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特表2022-519288生物学的に活性なペプチドの経口製剤およびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(54)【発明の名称】生物学的に活性なペプチドの経口製剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/02 20060101AFI20220314BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20220314BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20220314BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20220314BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20220314BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20220314BHJP
   A61K 38/10 20060101ALI20220314BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20220314BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20220314BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220314BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220314BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20220314BHJP
   C07K 7/08 20060101ALN20220314BHJP
   C07K 14/46 20060101ALN20220314BHJP
   C07K 14/575 20060101ALN20220314BHJP
【FI】
A61K38/02
A61K47/26
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/24
A61K9/127
A61K38/10
A61K38/16
A61K47/28
A61K45/00
A61P43/00 111
A61K47/36
C07K7/08 ZNA
C07K14/46
C07K14/575
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021545686
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(85)【翻訳文提出日】2021-09-13
(86)【国際出願番号】 US2020016867
(87)【国際公開番号】W WO2020163516
(87)【国際公開日】2020-08-13
(31)【優先権主張番号】62/801,250
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519141601
【氏名又は名称】アバイブ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ラジャダス, ジャヤクマール
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA95
4C076BB01
4C076CC29
4C076DD21
4C076DD63
4C076DD66
4C076DD70
4C076EE23
4C076EE30
4C076FF65
4C076FF68
4C084AA03
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA03
4C084BA18
4C084BA19
4C084BA23
4C084BA44
4C084CA62
4C084DA01
4C084MA02
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA10
4C084NA13
4C084ZC41
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA16
4H045BA17
4H045BA19
4H045CA40
4H045DA30
4H045EA20
4H045EA50
(57)【要約】
生物学的に活性なペプチド(例えば、アペリンペプチド)を含む経口製剤であって、ここで上記ペプチドは、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)および2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)のようなリン脂質、ならびにポロキサマーを含む粒子の中に埋め込まれている経口製剤が提供される。上記ナノ粒子は、ポリサッカライド(例えば、ペクチン)を含む炭水化物マトリクス、および架橋剤(例えば、塩化カルシウム)の中に埋め込まれ得る。上記ナノ粒子製剤は、ポリエチレングリコール(PEG)および/またはコレステロールをさらに含み得る。上記製剤、上記製剤を含む経口剤形を作製する方法、ならびに上記製剤を使用して疾患を処置または予防する方法がまた、提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の粒子を含む生物学的に活性なペプチドの経口製剤であって、
ここで各粒子は、ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、架橋剤、および前記炭水化物マトリクスの中に埋め込まれた複数の脂質ベースのナノ粒子を含み、そして
ここで前記脂質ベースのナノ粒子は、前記生物学的に活性なペプチド、ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、および2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)を含む、
経口製剤。
【請求項2】
前記生物学的に活性なペプチドは、正味の疎水性特性を有する少なくとも約15個の連続するアミノ酸のストレッチを含む、請求項1に記載の経口製剤。
【請求項3】
前記生物学的に活性なペプチドは、pH7において正味の正電荷を有する少なくとも約10個の連続するアミノ酸のストレッチを含む、請求項1または2に記載の経口製剤。
【請求項4】
前記生物学的に活性なペプチドは、N末端からC末端へと、正味の疎水性特性を有するアミノ酸のストレッチ、および正味の正電荷を有するアミノ酸のストレッチを含む、請求項3に記載の経口製剤。
【請求項5】
前記脂質ベースのナノ粒子は、液体コアを被包する脂質二重層を含むリポソームである、請求項1~4のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項6】
各リポソームは、複数の前記生物学的に活性なペプチドを含み、ここで前記複数の生物学的に活性なペプチドの第1の部分セットは、前記生物学的に活性なペプチドのうちの1つの部分が、前記脂質二重層の中に埋め込まれ、前記生物学的に活性なペプチドの別の部分は、前記脂質二重層の外側表面または前記液体コアに面する前記脂質二重層の内側表面に提示されるように構成され、ここで前記脂質二重層中に埋め込まれた前記生物学的に活性なペプチドの部分は、正味の疎水性特性を有するアミノ酸のストレッチであり、前記脂質二重層の外側表面または前記液体コアに面する前記脂質二重層の内側表面に提示された前記生物学的に活性なペプチドの部分は、正味の正電荷を有するアミノ酸のストレッチである、請求項5に記載の経口製剤。
【請求項7】
前記液体コアは、前記複数の生物学的に活性なペプチドの第2の部分セットを含む、請求項5または6に記載の経口製剤。
【請求項8】
前記生物学的に活性なペプチドは、アペリンペプチドである、請求項1~7のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項9】
前記アペリンペプチドは、アペリン-12、アペリン-13、ピログルタミルアペリン-13([Pyrl]-アペリン-13])、アペリン-17、アペリン-19、およびアペリン-36からなる群より選択される、請求項8に記載の経口製剤。
【請求項10】
前記脂質ベースのナノ粒子における生物学的に活性なペプチドの重量パーセンテージは、約15%~約60%である、請求項1~9のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項11】
前記ポロキサマーは、ポロキサマー188、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー184、ポロキサマー331、およびポロキサマー407、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項1~10のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項12】
前記脂質ベースのナノ粒子におけるポロキサマーの重量パーセンテージは、約1%~約20%である、請求項1~11のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項13】
前記脂質ベースのナノ粒子におけるDSPCの重量パーセンテージは、約5%~約30%である、請求項1~12のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項14】
前記脂質ベースのナノ粒子におけるDPPCの重量パーセンテージは、約5%~約30%である、請求項1~13のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項15】
前記脂質ベースのナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項16】
前記PEGの平均分子量は、約200 Da~約20000 Daである、請求項15に記載の経口製剤。
【請求項17】
前記PEGの平均分子量は、約8000 Daである、請求項15または16に記載の経口製剤。
【請求項18】
前記脂質ベースのナノ粒子におけるPEGの重量パーセンテージは、約10%~約20%である、請求項15~17のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項19】
前記脂質ベースのナノ粒子は、コレステロールをさらに含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項20】
前記脂質ベースのナノ粒子におけるコレステロールの重量パーセンテージは、約0.1%~約10%である、請求項19に記載の経口製剤。
【請求項21】
前記脂質ベースのナノ粒子は、少なくとも1種のさらなる治療剤をさらに含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項22】
前記脂質ベースのナノ粒子は、前記アペリンペプチドの重量パーセンテージ 約25%、ポロキサマー188の重量パーセンテージ 約8.3%、DSPCの重量パーセンテージ 約25%、DPPCの重量パーセンテージ 約25%、およびPEG 8000の重量パーセンテージ 約16.7%から構成される、請求項15~21のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項23】
前記脂質ベースのナノ粒子は、前記アペリンペプチドの重量パーセンテージ 約45%、ポロキサマー188の重量パーセンテージ 約15%、DSPCの重量パーセンテージ 約10%、DPPCの重量パーセンテージ 約10%、PEG 8000の重量パーセンテージ 約15%、およびコレステロールの重量パーセンテージ 約5%から構成される、請求項19~21のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項24】
前記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、前記架橋剤、および前記脂質ベースのナノ粒子における非溶媒構成要素の重量パーセンテージは、以下のとおりである:前記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスは、約48%~約98%であり、前記架橋剤は、約1%~約5%であり、前記脂質ベースのナノ粒子は、約1%~49%である、請求項1~23のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項25】
前記複数の粒子のサイズ範囲は、約1μm~約40μmである、請求項1~24のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項26】
前記複数の粒子の各々は、複数の孔を含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項27】
前記ポリサッカライドは、ペクチン、ガラガム、オーク乳液炭水化物、またはバナナ炭水化物である、請求項1~26のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項28】
前記ペクチンは、柑橘類果皮ペクチンである、請求項27に記載の経口製剤。
【請求項29】
前記ペクチンは、150-グレードペクチンである、請求項27または28に記載の経口製剤。
【請求項30】
前記架橋剤は、二価または多価カチオンから選択される、請求項1~29のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項31】
前記二価または多価カチオンは、Ca2+、Zn2+、Pb2+、Cu2+、Ba2+、Sr2+、Cd+2、Co2+、Ni2+、またはこれらの組み合わせから選択される、請求項30に記載の経口製剤。
【請求項32】
