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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-23
(54)【発明の名称】ガス検知識別
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/12 20060101AFI20220315BHJP
   G01N 21/78 20060101ALI20220315BHJP
   G01N 21/77 20060101ALI20220315BHJP
   G01N 27/04 20060101ALI20220315BHJP
【FI】
G01N27/12 A
G01N21/78 Z
G01N21/77 A
G01N27/04 D
G01N21/78 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2021544788
(86)(22)【出願日】2020-01-31
(85)【翻訳文提出日】2021-10-01
(86)【国際出願番号】 US2020016058
(87)【国際公開番号】W WO2020160377
(87)【国際公開日】2020-08-06
(31)【優先権主張番号】62/799,540
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517015742
【氏名又は名称】シー2センス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ディーンズ, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】グッズ, ジョン ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】ペティ, アレクサンダー ロバートソン
(72)【発明者】
【氏名】シュノーア, ジャン マルクス
(72)【発明者】
【氏名】スワガー, ティモシー マニング
(72)【発明者】
【氏名】タイス, トラヴィス マシュー
(72)【発明者】
【氏名】シェッグ, ローラ ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】ウォリシュ, ジョゼフ ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ケラー, ニコル キャサリン
【テーマコード(参考)】
2G046
2G054
2G060
【Fターム(参考)】
2G046AA10
2G046AA18
2G046AA24
2G046AA26
2G046BA09
2G046BB02
2G046BJ11
2G046DC12
2G046DC13
2G046EA07
2G054AA01
2G054AB09
2G054CA04
2G054CA05
2G054CA06
2G054CA07
2G054CA10
2G054CA30
2G054EA03
2G054EA05
2G054EA06
2G054EA07
2G054EA10
2G054EB03
2G054FA29
2G054FA33
2G054GA04
2G054GB01
2G054GB02
2G054GE06
2G054JA01
2G060AA01
2G060AB16
2G060AB22
2G060AE19
2G060AF07
2G060AG10
2G060AG15
2G060BB10
2G060KA01
(57)【要約】
ガス検知識別のための構成要素、システムおよび方法が概して開示される。一部の実施形態では、物品の特徴(例えば、識別性、真正性、特性、経過年数または品質等の製品関連情報等)は、物品から発する化学化合物(または複数の化合物)の存在(例えば、量)または非存在を決定することによって決定され得る。例えば、物品から発する1つの化合物(または複数の化合物)の存在または非存在が、物品の特徴を識別する。一部の実施形態では、化学化合物は、物品に積極的に添加されたものである。換言すると、一部の実施形態では、化学化合物は、物品と本質的に関連付けられているのではなく、例えば、物品の特徴を識別するために添加される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは複数の化学化合物が積極的に添加された物品から発する気相における1つまたは複数の前記化合物の存在または非存在を決定するステップを含む方法であって、1つまたは複数の前記化合物の前記存在または非存在が、前記物品の特徴を識別する、方法。
【請求項2】
化学化合物が積極的に添加された物品から発する気相における前記化合物の量を決定するステップを含む方法であって、前記化学化合物の濃度が、前記物品の特徴を識別する、方法。
【請求項3】
ラベルであって、
前記ラベルを物品と関連付けるための手段と、
複数の識別可能な分析対象物質を含む化学タグであって、前記複数の識別可能な分析対象物質の蒸気識別特性が前記物品の特徴を識別する、化学タグと
を備え、前記化学タグは、目的物と本質的に関連付けられていない、
ラベル。
【請求項4】
前記ラベルが、光学バーコード、透かし、ホログラム、RFID、不可視インク、染料、比色マーカー、蛍光マーカー、ナノ粒子、ナノロッド、量子ドット、抗体、タンパク質および/または核酸を含むマーカーをさらに含む、請求項3に記載のラベル。
【請求項5】
前記複数の識別可能な分析対象物質が、1つまたは複数の分子内に2またはそれよりも多い種類の官能基を含む、いずれかの先行する請求項に記載のラベル。
【請求項6】
前記化学タグが、複数の空間的に異なった位置に適用される、いずれかの先行する請求項に記載のラベル。
【請求項7】
物品の特徴を識別するための方法であって、
前記物品に関連付けられたラベルに堆積した化学タグ、または製品に直接堆積した化学タグの放出を誘引するステップと、
ガスセンサーを使用して、前記化学タグに関連付けられた1つまたは複数の分析対象物質の存在または非存在を検出し、それにより、前記物品の特徴を識別するステップと
を含む、方法。
【請求項8】
前記化学タグが、誘引する前は不揮発性である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
物品を識別するための方法であって、
化学タグを含有すると疑われる物品に近接してセンサーを位置付けるステップと、
前記センサーを使用して、前記化学タグの存在を検出するステップと、
前記化学タグが存在する場合、前記物品の特徴を決定するステップと
を含み、
前記化学タグは、前記物品と本質的に関連付けられておらず、
前記センサーは、複数のカーボンナノチューブ系ケミレジスタを含む、
方法。
【請求項10】
物品の特徴に合わせて構成されたセンサーであって、
ガス検知を使用して、基材上のタグを検出することができる検出器を備え、
前記基材は、物品に近接して位置付けられるように構成されており、
前記検出器は、前記タグが存在する場合、前記物品を識別するように構成されており、
前記タグは、前記物品と本質的に関連付けられておらず、
前記センサーは、複数のカーボンナノチューブ系ケミレジスタを含む、
センサー。
【請求項11】
物品の識別のために構成されたシステムであって、
前記物品と積極的に関連付けられた化学タグと、
必要に応じて、前記物品に関連付けられたラベルであって、化学タグを含む前記ラベルと、
前記化学タグの放出を誘引した後に、ガス検知を使用して、前記化学タグの存在を決定するように構成されたセンサーと、
前記センサーが前記化学タグの前記放出を検出した場合に、前記物品の特徴を識別するように構成された検出器と
を備え、
前記化学タグは、前記物品と本質的に関連付けられていない、
システム。
【請求項12】
前記化学タグが、誘引する前は不揮発性化合物から成る、いずれかの先行する請求項に記載のシステム。
【請求項13】
前記化学タグが、誘引した後はゼロではない蒸気圧を有する、いずれかの先行する請求項に記載のシステム。
【請求項14】
誘引が、熱、光、化学的刺激、圧力、電離放射線、水分またはそれらの組合せの適用を含む、いずれかの先行する請求項に記載のシステム。
【請求項15】
物品の識別のために構成されたシステムであって、
ガス検知構成要素を含む検出器と、
前記物品に関連付けられたラベルであって、化学タグを含む前記ラベルと
を備え、
前記検出器は、前記化学タグの存在または非存在を決定するように構成されており、
前記検出器は、前記化学タグへの曝露時に前記物品の特徴をシグナル伝達し、
前記化学タグは、前記物品と本質的に関連付けられていない、
システム。
【請求項16】
物品の識別のために構成されたシステムであって、
ガス検知構成要素を含む検出器と、
前記物品に関連付けられた化学タグと
を備え、
前記検出器は、前記化学タグに関連付けられた1つまたはそれよりも多い化学化合物の濃度を決定するように構成されており、
前記検出器は、前記化学タグへの曝露時に前記物品の特徴をシグナル伝達し、
前記化学タグは、前記物品と本質的に関連付けられていない、
システム。
【請求項17】
前記検出器が、前記化学タグに関連付けられた1つまたはそれよりも多い化学化合物の放出速度を決定するように構成されている、いずれかの先行する請求項に記載のシステム。
【請求項18】
前記センサーが、複数のカーボンナノチューブ系ケミレジスタを含む、いずれかの先の請求項に記載の方法、システムまたはセンサー。
【請求項19】
前記特徴が、前記物品の、製品識別、認証、出所地点、商品転用の追跡および探知、偽造品の識別、粗悪製品の識別、製品経過年数、製品品質、ならびに/または法的文書認証に対応する、いずれかの先の請求項に記載の方法、システムまたはセンサー。
【請求項20】
前記ラベルが、第2の識別可能な構成要素を含む、いずれかの先の請求項に記載の方法、システムまたはセンサー。
【請求項21】
前記第2の識別可能な構成要素が、光学バーコード、ホログラム、透かし、RFID、不可視インク、染料、比色マーカー、蛍光マーカー、ナノ粒子、ナノロッド、量子ドット、抗体、タンパク質、核酸またはそれらの組合せを含む、いずれかの先の請求項に記載の方法、システムまたはセンサー。
【請求項22】
前記化学タグが、ニトロおよび/もしくはシロキサン官能基、酸、塩基、アミン、アルケン、ニトロ芳香族、窒素酸化物、ラジカル、ジハロゲン化物、NOならびに/またはCOを含む、いずれかの先の請求項に記載の方法、システムまたはセンサー。
【請求項23】
前記化学タグが、揮発性分子を含まない、いずれかの先の請求項に記載の方法、システムまたはセンサー。
【請求項24】
前記化学タグが、複数の無関係な分析対象物質を含む、いずれかの先の請求項に記載の方法、システムまたはセンサー。
【請求項25】
前記化学タグの誘引が、熱、電磁放射線、超音波、機械力、圧力、電場、電離放射線、磁場、反応性化学物質またはそれらの組合せの適用を含む、いずれかの先の請求項に記載の方法、システムまたはセンサー。
【請求項26】
前記化学タグが、前記ラベルからの即時放出のために構成されている、いずれかの先の請求項に記載の方法、システムまたはセンサー。
【請求項27】
前記化学タグが、前記ラベルからの時間依存性放出のために構成されている、いずれかの先の請求項に記載の方法、システムまたはセンサー。
【請求項28】
前記ラベルが、複数の化学化合物を含む、いずれかの先の請求項に記載の方法、システムまたはセンサー。
【請求項29】
前記化学タグが、水、反応性化学物質または過度温度の存在によって活性化されるまたは劣化する、いずれかの先の請求項に記載の方法、システムまたはセンサー。
【請求項30】
前記ラベルが、第1の蒸気圧を有する第1の化学化合物および第2の蒸気圧を有する第2の化学化合物を含み、前記第2の蒸気圧が、前記第1の蒸気圧未満である、いずれかの先の請求項に記載の方法、システムまたはセンサー。
【請求項31】
前記化学タグが、光酸または光塩基発生剤を含む、いずれかの先の請求項に記載の方法、システムまたはセンサー。
【請求項32】
第1の条件セット下で物品から発する第1の化学化合物の量の第2の化学化合物の量に対する第1の比を決定するステップであって、各化合物は気相中にある、ステップと、
前記第1の条件セットとは異なる第2の条件セット下で前記物品から発する第1の化学化合物の量の第2の化学化合物の量に対する第2の比を決定するステップとを含み、
前記第1の化学化合物および前記第2の化学化合物は、前記物品にそれぞれ積極的に添加されたものであり、
前記第1の比と前記第2の比との間の変化が、前記物品の特徴を識別する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)項の下、2019年1月31日に出願した同時係属中の米国仮出願第62/799,540号に対する優先権を主張するものであり、これは、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書で記載されている実施形態は、概して、物品の特徴を決定するための分析対象物質の検出等のガス検知識別に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ガス検知技術は、安全、防犯、プロセスモニタリングおよび空気質管理等の多種多様な用途において使用されている。しかしながら、多くのそのようなガスセンサーは、複雑な製造プロセス、低い感度および/または誤った検出表示によって限定されている。そのため、そのようなガスセンサーの用途は、多くの場合、限定される。したがって、改善された方法およびシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
ガス検知識別のための構成要素、システムおよび方法が概して開示される。
【0005】
一態様では、方法が提供される。一部の実施形態では、方法は、1つまたは複数の化学化合物が積極的に添加された物品から発する気相における1つまたは複数の化合物の存在または非存在を決定するステップを含み、1つまたは複数の化合物の存在または非存在が、物品の特徴を識別する。
【0006】
一部の実施形態では、方法は、化学化合物が積極的に添加された物品から発する気相における化合物の量を決定するステップを含み、化学化合物の濃度が、物品の特徴を識別する。
【0007】
一部の実施形態では、方法は、物品に関連付けられたラベルに堆積した化学タグ、または製品に直接堆積した化学タグの放出を誘引するステップと、ガスセンサーを使用して、化学タグに関連付けられた1つまたは複数の分析対象物質の存在または非存在を検出し、それにより、物品の特徴を識別するステップとを含む。
【0008】
一部の実施形態では、化学タグは、誘引する前は不揮発性である。
【0009】
一部の実施形態では、方法は、化学タグを含有すると疑われる物品に近接してセンサーを位置付けるステップと、センサーを使用して、化学タグの存在を検出するステップと、化学タグが存在する場合、物品の特徴を決定するステップとを含み、化学タグは、物品と本質的に関連付けられておらず、センサーは、複数のカーボンナノチューブ系ケミレジスタを含む。
【0010】
一部の実施形態では、方法は、第1の条件セット下で物品から発する第1の化学化合物の量の第2の化学化合物の量に対する第1の比を決定するステップであって、各化合物は気相中にあるステップと、第1の条件セットとは異なる第2の条件セット下で物品から発する第1の化学化合物の量の第2の化学化合物の量に対する第2の比を決定するステップとを含み、第1の化学化合物および第2の化学化合物は、物品にそれぞれ積極的に添加されたものであり、第1の比と第2の比との間の変化が、物品の特徴を識別する。
【0011】
