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特表2022-519287改善された信頼性を有する気密な金属化ビア
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(54)【発明の名称】改善された信頼性を有する気密な金属化ビア
(51)【国際特許分類】
   C03C 17/40 20060101AFI20220314BHJP
   C03C 17/36 20060101ALI20220314BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20220314BHJP
   H01L 23/15 20060101ALI20220314BHJP
   H05K 1/03 20060101ALI20220314BHJP
【FI】
C03C17/40
C03C17/36
H01L23/12 Q
H01L23/14 C
H05K1/03 610B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545683
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(85)【翻訳文提出日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 US2020014257
(87)【国際公開番号】W WO2020163067
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】62/801,408
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/808,566
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/376,467
(32)【優先日】2019-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】カヌンゴ,マンダキーニ
(72)【発明者】
【氏名】マズンダー,プランティック
(72)【発明者】
【氏名】オコロ,チュクウディ アズバイケ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ア-ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ポラード,スコット クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァディ,ラジェッシュ
【テーマコード(参考)】
4G059
【Fターム(参考)】
4G059AA08
4G059AC11
4G059DA04
4G059DA07
4G059DA08
4G059DB02
4G059DB04
4G059EA12
4G059EB04
4G059GA01
4G059GA13
4G059GA14
(57)【要約】
本明細書に記載された種々の実施形態によれば、物品は、第1の主面および第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスまたはガラスセラミックス基板と、基板を通って第1の主面から第2の主面に向かって、軸線方向に軸線方向長さにわたって延在するビアとを備える。この物品は、その内面に配設されたヘリウム気密接着層と、ビア内に配設され、ヘリウム気密接着層に接着された金属コネクタとをさらに備える。金属コネクタは、ビアの軸線方向長さに沿ってビアの内面を被覆して、第1の主面から第1のキャビティ長さまでの第1のキャビティを規定し、金属コネクタは、第1の主面において12μm未満の被覆厚さを含む。加えて、金属コネクタは、ビアの軸線方向長さに沿ってビアの内面を被覆して、第2の主面から第2のキャビティ長さまでの第2のキャビティを画定し、金属コネクタは、第2の主面において12μm未満の被覆厚さを含み、第1のキャビティと第2のキャビティとの間のビアを完全に充填している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品であって、
第1の主面および前記第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスまたはガラスセラミックス基板と、
前記基板を通って前記第1の主面から前記第2の主面に向かって軸線方向に軸線方向長さにわたって延在し、内面ならびに第1の軸線方向部分、第3の軸線方向部分および前記軸線方向に沿って前記第1の軸線方向部分と前記第3の軸線方向部分との間に配設された第2の軸線方向部分を画定する、ビアと、
前記内面に配設されたヘリウム気密接着層と、
前記ビア内に配設され、前記ヘリウム気密接着層に接着された、金属コネクタと
を備え、
前記金属コネクタは、前記ビアの軸線方向長さに沿って前記ビアの前記内面を被覆して、前記第1の主面から第1のキャビティ長さまでの第1のキャビティを画定し、前記金属コネクタは、前記第1の主面において12μm未満の被覆厚さを含み、
前記金属コネクタは、前記ビアの軸線方向長さに沿って前記ビアの前記内面を被覆して、前記第2の主面から第2のキャビティ長さまでの第2のキャビティを画定し、前記金属コネクタは、前記第2の主面において12μm未満の被覆厚さを含み、
前記金属コネクタは、前記第1のキャビティと前記第2のキャビティとの間の前記ビアを完全に充填している、物品。
【請求項2】
前記金属コネクタが、前記第1の軸線方向部分および前記第3の軸線方向部分において、12μm未満の平均被覆厚さを含む、請求項1記載の物品。
【請求項3】
前記第1の主面における前記ビア内の被覆厚さおよび前記第2の主面における前記ビア内の被覆厚さがそれぞれ、前記第2の軸線方向部分における被覆厚さ未満である、請求項1または2記載の物品。
【請求項4】
前記ビアが、前記第1の主面における第1の直径と、前記第2の主面における第2の直径と、前記第2の軸線方向部分における第3の直径とを有し、前記第3の直径が前記第1の直径および前記第2の直径より小さい、請求項1から3までのいずれか1項記載の物品。
【請求項5】
前記第1の直径および前記第2の直径がそれぞれ、30μm以上80μm以下である、請求項4記載の物品。
【請求項6】
前記第3の直径が、10μm以上40μm以下である、請求項4または5記載の物品。
【請求項7】
前記ヘリウム気密接着層が、前記第1の軸線方向部分および前記第3の軸線方向部分における前記内面に配設されており、前記第2の軸線方向部分における前記内面には配設されていない、請求項1から6までのいずれか1項記載の物品。
【請求項8】
前記ヘリウム気密接着層が、Ti、Cr、TiN、Ni、Ta、Wおよび金属酸化物のうちの1つ以上を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の物品。
【請求項9】
前記金属コネクタが、実質的に銅からなる、請求項1から8までのいずれか1項記載の物品。
【請求項10】
ガラス物品を製造する方法であって、該方法が、
第1の主面および前記第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスまたはガラスセラミックス基板を通って前記第1の主面から前記第2の主面に向かって軸線方向に延在し、第1の軸線方向部分、第3の軸線方向部分および前記第1の軸線方向部分と前記第3の軸線方向部分との間に配設された第2の軸線方向部分を含むビアの内面部分にヘリウム気密接着層を堆積させるステップであって、前記ヘリウム気密接着層は前記ビアの前記内面に配設される、ステップと、
金属塩および金属堆積阻害剤を含む電気めっき浴を使用して、前記ビアの前記第1の軸線方向部分、前記第2の軸線方向部分および前記第3の軸線方向部分に金属コネクタを堆積させるステップと
を含み、
前記金属コネクタは、前記ヘリウム気密接着層に接着され、
前記金属コネクタは、前記ビアの軸線方向長さに沿って前記ビアの前記内面を被覆して、前記第1の主面から第1のキャビティ長さまでの第1のキャビティを画定し、前記第1の主面において12μm未満の被覆厚さを有し、
前記金属コネクタは、前記ビアの軸線方向長さに沿って前記ビアの前記内面を被覆して、前記第2の主面から第2のキャビティ長さまでの第2のキャビティを画定し、前記第2の主面において12μm未満の被覆厚さを有し、
前記金属コネクタは、前記第1のキャビティと前記第2のキャビティとの間の前記ビアを完全に充填する、方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、2019年2月5日に出願され、係属中の米国仮特許出願第62/801408号の優先権の利益を主張し、2019年4月5日に出願された米国特許出願第16/376467号明細書(この出願は、2018年4月9日に出願された米国仮特許出願第62/654869号、2019年2月5日に出願された同第62/801408号および2019年2月21日に出願された同第62/808566号の優先権を主張する)の優先権の利益を主張し、その内容は本明細書の依拠するところであって、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、一般的には、ガラスおよびガラスセラミックス基板中のビア、とりわけ、ガラスおよびガラスセラミックス基板中の気密に封止された金属化ビアに関する。