前記生物学的に活性なペプチドは、個体において、約2%またはこれより高いバイオアベイラビリティーを有する、請求項1~31のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項33】
前記複数の粒子は、ゲルまたはヒドロゲルではない、請求項1~32のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項34】
噴霧技術および/またはマイクロエマルジョン技術を使用して生成される、請求項1~33のいずれか1項に記載の経口製剤。
【請求項35】
請求項1~34のいずれか1項に記載の経口製剤を含む、経口剤形。
【請求項36】
約0.1mg~約0.5mgの前記生物学的に活性なペプチドを含む、請求項35に記載の経口剤形。
【請求項37】
受容可能な賦形剤をさらに含む、請求項35または36に記載の経口剤形。
【請求項38】
前記経口剤形は、錠剤、カプセル剤、またはカプレット剤である、請求項35~37のいずれか1項に記載の経口剤形。
【請求項39】
個体において疾患を処置および/または予防する方法であって、前記方法は、個体に、請求項35~38のいずれか1項に記載の経口剤形を投与する工程を包含する方法。
【請求項40】
請求項1~34のいずれか1項に記載の経口製剤を作製する方法であって、前記方法は、前記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、前記架橋剤、前記生物学的に活性なペプチド、前記ポロキサマー、DSPC、およびDPPCを混合し、それによって、前記経口製剤を得る工程を包含する方法。
【請求項41】
前記方法は、前記PEGおよび/またはコレステロールと、前記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、前記架橋剤、前記生物学的に活性なペプチド、前記ポロキサマー、DSPC、およびDPPCとを混合する工程をさらに包含する、請求項40に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2019年2月5日出願の米国仮特許出願第62/801,250号(その開示は、その全体において本明細書に参考として援用される)に基づく優先権の利益を主張する。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出の内容は、その全体において本明細書に参考として援用される:コンピューター可読形態(CRF)の配列表(ファイル名: 185632000440SEQLIST.TXT、記録された日:2020年2月4日、サイズ:3KB)。
【0003】
技術分野
本開示は、生物学的に活性なペプチドを含む経口製剤に関する。経口剤形、その作製法、およびその使用方法もまた、提供される。
【背景技術】
【0004】
背景
ペプチドおよびタンパク質のような治療用ポリペプチドの経口送達は、非常に困難である。経口投与される組成物に対して発揮される機械的な力に加えて、ポリペプチドおよび/またはリポソームは、胃の高い酸性環境および消化(GI)管におけるプロテアーゼに供されると分解する。ポリペプチドが、ポリペプチド吸収が可能なGI管の一部に送達されるとしても、ポリペプチド(これはしばしば、親水性および疎水性両方の局面を含む)は、粘液ゲル層および腸管上皮を苦心して横断する。例えば、P. Shields, Drug Discover World, Fall, 2017を参照のこと。治療用ポリペプチドの経口送達の結果は、バイオアベイラビリティーが極めて低いかまたは全くないかのいずれかである。例えば、RYBELSUS(登録商標)(経口用途のセマグルチド錠剤)のFDAラベルは、およそ0.4%~1%(参照ID: 4494169;改訂 09/2019)のバイオアベイラビリティーを報告する。これらの困難に起因して、治療用ペプチドの経口送達は概して、実行可能な投与経路として認められていない。不運なことに、他の治療用ポリペプチド投与プロトコール(例えば、注射)は、患者コンプライアンス(patience compliance)が不十分であることが悩みの種である。従って、生物学的に活性なペプチドのバイオアベイラビリティーの増大を可能にする上記生物学的に活性なペプチドの経口製剤が、当該分野で必要である。
【0005】
本明細書で引用される全ての参考文献(特許出願および刊行物を含む)は、それらの全体において本明細書に参考として援用される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡潔な要旨
1つの局面において、複数の粒子を含む生物学的に活性なペプチドの経口製剤であって、ここで各粒子は、ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、架橋剤、および上記炭水化物マトリクスの中に埋め込まれた複数の脂質ベースのナノ粒子を含み、ここで上記脂質ベースのナノ粒子は、上記生物学的に活性なペプチド、ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、および2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)を含む経口製剤が、本明細書で提供される。
【0007】
いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、正味の疎水性特性を有する少なくとも約15個の連続するアミノ酸のストレッチを含む。いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、pH7において正味の正電荷を有する少なくとも約10個の連続するアミノ酸のストレッチを含む。いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、N末端からC末端へと、正味の疎水性特性を有するアミノ酸のストレッチ、および正味の正電荷を有するアミノ酸のストレッチを含む。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、液体コアを被包する脂質二重層を含むリポソームである。いくつかの実施形態において、各リポソームは、複数の上記生物学的に活性なペプチドを含み、ここで上記複数の生物学的に活性なペプチドの第1の部分セット(subset)は、上記生物学的に活性なペプチドのうちの1つの部分が、上記脂質二重層の中に埋め込まれ、上記生物学的に活性なペプチドの別の部分が、上記脂質二重層の外側表面または上記液体コアに面する上記脂質二重層の内側表面に提示されるように構成され、ここで上記脂質二重層の中に埋め込まれた上記生物学的に活性なペプチドの部分は、正味の疎水性特性を有するアミノ酸のストレッチであり、上記脂質二重層の外側表面または上記液体コアに面する上記脂質二重層の内側表面に提示された上記生物学的に活性なペプチドの部分は、正味の正電荷を有するアミノ酸のストレッチである。いくつかの実施形態において、上記液体コアは、上記複数の生物学的に活性なペプチドの第2の部分セットを含む。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、アペリンペプチドである。いくつかの実施形態において、上記アペリンペプチドは、アペリン-12、アペリン-13、ピログルタミルアペリン-13([Pyrl]-アペリン-13])、アペリン-17、アペリン-19、およびアペリン-36からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子における生物学的に活性なペプチドの重量パーセンテージは、約15%~約60%である。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記ポロキサマーは、ポロキサマー188、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー184、ポロキサマー331、およびポロキサマー407、またはこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるポロキサマーの重量パーセンテージは、約1%~約20%である。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるDSPCの重量パーセンテージは、約5%~約30%である。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるDPPCの重量パーセンテージは、約5%~約30%である。
【0013】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される脂質ベースのナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記PEGの平均分子量は、約200 Da~約20000 Daである。いくつかの実施形態において、上記PEGの平均分子量は、約8000 Daである。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるPEGの重量パーセンテージは、約10%~約20%である。
【0014】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される脂質ベースのナノ粒子は、コレステロールをさらに含む。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるコレステロールの重量パーセンテージは、約0.1%~約10%である。
【0015】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される脂質ベースのナノ粒子は、少なくとも1種のさらなる治療剤をさらに含む。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、上記アペリンペプチドの重量パーセンテージ 約25%、ポロキサマー188の重量パーセンテージ 約8.3%、DSPCの重量パーセンテージ 約25%、DPPCの重量パーセンテージ 約25%、およびPEG 8000の重量パーセンテージ 約16.7%から構成される。
【0017】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、上記アペリンペプチドの重量パーセンテージ 約45%、ポロキサマー188の重量パーセンテージ 約15%、DSPCの重量パーセンテージ 約10%、DPPCの重量パーセンテージ 約10%、PEG 8000の重量パーセンテージ 約15%、およびコレステロールの重量パーセンテージ 約5%から構成される。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、上記架橋剤、および上記脂質ベースのナノ粒子における非溶媒構成要素の重量パーセンテージは、以下のとおりである:上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスは、約48%~約98%であり、上記架橋剤は、約1%~約5%であり、上記脂質ベースのナノ粒子は、約1%~49%である。
【0019】
いくつかの実施形態において、上記複数の粒子のサイズ範囲は、約1μm~約40μmである。いくつかの実施形態において、上記複数の粒子の各々は、複数の孔を含む。
【0020】
いくつかの実施形態において、上記ポリサッカライドは、ペクチン、ガラガム(gara gum)、オーク乳液炭水化物、またはバナナ炭水化物である。いくつかの実施形態において、上記ペクチンは、柑橘類果皮ペクチンである。いくつかの実施形態において、上記ペクチンは、150-グレードペクチンである。
【0021】
いくつかの実施形態において、上記架橋剤は、二価または多価カチオンから選択される。いくつかの実施形態において、上記二価または多価カチオンは、Ca2+、Zn2+、Pb2+、Cu2+、Ba2+、Sr2+、Cd+2、Co2+、Ni2+、またはこれらの組み合わせから選択される。
【0022】
いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、個体において、約2%またはこれより高いバイオアベイラビリティーを有する。
【0023】
いくつかの実施形態において、上記複数の粒子は、ゲルまたはヒドロゲルではない。
【0024】
別の局面において、本明細書で記載される任意の経口製剤を含む経口剤形が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記経口剤形は、約0.1mg~約0.5mgの上記生物学的に活性なペプチドを含む。
【0025】
いくつかの実施形態において、上記経口剤形は、受容可能な賦形剤をさらに含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、上記経口剤形は、錠剤、カプセル剤、またはカプレット剤である。
【0027】
別の局面において、個体において疾患を処置および/または予防する方法であって、上記方法は、個体に、本明細書で記載される任意の経口剤形を投与する工程を包含する方法が、本明細書で提供される。
【0028】
別の局面において、本明細書で記載される任意の経口製剤を作製する方法であって、上記方法は、上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、上記架橋剤、上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、DSPC、およびDPPCを混合し、それによって、上記経口製剤を得る工程を包含する方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記PEGおよび/またはコレステロールと、上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、上記架橋剤、上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、DSPC、およびDPPCとを混合する工程をさらに包含する。
【0029】
