを含む。対物レンズは、サンプルコンテナの下方に位置付けられてもよい。液体が、ボーラスをレンズとサンプルコンテナとの間に形成するように、レンズに送達される。過剰液体は、帰還システムの中に排出され、これは、切り欠きまたはV形状チャネルを介して行われ得る。加えて、送達システムを通した流動方向は、液体がまた、送達システムを介して、レンズの周囲の面積から除去され得るように、逆転されてもよい。アセンブリはまた、液体をサンプルコンテナの下面から除去するために利用されてもよい。アセンブリはまた、漏出センサおよび/またはエレクトロウェッティングデバイスを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対物レンズアセンブリであって、
筐体と、前記筐体に搭載されるレンズとを備える対物レンズであって、前記レンズは、外側レンズ表面を備える、対物レンズと、
前記対物レンズに搭載され、前記外側レンズ表面を液体中に浸漬させるように構成される液体取扱デバイスであって、前記液体取扱デバイスは、
前記外側レンズ表面を囲繞し、それを通して前記レンズが暴露されるデバイス開口部を画定する輪縁であって、前記輪縁は、切り欠きを備える、輪縁と、
前記切り欠きと連通する円錐形表面を備える円錐形部分と、
前記デバイス開口部と連通する送達出口と、
前記円錐形表面と連通する帰還入口と
を備え、
前記液体取扱デバイスは、前記送達出口から前記デバイス開口部まで、液体送達経路を画定し、
前記液体取扱デバイスは、前記デバイス開口部から、前記切り欠きを通して、前記円錐形表面に沿って、前記帰還入口まで、液体帰還経路を画定する、
液体取扱デバイスと
を備える、対物レンズアセンブリ。
【請求項2】
前記送達出口は、前記レンズを囲繞する、請求項1に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項3】
前記筐体は、それを通して前記レンズが暴露される筐体開口部を備え、前記デバイス開口部は、前記筐体開口部を囲繞し、前記送達出口は、前記筐体開口部と前記レンズ開口部との間に画定された環状空間である、請求項2に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項4】
前記液体取扱デバイスは、前記送達出口と連通する送達通路を備える、請求項1に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項5】
前記送達通路は、環状円錐形空間を備える、請求項4に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項6】
前記液体取扱デバイスの前記円錐形部分は、第1の円錐形部分であり、前記対物レンズは、第2の円錐形部分を備え、前記環状円錐形空間は、前記第1の円錐形部分と前記第2の円錐形部分との間に画定される、請求項5に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項7】
前記液体取扱デバイスは、前記切り欠きから前記帰還入口に向かって延設される帰還チャネルを備える、請求項1に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項8】
前記帰還チャネルは、前記円錐形表面上に配置される、請求項7に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項9】
前記円錐形表面は、前記円錐形部分の外部の外面である、請求項8に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項10】
前記円錐形表面は、前記円錐形部分の内部の内面である、請求項8に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項11】
前記帰還チャネルは、前記切り欠きと前記帰還入口との間の長さと、前記長さを横断する幅とを有し、前記幅は、前記帰還チャネルに沿って、前記切り欠きから離れる方向に増加する、請求項7に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項12】
前記液体取扱デバイスは、前記帰還入口と連通する貯留槽を備え、前記帰還チャネルは、前記切り欠きから前記貯留槽に向かって延設される、請求項7に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項13】
前記帰還チャネルは、前記円錐形表面上に配置され、前記貯留槽は、前記円錐形表面に隣接して位置付けられる、請求項12に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項14】
前記送達出口は、ポートを備え、前記ポートおよび前記切り欠きは、前記レンズの中心に対して異なる角度位置に位置する、請求項1に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項15】
前記液体帰還経路の切り欠きは、帰還切り欠きであり、前記輪縁はさらに、送達切り欠きを備え、前記液体送達経路は、前記送達切り欠きを通して前記デバイス開口部までの一次流動経路と、前記送達出口を通して前記デバイス開口部までの二次流動経路とを備える、請求項1に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項16】
前記送達切り欠きと連通する送達チャネルを備え、前記液体送達経路の一次流動経路は、前記送達チャネルから前記送達切り欠きまで延設される、請求項15に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項17】
前記送達チャネルは、前記円錐形部分の内面上または前記内面内に配置される、請求項16に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項18】
前記液体取扱デバイスは、環状円錐形空間を備え、前記液体送達経路の二次流動経路は、前記環状円錐形空間を通して、前記デバイス開口部まで延設される、請求項16に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項19】
前記液体取扱デバイス上に配置される液体漏出センサを備える、請求項1に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項20】
前記液体漏出センサは、前記円錐形表面より縦軸から大きい半径方向距離に位置する前記液体取扱デバイスの一部に配置される、請求項19に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項21】
前記液体取扱デバイスは、外側を備え、前記液体漏出センサは、前記外側上に配置される電極を備える、請求項19に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項22】
顕微鏡対物レンズのレンズを液体で浸漬させるための方法であって、前記方法は、
レンズおよびサンプル支持体が間隙によって分離されるように、前記顕微鏡対物レンズを前記サンプル支持体の下方に位置付けることであって、前記レンズは、それを通して前記レンズが暴露される開口部を画定する輪縁によって囲繞され、前記輪縁は、切り欠きを備える、ことと、
液体を前記レンズに流動させ、液体ボーラスを前記間隙内に形成および維持し、前記レンズおよび前記サンプル支持体と接触させることと、
前記液体ボーラスを維持しながら、液体を、前記レンズから、前記切り欠きの中に、前記顕微鏡対物レンズの上方に位置付けられる円錐形表面に沿って流動させることによって、液体を除去することと
を含む、方法。
【請求項23】
液体を除去することはさらに、前記液体を、前記切り欠きから、前記円錐形表面上に位置付けられる帰還チャネルの中に流動させることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
液体を除去することはさらに、前記液体を、前記帰還チャネルから、前記円錐形表面に隣接する貯留槽の中に流動させることを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記サンプル支持体は、第1のサンプルコンテナと、第2のサンプルコンテナとを備え、前記液体ボーラスは、前記第1のサンプルコンテナと接触し、
前記レンズまたは前記サンプル支持体の少なくとも一方を他方に対して移動させ、前記レンズを前記第2のサンプルコンテナの下方に位置付けることと、
移動させながら、液体を流動させるかまたは液体を維持し続け、前記レンズを湿潤させたまま保つことと
をさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
液体を前記レンズに流動させ、前記液体ボーラスを形成および維持することは、第1の流率で行われ、
移動させる前に、またはその間に、前記液体の流動を前記第1の流率未満の第2の流率に調節することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記第1のサンプルコンテナと接触する前記液体ボーラスは、第1の液体ボーラスであり、
移動させた後、前記レンズおよび前記第2のサンプルコンテナと接触する第2の液体ボーラスを形成することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記液体を前記円錐形表面から帰還入口まで流動させることと、吸引力を前記帰還入口に印加することとを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記吸引力を介して、残留液体を前記帰還入口の中に引き込むことによって、前記残留液体を前記サンプル支持体の底部から除去することを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
液体を前記レンズに流動させることは、前記レンズを囲繞するかまたはそれに隣接する送達出口を通して、前記液体を流動させることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記液体ボーラスを形成後、液体を前記レンズに流動させることを中止することと、吸引力を前記送達出口に印加し、液体を前記レンズから除去することとを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記液体ボーラスを形成後、液体を前記レンズに流動させることを中止することと、吸引力を前記送達出口に印加し、残留液体を前記サンプル支持体の底部から除去することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記円錐形表面は、液体取扱デバイスの一部であり、液体漏出センサを動作させ、液体が、前記円錐形表面より前記レンズから大きい半径方向距離に位置する前記液体取扱デバイスの一部上に存在するかどうかを決定することをさらに含む、請求項22に記載の方法。
【請求項34】
対物レンズアセンブリであって、
筐体と、前記筐体に搭載されるレンズとを備える対物レンズであって、前記レンズは、外側レンズ表面を備える、対物レンズと、
前記対物レンズに搭載され、前記外側レンズ表面を液体中に浸漬させるように構成される液体取扱デバイスであって、前記液体取扱デバイスは、
前記外側レンズ表面を囲繞し、それを通して前記レンズが暴露されるデバイス開口部を画定する輪縁と、
円錐形表面を備える円錐形部分と、
前記デバイス開口部と連通する送達出口と、
前記円錐形表面と連通する帰還入口と、
前記帰還入口と連通する環状V形状チャネルと
を備え、
前記液体取扱デバイスは、前記送達出口から前記デバイス開口部まで、液体送達経路を画定し、
前記液体取扱デバイスは、前記デバイス開口部から、前記円錐形表面に沿って、前記環状V形状チャネルを通して、前記帰還入口まで、液体帰還経路を画定する、
液体取扱デバイスと
を備える、対物レンズアセンブリ。
【請求項35】
前記送達出口は、前記レンズを囲繞する、請求項34に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項36】
前記筐体は、それを通して前記レンズが暴露される筐体開口部を備え、前記デバイス開口部は、前記筐体開口部を囲繞し、前記送達出口は、前記筐体開口部と前記レンズ開口部との間に画定された環状空間である、請求項35に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項37】
前記液体取扱デバイスは、前記送達出口と連通する送達通路を備える、請求項34に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項38】
前記送達通路は、環状円錐形空間を備える、請求項37に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項39】
前記液体取扱デバイスは、第1の円錐形部分を備え、前記対物レンズは、第2の円錐形部分を備え、前記環状円錐形空間は、前記第1の円錐形部分と前記第2の円錐形部分との間に画定される、請求項38に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項40】
前記環状V形状チャネルは、前記V形状外形を画定する環状内面と、環状外面とを備え、前記環状内面および前記環状外面は、前記環状V形状チャネルの頂点において、相互から離間され、前記帰還入口に対応する環状開口部を画定する、請求項34に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項41】
前記環状V形状チャネルは、前記V形状外形を画定する環状内面と、環状外面とを備え、前記環状内面と前記環状外面との間の角度は、60~100度の範囲内である、請求項34に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項42】
前記液体取扱デバイス上に配置される液体漏出センサを備える、請求項34に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項43】