別の態様では、ラベルが提供される。一部の実施形態では、ラベルは、ラベルを物品と関連付けるための手段と、複数の識別可能な分析対象物質を含む化学タグであって、複数の識別可能な分析対象物質の蒸気識別特性が物品の特徴を識別する、化学タグとを備え、化学タグは、目的物と本質的に関連付けられていない。
【0012】
一部の実施形態では、ラベルは、光学バーコード、透かし、ホログラム、RFID、不可視インク、染料、比色マーカー、蛍光マーカー、ナノ粒子、ナノロッド、量子ドット、抗体、タンパク質および/または核酸を含むマーカーを含む。
【0013】
一部の実施形態では、複数の識別可能な分析対象物質は、1つまたは複数の分子内に2またはそれよりも多い種類の官能基を含む。
【0014】
一部の実施形態では、化学タグは、複数の空間的に異なった位置に適用される。
【0015】
さらに別の態様では、センサーが提供される。一部の実施形態では、センサーは、ガス検知を使用して、基材上のタグを検出することができる検出器を備え、基材は、物品に近接して位置付けられるように構成されており、検出器は、タグが存在する場合、物品を識別するように構成されており、タグは、物品と本質的に関連付けられておらず、センサーは、複数のカーボンナノチューブ系ケミレジスタを含む。
【0016】
さらに別の態様では、システムが提供される。一部の実施形態では、システムは、物品と積極的に関連付けられた化学タグと、必要に応じて、物品に関連付けられたラベルであって、化学タグを含むラベルと、化学タグの放出を誘引した後に、ガス検知を使用して、化学タグの存在を決定するように構成されたセンサーと、センサーが化学タグの放出を検出した場合に、物品の特徴を識別するように構成された検出器とを備え、化学タグは、物品と本質的に関連付けられていない。
【0017】
一部の実施形態では、化学タグは、誘引する前は不揮発性化合物から成る。
【0018】
一部の実施形態では、化学タグは、誘引した後はゼロではない蒸気圧を有する。
【0019】
一部の実施形態では、誘引は、熱、光、化学的刺激、圧力、電離放射線、水分またはそれらの組合せの適用を含む。
【0020】
一部の実施形態では、システムは、ガス検知構成要素を含む検出器と、物品に関連付けられたラベルであって、化学タグを含むラベルとを備え、検出器は、化学タグの存在または非存在を決定するように構成されており、検出器は、化学タグへの曝露時に物品の特徴をシグナル伝達し、化学タグは、物品と本質的に関連付けられていない。
【0021】
一部の実施形態では、システムは、ガス検知構成要素を含む検出器と、物品に関連付けられた化学タグとを備え、検出器は、化学タグに関連付けられた1つまたはそれよりも多い化学化合物の濃度を決定するように構成されており、検出器は、化学タグへの曝露時に物品の特徴をシグナル伝達し、化学タグは、物品と本質的に関連付けられていない。
【0022】
一部の実施形態では、検出器は、化学タグに関連付けられた1つまたはそれよりも多い化学化合物の放出速度を決定するように構成されている。
【0023】
一部の実施形態では、センサーは、複数のカーボンナノチューブ系ケミレジスタを含む。
【0024】
一部の実施形態では、特徴は、物品の、製品識別、認証、出所地点、商品転用の追跡および探知、偽造品の識別、粗悪製品の識別、製品経過年数、製品品質、ならびに/または法的文書認証に対応する。
【0025】
一部の実施形態では、ラベルは、第2の識別可能な構成要素を含む。
【0026】
一部の実施形態では、第2の識別可能な構成要素は、光学バーコード、ホログラム、透かし、RFID、不可視インク、染料、比色マーカー、蛍光マーカー、ナノ粒子、ナノロッド、量子ドット、抗体、タンパク質、核酸またはそれらの組合せを含む。
【0027】
一部の実施形態では、化学タグは、ニトロおよび/もしくはシロキサン官能基、酸、塩基、アミン、アルケン、ニトロ芳香族、窒素酸化物、ラジカル、ジハロゲン化物、NO、過酸化物ならびに/またはCOを含む。
【0028】
一部の実施形態では、化学タグは、揮発性分子を含まない。
【0029】
一部の実施形態では、化学タグは、複数の無関係な分析対象物質を含む。
【0030】
一部の実施形態では、化学タグの誘引は、熱、電磁放射線、超音波、機械力、圧力、電場、電離放射線、磁場、反応性化学物質またはそれらの組合せの適用を含む。
【0031】
一部の実施形態では、化学タグは、ラベルからの即時放出のために構成されている。
【0032】
一部の実施形態では、化学タグは、ラベルからの時間依存性放出のために構成されている。
【0033】
一部の実施形態では、ラベルは、複数の化学化合物を含む。
【0034】
一部の実施形態では、化学タグは、水、反応性化学物質または過度温度の存在によって活性化されるまたは劣化する。
【0035】
一部の実施形態では、ラベルは、第1の蒸気圧を有する第1の化学化合物および第2の蒸気圧を有する第2の化学化合物を含み、第2の蒸気圧は、第1の蒸気圧未満である。
【0036】
一部の実施形態では、化学タグは、光酸または光塩基発生剤を含む。
【0037】
本発明の他の利点および新規な特色は、添付の図と併せて検討すると、本発明の種々の非限定的な実施形態の下記の詳細な記載から明らかになる。本明細書および参照によって組み込まれる文書が相反するおよび/または矛盾する開示を含む場合、本明細書が優先するものとする。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1A図1Aは、1セットの実施形態に従う、物品および物品に関連付けられた化学タグの概略図である。
図1B図1Bは、1セットの実施形態に従う、物品、ラベルおよびラベルに関連付けられた化学タグの概略図である。
図2A図2Aは、1セットの実施形態に従う、化学タグを検出するための例示的なセンサーの写真である。
図2B図2Bは、1セットの実施形態に従う、化学タグを検出するための例示的なセンサーの略図である。
図3図3は、1セットの実施形態に従う、1つまたはそれよりも多い化学タグを検出するための例示的なセンサーのアレイの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の他の態様、実施形態および特色は、添付の図面と併せて検討すると、下記の詳細な記載から明らかになる。添付の図は概略的であり、一定の縮尺で描かれていることは意図されていない。明確にする目的で、すべての図においてすべての構成要素にラベル付けされているとは限らず、当業者に本発明を理解させるために図解が必要ではない場合、本発明の各実施形態のすべての構成要素が示されているとも限らない。参照により本明細書に組み込まれるすべての特許出願および特許は、参照によりそれらの全体が組み込まれる。矛盾する場合、定義を含めて、本明細書が優先する。
【0040】
詳細な説明
検知識別(例えば、ガス検知および/または粒子検知)のための構成要素、システムおよび方法が概して開示される。一部の実施形態では、物品の特徴(例えば、識別性、真正性、特性、粗悪化、経過年数または品質等の製品関連情報等)は、物品から発する化学化合物(すなわち分析対象物質)の存在(例えば、量)または非存在を決定することによって決定され得る。例えば、物品から発する化合物(または複数の化合物)の存在または非存在は、物品の特徴を識別する。一部の実施形態では、化学化合物は、物品に積極的に添加されたものである。換言すると、一部の実施形態では、化学化合物は、物品と本質的に関連付けられているのではなく、例えば、物品の特徴を識別するために添加される。一部の実施形態では、ラベルは、物品と関連付けられてよい。一部の実施形態では、化学化合物は、物品と本質的に関連付けられているが、本発明の実行のために望ましい量では存在せず、故に、この目的のためにさらに添加される。一部の実施形態では、化学化合物は、ラベル上の化学タグの存在または非存在が、関連付けられた物品の特徴を識別するように、ラベルと関連付けられている。
【0041】
例証的な例としてのみであり、そのように限定されることを意図しないが、一部の実施形態では、1つまたはそれよりも多い化学化合物(例えば、アセトン、メタノール、ニトロベンゼン、安息香酸、フラン、ジヘキシルアミン、アニリン)は、そのような化学化合物を本質的に含まない物品に積極的に添加され得る(または、上記で注記した通り、そのような化合物を含み得るが、さらなる追加が、本明細書に記載されている発明を容易にする)。一部の実施形態では、1つまたはそれよりも多い化学化合物のうちの少なくとも1つの、センサーによる検出は、物品の特徴を識別し得る。例えば、2つの化学化合物が物品に積極的に添加され得る。2つの化学化合物の両方の、センサーによる検出は、物品の真正性を指し示し得る。対照的に、2つの化学化合物のうちのゼロまたは1つを検出するセンサーは、物品が真正ではないことを指し示し得る。当業者ならば、本明細書の教示に基づき、物品に関連付けられた1つまたはそれよりも多い化学化合物の存在(または非存在)は、本明細書でさらに詳細に記載される通りの物品の1つまたはそれよりも多い特徴(例えば、経過年数、品質、出所、識別性等)を識別し得ることを理解する。
【0042】
一部の実施形態では、化学タグは、本明細書に記載されている通りの1つまたはそれよりも多い化学化合物を含む。一部の実施形態では、化学タグは、1つもしくはそれよりも多い、2つもしくはそれよりも多い、3つもしくはそれよりも多い、4つもしくはそれよりも多い、5つもしくはそれよりも多い、6つもしくはそれよりも多い、7つもしくはそれよりも多い、8つもしくはそれよりも多い、9つもしくはそれよりも多い、または10もしくはそれよりも多い化学化合物を含む。一部の実施形態では、化学タグにおける1つもしくはそれよりも多い(または2つもしくはそれよりも多い等)化学化合物のうちの少なくとも1つの存在(または非存在)の検出は、物品の特徴を識別する。例えば、一部の実施形態では、化学タグ中に存在する化学化合物のすべての検出は、物品の特徴を識別する。一部の実施形態では、化学タグ中に存在する化学化合物の少なくとも一部の検出は、物品の特徴を識別する。一部の実施形態では、化学タグ中に存在する化学化合物のいずれも検出されないことは、物品の特徴を識別する。本明細書に記載されている通り、検出は、物品の1つまたはそれよりも多い特徴を識別するために使用され得る1つまたはそれよりも多い化学化合物の、存在(例えば、量、濃度、比)、非存在および/または放出速度の測定(例えば、センサーによる)を含み得る。一部の実施形態では、1つまたはそれよりも多い化学化合物は、粒子状形態(例えば、化学化合物を含む粒子)でセンサーに送達され得る。一部の実施形態では、1つまたはそれよりも多い化学化合物は、蒸気相中にあってよい。
【0043】
一部の実施形態では、化学タグは、(例えば、1つまたはそれよりも多いセンサーによって)識別可能な複数の化学化合物(すなわち分析対象物質)を含む。一部の実施形態では、複数の識別可能な分析対象物質の蒸気識別特性は、物品の特徴を識別する。本明細書に記載されている通り、一部の実施形態では、化学タグ(および/またはそれが含む1つもしくはそれよりも多い化学化合物)は、物品と本質的に関連付けられていない。一部の実施形態では、化学タグは、物品と本質的に関連付けられた1つまたはそれよりも多い化学化合物を含み得るが、本明細書に記載されているシステムおよび方法の実行のために望ましい量では存在せず、故に、この目的のためにさらに添加される。一部の実施形態では、本明細書に記載されている化学タグは、追加の用途に有用となり得る。例えば、一部の実施形態では、化学タグは、物品(またはラベル)と関連付けられた、インク、保存剤、香味剤、香料、着色剤(例えば、染料)および/または構造要素(例えば、膠、テープ、ストラッピング、包装)と関連付けられていてよい。
【0044】
一部の実施形態では、複数の識別可能な化学化合物は、1つまたはそれよりも多い化学化合物内に2またはそれよりも多い種類の官能基を含む。例えば、単一の化合物は、物品と関連付けられていてよく、単一の化合物は、1つまたはそれよりも多い(例えば、2つまたはそれよりも多い、3つまたはそれよりも多い、4つまたはそれよりも多い)官能基を含み、ここで、各官能基は、1つまたはそれよりも多いセンサーによって検出可能である。一部の実施形態では、1つまたはそれよりも多い官能基の識別が、物品の特徴を識別し得る。
【0045】
本明細書に記載されているシステムおよび方法は、いくつかの用途のために有用となり得る。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載されているシステムおよび方法は、製品識別、製品認証等のために使用され得る。例えば、一部の実施形態では、物品の特徴は、物品の識別性、物品の出所地点、物品の位置、物品の真正性(または偽造の性質)、物品の品質、物品が新品または中古のいずれであるかにかかわらず物品の経過年数、物品の劣悪化、物品の誤った取り扱い、物品の改ざん等を含み得る。そのような特徴は、例えば、盗難を検出するため、無許可流通を検出するため、違法販売を識別するため、偽造製品を識別するため、粗悪な製品を識別するため、物品の品質管理、品質保証および追跡のために有用となり得る。
【0046】
例証的な実施形態のように、一部の実施形態では、化学タグは、例えば、極端な温度への曝露、水分および/または湿度の変化、光および/または化学反応物への曝露による、物品の劣化(例えば、特徴)を検出するために使用され得る。例えば、一部のそのような実施形態では、化学タグの1つまたはそれよりも多い化合物は、そのような温度、水分、湿度、光、および/または特定の化学物質との反応によって、放出され得る(例えば、放出が誘引される)および/または劣化し得る。一部の実施形態では、1つまたはそれよりも多い化合物の劣化下での放出が検出されてもよく、それにより物品の劣化(または他の特徴)を識別する。他の事例において、タグは、材料の品質を確実にするためのタイマーとして事実上使用され得る。例えば、化合物の放出が、滅菌プロセスの一部としてのガンマ放射線、エチレンオキシドまたは他の滅菌剤への曝露によって誘引される場合、タグは、このプロセスの後どれくらいの時間が経過したかを指し示すために使用され得る。同様に、物品の周りの包装の物理的な開封および周囲の雰囲気への曝露は、化合物の放出によって計時され得る。
【0047】
一部の実施形態では、第1の化学化合物の第1の部分は、第1の条件セット下で放出するように誘引され、第1の化学化合物の第2の部分は、第1の条件セットとは異なる第2の条件セット下で放出するように誘引される。
【0048】
一部の実施形態では、第1の化学化合物の第1の部分は、第1の条件セット下で放出するように誘引され、第1の化学化合物は、第1の条件セットとは異なる第2の条件セット下で放出されない。
【0049】
一部の実施形態では、第1の化学化合物の第1の部分は、第1の条件セット下、第1の速度で放出するように誘引され、第1の化学化合物の第2の部分は、第2の条件セット下、第2の速度で放出するように誘引され、第1の条件セットは第2の条件セットとは異なり、第1の速度は第2の速度とは異なる。
【0050】
一部の実施形態では、第1の化学化合物の少なくとも一部は、第1の条件セット下で放出するように誘引され、第2の化学化合物の少なくとも一部は、第1の条件セットとは異なる第2の条件セット下で放出するように誘引される。
【0051】
一部の実施形態では、第1の化学化合物の少なくとも一部および第2の化学化合物の少なくとも一部は、第1の条件セット下で放出するように誘引される。一部の実施形態では、第1の化学化合物および/または第2の化学化合物は、第1の条件セットとは異なる第2の条件セット下で放出しない。