当業者は、いくつかの実施形態が、本出願の開示の範囲および趣旨内で可能であることを認識する。本開示は、以下の例によってさらに例証され、これは、本開示を、範囲または趣旨において、その中で記載される具体的な手順に限定すると解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0030】
詳細な説明
いくつかの局面において、複数の粒子を含む生物学的に活性なペプチドの経口製剤であって、ここで各粒子は、ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、架橋剤、および上記炭水化物マトリクスの中に埋め込まれた複数の脂質ベースのナノ粒子を含み、そしてここで上記脂質ベースのナノ粒子は、上記生物学的に活性なペプチドを含む経口製剤が、本明細書で提供される。本明細書で記載される研究は、経口製剤には不適切であると現在考えられているペプチドの経口製剤の開発を含む。本開示は、部分的に、胃の高い酸性環境およびGI管プロテアーゼに起因するペプチド分解に耐える、生物学的に活性なペプチドの経口製剤に関する本発明者らの独特の洞察に基づく。上記経口製剤は、腸の中に治療用分子を放出し、腸の中での吸収のために上記生物学的に活性なペプチドを提示するように設計される。さらに、上記生物学的に活性なペプチド(これは、脂質ベースのナノ粒子を介する吸収のために提示される)は、肝臓の初回通過代謝から逃れる。その結果は、生物学的に活性なペプチドの増強したバイオアベイラビリティーを提供する経口製剤である。
【0031】
いくつかの局面において、本明細書で記載される経口製剤を含む経口剤形、本明細書で記載される経口製剤を作製する方法、および使用法(例えば、本明細書で記載される経口剤形(oral dosage forms)および経口製剤(oral formulations)を使用して、個体において疾患を処置および/または予防する方法)がまた、本明細書で提供される。
【0032】
本明細書で記載される実現の形態および詳細における変更が、本開示の範囲から逸脱することなく行われ得ることはまた、当業者によって理解される。さらに、種々の利点、局面、および目的が、種々の実現を参照しながら記載されているが、本開示の範囲は、このような利点、局面、および目的への言及によって限定されるべきではない。
【0033】
定義
本明細書を解釈する目的で、以下の定義が適用され、適切である場合は常に、単数形で使用される用語はまた、複数形をも含み、その逆もまた然りである。以下で示す何らかの定義が、本明細書に参考として援用される何らかの文書に矛盾する場合には、示される定義が優先するものとする。
【0034】
語句「生物学的に活性なペプチド(biologically active peptide)」において使用されるような用語「ペプチド(peptide)」は、アミノ酸残基を含むポリマーに言及し、アミノ酸の数および/またはその長さに関する限定を示唆すると解釈されるべきではない。このようなポリマーは、天然のアミノ酸および/または非天然のアミノ酸を含み得る。いくつかの実施形態において、用語「ポリペプチド(polypeptide)」はまた、ポリペプチドの改変された種(例えば、1もしくはこれより多くの化学的改変および/または1もしくはこれより多くの翻訳後修飾を含むポリペプチド)を包含する。
【0035】
アミノ酸配列を含むポリペプチドまたはペプチドに関する用語「配列同一性(sequence identity)」とは、配列を整列させ、ギャップ(必要な場合)を導入して、最大の%配列同一性を達成した後の特定のタンパク質またはアミノ酸配列におけるアミノ酸残基に同一であり、配列番号同一性の一部としていかなる保存的置換をも考慮しない、候補配列におけるアミノ酸残基のパーセンテージに言及する。アラインメントは、当業者に公知の方法によって、例えば、BLASTおよびEMBOSSのような公に利用可能なプログラムを使用することによって、達成され得る。当業者は、比較されている配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要とされる任意のアルゴリズムを含め、アラインメントを測定するための適切なパラメーターを決定し得る。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「処置する(treating)」もしくは「予防する(preventing)」、またはその文法上の等価物は、有益なまたは所望の結果を得るかまたは維持するためのアプローチを包含する。本出願の目的のために、有益なまたは所望の臨床結果としては、以下のうちの1またはこれより多くが挙げられるが、これらに限定されない: 疾患から生じる1もしくはこれより多くの症状を緩和する、疾患の程度を減少させる、疾患を安定化する(例えば、疾患の増悪を予防するまたは遅らせる)、疾患を予防するまたは遅らせる、疾患の拡がりを予防するまたは遅らせる、疾患の再発を予防するまたは遅らせる、疾患の進行を遅らせるまたは鈍化させる、疾患状態を改善する、疾患の寛解(例えば、部分的または完全)を提供する、疾患の進行を遅らせる、クオリティーオブライフを増大させる、ならびに/あるいは生存を延ばす。本出願の方法は、これらの処置局面のうちのいずれか1またはこれより多くを企図する。
【0037】
用語「個体(individual)」とは、哺乳動物に言及し、ヒト、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、齧歯類、または霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
用語「薬学的に受容可能な(pharmaceutically acceptable)」とは、本明細書で使用される場合、生物学的にまたは別の点で望ましくないものではない材料を意味し、例えば、その材料は、いかなる顕著な望ましくない生物学的効果を引き起こすことも、これが含まれる組成物の他の構成要素のうちのいずれかと有害な様式で相互作用することもなしに、患者に投与される薬学的組成物へと組み込まれ得る。薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤、または塩は、毒性学的試験および製造試験の必要とされる標準を好ましくは満たしている、ならびに/または米国食品医薬品局によって準備されたInactive Ingredient Guideに含まれる。
【0039】
用語「含む、包含する(comprising)」、「有する(having)」、「含む、含有する(containing)」、および「含む、包含する、が挙げられる(including)」、および他の類似の形態、ならびにこれらの文法上の等価物は、本明細書で使用される場合、意味上等価であり、これらの文言のうちのいずれか1つに続く項目が、このような項目の網羅的な列挙であるとは意味されない、または列挙された項目のみに限定されることとは意味されないという点で制限のないことが意図される。例えば、構成要素A、B、およびCを「含む(comprising)」物品は、構成要素A、B、およびCからなり得る(すなわち、のみを含み得る)か、または構成要素A、B、およびCを含み得るのみならず、1またはこれより多くの他の構成要素をも含み得る。よって、「含む(comprises)」およびその類似の形態、ならびにその文法上の等価物が、「から本質的になる(consisting essentially of)」または「からなる(consisting of)」の実施形態の開示を含むことは、意図されかつ理解される。
【0040】
値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間に挟まる値各々は、文脈が別段明らかに規定しなければ、下限の単位の1/10まで、およびその述べられた範囲における任意の他の述べられたまたは間に挟まる値は、その述べられた範囲における任意の具体的に排除される限界を条件として、本開示内に包含されることが理解される。その述べられた範囲が、その限界のうちの一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界のうちのいずれかまたは両方を排除する範囲がまた、本開示の中に含まれる。
【0041】
本明細書中の値またはパラメーターの「約、おおよそ(about)」への言及は、その値またはパラメーター自体に関するバリエーションを含む(および記載する)。例えば、「約X」に言及する記載は、「X」の記載を含む。いくつかの実施形態において、数字による指定は、本開示の範囲を理解しやすくするために本明細書で提供され、ここでその数字による指定は、実験値から計算され、近似値(例えば、出発材料の量から計算された丸められた重量パーセンテージ)を含んでもよい。いくつかの実施形態において、本明細書で提供される数字による指定(例えば、重量パーセンテージ)は、0.1から0.5の増分で変動(±)し得る。
【0042】
添付の請求項中を含め、本明細書で使用される場合、単数形「1つの、ある(a)」、「または(or)」、および「上記、その、この(the)」は、文脈が別段明確に規定しなければ、複数形への言及を含む。
【0043】
A. 生物学的に活性なペプチドの経口製剤
本出願は、いくつかの局面において、複数の粒子を含む生物学的に活性なペプチドの経口製剤であって、ここで各粒子は、ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、架橋剤、および上記炭水化物マトリクスの中に埋め込まれた複数の脂質ベースのナノ粒子を含み、ここで上記脂質ベースのナノ粒子は、上記生物学的に活性なペプチドを含む経口製剤を提供する。いくつかの実施形態において、上記複数の脂質ベースのナノ粒子の各々は、上記炭水化物マトリクスによって個々に被包されない。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子のうちの1またはこれより多くは、上記炭水化物マトリクスによって完全に被包されるわけではない。いくつかの実施形態において、上記炭水化物マトリクスは、脂質ベースのナノ粒子上の表面コーティングではない。
【0044】
本明細書で記載される経口製剤は、構成している構成要素重量パーセンテージの範囲を包含する。当業者は、重量パーセンテージを使用する記載が、重量パーセンテージ計算において使用される総重量の中に含まれる構成要素に基づくことを容易に認識する。例えば、本明細書で記載される経口製剤への1またはこれより多くのさらなる構成要素の足しおよび/または引きは、重量パーセンテージ計算において使用される総重量の中に含まれる場合に、上記経口製剤の他の構成要の重量パーセンテージを調節する。従って、いくつかの実施形態において、重量パーセンテージは、重量パーセンテージ計算において使用される総重量を計算するために使用される1またはこれより多くの提供される構成要素のリストに対して提供される。いくつかの実施形態において、上記経口製剤は、ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、架橋剤、および複数の脂質ベースのナノ粒子を含み、複数の脂質ベースのナノ粒子は、生物学的に活性なペプチド、ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、ならびに必要に応じて、PEGおよび/またはコレステロール(存在する場合には、重量パーセンテージ計算の中に含まれる)を含み、ここで(i)上記ポリサッカライド、上記架橋剤、上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、ならびに必要に応じて上記PEGおよび/またはコレステロール(存在する場合には、重量パーセンテージ計算の中に含まれる)に対するポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスの重量パーセンテージは、約48%~約98%である;(ii)上記ポリサッカライド、上記架橋剤、上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、ならびに必要に応じて上記PEGおよび/またはコレステロール(存在する場合には、重量パーセンテージ計算の中に含まれる)に対する上記架橋剤の重量パーセンテージは、約1%~約5%である;ならびに(iii)上記ポリサッカライド、上記架橋剤、上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、ならびに必要に応じて上記PEGおよび/またはコレステロール(存在する場合には、重量パーセンテージ計算の中に含まれる)に対する脂質ベースのナノ粒子うちの上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、ならびに必要に応じて上記PEGおよび/またはコレステロール(存在する場合には、重量パーセンテージ計算の中に含まれる)の重量パーセンテージは、約1%~49%である。本明細書で提供される実施形態のうちのいずれかの場合によっては、上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスの重量パーセンテージは、上記脂質ベースのナノ粒子の重量パーセンテージより大きい。
【0045】
いくつかの実施形態において、上記ポリサッカライド、上記架橋剤、上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、ならびに必要に応じて上記PEGおよび/またはコレステロール(存在する場合には、重量パーセンテージ計算の中に含まれる)に対する上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスの重量パーセンテージは、おおよそ、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、60%、61%、62%、63%、64%、65%、66%、67%、68%、69%、70%、71%、72%、73%、74%、75%、76%、77%、78%、79%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、または98%のうちのいずれかである。
【0046】
いくつかの実施形態において、上記ポリサッカライド、上記架橋剤、上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、ならびに必要に応じて上記PEGおよび/またはコレステロール(存在する場合には、重量パーセンテージ計算の中に含まれる)に対する上記架橋剤の重量パーセンテージは、おおよそ、1%、2%、3%、4%、または5%のうちのいずれかである。