前記液体漏出センサは、前記環状V形状チャネルより縦軸から大きい半径方向距離に位置する前記液体取扱デバイスの一部に配置される、請求項42に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項44】
前記液体取扱デバイスは、外側を備え、前記液体漏出センサは、前記外側上に配置される電極を備える、請求項42に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項45】
エレクトロウェッティング電圧電位を前記表面の親水性を増加させるために有効な前記液体取扱デバイスの表面に印加するように構成されるエレクトロウェッティングデバイスを備える、請求項34に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項46】
前記環状V形状チャネルは、前記V形状外形を画定する環状内面と、環状外面とを備え、前記エレクトロウェッティングデバイスは、電圧を前記環状内面と前記環状外面との間に印加するように構成される電圧源を備える、請求項45に記載の対物レンズアセンブリ。
【請求項47】
顕微鏡対物レンズのレンズを液体で浸漬させるための方法であって、前記方法は、
レンズおよびサンプル支持体が間隙によって分離されるように、前記顕微鏡対物レンズをサンプル支持体の下方に位置付けることと、
液体を前記レンズに流動させ、液体ボーラスを前記間隙内に形成および維持し、前記レンズおよび前記サンプル支持体と接触させることと、
前記液体ボーラスを維持しながら、液体を、前記レンズから、前記レンズを囲繞する環状V形状チャネルの中に流動させることによって、液体を除去することと
を含む、方法。
【請求項48】
前記サンプル支持体は、第1のサンプルコンテナと、第2のサンプルコンテナとを備え、前記液体ボーラスは、前記第1のサンプルコンテナと接触し、
前記レンズまたは前記サンプル支持体の少なくとも一方を他方に対して移動させ、前記レンズを前記第2のサンプルコンテナの下方に位置付けることと、
移動させながら、液体を前記レンズに流動させ、液体を前記レンズから流動させ、前記レンズを湿潤したまま保ち続けることと
をさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
液体を前記レンズに流動させ、前記液体ボーラスを形成および維持することは、第1の流率で行われ、
移動させる前に、またはその間に、前記液体の流動を前記第1の流率未満の第2の流率に調節することをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記第1のサンプルコンテナと接触する前記液体ボーラスは、第1の液体ボーラスであり、
移動させた後、前記レンズおよび前記第2のサンプルコンテナと接触する第2の液体ボーラスを形成することをさらに含む、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
吸引力を前記環状V形状チャネルに印加することを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記吸引力を介して、残留液体を前記環状V形状チャネルの中に引き込むことによって、前記残留液体を前記サンプル支持体の底部から除去することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
液体を前記レンズに流動させることは、前記レンズを囲繞する環状送達出口を通して、前記液体を流動させることを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
前記液体ボーラスを形成後、液体を前記レンズに流動させることを中止することと、吸引力を前記環状送達出口に印加し、液体を前記レンズから除去することとを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記液体ボーラスを形成後、液体を前記レンズに流動させることを中止することと、吸引力を前記環状送達出口に印加し、残留液体を前記サンプル支持体の底部から除去することとを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項56】
前記環状V形状チャネルは、液体取扱デバイスの一部であり、液体漏出センサを動作させ、液体が、前記環状V形状チャネルより前記レンズから大きい半径方向距離に位置する前記液体取扱デバイスの表面上に存在するかどうかを決定することをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項57】
前記環状V形状チャネルは、液体取扱デバイスの一部であり、エレクトロウェッティング電圧電位を、前記表面をエレクトロウェッティングによって親水性にするために有効な前記液体取扱デバイスの表面に印加することをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項58】
前記エレクトロウェッティング電圧電位は、前記環状V形状チャネルに印加される、請求項57に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2019年2月5日に出願された、米国出願第16/268,447号(その内容は、参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる)の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、特に、自動化された顕微鏡と併用するための、液体浸漬顕微鏡対物レンズに関する。
【背景技術】
【0003】
顕微鏡検査は、概して、生物学的または非生物学的材料であり得る、サンプルの拡大された画像を入手するための分析技法の一種を指す。光ベースの(光学)顕微鏡技法は、明視野顕微鏡検査、暗視野顕微鏡検査、共焦点顕微鏡検査、選択的平面照明顕微鏡検査(SPIM)、およびより最近の明視野顕微鏡検査を含む。典型的光ベースの顕微鏡は、その上に撮像されるべきサンプルが搭載される、サンプル段と、サンプルを照射するための光を生産するための光源と、光をビームとしてサンプルに指向し、それによって、サンプルを照射するための光学系と、サンプルの画像を捕捉するための接眼レンズおよび/またはカメラと、照射されるサンプルから放出される光を接眼レンズならびに/もしくはカメラに指向するための光学系とを含む。
【0004】
顕微鏡光学系は、対物レンズを含む。対物レンズは、典型的には、1つまたはそれを上回るレンズを包囲する、円筒形構造であって、サンプルに最近傍の対物レンズの端部(または先端)に位置付けられる、レンズを含む。対物レンズの一次機能は、サンプルから放出される光を収集し、光を集束し、接眼レンズを通して観察され、および/またはカメラによって捕捉され得る、拡大された(例えば、4倍、10倍、100倍等)画像を生産することである。いくつかの顕微鏡では、光源からの照射光もまた、対物レンズを通してサンプルに通過し得る。そのような顕微鏡では、対物レンズは、サンプルの下方に位置付けられ、これは、落射蛍光構成と称され得る。
【0005】
使用時、対物レンズ先端におけるレンズは、サンプルから小距離に位置付けられる。対物レンズとサンプルとの間の間隙は、開放空間であってもよい、すなわち、間隙は、空気間隙であってもよい。そのような構成では、対物レンズとサンプルとの間の光学経路に沿った種々の媒体の屈折率に、有意な差異が存在する。特に、レンズ、空気間隙、およびサンプルは、屈折率が異なる。下方に位置付けられる、または反転される、対物レンズの場合(落射蛍光構成等では)、その上にサンプルが搭載される(例えば、ガラススライド)またはその中にサンプルが含有される(例えば、マイクロプレート)、サンプル支持体の屈折率もまた、考慮されなければならない。その結果、顕微鏡によって達成される、感度、分解能、および画質は、あまり望ましいものではない場合がある。例えば、サンプルからの光の一部は、対物レンズによって収集されずに、空気間隙を通して通過し、したがって、空気-固体界面における過剰な屈折に起因して、撮像信号に寄与しない。
【0006】
本問題に対処するために、顕微鏡は、「液体浸漬」対物レンズ(または液体浸漬レンズ)を利用してもよい。本タイプの対物レンズは、対物レンズ先端におけるレンズを、レンズとサンプル支持体との間の間隙を充填する、液体浸漬媒体(例えば、水または油)中に浸漬させるように構成される。サンプルもまた、浸漬媒体中に浸漬されてもよい。浸漬媒体は、屈折率整合材料としての役割を果たす。すなわち、空気と比較して、液体浸漬媒体は、レンズ、サンプル支持体、およびサンプルの屈折率により緊密に合致される、より高い屈折率を有する。故に、液体浸漬対物レンズの使用は、少なくとも部分的に、事実上、対物レンズのレンズの開口数(NA)を増加させることによって、高拡大率においてを含む、感度、分解能、および画質を改良することができる。
【0007】
しかしながら、空気浸漬対物レンズと比較して、液体浸漬対物レンズは、従来、それが、顕微鏡内で良好かつ意図される様式で機能することを確実にするために、より手動の相互作用を要求する。特に、有意な程度の手動の相互作用が、液体浸漬対物レンズの動作の成功ならびに浸漬媒体の使用および取扱のために要求されていた。その追加される複雑性および手動要件に起因して、液体浸漬対物レンズは、従来的には、自動化された顕微鏡またはハイコンテントスクリーニングシステムにおいて展開されていない。自動化または高スループット動作環境では、手動で動作される液体浸漬対物レンズのためのワークフローは、従来的には、失敗するであろう。例えば、動作のための速度要件が、増加されるにつれて、要求される手動の労力は、長くかかりすぎ、および/または高再作業/失敗率を有し、容認可能ではないであろう。
【0008】
したがって、改良された液体浸漬顕微鏡対物レンズ、特に、自動化またはハイコンテント/高スループット顕微鏡と併用するために好適なものを提供することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
全体的または部分的に、前述の問題および/または当業者によって観察されている場合がある他の問題に対処するために、本開示は、下記に記載される実装において実施例として説明されるような方法、プロセス、システム、装置、器具、および/またはデバイスを提供する。
【0010】
実施形態によると、対物レンズアセンブリは、筐体と、筐体に搭載される、レンズとを備える、対物レンズであって、外側レンズ表面を備える、レンズと、対物レンズに搭載され、外側レンズ表面を液体中に浸漬させるように構成される、液体取扱デバイスであって、外側レンズ表面を囲繞し、それを通してレンズが暴露される、デバイス開口部を画定する、輪縁であって、切り欠きを備える、輪縁と、切り欠きと連通する、円錐形表面を備える、円錐形部分と、デバイス開口部と連通する、送達出口と、円錐形表面と連通する、帰還入口とを備え、液体取扱デバイスは、送達出口からデバイス開口部まで、液体送達経路を画定し、液体取扱デバイスは、デバイス開口部から、切り欠きを通して、円錐形表面に沿って、帰還入口まで、液体帰還経路を画定する、液体取扱デバイスとを含む。
【0011】
別の実施形態によると、顕微鏡対物レンズのレンズを液体で浸漬させるための方法は、レンズおよびサンプル支持体が間隙によって分離されるように、顕微鏡対物レンズをサンプル支持体の下方に位置付けるステップであって、レンズは、それを通してレンズが暴露される、開口部を画定する、輪縁によって囲繞され、輪縁は、切り欠きを備える、ステップと、液体をレンズに流動させ、液体ボーラスを間隙内に形成および維持し、レンズおよびサンプル支持体と接触させるステップと、液体ボーラスを維持しながら、液体を、レンズから、切り欠きの中に、顕微鏡対物レンズの上方に位置付けられる円錐形表面に沿って流動させることによって、液体を除去するステップとを含む。
【0012】
別の実施形態によると、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリは、筐体と、筐体に搭載される、レンズとを備える、対物レンズであって、外側レンズ表面を備える、レンズと、対物レンズに搭載され、外側レンズ表面を液体中に浸漬させるように構成される、液体取扱デバイスであって、外側レンズ表面を囲繞し、それを通してレンズが暴露される、デバイス開口部を画定する、輪縁と、円錐形表面を備える、円錐形部分と、デバイス開口部と連通する、送達出口と、円錐形表面と連通する、帰還入口と、帰還入口と連通する、環状V形状チャネルとを備え、液体取扱デバイスは、送達出口からデバイス開口部まで、液体送達経路を画定し、液体取扱デバイスは、デバイス開口部から、円錐形表面に沿って、環状V形状チャネルを通して、帰還入口まで、液体帰還経路を画定する、液体取扱デバイスとを含む。
【0013】
別の実施形態によると、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリは、筐体と、筐体に搭載される、レンズとを備える、対物レンズであって、外側レンズ表面を備える、レンズと、対物レンズに搭載され、外側レンズ表面を液体中に浸漬させるように構成される、液体取扱デバイスであって、送達入口、送達通路、およびレンズと開放連通する、送達出口を備える、液体送達システムであって、送達入口から、送達通路を通して、送達出口を通して、レンズまで、液体送達経路を画定する、液体送達システムと、液体帰還システムであって、レンズと開放連通する、環状チャネル、帰還入口、帰還通路、および帰還出口を備える、液体帰還システムとを備え、環状チャネルは、縦軸と同軸のV形状外形を有し、液体帰還システムは、レンズから、環状チャネルを通して、帰還入口を通して、帰還通路を通して、帰還出口まで、液体帰還経路を画定する、液体取扱デバイスとを含む。
【0014】
別の実施形態によると、顕微鏡対物レンズのレンズを液体で浸漬させるための方法は、レンズおよびサンプル支持体が間隙によって分離されるように、レンズをサンプル支持体の下方に位置付けるステップと、液体をレンズに流動させ、液体ボーラスを間隙内に形成および維持し、レンズおよびサンプル支持体と接触させるステップと、液体ボーラスを維持しながら、液体をレンズからレンズを囲繞する環状V形状チャネルの中に流動させるステップとを含む。