【背景技術】
【0003】
ビアを有するガラスおよびガラスセラミックス基板は、電気的インタフェース、RFフィルタおよびRFスイッチとして使用されるインターポーザとしての使用を含む多くの用途に望ましい。ガラス基材は、このような用途のためのシリコンおよび繊維強化ポリマーの魅力的な代替物となっている。
【0004】
このようなビアは導体での充填が望ましい。銅は、現在、このような導体に最も望ましい材料である。ただし、銅は、ガラスに十分に接着しない。特に、銅とガラスとの間の気密の封止が、幾つかの用途に望まれている。このような封止を得るのは困難である。銅がガラスに十分に接着しないため、また、多くの導体材料、例えば、銅と多くの望ましいガラスおよびガラスセラミックス基板組成との熱膨張係数の大きな不整合のためである。加えて、銅がガラスに接着される場合、銅とガラスとの熱膨張係数の大きな不整合により、ガラス物品が高温処理に供された際に、ガラスの半径方向および/または円周方向のクラックが形成される場合がある。特に、ガラス物品が高温から冷却された場合、銅は、ガラスより素早く収縮し、接着しているガラスを引っ張る。これにより、応力の蓄積と高い応力蓄積による円周方向クラック形成とがもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、気密に封止されたスルーガラスビアを金属化するための代替方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
態様1による物品は、第1の主面および第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスまたはガラスセラミックス基板と、基板を通って第1の主面から第2の主面に向かって軸線方向に軸線方向長さにわたって延在し、内面ならびに第1の軸線方向部分、第3の軸線方向部分および軸線方向に沿って第1の軸線方向部分と第3の軸線方向部分との間に配設された第2の軸線方向部分を画定する、ビアとを備える。物品はさらに、内面に配設されたヘリウム気密接着層と、ビア内に配設され、ヘリウム気密接着層に接着された、金属コネクタとを備え、金属コネクタは、ビアの軸線方向長さに沿ってビアの内面を被覆して、第1の主面から第1のキャビティ長さまでの第1のキャビティを画定し、金属コネクタは、第1の主面において12μm未満の被覆厚さを含み、金属コネクタは、ビアの軸線方向長さに沿ってビアの内面を被覆して、第2の主面から第2のキャビティ長さまでの第2のキャビティを画定し、金属コネクタは、第2の主面において12μm未満の被覆厚さを含み、金属コネクタは、第1のキャビティと第2のキャビティとの間のビアを完全に充填している。
【0007】
態様2によるガラス物品は、金属コネクタが、第1の軸線方向部分および第3の軸線方向部分において、12μm未満の平均被覆厚さを含む、態様1記載のガラス物品を含む。
【0008】
態様3によるガラス物品は、第1の主面におけるビア内の被覆厚さおよび第2の主面におけるビア内の被覆厚さがそれぞれ、第2の軸線方向部分における被覆厚さ未満である、態様1または2記載のガラス物品を含む。
【0009】
態様4によるガラス物品は、第1のキャビティ長さおよび第2のキャビティ長さが、それぞれ、ビアの軸線方向長さの3%以上97%以下である、態様1から3までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む。
【0010】
態様5によるガラス物品は、ビアが、第1の主面における第1の直径と、第2の主面における第2の直径と、第2の軸線方向部分における第3の直径とを有し、第3の直径が第1の直径および第2の直径より小さい、態様1から4までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む。
【0011】
態様6によるガラス物品は、第1の直径および第2の直径が、それぞれ、30μm以上80μm以下である、態様5記載のガラス物品を含む。
【0012】
態様7によるガラス物品は、第1の直径および第2の直径が、それぞれ、40μm以上60μm以下である、態様6記載のガラス物品を含む。
【0013】
態様8によるガラス物品は、第1の直径および第2の直径が、それぞれ、45μm以上55μm以下である、態様7記載のガラス物品を含む。
【0014】
態様9によるガラス物品は、第3の直径が、10μm以上40μm以下である、態様5から8までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む。
【0015】
態様10によるガラス物品は、第3の直径が、20μm以上30μm以下である、態様9記載のガラス物品を含む。
【0016】
態様11によるガラス物品は、第3の直径が、22μm以上27μm以下である、態様10記載のガラス物品を含む。
【0017】
態様12によるガラス物品は、第1の直径に対する第3の直径の比および第2の直径に対する第3の直径の比が、1:6以下である、態様5から11までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む。
【0018】
態様13によるガラス物品は、第1の主面におけるビア内の被覆厚さおよび第2の主面におけるビア内の被覆厚さが、それぞれ、第3の直径の1/2未満である、態様5から12までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む。
【0019】
態様14によるガラス物品は、ヘリウム気密接着層が、第1の軸線方向部分および第3の軸線方向部分における内面に配設されており、第2の軸線方向部分における内面には配設されていない、態様1から13までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む。
【0020】
態様15によるガラス物品は、ヘリウム気密接着層が、第1の軸線方向部分および第3の軸線方向部分のうちの少なくとも一方の周囲全体に沿って配設されている、態様14記載のガラス物品を含む。
【0021】
態様16によるガラス物品は、ヘリウム気密接着層が、Ti、Cr、TiN、Ni、Ta、Wおよび金属酸化物のうちの1つ以上を含む、態様1から15までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む。
【0022】
態様17によるガラス物品は、ヘリウム気密接着層が、1nm以上500nm以下の厚さを有する、態様1から16までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む。
【0023】
態様18によるガラス物品は、金属コネクタが実質的に銅からなる、態様1から17までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む。
【0024】
態様19によるガラス物品は、金属コネクタがビアを気密に封止する、態様1から18までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む。
【0025】
態様20によるガラス物品は、第1のキャビティおよび第2のキャビティのうちの少なくとも一方が、銅ではない1種以上の材料で充填されている、態様1から19までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む。
【0026】
態様21によるガラス物品は、物品にはクラックがなく、物品は、450℃の温度に加熱されて23℃の温度に冷却される前後で、10-5atmcc/s(約9.87×10-5Pa・m/s)未満のヘリウム透過性を有する、態様1から20までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む。
【0027】
態様22によるガラス物品は、基板が、少なくとも90質量%のシリカを含む、態様1から21までのいずれか1つ記載のガラス物品を含む。
【0028】
態様23による、ガラス物品を製造する方法は、
第1の主面および第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスまたはガラスセラミックス基板を通って第1の主面から第2の主面に向かって軸線方向に延在し、第1の軸線方向部分、第3の軸線方向部分および第1の軸線方向部分と第3の軸線方向部分との間に配設された第2の軸線方向部分を含むビアの内面部分にヘリウム気密接着層を堆積させるステップであって、ヘリウム気密接着層はビアの内面に配設される、ステップと、金属塩および金属堆積阻害剤を含む電気めっき浴を使用して、ビアの第1の軸線方向部分、第2の軸線方向部分および第3の軸線方向部分に金属コネクタを堆積させるステップとを含み、金属コネクタは、ヘリウム気密接着層に接着され、金属コネクタは、ビアの軸線方向長さに沿ってビアの内面を被覆して、第1の主面から第1のキャビティ長さまでの第1のキャビティを画定し、第1の主面において12μm未満の被覆厚さを有し、金属コネクタは、ビアの軸線方向長さに沿ってビアの内面を被覆して、第2の主面から第2のキャビティ長さまでの第2のキャビティを画定し、第2の主面において12μm未満の被覆厚さを有し、金属コネクタは、第1のキャビティと第2のキャビティとの間のビアを完全に充填する。