【0047】
いくつかの実施形態において、上記ポリサッカライド、上記架橋剤、上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、ならびに必要に応じて上記PEGおよび/またはコレステロール(存在する場合には、重量パーセンテージ計算の中に含まれる)に対する上記脂質ベースのうちのナノ粒子のうちの上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、ならびに必要に応じて上記PEGおよび/またはコレステロール(存在する場合には、重量パーセンテージ計算の中に含まれる)の重量パーセンテージは、おおよそ、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%、39%、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、または49%のうちのいずれかである。
【0048】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される経口製剤における生物学的に活性なペプチドの総量は、ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスおよび架橋剤に対する脂質ベースのナノ粒子の量に基づく。例えば、いくつかの実施形態において、比較的低量の生物学的に活性なペプチドを有する経口製剤は、以下のとおり、上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、上記架橋剤、および上記脂質ベースのナノ粒子における非溶媒構成要素の重量パーセンテージを含む:上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスの重量パーセンテージは、約98%であり、上記架橋剤の重量パーセンテージは、約1%であり、上記脂質ベースのナノ粒子の重量パーセンテージは、約1%である。いくつかの実施形態において、比較的高量の生物学的に活性なペプチドを有する経口製剤は、以下のとおり、ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、上記架橋剤、および上記脂質ベースのナノ粒子における非溶媒構成要素の重量パーセンテージを含む:上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスの重量パーセンテージは、約50%であり、上記架橋剤の重量パーセンテージは、約1%であり、上記脂質ベースのナノ粒子の重量パーセンテージは、約49%である。いくつかの実施形態において、比較的高量の生物学的に活性なペプチドおよび架橋剤を含む経口製剤は、以下のとおり、上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、上記架橋剤、および上記脂質ベースのナノ粒子における非溶媒構成要素の重量パーセンテージを含む:上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスの重量パーセンテージは、約48%であり、上記架橋剤の重量パーセンテージは、約5%であり、上記脂質ベースのナノ粒子の重量パーセンテージは、約47%である。いくつかの実施形態において、上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスの重量パーセンテージは、上記脂質ベースのナノ粒子の重量パーセンテージより大きい。
【0049】
いくつかの局面において、本明細書で記載される噴霧(例えば、噴霧乾燥)技術またはマイクロエマルジョン技術を使用して生成される本明細書で記載される経口製剤が、本明細書で提供される。
【0050】
本明細書で記載される経口製剤は、例えば、上記生物学的に活性なペプチドが、以下の方法のうちのいずれか:単独で、ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスの中に埋め込まれない脂質ベースのナノ粒子中で、および脂質ベースのナノ粒子なしのポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスの中で、投与される場合と比較して、その経口製剤において生物学的に活性なペプチドの増強したバイオアベイラビリティーを提供する。いくつかの実施形態において、上記経口製剤が個体(例えば、ヒト)に投与される場合、上記生物学的に活性なペプチドは、個体において、約1%もしくはこれより大きい(例えば、おおよそ、1.1%もしくはこれより大きい、1.2%もしくはこれより大きい、1.3%もしくはこれより大きい、1.4%もしくはこれより大きい、1.5%もしくはこれより大きい、1.6%もしくはこれより大きい、1.7%もしくはこれより大きい、1.8%もしくはこれより大きい、1.9%もしくはこれより大きい、2%もしくはこれより大きい、2.1%もしくはこれより大きい、2.2%もしくはこれより大きい、2.3%もしくはこれより大きい、2.4%もしくはこれより大きい、2.5%もしくはこれより大きい、2.6%もしくはこれより大きい、2.7%もしくはこれより大きい、2.8%もしくはこれより大きい、2.9%もしくはこれより大きい、3%もしくはこれより大きい、3.1%もしくはこれより大きい、3.2%もしくはこれより大きい、3.3%もしくはこれより大きい、3.4%もしくはこれより大きい、3.5%もしくはこれより大きい、3.6%もしくはこれより大きい、3.7%もしくはこれより大きい、3.8%もしくはこれより大きい、3.9%もしくはこれより大きい、4%もしくはこれより大きい、4.1%もしくはこれより大きい、4.2%もしくはこれより大きい、4.3%もしくはこれより大きい、4.4%もしくはこれより大きい、4.5%もしくはこれより大きい、4.6%もしくはこれより大きい、4.7%もしくはこれより大きい、4.8%もしくはこれより大きい、4.9%もしくはこれより大きい、5%もしくはこれより大きい、6%もしくはこれより大きい、7%もしくはこれより大きい、8%もしくはこれより大きい、9%もしくはこれより大きい、または10%もしくはこれより大きいバイオアベイラビリティーを有する。
【0051】
いくつかの実施形態において、上記経口製剤は、本明細書で記載される構成要素、例えば、ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、架橋剤、および上記炭水化物マトリクスの中に埋め込まれた複数の脂質ベースのナノ粒子を含む粒子の構造を維持する状態にある。いくつかの実施形態において、上記経口製剤は、経口投与に適した状態にある。いくつかの実施形態において、上記経口製剤は、経口剤形における使用に適した状態にある。いくつかの実施形態において、上記経口製剤は、乾燥された製剤(例えば、乾燥された散剤)である。
【0052】
いくつかの実施形態において、上記複数の粒子は、本明細書で記載される少なくとも1種のさらなる治療剤をさらに含む。
【0053】
i. 脂質ベースのナノ粒子およびその構成要素
本明細書で記載される経口製剤は、ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスの中に埋め込まれた複数の脂質ベースのナノ粒子を含む。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、生物学的に活性なペプチド、ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、および2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)を含む。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)および/またはコレステロールを含む。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、リポソームである。
【0054】
a. 生物学的に活性なペプチドおよびその構成
いくつかの局面において、本明細書で記載される生物学的に活性なペプチドまたはその一部は、上記生物学的に活性なペプチドの第1の部分が上記脂質ベースのナノ粒子の中に埋め込まれ、上記生物学的に活性なペプチドの第2の部分が上記脂質ベースのナノ粒子の表面(例えば、脂質二重層の外側または内側表面)と会合されるように、設計および/または選択される。
【0055】
いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、正味の疎水性特性を有する少なくとも約15個(例えば、少なくともおおよそ、20個、25個、または30個のうちのいずれかの連続するアミノ酸)のストレッチを含む。いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、少なくとも約15個(例えば、少なくともおおよそ、20個、25個、または30個のうちのいずれかの連続するアミノ酸)のストレッチを含み、ここで上記ストレッチは、親水性アミノ酸残基より多くの疎水性アミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、少なくとも約15個(例えば、少なくともおおよそ、20個、25個、または30個のうちのいずれかの連続するアミノ酸)のストレッチを含み、ここで上記ストレッチは、少なくとも約55%(例えば、少なくともおおよそ60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%のうちのいずれかの)疎水性アミノ酸残基を含む。当業者は、疎水性アミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、およびトリプトファンを容易に理解し、同定し得る。
【0056】
いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、pH7において正味の正電荷を有する少なくとも約10個(例えば、少なくともおおよそ、15個、20個、25個、または30個のうちのいずれかの連続するアミノ酸)のストレッチを含む。いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、消化管の生理学的pHにおいて正味の正電荷を有する少なくとも約10個(例えば、少なくともおおよそ、15個、20個、25個、または30個のうちのいずれかの連続するアミノ酸)のストレッチを含む。当業者は、荷電したアミノ酸およびアミノ酸の電荷に対するpHの影響を容易に理解し、同定し得る(例えば、リジンおよびアルギニン)。
【0057】
いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、上記生物学的に活性なペプチドのN末端またはその近傍(約5アミノ酸以内のような)において、正味の疎水性特性を有する少なくとも約15個(例えば、少なくともおおよそ、20個、25個、または30個のうちのいずれかの連続するアミノ酸)のストレッチを含む。いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、C末端またはその近傍(約5アミノ酸以内のような)において、pH7において正味の正電荷を有する少なくとも約10個(例えば、少なくともおおよそ、15個、20個、25個、または30個のうちのいずれかの連続するアミノ酸)のストレッチを含む。いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、N末端からC末端へと、正味の疎水性特性を有するアミノ酸のストレッチ、および正味の正電荷を有するアミノ酸のストレッチを含む。いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、正味の疎水性特性を有するアミノ酸のストレッチと正味の正電荷を有するアミノ酸のストレッチとの間に、他のアミノ酸の1またはこれより多くのストレッチを含む。いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、N末端からC末端へと、正味の疎水性特性を有するアミノ酸のストレッチ、少なくとも約5個(例えば、少なくともおおよそ、10個、15個、20個、25個、30個、35個、または40個のうちのいずれかのアミノ酸)のストレッチ、および正味の正電荷を有するアミノ酸のストレッチを含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、液体コアを被包する脂質二重層を含むリポソームである。各リポソームが複数の上記生物学的に活性なペプチドを含むいくつかの実施形態において、上記複数の生物学的に活性なペプチドの第1の部分セットは、上記生物学的に活性なペプチドの1つの部分が上記脂質二重層の中に埋め込まれ、上記生物学的に活性なペプチドの別の部分が上記脂質二重層の外側表面または上記液体コアに面する上記脂質二重層の内側表面に提示されるように構成され、ここで上記脂質二重層に埋め込まれた上記生物学的に活性なペプチドの部分は、正味の疎水性特性を有するアミノ酸のストレッチであり、上記脂質二重層の外側表面または上記液体コアに面する上記脂質二重層の内側表面に提示された上記生物学的に活性なペプチドの部分は、正味の正電荷を有するアミノ酸のストレッチである。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子(例えば、リポソーム)は、上記脂質ベースのナノ粒子の外側表面に提示された生物学的に活性なペプチドが、関連するレセプターおよび/または標的結合部位と会合(例えば、結合)し得るように構成される。
【0059】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、上記複数の生物学的に活性なペプチドの第2の部分セットを含む液体コアを含む。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子(例えば、リポソーム)は、上記生物学的に活性なペプチドの第2の部分セットのある特定の濃度またはその範囲を保持するように構成される。