【0052】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている通り、特定の条件セット下での化学化合物の放出プロファイル(例えば、量、速度)の変化または2つもしくはそれよりも多い化学化合物の放出プロファイル(例えば、量、速度、比)の変化は、物品の1つまたはそれよりも多い特徴に対応する。換言すると、一部の実施形態では、物品の1つまたはそれよりも多い特徴は、1つまたはそれよりも多い化学化合物(例えば、物品に積極的に添加された化学化合物)の放出プロファイルに基づいて識別され得る。
【0053】
一部の実施形態では、化学タグは物品に適用されてよく、その化学タグに関連付けられた物品の特徴の記録がなされ得る。例えば、一部の実施形態では、物品の識別性は、特定の化学タグが検出器によって検出された場合に確認され得る。
【0054】
本明細書に記載されている化学タグは、任意の好適な様式で実行され得る。例えば、化学タグは、ガス放出ラベルと関連付けられてよい。一部の実施形態では、化学タグおよび/またはラベルは、使い捨てであってよく、または複数回(例えば、反復)使用のために設計されていてもよい。一部の実施形態では、化学タグおよび/またはラベルは、本明細書に記載されている通り、化学タグに関連付けられた1つまたはそれよりも多い化合物の緩徐放出および/または誘引放出のために構成され得る。
【0055】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化学タグを、1つまたはそれよりも多い追加の識別構成要素と組み合わせてよい。例えば、一部の実施形態では、ラベルは、化学タグ(例えば、1つまたはそれよりも多い化学化合物を含む)と、化学タグとは異なる第2の識別構成要素とを含み得る。一部の実施形態では、化学タグを含む第1のラベルおよび識別構成要素を含む第2のラベルは、それぞれ物品に関連付けられてよい。例えば、一部の実施形態では、化学タグ(またはラベル)は、一次元または多次元光学バーコードに関連付けられてよい。当業者ならば、本明細書の教示に基づき、本明細書に記載されている化学タグおよびシステムで使用するための追加の識別構成要素をどのようにして選択するかを理解する。一部の実施形態では、物品は、化学タグ(または化学タグを含むラベル)、ならびに光学バーコード、ホログラム、RFIDおよび/または追加の化学的マーカーおよび/または生物学的マーカー等の第2の識別構成要素に関連付けられる。本明細書に記載されているシステムと併せて使用され得る追加の化学的マーカーおよび/または生物学的マーカーの非限定的な例は、比色染料、蛍光染料、IR染料、透かし、ナノ粒子、ナノロッド、量子ドット、抗体、タンパク質、核酸およびそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
【0056】
ここで図を見ると、図1Aで例証されている通り、一部の実施形態では、システム100は、物品110と、物品110に関連付けられた化学タグ120とを備える。一部の実施形態では、化学タグ120は、1つまたはそれよりも多い化学化合物を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されている通り、1つまたはそれよりも多い化学化合物は、物品110の特徴を識別し得る。一部の実施形態では、センサー140は、化学タグ120および/または化学タグ120が含む1つまたはそれよりも多い化学化合物の存在(または非存在)を検出するために使用され得る。一部の実施形態では、化学タグ120は、物品110に近接して、隣接してまたは直接隣接して位置付けられてよい。
【0057】
用語「に関連付けられた」は、本明細書で使用される場合、概して極めて接近して保持されることを意味し、例えば、物品に関連付けられた化学タグは、物品の表面に隣接していてよい。本明細書で使用される場合、化学タグが表面に「隣接して」いると称される場合、タグは表面と直接隣接している(例えば、接触している)ことができ、または1つもしくはそれよりも多い介在する構成要素(例えば、ラベル)も存在し得る。表面に「直接隣接している」化学タグは、介在する構成要素が存在しないことを意味する。一部の実施形態では、化学タグは、物品の表面に隣接している。一部の実施形態では、化学タグは、物品の表面に直接隣接している。一部の実施形態では、化学タグは、物品内に組み込まれる(例えば、物品の少なくとも一部のバルク内には存在するが、物品への化学タグの添加が存在しなければ、物品中にそれ自体が本質的に存在することもなく、本明細書に記載されているシステムおよび/または方法の実行のために望ましい量で存在することもない)。
【0058】
一部の実施形態では、化学タグは、物品に関連付けられ、ラベルに隣接(例えば、直接隣接)しており、ラベルは物品に関連付けられている。例えば、図1Bで例証されている通り、システム102は、物品110と、物品110に関連付けられた化学タグ120とを備える。一部の実施形態では、ラベル130は、物品110に関連付けられている。一部の実施形態では、化学タグ120は、ラベル130に関連付けられている。一部の実施形態では、ラベル130は、化学タグ120を形成する1つまたはそれよりも多い化合物を含む。一部の実施形態では、ラベルは、物品に隣接している。一部の実施形態では、ラベルは、物品に直接隣接している(例えば、固定されている)。一部の実施形態では、ラベルは、物品に近接しているが、物品に必ずしも隣接しているとは限らない。例えば、一部の実施形態では、ラベルは、物品の少なくとも一部を含有する容器内に存在し得る。
【0059】
用語「ラベル」は、本明細書で使用される場合、当技術分野におけるその普通の意味が与えられており、概して、物品に関連付けられており、前記物品についての情報を与える構成要素(例えば、紙、布、プラスチック、インク、電子デバイスまたは他の材料を含む)を指す。例示的な実施形態では、ラベルは、官能基を含有するステッカーである。別の例示的な実施形態では、ラベルは、マーカーである。さらに別の例示的な実施形態では、ラベルは、スタンプである。他の実施形態では、ラベルは、物品に印刷またはスプレーされている。他のラベルも可能であり、ラベルを物品と関連付けるための手段について以下でさらに詳細に記載する。
【0060】
一部の実施形態では、化学化合物は、物品(または物品に関連付けられたラベル)から受動的に発する(例えば、放出する)。一部の実施形態では、化学化合物は、物品から発せず、その存在(または非存在)が検出され得るよう、物品から放出するように刺激(例えば、誘引)され得る。一部の実施形態では、化学化合物は、物品から発し、化学化合物の刺激(例えば、誘引)は、物品からの化学化合物の量および/または放出速度を増大させる。一部の実施形態では、化学化合物の量および/または放出速度の変化は、物品の特徴を識別する。一部の実施形態では、2つまたはそれよりも多い化学化合物の量の比の変化は、物品の特徴を識別する。一部のそのような実施形態では、比の変化は、第1の条件セット下、第1の化学化合物の量の第2の化学化合物の量に対する第1の比を測定すること、および第1の条件セットとは異なる第2の条件セット下、第1の化学化合物の量の第2の化学化合物の量に対する第2の比を測定することによって決定されてよく、ここで、第1の比と第2の比との間の変化は、物品の特徴を識別する。
【0061】
例えば、一部の実施形態では、各化学化合物は、物品(または物品に関連付けられたラベル)からの各化学化合物の放出速度(または量)が増大する(または減少する)ような手法で刺激され得る。一部のそのような実施形態では、放出速度の変化および/または各化学化合物の放出される量の変化は、物品の特徴に対応し得る。例として、そのように限定されることを望むものではないが、一部の実施形態では、検出された特定の第1の放出速度(例えば、ゼロ、ゼロではない)は、物品が真正であることを指し示し得る。対照的に、第1の放出速度とは異なる第2の放出速度(例えば、ゼロ、ゼロではない)は、検出された場合、物品が真正ではないことを指し示し得る。一部の実施形態では、単回の誘引放出は、物品に関連付けられた化学化合物の総量に対して、化学化合物の実質的にすべて(例えば、90体積%よりも多いまたはそれに等しく100体積%未満またはそれに等しい、95体積%よりも多いまたはそれに等しく100体積%未満またはそれに等しい、98体積%よりも多いまたはそれに等しく100体積%未満またはそれに等しい、99体積%よりも多いまたはそれに等しく100体積%未満またはそれに等しい)が放出される(例えば、大気中に)という結果をもたらす。一部の実施形態では、化学化合物の少なくとも一部が放出される(例えば、誘引時に、受動的に時間をかけて)。例えば、一部の実施形態では、物品に関連付けられた化学化合物の総量に対して、1体積%よりも多いまたはそれに等しい、2体積%よりも多いまたはそれに等しい、5体積%よりも多いまたはそれに等しい、10体積%よりも多いまたはそれに等しい、15体積%よりも多いまたはそれに等しい、20体積%よりも多いまたはそれに等しい、30体積%よりも多いまたはそれに等しい、40体積%よりも多いまたはそれに等しい、50体積%よりも多いまたはそれに等しい、60体積%よりも多いまたはそれに等しい、70体積%よりも多いまたはそれに等しい、80体積%よりも多いまたはそれに等しい、あるいは85体積%よりも多いまたはそれに等しい化学化合物が放出される。一部の実施形態では、物品に関連付けられた化学化合物の総量に対して、90体積%未満またはそれに等しい、85体積%未満またはそれに等しい、80体積%未満またはそれに等しい、75体積%未満またはそれに等しい、70体積%未満またはそれに等しい、60体積%未満またはそれに等しい、50体積%未満またはそれに等しい、40体積%未満またはそれに等しい、30体積%未満またはそれに等しい、20体積%未満またはそれに等しい、15体積%未満またはそれに等しい、10体積%未満またはそれに等しい、5体積%未満またはそれに等しい、あるいは2体積%未満またはそれに等しい化学化合物が放出される。上記で参照した範囲の組合せも可能である(例えば、1体積%よりも多いまたはそれに等しく90体積%未満またはそれに等しい)。他の範囲も可能である。
【0062】
一部の実施形態では、複数の誘引放出(例えば、順次誘引放出、周期的誘引放出)は、化学化合物の少なくとも一部が放出されるという結果をもたらす。例示的な実施形態では、複数回の誘引放出は、物品の反復認証に有用となり得る。一部の実施形態では、化学化合物は、化学化合物に応答してセンサーによって生成されたシグナルの強度(例えば、化学化合物の量、濃度、比等を指し示す)が経時的にモニターされ得るように、特定の期間にわたって放出され得る。一部のそのような実施形態では、化学化合物の放出プロファイルは、物品の特徴(例えば、真正性、鮮度、品物が使用されたかどうか等)を決定するために使用され得る。一部の実施形態では、特定の順序での1つまたはそれよりも多い化学化合物の複数の誘引放出は、例えば、識別可能なシグナルの時間領域が物品の特徴(例えば、識別性、真正性等)に対応するような複雑で識別可能なシグナルを発生させるために使用され得る。当業者ならば、本明細書の教示に基づき、放出速度および/または放出プロファイルが、本明細書にさらに詳細に記載される通りの物品の別の特徴(例えば、経過年数、品質、出所、識別性等)を識別し得ることを理解する。
【0063】
本明細書に記載されている化学タグおよびラベルは、任意の好適な様式で物品に適用され得る。例えば、一部の実施形態では、化学タグおよび/またはラベルは、1つまたはそれよりも多い(例えば、2つまたはそれよりも多い、3つまたはそれよりも多い、4つまたはそれよりも多い、5つまたはそれよりも多い)または複数の空間的に異なった位置に適用され得る。例えば、一部の実施形態では、物品は、1つもしくはそれよりも多い(または2つもしくはそれよりも多い等)化学タグを含み、ここで、各化学タグは、同じであるかまたは異なる。一部の実施形態では、各化学タグは、物品の同じまたは異なる特徴を識別し得る。
【0064】
概して、揮発性生成物を得る任意の化学反応を使用して、検出され得る識別特性を作り出すことができる。一部の実施形態では、検出器(例えば、センサー)は、化学抵抗デバイスである。一部の実施形態では、検出器は、電磁放射線(例えば、蛍光)の強度および/または波長における変化を検出するように構成され得る。一部の実施形態では、検出器は、セレクター材料によってオーバーコーティングされたデバイスの共鳴周波数における変化を検出するように構成され得る。一部の実施形態では、検出器は、色、粒子の数、粒度分布、化合物の分子量、熱伝導率、ならびに/または光の吸収、散乱および/もしくは透過率における変化を検出するように構成され得る。一部の実施形態では、本明細書で記載されている通り、物品の一意識別子を作り出すために、1つを超える化学化合物が放出されてよい。
【0065】
化学化合物の非限定的な例は、アセトン、メタノール、ニトロベンゼン、フラン、ジヘキシルアミン、アニリン、ニトロメタン、ベンゼン、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、ニトロベンゼン、フェノール類、アニリン類、キノン類、ハロゲン類、水素、カルボン酸類、アクリレート類、アルケン類、シアノ芳香族類、ヘキサン、ヘキセン、ヘキセナール、エチレン、1-メチルシクロプロペン、プロペン、ブテン類、イソプレン、シクロヘキサノン、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ヘキサナール、DMMP、アセトニトリル、ニトロメタン、酢酸エチル、酢酸メチル、水、ジメチルホルムアミド(dimethyformamide)(DMF)、ホルムアルデヒド、ジメチルスルフィド、エチレン、過酸化物およびアンモニアを含む。
【0066】
一部の実施形態では、化学化合物は、付臭剤または香気である。しかしながら、一部の実施形態では、化学化合物は、香気(例えば、ラベンダー、モモ、ペパーミント等)ではない。一部の実施形態では、化学化合物は、香味剤または着色剤(例えば、摂取可能な色素)である。
【0067】
一部の実施形態では、化学化合物は、好適な蒸気圧を有するように選択され得る。一部の実施形態では、化学化合物は、環境条件(例えば、熱、水分、湿度、光)とのその相互作用に基づき、選択され得る。一部の実施形態では、化学化合物は、特定の反応物とのその反応に基づき、選択され得る。例えば、一部の実施形態では、反応物は、物品の特徴が識別され得るように、ラベルおよび/または物品からの化合物の放出を誘引するために使用され得る。他の化学化合物も可能であり、そのような好適な化合物を、本明細書に記載されているシステムおよび方法で使用してよく、当業者ならば、本明細書の教示に基づき、そのような化合物をどのようにして選択するかを理解する。
【0068】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている化学化合物は、1000分の1から10億分の1までの範囲に及び得るトレースレベルで容易に検出され得る。
【0069】
一部の実施形態では、化学タグは、1つまたはそれよりも多い化合物を含み、ここで、各化合物は、同時に放出され得る。一部の実施形態では、各化合物は、異なる時間に(例えば、蒸気圧および/または他の条件に応じて)放出され得る。一部の実施形態では、各化合物は、同じまたは異なる放出速度を有し得る(例えば、誘引なしに、誘引後に)。
【0070】