【0029】
態様24による方法は、金属コネクタのめっき速度が、第1の軸線方向部分および第3の軸線方向部分におけるよりも、第2の軸線方向部分において速い、態様23記載の方法を含む。
【0030】
態様25による方法は、金属塩が銅塩を含む、態様23または24記載の方法を含む。
【0031】
態様26による方法は、金属コネクタを堆積させるステップが、1.5mA/cm以上5mA/cm以下の電流密度で電流を適用するステップを含む、態様23から25までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0032】
態様27による方法は、金属堆積阻害剤が、塩化ニトロブルーテトラゾリウム(NTBC)、メチルチアゾールテトラゾリウム(MTT)、または塩化テトラニトロブルーテトラゾリウム(TNBT)を含む、態様23から26までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0033】
態様28による方法は、第1のキャビティおよび第2のキャビティのうちの少なくとも1つを銅ではない1種以上の材料によって充填するステップをさらに含む、態様23から27までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【0034】
態様29による方法は、ヘリウム気密接着層が、第1の軸線方向部分および第3の軸線方向部分におけるビアの内面に配設されており、第2の軸線方向部分におけるビアの内面には配設されていない、態様23から28までのいずれか1つ記載の方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】ビアを有する基板の斜視図を示す。
図2図1の線2-2’に沿ったビアの断面を示す図である。
図3】金属コネクタの特徴に焦点を当てた図2のビアを示す図である。
図4】ビアを製造する方法についてのフローチャートを示す図である。
図5A】モデリングに使用される弾性的に完全な塑性材料についての応力-歪み関係のプロットを示す図である。
図5B】モデリングに使用される温度依存性銅降伏応力を示す図である。
図6】種々の銅被覆厚さ(x軸)についてモデリングされた第1の最大主応力およびモデリングされた最大半径方向応力(y軸)のプロットを示す図である。
図7】銅被覆厚さ(x軸)の関数としてのクラックを有するビアのパーセンテージ(y軸)のプロットを示す図である。
図8A】12μm未満の銅被覆厚さを有し、微小クラックを有さない例示的なビアを示す図である。
図8B】12μm以上の銅被覆厚さを有し、円周方向の微小クラックを示す例示的なビアを示す図である。
図9】例示的な金属化TGVのX線CTスキャンの図である。
図10A】銅被覆厚さプロファイルを検証するために、図9の例示的な金属化TGVのSEM画像を示す図である。
図10B】銅被覆厚さプロファイルを検証するために、図9の例示的な金属化TGVのウエストのSEM画像を示す図である。
図10C】銅被覆厚さプロファイルを検証するために、図9の例示的な金属化TGVの入口のSEM画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
特に断らない限り、本明細書に記載された任意の方法は、そのステップが特定の順序で行われることを必要とするものとして解釈されることも、任意の装置の特定の向きを必要とするものとして解釈されることも、決して意図していない。したがって、方法の請求項に、そのステップが従うべき順序が実際に列記されていない場合または任意の装置の請求項に、個々の構成要素に対する順序もしくは向きが実際に列挙されていない場合またはステップが特定の順序に限定されるべきであることもしくは装置の構成要素に対する特定の順序もしくは向きが列記されていないことを特許請求の範囲もしくは説明に何らかの方法で具体的に記述されていない場合、いかなる点においても、順序または向きが推論されると決して意図されるものではない。これは、ステップの配置、動作フロー、構成要素の順序または構成要素の向きに関する論理の事項、文法編成または句読点から導き出される平易な意味および本明細書に記載された実施形態の数または種類を含む、解釈のための任意の可能な非明示的な基礎に当てはまる。
【0037】
本明細書で使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」は、特に断らない限り、複数の指示対象を含む。このため、例えば、「a」が冠された構成要素への言及は、特に断らない限り、2つ以上のこのような構成要素を有する態様を含む。また、「または」なる語は、先行する「いずれか」(または「または」が、排他的であること-例えば、xまたはyの一方のみなどを明確に意味することを示す他の同様の語)なしに使用される場合、包括的であると解釈されるべきである(例えば、「xまたはy」は、xまたはyの一方または両方を意味する)。
【0038】
また、「および/または」なる用語も、包含的であると解釈されるべきである(例えば、「xおよび/またはy」は、xまたはyの一方または両方を意味する)。「および/または」または「または」が、3つ以上の項目の群のための連合として使用される場合、この群は、1つの項目のみ、全ての項目を合わせてまたはこれらの項目の任意の組み合わせもしくは数を含むと解釈されるべきである。さらに、本明細書および特許請求の範囲に使用される用語、例えば、有する(have)、有する(having)、含む(include)および含む(including)は、含む(comprise)および含む(comprising)なる用語と同義であると解釈されるべきである。
【0039】
本明細書で使用する場合、「約」なる用語は、量、サイズ、配合、パラメータならびに他の量および特性が、正確ではなくかつ正確である必要はなく、公差、換算係数、四捨五入、測定誤差などおよび当業者に公知の他の要因を反映して、近似でありかつ/または必要に応じてより大きいもしくはより小さい場合があることを意味する。「約」なる用語が、範囲の値または終点を説明するのに使用される場合、本開示は、言及される特定の値または終点を含むと理解されるべきである。本明細書における範囲の数値または終点が、「約」を列記するか否かにかかわらず、範囲の数値または終点は、2つの実施形態を含むことが意図され、1つの実施形態は、「約」により修飾され、もう1つの実施形態は、「約」により修飾されていない。範囲の両終点は、他の終点に関連してかつ他の終点とは独立して、両方とも明らかであるとさらに理解されたい。
【0040】
全ての開示範囲は、各範囲に包含される任意および全ての部分範囲または任意および全ての個々の値を列記する特許請求の範囲を包含し、特許請求の範囲についての支持を提供するものと理解されたい。例えば、1~10の記載された範囲は、1の最小値と10の最大値との間および/またはそれらを含む任意および全ての部分範囲または個々の値を列記する特許請求の範囲を含み、特許請求の範囲についての支持を提供するものとみなされるべきである。すなわち、全ての部分範囲は、1以上の最小値で始まり、10以下の最大値で終わり(例えば、5.5~10、2.34~3.56など)または1~10の任意の値(例えば、3、5.8、9.9994など)である。
【0041】
ビアを有するガラスおよびガラスセラミックス基板
ビアを有するガラスおよびガラスセラミックス基板は、多くの用途に望ましい。例えば、インターポーザの一方の側に論理デバイスを接続し、インターポーザの他方の側にメモリを接続するスルーパッケージビア(TPV)相互接続を有する3Dインターポーザは、高帯域幅デバイスに望ましい。現在選択されている基板は、有機物またはシリコンである。有機インターポーザは寸法安定性が悪いという問題があり、一方、シリコンウエハは高価で、誘電損失が高いという問題がある。ガラスおよびガラスセラミックは、その比較的低い誘電率、熱安定性および低コストのために、優れた基板材料であることができる。スルーガラスビア(TGV)を有するガラスまたはガラスセラミックス基板の用途がある。これらのビアは、典型的には、電気経路を提供する金属コネクタを形成するために、導電性金属、例えば、銅で完全にまたはコンフォーマルに充填される必要がある。銅は、特に望ましい導電性金属である。
【0042】
図1に、部分斜視図で模式的に示された基板100を備える物品を示す。基板100は、第1の主面102と、第1の主面102の反対側の第2の主面104とを備える。複数のビア110は、第1の主面102から第2の主面104まで、基板100のバルクを通って延在している。金属コネクタ150はビア110を充填する。任意の数のビア110は、任意の配置で基板100を通って延在しうると理解されたい。座標マーカ101は、第1の主面102および第2の主面104の平面に垂直な軸線方向寸法zの方向を示す。特に断らない限り、ビアまたは金属コネクタの「長さ」は、軸線方向寸法zである。軸線方向寸法である基板100の厚さtは、用途に応じて任意の適切な厚さとすることができる。
【0043】