【0060】
いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、アペリンペプチドである。いくつかの実施形態において、上記アペリンペプチドは、アペリン-12、アペリン-13、ピログルタミルアペリン-13([Pyrl]-アペリン-13])、アペリン-17、アペリン-19、およびアペリン-36からなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記アペリンペプチドは、ピログルタミルアペリン-13([Pyrl]-アペリン-13])である。
【0061】
本開示の範囲内のアペリンペプチドおよび生物学的に活性な改変体は、特許付与前の米国特許公表番号2016/0058705(これは、その全体において本明細書に参考として援用される)に記載される。いくつかの実施形態において、上記アペリンペプチドは、配列番号1~7(表1)からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、上記アペリンペプチドは、配列番号1~7の配列と少なくともおおよそ、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%のうちのいずれかの配列同一性を有する配列を含む。いくつかの実施形態において、上記アペリンペプチド(例えば、配列番号1~7の任意のアペリンペプチド)は、付加、置換、および/または欠失のうちのいずれか1個またはこれより多くから選択される1個またはこれより多くの(例えば、2、3、4または5個のうちのいずれかの)アミノ酸変化を含む。いくつかの実施形態において、上記アペリンペプチドは、改変(例えば、翻訳後修飾)を含む。
【表1-1】
【表1-2】
【0062】
いくつかの実施形態において、上記生物学的に活性なペプチドは、GHKペプチド、KRDSペプチド、またはビオチン-KRDSペプチドである。
【0063】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子における上記生物学的に活性なペプチド(例えば、上記アペリンペプチド)の重量パーセンテージは、約1%~約70%の間(例えば、約5%~約60%の間、約15%~約60%の間、約15%~約35%の間、約20%~約30%の間、約22.5%~約27.5%の間、約24%~約26%の間、約35%~約55%の間、約40%~約50%の間、約42.5%~約47.5%の間、または約44%~約46%の間のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子における上記生物学的に活性なペプチド(例えば、上記アペリンペプチド)の重量パーセンテージは、少なくとも約15%(例えば、少なくともおおよそ、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、または65%のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子における上記生物学的に活性なペプチド(例えば、上記アペリンペプチド)の重量パーセンテージは、約70%もしくはこれ未満(例えば、おおよそ、65%もしくはこれ未満、60%もしくはこれ未満、55%もしくはこれ未満、50%もしくはこれ未満、45%もしくはこれ未満、40%もしくはこれ未満、35%もしくはこれ未満、30%もしくはこれ未満、25%もしくはこれ未満、20%もしくはこれ未満、15%もしくはこれ未満、または10%もしくはこれ未満のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子における上記生物学的に活性なペプチド(例えば、上記アペリンペプチド)の重量パーセンテージは、おおよそ、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、または70%のうちのいずれかである。
【0064】
b. 脂質ベースのナノ粒子の他の構成要素
本明細書で記載される脂質ベースのナノ粒子は、ポロキサマーを含む。いくつかの実施形態において、上記ポロキサマーは、ポロキサマー188、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー184、ポロキサマー331、およびポロキサマー407、またはこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記ポロキサマーは、ポロキサマー188である。
【0065】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子における上記ポロキサマーの重量パーセンテージは、約1%~約25%の間(例えば、約1%~約20%、約2%~約14%、約5%~約11%、約8%~約9%、約7.3%~約9.3%、約10%~約20%、約17.5%~約22.5%、または約14%~約16%の間のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子における上記ポロキサマーの重量パーセンテージは、少なくとも約1%(例えば、少なくともおおよそ、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子における上記ポロキサマーの重量パーセンテージは、約20%もしくはこれ未満(例えば、おおよそ、19%もしくはこれ未満、18%もしくはこれ未満、17%もしくはこれ未満、16%もしくはこれ未満、15%もしくはこれ未満、14%もしくはこれ未満、13%もしくはこれ未満、12%もしくはこれ未満、11%もしくはこれ未満、10%もしくはこれ未満、9%もしくはこれ未満、8%もしくはこれ未満、7%もしくはこれ未満、6%もしくはこれ未満、5%もしくはこれ未満、4%もしくはこれ未満、3%もしくはこれ未満、または2%もしくはこれ未満のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子における上記ポロキサマーの重量パーセンテージは、おおよそ、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、8.3%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、または25%のうちのいずれかである。
【0066】
本明細書で記載される脂質ベースのナノ粒子は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)を含む。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるDSPCの重量パーセンテージは、約5%~約30%の間(例えば、5%~約15%、約7.5%~約12.5%、約9%~約11%、約20%~約30%、約22.5%~約27.5%、または約24%~約26%の間のうちのいずれか)である。
【0067】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるDSPCの重量パーセンテージは、少なくとも約5%(例えば、少なくともおおよそ、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるDSPCの重量パーセンテージは、約30%もしくはこれ未満(例えば、おおよそ、29%もしくはこれ未満、28%もしくはこれ未満、27%もしくはこれ未満、26%もしくはこれ未満、25%もしくはこれ未満、24%もしくはこれ未満、23%もしくはこれ未満、22%もしくはこれ未満、21%もしくはこれ未満、20%もしくはこれ未満、19%もしくはこれ未満、18%もしくはこれ未満、17%もしくはこれ未満、16%もしくはこれ未満、15%もしくはこれ未満、14%もしくはこれ未満、13%もしくはこれ未満、12%もしくはこれ未満、11%もしくはこれ未満、10%もしくはこれ未満、9%もしくはこれ未満、8%もしくはこれ未満、7%もしくはこれ未満、6%もしくはこれ未満、または5%もしくはこれ未満のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるDSPCの重量パーセンテージは、おおよそ、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%のうちのいずれかである。
【0068】
本明細書で記載される脂質ベースのナノ粒子は、2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)を含む。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるDPPCの重量パーセンテージは、約5%~約30%の間(例えば、5%~約15%、約7.5%~約12.5%、約9%~約11%、約20%~約30%、約22.5%~約27.5%、または約24%~約26%の間のうちのいずれか)である。
【0069】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるDPPCの重量パーセンテージは、少なくとも約5%(例えば、少なくともおおよそ、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるDPPCの重量パーセンテージは、約30%もしくはこれ未満(例えば、おおよそ、29%もしくはこれ未満、28%もしくはこれ未満、27%もしくはこれ未満、26%もしくはこれ未満、25%もしくはこれ未満、24%もしくはこれ未満、23%もしくはこれ未満、22%もしくはこれ未満、21%もしくはこれ未満、20%もしくはこれ未満、19%もしくはこれ未満、18%もしくはこれ未満、17%もしくはこれ未満、16%もしくはこれ未満、15%もしくはこれ未満、14%もしくはこれ未満、13%もしくはこれ未満、12%もしくはこれ未満、11%もしくはこれ未満、10%もしくはこれ未満、9%もしくはこれ未満、8%もしくはこれ未満、7%もしくはこれ未満、6%もしくはこれ未満、または5%もしくはこれ未満のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるDPPCの重量パーセンテージは、おおよそ、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、または30%のうちのいずれかである。
【0070】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される脂質ベースのナノ粒子は、PEGを含む。いくつかの実施形態において、上記PEGは、約200~約20,000ダルトンの間の平均分子量を有する。いくつかの実施形態において、上記PEGは、PEG 200、PEG 300、PEG 400、PEG 1000、PEG 1540、PEG 4000、PEG 5000、PEG 6000、PEG 7000、PEG 8000、PEG 9000、またはPEG 10000である。いくつかの実施形態において、上記PEGは、PEG 8000である。
【0071】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるPEGの重量パーセンテージは、約10%~約20%の間(例えば、約12.5%~約17.5%、約14%~約16%、約15.6%~約17.6%の間のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるPEGの重量パーセンテージは、少なくとも約10%(例えば、少なくともおおよそ、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるPEGの重量パーセンテージは、約20%もしくはこれ未満(例えば、おおよそ、19%もしくはこれ未満、18%もしくはこれ未満、17%もしくはこれ未満、16%もしくはこれ未満、15%もしくはこれ未満、14%もしくはこれ未満、13%もしくはこれ未満、12%もしくはこれ未満、11%もしくはこれ未満、または10%もしくはこれ未満のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるPEGの重量パーセンテージは、おおよそ、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、16.6%、17%、18%、19%、または20%のうちのいずれかである。
【0072】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される脂質ベースのナノ粒子は、コレステロールを含む。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるコレステロールの重量パーセンテージは、約0.1%~約10%の間(例えば、約2.5%~約7.5%または約4%~約6%の間のうちのいずれか)である。
【0073】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるコレステロールの重量パーセンテージは、少なくとも約0.1%(例えば、少なくともおおよそ、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるコレステロールの重量パーセンテージは、約10%もしくはこれ未満(例えば、おおよそ9%もしくはこれ未満、8%もしくはこれ未満、7%もしくはこれ未満、6%もしくはこれ未満、5%もしくはこれ未満、4%もしくはこれ未満、3%もしくはこれ未満、2%もしくはこれ未満、または1%もしくはこれ未満のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子におけるコレステロールの重量パーセンテージは、おおよそ、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%のうちのいずれかである。
【0074】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、上記アペリンペプチドの重量パーセンテージ 約23%~27%の間、上記ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)の重量パーセンテージ 約6.3%~10.3%の間、DSPCの重量パーセンテージ 約23%~約27%の間、DPPCの重量パーセンテージ 約23%~約27%の間、およびPEG(例えば、PEG 8000)の重量パーセンテージ 約14.7%~約18.7%の間から構成される。