一部の実施形態では、化学タグの各化合物は、揮発性であっても不揮発性であってもよい。例えば、一部の実施形態では、第1の化合物は、それが揮発性であり、物品から、受動的に放出する(例えば、発する)ように選択され得る。そのような化合物は、例えば、物品がその貯蔵寿命を過ぎたか否かを決定するために有用となり得る。一部の実施形態では、第1の化合物と同じまたは異なる第2の化合物は、それが不揮発性であるように選択され得、それがセンサーによって検出され得るように物品から放出される(例えば、発される)ように誘引され得る。
【0071】
一部の実施形態では、化合物は、特定の官能基(例えば、酸化または還元官能基)を含む。例示的な実施形態では、官能基は、ニトロ基またはシロキサン基である。
【0072】
一部の実施形態では、化学タグは、一部のある特定の市販のガスセンサーにおいて偽陽性を生成するように選択され得る。換言すると、一部の実施形態では、本明細書に記載されているシステムは、このように偽陽性を発生させる市販のセンサーによって概して誤認される化学化合物を含む化学タグを含み得る。対照的に、一部の実施形態では、本明細書に記載されているセンサーおよびシステムは、特異的な化学化合物の存在または非存在を識別するように構成される。理論に縛られることを望むものではないが、一部の実施形態では、ニトロ基および/またはシロキサン基(または他の官能基)は、偽陽性を発生させるおよび/または伝統的なガスセンサーに干渉する場合がある(例えば、このように偽陽性を発生させる)。一部の実施形態では、本明細書に記載されているセンサーおよび/または検出器は、ニトロ基および/またはシロキサン基の存在下で、1つまたはそれよりも多い化学化合物の(偽)陽性識別を生成しない。
【0073】
一部の実施形態では、化学タグは、1つまたはそれよりも多い化学化合物が放出されるように(例えば、1つまたはそれよりも多い化学化合物が、化学タグに近接するセンサーによって検出され得るように)誘引され得る。化学化合物は、任意の好適な手段を使用して放出され得る。例えば、一部の実施形態では、1つまたはそれよりも多い化学化合物の少なくとも一部は、熱、電磁放射線、超音波、機械力(例えば、引っかき、ねじり、曲げ、圧力)、電場、磁場、化学反応物またはそれらの組合せの適用時に放出される。例証的な実施形態では、化学タグは、1つまたはそれよりも多い種類の誘引(例えば、化学タグの1つまたはそれよりも多い化学化合物を放出する)に曝露され得る。例えば、化学タグを、電磁放射線の第1の波長に曝露し、次いで、電磁放射線の第2の波長に曝露し、次いで、必要に応じて加熱してよく、ここで、各曝露ステップは、化学タグ上の1つまたはそれよりも多い化学化合物の少なくとも一部で放出する。一部の実施形態では、特定の様式での各化学化合物の放出(またはその非存在)の検出は、物品の特徴を識別する。誘引ステップの他の組合せも可能である。
【0074】
一部の実施形態では、化学タグは、化学反応物への曝露を介して誘引され得る。好適な化学反応物の非限定的な例は、以下の机上の実験例で論じられるものを含む。一部の実施形態では、化学反応物は、光酸または光塩基発生剤を含む。
【0075】
一部の実施形態では、物品の特徴の識別のための一意的な化学的識別特性を作り出すために、2つまたはそれよりも多い異なる化学化合物が使用され得る。例えば、第1の化学化合物の存在および第2の化学化合物の存在(各化合物は、物品と本質的に関連付けられていない、例えば、物品に積極的に添加された)は、一緒に物品の特徴を識別し得る。
【0076】
例えば、日光および関連するUV照射への曝露は、1つの化学タグの枯渇または別の化学タグの光化学的活性化によって測定され得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されている通り、より詳細な情報を提供するために、複数の化学タグが使用され得る。製品の集団湿度曝露をモニターするために、同様の方法が使用され得る。一部の実施形態では、化学タグは、水蒸気または液体への曝露によって、分解または発生し得る。ある特定の用途のために、ある特定の化学物質に応答する化学タグが選択され得る。例えば、食物を過酸化物または漂白剤で処理して細菌を中和した場合、事前曝露を指し示した、または材料がこれらの化学物質に曝露されていなかったことを理想的には検証するタグが設置され得る。
【0077】
例示的な実施形態では、化学タグは、親水性ポリマー等の結合剤と混合された揮発性化合物(例えば、過酸化物)を含む。親水性ポリマーは、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびポリアクリル酸を含むがこれらに限定されない。他の結合剤も可能である。揮発性化合物は、任意の好適な重量負荷率(例えば、化学タグの総重量に対して1wt%よりも多いまたはそれに等しく12wt%未満またはそれに等しい)で添加され得る。一部の実施形態では、化学タグは、物品の表面上に堆積する。物品は、一部の事例において、大気温度および大気圧でまたは減圧(例えば、真空)下で乾燥させられ得る。一部の実施形態では、ラベル付き物品は、揮発性過酸化物の存在を検出するための適切なガスセンサーと関連付けられる。
【0078】
そのような実施形態は、反応性化学物質に限定される必要はない。一部の実施形態では、メタンまたはCO等の不活性ガスは、化学化合物を活性化するまたは放出するために使用され得る。例えば、例示的な実施形態では、メタンは、それを通る分子のより広い拡散を可能にする材料を可塑化し得る。そのような輸送の強化は、枯渇の増大をもたらし得る。一部の実施形態では、発生時に化学タグを強化するかまたは減衰させるかのいずれかである、アミンを担持する材料が開発され得る。理論に縛られることを望むものではないが、COは、微生物活性の指標となり得、一部の事例において、材料の状態を評価するために使用され得る。微生物活性に同じく関連付けられるチオールまたはアミンについても同様の方法が可能である。
【0079】
化学タグにより、分子酸素、窒素酸化物(NO)または放射線への累積曝露を含む多くの他の方法が想像され得る。材料の物理的な変化は化学的誘引に限定される必要はなく、熱的方法が適用され得る。
【0080】
一部の実施形態では、化学化合物は、物品の特徴を識別し得る特定の条件セット下で、特定の識別可能な相変化挙動を呈し得る。例えば、理論に縛られることを望むものではないが、そのガラス転移温度未満のポリマーは、ポリマー鎖のダイナミクス低減を伴う高密度状態である。ポリマーのガラス相において、化学タグは、運動低減を有し得る。しかしながら、ガラス転移温度では、ポリマーにおけるセグメントダイナミクスは活性になり、自由体積の増大が観察される。一部の実施形態では、そのようなダイナミクスおよび自由体積は、化学タグ拡散を強化し得、非常に特異的な温度で化学タグ放出を誘引するために使用され得る。一部の事例において、これは、製品または物品の熱履歴をモニターするために使用され得る。一部の実施形態では、異なるガラス転移温度を持つ複数のポリマーが、例えば、物品の熱履歴を提供するために使用され得る。
【0081】
化学タグは、より低温および昇温に応答するように設計され得る。相変化のための異なる膨張係数または温度を持つ材料の組合せは、一部の事例において、細孔または相分離プロセスを生成するように組み合わせられてよい。一部の実施形態では、化学タグは、反応種の拡散の強化によって放出され得る。材料における分子酸の拡散の増大は、一部の事例において、化学タグ前駆体との二分子反応をもたらし得、それにより、化学タグシグナルの発生をもたらし得る。一部の実施形態では、相変化が材料の光学的不透明度または吸収における変化をもたらす場合、プロセスは、水分、空気および/または光への曝露をもたらし得る。一部の実施形態では、本明細書に記載されているプロセスは、可逆的であっても不可逆的であってもよい。
【0082】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法およびシステムは、物品の1つまたはそれよりも多い特徴を識別するために、2つまたはそれよりも多い化合物の順次放出を利用し得る。
【0083】
一部の事例において、数か月間またはさらには数年間にわたって読み取ることができる化学タグを有することが望ましい場合がある。一部の実施形態では、添加された反応物、光、熱、放射線またはメカノケミカル刺激に応答して起こる化学反応が使用され得る。例えば、化学タグ前駆体は、それらを数年間にわたって持続させる蒸気圧を有効に有さないイオン化合物を含み得、揮発性化学タグを生成するための活性化プロセスは、検出を可能にする揮発度を持つ非荷電材料への転換を伴い得る。
【0084】
一部の実施形態では、化学タグは、物理的な包装内で潜伏時間を有する。例えば、蒸気を発生させる活性化ができる化学タグまたは化学タグ前駆体が、蒸発するのを防止する、バリアオーバーコーティングが塗布され得る。そのようなオーバーコーティングは、物品から剥離されるまたは削り取られるバリアポリマーのように単純なものであってよい。一部の実施形態では、オーバーコーティングは、熱的、光化学的、化学的および/または機械的プロセスを介して多孔質になり得る。
【0085】
一部の実施形態では、化学タグは、多孔質材料(例えば、多孔質材料を含むラベル)に関連付けられている。一部の実施形態では、多孔質材料の細孔は、化学タグ/化学タグ前駆体の透過を可能にする状態または細孔から拡散するその拡散をブロックする状態の間で切り替えできるように、化学タグをカプセル化し得る。化学タグ/化学タグ前駆体および他の材料は、一部の事例において、順次または同時剥脱/活性化を可能にする複数層構造内に堆積してよい。各層は、1つまたはそれよりも多い化学化合物を含んでよく、異なる誘引/放出機構を有し得る。
【0086】
一部の実施形態では、化学タグの1つまたはそれよりも多い化学化合物は、少なくとも部分的にカプセル化され得る。例えば、一部の実施形態では、化学タグは、カプセル化からの化学化合物の放出が誘引されるように刺激され得る。一部の実施形態では、化学タグは、コロイドに分散し、次いで、界面モノマーまたはバリアコーティングの集合体の重合によってカプセル化され得る。得られるカプセルの非限定的な例は、ミセル径(例えば、直径5nm)である構造から大きいコロイド粒子(例えば、直径500ミクロン)までのサイズの範囲に及び得る。追加のサイズも可能である。
【0087】
一部の実施形態では、化学タグを、1つまたはそれよりも多い異なる材料と組み合わせてよい。例えば、重合またはポリマー堆積は、一部の事例において、ポリマーとの相分離を形成するために使用されてよく、それにより、ポリマーを持つ化学タグまたは化学タグ前駆体の領域を自発的に形成する。ポリマーは不活性であってよく、化学タグ/化学タグ前駆体は、一部の事例において、材料の機械的破砕によって放出され得る。代替として、ポリマーは、能動素子、および化学タグの誘引放出、発生または活性化の一部であってよい。ポリマーおよび化学タグ/化学タグ前駆体ならびに関連素子は、一部の事例において、溶液からタグ上に堆積してもよいし、または別個に作製されて積層ステップで適用されてもよい。一部の実施形態では、ポリマーをインサイチュで生成して、化学タグを含むフィルムを作製することができる。当業者ならば、本明細書の教示に基づき、化学タグ相のサイズおよび密度は、例えば、プロセシング条件、界面活性剤等によって制御され得ることを理解する。コロイド生成において使用されるポリマー母材またはポリマーカプセル材の架橋は、一部の事例において、これらの材料を通る拡散を変調するために使用され得る。そのような架橋は、化学的、光化学的、酵素的、機械的、電気化学的または熱的プロセスへの曝露時に除去されるように設計され得る。
【0088】
一部の実施形態では、ポリマーは、ポリマーの変形(例えば、引き伸ばし、曲げ)が化学タグの化学化合物を放出するように、変形可能である。
【0089】
任意の好適なポリマーが使用され得る。例えば、一部の実施形態では、ポリマーは、結合破壊により概して自発的に解重合するように、速度論的に安定(および熱力学的に不安定)であってよい。そのようなクラスのポリマーの例は、理論に縛られることを望むものではないが、室温でフラグメント化されると自発的に解重合するポリ(ビニルスルホン)である。そのような材料は、広い組成範囲を有し、放射線、塩基、電子伝達(酸化還元)および熱的プロセスに対して感受性であることが概して示されてきた。そのようなポリマーは、本明細書に記載されている化学タグを含むポリマーカプセルの製作に有用となり得る。他のポリマーも可能であり、当業者ならば、本明細書の教示に基づき、そのようなポリマーを選択することができる。
【0090】
1つまたはそれよりも多い化学化合物は、任意の好適な手段を使用して、物品および/またはラベルに塗布され得る。堆積方法の非限定的な例は、スプレーコーティング、浸漬コーティング、蒸発コーティング、インクジェット印刷、インバイビング、スクリーン印刷、パッド印刷、グラビア印刷または積層を含む。一部の実施形態では、1つまたはそれよりも多い化学化合物は、イオン結合、共有結合、水素結合、ファン・デル・ワールス相互作用等の結合の形成を介して、ラベルまたは物品と結合され得る。共有結合は、例えば、炭素-炭素、炭素-酸素、酸素-ケイ素、硫黄-硫黄、リン、窒素、炭素-窒素、金属-酸素または他の共有結合であってよい。水素結合は、例えば、ヒドロキシル、アミン、カルボキシル、チオールおよび/または同様の官能基間であってよい。
【0091】
一部の実施形態では、化学タグは、持続的である必要はなく、時間をかけてゆっくりとタグから蒸発し得る。そのような機構は、製品の有効期限を提供するおよび/または認証すべき目的物が曝露される条件の表示を与えるためにも使用され得る。例えば、材料が累積熱的曝露を有する場合、これは化学タグ中の化学化合物の1つまたはそれよりも多い枯渇をもたらし得る。一部の実施形態では、物品の特徴の識別は、製品の状態についての情報も提供しうる。
【0092】
一部の実施形態では、化学タグおよび/またはラベルは、食用である。換言すると、一部の実施形態では、化学タグおよび/またはラベルは、対象(例えば、ヒト、動物)によって安全に消費され得る。化学タグ(またはラベル)において使用され得る化学化合物の非限定的な例は、Sigma-Aldrich Ingredients Catalog: Flavors & Fragrances (2014)およびSigma-Aldrich and the Sigma-Aldrich Flavor & Fragrance Ingredients Supplement (2018)に収載されている化合物を含む。
【0093】
本明細書に記載されているラベルは、化学タグを含有するためまたは別様に物品と関連付けるための任意の好適な基材を含み得る。例えば、一部の実施形態では、ラベルは、基材と、基材に関連付けられた化学タグ(例えば、1つまたはそれよりも多い化学化合物を含む)とを含み得る。好適な基材の非限定的な例は、シリコーン、シリカ、ガラス、金属、細孔性材料、ナノ細孔性材料、ポリマー、ゲルおよび天然材料(例えば、紙、木材、岩、ティッシュペーパー、毛髪、毛皮、皮革)を含む。
【0094】
一部の実施形態では、ラベルは、ラベルを物品に付着させるための手段を含む。ラベルを付着させるための好適な手段の非限定的な例は、接着剤、積層、溶融結合、スプレーコーティング、スピンコーティング、印刷、ストラッピングおよびそれらの組合せを含む。
【0095】