種々の実施形態では、基板100は、任意の適切なガラスまたはガラスセラミックス基板を備えることができる。一部の特定の実施形態では、高シリカガラスまたはガラスセラミックス基板が、それらの誘電特性のために、特定の用途に望ましい。例えば、50モル%、55モル%、60モル%、65モル%、70モル%、75モル%、80モル%、85モル%、90モル%、95モル%もしくは100モル%または終点としてのこれらの値の任意の2つを有する任意の範囲(終点を含む)のシリカ含量を有するガラスまたはガラスセラミック材料を使用することができる。50モル%~100モル%または75モル%~100モル%のシリカ含量を有するガラスまたはガラスセラミックス材料を使用することができる。一部の実施形態では、基板は、少なくとも90質量%のシリカを含む。
【0044】
本明細書に記載された寸法を有する基板について、少なくとも2つの理由で、高シリカガラスにおいて、銅金属コネクタにより気密に封止されたビアを達成するのは特に困難である。第一に、銅は、ガラスに十分に接着しない。第二に、銅と高シリカガラスとの間のCTE不整合が特に大きい。本明細書に記載された物品および方法は、これらの理由にもかかわらず、優れた応力緩和メカニズムを提供することにより気密の封止を達成する。
【0045】
図2に、線2-2’に沿った図1の断面として模式的に示された基材100を備える物品を示す。図2に、図1の基板100、座標マーカ101、第1の主面102、第2の主面104、ビア110および金属コネクタ150を示す。ビア110の内面114は、第1の軸線方向部分116と、第2の軸線方向部分118と、第3の軸線方向部分120とに分割されている。ヘリウム気密接着層122は、第1の軸線方向部分116および第3の軸線方向部分120におけるビア110の内面114に配設されている。実施形態において、ヘリウム気密接着層122は、第1の軸線方向部分116および第3の軸線方向部分120のうちの少なくとも一方の全周に沿って、ビア110の内面114上に配設されている。ヘリウム気密接着層122は、第2の軸線方向部分118には存在しない。
【0046】
本明細書で使用する場合、「ヘリウム気密接着層」なる表現は、金属コネクタ150をビア110の内面114に接着することにより、真空系ヘリウム漏出試験システムを使用して測定された場合、10-5atmcc/s(約9.87×10-5Pa・m/s)未満またはさらに10-8atmcc/s(約9.87×10-8Pa・m/s)未満の透過率でヘリウムに対する気密性を提供する接着層を意味する。適切なヘリウム気密接着層材料は、チタン(Ti)、クロム(Cr)、タンタル(Ta)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)などの金属または酸化チタン、酸化タングステンおよび酸化マンガンなどの金属酸化物または窒化チタン(TiN)および窒化タンタル(TaN)などの窒化物を含む。種々の実施形態では、ヘリウム気密接着層は、チタン(Ti)を含む。ヘリウム気密接着層は、1nm以上500nm以下の厚さを有する。例えば、一部の特定の実施形態では、ヘリウム気密接着層は、約100nmの厚さを有する。
【0047】
一部の実施形態、例えば、部分的に結合された実施形態では、第1の軸線方向部分116または第3の軸線方向部分120の軸線方向長さは、「接着長さ」と呼ぶことができる。金属コネクタ150がそれに沿って基板100に強く接着するビア110内の長さであるためである。一部のこのような実施形態では、接着長さは、5μm以上148μm以下である。接着長さは、10μm以上135μm以下、10μm以上130μm以下、10μm以上125μm以下、10μm以上120μm以下、10μm以上115μm以下、15μm以上140μm以下、15μm以上135μm以下、15μm以上130μm以下、15μm以上125μm以下、15μm以上120μm以下、20μm以上140μm以下、20μm以上135μm以下、20μm以上130μm以下、20μm以上125μm以下、25μm以上140μm以下、25μm以上135μm以下、25μm以上130μm以下、130μm以上140μm以下、30μm以上35μm以下または35μm以上140μm以下であることができる。一部の実施形態では、接着長さは、40μm以上140μm以下、40μm以上130μm以下、40μm以上120μm以下、40μm以上110μm以下、40μm以上100μm以下、40μm以上90μm以下、40μm以上80μm以下、40μm以上70μm以下または40μm以上60μm以下である。例えば、接着長さは、約40μm、50μm、60μmまたは70μmであることができる。種々の実施形態では、他の接着長さを利用することができることが企図される。
【0048】
第2の軸線方向部分118において、ヘリウム気密接着層122は存在しない。このため、金属コネクタ150は、第2の軸線方向部分118に沿って内面114に強く結合していない。ビア110は、軸線方向にビア長さ130を有する。このビア110は、第1の主面102における第1の直径132a、第2の主面104における第2の直径132b、および第2の軸線方向部分118における第3の直径132cを有する。
【0049】
ビアの形状
本明細書に記載された実施形態では、ビア110は、第1の主面102における第1の直径132aおよび第2の主面104における第2の直径132bから、第3の直径132cに等しいウエスト直径を有するウエスト125まで先細となりまたは狭くなる先細内面114を有する。本明細書で使用する場合、ビアの「ウエスト」は、最小直径を有する可変直径ビアの部分を指す。ビア110の直径は、軸線方向位置の関数として変化する。ビア110の全ての「直径」が、最大直径である。特に断らない限り、「ビア直径」は、最大直径を指す。ビア110が円形でない場合、ビア110の「直径」は、軸線方向に垂直な平面において、ビア110と同じ断面積を有する円の直径である。
【0050】
ビアウエスト125は、ビアの軸線方向長さに沿った最小直径を有する。第1の直径の割合としてのビアウエストの直径は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%または終点としてのこれらの値の任意の2つを有する任意の範囲(終点を含む)であることができる。第2の直径の割合としてのビアウエストの直径は、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%または終点としてのこれらの値の任意の2つを有する任意の範囲(終点を含む)であることができる。ビアウエストの直径は、第1の直径の75%以下であることができ、ビアウエストの直径は、第2の直径の75%以下であることができる。ビアウエストの直径は、第1の直径の20%~50%以下であることができ、ビアウエストの直径は、第2の直径の20%~50%以下であることができる。種々の実施形態では、第3の直径132cまたはビアウエストは、10μm以上40μm以下である。第3の直径132cは、20μm以上30μm以下または22μm以上27μm以下であることができる。例えば、第3の直径132cは、10μm、15μm、20μm、22μm、25μm、27μm、30μm、35μmまたは40μmであることができる。種々の実施形態では、第1の直径132aに対する第3の直径132cの比は、1:6以下、1:5以下、1:4以下、1:3以下もしくは1:2以下であり、かつ/または第2の直径132bに対する第3の直径132cの比は、1:6以下、1:5以下、1:4以下、1:3以下もしくは1:2以下である。
【0051】
ビア110は、任意の適切なビア長さ130を有することができる。非限定的な例として、基板100の厚さ(およびビア長さ130)は、10μm、60μm、120μm、180μm、240μm、300μm、360μm、420μm、480μm、540μm、600μm、720μm、840μm、960μm、1080μm、1500μm、2000μmまたは終点としてのこれらの値の任意の2つを有する任意の範囲(終点を含む)であることができる。一部の実施形態では、厚さtおよびビア長さは、10μm~2000μm、200μm~400μmまたは240μm~360μmである。
【0052】
ビア110は、任意の適切な第1の直径132aおよび第2の直径132bを有することができる。非限定的な例として、これらの直径は、30μm、40μm、50μm、60μm、70μm、80μmまたは終点としてのこれらの値の任意の2つを有する任意の範囲(終点を含む)であることができる。一部の実施形態では、ビア直径は、30μm以上80μm以下、40μm以上60μm以下または45μm以上55μm以下であることができる。第1の直径132aは、第2の直径132bと同じかまたは異なることができる。上述したように、第1の直径132aおよび第2の直径132bはそれぞれ、第3の直径132cより大きい。
【0053】
第1、第2および第3の軸線方向部分の軸線方向長さは、任意の適切な長さであることができる。種々の実施形態では、低い最大主応力とヘリウム気密性との組み合わせを達成する長さが選択される。一部の実施形態では、第1の軸線方向部分および第3の軸線方向部分は、ビアの長さの1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%および40%または終点としてのこれらの値の任意の2つを有する任意の範囲(終点を含む)から独立して選択される長さを有する。第2の軸線方向部分は、ビアの長さの20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%もしくは98%または終点としてのこれらの値の任意の2つを有する任意の範囲(終点を含む)の長さを有する。第1の軸線方向部分および第3の軸線方向部分は、ビアの長さの2%~40%の長さを有することができ、一方、第2の軸線方向部分は、ビアの長さの20~96%の長さを有する。