【0015】
別の実施形態によると、液体浸漬顕微鏡対物レンズシステムは、本明細書に開示される実施形態のいずれかによる、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリと、対物レンズアセンブリの送達入口と連通する、液体送達ラインと、液体送達ラインから対物レンズアセンブリの液体送達経路への液体の流動を確立するように構成される、液体ポンプと、対物レンズアセンブリの帰還出口と連通する、液体帰還ラインとを含む。
【0016】
別の実施形態によると、液体浸漬顕微鏡対物レンズシステムは、液体帰還経路から液体帰還ラインへの液体の流動を確立するように構成される、真空ポンプを含む。
【0017】
別の実施形態によると、液体浸漬顕微鏡対物レンズシステムは、吸引ラインと、液体送達ラインおよび吸引ラインと連通する、弁とを含み、弁は、第1の位置と第2の位置との間で切り替えるように構成され、第1の位置では、液体送達ライン内の液体が、液体送達経路を通して、送達出口まで流動し、第2の位置では、液体取扱デバイスの外側の液体が、送達出口の中に、液体送達経路を通して、送達入口を通して、吸引ラインまで流動する。
【0018】
別の実施形態によると、吸引ラインは、液体帰還ラインと連通し、第2の位置では、液体取扱デバイスの外側からの液体が、吸引ラインを通して、液体帰還ラインまで流動する。
【0019】
別の実施形態によると、液体浸漬顕微鏡対物レンズシステムは、対物レンズアセンブリの液体帰還経路から液体帰還ラインまでの液体の流動と、液体送達経路から吸引ラインまでの液体の流動とを確立するように構成される、真空ポンプを含む。
【0020】
本発明の他のデバイス、装置、システム、方法、特徴、および利点は、以下の図および発明を実施するための形態の精査に応じて、当業者に明白である、または明白となるであろう。全てのそのような付加的システム、方法、特徴、および利点が、本説明内に含まれる、本発明の範囲内であって、付随の請求項によって保護されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明は、以下の図を参照することによってより深く理解され得る。図中の構成要素は、必ずしも、正確な縮尺ではなく、強調が、代わりに、本発明の原理を図示することに応じて置かれている。図中では、同様の参照番号は、異なる図全体を通して、対応する部品を指定する。
【0022】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリの実施例の概略断面立面図である。
【0023】
【
図2】
図2は、本開示の実施形態による、液体浸漬顕微鏡対物レンズシステムの実施例の概略図である。
【0024】
【
図3】
図3は、本開示の別の実施形態による、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリの実施例の斜視図である。
【0025】
【
図4】
図4は、
図3に図示される液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリの断面立面図である。
【0026】
【
図5】
図5は、
図3に図示される液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリの上部平面図である。
【0027】
【
図6】
図6は、本開示の別の実施形態による、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリの概略断面立面図である。
【0028】
【
図7】
図7は、
図6に図示される液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリの上部平面図である。
【0029】
【
図8】
図8は、本開示の別の実施形態による、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリの概略断面立面図である。
【0030】
【
図9】
図9は、
図8に図示される対物レンズアセンブリの上部平面図である。
【0031】
【
図10】
図10は、本開示の別の実施形態による、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリの概略断面立面図である。
【0032】
【0033】
【
図12】
図12は、本開示の別の実施形態による、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリの斜視図である。
【0034】
【0035】
【発明を実施するための形態】
【0036】
本明細書で使用されるように、用語「サンプル」は、概して、顕微鏡によって撮像されることが可能な1つまたはそれを上回る物体(または粒子)を指す。サンプルは、例えば、生物学的材料(例えば、生物学的セル、多細胞組織、単細胞生物、多細胞生物等)であってもよい。代替として、サンプルは、非生物学的材料(例えば、非生物学的粒子状物質)であってもよい。
【0037】
顕微鏡による撮像のために、サンプルは、顕微鏡の光学系、特に、顕微鏡対物レンズに関連して指定される位置において、サンプル支持体上または内に支持されてもよい。サンプルは、多くの場合、サンプル支持体上または内の液体(例えば、溶液)中に浸漬される。液体は、必要に応じて、例えば、サンプル調製、サンプル取扱、サンプル分析、サンプルアッセイ等に関連する機能を行うために構成されてもよい。液体は、例えば、緩衝剤、防腐剤、試薬、撮像のための標識等である、またはそれを含んでもよい。
【0038】
本明細書で使用されるように、用語「サンプル支持体」(または「サンプルホルダ」)は、概して、撮像の間、サンプルを固定位置に支持するために顕微鏡内で利用される、任意の構造を指すが、位置は、必要とされる場合、調節可能または移動可能であってもよい。サンプル支持体は、例えば、その上にサンプルが支持される、固体基板またはプレート(例えば、顕微鏡スライド、カバースライド等)、もしくはその中にサンプルが支持または保持される、サンプルコンテナ(例えば、ウェル、バイアル、管、皿等)であってもよい。サンプル支持体は、光学的に透明であってもよい。サンプルコンテナの場合、少なくともその底部は、画像が、サンプルコンテナの下方から捕捉されるべきである場合、光学的に透明であってもよい。サンプルコンテナは、円筒形または多角形であってもよい。サンプルコンテナの底部は、平坦またはテーパ状(円錐形または湾曲)であってもよい。
【0039】
特に、サンプルコンテナの場合、「サンプル支持体」は、そのようなサンプルコンテナの群を含んでもよい。異なるサンプルコンテナは、異なるサンプルを含有してもよい、または同一もしくは類似するが、異なる溶液、処置、または化学物質(例えば、異なる試薬)を伴う、サンプルを含有してもよい。複数のサンプルコンテナが、1次元(線形)または2次元アレイとして配列されてもよい。1つの具体的実施例では、複数のサンプルコンテナは、マルチウェルプレート(マイクロタイタプレートまたは「マイクロプレート」、もしくは光学プレートとも称される)の一部として一体的に形成される、ウェルとして提供されてもよい。典型的には、マイクロプレートウェルは、2:3行/列比を有する、2次元アレイに配列される。そのようなマルチウェルプレートは、24-ウェル、96-ウェル、または384-ウェル、または1,536-ウェルフォーマット等の標準的フォーマットを有してもよい。代替として、複数のサンプルコンテナは、コンテナ支持体から可撤性であってもよい(例えば、ラックから可撤性のバイアル)。
【0040】
本明細書で使用されるように、用語「光」は、概して、光子として量子化可能な電磁放射ラインを指す。本開示に関するように、光は、紫外線(UV)から赤外線(IR)に及ぶ、波長で伝搬し得る。本開示では、用語「光」は、可視範囲内の電磁放射線に限定されることを意図するものではない。本開示では、用語「光」、「光子」、および「放射線」は、同義的に使用される。
【0041】
本明細書に開示される種々の実施形態は、サンプルの画像を入手するステップ(または「撮像」)を伴う。実施形態および/または撮像されているサンプルに応じて、画像入手は、蛍光、反射(または散乱)、もしくは透過に基づいてもよい。概して、サンプルの撮像は、サンプルを「励起光」で照射し、照射に応答してサンプルから放出される、「放出光」を収集するステップを伴う。蛍光ベースの撮像では、励起光の波長(例えば、紫外線(UV)範囲内)は、通常、放出光の波長(例えば、より赤い)より短い(例えば、より青い)。蛍光ベースの放出光の源は、物体からの自己蛍光または物体に以前に付着された蛍光色素からの蛍光であってもよい。反射ベースの撮像では、励起光の波長は、放出光の波長とほぼ同一であってもよい。この場合、入射励起光に応答して物体から反射(または散乱)される光が、放出光である。透過ベースの撮像では、物体上に入射する励起光は、物体を通して通過し、吸光および/または散乱に起因して減衰される。この場合、物体から発出する、減衰された光が、放出光である。全てのそのような場合において、便宜上、本開示では、別様に規定されない限り、または文脈によって別様に決定付けられない限り、画像を入手する特定の事例が、蛍光、反射、または透過に基づくかどうかにかかわらず、「励起光」は、物体を照射するために利用される光を指し、「放出光」は、照射に応答してサンプルから収集される光を指す。
【0042】
本明細書で使用されるように、用語「流体ライン」または「液体ライン」は、概して、流体(例えば、液体)を流体システム内のある点から別の点まで所望の方向に伝導させるために利用される、任意のタイプの導管または複数の導管を指す。したがって、「ライン」は、1つまたはそれを上回る管(もしくはパイプまたは同等物)、チャネル、チャンバ等である、もしくはそれを含んでもよい。ラインはまた、流体を伝導させることに加え、機能を実施する、他のタイプの流体構成要素を含んでもよい。他のタイプの流体構成要素は、限定ではないが、ポンプ、弁、流体継手、流体カップリング、混合器、流体合流器、加熱器、冷却器、圧力調整器等、ならびに測定器具(例えば、温度センサ、圧力センサ、流量センサ等)を含む。「ライン」は、1つまたはそれを上回る管(または同等物)および他のタイプの流体構成要素の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0043】
図1は、本開示の実施形態による、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリ(または装置)100の実施例の概略断面立面図である。説明目的のために、
図1および他の図面は、デカルト(X-Y-Z)基準系を含み、その原点は、対物レンズアセンブリ100に対して恣意的に位置している。Z-軸は、典型的には、垂直方向に対応する。構造として、対物レンズアセンブリ100は、それに沿ってその長さが画定される、縦軸Lを有すると見なされ得る。本実施例では、縦軸Lは、Z-軸に対応する(それと一致する、または平行である)。
【0044】
対物レンズアセンブリ100は、概して、対物レンズ104と、液体取扱デバイス108とを含む。対物レンズ104は、対物レンズ筐体112と、一次入射レンズ116とを含む。筐体112は、縦軸Lに沿って、第1の(上側)筐体開口部120が位置する、第1の(上側)端部(または対物レンズ104の先端)から、第2の(下側)筐体開口部124が位置する、第2の(下側)端部まで、延在する。レンズ116は、レンズ116の外面が筐体112の外側の領域に面するように、第1の筐体開口部120内に搭載される。筐体112は、典型的には、円筒形であって、縦軸Lは、対物レンズ104の中心軸に対応する。筐体112の一部は、中空であって、光学経路(概して、縦軸Lに沿って)を第1の筐体開口部120と第2の筐体開口部124との間に画定する。図示されるレンズ116に加え、対物レンズ104は、当業者によって理解されるように、他のレンズ、ミラー等の光学経路を画定する、他の内部光学系(図示せず)を含んでもよい。
【0045】
図1はまた、複数のサンプルコンテナを含む、または支持する、サンプル支持体の一部を図示する。図示される実施例では、サンプル支持体は、マイクロプレート128であって、サンプルコンテナは、マイクロプレート128のウェル132である。使用時、ウェル132のうちの1つまたはそれを上回るものは、それぞれ、関連付けられる顕微鏡によって撮像されることになる、1つまたはそれを上回るサンプルSを含有する。時として、「反転」構成とも称される、図示される実施例では、対物レンズアセンブリ100は、マイクロプレート128の下方に位置付けられる。この場合、マイクロプレート128の少なくとも底部区分136(またはウェル132の下方の底部区分136の少なくとも一部)は、光学的に透明であって、光学経路が、底部区分136を通して、レンズ116と光学的に整合されている、選択されたサンプルSにまたはそこから通過することを可能にする。したがって、本構成は、所望に応じて、マイクロプレート128の下方から標的サンプルSの照射(励起光140によって描写されるように)および撮像(放出光144によって描写されるように)の両方を可能にする。
【0046】
したがって、図示される実施形態では、図示される対物レンズ104を含む、顕微鏡は、落射蛍光型構成を有する。この場合、対物レンズ104は、適切な光源(例えば、発光ダイオード、レーザダイオード、レーザ等)から、適切な光学系(例えば、励起フィルタ、ダイクロイックビームスプリッタ、フィルタキューブ、レンズ、ミラー、光ガイド、開口、共焦点スピニングディスク等)を介して、励起波長における励起光140を受容し(第2の筐体開口部124を介して)、励起光140をサンプルSに伝送し、それによって、サンプルSを照射し、その中に蛍光性応答を誘発する。対物レンズ104はまた、放出波長(蛍光性用途では、励起波長と異なる)においてサンプルSから放出される結果として生じる放出光144を収集し、それによって、放出光144は、第2の筐体開口部124を通して通過し、適切な光学系(例えば、放出フィルタ、ダイクロイックビームスプリッタ、フィルタキューブ、レンズ、ミラー、光ガイド、開口、共焦点スピニングディスク等)を介して、適切な撮像デバイス(例えば、カメラ)に伝送される。故に、本実施例では、対物レンズ104は、励起光140をサンプルSの厚さ内の焦点平面上に集束させることと、放出光144を撮像デバイスの感知平面上に集束させることとの両方を行う。落射蛍光型構成では、励起光経路の一部および放出光経路の一部は、図示される対物レンズ104等の同一光学構成要素によって画定されてもよい。