化学タグ(または化学タグが含む1つもしくはそれよりも多い化学化合物)の存在(または非存在)を検出するために、任意の好適な種類のセンサーが使用され得る。一部の実施形態では、化学化合物の存在(または非存在)は、ガスセンサーを使用して決定され得る。ここでの記載の多くはガスセンサーの使用に関するが、一部の実施形態では、他のセンサーも可能である。例えば、一部の実施形態では、1つまたはそれよりも多い化学化合物は、粒子状形態であってよい。一部のそのような実施形態では、センサーは、粒子の存在(または非存在)を検出するように構成され得る。粒子は、内部構造を持つより複雑な不均質材料の分子の凝集体であることができる。粒子は、センサーに堆積した後に化学シグナルを送達することができる、または粒子は、認証のためのシグナルであることができる。例えば、粒子は荷電され得、センサーは、それらの荷電構造に基づき、それらを検出することができる。代替として、粒子は、電気輸送のための能動素子であってよく、センサー材料の伝導性を変化させることができる。粒子は、色、蛍光、光散乱または他の特色等の光学特性における変化ももたらし得る。例えば、一部の実施形態では、化学化合物の存在(または非存在)は、粒子を検出するように構成されたセンサーを使用して決定され得る。当業者ならば、本明細書の教示に基づき、好適なセンサーを選択することができる。
【0096】
一部の実施形態では、センサーは、化学タグを含有すると疑われる物品に近接して位置付けられる。一部の実施形態では、化合物の検出時に、センサーは、シグナルを送信するように構成され得る。一部のそのような実施形態では、シグナルは、物品の1つまたはそれよりも多い特徴に対応し得る。本明細書に記載されている通り、一部の実施形態では、化学タグ(または化学タグが含む1つもしくはそれよりも多い化学化合物)は、物品に固有ではない。例えば、一部の実施形態では、センサーは、化学化合物が、検知前に物品と積極的に関連付けられていたのでない限り、物品に隣接する化学化合物の存在(例えば、量、濃度、ゼロではない放出速度)を検出しない。
【0097】
実施形態の特定のセットでは、検出器(例えば、センサー)は、化学抵抗センサーである。典型的には、化学抵抗センサー等は、第1の電極と、第2の電極と、第1および第2の電極とともに電気的連通で配されたセンサー材料とを含み得る。他の構成も可能である。センサー材料は、第1および第2の電極の間の電流フローに対する抵抗がセンサー材料の相互作用によって影響を受けるように、導電性材料(例えば、複数の導電性炭素質ナノ材料粒子)を含み得る。化学化合物への曝露時に、化学化合物は、センサー材料と相互作用して、第1および第2の電極の間の電流フローに対する抵抗に影響を及ぼし、それにより、化学化合物を決定するデバイスにおいてシグナルを発生させ得る。一部の実施形態では、センサー材料は、実質的に固体形態である。一部の実施形態では、センサー材料は、ペーストの形態である。
【0098】
一部の実施形態では、センサーは、目的の化学化合物と選択的に相互作用するように選択された、複数の導電性炭素質ナノ材料粒子(例えば、カーボンナノチューブ)および検出器を含む。ある特定の実施形態では、炭素質ナノ材料粒子は、カーボンナノチューブである。一部の実施形態では、カーボンナノチューブは、単壁ナノチューブである。一部の実施形態では、カーボンナノチューブは、多壁ナノチューブである。一部の実施形態では、カーボンナノチューブは、二重壁ナノチューブである。一部の実施形態では、炭素質ナノ材料粒子は、グラファイト粉末、単層グラフェン、二層グラフェン、多層グラフェン、還元された酸化グラファイト、カーボンブラック粉末からなる群から選択される。
【0099】
一部の実施形態では、化学抵抗センサーは、複数の官能基化ナノ粒子を含む。例えば、チオールコーティングされた金ナノ粒子は、物品の特徴の識別(例えば、認証)において使用するために構成され得る。一部の実施形態では、金属酸化物ナノ粒子および/またはバルク金属酸化物材料は、必要に応じて官能基化されて、化学タグの検知において使用するため(例えば、物品の特徴の識別のため)に構成され得る。一部の実施形態では、1つまたはそれよりも多いセンサー(例えば、2つまたはそれよりも多いセンサー、3つまたはそれよりも多いセンサー、4つまたはそれよりも多いセンサー、複数のセンサー)が、物品の1つまたはそれよりも多い特徴を識別するために使用される。一部の実施形態では、1つまたはそれよりも多いセンサーは、抵抗の変化、材料もしくはマイクロカンチレバーの周波数変化、化学的に敏感なトランジスタの変化、蛍光の変化、屈折率の変化、色の変化、電気化学ポテンシャルもしくは電流の変化、材料の透明性の変化、材料の膨潤、材料の機械的特性の変化、生存生物の特徴応答、反射された電磁放射線の変化、またはそれらの組合せを検出するように構成されている。
【0100】
ある特定の実施形態では、センサーは、セレクター(例えば、セレクター分子)を含む。セレクター分子は、1つもしくはそれよりも多い化学化合物と相互作用し得るおよび/または周囲媒体もしくは環境における変化に応答性であり得る任意の部分であってよく、デバイス内に種々の構成で組み込まれてよい。例えば、検出器は、低分子、半導体デバイス、電極、ナノ粒子、MEMSデバイス、ポリマー、生物学的種等であってよい。一部の実施形態では、セレクターは、イオン種(例えば、塩)を含み得る。一部の実施形態では、セレクターは、中性種を含み得る。一部の実施形態では、セレクターは、特異的な応答を提供するためのセレクターとして挙動する、有機種、有機金属種または無機種であってよい。ある特定の実施形態では、セレクターは、共有結合を介して炭素質ナノ材料粒子に結合し得る。ある特定の実施形態では、セレクターは、非共有結合を介して炭素質ナノ材料粒子に結合し得る。ある特定の他の実施形態では、セレクターは、炭素質ナノ材料粒子内に実質的に含有(例えば分散)されてよく、炭素質ナノ材料粒子と共有結合を形成しなくてよい。
【0101】
一部の実施形態では、セレクターは、別の生物学的または化学化合物を媒体(例えば、溶液、蒸気相、固相)中で結合することができる生物学的または化学基を含み得る。例えば、セレクターは、チオール、アルデヒド、エステル、カルボン酸、ヒドロキシル等の官能基を含んでよく、ここで、官能基は、目的の化学化合物と結合を形成する。一部の事例において、セレクターは、電子豊富なまたは電子不足の部分であってよく、ここで、目的の化学化合物と検出器との間の相互作用は、静電相互作用を含む。
【0102】
一部の実施形態では、目的の化学化合物とセレクターとの間の相互作用は、金属または金属含有部分との結合を含む。例えば、一部の実施形態では、セレクターは、金属含有種であってよい。例えば、種は、金属塩を含む金属含有種であってよい。一部の実施形態では、金属塩は、遷移金属塩または錯体である。金属塩の一部の例は、TiO、TiClおよび他のチタン塩、AgCl、AgPF、Ag(OCOCF)、Ag(SOCF)および他の銀塩、PtClおよび他の白金塩、AuClおよび他の金塩、Al(OEt)および他のアルミニウム塩、Ni(SOCF、NiClおよび他のニッケル塩、Cu(SOCF)および他の銅塩、ならびにRhClおよび他のロジウム塩を含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、種は、銅含有種であってよい。一部の実施形態では、銅含有種は、Cu(II)塩等の塩である。一部の実施形態では、種は、パラジウム含有種であってよい。一部の実施形態では、パラジウム含有種は、Pd(II)塩等の塩である。具体的な金属含有種の一部の例は、PdClを含むがこれに限定されない。例示的な実施形態では、セレクターは、5,10,15,20-テトラフェニルポルフィリナトコバルト(III)過塩素酸塩([Co(tpp)]ClO)、3,6-ジ-2-ピリジル-1,2,4,5-テトラジンおよびそれらの組合せを含む。
【0103】
一部の実施形態では、炭素質ナノ材料粒子は、検出器と、重量で3:1から1:10までの範囲の比で混合される。ある特定の実施形態では、炭素質ナノ材料粒子の検出器に対する比は、重量で1:1である。ある特定の他の実施形態では、炭素質ナノ材料粒子の検出器に対する比は、重量で1:5である。ある特定の他の実施形態では、炭素質ナノ材料粒子の検出器に対する比は、1:10である。
【0104】
実施形態の例示的なセットでは、センサーは、カーボンナノチューブ系ケミレジスタセンサー(例えば、複数のカーボンナノチューブ系ケミレジスタを含む)である。
【0105】
一部の実施形態では、センサーは、第1の電極および第2の電極と、第1および第2の電極との電気的に接触するように配置されたセンサー材料とを含み、ここで、センサー材料は、目的の化学化合物と選択的に相互作用するように選択された、複数の導電性炭素質ナノ材料粒子およびセレクターを含む。複数の導電性炭素質ナノ材料粒子およびセレクターは混合物中に存在し、一部の実施形態では、化学化合物は、混合物中に拡散し、セレクターと相互作用して、混合物の伝導率を変化させることができる。デバイスは、化学化合物に関する情報を検出するために混合物の伝導率における変化を検出することができる電気回路をさらに含む。図2A~2Bは、本開示に従って目的の化学化合物を検出するための例示的なセンサーの、例示的な写真(図2A)および略図(図2B)を示す。
【0106】
別の態様では、化学化合物を検出する方法は、第1の電極および第2の電極を用意するステップと、第1および第2の電極との電気的に接するように配置されたセンサー材料を用意するステップとを含み、ここで、センサー材料は、目的の化学化合物と選択的に相互作用するように選択された、複数の導電性炭素質ナノ材料粒子および検出器を含む。方法は、一部の実施形態では、センサー材料を化学化合物に曝露するステップであって、化学化合物への曝露がセンサー材料の伝導率を変化させるステップと、化学化合物に関する情報(例えば、存在、量、濃度、物品および/またはラベルからの放出速度)を集めるためにセンサー材料の伝導率における変化を検出するステップとをさらに含む。
【0107】
一部の実施形態では、第1および第2の電極は、ガラスまたはポリマー性材料等の剛性の基材上に位置する。一部の他の実施形態では、第1および第2の電極は、プリント回路基材上に位置する。一部の他の実施形態では、第1および第2の電極は、フレキシブル基材上に位置する。一部の実施形態では、フレキシブル基材は、紙である。一部の他の実施形態では、フレキシブル基材は、ポリマー性材料である。一部の実施形態では、第1および第2の電極は、フレキシブル基材に印刷される。電極の印刷は、当技術分野において公知である一般的な技法のいずれかを使用して行われ得る。これらの技法は、スクリーン印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、木版印刷、インクジェット印刷、凸版印刷、パッド印刷および凹版印刷であるがこれらに限定されない。
【0108】
一部の実施形態では、第1の電極および第2の電極は、近距離無線通信(NFC)または無線自動識別(RFID)チップ等の複合回路の一部である。
【0109】
一部の実施形態では、化学化合物は、蒸気であるおよび/または気相中にある。一部の実施形態では、化学化合物は、チオール、エステル、アルデヒド、アルコール、エーテル、アルケン、アルキン、ケトン、酸、ハロゲン化物、過酸化物、ニトロ芳香族、塩基またはそれらの組合せを含む。
【0110】
一部の実施形態では、化学化合物の濃度は、0から10%、10ppmから10%、100ppmから10%、1000ppmから10%、1から10%または5から10%の範囲内である。一部の他の実施形態では、化学化合物の濃度は、0から5%、10ppmから5%、100ppmから5%、1000ppmから5%、1から5%または2から5%の範囲内である。一部の他の実施形態では、化学化合物の濃度は、0から1%、10ppbから1%、100ppbから1%、1ppmから1%または10ppmから1%の範囲内である。一部の他の実施形態では、化学化合物の濃度は、0から1000ppm、10ppbから1000ppm、100ppbから1000ppm、1ppmから1000ppmまたは10ppmから1000ppmの範囲内である。一部の他の実施形態では、化学化合物の濃度は、0から100ppm、10ppbから100ppm、100ppbから100ppm、1ppmから100ppmまたは10ppmから100ppmの範囲内である。一部の他の実施形態では、化学化合物の濃度は、0から80ppm、10ppbから80ppm、100ppbから80ppm、1ppmから80ppmまたは10ppmから80ppmの範囲内である。一部の他の実施形態では、化学化合物の濃度は、0から50ppm、10ppbから50ppm、100ppbから50ppm、1ppmから50ppmまたは10ppmから50ppmの範囲内である。一部の他の実施形態では、化学化合物の濃度は、0から10ppm、10ppbから10ppm、100ppbから10ppmまたは1ppmから10ppmの範囲内である。一部の実施形態では、化学化合物の濃度は、0から1ppm、10ppbから1ppmまたは100ppbから1ppmの範囲内である。一部の他の実施形態では、化学化合物の濃度は、0から0.5ppm、10ppbから0.5ppmまたは100ppbから0.5ppmの範囲内である。一部の他の実施形態では、化学化合物の濃度は、0から100ppbまたは10ppbから100ppbの範囲内である。一部の他の実施形態では、化学化合物の濃度は、0から50ppbまたは10ppbから50ppbの範囲内である。一部の他の実施形態では、化学化合物の濃度は、0から10ppbの範囲内である。
【0111】
化学化合物とセンサー材料のセレクターとの間の相互作用は、共有結合(例えば、炭素-炭素、炭素-酸素、酸素-ケイ素、硫黄-硫黄、リン-窒素、炭素-窒素、金属-酸素または他の共有結合)、イオン結合、水素結合(例えば、ヒドロキシル、アミン、カルボキシル、チオールおよび/または同様の官能基の間)、配位結合(例えば、金属イオンと単座または多座配位子間の錯体形成またはキレート化)等の結合の形成を含み得る。相互作用は、ファン・デル・ワールス相互作用も含み得る。一実施形態では、相互作用は、化学化合物と共有結合を形成することを含む。一部の事例において、デバイスと化学化合物との間の相互作用は、電荷移動反応等の反応を含み得る。一部の他の実施形態では、種および/または別のデバイス構成要素は、周囲環境の変化(例えば、温度の変化)時に化学的または物理的転換を受けて、デバイスから決定可能なシグナルを生成することができる。一部の事例において、決定可能なシグナルは、材料の別の化学的状態である。決定可能なシグナルは、一部の事例において、経時的に持続または低下し得る。
【0112】
検出器(またはセンサー材料)は、タンパク質、核酸、糖タンパク質、炭水化物、ホルモン等を含む生体分子対間の結合事象を介して、化学化合物と相互作用することもできる。具体例は、抗体/ペプチド対、抗体/抗原対、抗体フラグメント/抗原対、抗体/抗原フラグメント対、抗体フラグメント/抗原フラグメント対、抗体/ハプテン対、酵素/基質対、酵素/阻害剤対、酵素/補因子対、タンパク質/基質対、核酸/核酸対、タンパク質/核酸対、ペプチド/ペプチド対、タンパク質/タンパク質対、低分子/タンパク質対、グルタチオン/GST対、抗GFP/GFP融合タンパク質対、Myc/Max対、マルトース/マルトース結合タンパク質対、炭水化物/タンパク質対、炭水化物誘導体/タンパク質対、金属結合タグ/金属/キレート、ペプチドタグ/金属イオン-金属キレート対、ペプチド/NTA対、レクチン/炭水化物対、受容体/ホルモン対、受容体/エフェクター対、相補的核酸/核酸対、配位子/細胞表面受容体対、ウイルス/配位子対、タンパク質A/抗体対、タンパク質G/抗体対、タンパク質L/抗体対、Fc受容体/抗体対、ビオチン/アビジン対、ビオチン/ストレプトアビジン対、薬物/標的対、亜鉛フィンガー/核酸対、低分子/ペプチド対、低分子/タンパク質対、低分子/標的対、マルトース/MBP(マルトース結合タンパク質)等の炭水化物/タンパク質対、低分子/標的対、または金属イオン/キレート化剤対を含む。種の具体的な非限定的な例は、ペプチド、タンパク質、DNA、RNA、PNAを含む。