【0054】
種々の実施形態では、ビアは、240μm~360μmのビア長さおよび40μm~60μmのビア直径を有する高アスペクト比ビアである。本明細書で使用する場合、「アスペクト比」は、ビアの平均直径に対するガラス基板の平均厚さの比を指す。「高アスペクト比」は、3超のアスペクト比を指す。理論に拘束されるものではないが、このようなビアについて、20μm、25μm、30μm、35μmおよび40μmまたは終点としてのこれらの値の任意の2つを有する任意の範囲(終点を含む)の長さを有する第1の軸線方向部分および第3の軸線方向部分が、応力の低減を達成するのに所望される場合があるが、他の長さも企図される。第2の軸線方向部分の長さは、ビア長さの残部を構成する。
【0055】
一部の実施形態では、第1の軸線方向部分は、ビアと第1の主面との交差を含み、第2の軸線方向部分は、ビアと第2の主面との交差を含む。
【0056】
ビア110は、場合により、応力集中を低減するために、ビアウエスト125におけるものを含む内側縁部に丸みを帯びたフィレット124を有する。本明細書で使用する場合、「フィレット」は、ビア110の内側コーナーに沿った丸みを帯びたコーナーを指す。このような丸みを帯びたフィレットを、ビアの形状における任意の縁部に使用することができる。丸みを帯びたフィレット124は、任意の適切な直径、例えば、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mmまたは終点としてのこれらの値の任意の2つを有する任意の範囲(終点を含む)を有することができる。他の直径を使用してもよい。
【0057】
ビア110は、フィレット124で傾斜が変化する2つの明確な傾斜を有する内面114を有する。ビア110は、第1の主面102および第2の主面104のそれぞれからウエスト125までの単一の傾斜、図2に例示されているような2つの傾斜またはより複雑な形状を有することができる。傾斜のうちの1つ以上は、図2に示されているように、第1の主面102および第2の主面104に対して垂直であることができる。
【0058】
金属コネクタ
図3に、図2と同じビア110を示すが、金属コネクタ150の部分を示すためにラベル付けしている。金属コネクタ150は、第1の軸線方向部分116内に第1のキャビティ152を画定し、第3の軸線方向部分120内に第2のキャビティ154を画定する。第1のキャビティ152は、第2の軸線方向部分118内の充填された部分156により、第2のキャビティ154から分離されている。第1のキャビティ152は、軸線方向寸法において第1のキャビティ長さ153を有し、第2のキャビティ154は、軸線方向寸法において、第2のキャビティ長さ155を有する。第1のキャビティ長さ153および第2のキャビティ長さ155に沿った軸線方向寸法における各位置において、金属コネクタ150は、ビア110を完全に充填することなく、内面114を被覆している。充填された部分156は、軸線方向寸法において充填長さ157を有する。金属コネクタ150は、第1のキャビティ長さ153および第2のキャビティ長さ155に沿って被覆厚さ158を有する。一定の厚さ(コンフォーマル層)として図示されているが、被覆厚さ158は、第1の主面および/または第2の主面からの軸線方向位置および距離について変化してもよい。
【0059】
種々の実施形態では、金属コネクタ150は、第1の主面102および第2の主面104において、12μm未満の被覆厚さ158を有する。例えば、金属コネクタ150は、第1の主面102および第2の主面104において、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μmまたは11μmの被覆厚さ158を有することができる。一部の実施形態では、金属コネクタ150は、第1の軸線方向部分および第2の軸線方向部分において、12μm未満の平均被覆厚さを有する。一部の実施形態では、金属コネクタ150は、第1の主面102から隣接する丸みを帯びたフィレット124までの長さにわたってかつ第2の主面104から隣接する丸みを帯びたフィレット124までの長さにわたって、12μm未満の平均被覆厚さを有する。
【0060】
先細形状を有するビア110、すなわち、第1の直径132aおよび第2の直径132bより狭い直径を有するウエスト125を使用することにより、図2および図3に示されている固有の幾何学的形状を有する金属コネクタ150の製造が可能となる。具体的には、この形状は、第1の主面102および第2の主面104それぞれから延在する第1のキャビティ152および第2のキャビティ154を有する。同時に、金属コネクタ150は、ウエスト125に近接する充填された部分156を含む。金属コネクタ150の幾何学的形状により、他の幾何学的形状では利用できない応力緩和のための自由度を有する基板100への気密の封止が可能となる。特に、ヘリウム気密接着層122は、第1の軸線方向部分116および第3の軸線方向部分120それぞれの軸線方向長さについて、第1の主面102および第2の主面104において、金属コネクタ150と基板100との間に気密の封止を形成する。充填された部分156は、気体および液体が第1の主面102と第2の主面104との間のビア110を通過することができないように、気密の封止を完成させる。第2の軸線方向部分118に接着がないことにより、金属コネクタ150が熱サイクル中に応力を緩和するための余分な自由度が提供される。加えて、第1のキャビティ152および第2のキャビティ154は、応力緩和のためのさらに別の自由度を提供する。応力緩和のためのこれらの自由度により、金属コネクタと基板との間の熱膨張係数の差異により基板を破損させることなく、熱サイクルに耐えることができる金属コネクタがもたらされる。
【0061】
一部の実施形態では、第1のキャビティ152および第2のキャビティ154は、第2の軸線方向部分118と重なるように、ビア110内に十分に深くまで延在している。この重複により、基板100に結合も充填もされない金属コネクタ150の軸部がもたらされる。このような幾何学的形状により、応力緩和のための更なるメカニズムが提供される。
【0062】
第1のキャビティ長さは、ビア110の軸線方向長さの3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは97%または終点としてのこれらの値の任意の2つを有する任意の範囲(終点を含む)であることができる。第2のキャビティ長さ155は、ビア110の軸線方向長さの3%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%、80%、90%、95%もしくは97%または終点としてのこれらの値の任意の2つを有する任意の範囲(終点を含む)であることができる。第2のキャビティ長さ155は、第1のキャビティ長さ153と同じかまたは異なってもよい。種々の実施形態では、第1のキャビティ長さ153および第2のキャビティ長さ155はそれぞれ、10μm以上150μm以下である。例えば、第1のキャビティ長さ153および第2のキャビティ長さ155はそれぞれ、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm、50μm、60μm、70μm、80μm、90μm、100μm、110μm、120μm、130μm、140μm、150μmまたは終点としてのこれらの値の任意の2つを有する任意の範囲(終点を含む)であることができる。
【0063】
充填された部分156は、一方の軸線方向ビア長さ130と、他方の第1のキャビティ長さ153および第2のキャビティ長さ155との間の差を構成する軸線方向長さを有する。一部の実施形態では、金属導体は、ビア110の軸線方向長さの少なくとも10%について、ビアを完全に充填している。
【0064】
第1のキャビティ152および第2のキャビティ154が存在するビアの軸線方向長さに沿って、被覆厚さ158は、軸線方向長さに沿った各点において、ビア直径の50%未満である。本明細書における種々の実施形態では、被覆厚さ158は、金属コネクタの厚さとして測定され、ヘリウム気密接着層の厚さを含まない。その結果、被覆厚さは、ビア110の中心まで延在せず、その結果、第1のキャビティ152および第2のキャビティ154を形成することができる。被覆厚さ158は、軸線方向長さに沿った各点において、ビア直径の5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%もしくは49%または終点としてのこれらの値の任意の2つを有する任意の範囲(終点を含む)であることができる。被覆厚さ158は、軸線方向位置について一定でもよくまたは軸線方向位置について変化してもよい。第1のキャビティ152および第2のキャビティ154が存在するビアを完全に充填しないように、被覆厚さ158が十分に小さい限り、被覆厚さ158は、第1のキャビティ152および第2のキャビティ154が存在するビアの軸線方向長さに沿って、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、8μm、10μmもしくは12μm未満または終点としてのこれらの値の任意の2つを有する任意の範囲(終点を含む)であることができる。ただし、以下でより詳細に記載されるであろうように、種々の実施形態の被覆厚さ158は、12μm未満である。種々の実施形態では、第1の主面におけるビア内の被覆厚さ158および第2の主面におけるビア内の被覆厚さ158はそれぞれ、第2の軸線方向部分における被覆厚さ未満である。一部の実施形態では、被覆厚さ158は、第1の主面102および第2の主面104それぞれにおけるビア内において、第3の直径132cの直径の1/2未満である。