【0047】
代替実施形態では、対物レンズ104は、放出光144のみを収集するために利用されてもよく、励起光140は、サンプルSの上方からサンプルSに指向されてもよい。
【0048】
対物レンズアセンブリ100は、当業者によって理解されるように、対物レンズ段(図示せず)に搭載されてもよい。対物レンズ段は、矢印148によって示されるように、Z-軸に沿って、マイクロプレート128、したがって、選択されたサンプルSに向かって、およびそこから離れるように、対物レンズ104を移動(平行移動)させるように構成される。例えば、対物レンズ段は、好適な伝送リンク(例えば、ねじ、ウォーム歯車等)を介して、可逆的ステッパモータによって駆動されてもよい。Z-軸に沿った、対物レンズアセンブリ100の移動または調節は、対物レンズ104が、サンプルSの画像を集束し、Z-軸に沿って、その厚さを通して、サンプルSを走査することを可能にする。対物レンズ段はまた、X-軸およびY-軸(典型的には、水平平面)に沿って、マイクロプレート128に対して移動可能であって、対物レンズ104が、照射および撮像のために、選択されたサンプルSと光学整合して位置付けられることを可能にし得る。
【0049】
対物レンズ段はまた、移動可能(例えば、回転可能または線形に摺動可能)であって、異なる対物レンズアセンブリ100が、選択され、励起および放出光経路の中に切り替えられることを可能にし得る。異なる対物レンズアセンブリ100は、異なる対物レンズ104、例えば、異なる拡大率を有する対物レンズ104を含有してもよい。各そのような対物レンズアセンブリ100は、本明細書に説明されるように構成されてもよい。自動化された対物レンズ段の構成および動作は、概して、当業者に公知であって、したがって、本開示では、さらに詳細に説明される必要はないものとする。
【0050】
マイクロプレート128は、典型的には、当業者によって理解されるように、サンプル多段化システム(図示せず)上に支持され、それによって移動可能である。サンプル多段化システムは、その上にマイクロプレート128が搭載される、サンプル段を含んでもよい。サンプル段は、ウェル132のいずれかが対物レンズ104によって選択的に扱われることを可能にする、開口部をウェル132の下方に有する。サンプル多段化システムはまた、サンプル段と機械的に連通する、1つまたはそれを上回るモータ式キャリッジを含んでもよい。サンプル多段化システムは、好適な伝達リンク(例えば、ねじ、ベルト等)を介して、キャリッジを駆動するように構成される、モータ(例えば、可逆的ステッパモータ)を含んでもよい。本構成によって、キャリッジは、X-軸移動の場合、
図1における矢印152によって示されるように、X-軸およびY-軸(典型的には、水平平面)に沿って、サンプル段、したがって、それによって支持されるマイクロプレート128およびサンプルSを移動(平行移動)させる。対物レンズ104に対するマイクロプレート128の移動は、したがって、
図1に描写されるように、選択されたサンプルSが、照射および撮像のために、対物レンズ104の視野と光学整合して位置付けられることを可能にする。続いて、マイクロプレート128は、必要に応じて、X-軸および/またはY-軸に沿って移動され、別のウェル132内に含有される別のサンプルSを選択し、その他のサンプルSを対物レンズ104のレンズ116と光学整合させてもよい。サンプル多段化システムは、加えて、いくつかの実施形態では、Z-軸に沿って、マイクロプレート128を移動させるように構成されてもよい。自動化されたサンプル多段化システムの構成および動作は、概して、当業者に公知であって、したがって、本開示ではさらに詳細に説明される必要はないものとする。
【0051】
図1は、マイクロプレート128に対して、選択されたサンプルSが撮像され得る、動作位置にある、対物レンズアセンブリ100を図示する。動作位置では、対物レンズ104の先端におけるレンズ116(その頂端)は、軸方向間隙156、すなわち、Z-軸に沿った距離によって、マイクロプレート128の底部表面160から離間される。1つの非排他的実施例では、軸方向間隙156のサイズ(Z-方向における距離)は、_~_の範囲内である。
【0052】
液体取扱デバイス108は、液体ボーラス164をレンズ116上に生成および維持するように構成される。特に、液体取扱デバイス108は、液体ボーラス164がレンズ116およびマイクロプレート底部表面160の両方に接触するように、液体ボーラス164を軸方向間隙156内に生成および維持するように構成される。上記に記載のように、レンズ116を液体ボーラス164中に浸漬させることは、レンズ116の開口数(NA)、故に、関連付けられる顕微鏡の分解能(または解像力)を増加させる。これは、空気より高い屈折率を有する、液体ボーラス164の液体または浸漬媒体に起因する。本主題のために検討される、典型的実施形態では、浸漬媒体は、水である。代替として、浸漬媒体は、透明油、グリコール、または顕微鏡検査のために好適な他の透明液体であってもよい。
【0053】
液体ボーラス164を生成および維持するために、液体取扱デバイス108は、液体送達システムと、液体帰還システムとを含む。液体送達システムおよび液体帰還システムは、対物レンズ104を同軸方向に囲繞する、1つまたはそれを上回る構造168によって実現され得る。液体取扱デバイス108は、液体取扱デバイス108および対物レンズ104が、ユニットとしてともに移動可能であるように、任意の好適な様式において、対物レンズ104に取り付けられる、または搭載されてもよい。
【0054】
液体送達システムは、送達入口172と、送達通路176と、レンズ116と開放連通する、送達出口180とを含んでもよい。液体送達システムの構成要素は、矢印184によって部分的に描写されるように、送達入口172から、送達通路176を通して、送達出口180を通して、レンズ116(すなわち、対物レンズ104の外側の領域に面し、マイクロプレート128の下面に面した、レンズ116の外面上)まで、液体送達経路を画定するように構成される。対物レンズアセンブリ100が、顕微鏡内に配設されると、送達入口172は、管類および流体継手等を介して、浸漬媒体を供給するための好適な液体源188、例えば、瓶または他のタイプのリザーバと連通する。
【0055】
送達通路176は、必要に応じて、送達入口172および送達出口180を流動的に相互接続する、1つまたはそれを上回る導管(例えば、通路、チャンバ等)を表し得る。図示されるように、送達通路176(矢印184が位置する場所)の少なくとも一部は、対物レンズ104の上側部分(または先端)を囲繞する、環状の円錐形空間であってもよい。一実施形態では、
図1に図示されるように、本円錐形空間は、対物レンズ筐体112の円錐形部分の外面と液体取扱デバイス108の構造168の中空円錐形部分192の内面との間に画定されてもよい。代替として、環状空間は、構造168の円錐形部分192に対して完全に内部の1つまたはそれを上回る通路として形成されてもよい。図示される実施形態では、送達出口180は、レンズ116を囲繞する、環状開口部であってもよい。送達出口180の環状構成および送達通路176の隣接する円錐形部分は、レンズ116にわたる液体の均一分布を促進し、サンプル撮像に干渉し得る、気泡の導入を緩和し得る。
【0056】
別の実施形態では、送達出口180は、レンズに隣接して位置付けられる、単一ポートであってもよく、および/または送達通路176は、送達入口172から送達出口180の単一ポートにつながる、単一通路(例えば、液体取扱デバイス108の構造168内に形成される)であってもよい。別の実施形態では、送達出口180は、レンズ116の周囲に配列される、すなわち、レンズ116の中心を通して通過する縦軸Lに対して異なる角度位置において円周方向に相互から離間される、複数の個々のポートであってもよい。この場合、送達通路176は、送達入口172から送達出口180の個別のポートにつながる、複数の個々の通路であってもよい。
【0057】
液体帰還システムは、帰還入口106と、帰還通路110と、帰還出口114とを含んでもよい。液体帰還システムの構成要素は、矢印118によって部分的に描写されるように、レンズ116から、構造168の円錐形部分192の外面に沿って、帰還入口106を通して、帰還通路110を通して、帰還出口114まで、液体帰還経路を画定するように構成される。対物レンズアセンブリ100が、顕微鏡内に配設されると、帰還出口114は、管類および流体継手等を介して、浸漬媒体を回収するための好適な液体レセプタクル118、例えば、瓶または他のタイプのリザーバと連通する。
【0058】
帰還入口106は、流体連通を液体取扱デバイス108の円錐形部分192の外面と液体帰還システムの残りとの間に提供する、1つまたはそれを上回る開口部を表し得る。帰還通路110は、必要に応じて、帰還入口106および帰還出口114を流動的に相互接続する、1つまたはそれを上回る導管(例えば、通路、チャンバ等)を表し得る。
【0059】
一実施形態では、
図1に図示されるように、液体帰還システムはさらに、液体取扱デバイス108の円錐形部分192の外面を介して、レンズ116と開放連通する、環状V形状(または三角形)チャネル196を含んでもよい。この場合、V形状チャネル196は、液体帰還経路、すなわち、円錐形部分192の外面に沿って、V形状チャネル196の中から、帰還入口106の中に延設される、液体帰還経路の一部である。環状V形状チャネル196は、構造168の1つまたはそれを上回る外面の一部である、もしくはその上に形成されてもよい。環状V形状チャネル196は、縦軸Lと同軸のV形状(または三角形)外形を有する。V形状外形は、例えば、
図1の立面図に対応するX-Z平面に縦軸Lから半径方向外向きに投影される、任意の標高面において明白である。環状V形状チャネル196は、レンズ116を囲繞する環状送達出口180より縦軸Lから大きい半径方向距離に位置付けられる。1つの非排他的実施例では、環状V形状チャネル196のV-形状を形成する2つの表面間の角度は、60~100度の範囲内である。本実施形態では、帰還入口106は、V形状チャネル196の開放環状下側頂点に対応(またはそれと連通)し得る。
【0060】
動作時、対物レンズアセンブリ100およびマイクロプレート128は、レンズ116が、
図1に図示されるように、選択されたサンプルSと光学的に整合され、所望の距離の軸方向間隙156を伴って位置付けられる、個別の動作位置に移動される。液体(浸漬媒体)の流動は、液体源188から、液体取扱デバイス108の液体送達システムを通して、レンズ116まで確立される。液体源188と連通する、好適な流体ポンプ(図示せず)が、液体取扱デバイス108の液体送達側上への液体流動を確立するように提供されてもよい。液体が、十分な流率でレンズ116に送達されるにつれて、液体ボーラス164が、レンズ116とマイクロプレート底部表面160との間の軸方向間隙156内に形成され、それと接触する。非排他的実施例として、液体ボーラス164を形成するために対物レンズアセンブリ100に供給される液体の流率は、1mL/分~40mL/分の範囲内であってもよい。液体送達システムを通した液体流率に加え、液体ボーラス164の形成、維持、サイズ、および形状は、少なくとも部分的に、軸方向間隙156のサイズならびに液体の表面張力に依存し得る。
【0061】
選択されたサンプルSの撮像が、完了された後、対物レンズアセンブリ100および/またはマイクロプレート128は、必要に応じて、マイクロプレート128の別のウェル132内に位置する別のサンプルSを撮像するために、別の動作位置の中に移動されてもよい。そのような移動の間、必要に応じて、液体は、液体送達システムと液体帰還システムとの間のレンズ116にわたって循環され続けてもよい。したがって、液体ボーラス164が、維持されていないときでも、レンズ116は、湿潤されたまま保たれ得る。レンズ116を湿潤したまま保つことは、粒子を除去し、粒子がレンズ116上に蓄積しないように防止することを補助し得る。そのような粒子は、サンプル撮像に干渉し、顕微鏡のレンズ116または他の光学系を損傷させ得る。レンズ116を湿潤したまま保つことはまた、続いて、液体ボーラス164を形成するために、レンズ116にプライミングする役割を果たし得る。別のサンプルSを撮像するために、対物レンズアセンブリ100および/またはマイクロプレート128を再位置付けした後、液体ボーラス164が、次いで、再び形成される。液体送達システムを通した液体流率は、必要に応じて、液体ボーラス164を形成することと、単に、レンズ116を湿潤したまま保つこととの間で交互させるために(レンズ116を清掃する等のために)、調節されてもよい。例えば、液体流率は、液体ボーラス164を維持しないとき、低減または停止されてもよい。
【0062】
液体ボーラス164が、所望の液体流率におけるレンズ116への液体の流動によって、維持される間、対物レンズアセンブリ100の上部またはその近傍の任意の過剰液体(すなわち、液体ボーラス164を維持する、もしくは別様にレンズ116を湿潤したまま保つために利用されていない、液体)は、円錐形部分192の外面を辿って、環状V形状チャネル196の中に排出される。過剰液体は、次いで、液体取扱デバイス108の液体帰還システムによって除去され、液体レセプタクル118に収集される。液体レセプタクル118と連通する、好適な流体ポンプ(図示せず)が、液体取扱デバイス108の液体帰還側上への液体流動を促進するように提供されてもよい。例えば、流体ポンプは、吸引力(真空)を環状V形状チャネル196の底部と帰還入口106の界面に生成してもよい。
【0063】
チャネル196の環状V形状構成は、レンズ116にわたる液体送達システムと液体帰還システムとの間の液体の持続的循環と、また、対物レンズ104の先端からの過剰液体の高速捕捉および除去とを促進する。チャネル196の環状V形状構成はまた、より大きい液滴または液体の細流への過剰液体の個々の液滴の合体を助長し、それによって、液体送達システムを通して液体の流動を確立することを補助する。ある実施形態では、開放V形状チャネル196は、静水圧の機構と連動し、