【0113】
例証的な実施形態では、金属電極(例えば、金)は、基材(例えば、ガラス基材)の表面上に、パターン化、蒸着または別様に形成され得る。センサー材料を含有する第1の層が基材上に形成され得、続いて、第2の層が第1の層上に形成され、吸湿材を含有する。
【0114】
「電気的連通」は、本明細書で使用される場合、電子、ポラロン、励起子および/または陽子の伝達が2つの材料の間で起こり得るように、互いに十分に連通している材料を指す。例えば、第1および第2の電極は、互いに物理的に接触していなくてもよいが、電圧または電位の印加時には、電流が1つの電極から導電性材料を通って他の電極に流れるように、導電性材料を介して互いに電気的連通していてよい。
【0115】
本明細書で使用される場合、用語「カーボンナノチューブ」は、当技術分野におけるその普通の意味が与えられており、一部の事例において、6員の芳香族環の縮合ネットワークを含む、実質的に円筒形の分子を指す。一部の事例において、カーボンナノチューブは、シームレス円筒構造に巻き上げられたグラファイトのシートに類似していてよい。カーボンナノチューブは、6員環以外の環も含み得ることが理解されるべきである。典型的には、カーボンナノチューブの少なくとも一端は、すなわち湾曲または非平面の芳香族基でキャップされていてよい。カーボンナノチューブは、ナノメートルのオーダーの直径およびミリメートルのオーダーの長さを有してよく、約100よりも大きい、約1000よりも大きい、約10,000よりも大きい、またはそれよりも大きいアスペクト比をもたらす。用語「カーボンナノチューブ」は、単壁ナノチューブ(SWCNT)、多壁ナノチューブ(MWCNT)(例えば、同心カーボンナノチューブ)、その無機誘導体等を含む。一部の実施形態では、カーボンナノチューブは、単壁カーボンナノチューブである。一部の事例において、カーボンナノチューブは、多壁カーボンナノチューブ(例えば、二重壁カーボンナノチューブ)である。
【0116】
カーボンナノチューブは、広範囲の官能基で官能基化または置換されていてよい。カーボンナノチューブが置換されていてよい官能基の例は、ペプチド、タンパク質、DNA、RNA、ペプチド核酸(PNA)、金属錯体、金属の配位子、タンパク質の配位子、抗体、分極可能な芳香族、クラウンエーテル、ヒドロキシルアミン、ポリマー、重合の開始剤、液晶、フッ化炭素、合成受容体等を含む。ナノチューブの特性は、縮合芳香族ネットワークの置換に基づいて合わせることもできる。当業者ならば、どのような種類の官能基が、溶解度の増大、または分析対象物質を決定する能力等の特定の所望の特性を生じさせるかを認識する。
【0117】
置換カーボンナノチューブは、Zhang et al., J. Am. Chem. Soc. 2007, 129(25), 7714、国際公開第WO2008/133779号に記載されているものを含む種々の方法を使用して合成され得、これは、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0118】
一部の事例において、導電性材料は、ナノ粒子を含み得る。本明細書で使用される場合、用語「ナノ粒子」は、概して、1μmを超えない最大断面寸法を有する粒子を指す。ナノ粒子は、無機もしくは有機、ポリマー性、セラミック、半導体、金属、非金属、磁性、結晶性(例えば、「ナノ結晶」)または非晶質材料、あるいはこれらの2つまたはそれよりも多くの組合せを含み得る。ナノ粒子は、正にまたは負に荷電されるように選択されてもよい。典型的には、ナノ粒子は、任意の次元で250nm未満、任意の次元で100nm未満、または任意の次元で50nm未満の粒径を有し得る。一部の実施形態では、ナノ粒子は、約2から約50nmの直径を有し得る。一部の実施形態では、ナノ粒子は、約2から約20nmの直径を有し得る。粒径は、電子顕微鏡法等の当技術分野において公知の方法によって測定され得る。
【0119】
ポリマーまたはポリマー性材料は、本明細書で使用される場合、ペンダント側基を必要に応じて含有する骨格(例えば、非共役骨格、共役骨格)を含む拡張された分子構造を指し、ここで、「骨格」は、ポリマーの最長の連続結合経路を指す。一部の実施形態では、ポリマーは、実質的に非共役であるか、または非共役骨格を有する。一部の実施形態では、ポリマーの少なくとも一部が共役されている、すなわち、ポリマーは、電子密度または電子電荷がそれに沿って伝導され得る少なくとも一部を有し、ここで、電子電荷は、「非局在化」されていると称される。ポリマーは、「π共役」されていてよく、ここで、骨格の原子は、共役に関与するp軌道を含み、隣接する共役p軌道との十分な重複を有する。シグマ共役ポリマー等、他の種類の共役ポリマーを使用してよいことが理解されるべきである。
【0120】
ポリマーは、ホモポリマー、またはランダムコポリマーもしくはブロックコポリマー等のコポリマーであることができる。一実施形態では、ポリマーは、ブロックコポリマーである。ブロックコポリマーの有利な特色は、それらが多層構造を模倣し得ることであり、ここで、各ブロックは、異なるバンドギャップ成分を有するように設計され得、ブロックコポリマーの化学構造の性質により、各バンドギャップ成分は隔離される。特定の分析対象物質に対するバンドギャップおよび/または選択性は、当業者には理解されるように、異なるポリマー型の修飾または組み込みによって達成することができる。ポリマー組成は、テーパーブロック構造を得るために継続的に変動することができ、ポリマーは、ステップ成長または連鎖成長法のいずれかによって合成され得る。
【0121】
ポリマーの数平均分子量は、特定の用途に適合するように選択され得る。本明細書で使用される場合、用語「数平均分子量(Mn)」は、当技術分野におけるその普通の意味が与えられており、試料中のポリマー分子の総重量を、試料中のポリマー分子の総数で割ったものを指す。当業者ならば、ポリマーの数平均分子量を決定するための方法、例えば、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を選択することができる。一部の事例において、GPCは、ポリスチレン標準に対して較正され得る。一部の事例において、ポリマーの数平均分子量は、少なくとも約10,000、少なくとも約20,000、少なくとも約25,000、少なくとも約35,000、少なくとも約50,000、少なくとも約70,000、少なくとも約75,000、少なくとも約100,000、少なくとも約110,000、少なくとも約125,000である、またはそれよりも多い。
【0122】
センサー(例えば、化学抵抗センサー)は、絶縁材料も含み得る。絶縁材料は、導電性材料と、1つまたはそれよりも多い電極および/または基材との間に配され得る。好適な絶縁材料の例は、ポリケイ酸塩ガラス、二酸化ケイ素、窒化ケイ素等を含むがこれらに限定されない。
【0123】
本明細書で使用される場合、用語「電極」または「電極材料」は、電子デバイスに接続すると、電流または電荷を検知し、それをシグナルに転換することができる、組成物を指す。電極は、導電性材料または例えば金属等の材料の組合せでできていてよい。好適な金属の非限定的な例は、金、銅、銀、白金、ニッケル、カドミウム、スズ等を含む。電極は、任意の他の金属および/または導電性として当業者に公知である非金属(例えばセラミック)であってもよい。電極は、真空堆積プロセス(例えば、スパッタリングおよび蒸発)、溶液堆積(例えば、電気めっきまたは無電解プロセス)またはスクリーン印刷を介して表面上に堆積し得る。具体例では、金電極は、熱蒸発によって堆積する。別の実施形態では、金電極は、表面上にスクリーン印刷される。電極は、一部の実施形態では、銅、銀、炭素、インジウム-スズ酸化物等を含み得る。電極は、伝導性ポリマー、カーボンナノチューブ、グラフェン、炭素、またはこれらの材料の金属との組合せから生成することもできる。
【0124】
本明細書で使用される場合、「分析対象物質」または「化学化合物」は、分析される任意の化学的、生化学的または生物学的実体(例えば、分子)であることができる。分析対象物質は、蒸気相、液相または固相中にあってよい。一部の実施形態では、分析対象物質は、蒸気相分析対象物質である。一部の事例において、分析対象物質は、電磁放射線の形態であってよい。一部の事例において、分析対象物質は、空中浮遊粒子であってよい。一部の事例において、デバイスは、分析対象物質に対して高特異性を有するように選択されてよく、例えば、化学的、生物学的または爆発物センサーであってよい。一部の実施形態では、分析対象物質は、デバイスの少なくとも一部と相互作用することができる官能基(例えば、種)を含む。一部の事例において、デバイスは、周囲媒体の、pH、水分、温度等の変化を決定し得る。分析対象物質は、爆発物(例えば、TNT)、毒素または化学兵器剤等の化学種であってよい。具体例では、分析対象物質は、化学兵器剤(例えば、サリンガス)または化学兵器剤の類似体(例えば、メチルホスホン酸ジメチル、DMMP)である。
【0125】
一部の実施形態では、化学化合物(すなわち分析対象物質)は、必要に応じて置換されているアリール種、および/もしくはベンゼン、トルエン、キシレン等の必要に応じて置換されているヘテロアリール種、またはベンゾ[a]ピレン等の多環式芳香族炭化水素を含む、芳香族種であってよい。一部の実施形態では、分析対象物質は、アンモニア等のアミン含有種であってよい。一部の実施形態では、分析対象物質は、アセトニトリル等のニトリル含有種であってよい。一部の実施形態では、分析対象物質は、アルコール、ケトン、エステル、カルボキシレート、アルデヒド、他のカルボニル基、エーテル等を含む種等の酸素含有種であってよい。一部の実施形態では、分析対象物質は、シクロヘキサノン、酢酸エチル、THFまたはヘキサナール等のケトン、エステル、エーテルまたはアルデヒドを含む種であってよい。一部の実施形態では、分析対象物質は、DMMP等のリン含有分析対象物質である。一部の実施形態では、分析対象物質は、ニトロメタンまたはTNT等のニトロ含有種であってよい。分析対象物質の他の例は、アルコール、オレフィン、一酸化窒素、チオール、チオエステル等を含む。
【0126】
一部の事例において、センサーは、周囲媒体の条件または条件セットにおける変化を決定し得る。本明細書で使用される場合、「条件」または「条件セット」における変化は、例えば、特定の温度、pH、溶媒、化学試薬、雰囲気の種類(例えば、窒素、アルゴン、酸素等)、電磁放射線等に対する変化を含み得る。一部の事例において、条件セットは、センサーが設置されている環境の温度における変化を含み得る。例えば、センサーは、温度の変化時に化学的または物理的な変化を受けてセンサーから決定可能なシグナルを生成する構成要素(例えば、結合部位)を含み得る。
【0127】
本明細書で使用される場合、「芳香族種」は、非置換または置換されている単環式または多環式ヘテロ芳香族環または環ラジカル(例えば、1つまたはそれよりも多いヘテロ原子環原子を含む芳香族種)を含む、非置換または置換されている単環式または多環式芳香族環または環ラジカルを含む。芳香族種の例は、フェニル、ナフチル、アントラセニル、クリセニル、フルオランテニル、フルオレニル、フェナントレニル、ピレニル、ペリレニル等を含む。
【0128】
本明細書で使用される場合、「アリール」は、炭素および水素原子を含む単環式または多環式芳香族環または環ラジカルを意味する。好適なアリール基の例は、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニルおよびナフチル、ならびに5,6,7,8-テトラヒドロナフチル等のベンゾ縮合炭素環式部分を含むがこれらに限定されない。アリール基は、非置換であってもよいし、または1つもしくはそれよりも多い置換基(限定されないが、アルキル(好ましくは、低級アルキルまたは1つもしくはそれよりも多いハロで置換されているアルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ(好ましくは、低級アルコキシ)、アルキルチオ、シアノ、ハロ、アミノおよびニトロを含む)で置換されていてもよい。
【0129】
本明細書で使用される場合、「ヘテロアリール」は、炭素原子環員および1つまたはそれよりも多いヘテロ原子環員(例えば、酸素、硫黄または窒素等)を含む単環式または多環式ヘテロ芳香族環(またはそのラジカル)を意味する。典型的には、ヘテロ芳香族環は、5から約14個までの環員を有し、このうち少なくとも1つの環員は、酸素、硫黄および窒素から選択されるヘテロ原子である。別の実施形態では、ヘテロ芳香族環は、5または6員環であり、1から約4個までのヘテロ原子を含有し得る。別の実施形態では、ヘテロ芳香族環系は、7から14個の環員を有し、1から約7個までのヘテロ原子を含有し得る。代表的なヘテロアリールは、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリジニル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、ピリジニル、チアジアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル(isoquniolyl)、インダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、インドリジニル、イミダゾピリジニル、イソチアゾリル、テトラゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、インドリル、テトラヒドロインドリル、アザインドリル、イミダゾピリジル、キナゾリニル(qunizaolinyl)、プリニル、ピロロ[2,3]ピリミジル、ピラゾロ[3,4]ピリミジル、ベンゾ(b)チエニル等を含む。これらのヘテロアリール基は、1つまたはそれよりも多い置換基で必要に応じて置換されていてよい。
【0130】
用語「置換されている」は、有機化合物のすべての容認できる置換基を含むように企図されており、「容認できる」は、当業者に公知である原子価の化学的規則の文脈におけるものである。一部の事例において、「置換されている」は、概して、本明細書に記載されている通りの置換基による水素の置きかえを指し得る。しかしながら、「置換されている」は、本明細書で使用される場合、例えば、「置換されている」官能基が置換を介して異なる官能基となるような、分子が同定される主要な官能基の置きかえおよび/または変更を網羅しない。例えば、「置換フェニル」は、フェニル部分を依然として含まなくてはならず、この定義における置換によって修飾されて、例えばピリジン等のヘテロアリール基になることはできない。広い態様では、容認できる置換基は、有機化合物の、非環式および環式、分枝状および非分枝状、炭素環式およびヘテロ環式、芳香族および非芳香族の置換基を含む。例証的な置換基は、例えば、本明細書に記載されているものを含む。容認できる置換基は、適切な有機化合物について、1つまたはそれよりも多い、同じまたは異なるものであることができる。本発明の目的のために、窒素等のヘテロ原子は、水素置換基、および/またはヘテロ原子の原子価を満たす本明細書に記載されている有機化合物の任意の容認できる置換基を有し得る。本発明は、有機化合物の容認できる置換基によっていかなる様式でも限定されることを意図していない。
【0131】