【0065】
図2および図3では空であるかまたは充填されていないものとして示されているが、一部の実施形態では、第1のキャビティ152および/または第2のキャビティ154は、銅ではない1種以上の材料で充填されていてもよい。第1のキャビティ152および/または第2のキャビティ154のこのような充填により、ガラス物品の処理に使用される腐食性材料の結果として、金属コネクタ150の汚染または劣化を低減しまたは排除することができる。実施形態において、この材料は、金属コネクタ150のCTEより低いCTEを有し、可塑性を有しかつ/または金属コネクタ150の自由度を超える1つ以上の自由度を有する場合がある。特定の実施形態では、この材料は、ガラス物品の応力をさらに低減することができまたはガラス物品の応力を正味0にすることさえできる。一部の実施形態では、この材料は、金属コネクタ150に共有結合しない。
【0066】
第1のキャビティ152および/または第2のキャビティ154の充填に使用することができる適切な材料は、限定ではなく例として、400℃以上またはさらに500℃以上の温度で劣化しない材料を含むことができる。例えば、ゾルゲルシリカ、ゾルゲル金属酸化物、ポリマー、複合材料、合金または他のタイプの無機材料を、特定の実施形態に応じて使用することができる。第1のキャビティ152および/または第2のキャビティ154を、インクジェット印刷、スプレー被覆または別の堆積方法を含むが、これらに限定されない当技術分野において公知であり、使用される各種の方法のうちの任意の1つを使用して充填することができる。第1のキャビティ152および/または第2のキャビティ154を充填するための特定の方法は、使用される特定の材料により決まる場合があることが企図される。
【0067】
製造方法
先細形状を有するスルーガラスビアを、任意の適切な方法により製造することができる。1つの方法は、レーザにより基板100内にダメージトラックを形成し、続いて、エッチングすることである。例示的な方法は、米国特許第9656909号明細書および米国特許出願第62/588615号明細書に記載されており、それらの内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。別の方法は、感光性ガラスをレーザで修飾し、続いて、エッチングすることである。
【0068】
図4に、スルーガラスビアを金属化するための方法を示すフローチャートを示す。ステップ410において、ヘリウム気密接着層は、第1の軸線方向部分および第3の軸線方向部分におけるビアの内面に堆積され、第2の軸線方向部分には堆積されない。その後のステップ420において、金属コネクタは、当該金属コネクタが少なくとも第1の軸線方向部分および第3の軸線方向部分においてヘリウム気密接着層に接着するように、ビア内に堆積される。
【0069】
ヘリウム気密接着層を、任意の適切な方法により、第1の軸線方向部分および第3の軸線方向部分における内面に堆積させることができ、第2の軸線方向部分には堆積させない。例えば、z次元における第1の軸線方向部分および第3の軸線方向部分の長さを、視線堆積法、例えばスパッタリングを使用しかつ堆積角度を調整することにより、容易に制御することができる。第1の軸線方向部分および第3の軸線方向部分の長さが第1の軸線方向部分および第3の軸線方向部分におけるビアの内面の全周囲で一定であることを確保するために、基板を堆積中に回転させてもよい。
【0070】
金属、金属酸化物または金属窒化物から形成された薄膜の形態にあるヘリウム気密接着層を、多くの異なる方法、例えば、スパッタリング、Eビーム堆積、イオンビーム堆積、原子層堆積、化学蒸着および溶液被覆を使用してガラス表面に適用することができる。
【0071】
金属コネクタを、任意の適切な金属から形成することができる。一部の実施形態では、銅は、その特に高い導電率のために、望ましい金属であることができる。金、銀および他の導電性金属ならびに導電性金属の合金を使用してもよい。実施形態において、金属コネクタは、銅を含む。一部の特定の実施形態では、金属コネクタは実質的に銅からなる。
【0072】
金属コネクタを、任意の適切な手段により堆積させることができる。銅(および他の金属)を堆積させるための1つの適切な方法は、ヘリウム気密接着層上に触媒、例えばPdを堆積させ、続いて、銅を無電解堆積させ、続いて、銅を電気めっきすることである。種々の実施形態では、電気めっきプロセスは、金属塩、金属堆積阻害剤を含む電気めっき浴の使用ならびに1.5mA/cm以上5mA/cm以下または1.5mA/cm以上2.5mA/cm以下の電流密度での電流の適用を含む。金属塩は、金属コネクタを形成する金属の塩、例えばCuSOであることができる。金属堆積阻害剤は、第1の主面および第2の主面におけるまたはその近傍における金属のめっき速度を特異的に阻害しまたは遅延させるように選択されてもよく、これにより、ビアのウエストにおけるより、第1の主面および第2の主面におけるビア内で薄い被覆厚さを有する金属コネクタの形成が可能となる。
【0073】
金属堆積阻害剤の一例は、塩化ニトロブルーテトラゾリウム(NTBC)である。理論に拘束されるものではないが、NTBCは、ビアへの入口付近の銅イオンに優先的に吸着し、これにより、NTBCが吸着された領域における銅堆積の抑制がもたらされると考えられる。また、NTBCの優先的な吸着により、ビアの軸線方向長さに沿って吸着されたNTBCの濃度勾配ももたらされ、より多くのNTBCが第1の主面および第2の主面の近くに存在し、ビアのウエストの近くでは、NTBCは非常に少ない。したがって、第1の主面および第2の主面付近および第1の主面および第2の主面上と比較して、銅を、ビアのウエスト付近でより速く堆積させることができる。したがって、差動的なめっき速度を維持することにより、第1の主面および第2の主面における被覆厚さを、ウエストの直径の1/2未満にする間に、ビアの中央を塞ぐことができる。
【0074】
本明細書に記載された種々の実施形態は、金属堆積阻害剤としてNTBCを含むが、異なるめっき速度を達成し、維持するために、他の金属堆積阻害剤および方法が企図される。例えば、Ni-B(NTB)、メチルチアゾールテトラゾリウム(MTT)および/または塩化テトラニトロブルーテトラゾリウム(TNBT)を金属堆積阻害剤として使用することができる。
【0075】
金属コネクタを堆積させるための他の適切な方法は、ビアに金属ペーストを充填することおよび焼結または化学蒸着(CVD)を含む。銅を堆積させるのに適した方法は、米国特許出願公開公報第2017-0287728号明細書(例えば、[0004]~[0005]を参照のこと)にさらに記載されており、その内容全体を参照により援用するものとする。
【0076】
熱サイクル
充填されたビアを有するガラスおよびガラスセラミックス基板は、多くの場合、熱サイクルに供される。この熱サイクルは、デバイス動作中またはビア充填に続く製造ステップ中に発生しうる。一部の実施形態では、例えば、ガラス基板は、アニーリングのための熱サイクルに供される場合がある。
【0077】
上述したように、銅および他の金属の熱膨張係数(CTE)と多くのガラスおよびガラスセラミックス材料のCTEとの間には大きな不整合がある。CTEの不整合のために、加熱時に、金属コネクタは、周囲のガラスまたはガラスセラミックス基板より急速に膨張する。同様に、冷却時に、金属コネクタは、周囲の基板より急速に収縮する。この膨張および収縮の差により、多くの破損メカニズム、例えば、層間剥離またはクラックにつながる場合がある応力が生じる。これらの破損メカニズムは、気密性の喪失および他の問題を引き起こす場合がある。
【0078】
層間剥離は、1つの破損メカニズムである。層間剥離は、導電性金属、例えば、銅がビアの内部から剥離する時に発生する。導体と基板との間に弱い結合がある場合、熱サイクルにより生じる応力により、層間剥離がもたらされる可能性がある。層間剥離は、気体および液体が剥離した金属コネクタとビアの内面との間の境界に沿って基板に侵入する可能性があるため、気密性の喪失につながる可能性がある。
【0079】
層間剥離は、基板と金属コネクタとの間に十分に強い結合を形成することにより低減しまたは排除することができる。基板と金属コネクタとの間のビアの内面に配設されたヘリウム気密接着層を使用して、このような結合を形成することができる。本明細書で使用する場合、「接着層」は、25℃~450℃の熱サイクルに耐えるように十分に強力な金属コネクタと基板との間の結合をもたらす任意の層または表面処理を指す。