図4と併せて下記にさらに説明される、液体を隣接する水平に構成される表面張力チャネル441に送達する。
【0064】
ある実施形態では、環状V形状チャネル196を形成する表面の一方または両方は、その親水性(すなわち、その湿潤性を増加させる、またはその疎水性を減少させる)を増加させるように処理され、それによって、環状V形状チャネル196の底部の中およびそこから外への液体の排出を向上させてもよい。例えば、環状V形状チャネル196の表面は、当業者によって理解されるように、表面官能化の好適な技法によって、または親水性を増加させるための好適なコーティング(フィルム、層、または材料等)の堆積によって処理されてもよい。液体取扱デバイス108の円錐形部分192の外面も同様に、その親水性を増加させるように処理されてもよい。
【0065】
ある実施形態では、液体取扱デバイス108は、エレクトロウェッティング効果を環状V形状チャネル196を形成する表面の一方または両方上に誘発し、その親水性を増加させるように構成されてもよい。そのような実施形態では、環状V形状チャネル196の表面は、導電性材料(例えば、金属、金属合金、または伝導性にコーティングされたプラスチック等)から成る、または加えて、本来疎水性である、電気的に絶縁材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン等のフルオロポリマー)でコーティングされてもよい。エレクトロウェッティング効果は、電圧電位を表面の一方または両方に印加することによって誘発されてもよい。電圧電位は、当業者によって理解されるように、液体が、表面上に拡散し、表面に沿ってより容易に流動する傾向となるように、液体と表面との間の接触角度(および界面エネルギー)を低減させることによって、表面をより親水性にする。エレクトロウェッティング構成のさらなる実施例は、
図2と併せて下記に説明される。
【0066】
図1における場所の一実施例に示されるように、過剰液体は、例えば、以前に形成された液体ボーラス164の結果としてマイクロプレート128の底部表面160に接着された残留液体122を含み得る。そのような残留液体122は、マイクロプレート128から分離し、顕微鏡の敏感な機械的、光学、または電子構成要素上に滴下し、それによって、可能性として、汚染および/または損傷を引き起こし得るため、望ましくない。残留液体122とそのような構成要素との間の接触を防止するために、残留液体122は、液体取扱デバイス108によって捕捉および除去されてもよい。残留液体122とそのような構成要素との間の接触を防止するために、残留液体122は、残留液体122が、液体取扱デバイス108の円錐形部分192の外面上に落下する、または直接環状V形状チャネル196の中に落下する、もしくは別様に吸引力によって環状V形状チャネル196の中に引き込まれるにつれて、環状V形状チャネル196によって捕捉および除去されてもよい。
【0067】
代替として、または加えて、ある実施形態では、液体送達システムは、液体をレンズ116に送達するために利用されていないとき、過剰液体(残留液体122を含む)を除去するように構成されてもよい。過剰液体は、送達出口180の中に引き込まれ、液体送達システムを介して除去される。そのような実施形態では、液体送達システムは、液体送達/回収システムと称され得る。さらにそのような実施形態の実施例は、
図2と併せて下記に説明される。
【0068】
故に、液体送達システムおよび/または液体帰還システムは、過剰液体を捕捉し、マイクロプレート128の底部表面160ならびに対物レンズ104の先端を清掃および乾燥するために利用されてもよい。空気流動、アルコール等の他の液体の適用、ならびに乾燥および調整パッドの適用等、これらの構成要素を清掃および乾燥させるための他の技法もまた、利用されてもよい。
【0069】
加えて、疎水性ワイパまたはローラが、環状V形状チャネル196に収集されるように、対物レンズ112および液体取扱デバイス108の上部を横断して通過され、液体を変位させることもできる。残留液体122は、それによって、液体取扱デバイス108の円錐形部分192の外面上に落下する、または直接環状V形状チャネル196の中に落下する、もしくは別様に表面張力および湿潤によって環状V形状チャネル196の中に引き込まれる。本ワイパまたはローラを用いることで、液体ボーラス164は、リセットされ、完全に除去されることができる、または対物レンズ104の上部表面上の気泡は、変位されることができる。
【0070】
図2は、本開示の実施形態による、液体浸漬顕微鏡対物レンズシステム200の実施例の概略図である。システム200は、対物レンズアセンブリ250および関連付けられるシステム200が本明細書に説明される様式で動作するために、必要に応じて、対物レンズアセンブリ250(部分的に、
図2において表される)と、液体源288(例えば、供給瓶)と、液体レセプタクル218(例えば、回収瓶)と、他の流体取扱構成要素(例えば、導管、ポンプ、弁等)とを含む。
【0071】
対物レンズアセンブリ250は、
図1に図示される対物レンズアセンブリ100等の本明細書に説明される実施形態のいずれかに従って構成されてもよい。故に、対物レンズアセンブリ250は、対物レンズ(例えば、上記に説明され、
図1に図示される、対物レンズ104)と、対物レンズに取り付けられる、液体取扱デバイス208(部分的に、
図2において表される)とを含む。さらに、液体取扱デバイス208は、送達入口272を介して液体源288と流動的に連通する、液体送達システムと、帰還出口214を介して液体レセプタクル218と流動的に連通する、液体帰還システムとを含む。
【0072】
本実施形態では、液体取扱デバイス208は、対物レンズの円錐形先端の上方に位置付けられ、それを囲繞し、対物レンズを通して、光学経路を収容するための開口部(例えば、
図1に示されるように)を有する、中空円錐形部分292を含む。液体取扱デバイス208はまた、対物レンズを囲繞する、環状キャップ226を含む。本実施形態では、円錐形部分292および環状キャップ226は、スペーサ部材(例えば、ガスケット)等によって相互から離間される、物理的に別個の構成要素である。スペーサ部材は、電気的に絶縁材料から成ってもよい。液体取扱デバイス208はまた、本明細書に説明されるように、環状Y形状(または三角形)チャネル296を含む。環状V形状チャネル296は、チャネル296のV形状(または三角形)外形を画定する、内面230と、外面234とを含む。内面230は、円錐形部分292の一部であってもよく、外面234は、環状キャップ226の一部であってもよい。別個の構成要素である、円錐形部分292および環状キャップ226を用いることで、環状V形状チャネル296の下側頂点は、帰還出口214等の液体帰還システムの流体構成要素と連通する、環状開口部になり得る。
【0073】
液体取扱デバイス208の液体送達システムは、液体送達ライン238を介して、液体源288と流動的に連通する。液体ポンプ242は、所望の流率(または圧力)における液体取扱デバイス208への液体流動を確立するために、液体取扱デバイス208と液体源288との間の液体送達ライン238内等に、液体源288と連通するように動作可能に位置付けられる。液体ポンプ242は、本主題によって検討される流率において液体浸漬媒体を圧送するために好適な任意のタイプであってもよい。例えば、種々のタイプの容積移送式ポンプが、好適であり得、1つの非排他的実施例は、蠕動ポンプである。
【0074】
液体取扱デバイス208の液体帰還システムは、液体帰還ライン246を介して、液体レセプタクル218と流動的に連通する。液体帰還ポンプ254は、負の圧力差を環状V形状チャネル296と液体レセプタクル218との間の液体帰還ライン246内に確立するために、液体レセプタクル218と連通して動作可能に位置付けられ、それによって、液体は、吸引力(真空)を介して、環状V形状チャネル296の中に吸引される。図示される実施形態では、液体帰還ポンプ254は、液体レセプタクル218から下流に位置付けられる、真空ポンプである。代替として、または加えて、上記に説明される液体ポンプ242に類似する液体ポンプが、液体取扱デバイス208と液体レセプタクル218との間の液体帰還ライン246内に位置付けられてもよい。
【0075】
二方向弁258が、液体取扱デバイス208と液体レセプタクル218との間の液体帰還ライン246内に動作可能に位置付けられてもよい。二方向弁258は、吸引力が環状V形状チャネル296に能動的に印加されることを可能にする、第1の(または開放もしくはオン)位置またはスイッチ状態(図示されるように)と、液体帰還ライン246内、したがって、環状V形状チャネル296における吸引力を中断(真空を破壊)する、第2の(または閉鎖もしくはオフ)位置またはスイッチ状態との間で切り替えられるために構成される。
【0076】
上記に説明されるように、液体送達システムは、液体を対物レンズアセンブリ250に送達するために利用されていないとき、液体を対物レンズアセンブリ250の先端および対物レンズアセンブリ250の上方の面積から除去するように構成されてもよい。本目的のために、システム200は、圧力差、したがって、液体送達システム内の液体流動の方向を逆転させ、それによって、吸引力を対物レンズのレンズに近接する液体送達システムの出口(例えば、
図1に示される送達出口180)に生成するように構成されてもよい。本実施形態では、システム200は、本目的のために、吸引ライン258を含む。吸引ライン258は、次いで、送達入口272に結合される、液体送達ライン238の区分と選択的に連通してもよい。例えば、システム200は、液体取扱デバイス208(送達入口272における)と液体送達ライン238を流動的に結合する、第1の位置またはスイッチ状態と、液体取扱デバイス208と吸引ライン258を流動的に結合する、第2の位置またはスイッチ状態との間で切替可能な三方向弁262を含んでもよい。具体的に図示される実施形態では、三方向弁262は、片側において、共通液体ライン266に結合され、ひいては、送達入口272に結合される。三方向弁262の位置に応じて、共通液体ライン266は、代替として、液体取扱デバイス208への送達ラインとして、液体取扱デバイス208からの吸引ラインとしての役割を果たす。三方向弁262は、別の側において、代替として、その位置に応じて、液体送達ライン238および吸引ライン258に結合される。
【0077】
三方向弁262の第1の位置では(および図示されるように)、液体送達ライン238は、アクティブであって、吸引ライン258は、非アクティブである。第1の位置は、それによって、液体が、液体源288から液体取扱デバイス208に、液体送達ライン238、三方向弁262、および共通液体ライン266を介して、液体ポンプ242の影響下で送達されることを可能にする。第2の位置では、三方向弁262を通した液体流動経路は、吸引ライン258が、ここでは、アクティブであって、液体送達ライン238が、ここでは、非アクティブであるように切り替えられる。第2の位置は、それによって、液体が、液体取扱デバイス208の液体送達システムから、吸引ライン258の中に、共通液体ライン266および三方向弁262を介して吸引されることを可能にする。液体ポンプ242は、第2の位置がアクティブである間、遮断されてもよい。加えて、二方向弁258は、吸引の間、通電され、共通液体ライン266を通した流率を増加させ、それによって、液体帰還ポンプ254を使用して、ライン266、258を空にする、または送達出口180における吸引力を用いて、液体をマイクロプレート128の底部表面160から引動させてもよい。二方向弁258は、液体帰還ポンプ254が液体レセプタクル218内で発生された真空のレベルを試験するために動作されている間、通電されることができる。
【0078】
本実施形態では、図示されるように、吸引ライン258は、任意の好適なカップリング(例えば、T字接続)によって、液体レセプタクル218の上流の点において、液体帰還ライン246に結合される。本構成は、吸引ライン258および液体帰還ライン246の両方が、同一液体レセプタクル218および真空源(液体帰還ポンプ254)を利用することを可能にする。代替として、吸引ライン258は、別個の液体レセプタクルおよび真空源(図示せず)に結合されてもよい。
【0079】
図2にさらに図示されるように、システム200は、システムコントローラ270を含む、またはそれと連通してもよい。システムコントローラ270は、対物レンズアセンブリ250への液体送達およびそこからの除去を含む、システム200の動作を制御するように構成される、1つまたはそれを上回る電子機器ベースのモジュールを表し得る(例えば、1つまたはそれを上回る電子機器ベースのプロセッサ、メモリ、他のハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアを含み得るように)。したがって、システムコントローラ270は、
図2におけるシステム200の液体送達/吸引側に関して部分的に描写されるように、有線または無線連通リンクを介して、液体ポンプ242、三方向弁262、液体帰還ポンプ254、および/または二方向弁258と通信してもよい。本構成によって、システムコントローラ270は、本明細書に説明されるように、必要に応じて、対物レンズを湿潤する、液体ボーラスを生成および維持する、ならびに過剰液体を除去するために、三方向弁262および二方向弁258の状態の切替を含む、液体取扱デバイス208におよびそこからの液体流率ならびに流動経路を制御してもよい。
【0080】
ある実施形態では、システムコントローラ270はまた、関連付けられる顕微鏡のシステムコントローラを表し得る。故に、システムコントローラ270は、光源、カメラ、対物レンズアセンブリ250およびサンプル支持体を移動させるための段、波長/フィルタ選択器、データ入手、ならびに画像処理等、顕微鏡の他の構成要素の動作を制御するように構成されてもよい。
【0081】