置換基の例は、アルキル、アリール、アラルキル、環状アルキル、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、ペルハロアルコキシ、アラルコキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアラルコキシ、アジド、アミノ、ハロゲン、アルキルチオ、オキソ、アシルアルキル、カルボキシエステル、カルボキシル、カルボキサミド、ニトロ、アシルオキシ、アミノアルキル、アルキルアミノアリール、アルキルアリール、アルキルアミノアルキル、アルコキシアリール、アリールアミノ、アラルキルアミノ、アルキルスルホニル、カルボキサミドアルキルアリール、カルボキサミドアリール、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、アルキルアミノアルキルカルボキシ、アミノカルボキサミドアルキル、アルコキシアルキル、ペルハロアルキル、アリールアルキルオキシアルキル等を含むがこれらに限定されない。
【0132】
本明細書に記載されている実施形態の文脈において使用するために好適な他の実施形態は、2009年3月4日に出願され、「Devices and Methods for Determination of Species Including Chemical Warfare Agents」と題された国際特許出願第PCT/US2009/001396号;2009年12月11日に出願され、「High Charge Density Structures,Including Carbon-Based Nanostructures and Applications Thereof」と題された、国際特許出願第PCT/US2009/006512号;2009年5月29日に出願され、「Field Emission Devices Including Nanotubes or Other Nanoscale Articles」と題された、米国特許出願第12/474,415号;2010年10月6日に出願され、「Method and Apparatus for Determining Radiation」と題された、国際特許出願第PCT/US2011/051610号;2010年11月4日に出願され、「Nanostructured Devices including Analyte Detectors,and Related Methods」と題された、国際特許出願第PCT/US2010/055395号;2011年9月29日に出願され、「COMPOSITIONS,METHODS,AND SYSTEMS COMPRISING POLY(THIOPHENES)」と題された、国際特許出願第PCT/US2011/053899号;2011年2月23日に出願され、「Charged Polymers and Their Uses in Electronic Devices」と題された、国際特許出願第PCT/US2011/025863号;および2015年7月10日に出願され、「FORMULATIONS FOR ENHANCED CHEMIRESISTIVE SENSING」と題された、国際特許出願第PCT/US2015/039971号に記載されており、これらの出願は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0133】
下記の例は、本発明のある特定の態様を含む本明細書に記載されているある特定の実施形態を例証するように意図されているが、本発明の全範囲を例示しない。
(実施例1)
検知システムを使用する受動的検知
【0134】
基本的なセンサー素子は、化学抵抗センサーチップを備えていた。1つのセンサーチップは、複数の検知素子から成ってよく、各素子は、独自の配合のカーボンナノチューブ(CNT)、化合物に対する特異的応答のためのセレクター、および2つの電極の間に塗布される添加物から成る(図2A~2B)。CNTは、標的分析対象物質に対して特異的なセレクター分子で修飾され得る。これらの分析対象物質への曝露時に、センサーは、電気的応答シグナル(すなわち、抵抗の変化)を生成し、これが記録され、分析(例えば、コンピューターによって、クラウドを介して)され得る。ナノチューブネットワークは、優れた選択性を維持しながら、標的分析対象物質に対する感度を提供する。
【0135】
CNTセンサーチップをセンサーモジュール内に設置し、配合物の抵抗を継続的に記録した。圧電ポンプが付属のプラスチックチューブから空気を引き込む活性試料採取法を介して、センサーチップを周囲空気に継続的に曝露した。この空気は、概してセンサーチップの表面上を移動する。デバイスの入口における対応する試料で飽和した基材の設置を介して、センサーチップを個々の低分子揮発性マーカーに曝露した。この例において使用した6つの揮発物マーカーは、アセトン、メタノール、ニトロベンゼン、フラン、ジヘキシルアミンおよびアニリンであった。
【0136】
表1は、例示的なシステムを使用した個々の揮発性分析対象物質への受動的曝露についての結果をまとめたものである。多数の種類のセンサー全体にわたる複数の種類の揮発物に対する応答変動は、例えば、物品認証のために揮発性化合物を識別および使用する能力を実証した。表1は、6つの異なる揮発性マーカーに対するいくつかのセンサーの応答を示す。センサーIおよびJを除いて、10のセンサーのそれぞれは、6つの分析対象物質に対して一意的な応答プロファイルを示し、このシステムを使用する「バーコード」型認証デバイスを配備するための合理的な根拠を提供した。チェックマークは、測定可能な応答を指し示し、一方、Xは、測定可能な応答が観察されなかったことを指し示す。
【表1】
(実施例2)
COの能動的揮発性放出
【0137】
揮発性剤の誘引放出も実施した。ピバル酸は、概して、室温では固体として存在し、35℃で溶融するカルボン酸である。重炭酸ナトリウムは、概して、酸によってプロトン化されると分解してCOとなり得る固体弱塩基である。次いで、COセンサーを、一連の対照に曝露した。最初に、センサーを昇温の空気に、次いで、昇温の純粋なピバル酸の試料に曝露した。次いで、センサーを、化学量論比で混合されたピバル酸および重炭酸ナトリウムの試料に室温で曝露した。最後に、センサーを、ピバル酸および重炭酸ナトリウムの混合物の試料に昇温で曝露した。試料がピバル酸の融点に到達すると、酸はその液体形態に転換され、ピバル酸の重炭酸ナトリウムとの反応およびその後のCOの放出を可能にした。種々の条件のうち、センサー応答はピバル酸重炭酸ナトリウム混合物が加熱された場合のみ目撃され、揮発性剤の制御された誘引放出およびその後のその検出を実証した。
例示的な実施形態-化学タグ放出のための化学プロセス
【化1】
【0138】
ポリ(ビニルスルホン)の誘引解重合は、化学タグを直接放出し得る。アルケンが検出され得る、またはアルケン中のR基が、簡単に検出されるシグナルをもたらす特異的官能基を有し得る。例えば、R=CHC(CFOHである場合、OH基の水素結合および酸性度を活用して、一意的な検出を確実にすることができる。代替として、R=OEtまたはOAcである場合、アルケンは非常に電子豊富であり、検出のための一意的な化学的識別特性を有することにもなる。SO放出も興味深く、このガスは、アミンとの高反応性を有する。これも、周囲の雰囲気で容易に酸化されて、簡単に化学的に変換され得る強酸を作り出すことができる。
【0139】
ポリ(アルファ-メチルスチレン)(Ar=Ph)は、室温を上回るがその相対的なポリスチレン(198℃)よりもはるかに低い66℃前後の天井温度を有するポリマーの例である。加熱すると、このポリマーは容易に解重合し得る。結果として生じたアルケンは、化学タグとして機能することができる。フェニル環は、一意的なシグナルを提供するために結合した官能基を有していてもよく、またはこの材料は化学タグを囲むマトリックス材料であってよく、その自発的な解重合は化学タグの放出をもたらし得る。
【化2】
【0140】
これらのスキームにおけるAr基が光を吸収することができる場合、これらの材料を光化学的に解重合することも可能である。
【0141】
ポリアルデヒドは、概して昇温で自発的に解重合する別のクラスのポリマーである。これらの重合は、概して、イオン機構によって進行するが、熱的に起こることもある。ホルムアルデヒド(R=H)は古典的な例であり、これは自発的に環化および重合する。熱処理および水分はこの分子を放出することができ、これは、いくつかの方法によって簡単に検出可能であるように十分に反応性である。ポリアルデヒドは、化学的に解重合され得、単純な酸誘引が概して解重合を生じさせることになる。
【化3】
【0142】
これらのスキームにおいて、酸素に結合している末端基、Y<が誘引となり得る。例えば、Y=Si(i-Pr)である場合、解重合は、Si-O結合を開裂するプロセスによって誘引され得る。そのようなプロセスは、強塩基またはフッ化物イオンによって誘引され得る。放出されたアルデヒドは、一意的な特性を有するように設計され得る。フッ素化アルカンは、一意的な検出を可能にする求電子性を持つアルデヒドを生成することができる。例えば、これらのアルデヒドは、アルコールを用いてヘミアセタールを、または水の存在下で水和物を生成し得る。
【0143】
単純なポリアルデヒドに加えて、アリール-オルト-ジアルデヒドに由来する材料は容易に解重合され得る。放出されたモノマーは、異なった検知シグナルを生じさせることができる一意的な化学的特性を提示する。
【化4】
【0144】
多くの他の確立されたまたは既存の解重合プロセスが可能であり、本発明における化学タグ放出エンコーディングプロセスの一部として使用され得る。例えば、示されているプロセスを使用して、続けてさらなる化学を行うまたは化学タグであることができる反応性分子を放出し得る。
【化5】
【0145】
解重合方法の例示的な利点は、一部の事例において、検出のために多くの分子を生じさせ得る単一の事象である。これは、単一の事象によって潜在的に誘引され得る強いシグナルを可能にする。
【0146】
熱フラグメンテーションは非常に一般的であり、解重合プロセスに限定されない。任意の材料は、十分な熱さに加熱されると、概してより小さいフラグメントに砕け始め、これは、正のエントロピー利得によって駆動される基本的な熱力学由来と理解されている。本発明の範囲を例証するために、簡単に検出されるシグナルに容易に翻訳され得るいくつかの異なる化学がここで示唆される。
【0147】
ディールス・アルダー反応は可逆的であり、フランは、これに関して特に周知である。フランは、強い電子供与分子であり、化学抵抗法のフォトルミネッセンス消光により検出され得る。同様に、同じくフラグメント化するアルケンまたはアルキンは、ケミレジスタを含む公知の方法によって容易に検出され得る。フランは、概して電子供与分子であり、脱離されたアルケンは、概して、ほとんどの場合、電子受容化合物となり、それにより、それらの検出のための相補的な特徴を与える。
【化6】
【0148】
レトロまたは逆ディールス・アルダー反応は、フランを発生させることに限定されず、ジエンおよびアントラセン等の他の芳香族構造を遊離させることができる。表面としてのポリマーの粒子との共有結合の結果としてのその分子量のいずれかのおかげで成分の1つを不揮発性にすることは、有利であり得る。これらの反応は、概して、ほとんどの場合、熱的に開始されるが、光によって引き起こされることもできる。ディールス・アルダー反応を使用して、ポリマーの特性を熱的に調節することもできる。例えば、ポリマーがディールス・アルダー反応によって架橋されており、これが化学タグの拡散を低下させている場合、逆ディールス・アルダー反応の熱促進を使用して、化学タグまたは前駆体材料からの化学タグの発生に関連する試薬の拡散における増大を与えることができる。
【0149】
フォワード(forward)ディールス・アルダー反応は(逆ディールス・アルダー反応とは対照的に)、化学タグを遊離させる際にも有用となることができ、記されている例は、迅速に分解して一酸化炭素または二酸化硫黄を遊離させる、初期生成物を提供する。方法は、カーボンナノチューブ化学レジスタを用いるこれらの分析対象物質の両方の検出に役立つ。SOの事例において、空気および水分の存在は、同じく容易に検出される強酸性材料の形成をもたらし得る。
【化7】
【0150】
容易に検出可能である化学タグを生じさせ得る多くの他の可能な種類の熱的または潜在的光化学的プロセスがある。以下に示す脱離により、いずれも概して容易に検出可能な生成物を得る。ヒドロキシアミンを生成する脱離は、非常に魅力的である。ヒドロキシアミン基は、極めて強い電子供与分子であり、概して多くのフルオロフォアを消光し、概して、カーボンナノチューブ等のp型半導体材料にも電子を供与する。前者は、検知材料からの蛍光の低減によって認識され、後者は、pドープ導電性半導体単壁カーボンナノチューブセンサーからの抵抗の増大を生み出す。RSOH基が脱離によって生成される事例において、その強い酸性度のおかげでこの材料の検出を期待することができる。熱脱離により、カルボキシレートおよびハロゲン酸を含む他の酸基を発生させることも可能である。強酸に対する顕著な発光応答を与える豊富な蛍光プロセスがある。加えて、カーボンナノチューブは、酸に応答することが公知であり、他の水素受容官能基をカーボンナノチューブの表面上に設置することにより、シグナルの強化を期待することができる。酸は、特異的な閾値酸性度の材料に応答するように活性化されるセンサーを作り出すことが可能であるため、変換するための魅力的なシグナルである。別の言い方をすれば、完全なプロトン移動を生成してイオン種を作り出すために不十分である塩基性度のセレクターによって活性化されるセンサーを想像することができる。加えて、プロトン化に応答してそれらの電子親和力をシフトさせる分子を活用することが可能である。キノン類は、pH応答性電子親和力を有する分子の例であり、これらの分子が、化学抵抗センサーにおいて使用される半導体における放出体または担体変調の酸化還元消光を作り出すために使用され得ることを期待することができる。
【化8】
【0151】
脱離反応において発生したアルケンは、同様に潜在的な化学タグである。ケミレジスタ法はアルケンの選択的検出のために存在し、選択性は、熱脱離反応によって発生した生成物に結合している置換基の選択によって変調され得る。
【0152】
役立つことができる別の種類の熱脱離は、示されているようなジハロゲンの脱離である。IまたはIBrまたはIClを生成する同様のプロセスが想像され得る。ジハロゲンは、強酸化剤であり、概して、ほとんどすべての発光材料を消光することになり、担体を半導体材料に注入するために使用され得る。担体注入は、化学抵抗(chemiresitive)センサーにおける抵抗の減少をもたらすことができ、電荷担体の固定、散乱、枯渇から生じるより一般的な抵抗増大を表示する化学タグを補完する。例えば、そのような応答は、供与フランまたはアミンの放出とは非常に異なったものである。
【化9】
【0153】
多くのプロセスは、熱または光のいずれかによって開始され得る。光化学的プロセスは、概して、発色団が効率的であることを要する。これは、下記の2つの例によって例証することができ、これらのいずれも熱的に活性化され得るが、第2の例では、光化学的活性化を可能にする発色団を有する。いずれの事例も、概して電子的に活性であり容易に変換されるラジカル種を発生させる。発生したラジカルは、概して空気中では持続しないし、故に、概して迅速に消散する。しかしながら、種は、センサーによる過渡検出のために十分長く持続することが期待される。
【化10】
【0154】
ケミレジスタを含むセンサーによって容易に検出可能な識別特性をもたらすことが期待されるラジカル種を発生させることができる、いくつかの他の潜在的な化学がある。下記の例は、概しておそらく唯一過渡的に安定であるラジカルに加えて、持続的なラジカルを生じさせる熱的プロセスである。これらの2つの電子的に活性な材料の組合せを使用して、誘引放出後に一意的な時間依存性シグナルを作り出すことができる。これらの例は、概してすべて熱的に誘引可能であるが、直接光化学的活性化は概して置換基によって決まることになる。