【0075】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、上記アペリンペプチドの重量パーセンテージ 約25%、ポロキサマー188の重量パーセンテージ 約8.3%、DSPCの重量パーセンテージ 約25%、DPPCの重量パーセンテージ 約25%、およびPEG 8000の重量パーセンテージ 約16.7%から構成される。
【0076】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、上記アペリンペプチドの重量パーセンテージ 約43%~47%の間、ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)の重量パーセンテージ 約13%~約17%の間、DSPCの重量パーセンテージ 約8%~約12%の間、DPPCの重量パーセンテージ 約8%~約12%の間、PEG(例えば、PEG 8000)の重量パーセンテージ 約13%~約17%の間、およびコレステロールの重量パーセンテージ 約3%~約7%の間から構成される。
【0077】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、上記アペリンペプチドの重量パーセンテージ 約45%、ポロキサマー188の重量パーセンテージ 約15%、DSPCの重量パーセンテージ 約10%、DPPCの重量パーセンテージ 約10%、PEG 8000の重量パーセンテージ 約15%、およびコレステロールの重量パーセンテージ 約5%から構成される。
【0078】
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、配合1(表2)に従って調製されるリポソームである。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、配合2(表2)に従って調製されるリポソームである。
【表2】
【0079】
中に埋め込まれた生物学的に活性なペプチドを含む脂質ベースのナノ粒子(例えば、リポソーム)を作製する方法は、当該分野で公知である。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子(例えば、リポソーム)は、ポロキサマー、DSPC、DPPC、ならびに必要に応じて、PEGおよび/またはコレステロールを混合して、脂質フィルムを形成することによって作製される。次いで、上記生物学的に活性なペプチドは、上記脂質フィルムにゆっくりと添加され、それによって、上記脂質ベースのナノ粒子を形成する。例えば、国際出願公開WO2018075822(これは、その全体において本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
【0080】
c. 他の治療剤
いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子は、少なくとも1種のさらなる治療剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記少なくとも1種のさらなる治療剤は、強心薬、βアドレナリン作動性レセプター遮断薬、HMG-Co-Aレダクターゼインヒビター、アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター、カルシウムチャネル遮断薬(CCB)、エンドセリンアンタゴニスト、レニンインヒビター、利尿薬、ApoA-1摸倣物、抗糖尿病薬剤、肥満低減薬剤、アルドステロンレセプター遮断薬、エンドセリンレセプター遮断薬、アルドステロンシンターゼインヒビター(ASI)、CETPインヒビター、抗凝固薬、リラキシン、BNP(ネシリチド)および/またはNEPインヒビターからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記さらなる治療剤は、ACEインヒビター、リラキシン、ナトリウム利尿ペプチド、グレリン、および他の生体活性ペプチド(例えば、例えば、WO2018075822; Erdmann, 2008;およびChakrabarti, 2016(これらの各々は、その全体において本明細書に参考として援用される)に開示される)である。いくつかの実施形態において、上記さらなる治療剤は、バルサルタン、カンデサルタン、またはロサルタンを含む。
【0081】
強心薬としては、例えば、ドブタミン、イソプロテレノール、ミルリノン、アムリノン(amirinone)、レボシメンダン、エピネフリン、ノルエピネフリン、イソプロテレノール、およびジゴキシンが挙げられる。βアドレナリン作動性レセプター遮断薬としては、例えば、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、ビソプロロール、カルテオロール、メトプロロール、ナドロール、プロプラノロール、ソタロール、およびチモロールが挙げられる。抗凝固薬としては、例えば、ダルテパリン、ダナパロイド、エノキサパリン、ヘパリン、チンザパリン、およびワルファリンが挙げられる。HMG-Co-Aレダクターゼインヒビター(β-ヒドロキシ-β-メチルグルタリルコエンザイムAレダクターゼインヒビターともいわれる)としては、血中コレステロールを含む脂質レベルを下げるために使用され得る活性薬剤が挙げられる。HMG-Co-Aレダクターゼインヒビターの例としては、例えば、アトロバスタチン、セリバスタチン、コンパクチン、ダルバスタチン、ジヒドロコンパクチン、フルインドスタチン(fluindostatin)、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、メバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、リバスタチン、シンバスタチン、ベロスタチン(velostatin)、およびその薬学的に受容可能な塩が挙げられる。ACEインヒビター(アンギオテンシン変換酵素インヒビターともいわれる)は、アンジオテンシンIからアンジオテンシンIIへの酵素による分解を中断する分子を含む。ACEインヒビターは、血圧の調節のために、およびうっ血性心不全の処置のために使用され得る化合物を含む。ACEインヒビターの例としては、例えば、アラセプリル、ベナゼプリル、ベナゼプリラト(benazeprilat)、カプトプリル、セルナプリル、シラザプリル、デラプリル、エナラプリル、エナプリラト、フォシノプリル、イミダプリル、リシノプリル、モエキシプリル、モベルトプロリル(moveltopril)、ペリンドプリル、キナプリル、ラミプリル、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、およびゾフェノプリル(zofenopril)、またはこれらの薬学的に受容可能な塩が挙げられる。エンドセリンアンタゴニストとしては、例えば、ボセンタン、およびテゾセンタン(tezosentan)、またはこれらの薬学的に受容可能な塩が挙げられる。
【0082】
ii. ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス
本明細書で記載される経口製剤は、ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスを含む複数の粒子を含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、上記複数の粒子のサイズ範囲は、約1μm~約40μmの間(例えば、約1μm~約10μm、約1μm~約20μm、約1μm~約30μm、約5μm~約25μm、約5μm~約35μm、約10μm~約40μm、約20μm~約40μm、約30μm~約40μm、または約20μm~約30μmの間のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記複数の粒子の平均サイズは、少なくとも約1μm(例えば、少なくともおおよそ、2μm、3μm、4μm、5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、40μm、45μm、50μm、55μm、60μm、65μm、70μm、75μm、80μm、85μm、90μm、95μm、または100μmのうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記複数の粒子の平均サイズは、約100μmもしくはこれ未満(例えば、おおよそ、95μmもしくはこれ未満、90μmもしくはこれ未満、85μmもしくはこれ未満、80μmもしくはこれ未満、75μmもしくはこれ未満、70μmもしくはこれ未満、65μmもしくはこれ未満、60μmもしくはこれ未満、55μmもしくはこれ未満、50μmもしくはこれ未満、45μmもしくはこれ未満、40μmもしくはこれ未満、35μmもしくはこれ未満、30μmもしくはこれ未満、25μmもしくはこれ未満、20μmもしくはこれ未満、15μmもしくはこれ未満、10μmもしくはこれ未満、5μmもしくはこれ未満、4μmもしくはこれ未満、3μmもしくはこれ未満、2μmもしくはこれ未満、または1μmもしくはこれ未満のうちのいずれか)である。いくつかの実施形態において、上記複数の粒子のサイズは、均一である。いくつかの実施形態において、上記複数の粒子のサイズは、不均一である。いくつかの実施形態において、上記粒子のサイズは、動的光散乱によって測定される。
【0084】
いくつかの実施形態において、上記複数の粒子は、噴霧乾燥技術および/または製粉技術を介して生成される。
【0085】
いくつかの実施形態において、上記複数の粒子の各々は、複数の孔を含む。いくつかの実施形態において、上記複数の粒子の各々の多孔性は、その中に埋め込まれる脂質ベースのナノ粒子の量を調節するように構成される。
【0086】
いくつかの実施形態において、上記ポリサッカライドは、ペクチン、ガラガム、オーク乳液炭水化物、バナナ炭水化物、またはこれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態において、上記ポリサッカライドは、ペクチンである。いくつかの実施形態において、上記ペクチンは、柑橘類果皮ペクチンである。いくつかの実施形態において、上記ペクチンは、150-グレードペクチンである。いくつかの実施形態において、上記ペクチンは、おおよそ、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、または10%のうちのいずれか未満のエステル化の程度を有する。いくつかの実施形態において、上記ペクチンのエステル化の程度は、上記複数の粒子の所望の架橋程度に基づいて選択される。
【0087】
いくつかの実施形態において、上記複数の粒子は、ゲルまたはヒドロゲルではない。
【0088】
いくつかの実施形態において、上記炭水化物マトリクスは、少なくとも1種のさらなる治療剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記少なくとも1種のさらなる治療剤は、強心薬、βアドレナリン作動性レセプター遮断薬、HMG-Co-Aレダクターゼインヒビター、アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター、カルシウムチャネル遮断薬(CCB)、エンドセリンアンタゴニスト、レニンインヒビター、利尿薬、ApoA-1摸倣物、抗糖尿病薬剤、肥満低減薬剤、アルドステロンレセプター遮断薬、エンドセリンレセプター遮断薬、アルドステロンシンターゼインヒビター(ASI)、CETPインヒビター、抗凝固薬、リラキシン、BNP(ネシリチド)および/またはNEPインヒビターからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記さらなる治療剤は、ACEインヒビター、リラキシン、ナトリウム利尿ペプチド、グレリン、および他の生体活性ペプチド(例えば、例えば、WO2018075822; Erdmann, 2008;およびChakrabarti, 2016(これらの各々は、その全体において本明細書に参考として援用される)に開示される)である。いくつかの実施形態において、上記さらなる治療剤は、バルサルタン、カンデサルタン、またはロサルタンを含む。いくつかの実施形態において、上記炭水化物マトリクスは、レスベラトロール、クルクミン、およびカルニチンのうちの1またはこれより多くをさらに含む。
【0089】
iii. 架橋剤
本明細書で記載される経口製剤は、架橋剤を含む複数の粒子を含む。いくつかの実施形態において、上記架橋剤は、非共有結合性架橋剤である。いくつかの実施形態において、上記架橋剤は、共有結合性架橋剤(例えば、上記経口製剤の構成要素の中で、および/または構成要素間で1またはこれより多くの共有結合を生成する)である。
【0090】
いくつかの実施形態において、上記架橋剤は、上記炭水化物マトリクスの部分間で(例えば、上記ポリサッカライドの間で)粒子内架橋を形成する。いくつかの実施形態において、上記架橋剤は、上記炭水化物マトリクスの部分と上記脂質ベースのナノ粒子の部分(例えば、上記生物学的に活性なペプチド)との間で粒子内架橋を形成する。いくつかの実施形態において、上記架橋剤は、粒子間架橋を形成する。
【0091】
いくつかの実施形態において、上記架橋剤は、二価または多価カチオンから選択される。いくつかの実施形態において、上記二価または多価カチオンは、Ca2+、Zn2+、Pb2+、Cu2+、Ba2+、Sr2+、Cd+2、Co2+、Ni2+、またはこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態において、上記架橋剤は、Ca2+である。いくつかの実施形態において、上記架橋剤は、Ca2+を生成し得る組成(例えば、CaCl)に由来する。いくつかの実施形態において、上記架橋剤は、Zn2+である。いくつかの実施形態において、上記架橋剤は、Zn2+を生成し得る組成(例えばZnSO)に由来する。
【0092】
B. 経口剤形