図2にさらに図示されるように、システム200は、液体取扱デバイス208の上部からの液体の漏出を検出するように構成される、漏出検出器274を含んでもよい。例えば、漏出検出器274は、液体が、環状V形状チャネル296によって捕捉されておらず、代わりに、環状V形状チャネル296を越えて半径方向外向きに、液体取扱デバイス208の外側にわたって流動しているかどうかを検出するように構成されてもよい。ある実施形態では、漏出検出器274は、液体の存在をチェックすることが所望される、液体取扱デバイス208上の任意の場所または液体浸漬顕微鏡対物レンズシステム200内の任意の場所に位置付けられる、漏出センサ278を含む。漏出センサ278は、例えば、環状V形状チャネル296より液体取扱デバイス208の縦軸から大きい半径方向距離に位置する、液体取扱デバイス208の一部に位置付けられてもよい。例えば、漏出センサ278は、液体取扱デバイス208の外周または外側に位置付けられてもよい。ある実施形態では、漏出センサ278は、例えば、液体取扱デバイス208の外周または外側に取り付けられる、2つまたはそれを上回る電極を含んでもよい。漏出センサ278はさらに、液体が電極上および/またはその間に存在する場合、漏出センサ278の電気性質(例えば、伝導性、静電容量、抵抗)の変化を検出し、それによって、漏出の発生を示すように構成される、適切な漏出検出電子機器を含んでもよい。
【0082】
ある実施形態では、漏出検出電子機器は、システムコントローラ270の一部であるか、またはそれと通信するかのいずれかであってもよい。動作の非排他的実施例として、システムコントローラ270(または漏出検出電子機器)は、フィードバック信号を漏出検出器270から受信する。これらの信号に基づいて、漏出が、生じた、または生じていることが決定される場合、システムコントローラ270は、液体ポンプ242を遮断させる、もしくは液体取扱デバイス208に送達されている液体の流率を低減させるために適切な制御信号を液体ポンプ242に送信してもよい。別の代替として、システムコントローラ270は、加えて、三方向弁262が、第1の(液体送達)位置から第2の(液体吸引)位置に切り替わり、それによって、液体が、送達入口272の中に引き込まれるために適切な制御信号を三方向弁262に送信してもよい。
【0083】
さらなる代替として、システムコントローラ270は、加えて、漏出が検出された場合、システム200の液体帰還側の動作を制御するように、液体帰還ポンプ254および/または二方向弁258の動作を調節するために適切な制御信号を送信してもよい。例えば、システムコントローラ270は、二方向弁258をその第1の(開放またはオン)位置に切り替え、まだアクティブ化されていない場合、液体帰還ポンプ254をアクティブ化することによって、環状V形状チャネル296に真空の印加を始動させてもよい。別の実施例として、システムコントローラ270は、漏出検出の場合、液体帰還ポンプ254の動作を調節し、印加される真空のレベルを増加させてもよい。
【0084】
図2にさらに図示されるように、システム200は、エレクトロウェッティング効果を環状V形状チャネル296内および/または他の液体取扱デバイスの表面208上に誘発するように構成される、エレクトロウェッティングデバイス282を含んでもよい。エレクトロウェッティングデバイス282は、電気導線、接点、および同等物を介して、環状V形状チャネル296の内面230および/または外面234(もしくは内面230および/または外面234と電気的に連通する、他の表面)に電気的に結合される、エレクトロウェッティング電圧源286を含んでもよい。エレクトロウェッティング電圧源286は、システムコントローラ270と連通し、またはその一部であって、それによって印加される電圧電位の調節を含む、エレクトロウェッティング電圧源286の動作の制御を可能にする、電子機器の一部であってもよい。
【0085】
上記に記載のように、顕微鏡は、異なる対物レンズ104を含む、複数の対物レンズアセンブリ100を提供し、任意の所与の時間におけるアクティブ動作のために、対物レンズアセンブリ100のうちの1つの選択を可能にしてもよい。上記に説明されるシステム200は、必要に応じて、異なる対物レンズアセンブリ100からの選択および切替を促進するように構成されてもよい。本目的のために、付加的流体構成要素(例えば、ポンプ、弁、管類等)が、当業者によって理解されるように、提供され、適切に配列されてもよい。
【0086】
図3-5は、本開示の別の実施形態による、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリ300の実施例を図示する。
図3は、対物レンズアセンブリ300の斜視図である。
図4は、
図3に図示される対物レンズアセンブリ300の断面立面図である。
図5は、
図3に図示される対物レンズアセンブリ300の上部平面図である。対物レンズアセンブリ300およびその動作は、それぞれ、上記に説明され、
図1および2に図示される、対物レンズアセンブリ100および250に類似してもよい。故に、対物レンズアセンブリ300は、概して、対物レンズ304と、対物レンズ304の縦軸L上に配列される、液体取扱デバイス308とを含む。
【0087】
対物レンズ304は、対物レンズ筐体312と、レンズ316とを含む。(典型的には、円筒形の)筐体312は、縦軸Lに沿って、第1の(上側)筐体開口部320が位置する、第1の(上側)端部(または対物レンズ先端)から、第2の(下側)筐体開口部324が位置する、第2の(下側)端部まで、延在する。レンズ316は、レンズ316の外面が、対物レンズ筐体312から離れるように面する、すなわち、筐体312の外側および上方の領域に面するように、第1の筐体開口部320に搭載される、またはそれに近接する。レンズ316は、それによって、第1の筐体開口部320を通して暴露される。筐体312の一部は、中空であって、図示されるレンズ316および対物レンズ304によって提供される他の内部光学系(図示せず)を通してを含む、光学経路(概して、縦軸Lに沿って)を第1の筐体開口部320と第2の筐体開口部324との間に画定する。
【0088】
液体取扱デバイス308は、対物レンズ304の上側部分に搭載され、または位置付けられ、それを同軸方向に囲繞する。一実施形態では、
図4に図示されるように、液体取扱デバイス308は、三角形または楔形状外形を有する、環状座部422を含む。Oリング423は、対物レンズ筐体312の外面と接触する、座部422内に配置される。Oリング423は、平面接触と併せて、液体取扱デバイス308と対物レンズ304の添着および整合を維持するために利用される。
【0089】
液体取扱デバイス308は、本明細書に説明されるように、液体送達システムと、液体帰還システムとを含む。故に、液体取扱デバイス308は、レンズ316(特に、外側レンズ表面)を液体浸漬媒体中に浸漬させることと、液体をレンズ316および周囲対物レンズ先端から、ならびにサンプル支持体の底部等の近傍の領域から除去することとを含む、本明細書に説明される種々の機能を実施するように構成される。
【0090】
本実施形態では、液体取扱デバイス308は、環状基部305と、中空円錐体309と、環状キャップ326とを含み、液体送達システムおよび液体帰還システムを協働して画定する。円錐体309は、対物レンズ先端の上方で離間される、(第1の)円錐形部分392と、円錐形部分392に隣り合った、フランジ部分313とを含む。フランジ部分313は、基部305とキャップ326との間に介在され、個別の環状スペーサ部材317および321によって、基部305およびキャップ326から分離される。これらの構成要素は、ねじ山付き部材(例えば、ねじ、ボルト等)等の好適な締結具によって、スタックされた配列において、ともに固着されてもよい。スペーサ部材317および321は、任意の好適なエラストマ材料から成ってもよく、これは、流体シールとして、または加えて、電気絶縁体としての役割を果たし得る。円錐体309はさらに、縦軸Lと同軸であって、レンズ316を囲繞する、環状輪縁325を含む。輪縁325は、それを通してレンズ316が暴露される、デバイス開口部を画定する。輪縁325は、円錐形部分392に遷移する。本文脈では、用語「環状」は、円形形状だけではなく、また、楕円形または卵形形状等の他の丸みを帯びた形状も包含する。
【0091】
液体取扱デバイス308はさらに、送達入口372と、帰還出口314(
図4)とを含み、これは、基部305内の内部通路に結合される(例えば、ねじのねじ山によって)、流体継手として具現化されてもよい。送達入口372および帰還出口314は、上記に説明され、
図2に図示されるような液体ラインの一部であり得るように、管類に結合されてもよい。
【0092】
液体送達システムは、送達入口372と、送達通路と、レンズ316と開放連通する、送達出口380(すなわち、外側レンズ表面の上方の本デバイス開口部内の空間)とを含む。液体送達システムの構成要素は、送達入口372から、送達通路を通して、送達出口380を通して、レンズ316まで、液体送達経路を協働して画定する。送達通路は、必要に応じて、送達入口372および送達出口380を流動的に相互接続するために、1つまたはそれを上回る導管(例えば、通路、チャンバ等)を含んでもよい。本実施形態では、
図4に図示されるように、送達通路は、対物レンズ筐体312の(第2の)円錐形部分425の外面と円錐体309の円錐形部分392の内面との間に画定される、環状円錐形空間376を含む。円錐形空間376は、送達出口380で終端する。本実施形態では、送達出口380は、送達出口380が、第1の筐体開口部320およびレンズ316を同軸方向に囲繞するように、輪縁325と第1の筐体開口部320との間に画定される、環状開口部である。
図4に図示されるように、送達通路はさらに、円錐体309内に形成される、内部導管429を含んでもよい。内部導管429は、送達入口372と連通する、別の導管またはチャンバ433(例えば、円錐体309および/または基部305内に形成される)から、円錐体309の壁437内の開口部まで、延在し、その開口部は、ひいては、円錐形空間376と連通する。
【0093】
別の実施形態では、環状円錐形空間376および環状送達出口380の代わりに、送達通路が、図示される内部導管429に類似するが、送達入口372から、輪縁325(またはその近傍)に位置する、1つまたはそれを上回る対応するポートにつながり、したがって、レンズ116の上方の本デバイス開口部内の空間の中に開放する、1つまたはそれを上回る導管を含んでもよい。
【0094】
液体送達システムによって画定された液体経路はまた、
図2に関連して上記に説明されるように、液体吸引(除去)経路として利用されてもよい。
【0095】
液体帰還システムは、レンズ316と開放連通する(円錐形部分392を介して)、環状V形状(または三角形)チャネル396と、帰還入口306と、帰還通路と、帰還出口314(
図4)とを含む。液体帰還システムの構成要素は、レンズ316から、円錐形部分392の外面に沿って、環状V形状チャネル396の中に、帰還入口306を通して、帰還通路を通して、帰還出口314まで、液体帰還経路を協働して画定する。
【0096】
本実施形態では、環状V形状チャネル396は、環状内面330と、環状外面334とを含み、V形状チャネル396のV形状(または三角形)外形を画定する。図示されるように、内面330は、円錐形部分392の一部であってもよく、外面334は、環状キャップ326の一部であってもよい。環状V形状チャネル396の下側頂点では、内面330および外面334は、帰還入口306に対応する環状開口部によって、分離されたままである。
【0097】
ある実施形態では、環状V形状チャネル396の内面330および/または外面334は、本明細書に説明されるように、その親水性を増加させるように処理されてもよい。代替として、または加えて、潜在的に、液体に暴露される、液体取扱デバイス308の1つまたはそれを上回る他の表面も、同一様式で処理されてもよい。代替として、または加えて、内面330および/または外面334ならびに/もしくは液体取扱デバイス308の1つまたはそれを上回る他の表面は、本明細書に説明されるように、エレクトロウェッティングデバイスと連通して設置されてもよい。
【0098】
液体帰還システムの帰還通路は、必要に応じて、帰還入口306および帰還出口314を流動的に相互接続するために、1つまたはそれを上回る導管(例えば、通路、チャンバ等)を含んでもよい。本実施形態では、
図4に示されるように、帰還通路は、帰還入口306を介して、V形状チャネル396と連通する、水平に構成される環状表面張力チャネル441を含む。V形状チャネル396、帰還入口306、および表面張力チャネル441は、V形状チャネル396が、静水圧および表面張力の機構と連動して、液体を隣接する表面張力チャネル441に送達するように構成される(すなわち、サイズおよび形状の観点から)。液体が、V形状チャネル396を充填するにつれて、静水圧の蓄積は、液体を表面張力チャネル441の中に押進させる。これは、ひいては、表面張力を通して、液体をV形状チャネル396の周縁の360度の周囲の任意の場所から表面張力チャネル441の中に引動させる。図示される実施例では、表面張力チャネル441は、環状キャップ326のスタックされた部分と円錐体309のフランジ部分313との間に画定される。
【0099】
また、
図4に示されるように、帰還通路はさらに、円錐体309のフランジ部分313内に形成される、内部導管445を含んでもよい。内部導管445は、帰還出口314と連通する、別の導管またはチャンバ449(例えば、円錐体309および/または基部305内に形成される)から、V形状チャネル396の下方の表面張力チャネル441の壁内の開口部まで、延在する。
【0100】
図3に最良に示されるように、対物レンズアセンブリ300はさらに、漏出センサ378を含む。漏出センサ378は、基部305の外周または側壁の周囲(その全部または一部)に取り付けられ、延在する、1つまたはそれを上回る漏出感知電極、例えば、電極353および357を含む。漏出感知電極353および357は、個別の電気末端または接点361および365と連通し、これは、ひいては、上記に説明され、
図2に図示される、漏出検出器274等の好適な漏出検出器と通信するように設置され得る。
【0101】
図6は、本開示の別の実施形態による、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリ600の概略断面立面図である。