【化11】
【0155】
酸素中心ラジカルは特に反応性であり、ケミレジスタを含むいくつかの異なる検知スキームによって概して容易に検出される。ペルオキシ基は、熱的にまたは光化学的に活性化され得る。これらの材料は、揮発性であってよく、生成物(produces)が非荷電である事例において検出され得る。これらの基の高反応性を使用して、化学タグを間接的に作り出す他のプロセスを誘引することもできる。
【化12】
【0156】
名目上不揮発性種である塩を分解して、揮発性である中性フラグメントを作り出すために、熱的プロセスを使用することもできる。簡単で有効な例は、熱処理により中性蒸気を形成する、カルボン酸アンモニウム塩の事例である。
【化13】
【0157】
酸およびアミンは、いずれも検出の機会を提供する。アミンの塩基性度および酸性度は、基の選択によって変調することができる。例えば、カルボキシレート上のRがHである場合、ギ酸を発生させ、これをカーボンナノチューブ化学抵抗センサーによって容易に検出することができる。同様に、芳香族アミンは、強く供与しており、容易に変換され得る。本発明者らは、アミン上の置換基が一意的な応答を作り出す上で概して有用であることを期待する。例えば、示されているようなメチル基を添加することにより、より強い電子供与アミンが発生し得る。以下の事例において、右端のアミンは、より強い供与体となる。
【化14】
【0158】
熱的プロセスを使用して、多くの異なる化学的識別特性を発生させることができる。例えば、下記の2つのプロセスを使用して、同じく揮発性であり得るY種に加えて、NC-BH基を低減させる酸化I蒸気を発生させることができる。例えば、Yは、アミン、エーテルまたはチオエーテルであってよい。
【化15】
【0159】
相変化または光化学的プロセスによって引き起こされる変化は、化学タグ前駆体を水またはアルコールに曝露するという結果をもたらし得る。NO-NHは、水に曝露すると、触媒的に分解して亜酸化窒素NOとなる。NOは、食品容器において噴射剤として使用される比較的無害なガスであり、笑気として公知である。NOは、大きい化学ポテンシャルを有し、それにより、一意的な検出能力を可能にする。無水物は、熱的に非常に安定であるが、水またはアルコールのいずれかと反応して、検出のためのカルボン酸を放出し得る。いずれの事例でも、化学タグ放出は、熱的または化学的方法によって誘引され得る。例えば、水和塩は、熱によって遊離し得る化学タグ材料中に含まれることがあり、反応を引き起こし得る。アルコールは、別の材料中では物理的に分離されることがあるが、機械的、光化学的または熱的プロセスによって拡散するように活性化され、反応して化学タグの放出に影響を及ぼし得る。
【化16】
【0160】
光化学的方法は、化学タグを放出し、材料の物理的特性を変化させるための広範囲のプロセスを提供する。窒素酸化物(NO)は容易に検出され、迅速に消散して過渡シグナルを可能にすることもできる。異なるNO種を発生させることができるいくつかの直接的および間接的な方法がある。塩は揮発性ではなく、長期間にわたって持続する認証タグを作り出すために使用され得る。NO およびNOカチオンは、供与体発光発色団をそれらに近接して設置することによって、間接的に光還元することができる。この事例において、電子伝達が起こって新たな塩を作り出し、有機半導体材料によって容易に検出され得るNOおよびNOガスを放出する。この活性化プロセスのための光の波長は、選択的エンコーディングを与えるように変動し得、概して染料によって制御されることになる。
【化17】
【0161】
NOおよびNOガスの直接光化学的発生は、示されている化合物に照射することによって遂行され得る。これらのプロセスは、概して高エネルギーUV光を要するが、熱的に活性化することもできる。安価な発光ダイオードならびにこの方法によってNOおよびNOガスの光化学的発生が可能なポータブルデバイスを潜在的に作り出すために使用され得る他の光源において、大きな進歩があった。
【化18】
【0162】
ニトロ芳香族化合物は、センサー材料蛍光の消光によって光学的に、または有機半導体との電荷移動相互作用によってのいずれかで、容易に変換され得る強力な電子受容体である。ポリニトロ化化合物は、アミンと可逆的な錯体を形成し、熱的に遊離して、化学タグ識別特性を発生させることができる。
【化19】
【0163】
光化学的方法を使用して、持続的または過渡的な酸種を発生させることができる。光酸発生の例が示されている。2-ナフトール種の事例において、酸性度は、光の存在下でのみ強化される。しかしながら、ヨードニウムおよびスルホニウム塩を用いると、光化学的方法は、持続的な強酸を生成する不可逆的変化をもたらす。後者は、フォトリソグラフィーおよびいくつかの他のプロセスにおいて使用されてきた。
【化20】
【0164】
光酸発生を使用して、母材の特性を修飾するまたは化学タグを遊離させることができる。酸は、tert-ブチルカーボネートの分解等の触媒的プロセスを生成して、COおよびイソブチレンを放出することができ、それらはいずれも、化学抵抗センサーによって検出され得る。
【化21】
【0165】
光酸を使用して、示されているようなアルデヒドポリマーの解重合を誘引し、化学タグとして容易に検出され得るアルデヒドを得ることができる。
【化22】
【0166】
光酸は、アセタールおよびエステルとの加水分解反応を触媒することもできる。これらのプロセスは、フェノール、カルボン酸、カルボニルおよびアルコールを放出することができ、これらはいずれも化学タグであり得る。これらの反応を使用して、化学タグまたは化学タグを生成することができる反応物の拡散を防止する試薬の物理的分離を変調しているポリマーの特性を修飾することもできる。
【化23】
【0167】
光化学的プロセスに基づいて化学タグ放出/発生スキームを作り出すための広範な機会がある。多くの異なる波長で機能する光開始剤および複合光開始スキームが開発されてきた。光化学的プロセスは、発光または反応性種のアンケージングにおける生物学的イメージングにも使用される。これらの方法は、認証タグを作り出す文脈で使用され得る。示されているもの等のこれらのスキームの一部で発生した反応性ラジカルは、化学タグを直接与えることができる。代替として、これらのラジカルを使用して、化学タグを生成する他のプロセスを開始することができる。
【化24】
【0168】
多くの標準的な有機反応が、容易に変換可能な化学タグの発生のための方法に転換され得る。例えば、N-ブロモコハク酸イミドは、アリル型およびベンジル型C-H基を臭素化するために広く使用されている。HBrおよびBrは、この機構で発生するが、いずれも簡単におよび一意的に検出可能な潜在的化学タグである。
【化25】
【0169】
本発明のいくつかの実施形態を本明細書において説明および例証してきたが、当業者ならば、本明細書に記載されている機能を実施するためならびに/または結果および/もしくは利点の1つまたはそれよりも多くを取得するための、様々な他の手段および/または構造を容易に想定するし、そのような変形形態および/または修正形態のそれぞれは、本発明の範囲内であると考えられる。より一般的には、当業者ならば、本明細書に記載されているすべてのパラメーター、寸法、材料および構成は例示的なものであることになっていること、ならびに、実際のパラメーター、寸法、材料および/または構成は、本発明の教示が使用される具体的な用途(1つまたは複数)によって決まることを容易に分かる。当業者ならば、日常的な実験以上のものを使用することなく、本明細書で記載されている発明の具体的な実施形態の多くの均等物を認識する、または解明することができる。したがって、先述の実施形態はほんの一例として提示されていること、ならびに、添付の請求項およびその均等物の範囲内で、本発明は、具体的に記載され特許請求されている通り以外に実践され得ることが理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載されている各個々の特色、システム、物品、材料、キットおよび/または方法に向けられる。加えて、2つまたはそれよりも多いそのような特色、システム、物品、材料、キットおよび/または方法の任意の組合せは、そのような特色、システム、物品、材料、キットおよび/または方法が相互に矛盾しない場合、本発明の範囲内に含まれる。
【0170】
不定冠詞「a」および「an」は、本明細書および請求項で使用される場合、明確に反する指示がない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解すべきである。
【0171】
語句「および/または」は、本明細書および請求項で使用される場合、そのように等位接続された要素、すなわち、一部の事例では接続的に存在し、他の事例では離接的に存在する要素の、「いずれかまたは両方」を意味すると理解すべきである。「および/または」節によって具体的に識別される要素以外の他の要素は、明確に反する指示がない限り、具体的に識別されるそれらの要素に関連しても関連しなくても、必要に応じて存在してよい。故に、非限定的な例として、「Aおよび/またはB」への言及は、「を含む」等のオープンエンド言語と併せて使用される場合、一実施形態では、BのないA(B以外の要素を必要に応じて含む)、別の実施形態では、AのないB(A以外の要素を必要に応じて含む)、さらに別の実施形態では、AおよびBの両方(他の要素を必要に応じて含む)等を指すことができる。
【0172】
本明細書および請求項で使用される場合、「または」は、上記で定義されている通りの「および/または」と同じ意味を有すると理解すべきである。例えば、リスト内で項目を分離させる場合、「または」または「および/または」は、包括的である、すなわち、少なくとも1つであるが1つを超えるいくつかのまたはリストの要素も含む、および必要に応じて追加の収載されていない項目の包含として解釈されるものとする。「の1つのみ」もしくは「の厳密に1つ」等の明確に反する指示がある用語のみ、または請求項において使用される場合、「からなる」は、いくつかのまたはリストの要素のうち厳密に1つの要素の包含を指すことになる。概して、用語「または」は、本明細書で使用される場合、「いずれか」、「の1つ」、「の1つのみ」または「の厳密に1つ」等の排他性の用語が前に付く場合、排他的な代替(すなわち、「一方または他方であるが両方ではない」)を指し示すものとしてのみ解釈されるべきである。「から本質的になる」は、請求項において使用される場合、特許法の分野において使用されるその普通の意味を有するものとする。
【0173】
本明細書および請求項で使用される場合、語句「少なくとも1つ」は、1つまたはそれよりも多い要素のリストを参照して、要素のリスト中の要素のうちの任意の1つまたはそれよりも多くから選択されるが、要素のリスト内に具体的に収載されるありとあらゆる要素のうちの少なくとも1つを必ずしも含むとは限らず、および要素のリスト中の要素のいかなる組合せも除外しない、少なくとも1つの要素を意味すると理解されるべきである。この定義は、語句「少なくとも1つ」が言及する要素のリスト内の具体的に識別される要素以外の要素が、具体的に識別されるそれらの要素に関連しても関連しなくても、必要に応じて存在し得ることも可能にする。故に、非限定的な例として、「AおよびBの少なくとも1つ」(または、言い換えれば「AまたはBの少なくとも1つ」、または、言い換えれば「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、一実施形態では、少なくとも1つのA(1つを超えるAを必要に応じて含む)でBが存在しない(およびB以外の要素を必要に応じて含む)、別の実施形態では、少なくとも1つのB(1つを超えるBを必要に応じて含む)でAが存在しない(およびA以外の要素を必要に応じて含む)、さらに別の実施形態では、少なくとも1つのA(1つを超えるAを必要に応じて含む)および少なくとも1つのB(1つを超えるBを必要に応じて含む)(および他の要素を必要に応じて含む)等を指すことができる。
【0174】
請求項においておよび上記の明細書において、「を含む(comprising)」、「を含む(including)」、「を持っている」、「を有する」、「を含有する」、「を伴う」、「を保持する」等のすべての移行句は、オープンエンドである、すなわち、含むがこれらに限定されないことを意味すると理解されるべきである。移行句「からなる」および「から本質的になる」のみ、United States Patent Office Manual of Patent Examining Procedures, Section 2111.03に明記される通り、それぞれクローズドまたはセミクローズド移行句であるものとする。
【0175】
本明細書で使用される場合、例えば、1つもしくはそれよりも多い物品、構造、力、場、流動、方向/軌道のもしくはそれらの間の形状、配向、整列および/または幾何学的関係および/またはそれらの従属構成要素および/またはそれらの組合せ、ならびに/あるいはそのような用語による特徴付けに適している上記で挙げられていない任意の他の有形または無形要素に関連するいかなる用語も、別段の定義または指示がない限り、そのような用語の数学的定義との絶対一致を要さないと理解されるものとするが、むしろ、そのように特徴付けられる主題と最も密接に関連する当業者によって理解されるように、そのような主題について可能な程度まで、そのような用語の数学的定義への一致を指し示すと理解されるものとする。形状、配向、および/または幾何学的関係に関連するそのような用語の例は、丸い、正方形、ゴムボック、円形の/円、長方形の/長方形、三角形の/三角形、円筒形の/円筒、楕円形の/楕円、(n)多角形の/(n)多角形等の形状;鉛直、直交、平行、垂直、水平、同一線上等の角度配向;平面/平面的、同一平面上、半球形、セミ半球形(semi-hemispherical)、線/線形、双曲線、放物線、平坦、曲線状、直線状、弓状、正弦曲線、接線/接線状等の輪郭および/または軌道;北、南、東、西等の方向;平滑、反射性、透過性、透明、不透明、剛性、不浸透性、均一な(均一に)、不活性、非湿潤性、不溶性、定常、不変、一定、均質等の表面および/またはバルク材料特性および/または空間/時間分解能および/または分布;ならびに関連技術分野の当業者には明らかである多くの他のものを記載する用語を含むがこれらに限定されない。一例として、「正方形」であるとして本明細書に記載される製作された物品は、そのような物品が、完全に平面的または線形であり、正確に90度の角度で交差する面または辺を有することを要さない(実際に、そのような物品は、数学的抽象概念としてのみ存在し得る)であるが、むしろ、そのような物品の形状は、当業者には理解されるようにまたは具体的に記載されているように、列挙されている製作技術のために典型的には達成可能でありおよび達成される程度まで、数学的に定義されるような「正方形」に近似するものとして解釈されるべきである。別の例として、「整列される」として本明細書に記載される2つまたはそれよりも多い製作された物品は、そのような物品が、完全に整列された面または辺を有することを要さない(実際に、そのような物品は、数学的抽象概念としてのみ存在し得る)が、むしろ、そのような物品の配列は、当業者には理解されるようにまたは具体的に記載されているように、列挙されている製作技術のために典型的には達成可能でありおよび達成される程度まで、数学的に定義されるような「整列される」に近似するものとして解釈されるべきである。

図1A
図1B
図2A
図2B
図3
【国際調査報告】