いくつかの局面において、本明細書で記載される経口製剤を含む経口剤形が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記経口剤形は、1より多くの本明細書で記載される経口製剤を含み、ここで各経口製剤は、上記経口剤形において他から異なる。例えば、各々、異なる量の生物学的に活性なペプチドおよび/または異なる重量パーセンテージの炭水化物マトリクスを有する。
【0093】
いくつかの実施形態において、上記経口剤形は、約0.01mg~約1mgの間(例えば、約0.015mg~約0.1mg、約0.02mg~約0.03mg、約0.02~約0.1mg、約0.1mg~約0.5mg、および約0.5mg~約0.75mgの間のいずれか)の上記生物学的に活性なペプチドを含む。いくつかの実施形態において、上記経口剤形は、少なくとも約0.01mg(例えば、少なくともおおよそ、0.025mg、0.05mg、0.075mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、または1mgのうちのいずれか)の上記生物学的に活性なペプチドを含む。いくつかの実施形態において、上記経口剤形は、おおよそ、以下の量の上記生物学的に活性なペプチドのうちのいずれかを含む: 0.01mg、0.025mg、0.05mg、0.075mg、0.1mg、0.15mg、0.2mg、0.25mg、0.3mg、0.35mg、0.4mg、0.45mg、0.5mg、0.55mg、0.6mg、0.65mg、0.7mg、0.75mg、0.8mg、0.85mg、0.9mg、0.95mg、または1mg。
【0094】
いくつかの実施形態において、上記経口剤形は、錠剤、カプセル剤、またはカプレット剤である。いくつかの実施形態において、上記経口剤形は、植物性ベースのまたはゼラチンベースのカプセル剤を含む。いくつかの実施形態において、上記経口剤形は、経口投与に適切な状態にある経口製剤を含む。いくつかの実施形態において、上記経口剤形にある上記経口製剤は、乾燥剤形、半液体剤形(例えば、ゲル)、または液体剤形(例えば、懸濁物、液剤、またはエマルジョン)にある。
【0095】
いくつかの実施形態において、上記経口剤形は、経口剤形を製剤化するために使用される薬学的に受容可能な賦形剤、薬学的に受容可能な塩、希釈剤、キャリア、ビヒクル、増量剤、他の不活性薬剤、またはこれらの任意の組み合わせをさらに含む。経口剤形において一般に使用されるビヒクルおよび賦形剤としては、例えば、タルク、アラビアガム、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、カカオ脂、およびパラフィン誘導体が挙げられる。いくつかの実施形態において、上記経口剤形は、保存剤および/または安定化剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記経口剤形は、凍結保護剤をさらに含む。
【0096】
いくつかの実施形態において、上記経口薬物剤形は、少なくとも1種のさらなる治療剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、上記少なくとも1種のさらなる治療剤は、強心薬、βアドレナリン作動性レセプター遮断薬、HMG-Co-Aレダクターゼインヒビター、アンジオテンシンIIレセプターアンタゴニスト、アンギオテンシン変換酵素(ACE)インヒビター、カルシウムチャネル遮断薬(CCB)、エンドセリンアンタゴニスト、レニンインヒビター、利尿薬、ApoA-1摸倣物、抗糖尿病薬剤、肥満低減薬剤、アルドステロンレセプター遮断薬、エンドセリンレセプター遮断薬、アルドステロンシンターゼインヒビター(ASI)、CETPインヒビター、抗凝固薬、リラキシン、BNP(ネシリチド)および/またはNEPインヒビターからなる群より選択される。いくつかの実施形態において、上記さらなる治療剤は、ACEインヒビター、リラキシン、ナトリウム利尿ペプチド、グレリン、および他の生体活性ペプチド(例えば、例えば、WO2018075822; Erdmann, 2008;およびChakrabarti, 2016(これらの各々は、その全体において本明細書に参考として援用される)に開示される)である。いくつかの実施形態において、上記さらなる治療剤は、バルサルタン、カンデサルタン、またはロサルタンを含む。いくつかの実施形態において、上記経口薬物剤形は、レスベラトロール、クルクミン、およびカルニチンのうちの1またはこれより多くをさらに含む。
【0097】
C. 作製方法
いくつかの局面において、本明細書で記載される経口製剤および経口剤形を作製する方法が、本明細書で提供される。
【0098】
いくつかの実施形態において、上記経口製剤を作製する方法は、上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、上記架橋剤、上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、DSPC、およびDPPCを混合し、それによって、上記経口製剤を得る工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記PEGおよび/またはコレステロールと、上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、上記架橋剤、上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、DSPC、およびDPPCとを混合する工程をさらに包含する。いくつかの実施形態において、上記経口製剤を作製する方法は、所定の重量パーセンテージの上記炭水化物マトリクス、上記脂質ベースのナノ粒子、および上記架橋剤を混合する工程を包含し、ここで:(i)上記ポリサッカライド、上記架橋剤、上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、ならびに必要に応じて上記PEGおよび/またはコレステロール(存在する場合には、重量パーセンテージ計算の中に含まれる)に対する上記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスの重量パーセンテージは、約48%~約98%である;(ii)上記ポリサッカライド、上記架橋剤、上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、ならびに必要に応じて上記PEGおよび/またはコレステロール(存在する場合には、重量パーセンテージ計算の中に含まれる)に対する上記架橋剤の重量パーセンテージは、約1%~約5%である;および(iii)上記ポリサッカライド、上記架橋剤、上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、ならびに必要に応じて上記PEGおよび/またはコレステロール(存在する場合には、重量パーセンテージ計算の中に含まれる)に対する上記脂質ベースのナノ粒子のうちの上記生物学的に活性なペプチド、上記ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、ならびに必要に応じて上記PEGおよび/またはコレステロール(存在する場合には、重量パーセンテージ計算の中に含まれる)の重量パーセンテージは、約1%~49%である。
【0099】
いくつかの実施形態において、上記経口製剤を作製する方法は、上記アペリンペプチドの重量パーセンテージ 約23%~27%の間、上記ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)の重量パーセンテージ 約6.3%~10.3%の間、DSPCの重量パーセンテージ 約23%~約27%の間、DPPCの重量パーセンテージ 約23%~約27%の間、およびPEG(例えば、PEG 8000)の重量パーセンテージ 約14.7%~約18.7%の間から構成される脂質ベースのナノ粒子(例えば、リポソーム)の使用を含む。いくつかの実施形態において、上記経口製剤を作製する方法は、上記アペリンペプチドの重量パーセンテージ 約43%~47%の間、上記ポロキサマー(例えば、ポロキサマー188)の重量パーセンテージ 約13%~約17%の間、DSPCの重量パーセンテージ 約8%~約12%の間、DPPCの重量パーセンテージ 約8%~約12%の間、PEG(例えば、PEG 8000)の重量パーセンテージ 約13%~約17%の間、およびコレステロールの重量パーセンテージ 約3%~約7%の間から構成される脂質ベースのナノ粒子(例えば、リポソーム)の使用を含む。
【0100】
いくつかの実施形態において、上記経口製剤は、噴霧(例えば、噴霧乾燥)技術またはマイクロエマルジョン技術を使用して調製される。
【0101】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される経口製剤を作製する方法であって、上記方法は、(a)ポリサッカライドを含む材料のある量を溶解する工程;(b)生物学的に活性なペプチドおよびポロキサマーを、上記ポリサッカライドを含む溶解した材料中で混合する工程;(c)工程(b)から生じた溶液を噴霧乾燥する工程;および(d)工程(c)から生成した粒子を、DSPC、DPPC、および架橋剤(ならびに必要に応じて、PEGおよび/またはコレステロール)の溶液中で懸濁し、それによって、上記経口製剤を作製する工程を包含する方法が、本明細書で提供される。
【0102】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される経口製剤を作製する方法であって、上記方法は、(a)複数の脂質ベースのナノ粒子を含む溶液を得る工程;および(b)上記脂質ベースのナノ粒子溶液と、ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスとを混合する工程であって、ここで上記混合する工程は、約40℃~約80℃の温度で行われ、それによって、上記経口製剤を作製する工程を包含する方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記混合する工程は、上記脂質ベースのナノ粒子溶液を上記炭水化物マトリクスへと噴霧することによって行われる。いくつかの実施形態において、上記脂質ベースのナノ粒子溶液は、架橋剤を含む。いくつかの実施形態において、上記方法は、上記脂質ベースのナノ粒子で埋め込まれた炭水化物マトリクスおよび架橋剤を混合する工程をさらに包含する。
【0103】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される経口製剤を作製する方法であって、上記方法は、(a)ポリサッカライドを含む材料のある量を溶解する工程;(b)上記生物学的に活性なペプチドおよび上記ポロキサマーを、上記ポリサッカライドを含む溶解した材料中で混合する工程;(c)工程(b)から生じた溶液のエマルジョンを形成する工程;ならびに(d)工程(c)のエマルジョンと、DSPC、DPPC、および架橋剤(ならびに必要に応じて、PEGおよび/またはコレステロール)の溶液とを混合し、それによって、上記経口製剤を作製する工程を包含する方法が、本明細書で提供される。
【0104】
いくつかの実施形態において、上記経口剤形は、ある量の本明細書で記載される経口製剤を、適切な経口剤形ビヒクル(例えば、植物性ベースのまたはゼラチンベースのカプセル)の中にパッケージすることによって生成される。いくつかの実施形態において、適切な経口剤形ビヒクルの中にパッケージされる上記経口製剤の量は、経口剤形あたりの上記生物学的に活性なペプチドの所望の量に基づく。
【0105】
D. 使用方法
いくつかの局面において、本明細書で記載される経口製剤および経口剤形を使用する方法が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態において、上記使用は、薬学的使用である。いくつかの実施形態において、上記使用は、栄養補助的(nutraceutical)または生物医薬的(bioceutical)な使用である。いくつかの実施形態において、上記方法は、本明細書で記載される経口剤形の有効量を個体に投与する工程を包含する。
【0106】
いくつかの実施形態において、個体において疾患または状態を処置および/または予防する方法であって、上記方法は、本明細書で記載される経口剤形を個体に投与する工程を包含する方法が、本明細書で提供される。
【0107】
いくつかの実施形態において、上記疾患は、心血管関連疾患である。いくつかの実施形態において、上記心血管関連疾患は、心疾患、血管疾患、または代謝疾患である。いくつかの実施形態において、上記心疾患は、慢性心不全、急性非代償性心不全、心筋梗塞後、心房細動、ブルガダ症候群、心室頻拍、アテローム性動脈硬化症、虚血性心血管疾患、心筋症、心筋線維症、心虚血/再灌流傷害、不整脈、またはアミロイドーシスである。いくつかの実施形態において、上記血管疾患は、高血圧症、抵抗性高血圧症、肺高血圧症、末梢動脈疾患、勃起不全、再狭窄、または妊娠高血圧腎症である。いくつかの実施形態において、上記代謝疾患は、2型糖尿病、1型糖尿病、糖尿病性腎症、糖尿病網膜症、慢性腎疾患、急性腎疾患、腎線維症、腎虚血/再灌流傷害、多発性嚢胞腎、血液透析、または肥満症である。
【0108】
いくつかの実施形態において、上記心血管関連疾患は、肺高血圧症、心不全、心筋梗塞、糖尿病性腎症、慢性腎疾患、急性腎疾患、勃起不全、糖尿病、および代謝関連障害からなる群より選択される。
【0109】
いくつかの実施形態において、上記状態は、水分貯留関連状態である。いくつかの実施形態において、上記状態は、熱傷である。
【0110】
例示的実施形態
実施形態1. 複数の粒子を含む生物学的に活性なペプチドの経口製剤であって、ここで各粒子は、ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、架橋剤、および上記炭水化物マトリクスの中に埋め込まれた複数の脂質ベースのナノ粒子を含み、そしてここで上記脂質ベースのナノ粒子は、上記生物学的に活性なペプチド、ポロキサマー、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、および2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)を含む、経口製剤。