図7は、
図6に図示される対物レンズアセンブリ600の上部平面図である。
【0102】
他の実施形態におけるように、対物レンズアセンブリ600は、概して、対物レンズ604と、対物レンズ604の縦軸上に配列される、液体取扱デバイス608とを含む。さらに、対物レンズ604は、レンズ616が筐体開口部を通して暴露されるように、対物レンズ604の筐体開口部またはその近傍に搭載される、レンズ616を含む。他の実施形態におけるように、液体取扱デバイス608は、本開示のいずれかの場所に開示されるように、対物レンズ604の上側部分に搭載され、または位置付けられ、それを同軸方向に囲繞する。さらに、液体取扱デバイス608は、本明細書に説明されるように、液体送達システムと、液体帰還システムとを含む。故に、液体取扱デバイス608は、レンズ616(特に、外側レンズ表面)を液体浸漬媒体中に浸漬させることと、液体をレンズ616および周囲対物レンズ先端から、ならびにサンプル支持体の底部等の近傍の領域から除去することとを含む、本明細書に説明される種々の機能を実施するように構成される。
【0103】
図3-5に図示される実施形態と同様に、液体取扱デバイス608の構造は、環状基部605と、中空円錐体609と、環状キャップ626とを含み、液体送達システムおよび液体帰還システムを協働して画定してもよい。円錐体609は、対物レンズ先端の上方で離間される、円錐形部分692を含む。円錐体609はさらに、縦軸(レンズ616の中心を通して通過する)と同軸であって、レンズ616を囲繞する、環状輪縁625を含む。輪縁625は、それを通してレンズ616が暴露される、デバイス開口部627を画定する。輪縁625は、円錐形部分692に遷移する。本実施形態では、輪縁625は、
図7に図示されるように、かつ下記にさらに説明されるように、切り欠き629等の断続面をその幾何学形状に有する。
【0104】
他の実施形態におけるように、液体取扱デバイス608は、概して、液体取扱デバイス608の内部通路に結合される、流体継手として具現化される、送達入口672と、帰還出口614とを含んでもよい。さらに、送達入口672および帰還出口614は、上記に説明され、
図2に図示される、液体浸漬顕微鏡対物レンズシステム200等の流体システムに結合されてもよい。
【0105】
液体送達システムは、送達入口672と、送達通路と、レンズ616と開放連通する、送達出口680とを含む。液体送達システムの構成要素は、送達入口672から、送達通路を通して、送達出口680を通して、レンズ616まで、液体送達経路を協働して画定する。送達通路は、必要に応じて、送達入口672および送達出口680を流動的に相互接続するために、1つまたはそれを上回る導管(例えば、通路、チャンバ等)を含んでもよい。例えば、送達通路は、環状円錐形空間676を送達入口672と送達出口680との間に含んでもよく、送達出口680は、環状開口部であってもよく、さらに、
図3-5に図示される実施形態と関連して上記に説明されるように、他の内部導管を含んでもよい。代替として、送達通路は、送達入口672から、同様に上記に説明されるように、輪縁625またはその近傍に位置する、1つまたはそれを上回る対応するポートにつながる、1つまたはそれを上回る導管を含んでもよい。
【0106】
他の実施形態におけるように、液体送達システムによって画定された液体経路はまた、
図2に関連して上記に説明されるように、液体吸引(除去)経路として利用されてもよい。
【0107】
液体帰還システムは、レンズ616と開放連通する、切り欠き629(例えば、輪縁625によって囲繞される、レンズ616の外面の上方の空間)と、帰還入口606と、帰還出口614とを含む。液体帰還システムの構成要素は、レンズ616およびデバイス開口部627から、切り欠き629を通して、円錐形表面(例えば、円錐形部分692の外面)に沿って、帰還入口606の中に、帰還出口614まで、液体帰還経路を協働して画定する。
【0108】
いくつかの実施形態では、帰還入口606および帰還出口614は、同一流体構成要素(例えば、継手)の一部であってもよい。帰還通路(例えば、内部導管)は、必要に応じて、帰還入口606および帰還出口614を流動的に相互接続するために、提供されてもよい。
【0109】
切り欠き629は、円錐形部分692上に形成されてもよい(その一部として)。液体ボーラスがレンズ614上に形成される面積に隣接して幾何学的断続面を提示することによって、切り欠き629は、液体を本面積内に捕獲し、液体を切り欠き629の中に引き込む。このように、切り欠き629は、切り欠き629が位置する、レンズ614の側上の円錐形部分692の外面に沿って、レンズ614の切り欠き629と同一側上に位置する、帰還入口606の中に、液体が流動するように指向する。液体流動は、概して、
図6および7における矢印によって描写される。
【0110】
切り欠き629に進入する液体を収集し、液体が帰還入口606に向かって流動するように指向することを促進するために、液体取扱デバイス608はさらに、切り欠き629から帰還入口606に向かって延設される、液体帰還チャネル(または放流路)631(
図7)を含んでもよい。一実施形態では、帰還チャネル631は、円錐形部分692上に配置される。すなわち、帰還チャネル631は、円錐形部分692上に位置付けられる、または円錐形部分692上に形成されてもよい(例えば、円錐形部分692の表面の一部として)。概して、帰還チャネル631は、切り欠き629と帰還入口606との間の長さと、長さを横断する幅とを有する。一実施形態では、
図7に図示されるように、帰還チャネル631の幅は、帰還チャネル631の長さに沿って、切り欠き629から離れる方向に増加する、すなわち、帰還チャネル631は、切り欠き629から外向きにテーパ状または扇状になる。また、切り欠き629に進入する液体を収集することを促進するために、液体取扱デバイス608はさらに、帰還チャネル631と帰還入口606との間に位置付けられ、それと連通する、貯留槽(またはバケツ)633を含んでもよい。例えば、貯留槽633は、円錐形部分692に隣接して位置付けられてもよい(または液体取扱デバイス608の構造の一部内に形成される)。貯留槽633の寸法は、切り欠き629、帰還チャネル631、および帰還入口606の寸法より有意に大きくてもよい。故に、いくつかの実施形態では、液体帰還経路は、切り欠き629および帰還入口606に加え、帰還チャネル631または帰還チャネル631および貯留槽633の両方を含む。
【0111】
対物レンズアセンブリ600は、他の点において、上記に説明され、
図3-5に図示される、対物レンズアセンブリ300に類似してもよい。例えば、対物レンズアセンブリ600は、本明細書に説明されるように、漏出センサを含んでもよい。対物レンズアセンブリ600は、上記に説明され、
図2に図示される、液体浸漬顕微鏡対物レンズシステム200等のシステムと併せて利用されてもよい。
【0112】
図8は、本開示の別の実施形態による、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリ800の概略断面立面図である。
図9は、
図8に図示される対物レンズアセンブリ800の上部平面図である。
【0113】
他の実施形態におけるように、対物レンズアセンブリ800は、概して、対物レンズ804と、対物レンズ804の縦軸上に配列される、液体取扱デバイス808とを含む。さらに、対物レンズ804は、レンズ816が筐体開口部を通して暴露されるように、対物レンズ804の筐体開口部またはその近傍に搭載される、レンズ816を含む。他の実施形態におけるように、液体取扱デバイス808は、本開示のいずれかの場所に開示されるように、対物レンズ804の上側部分に搭載され、または位置付けられ、それを同軸方向に囲繞する。さらに、液体取扱デバイス808は、本明細書に説明されるように、液体送達システムと、液体帰還システムとを含む。故に、液体取扱デバイス808は、レンズ816(特に、外側レンズ表面)を液体浸漬媒体中に浸漬させることと、液体をレンズ816および周囲対物レンズ先端から、ならびにサンプル支持体の底部等の近傍の領域から除去することとを含む、本明細書に説明される種々の機能を実施するように構成される。
【0114】
他の実施形態におけるように、液体取扱デバイス808は、対物レンズ先端の上方で離間される、円錐形部分892を含む、中空円錐体809を含んでもよい。円錐体809はさらに、縦軸(レンズ816の中心を通して通過する)と同軸であって、レンズ816を囲繞する、環状輪縁825を含む。輪縁825は、それを通してレンズ816が暴露される、デバイス開口部827を画定する。
【0115】
他の実施形態におけるように、液体取扱デバイス808は、送達入口872と、帰還出口814とを含んでもよく、これは、本明細書に説明されるように、液体取扱デバイス808の内部通路に結合される、流体継手として具現化されてもよい。さらに、送達入口872および帰還出口814は、上記に説明され、
図2に図示される、液体浸漬顕微鏡対物レンズシステム200等の流体システムに結合されてもよい。
【0116】
液体送達システムは、送達入口872と、送達通路835と、レンズ816と開放連通する、送達出口880とを含む。液体送達システムの構成要素は、送達入口872から、送達通路835を通して、送達出口880を通して、レンズ816まで、液体送達経路を協働して画定する。本実施形態では、
図8および9に図示されるように、送達通路835は、送達入口872および送達出口880を相互接続する、単一導管(例えば、液体取扱デバイス808の構造内に形成される、またはそれを通して延在する)であってもよい。さらに、送達出口880は、レンズ816に隣接して位置する、単一ポートであってもよい。故に、送達出口880および切り欠き829は、レンズ816の中心に対して異なる角度位置に位置する。特に、送達出口880は、レンズ816の切り欠き829と反対の側上に位置してもよい。
【0117】
他の実施形態におけるように、液体送達システムによって画定された液体経路はまた、
図2に関連して上記に説明されるように、液体吸引(除去)経路として利用されてもよい。
【0118】
図6および7に図示される実施形態と同様に、輪縁825は、切り欠き829を含み、液体取扱デバイス808はさらに、液体帰還チャネル(または放流路)831と、貯留槽またはバケツ833とを含む。さらに、帰還チャネル831の幅は、帰還チャネル831の長さに沿って、切り欠き829から離れる方向に増加してもよく、貯留槽833の寸法は、切り欠き829、帰還チャネル831、および帰還入口806の寸法より大きくてもよい。
【0119】
図6および7に図示される実施形態と異なり、帰還チャネル831および貯留槽833は、液体取扱デバイス808の構造の内部特徴である。例えば、本実施形態では、帰還チャネル831は、円錐形部分892の外面(すなわち、円錐形部分の外部の表面)の代わりに、円錐形部分892の内面(すなわち、円錐形部分892の内部の表面)上に位置付けられる、または形成される。
【0120】
したがって、液体帰還システムは、レンズ816と開放連通する、切り欠き829(例えば、輪縁825によって囲繞される、レンズ816の外面の上方の空間)と、帰還チャネル831と、貯留槽833と、帰還入口806と、帰還出口814とを含む。液体帰還システムの構成要素は、レンズ816から、帰還チャネル831に沿って、貯留槽833の中から、帰還入口806の中に、帰還出口814まで、液体帰還経路を協働して画定する。
【0121】
いくつかの実施形態では、帰還入口806および帰還出口814は、同一流体構成要素(例えば、継手)の一部であってもよい。帰還通路(例えば、内部導管)は、必要に応じて、帰還入口806および帰還出口814を流動的に相互接続するために、提供されてもよい。
【0122】
対物レンズアセンブリ800は、他の点では、上記に説明され、
図3-5に図示される、対物レンズアセンブリ300に類似してもよい。例えば、対物レンズアセンブリ800は、本明細書に説明されるように、漏出センサを含んでもよい。対物レンズアセンブリ800は、上記に説明され、
図2に図示される、液体浸漬顕微鏡対物レンズシステム200等のシステムと併せて利用されてもよい。
【0123】
図10は、本開示の別の実施形態による、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリ1000の概略断面立面図である。
図11は、
図10に図示される対物レンズアセンブリ1000の上面図である。
【0124】
他の実施形態におけるように、対物レンズアセンブリ1000は、概して、対物レンズ1004と、対物レンズ1004の縦軸上に配列される、液体取扱デバイス1008とを含む。さらに、対物レンズ1004は、レンズ1016が筐体開口部を通して暴露されるように、対物レンズ1004の筐体開口部またはその近傍に搭載される、レンズ1016を含む。他の実施形態におけるように、液体取扱デバイス1008は、本開示のいずれかの場所に開示されるように、対物レンズ1004の上側部分に搭載され、または位置付けられ、それを同軸方向に囲繞する。さらに、液体取扱デバイス1008は、本明細書に説明されるように、液体送達システムと、液体帰還システムとを含む。故に、液体取扱デバイス1008は、レンズ1016(特に、外側レンズ表面)を液体浸漬媒体中に浸漬させることと、液体をレンズ1016および周囲対物レンズ先端から、ならびにサンプル支持体の底部等の近傍の領域から除去することとを含む、本明細書に説明される種々の機能を実施するように構成される。
【0125】
他の実施形態におけるように、液体取扱デバイス1008は、対物レンズ先端の上方で離間される、円錐形部分1092を含む、中空円錐体1009を含んでもよい。円錐体1009はさらに、縦軸(レンズ1016の中心を通して通過する)と同軸であって、レンズ1016を囲繞する、環状輪縁1025を含む。輪縁1025は、それを通してレンズ1016が暴露される、デバイス開口部1027を画定する。
【0126】