【0080】
層間剥離は、金属コネクタと基板との間に強力な結合を形成することにより防止することができるが、このより強力な結合は、熱サイクル中に金属コネクタが基板に対して移動するのを妨げてしまう。その結果、熱サイクルにより、クラックおよび気密性の喪失をもたらす基板内の応力を生じさせる場合がある。
【0081】
ガラス中心における応力場を予測するための弾性における古典的Lame問題に対する2D平面-歪みの解法は、
【0082】
【数1】
【0083】
の通りであり、式中、σおよびσθはそれぞれ、半径方向応力および円周方向応力であり、ε=(α-α)ΔTは、熱負荷ΔTによる不整合歪みである。材料特性α、EおよびνはCTE、ヤング率およびポアソン比であり、それぞれビア(ファイバ)およびガラス(マトリックス)についての添え字fおよびmを有する。
【0084】
破損は、熱サイクルの加熱と冷却との両方の結果として発生する場合がある。加熱中、膨張の不整合が最も大きくなるのは、最も高温においてである。基板内の応力の大部分は、より高い温度で圧縮性である。金属コネクタが、基板より膨張しているためである。加熱中に優勢な金属コネクタ周囲の円周方向応力により、半径方向のクラックがもたらされる場合がある。この応力は、隣接するビアに伝播する場合がある。冷却中、収縮の不整合が最も大きくなるのは、最低温度においてである。基板内の応力の大部分は、より低い温度で引張性である。金属コネクタが、基板より多く収縮しているためである。冷却中に優勢な半径方向応力により、クラックがもたらされる場合がある。半径方向応力は、表面近くのガラス中で引張性であり、ガラスの円周方向クラックを引き起こす場合がある。加熱と冷却との両方について、界面に沿ったせん断応力の存在により、層間剥離により界面破損が誘引される場合がある。
【0085】
熱サイクルの冷却部の終了に向かって、金属コネクタ150は、CTEの差異により、基板100より多く収縮している。金属コネクタ150が、基板100に接着しているため、金属コネクタ150の収縮により、基板100が引っ張られ、基板100が、引張応力下に置かれる。応力緩和のための十分な自由度がなければ、この引張応力により、基板100内に微小クラックが生じるであろうし、次に、気密性の喪失が生じる場合がある。
【0086】
本明細書に記載された種々の実施形態は、熱サイクルに供された後に、ヘリウム気密性を示すことができ、クラックを示さない。特に、本明細書に記載された種々の実施形態では、基板の主面に限定された被覆厚さを有するコンフォーマル銅被覆が存在し、完全に充填された中間部分を有し、ヘリウム気密接着層がビアの第2の軸線方向部分分に沿って存在しないことにより、ヘリウム密封性が提供され、一方で、微小クラックを発生させるのに十分な量の引張応力を発生させることなく、基板および金属コネクタが異なる速度で収縮することが可能となる。
【0087】
モデリング
モデリングのために、図2および図3の幾何学的形状を使用した。この場合、ビアの内面は、ビアが完全に充填されているウエストの両側に37.5μm分、75μmの軸線方向長さ以外は全て銅によりコンフォーマルに被覆されている。ビア長さ130は、300μmとした。第1の直径132aおよび第2の直径132bは、それぞれ50μmとした。50μmの直径は、両面から軸線方向長さに沿って50μmの距離について維持される。表面から50μmで始まって、ビアは、軸線方向長さに沿って中間であるウエスト125において、20μmの直径まで内向きに先細となっている。上面および底面の両方には、厚さ20μmの銅被覆151(図2および図3に示される)が含まれる。モデリングの結果は、金属コネクタ内にキャビティを有し、金属コネクタと基板との間の強力な結合を伴わない第2の軸線方向部分を有する他のビアおよび金属コネクタ形状にまで及ぶであろうことが期待される。
【0088】
実際のデバイスを製造するための1つのプロセスフローにおいて、銅被覆151を含む図2および図3の幾何学的形状は、最も厳しい熱サイクルが発生する場合に提供される。その後、この被覆を除去し、更なる処理が行われてもよい。ただし、図2および図3の幾何学的形状は、本明細書においてモデリングされた熱サイクルに関連性を有する。
【0089】
モデリングは、Ryu SK, Lu KH, Zhang X, Im JH, Ho PS, Huang R. Impact of near-surface thermal stresses on interfacial reliability of through-silicon vias for 3-D interconnects. IEEE Transactions on Device and Materials Reliability. 2011 Mar;11(1):35(以降「Ryu」とする)から引き出された理論に基づいた。Ryuによれば、ビアがウエハ内に配置された時のビアおよびウエハの表面応力を予測するための分析的解法が存在する。ただし、厚さから応力を予測するための閉形式(closed form)は存在しない。したがって、モデリングが必要である。モデリングのために、有限板における1つの単独孔をモデリングした。2次元の軸対称性を仮定し、約0.5μmの十分に小さなメッシュサイズを使用する。
【0090】
モデリングのために、ガラスは、弾性的であり、溶融シリカの特性:E(ヤング率)=73GPa、ν(ポアソン比)=0.17およびα(熱膨張係数)=0.55ppm/℃を有すると仮定した。銅は、弾性的に完全な塑性特性を有し、温度依存性降伏応力を有すると仮定した。図5Aに、弾性的に完全な塑性材料のための応力-歪み関係を示すグラフ500を示す。図5Bに、温度依存性銅降伏応力を示すグラフ510を示す。モデリングに使用された銅の弾性特性は、E(ヤング率)=121GPa、ν(ポアソン比)=0.35およびα(熱膨張係数)=17ppm/℃であった。また、銅ビアおよび溶融シリカを含む系は、25℃で応力のない状態にあったと仮定した。モデリングでは、25℃から400℃までおよび25℃に戻す熱サイクル後の応力を計算した。
【0091】
ガラスにクラックが発生する場合、第1の主応力が最も大きい箇所、すなわち「第1の最大主応力」において、最初にクラックが発生するであろう。図3を参照すると、モデリングから、2点で最も高い第1の主応力が示されている。まず、線190に沿って基板100の表面に高い最大主応力が存在し、ヘリウム気密接着層122と基板100との間の界面からの距離が短かった。この高応力の第1の点は、サンプルで観察された破損メカニズム、表面の微小クラックに対応する。
【0092】
第二に、ヘリウム気密接着層122が終了する点192に最大主応力が存在した。この点は、クラックの発生および伝播を誘引するのに優勢な応力成分である。図6に、種々の銅壁厚さについての線190に沿った、モデル化された第1の最大主応力および最大半径方向応力のプロットを示す。図6に示されているように、12μmの被覆厚さでは、第1の最大主応力および最大半径方向応力の両方が、閾値(図2および図3に示されている構成では、第1の最大主応力については140MPaおよび最大半径方向応力については80MPa)を満たすかまたは超える。
【0093】
図7に、ウエハを400℃の最高温度でアニーリングした後の種々の銅被覆厚さについて、クラックを有するビアの割合のプロットを示す。ここで、破線は、回帰当て嵌めについての95%信頼境界を表す。被覆厚さを、第1の主面または第2の主面で測定し、被覆厚さ測定の整数に基づいて、グループを形成した。すなわち、グループ「8μm」は、8.00μm~8.99μmの被覆厚さを含み、グループ「9μm」は、9.00μm~9.99μmの被覆厚さを含む、などである。図7に示されているように、被覆厚さが12μm以上になるまで、ビアにクラックが発生しない。モデリングにより、当業者であれば、金属コネクタパラメータ、この場合、被覆厚さ158についての情報を得た選択を行うことが可能となる。気密の封止を形成し、金属コネクタ150を介して所望の導電性を達成するために、幾らかの被覆厚さが必要なため、被覆厚さは過度に小さくすべきではない。
【0094】
図8Aおよび図8Bは、種々の銅被覆厚さを有する金属化スルーガラスビアの断面画像である。図8Aに示されているように、銅被覆厚さが12μm未満である場合、クラックが存在していない。一方、銅被覆厚さが、12μm以上である図8Bには、円周方向の微小クラックが示されている。
【実施例
【0095】
例として、まず、Ti/Cuを、シーラント層としてスパッタリングを使用して堆積させた。次に、無電解Cu堆積を行って、連続シード層を形成した。TGVサンプルに、SC1洗浄プロセスを受けさせ、続いて、接着層としてシランを適用した。無電解銅堆積を、触媒としてPd/Snコロイドを使用し、還元剤としてホルムアルデヒドを使用して、市販の「Uyemura electroless」浴中で行った。シード層の厚さは、約400nmであった。
【0096】