【0111】
実施形態2. 前記生物学的に活性なペプチドは、正味の疎水性特性を有する少なくとも約15個の連続するアミノ酸のストレッチを含む、実施形態1に記載の経口製剤。
【0112】
実施形態3. 前記生物学的に活性なペプチドは、pH7において正味の正電荷を有する少なくとも約10個の連続するアミノ酸のストレッチを含む、実施形態1または2に記載の経口製剤。
【0113】
実施形態4. 前記生物学的に活性なペプチドは、N末端からC末端へと、正味の疎水性特性を有するアミノ酸のストレッチ、および正味の正電荷を有するアミノ酸のストレッチを含む、実施形態3に記載の経口製剤。
【0114】
実施形態5. 前記脂質ベースのナノ粒子は、液体コアを被包する脂質二重層を含むリポソームである、実施形態1~4のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0115】
実施形態6. 各リポソームは、複数の前記生物学的に活性なペプチドを含み、ここで前記複数の生物学的に活性なペプチドのうちの第1の部分セットは、前記生物学的に活性なペプチドのうちの1つの部分が、前記脂質二重層の中に埋め込まれ、前記生物学的に活性なペプチドの別の部分は、前記脂質二重層の外側表面または前記液体コアに面する前記脂質二重層の内側表面に提示されるように構成され、ここで前記脂質二重層中に埋め込まれた前記生物学的に活性なペプチドの部分は、正味の疎水性特性を有するアミノ酸のストレッチであり、前記脂質二重層の外側表面または前記液体コアに面する前記脂質二重層の内側表面に提示された前記生物学的に活性なペプチドの部分は、正味の正電荷を有するアミノ酸のストレッチである、実施形態5に記載の経口製剤。
【0116】
実施形態7. 前記液体コアは、前記複数の生物学的に活性なペプチドの第2の部分セットを含む、実施形態5または6に記載の経口製剤。
【0117】
実施形態8. 前記生物学的に活性なペプチドは、アペリンペプチドである、実施形態1~7のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0118】
実施形態9. 前記アペリンペプチドは、アペリン-12、アペリン-13、ピログルタミルアペリン-13([Pyrl]-アペリン-13])、アペリン-17、アペリン-19、およびアペリン-36からなる群より選択される、実施形態8に記載の経口製剤。
【0119】
実施形態10. 前記脂質ベースのナノ粒子における生物学的に活性なペプチドの重量パーセンテージは、約15%~約60%である、実施形態1~19のいずれか1項に記載の経口製剤。
【0120】
実施形態11. 前記ポロキサマーは、ポロキサマー188、ポロキサマー124、ポロキサマー181、ポロキサマー184、ポロキサマー331、およびポロキサマー407、またはこれらの任意の組み合わせである、実施形態1~10のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0121】
実施形態12. 前記脂質ベースのナノ粒子におけるポロキサマーの重量パーセンテージは、約1%~約20%である、実施形態1~11のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0122】
実施形態13. 前記脂質ベースのナノ粒子におけるDSPCの重量パーセンテージは、約5%~約30%である、実施形態1~12のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0123】
実施形態14. 前記脂質ベースのナノ粒子におけるDPPCの重量パーセンテージは、約5%~約30%である、実施形態1~13のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0124】
実施形態15. 前記脂質ベースのナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)をさらに含む、実施形態1~14のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0125】
実施形態16. 前記PEGの平均分子量は、約200 Da~約20000 Daである、実施形態15に記載の経口製剤。
【0126】
実施形態17. 前記PEGの平均分子量は、約8000 Daである、実施形態15または16に記載の経口製剤。
【0127】
実施形態18. 前記脂質ベースのナノ粒子におけるPEGの重量パーセンテージは、約10%~約20%である、実施形態15~17のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0128】
実施形態19. 前記脂質ベースのナノ粒子は、コレステロールをさらに含む、実施形態1~18のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0129】
実施形態20. 前記脂質ベースのナノ粒子におけるコレステロールの重量パーセンテージは、約0.1%~約10%である、実施形態19に記載の経口製剤。
【0130】
実施形態21. 前記脂質ベースのナノ粒子は、少なくとも1種のさらなる治療剤をさらに含む、実施形態1~20のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0131】
実施形態22. 前記脂質ベースのナノ粒子は、前記アペリンペプチドの重量パーセンテージ 約25%、ポロキサマー188の重量パーセンテージ 約8.3%、DSPCの重量パーセンテージ 約25%、DPPCの重量パーセンテージ 約25%、およびPEG 8000の重量パーセンテージ 約16.7%から構成される、実施形態15~21のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0132】
実施形態23. 前記脂質ベースのナノ粒子は、前記アペリンペプチドの重量パーセンテージ 約45%、ポロキサマー188の重量パーセンテージ 約15%、DSPCの重量パーセンテージ 約10%、DPPCの重量パーセンテージ 約10%、PEG 8000の重量パーセンテージ 約15%、およびコレステロールの重量パーセンテージ 約5%から構成される、実施形態19~21のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0133】
実施形態24. 前記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、前記架橋剤、および前記脂質ベースのナノ粒子における非溶媒構成要素の重量パーセンテージは、以下のとおりである:前記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクスは、約48%~約98%であり、前記架橋剤は、約1%~約5%であり、前記脂質ベースのナノ粒子は、約1%~49%である、実施形態1~23のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0134】
実施形態25. 前記複数の粒子のサイズ範囲は、約1μm~約40μmである、実施形態1~24のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0135】
実施形態26. 前記複数の粒子の各々は、複数の孔を含む、実施形態1~25のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0136】
実施形態27. 前記ポリサッカライドは、ペクチン、ガラガム、オーク乳液炭水化物、またはバナナ炭水化物である、実施形態1~26のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0137】
実施形態28. 前記ペクチンは、柑橘類果皮ペクチンである、実施形態27に記載の経口製剤。
【0138】
実施形態29. 前記ペクチンは、150-グレードペクチンである、実施形態27または28に記載の経口製剤。
【0139】
実施形態30. 前記架橋剤は、二価または多価カチオンから選択される、実施形態1~29のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0140】
実施形態31. 前記二価または多価カチオンは、Ca2+、Zn2+、Pb2+、Cu2+、Ba2+、Sr2+、Cd+2、Co2+、Ni2+、またはこれらの組み合わせから選択される、実施形態30に記載の経口製剤。
【0141】
実施形態32. 前記生物学的に活性なペプチドは、個体において、約2%またはこれより高いバイオアベイラビリティーを有する、実施形態1~31のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0142】
実施形態33. 前記複数の粒子は、ゲルでもヒドロゲルでもない、実施形態1~32のいずれか1つに記載の経口製剤。
【0143】
実施形態34. 実施形態1~33のいずれか1つに記載の経口製剤を含む、経口剤形。
【0144】
実施形態35. 約0.1mg~約0.5mgの前記生物学的に活性なペプチドを含む、実施形態34に記載の経口剤形。
【0145】
実施形態36. 受容可能な賦形剤をさらに含む、実施形態34または35のいずれか1つに記載の経口剤形。
【0146】
実施形態37. 前記経口剤形は、錠剤、カプセル剤、またはカプレット剤である、実施形態34~36のいずれか1つに記載の経口剤形。
【0147】
実施形態38. 個体において疾患を処置および/または予防する方法であって、前記方法は、個体に、実施形態34~37のいずれか1つに記載の経口剤形を投与する工程を包含する方法。
【0148】
実施形態39. 実施形態1~34のいずれか1つに記載の経口製剤を作製する方法であって、前記方法は、前記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、前記架橋剤、前記生物学的に活性なペプチド、前記ポロキサマー、DSPC、およびDPPCを混合し、それによって、前記経口製剤を得る工程を包含する方法。
【0149】
実施形態40. 前記方法は、前記PEGおよび/またはコレステロールと、前記ポリサッカライドを含む炭水化物マトリクス、前記架橋剤、前記生物学的に活性なペプチド、前記ポロキサマー、DSPC、およびDPPCとを混合する工程をさらに包含する、実施形態39に記載の方法。
【0150】
当業者は、いくつかの実施形態が、本出願の開示の範囲および趣旨内で可能であることを認識する。本開示は、以下の実施例によってさらに例証され、その実施例は、範囲または趣旨において、その中で記載される具体的手順に本開示を限定すると解釈されるべきではない。
【実施例
【0151】
実施例1
本実施例は、アペリンペプチド、ポロキサマー、PEG、DSPC、およびDPPCを含むリポソームの調製を示す。
【0152】
DSPCおよびDPPCをエタノール中で再構成し、完全に溶解するまで超音波処理した(DSPCおよびDPPCを溶解するために必要な最小量のエタノールを使用した)。PEG 8000およびポロキサマー188をエタノール中で再構成し、完全に溶解するまで超音波処理した。上記DSPCおよびDPPC溶液を、上記PEG 800およびポロキサマー188溶液と、一本のバイアルの中で混合した。次いで、その混合した溶液を、窒素に供して、溶媒を除去した。最終的な固体を、真空中で3時間乾燥させた。その脂質フィルムをクエン酸(300mmol)溶液中で溶解した。そのフィルムを15分間懸濁し、次いで、ポリカーボネートフィルター(0.2nmサイズ)で濾過した。その混合物を、透析によって蒸留水と交換し、次いで、凍結乾燥した。次いで、アペリン(180mg)を蒸留水中に溶解し、その脂質フィルムに添加した。上記溶液を約30分間~1時間にわたってゆっくりと混合している間に、さらなる水を添加した。次いで、その形成されたリポソームを、凍結乾燥する前に、37℃において90分間インキュベートした。
【0153】
実施例2
本実施例は、ペクチン、ポロキサマー、DSPC、DPPC、および塩化カルシウムを含むアペリンペプチドの経口製剤に関する調製技術を示す。
【0154】
上記経口製剤を、噴霧乾燥技術によって調製した。5mgのペクチンを秤量し、ペクチンを少しずつ、水の撹拌溶液にゆっくりと添加することによって100mLの水に溶解した。撹拌を一晩継続して、5% ペクチンの粘性溶液を得た。200mgのアペリンペプチドおよび2gのポロキサマーを、そのペクチン溶液に添加した。その溶液を、800mLの水を添加し、続いて、200mLのエタノールを添加することによって希釈した。その溶液を撹拌して、均質な溶液を得た。次いで、その溶液を、以下の設定を使用して噴霧乾燥した:入口温度 60℃、アスピレーターを90~95に設定、および凝縮器温度4℃に設定。蓄積した粒子を、収集容器の中に入れてデシケーターに移した。上記粒子のうちの5gを、アセトン中に500mgのDSPC、500mgのDPPC、および200mgの塩化カルシウムを含む溶液中で懸濁した。その懸濁物を一晩撹拌した。その後、アセトンを、ロータリーエバポレーターを使用して真空下で蒸発させた。その得られた製剤を使用して、動物投与のために計算した量の投与量を生成した。粒子を、経口投与直前に水中に懸濁した。
【0155】
その経口製剤を、マイクロエマルジョン技術によって調製した。5mg ペクチンを秤量し、ペクチンを少しずつ、水の撹拌溶液にゆっくりと添加することによって100mLの水に溶解した。撹拌を一晩継続して、5% ペクチンの粘性溶液を得た。200mgのアペリンペプチドおよび2gのポロキサマーを、そのペクチン溶液に添加した。その溶液を、100mLの水を添加し、続いて、800mLのジクロロメタン(DCM)を添加することによって希釈した。その溶液を撹拌して、エマルジョンを得た。そのエマルジョンを、アセトン中に500mgのDSPC、500mgのDPPC、および200mgの塩化カルシウムを含む溶液に添加した。その懸濁物を一晩撹拌した。その溶媒を、ロータリーエバポレーターを使用して真空下で蒸発させた。その得られた製剤を使用して、動物投与のために計算した量の投与量を生成した。粒子を、経口投与直前に水中に懸濁した。
【配列表】
2022519288000001.app
【国際調査報告】