他の実施形態におけるように、液体取扱デバイス1008は、送達入口1072と、帰還出口1014とを含んでもよく、これは、本明細書に説明されるように、液体取扱デバイス1008の内部通路に結合される、流体継手として具現化されてもよい。さらに、送達入口1072および帰還出口1014は、上記に説明され、
図2に図示される、液体浸漬顕微鏡対物レンズシステム200等の流体システムに結合されてもよい。
【0127】
液体送達システムは、送達入口1072と、送達通路1035と、レンズ1016と開放連通する、送達出口1080とを含む。液体送達システムの構成要素は、送達入口1072から、送達通路1035を通して、送達出口1080を通して、レンズ1016まで、液体送達経路を協働して画定する。本実施形態では、
図10および11に図示されるように、送達通路1035は、送達入口1072および送達出口1080を相互接続する、単一導管(例えば、液体取扱デバイス1008の構造内に形成される、またはそれを通して延在する)であってもよい。さらに、送達出口1080は、レンズ1016に隣接して位置する、単一ポートであってもよい。
【0128】
液体帰還システムは、レンズ1016と開放連通する、帰還入口1006と、帰還通路1037と、帰還出口1014とを含む。液体帰還システムの構成要素は、レンズ1016から、帰還入口1006の中に、帰還通路1037を通して、帰還出口1014まで、液体帰還経路を協働して画定する。本実施形態では、液体帰還システムは、液体送達システムと同一または同様に構成される。
図10および11に図示されるように、帰還通路1037は、帰還入口1006および帰還出口1014を相互接続する、単一導管(例えば、液体取扱デバイス1008の構造内に形成される、またはそれを通して延在する)であってもよい。さらに、帰還入口1006は、レンズ1016に隣接して位置する、単一ポートであってもよい。したがって、単一ポートとして、送達出口1080および帰還入口1006は、レンズ1016の中心に対して異なる角度位置に位置する。特に、送達出口1080および帰還入口1006は、レンズ1016の相互の反対側上に位置してもよい。
【0129】
図11では、矢印は、すぐ上で説明される構成に基づく、レンズ1016へおよびそこからの液体流動の一般的方向を描写する。しかしながら、本実施形態では、対物レンズアセンブリ1000(および上記に説明され、
図2に図示される、液体浸漬顕微鏡対物レンズシステム200等の関連付けられる流体システム)は、液体流動の方向が、レンズ1016の両側上で可逆的であるように構成されてもよい。したがって、上記に説明される液体送達システムは、液体帰還(または除去もしくは回収)システム(例えば、真空を液体送達側に印加することによって)として選択的に動作されてもよく、上記に説明される液体帰還システムは、液体送達システムとして選択的に動作されてもよい。液体流動の方向を逆転させる(それによって、送達出口1080および帰還入口1006の役割を切り替える)能力は、例えば、対物レンズアセンブリ1000の移動方向を変化させるとき(例えば、あるサンプルコンテナ132から別のサンプルコンテナ132、またはあるマイクロプレート128から別のマイクロプレート128等に移動させるとき)、有用であり得る。
【0130】
対物レンズアセンブリ1000は、他の点では、上記に説明され、
図3-5に図示される、対物レンズアセンブリ300に類似してもよい。例えば、対物レンズアセンブリ1000は、本明細書に説明されるように、漏出センサを含んでもよい。対物レンズアセンブリ1000は、上記に説明され、
図2に図示される、液体浸漬顕微鏡対物レンズシステム200等のシステムと併せて利用されてもよい。
【0131】
図12-14は、本開示の別の実施形態による、液体浸漬顕微鏡対物レンズアセンブリ1200の実施例を図示する。
図12は、対物レンズアセンブリ1200の斜視図である。
図13は、
図12に図示される、対物レンズアセンブリ1200の断面立面図である。
図14は、
図12に図示される、対物レンズアセンブリ1200の円錐体1209の下面の斜視図である。対物レンズアセンブリ1200およびその動作は、本明細書に説明される1つまたはそれを上回る他の実施形態に類似してもよい。故に、対物レンズアセンブリ1200は、概して、対物レンズ1204と、対物レンズ1204の縦軸L上に配列される、液体取扱デバイス1208とを含む。
【0132】
対物レンズ1204は、対物レンズ筐体1212と、レンズ1216とを含む。筐体1212は、縦軸Lに沿って、第1の(上側)筐体開口部1220が位置する、第1の(上側)端部(または対物レンズ先端)から、第2の(下側)筐体開口部1224が位置する、第2の(下側)端部まで、延在する。レンズ1216は、レンズ1216の外面が、対物レンズ筐体1212から離れるように面する、すなわち、筐体1212の外側および上方の領域に面するように、第1の筐体開口部1220に搭載される、またはそれに近接する。レンズ1216は、それによって、第1の筐体開口部1220を通して暴露される。
【0133】
他の実施形態におけるように、液体取扱デバイス1208は、本開示のいずれかの場所で説明されるように、対物レンズ1204の上側部分に搭載され、または位置付けられ、それを同軸方向に囲繞する。さらに、液体取扱デバイス1208は、本明細書に説明されるように、液体送達システムと、液体帰還システムとを含む。故に、液体取扱デバイス1208は、レンズ1216(特に、外側レンズ表面)を液体浸漬媒体中に浸漬させることと、液体をレンズ1216および周囲対物レンズ先端から、ならびにサンプル支持体の底部等の近傍の領域から除去することとを含む、本明細書に説明される種々の機能を実施するように構成される。
【0134】
図3-5に図示される実施形態と同様に、液体取扱デバイス1208の構造は、中空円錐体1209を含んでもよく、環状キャップ1226は、液体送達システムおよび液体帰還システムを協働して画定する。円錐体1209は、対物レンズ先端の上方で離間される、(第1の)円錐形部分1292と、円錐形部分1292に隣り合った、フランジ部分1213とを含む。環状スペーサ部材1217は、キャップ1226とフランジ部分1213との間に介在されてもよい。これらの構成要素は、ねじ山付き部材(例えば、ねじ、ボルト等)等の好適な締結具によって、スタックされた配列において、ともに固着されてもよい。スペーサ部材1217は、例えば、エラストマシール材料から成ってもよい。
【0135】
円錐体1209はさらに、縦軸Lと同軸であって、レンズ1216を囲繞する、環状輪縁1225を含む。輪縁1225は、それを通してレンズ1216が暴露される、デバイス開口部を画定する。輪縁1225は、円錐形部分1292に遷移する。本実施形態では、輪縁1225は、下記にさらに説明されるように、液体送達切り欠き1235および液体帰還切り欠き1229等の1つまたはそれを上回る断続面をその幾何学形状に有する。
【0136】
他の実施形態におけるように、液体取扱デバイス308は、概して、送達入口1272(
図13)と、帰還出口1214とを含んでもよく、これは、液体取扱デバイス1208の構造内の内部通路に結合される、流体継手として具現化されてもよい。送達入口1272および帰還出口1214は、上記に説明され、
図2に図示される、液体浸漬顕微鏡対物レンズシステム200等の流体システムに結合されてもよい。
【0137】
液体送達システムは、送達入口1272と、送達通路と、レンズ1216と開放連通する、送達出口1280とを含む。液体送達システムの構成要素は、送達入口1272から、送達通路を通して、送達出口1280を通して、レンズ1216まで、液体送達経路を協働して画定する。送達通路は、必要に応じて、送達入口1272および送達出口1280を流動的に相互接続するために、1つまたはそれを上回る導管(例えば、通路、チャンバ等)を含んでもよい。本実施形態では、
図13に図示されるように、送達通路は、対物レンズ筐体1212の(第2の)円錐形部分1325の外面と円錐体1209の円錐形部分1292の内面との間に画定される、環状円錐形空間1376を含む。円錐形空間1376は、送達出口1280で終端する。本実施形態では、送達出口1280は、送達出口1280が、第1の筐体開口部1220およびレンズ1216を同軸方向に囲繞するように、輪縁1225と第1の筐体開口部1220との間に画定される、環状開口部である。
【0138】
また、本実施形態では、送達通路は、送達切り欠き1235を含み、これは、円錐形空間1376と連通し、レンズ1216と開放連通する。さらに、
図14に図示されるように、送達通路は、送達切り欠き1235と連通する、液体送達チャネル1437を含んでもよい。例えば、送達切り欠き1235は、輪縁1225が位置する、送達チャネル1437の端部に対応し得る。送達チャネル1437は、円錐体1209の円錐形部分1292の内面内または上に形成されてもよい。本構成によって、送達入口1272と送達出口1280との間の送達通路(すなわち、円錐形部分1292)の少なくとも一部は、送達チャネル1437を通して送達切り欠き1235まで延設される、一次流動経路1439と、円錐形空間1376を通して送達出口1280(但し、送達チャネル1437および送達切り欠き1235の外側)までの、二次流動経路1441とを画定する。
図14に描写されるように、二次流動経路1441の方向は、円周方向成分を有する。
【0139】
図13に図示されるように、送達通路はさらに、円錐体1209内に形成される、内部導管1329を含んでもよい。内部導管1329は、送達入口1272と連通する、別の導管またはチャンバ1333(例えば、円錐体1209内に形成される)から、開放し、ひいては、円錐形空間376と連通する、円錐体309の壁1337内の開口部まで、延在する。
図14に示されるように、本開口部は、送達チャネル1437の送達切り欠き1235と反対の端部に対応し得る。
【0140】
液体送達システムによって画定された液体経路はまた、
図2に関連して上記に説明されるように、液体吸引(除去)経路として利用されてもよい。
【0141】
液体帰還システムは、円錐形部分1292を介してレンズ1216と連通する、帰還入口1206と、帰還通路と、帰還出口1214とを含む。また、本実施形態では、送達通路は、レンズ1216と開放連通する、帰還切り欠き1229を含む。
図12に図示されるように、液体帰還システムはさらに、帰還切り欠き1229から帰還入口1206まで延設される、液体帰還チャネル1231(または放流路)を含んでもよい。例えば、帰還切り欠き1229は、輪縁1225が位置する、帰還チャネル1231の開始に対応し得る。帰還チャネル1231は、円錐体1209の円錐形部分1292の外面内または上に形成されてもよい。故に、本実施形態では、液体帰還システムの構成要素は、レンズ1216から、帰還切り欠き1229の中に、かつそれを通して、帰還チャネル1231に沿って、またはそれを通して、帰還入口1206を通して、帰還通路を通して、帰還出口1214まで、液体帰還経路を協働して画定する。帰還切り欠き1229および帰還チャネル1231は、
図6および7と関連して上記に説明される実施形態に図示されるように機能し、利点を提供し得る。しかしながら、本実施形態では、帰還チャネル1231の寸法(特に、幅)は、その長さに沿って一定であり得る。例えば、帰還チャネル1231の幅は、帰還チャネル1231の長さに沿って、帰還切り欠き1229の幅と同一(または実質的に同一)のままであり得る。
【0142】
図12に図示されるように、液体帰還システムはさらに、帰還入口1206を囲繞する、貯留槽(またはバケツ)1233を含んでもよい。そのような実施形態では、円錐形部分1292は、帰還切り欠き1229から、帰還チャネル1231を通して、帰還入口1206の中に延設される、一次流動経路1439を画定する。貯留槽1233は、二次流動を円錐形部分1292に沿って帰還入口1206の外側に収集してもよい。
【0143】
前述の説明から明白であるように、本開示は、1つまたはそれを上回る実施形態では、高度に効果的様式において、対物レンズの液体浸漬を実装する、顕微鏡対物レンズアセンブリ(ならびに関連システムおよび方法)を提供する。対物レンズアセンブリはまた、浸漬液体の対物レンズおよびそれを囲繞する対物レンズ先端への供給と、浸漬液体の対物レンズおよびそれを囲繞する対物レンズ先端からの除去との両方を制御する際に非常に効果的である。液体ボーラスを、制御された条件下、対物レンズとマイクロプレートまたは他のサンプル支持体の下面との間の間隙内に生成および維持することに加え、対物レンズアセンブリは、要求に応じて、かつ検出された条件に応答しての両方において、浸漬液体を対物レンズ先端およびマイクロプレート等のサンプル支持体の下面の両方から除去し、乾燥させることが可能である。さらに、対物レンズアセンブリは、対物レンズ先端から、その中で対物レンズアセンブリが動作する、顕微鏡の敏感な構成要素上への、浸漬液体の漏出を防止することが可能である。さらに、対物レンズアセンブリは、自動化された顕微鏡内への実装のために容易に適合される。対物レンズアセンブリの機能および動作は、自動化されてもよく、したがって、所与の自動化された顕微鏡およびそのような顕微鏡によって実施されるサンプル分析のためのプログラムされた方法開発の中に容易に統合され得る。例えば、対物レンズアセンブリは、ユーザ介入の必要なく、数時間または数日かかる、サンプルの長期測定を含む、複数のサンプルの高速かつ高スループット撮像をサポートすることが可能である。
【0144】
「~と連通する」および「~と連通状態にある」(例えば、第1の構成要素が、第2の構成要素と「連通する」または「連通状態にある」)等の用語は、本明細書では、2つまたはそれを上回る構成要素もしくは要素間の構造、機能、機械、電気、信号、光学、磁気、電磁、イオン、または流体関係を示すために使用されることを理解されたい。したがって、ある構成要素が、第2の構成要素と連通すると言えるという事実は、付加的構成要素が、第1の構成要素と第2の構成要素との間に存在し、および/またはそれと動作可能に関連付けられる、もしくは係合され得る可能性を除外することを意図するものではない。
【0145】
本発明の種々の側面または詳細は、本発明の範囲から逸脱することなく、変更されてもよいことを理解されたい。さらに、前述の説明は、例証目的のためにすぎず、限定の目的のためのものではなく、本発明は、請求項によって定義される。
【国際調査報告】