シード層の堆積後に、TGV基板に、Cuを電気めっきした。まず、市販のCupracid TP浴を使用して、銅のコンフォーマルめっきを行って、ビア内部の良好で均一な導電性を確保した。コンフォーマルめっき層の厚さは、約3μmであった。次に、NTBC添加剤浴を使用する金属化を行った。この浴の組成を、0.88MのCuSO、45ppmのNTBC、0.56MのHSOおよび45ppmのClイオンとした。めっきを、1.5mA/cmの定電流密度で行った。このプロセスによる金属化TGVのX線CTスキャンを図9に示す。全てのTGVは、図2の本発明の物品の模式図に似た構造で金属化されている。図10A図10Cに、めっき厚さプロファイルを検証するSEM画像を提供する。図10Aおよび図10Bに示されているように、ビアの中心は、Cuで完全に塞がれ、一方、被覆厚さは、約8μmであることが明らかである(図10C)。
【0097】
まとめ
本明細書で使用する場合、「実質的に~からなる」なる移行句は、特許請求の範囲の範囲を、特許請求された発明の特定の材料または工程「および基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない材料または工程」に限定する。
【0098】
当業者であれば、有益な結果を依然として得ながら、本明細書に記載された種々の実施形態に対して多くの変更を行うことができることを認識し、理解するであろう。本実施形態の所望の利益の幾つかを、他の特徴を利用せずに一部の特徴を選択することにより得ることができることも明らかであろう。したがって、当業者であれば、多くの修正および適応が可能であり、特定の状況では望ましい場合さえあり、本開示の一部であることを認識するであろう。したがって、本開示は、特に断らない限り、開示した特定の組成物、物品、装置および方法には限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用された用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことを理解されたい。図面に示されている特徴は、本説明の選択された実施形態を例示するものであり、必ずしも適切な縮尺で描かれていない。これらの図面の特徴は例示的なものであり、限定を意図するものではない。
【0099】
特に断らない限り、本明細書で説明された任意の方法は、そのステップが特定の順序で行われることを必要とすると解釈されることを決して意図するものではない。したがって、方法クレームが、実際に、そのステップが従うべき順序を列記していない場合または当該ステップが特定の順序に限定されることが特許請求の範囲もしくは説明に何らかの方法で具体的に記載されていない場合、任意の特定の順序を推論することを何ら意図するものではない。
【0100】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0101】
実施形態1
物品であって、
第1の主面および前記第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスまたはガラスセラミックス基板と、
前記基板を通って前記第1の主面から前記第2の主面に向かって軸線方向に軸線方向長さにわたって延在し、内面ならびに第1の軸線方向部分、第3の軸線方向部分および前記軸線方向に沿って前記第1の軸線方向部分と前記第3の軸線方向部分との間に配設された第2の軸線方向部分を画定する、ビアと、
前記内面に配設されたヘリウム気密接着層と、
前記ビア内に配設され、前記ヘリウム気密接着層に接着された、金属コネクタと
を備え、
前記金属コネクタは、前記ビアの軸線方向長さに沿って前記ビアの前記内面を被覆して、前記第1の主面から第1のキャビティ長さまでの第1のキャビティを画定し、前記金属コネクタは、前記第1の主面において12μm未満の被覆厚さを含み、
前記金属コネクタは、前記ビアの軸線方向長さに沿って前記ビアの前記内面を被覆して、前記第2の主面から第2のキャビティ長さまでの第2のキャビティを画定し、前記金属コネクタは、前記第2の主面において12μm未満の被覆厚さを含み、
前記金属コネクタは、前記第1のキャビティと前記第2のキャビティとの間の前記ビアを完全に充填している、物品。
【0102】
実施形態2
前記金属コネクタが、前記第1の軸線方向部分および前記第3の軸線方向部分において、12μm未満の平均被覆厚さを含む、実施形態1記載の物品。
【0103】
実施形態3
前記第1の主面における前記ビア内の被覆厚さおよび前記第2の主面における前記ビア内の被覆厚さがそれぞれ、前記第2の軸線方向部分における被覆厚さ未満である、実施形態1または2記載の物品。
【0104】
実施形態4
前記ビアが、前記第1の主面における第1の直径と、前記第2の主面における第2の直径と、前記第2の軸線方向部分における第3の直径とを有し、前記第3の直径が前記第1の直径および前記第2の直径より小さい、実施形態1から3までのいずれか1つ記載の物品。
【0105】
実施形態5
前記第1の直径および前記第2の直径がそれぞれ、30μm以上80μm以下である、実施形態4記載の物品。
【0106】
実施形態6
前記第3の直径が、10μm以上40μm以下である、実施形態4または5記載の物品。
【0107】
実施形態7
前記第1の主面における前記ビア内の被覆厚さおよび前記第2の主面における前記ビア内の被覆厚さがそれぞれ、前記第3の直径の1/2未満である、実施形態4から6までのいずれか1つ記載の物品。
【0108】
実施形態8
前記ヘリウム気密接着層が、前記第1の軸線方向部分および前記第3の軸線方向部分における前記内面に配設されており、前記第2の軸線方向部分における前記内面には配設されていない、実施形態1から7までのいずれか1つ記載の物品。
【0109】
実施形態9
前記ヘリウム気密接着層が、前記第1の軸線方向部分および前記第3の軸線方向部分のうちの少なくとも一方の周囲全体に沿って配設されている、実施形態8記載の物品。
【0110】
実施形態10
前記ヘリウム気密接着層が、Ti、Cr、TiN、Ni、Ta、Wおよび金属酸化物のうちの1つ以上を含む、実施形態1から9までのいずれか1つ記載の物品。
【0111】
実施形態11
前記金属コネクタが、実質的に銅からなる、実施形態1から10までのいずれか1つ記載の物品。
【0112】
実施形態12
前記第1のキャビティおよび前記第2のキャビティのうちの少なくとも一方が、銅ではない1種以上の材料で充填されている、実施形態1から11までのいずれか1つ記載の物品。
【0113】
実施形態13
前記物品にはクラックがなく、前記物品は、450℃の温度に加熱されて23℃の温度に冷却される前後で、10-5atmcc/s(約9.87×10-5Pa・m/s)未満のヘリウム透過性を有する、実施形態1から12までのいずれか1つ記載の物品。
【0114】
実施形態14
前記基板が、少なくとも90質量%のシリカを含む、実施形態1から13までのいずれか1つ記載の物品。
【0115】
実施形態15
ガラス物品を製造する方法であって、該方法が、
第1の主面および前記第1の主面の反対側の第2の主面を有するガラスまたはガラスセラミックス基板を通って前記第1の主面から前記第2の主面に向かって軸線方向に延在し、第1の軸線方向部分、第3の軸線方向部分および前記第1の軸線方向部分と前記第3の軸線方向部分との間に配設された第2の軸線方向部分を含むビアの内面部分にヘリウム気密接着層を堆積させるステップであって、前記ヘリウム気密接着層は前記ビアの前記内面に配設される、ステップと、
金属塩および金属堆積阻害剤を含む電気めっき浴を使用して、前記ビアの前記第1の軸線方向部分、前記第2の軸線方向部分および前記第3の軸線方向部分に金属コネクタを堆積させるステップと
を含み、
前記金属コネクタは、前記ヘリウム気密接着層に接着され、
前記金属コネクタは、前記ビアの軸線方向長さに沿って前記ビアの前記内面を被覆して、前記第1の主面から第1のキャビティ長さまでの第1のキャビティを画定し、前記第1の主面において12μm未満の被覆厚さを有し、
前記金属コネクタは、前記ビアの軸線方向長さに沿って前記ビアの前記内面を被覆して、前記第2の主面から第2のキャビティ長さまでの第2のキャビティを画定し、前記第2の主面において12μm未満の被覆厚さを有し、
前記金属コネクタは、前記第1のキャビティと前記第2のキャビティとの間の前記ビアを完全に充填する、方法。
【0116】
実施形態16
前記金属コネクタのめっき速度が、前記第1の軸線方向部分および前記第3の軸線方向部分におけるよりも、前記第2の軸線方向部分において速い、実施形態15記載の方法。
【0117】
実施形態17
前記金属塩が銅塩を含む、実施形態15または16記載の方法。
【0118】
実施形態18
前記金属コネクタを堆積させるステップが、1.5mA/cm以上5mA/cm以下の電流密度で電流を適用するステップを含む、実施形態15から17までのいずれか1つ記載の方法。
【0119】
実施形態19
前記金属堆積阻害剤は、塩化ニトロブルーテトラゾリウム(NTBC)、メチルチアゾールテトラゾリウム(MTT)、または塩化テトラニトロブルーテトラゾリウム(TNBT)を含む、実施形態15から18までのいずれか1つ記載の方法。
【0120】
実施形態20
前記ヘリウム気密接着層を、前記第1の軸線方向部分および前記第3の軸線方向部分における前記ビアの前記内面に堆積させ、前記第2の軸線方向部分における前記ビアの前記内面には堆積させない、実施形態15から19までのいずれか1つ記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
【国際調査報告】